本発明は、テレビジョン受像機、ゲーム機器、パーソナルコンピュータ、情報通信機器、サイネージ等に用いられる表示装置と、音響装置とを備えた映像表示装置に関するものである。
近年、映像業界では、テレビジョン受像機(以下、「テレビ」と略称する)において、プラズマテレビや液晶テレビに代表されるように、これらの映像表示装置の薄型化や省スペース化が要求されてきている。
奥行き寸法が大きかったブラウン管を用いたテレビが主流であった過去の時代では、テレビの前面にブラウン管を配置しても、背面方向に進むにつれて窄んだ形状に形成されているブラウン管背面部の奥行き寸法を活用して容積の大きな音響装置を搭載することが可能であった。従って、前面部の形状がスリムタイプ、すなわち幅が狭いタイプの音響装置でさえあれば、奥行き寸法が大きくとも、テレビに音響装置を搭載する上で、特に問題になることはないものであった。
しかしながら、プラズマテレビや液晶テレビの場合には、その表示モジュール自体の形状が薄いだけでなく、その背面部に余分なスペースを設ける必要がない。しかも、映像を表示するプラズマパネル部や液晶パネル部の面積はできるだけ大きく確保してテレビ等の映像表示装置としての視認性を高めるとともに、それ以外の部分の面積や体積についてはできるだけ小さくして、いわゆる狭額縁化して小型化や薄型化や省スペース化を高めることで、その商品価値を向上させることが要望されている。従って、音響装置を搭載する上で、奥行き方向の容積を活用するのが非常に困難になってきている。よって、これらの映像表示装置に搭載される音響装置についても、小型化や薄型化の市場要求が避けられないのが現状である。
以下、従来の電子機器である映像表示装置および、この映像表示装置に搭載される音響装置について図面を用いて説明する。
図10は、従来の電子機器である映像表示装置の外観を示す斜視図である。図11は、従来の映像表示装置に用いられる音響装置の長手方向の断面図である。プラズマテレビや液晶テレビ等の映像表示装置に用いられる従来の音響装置は、図10に示すように、プラズマパネル部や液晶パネル部の下側面に正面方向を向けてスピーカーシステム37を横長に配置する構成が多用されていた。この場合、スピーカーシステム37の内部には、横長の音響装置の形状に合わせて、横長のスピーカである通常のテレビ用サイズのコーン型のスリム形状スピーカ、すなわち幅が狭いタイプのスピーカが多用されていた。
図11に示すように、従来の音響装置のスピーカーシステム37は、エンクロージャ34とコーン型のスリム形状スピーカ35とにより構成されていた。エンクロージャ34は、前面パネル31と、背面パネル32と、側面パネル(図示せず)により構成されていた。そして、エンクロージャ34の前面パネル31に、内側からコーン型のスリム形状スピーカ35が取付けられて、スリム形状スピーカ35に備えられたターミナルにスピーカコードが結線され、このスピーカコードを内部で空中配線により引回して配線していた。
スピーカーシステム37は、プラズマパネル部や液晶パネル部の下側面に正面方向を向けて配置してもプラズマテレビや液晶テレビ等の映像機器が小型化できるように横長形状に形成されていた。このため、スピーカーシステム37の横長形状に合せられるように、横長のスピーカである通常のテレビ用サイズのコーン型のスリム形状スピーカ35が使用されていた。
コーン型のスリム形状スピーカ35は、着磁されたマグネット41と内磁型の磁気回路44と横長のスリム形状のフレーム46とコーン型のスリム形状振動板47とボイスコイル48とダンパー49とダストキャップ50とから構成していた。
内磁型の磁気回路44は、マグネット41を上部プレート42およびヨーク43により挟み込んで構成されていた。そして、内磁型の磁気回路44を横長のスリム形状のフレーム46の下部と結合し、スリム形状フレーム46の周縁部に、コーン型のスリム形状の振動板47を接着する。そして、コーン型のスリム形状振動板47に、スリム形状振動板47を駆動させるためのボイスコイル48を、結合し、ボイスコイル48をダンパー49にて中心保持して磁気回路44の磁気ギャップ45に、はまり込むように結合し、コーン型のスリム形状振動板47の前面にダストキャップ50を接着していた(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
従来の映像表示装置では、市場要求である小型化や薄型化や省スペース化をある程度実現させることができる構成となっている。しかしながら、商品価値の向上のために、さらなる小型化や薄型化や省スペース化を要求されると、通常のテレビ用サイズのスピーカを使用している以上、従来の映像表示装置では、既に限界に達している。
すなわち、従来の通常のテレビ用サイズのコーン型のスリム形状スピーカは、スピーカの縦寸法と横寸法を小さく設計することは可能である。しかし、コーン型である以上、スリム形状スピーカはある程度の奥行き寸法が必要となる。これにより、スピーカのエンクロージャ寸法を含めると、スピーカが映像表示パネルの奥行き方向の寸法よりも大きくなる。
従って、映像表示装置としての小型化や薄型化や省スペース化を実現させることが困難になる。
特開2008−153716号公報
特開平8−223678号公報
特開平8−251686号公報
特開2005−79809号公報
本発明の映像表示装置は、映像を表示する映像表示パネルと、映像表示パネルの外周部を囲むケースと、ケース内部に設けられ、音を放射する音響装置と、から構成される。音響装置は、映像表示パネルの外周部の上下方向または左右方向に映像表示パネルに沿わせて配置されるとともに、複数の小型のスピーカが直線状に少なくとも2個以上連ねて構成されている。映像表示パネルの外周部を囲むケースには、音響装置の開口部に対応して放音孔が設けられている。音響装置からの発生音は、開口部を介して放音孔から外部へ放音されるとともに、音響装置の奥行き方向の寸法は、映像表示パネルの奥行き方向の寸法と同じか、または小さくして構成している。
図1は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置の断面図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置の斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る音響装置の短手方向の断面図である。
図4は、本発明の実施の形態1に係る音響装置の斜視図である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る音響装置の分解斜視図である。
図6Aは、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置に音響装置を固定した状態を示す正面図である。
図6Bは、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置に音響装置を固定した状態を示す斜視図である。
図7Aは、本発明の実施の形態1に係る音響装置の他の配置例における正面図である。
図7Bは、本発明の実施の形態1に係る音響装置の他の配置例における斜視図である。
図8は、本発明の実施の形態2に係る映像表示装置の断面図である。
図9は、本発明の実施の形態2に係る映像表示装置の斜視図である。
図10は、従来の映像表示装置の斜視図である。
図11は、従来の映像表示装置に用いられる音響装置の長手方向の断面図である。
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施形態である、実施の形態1について図面を用いて説明する。薄型の映像表示装置としては、プラズマテレビや液晶テレビなどが挙げられる。本実施の形態における映像表示装置は、映像表示パネルの下辺に音響装置が設けられる場合について説明する。
ここで、この音響装置は、その長手方向が、映像表示パネルの下辺に沿うように配置され、小型のスピーカが複数個並んで配置されたものである。尚、以降の説明では、小型のスピーカの数量を8個連ねて配置した場合を例に挙げて説明し、本発明における小型のスピーカについては、小型スピーカ、マイクロスピーカまたは単にスピーカと略称する。本実施例では、小型スピーカの振動板が振動する際の振幅方向(以下、「振動板の振幅方向」と略記する)は、映像表示パネルの映像表示面に対し、実質的に平行または、実質的に直交方向となるように配置されている。なお、以降の説明では、小型スピーカの振動板の振幅方向が、映像表示パネルの映像表示面と実質的に直交方向である場合について説明する。この場合、特に、映像表示装置の狭額縁化が一層実現可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置60の断面図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置60の斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る音響装置7の短手方向の断面図を示したものである。図4は、本発明の実施の形態1に係る音響装置7の斜視図である。図5は本発明の実施の形態1に係る音響装置7の分解斜視図である。
図1から図5に示すように、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置60は、映像表示パネル61とケース62と音響装置7とで構成されている。
図1に示すように、映像表示パネル61は、映像表示装置60の中央部に配置されており、映像を表示する。映像表示パネル61は平板状であり、例えばプラズマディプレイパネルや、液晶パネルなどである。ケース62は、映像表示パネル61の外周部を囲むフレーム状の部材であるフロントキャビネット部(額縁部)と、映像表示パネル61の背面を覆うバックキャビネット部からなる。また、フロントキャビネット部は、音を放音する音響装置7を収納できる構造となっている。音響装置7は、複数個の小型スピーカ5が、映像表示パネル61に沿って直線状に連なって構成されている。そして、音響装置7は、映像表示パネル61の外周部の下方向に配置されている。また、音響装置7には、一例として8個の小型スピーカ5が収納されている。音響装置7の具体的な構成については、図3、図4、および図5を用いて、後に詳しく説明する。
上記の額縁部の前面側には放音孔63が設けられる。また、額縁部内には、音響装置7を収納する収納部分が設けられており、額縁部の下方から音響装置7を挿入することにより、音響装置7は額縁部に固定される。そして、放音孔63は、このようにして固定された音響装置7の開口部に対応して設けられている。すなわち、図2に示すように、音響装置7は、映像表示パネル61の前面側、かつ映像表示パネル61の外周部の外側に設けられることとなる。このような構成により、音響装置7の小型スピーカ5からの発生音は、音響装置7のスリット状の開口部1aと映像表示装置60のスリット状の放音孔63を介して、映像表示装置60の外部へと放音される。尚、本実施の形態において、映像表示装置60の放音孔63の形状は、1つの長方形形状としたが、1つの長円形状、または長方形形状、円形状あるいは長円形状などの複数の孔を直線状に並べて形成した形状であってもよい。
放音孔63を映像表示パネル61の下側に設けることにより、視聴者の耳に近い位置を確保することができ、さらに映像表示装置60の放音孔63を左右側それぞれ一対に設けることにより、良好な音質とステレオ再生を可能としている。
音響装置7の奥行き方向の寸法は、映像表示パネル61の奥行き方向の寸法より小さくしている。これにより、音響装置7とケース62の背面との間に隙間を形成することができる。したがって、この隙間には、音響装置7をケース62へ固定するための固定部材等を、配置することができるため、映像表示装置60を薄型化することが可能となる。尚、音響装置7の奥行き方向の寸法は、映像表示パネル61の奥行き方向の寸法と同じであってもよい。
本実施の形態において、小型スピーカ5の振動板27の振幅方向は、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に直交方向にしている。つまり、小型スピーカ5は、振動板27の前面(図1における振動板の上方)側が映像表示パネルの下端面側を向く方向に配置され、小型スピーカ5は、主に振動板27の前面側の方向へ放音された音を放音孔63から映像表示装置60の外部へと放音する構成としている。
ここで、振動板27の背面側では、前面側へ放音される音の逆位相成分の音が発生し、振動板27の背面側の方向へ放音された音は、ケース62の内部へ放音され、可能な限り映像表示装置60の外部へ漏れ出さないようにしている。この構成とすることにより、振動板27の背面側で発生した逆位相成分の音が、前面側に回り込むことを抑制することができ、振動板27の前面側へと放音された音と、振動板27の背面側へと放音された逆位相成分の音とが、混ざってしまうことを抑制することができる。従って、音圧レベルの低下等の悪影響を及ぼすことを防止することができ、特性や音質の良好な音を再生することができる。
