JPWO2012147849A1 - 共重合ポリアミドフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】300℃以上の高融点、低吸水性、耐熱老化性を有し、太陽電池用部材としても好適な共重合ポリアミドフィルム。【解決手段】(a)ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%、及び(b)11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%からなることを特徴とする共重合ポリアミドフィルム。【選択図】 なし
Description
本発明は、高融点、低吸水性、耐熱老化性を有し、太陽電池用部材としても好適な共重合ポリアミドフィルムに関する。
近年、次世代のクリーンエネルギー源として太陽電池が注目を集めている。太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールの裏面を封止する太陽電池裏面封止シートや表面保護シートなどの構成部材が使用され、これら構成部材には基材フィルムが用いられる。屋外で使用される太陽電池は長期にわたり使用されるため、これら構成部材も自然環境に対する耐久性が求められる。このような構成部材、例えば太陽電池裏面封止用のベースフィルムとしては、フッ素系フィルム、ポリエチレン系フィルム、あるいはポリエステル系フィルムが用いられる(特許文献1、2)。
一方、耐熱性に優れた素材として6Tナイロンが知られている。6Tナイロンは360℃を超える融点を有するため、ポリマーの重合や得られたポリマーの成形が困難であるという欠点を有する。そこで、成形性を付与するために、カプロラクタムやアジピン酸、イソフタル酸、2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを共重合することにより、融点を290℃から330℃に低下させる手段が工業的になされている(特許文献3、4、5)。
太陽電池用フィルムとしては従来フッ素系フィルムが広く用いられているが、コストや加工性の点の設置へと発展している。このような環境では日照時間が長く、長期に高温に曝されることとなる。さらに、太陽電池モジュールは大型化、大出力化しており、大型化による温度上昇や、大出力化による電極・コネクタ部位の温度上昇が生じている。そのため、ポリエステルフィルムでは十分な耐熱性が得られない場合があった。
一方、6Tナイロンは融点が高く耐熱性に優れた素材であるが、カプロラクタムやアジピン酸を共重合した場合は吸水率が高く、吸湿下では物性の大幅な低下を引き起こす場合がある。特許文献4では、6Tナイロンに12ナイロンを共重合することで短時間の耐熱性、耐衝撃特性、及び摺動特性に優れるという利点を有するが、耐熱老化性に劣るという欠点を有する。また、特許文献5では、6Tナイロンに比較的多量の11ナイロン又は12ナイロンを共重合することで、低吸水性でかつ機械的特性に優れるという利点を有するが、製膜性や耐熱老化性に劣るという欠点を有する。
このように、従来公知の6T系ナイロンには、高融点、低吸水性を維持しながら、製膜製性、耐熱老化性の特性の全てを高度に満足した共重合ポリアミドフィルムは得られていなかった。
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、高融点、低吸水性を維持しながら、製膜性、耐熱老化性の特性の全てを高度に満足した太陽電池用部材としても好適な共重合ポリアミドフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、6Tナイロンに共重合する成分の種類及びその量について鋭意検討した結果、11ナイロンを特定の割合で共重合することによって、300℃以上の融点、低吸水性に加えて、製膜性、耐熱老化性の全てを高度に満足する6T系ナイロンフィルムを提供することができることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明によれば、(a)ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%、及び(b)11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%からなることを特徴とする共重合ポリアミドフィルムが提供される。
本発明の好ましい態様によれば、共重合ポリアミドフィルムが、(c)前記(a)の構成単位以外のジアミンとジカルボン酸の等量モル塩から得られる構成単位、または前記(b)の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムから得られる構成単位を最大20モル%まで含有し、共重合ポリアミドの融点(Tm)が300〜330℃であり、昇温結晶化温度(Tc1)が100〜140℃である。
本発明の共重合ポリアミドフィルムは、主成分の6Tナイロンに11ナイロンが特定の割合で共重合されているので、機械的特性などの6Tナイロンの特性を活かしつつ、300℃以上の高融点、低吸水性に加えて、製膜性、耐熱老化性も高度に満足することができる。よって、太陽電池用部材、特に太陽電池用保護シートの構成部材として好適に使用できる。
本発明の共重合ポリアミドは、6Tナイロンに相当する(a)成分と11ナイロンに相当する(b)成分を特定の割合で含有するものであり、6Tナイロンの欠点である製膜性、高吸水性が改良されているのみならず、耐熱老化性も高度に満足するという特徴を有する。
(a)成分は、ヘキサメチレンジアミン(6)とテレフタル酸(T)を等量モルで共縮重合させることにより得られる6Tナイロンに相当するものであり、具体的には、下記式(I)で表されるものである。
