JPWO2015093600A1 - 電磁波吸収体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1〜3に記載の電磁波遮蔽材は、いずれもギガヘルツ帯での効率的な遮蔽性能を保証するものではなく、また主に電磁波の反射による遮蔽効果のため、シールが完全でない場合には、電磁波の漏れによる影響が懸念される材料である。また、金属材料の場合には、どうしても剛直な形状となるため、軽量性や柔軟性に欠ける点は依然として課題となっている。
軽量であり、フレキシブルで、かつ各種部材の形状にあわせた成形が容易な素材としては繊維構造体が考慮されるが、ギガヘルツ帯の電磁波の遮蔽性能に優れ、電磁波を反射のみでなく主に吸収により無害化し、しかも柔軟で軽量な非金属の繊維構造体からなる電磁波吸収材料は、いまだ提案されていない。また、近年では、ギガヘルツ帯の中でも、周波数の高い領域の利用も進んでおり、広い周波数領域の電磁波に対して遮蔽性能のある、材料が求められている。
また本発明は、IEEEの分類でLバンドからVバンドまでの広い範囲の周波数の電磁波に対し、低度の反射性能と高度の吸収性能を有する、電磁波吸収体を提供することを目的とする。
目付が100g/m2以上であり、
空隙率が50%以上であり、
伝導度(σ)が0.05〜50S/mであり、
比誘電率(ε)が1〜8である、
電磁波吸収体である。
カーボンナノチューブと界面活性剤と分散媒とを含むカーボンナノチューブ分散液とを準備する工程と、
前記カーボンナノチューブ分散液を、繊維構造体を構成する繊維の表面に付着させる工程と、前記分散媒を除去する工程と、を含む、
電磁波吸収体の製造方法である。
例えば、カーボンナノチューブには、多層カーボンナノチューブを用いてもよい。
本発明に係る電磁波吸収体は、カーボンナノチューブと界面活性剤と分散媒とを含むカーボンナノチューブ分散液とを準備する工程と、前記カーボンナノチューブ分散液を、繊維構造体を構成する繊維の表面に付着させる工程と、前記分散媒を除去する工程と、を含む、製造方法により、製造することができる。
前記方法において、前記分散媒を除去する工程は、カーボンナノチューブ分散液を含浸した基体を圧搾することにより、前記分散液を除去する工程を含むものであってもよい。前記製造方法において、前記界面活性剤は、陰イオン界面活性剤と陽イオン界面活性剤の組み合わせであってもよく、両性イオン界面活性剤であってもよい。
[基体]
本発明において、電磁波吸収体の基体は、繊維構造体から形成される。ここで、繊維構造体とは、織物、編物、不織布、繊維ウエブ、繊維塊またはこれらが複数層重ねあわされた積層体などの、繊維が主体となって形成され、繊維間に所定の空隙を有するものを言い、繊維が主体で繊維間に空隙があれば、高分子重合体からなるバインダー等が含まれていても良い。
本発明の電磁波吸収体の基体をなす繊維構造体は、カーボンナノチューブを担持する基材として各種繊維から形成される。たとえば、その原料の繊維は非合成繊維[例えば、天然繊維(綿、麻、ウール、絹など)、再生繊維(レーヨン、キュプラなど)、半合成繊維(アセテート繊維など)]などの有機系繊維であってもよいが、カーボンナノチューブを含む層との密着性などの点から、少なくとも合成繊維を含むのが好ましい。
これらの合成繊維のうち、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系重合体などで構成された繊維が、カーボンナノチューブの付着性が良好であり、しかも耐屈曲疲労性に優れる点から好ましい。なかでも、汎用性及び熱的特性の点から、ポリエステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート系樹脂)、ポリアミド系樹脂(特に、ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド系樹脂)、ポリオレフィン系樹脂(特に、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂)で構成された繊維が好ましく、特にポリエステル系繊維が熱安定性および寸法安定性が良好である点からより好ましい。また、目的によっては高強力・高弾性繊維(例えば、液晶ポリエステル系繊維、液晶ポリエステルアミド繊維、液晶ポリアミド系繊維、高強力ポリエチレン繊維、PBO繊維など)なども好適に用いることができる。
これらのうち、柔軟性やしなやかさ、耐屈曲疲労性に優れる点から、双糸、マルチフィラメント糸、加工したマルチフィラメント糸、紡績糸(特に、合成繊維同士を組み合わせたマルチフィラメント糸、紡績糸)が好ましい。