以上のような構成とすることにより、映像表示装置60の放音孔63からの放音が可能となるので、映像表示装置60の狭額縁化が可能となる。さらに音質的に優れた映像表示装置60を得ることができるので、高性能な映像表示装置60の小型化、薄型化や省スペース化を実現させることができる。
図1、および図2に示すように、本実施の形態における小型スピーカ5は、振動板27の前面側が映像表示パネル61を向く方向で配置されている。これにより、音響装置7の放音孔63は映像表示パネル61へ近づけて配置しやすくなり、映像と音響の一体化を向上させ、リアリティーの高い映像と音響を提供することができる。
なお、小型スピーカ5は、振動板27の背面側が映像表示パネル61を向く方向に配置しても良い。この場合、音響装置7の放音孔63は、小型スピーカ5の振動板27の前面側に配置される。したがって、音響装置7の放音孔63の位置は、映像表示パネル61から離れた位置になる。このように、小型スピーカ5の搭載方向は、適宜変化させることができるので、映像表示装置60の全体的なデザインの自由度を向上させることができる。
次に、図3に示す音響装置7と小型スピーカ5の構成について説明する。
本実施の形態における小型スピーカ5の磁気回路24は、内磁型であり、着磁されたマグネット21を上部プレート22およびヨーク23により挟み込んで構成されている。フレーム26は、横長のスリム形状をなしており、磁気回路24と結合されている。また、振動板27も、スリム形状をなしており、フレーム26の周縁部に接着されている。ボイスコイル28は、振動板27に結合され、振動板27を駆動するとともに、磁気回路24の磁気ギャップ25に、はまり込むように結合して構成されている。
また、音響装置7において、小型スピーカ5の振動板27の前面には、音響装置7の前面パネル1が設けられ、一方、これと反対側には音響装置7の背面パネル2が設けられ、この背面パネル2には配線手段6が設けられている。さらに、小型スピーカ5の側面には、小型スピーカ5を囲むように側面パネル3が設けられ音響装置7を構成している。音響装置7には開口部1aが設けられ、開口部1aは振動板27で発生した音を放音するために形成されたものであり、本実施の形態では、開口部1aは、振動板27の前面側方向にスリット状に形成されている。すなわち、音響装置7の開口部1aは、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に平行面上に構成している。一方、振動板27の背面側の方向には、スリット状の開口部2aが設けられている。尚、本実施の形態において、スリット状の開口部1aおよびスリット状の開口部2aは、ともに側面パネル3に設けられている。
ターミナル29は、小型スピーカ5へ信号を供給する端子であり、ボイスコイル28に結合されている。ターミナル29は、背面パネル2に設けられた孔に挿入され、配線手段6と結合され、これにより、映像表示装置60の内部に設けられたアンプ(図示せず)から出力された音声信号は、配線手段6を介して小型スピーカ5へ供給される。
本実施の形態において、配線手段6はプリント基板によって形成されており、この配線手段6上には8個の小型スピーカ5が装着されている。そして、ターミナル29と配線手段6との間の電気的な結合方法は、はんだ付け等の結合手段により結合されている。このターミナル29と配線手段6との間のはんだ付け接続は、例えばリフローはんだ付けなどにより、一括に行うことができ、このため、8個という多数個の小型スピーカを使用しても、生産性の向上を実現させることができる。尚、小型スピーカ5の外形形状は、長方形形状、トラック形状、楕円形状のうちのいずれかの形状であれば良い。さらに、スピーカを直線状に連ねて配置する方向は、スピーカの長手方向とする。これにより、多数個の小型スピーカ5を直線状に連ねて配置しても、音響装置7の形状を映像表示装置60の狭額縁化を図りやすい形状にすることができる。
以上の構成とすることで、小型スピーカ5は、従来の通常のテレビ用サイズのコーン型のスリム形状スピーカと比較して、縦寸法、横寸法、全高寸法とも極端に小さくすることができる。さらにその構造上、平面状の振動板27を使用していることと、ダンパーを使用しない構成であるため、特にスピーカ5の全高寸法を小さくすることができ、従って、音響装置7の全高寸法も小さくすることができる。
そして、このようにして全高寸法を小さくした音響装置7は、振動板27の振幅方向が、映像表示パネルの映像表示面と直交するように配置されることにより、映像表示装置の狭額縁化を図ることに大きく貢献し、映像表示装置の小型化や薄型化や省スペース化を実現することができる。また、平面状の振動板27を使用していることで、コーン型の振動板に比べて、音響装置7の前面パネル1との間に設けられた前面方向のスリット状の開口部1aの形状に凹凸がほとんど発生することがない。従って、音響装置7の周波数特性や音質を劣化させる要因である前室効果や回折効果等の悪影響を低減させることができる。
以上、音響装置7の小型スピーカ5の振動板27の振幅方向が映像表示パネル61の映像表示面と直交するように構成した場合について説明したが、これに限定されることなく、小型スピーカ5の振動板27の振幅方向を、映像表示パネル61の映像表示面と平行方向に構成しても良い。この場合、映像表示装置60の狭額縁化における効果は僅かながら低減する。しかし、小型スピーカ5の振動板27から発生した音は、スリット状の開口部を通過させることなく直接外部に放音されるため、前室効果が発生しなくなる。従って、より良好な特性と音質を得ることができる音響装置7を実現することができる。
次に、映像表示装置60のケース62内部に設けられた音響装置7の詳細について説明する。
音響装置7は、図3、図4および図5に示すように、前面パネル1と背面パネル2は、ともにスピーカ5の振動板27と対向して設けられ、振動板27を挟み、互いに振動板27の反対側の方向に配置されている。また、側面パネル3は、前面パネル1と背面パネル2とを結合している。そして小型スピーカ5は、これら前面パネル1、背面パネル2、側面パネル3で形成された音響装置7の中心部に配置されている。尚、本実施の形態では、8個の小型スピーカ5が直線状に連ねて配置されて、音響装置7内へ収納されている。ここで、個々のスピーカ5には、それぞれ個々のスピーカ5を分離するための仕切り5aが設けられ、これにより、個々のスピーカ5から放音された音は、互いに干渉が生じにくくなる。
その結果、良好な特性と音質を実現することができる。音響装置7には、第1の開口部としてのスリット状の開口部1aと、第2の開口部としてのスリット状の開口部2aとが形成され、開口部1aは、振動板27の前方側において、前面パネル1に対して直角方向に形成されている。これにより、前面パネル1の方向では、スピーカ5の振動板27の振幅方向と直角方向に放音される。
一方、音響装置7の開口部2aは、振動板27の背面側において、背面パネル2に対して実質的に直交方向に形成され、前方側の放音方向と反対方向に放音されるように形成されている。そして、音響装置7の開口部1aの方向に放音された音と、音響装置7の開口部2aの方向に放音された音とは、音響装置7の内部では混ざらないように完全に分離できる構成としている。
このようにして、音響装置7の内部の空間を確実に分離し、スピーカ5の振動板27における前面パネル1の方向と背面パネル2の方向に、それぞれ放音された音が、混ざらないようにしている。すなわち、図3および図4に示すように、音響装置7において振動板27の前面側へ放出された音と、振動板27の背面側へ放出された音とは、それぞれ反対方向(図3、図4における矢印に示す方向)に放音される。さらに、音響装置7の内部においても、振動板27の前面側へ放出された音と、振動板27の背面側へ放出された音とは、それぞれ反対方向に放音されるため、これにより、振動板27の前面側へ放出された音と、振動板27の背面側へ放出された音とが混ざらないように確実に分離することができる。
このように、前面パネル1に対して直角方向に音響装置7の開口部1aが形成されているので、前面パネル1の方向では、スピーカ5の振動板27の振幅方向に対して、直角方向に放音される。従って、スリムな形状で、かつ小型化や薄型化を実現した音響装置7を実現することができる。
一方、背面パネル2と直角方向に音響装置7の開口部2aが形成されるので、背面パネル2の方向では、前面パネル1の放音方向と反対方向に放音されるようになる。これにより、スピーカ5の振動板27の前面に放音された音と、背面に放音された音とを音響装置7の内部で確実に分離することができる。従って、背面からの逆位相成分を有する音が、前面に回り込むことによる悪影響を防止できるので、良好な音質を実現させることができる。
これは、以下の理由によるものである。すなわち、音響装置7を映像表示パネル61の辺に沿わせて配置した場合、前面パネル1の音響装置の開口部1aから放音される音は、映像表示パネル61の表示方向と同じ方向に放音される。一方、音響装置7の開口部2aから放音される音は、音響装置7の開口部1aから放音される音と反対方向に放音される。
この構成により、この音響装置7の開口部2aから放音された音は、映像表示装置60の内部に放音されることとなり、音響装置7の開口部2aから放音された音は、映像表示装置60の内部に取込まれることになる。これにより、音響装置7の開口部2aから放音された音が、音響装置7の開口部1aから放音された音と混ざることがなく、音響装置7の開口部1aから放音された音に対して、悪影響を及ぼすことがなくなるためである。
仮に、映像表示装置60の内部構造が完全な密閉構造ではなく、通気性を有する構造であったとしても、十分なる効果を得ることができる。この理由としては、音響装置7の開口部1aと音響装置7の開口部2aから放音される音は、それぞれ正反対の方向に放音されているため、背面からの逆位相成分を有する音が前面に回りこんで悪影響を及ぼすのを大きく低減させることができるためである。さらに、個々のスピーカ5には、隣接して配置されたスピーカ5同士の間を仕切る仕切り5aを設けている。これにより、互いのスピーカ5から放音された音同士が相互に干渉して、特性や音質に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。従って、良好な特性や音質を実現させることができる音響装置7を提供することができる。
以上のように、この音響装置7は、スピーカ5の振動板27の振幅方向と直角方向に放音できる音響装置の開口部1aを設け、この音響装置の開口部1aから映像表示パネル61の表示方向と同方向に放音できるようにするために、映像表示パネル61の辺に沿わせて配置されている。この構成とすることにより、より一層、映像表示装置60の小型化を実現することができる。
次に、この音響装置7について、より詳細に説明する。本実施の形態における音響装置7の長手方向(縦方向)の外形寸法は、セットへの取付け手段を含めると、約160mmである。一方、音響装置7の奥行き方向の寸法となる短手方向(横方向)の外形寸法は、約10mmであり、20mm以下とすることができ、従来にない小型化を実現することができる。ここで、音響装置7の内部には、全高寸法が約2mmの小型スピーカ5を用いており、小型スピーカ5の全高寸法を5mm以下とすることができ、従来にない薄型化を実現することができる。
また、全高寸法である厚み方向に設けられたスリット状の開口部1aやスリット状の開口部2aの短径方向の幅寸法は約1.5mmであり、2mm以下とすることができ、従来にない薄型化を実現することができる。そしてこれにより、音響装置7の全高寸法(すなわち厚み方向の外形寸法)は、約7mmとしている。特に、内部に設けられた小型スピーカ5の全高寸法を5mm以下とし、音響装置7の奥行き方向の寸法となる短手方向(横方向)の外形寸法もしくは、全高寸法を、20mm以下としている。
このように構成することで、従来の通常のテレビ用サイズのコーン型のスリム形状スピーカを使用した音響装置と比較して、映像表示装置60の小型化を実現させることができる。さらに、映像表示装置60の放音孔63を映像表示パネルの辺に沿わせて配置させ、スリット状の放音孔63の短径方向の寸法を、スリット状の開口部1aやスリット状の開口部2aの短径方向の幅寸法の約1.5mmに合わせて2mm以下とすることで、映像表示装置60の放音孔63の短径寸法は、映像表示装置60の高さ方向の寸法の1%以下とすることができる。すなわち、本実施の形態に係る映像表示装置60においては、放音孔63の短径寸法は、ケース62の高さ方向の寸法の1%以下とすることができる。これにより、より一層、映像表示装置60の狭額縁化が可能となり、小型化を実現させることができる。
また、映像表示装置60の放音孔63、音響装置7の開口部1aの幅は、非常に細いため、例え子供が指を入れようとしたとしても、指が振動板などへ到達することはない。従って、誤って振動板を変形させてしまうようなことも防止することができる。それに加えて、本実施の形態ではフレーム26、側面パネル3、ケース62が重なり、3重構造となるため、振動板27やスピーカ5は、この3重構造によって外力から防護されるので、落下など衝撃に対しても破壊や変形を防止することができる。そして、音響装置7には、これらの小型スピーカ5を結線するための配線手段6を設けて構成している。
