JP4929651B2 - カーボンナノチューブの分離回収方法 - Google Patents

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本発明は、カーボンナノチューブの分離回収方法に関し、さらに詳しくは、酸化物表面に金属触媒を担持し、該金属触媒と炭素含有化合物とを接触させることにより生成したカーボンナノチューブ含有組成物からカーボンナノチューブを高純度で分離回収する方法に関する。
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。カーボンナノチューブは、高い機械的強度、高い導電性を有することから、燃料電池やリチウム2次電池用負極材として、また、樹脂、金属、セラミックスや有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、透明導電フィルム、金属電解粉、熱伝導性セラミックス、電磁波シールド材の材料として期待されている。さらに、L/D(長さ/直径の比)が大きく、直径は数nmであることから、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、太陽電池素子、ナノピンセットの材料として期待されており、また、ナノサイズの空間を有することから、水素などの吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料として期待されている。いずれの用途の場合にも、高純度のカーボンナノチューブが要求されており、カーボンナノチューブとしては直径の細い単層から5層程度のカーボンナノチューブが有利であり、特に耐久性の点から、2層〜5層カーボンナノチューブが有利である。また、グラファイト層の欠陥が少ない方が特性的に優れている。金属やセラミックスとCNTの複合体を燃料電池やリチウム2次電池用負極材、放熱材料、および電子放出材料として用いることも期待されている。
カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られており(非特許文献1参照)、なかでも、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを安価に製造する方法として、触媒化学気相成長法が知られている(非特許文献2参照)。さらに触媒化学気相成長法では、カーボンナノチューブの層数を、単層、2〜5層に制御して製造できることが知られている(非特許文献3参照)。
触媒化学気相成長法では金属触媒を担体に担持して行う方法が知られている(非特許文献4参照)。担体としては酸化物が主に用いられる。この方法で得られたカーボンナノチューブ含有組成物には上記担体をはじめとして触媒金属等の不純物を含む。そこで、これら不純物とカーボンナノチューブとを分離してカーボンナノチューブのみを回収する方法として、水酸化ナトリウム水溶液により酸化物を除く方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、超音波を照射しながらカーボンナノチューブを多く含む溶液とカーボンナノチューブ以外の部分を多く含む溶液とに分離する方法がある。(特許文献2参照)
しかし、いずれの分離回収方法においても、回収したカーボンナノチューブに多くの不純物が残存することが多かった。さらに、上記の分離回収方法では、カーボンナノチューブを含む溶液に超音波を照射することによりカーボンナノチューブと不純物との接合部分を切り離すが、溶液中で均一に超音波エネルギーが伝わらず、カーボンナノチューブの分離回収量の低下を引き起こしていた。特に、装置がスケールアップすると、超音波エネルギーを均一に付与することはますます困難となり、カーボンナノチューブの分離回収率がさらに落ちるという問題を引き起こしていた。
また、カーボンナノチューブ含有組成物を微粉砕した後に酸処理、アルカリ処理を施す方法が開示されている(特許文献3参照)。この方法では微粉砕された酸化物等の不純物が激しく再凝集を起こすとともに、アルカリ処理、酸処理によりカーボンナノチューブ自体が損傷するという問題があった。
さらにまた、カーボンナノチューブ含有組成物に超音波やボールミル等の物理的手段を施し、カーボンナノチューブを分離する方法が示されている(特許文献4参照)。しかし、超音波では上述したように回収物に不純物が多く、さらに、スケールアップが困難という問題がある。また、ボールミル法等の通常のミル粉砕手段でもすべてのカーボンナノチューブに対して均一に衝撃力を与えることが困難であり、カーボンナノチューブを効率良く分離できなかった。
斉藤弥八、坂東俊治、カーボンナノチューブの基礎、株式会社コロナ社、p17、23、47 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)303(1999),117-124 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)360(2002),229-234 田中一義[編]、カーボンナノチューブ−ナノデバイスへの挑戦−、株式会社化学同人、p74−76 特開2004−277279号公報 特開2005−97029号公報 特開2004−182548号公報 特開2004−238261号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、カーボンナノチューブと、金属触媒と、金属触媒用担体とを少なくとも含むカーボンナノチューブ含有組成物に対して、担体表面の広い領域にわたって均一に剪断力を付与し、高い純度のカーボンナノチューブを効率良く分離回収する方法の提供を目的とする。
