JPWO2012144059A1 - モータのロータの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、積層鋼板からなるコアとシャフトとの組付け精度を高くして、低コストで高性能なモータのロータを製造することができるモータのロータの製造方法を提供することを、課題とする。そこで、本発明の一態様は、貫通孔を有した薄板鋼板を複数積層し、複数の薄板鋼板の各貫通孔を位置合わせして形成された挿通孔を有する積層鋼板を、積層鋼板の厚み方向両側から挟み込む一対の治具により、ロータコアとして積層鋼板を厚み方向に拘束した状態で、挿通孔にシャフトを挿入し積層鋼板と焼き嵌めで固定させるモータのロータの製造方法において、一対の治具は、シャフトが挿通可能なシャフト挿通孔と、シャフト挿通孔の径方向に対しシャフト挿通孔を径内側に取り囲む位置で積層鋼板の挿通孔の周縁を挟む径内側周縁部と、径内側周縁部より径外側で積層鋼板の外周縁を挟む径外側周縁部と、を有し、径内側周縁部と径外側周縁部とは治具高さ方向に高低差を有している。

Description

この発明は、例えば、ハイブリッド自動車等に搭載されるモータのロータについて、積層鋼板で形成されたロータコアの挿通孔に、ロータの回転軸であるシャフトを挿入してロータコアと一体に組付けるモータのロータの製造方法に関するものである。
モータのロータは、プレス加工による打ち抜きで穿孔された貫通孔を中央部に有した薄板鋼板を、複数積層させた積層鋼板で形成されたロータコアに対し、その挿通孔にシャフトを挿通してロータコアとシャフトとを圧入で固定し、ロータコアに磁石を取り付けて構成されている。
従来、ロータコアとシャフトとを固定させる製造方法の一例として、特許文献1に開示されたモータのロータコアとシャフトとの締結構造が挙げられる。図14に、特許文献1に開示されたロータコアの斜視図を示す。図15は、図14中、C矢視から見たロータコアをなす薄板鋼板の一部を示す。図16は、図14中、C矢視から見たロータコアの貫通孔にモータシャフトが挿通した状態を示す説明図である。
特許文献1では、薄板鋼板312の貫通孔312Hが、図14及び図15に示すように、径方向に径差を有した溝部303と凸部304とを、周方向に一定の間隔で交互に環状に配置して形成されている。ロータコア310は、このような薄板鋼板312を複数用い、隣り合う薄板鋼板312、312同士で、一方の薄板鋼板312の溝部303と他方の薄板鋼板312の凸部304とが同位相となる配置形態で積層して形成されている。
その一方、モータシャフト320は、その外周面を、ローレット加工により凹凸部324で形成し、複数積層された薄板鋼板312の貫通孔312H(溝部303、凸部304)であるロータコア310の嵌入孔311Hに挿通するようになっている。特許文献1は、図16に示すように、薄板鋼板312の溝部303、凸部304に対し、モータシャフト320の凹凸部324を、断続的に接触部位と非接触部位とに分けて圧入させている。特許文献1では、図16に示すように、ロータコア310にモータシャフト324を圧入しても、各薄板鋼板312がロータコア310の軸心AXに向けて自由に変形して撓み易くなっているため、ロータコア310やモータシャフト324に応力が残留せず、モータシャフト320の圧入による傷付きやバリも発生しないよう、工夫されている。
また、特許文献は挙げていないが、特許文献1のようなロータコアとシャフトとを固定させる従来の製造方法の他の実施例として、その一例を、図17に示す。従来の製造方法では、ロータコア410は、図17に示すように、その厚さ方向HTの積層鋼板411の両側端面411a,411bに板状の治具431,432を面接触させ、所定の挟持力で治具431と治具432とを締め付けて複数の薄板鋼板412を拘束している。この状態でロータコア410を、高周波焼入れ等により加熱し、熱膨張により孔径が多少拡張した挿通孔411Hに、シャフト420を挿通した後、ロータコア410を冷却することにより、ロータコア410とシャフト420とが焼き嵌めされて固定されている。
特開2006−217770号公報
しかしながら、ロータコアとシャフトとを固定する従来技術には、以下の2つの問題があった。
(1)シャフトの圧入時には、ロータコアの軸方向への応力が、複数積層された薄板鋼板に発生し、軸方向の歪みが、各薄板鋼板に生じる。特許文献1は、ロータコア310にモータシャフト320を圧入したときに、ロータコア310やモータシャフト320に生じる応力を、ロータコア310の軸心AX方向へ逃すようになっているが、特許文献1には、応力をロータコア310の軸方向(図14中、上下方向)に逃す対策は施されていない。ロータコア310の軸方向への応力が残留していると、ロータコア310の軸心AXに向けた歪みが生じ、薄板鋼板312の貫通孔312H付近と、薄板鋼板312の外周部付近との間に、軸方向に変位を有した変形がロータコア310に生じる虞がある。
ここで、図18及び図19に、焼き嵌めにより積層鋼板が軸方向に歪む様子を説明する模式図を示す。前述した他の実施例による従来の製造方法では、各薄板鋼板412のプレスの打ち抜き方向を同じにして積層させた積層鋼板411が、一対の治具431,432により大きな挟持力で拘束されている。シャフト420は、加熱した積層鋼板411の挿通孔411Hの孔径にクリアランスを持たせてこの挿通孔411Hに挿通され、挿通後、積層鋼板411が冷却される。このとき、積層鋼板411が、軸方向HTに対し、シャフト挿通入口側(図18中、下側)、またはシャフト挿通出口側(図19中、上側)に、焼き嵌めによる締め代で歪む。その結果、この従来の製造方法でも、特許文献1と同様、積層鋼板411において、その軸方向HTに対し、積層鋼板411の挿通孔411Hとシャフト420との焼き嵌め部位Q1と、その積層鋼板411の鋼板最外周部位Q2,Q3との間に変位が生じる。この変位は、製品(モータ)毎に、変位の向きとその大きさが異なり、ロータコア410では、積層鋼板411が最もシャフト挿通入口側に変位したときと、最もシャフト挿通出口側に変位したときとのバラツキ幅、すなわち鋼板最外周部位Q2と鋼板最外周部位Q3との距離が、例えば、2(mm)程度にまで及んでしまう。
