JP7204133B2 - 放射線遮蔽材 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線遮蔽材に関する。
近年、原子力発電所から発生する放射性物質で汚染された廃棄物、あるいは東日本大震災時の福島原発事故により発生した土壌等の保管方法、あるいは、放射線の外部漏洩の低減方法確立することが重要な課題の一つとされている。一方、科学技術の分野では、大強度陽子加速器施設が素粒子物理、原子核物理、物質科学、生命科学、原子力等の最先端研究を行うための陽子加速器群及び実験施設群として期待されていることから、大強度陽子加速器施設においても放射線の影響が問題となっている。さらに、医療分野でも放射線治療が種々行われていることから、放射線治療施設、あるいは放射線治療装置から放たれる放射線の人体への暴露が問題となっている。
このように多岐の分野にわたって、放射線の影響が大きな課題及び問題となっている。しかし、放射線は、X線、α線、β線、γ線、中性子線と非常に高いエネルギーと幅広いエネルギーを有していることから人体への放射線暴露の問題が深刻である反面、その対策は、極めて困難であると認識されている。
現在考案されている放射線対策として、鉛、タングステン、鉄等の金属を、板状又はブロック体等に加工して放射線遮蔽材として使用することで、放射線から人体及び環境を保護する方法がとられている。また、前記放射線遮蔽材以外の材料を使用する方法として、コンクリートで放射線源を遮ったり、あるいはコンクリート製の壁又は容器の中に放射線源を収容したりして、外部への放射線汚染を回避することも考えられている。
特許文献1には、硫酸バリウムと熱可塑性樹脂を含む層を繊維布帛に積層してなる放射線遮蔽シートが開示されており、放射線物質から発生する放射線を遮蔽することを可能としている。特許文献2には、不飽和ポリエステル樹脂からなるバインダーに沈降性硫酸バリウムを配合させてなる放射線遮蔽材が開示されている。さらに、特許文献3には、軽量で取り扱いに優れ、放射線を効率的に遮蔽できる放射線遮蔽材を提供することを目的として、ナノカーボン材料を使用した放射遮蔽材が開示されている。
特開2015-225062号公報 特開2016-183907号公報 国際公開第2012/153772号
しかしながら、前述のように鉛等の金属を板状又はブロック体を放射線遮蔽材として使用する方法では、放射線遮蔽材の重量が大きくなるという問題があった。加えて、重量増加を抑止すべく、放射線遮蔽材の厚みを薄くすると、放射線の遮蔽能力が小さくなるという課題があった。しかも、鉛等の金属の使用は人体及び環境への影響が懸念される。また、前述のコンクリートを使用する方法は安価であることから有効である反面、放射線を減衰させるためには例えば、数十cmからメートル単位の厚みが必要となるので、装置周辺に設置するには大きな制約がある。
さらに、特許文献1に開示される技術では、放射線遮蔽率は十分でなく、特に、コバルト60(60Co)等の高エネルギーの放射線を効率よく遮蔽することに関しては改善の余地が残されていた。また、特許文献2に開示される技術では、比較的重量の大きい沈降性の硫酸バリウムを高濃度で配合させる必要があるため、結果的に放射線遮蔽材の重量が大きくなり、加えて、高エネルギーの放射線の遮蔽率も高くはなかった。また、特許文献3に開示される技術にあっても、γ線等の高エネルギーの放射線の遮蔽率を高くすることについて課題が残されていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、従来よりも軽量で設置の制約が小さく、高エネルギー領域の放射線に対しても優れた遮蔽率を有する放射線遮蔽材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、繊維状ナノカーボン材料及び放射線遮蔽粒子をバインダーに分散してなる複合体を使用することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の発明を包含する。
項1.
繊維状ナノカーボン材料と、第1の放射線遮蔽粒子と、バインダーとを含む複合体を備える放射線遮蔽材において、
前記繊維状ナノカーボン材料及び前記第1の放射線遮蔽粒子が前記バインダーに分散されてなる、放射線遮蔽材。
項2.
前記複合体の密度が0.8~3.0g/cmである、項1に記載の放射線遮蔽材。
項3.
前記複合体は、前記第1の放射線遮蔽粒子の平均粒子径よりも小さい第2の放射線遮蔽粒子をさらに含み、該第2の放射線遮蔽粒子は、前記バインダーに分散されてなる、項1又は2に記載の放射線遮蔽材。
項4.
前記該第2の放射線遮蔽粒子の平均粒子径が10~800nmである、項1~3のいずれか1項に記載の放射線遮蔽材。
項5.