上記課題を解決する本発明は、以下のとおりである。
<1>カーボンナノチューブと、金属触媒と、金属触媒用担体とを少なくとも含むカーボンナノチューブ含有組成物に対して、平均粒径が300μm以下のビーズを用いて、ビーズミル処理を施し、前記カーボンナノチューブと前記担体とを分離することを特徴とするカーボンナノチューブの分離回収方法。
<2>前記ビーズミル処理において、使用するビーズ径が30μm〜100μmの範囲であることを特徴とする<1>に記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
<3>前記ビーズミル処理を施す前に、カーボンナノチューブ含有組成物に焼成処理を施すことを特徴とする<1>あるいは<2>に記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
<4>前記分離回収方法により得られたカーボンナノチューブ含有組成物を2種類以上の液体を含む溶液に浸し、カーボンナノチューブが主成分となる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を分離する分液処理を施すこと特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
<5>前記カーボンナノチューブは、前記担体に前記金属触媒を担持し、500℃〜1200℃で炭素含有化合物と接触させることにより得られたものであることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
<6>前記担体は、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ゼオライト、ケイ素を主成分とするメソポーラス材料から選ばれるものであることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
<7>前記金属触媒はV、Mo、Fe、Co、Ni、Pd、Pt、Rh、W、Cuのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
本発明によれば、カーボンナノチューブ含有組成物、特に、触媒化学気相成長法において生成されたカーボンナノチューブ含有組成物に対して、ビーズミル分散法を適用することにより、高い純度のカーボンナノチューブを効率良く分離回収できる。そして、従来の超音波分散法やボールミル分散では困難であった分離回収工程のスケールアップが容易に可能となる。
本発明のカーボンナノチューブの分離回収方法は、カーボンナノチューブと、金属触媒と、金属触媒用担体とを少なくとも含むカーボンナノチューブ含有組成物に対して、平均粒径が300μm以下のビーズを用いて、ビーズミル処理を施し、前記カーボンナノチューブと前記担体とを分離することを特徴とする。
ビーズミル法は、溶媒に粒子を分散させたスラリーを、ガラス、ジルコニア、アルミナ等からなるビーズを充填した容器中をロータ回転羽根で攪拌しながら通過させることにより、ビーズとの衝突時の衝撃力及びビーズとの間をすり抜ける時の剪断力で微粒化する方法であり、一般的に乾式・湿式を含めた粉砕法の中で最も粒子径を小さくすることができる。
ビーズミルは微粒化する粒子以外に衝突媒体となるビーズ(メディア)等を有するものであり、メディア等として、粒径1μm〜1mm程度のジルコニアビーズ、アルミナビーズ、ガラスビーズ、金属ビーズが用いられるが、本発明においては特に、平均粒径300μm以下のビーズを用いる。このような粒径を有するビーズが担体とカーボンナノチューブの分離に適しているためである。これは、小径のビーズを適用することにより、含まれるビーズの表面積の総計が大きくなり、その結果、担体表面の全領域にわたって均一な剪断力を付与できるからである。したがって、より好ましくは、平均粒径が100μm以下の小径ビーズを適用する。これは、充填されたビーズの表面積総計がさらに大きくなり、極めて高い効率でカーボンナノチューブを分離することができるからである。本来、小径ビーズの場合、分散対象物との衝突時のエネルギーが小さく、粉砕には不向きであるが、本発明のような担体表面に付着したカーボンナノチューブの分離には、100μm以下のビーズでも十分な剪断力を付与できる。また、粉砕力が弱いために、担体が微粒化されにくく、カーボンナノチューブの分離には好ましい。なぜなら、粉砕により微粒化された担体は時間の経過とともに再凝集することがあり、再凝集する担体にカーボンナノチューブが絡まると、最終的に分離回収できるカーボンナノチューブの量が低下するからである。但し、30μm未満のビーズでは分離された分散対象物とビーズとの分離が困難であるため、ビーズ径は30μm以上が好ましい。