ここで、音響装置7は、背面パネル2上に配線手段6を配置し、配線手段6上に8個の小型スピーカ5を直線状に連ねて配置させて構成している。尚、本実施の形態において、配線手段6には、プリント基板を用いており、このプリント基板上に形成されたプリント配線によりスピーカ5を電気的に接続している。
このように、スピーカ5は、プリント基板に配線されたプリント配線によって、接続されるので、ごく僅かな厚みで配線することができる。このような構成とすることにより、スピーカコードを空中配線してスピーカを接続する従来の方法に比べて、スピーカコードをなくすことができるので、少なくともこのスピーカコード分の薄型化を図ることができる。さらに、配線手段6として、フレキシブルプリント基板を使用した場合、さらに配線手段6を薄くできるので、音響装置7のさらなる薄型化を図ることができる。
ここで、音響装置7にて再生できる周波数帯域は、主に中高音域であり、低音域の再生が必要な場合は、別途、低音域再生専用の音響装置を映像表示装置60内に内蔵させることにより、全周波数帯域を十分に再生できる映像表示装置60を実現することが可能となる。
なお、低音域の音の指向性は非常に広いため、低音域再生専用の音響装置は、指向性の狭い中高音域再生専用の音響装置のように映像表示装置の前面部に設ける必要はない。例えば、映像表示装置60のケース62内部で、かつ映像表示パネル61の背面に配置する等によって搭載しても、十分に低音の再生が可能である。従って、低音域再生専用の音響装置は、映像表示装置60の内部の空きスペースを有効に活用して配置できるので、映像表示装置60の小型化を妨げることも少ない。もちろん、低インチサイズの映像表示装置等では、低音域再生専用の音響装置を特に設けずに使用することも可能である。
音響装置7に取付ける小型スピーカ5については、通常携帯電話等に使用されるマイクロスピーカと呼ばれる種類のスピーカを使用している。このマイクロスピーカと呼ばれる種類の小型スピーカ5は、携帯電話用として、専用の自動化量産設備により数多く生産されている。従って、その量産効果により1個あたりの価格が、従来の映像用のスピーカに比べて非常に安価であり、多数個使用しても音響装置7の価格を抑制することができる。
また、このマイクロスピーカを用いた小型スピーカ5は、従来の映像用のスピーカと比べて、耐入力が小さい。そこで、このような小型スピーカ5を多数個使用することにより、必要な耐入力を実現している。
さらに、ボイスコイル28の寸法もできるだけ大きく設定して、振動板27の外周部近傍に結合している。このような構成とすることにより、ボイスコイル28の放熱性を良好にできるので、必要な耐入力を実現することができる。そして、振動板27の外周部近傍にボイスコイル28を結合することにより、振動板27の縦長方向の両端部の振幅における位相を、ボイスコイル28と同位相にすることができる。
このような構成とすることにより、小型スピーカ5の音の歪を低減させ、安定した音圧周波数特性を実現することができる。
また、ここでは振動板27をフレーム26の周縁部に支持するためのエッジは、振動板27と異なる材料を用いて構成している。そして、エッジには柔軟性に富む弾性体材料を用い、さらに、振動板27をインサートし、エッジと一体成形することにより、小型スピーカ5を高耐入力化することができる。このようにして、低域を拡大させる方向に広帯域再生化を実現できる小型スピーカ5を得ることができる。
ここでは、取付ける小型スピーカ5の数量として、8個連ねて配置した場合について説明したが、これに限定されることなく、2個、4個、6個、10個、12個、16個、20個、30個というように自由に設定することが可能である。
本実施の形態における映像表示装置60は、テレビジョン受像機であるプラズマテレビや液晶テレビを例に説明したが、本願における音響装置7は、ゲーム機器、スマートホン、タブレット型の携帯情報端末や携帯電話に代表される情報通信機器等に用いても良い。これらの中で情報通信機器やゲーム機器等の比較的小型の映像表示パネルを用いた機器には、2個や4個程度のスピーカの数量とすることにより、より一層小型化、薄型化を実現することがで、音響特性とサイズや価格のバランス面において最適な状態とすることができる。
また、タブレット型の携帯端末や、パーソナルコンピュータなどのように中型のサイズの映像表示パネルを用いた機器には、4個や6個程度のスピーカの数量とすることにより、音響特性とサイズや価格のバランス面において最適な状態とすることができる。さらに、テレビジョン受像機であるテレビ用や、広告や宣伝等に使用されるサイネージ用の映像表示パネル用には、8個や10個さらにはそれ以上のスピーカの数量とすることで、音響的にスケールの大きなサービスエリアを実現することができ、音響特性とサイズや価格のバランス面において最適な状態とすることができる。以上のように、音響装置7が使用される機器の大きさに応じ、適宜そのスピーカ5を連結する個数を選択すればよい。
従って、音響装置7が搭載される映像表示装置60は、上述の機器だけに限定されるものではなく、映像が表示される装置であれば全てに適用することができるものである。そして、そのような映像表示装置60に対して音響装置7を搭載すれば、映像表示装置の小型化や薄型化や省スペース化を実現することができる。そして、直線状に連ねて配置させて構成し、配線する最小単位の数量として、最低限2個あればよい。特に、偶数個連ねて構成させることで、各々のスピーカの直並列接続の組合せが容易になる。
このような構成とすることにより、音響装置7の全体を規定のインピーダンスに設定することが容易になり、従って、生産性を向上させることができる。
この音響装置7に取付ける小型スピーカの数量は、搭載されるテレビの許容寸法や、音響装置に要求される耐入力や、必要な音量を満足させるための音圧レベルを確保できる数量を考慮して設定すればよい。
以上のように、小型スピーカ5を直線状に連ねて配置させて構成することにより、音響装置7としてテレビなどの映像表示パネル61の両側面に搭載しやすい寸法を実現することができる。
本実施の形態において、小型スピーカ5の外形形状は長方形としているが、これは他の形状でもかまわない。例えば、長方形やトラック形や楕円形の小型スピーカ5を用いても良い。
近年の携帯電話等の情報通信機器の小型化やコンパクト化に伴って、長方形を含むスリム形状(トラック形や楕円形)が主流になりつつあるため、小型スピーカの形状については、既存の小型スピーカであっても豊富に存在し自由に選択が可能である。従って、トラック形や楕円形の外形形状を有する小型スピーカを使用しても、同様の効果を得ることができ、搭載する映像表示装置のデザインや音響装置のデザインおよび特性や音質に合わせて自由に選択が可能である。
このような構成とすることにより、その量産効果により、スリム形状の小型スピーカ5は安価に入手が可能であり、これらのスリム形状のマイクロスピーカを使用すれば、映像表示装置60の低価格化を実現することができる。
以上、音響装置7に使用される小型スピーカ5の種類として、動電型である小型のマイクロスピーカを使用した場合について説明した。
しかし、本願における音響装置7に使用される小型スピーカ5は、これに限定されることなく、圧電型や静電型等、小型かつ薄型であればどのような種類のスピーカであっても良い。これらの場合でも、動電型のマイクロスピーカを使用した場合と同様の効果を得ることができる。次に、スピーカ5の振動板27の前面に放音された音と背面に放音された音とを分離する方法について説明する。
スピーカ5の外形形状を、長方形として、この長方形の外形形状を持つスピーカ5を直線状に結合するとともに、さらにこの結合されたスピーカ5全体の外周部に側面パネル3を結合することで、前面に放音された音と背面に放音された音とを分離している。このとき、空気漏れをなくす目的で、接着剤やシーリング剤を併用することで、より一層空気漏れをなくすことができ、良好な音質を実現することができる。
また、スピーカ5の外形形状が、トラック形や楕円形の場合には、これらのスピーカを取付けるためのバッフル板をさらに設けて構成することで、簡単に空気漏れをなくすことができ、良好な音質を実現することができる。すなわち、トラック形や楕円形のスピーカをバッフル板に取付け、このバッフル板を、側面パネル3に結合することで、前面に放音された音と背面に放音された音とを確実に分離することができる。そして、この場合も同様に、空気漏れをなくす目的で、接着剤やシーリング剤を併用することで、より一層空気漏れをなくすことができ、良好な音質を実現することができる。
さらに、個々のスピーカ5を仕切るための仕切り5aが設けられていることから、互いのスピーカ同士が相互に干渉して、音質や特性に悪影響を及ぼすこともなく、良好な音質や特性を実現することができる。この仕切り5aについては、前面パネル1の開口部1a側と、背面パネル2の開口部2a側の両側に形成することで、個々のスピーカ5を完全に仕切ることができる。
また、背面パネル2をプリント基板で構成する場合には、仕切り5aを前面パネル1のみに形成しても良い。そして、スピーカ5のフレーム26と前面パネル1に設けられた仕切り5aを密着させることで、個々のスピーカ5を完全に仕切ることができる。一方、この場合、背面パネルの方向には仕切り5aが設けられていないため、フレーム26を仕切りとして代用して、フレーム26の側面に放音孔を設けて、前面に放音された音と反対方向に放音させることで同様の効果を得ることができる。
さらに、別の方法として、前面パネル1または背面パネル2のいずれか一方に、スピーカ5の全高寸法以上の仕切りを設けて、この仕切りの中にスピーカ5を挿入する構成としても良い。この仕切り5aについては、前述の構成通り個々のスピーカ5の全てに、それぞれ仕切り5aが設けられることがスピーカ同士の相互干渉防止の観点から望ましい。しかし、これに限定されることなく、スピーカ5の2個ずつを一組として仕切りを設けたり、背面パネル2側の仕切りを減らしたり、また、一部または全部をなくしたりと所望の特性や音質に応じて対応することで、コストパフォーマンスを向上させることができる。
さらに、図3では、スピーカ5のヨーク23と背面パネル2との間に隙間を設けた構成としているが、ヨーク23と背面パネル2とを密着させて結合し、フレーム26の側面部に放音孔を設けて、背面側に放音する構成としても良い。この構成とすることで、スピーカ5のヨーク23と背面パネル2との間の隙間と、背面パネル2側の仕切りをなくすことができ、さらなる薄型化と低コスト化を実現することができる。
また、前面パネル1を側面まで延長させて側面パネル3を構成し、前面パネル1と側面パネル3とを同じ材料で一体化して構成して、側面パネル3をスピーカ5のガイドとして使用することで生産効率を向上させる構成としても良い。
次に、スピーカ5および音響装置7の外形や寸法の詳細について説明する。音響装置7の外形形状については、映像機器であるプラズマテレビや液晶テレビの映像表示パネルの両側面や上下面に配置させることを前提に考えれば、細長い長方形の形状とすることが望ましい。
そして、現在、汎用的に携帯電話等に使用されている小型のマイクロスピーカと呼ばれる種類のスピーカは、外形が長方形の形状である場合には、横寸法が約9mmで、縦寸法が約16mmで、厚み方向すなわち全高寸法が約3mm程度のマイクロスピーカが主流である。このようなスピーカの外形寸法であれば、スピーカを多数個連ねて細長い長方形形状の音響装置7を構成するのに都合が良い。この汎用的なマイクロスピーカを使用して、音響装置7を構成すると、スピーカを8個使用して長手方向に直線状に連ねて配置させた場合は、音響装置7の外形寸法のうちの短手方向である横方向の外形寸法が約10mmとなり、小型化を図ることができる。そして、長手方向である縦方向の外形寸法がセットへの取付手段を含めると、約160mmとなり、スリム化を図ることができる。
ここで、セットへの取付手段は、音響装置7の長手方向の両端に設けられ、孔や切欠きとしている。一方、音響装置7の外形寸法のうちの厚み方向の外形寸法、すなわち全高寸法については、約7mmとすることができ、薄型化を図ることができる。
以上の構成とすることで、音響装置7の外形寸法のうちの長手方向である縦方向の外形寸法と短手方向である横方向の外形寸法とのアスペクト比を10以上とすることができ、従来にない高アスペクト比で薄型化を可能とする音響装置7を実現することができる。そして、以上のように小型マイクロスピーカを8個使用して、長手方向に直線状に連ねて配置させ、前面パネル1の方向に、スピーカ5の振動板27の振幅方向と直角方向に放音できるように開口部1aを形成し、この開口部1aを正面方向に向けて配置することで、スリム形状で、小型化や薄型化を実現することができる。
また、背面パネルの方向では、前面パネルの放音方向と反対方向に放音できるように開口部2aを形成して構成することで、スピーカ5の振動板27の前面に放音された音と背面に放音された音とを確実に分離して、背面からの逆位相成分を有する音が前面に回りこんで悪影響を及ぼすのを防止することができるため、音圧レベルの低下を防止し、低歪で、良好な音質を実現することができる。さらに、開口部1aや開口部2aを防塵ネットで覆って構成することで、開口部1aや開口部2aの内部に細かい塵や埃が浸入して、異常音を発生する等の動作不良を防止することができ、品質や信頼性を向上させることができる。