(a)成分は、本発明の共重合ポリアミドの主成分であり、共重合ポリアミドに優れた耐熱性、機械的特性、耐薬品性などを付与する役割を有する。共重合ポリアミド中の(a)成分の配合割合は、55〜75モル%であり、好ましくは60〜70モル%、さらに好ましくは62〜68モル%である。(a)成分の配合割合が上記下限未満の場合、結晶成分である6Tナイロンが共重合成分により結晶阻害を受け、製膜性や高温特性の低下を招くおそれがあり、一方上記上限を超える場合、融点が高くなりすぎ加工時に分解するおそれがあり、好ましくない。
(b)成分は、11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムを重縮合させることにより得られる11ナイロンに相当するものであり、具体的には、下記式(II)で表されるものである。
(b)成分は、(a)成分の欠点を改良するためのものであり、共重合ポリアミドの融点及び昇温結晶化温度を低下させて製膜性を向上させる役割、および吸水率を低減させて吸水時の物性変化や寸法変化、さらには太陽電池素子に対する透湿によるトラブルを改善させる役割を有する。共重合ポリアミド中の(b)成分の配合割合は、45〜25モル%であり、好ましくは40〜30モル%、更に好ましくは38〜32モル%である。(b)成分の配合割合が上記下限未満の場合、共重合ポリアミドの融点が十分に低下せず、製膜性が不足するおそれがあると共に、得られた樹脂の吸水率を低減させる効果が不十分であり、吸水時に機械的特性が低下したり、耐バリア性が低下するおそれがある。上記上限を超える場合、共重合ポリアミドの融点が低下しすぎて結晶化速度が遅くなり、製膜性が逆に悪くなるおそれがあると共に、6Tナイロンに相当する(a)成分の量が少なくなり、機械的特性が不足するおそれがあり、好ましくない。
本発明の共重合ポリアミドは、上記(a)成分及び(b)成分以外に、(c)上記(a)の構成単位以外のジアミンとジカルボン酸の等量モル塩から得られる構成単位、または上記(b)の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムから得られる構成単位を最大20モル%共重合しても良い。(c)成分としては、共重合ポリアミドに6Tナイロンや11ナイロンによっては得られない他の特性を付与したり、6Tナイロンや11ナイロンによって得られる特性をさらに改良する役割を有するものであり、具体的には以下のような共重合成分が挙げられる。アミン成分としては、1,2−エチレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、5−ベンタメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、1,13−トリデカメチレンジアミン、1,16−ヘキサデカメチレンジアミン、1,18−オクタデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジン、シクロヘキサンジアミン、ビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミンのような脂環式ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンおよびこれらの水添物等が挙げられる。ポリアミドの酸成分としては、以下に示す多価カルボン酸、もしくは酸無水物を使用できる。多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボンル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。また、ε−カプロラクタム、12−ラウリルラクタムなどのラクタムおよびこれらが開環した構造であるアミノカルボン酸などが挙げられる。
具体的な(c)成分としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリパラキシリレンアジパミド(ナイロンPXD6)、ポリテトラメチレンセバカミド(ナイロン410)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン106)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン1012)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリテトラメチレンテレフタルアミド(ナイロン4T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド(ナイロン5T)、ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド(ナイロンM−5T)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン6T(H))ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン12T)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンテレフタルアミド(ナイロンPACMT)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンイソフタルアミド(ナイロンPACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンテトラデカミド(ナイロンPACM14)などが挙げられる。