図20は、ロータとステータとを組み付けたモータの一部を示す模式図である。ロータコア410が軸方向HTに大きく変形したままのロータ403を組み付けたモータでは、図20に示すように、ロータ403内で軸方向HTに歪んだままのロータコア410と、ロータ403の軸方向HTに対し、一定の厚みで形成されたステータ402とが、ロータの径方向RDに対し、互いに対向する位置に配置できなくなる。すなわち、ロータコア410を構成する積層鋼板411の一部が、ロータ403の軸方向HTに対し、ステータ402と相対的に大きくずれてしまい、ステータ402との間で磁力の作用を受け難くなる部分が生じてしまう。その結果、モータで回転力を発生させるのにロスが生じ、モータの性能が最大限に発揮できない問題がある。
(2)ロータコア(積層鋼板)の挿通孔となる各薄板鋼板の貫通孔において、その内周面(嵌合面)の傾きや剪断面の厚み、端部のバリ等、プレス後の貫通孔周縁部の形態は、ロータコアを構成する薄板鋼板一枚毎に異なる。薄板鋼板の貫通孔は、薄板鋼板を一枚ずつプレス加工で打ち抜いて穿孔されるため、薄板鋼板一枚ずつの各貫通孔に基づいて、シャフトを挿通させるロータコアの挿通孔全体の品質管理を実施することはできない。その結果、上述した(1)の問題を回避する対策の一つとして、積層鋼板の鋼板最外周部位の位置に2(mm)程度のバラツキが生じるのを前提に、ロータコアの軸方向の厚みが、少なくともそのバラツキ幅に相当する分の厚みを考慮し、ステータの厚みより厚くしている。これにより、ロータとステータとの間で磁力が作用し難い部分を少なくし、ロータコアとシャフトとの組付け精度をある程度高めることができるようになるが、例えば、一枚の薄板鋼板の厚みが0.3(mm)の場合、ロータコアの厚みを2(mm)近く厚くしようとすると、薄板鋼板が余分に7枚以上も必要となり、ロータコアの製造コストがアップする。しかも、ロータをステータより厚くしても、ステータにおいても、ロータとの間で磁力が作用し難い部分が生じることから、ステータの実質的なコストも高くなり、ひいては、モータがコストアップする問題がある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、積層鋼板からなるロータコアとシャフトとの組付け精度を高くして、低コストで高性能なモータのロータを製造することができるモータのロータの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様におけるモータのロータの製造方法は、次の構成を有している。
(1)貫通孔を有した薄板鋼板を複数積層し、複数の薄板鋼板の各貫通孔を位置合わせして形成される挿通孔を有する積層鋼板を、該積層鋼板の厚み方向両側から挟み込む一対の治具を用いて、該一対の治具により、ロータコアとして積層鋼板を厚み方向に拘束した状態で、挿通孔にシャフトを挿入し、積層鋼板と焼き嵌めで固定させるモータのロータの製造方法において、一対の治具はそれぞれ、シャフトが挿通可能なシャフト挿通孔と、シャフト挿通孔の径方向に対し、シャフト挿通孔を径内側に取り囲む位置で、積層鋼板の挿通孔の周縁を挟む径内側周縁部と、径内側周縁部より径外側で、積層鋼板の外周縁を挟む径外側周縁部と、を有し、一対の治具では、径内側周縁部と径外側周縁部とが、径方向に直交する治具高さ方向に高低差を設けて形成されていることを特徴とする。
なお、本発明の一態様におけるモータのロータの製造方法では、径内側周縁部を指す区分範囲と、径外側周縁部を指す区分範囲とについては、次のように定義されている。
すなわち、積層鋼板において、その径方向に対し、外周縁と内周縁との中央付近に位置する部分を環状の鋼板径中央部としたとき、径内側周縁部は、一対の治具のうち、積層鋼板の鋼板径中央部を挟む位置を境に、その径方向径内側に位置する範囲を指すものとする。径外側周縁部は、一対の治具のうち、積層鋼板の鋼板径中央部を挟む位置を境に、その径方向径外側に位置する範囲を指すものとする。
(2)(1)に記載するモータのロータの製造方法において、一対の治具では、水平方向を基準に、治具高さ方向片側に対し、径内側周縁部が径外側周縁部より高い形状を山型形状とし、径内側周縁部が径外側周縁部より低い形状を谷型形状としたとき、一対の治具を構成する第1治具と第2治具とは、山型形状または谷型形状で何れも同じ形状に形成されていること、が好ましい。
(3)(2)に記載するモータのロータの製造方法において、一対の治具は、山型形状で形成されていること、が好ましい。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するモータのロータの製造方法において、一対の治具は、径内側周縁部と径外側周縁部とが傾斜面で繋がれた形状で形成されていること、が好ましい。
(5)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するモータのロータの製造方法において、一対の治具は、径内側周縁部と径外側周縁部とを繋ぐ平板状の基部を有し、径内側周縁部と径外側周縁部とがそれぞれ、基部から治具高さ方向に立設して形成されていること、が好ましい。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載するモータのロータの製造方法において、一対の治具で挟持した積層鋼板を、厚み方向に対し、積層鋼板の両側から所定の挟持力で拘束する積層鋼板拘束工程と、積層鋼板拘束工程の後、拘束した積層鋼板を加熱する積層鋼板加熱工程と、積層鋼板の加熱後、一対の治具のシャフト挿通孔を通じてシャフトを積層鋼板の挿通孔に挿通し、シャフトと積層鋼板とを焼き嵌めするシャフト焼き嵌め工程と、を有すること、が好ましい。
上記構成を有する本発明のモータのロータの製造方法の作用・効果について説明する。
(1)上述態様のモータのロータの製造方法では、貫通孔を有した薄板鋼板を複数積層し、複数の薄板鋼板の各貫通孔を位置合わせして形成される挿通孔を有する積層鋼板を、該積層鋼板の厚み方向両側から挟み込む一対の治具を用いて、該一対の治具により、ロータコアとして積層鋼板を厚み方向に拘束した状態で、挿通孔にシャフトを挿入し、積層鋼板と焼き嵌めで固定させるモータのロータの製造方法において、一対の治具はそれぞれ、シャフトが挿通可能なシャフト挿通孔と、シャフト挿通孔の径方向に対し、シャフト挿通孔を径内側に取り囲む位置で、積層鋼板の挿通孔の周縁を挟む径内側周縁部と、径内側周縁部より径外側で、積層鋼板の外周縁を挟む径外側周縁部と、を有し、一対の治具では、径内側周縁部と径外側周縁部とが、径方向に直交する治具高さ方向に高低差を設けて形成されていることを特徴とするので、積層鋼板において、シャフトとの焼き嵌め部位と鋼板最外周部位との間で生じる厚み方向に変位について、製品(ロータ)間のバラツキ幅が、従来の製造方法に比べ、半分程度にまで小さく抑制することができる。