また、この防塵ネットの開口率を選択することにより、通気性を調整することができるため、スピーカ5に与える音響負荷を調整することで、音響装置7の音質や音圧周波数特性を自由に調整することができる。特に、スピーカ5の振動板27の背面に放音される音に対して、音響負荷を与えて音響装置7の音質や音圧周波数特性を調整することで、精度の高い音質の調整が可能となり、背面からの逆位相成分を有する音が前面に回りこんで悪影響を及ぼすのを一層防止することができるため、音圧レベルの低下防止や低歪化等の大きな効果を発揮させることができる。
以上、スピーカ5および音響装置7の詳細について説明したが、次に、音響装置7を映像表示装置60のケース62内部に固定する方法について説明する。
図6Aは、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置60に音響装置7を固定した状態を示す正面図である。図6Aは、映像表示装置60内部から映像表示装置60の前面に向かって固定の様子を表した図である。図6Bは、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置60に音響装置7を固定した状態を示す斜視図である。
図6A、6Bに示すように、本実施の形態において音響装置7は、映像表示装置60のケース62に対して、ケース内側から弾性体であるクランパ70によって加圧することにより固定している。クランパ70には、押圧部70aと音響装置7に押圧される端部70bが設けられている。この押圧部70aを押すと、クランパ70による音響装置7の押さえつけ状態が解除される。
また、映像表示装置60のケース62内部に、音響装置7を定位置に位置決めするための位置決めピン71を設けている。そして、位置決めピン71を音響装置7のセットへの取付手段である孔や切欠きに嵌合させ、位置決めさせて背面方向からクランパ70によって加圧固定することで、音響装置7を位置ずれが発生することなく精度良くケース62の内部に固定することができる。もちろん、本来の搭載方法である音響装置7のセットへの取付手段である孔や切欠きを用いてビス締めにより取付ける方法としても良いが、取付け用のビスの削減や、ビス締めによる生産工数の削減を目的として、弾性体であるクランパ70により加圧固定する方法としている。
従って、ここでは音響装置7のセットへの取付手段である孔や切欠きは、位置決めピン71を挿入するために用いており、このようにすることで音響装置7を位置ずれが発生することなく精度良く、かつ生産効率良くケース62の内部に固定することが可能となる。
ここで、弾性体であるクランパの材料としては、ポリオキシメチレンやポリアセタール(POM)を使用している。これらの材料を使用することで、弾性体であるクランパ70の寸法安定性を向上させ、耐熱性や機械的強度を高めることができるため、クランパ70を使用した音響装置7のケース62内部への加圧固定の精度を高め、安定性を向上させることができ、品質や信頼性を向上させることができる。そして加圧時には、約400gの加重で音響装置7を、映像表示装置60のケース62内部に加圧して固定している。このように、ケース62の内側から弾性体であるクランパ70により約400gの加重で、音響装置7を挟み込むように固定している。したがって、常時加圧状態を維持させることができ、音響装置7をケース62に強固に固定することができる。
さらには、音響装置7が音を発生したときに生じる振動の低減や吸収も実現することができるので、ビリツキ音等の異常音や歪の発生を防止することができる。ここで、弾性体であるクランパ70による加重は、300g以上で、かつ500g以下とすることが望ましい。クランパ70による加重を、300g以上で、かつ500g以下に設定することで、音響装置7を最適な状態でケース62へ加圧することにより、音響装置7に変形を伴うような大きな負荷をかけることなく、常時最適な加圧状態を維持させることができる。同時に、音響装置7が音を発生したときに生じる振動の低減や吸収も十分に実現することができるので、ビリツキ音等の異常音や歪の発生も防止しながら、音響装置7をケース62に強固に固定することが可能となる。
一方、クランパ70による加重が300gより小さい場合には、音響装置7をケース62に強固に固定することができず不安定な状態となり、また音響装置7が音を発生したときに生じる振動の低減や吸収も十分に実現することができなくなる。さらに、クランパ70による加重が500gより大きい場合には、音響装置7に変形を伴うような大きな負荷となり、変形によりケース62との間に隙間が生じやすくなるため、この隙間からの音漏れにより、音質劣化や歪の発生の原因となる。
そして、クランパ70の材料として、耐熱性や機械的強度の高いポリオキシメチレンやポリアセタール(POM)を使用していることで、ヒートショックによる劣化や経年劣化が非常に少なく、長期的に安定した加圧固定を実現することができるため、長期間にわたり品質や信頼性を向上させることができる。
この構成とすることで、取付け用のビスを数点削減することができ、さらに、ビス締めによる生産工数も削減することができ、映像表示装置60の低価格化を実現することができる。
なお、映像表示装置60の映像表示パネル61の下辺に音響装置7の長手方向を沿わせて配置した場合について説明した。しかし本願における構成は、これに限定されることなく、図7A、および7Bに示すように、音響装置7を映像表示パネル61の左右それぞれ一対に設けても良い。この場合、放音孔は、映像表示パネル61の左右側に設けられることとなる。このように音響装置7を映像表示装置60の左右側に配置することによって、音響装置7を映像表示パネル61の下方に配置した場合と同様に、映像表示装置60の狭額縁化を実現させることができる。またこの場合、映像表示装置60の上下方向の寸法を小さくすることができ、さらに、左右それぞれ一対に設けられた音響装置7の距離を大きく確保することができるため、ステレオ再生時のチャンネルセパレーションを良好化させることができるという効果も有している。
(実施の形態2)
実施の形態1においては、映像表示装置60は、映像表示パネル61の下辺に音響装置7が設けられる例であった。これに対し、本実施形態においては、図8、および図9に示すように、映像表示装置60aは、音響装置7が映像表示パネル61の背面で、かつ映像表示パネル61の外周部より内側に配置される。すなわち、音響装置7は、映像表示パネル61の背面で、映像表示パネル61の下方近傍に、その長手方向が、映像表示パネル61の下辺に沿うように配置される。つまり、小型のスピーカ5が映像表示パネル61の下辺に沿うように複数個並んで配置される。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同等な構成には、同等な符号を付加し、説明を省略する場合がある。また、音響装置7は、図6Aで示す位置決めピン71と、ケース62の固定箇所に設けられたネジ穴を用いてネジ止めすることでケース62に固定される。
小型スピーカ5の振動板27の振幅方向は、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に平行方向または実質的に直交方向となるように配置可能であるが、図8は、振動板27の振幅方向が、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に直交方向で、音響装置7の開口部を、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に直交面上、すなわち、下方向に向けて構成した例である。
また、放音孔63は、ケース62aの背面に設けられ、音響装置7のスリット状の開口部1aに対応する位置に設けられる。放音孔63を映像表示パネル61の背面の下側に設けることにより、視聴者の耳に近い位置を確保することができる。そして、放音孔63から下方に向けて放音させることにより、放音された音の一部は、床面に反射して視聴者の耳に届くことから、視聴者の耳に効率よく伝達させることができる。
上述したとおり、小型スピーカ5の振動板27の振幅方向は、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に直交方向である。よって、小型スピーカ5は、振動板27の前面(図8における振動板の前方)側が映像表示パネル61の側を向く方向に配置され、小型スピーカ5は、主に振動板27の前面側の方向へ放音された音を放音孔63から映像表示装置60aの外部へと放音する。
このような構成においても、振動板27の背面側で発生した逆位相成分の音が、前面側に回り込むことを抑制することができ、振動板27の前面側へと放音された音と、振動板27の背面側へと放音された逆位相成分の音とが、混ざってしまうことを抑制することができる。従って、音圧レベルの低下等の悪影響を及ぼすことを防止することができ、特性や音質の良好な音を再生することができる。
また、本実施形態の構成によっても、映像表示装置60aの放音孔63からの放音が可能となるので、映像表示装置60aの狭額縁化が可能となる。特に、音響装置7が映像表示パネル61の背面で、かつ映像表示パネル61の外周部より内側に配置して構成されることから、映像表示パネル61の外周部には最低限必要となるケース62aが存在するだけであり、極限まで狭額縁化が可能となる。
なお、図8、および図9は、映像表示装置60aの映像表示パネル61の背面で、映像表示パネル61の下辺近傍に音響装置7の長手方向を沿わせて配置した例であったが、音響装置7を映像表示パネル61の背面で、映像表示パネル61の左右近傍にそれぞれ一対に設けても良い。左右近傍に配置する場合でも、下方近傍に配置した場合と同様に、映像表示装置60aの薄型化を実現させることができる。また、左右それぞれ一対に設けられた音響装置7の距離を大きく確保することができ、さらに左右それぞれ反対方向に放音させることができるため、ステレオ再生時のチャンネルセパレーションを良好化させることができる。
なお、低音域の音の指向性は非常に広いため、低音域再生専用の音響装置7は、映像表示装置60aのケース62a内部の映像表示パネル61の背面であれば、どの位置に配置しても、十分に低音の再生が可能である。
以上のように、本発明の音響装置7は、低インチサイズから高インチサイズまでの映像表示装置60、60aに対して、広く搭載することが可能である。従って、音響装置7を搭載した映像表示装置60、60aは、上記に説明したような音響装置7の有する特徴によって、幅広いサイズの映像表示装置60、60aに対し、従来にない薄型化や小型化や省スペース化を実現することができる。また、音響装置7は、小型スピーカ5が多数連なって構成されていることから、音質的には中高域の明瞭度が高く、歪の少ない良好な音質を実現することができる。また、量産効果により価格が安価なマイクロスピーカを多数個使用することにより、コスト的要求についても満足できる映像表示装置60、60aを提供することができる。
高インチサイズの映像表示装置60、60aについては、音響装置7を左右に一対の使用のみならず、これを最小単位として、上下方向や左右方向に多数個配置しても良く、このように搭載することにより、要求される耐入力や音圧レベルの調整を図ることもできる。さらに必要であれば、映像表示装置60、60aの映像表示パネル61の外周部を囲むケース62、62aの外周の全周に沿わせるように枠体状に形成させて配置することも可能であり、このように搭載することにより、要求される耐入力や音圧レベルを一層満足させることができる。
以上説明したように、本発明の映像表示装置60、60aに用いる音響装置7は、映像表示パネル61の外周部の上下方向または左右方向あるいは映像表示パネル61の裏面側に配置されるものであり、小型スピーカを直線状に2個以上連ねて構成したものである。そして、映像表示装置60、60aのケース62、62aの映像表示パネル61の外周部には、音響装置7のスリット状の開口部1aに対応する位置に映像表示装置60、60aの放音孔63を設け、映像表示装置60、60aの放音孔63から音響装置7の音が放音される構成としている。さらに、音響装置7の奥行き方向の寸法は、映像表示パネル61の奥行き方向の寸法と同じか、または小さくして構成している。
以上の構成とすることにより、映像表示装置60、60aの狭額縁化が可能となる。従って、映像表示装置60、60aの小型化や薄型化や省スペース化を実現させることができ、市場要求であるコンパクトな映像表示装置60、60aを実現することができる。
本発明にかかる映像表示装置は、小型化や薄型化が必要とされる映像表示装置に適用できる。
1a,2a 開口部
5 スピーカ(小型スピーカ)
7 音響装置
27 振動板
60,60a 映像表示装置
61 映像表示パネル
62,62a ケース
63 放音孔
本発明は、テレビジョン受像機、ゲーム機器、パーソナルコンピュータ、情報通信機器、サイネージ等に用いられる表示装置と、音響装置とを備えた映像表示装置に関するものである。