前記構成単位の中でも、好ましい(c)成分の例としては、共重合ポリアミドに高結晶性を付与するためのポリヘキサメチレンアジパミドや、さらなる低吸水性を付与するためのポリデカメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシレンアジパミドなどが挙げられる。共重合ポリアミド中の(c)成分の配合割合は、最大20モル%までであることが好ましく、さらに好ましくは10〜20モル%である。(c)成分の割合が上記下限未満の場合、(c)成分による効果が十分発揮されないおそれがあり、上記上限を超える場合、必須成分である(a)成分や(b)成分の量が少なくなり、本発明の共重合ポリアミドの本来意図される効果が十分発揮されないおそれがあり、好ましくない。
本発明の共重合ポリアミドは、300〜330℃の融点(Tm)、及び100〜140℃の昇温結晶化温度(Tc1)を有することが好ましい。Tmが上記上限を超える場合、共重合ポリアミドを製膜する際に必要となる加工温度が極めて高くなるため、加工時に分解し、目的の物性や外観が得られない場合がある。逆に、Tmが上記下限未満の場合、結晶化速度が遅くなり、いずれも製膜が困難になるだけでなく、太陽電池部材として必要とされる耐熱性が得られない場合がある。また、Tc1が上記上限を超える場合、共重合ポリアミドを製膜する際に必要とされる温度が高くなり製膜が困難になる場合がある。逆に、Tc1が上記下限未満の場合、樹脂組成として必然的にガラス転移温度を低下させる必要が出てくる。Tc1は一般的にガラス転移温度以上の温度となるため、Tc1を100℃未満にする場合、ガラス転移温度としては低い値が求められるが、その場合、物性の大きな低下や、吸水後の物性が維持できないなどの問題が発生する。Tgを比較的高く保つ必要があることから、Tc1としては少なくとも100℃以上にすることが必要である。
本発明の共重合ポリアミドを製造するに際に使用する触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸もしくはその金属塩やアンモニウム塩、エステルが挙げられる。金属塩の金属種としては、具体的には、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモンなどが挙げられる。エステルとしては、エチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを添加することができる。また、溶融滞留安定性向上の観点から、水酸化ナトリウムを添加することが好ましい。
本発明の共重合ポリアミドの96%濃硫酸中20℃で測定した相対粘度(RV)は0.4〜4.0であり、好ましくは1.0〜3.5、より好ましくは1.5〜3.0である。ポリアミドの相対粘度を一定範囲とする方法としては、分子量を調整する手段が挙げられる。
本発明の共重合ポリアミドは、アミノ基量とカルボキシル基とのモル比を調整して重縮合する方法や末端封止剤を添加する方法によって、ポリアミドの末端基量および分子量を調整することができる。アミノ基量とカルボキシル基とのモル比を一定比率で重縮合する場合には、使用する全ジアミンと全ジカルボン酸のモル比をジアミン/ジカルボン酸=1.00/1.05から1.10/1.00の範囲に調整することが好ましい。
末端封止剤を添加する時期としては、原料仕込み時、重合開始時、重合後期、または重合終了時が挙げられる。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、モノカルボン酸またはモノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などを使用することができる。末端封止剤としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン等が挙げられる。
本発明の共重合ポリアミドの酸価およびアミン価としては、それぞれ0〜200eq/トン、0〜100eq/tonであることが好ましい。末端官能基が200eq/ton以上であると、溶融滞留時にゲル化や劣化が促進されるだけでなく、使用環境化においても、着色や加水分解等の問題を引き起こす。一方、ガラスファイバーやマレイン酸変性ポリオレフィンなどの反応性化合物をコンパウンドする際は、反応性および反応基に合わせ、酸価および/又はアミン価を5〜100eq/tonとすることが好ましい。
本発明の共重合ポリアミドには、従来のポリアミド用の各種添加剤を使用することができる。添加剤としては、繊維状強化材・充填材、安定剤、衝撃改良材、難燃剤、離型剤、摺動性改良材、着色剤、可塑剤、結晶核剤、本発明の共重合ポリアミドとは異なるポリアミド、ポリアミド以外の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
充填材(フィラー)としては、目的別には強化用フィラーや導電性フィラー、磁性フィラー、難燃フィラー、熱伝導フィラーなどが挙げられ、具体的にはガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、シリカ、タルク、カオリン、ワラストナイト、マイカ、アルミナ、ハイドロタルサイト、モンモリロナイト、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、赤燐、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。これら充填材は、1種のみの単独使用だけではなく、数種を組み合わせて用いても良い。充填材の添加量は最適な量を選択すれば良いが、共重合ポリアミド100重量部に対して250重量部以下、好ましくは20〜150重量部の充填材を添加することが可能である。