ここで、ビーズ径は、実体顕微鏡を用いて撮影した写真から画像解析により円相当径として求める方法により決定することができる。本発明においては下記の方法により平均粒径を決定するものとする。まず、オリンパス(株)社製実体顕微鏡(SZX12)等の実体顕微鏡を用いて、200倍の倍率でビーズの画像を富士フィルム(株)社製デジタルカメラ(HC−300Z)等のカメラで撮影する。撮影した画像をパソコンに取り込み、三谷商事(株)製画像処理ソフト(WinROOF)を用いて、100個のビーズに対して円相当径を算出し、その平均値をビーズの平均粒径とする。円相当径とは粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径である。なお、適用する顕微鏡、カメラ、解析ソフトは、同じ原理で測定、計算するものであれば、上記に記載した種類に限るものではない。
このような小径ビーズを用いることができるビーズミル装置としては、寿工業(株)製“ウルトラアペックスミル”(UAM)015、アシザワファインテック社(株)製“スターミル”(ZRS)等を挙げることができる。
これらのビーズの総体積(ビーズ間の空隙も含む)が空の粉砕容器の内容積に対し1〜99%、好ましくは10〜90%、さらに好ましくは20〜90%となるようにセットされる。一方、容器としては、ジルコニア、アルミナ、ナイロン、金属などの材質からなる容器を使用することができる。また、ビーズミル法においては回転羽根の周速を5m/秒以上、より好ましくは10m/秒以上にする。上限として20m/秒以下とすることが好ましい。
また、処理中はスラリーの温度上昇による蒸発を抑制するために、粉砕容器を外側から冷却する機構を備えることが好ましい。より好ましくは、粉砕容器内の温度を20℃〜60℃の範囲に維持することが好ましい。また、スラリーを粉砕容器内で処理する時間としては、10秒〜1000秒とすることが好ましく、60秒〜600秒とすることがより好ましい。
また、スラリーの流量は一定に制御することが好ましい。流量値としては、粉砕容器の容量をV(mm)、スラリー流量をQ(mm/分)としたときに、V/Qが0.1〜5の範囲にするのが好ましく、さらには、0.5〜2の範囲とするのが好ましい。
また、スラリーの送液手段としては、チューブポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプ、モーノポンプの他、圧送等、定量供給できるものであれば良い。
そして、ビーズミル分散処理を施す前に、カーボンナノチューブ含有組成物に焼成処理を施すことにより、ビーズミル分散処理時間を短縮することができる。これは、グラファイトなどの炭素化合物で覆われている金属触媒に対して、一度触媒周りの炭素を焼きとばしてからビーズミル処理を行えば、触媒金属を効率よく除去することができるためである。
焼成温度としては300℃〜550℃で行うことが好ましく、350℃〜500℃で行うことがより好ましい。焼成時間としては30分〜3時間が好ましく、1時間〜2時間
がより好ましい。
また、本発明のビーズミル処理を施したカーボンナノチューブ含有組成物に対して、2種類以上の液体を含む溶液に浸し、カーボンナノチューブが主成分となる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収する分液処理を行えば、カーボンナノチューブのみをさらに効率良く抽出できる。有機溶媒と水の二液を用いた分液処理の方法が特開2005−97029号公報に詳細に記載されている。この方法によれば、担体および金属触媒を水側にカーボンナノチューブを有機溶媒側に分離して個別に回収することができる。
すなわち、カーボンナノチューブとの親和性が強い液体層と、炭素不純物、固体触媒の溶媒との親和性が強い液体層の2つ以上の層を用いて、それぞれの層を液液分離することで、容易且つ高効率でカーボンナノチューブを多く含む溶液部と、カーボンナノチューブ以外の不純物を多く含む溶液部をそれぞれ個別に回収できる。
中でも、2つ以上の層に分かれた液体各層を構成する液体の溶解度パラメータ(SP値)の差が10以上であると、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒の溶媒との親和性の違いをより積極的に利用することができる。SP値の差が15以上であると、より好ましい。例えば、水と有機溶媒の2つの層に分かれた液体を用いる場合、水のSP値は23.4であるから、SP値が13.4以下の有機溶媒を用いることが好ましく、SP値が8.4以下の有機溶媒を用いることがより好ましい。より具体的には、例えば、水と炭化水素化合物からなる液体の組み合わせであり、水とペンタノール、水とn−ヘキサノール、水とシクロヘキサノール、水とシクロヘキサン、水とn−ヘキサンの組み合わせが好ましく、水とシクロヘキサン、水とn−ヘキサンの組み合わせが特に好ましい。
そして、水は極性が大きいため、カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体として、水を含むと、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。特に、前述したように水と有機溶媒の少なくとも2つ以上の層に分かれた液体を用いることが効果的である。また、水はコスト面で効果的である。液体中に占める水の割合としては、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは20〜90重量%であり、特に好ましくは30〜80重量%である。