すなわち、ロータコアは、貫通孔を有した薄板鋼板を複数積層させた積層鋼板で構成されている。薄板鋼板は、例えば、一枚の厚みが0.3(mm)程度で、外周径が100(mm)を超える大きさ等の形状で形成され、自重だけでも厚み方向に撓み易い。また、薄板鋼板の貫通孔は、積層前に、薄板鋼板一枚毎に、プレス加工等による打ち抜きで穿孔され、各薄板鋼板の貫通孔では、その内周面(嵌合面)の傾きや剪断面の厚み、端部のバリ等、プレス後の貫通孔周縁部の形態が、薄板鋼板一枚毎に異なっている。また、焼き嵌め時に、複数積層させた薄板鋼板(積層鋼板)が一対の治具で厚み方向に拘束されているが、各薄板鋼板は、例えば、300枚近くもあり、一対の治具により局部的に加締め固定されているものの、積層鋼板全体において各薄板鋼板の面全体が、互いに固定されておらず、単に重ね合わせて積層させただけとなっている。そのため、各薄板鋼板では、変形に対する自由度が大きい状態にある。
よって、焼き嵌め時に、貫通孔の貫通孔周縁部がその径方向径内側に収縮したときの締め代でシャフトと固定したときに、(a)薄板鋼板自体が撓み易いことのほか、特に(b)貫通孔周縁部の形態が各薄板鋼板で異なり、シャフトとの焼き嵌め状態が各薄板鋼板で異なること、(c)各薄板鋼板の面全体が互いに固定されず変形の自由度が大きくなっていること、に起因して、各薄板鋼板において、貫通孔周縁部とシャフトとが、シャフトの軸方向に直交する水平方向に均一な状態で焼き嵌めできない。
特に、ロータコアとシャフトとを固定する従来の製造方法では、焼き嵌め後、各薄板鋼板の貫通孔周縁部がシャフトに向けて収縮したときの残留応力により、各薄板鋼板において、歪みが生じる。その結果、各薄板鋼板の厚み方向に対し、貫通孔周縁部とシャフトとの焼き嵌め部位と、薄板鋼板の鋼板最外周部位との間に変位を持った変形が生じる。変形の向きは、上述した(b)及び(c)の理由に起因して、ロータ(製品)毎に、シャフトが積層鋼板の挿通孔を挿通するときの入口側である挿通孔入口側である場合や、シャフトがこの挿通孔を挿通したときの出口側である挿通孔出口側である場合もある。積層鋼板から一対の治具を取り外すと、各薄板鋼板のバネ力で、積層鋼板全体は、その厚み方向に対し、挿通孔入口側または挿通孔出口側にさらに大きく変形し、製品毎に、変形代とその向きにバラツキが大きく生じる。その結果、このように変形した各薄板鋼板を積層させて構成したロータコアでは、変形のバラツキ幅は、積層鋼板の厚み方向挿通孔入口側に生じたときの変位と、挿通孔出口側に生じたときの変位との和であり、製品同士の間で、全体的に大きくなっている。
上述態様のモータのロータの製造方法は、径内側周縁部と径外側周縁部とに治具高さ方向に高低差を設けた一対の治具で積層鋼板を拘束する。一対の治具は、径内側周縁部を径外側周縁部より高くする場合、または径内側周縁部を径外側周縁部より低くする場合とし、両方の治具とも、径内側周縁部と径外側周縁部との高低の位置関係を同じにする。
例えば、径内側周縁部を径外側周縁部より高くした一対の治具の場合、一対の治具のうち、一方側治具(例えば、上側治具)の径内側周縁部は、積層鋼板の厚み方向一方側(例えば、上側)において、積層鋼板の挿通孔周縁と当接せず離間するが、他方側治具(例示した反対側の下側治具)の径内側周縁部は、積層鋼板の厚み方向他方側(例示した反対側の下側)において、積層鋼板の挿通孔周縁と直に当接するようになる。この状態で、積層鋼板の厚み方向他方側から一方側に向けてシャフトを挿通し、焼き嵌め後、各薄板鋼板の貫通孔周縁部がシャフトに向けて収縮したとき、積層鋼板の挿通孔周縁と当接する他方側治具の径内側周縁部により、積層鋼板の厚み方向他方側に向けた残留応力が作用せず、この厚み方向他方側に向けて積層鋼板は変形しない。その一方で、一方側治具の径内側周縁部は、積層鋼板の厚み方向一方側で、積層鋼板の挿通孔周縁と離間しているため、各薄板鋼板の残留応力は、厚み方向一方側に向けて作用し、各薄板鋼板全体の焼き嵌め部位が、この隙間に向けて変形し易くなる。そのため、上述態様のモータのロータの製造方法では、径内側周縁部と径外側周縁部とに高低差があることで、拘束された各薄板鋼板において、変形方向の自由度が、積層鋼板の厚み方向の片側(上述で例示した場合には下側)に抑制されるようになる。
よって、上述態様のモータのロータの製造方法では、積層鋼板から一対の治具を取り外した後、薄板鋼板全体が、揃って同じ向きに変位するようになる。そのため、積層鋼板(薄板鋼板全体)の挿通孔とシャフトとの焼き嵌め部位と、積層鋼板の鋼板最外周部位との間の変位における製品(ロータ)間でのバラツキ幅は、従来の製造方法に比べ、半分程度にまで小さく抑制することができる。これにより、製品間で、ロータとステータとの間で磁力が作用し難い部分が、従来の製造方法に比べて少なくなり、ロータコアとシャフトとの組付け精度が向上するため、ひいてはモータで回転力を発生させるときのロスが抑制され、性能が高いモータを製造することができる。
また、上述したバラツキ幅を小さく抑制したロータコアをロータに組み付けたモータでは、ステータとの間で磁力の作用を受け難くなる部分が生じないよう、ロータの厚みを厚くする分が、従来の製造方法に比べ少なくなり、余分に薄板鋼板を増やす数量も低減できることから、ロータコアの製造コストを低減することができる。また、ステータにおいても、ロータとの間で磁力が作用し難い部分が、従来の製造方法に比べ少なくなることから、ステータのコストも実質的に低減することができ、ひいては、モータのコストを抑制することができる。
従って、上述態様のモータのロータの製造方法では、ロータコアとシャフトとの組付け精度を高くして、低コストで高性能なモータのロータを製造することができる、という優れた効果を奏する。