安定剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などの有機系酸化防止剤や熱安定剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、イミダゾール系等の光安定剤や紫外線吸収剤、金属不活性化剤、銅化合物などが挙げられる。銅化合物としては、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅、燐酸第二銅、ピロリン酸第二銅、硫化銅、硝酸銅、酢酸銅などの有機カルボン酸の銅塩などを用いることができる。さらに銅化合物以外の構成成分としては、ハロゲン化アルカリ金属化合物を含有することが好ましく、ハロゲン化アルカリ金属化合物としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどが挙げられる。これら添加剤は、1種のみの単独使用だけではなく、数種を組み合わせて用いても良い。安定剤の添加量は最適な量を選択すれば良いが、共重合ポリアミド100重量部に対して0〜5重量部を添加することが可能である。
また、本発明の共重合ポリアミドは、本発明の共重合ポリアミドとは異なる組成のポリアミドをポリマーブレンドしても良い。本発明の共重合ポリアミドと異なる組成のポリアミドとしては、特に制限は無いが、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリパラキシリレンアジパミド(ナイロンPXD6)、ポリテトラメチレンセバカミド(ナイロン410)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン106)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン1012)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリテトラメチレンテレフタルアミド(ナイロン4T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド(ナイロン5T)、ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド(ナイロンM−5T)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン6T(H))、ポリ2−メチル−オクタメチレンテレフタルアミド、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン12T)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンテレフタルアミド(ナイロンPACMT)ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンイソフタルアミド(ナイロンPACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンテトラデカミド(ナイロンPACM14)、ポリアルキルエーテル共重合ポリアミドなどの単体、もしくはこれらの共重合ポリアミドを単独または二種以上を使用しても良い。これらの中でも、結晶速度を向上させるために、ナイロン66やナイロン6T66などをポリマーブレンドしても良い。本発明の共重合ポリアミドとは異なる組成のポリアミドの添加量は最適な量を選択すれば良いが、共重合ポリアミド100重量部に対して0〜50重量部を添加することが可能である。
本発明の共重合ポリアミドには、本発明の共重合ポリアミドとは異なる組成のポリアミド以外の熱可塑性樹脂を添加しても良い。ポリアミド以外のポリマーとしては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、アラミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリサルホン(PSU)、ポリアリレート(PAR)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、相溶性が悪い場合は、反応性化合物やブロックポリマー等の相溶化剤を添加するか、ポリアミド以外のポリマーを変性(特に酸変性が好ましい)することが重要である。これら熱可塑性樹脂は、溶融混練により、溶融状態でブレンドすることも可能であるが、熱可塑性樹脂を繊維状、粒子状にし、本発明の共重合ポリアミドに分散しても良い。熱可塑性樹脂の添加量は最適な量を選択すれば良いが、共重合ポリアミド100重量部に対して0〜50重量部を添加することが可能である。
本発明の共重合ポリアミドに対して、本発明におけるポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を添加する場合にはポリアミドと反応可能な反応性基が共重合されていることが好ましく、反応性基としてはポリアミド樹脂の末端基であるアミノ基、カルボキシル基及び主鎖アミド基と反応しうる基である。具体的にはカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、アミノ基、イソシアネート基等が例示されるが、それらの中でも酸無水物基が最も反応性に優れている。このようにポリアミド樹脂と反応する反応性基を有する熱可塑性樹脂はポリアミド中に微分散し、微分散するがゆえに粒子間の距離が短くなり耐衝撃性が大幅に改良されるという報告もある〔S,Wu:Polymer 26,1855(1985)〕。
本発明の共重合ポリアミドは、従来公知の方法で製造することができるが、例えば、(a)成分の原料モノマーであるヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸、及び(b)成分の原料モノマーである11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタム、並びに必要により(c)前記(a)の構成単位以外のジアミンとジカルボン酸の等量モル塩から得られる構成単位、前記(b)の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムを共縮合反応させることによって容易に合成することができる。共縮重合反応の順序は特に限定されず、全ての原料モノマーを一度に反応させてもよいし、一部の原料モノマーを先に反応させ、続いて残りの原料モノマーを反応させてもよい。また、重合方法は特に限定されないが、原料仕込からポリマー作製までを連続的な工程で進めても良いし、一度オリゴマーを作製した後、別工程で押出し機などにより重合を進める、もしくはオリゴマーを固相重合により高分子量化するなどの方法を用いても良い。原料モノマーの仕込み比率を調整することにより、合成される共重合ポリアミド中の各構成単位の割合を制御することができる。
