JP2014130050A - カーボンナノホーンを含む放射線遮蔽剤及び放射線遮蔽用組成物並びにその利用 - Google Patents

カーボンナノホーンを含む放射線遮蔽剤及び放射線遮蔽用組成物並びにその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】従来にない放射線遮蔽剤を提供する。
【解決手段】カーボンナノホーンを放射線遮蔽成分として用いる放射線遮蔽剤を提供する。
【選択図】なし

Description

本明細書は、カーボンナノホーンを含む放射線遮蔽剤及び放射線遮蔽用組成物並びにその利用に関する。
放射線を遮蔽することは、ヒトを含む動物及び植物への放射線の影響の抑制又は回避のほか、放射線による物質への影響の抑制又は回避のために重要である。
放射線を遮蔽する材料としては、従来、鉄、鉛あるいはタングステンなどの重金属や、重量のあるコンクリートなどが利用されていた(特許文献1)。
特開2012−225891号公報
しかしながら、重金属を用いる場合にはコストの観点や十分な遮蔽性能を発揮させるには重量や大きさ(厚み)が増大する等の問題があった。さらに、固定された構造体に適用する場合はともかく、作業者が着用する着衣、グローブや帽子等のその他の身体被覆部材、カーテンやブラインドなどのシート状の内装用部材、建築用の内外装材、工事用等各種用途のシート、車両などの移動体、流通用や保存用の収納体などの可搬性あるいは移動性のものに放射線遮蔽性を付与するには、加工性のほか、重量や柔軟性等など、解決すべき問題が多数あった。また、宇宙空間での宇宙服による各種宇宙線や放射線の遮断も十分な効果が得られるものではなく、その遮断効果は船外活動の時間を規制することにより被曝量を調整しているのが現状である。
カーボンナノホーンは、ナノメートルスケールのホーン状の微細構造を有する炭素材料である。カーボンナノホーンは炭素からなるため、黒鉛と同様にして放射線遮蔽材として用いることができると考えられる。しかしながら、黒鉛と同等の物質であるために、十分な放射線遮蔽性を確保するためには、厚みを確保する必要があり、可搬性や移動性の物品には適用が困難であるほか、固定構造体に対しても大量の材料を要するという欠点があった。
本明細書は、良好な放射線遮蔽性能を有する炭素材料、当該炭素材料を含む放射線遮蔽用組成物及びその利用を提供する。
本発明者らは、カーボンナノホーンについて放射線遮蔽能につき評価を行ったところ、黒鉛と同様の基本構造を有するにもかかわらず、黒鉛より優れた放射線遮蔽能を有するという知見を得た。さらに、本発明者らは、カーボンナノホーンが加工性に優れており、プラスチックやゴムなどの有機材料のほか無機材料などとの複合化性能にも優れており、カーボンナノホーンが有効に保持されて効果的に放射線遮蔽能を発揮させることができるという知見を得た。本明細書によれば、これらの知見に基づき以下の手段が提供される。
(1)カーボンナノホーンを含む放射線遮蔽剤。
(2)前記カーボンナノホーンは、細孔容積が0.8cm3/g以上である、請求項1に記載の放射線遮蔽剤。
(3)前記カーボンナノホーンは、Na、K、Mg、Ca、Fe、Si及びClからなる群から選択される1又は2以上の元素に関し、以下に示す含有量で含んでいる、請求項1又は2に記載の放射線遮蔽剤。
Na:0.003%以上0.3%以下
K:0.001%以上0.1%以下
Mg:0.0005%以上0.05%以下
Ca:0.004%以上0.4%以下
Fe:0.006%以上0.6%以下
Si:0.002%以上0.2%以下
Cl:0.004%以上0.4%以下
(4)前記カーボンナノホーンは、長さが30nm以下のカーボンナノホーンを主体とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の放射線遮剤。
(5)前記カーボンナノホーンは、流体中のアーク放電により製造される、(1)〜(4)のいずれかに記載の放射線遮蔽剤。
(6) 金属を担持した前記カーボンナノホーンを含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の放射線遮蔽剤。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の放射線遮断剤を含む、放射線遮蔽用組成物。
(8)さらに、カーボンナノホーン以外の炭素材料を含む、(7)に記載の放射線遮蔽用組成物。
(9)さらに、導電性材料を含む、(7)又は(8)に記載の組成物。
(10)(7)〜(9)のいずれかに記載の放射線遮蔽用組成物を含む1又は2以上の第1の層を備える、放射線遮蔽材。
(11) 前記1又は2以上の第1の層は、多孔性担体に対して前記放射線遮蔽用組成物が保持されている、(10)に記載の放射線遮蔽材。
(12) 前記カーボンナノホーンを担持したシート状体を含む、(10)又は(11)に記載の放射線遮蔽材。
(13) さらに、導電性材料を含む1又は2以上の第2の層を備える、(10)〜(12)のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
(14) さらに、誘電体材料を含む1又は2以上の第3の層を備える、(10)〜(13)のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
本発明の装置の一例の概要を模式的に示す図である。 本発明における陰極の一例を示す図である。 本発明の装置の第2実施例の概要を模式的に示す図である。 本発明の装置の第3実施例の概要を模式的に示す図である。 本発明の装置の第4実施例の概要を模式的に示す図である。 実施例で得られた泡状体のカーボンナノホーンを写真で示す図である。 実施例のカーボンナノホーンのTEM明視野像を示す図である。 実施例のカーボンナノホーンのTEM明視野像を示す図である。 実施例のカーボンナノホーンのTEM明視野像を示す図である。 実施例のカーボンナノホーンのTEM明視野像を示す図である。 実施例で得られた泡状体のカーボンナノホーンのラマン分光分析結果を示す図である。 実施例で得られた泡状体のカーボンナノホーンのTG−DTA結果を示す図である。
本明細書は、カーボンナノホーンを放射線遮蔽成分として含有する放射線遮蔽剤、放射線遮蔽用組成物及び当該組成物を含む放射線遮蔽材等に関する。本放射線遮蔽剤、本放射線遮蔽用組成物及び本放射線遮蔽材によれば、放射線遮蔽能を有するカーボンナノホーンを用いるため、軽量でかつ放射線遮蔽能の高い放射線遮蔽用組成物を得ることができる。
また、本明細書によれば、こうした組成物を含む第1の層を備えることで良好な放射線遮蔽能を呈する放射線遮蔽材を得ることができる。こうした放射線遮蔽材には、さらに、導電性材料を含む第2の層や、誘電体材料を含む第3の層を備えることで、効果的に放射線遮蔽能を発揮させることができる。
なお、本明細書において、放射線とは、放射線元素の崩壊に伴い放出される粒子線あるいは電磁波をいう。主として、アルファ線、ベータ線、ガンマ線及びX線(典型的には波長が1pm〜10nm程度の電磁波を意味する。)の3種を表す。
以下、本明細書の開示についての種々の実施形態について説明する。本明細書において「%」は、特に断りのない限り質量%を意味している。
(放射線遮蔽剤)
(カーボンナノホーン)