前記第2の放射線遮蔽粒子が、タングステン、グラフェン、カーボンナノホーン及びナノグラファイトからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、項1~4のいずれか1項に記載の放射線遮蔽材。
本発明に係る放射線遮蔽材は、従来よりも軽量で設置の制約が小さく、高エネルギー領域の放射線に対しても優れた遮蔽率を有する。
(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、実施例18、比較例6及び比較例11で得られた試料断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 (a)及び(b)はそれぞれ、実施例18及び実施例19で得られた試料の交流インピーダンス測定によるナイキストプロットを示す。 (a)及び(b)はそれぞれ、比較例6及び比較例11で得られた試料の交流インピーダンス測定によるナイキストプロットを示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本発明の放射線遮蔽材は、繊維状ナノカーボン材料と、第1の放射線遮蔽粒子と、バインダーとを含む複合体を備える。前記繊維状ナノカーボン材料及び前記第1の放射線遮蔽粒子は前記バインダーに分散されてなる。
繊維状ナノカーボン材料の種類は特に限定されず、繊維状である限りは、公知のナノカーボン材料を広く採用することができる。
繊維状ナノカーボン材料の具体例としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、カーボンファイバ等を挙げることができる。
繊維状ナノカーボン材料がカーボンナノチューブである場合は、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのいずれを使用してもよく、両者を併用することもできる。カーボンナノチューブの直径及び長さは、特に制限されない。例えば、カーボンナノチューブの直径は1~500nmとすることができ、1~200nmの範囲であることがより好ましい。繊維状ナノカーボン材料がカーボンナノファイバ及びカーボンファイバである場合も同様である。
繊維状ナノカーボン材料は、他の原子、分子あるいは化合物が内包されていてもよく、あるいは、吸着されていてもよい。他の原子、分子あるいは化合物としては、例えば、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、モリブデン、鉛及びタングステン等からなる群より選ばれる1種以上の元素、若しくは該元素を含む分子又は化合物を挙げることができる。
繊維状ナノカーボン材料は、例えば、公知の製造方法と同様の方法で得ることができ、また、市販品等から入手することができる。
第1の放射線遮蔽粒子は、放射線を遮蔽する性能を有する限り、特にその種類は限定されず、公知の放射線遮蔽粒子を広く採用することができる。第1の放射線遮蔽粒子としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫酸カルシウム等の化合物粒子;タングステン、モリブデン、鉄、ストロンチウム、ガドリニウム、バリウム等の金属粒子;バリウム、ストロンチウム、鉛、チタン等の元素を含む酸化物粒子;グラフェン、カーボンナノホーン、ナノグラファイト等の炭素粒子等を挙げることができる。第1の放射線遮蔽粒子は、1種単独で使用することができ、また、2種以上を併用することもできる。
第1の放射線遮蔽粒子は、公知の製造方法で製造して得ることができる。あるいは、第1の放射線遮蔽粒子は、市販品等から入手することができる。
第1の放射線遮蔽粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状粒子、楕円球状粒子の他、不規則に歪んだ異形状粒子等が挙げられる。
前記第1の放射線粒子の平均粒子径は、例えば、0.01~100μmの範囲とすることができ、この場合、放射線遮蔽材の密度が大きくなって重量(質量)が大きくなり過ぎるのを抑制しやすい。前記第1の放射線粒子の平均粒子径は、0.02~50μmの範囲であることがより好ましい。なお、ここでいう平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による直接観察によって無作為に第1の放射線粒子50個を選択し、これらの円相当径を計測して算術平均した値をいう。
バインダーは、放射線遮蔽材の基材となるための材料であり、また、繊維状ナノカーボン材料及び第1の放射線遮蔽粒子を放射線遮蔽材中に保持する役割も果たし得る材料である。
バインダーの種類は特に限定されず、公知のバインダーを広く採用することができる。バインダーを形成するための材料としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、炭酸カルシウム、紙粘土、粘土鉱物、層状ケイ酸塩化合物、パルプ、石膏、セメント、モルタル、コンクリート等の無機系材料;ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチルセルロース、メチルセルロース等、ゴム、パラフィン等の有機系材料を挙げることができる。バインダーを形成するための材料は、例えば、硬化することでバインダーとなり得る。あるいは、バインダーを形成するための材料は、それ自身がバインダーとなり得る。バインダーを形成するための材料は1種単独で使用することができ、あるいは、2種以上を併用することができる。
前記粘土鉱物としては、ベントナイト、スメクタイト、ゼオライト、ベントナイト、イモゴライト、パーミキュライト、カオリン鉱物、タルク等を挙げることができる。前記層状ケイ酸塩化合物としては、モリブデン酸塩、タングステン酸塩等を挙げることができる。
バインダーを形成するための材料は、公知の方法で製造して得ることができる。あるいは、バインダーを形成するための材料は、市販品等から入手することができる。
複合体において、繊維状ナノカーボン材料、第1の放射線遮蔽粒子及びバインダーの含有割合は、本願発明の効果が阻害されない限りは特に限定されない。
バインダーの含有量は、繊維状ナノカーボン材料、第1の放射線遮蔽粒子及びバインダーの総量100質量部あたり、10~70質量部であることが好ましい。この場合、放射線遮蔽材は、軽量となりやすく、放射線の遮蔽率が高くなりやすい。
繊維状ナノカーボンの含有量は、繊維状ナノカーボン材料、第1の放射線遮蔽粒子及びバインダーの総量100質量部あたり、1~50質量部であることが好ましい。この場合、放射線遮蔽材は、軽量となりやすい上に機械的強度が向上しやすく、また、放射線の遮蔽率が高くなりやすく、特に、高エネルギー領域の放射線に対しても優れた遮蔽率を発揮することができる。繊維状ナノカーボンの含有量は、繊維状ナノカーボン材料、第1の放射線遮蔽粒子及びバインダーの総量100質量部あたり、1~40質量部であることが好ましく、2~30質量部であることがより好ましく、10~30質量部であることが特に好ましい。