近年、映像業界では、テレビジョン受像機(以下、「テレビ」と略称する)において、プラズマテレビや液晶テレビに代表されるように、これらの映像表示装置の薄型化や省スペース化が要求されてきている。
奥行き寸法が大きかったブラウン管を用いたテレビが主流であった過去の時代では、テレビの前面にブラウン管を配置しても、背面方向に進むにつれて窄んだ形状に形成されているブラウン管背面部の奥行き寸法を活用して容積の大きな音響装置を搭載することが可能であった。従って、前面部の形状がスリムタイプ、すなわち幅が狭いタイプの音響装置でさえあれば、奥行き寸法が大きくとも、テレビに音響装置を搭載する上で、特に問題になることはないものであった。
しかしながら、プラズマテレビや液晶テレビの場合には、その表示モジュール自体の形状が薄いだけでなく、その背面部に余分なスペースを設ける必要がない。しかも、映像を表示するプラズマパネル部や液晶パネル部の面積はできるだけ大きく確保してテレビ等の映像表示装置としての視認性を高めるとともに、それ以外の部分の面積や体積についてはできるだけ小さくして、いわゆる狭額縁化して小型化や薄型化や省スペース化を高めることで、その商品価値を向上させることが要望されている。従って、音響装置を搭載する上で、奥行き方向の容積を活用するのが非常に困難になってきている。よって、これらの映像表示装置に搭載される音響装置についても、小型化や薄型化の市場要求が避けられないのが現状である。
以下、従来の電子機器である映像表示装置および、この映像表示装置に搭載される音響装置について図面を用いて説明する。
図10は、従来の電子機器である映像表示装置の外観を示す斜視図である。図11は、従来の映像表示装置に用いられる音響装置の長手方向の断面図である。プラズマテレビや液晶テレビ等の映像表示装置に用いられる従来の音響装置は、図10に示すように、プラズマパネル部や液晶パネル部の下側面に正面方向を向けてスピーカーシステム37を横長に配置する構成が多用されていた。この場合、スピーカーシステム37の内部には、横長の音響装置の形状に合わせて、横長のスピーカである通常のテレビ用サイズのコーン型のスリム形状スピーカ、すなわち幅が狭いタイプのスピーカが多用されていた。
図11に示すように、従来の音響装置のスピーカーシステム37は、エンクロージャ34とコーン型のスリム形状スピーカ35とにより構成されていた。エンクロージャ34は、前面パネル31と、背面パネル32と、側面パネル(図示せず)により構成されていた。そして、エンクロージャ34の前面パネル31に、内側からコーン型のスリム形状スピーカ35が取付けられて、スリム形状スピーカ35に備えられたターミナルにスピーカコードが結線され、このスピーカコードを内部で空中配線により引回して配線していた。
スピーカーシステム37は、プラズマパネル部や液晶パネル部の下側面に正面方向を向けて配置してもプラズマテレビや液晶テレビ等の映像機器が小型化できるように横長形状に形成されていた。このため、スピーカーシステム37の横長形状に合せられるように、横長のスピーカである通常のテレビ用サイズのコーン型のスリム形状スピーカ35が使用されていた。
コーン型のスリム形状スピーカ35は、着磁されたマグネット41と内磁型の磁気回路44と横長のスリム形状のフレーム46とコーン型のスリム形状振動板47とボイスコイル48とダンパー49とダストキャップ50とから構成していた。
内磁型の磁気回路44は、マグネット41を上部プレート42およびヨーク43により挟み込んで構成されていた。そして、内磁型の磁気回路44を横長のスリム形状のフレーム46の下部と結合し、スリム形状フレーム46の周縁部に、コーン型のスリム形状の振動板47を接着する。そして、コーン型のスリム形状振動板47に、スリム形状振動板47を駆動させるためのボイスコイル48を、結合し、ボイスコイル48をダンパー49にて中心保持して磁気回路44の磁気ギャップ45に、はまり込むように結合し、コーン型のスリム形状振動板47の前面にダストキャップ50を接着していた。(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
従来の映像表示装置では、市場要求である小型化や薄型化や省スペース化をある程度実現させることができる構成となっている。しかしながら、商品価値の向上のために、さらなる小型化や薄型化や省スペース化を要求されると、通常のテレビ用サイズのスピーカを使用している以上、従来の映像表示装置では、既に限界に達している。
すなわち、従来の通常のテレビ用サイズのコーン型のスリム形状スピーカは、スピーカの縦寸法と横寸法を小さく設計することは可能である。しかし、コーン型である以上、スリム形状スピーカはある程度の奥行き寸法が必要となる。これにより、スピーカのエンクロージャ寸法を含めると、スピーカが映像表示パネルの奥行き方向の寸法よりも大きくなる。
従って、映像表示装置としての小型化や薄型化や省スペース化を実現させることが困難になる。
特開2008−153716号公報
特開平8−223678号公報
特開平8−251686号公報
特開2005−79809号公報
本発明の映像表示装置は、映像を表示する映像表示パネルと、映像表示パネルの外周部を囲むケースと、ケース内部に設けられ、音を放射する音響装置と、から構成される。音響装置は、映像表示パネルの外周部の上下方向または左右方向に映像表示パネルに沿わせて配置されるとともに、複数の小型のスピーカが直線状に少なくとも2個以上連ねて構成されている。映像表示パネルの外周部を囲むケースには、音響装置の開口部に対応して放音孔が設けられている。音響装置からの発生音は、開口部を介して放音孔から外部へ放音されるとともに、音響装置の奥行き方向の寸法は、映像表示パネルの奥行き方向の寸法と同じか、または小さくして構成している。
図1は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置の断面図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置の斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る音響装置の短手方向の断面図である。
図4は、本発明の実施の形態1に係る音響装置の斜視図である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る音響装置の分解斜視図である。
図6Aは、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置に音響装置を固定した状態を示す正面図である。
図6Bは、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置に音響装置を固定した状態を示す斜視図である。
図7は、本発明の実施の形態1に係る音響装置の他の配置例における斜視図である。
図8は、本発明の実施の形態2に係る映像表示装置の断面図である。
図9は、本発明の実施の形態2に係る映像表示装置の斜視図である。
図10は、従来の映像表示装置の斜視図である。
図11は、従来の映像表示装置に用いられる音響装置の長手方向の断面図である。
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施形態である、実施の形態1について図面を用いて説明する。薄型の映像表示装置としては、プラズマテレビや液晶テレビなどが挙げられる。本実施の形態における映像表示装置は、映像表示パネルの下辺に音響装置が設けられる場合について説明する。
ここで、この音響装置は、その長手方向が、映像表示パネルの下辺に沿うように配置され、小型のスピーカが複数個並んで配置されたものである。尚、以降の説明では、小型のスピーカの数量を8個連ねて配置した場合を例に挙げて説明し、本発明における小型のスピーカについては、小型スピーカ、マイクロスピーカまたは単にスピーカと略称する。本実施例では、小型スピーカの振動板が振動する際の振幅方向(以下、「振動板の振幅方向」と略記する)は、映像表示パネルの映像表示面に対し、実質的に平行または、実質的に直交方向となるように配置されている。なお、以降の説明では、小型スピーカの振動板の振幅方向が、映像表示パネルの映像表示面と実質的に平行方向である場合について説明する。この場合、特に、映像表示装置の狭額縁化が一層実現可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置60の断面図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置60の斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る音響装置7の短手方向の断面図を示したものである。図4は、本発明の実施の形態1に係る音響装置7の斜視図である。図5は本発明の実施の形態1に係る音響装置7の分解斜視図である。
図1から図5に示すように、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置60は、映像表示パネル61とケース62と音響装置7とで構成されている。
図1に示すように、映像表示パネル61は、映像表示装置60の中央部に配置されており、映像を表示する。映像表示パネル61は平板状であり、例えばプラズマディプレイパネルや、液晶パネルなどである。ケース62は、映像表示パネル61の外周部を囲むフレーム状の部材であるフロントキャビネット部(額縁部)と、映像表示パネル61の背面を覆うバックキャビネット部からなる。また、フロントキャビネット部は、音を放音する音響装置7を収納できる構造となっている。音響装置7は、複数個の小型スピーカ5が、映像表示パネル61に沿って直線状に連なって構成されている。そして、音響装置7は、映像表示パネル61の外周部の下方向に配置されている。また、音響装置7には、一例として8個の小型スピーカ5が収納されている。音響装置7の具体的な構成については、図3、図4、および図5を用いて、後に詳しく説明する。
上記の額縁部の前面側には放音孔63が設けられる。また、額縁部内には、音響装置7を収納する収納部分が設けられており、額縁部の下方から音響装置7を挿入することにより、音響装置7は額縁部に固定される。そして、放音孔63は、このようにして固定された音響装置7の開口部に対応して設けられている。すなわち、図2に示すように、音響装置7は、映像表示パネル61の前面側、かつ映像表示パネル61の外周部の外側に設けられることとなる。このような構成により、音響装置7の小型スピーカ5からの発生音は、音響装置7のスリット状の開口部1aと映像表示装置60のスリット状の放音孔63を介して、映像表示装置60の外部へと放音される。尚、本実施の形態において、映像表示装置60の放音孔63の形状は、1つの長方形形状としたが、1つの長円形状、または長方形形状、円形状あるいは長円形状などの複数の孔を直線状に並べて形成した形状であってもよい。
放音孔63を映像表示パネル61の下側に設けることにより、視聴者の耳に近い位置を確保することができ、さらに映像表示装置60の放音孔63を左右側それぞれ一対に設けることにより、良好な音質とステレオ再生を可能としている。
音響装置7の奥行き方向の寸法は、映像表示パネル61の奥行き方向の寸法より小さくしている。これにより、音響装置7とケース62の背面との間に隙間を形成することができる。したがって、この隙間には、音響装置7をケース62へ固定するための固定部材等を、配置することができるため、映像表示装置60を薄型化することが可能となる。尚、音響装置7の奥行き方向の寸法は、映像表示パネル61の奥行き方向の寸法と同じであってもよい。
本実施の形態において、小型スピーカ5の振動板27の振幅方向は、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に平行方向にしている。つまり、小型スピーカ5は、振動板27の前面(図1における振動板の上方)側が映像表示パネルの下端面側を向く方向に配置され、小型スピーカ5は、主に振動板27の前面側の方向へ放音された音を放音孔63から映像表示装置60の外部へと放音する構成としている。
ここで、振動板27の背面側では、前面側へ放音される音の逆位相成分の音が発生し、振動板27の背面側の方向へ放音された音は、ケース62の内部へ放音され、可能な限り映像表示装置60の外部へ漏れ出さないようにしている。この構成とすることにより、振動板27の背面側で発生した逆位相成分の音が、前面側に回り込むことを抑制することができ、振動板27の前面側へと放音された音と、振動板27の背面側へと放音された逆位相成分の音とが、混ざってしまうことを抑制することができる。従って、音圧レベルの低下等の悪影響を及ぼすことを防止することができ、特性や音質の良好な音を再生することができる。
以上のような構成とすることにより、映像表示装置60の放音孔63からの放音が可能となるので、映像表示装置60の狭額縁化が可能となる。さらに音質的に優れた映像表示装置60を得ることができるので、高性能な映像表示装置60の小型化、薄型化や省スペース化を実現させることができる。