(2)また、上述態様のモータのロータの製造方法では、(1)に記載するモータのロータの製造方法において、一対の治具では、水平方向を基準に、治具高さ方向片側に対し、径内側周縁部が径外側周縁部より高い形状を山型形状とし、径内側周縁部が径外側周縁部より低い形状を谷型形状としたとき、一対の治具を構成する第1治具と第2治具とは、山型形状または谷型形状で何れも同じ形状に形成されていることを特徴とするので、薄板鋼板の変形方向への自由度を抑制し易くなり、積層鋼板の厚み方向片側に変位しようとする歪みの発生を抑制することができる。
(3)また、上述態様のモータのロータの製造方法では、(2)に記載するモータのロータの製造方法において、一対の治具は、山型形状で形成されていることを特徴とするので、一対の治具の頂上側に向けてシャフトを積層鋼板の挿通孔に挿通して焼き嵌めると、焼き嵌め後、各薄板鋼板の貫通孔周縁部がシャフトに向けて収縮したときの応力が、シャフトを挿通する向きの反対側に生じ難くなる。これにより、この反対側に向けた積層鋼板の歪みの発生がより確かに抑制できる。
(4)また、上述態様のモータのロータの製造方法では、(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するモータのロータの製造方法において、一対の治具は、径内側周縁部と径外側周縁部とが傾斜面で繋がれた形状で形成されていることを特徴とするので、薄板鋼板の外周径が異なる仕様で複数種のロータコアを製造する場合でも、一対の治具は、一種の仕様につき、ロータコアの仕様に特定されず汎用性を持ち、複数種のロータコアに対し幅広く対応できるようになる。よって、一対の治具が、ロータコアの仕様毎に個々に必要にならず、ロータコアのコスト低減が可能となる。
(5)また、上述態様のモータのロータの製造方法では、(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するモータのロータの製造方法において、一対の治具は、径内側周縁部と径外側周縁部とを繋ぐ平板状の基部を有し、径内側周縁部と径外側周縁部とがそれぞれ、基部から治具高さ方向に立設して形成されていることを特徴とするので、一対の治具のうち、径内側周縁部及び径外側周縁部のそれぞれの高さを、焼き嵌め後の薄板鋼板において、その厚み方向に規制したい変位量に対応させて設定することが容易にできるようになる。
(6)また、上述態様のモータのロータの製造方法では、(1)乃至(5)のいずれか1つに記載するモータのロータの製造方法において、一対の治具で挟持した積層鋼板を、厚み方向に対し、積層鋼板の両側から所定の挟持力で拘束する積層鋼板拘束工程と、積層鋼板拘束工程の後、拘束した積層鋼板を加熱する積層鋼板加熱工程と、積層鋼板の加熱後、一対の治具のシャフト挿通孔を通じてシャフトを積層鋼板の挿通孔に挿通し、シャフトと積層鋼板とを焼き嵌めするシャフト焼き嵌め工程と、を有することを特徴とするので、積層鋼板拘束工程では、積層鋼板が、一対の治具により、焼き嵌め後に生じる変形の自由度が抑制された状態で拘束され、積層鋼板加熱工程で、拘束した積層鋼板の挿通孔が、熱膨張により孔径が多少拡張する。シャフト焼き嵌め工程では、シャフトが、孔径が多少拡張した挿通孔にスムーズに挿入でき、積層鋼板の冷却により、シャフトと積層鋼板とが焼き嵌めされる。このとき、積層鋼板では、その厚み方向に変位しようとする歪みが片側に規制されるため、積層鋼板、すなわちロータコアとシャフトとが、組付け精度良く固定できるようになる。
実施形態の第1実施例に係る一対の治具を用いて、ロータコアとシャフトとを固定させる製造方法の説明図である。 図1に示す一対の治具のうち、第1治具の平面図である。 図2中、A−A矢視に相当する位置から見た一対の治具の断面図である。 実施形態の変形例に係る一対の治具を示す説明図であり、図3と同様の位置から見た断面図である。 実施形態の第2実施例に係る一対の治具を示す説明図であり、図3と同様の位置から見た断面図である。 ロータコアを構成する薄板鋼板を示す平面図である。 図6中、B−B矢視断面図である。 実施形態において、モータのロータの製造する工程を示すフローチャート図である。 挿通孔に挿通したシャフトと積層鋼板との焼き嵌め前の状態を説明する模式図である。 挿通孔に挿通したシャフトと積層鋼板との焼き嵌め後の状態を説明する模式図である。 シャフトとの焼き嵌め部位で薄板鋼板が歪む様子を説明する模式図である。 実施形態に係るモータのロータの製造方法で製造したロータにおいて、積層鋼板の変形について説明する模式図である。 実施形態に係るモータのロータの製造方法で製造したロータを、ステータと組み付けたモータを模式的に示した説明図である。 特許文献1に開示されたロータコアの斜視図を示す。 図14中、C矢視から見たロータコアをなす薄板鋼板の一部を示す。 図14中、C矢視から見たロータコアの貫通孔にモータシャフトが挿通した状態を示す説明図である。 ロータコアとシャフトとを固定させる従来の製造方法の説明図である。 図17に示す従来の製造方法で製造したロータにおいて、積層鋼板が軸方向のシャフト挿通入口側に変形した様子を説明する模式図である。 図17に示す従来の製造方法で製造したロータにおいて、積層鋼板が軸方向のシャフト挿通出口側に変形した様子を説明する模式図である。 図17に示す従来の製造方法で製造したロータを、ステータと組み付けたモータを示す模式図である。
以下、本発明を具体化した形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態では、ハイブリッド自動車等に搭載されるモータのロータについて、積層鋼板で形成されたロータコアの挿通孔に、ロータの回転軸であるシャフトを挿入しロータコアと一体に組付けるモータのロータの製造方法を実施形態に挙げる。
本実施形態では、添付図面に図示したHTは、シャフトの軸心に沿う方向、ロータ回転軸に沿う方向、ロータコアの厚み方向、薄板鋼板の積層方向(厚み方向)、及び一対の治具におけるシャフト挿通孔の軸心に沿う方向と治具高さ方向とを示す。また、RDは、シャフトの軸心を中心とする径方向、ロータの軸心を中心とする径方向、積層鋼板の挿通孔(薄板鋼板の貫通孔)の軸心を中心とする径方向、及び一対の治具におけるシャフト挿通孔の軸心を中心とする径方向を示す。