フィルム化工程においては、前記共重合ポリアミド樹脂を溶融押出しし、T−ダイスより冷却回転ロール上にシート状に成型し、未延伸フィルムを作成する。また、複数の押出し機を用い、コア層、スキン層に各種機能を分担させ、共押出し法により積層フィルムとしても良い。延伸工程においては、公知の方法を用いて、共重合ポリアミド樹脂のガラス転移温度以上結晶化温度未満で、少なくとも一軸方向に1.1〜6倍に延伸することにより得ることができる。 例えば、縦方向または横方向に一軸延伸を行い、次いで直交方向に延伸する逐次二軸延伸方法、縦方向及び横方向に同時に延伸する同時二軸延伸する方法、さらに同時二軸延伸する際の駆動方法としてリニアモーターを用いる方法を採用することができる。
さらに、延伸終了後、熱固定工程において(融点−50℃)〜融点未満の温度で30秒以内、好ましくは10秒以内で熱固定処理を行い、0.5〜10%の縦弛緩処理、横弛緩処理などを施すことも好ましい。
フィルムの厚みは、10〜500μmであることが好ましく、より好ましく15〜400μmであり、さらに好ましくは20〜250μmである。10μm未満では腰が無く取り扱いが困難である。また500μmを超えるとハンドリング性が低下し、取り扱いが困難となる。
本発明のフィルムは延伸によるフィルム化工程を経ることで高い機械強度を奏しうる。具体的には、本発明のフィルムの破断強度は好ましくは100MPa以上、より好ましくは150MPa以上であり、引張弾性率は好ましくは1.5GPa以上、より好ましくは2.0GPa以上である。但し、あまりにも高い機械強度ばかりを得ようとすると、他の特性を損なう恐れがあるので、10.0GPa以下でよく、8.0GPa以下でも構わない。
また、本発明の共重合ポリアミドは透明性にも優れる。そのため、太陽電池用フロントシートとしても好適である。具体的には、本発明のフィルムのヘイズは好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。ヘイズは小さいほどよいが、0%のヘイズを実現するのは困難なので、0.2%以上でよく、1%以上であっても構わない。
本発明でいう太陽電池とは、太陽光、室内光等の入射光を取り込んで電気に変換し、当該電気を蓄えるシステムをいい、表面保護シート(フロントシート)、高光線透過材、太陽電池モジュール、充填剤層およびバックシートなどから構成される。用途によりフレキシブルな性状のものがある。
本発明のフィルムは、上記表面保護シート(フロントシート)、バックシートやフレキシブルな電子部材の張合材の基材フィルム(ベースフィルム)として用いることができる。特に、高い耐久性、長期熱安定性が求められる太陽電池用バックシートのベースフィルムとして好適である。太陽電池バックシートとは、太陽電池の裏側の太陽電池モジュールの保護するものである。
本発明のフィルムは、単独または2枚以上を貼り合わせて、太陽電池バックシートやフロントシートとして使用することができる。本発明のフィルムには、水蒸気バリア性を付与する目的で、水蒸気バリア性を有するコーティングやフィルム、無機酸化物層、アルミ箔などを積層することができる。
コーティング層としては、ポリフッ化ビニル溶液などフッ素樹脂溶液をコーティングすることにより付与することができる。また、バリア性フィルムとしては、ポリフッ化ビニリデンコートフィルム、酸化ケイ素蒸着フィルム、酸化アルミニウム蒸着フィルム、アルミニウム蒸着フィルムなどをもちいることができる。無機酸化物層は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、あるいは、それらの混合物等の無機酸化物からなる層であり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等により積層することができる。これらは、本発明のフィルムに被覆層や接着層を介して、または直接積層したり、サンドイッチ構造をとる形態で用いることができる。
本発明のフィルムはポリエステルフィルムなどと比較しても融点が高く、耐熱性や耐加水分解性に優れる。具体的には、160℃、1000時間の耐熱性試験によってもフィルム強度は当初強度の95%以上を保持しうる。そのため、本発明のフィルムは屋外の高温環境下で長期間にわたり継続使用される太陽電池の構成部材として好適である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は、以下の方法によって測定したものである。
(1)相対粘度
ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で測定した。
ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で測定した。
(2)末端アミノ基量
ポリアミド樹脂0.2gをm−クレゾール20mlに溶解させ、0.1mol/l塩酸エタノール溶液で滴定した。指示薬はクレゾールレッドを用いた。樹脂1ton中の当量(eq/ton)として表した。
ポリアミド樹脂0.2gをm−クレゾール20mlに溶解させ、0.1mol/l塩酸エタノール溶液で滴定した。指示薬はクレゾールレッドを用いた。樹脂1ton中の当量(eq/ton)として表した。