本明細書に開示される放射線遮蔽剤は、カーボンナノホーンを放射線遮蔽成分として有している。本明細書に開示されるカーボンナノホーン(以下、本カーボンナノホーンという。)は、円錐状の筒状体形態を有し、頂点部は炭素5員環を含み、他の筒部は炭素6員環を主体とする構造を取ることができる。本カーボンナノホーンは、水などの水性媒体中におけるアーク放電により製造されることから、従来の黒鉛とは異なる特性を有しており、効果的な放射線遮蔽能を示すことができる。本カーボンナノホーンは、良好な分散性等、以下の特徴を有することができる。
(親水性)
本カーボンナノホーンは、後述するように水性媒体中で合成されることから、理論的に明らかではないが、親水性を有している。すなわち、従来のカーボンナノホーンと比較して水に対する良好な分散性を有している。例えば、10質量%以上100質量%以下の濃度範囲で水及びメタノール若しくはエタノールにおいて均一分散状態を形成することができる。この分散状態を1時間から8時間程度は維持することができる。また、超音波15分処理すると、さらに長時間安定に分散状態を維持できることがわかっている。
本カーボンナノホーンは、以下に説明する製造方法において泡状体として取得され得る。当該泡状体は、本カーボンナノホーンとガスと水性媒体とを含んでいる。ガスは、製造工程において用いられる不活性ガスが含まれていてもよいが、特に限定されない。また、水性媒体は、製造工程で用いられる水性媒体が含まれていてもよいが、特に限定されない。本泡状体は、本製造方法において、水性媒体上に集積される。こうした泡状体は、必要に応じて固液分離、乾燥が可能である。
(細孔容積)
本カーボンナノホーンは、親水性を有し、細孔容積が0.8cm3/g以上であってもよい。細孔容積は、ガス吸着法をBJH法による細孔分布計算結果から求めることができる。ガスは、窒素ガスを用いることができる。より具体的には、定容法を用いて窒素による吸着脱離等温線を測定することによって求めることができる。好ましくは、細孔容積は、0.9以上であり、より好ましくは1.0以上である。上限は特に限定しないが、1.2以下程度とすることができる。細孔容積の大きさは、カーボンナノホーンが高密度に凝集又は集積されたことを意味している。細孔容積は、吸着能力、触媒能力、内包能力等に関連し、細孔容積の大きさは、こうした能力の大きさを意味している。
(金属元素等の含有量)
本カーボンナノホーンは、Na、K、Mg、Ca、Fe、Si及びClからなる群から選択される1又は2以上の元素に関し、以下に示す含有量で含んでいることが好ましい。
Na:0.003%以上0.3%以下
K:0.001%以上0.1%以下
Mg:0.0005%以上0.05%以下
Ca:0.004%以上0.4%以下
Fe:0.006%以上0.6%以下
Si:0.002%以上0.2%以下
Cl:0.004%以上0.4%以下
こうした組成の本カーボンナノホーンによれば、カーボンナノホーンの特性を発揮しやすいと考えられる。上記各元素についてのより好ましい濃度範囲は以下に示すとおりである。
Na:0.015%以上0.12%以下
K:0.005%以上0.04%以下
Mg:0.0025%以上0.02%以下
Ca:0.02%以上0.16%以下
Fe:0.03%以上0.24%以下
Si:0.01%以上0.08%以下
Cl:0.02%以上0.16%以下
さらに、好ましい濃度範囲は以下の通りである。
Na:0.015%以上0.06%以下
K:0.005%以上0.02%以下
Mg:0.0025%以上0.01%以下
Ca:0.02%以上0.08%以下
Fe:0.03%以上0.12%以下
Si:0.01%以上0.04%以下
Cl:0.02%以上0.08%以下
なお、Na及びKは、原子吸光法で測定することが好ましく、Mg、Ca,Fe及びSiは、ICP発光分光分析法により測定することが好ましく、Clは、燃焼吸収−IC法により測定することが好ましい。
(大きさ及び形状)
本カーボンナノホーンは、その平均長さが30nm以下であってもよい。本カーボンナノホーンの透過電子顕微鏡像によれば、これらは、平均長さが30nm以下である。本カーボンナノホーンは、一定範囲の径を有する凝集体を形成している。凝集形状は、従来のダリア状ではない。一次粒子としてのカーボンナノホーンが不規則に凝集して平均凝集径25nm以上70nm以下の二次粒子を形成している。好ましくは、40nm以上60nm以下である。
(ラマンスペクトル)
本カーボンナノホーンは、そのラマンスペクトルにおいて、グラファイト由来のGバンドを確認することができる。
(示差熱分析)
本カーボンナノホーンは、示差熱分析において、燃焼ピーク(発熱ピーク)を有することができる。燃焼ピークは1つであってもよいが、2以上であってもよい。一つの燃焼ピークはその温度が430℃以上530℃以下であってもよい。また、他の一つの燃焼ピークはその温度470℃以上740℃以下であってもよい。
さらに、本カーボンナノホーンは、タングステン、プラチナ、チタン、コバルト、ニッケル、マンガン等の各種金属を担持するものであってもよい。
本カーボンナノホーンは、理論的に必ずしも明らかではないが、水性媒体中においてその場形成した不活性ガスキャビティでアーク放電の発生を経て炭素材料から得られるため、従来のカーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどに代表されるカーボンナノホーンと共通する性質のほか異なる特性を有している。
本カーボンナノホーンは、さらに各種酸化剤を用いて酸化による開孔処理がさらになされていてもよい。また、酸化に加えて、各種の有機官能基などが付与されていてもよい。
(本カーボンナノホーンを含む放射線遮蔽用組成物)
本組成物は、本カーボンナノホーンを含んでいる。本カーボンナノホーンは、その理由は必ずしも明らかではないが、導電性材料及び/又は誘電体材料と組み合わされることで効果的に放射線遮蔽能を発揮することができる。
本組成物には、本カーボンナノホーン以外に、金属などの導電性材料を含んでいてもよい。導電性材料としては、金、白金、鉛、鉄、タングステン、ロジウム、レニウム及びパラジウム並びにあるいはこれらから選択される1種又は2種以上を含む合金が挙げられる。導電性材料は、それ自体の放射線遮蔽効果とともに、カーボンナノホーンとの組み合わせによって相乗的な放射線遮蔽効果を発揮する。こうした導電性材料は、例えば、粒子形態で本組成物に含まれていてもよいし、カーボンナノホーンに担持された形態で本組成物に含まれていてもよい。
本組成物には、さらに、誘電体材料を含んでいてもよい。誘電体材料としては、ゴム、樹脂、セラミックスなどの公知の誘電体材料が挙げられる。誘電体材料は、それ自体の放射線遮蔽効果とともに、本カーボンナノホーンとの組み合わせによる放射線遮蔽効果を発揮する。こうした誘電体材料は、例えば、粒子形態で本組成物に含まれていてもよいし、カーボンナノホーン等と複合化された形態で本組成物に含まれていてもよい。樹脂などの誘電体材料は、本カーボンナノホーンの良好な分散剤としても機能することができる。