はじめに、本実施形態に係るモータの概要について、図1、図6、図7、及び図13を用いて説明する。
図1は、実施形態の第1実施例に係る一対の治具を用いて、ロータコアとシャフトとを固定させる製造方法の説明図である。図6は、ロータコアを構成する薄板鋼板を示す平面図である。図7は、図6中、B−B矢視断面図である。図13は、実施形態に係るモータのロータの製造方法で製造したロータを、ステータと組み付けたモータを模式的に示した説明図である。
モータ1は、図13に示すように、ステータ2、ロータ3等を有している。ステータ2は、ロータ3の径方向RD径外側に、ロータ3の軸心AXを中心とするロータ3の周方向に環状に配置されている。
ロータ3は、ロータコア10とシャフト20とを有している。ロータコア10は、複数(例えば、300枚程度)の薄板鋼板12を、その厚み方向HTに重ね合わせて積層させた積層鋼板11からなる。薄板鋼板12は、図6及び図7に示すように、例えば、厚さ0.3(mm)、外径Φ130(mm)等の円盤状に形成され、軸心AX1を中心とする中央に、内径ΦD(0<D)の貫通孔12Hを有している。貫通孔12Hは、プレス加工により、薄板鋼板12を1枚ずつ打ち抜いて穿孔されている。
積層鋼板11は、参照する図1に示すように、複数積層した薄板鋼板12に対し、複数の貫通孔12Hの軸心AX1を位置合わせして形成された内径ΦDの挿通孔11Hを有する。
また、薄板鋼板12はそれぞれ、貫通孔12Hの径方向RD径外側で、軸心AX1を中心とする所定径のピッチ円(図示せず)上に、磁石を挿着する複数の磁石挿通孔15H(図6は8つの磁石挿通孔15Hを図示)を有している。
シャフト20は、外径Φd(0<d<D)で中空状または中実状に形成されたロータ3の回転軸である。シャフト20は、後に詳述するように、積層鋼板11の挿通孔11Hに挿入され、積層鋼板11と焼き嵌めで固定されている。ロータ3の製造工程では、シャフト20と積層鋼板11とを固定するにあたり、積層鋼板11を、その厚み方向HT両側から挟み込む一対の治具30が用いられる。
次に、一対の治具30について、参照する図1及び図2を用いて説明する。図2は、図1に示す一対の治具のうち、第1治具の平面図である。
一対の治具30は、参照する図1に示すように、第1治具31と第2治具32とからなり、例えば、ステンレス材等、高周波焼入れによる積層鋼板11の焼き嵌め時に加熱されない非磁性体の材質で形成されている。第1治具31及び第2治具32はそれぞれ、シャフト20が挿通可能なシャフト挿通孔30Hを中央に有している。
また、一対の治具30は、シャフト挿通孔30Hの径方向RDに対し、シャフト挿通孔30Hを径内側に取り囲む位置で、積層鋼板11の挿通孔11Hの周縁を挟む径内側周縁部35と、径内側周縁部35より径外側で、積層鋼板11の外周縁を挟む径外側周縁部37と、を有している。一対の治具30では、径内側周縁部35と径外側周縁部37とが、径方向RDに直交する治具高さ方向HTに高低差を設けて形成されている。
本実施形態では、径内側周縁部35を指す区分範囲と、径外側周縁部37を指す区分範囲とについては、次のように定義されている。
積層鋼板11において、その径方向RDに対し、外周縁と内周縁との中央付近に位置する部分を環状の鋼板径中央部としたとき、径内側周縁部35は、一対の治具30のうち、積層鋼板11の鋼板径中央部を挟む位置を境に、その径方向RD径内側に位置する範囲を指す。径外側周縁部37は、一対の治具30のうち、積層鋼板11の鋼板径中央部を挟む位置を境に、その径方向RD径外側に位置する範囲を指す。
一対の治具30では、水平方向を基準に、治具高さ方向HT片側(図1中、上側)に対し、径内側周縁部35が径外側周縁部37より高い形状を山型形状とし、径内側周縁部35が径外側周縁部37より低い形状を谷型形状としたとき、一対の治具30を構成する第1治具31と第2治具32とは、山型形状または谷型形状で何れも同じ形状に形成されている。
本実施形態では、第1治具31と第2治具32との間に挟み込んだ積層鋼板11を、その厚み方向HTに所定の挟持力Fで拘束するのに、ボルト等の締結具50が複数用いられる。第1治具31には、締結具50を挿通する締結具挿通孔38Hが複数箇所(図2には4箇所図示)に穿孔され、第2治具32には、締結具50と螺合可能な雌ネジ孔39Hが複数箇所に穿孔されている。
なお、第1治具と第2治具とによる積層鋼板の拘束は、本実施形態以外にも、専用の生産設備において、エアシリンダまたは油圧シリンダ等の駆動源により、第1治具と第2治具とを互いに、厚み方向に対し、自在に近接または離間できる構造で構成し、このような駆動源で第1治具と第2治具とを挟持させて、積層鋼板を拘束するようにしても良い。
第1実施例
第1実施例に係る一対の治具について、図1乃至図3を用いて説明する。図3は、図2中、A−A矢視に相当する位置から見た一対の治具の断面図である。
本実施例では、一対の治具30は、図1乃至図3に示すように、基準である水平ラインHLに対し、径内側周縁部35が径外側周縁部37より(h1−h2)分だけ高い山型形状であり、径内側周縁部35と径外側周縁部37とが傾斜面30aで繋がれた形状で形成されている。
具体的には、第1,第2治具31,32(一対の治具30)は、図1乃至図3に示すように、軸心CLが通る位置近傍が最も高く、シャフト挿通孔30Hの径方向RD径外側に向けて徐々に低くなる形態に、1枚の円盤状の平板を湾曲させて形成されている。
変形例
第1実施例に係る一対の治具は、1枚の円盤状の平板を山型形状に変形させて形成した。これに対し、変形例に係る一対の治具30Tは、1つの部材を変形させて形成せず、切削加工等により、径内側周縁部35Tを径外側周縁部37Tより(h1−h2)分だけ高くして形成したものである。
図4は、変形例に係る一対の治具を示す説明図であり、図3と同様の位置から見た断面図である。
本変形例では、一対の治具30Tは、図4に示すように、基準である水平ラインHLに対し、径内側周縁部35Tが径外側周縁部37Tより(h1−h2)分だけ高い山型形状であり、径内側周縁部35Tと径外側周縁部37Tとが傾斜面30Taで繋がれた形状で形成されている。第1治具31Tには、締結具50を挿通する締結具挿通孔38THが複数箇所に穿孔され、第2治具32Tには、締結具50と螺合可能な雌ネジ孔39THが複数箇所に穿孔されている。