第1の放射線遮蔽粒子の含有量は、繊維状ナノカーボン材料、第1の放射線遮蔽粒子及びバインダーの総量100質量部あたり、5~80質量部であることが好ましい。この場合、放射線遮蔽材は、軽量となりやすく、放射線の遮蔽率が高くなりやすく、特に、高エネルギー領域の放射線に対しても優れた遮蔽率を発揮することができる。第1の放射線遮蔽粒子は、繊維状ナノカーボン材料、第1の放射線遮蔽粒子及びバインダーの総量100質量部あたり、10~70質量部であることがより好ましい。
本発明の放射線遮蔽材を構成する複合体の密度は、特に限定的ではなく、例えば、放射線遮蔽材の軽量化を目的として適宜の範囲に設定することができる。複合体の密度は、例えば、0.8~3.0g/cmとすることができる。この場合、得られる放射線遮蔽材は軽量化されるので、設置場所、設置箇所等の制約を受けにくく、幅広い用途に適用することが可能となる。また、複合体の密度が前記範囲である場合は、放射線の遮蔽率も所望の範囲となりやすい。
複合体の密度は、繊維状ナノカーボン材料、第1の放射線遮蔽粒子及びバインダーの含有割合を調節することで制御することが可能である。特に、繊維状ナノカーボン材料の含有量を調節することは、複合体の密度を調整する上で有効である。
複合体は、前記第1の放射線遮蔽粒子の平均粒子径よりも小さい第2の放射線遮蔽粒子をさらに含み、該第2の放射線遮蔽粒子は、前記バインダーに分散されてなることも好ましい。この場合、放射線遮蔽材は、より優れた放射線の遮蔽率を有することができる。
第2の放射線遮蔽粒子は、放射線を遮蔽する性能を有する限り、特にその種類は限定されず、公知の放射線遮蔽粒子を広く採用することができる。具体的な第2の放射線遮蔽粒子としては、前述の第1の放射線遮蔽粒子と同様の種類を挙げることができる。第2の放射線遮蔽粒子は、1種単独で使用することができ、また、2種以上を併用することもできる。
尚、前記第2の放射線遮蔽粒子において、グラフェン、カーボンナノホーン及びナノグラファイトの炭素原子層間及び表面、並びに、カーボンナノホーンの内部には、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、モリブデン、鉛及びタングステン等からなる群より選ばれる1種以上の元素もしくは、該元素を含む分子又は化合物が吸着及び内包されていても良い。
第2の放射線遮蔽粒子は、タングステン、グラフェン、カーボンナノホーン及びナノグラファイトからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。この場合、放射線遮蔽材は、高エネルギーの放射線に対しても優れた遮蔽率を有することができる。
第2の放射線遮蔽粒子の平均粒子径は、第1の放射線遮蔽粒子の平均粒子径よりも小さい限りは特に限定されない。放射線遮蔽材が高エネルギーの放射線に対しても優れた放射線の遮蔽率を有しやすいという点で、第2の放射線遮蔽粒子の平均粒子径は、10~800nmであることが好ましい。このような平均粒子径を有する第2の放射線遮蔽粒子が複合体に含まれることで、複合体において第2の放射線遮蔽粒子がより密に充填されるので、放射線に対する遮蔽性能が向上しやすい。なお、ここでいう平均粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による直接観察によって無作為に第2の放射線粒子50個を選択し、これらの円相当径を計測して算術平均した値をいう。
複合体に含まれる第1の放射線遮蔽粒子及び第2の放射線遮蔽粒子を含む場合、第1の放射線遮蔽粒子の平均粒子径は、0.02~50μmであり、第2の放射線遮蔽粒子の平均粒子径は、10~800nmであることが好ましく、第1の放射線遮蔽粒子の平均粒子径は、0.02~30μmであり、第2の放射線遮蔽粒子の平均粒子径は、10~650nmであることが特に好ましい。
第2の放射線遮蔽粒子の含有量は、繊維状ナノカーボン材料、第1の放射線遮蔽粒子、第2の放射線遮蔽粒子及びバインダーの総量100質量部あたり、5~80質量部であることが好ましい。この場合、放射線遮蔽材は、軽量となりやすく、放射線の遮蔽率が高くなりやすく、特に、高エネルギー領域の放射線に対しても優れた遮蔽率を発揮することができる。第2の放射線遮蔽粒子の含有量は、繊維状ナノカーボン材料、第1の放射線遮蔽粒子、第2の放射線遮蔽粒子及びバインダーの総量100質量部あたり、10~70質量部であることがより好ましく、10~50質量部であることが特に好ましい。
第2の放射線遮蔽粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状粒子、楕円球状粒子の他、不規則に歪んだ異形状粒子等が挙げられる。
複合体に含まれる第1の放射線遮蔽粒子及び第2の放射線遮蔽粒子の組み合わせは特に限定されない。例えば、放射線遮蔽材が高エネルギーの放射線に対しても優れた放射線の遮蔽率を有しやすいという点で、第1の放射線遮蔽粒子が硫酸バリウム、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム及び硫酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上の粒子であり、第2の放射線遮蔽粒子がタングステン、グラフェン、カーボンナノホーン及びナノグラファイトからなる群より選ばれる少なくとも1種である組み合わせを挙げることができる。特に、第1の放射線遮蔽粒子が硫酸バリウムであり、第2の放射線遮蔽粒子がタングステンである組み合わせが好ましい。
複合体において、繊維状ナノカーボン材料及び第1の放射線遮蔽粒子、並びに必要に応じて含まれる第2の放射線遮蔽粒子の存在状態は特に限定されない。放射線の遮蔽率が向上しやすいという観点から、繊維状ナノカーボン材料は、バインダー中で網目状構造を形成して存在していることが好ましい。この場合、放射線遮蔽材の機械的強度も向上しやすい。
第1の放射線遮蔽粒子は、バインダー中に均一に分散していることが好ましい。この場合、第1の放射線遮蔽粒子の放射性を遮蔽する機能が十分に発揮され、結果として、放射線遮蔽材は、放射線に対して優れた遮蔽率を有することができる。本明細書において、バインダー中に均一に分散とは、例えば、バインダー中において第1の放射線遮蔽粒子の凝集が少なく又は凝集がなく、あるいは、第1の放射線遮蔽粒子が偏在せずに、バインダー全体に分布している状態をいう。バインダー中において第1の放射線遮蔽粒子の凝集が少なく又は凝集がなく、かつ、第1の放射線遮蔽粒子が偏在せずに、バインダー全体に分布している状態が好ましい。