本組成物の形態は特に限定しない。上記した成分を粉末として有する粉末であってもよいし、適当な分散媒体に分散させたペーストないしスラリーであってもよい。本明細書に開示されるカーボンナノホーンは、水などの水性媒体に対する分散性が良好である。このため本組成物は、ペーストやスラリーの形態を採ることが好適であり、特に水性媒体を用いたペーストやスラリーの形態を採ることが好適である。なお、媒体としては、水、メタノール、エタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール及びこれらの2種以上の混液など、必要に応じて適宜選択することができる。
(放射線遮蔽材)
(第1の層)
本明細書に開示される放射線遮蔽材は、本組成物を含む1又は2以上の第1の層を備えることができる。本明細書において、カーボンナノホーンを含む限り、第11の層と規定する。第1の層は、放射線遮蔽用組成物のみからなっていてもよいし、適当な担体に対して放射線遮蔽用組成物が保持されていてもよい。担体としては、特に限定しないが、少なくともカーボンナノホーンが付着ないし担持されうるものであればよい。例えば、緻密な実質を有する緻密質担体であってもよいし、多孔質性の担体であってもよい。なお、担体の材料も第1の層を構成する成分となる。
緻密質担体としては、緻密質なガラス、樹脂、セラミックス、金属などの材料とする各種の3次元形態を有する担体が挙げられる。緻密質担体の3次元形態は特に限定しない。例えば、シート状体、粒状体、筒状体、棒状体等各種形態が挙げられる。
多孔質担体としては、多孔質性であればよく、ガラス、樹脂、セラミックス、金属などの材料とする各種の3次元形態を有する担体が挙げられる。多孔質性については、孔部が互いに連通していてもよいし、独立しているものであってもよい。例えば、樹脂やガラスであれば発泡体が挙げられる。また、例えば、繊維状体を編んだ編成物、繊維状体を織った織物、紙などのようにあるいはランダム状に積層した不織布状の積層体が挙げられる。多孔質担体の3次元形態は特に限定しない。例えば、シート状体、粒状体、筒状体、棒状体等各種形態が挙げられる。
多孔質担体を担体として用いることが好ましい。多孔質担体であると、より多くの本組成物を担持させることができる。また、可撓性や柔軟性に優れる本遮蔽材を提供できる。さらに、厚みに比して本組成物の担持量の多い本遮蔽材を提供できる。
また、多孔質担体を用いることで、本組成物を含むマトリックスに多孔質担体を構成する成分(例えば、樹脂など)を本組成物の一部として含めることもできる。
担体の形態は、好ましくはシート状である。シート状体は、各種形態で放射線を遮蔽するのに最も都合のよい形態であるからである。
担体がシート状の場合、1m2あたり、10g以上のカーボンナノホーンを含んでいることが好ましい。10g/m2以上であると、有効な放射線遮蔽能を呈することができるからである。より好ましくは50g/m2以上であり、さらに好ましくは70g/m2以上であり、一層好ましくは100g/m2以上であり、より一層好ましくは200g/m2以上であり、さらに一層好ましくは300g/m2以上である。さらにまた一層好ましくは400g/m2以上であり、より一層好ましくは750g/m2以上であり、さらに一層好ましくは1000g/m2以上である。
第1の層は、カーボンナノホーンのほか、他の炭素材料、例えば、黒鉛、カーボンナノチューブ、フラーレンなどの炭素材料を含んでいてもよい。また、第1の層は、導電性材料及び/又は誘電体材料を含むことが好ましい。カーボンナノホーンとこれらの材料との間には放射線遮蔽効果において相乗効果が得られるからである。例えば、タングステンなどの公知の放射線遮蔽成分である導電性材料やポリエステル樹脂やウレタン樹脂などの誘電体材料が挙げられる。導電性材料は、カーボンナノホーン自体に担持されていてもよい。また、樹脂成分は、本組成物の成分として含まれていてもよいし、多孔質担体などの担体の材料であってもよい。
第1の層は、本遮蔽材において、2層以上備えられていてもよい。2層以上の第1の層は、直接積層されていてもよいし、後述する第2の層及び/又は第3の層を介して積層されていてもよい。
第1の層は、本組成物を所望の3次元形態に成形して製造することができるほか、上記担体に本組成物を担持させることで製造することができる。緻密質担体や多孔質担体に本組成物を担持させるには、本組成物を適当な方法で担体に対して供給し、固定化する。例えば、スラリー状又はペースト状の本組成物を、ディッピング、コーティング、スプレーコーティング等して担体に供給し、乾燥等により媒体を留去する。必要に応じて加熱やUV等の照射により本組成物に含まれる成分を担体に固着させる。なお、本組成物は、こうした担体への固定化や、それ自体の被膜形成能を発揮させるための、増粘剤やカップリング剤などを、第1の層の形態、担体の種類、担体への担持形態等に応じて適宜含むことができる。
(第2の層)
本遮断材は、導電性材料を含む1又は2以上の第2の層を備えていてもよい。第1の層に組み合わせて第2の層を備えることで、放射線遮蔽効果を高めることができる。なお、本明細書において、導電性材料と誘電体材料とを含む場合は、第2の層として規定するものとする。導電性材料は、本カーボンナノホーンとの組み合わせにより相乗的に放射線遮蔽効果を発揮することができる。
導電性材料としては、特に限定しない。例えば、金、白金、鉛、鉄、タングステン、ロジウム、レニウム及びパラジウム並びにあるいはこれらから選択される1種又は2種以上を含む合金が挙げられる。第2の層は、層構造として緻密質体であってもよいし多孔質体であってもよい。また、第2の層は、導電性材料単体のみから構成してもよいし、既に説明し、第1の層に用いることのできる各種担体に対して導電性材料を保持させるようにしてもよい。
第2の層は2以上備えられていてもよい。第2の層は、相互に直接積層されていてもよいし、第1の層や後述する第3の層を介して積層されていてもよい。第2の層は、上記した第1の層と同様にして、導電性材料自体を成形し、あるいは導電性材料を適当な担体に担持させて製造することができる。
(第3の層)
本遮蔽材は、誘電体材料を含む1又は2以上の第3の層を備えていてもよい。第1の層に組み合わせて、あるいは第1の層と第2の層とに組み合わせて、第3の層を備えることで、放射線遮蔽効果を高めることができる。
第3層の誘電体材料としては、誘電体材料としては、特に限定しない。例えば、ゴム、樹脂、セラミックスなどの公知の誘電体材料から選択される1種又は2種以上が挙げられる。第3の層は、緻密質体であってもよいし多孔質体であってもよい。例えば、発泡ウレタンであってもよい。また、第3の層は、誘電体材料単体のみから構成してもよいし、既に説明し、第1の層に用いることのできる各種担体に対して導電性材料を保持させるようにしてもよい。
第3の層は2以上備えられていてもよい。第3の層は、相互に直接積層されていてもよいし、第1の層や第2の層を介して積層されていてもよい。第3の層は、上記した第1の層と同様にして、導電性材料自体を成形し、あるいは誘電体材料を適当な担体に担持させて製造することができる。
本遮蔽材において第1の層は、4層以上が直接又は間接的(他の層を介して)に積層されていていることが好ましい。単位面積あたりのカーボンナノホーンの担持量が同等でも、積層数が多いことで放射線遮蔽効果において相乗効果が得られやすい。好ましくは、5層以上であり、より好ましくは6層以上であり、さらに好ましくは8層以上であり、より一層好ましくは10層以上であり、さらに一層好ましくは12層以上である。また、好ましくは14層以上であり、より好ましくは16層以上である。