本発明において、カーボンナノチューブを付与した、目付が100g/m2以上であり、かつ空隙率が50%以上の繊維構造体を得るために用いられる繊維構造体としては、織物、編物、多孔性紙、不織布、繊維塊などが含まれる。また、特定種類または複数の種類の繊維構造体を組み合わせた、複合型の繊維構造体とすることもできる。例えば、目的の吸収率を達成するために、特定の編織物を複数枚重ねて、所定の性能を発揮する繊維構造体とすることもできる。複数枚重ねる方法としては、所定の空隙率を得るために、多重織にしたり、部分的に縫い合わせたりする方法が挙げられる。また、複数の編織物の間にスポンジ、不織布(例えば、フェルト)等を挟んでもよい。
織物としては、慣用の織物(織物生地又は織布)、例えば、タフタ織などの平織、綾織又は斜紋織(ツイル織)、朱子織、パイル織などが挙げられる。
編物としても、慣用の編物(編物生地又は編布)、例えば、平編(天竺編)、経編、丸編、横編、両面編、ゴム編、パイル編などが挙げられる。
さらに、編織物は、少なくともカーボンナノチューブをコーティングした導電繊維を含んでいればよい。カーボンナノチューブを含む層で被覆した繊維とカーボンナノチューブを含まない繊維とを組み合わせて編織物を形成する場合、カーボンナノチューブを含まない繊維としては、カーボンナノチューブを含む層で被覆した繊維を構成する繊維が利用でき、なかでも、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、高強力高弾性繊維が好ましい。カーボンナノチューブを含まない繊維も、横断面形状や種類も、マルチフィラメント糸や紡績糸における単糸繊度、本数、撚り数などについても、カーボンナノチューブを含む層で被覆した繊維と同様の繊維を利用できる。
また、不織布としては、短繊維をカーディングしウエブを作成し、これを機械的(ニードルパンチなど)または接着剤などで交絡させる従来方式の製造方法で作成したもの(短繊維不織布)や、スパンボンドやメルトブローン方式のように、溶融紡糸直結型の不織布製造装置を用いて形成されたもの(長繊維不織布)であってもよい。
また、多孔性の紙としては、天然パルプ、合成パルプを主体に、必要に応じて有機繊維、無機繊維等を加え、さらにこれに発泡性粒子(マイクロカプセル内に低沸点溶剤を封入したもの)を配合して混抄することにより形成される嵩高紙を挙げることができる。
目付が小さすぎると電磁波吸収量が充分でなくなる傾向にあり、電磁波吸収材としての機能が充分に果たせない。目付が大きすぎると、電子機器等を取り囲む電磁波吸収材の厚みが不必要に増大し、機器の取り扱い性を阻害する傾向になりやすい。
空隙率の調整は、繊維素材の選択、単繊維繊度、捲縮、織密度、織組織、バインダー付着方法、バインダー付着率、縫製方法などを変更することにより行うことが出来る。
空隙率80%以上の高空隙率の繊維構造体を得るための一例として、芯鞘型の接着性繊維を含むポリエステル系の短繊維をカーディングして形成された短繊維不織布をニードルパンチ処理した後、芯鞘型の接着性繊維でポリエステル系短繊維を融着処理することにより形成する方法を挙げることができる。
本発明では、繊維構造体を形成するための繊維(単繊維、糸など)または繊維構造体(編織布または不織布など)の繊維表面を、まずカーボンナノチューブで被覆する必要がある。
電磁波吸収性能の点から、繊維構造体を形成する繊維の表面の一部(局所)だけではなく、繊維の全表面の30%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは全体(100%)をカバーする被覆率(カバー率)で、カーボンナノチューブを含む層が繊維表面に付着していることが好ましい。
繊維が、モノフィラメント糸ではなく、マルチフィラメント糸や紡績糸や不織布である場合は、糸の内側に位置する繊維表面(糸表面に露出していない繊維表面)には、カーボンナノチューブを含む層は付着していなくてもよいが、糸の表面に位置する繊維の表面だけでなく、糸の内部に位置する繊維の表面にもカーボンナノチューブを含む層が付着していると、電磁波吸収性能は一層良好になる。
なお、カーボンナノチューブの付着量(割合)は、界面活性剤の付着量を含まず、カーボンナノチューブがバインダーを用いて繊維の表面に付着している場合もバインダーの付着量を含まないカーボンナノチューブ自体の付着量をいう。
これらのカーボンナノチューブのうち、カーボンナノチューブ自体の強度の向上の点から、多層カーボンナノチューブが好ましい。さらに、放射線吸収性の点から、グラフェンシートの配列構造は、アームチェア型構造が好ましい。