第2の放射線遮蔽粒子は、バインダー中に均一に分散していることが好ましい。この場合、第1の放射線遮蔽粒子の放射性を遮蔽する機能が十分に発揮され、結果として、放射線遮蔽材は、放射線に対して優れた遮蔽率を有することができる。
特に、第2の放射線遮蔽粒子がナノサイズ(例えば、10~800nm)である場合は、第2の放射線遮蔽粒子がバインダー中にナノ分散していることが好ましい。この場合、放射線遮蔽材は、高エネルギーの放射線に対しても優れた遮蔽率を有することができる。本明細書において、ナノ分散とは、例えば、バインダー中において第2の放射線遮蔽粒子の数十μmオーダー以上の凝集が少なく又は凝集がなく、第2の放射線遮蔽粒子が偏在せずに、ナノサイズの状態を保ちながらバインダー全体に分布している状態をいう。第2の放射線遮蔽粒子がナノ分散した複合体は、複合体がより密に充填されるので、遮蔽性能のさらなる向上がもたらされる。
複合体における分散状態の確認(例えば、ナノ分散の確認)は、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)による観察、超音波スペクトロスコピー(超音波減衰分光法)、交流インピーダンス測定、並びに直流及び交流の電気伝導性試験等で行うことができる。
SEM又はTEMを用いる方法では、繊維状ナノカーボン材料の網目構造、第1の放射線遮蔽粒子の分散状態及び第2の放射線遮蔽粒子の分散状態を観察することができる。具体的には、繊維状ナノカーボン材料の網目構造と、凝集部分との面積比、網目どうしの間隔、又は粒子の充填性等から、分散状態を確認することができる。
超音波スペクトロスコピー(超音波減衰分光法)を用いる方法では、試料(複合体)に超音波を照射し、その減衰スペクトルから試料中に存在している粒子(第1の放射線遮蔽粒子及び/又は第2の放射線遮蔽粒子)の粒度分布、粒子間相互作用等を計測できる。これにより、放射線遮蔽材のナノ構造を確認することができる。
直流及び交流の電気伝導性試験による方法は、試料(複合体)中の繊維状ナノカーボン材料の網目状態によって、複合体の電気伝導性が異なる特性を示すことを利用したものである。例えば、繊維状ナノカーボン材料の分散性が十分であり、また、繊維状ナノカーボン材料間で接触が生じて網目状構造を形成している場合は、直流抵抗や交流インピーダンスが小さくなる。この場合は、放射線遮蔽材の機械的強度が向上し、放射線の遮蔽率も高くなる。
ただし、直流の電気伝導試験は、試料中の伝導パスは少しでも存在している場合、この伝導パスに優先して電流が流れるため、分散状態を必ずしも十分に判断できない場合がある。この場合は後記する交流インピーダンス法によって試料内部の抵抗分や容量分を測定して、交流インピーダンス値の違いから分散状態を判断する。
具体的に交流インピーダンス測定では、インピーダンスの周波数特性から得られるインピーダンスの実部と虚部の値を取得し、これらの値からナイキストプロットを作成する。このナイキストプロットのデータから複合材料のインピーダンスの挙動を知ることができ、このインピーダンスの挙動から等価回路的に抵抗成分及び容量成分の情報が得られ、第1の放射線遮蔽粒子の分散状態及び第2の放射線遮蔽粒子の分散状態を判定することができる。
例えば、交流インピーダンス測定によって計測されるインピーダンス値が1×10Ω以下である場合は、第1の放射線遮蔽粒子の分散状態及び/又は第2の放射線遮蔽粒子の分散状態が良好であると判断できる。従って、放射線遮蔽材の交流インピーダンス測定によって計測されるインピーダンス値は、1×10Ω以下であることが好ましい。
また、本発明の放射線遮蔽材は、交流インピーダンス測定によるナイキストプロットにおいて、インピーダンス値が1×10Ω以下であることに加えて、等価回路的に容量成分と抵抗成分の直並列回路または並列回路の特性を有していることも好ましい。
本発明の放射線遮蔽材は、複合体を含んで構成され、また、本発明の効果が阻害されない限りは、複合体と複合体以外の材料とを組み合わせて構成することもできる。本発明の放射線遮蔽材は、複合体のみで形成することもできる。
本発明の放射線遮蔽材は、例えば、板状、フィルム状、ブロック状、シート状、棒状、球状、楕円球状、歪曲状、繊維状、ペースト状、粘土状等の形状を有し得る。
本発明の放射線遮蔽材の製造方法は特に限定されない。例えば、繊維状ナノカーボン材料と、第1の放射線遮蔽粒子と、バインダーを形成するための材料と、必要に応じて添加される第2の放射線遮蔽粒子とを、それぞれが所定の含有量となるように混合し、これを適宜の方法で成形等することで複合体を形成し、放射線遮蔽材を得ることができる。以下、本発明の放射線遮蔽材の製造方法の一例を説明する。
本発明の放射線遮蔽材の製造方法は、例えば、繊維状ナノカーボン材料の分散液を調製する工程Aと、前記分散液と、第1の放射線遮蔽粒子と、バインダーを形成するための材料とを混合して混合物を得る工程Bと、前記混合物を硬化させて複合体を得る工程Cとを備えることができる。
工程Aでは、繊維状ナノカーボン材料が溶媒に分散した分散液が調製される。工程Aにおいて使用する繊維状ナノカーボン材料の種類は前記同様である。
工程Aで使用する溶媒は、水が例示されるほか、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、その他、各種の有機溶媒が例示される。また、溶媒は、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。
繊維状ナノカーボン材料と、溶媒とを混合することで、繊維状ナノカーボン材料が溶媒に分散した分散液を調製できる。混合方法は特に限定されず、公知の混合手段を広く採用することができる。例えば、超音波装置、超音波ホモジナイザ、ホモジナイザ、ホモミキサー、ビーズミル等の湿式メディア型分散機、ナノマイザー、アルティマイザー等の混合手段を使用できる。分散液の調製は、複数の混合手段を組み合わせて使用することもできる。
繊維状ナノカーボン材料及び溶媒を混合するにあたり、必要に応じて分散剤を使用することができる。工程Aでは、例えば、公知の分散剤を広く採用することができる。分散剤としては、例えば、アニオン性、カチオン性又はノニオン性の界面活性剤を使用できる。いずれの界面活性剤もその種類は限定的ではなく、公知の界面活性剤を広く使用できる。
繊維状ナノカーボン材料及び溶媒を混合する際に、あるいは、繊維状ナノカーボン材料及び溶媒を混合した後、必要に応じてpH調整剤を添加することができる。pH調整剤の種類は特に限定されず、公知のpH調整剤を広く使用できる。
工程Bでは、工程Aで得た分散液と、第1の放射線遮蔽粒子と、バインダーを形成するための材料とを混合して混合物を得る。工程Bで使用する第1の放射線遮蔽粒子と、バインダーを形成するための材料の種類はいずれも前記同様である。