また、本遮蔽材が、異なる第1の層を備える場合、例えば、カーボンナノホーンと誘電体材料を含む第1の層(以下1A、層ともいう。)と、カーボンナノホーンと導電性材料と誘電体材料とを含む第1の層(以下、1B層ともいう。)とを備える場合には、いずれであっても高い放射線遮蔽能を示す。例えば、放射線暴露側に1A層を備え、より内側に1B層を備えることが好ましい。こうすることで、より高い放射線遮蔽効果を得ることができる。なお、1A層と1B層との間には、第2の層や第3の層のほか、他の層を備えていてもよい。
本遮蔽材が、第1の層に加えて、第2の層及び/又は第3の層を備える場合、放射線暴露側に第1の層を備えることが好ましく、第1の層より内側(放射線暴露側から離れる側、最も内側を含む)に第2の層及び/又は第3の層を備えることが好ましい。こうすることで、理由は明らかではないが、より高い放射線遮蔽効果を得ることができる。もっとも内側に第2の層を備えることもできる。
以上のことから、本遮蔽材は、以下の層構成を好ましく備えることができる。
・1又は2以上1A層/層なし又は1若しくは2以上の第2の層及び第3の層/1又は2以上の1B層
・1又は2以上の第1の層(好ましくは1A層)/層なし又は1若しくは2以上の第3の層/1又は2以上の第2の層
・1又は2以上の第1の層(好ましくは1A層)/層なし又は1若しくは2以上の第2の層/1又は2以上の第2の層
本明細書に開示される放射線遮蔽剤、放射線遮蔽用組成物並びに放射線遮蔽材は、特に限定しないで各種の放射線遮蔽用途に用いることができる。例えば、作業者が着用する着衣、グローブや帽子等のその他の身体被覆部材、カーテンやブラインドなどのシート状の内装用部材、建築用の内外装材、工事用等各種用途のシート、車両などの移動体、流通用や保存用の収納体などの可搬性あるいは移動性の物品において放射線遮蔽用途に用いることができる。放射能汚染物質などの処理のためのシート、収容袋、作業服、グローブ、帽子等の身体被覆部材にも有用である。さらに、宇宙空間での宇宙服による各種宇宙線における放射線遮蔽用途に用いることができる。
以下、本明細書の開示に用いるカーボンナノホーンの製造について説明する。図1は、本明細書の開示に用いるカーボンナノホーンの製造方法に好適な装置の一例を模式的に表す図である。図2は陰極に不活性ガスを導入するための供給路を形成した一例を示す図である。
(カーボンナノホーンの製造装置)
次に、本明細書の開示に用いるカーボンナノホーンに好適な製造装置及び方法について説明する。本明細書に開示されるカーボンナノホーンの製造装置2は、ア−ク放電を発生させてカーボンナノホーンを生用する生成ユニット4と、生成したカーボンナノホーンを回収する回収ユニット60とを備えている。
(カーボンナノホーン生成ユニット)
図1に示すように、カーボンナノホーン生成ユニット4は、不活性ガスを陰極24と炭素陽極22との間の電極間に導入した状態でこの領域に電圧を印加して水性媒体Wに近接させた状態でアーク放電発生領域30を形成するユニットである。生成ユニット4は、水性媒体槽10と、その内部のアーク放電生成部20とを備えている。
(水性媒体槽)
図1に示すように、水性媒体槽10は、アーク放電生成部20を内包して、炭素蒸気の冷却媒として機能する所要量の水性媒体Wを収容できる槽として構成されている。
水性媒体槽10は密閉可能であることが好ましい。水性媒体槽10を密閉するために、例えば蓋11を備えていてもよい。水性媒体槽が密閉可能であることによって、不活性ガスが導入されたとき、水性媒体槽内の圧力が増大し、高圧条件下によってカーボンナノホーンの生成が促進されるためである。なお、このほか、水性媒体槽10は、収容される水性媒体の温度を制御可能な温度制御手段を備えていてもよい。
(アーク放電生成部)
アーク放電生成部20は、通電可能な黒鉛陽極22と陰極24とを、これらの間の隙間に不活性ガスを導入可能に備えている。黒鉛陽極22を電源26の+極に接続し、陰極24を電源26の−極に接続することによって、黒鉛陽極22と陰極24との間に電圧を印加することができる。このときの電極間にかかる電位差によって電極間に存在する気体に絶縁破壊が生じ、電極間にアーク放電を生じさせることができる。黒鉛陽極22を用いることで、電極と炭素材料を一体化することができるため、装置構成を簡易に設計することができる。
陰極24の電極断面積が黒鉛陽極22の断面積より大きいことが好ましい。こうすることで生成されるカーボンナノホーンが再び蒸発することを防ぐことができる。陰極24の電極断面積が黒鉛陽極22の電極断面積の1.5倍以上であるとより好適である。また、黒鉛陽極22と陰極24の隙間は、1mm以上2mm以下であることが好ましい。隙間Sがこの範囲であることによって、効率的にアーク放電を発生させることができる。隙間が1mm未満もしくは2mmを超えるとアーク放電が不安定となるためである。黒鉛陽極22と陰極24の隙間Sが1mm以上2mm以下を維持するために、陰極24を支持する支持部もしくは黒鉛陽極22を支持する支持部が駆動可能に設置されていることが好ましい。さらに、自動制御によって黒鉛陽極22と陰極24の隙間Sが調整可能であると好ましい。これは、時間とともにアーク放電によって黒鉛陽極22が消耗して陰極24との隙間Sが開き、アーク放電が不安定になるためである。
黒煙陽極22には、添加物が含有もしくは表面に保持されていてもよい。すなわち、黒鉛表面の一部分もしくは全部に添加物が散布されていてもよいし、塗布されていてもよいし、メッキまたはコートされていてもよい。例えば、添加物としてPt、鉄、ニッケルなどの金属を用いた場合、カーボンナノホーン粒子に金属ナノ粒子を内包、すなわち、閉じた短い単層カーボンナノチューブが球状に凝集しているナノ粒子であるカーボンナノホーン粒子の中心付近に、金属ナノ粒子を入れることが可能である。こうした各種の炭素を含む材料は当業者であれば適宜従来技術を参照して取得することができる。
陰極24と黒鉛陽極22の形状と配置は限定しないが、例えば、重力に対して垂直に対向して配置することができる。垂直方向に対向して配置することで、後述する陰極24の回動による水性媒体Wの撹拌が容易であるだけでなく、アーク放電が安定するため好適である。
図1に示すように、陰極24と黒鉛陽極22とがそれぞれ回動可能になるように、それぞれに回転装置28、29が設置されていてもよい。回転装置28は陰極24を、回転装置29は黒鉛陽極22をそれぞれ、連続もしくは間欠的に回転することができる。さらに、陰極24及び黒鉛陽極22の角度を調整した状態で回動することもできる。例えば、電極をその長軸方向、例えば、垂直方向に対して例えば0.5度あるいは1度程度傾斜した状態で回転することができるように設置されていてもよい。これにより、電極に振動を伴う回転を与えることができ、効果的にカーボンナノホーンの堆積防止もしくは堆積したカーボンナノホーンの除去を行うことができる。なお、電極を傾斜して回転する場合は、アーク放電中よりも、アーク放電後の堆積物除去のために回転運動を実行させるほうが、アーク放電の安定性を阻害しないため好ましい。