具体的には、化学的気相成長法において、触媒(鉄、コバルト、モリブデンなどの遷移金属またはフェロセン、前記金属の酢酸塩などの遷移金属化合物と、硫黄または硫黄化合物(チオフェン、硫化鉄など)の混合物など)の存在下、炭素含有原料(ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、一酸化炭素、エタノールなどのアルコール類など)を加熱することにより生成できる。すなわち、前記炭素含有原料及び前記触媒を雰囲気ガス(アルゴン、ヘリウム、キセノンなどの不活性ガス、水素など)と共に300℃以上(例えば、300〜1000℃程度)に加熱してガス化して生成炉に導入し、800〜1300℃、好ましくは1000〜1300℃の範囲内の一定温度で加熱して触媒金属を微粒子化させると共に炭化水素を分解させることによって微細繊維状(チューブ状)炭素を生成させる。これにより生成した繊維状炭素は、未反応原料、非繊維状炭化物、タール分および触媒金属を含有していて純度が低く、結晶性も低いので、次に800〜1200℃の範囲内の好ましくは一定温度に保持された熱処理炉で処理して未反応原料やタール分などの揮発分を気化して除くのが好ましい。さらに、微細繊維状炭素を2400〜3000℃の温度でアニール処理して、カーボンナノチューブにおける多層構造の形成を一層促進すると共にカーボンナノチューブに含まれる触媒金属を蒸発することによって製造できる。
また、本発明で用いられるカーボンナノチューブは、保土谷化学(株)のMWNT(NT−7)、バイエル社のBaytubes(C150P)、Cナノ社のFT9000、ナノシル社のNC7000などのMWCNTの市販品を用いることもできる。
スルホベタイン類としては、例えば、3−(ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホン酸塩(スルホネート)、3−(ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホン酸塩、3−(ジメチルn−ドデシルアンモニオ)プロパンスルホン酸塩、3−(ジメチルn−ヘキサデシルアンモニオ)プロパンスルホン酸塩などのジC1−4アルキルC8−24アルキルアンモニオC1−6アルカンスルホン酸塩、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート(CHAPSO)などのステロイド骨格を有するアルキルアンモニオC1−6アルカンスルホン酸塩などが挙げられる。
ホスホベタイン類としては、例えば、n−オクチルホスホコリン、n−ドデシルホスホコリン、n−テトラデシルホスホコリン、n−ヘキサデシルホスホコリンなどのC8−24アルキルホスホコリン、レシチンなどのグリセロリン脂質、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマーなどが挙げられる。
カルボキシベタイン類としては、例えば、ジメチルラウリルカルボキシベタインなどのジメチルC8−24アルキルベタイン、パーフルオロアルキルベタインなどが挙げられる。イミダゾリウムベタイン類としては、例えば、ラウリルイミダゾリウムベタインなどのC8−24アルキルイミダゾリウムベタインなどが挙げられる。アルキルアミンオキシドとしては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシドなどのトリC8−24アルキル基を有するアミンオキシドなどが挙げられる。
これらの両性イオン界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、両性イオン界面活性剤において、塩としては、アンモニア、アミン(例えば、アミン、エタノールアミンなどのアルカノールアミン等)、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムなど)等との塩が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのC6−24アルキルベンゼンスルホン酸塩など)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(例えば、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのジC3−8アルキルナフタレンスルホン酸塩など)、アルキルスルホン酸塩(例えば、ドデカンスルホン酸ナトリウムなどのC6−24アルキルスルホン酸塩など)、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩(例えば、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのジC6−24アルキルスルホコハク酸塩など)、アルキル硫酸塩(例えば、硫酸化脂、ヤシ油の還元アルコールと硫酸とのエステルのナトリウム塩などのC6−24アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数2〜3モル程度)アルキルエーテル硫酸塩など)、アルキルリン酸塩(例えば、モノ〜トリ−ラウリルエーテルリン酸などのリン酸モノ〜トリ−C8−18アルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩など)などが挙げられる。これらの陰イオン性界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。塩としては、前記両性イオン界面活性剤と同様の塩が例示できる。