工程Bで混合物を得る方法は、特に限定されない。例えば、あらかじめ工程Aで得た分散液と、第1の放射線遮蔽粒子とを混合して予備混合物を調製し、次いで、この予備混合物と、バインダーを形成するための材料とを混合することによって、混合物を得ることができる。
前記予備混合物の調製は、例えば、工程Aで得た分散液と、粉末状の第1の放射線遮蔽粒子とを混合することで行うことができる。あるいは、予備混合物の調製は、あらかじめ粉末状の第1の放射線遮蔽粒子を溶媒に分散してから、工程Aで得た分散液と混合することで行うことができる。使用する溶媒の種類は、工程Aで使用する溶媒と同様の種類を挙げることができる。第1の放射線遮蔽粒子を溶媒に分散させる方法も特に限定されず、公知の混合手段を適宜使用できる。
予備混合物には、さらに繊維状ナノカーボン材料を追加で添加することもできる。
予備混合物の調製は、前記同様の混合手段を使用して行うことができる。
予備混合物を得た後は、バインダーを形成するための材料と混合する。ここで使用するバインダーを形成するための材料は、固形状又は粘性のある液体であってもよい。あるいは、バインダーを形成するための材料を、あらかじめ溶媒に分散又は溶解させてから使用することもできる。バインダーを形成するための材料を溶媒に分散又は溶解する際に使用できる溶媒の種類は、前述の工程Aで使用する溶媒と同様の種類を挙げることができる。バインダーを形成するための材料を、あらかじめ溶媒に分散又は溶解させる場合、必要に応じて、分散剤、pH調製を添加しても良い。
予備混合物と、バインダーを形成するための材料とを混合する方法は特に限定されず、例えば、前記同様の混合手段を使用することができる。また、工程Bで得られる混合物の粘度に応じて、攪拌用ミキサー、自公転ミキサー、三本ロールミル等を適宜使用することもできる。
第2の放射線遮蔽粒子を含む複合体を製造する場合、第2の放射線遮蔽粒子は、例えば、工程Aで得た分散液に混合することができる。具体的には、工程Bにおいて予備混合物を調製する際に第1の放射線遮蔽粒子とともに第2の放射線遮蔽粒子を混合することができる。
工程Bで第2の放射線遮蔽粒子を使用する場合、第2の放射線遮蔽粒子は、粉末の状態にて工程Aで得た分散液と混合することができる。あるいは、あらかじめ粉末状の第2の放射線遮蔽粒子を溶媒に分散してから、工程Aで得た分散液と混合することができる。使用する溶媒の種類は、工程Aで使用する溶媒と同様の種類を挙げることができる。第2の放射線遮蔽粒子を溶媒に分散させる方法も特に限定されず、公知の混合手段を適宜使用できる。
バインダーを形成するための材料が、有機系材料である場合、工程Bで得られる混合物は、例えば、ペースト状として得られる。
工程Cでは、工程Bで得た混合物を硬化させて複合体を得る。
硬化は、例えば、バインダーを形成するための材料の種類に応じて、適宜硬化剤を使用して行うことができる。例えば、工程Bで得た混合物にあらかじめ硬化剤を添加してから、この混合物を硬化することで複合体を得ることができる。
硬化剤の種類は特に限定されず、バインダーを形成するための材料の種類に応じて、適宜選択することができ、公知の硬化剤を広く採用することができる。
混合物を硬化させる方法は特に限定されず、例えば、バインダーを形成するための材料を硬化する方法として採用されている公知の硬化方法を広く適用することができる。例えば、混合物をフィルム状、シート状等に塗工した後、硬化する方法が挙げられる。また、混合物を、例えば金型等を用いて板状又はブロック状の形状に形成し、これを硬化する方法が挙げられる。硬化条件は特に限定されず、適宜の温度に加熱することで硬化を進行させることができる。硬化するにあたっては、適宜、圧力を加えてもよい。
工程Cでの硬化によって、複合体が得られる。硬化後は、適宜の方法で、乾燥等を行うことができる。また、得られた複合体は、例えば、公知の成形手段等を用いることで、所望の形状に成形され得る。得られた複合体は放射線遮蔽材として使用でき、また、複合体と他の材料と組み合わせて放射線遮蔽材を形成することができる。
本発明の放射線遮蔽材を製造する方法において、工程Bで得られる混合物は、前述のように、例えば、ペースト状の組成物として形成される。このような組成物は、繊維状ナノカーボン材料と、第1の放射線遮蔽粒子と、バインダーを形成するための材料を含み、また、必要に応じて第2の放射線遮蔽粒子も含み得る。
前記ペースト状の組成物は、例えば、本発明の放射線遮蔽材を形成するためのペースト、コーキング材及び充填材等として使用することもできる。
本発明の放射線遮蔽材は、前記複合体を備えることから、従来の放射線遮蔽材よりも軽量で設置の制約が小さい。特に本発明の放射線遮蔽材は、従来の鉛板や鉄板と比較して大幅に軽量化され得る。しかも、本発明の放射線遮蔽材は、前記複合体を備えることから、放射線の遮蔽率が高く、特に、高エネルギー領域の放射線に対しても優れた遮蔽率を有し得る。このような特徴は、複合体のナノ構造が高度に制御されていることが一つの要因である。従って、本発明の放射線遮蔽材は、X線、α線、β線、γ線及び中性子線等の各種放射線を遮蔽することができる。
本発明の放射線遮蔽材は、上記特徴を有することから種々の用途に適用することが可能である。例えば、本発明の放射線遮蔽材は、放射線発生源の装置、放射線発生源の設備及び放射性廃棄物等の放射線源に対する、遮蔽板、遮蔽ブロック、遮蔽壁等として使用できる。
また、本発明の放射線遮蔽材は、原子力発電所、加速器施設、放射性廃棄物施設等の高エネルギー放射線の遮蔽も可能であり、加えて、医療機器、医療装置等のX線、あるいは、中エネルギー、低エネルギー放射線までの種々の放射線の遮蔽が可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
繊維状ナノカーボン材料として、直径10~15nmであるカーボンナノチューブ1質量部を十分な蒸留水と共にビーカーに加えて攪拌混合した後、28kHzに設定した超音波洗浄機で2時間、次いで、45kHzに設定した超音波洗浄機で2時間、超音波を照射した。これにより、カーボンナノチューブ水分散液を得た(工程A)。
混錬用容器に前記カーボンナノチューブ分散液を入れ、そこに直径10~15nmのカーボンナノチューブ粉を、混合後のカーボンナノチューブの全量が10質量部となるように加えた後、さらに硫酸バリウム粉(堺化学工業株式会社製、平均粒子径0.03μm)30質量部を加え、高速ミキサーで30分予備混錬を行った。これにより、予備混合物を得た。一方、蒸留水にケイ酸ナトリウム(富士化学株式会社、1号珪酸ソーダ)を加え、さらにpH10以上に調製した後、これを前記予備混合物にケイ酸ナトリウムが60質量部となるように加え、高速ミキサーで混錬した。この混錬中、高速ミキサーを一旦停止させて分散状態を確認しつつ、合計1時間にわたって高速ミキサーによる混錬を行った。これにより、混合物を得た(工程B)。