また、カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体として、水の代わりに塩化ナトリウム濃度0.1wt%以上の塩化ナトリウム水溶液を用いると、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒をより効率よくそれぞれ個別に回収できる。特に、前述したように塩化ナトリウム水溶液と有機溶媒の少なくとも2つ以上の層に分かれた液体を用いることが効果的である。水と比較して塩化ナトリウム水溶液を用いた方が、塩析の効果により、カーボンナノチューブの回収効率が向上する。液体中に占める塩化ナトリウム水溶液の割合としては、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは20〜90重量%であり、特に好ましくは30〜80重量%である。塩化ナトリウム水溶液の濃度は、0.1wt%以上、好ましくは1wt%以上、より好ましくは5wt%以上が、塩析効果を高めることができ好ましい。
さらに、カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体として、水の代わりにpH6以下の酸性水溶液を含むと、カーボンナノチューブを含む組成物のゼータ電位を調整でき、カーボンナノチューブや固体触媒の凝集を防ぐことができ、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。特に、前述したように酸性水溶液と有機溶媒の少なくとも2つ以上の層に分かれた液体を用いることが効果的である。酸性水溶液の種類としては、フッ化水素酸、硫酸、塩酸、硝酸などの水溶液を用いることができ、これらを単独で用いても、2種類以上混合して用いても構わない。液体中に占める酸性水溶液の割合としては、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは20〜90重量%であり、特に好ましくは30〜80重量%である。
また、カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体として、水の代わりにpH8以上のアルカリ性水溶液を含むと、カーボンナノチューブを含む組成物のゼータ電位を調整でき、カーボンナノチューブや固体触媒の凝集を防ぐことができ、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。特に、前述したようにアルカリ性水溶液と有機溶媒の少なくとも2つ以上の層に分かれた液体を用いることが効果的である。アルカリ性水溶液の種類としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニアなどの水溶液を用いることができる。これらを単独で用いても、混合して用いても構わない。液体中に占めるアルカリ性水溶液の割合としては、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは20〜90重量%であり、特に好ましくは30〜80重量%である。
さらに、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収する前に、撹拌処理を行うと、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。撹拌処理は、スターラーやスリーワンモーターと撹拌羽根を用いた通常の撹拌で良く、カーボンナノチューブのグラファイト層に構造的欠陥や電子的欠陥が生じにくいことや、スケールアップが容易であり工業化に向いている利点がある。
さらに、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収する前に、遠心分離処理を行うことで、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。遠心分離処理は、遠心加速度500(×g)以上、好ましくは1000(×g)以上が、カーボンナノチューブの精製効率を高めることから好ましい。
高度に担体や金属を除去する場合には上述のようにビーズミル処理、もしくはその後の二液を用いた分液処理の後に、カーボンナノチューブを損傷しない程度にカーボンナノチューブ含有組成物に酸処理やアルカリ処理を施しても良い。
酸処理とは、カーボンナノチューブ含有組成物を酸に接触させる処理であり、使用する酸は特に限定されないが、フッ化水素酸、硫酸、塩酸、硝酸またはこれら混合物が好ましい。特に、フッ化水素酸、塩酸が好ましい。
酸処理よるカーボンナノチューブ含有組成物の精製方法は特に限定されない。例えば0.01〜10Mの酸の水溶液中に、0.01〜100gのカーボンナノチューブ含有組成物を含浸し、0〜100℃で充分に攪拌して分散混合した後、水洗し、50〜200℃で乾燥することにより精製することができる。
またアルカリ処理とは、カーボンナノチューブ含有組成物にアルカリを接触させる処理であり、使用するアルカリは特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたはこれら混合物が好ましい。特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
アルカリ処理によるカーボンナノチューブ含有組成物の精製方法は特に限定されない。例えば0.01〜10Mのアルカリの水溶液中に、0.01〜100gの酸化物を含浸し、0〜100℃で充分に攪拌して分散混合した後、水洗し、50〜200℃で乾燥することにより精製することができる。
