JP4941995B2 - 光触媒機能を担持した繊維製品及びその製造方法 - Google Patents
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(1)繊維基材の少なくとも一部に、少なくとも2層以上のクレイ層を含む多重クレイ層が静電的に固定され、該多重クレイ層の最外層のクレイ層に光触媒が静電的に固定されてなることを特徴とする、光触媒を担持した繊維製品、
(2)多重クレイ層が、上下各一層のクレイ層がポリカチオン層を介して積層された積層部を1以上形成してなるものである、上記(1)記載の光触媒を担持した繊維製品、
(3)クレイ層が膨潤性層状珪酸塩層である、上記(1)または(2)記載の光触媒を担持した繊維製品、
(4)膨潤性層状珪酸塩層がスメクタイト層である、上記(3)記載の光触媒を担持した繊維製品、
(5)クレイ層の層厚が1μm未満である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(6)ポリカチオン層がアリルアミン系重合物層である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(7)光触媒が酸化チタンである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(8)繊維基材に、多重クレイ層の最内層のクレイ層が静電的に吸着してなる、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(9)繊維基材が、アミド結合を有する繊維を主たる構成繊維とする繊維基材である、上記(8)記載の光触媒を担持した繊維製品、
(10)アミド結合を有する繊維が、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維及び獣毛繊維からなる群から選択される1又は2種以上である、上記(9)記載の光触媒を担持した繊維製品、
(11)多重クレイ層の層厚が2nm〜10μmである、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(12)衣類の生地用である、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(13)繊維基材をポリカチオン水溶液に浸漬後、水洗する第1作業と、繊維基材を膨潤性層状珪酸塩の水分散液に浸漬後、水洗する第2作業とを、第2作業が少なくとも2回以上行われるように、交互に繰り返し、第2作業が最終作業となるように処理された繊維基材を乾燥して、少なくとも2層以上のクレイ層を含む多重クレイ層が繊維基材に一体化した複合物を作製する第1工程と、
光触媒が正帯電して分散した光触媒水分散液に前記複合物を浸漬後、水洗し、乾燥、焼結を行う第2工程とを少なくとも有する、光触媒を担持した繊維製品の製造方法、及び
(14)繊維基材が水中で表面が正に帯電する繊維基材であり、第1工程での最初の処理作業が第2作業である、上記(13)に記載の光触媒を担持した繊維製品の製造方法、に関する。
図1は本発明の光触媒を担持した繊維製品(以下、単に「繊維製品」とも略称する。)の一例を模式的に示した断面図である。当該一例の繊維製品100に示されるように、本発明の光触媒を担持した繊維製品は、繊維基材1の少なくとも一部に、複数のクレイ層2を含む多重クレイ層10が静電的に固定され、該多重クレイ層10の最外層のクレイ層2A(2)に光触媒20が静電的に固定されていることを主たる特徴としている。
(クレイ層)
本発明において、多重クレイ層10を構成するクレイ層2は、天然若しくは合成の粘土鉱物からなる薄層であり、通常、天然若しくは合成の膨潤性層状珪酸塩が適用される。該膨潤性層状珪酸塩としては、水中に剥離分散可能なもの(水中で薄層に剥離し得るもの)が使用され、具体的には、スメクタイトや膨潤性雲母が挙げられ、中でも、水中での剥離分散性が良好なモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、膨潤性雲母が好適であり、紫外線遮蔽能力が特に優れる点から、少量(FeOとFe2O3換算で0.05〜4.5重量%程度)の鉄分を含んだ含鉄モンモリロナイトが特に好ましく使用される。