得られた混合物に硬化剤(神戸理化学工業株式会社製「リカセットNo.2」)を10質量部添加して混練した後、型容器内に混合物を入れて硬化させた(工程C)。硬化して得られた硬化物を10cm角のサイズに切り出し、評価用試料として得た。
(実施例2)
カーボンナノチューブの直径を40~60nmに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例3)
混合物の調製において、硫酸バリウム粉の使用量を20質量部に、ケイ酸ナトリウムの使用量を70質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例4)
混合物の調製において、混合後のカーボンナノチューブの全量を20質量部に、硫酸バリウム粉の使用量を50質量部に、ケイ酸ナトリウムの使用量を30質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、評価用試料を得た。
(比較例1)
混錬用容器に硫酸バリウム粉(堺化学工業株式会社製、平均粒子径0.03μm)30質量部を加えた。一方、蒸留水にケイ酸ナトリウム(富士化学株式会社、1号珪酸ソーダ)を加え、さらにpH10以上に調製した後、これを前記硫酸バリウム粉が入った混錬用容器に、ケイ酸ナトリウムが70質量部となるように加え、高速ミキサーで混錬した。この混錬中、高速ミキサーを一旦停止させて分散状態を確認しつつ、合計1時間にわたって高速ミキサーによる混錬を行った。これにより、混合物を得た。
得られた混合物に硬化剤(神戸理化学工業株式会社製「リカセットNo.2」)を10質量部添加して混練した後、型容器内に混合物を入れて硬化させた。硬化して得られた硬化物を10cm角のサイズに切り出し、評価用試料として得た。
(比較例2)
混合物の調製において、硫酸バリウム粉の使用量を50質量部に、ケイ酸ナトリウムの使用量を50質量部に変更したこと以外は比較例1と同様の方法で、評価用試料を得た。
(比較例3)
混合物の調製において、硫酸バリウム粉の使用量を80質量部に、ケイ酸ナトリウムの使用量を20質量部に変更したこと以外は比較例1と同様の方法で、評価用試料を得た。
(比較例4)
混合物の調製において、硫酸バリウム粉を使用量せず、また、ケイ酸ナトリウムの使用量を90質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、評価用試料を得た。
Figure 0007204133000001
表1には、実施例1~4及び比較例1~4で得た評価用試料の厚み及び密度、並びに放射線遮蔽性能(遮蔽率)の結果を示している。併せて表1には、評価用試料の外観観察の結果も示している。
なお、評価用試料の外観観察では、評価用試料の外観を目視で観察して、割れ、クラック及び変形の状態を確認し、これらが確認されなければ「○」、これらの少なくとも一つが確認されれば「×」として、表1に示した。
表1から、実施例1~4で得られた試料では、比較例1~4で得た試料に比べて、放射線の遮蔽率が大きく、また、高エネルギーである60Coのγ線に対しても高い遮蔽率を有していることがわかる。また、実施例1~4と比較例1~3の対比から、カーボナノチューブが含まれることで、試料の密度が小さくなる傾向にあることもわかった。
また、比較例4の結果から、硫酸バリウムが含まれない場合は、遮蔽率が小さい結果となった。
さらに、実施例1~4の評価用試料では、割れ、クラック及び形状の変化が観察されなかったが、比較例1~3の評価用試料では、割れ、クラック、形状の変化がしばしば観られ、硫酸バリウム粉の量が増加するほど顕著であった。
以上より、繊維状ナノカーボン材料(カーボンナノチューブ)と、第1の放射線遮蔽粒子(硫酸バリウム)と、バインダー(ケイ酸ナトリウム)を含む複合体を備える放射線遮蔽材は、軽量でありながら、高エネルギー領域の放射線に対しても優れた遮蔽率を有することが実証された。
(実施例5)
繊維状ナノカーボン材料として、直径10~15nmであるカーボンナノチューブ1質量部を十分な蒸留水と共にビーカーに加えて攪拌混合した後、28kHzに設定した超音波洗浄機で2時間、次いで、45kHzに設定した超音波洗浄機で2時間、超音波を照射した。これにより、カーボンナノチューブ水分散液を得た(工程A)。
混錬用容器に前記カーボンナノチューブ分散液に、直径10~15nmのカーボンナノチューブ粉を、混合後のカーボンナノチューブの全量が10質量部となるように加えた後、さらに硫酸バリウム粉(堺化学工業株式会社製、平均粒子径0.03μm)30質量部を加え、高速ミキサーで30分予備混錬を行った。これにより、予備混合物を得た。一方、蒸留水にケイ酸ナトリウム(富士化学株式会社、1号珪酸ソーダ)を加え、さらにpH10以上に調製した後、これを前記予備混合物にケイ酸ナトリウムが60質量部となるように加え、高速ミキサーで混錬した。この混錬中、高速ミキサーを一旦停止させて分散状態を確認しつつ、合計1時間にわたって高速ミキサーによる混錬を行った。これにより、混合物を得た(工程B)。
得られた混合物に硬化剤(神戸理化学工業株式会社製「リカセットNo.2」)を10質量部添加して混練した後、型容器内に混合物を入れて硬化させた(工程C)。硬化して得られた硬化物を10cm角のサイズに切り出し、評価用試料として得た。
(実施例6)
繊維状ナノカーボン材料として、直径10~15nmであるカーボンナノチューブ1質量部を十分な蒸留水と共にビーカーに加えて攪拌混合した後、28kHzに設定した超音波洗浄機で2時間、次いで、45kHzに設定した超音波洗浄機で2時間、超音波を照射した。これにより、カーボンナノチューブ水分散液を得た(工程A)。
混錬用容器に前記カーボンナノチューブ分散液に、直径10~15nmのカーボンナノチューブ粉を、混合後のカーボンナノチューブの全量が10質量部となるように加えた後、さらに硫酸バリウム粉(堺化学工業株式会社製、平均粒子径10μm)20質量部及びタングステン(日本新金属(株)社製、平均粒子径0.52μm)10質量部を加え、高速ミキサーで30分予備混錬を行った。これにより、予備混合物を得た。一方、蒸留水にケイ酸ナトリウム(富士化学株式会社、1号珪酸ソーダ)を加え、さらにpH10以上に調製した後、これを前記予備混合物にケイ酸ナトリウムが60質量部となるように加え、高速ミキサーで混錬した。この混錬中、高速ミキサーを一旦停止させて分散状態を確認しつつ、合計1時間にわたって高速ミキサーによる混錬を行った。これにより、混合物を得た(工程B)。
得られた混合物に硬化剤(神戸理化学工業株式会社製「リカセットNo.2」)を10質量部添加して混練した後、型容器内に混合物を入れて硬化させた(工程C)。硬化して得られた硬化物を10cm角のサイズに切り出し、評価用試料として得た。
(実施例7)
混合物の調製において、硫酸バリウム粉の使用量を10質量部に、タングステンの使用量を20質量部に変更したこと以外は実施例6と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例8)