図3に示すように、隙間Sを取り囲むように水性媒体Wと略遮断する外壁25を設けることができる。外壁25は、本実施形態では陰極24の外周を包囲する略円筒状となっている。隙間Sまで到達していてもよい。これによって、黒鉛陽極22との隙間Sへの放電の指向性を高め、この隙間Sに確実にアーク放電発生領域30を形成してより効果的にアーク放電を発生することができる。また、この外壁25を備えることで、水性媒体W中にアーク放電発生領域30をコンパクトに確保することができる。したがって、アーク放電発生領域30で生成した炭素蒸気は速やかに水性媒体Wに接することとなる。なお、外壁25は、図4に示す形態を採ることもできる。図4(b)に示す形態では、外壁25により、隙間Sに対する不活性ガスの指向性を向上させることができる。
また、図3に示すように、外壁25は、外壁25の位置を調整可能にするための駆動手段18に連結されていてもよい。外壁25の位置が調整可能であることによって隙間Sに対する不活性ガスの指向性を変化させることができ、アーク放電発生領域30のエネルギープロファイルをよりよく制御することができる。すなわち、カーボンナノホーンの生成量等を制御することができる。なお、外壁25は、例えば金属、セラミック、タングステン、黒鉛等の公知の材料を用いることができるが、好適には導電性を有する黒鉛や鉄、アルミを用いることが好ましい。特に外壁25には電気陰性度の高い黒鉛が最良である。外壁25に、黒鉛を用いることで、電極間に電圧を印加したときに区画内部への電子の放出量が増大し、隙間Sの温度が効率的に上昇するためである。また、外壁25の内面に凹凸が施されていると、表面積が増大することによって区画内に放出される電子量が増大し、アーク放電が安定して発生するため好ましい。
(ガス流通部)
ガス流通部40は、図1に示すように、隙間Sに不活性ガスを導入して、電極間に電圧印加時に水性媒体中にアーク放電発生領域30となる不活性ガスキャビティをその場形成することができる。また、ガス流通部40は、アーク放電発生領域30で生成した炭素蒸気やカーボンナノホーンを水性媒体Wと接触させて冷却し水性媒体側に移動させるキャリアとなる不活性ガスを供給することができる。
ガス流通部40は、不活性ガスボンベ42から、陰極24と炭素陽極22との隙間Sを指向しておおよそ陰極24の軸方向に沿って不活性ガスを供給する供給系44を備えることができる。
図1及び図2(a)に示すように、供給系44は、陰極24の近傍に効率的に不活性ガスを導入するために、陰極24の内部を貫通する1又は2以上の供給路46を備えることができる。図2(b)に示すように、例えば供給路46の形状は、陰極24の外周側に形成された1又は2以上の通気溝であってもよい。また、それぞれの導入路46は図示するように垂直でなくてもよい。例えば、導入路46は陰極24の外周に沿うあるいは内部を貫通するらせん状に形成されていてもよい。陰極24が重力に対して垂直で、かつ導入路46がらせん状に形成されていることによって、安定的に不活性ガスを渦流としてアーク放電発生領域30に導入することができ、アーク放電によるピンチ効果によって、プラズマを渦中心に集約することができるため好ましい。
供給系44の有する供給路46は1個であってもよく、2個又は3個以上であってもよい。なお、供給路46を形成する場合において、陰極24の形状、および、導入路46の形状や数は限定しない。設計事項の範囲で適宜変更することができる。
図1に示すように、隙間Sにおいて水性媒体W中に不活性ガスキャビティを形成するには、隙間Sに対して側方から不活性ガスを導入する供給系48を備えることもできる。側方からの供給系48は、隙間Sに対して、斜め下方〜側方(真横)〜斜め上方の範囲におけるいずれかあるいは複数箇所以上から不活性ガスを供給することができる。こうした供給系48を備えることで、水性媒体W中に、安定的に、隙間Sを含むその近傍に不活性ガスキャビティを形成することができる。また、供給系48を備えることにより、その形成位置が炭素陽極22のアーク放電による消耗によって刻々と変化する隙間Sに応じて最適状態で不活性ガスを導入するよう制御することができる。あるいは、変化する隙間Sに関わらず安定的に不活性ガスを隙間Sに導入できる。なお、外壁25を備える場合には、供給系48は、外壁25によってガス流が妨げられないように備えられる。例えば、先端部が隙間Sの周囲にまで到達する場合には、供給系48は、隙間Sの斜め下方〜側方の間において適切な箇所から不活性ガスを隙間Sに指向させて供給できるように備えられる。
こうした側方からの不活性ガスの導入にあたっては、隙間Sに対して1箇所から不活性ガスを導入してもよいが、好ましくは、複数箇所から導入する。より好ましくは、隙間Sの周囲から均等に不活性ガスを導入する。例えば、隙間Sを囲むように一定間隔で複数の供給系48を設けることもできるし、隙間Sに対して対称的に複数の供給系48を設けることができるし、隙間Sを囲むようにリング状の1又は2以上の供給系48を設けることもできる。
具体的には、例えば、図5(a)に示すように、複数の供給路49を、陰極24の側方に、隙間Sを指向して隙間Sの斜め上方方向から不活性ガスを導入するように設けることができる。また、複数の供給路49を、図5(b)に示すように、隙間Sを指向して隙間Sの側方から不活性ガスを導入するように設けることができる。さらに、図5(c)に示すように、リング状の供給路49を設けて、複数のガス供給口50を隙間Sを指向して設けてもよい。
ガス流通部40は、ガス供給系として供給系44のみを有していてもよいし、供給系48のみを有していてもよいし、さらにこれら双方を有していてもよい。好ましくは、供給系44及び供給系48を備える。こうすることで、不活性ガスキャビティの形成領域の状態をより高度に制御できるとともに、流量等の制御も容易となる。
ガス流通部40により、水性媒体W中において隙間Sを含む領域に、不活性ガスキャビティをその場形成することで、炭素材料からアーク放電により生成させた炭素蒸気及び/又はカーボンナノホーンを効率的に生成させ、かつ水性媒体W側に移動させることができる。
(カーボンナノホーンの回収ユニット)
回収ユニット60は、水性媒体Wの液相、水性媒体W上の気相及び水性媒体Wの液面のいずれかからカーボンナノホーンを回収することができる。図1に示す装置2においては、3種類の回収手段62、64、66を備えている。第1の回収手段62は、水性媒W体上の気相を回収して、当該気相に含まれるカーボンナノホーンを回収する手段である。気相を回収するには、水性媒体上のガスをポンプ等で吸引して、ガス中の固形分を回収する手段が挙げられる。こうした回収手段62としては、集塵機、エアセパレータ、サイクロン等の乾式分級装置が挙げられる。カーボンナノホーンは、一般に導電性を有しているので静電的回収法が有利であるが、本製造装置2においては、フィルター等による回収が有効である。
また、第2の回収手段64は、水性媒体W上に泡状に浮遊するカーボンナノホーンを回収する手段である。泡状体のカーボンナノホーンは、直径約20nm〜100nm程度のカーボンナノホーン粒子の凝集体が水性媒体とともにガスを内包した状態のものをいう。本製造装置2によれば、こうした泡状体が水性媒体W上に浮遊しているため、これらを適当な手段により回収することができる。回収方法は特に限定しないで、泡状体、あるいは泡状体と水面近傍の水とをかき集めるように液面に沿って水平移動する泡回収手段や液面に平行な回転軸に沿って回転する泡回収手段が挙げられる。泡回収手段64は、液面に対する運動の形態に応じて、吸引管形状、羽根状、ツメ状、スクレーパ状等各種の泡捕捉部材を備えることができる。泡回収手段は、例えば、液面の一端に位置させて、液面に水平な回転軸で回転するローラの表面に泡状体を付着させるようにしてもよい。