(3)融点(Tm)及び昇温結晶化温度(Tc1)
105℃で15時間減圧乾燥したポリアミドをアルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、測定試料を調製した後、示差走査熱量計DSCQ100(TA INSTRUMENTS製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した後に測定試料パンを取出し、液体窒素に漬け込み、急冷させた。その後、液体窒素からサンプルを取出し、室温で30分間放置した後、再び、示差走査熱量計DSCQ100(TA INSTRUMENTS製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した。その際に、昇温時の結晶化の発熱のピーク温度を昇温時結晶化温度(Tc1)とし、融解による吸熱のピーク温度を融点(Tm)とした。
105℃で15時間減圧乾燥したポリアミドをアルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、測定試料を調製した後、示差走査熱量計DSCQ100(TA INSTRUMENTS製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した後に測定試料パンを取出し、液体窒素に漬け込み、急冷させた。その後、液体窒素からサンプルを取出し、室温で30分間放置した後、再び、示差走査熱量計DSCQ100(TA INSTRUMENTS製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した。その際に、昇温時の結晶化の発熱のピーク温度を昇温時結晶化温度(Tc1)とし、融解による吸熱のピーク温度を融点(Tm)とした。
(4)引張弾性率、破断強度
フィルムを、長手方向(MD方向)に100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R) 機種名AG−500
0A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で引張弾性率、引張強度及び破断伸度を測定した。
フィルムを、長手方向(MD方向)に100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R) 機種名AG−500
0A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で引張弾性率、引張強度及び破断伸度を測定した。
(5)フィルム製膜性
フィルム製膜に当たり連続的に1時間以上製膜できたものを○、フィルム製膜中に破断が生じたものを×として評価した。
フィルム製膜に当たり連続的に1時間以上製膜できたものを○、フィルム製膜中に破断が生じたものを×として評価した。
(6)耐熱老化性
フィルムサンプルを160℃ギアオーブン中で1000時間の熱老化試験を実施し、引張試験はISO527に準じて行った。耐熱老化性の良悪は以下のような基準で評価を行った。
○:160℃1000時間後の、引張強度もしくは引張降伏強度の保持率が95%以上
×:160℃1000時間後の、引張強度もしくは引張降伏強度の保持率が95%未満
フィルムサンプルを160℃ギアオーブン中で1000時間の熱老化試験を実施し、引張試験はISO527に準じて行った。耐熱老化性の良悪は以下のような基準で評価を行った。
○:160℃1000時間後の、引張強度もしくは引張降伏強度の保持率が95%以上
×:160℃1000時間後の、引張強度もしくは引張降伏強度の保持率が95%未満
(7)飽和吸水率
飽和吸水率の評価には、縦100mm、横100mm、厚み1mmtの平板を80℃熱水中に浸漬させた。飽和吸水率は以下の式より求めた。
飽和吸水率(%)=(飽和吸水時の重量−乾燥時重量)/乾燥時重量×100
飽和吸水率の評価には、縦100mm、横100mm、厚み1mmtの平板を80℃熱水中に浸漬させた。飽和吸水率は以下の式より求めた。
飽和吸水率(%)=(飽和吸水時の重量−乾燥時重量)/乾燥時重量×100
(8)ヘイズ
フィルムのヘイズはJIS K 7136に準拠し、濁度計(日本電色製、NDH2000)を用いて測定した。
フィルムのヘイズはJIS K 7136に準拠し、濁度計(日本電色製、NDH2000)を用いて測定した。
<実施例1>
ヘキサメチレンジアミン7.54kg、テレフタル酸10.79kg、11−アミノウンデカン酸7.04kg、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、末端調整剤として酢酸40gおよびイオン交換水17.52kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでN2で加圧し、放圧させ、常圧に戻した。この操作を3回行い、N2置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて均一溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより、連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間、熱を加えた。その後、加圧反応缶に反応混合物が供給され、290℃に加熱され、缶内圧を3MPaで維持するように、水の一部を留出させ、低次縮合物を得た。その後、この低次縮合物を、溶融状態を維持したまま直接二軸押出し機(スクリュー径37mm、L/D=60)に供給し、樹脂温度を330℃、3箇所のベントから水を抜きながら溶融下で重縮合を進め、共重合ポリアミドを得た。