次に、本実施形態に係るモータのロータの製造方法について、図8乃至図10を用いて説明する。
図8は、本実施形態において、モータのロータの製造する工程を示すフローチャート図である。図9は、挿通孔に挿通したシャフトと積層鋼板との焼き嵌め前の状態を説明する模式図である。図10は、挿通孔に挿通したシャフトと積層鋼板との焼き嵌め後の状態を説明する模式図である。
はじめに、積層鋼板11は、参照する図9に示すように、プレスの打ち抜き方向を同じにして所定枚数の薄板鋼板12を積層させ、各薄板鋼板12の各貫通孔12Hを位置合わせして挿通孔11Hをなしている状態にあり、ロータコア10として、一つにまとまった状態にある。
ステップS10では、本実施形態に係るモータのロータの製造方法のうち、積層鋼板拘束工程を実施する。積層鋼板拘束工程では、一対の治具30で挟持した積層鋼板11を、厚み方向HTに対し、積層鋼板11の両側から所定の挟持力Fで拘束する。具体的には、図1に示すように、積層鋼板11の厚み方向HT一方側(図1中、上側)では、積層鋼板11の一端面11aにおいて、挿通孔11H周縁付近の内周縁部は、第1治具31の径内側周縁部35と当接せず隙間を有する一方で、積層鋼板11の径方向最外周付近の外周縁部は、第1治具31の径外側周縁部37と当接し隙間を有していない。また、厚み方向HT他方側(図1中、下側)では、他端面11bにおいて、その内周縁部は、第2治具32の径内側周縁部35と当接し隙間を有していない一方で、外周縁部は、第2治具32の径外側周縁部37と当接せず隙間を有している。このように、積層鋼板11を、第1治具31及び第2治具32で挟み込み、第1治具31の締結具挿通孔38Hに4つの締結具50を挿通させ、第2治具32の雌ネジ孔39Hで締結させて、例えば、1(ton)程度の所定大きさの挟持力Fで、積層鋼板11を拘束する。
次いで、ステップS20では、本実施形態に係るモータのロータの製造方法のうち、積層鋼板加熱工程を実施する。積層鋼板加熱工程は、ステップS10で行った積層鋼板拘束工程の後、拘束した積層鋼板11を加熱する。具体的には、一対の治具30で拘束した積層鋼板11を、例えば、高周波焼入れにより約300℃近くまで加熱し、熱膨張により挿通孔11Hの内径ΦDを100(μm)程度拡張させる。
次いで、ステップS30及びステップS40で、本実施形態に係るモータのロータの製造方法のうち、シャフト焼き嵌め工程を実施する。シャフト焼き嵌め工程は、積層鋼板11の加熱後、一対の治具30のシャフト挿通孔30Hを通じてシャフト20を積層鋼板11の挿通孔11Hに挿通し、シャフト20と積層鋼板11とを焼き嵌めする。
具体的には、ステップS30では、参照する図1に示すように、一対の治具30により拘束された積層鋼板11に対し、シャフト20を、第2治具32のシャフト挿通孔30Hから挿入し、挿通孔11Hを通じ、第1治具31のシャフト挿通孔30Hを貫通させる。このとき、挿通孔11Hの内径ΦDが熱膨張によって拡張されているため、外径Φd(0<d<D)のシャフト20は、図9に示すように、拡張された挿通孔11Hにスムーズに挿入できる。
ステップS40では、積層鋼板11を冷却する。これにより、積層鋼板11、すなわち複数積層した薄板鋼板12では、各貫通孔12H(挿通孔11H)の内径ΦDが、シャフト20の外径Φdより小さく収縮し、積層鋼板11とシャフト20とが、図10に示すように、焼き嵌めされて固定される。
次いで、ステップS50で、締結具50の締結を解除して、一対の治具30を積層鋼板11から取り外した後、各磁石挿通孔15Hに挿入した磁石を、接着剤で積層鋼板11に固定させる。かくして、ロータコア10とシャフト20とを一体に固定する工程が終了する。
前述した構成を有する実施形態の第1実施例に係るモータのロータの製造方法の作用・効果について、図11乃至図13、及び図17乃至図20を用いて説明する。
図11は、シャフトとの焼き嵌め部位で薄板鋼板が歪む様子を説明する模式図を示す。図12は、実施形態に係るモータのロータの製造方法で製造したロータにおいて、積層鋼板の変形について説明する模式図を示す。
実施形態の第1実施例に係るモータのロータの製造方法では、貫通孔12Hを有した薄板鋼板12を複数積層し、複数の薄板鋼板12の各貫通孔12Hを位置合わせして形成される挿通孔11Hを有する積層鋼板11を、該積層鋼板11の厚み方向HT両側から挟み込む一対の治具30を用いて、該一対の治具30により、ロータコア10として積層鋼板11を厚み方向HTに拘束した状態で、挿通孔11Hにシャフト20を挿入し、積層鋼板11と焼き嵌めで固定させるモータ1のロータ3の製造方法において、一対の治具30はそれぞれ、シャフト20が挿通可能なシャフト挿通孔30Hと、シャフト挿通孔30Hの径方向RDに対し、シャフト挿通孔RDを径内側に取り囲む位置で、積層鋼板11の挿通孔11Hの周縁を挟む径内側周縁部35と、径内側周縁部35より径外側で、積層鋼板11の外周縁を挟む径外側周縁部37と、を有し、一対の治具30では、径内側周縁部35と径外側周縁部37とが、径方向RDに直交する治具高さ方向HTに高低差を設けて形成されていることを特徴とするので、積層鋼板11において、シャフト20との焼き嵌め部位P1と鋼板最外周部位P1との間で生じる厚み方向HTに変位Xについて、製品(ロータ3)間のバラツキ幅が、図17に示すような、ロータコア410とシャフト420とを固定する従来の製造方法に比して、半分程度にまで小さく抑制することができる。
すなわち、ロータコア10は、貫通孔12Hを有した薄板鋼板12を複数積層させた積層鋼板12で構成されている。薄板鋼板12は、図6及び図7に示すように、例えば、一枚の厚みが0.3(mm)程度で、外周径が100(mm)を超える大きさ等の形状で形成され、自重だけでも厚み方向に撓み易い。また、薄板鋼板12の貫通孔12Hは、積層前に、薄板鋼板12一枚毎に、プレス加工等による打ち抜きで穿孔され、各薄板鋼板12の貫通孔12Hでは、参照する図9に示すように、その内周面(嵌合面)の傾きや剪断面の厚み、端部のバリ等、プレス後の貫通孔周縁部12Cの形態が、厳密に言うと、薄板鋼板12一枚毎に異なっている。また、焼き嵌め時に、複数積層させた薄板鋼板12(積層鋼板11)が一対の治具で厚み方向HTに拘束されているが、各薄板鋼板12は、例示したように、300枚近くもあり、一対の治具により局部的に加締め固定されているものの、積層鋼板11全体において各薄板鋼板12の面全体が、互いに固定されておらず、単に重ね合わせて積層させただけとなっている。そのため、各薄板鋼板12では、図11に示すように、変形に対する自由度が大きい状態にある。