泡回収手段64により回収した泡状体は、一旦適当な貯留槽に貯留することができ、その後、泡状体を水性媒体と分離し、その後、さらに固液分離して、固形のカーボンナノホーンを回収することができる。また、泡状体の回収手段に付随して、泡状体を直接乾燥する手段を備えていてもよい。泡状体を乾燥することで粉末状のカーボンナノホーンを得ることができる。
第3の回収手段66は、水性媒体W中の液相のカーボンナノホーンを回収する手段である。第3の回収手段66は、水性媒体槽10内の水性媒体Wを適宜回収して媒体W中のカーボンナノホーンを固液分離等により回収する。媒体Wの回収方法は特に限定しない。水性媒体槽10の水性媒体Wをオーバーフローにより流出させてもよいし、槽10内に導入した水性媒体Wの吸引手段によってもよい。また、水性媒体槽10の底部から水性媒体Wを回収してもよい。こうした回収した水性媒体Wを固液分離手段に適用することによりカーボンナノホーンを回収できる。固液分離手段としては、遠心分離、ろ過、吸着膜など公知の分離手段を適宜採用することができる。なお、第3の回収手段66において、特に、水性媒体Wをオーバーフローにより回収するときには、カーボンナノホーンの泡状体も同時に回収されることになる。
こうした各種形態の回収手段62,64,66で回収されたカーボンナノホーンは、回収手段に応じた形態で提供することができるほか、例えば、その導電性に基づき電気泳動により分画することができる。すなわち、本製造装置2は、電気泳動分画手段を別途備えることができる。後述するように、本製造装置2で製造されるカーボンナノホーンは、導電的特性が従来のカーボンナノホーンやカーボンナノチューブと異なっている。
本製造装置2によれば、上記構成を採ったことにより、電極間距離、すなわち、隙間Sを最適化することができる。同時に、隙間Sに対する不活性ガスの供給形態を制御してアーク放電に最適化した不活性ガスキャビティを形成することができる。その結果、アーク放電発生領域30の部位や規模、アーク放電発生領域30のエネルギープロファイル、例えば放電される電子量や圧力を制御することができる。すなわち、アーク放電による発熱領域及び発熱温度を制御することができる。このため、効果的に炭素蒸気を発生させることができる。
以上の本製造装置の実施形態の説明において、ガス流通部を除くアーク放電生成部は、陰極、陽極及び電圧印加機構に相当し、ガス流通部が不活性ガスキャビティ形成機構に相当する。
(カーボンナノホーンの製造方法)
例えば、上記のようなカーボンナノホーン製造装置を用いることで、以下の工程を有するカーボンナノホーンの製造方法が提供される。すなわち、本発明のカーボンナノホーンの製造方法は、水性媒体中の陰極と陽極との間に不活性ガスを導入して水性媒体W中に形成した不活性ガスキャビティにおいて、アーク放電を発生させて当該前活性ガスキャビティに準備された炭素材料から炭素蒸気を発生させてカーボンナノホーンを合成する工程と、カーボンナノホーンを回収する工程と、を備えることができる。本製造方法によれば、陽極と陰極との間に不活性ガスを導入してガス流により水性媒体中に不活性ガスキャビティをその場形成し、この不活性ガスキャビティにおいてアーク放電を発生させることにより、効率的にカーボンナノホーンを合成することができる。
本製造方法は、電極に付着したカーボンナノホーン又は不純物の除去工程を備えることができる。黒鉛陽極22には、炭素蒸気が冷却されることによって生成したカーボンナノホーンが付着堆積する。一部の付着堆積物は、アーク放電から受ける圧力や送り込まれる不活性ガスの流圧によって隔壁から剥離され、水性媒体Wに沈殿堆積され、結果として水性媒体表面に浮遊するカーボンナノホーンとは分離される。
アーク放電によって各電極に付着した不純物を除くために、例えば、陰極24の電極断面積が黒鉛陽極の断面積より大きい状態でアーク放電を発生することによって、アーク放電発生領域30にローレンツ力としての推進力が得られ、電極や隔壁に固着する不純物を噴射によって剥離することができる。さらに、電極に付着した不純物や生成したカーボンナノホーンを取り除くために、アーク放電発生領域30へ導入する不活性ガスの流圧を用いてもよいし、黒鉛陽極22と陰極24のいずれかもしくは両方が回転振動することによって水性媒体Wを撹拌してもよい。
なお、生成されるカーボンナノホーンが再び蒸発することを防ぐために、不活性ガスを隙間Sに供給しつつアーク放電のみを停止して、生成した炭素蒸気を不活性ガスと共に水性媒体W中に送り出すステップを行ってもよい。また、アーク放電停止中に不活性ガスを供給しつつ陰極24を回転振動させてもよい。これによって、水性媒体W中に送り出されるカーボンナノホーンを分散することができるだけでなく、カーボンナノホーンの凝集や水性媒体槽10や電極へのカーボンナノホーンの付着を防ぐことができ、従って大量のカーボンナノホーンを得ることができる。
また、以上の製造方法によれば、泡状体であるカーボンナノホーンが提供される。このカーボンナノホーンの泡状体は、本カーボンナノホーンとガスと水性媒体とを含んでいる。ガスは、製造工程において用いられる不活性ガスが含まれていてもよいが、特に限定されない。また、水性媒体は、製造工程で用いられる水性媒体が含まれていてもよいが、特に限定されない。本泡状体は、本製造方法において、水性媒体上に集積される。こうした泡状体は、必要に応じて固液分離、乾燥が可能である。
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、以下の実施例は本発明を限定するものではない。以下の実施例では、カーボンナノホーンの製造及びカーボンナノホーンを用いた放射線遮蔽材の製造及び評価について説明する。
本実施例は、図1のカーボンナノ材料の製造装置2に好適な例として説明する。水深約30cmの水性媒体槽10に黒鉛陽極22と陰極24を1mm離した状態で重力に対して垂直に対向するように設置する。黒鉛陽極は直径6mm、長さ100mmの円筒形状で、炭素純度99.999%で7グラムのカーボンロッドを用いた。水性媒体槽に30リットルの水溶液を満たしたのち、水性媒体槽に蓋をして密閉した。黒鉛陽極と陰極に20V、140Aの直流電圧を印加し、陰極24内の不活性ガス供給系44の導入路46に、アーク放電初期時(3秒から5秒程度)においては5リットル/分で供給して着火を安定化させた後、規定値(20〜25リットル/分)の窒素ガスを導入するとともに、陰極外に設けた不活性ガス供給系48にも規定値(10リットル/分)の窒素ガスを導入して、カーボンナノホーンを合成した。
なお、この間、黒鉛陽極と陰極の間が1mmを維持するように、陰極24を支持する支持部の高さを自動制御することによって調整した。水性媒体槽10中の水面付近の泡状の生成物及び水をポンプにて経時的に吸引し、UFろ過膜を通して、水と粒子をろ別した。ろ別した粒子をスプレードライにて乾燥し、精製された粒子を得た。粒子を電子顕微鏡にて観察し、単層カーボンナノホーンが多く含まれることを確認した。カーボンロッドが80%消費する時間はおよそ30秒程度であり、1分あたり4.0グラム程度のカーボンナノホーンが得られた。なお、別に、水性媒体層10の水性媒体Wの上部の気相と水性媒体W中からもカーボンナノホーンを得た。これらのカーボンナノホーンは、いずれも顕微鏡観察により、単層のカーボンナノホーンであることが確認できた。また、泡状体のカーボンナノホーンの写真を図6に示す。