本発明に適用されるカーボンナノチューブ含有組成物は、担体に金属を担持させて、500℃〜1200℃、好ましくは600℃〜950℃で該金属と炭素含有化合物とを接触させることにより生成されたものが良い。これは電子放出特性、導電性、強度、触媒担持分散性で特に優れた単層、または2層を主成分とし、また、直径の細い高品質なカーボンナノチューブを製造できるからである。
ここで担体として、メソポーラス材料を適用すれば、不純物が少なく、細いカーボンナノチューブを生成することができる。
メソポーラス材料とは、2〜50nm程度の直径を有する細孔を持つ材料であって、界面活性剤と無機物質の協奏的な自己組織化により合成される。メソポーラス材料は大きい比表面積と高い安定性など、触媒や吸着剤としての優れた基本物性を有する。この様な材料のメソポーラス細孔は、担体上でカーボンナノチューブを合成する際に金属担持する細孔として有用である。代表的物質としてメソポーラスシリカが挙げられる。メソポーラスシリカの結晶構造は特に限定されないが、例えば、モービル社が開発したヘキサゴナル構造をもつMCM−41、キュービック構造をもつMCM−48、層状すなわちラメラ構造をもつMCM−50があり、特に規則的な六角形の細孔が平行に配列したMCM−41構造が好んで用いられる。メソポーラス材料は大きい比表面積と高い安定性など、触媒や吸着剤としての優れた基本物性を有する。また均一で規則的な配列は有していないが、一般的な多孔性無機材料で、メソポーラス細孔を有する材料としてゼオライト、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニアなどが知られている。この様な材料のメソポーラス細孔は、担体上でカーボンナノチューブを合成する際に金属担持する細孔として有用である。
担体に担持する金属の種類は、特に限定されないが、3〜12族の金属、特に好ましくは、5〜11族の金属が用いられる。中でも、V,Mo,Fe,Co,Ni,Pd,Pt,Rh、W、Cu等が特に好ましく、さらに好ましくは、Fe,Co,Niが用いられる。ここで金属とは、0価の状態とは限らない。反応中では0価の金属状態になっていると推定できるが、広く金属を含む化合物又は金属種という意味で解釈してよい。また金属は微粒子であることが好ましい。微粒子とは粒径が0.5〜10nmであることが好ましい。金属の粒径が小さいと直径の細いカーボンナノチューブが生成しやすい。
金属は1種類だけを担持させても、2種類以上を担持させてもよいが、2種類以上を担持させるようにした方が好ましい。2種類の金属を担持させる場合は、Co,Ni,Pd,Pt,Rhと他の金属の組み合わせが特に好ましい。CoとFe,Ni,V,Mo,Pdの1種以上とを組み合わせる場合が最も好ましい。
担体に対する金属の担持方法は、特に限定されない。例えば、担持したい金属の塩を溶解させた非水溶液中(例えばエタノール溶液)又は水溶液中に、担体を含浸し、充分に分散混合した後、乾燥させることで担体に金属を担持することができる。さらにその後、窒素、水素、不活性ガスまたはその混合ガス又は真空中で高温(300〜600℃)で加熱しても良い(含浸法)。
上記金属塩としては特に限定されない。例えばギ酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、チオシアン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫化物、酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、アセチルアセトン錯体、シクロペンタジエニル錯体などが挙げられ、中でも酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、クエン酸塩が好ましい。
最適な金属担持量は、酸化物の細孔容量や外表面積、担持方法によって異なるが、担体に対して0.1〜10重量%の金属を担持することが好ましい。2種類以上の金属を使用する場合、その比率は限定されない。
そして、使用する炭素含有化合物は、特に限定されないが、好ましくは炭化水素又は一酸化炭素を使うとよい。
炭化水素は芳香族であっても、非芳香族であってもよい。芳香族の炭化水素では、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン又はこれらの混合物などを使用することができる。また、非芳香族の炭化水素では、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレンもしくはアセチレン、又はこれらの混合物等を使用することができる。炭化水素には、また酸素を含むもの、例えばエタノール若しくはメタノール、プロパノール、ブタノールのごときアルコール類、アセトンのごときケトン類、及びホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒドのごときアルデヒド類、トリオキサン、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルのごときエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類又はこれらの混合物であってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