よって、焼き嵌め時に、図10に示すように、貫通孔12Hの貫通孔周縁部12Cがその径方向RD径内側に収縮したときの締め代でシャフト20と固定したときに、(a)薄板鋼板12自体が撓み易いことのほか、特に(b)貫通孔周縁部12Cの形態が各薄板鋼板12で異なり、シャフト20との焼き嵌め状態が各薄板鋼板12で異なること、(c)各薄板鋼板12の面全体が互いに固定されず変形の自由度が大きくなっていること、に起因して、各薄板鋼板12において、貫通孔周縁部12Cとシャフト20とが、シャフト20の軸方向HTに直交する水平方向(図10乃至図13、図18、及び図19中、径方向RDと平行な方向)に均一な状態で焼き嵌めできない。
特に、参照する図17に示す従来の製造方法で、ロータコア410とシャフト420とを固定すると、焼き嵌め後、各薄板鋼板412の貫通孔周縁部412がシャフト420に向けて収縮したときの残留応力により、各薄板鋼板412において、歪みが大きく生じる。その結果、図18及び図19に示すように、各薄板鋼板412の厚み方向HTに対し、貫通孔周縁部412Cとシャフト420との焼き嵌め部位Q1と、薄板鋼板の鋼板最外周部位Q2,Q3との間に変位X(0<X)を持った変形が生じる。変形の向きは、上述した(b)及び(c)の理由に起因して、ロータ(製品)毎に、図18に示すように、シャフト420が積層鋼板410の挿通孔411Hを挿通するときの入口側である挿通孔入口側(図18中、下側)である場合がある。また、変形の向きは、図19に示すように、シャフト420がこの挿通孔411Hを挿通したときの出口側である挿通孔出口側(図19中、上側)である場合もある。
積層鋼板411から第1治具431及び第2治具432を取り外すと、各薄板鋼板412のバネ力で、積層鋼板411全体は、その厚み方向HTに対し、挿通孔入口側または挿通孔出口側にさらに大きく変形し、製品毎に、変形代とその向きにバラツキが大きく生じる。その結果、このように変形した各薄板鋼板412を積層させて構成したロータコアでは、変形のバラツキ幅は、積層鋼板412の厚み方向挿通孔入口側に生じたときの変位Xと、挿通孔出口側に生じたときの変位Xとの和2Xであり、製品同士の間で、全体的に大きくなっている。
これに対し、本実施形態の第1実施例に係るモータのロータの製造方法は、径内側周縁部35と径外側周縁部37とに治具高さ方向HTに高低差を設けた一対の治具30で積層鋼板11を拘束する。一対の治具30は、本実施形態の場合、径内側周縁部35を径外側周縁部37より高くし、第1治具31及び第2治具32とも、径内側周縁部35と径外側周縁部37との高低の位置関係を同じにする。
本実施形態の場合のように、径内側周縁部35を径外側周縁部37より高くした一対の治具30の場合、第1治具31の径内側周縁部35は、積層鋼板11の厚み方向HT一方側(図1中、上側)において、積層鋼板11の挿通孔11H周縁と当接せず離間するが、第2治具32の径内側周縁部35は、積層鋼板11の厚み方向HT他方側(図1中、下側)において、積層鋼板11の挿通孔11H周縁と直に当接するようになる。
この状態で、積層鋼板11の厚み方向HT他方側から一方側に向けてシャフト20を挿通し、焼き嵌め後、各薄板鋼板12(積層鋼板11)の貫通孔周縁部12Cがシャフト20に向けて収縮したとき、積層鋼板11の挿通孔11H周縁と当接する第2治具32の径内側周縁部35により、積層鋼板11の厚み方向HT他方側に向けた残留応力が作用せず、この厚み方向HT他方側への積層鋼板11の変形は生じない。その一方で、第1治具31の径内側周縁部35は、積層鋼板11の厚み方向HT一方側で、積層鋼板11の挿通孔11H周縁と離間しているため、各薄板鋼板12の残留応力は、厚み方向HT一方側に向けて作用し、各薄板鋼板全体(積層鋼板11)の焼き嵌め部位P1が、この隙間に向けて変形し易くなる。そのため、本実施形態の第1実施例に係るモータのロータの製造方法では、径内側周縁部35と径外側周縁部37とに高低差があることで、拘束された各薄板鋼板12において、変形方向の自由度が、積層鋼板11の厚み方向HTの片側(図12に示す側)に抑制されるようになる。
よって、本実施形態の第1実施例に係るモータ1のロータ3の製造方法では、積層鋼板11から一対の治具30を取り外した後、薄板鋼板12全体(積層鋼板11)が、図12に示すように、揃って同じ向きに変位Xのバラツキ範囲で変形するようになる。そのため、積層鋼板11の挿通孔11H(薄板鋼板12全体の挿通孔12H)とシャフト20との焼き嵌め部位P1と、積層鋼板11の鋼板最外周部位P2との間に有する全体的な変位のバラツキ幅Xは、従来の製造方法の場合に生じるバラツキ幅2Xに比べ、半分程度にまで小さく抑制することができる。これにより、製品間で、ロータ3とステータ2との間で磁力が作用し難い部分が、従来の製造方法に比べて少なくなり、ロータコア10とシャフト20との組付け精度が向上するため、ひいてはモータ1で回転力を発生させるときのロスが抑制され、性能が高いモータ1を製造することができる。
また、上述したバラツキ幅Xを小さく抑制したロータコア10をロータ3に組み付けたモータ1では、図13及び図20に示すように、ステータ2との間で磁力の作用を受け難くなる部分が生じないよう、ロータ3の厚みを厚くする分が、従来の製造方法に比べ少なくなる。これにより、余分に薄板鋼板12を増やす数量も低減できることから、ロータコア10の製造コストを低減することができる。また、ステータ2においても、ロータ3との間で磁力が作用し難い部分が、従来の製造方法に比べ少なくなることから、ステータ2のコストも実質的に低減することができ、ひいては、モータ1のコストを抑制することができる。
従って、本実施形態の第1実施例に係るモータ1のロータ3の製造方法では、ロータコア10とシャフト20との組付け精度を高くして、低コストで高性能なモータ1のロータ3を製造することができる、という優れた効果を奏する。