水性媒体層10の水性媒体Wの水面付近から得られた泡状のカーボンナノホーンの粒度分布を測定した。粒度分布の測定は、非イオン界面活性剤であるニューコール740(60%濃度)を用いてカーボンナノ粒子を分散させて行った。本実施例で得られたカーボンナノホーンの粒度分布は、10%累積径は0.0712μm、90%累積径は0.4675μmであり、累積中位径(50%)は0.1539μm、平均径0.0834μm、標準偏差0.1357であった。一方、界面活性剤を用いない場合には、正規分布に従わず、10%累積径は0.1227μm、90%累積径は4.9431μmであり、累積中位径(50%)は0.3493μm、平均径0.1093μm、標準偏差0.5373であった。
以上のように、従来のアーク放電によるカーボンナノ粒子の製造方法に比べて、1台の装置で大量(20〜100倍以上)のカーボンナノ粒子を得ることができた。さらに、大型の設備が必要とせず、1台の装置当たり0.25m2と省スペース化を図ることができる。すなわち、低コストかつ効率よくカーボンナノ粒子を製造することができる。また、粒度分布が正規分布に従った、粒径の揃ったカーボンナノ粒子を製造することができる。
本実施例では、実施例1に準じて製造したカーボンナノホーン(カーボンナノホーン)につき、純度、細孔容積、熱重量、ラマン分光分析及びTEM観察による各評価を以下のとおり行った。
(1)純度
カーボンナノホーン中のNa、K、Mg、Ca、Fe、Si及びClを測定した。なお、Na、Kについては原子吸光法、Mg、Ca、Fe、Siについては、ICP発光分光分析法、Clについては燃焼吸収−IC法により測定した。結果を表1に示す。
表1に示すように、カーボンナノホーンには、微量の金属元素等を含んでいた。これらの金属元素は、水槽中の水に含まれる金属元素等に由来していると考えられた。
(2)細孔容積
窒素吸着法によった。試料は、120℃で5時間真空脱気して前処理後、定容法を用いて窒素により吸着脱離等温線を測定した。測定装置は、BELSORP-mini(日本BEL株式会社製)を用いた。なお、吸着温度:77K、飽和蒸気圧:実測、吸着質:窒素、吸着質断面積:0.162m2とした。細孔容積はBJH法により算出した。結果を表2に示す。
表2に示すように、細孔容積は1.08cm3/gであった。特に、細孔容積が大きく、触媒、吸着材、担体等、カーボンナノホーンの構造を利用した各種用途に好適に用いうることがわかった。
(3)熱重量示差熱同時測定
室温から1400℃の温度範囲における試料の重量変化及び熱変化を測定した。なお、セル:Pt、試料量:約3g、昇温速度:10℃/分、雰囲気:空気200ml/分とし、熱重量示差熱同時測定装置TG/DTA300(セイコー電子株式会社製)を用いて測定した。結果を表3に示す。
表3に示すように、カーボンナノホーンは発熱を伴った二段階の重量減少が観察された。燃焼ピークは、503℃及び649℃であった。
(4)ラマン分光分析
以下の条件でラマン分光分析を行ったところ、グラファイト構造に由来する1590cm-1近傍のGバンドを検出した。なお、測定条件は以下の通りとした。
レーザー波長:532nm、レーザー出力:1%、倍率(対物レンズ):10倍、スリット100μmピンホール、測定波数範囲:4000〜200cm-1付近、露光時間:30秒、露光回数:10回
(形状、大きさ)
カーボンナノホーンを、TEMにて観察した。TEM観察条件は、加速電圧:120kVとし、Philips社製CM20FEGにより測定した。結果を図7〜図10に示す。図7〜図10に示すように、カーボンナノホーンは、個々のカーボンナノホーンが凝集した二次粒子を構成しており、その大きさは約40nm以上60nm以下程度であった。また、個々のカーボンナノホーンの長さは、30nm以下がほとんどであることがわかった。
本実施例では、実施例1で作製した泡状体のカーボンナノホーンについてラマン分光分析と熱重量示差熱同時測定を行った。結果を図11及び図12に示す。図11に示すように、ラマン分光分析によれば、公知のアーク放電によるカーボンナノホーンよりも優れたG/D比、すなわち、1.0以上(1.0超)のG/D比を有していた。また、図12に示すように、熱重量示差熱同時測定によれば、200℃〜770℃で発熱を伴って二段階の重量減少を伴い、吸発熱ピークは503℃と649℃であった。
(放射線遮蔽用組成物の調製)
実施例5で作製したカーボンナノホーンペーストを用いて3種類の放射線遮蔽用組成物A及びBを調製した。
(組成物A)
組成物Aは、実施例5で作製したカーボンナノホーンペーストとタングステン粉末を配合して、カーボンナノホーン:タングステン粉末が質量比で2:1となるように配合して、300rpmで30秒間の撹拌を2回繰り返して混合して調製した。なお、タングステンの平均粒径範囲は、約2〜4μmであった。
(組成物B)
組成物Bは、実施例5で作製したカーボンナノホーンペーストを、12時間放置して重力により水切りして得た水分80%のカーボンナノホーンペーストと高分子樹脂(KT-7014)(水性シリコーン樹脂エマルジョン、固形分40%、高松油脂株式会社製)とを、カーボンナノホーンと樹脂固形分とが質量比で10:1となるように配合して、300rpmで30秒間の撹拌を2回繰り返して混合して調製した。
なお、対照組成物として、タングステン粉末を水に懸濁してタングステンを含有する組成物を得た。
(放射線遮蔽材の作製)
放射線遮蔽試験に供した試料は以下のようにして作製した。表4にその概要を示す。
(対照試料)
不織布(ポリエステル製 LE0502W(目付50g/m2 、厚さ0.23mm、50mm×50mm))を対照組成物に浸し、その後、プレス塗工機により加熱及び加圧して含浸加工を行い、その後乾燥させた。乾燥後の不織布を再度対照組成物に浸し、これを手で絞るようにして含浸加工したものを、再度プレス塗工機により加熱及び加圧して含浸加工を行い、その後先と同様に乾燥させた。これを1回の含浸加工とし、これを3回繰り返した。この不織布におけるタングステンの添加量は77.75gであった。その後、この不織布をA4サイズ(297mm×210mm)に裁断して3枚に重ねて対照試料(933g添加量/m)とした。
(試料1)
不織布(ポリエステル製 LE0502W(目付50g/m2 、厚さ0.23mm、500mm×500mm))を放射線遮蔽用組成物Aに浸し、その後、プレス塗工機により加熱及び加圧して含浸加工を行い、その後乾燥させた。乾燥後の不織布を再度組成物Aに浸し、これを手で絞るようにして含浸加工したものを、再度プレス塗工機により加熱及び加圧して含浸加工を行い、その後先と同様に乾燥させた。これを1回の含浸加工とし、これを3回繰り返した。この不織布におけるカーボンナノホーンとタングステンの添加量(カーボンナノホーン:W=2:1)は54.83gであった。その後、この不織布をA4サイズ(297mm×210mm)に裁断して2枚に重ねて試料1(438.6g添加量/m)とした。
(試料2)