ヘキサメチレンジアミン7.54kg、テレフタル酸10.79kg、11−アミノウンデカン酸7.04kg、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、末端調整剤として酢酸40gおよびイオン交換水17.52kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでN2で加圧し、放圧させ、常圧に戻した。この操作を3回行い、N2置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて均一溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより、連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間、熱を加えた。その後、加圧反応缶に反応混合物が供給され、290℃に加熱され、缶内圧を3MPaで維持するように、水の一部を留出させ、低次縮合物を得た。その後、この低次縮合物を、溶融状態を維持したまま直接二軸押出し機(スクリュー径37mm、L/D=60)に供給し、樹脂温度を330℃、3箇所のベントから水を抜きながら溶融下で重縮合を進め、共重合ポリアミドを得た。
得られた共重合ポリアミドを押出機に供給し、押出機熔融部の樹脂最高温度は330℃としシート状にして押し出した。次に、この未延伸シートを加熱されたロール群で120℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3倍延伸し、次いでテンターで、150℃で幅方向に3倍に延伸を行った後、熱固定を270℃で行い、さらに220℃で幅方向に弛緩処理を行い、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
<実施例2>
ヘキサメチレンジアミンの量を8.12kgに変更し、テレフタル酸の量を11.62kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を6.03kgに変更し、二軸押出し機の樹脂温度を335℃に変更した。これら以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。溶融部の樹脂最高温度を340℃に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
ヘキサメチレンジアミンの量を8.12kgに変更し、テレフタル酸の量を11.62kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を6.03kgに変更し、二軸押出し機の樹脂温度を335℃に変更した。これら以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。溶融部の樹脂最高温度を340℃に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
<実施例3>
ヘキサメチレンジアミンの量を6.96kgに変更し、テレフタル酸の量を9.96kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を8.04kgに変更した以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
ヘキサメチレンジアミンの量を6.96kgに変更し、テレフタル酸の量を9.96kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を8.04kgに変更した以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
<実施例4>
ヘキサメチレンジアミンの量を8.12kgに変更し、テレフタル酸の量を9.96kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を6.03kgに変更し、アジピン酸(テレフタル酸以外のジカルボン酸)1.46kgを仕込んだ以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
ヘキサメチレンジアミンの量を8.12kgに変更し、テレフタル酸の量を9.96kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を6.03kgに変更し、アジピン酸(テレフタル酸以外のジカルボン酸)1.46kgを仕込んだ以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
<実施例5>
11−アミノウンデカン酸7.04kgをウンデカンラクタム6.41kgに変更した以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
11−アミノウンデカン酸7.04kgをウンデカンラクタム6.41kgに変更した以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
<比較例1>
ヘキサメチレンジアミンの量を9.28kgに変更し、テレフタル酸の量を13.28kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を4.02kgに変更し、二軸押出し機の樹脂温度を350℃に変更した。これら以外は、実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、溶融部の樹脂最高温度を350℃に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムの製膜を行なったが、製膜中に破断が生じ、連続した製膜はできなかった。