混合物の調製において、硫酸バリウム粉の使用量を0質量部に、タングステンの使用量を30質量部に変更したこと以外は実施例6と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例9)
混合物の調製において、混合後のカーボンナノチューブの全量を30質量部に、ケイ酸ナトリウムの使用量を40質量部に変更したこと以外は実施例5と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例10)
混合物の調製において、硫酸バリウム粉の使用量を30質量部に、ケイ酸ナトリウムの使用量を50質量部に変更したこと以外は実施例6と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例11)
混合物の調製において、混合後のカーボンナノチューブの全量を40質量部に、硫酸バリウム粉の使用量を10質量部に、ケイ酸ナトリウムの使用量を50質量部に変更したこと以外は実施例5と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例12)
混合物の調製において、硫酸バリウム粉の使用量を30質量部に、タングステンの使用量を20質量部に、ケイ酸ナトリウム50質量部の代わりにセメント(株式会社リックス社製)40質量部に変更したこと以外は実施例6と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例13)
タングステンの使用量を50質量部に、セメントの使用量を10質量部に変更したこと以外は実施例12と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例14)
ケイ酸ナトリウム60質量部の代わりに紙粘土(株式会社クツワ社製)60質量部に変更したこと以外は実施例5と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例15)
混合物の調製において、硫酸バリウム粉の使用量を30質量部に変更し、ケイ酸ナトリウム60質量部の代わりに紙粘土(株式会社クツワ社製)50質量部に変更したこと以外は実施例6と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例16)
タングステンの使用量を20質量部に、紙粘土の使用量を40質量部に変更したこと以外は実施例15と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例17)
タングステンの使用量を50質量部に、紙粘土の使用量を10質量部に変更したこと以外は実施例15と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例18)
混合物の調製において、セメントの使用量を60質量部に、タングステンの使用量を0質量部に変更したこと以外は実施例12と同様の方法で、評価用試料を得た。
(実施例19)
混合物の調製において、混合後のカーボンナノチューブの全量を2質量部に、ケイ酸ナトリウムの使用量を68質量部に、タングステンの使用量を0質量部に変更したこと以外は実施例12と同様の方法で、評価用試料を得た。
(比較例6)
セメントのみを硬化させて評価用試料を得た。
(比較例7)
バインダーとしてのポリエステル樹脂50質量部と、硫酸バリウム50質量部とを混合し、硬化させることで評価用試料を得た。
(比較例8)
バインダーとしての紙粘土70質量部と、硫酸バリウム30質量部とを混合し、硬化させることで評価用試料を得た。
(比較例9)
厚さ7.2mmの鉛板を評価用試料として得た。
(比較例10)
厚さ10mmの鉄板を評価用試料として得た。
(比較例11)
工程Bにおいて、高速ミキサーを使用せずに単に容器を振るなどして混合させたこと以外は実施例18と同様の方法で、評価用試料を得た。
Figure 0007204133000002
表2には、実施例5~17及び比較例6~10で得た評価用試料の厚み及び密度、並びに放射線遮蔽性能(遮蔽率及び全減衰係数)の結果を示している。
表2から、複合体に含まれる各種材料の含有量を調節することで、試料の密度を0.8~3.0g/cmの範囲で制御できることがわかる。
また、表2から、実施例5~17で得られた試料では、比較例6~8で得られた試料に比べて、放射線の遮蔽率が大きいことがわかる。また、従来の技術では困難とされていた高エネルギーである60Coのγ線(60Co(1173.2keV)、60Co(1332.5keV)に対しても高い遮蔽率を有し、比較例9、10の鉛板及び鉄板の遮蔽率に匹敵又は同等以上の放射線遮蔽性能であることがわかる。
以上より、繊維状ナノカーボン材料(カーボンナノチューブ)と、第1の放射線遮蔽粒子(硫酸バリウム)と、バインダー(ケイ酸ナトリウム、セメント又は紙粘土)を含む複合体を備える放射線遮蔽材は、軽量でありながら、高エネルギー領域の放射線に対しても優れた遮蔽率を有することが実証された。さらに、複合体が第2の放射線遮蔽粒子(タングステン)を含有する場合は、高エネルギーである放射線に対しても高い遮蔽率を有することが実証された。
(走査型電子顕微鏡による観察結果)
図1の(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、実施例18、比較例6及び比較例11の試料断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図1(a)において、実施例18で得られた試料は、繊維状のカーボンナノチューブがナノサイズのオーダーで均質に網目状に分散されており、網目状の間隙に第1の放射線遮蔽粒子である硫酸バリウム粒子が存在している様子が観察された。また、間隙(空孔)も観察されるが、その大きさは数100nm以下と小さく、特に繊維状のカーボンナノチューブ間の間隙は更に小さいこともわかった。このナノサイズの間隙を有すること、及び、カーボンナノチューブが低密度であることが、放射性遮蔽材の軽量化に寄与しているものと考えられる。さらに、ナノサイズの間隙に硫酸バリウム粒子が存在していることで、放射性遮蔽材に高い放射線遮蔽率がもたらされるものと推察される。
図1(b)において、比較例6で得られた試料は、ミクロンサイズの間隙(空孔)が存在していることが観察された。間隙の大きさは、複合体の材料組成、及び、製造時の硬化条件等によって変化する。軽量化のために試料の密度を小さくする方法として、間隙を存在させることは不可欠であるが、本比較例のように間隙の大きさがミクロンサイズと大きすぎると容易に放射線が透過してしまい、放射線遮蔽材としての能力を得ることできなくなる。