試料1と同様の不織布放射線遮蔽用組成物Bに浸し、その後、試料1と同様にして含浸加工した。この不織布におけるカーボンナノホーンと樹脂の添加量(カーボンナノホーン:樹脂=10:1)は4.68gであった。この不織布をA4サイズに裁断して4枚重ねて試料2(74.88g添加量/m)とした。
(試料3)
試料1と同様の不織布を放射線遮蔽用組成物Bに浸し、その後、試料1と同様にして含浸加工した。この不織布におけるカーボンナノホーンと樹脂の添加量(カーボンナノホーン:樹脂=10:1)は5.98gであった。この不織布をA4サイズに裁断して4枚重ねて試料3(95.68g添加量/m)とした。
(試料4)
試料1と同様の不織布を放射線遮蔽用組成物Bに浸し、その後、試料1と同様にして含浸加工した。この不織布におけるカーボンナノホーンと樹脂の添加量(カーボンナノホーン:樹脂=10:1)は6.8gであった。この不織布をA4サイズに裁断して6枚重ねて試料4(163.2g添加量/m)とした。
(試料5)
試料1と同様の不織布を放射線遮蔽用組成物Bに浸し、その後、試料1と同様にして含浸加工した。この不織布におけるカーボンナノホーンと樹脂の添加量(カーボンナノホーン:樹脂=10:1)は6.26gであった。この不織布をA4サイズに裁断して16枚重ねて試料5(400.6g添加量/m)とした。
(試料6)
試料1と同様の不織布を放射線遮蔽用組成物Bに浸し、その後、試料1と同様にして含浸加工した。この不織布におけるカーボンナノホーンと樹脂の添加量(カーボンナノホーン:樹脂=10:1)は3.6gであった。この不織布をA4サイズに裁断して4枚重ねて試料6(57.6g添加量/m)とした。
(試料7)
ウレタンスポンジ(厚み1cm)を試料7とした。
(試料8)
試料7のウレタンスポンジをカーボンナノホーンペースト(水分80%)に浸し、乾燥して試料8とした。カーボンナノホーンの添加量は、67.77gであった。
(試料9〜11)
試料2〜6を表のとおりの順に積層して、試料9〜11とした。なお、先に記載したものが、放射線源に暴露される側である。
(試料12〜17)
対照試料を含む各種試料を、表のとおりの順に積層して、試料12〜17とした。なお、先に記載したものが、放射線源に暴露される側である。
(評価)
評価方法は、X線CT装置及びγ線による遮蔽検証を以下の線源を用いて行った。
X線:産業用X線CT装置
20KeV 2.05mA(フィルタなし)
60KeV 1.6mA(フィルタ:Pb1.5mm)
120KeV 0.5mA(フィルタ:Pb1.5mm+Sn1.5mm+Cu1.0mm)
γ線:Cs137同位体による。(3.7MBq)
検査方法は、放射線発生装置と放射線測定器を試料が入る程度に間隔を置いて配置し、何もおかないときの放射線量(mSV/h)をブランク値とし、試料を挿入したときの放射線量との比較を行った。結果を遮蔽率%として表4〜表6に示す。なお、X線に関しては、市販の放射線遮蔽材A(厚み2mm、3700g/m2)についても評価を行った。
表4は、X線の遮蔽評価結果を示す。表4に示すように、試料1は、対照試料よりも添加量も少なく、しかもタングステン量としては約半量であるにもかかわらず同等以上の遮断率(20〜60kV)を示した。また、基材(不織布)の積層枚数が多いほど、成分添加量が増大するほど高い遮断率を示すこともわかった(試料2〜6、9〜11)。さらに、カーボンナノホーンを添加した基材の積層体(試料5等)と、タングステン(対照)やカーボンナノホーン+タンスグテン試料(試料1)とを組み合わせることでより有効な遮断が可能であることがわかった(試料12〜17)。
以上のことから、カーボンナノホーンは樹脂と組み合わせることが有効であるほか、カーボンナノホーンをタングステンなどの金属と組み合わせることで相乗的な効果があることもわかった。
また、表5に示すように、市販品Aとの対比から、市販品に比べて、カーボンナノホーンを用いることで非常に軽量な材で効果的に放射線遮蔽ができることがわかった。
表6にγ線の遮蔽評価結果を示す。表6に示すように、基材(不織布)の積層枚数が多いほど、また成分添加量が増大するほど高い遮断率が示すこともわかった(試料2〜6)。なお、対照及び試料1〜6を全て積層することで、10%の遮断率を示した。また、カーボンナノホーンは樹脂と組み合わせることが有効であるほか、カーボンナノホーンをタングステンなどの金属と組み合わせることが有効であることもわかった(試料1)。
以上の実施例から明らかなように、カーボンナノホーンを有効成分とする放射線遮蔽剤を用いることで効果的にX線やγ線などの放射線を遮蔽できることがわかった。また、本剤を用いた遮蔽材は、軽量であるにもかかわらず効果的な放射線遮蔽ができることがわかった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

Claims (14)

  1. カーボンナノホーンを含む放射線遮蔽剤。
  2. 前記カーボンナノホーンは、細孔容積が0.8cm3/g以上である、請求項1に記載の放射線遮蔽剤。
  3. 前記カーボンナノホーンは、Na、K、Mg、Ca、Fe、Si及びClからなる群から選択される1又は2以上の元素に関し、以下に示す含有量で含んでいる、請求項1又は2に記載の放射線遮蔽剤。
    Na:0.003%以上0.3%以下
    K:0.001%以上0.1%以下
    Mg:0.0005%以上0.05%以下
    Ca:0.004%以上0.4%以下
    Fe:0.006%以上0.6%以下
    Si:0.002%以上0.2%以下
    Cl:0.004%以上0.4%以下
  4. 前記カーボンナノホーンは、長さが30nm以下のカーボンナノホーンを主体とする、請求項1〜3のいずれかに記載の放射線遮剤。
  5. 前記カーボンナノホーンは、流体中のアーク放電により製造される、請求項1〜4のいずれかに記載の放射線遮蔽剤。
  6. 金属を担持した前記カーボンナノホーンを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の放射線遮蔽剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の放射線遮断剤を含む、放射線遮蔽用組成物。
  8. さらに、カーボンナノホーン以外の炭素材料を含む、請求項7に記載の放射線遮蔽用組成物。
  9. さらに、導電性材料を含む、請求項7又は8に記載の組成物。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の放射線遮蔽用組成物を含む1又は2以上の第1の層を備える、放射線遮蔽材。
  11. 前記1又は2以上の第1の層は、多孔性担体に対して前記放射線遮蔽用組成物が保持されている、請求項10に記載の放射線遮蔽材。
  12. 前記カーボンナノホーンを担持したシート状体を含む、請求項10又は11に記載の放射線遮蔽材。
  13. さらに、導電性材料を含む1又は2以上の第2の層を備える、請求項10〜12のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  14. さらに、誘電体材料を含む1又は2以上の第3の層を備える、請求項10〜13のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
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