上記方法により反応させたカーボンナノチューブは、担体に担持した金属触媒上に形成されており、反応後に取り出される反応生成物は通常、カーボンナノチューブと、金属触媒と、金属触媒用担体とを少なくとも含むカーボンナノチューブ含有組成物である。
本発明のカーボンナノチューブの分離回収方法は、このようなカーボンナノチューブ含有組成物からカーボンナノチューブを分離回収しようとするものである。
<熱分析(TG法)>
島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気50ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で900℃まで加熱する。その結果、DTA曲線の発熱ピーク及び重量減少率からサンプルの炭素重量分を測定する。
<元素分析>
日本電子(株)社製の走査電子顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った。
<ラマン分光測定>
堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長532nmでラマン分光測定を行い、ラマンスペクトルを得た。ラマンスペクトルにおいて1590cm−1付近に見られるラマンシフトはグラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm−1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。このG/D比が高いほどグラファイト化度が高く、高品質なカーボンナノチューブを意味する。以下の実施例では、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算した。このG/D比が高い場合には高い電気、熱伝導性や強度、耐熱性という特性を有することを意味する。
<実施例1>
(1)触媒作成(チタノシリケートゼオライトへの金属塩の担持)
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.1gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)2.1gとをエタノール(ナカライテスク社製)400mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、TS−1ゼオライト(エヌイーケムキャット製、ケイ素/チタン比50)を20.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、TS−1型ゼオライト粉末に金属塩(酢酸第一鉄および酢酸コバルト4水和物)が担持された固体触媒を得た。このバッチ処理を繰り返すことにより必要量の固体触媒を得た。
(2)カーボンナノチューブの合成
内径135mm、肉厚5mmの石英製縦型反応管のほぼ中央部を電気管状炉で覆い、反応管内部の温度が800℃となるように加熱した。あらかじめアルゴンで満たした反応管のほぼ中央部に触媒を4g装填した。固体触媒前駆体はアルミナ、シリカからなる厚み6mmのセラミックス不織布上に保持させた状態で装填した。セラミックス不織布は反応管内径よりも5mm程度大きい径を有し、セラミックス不織布の端縁部を折り曲げながら、上側から押し込んで装填した。装填後はセラミックス不織布の端縁部と反応管内面との摩擦力により位置を保持するものであった。
固体触媒を装填後、反応管の上下端を密閉し、15分間、反応管にアルゴンを10L/分の流量で導入しながら固体触媒を800℃になるまで加熱した。なお、反応管へのガスの導入は反応管内下側にある1箇所の入口から供給し、反応管上側にある4箇所の排気口から排気することにより行う。このとき、導入されたガスはほぼすべて固体触媒に接触する。
次に、アルゴンをキャリアーガスとして10L/分の流量で反応管内に導入を続けながら、アセチレンを20cc/分の流量で30分間導入する。
次に、アセチレンの導入を停止し、10分間、アルゴンを10L/分の流量で導入した。
その後、反応管内の上下端を開放し、触媒をセラミックス不織布ごと上側から下側に押し出して、反応管の下側に回収した。以上の合成運転を20回繰り返し、カーボンナノチューブ含有組成物を70g得た。
(3)カーボンナノチューブの分離回収
上記のカーボンナノチューブ含有組成物の一部をトルエン中に分散させて、固形分濃度5%、粘度50mPaのスラリー1000gを作成した。これをビーズミル装置(寿工業(株)製UAM015)により、ビーズミル処理を行った。このビーズミル装置の粉砕容積は170mmで、用いたビーズは平均粒径50μm(実体顕微鏡(オリンパス(株)社製実体顕微鏡(SZX12))を用いて、200倍の倍率でビーズの画像を富士フィルム(株)社製デジタルカメラ(HC−300Z)で撮影し、その画像をパソコンに取り込み、三谷商事(株)製画像処理ソフト(WinROOF)を使用した画像解析により100個のビーズの円相当径を求め、その平均値として計算した値である)のジルコニア製で処理槽の体積充填率は約70%であった。処理槽はステンレス製であり、処理槽内を回転する攪拌ロータはジルコニア製で、ロータ周速は10m/秒であった。処理槽へのスラリー供給はチューブポンプにより行い、供給速度は140g/分(160mm3/分)であった。スラリーは処理槽を6回循環させた(処理時間:約430秒)。処理後、得られたカーボンナノチューブ含有組成物(固形分濃度:6.5%)を含むトルエン溶液から160gサンプリングし、これに同重量のイオン交換水を投入し、分液ロートに移した。