両性イオン界面活性剤としては上記で具体例として挙げたもののいずれもが使用でき、そのうちでも、スルホベタイン類、特に、3−(ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネートなどのジC1−4アルキルC8−24アルキルアンモニオC1−6アルカンスルホネートが好ましい。
界面活性剤の割合は、前記カーボンナノチューブ100質量部に対して、例えば、0.01〜100質量部、好ましくは0.03〜50質量部、さらに好ましくは0.05〜30質量部(特に0.1〜20質量部)程度である。
水和安定剤の種類は、界面活性剤の種類、液体媒体(分散媒)の種類などによって異なり得るが、液体媒体として水を使用した場合は、例えば、前記非イオン性界面活性剤(界面活性剤として、非イオン性界面活性剤を使用した場合)、親水性化合物(水溶性化合物)などが使用できる。
これらの水和安定剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの水和安定剤のうち、グリセリンなどの多価アルコールなどが汎用される。
水和安定剤の割合は、前記界面活性剤100質量部に対して、例えば、0.01〜500質量部、好ましくは1〜400質量部、さらに好ましくは10〜300質量部程度である。
カーボンナノチューブを含む層には、前記界面活性剤に加えて、さらにバインダーが含まれていてもよい。バインダーにより、カーボンナノチューブと繊維との接着性を向上させる。
バインダーとしては、慣用の接着性樹脂、例えば、エチレン―酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが例示できる。これらの接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
特に、繊維がポリエステル繊維で形成されている場合には、ポリエステル繊維とカーボンナノチューブとの親和性が高いため、バインダーを用いなくてもカーボンナノチューブがポリエステル繊維の繊維表面に強固に付着し、バインダーを用いなくても充分な付着強度を発現し、少量のバインダーを用いることでカーボンナノチューブの繊維表面への付着強度が一層高くなる。
カーボンナノチューブを含む層で被覆された繊維構造体は、(A)カーボンナノチューブを含む分散液を用いて、繊維構造体を構成する繊維(織布、不織布、紙等を構成する単繊維、単繊維を集束した糸など)をコーティング処理して、カーボンナノチューブが付着した繊維を作製し、これを用いて目標の繊維構造体を形成するケースと、(B)カーボンナノチューブを含む分散液を用いて繊維構造体を処理し、繊維構造体を構成する繊維の表面にカーボンナノチューブをコーティングするケースの2種類に大別される。
繊維又は繊維構造体にカーボンナノチューブを含む層を付着する工程において、分散液中におけるカーボンナノチューブの濃度は、特に制限されないが、目的とする電気抵抗値に応じて、分散液の全質量に対してカーボンナノチューブの含有量が0.1〜30質量%(特に0.1〜10質量%)となる範囲から適宜選択できる。バインダーを使用する場合も、カーボンナノチューブに対して所望の割合となるように、このような範囲から選択できる。
カーボンナノチューブを分散させるための分散媒(液体媒体)としては、例えば、慣用の極性溶媒(水、アルコール類、アミド類、環状エーテル類、ケトン類など)、慣用の疎水性溶媒(脂肪族又は芳香族炭化水素類、脂肪族ケトン類など)、又はこれらの混合溶媒などが使用できる。これらの溶媒のうち、簡便性や操作性の点から、水が好ましく用いられる。
また、処理に用いるカーボンナノチューブの分散液は、水などの液体媒体中にカーボンナノチューブを凝集することなく安定に分散させるために、前記界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤の使用量は、例えば、カーボンナノチューブ100質量部に対して、界面活性剤を1〜100質量部(特に5〜50質量部)程度の範囲から選択できる。
界面活性剤、特に両性イオン界面活性剤を用いたカーボンナノチューブの分散液では、界面活性剤の液体媒体(水など)への溶解を促進してその界面活性作用を十分に発揮させるために、分散液中にハイドレート(水和安定剤)を添加するのが好ましい。
水和安定剤の使用量は、界面活性剤100質量部に対して、10〜500質量部(特に50〜300質量部)程度の範囲から選択できる。
このような分散液の調製方法は、特に制限されず、カーボンナノチューブ間の凝集、バンドル化を生ずることなく、カーボンナノチューブが水などの液体媒体中に微分散状態で安定に分散した分散液を調製できる方法であれば、いずれの方法で調製してもよい。