ヘキサメチレンジアミンの量を9.28kgに変更し、テレフタル酸の量を13.28kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を4.02kgに変更し、二軸押出し機の樹脂温度を350℃に変更した。これら以外は、実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、溶融部の樹脂最高温度を350℃に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムの製膜を行なったが、製膜中に破断が生じ、連続した製膜はできなかった。
<比較例2>
ヘキサメチレンジアミンの量を5.22kgに変更し、テレフタル酸の量を7.47kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を11.06kgに変更した以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
ヘキサメチレンジアミンの量を5.22kgに変更し、テレフタル酸の量を7.47kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を11.06kgに変更した以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
<比較例3>
11−アミノウンデカン酸7.44kgを12−アミノドデカン酸7.53kgに変更した以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
<比較例4>
11−アミノウンデカン酸を使用せずに、ヘキサメチレンジアミン10.18kg及びテレフタル酸14.56kgを実施例1と同様にして、共重合ポリアミドの合成を行った。合成したポリアミドは、重合段階で流動性が低下し、ポリマーを得ることができなかった。
11−アミノウンデカン酸7.44kgを12−アミノドデカン酸7.53kgに変更した以外は実施例1と同様にして、共重合ポリアミドを合成した。その後、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。
<比較例4>
11−アミノウンデカン酸を使用せずに、ヘキサメチレンジアミン10.18kg及びテレフタル酸14.56kgを実施例1と同様にして、共重合ポリアミドの合成を行った。合成したポリアミドは、重合段階で流動性が低下し、ポリマーを得ることができなかった。
<参考例1>
ジメチレンテレフタレート100質量部、エチレングリコール64質量部と酢酸カルシウム0.09質量部を触媒としてエステル交換した後、トリメチルホスフェート、三酸化アンチモンを0.03質量%で重合し、固有粘度が0.60dl/gのポリエチレンタレフタレート(PET)を得た。得られたPET樹脂を押出機に供給し、樹脂最高温度は290℃で溶融し、ダイスよりシート状にして押し出した。次に、この未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.3倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。引き続いて、テンターで、130℃で幅方向に4.0倍に延伸を行った後、熱固定を235℃で行い、さらに200℃で幅方向に弛緩処理を行い、厚さ50μmの二軸配向PETフィルムを得た。
得られたフィルムを耐熱老化試験に供したところ、160℃1000時間後の引張強度は30%以下であった。
ジメチレンテレフタレート100質量部、エチレングリコール64質量部と酢酸カルシウム0.09質量部を触媒としてエステル交換した後、トリメチルホスフェート、三酸化アンチモンを0.03質量%で重合し、固有粘度が0.60dl/gのポリエチレンタレフタレート(PET)を得た。得られたPET樹脂を押出機に供給し、樹脂最高温度は290℃で溶融し、ダイスよりシート状にして押し出した。次に、この未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.3倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。引き続いて、テンターで、130℃で幅方向に4.0倍に延伸を行った後、熱固定を235℃で行い、さらに200℃で幅方向に弛緩処理を行い、厚さ50μmの二軸配向PETフィルムを得た。
得られたフィルムを耐熱老化試験に供したところ、160℃1000時間後の引張強度は30%以下であった。
本発明の共重合ポリアミドは、主成分の6Tナイロンに11ナイロンが特定の割合で共重合されているので、300℃以上の高融点、機械的特性などの6Tナイロンの特性を活かしつつ、低吸水性、成形性、耐熱老化性も高度に満足し、太陽電池用部材として好適である。
Claims (3)
- (a)ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%、及び(b)11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%からなることを特徴とする共重合ポリアミドフィルム。
- 共重合ポリアミドが、(c)前記(a)の構成単位以外のジアミンとジカルボン酸の等量モル塩から得られる構成単位、または前記(b)の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムから得られる構成単位を最大20モル%まで含有することを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリアミドフィルム。
- 共重合ポリアミドの融点(Tm)が300〜330℃であり、昇温結晶化温度(Tc1)が100〜140℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の共重合ポリアミドフィルム。
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