次に、分液ロート内の水−トルエン混合溶液をスターラーで5分攪拌した後、30分静置した。30分後、水−トルエン混合溶液はカーボンナノチューブが主成分の上層部(トルエン側)と担体が主成分の下層部(イオン交換水側)に分離され、それぞれ回収した。回収したトルエン溶液を濾紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)にて濾過した後、60℃の大気雰囲気で乾燥した。得られたカーボンナノチューブ含有組成物の重量を測定すると、1.14gであった。
(4)カーボンナノチューブの純度の評価
分離回収工程前のカーボンナノチューブ含有組成物に対してTG法によりカーボンナノチューブ含有率を測定した結果、10重量%であった。また、分離回収後のカーボンナノチューブに対してEDSにより元素分析を行った結果、カーボンナノチューブの純度は85重量%であった。なお、上記の評価はカーボンナノチューブ含有組成物に含まれるカーボンはすべて、カーボンナノチューブと仮定した。以上の結果より、合成後のカーボンナノチューブ含有組成物に含まれるカーボンナノチューブのうち、93%を分離回収できたことになる。超音波分散で分離した場合(比較例1参照)と比べて、カーボンナノチューブの純度が高く、かつ、高い分離回収率であった。
(5)カーボンナノチューブの特性評価
カーボンナノチューブの分離回収前後で、ラマンG/D比を測定した。分離前の測定値は6.9で、分離回収後の測定値は6.1であった。超音波により分離回収した場合(比較例1参照)と比較して、ラマンG/D比の低下が少なかった。
<実施例2>
(1)触媒作成(チタノシリケートゼオライトへの金属塩の担持)
実施例1とまったく同じ方法で触媒を作成した。
(2)カーボンナノチューブの合成
実施例1とまったく同じ方法でカーボンナノチューブを合成した。
(3)カーボンナノチューブ含有組成物の焼成
上記(2)の合成で得たカーボンナノチューブ含有組成物70gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。
(4)カーボンナノチューブの分離回収
焼成後のカーボンナノチューブ含有組成物に対して、実施例1とまったく同じ方法でビーズミル処理を施した。処理後、得られたカーボンナノチューブ含有組成物(固形分濃度:5.7%)を含むトルエン溶液から160gサンプリングし、これに同重量のイオン交換水を投入し、分液ロートに移した。
次に、分液ロート内の水−トルエン混合溶液をスターラーで5分攪拌した後、30分静置した。30分後、水−トルエン混合溶液はカーボンナノチューブが主成分の上層部(トルエン側)と担体が主成分の下層部(イオン交換水側)に分離され、それぞれ回収した。回収したトルエン溶液を濾紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)にて濾過した後、60℃の大気雰囲気で乾燥した。得られたカーボンナノチューブ含有組成物の重量を測定すると、0.71gであった。
(5)カーボンナノチューブの分離回収率の評価
分離回収工程前のカーボンナノチューブ含有組成物に対してTG法によりカーボンナノチューブ含有率を測定した結果、8.2重量%であった。また、分離回収後のカーボンナノチューブに対してEDSにより元素分析を行った結果、カーボンナノチューブ純度は91重量%であった。以上の結果から、カーボンナノチューブの分離回収率は86%であった。超音波により分離した場合(比較例2参照)と比較して、カーボンナノチューブの純度が高く、かつ、高い分離回収率であった。
(6)カーボンナノチューブの特性評価
カーボンナノチューブの分離回収前後で、ラマンG/D比を測定した。分離前の測定値は6.4で、分離回収後の測定値は5.8であった。超音波により分離回収した場合(比較例2参照)と比較して、ラマンG/D比の低下が少なかった。
<比較例1>
(1)触媒作成(チタノシリケートゼオライトへの金属塩の担持)
実施例1とまったく同じ方法で触媒を作成した。
(2)カーボンナノチューブの合成
実施例1とまったく同じ方法でカーボンナノチューブを合成した。
(3)カーボンナノチューブの分離回収
上記(2)で得たカーボンナノチューブ含有組成物10gを、実施例2(3)のような焼成を行うことなく、トルエン100mlとイオン交換水100mlを入れた容器に投入し、60分間超音波照射した後、分液ロートに移し、30分静置した。上層部(トルエン側)と下層部(イオン交換水側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(トルエン側)は、イオン交換水100mlを加えて容器に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(トルエン側)にイオン交換水を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返し、最後に得られた上層部(トルエン側)を濾過(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)した後、60℃の大気雰囲気で乾燥した。得られたカーボンナノチューブ含有組成物の重量を測定すると、3.5gであった。
(4)カーボンナノチューブの分離回収率の評価