図1、および図2に示すように、本実施の形態における小型スピーカ5は、振動板27の前面側が映像表示パネル61を向く方向で配置されている。これにより、音響装置7の放音孔63は映像表示パネル61へ近づけて配置しやすくなり、映像と音響の一体化を向上させ、リアリティーの高い映像と音響を提供することができる。
なお、小型スピーカ5は、振動板27の背面側が映像表示パネル61を向く方向に配置しても良い。この場合、音響装置7の放音孔63は、小型スピーカ5の振動板27の前面側に配置される。したがって、音響装置7の放音孔63の位置は、映像表示パネル61から離れた位置になる。このように、小型スピーカ5の搭載方向は、適宜変化させることができるので、映像表示装置60の全体的なデザインの自由度を向上させることができる。
次に、図3に示す音響装置7と小型スピーカ5の構成について説明する。
本実施の形態における小型スピーカ5の磁気回路24は、内磁型であり、着磁されたマグネット21を上部プレート22およびヨーク23により挟み込んで構成されている。フレーム26は、横長のスリム形状をなしており、磁気回路24と結合されている。また、振動板27も、スリム形状をなしており、フレーム26の周縁部に接着されている。ボイスコイル28は、振動板27に結合され、振動板27を駆動するとともに、磁気回路24の磁気ギャップ25に、はまり込むように結合して構成されている。
また、音響装置7において、小型スピーカ5の振動板27の前面には、音響装置7の前面パネル1が設けられ、一方、これと反対側には音響装置7の背面パネル2が設けられ、この背面パネル2には配線手段6が設けられている。さらに、小型スピーカ5の側面には、小型スピーカ5を囲むように側面パネル3が設けられ音響装置7を構成している。音響装置7には開口部1aが設けられ、開口部1aは振動板27で発生した音を放音するために形成されたものであり、本実施の形態では、開口部1aは、振動板27の前面側方向にスリット状に形成されている。すなわち、音響装置7の開口部1aは、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に平行面上に構成している。一方、振動板27の背面側の方向には、スリット状の開口部2aが設けられている。尚、本実施の形態において、スリット状の開口部1aおよびスリット状の開口部2aは、ともに側面パネル3に設けられている。
ターミナル29は、小型スピーカ5へ信号を供給する端子であり、ボイスコイル28に結合されている。ターミナル29は、背面パネル2に設けられた孔に挿入され、配線手段6と結合され、これにより、映像表示装置60の内部に設けられたアンプ(図示せず)から出力された音声信号は、配線手段6を介して小型スピーカ5へ供給される。
本実施の形態において、配線手段6はプリント基板によって形成されており、この配線手段6上には8個の小型スピーカ5が装着されている。そして、ターミナル29と配線手段6との間の電気的な結合方法は、はんだ付け等の結合手段により結合されている。このターミナル29と配線手段6との間のはんだ付け接続は、例えばリフローはんだ付けなどにより、一括に行うことができ、このため、8個という多数個の小型スピーカを使用しても、生産性の向上を実現させることができる。尚、小型スピーカ5の外形形状は、長方形形状、トラック形状、楕円形状のうちのいずれかの形状であれば良い。さらに、スピーカを直線状に連ねて配置する方向は、スピーカの長手方向とする。これにより、多数個の小型スピーカ5を直線状に連ねて配置しても、音響装置7の形状を映像表示装置60の狭額縁化を図りやすい形状にすることができる。
以上の構成とすることで、小型スピーカ5は、従来の通常のテレビ用サイズのコーン型のスリム形状スピーカと比較して、縦寸法、横寸法、全高寸法とも極端に小さくすることができる。さらにその構造上、平面状の振動板27を使用していることと、ダンパーを使用しない構成であるため、特にスピーカ5の全高寸法を小さくすることができ、従って、音響装置7の全高寸法も小さくすることができる。
そして、このようにして全高寸法を小さくした音響装置7は、振動板27の振幅方向が、映像表示パネルの映像表示面と平行するように配置されることにより、映像表示装置の狭額縁化を図ることに大きく貢献し、映像表示装置の小型化や薄型化や省スペース化を実現することができる。また、平面状の振動板27を使用していることで、コーン型の振動板に比べて、音響装置7の前面パネル1との間に設けられた前面方向のスリット状の開口部1aの形状に凹凸がほとんど発生することがない。従って、音響装置7の周波数特性や音質を劣化させる要因である前室効果や回折効果等の悪影響を低減させることができる。
以上、音響装置7の小型スピーカ5の振動板27の振幅方向が映像表示パネル61の映像表示面と平行するように構成した場合について説明したが、これに限定されることなく、小型スピーカ5の振動板27の振幅方向を、映像表示パネル61の映像表示面と直交方向に構成しても良い。この場合、映像表示装置60の狭額縁化における効果は僅かながら低減する。しかし、小型スピーカ5の振動板27から発生した音は、スリット状の開口部を通過させることなく直接外部に放音されるため、前室効果が発生しなくなる。従って、より良好な特性と音質を得ることができる音響装置7を実現することができる。
次に、映像表示装置60のケース62内部に設けられた音響装置7の詳細について説明する。
音響装置7は、図3、図4および図5に示すように、前面パネル1と背面パネル2は、ともにスピーカ5の振動板27と対向して設けられ、振動板27を挟み、互いに振動板27の反対側の方向に配置されている。また、側面パネル3は、前面パネル1と背面パネル2とを結合している。そして小型スピーカ5は、これら前面パネル1、背面パネル2、側面パネル3で形成された音響装置7の中心部に配置されている。尚、本実施の形態では、8個の小型スピーカ5が直線状に連ねて配置されて、音響装置7内へ収納されている。ここで、個々のスピーカ5には、それぞれ個々のスピーカ5を分離するための仕切り5aが設けられ、これにより、個々のスピーカ5から放音された音は、互いに干渉が生じにくくなる。
その結果、良好な特性と音質を実現することができる。音響装置7には、第1の開口部としてのスリット状の開口部1aと、第2の開口部としてのスリット状の開口部2aとが形成され、開口部1aは、振動板27の前方側において、前面パネル1に対して直角方向に形成されている。これにより、前面パネル1の方向では、スピーカ5の振動板27の振幅方向と直角方向に放音される。
一方、音響装置7の開口部2aは、振動板27の背面側において、背面パネル2に対して実質的に直交方向に形成され、前方側の放音方向と反対方向に放音されるように形成されている。そして、音響装置7の開口部1aの方向に放音された音と、音響装置7の開口部2aの方向に放音された音とは、音響装置7の内部では混ざらないように完全に分離できる構成としている。
このようにして、音響装置7の内部の空間を確実に分離し、スピーカ5の振動板27における前面パネル1の方向と背面パネル2の方向に、それぞれ放音された音が、混ざらないようにしている。すなわち、図3および図4に示すように、音響装置7において振動板27の前面側へ放出された音と、振動板27の背面側へ放出された音とは、それぞれ反対方向(図3、図4における矢印に示す方向)に放音される。さらに、音響装置7の内部においても、振動板27の前面側へ放出された音と、振動板27の背面側へ放出された音とは、それぞれ反対方向に放音されるため、これにより、振動板27の前面側へ放出された音と、振動板27の背面側へ放出された音とが混ざらないように確実に分離することができる。
このように、前面パネル1に対して直角方向に音響装置7の開口部1aが形成されているので、前面パネル1の方向では、スピーカ5の振動板27の振幅方向に対して、直角方向に放音される。従って、スリムな形状で、かつ小型化や薄型化を実現した音響装置7を実現することができる。
一方、背面パネル2と直角方向に音響装置7の開口部2aが形成されるので、背面パネル2の方向では、前面パネル1の放音方向と反対方向に放音されるようになる。これにより、スピーカ5の振動板27の前面に放音された音と、背面に放音された音とを音響装置7の内部で確実に分離することができる。従って、背面からの逆位相成分を有する音が、前面に回り込むことによる悪影響を防止できるので、良好な音質を実現させることができる。
これは、以下の理由によるものである。すなわち、音響装置7を映像表示パネル61の辺に沿わせて配置した場合、前面パネル1の音響装置の開口部1aから放音される音は、映像表示パネル61の表示方向と同じ方向に放音される。一方、音響装置7の開口部2aから放音される音は、音響装置7の開口部1aから放音される音と反対方向に放音される。
この構成により、この音響装置7の開口部2aから放音された音は、映像表示装置60の内部に放音されることとなり、音響装置7の開口部2aから放音された音は、映像表示装置60の内部に取込まれることになる。これにより、音響装置7の開口部2aから放音された音が、音響装置7の開口部1aから放音された音と混ざることがなく、音響装置7の開口部1aから放音された音に対して、悪影響を及ぼすことがなくなるためである。
仮に、映像表示装置60の内部構造が完全な密閉構造ではなく、通気性を有する構造であったとしても、十分なる効果を得ることができる。この理由としては、音響装置7の開口部1aと音響装置7の開口部2aから放音される音は、それぞれ正反対の方向に放音されているため、背面からの逆位相成分を有する音が前面に回りこんで悪影響を及ぼすのを大きく低減させることができるためである。さらに、個々のスピーカ5には、隣接して配置されたスピーカ5同士の間を仕切る仕切り5aを設けている。これにより、互いのスピーカ5から放音された音同士が相互に干渉して、特性や音質に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。従って、良好な特性や音質を実現させることができる音響装置7を提供することができる。
以上のように、この音響装置7は、スピーカ5の振動板27の振幅方向と直角方向に放音できる音響装置の開口部1aを設け、この音響装置の開口部1aから映像表示パネル61の表示方向と同方向に放音できるようにするために、映像表示パネル61の辺に沿わせて配置されている。この構成とすることにより、より一層、映像表示装置60の小型化を実現することができる。
次に、この音響装置7について、より詳細に説明する。本実施の形態における音響装置7の長手方向(縦方向)の外形寸法は、セットへの取付け手段を含めると、約160mmである。一方、音響装置7の奥行き方向の寸法となる短手方向(横方向)の外形寸法は、約10mmであり、20mm以下とすることができ、従来にない小型化を実現することができる。ここで、音響装置7の内部には、全高寸法が約2mmの小型スピーカ5を用いており、小型スピーカ5の全高寸法を5mm以下とすることができ、従来にない薄型化を実現することができる。
また、全高寸法である厚み方向に設けられたスリット状の開口部1aやスリット状の開口部2aの短径方向の幅寸法は約1.5mmであり、2mm以下とすることができ、従来にない薄型化を実現することができる。そしてこれにより、音響装置7の全高寸法(すなわち厚み方向の外形寸法)は、約7mmとしている。特に、内部に設けられた小型スピーカ5の全高寸法を5mm以下とし、音響装置7の奥行き方向の寸法となる短手方向(横方向)の外形寸法もしくは、全高寸法を、20mm以下としている。
このように構成することで、従来の通常のテレビ用サイズのコーン型のスリム形状スピーカを使用した音響装置と比較して、映像表示装置60の小型化を実現させることができる。さらに、映像表示装置60の放音孔63を映像表示パネルの辺に沿わせて配置させ、スリット状の放音孔63の短径方向の寸法を、スリット状の開口部1aやスリット状の開口部2aの短径方向の幅寸法の約1.5mmに合わせて2mm以下とすることで、映像表示装置60の放音孔63の短径寸法は、映像表示装置60の高さ方向の寸法の1%以下とすることができる。すなわち、本実施の形態に係る映像表示装置60においては、放音孔63の短径寸法は、ケース62の高さ方向の寸法の1%以下とすることができる。これにより、より一層、映像表示装置60の狭額縁化が可能となり、小型化を実現させることができる。
また、映像表示装置60の放音孔63、音響装置7の開口部1aの幅は、非常に細いため、例え子供が指を入れようとしたとしても、指が振動板などへ到達することはない。従って、誤って振動板を変形させてしまうようなことも防止することができる。それに加えて、本実施の形態ではフレーム26、側面パネル3、ケース62が重なり、3重構造となるため、振動板27やスピーカ5は、この3重構造によって外力から防護されるので、落下など衝撃に対しても破壊や変形を防止することができる。そして、音響装置7には、これらの小型スピーカ5を結線するための配線手段6を設けて構成している。
ここで、音響装置7は、背面パネル2上に配線手段6を配置し、配線手段6上に8個の小型スピーカ5を直線状に連ねて配置させて構成している。尚、本実施の形態において、配線手段6には、プリント基板を用いており、このプリント基板上に形成されたプリント配線によりスピーカ5を電気的に接続している。