特に、本発明では、界面活性剤(特に両性イオン界面活性剤)の存在下で、水性媒体のpHを4.0〜8.0、好ましくは4.5〜7.5、さらに好ましくは5.0〜7.0に保持しながら、水性媒体(水)中にカーボンナノチューブを分散処理する調製方法が好ましい。
この調製方法で得られる分散液においては、界面活性剤によってカーボンナノチューブ間のファンデルワールス力による凝集及びバンドル形成を生ずることなく、水性媒体中に微分散状で安定に分散しているので、この分散液を用いて処理を行うと、繊維表面にカーボンナノチューブをより均一に付着させることができる。
分散液を用いた処理における温度は、特に限定されず、例えば、0〜150℃程度の範囲から選択でき、好ましくは5〜100℃、さらに好ましくは10〜50℃程度であり、通常、常温で処理される。
これらの処理方法のうち、均一なカーボンナノチューブを含む層を形成できる点から、カーボンナノチューブの分散液中に浸漬する方法や、プリント方法が好ましい。分散液を用いた付着処理は、1回だけの操作であってもよいし、同じ操作を複数回繰り返してもよい。
乾燥工程では、カーボンナノチューブの分散液で処理を行った繊維から液体媒体を除去し、乾燥することで、繊維表面にカーボンナノチューブを含む層が均一に薄層状態で付着した繊維または繊維構造体を得る。
乾燥温度は、分散液中の液体媒体(分散媒)の種類に応じて選択でき、分散媒として水を用いた場合には、繊維の材質にもよるが、通常、100〜230℃(特に110〜200℃)程度の乾燥温度が採用される。ポリエステル繊維の場合、例えば、120〜230℃(特に150〜200℃)程度であってもよい。
前記のようにして繊維構造体からなる基体にカーボンナノチューブが付与された、(1)目付100g/m2以上で、(2)空隙率50%以上、(3)伝導度(σ)が0.05〜50S/m、かつ(4)比誘電率(ε)が1〜8を有する本発明の電磁波吸収体が得られる。この電磁波吸収体は、ギガヘルツ領域の周波数の電磁波に対し、高い吸収特性を示し、例えば、周波数50〜67GHzの電磁波を平均60%以上吸収し、平均15%以下反射する性能を有する電磁波吸収体とすることができ、また1GHz〜100GHzの電磁波を平均60%以上吸収する吸収率を示す一方、前記電磁波の反射率が平均10%以下であるという特性を有する電磁波吸収体とすることもできる。このような電磁波吸収特性を有するので、各種電子機器の筐体やバッテリ−ケースなどに用いられる電磁波吸収材として有用である。また、この電磁波吸収体は、単体で、あるいは必要に応じて電磁波反射材と組み合わせて使用することにより、高い電磁波遮蔽性能を有する電磁波遮蔽体を得ることができる。
(電磁波吸収率、電磁波反射率の測定)
ベクトルネットワークアナライザ(Agilent社、E8361C)と、一対のホーナンテナを使用し、自由空間法により測定したSパラメータから、電磁波吸収率と反射率とを求めた。
測定には、三種類のホーンアンテナ(Schwarzbeck社製BBHA9120C、Schwarzbeck社製BBHA9170、Millitech社製SGH−15)を使用し、3−18GHz、15−40GHz、50−67GHzの三種の周波数領域で測定を行った。各領域における吸収率および反射率の平均値は、電磁波周波数に対してプロットされた吸収率の積分値および反射率の積分地をそれぞれ周波数の幅(測定領域における最大周波数と最少周波数の差)で割ることにより得られた。
またマイクロストリップライン(MSL)法により、0.01−10GHzの周波数領域で、電磁波(吸収性能)の測定を行った。プリント基板で作製されたマイクロストリップライン(MSL)上に極薄絶縁フィルムを介してサンプルを密着させ、上記ベクトルネットワークアナライザにより測定したSパラメータから、MSLへの入力電力に対する損失電力の割合として吸収率を計算した。
上記の測定に基づき、周波数1GHz〜100GHzの電磁波に対する吸収率と反射率の平均値、および50GHz〜67GHzの電磁波に対する吸収率と反射率の平均値を求めた。吸収率および反射率の平均値は、電磁波周波数に対してプロットされた吸収率の積分値および反射率の積分値をそれぞれ周波数の幅(測定領域における最大周波数と最小周波数の差)で割ることにより得られた。その際、1〜3GHzの電磁波に対する反射率、40〜50GHzの電磁波に対する反射率と吸収率、67〜100GHzの電磁波に対する反射率と吸収率は、プロットされたグラフから、外挿により推定した。
電磁波吸収率の測定に使用した測定系と材料測定ソフトウエア(Agilent社、85071E)により、サンプルの誘電率を求めた。
得られた繊維構造体サンプルの見かけ体積と重量、および構成する材料の比重から、空気の比重を0として、空隙率(%)を[{見かけ体積値−(重量値/比重)}/見かけ体積値]×100として算出した。
(1)カーボンナノチューブの水性分散液の調製