分離回収工程前のカーボンナノチューブ含有組成物に対してTG法によりカーボンナノチューブ含有率を測定した結果、10重量%であった。また、分離回収後のカーボンナノチューブに対してEDSにより元素分析を行った結果、カーボンナノチューブ純度は21重量%であった。以上の結果から、カーボンナノチューブの分離回収率は74%であった。
(5)カーボンナノチューブの特性評価
カーボンナノチューブの分離回収前後で、ラマンG/D比を測定した。分離前の測定値は6.9で、分離回収後の測定値は4.0であった。
<比較例2>
(1)触媒作成(チタノシリケートゼオライトへの金属塩の担持)
実施例1とまったく同じ方法で触媒を作成した。
(2)カーボンナノチューブの合成
実施例1とまったく同じ方法でカーボンナノチューブを合成した。
(3)カーボンナノチューブ含有組成物の焼成
合成で得たカーボンナノチューブ含有組成物70gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。
(4)カーボンナノチューブの分離回収
焼成後のカーボンナノチューブ含有組成物10gに対して、比較例1とまったく同じ方法でカーボンナノチューブの分離回収処理を施し、最後に得られた上層部(トルエン側)を濾過(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)した後、60℃の大気雰囲気で乾燥した乾燥した。得られたカーボンナノチューブ含有組成物の重量を測定すると、0.95gであった。
(5)カーボンナノチューブの分離回収率の評価
分離回収工程前のカーボンナノチューブ含有組成物に対してTG法によりカーボンナノチューブ含有率を測定した結果、8.2重量%であった。また、分離回収後のカーボンナノチューブに対してEDSにより元素分析を行った結果、カーボンナノチューブ純度は65重量%であった。以上の結果から、カーボンナノチューブの分離回収率は75%であった。
(6)カーボンナノチューブの特性評価
カーボンナノチューブの分離回収前後で、ラマンG/D比を測定した。分離前の測定値は6.4で、分離回収後の測定値は4.5であった。
これらの結果から、特定の平均粒径を有するビーズを用いてビーズミル処理を施し、カーボンナノチューブ含有組成物を分散することにより、超音波を照射して分散する場合よりも高純度のカーボンナノチューブを高い回収率で回収できることがわかる。そして、ビーズミル処理前に焼成を行うことによりカーボンナノチューブの純度を向上できることがわかる。
本発明によれば、カーボンナノチューブ含有組成物に対して平均粒径が300μm以下のビーズを用いて、ビーズミル処理を施すことにより、担体表面に付着したカーボンナノチューブを剥離するように引き離し、その結果、カーボンナノチューブ含有組成物からカーボンナノチューブのみを効率良く分離できる。
さらに、担体に金属を担持させて、500℃から1200℃で該金属と炭素含有化合物とを接触させることにより生成されたカーボンナノチューブ含有組成物を適用することにより、電子放出特性、導電性、強度、触媒担持分散性で特に優れた単層、または2層を主成分とした径の細い高品質なカーボンナノチューブを分離回収できる。

Claims (7)

  1. カーボンナノチューブと、金属触媒と、金属触媒用担体とを少なくとも含むカーボンナノチューブ含有組成物に対して、平均粒径が300μm以下のビーズを用いて、ビーズミル処理を施し、前記カーボンナノチューブと前記担体とを分離することを特徴とするカーボンナノチューブの分離回収方法。
  2. 前記ビーズミル処理において、使用するビーズ径が30μm〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
  3. 前記ビーズミル処理を施す前に、カーボンナノチューブ含有組成物に焼成処理を施すことを特徴とする請求項1あるいは2に記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
  4. 前記分離回収方法により得られたカーボンナノチューブ含有組成物を
    2種類以上の液体を含む溶液に浸し、カーボンナノチューブが主成分となる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を分離する分液処理を施すこと特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
  5. 前記カーボンナノチューブは、前記担体に前記金属触媒を担持し、500℃〜1200℃で炭素含有化合物と接触させることにより得られたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
  6. 前記担体は、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ゼオライト、ケイ素を主成分とするメソポーラス材料から選ばれるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
  7. 前記金属触媒はV、Mo、Fe、Co、Ni、Pd、Pt、Rh、W、Cuのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
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