また、クレイ層2は水中で膨潤性層状珪酸塩が剥離して得られる厚みが約1μm未満の薄層であり、クレイ層2の一層のみでは、光触媒の酸化力から繊維を十分に保護することが困難であることから、本発明では、少なくとも2層以上の複数のクレイ層2を含む多重クレイ層10を構成する。なお、クレイ層(一層)2の厚みの下限は特に限定はされないが、クレイ層2の厚みが薄すぎると、静電的に正に帯電した繊維表面あるいはポリカチオン層の表面を十分に被覆できず、次のポリカチオン層の積層が不十分になり、その結果、最表面に担持する光触媒層で生じる活性物質から繊維を保護する能力が低下する恐れがあるため、少なくとも約2nm以上を有することが好ましい。
多重クレイ層10は、図1に示されるように、上下各一層のクレイ層2がポリカチオン層3を介して積層された積層部4を少なくとも1つ以上有しており、負に帯電したクレイ層2とポリカチオン層3とが交互に静電的に吸着(接着)して積層体(多重クレイ層10)を構成する。なお、負に帯電したクレイ層2とポリカチオン層3との静電的接着は、静電結合だけでなく、ファンデルワールス力も作用していると考えられる。よって、多重クレイ層10は各層間が比較的高い接着力で接着した、構造的に安定な積層体である。
本発明で使用する光触媒は、光照射(特に紫外線照射)により励起して、酸化還元能力を発揮し、有機物を分解することができる金属酸化物であり、具体的には、酸化チタン(二酸化チタン)、チタン酸、チタン酸塩類、ニオブ酸、ニオブ酸類、チタノニオブ酸類、酸化亜鉛、酸化銅等、遷移金属の酸化物等が例示される。中でも、高い光触媒活性を有する点から、好ましくは酸化チタンであり、二酸化チタンあるいはより低次の酸化状態にあるものがよい。また、酸化チタンは、アナタース型、ルチル型、ブルッカイト型等の種々の結晶型のものを使用できるが、中でも、アナタース型が好ましい。また、本発明において、光触媒(金属酸化物)としては、一次粒子の平均粒子径が1μm未満(すなわち、ナノレベル)であるのが好ましく、特に結晶性が高く、一次粒子の平均粒子径が50nm以下のものが、高い光触媒活性を有する点で好ましい。なお、光触媒(金属酸化物)の一次粒子の平均粒子径の下限は特に限定はされないが、小さすぎると、量子サイズ効果によりバンドギャップが広がって近紫外光を有効利用できなくなって反応効率が低下する恐れがあるため、20nm以上が好ましい。ここでいう「一次粒子の平均粒子径」は、FE−SEM(電界放射走査型電子顕微鏡):日立製作所 S−5000型による電子顕微鏡写真観察下の画像から粒子径を求めた平均値である。なお、一次粒子の平均粒子径が1μm未満の光触媒(金属酸化物)は凝集しやすい傾向にあり、通常、最外層のクレイ層に二次粒子の状態で固定(吸着)される。
本発明における繊維基材は、種々の繊維製品またはその基材として使用される種々の天然繊維及び/又は合成繊維からなる単繊維、撚糸、複合糸、中空糸、短繊維、織物、編物、ネット、不織布、わた等であり、構成繊維は特に限定されない。合成繊維としては、アクリルやモダアクリルなどのアクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などのナイロン系繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリイミド系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ビニロン繊維、ポリウレタン系繊維等が挙げられ、また、天然繊維としては、セルロース系繊維、羊毛、カシミアやアンゴラなどの獣毛、絹等を使用することができる。該セルロース系繊維には、綿、麻、ケナフ、パルプなどの天然セルロース繊維の他、ビスコースレーヨン、キュプラ、アセテートなどの再生セルロース繊維などが挙げられる。
なお、本発明において、「繊維基材の主たる構成繊維」とは、通常、繊維基材全体の50〜100質量%を占める構成繊維のことである。
(1)繊維基材−多重クレイ層複合物の作製