(i)3−(ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート(両性イオン界面活性剤)2.0g、グリセリン(水和安定剤)5mlおよび脱イオン水495mlを混合して、界面活性剤の水溶液(pH6.5)を調製した。
(ii)前記(i)で得られた界面活性剤の水溶液500mlおよびカーボンナノチューブ(バイエル社製、Baytube C150P)(多層;直径13〜16nm、長さ1〜10μm)30.4gを、ボールミル胴体(円筒形、内容積=1800ml、ボールの直径=150mm、ボール量の充填量=3200g)に入れて、手で攪拌してペースト状物とした後、ボールミル胴体を回転架台(アサヒ理化製作所製「AS ONE」)に載せ1時間撹拌してカーボンナノチューブを含有する液状物とした。
(iii)前記(ii)で生成したカーボンナノチューブを含有する液状物の全量をボールミル胴体から取り出して、前記(i)と同様に調製した界面活性剤の水溶液500mlを追加し、さらにバインダー(明成化学(株)製、「メイバインダーNS」、ポリエステル系バインダー)を固形成分換算で30.0g添加し、ビーズミル(WAB社製「ダイノーミル」、筒形状、内容積=2000ml、直径0.6mmのジルコニアビーズを1800g充填)に充填して、回転数300回/分の条件下に60分間撹拌して、両性イオン界面活性剤を含有するカーボンナノチューブの水性分散液[カーボンナノチューブの濃度=2.96w/w%、バインダーの含有量=2.26w/w%]を調製した。なお、ビーズミルによる撹拌操作中、水性分散液のpHは5.3〜6.8に維持されていた。
市販のポリエステル加工糸(クラレトレーディング(株)製、「167T48」、167dtex/48フィラメント、酸化チタン0.3重量含有)に対して、前記(1)で得られたカーボンナノチューブの水性分散液を用い、一般的なサイジング糊付け手法でカーボンナノチューブを付着した。次いで、180℃で2分間乾燥し、カーボンナノチューブが付着した245dtex、線抵抗値が1020Ω/cmのカーボンナノチューブを含む層で被覆された繊維を得た。該繊維のカーボンナノチューブの付着量は10.5重量%であった。
前記(2)で得られた繊維を経糸および緯糸すべてに配置し、平織組織にて織物を作成し、経糸密度70本/インチ、緯糸密度60本/インチの目付け120g/m2の生地(繊維構造体)を得た。
前記(3)で得られた繊維構造体の、1〜100GHzでの電磁波吸収率は平均65.5%、電磁波反射率は平均5.8%、50〜67GHzでの電磁波吸収率は平均76.6%、電磁波反射率は平均4.3%であった。伝導度σは1.2S/m、50〜67GHzでの比誘電率εは4.6であった。また、空隙率は64%であった。
(1)繊維構造体(不織布)への塗工
前記の実施例1の(1)カーボンナノチューブ分散液を用い、ポリエステル長繊維不織布(旭化成(株)製、CC5020)をこれに浸漬し、通常のマングル機にて接圧2.0kgにて絞り、90℃の熱風循環炉にて乾燥しカーボンナノチューブをコーティングした目付22.4g/m2の不織布を得た。該不織布のカーボンナノチューブの付着量は6.4%であった。これを10枚重ねて縫製し、一体化した目付224g/m2の生地(繊維構造体)とした。
前記(1)で得られた繊維構造体の、1〜100GHzでの電磁波吸収率は平均77.9%、電磁波反射率は平均3.5%、50〜67GHzでの電磁波吸収率は平均82.5%、電磁波反射率は平均2.5%であった。伝導度σは1.3、50〜67GHzでの比誘電率εは3.8であった。また、空隙率は72%であった。
(1)繊維構造体(不織布)への塗工
実施例1の(1)カーボンナノチューブ分散液を用い、ポリエステル短繊維不織布(西川ローズ(株)製、ポリエステル溶着タイプ450g/m2)をこれに浸漬し、通常のマングル機にて接圧2.0kgにて絞り、90℃の熱風循環炉にて乾燥した。これを3度繰り返して、カーボンナノチューブをコーティングした目付498g/m2の導電性繊維構造体を得た。該繊維構造体のカーボンナノチューブの付着量は重量5.3%であった。
前記(1)で得られた導電性繊維構造体の、1〜100GHzでの電磁波吸収率は平均80.2%、電磁波反射率は平均4.5%、50〜67GHzでの電磁波吸収率は平均92.8%、電磁波反射率は平均1.5%であった。伝導度σは0.9S/m、50〜67GHzでの比誘電率εは1.1であった。また、空隙率は94%であった。
(1)繊維構造体への塗工
実施例1の(1)カーボンナノチューブ分散液を用い、不織布(クラレクラフレックス(株)製、商品名フレクスター(ボードタイプ)5mm厚、密度0.15g/cc、目付750g/m2)(ポリエステルを内層、エチレン―ビニルアルコール系共重合体を外層とする芯鞘複合繊維から形成された不織布)をこれに浸漬し、通常のマングル機にて接圧2.0kgにて絞り、90℃の熱風循環炉にて乾燥した。これを3度繰り返して、カーボンナノチューブをコーティングした目付840g/m2の導電性繊維構造体フレクスターを得た。該繊維構造体のカーボンナノチューブの付着量は6.0重量%であった。