図1(c)において、比較例11で得られた試料は、カーボンナノチューブ及び第1の放射線遮蔽粒子である硫酸バリウム粒子の分散状態は均質でなく、偏在している部分が多く観察された。更に大きな間隙(空孔)も散見された。このため、比較例11で得られた試料の放射線遮蔽性能は低かったものと推察される。
以上のSEM観察から、放射線遮蔽材において、繊維状ナノカーボンが均質に分散させ、その間隙に放射線遮蔽粒子やバインダーが均一に分散する複合構造(ナノ構造)とすることで、軽量でかつ高い遮蔽能力を有する放射線遮蔽材が実現できることが実証された。
(交流インピーダンス測定結果)
図2の(a)及び(b)、並びに図3(a)及び(b)はそれぞれ、実施例18、実施例19、比較例6及び比較例11の試料の交流インピーダンス測定によるナイキストプロットを示す。
図2の(a)から、実施例18で得られた試料のナイキストプロットは、鉛直特性と円弧状の特性を有していることがわかった。これは、実施例18で得られた試料のナイキストプロットは、等価回路的に容量成分と抵抗成分の直並列回路である特性を有することを意味する。
図2の(a)から算出されるインピーダンスの値は、10Ωオーダー(1×10以上1×10未満)であった。
図2の(b)から、実施例19で得られた試料のナイキストプロットは、鉛直特性と円弧状の特性を有していることがわかった。
図2の(b)から算出されるインピーダンスの値は、10Ωオーダー(1×10以上1×10未満)であった。
図2(a)および(b)から、導電性を有する繊維状ナノカーボンが均質に分散し、更に誘電体である硫酸バリウム粒子も均質に分散している放射線遮蔽材は、等価回路的に抵抗成分と容量成分が直並列または並列に分布した特性を有するものと考えられる。
図3の(a)から、比較例6で得られた試料のナイキストプロットは、右肩上がりの直線的な特性を有していることがわかった。
図3の(a)から算出されるインピーダンスの値は、10Ωオーダー(1×10以上1×10未満)であった。この比較例6の試料はセメントのみであるため、インピーダンス特性は、内部のイオン拡散に由来するものなる。
図3の(b)から、比較例11で得られた試料のナイキストプロットは、プロットのばらつきが大きいことがわかった。
図3の(b)から算出されるインピーダンスの値は、実部で10Ωのオーダー、虚部で10Ωのオーダーであった。これは、カーボンナノチューブの分散性が悪く、粒子の偏在が存在するためと考えられ、図1(c)のSEM画像の結果を反映しているものと思われる。
以上の交流インピーダンス測定結果より、交流インピーダンス測定によるナイキストプロットと放射線遮蔽材内部の分散性との関係として、等価回路的に容量成分と抵抗成分の直並列回路または並列回路の特性を有し、インピーダンス値が小さいことが好ましいといえる。この場合、放射線遮蔽材において、繊維状ナノカーボン材料及び放射線遮蔽粒子がバインダーにナノ分散されてやすい(ナノ構造に形成されやすい)といえる。
<評価方法>
(放射線遮蔽性能)
放射線遮蔽材(評価用試料)の評価は、密封微量線源からの放射線を、評価用試料に通過させ、ピーク計数を検出器で検知する測定方法で行った。検出器は、セイコー・イージー・アンド・ジー社製「Ge検出器GMX-20180-Plus」を使用した。密封微量線源は、アメニシウム24(Am-241、エネルギー59.5keV)、セシウム137(Cs137、エネルギー661.7keV)、60Co(1173.2keV)、60Co(1332.5keV)とした。一定時間の測定を行ったときの遮蔽率及び全減衰係数を導出した。
遮蔽率は、下記(1)式より算出した。
遮蔽率(%)={(I-Is)/I}×100 (1)
(1)式中、Iは試料が無い場合の放射線量、Isは試料がある場合の放射線量である。
また、試料の全減衰係数μ/ρは、下記(2)式より算出した。
μ/ρ=-ln(Is/I)×(1/ρd) (2)
(2)式中、μは試料の線形吸収係数、Iは試料が無い場合の放射線量、Isは試料がある場合の放射線量、ρは試料の密度、dは試料の厚みである。試料密度は、試料の質量及び体積を計測して算出した。
(走査型電子顕微鏡観察)
走査型電子顕微鏡は、日本電子社製の「JSM7100F」を使用し、放射線遮蔽材中の分散状態の観察を行った。
(交流インピーダンス測定)
放射線遮蔽材の交流インピーダンス測定は、交流インピーダンス法により行った。測定装置は、東陽テクニカ社製の高周波LCRメーター「WAYNE KERR 6500P」を使用した。プローブは円盤状の電極SH2-Zを使用した。インピーダンスの周波数特性から得られるインピーダンスの実部と虚部の値からナイキストプロットを作成し、インピーダンスの値及びプロットの挙動から放射線遮蔽材の抵抗、容量及び等価回路を見積もって、インピーダンスの値を得た。このインピーダンスの値から、放射線遮蔽材中の繊維状ナノカーボン材料及び放射線遮蔽粒子の分散状態を評価した。
本発明の軽量放射線遮蔽材は、原子力発電所、加速器施設、放射性廃棄物施設等の壁材、ブロック材、コーキング材、シート材、接着剤、更に医療機器、装置等遮蔽板、充填材として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 繊維状ナノカーボン材料と、第1の放射線遮蔽粒子と、バインダーとを含む複合体を備える放射線遮蔽材であって
    前記繊維状ナノカーボン材料及び前記第1の放射線遮蔽粒子が前記バインダーに分散されてな
    前記複合体の密度が0.8~3.0g/cm であり、
    前記バインダーは、無機材料から成り、
    インピーダンス値が1×10 Ω以下である
    放射線遮蔽材。
  2. 数百nm以下の閉ざされた空孔をさらに含む
    請求項1に記載の放射線遮蔽材。
  3. 前記バインダーは、ケイ酸ナトリウム、炭酸カルシウム、紙粘土、粘土鉱物、層状ケイ酸塩化合物、パルプ、石膏、セメント、モルタルまたはコンクリートである
    請求項1または2に記載の放射線遮蔽材。
  4. 前記バインダーは、ケイ酸ナトリウム、紙粘土またはセメントである
    請求項3に記載の放射線遮蔽材。
  5. 前記複合体は、前記第1の放射線遮蔽粒子の平均粒子径よりも小さい第2の放射線遮蔽粒子をさらに含み、前記第2の放射線遮蔽粒子は、前記バインダーに分散されてなる
    請求項1から4のいずれか1項に記載の放射線遮蔽材。
  6. 記第2の放射線遮蔽粒子の平均粒子径が10~800nmである
    請求項に記載の放射線遮蔽材。
  7. 前記第2の放射線遮蔽粒子が、タングステン、グラフェン、カーボンナノホーン及びナノグラファイトからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、請求項5または6に記載の放射線遮蔽材。
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