繊維基材をポリカチオン水溶液に浸漬後、水洗する第1作業(ポリカチオン層形成作業)と、繊維基材を膨潤性層状珪酸塩の水分散液に浸漬後、水洗する第2作業(クレイ層形成作業)とを交互に行い、最終の作業をクレイ層形成作業にして全作業を終了し、得られた最終物を自然乾燥する。なお、繊維基材が水中で表面が正に帯電する繊維基材である場合は、最初の作業をクレイ層形成作業(第2作業)とし、繊維基材が水中にて表面が負に帯電する繊維基材である場合は、最初の作業をポリカチオン層形成作業(第1作業)とする。こうすることで、少なくとも2層以上のクレイ層を含む多重クレイ層が繊維基材に一体化した複合物を作製することができる。
まず、遊星攪拌機等を使用し、例えばジルコニアボール等を粉砕用ボールとして使用したボールミルに、ジルコニアボール等の粉砕用ボール、酸化チタン等の光触媒、及び蒸留水を入れ、300〜1000rpmで、所定時間(一般に15〜120分程度)攪拌後、さらに蒸留水を加えて攪拌する作業を繰り返して、光触媒含有量が100g/Lのペーストを調製する。次に、蒸留水に塩酸等を加えてpHを3〜5.5程度に調整した酸性水に、上記光触媒ペーストを適量加えて分散し、光触媒が正帯電して分散した水分散液を調製する。該分散液中の光触媒の含有量は0.05〜5g/L程度が好ましい。光触媒の濃度(含有量)が5g/Lより多いと、剥離しやすくなるとともに歩留まり低下の傾向となり、0.05g/L未満では十分な担持が行えない傾向となる。次にかかる光触媒の水分散液中に前記(1)で作製した繊維基材−多重クレイ層複合物を浸漬した後、水洗し、自然乾燥する。そして、乾燥後、60〜150℃で1〜3時間程度焼結する。なお、ここでの自然乾燥とは、温度15〜30℃程度、湿度20〜80%の環境下で12〜24時間程度放置する処理であり、また、日光を遮った環境下で行う(陰干し)のが好ましい。この時間は、遠心脱水等による脱水操作により短縮することができる。焼結により光触媒が多重クレイ層の最外層のクレイ層に静電的に吸着して固定された、目的の光触媒を担持した繊維製品が得られる。
(実施例1、2及び比較例1、2)
[1]使用材料
1.繊維基材
ウール薄地の織物からなる下記(1)〜(4)の生地を用意した。
(1)生成(エコウォッシュ)未加工品
(2)黒(レギュラー)未加工品
※1 生成(きなり)=漂白・染色されていない生地
※2 エコウォッシュ=オゾン処理されたウール(倉敷紡績(株)社製、商品名)
※3 黒=黒に染色された生地
※4 レギュラー=オゾン処理等の特定処理されていない生地
3.Fe2O3として1.4重量%およびFeOとして0.2重量%を含有する含鉄モンモリロナイト〈月布〉(粘土)
4.ポリアリルアミン塩酸塩水溶液(40重量%)(重量平均分子量:150,000、日東紡績(株)製)
5.塩酸
6.酸化チタン(昭和タイタニウム株式会社製の商品名UFA):リング状超微粒子アナタース型酸化チタン
A.多重クレイ層−繊維基材複合物の作製
(1)繊維基材をエタノールに浸漬させて24h洗浄する。
(2)蒸留水で洗浄し、エタノール分を取り除く。
(3)モンモリロナイト0.1gを1Lの蒸留水に分散し、0.1g/L水溶液を作製する。この溶液に洗浄した繊維基材を15分浸漬する。
(4)蒸留水中で2回洗浄する。
(5)ポリアリルアミン塩酸塩水溶液(40重量%)2.34gを蒸留水1Lで希釈し、10mmol/L水溶液を作製する。この溶液に(4)で得られたモンモリロナイト(クレイ層)が吸着した繊維基材を15分浸漬する。
(6)蒸留水中で2回洗浄する。
(7)(3)〜(6)を繰り返し、10回クレイ層を形成する。
(8)(7)の作業後の10層のクレイ層を有する多重クレイ層が吸着した繊維基材を陰干しする。
(1)酸化チタンペーストの調製
遊星攪拌機を使用する。ジルコニアボールミルに、ジルコニアボール(直径2mm)9g、酸化チタン2g、蒸留水4mLを入れる。もう片方のボールミルの重さも同じになるようにジルコニアボールと水とで重さを調整する。450rpmで15分攪拌する。攪拌が終わったら、蒸留水を4mL加え、また同条件で攪拌する。さらに蒸留水を入れて攪拌を繰り返し、蒸留水が20mLになったところで、100g/Lペーストが完成する。
(2)酸化チタン水分散液の調製
300mLの蒸留水を塩酸でpH4.5に調整し、その溶液中に(1)の酸化チタンペーストを3mL分散し、1g/Lの酸化チタン分散溶液を調製する。
(3)前記A.で作製した多重クレイ層−繊維基材複合物を(2)の酸化チタン分散溶液に15分浸漬し、蒸留水で1回洗浄する。
(4)(3)の作業後の複合物を陰干し、乾燥したら、120℃で2時間焼結させる。