前記(1)で得られた繊維構造体(導電性フレクスター)の、1〜100GHzでの電磁波吸収率は平均74.2%、電磁波反射率は平均5.5%、50〜67GHzでの電磁波吸収率は平均83.5%、電磁波反射率は平均2.0%であった。伝導度σは1.1S/m、50〜67GHzでの比誘電率εは1.4であった。また、空隙率は89%であった。
(1)カーボンナノチューブの水性分散液の調製
(1)カーボンナノチューブの水性分散液の調製
(i)3−(ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート(両性イオン界面活性剤)2.0g、グリセリン(水和安定剤)5mlおよび脱イオン水495mlを混合して、界面活性剤の水溶液(pH6.5)を調製した。
(ii)前記(i)で得られた界面活性剤の水溶液500mlおよびカーボンナノチューブ(Nanocyl社製、CN7000)(多層;直径9.5nm、長さ1.5μm)30gを、ボールミル胴体(円筒形、内容積=1800ml、ボールの直径=150mm、ボール量の充填量=3200g)に入れて、手で攪拌してペースト状物とした後、ボールミル胴体を回転架台(アサヒ理化製作所製「AS ONE」)に載せ1時間撹拌してカーボンナノチューブを含有する液状物とした。
(iii)前記(ii)で生成したカーボンナノチューブを含有する液状物の全量をボールミル胴体から取り出して、前記(i)と同様に調製した界面活性剤の水溶液500mlを追加し、さらにバインダー(明成化学(株)製、「メイバインダーNS」、ポリエステル系バインダー)を固形成分換算で30.0g添加し、ビーズミル(WAB社製「ダイノーミル」、筒形状、内容積=2000ml、直径0.6mmのジルコニアビーズを1800g充填)に充填して、回転数300回/分の条件下に60分間撹拌して、両性イオン界面活性剤を含有するカーボンナノチューブの水性分散液[カーボンナノチューブの濃度=2.96w/w%、バインダーの含有量=2.26w/w%]を調製した。なお、ビーズミルによる撹拌操作中、水性分散液のpHは5.3〜6.8に維持されていた。
(2)繊維構造体への塗工
前記の(1)カーボンナノチューブ分散液を用い、ポリエステル長繊維不織布(旭化成(株)製、CC5020)を浸漬し、通常のマングル機にて接圧2.0kgにて絞り、90℃の熱風循環炉にて乾燥しカーボンナノチューブをコーティングした目付23.3g/m2の不織布を得た。該不織布のカーボンナノチューブの付着量は6.4重量%であった。これを10枚重ねて縫製し、一体化した目付233g/m2の生地(繊維構造体)とした。
(3)電磁波吸収率、伝導度σ、比誘電率ε、空隙率
前記(2)で得られた繊維構造体の、1〜100GHzでの電磁波吸収率は平均83.4%、電磁波反射率は平均3.0%、50〜67GHzでの電磁波吸収率は平均92.5%、電磁波反射率は平均1.5%であった。伝導度σは2.0、50〜70GHzでの比誘電率εは2.3であった。また、空隙率は79%であった。該繊維構造体のカーボンナノチューブの付着量は6.3重量%であった。
(1)繊維構造体への塗工
実施例1の(1)カーボンナノチューブ分散液を用い、繊維構造体[クラレクラフレックス社製、商品名フレクスター(ボードタイプ)5mm厚、密度0.15g/cc]をこの分散液に浸漬して引き上げてそのまま静置し、常温で乾燥し、目付980g/m2のカーボンナノチューブをコーティングした導電性繊維構造体フレクスターを得た。該繊維構造体のカーボンナノチューブの付着量は11.6重量%であった。
前記(1)で得られた繊維構造体(導電性フレクスター)の、1〜100GHzでの電磁波吸収率は平均11.0%、電磁波反射率は平均で90%より大きかった。50〜67GHzでの電磁波吸収率は平均20.2%、電磁波反射率は平均で90%より大きかった。導度σは12.5S/m、50〜67GHzでの比誘電率εは6.5であった。また、空隙率は45%であった。
(1)繊維構造体への塗工
実施例1の(1)カーボンナノチューブ分散液をイオン交換水で5倍に希釈し、市販のポリエステル加工糸(クラレトレーディング(株)製、「167T48」、167dtex/48フィラメント、酸化チタン0.3重量含有)から作成したポリエステル生地(経緯ともに90本/インチ、平織り、目付120g/m2)をこの希釈液に浸漬し、通常のマングル機にて接圧2.0kgにて絞り、90℃の熱風循環炉にて乾燥し、目付122g/m2の導電性繊維構造体を得た。該繊維構造体のカーボンナノチューブの付着量は0.7重量%であった。
前記(1)で得られた繊維構造体の1〜100GHzでの電磁波吸収率は平均20.2%、電磁波反射率は平均0.1%、50〜67GHzでの電磁波吸収率は平均33.5%、電磁波反射率は平均0.1%であった。伝導度σは0.012S/m、50〜67GHzでの比誘電率εは4.0であった。また、空隙率は60%であった。