このように、スピーカ5は、プリント基板に配線されたプリント配線によって、接続されるので、ごく僅かな厚みで配線することができる。このような構成とすることにより、スピーカコードを空中配線してスピーカを接続する従来の方法に比べて、スピーカコードをなくすことができるので、少なくともこのスピーカコード分の薄型化を図ることができる。さらに、配線手段6として、フレキシブルプリント基板を使用した場合、さらに配線手段6を薄くできるので、音響装置7のさらなる薄型化を図ることができる。
ここで、音響装置7にて再生できる周波数帯域は、主に中高音域であり、低音域の再生が必要な場合は、別途、低音域再生専用の音響装置を映像表示装置60内に内蔵させることにより、全周波数帯域を十分に再生できる映像表示装置60を実現することが可能となる。
なお、低音域の音の指向性は非常に広いため、低音域再生専用の音響装置は、指向性の狭い中高音域再生専用の音響装置のように映像表示装置の前面部に設ける必要はない。例えば、映像表示装置60のケース62内部で、かつ映像表示パネル61の背面に配置する等によって搭載しても、十分に低音の再生が可能である。従って、低音域再生専用の音響装置は、映像表示装置60の内部の空きスペースを有効に活用して配置できるので、映像表示装置60の小型化を妨げることも少ない。もちろん、低インチサイズの映像表示装置等では、低音域再生専用の音響装置を特に設けずに使用することも可能である。
音響装置7に取付ける小型スピーカ5については、通常携帯電話等に使用されるマイクロスピーカと呼ばれる種類のスピーカを使用している。このマイクロスピーカと呼ばれる種類の小型スピーカ5は、携帯電話用として、専用の自動化量産設備により数多く生産されている。従って、その量産効果により1個あたりの価格が、従来の映像用のスピーカに比べて非常に安価であり、多数個使用しても音響装置7の価格を抑制することができる。
また、このマイクロスピーカを用いた小型スピーカ5は、従来の映像用のスピーカと比べて、耐入力が小さい。そこで、このような小型スピーカ5を多数個使用することにより、必要な耐入力を実現している。
さらに、ボイスコイル28の寸法もできるだけ大きく設定して、振動板27の外周部近傍に結合している。このような構成とすることにより、ボイスコイル28の放熱性を良好にできるので、必要な耐入力を実現することができる。そして、振動板27の外周部近傍にボイスコイル28を結合することにより、振動板27の縦長方向の両端部の振幅における位相を、ボイスコイル28と同位相にすることができる。
このような構成とすることにより、小型スピーカ5の音の歪を低減させ、安定した音圧周波数特性を実現することができる。
また、ここでは振動板27をフレーム26の周縁部に支持するためのエッジは、振動板27と異なる材料を用いて構成している。そして、エッジには柔軟性に富む弾性体材料を用い、さらに、振動板27をインサートし、エッジと一体成形することにより、小型スピーカ5を高耐入力化することができる。このようにして、低域を拡大させる方向に広帯域再生化を実現できる小型スピーカ5を得ることができる。
ここでは、取付ける小型スピーカ5の数量として、8個連ねて配置した場合について説明したが、これに限定されることなく、2個、4個、6個、10個、12個、16個、20個、30個というように自由に設定することが可能である。
本実施の形態における映像表示装置60は、テレビジョン受像機であるプラズマテレビや液晶テレビを例に説明したが、本願における音響装置7は、ゲーム機器、スマートホン、タブレット型の携帯情報端末や携帯電話に代表される情報通信機器等に用いても良い。これらの中で情報通信機器やゲーム機器等の比較的小型の映像表示パネルを用いた機器には、2個や4個程度のスピーカの数量とすることにより、より一層小型化、薄型化を実現することがで、音響特性とサイズや価格のバランス面において最適な状態とすることができる。
また、タブレット型の携帯端末や、パーソナルコンピュータなどのように中型のサイズの映像表示パネルを用いた機器には、4個や6個程度のスピーカの数量とすることにより、音響特性とサイズや価格のバランス面において最適な状態とすることができる。さらに、テレビジョン受像機であるテレビ用や、広告や宣伝等に使用されるサイネージ用の映像表示パネル用には、8個や10個さらにはそれ以上のスピーカの数量とすることで、音響的にスケールの大きなサービスエリアを実現することができ、音響特性とサイズや価格のバランス面において最適な状態とすることができる。以上のように、音響装置7が使用される機器の大きさに応じ、適宜そのスピーカ5を連結する個数を選択すればよい。
従って、音響装置7が搭載される映像表示装置60は、上述の機器だけに限定されるものではなく、映像が表示される装置であれば全てに適用することができるものである。そして、そのような映像表示装置60に対して音響装置7を搭載すれば、映像表示装置の小型化や薄型化や省スペース化を実現することができる。そして、直線状に連ねて配置させて構成し、配線する最小単位の数量として、最低限2個あればよい。特に、偶数個連ねて構成させることで、各々のスピーカの直並列接続の組合せが容易になる。
このような構成とすることにより、音響装置7の全体を規定のインピーダンスに設定することが容易になり、従って、生産性を向上させることができる。
この音響装置7に取付ける小型スピーカの数量は、搭載されるテレビの許容寸法や、音響装置に要求される耐入力や、必要な音量を満足させるための音圧レベルを確保できる数量を考慮して設定すればよい。
以上のように、小型スピーカ5を直線状に連ねて配置させて構成することにより、音響装置7としてテレビなどの映像表示パネル61の両側面に搭載しやすい寸法を実現することができる。
本実施の形態において、小型スピーカ5の外形形状は長方形としているが、これは他の形状でもかまわない。例えば、長方形やトラック形や楕円形の小型スピーカ5を用いても良い。
近年の携帯電話等の情報通信機器の小型化やコンパクト化に伴って、長方形を含むスリム形状(トラック形や楕円形)が主流になりつつあるため、小型スピーカの形状については、既存の小型スピーカであっても豊富に存在し自由に選択が可能である。従って、トラック形や楕円形の外形形状を有する小型スピーカを使用しても、同様の効果を得ることができ、搭載する映像表示装置のデザインや音響装置のデザインおよび特性や音質に合わせて自由に選択が可能である。
このような構成とすることにより、その量産効果により、スリム形状の小型スピーカ5は安価に入手が可能であり、これらのスリム形状のマイクロスピーカを使用すれば、映像表示装置60の低価格化を実現することができる。
以上、音響装置7に使用される小型スピーカ5の種類として、動電型である小型のマイクロスピーカを使用した場合について説明した。
しかし、本願における音響装置7に使用される小型スピーカ5は、これに限定されることなく、圧電型や静電型等、小型かつ薄型であればどのような種類のスピーカであっても良い。これらの場合でも、動電型のマイクロスピーカを使用した場合と同様の効果を得ることができる。次に、スピーカ5の振動板27の前面に放音された音と背面に放音された音とを分離する方法について説明する。
スピーカ5の外形形状を、長方形として、この長方形の外形形状を持つスピーカ5を直線状に結合するとともに、さらにこの結合されたスピーカ5全体の外周部に側面パネル3を結合することで、前面に放音された音と背面に放音された音とを分離している。このとき、空気漏れをなくす目的で、接着剤やシーリング剤を併用することで、より一層空気漏れをなくすことができ、良好な音質を実現することができる。
また、スピーカ5の外形形状が、トラック形や楕円形の場合には、これらのスピーカを取付けるためのバッフル板をさらに設けて構成することで、簡単に空気漏れをなくすことができ、良好な音質を実現することができる。すなわち、トラック形や楕円形のスピーカをバッフル板に取付け、このバッフル板を、側面パネル3に結合することで、前面に放音された音と背面に放音された音とを確実に分離することができる。そして、この場合も同様に、空気漏れをなくす目的で、接着剤やシーリング剤を併用することで、より一層空気漏れをなくすことができ、良好な音質を実現することができる。
さらに、個々のスピーカ5を仕切るための仕切り5aが設けられていることから、互いのスピーカ同士が相互に干渉して、音質や特性に悪影響を及ぼすこともなく、良好な音質や特性を実現することができる。この仕切り5aについては、前面パネル1の開口部1a側と、背面パネル2の開口部2a側の両側に形成することで、個々のスピーカ5を完全に仕切ることができる。
また、背面パネル2をプリント基板で構成する場合には、仕切り5aを前面パネル1のみに形成しても良い。そして、スピーカ5のフレーム26と前面パネル1に設けられた仕切り5aを密着させることで、個々のスピーカ5を完全に仕切ることができる。一方、この場合、背面パネルの方向には仕切り5aが設けられていないため、フレーム26を仕切りとして代用して、フレーム26の側面に放音孔を設けて、前面に放音された音と反対方向に放音させることで同様の効果を得ることができる。
さらに、別の方法として、前面パネル1または背面パネル2のいずれか一方に、スピーカ5の全高寸法以上の仕切りを設けて、この仕切りの中にスピーカ5を挿入する構成としても良い。この仕切り5aについては、前述の構成通り個々のスピーカ5の全てに、それぞれ仕切り5aが設けられることがスピーカ同士の相互干渉防止の観点から望ましい。しかし、これに限定されることなく、スピーカ5の2個ずつを一組として仕切りを設けたり、背面パネル2側の仕切りを減らしたり、また、一部または全部をなくしたりと所望の特性や音質に応じて対応することで、コストパフォーマンスを向上させることができる。
さらに、図3では、スピーカ5のヨーク23と背面パネル2との間に隙間を設けた構成としているが、ヨーク23と背面パネル2とを密着させて結合し、フレーム26の側面部に放音孔を設けて、背面側に放音する構成としても良い。この構成とすることで、スピーカ5のヨーク23と背面パネル2との間の隙間と、背面パネル2側の仕切りをなくすことができ、さらなる薄型化と低コスト化を実現することができる。
また、前面パネル1を側面まで延長させて側面パネル3を構成し、前面パネル1と側面パネル3とを同じ材料で一体化して構成して、側面パネル3をスピーカ5のガイドとして使用することで生産効率を向上させる構成としても良い。
次に、スピーカ5および音響装置7の外形や寸法の詳細について説明する。音響装置7の外形形状については、映像機器であるプラズマテレビや液晶テレビの映像表示パネルの両側面や上下面に配置させることを前提に考えれば、細長い長方形の形状とすることが望ましい。
そして、現在、汎用的に携帯電話等に使用されている小型のマイクロスピーカと呼ばれる種類のスピーカは、外形が長方形の形状である場合には、横寸法が約9mmで、縦寸法が約16mmで、厚み方向すなわち全高寸法が約3mm程度のマイクロスピーカが主流である。このようなスピーカの外形寸法であれば、スピーカを多数個連ねて細長い長方形形状の音響装置7を構成するのに都合が良い。この汎用的なマイクロスピーカを使用して、音響装置7を構成すると、スピーカを8個使用して長手方向に直線状に連ねて配置させた場合は、音響装置7の外形寸法のうちの短手方向である横方向の外形寸法が約10mmとなり、小型化を図ることができる。そして、長手方向である縦方向の外形寸法がセットへの取付手段を含めると、約160mmとなり、スリム化を図ることができる。
ここで、セットへの取付手段は、音響装置7の長手方向の両端に設けられ、孔や切欠きとしている。一方、音響装置7の外形寸法のうちの厚み方向の外形寸法、すなわち全高寸法については、約7mmとすることができ、薄型化を図ることができる。
以上の構成とすることで、音響装置7の外形寸法のうちの長手方向である縦方向の外形寸法と短手方向である横方向の外形寸法とのアスペクト比を10以上とすることができ、従来にない高アスペクト比で薄型化を可能とする音響装置7を実現することができる。そして、以上のように小型マイクロスピーカを8個使用して、長手方向に直線状に連ねて配置させ、前面パネル1の方向に、スピーカ5の振動板27の振幅方向と直角方向に放音できるように開口部1aを形成し、この開口部1aを正面方向に向けて配置することで、スリム形状で、小型化や薄型化を実現することができる。
また、背面パネルの方向では、前面パネルの放音方向と反対方向に放音できるように開口部2aを形成して構成することで、スピーカ5の振動板27の前面に放音された音と背面に放音された音とを確実に分離して、背面からの逆位相成分を有する音が前面に回りこんで悪影響を及ぼすのを防止することができるため、音圧レベルの低下を防止し、低歪で、良好な音質を実現することができる。さらに、開口部1aや開口部2aを防塵ネットで覆って構成することで、開口部1aや開口部2aの内部に細かい塵や埃が浸入して、異常音を発生する等の動作不良を防止することができ、品質や信頼性を向上させることができる。