生成(エコウォッシュ)未加工品に上記の光触媒加工を施した。
生成(エコウォッシュ)未加工品をそのまま使用した。
黒(レギュラー)未加工品に上記の光触媒加工を施した。
黒(レギュラー)未加工品をそのまま使用した。
<目的>光触媒機能を発揮するかについて、明暗条件での比較検討。
<方法>1Lのテドラーバッグに試料1gを入れ、硫化水素ガスを所定濃度投入し、光(2時間後まで蛍光灯下、その後、ブラックライトに変更)が有る場合と、無い場合で、残留ガス濃度を検知管にて測定。
<結果>下記表1に示す。
<目的>多重クレイ層の保護作用の有無の確認。
<方法>各試料を殺菌保存庫(UV照射(214nm))内で約1週間実施。放置後の試料について、経糸の強伸度測定を実施。
<結果>下記表2に示す。
実施例1、2(光触媒加工品)の風合いは、官能による触感試験において比較例1、2(未加工品)と比較してほとんど差がなった。また、目視、色感検査などの結果においても比較例1、2(未加工品)と殆ど差がなく、繊維基材の風合いに光触媒加工により影響が殆どないことを確認できた。
2(2A) クレイ層
3 ポリカチオン層
10 多重クレイ層
20 光触媒
100 繊維製品
Claims (14)
- 繊維基材の少なくとも一部に、少なくとも2層以上のクレイ層を含む多重クレイ層が静電的に固定され、該多重クレイ層の最外層のクレイ層に光触媒が静電的に固定されてなることを特徴とする、光触媒を担持した繊維製品。
- 多重クレイ層が、上下各一層のクレイ層がポリカチオン層を介して積層された積層部を1以上形成してなるものである、請求項1記載の光触媒を担持した繊維製品。
- クレイ層が膨潤性層状珪酸塩層である、請求項1または2記載の光触媒を担持した繊維製品。
- 膨潤性層状珪酸塩層がスメクタイト層である、請求項3記載の光触媒を担持した繊維製品。
- クレイ層の層厚が1μm未満である、請求項1〜4のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
- ポリカチオン層がアリルアミン系重合物層である、請求項1〜5のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
- 光触媒が酸化チタンである、請求項1〜6のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
- 繊維基材に、多重クレイ層の最内層のクレイ層が静電的に吸着してなる、請求項1〜7のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
- 繊維基材が、アミド結合を有する繊維を主たる構成繊維とする繊維基材である、請求項8記載の光触媒を担持した繊維製品。
- アミド結合を有する繊維が、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維及び獣毛繊維からなる群から選択される1又は2種以上である、請求項9記載の光触媒を担持した繊維製品。
- 多重クレイ層の層厚が2nm〜10μmである、請求項1〜10のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
- 衣類の生地用である、請求項1〜11のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
- 繊維基材をポリカチオン水溶液に浸漬後、水洗する第1作業と、繊維基材を膨潤性層状珪酸塩の水分散液に浸漬後、水洗する第2作業とを、第2作業が少なくとも2回以上行われるように、交互に繰り返し、第2作業が最終作業となるように処理された繊維基材を乾燥して、少なくとも2層以上のクレイ層を含む多重クレイ層が繊維基材に一体化した複合物を作製する第1工程と、
光触媒が正帯電して分散した光触媒水分散液に前記複合物を浸漬後、水洗し、乾燥、焼結を行う第2工程とを少なくとも有する、光触媒を担持した繊維製品の製造方法。 - 繊維基材が水中で表面が正に帯電する繊維基材であり、第1工程での最初の処理作業が第2作業である、請求項13に記載の光触媒を担持した繊維製品の製造方法。
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