(1)繊維構造体への塗工
実施例(1)の(1)カーボンナノチューブ分散液をイオン交換水で5倍に希釈し、市販のポリエステル加工糸(クラレトレーディング(株)製、「84T36」、84dtex/36フィラメント、酸化チタン0.3重量含有)から作成したポリエステル生地(経緯ともに110本/インチ、平織り、目付73g/m2)を浸漬し、通常のマングル機にて接圧2.0kgにて絞り、90℃の熱風循環炉にて乾燥し、目付74g/m2の導電性繊維構造体を得た。該繊維構造体のカーボンナノチューブの付着量は0.7重量%であった。
前記(1)で得られた繊維構造体の1〜100GHzでの電磁波吸収率は平均15.5%、電磁波反射率は平均0.1%、50〜67GHzでの電磁波吸収率は平均31.0%、電磁波反射率は平均0.1%であった。伝導度σは0.014S/m、50〜67GHzでの比誘電率εは4.1であった。また、空隙率は55%であった。
(1)繊維構造体への塗工
前記の実施例1の(1)カーボンナノチューブ分散液を用い、ポリエステル長繊維不織布(旭化成(株)製、CC5020)を浸漬し、通常のマングル機にて接圧2.0kgにて絞り、90℃の熱風循環炉にて乾燥しカーボンナノチューブをコーティングした目付22.4g/m2の不織布を得た。
(2)電磁波吸収率、伝導度σ、比誘電率ε、空隙率
前記(1)で得られた繊維構造体の1〜100GHzでの電磁波吸収率は平均15.2%、電磁波反射率は平均3.0%、50〜67GHzでの電磁波吸収率は平均25.2%、電磁波反射率は平均2.5%であった。伝導度σは1.3、50〜67GHzでの比誘電率εは3.8であった。また空隙率は、65%であった。
(1)繊維構造体の加工
実施例3で得られた目付498g/m2の導電性繊維構造体を3枚重ねて汎用の接着剤で接着し、繊維構造体を得た。
前記(1)で得られた導電性繊維構造体の、5.8GHzでの電磁波吸収率は85.2%、電磁波反射率は0.5%であった。また、20.0GHzでの電磁波吸収率は95.0%、電磁波反射率は0.8%であった。また、40.0GHzでの電磁波吸収率は94.3%、電磁波反射率は0.9%であった。伝導度σは0.9S/m、50〜67GHzでの比誘電率εは1.1であった。また、空隙率は95%であった。これらの結果を表2に示す。
Claims (11)
- 繊維構造体からなる基体と、前記基体に付与されたカーボンナノチューブを有し、
目付が100g/m2以上であり、
空隙率が50%以上であり、
伝導度(σ)が0.05〜50S/mであり、
比誘電率(ε)が1〜8である、
電磁波吸収体。 - 周波数50GHz以上、67GHZ以下の範囲の電磁波に対し、吸収率が平均60%以上で、かつ反射率が平均15%以下である、請求項1に記載の電磁波吸収体。
- 1GHz以上、100GHz以下の範囲の電磁波に対して、吸収率が平均60%以上で、かつ反射率が平均10%以下である、請求項1または2のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
- 5.8GHzの電磁波に対して、吸収率が80%以上で、かつ反射率が10%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
- 20.0GHzの電磁波に対して、吸収率が80%以上で、かつ反射率が10%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
- 40.0GHzの電磁波に対して、吸収率が80%以上で、かつ反射率が10%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
- 前記空隙率が60%〜95%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
- 前記繊維構造体は、不織布からなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
- 前記繊維構造体は、少なくとも一層の織編物および少なくとも一層の不織布から選択される複数の層が、縫製により一体化されたものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
- 前記繊維構造体が、ポリエステル系繊維を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の電磁波吸収体の製造方法であって、
カーボンナノチューブと界面活性剤と分散媒とを含むカーボンナノチューブ分散液とを準備する工程と、
前記カーボンナノチューブ分散液を、繊維構造体を構成する繊維の表面に付着させる工程と、
前記分散媒を除去する工程と、を含む、
電磁波吸収体の製造方法。
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