また、この防塵ネットの開口率を選択することにより、通気性を調整することができるため、スピーカ5に与える音響負荷を調整することで、音響装置7の音質や音圧周波数特性を自由に調整することができる。特に、スピーカ5の振動板27の背面に放音される音に対して、音響負荷を与えて音響装置7の音質や音圧周波数特性を調整することで、精度の高い音質の調整が可能となり、背面からの逆位相成分を有する音が前面に回りこんで悪影響を及ぼすのを一層防止することができるため、音圧レベルの低下防止や低歪化等の大きな効果を発揮させることができる。
以上、スピーカ5および音響装置7の詳細について説明したが、次に、音響装置7を映像表示装置60のケース62内部に固定する方法について説明する。
図6Aは、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置60に音響装置7を固定した状態を示す正面図である。図6Aは、映像表示装置60内部から映像表示装置60の前面に向かって固定の様子を表した図である。図6Bは、本発明の実施の形態1に係る映像表示装置60に音響装置7を固定した状態を示す斜視図である。
図6A、6Bに示すように、本実施の形態において音響装置7は、映像表示装置60のケース62に対して、ケース内側から弾性体であるクランパ70によって加圧することにより固定している。クランパ70には、押圧部70aと音響装置7に押圧される端部70bが設けられている。この押圧部70aを押すと、クランパ70による音響装置7の押さえつけ状態が解除される。
また、映像表示装置60のケース62内部に、音響装置7を定位置に位置決めするための位置決めピン71を設けている。そして、位置決めピン71を音響装置7のセットへの取付手段である孔や切欠きに嵌合させ、位置決めさせて背面方向からクランパ70によって加圧固定することで、音響装置7を位置ずれが発生することなく精度良くケース62の内部に固定することができる。もちろん、本来の搭載方法である音響装置7のセットへの取付手段である孔や切欠きを用いてビス締めにより取付ける方法としても良いが、取付け用のビスの削減や、ビス締めによる生産工数の削減を目的として、弾性体であるクランパ70により加圧固定する方法としている。
従って、ここでは音響装置7のセットへの取付手段である孔や切欠きは、位置決めピン71を挿入するために用いており、このようにすることで音響装置7を位置ずれが発生することなく精度良く、かつ生産効率良くケース62の内部に固定することが可能となる。
ここで、弾性体であるクランパの材料としては、ポリオキシメチレンやポリアセタール(POM)を使用している。これらの材料を使用することで、弾性体であるクランパ70の寸法安定性を向上させ、耐熱性や機械的強度を高めることができるため、クランパ70を使用した音響装置7のケース62内部への加圧固定の精度を高め、安定性を向上させることができ、品質や信頼性を向上させることができる。そして加圧時には、約400gの加重で音響装置7を、映像表示装置60のケース62内部に加圧して固定している。このように、ケース62の内側から弾性体であるクランパ70により約400gの加重で、音響装置7を挟み込むように固定している。したがって、常時加圧状態を維持させることができ、音響装置7をケース62に強固に固定することができる。
さらには、音響装置7が音を発生したときに生じる振動の低減や吸収も実現することができるので、ビリツキ音等の異常音や歪の発生を防止することができる。ここで、弾性体であるクランパ70による加重は、300g以上で、かつ500g以下とすることが望ましい。クランパ70による加重を、300g以上で、かつ500g以下に設定することで、音響装置7を最適な状態でケース62へ加圧することにより、音響装置7に変形を伴うような大きな負荷をかけることなく、常時最適な加圧状態を維持させることができる。同時に、音響装置7が音を発生したときに生じる振動の低減や吸収も十分に実現することができるので、ビリツキ音等の異常音や歪の発生も防止しながら、音響装置7をケース62に強固に固定することが可能となる。
一方、クランパ70による加重が300gより小さい場合には、音響装置7をケース62に強固に固定することができず不安定な状態となり、また音響装置7が音を発生したときに生じる振動の低減や吸収も十分に実現することができなくなる。さらに、クランパ70による加重が500gより大きい場合には、音響装置7に変形を伴うような大きな負荷となり、変形によりケース62との間に隙間が生じやすくなるため、この隙間からの音漏れにより、音質劣化や歪の発生の原因となる。
そして、クランパ70の材料として、耐熱性や機械的強度の高いポリオキシメチレンやポリアセタール(POM)を使用していることで、ヒートショックによる劣化や経年劣化が非常に少なく、長期的に安定した加圧固定を実現することができるため、長期間にわたり品質や信頼性を向上させることができる。
この構成とすることで、取付け用のビスを数点削減することができ、さらに、ビス締めによる生産工数も削減することができ、映像表示装置60の低価格化を実現することができる。
なお、映像表示装置60の映像表示パネル61の下辺に音響装置7の長手方向を沿わせて配置した場合について説明した。しかし本願における構成は、これに限定されることなく、図7に示すように、音響装置7を映像表示パネル61の左右それぞれ一対に設けても良い。この場合、放音孔は、映像表示パネル61の左右側に設けられることとなる。このように音響装置7を映像表示装置60の左右側に配置することによって、音響装置7を映像表示パネル61の下方に配置した場合と同様に、映像表示装置60の狭額縁化を実現させることができる。またこの場合、映像表示装置60の上下方向の寸法を小さくすることができ、さらに、左右それぞれ一対に設けられた音響装置7の距離を大きく確保することができるため、ステレオ再生時のチャンネルセパレーションを良好化させることができるという効果も有している。
(実施の形態2)
実施の形態1においては、映像表示装置60は、映像表示パネル61の下辺に音響装置7が設けられる例であった。これに対し、本実施形態においては、図8、および図9に示すように、映像表示装置60aは、音響装置7が映像表示パネル61の背面で、かつ映像表示パネル61の外周部より内側に配置される。すなわち、音響装置7は、映像表示パネル61の背面で、映像表示パネル61の下方近傍に、その長手方向が、映像表示パネル61の下辺に沿うように配置される。つまり、小型のスピーカ5が映像表示パネル61の下辺に沿うように複数個並んで配置される。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同等な構成には、同等な符号を付加し、説明を省略する場合がある。また、音響装置7は、図6Aで示す位置決めピン71と、ケース62の固定箇所に設けられたネジ穴を用いてネジ止めすることでケース62に固定される。
小型スピーカ5の振動板27の振幅方向は、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に平行方向または実質的に直交方向となるように配置可能であるが、図8は、振動板27の振幅方向が、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に直交方向で、音響装置7の開口部を、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に直交面上、すなわち、下方向に向けて構成した例である。
また、放音孔63は、ケース62aの背面に設けられ、音響装置7のスリット状の開口部1aに対応する位置に設けられる。放音孔63を映像表示パネル61の背面の下側に設けることにより、視聴者の耳に近い位置を確保することができる。そして、放音孔63から下方に向けて放音させることにより、放音された音の一部は、床面に反射して視聴者の耳に届くことから、視聴者の耳に効率よく伝達させることができる。
上述したとおり、小型スピーカ5の振動板27の振幅方向は、映像表示パネル61の映像表示面と実質的に直交方向である。よって、小型スピーカ5は、振動板27の前面(図8における振動板の前方)側が映像表示パネル61の側を向く方向に配置され、小型スピーカ5は、主に振動板27の前面側の方向へ放音された音を放音孔63から映像表示装置60aの外部へと放音する。
このような構成においても、振動板27の背面側で発生した逆位相成分の音が、前面側に回り込むことを抑制することができ、振動板27の前面側へと放音された音と、振動板27の背面側へと放音された逆位相成分の音とが、混ざってしまうことを抑制することができる。従って、音圧レベルの低下等の悪影響を及ぼすことを防止することができ、特性や音質の良好な音を再生することができる。
また、本実施形態の構成によっても、映像表示装置60aの放音孔63からの放音が可能となるので、映像表示装置60aの狭額縁化が可能となる。特に、音響装置7が映像表示パネル61の背面で、かつ映像表示パネル61の外周部より内側に配置して構成されることから、映像表示パネル61の外周部には最低限必要となるケース62aが存在するだけであり、極限まで狭額縁化が可能となる。
なお、図8、および図9は、映像表示装置60aの映像表示パネル61の背面で、映像表示パネル61の下辺近傍に音響装置7の長手方向を沿わせて配置した例であったが、音響装置7を映像表示パネル61の背面で、映像表示パネル61の左右近傍にそれぞれ一対に設けても良い。左右近傍に配置する場合でも、下方近傍に配置した場合と同様に、映像表示装置60aの薄型化を実現させることができる。また、左右それぞれ一対に設けられた音響装置7の距離を大きく確保することができ、さらに左右それぞれ反対方向に放音させることができるため、ステレオ再生時のチャンネルセパレーションを良好化させることができる。
なお、低音域の音の指向性は非常に広いため、低音域再生専用の音響装置7は、映像表示装置60aのケース62a内部の映像表示パネル61の背面であれば、どの位置に配置しても、十分に低音の再生が可能である。
以上のように、本発明の音響装置7は、低インチサイズから高インチサイズまでの映像表示装置60、60aに対して、広く搭載することが可能である。従って、音響装置7を搭載した映像表示装置60、60aは、上記に説明したような音響装置7の有する特徴によって、幅広いサイズの映像表示装置60、60aに対し、従来にない薄型化や小型化や省スペース化を実現することができる。また、音響装置7は、小型スピーカ5が多数連なって構成されていることから、音質的には中高域の明瞭度が高く、歪の少ない良好な音質を実現することができる。また、量産効果により価格が安価なマイクロスピーカを多数個使用することにより、コスト的要求についても満足できる映像表示装置60、60aを提供することができる。
高インチサイズの映像表示装置60、60aについては、音響装置7を左右に一対の使用のみならず、これを最小単位として、上下方向や左右方向に多数個配置しても良く、このように搭載することにより、要求される耐入力や音圧レベルの調整を図ることもできる。さらに必要であれば、映像表示装置60、60aの映像表示パネル61の外周部を囲むケース62、62aの外周の全周に沿わせるように枠体状に形成させて配置することも可能であり、このように搭載することにより、要求される耐入力や音圧レベルを一層満足させることができる。
以上説明したように、本発明の映像表示装置60、60aに用いる音響装置7は、映像表示パネル61の外周部の上下方向または左右方向あるいは映像表示パネル61の裏面側に配置されるものであり、小型スピーカを直線状に2個以上連ねて構成したものである。そして、映像表示装置60、60aのケース62、62aの映像表示パネル61の外周部には、音響装置7のスリット状の開口部1aに対応する位置に映像表示装置60、60aの放音孔63を設け、映像表示装置60、60aの放音孔63から音響装置7の音が放音される構成としている。さらに、音響装置7の奥行き方向の寸法は、映像表示パネル61の奥行き方向の寸法と同じか、または小さくして構成している。
以上の構成とすることにより、映像表示装置60、60aの狭額縁化が可能となる。従って、映像表示装置60、60aの小型化や薄型化や省スペース化を実現させることができ、市場要求であるコンパクトな映像表示装置60、60aを実現することができる。
本発明にかかる映像表示装置は、小型化や薄型化が必要とされる映像表示装置に適用できる。
1a,2a 開口部
5 スピーカ(小型スピーカ)
7 音響装置
27 振動板
60,60a 映像表示装置
61 映像表示パネル
62,62a ケース
63 放音孔
本発明の映像表示装置は、映像を表示する映像表示パネルと、映像表示パネルの外周部
を囲むケースと、映像表示パネルの外周部近傍に配置され、複数のスピーカを直線状に連ねて構成される音響装置と、音響装置の開口部に対応してケースに設けられ、音響装置からの発生音を外部に放音するための放音孔とを備えている。音響装置の奥行き方向の寸法が、映像表示パネルの奥行き方向の寸法以下であり、音響装置が、映像表示パネルの前面側、かつ映像表示パネルの外周部の外側に設けられており、スピーカの振動板の振幅方向を、映像表示パネルの映像表示面と実質的に平行方向とし、音響装置の開口部を、映像表示パネルの映像表示面と実質的に平行面上に構成している。