また、本実施形態の第1実施例に係るモータ1のロータ3の製造方法では、一対の治具30では、水平方向HLを基準に、治具高さ方向HT片側に対し、径内側周縁部35が径外側周縁部37より高い形状を山型形状とし、径内側周縁部35が径外側周縁部37より低い形状を谷型形状としたとき、一対の治具30を構成する第1治具31と第2治具32とは、山型形状または谷型形状で何れも同じ形状に形成されていることを特徴とするので、薄板鋼板12の変形方向への自由度を抑制し易くなり、図12に示すように、積層鋼板11の厚み方向HT片側(図12中、上側、及び図19に示す向き)に変位しようとする歪みの発生を抑制することができる。
また、本実施形態の第1実施例に係るモータ1のロータ3の製造方法では、一対の治具30は、山型形状で形成されていることを特徴とするので、一対の治具30の頂上側に向けてシャフト20を積層鋼板11の挿通孔11Hに挿通して焼き嵌めると、焼き嵌め後、各薄板鋼板12の貫通孔周縁部12Cがシャフト20に向けて収縮したときの応力が、シャフト20を挿通する向きの反対側に生じ難くなる。これにより、この反対側に向けた積層鋼板11の歪みの発生がより確かに抑制できる。
また、本実施形態の第1実施例に係るモータ1のロータ3の製造方法では、一対の治具30は、径内側周縁部35と径外側周縁部37とが傾斜面30aで繋がれた形状で形成されていることを特徴とするので、薄板鋼板12の外周径が異なる仕様で複数種のロータコア10を製造する場合でも、一対の治具30は、一種の仕様につき、ロータコア10の仕様に特定されず汎用性を持ち、複数種のロータコア10に対し幅広く対応できるようになる。よって、一対の治具30が、ロータコア10の仕様毎に個々に必要にならず、ロータコア10のコスト低減が可能となる。
また、本実施形態の第1実施例に係るモータ1のロータ3の製造方法では、一対の治具30で挟持した積層鋼板11を、厚み方向HTに対し、積層鋼板11の両側から所定の挟持力Fで拘束する積層鋼板拘束工程と、積層鋼板拘束工程の後、拘束した積層鋼板11を加熱する積層鋼板加熱工程と、積層鋼板11の加熱後、一対の治具30のシャフト挿通孔30Hを通じてシャフト20を積層鋼板11の挿通孔11Hに挿通し、シャフト20と積層鋼板11とを焼き嵌めするシャフト焼き嵌め工程と、を有することを特徴とするので、積層鋼板拘束工程では、積層鋼板11が、一対の治具30により、焼き嵌め後に生じる変形の自由度が抑制された状態で拘束され、積層鋼板加熱工程で、拘束した積層鋼板11の挿通孔11Hが、熱膨張により内径ΦDが多少拡張する。シャフト焼き嵌め工程では、シャフト20が、孔径が多少拡張した挿通孔11Hにスムーズに挿入でき、積層鋼板11の冷却により、シャフト20と積層鋼板11とが焼き嵌めされる。このとき、積層鋼板11では、その厚み方向HTに変位しようとする歪みが片側(図12中、上側)に規制されるため、積層鋼板11、すなわちロータコア10とシャフト20とが、組付け精度良く固定できるようになる。
第2実施例
次に、本実施形態の第2実施例に係るモータのロータの製造方法について、図5を用いて説明する。図5は、実施形態の第2実施例に係る一対の治具を示す説明図であり、図3と同様の位置から見た断面図である。
本実施例では、用いる一対の治具の形態が、前述の第1実施例に係るモータのロータの製造方法で用いる一対の治具と異なるだけで、それ以外の部分は、第1実施例と同様である。従って、第1実施例とは異なる部分を中心に説明し、その他について説明を簡略または省略する。
本実施例では、一対の治具130は、図5に示すように、径内側周縁部135と径外側周縁部137とを繋ぐ平板状の基部134を有し、径内側周縁部135と径外側周縁部137とがそれぞれ、基部134から治具高さ方向HTに立設して形成されている。一対の治具130は、基準である水平ラインHLに対し、径内側周縁部135が径外側周縁部37より(h1−h2)分だけ高い山型形状である。第1治具131には、シャフト20が挿通可能なシャフト挿通孔130Hと、図1に示す締結具50を挿通する締結具挿通孔138Hが複数箇所に穿孔されている。第2治具132には、シャフト20が挿通可能なシャフト挿通孔130Hと、締結具50と螺合可能な雌ネジ孔39Hが複数箇所に穿孔されている。
前述した構成を有する本実施形態の第2実施例に係るモータのロータの製造方法の作用・効果について、説明する。
本実施形態の第2実施例に係るモータのロータの製造方法では、前述の第1実施例に係るモータのロータの製造方法と同様、貫通孔12Hを有した薄板鋼板12を複数積層し、複数の薄板鋼板12の各貫通孔12Hを位置合わせして形成される挿通孔11Hを有する積層鋼板11を、該積層鋼板11の厚み方向HT両側から挟み込む一対の治具130を用いて、該一対の治具130により、ロータコア10として積層鋼板11を厚み方向HTに拘束した状態で、挿通孔11Hにシャフト20を挿入し、積層鋼板11と焼き嵌めで固定させるモータ1のロータ3の製造方法において、一対の治具130はそれぞれ、シャフト20が挿通可能なシャフト挿通孔130Hと、シャフト挿通孔130Hの径方向RDに対し、シャフト挿通孔RDを径内側に取り囲む位置で、積層鋼板11の挿通孔11Hの周縁を挟む径内側周縁部135と、径内側周縁部135より径外側で、積層鋼板11の外周縁を挟む径外側周縁部137と、を有し、一対の治具130では、径内側周縁部135と径外側周縁部137とが、径方向RDに直交する治具高さ方向HTに高低差を設けて形成されていることを特徴とするので、積層鋼板11において、シャフト20との焼き嵌め部位P1と鋼板最外周部位P1との間で生じる厚み方向HTに変位Xについて、製品(ロータ3)間のバラツキ幅が、図17に示すような、ロータコア410とシャフト420とを固定する従来の製造方法に比して、半分程度にまで小さく抑制することができる。
従って、本実施形態の第2実施例に係るモータ1のロータ3の製造方法では、ロータコア10とシャフト20との組付け精度を高くして、低コストで高性能なモータ1のロータ3を製造することができる、という優れた効果を奏する。
また、本実施形態の第2実施例に係るモータ1のロータ3の製造方法では、一対の治具130は、径内側周縁部135と径外側周縁部137とを繋ぐ平板状の基部134を有し、径内側周縁部135と径外側周縁部137とがそれぞれ、基部134から治具高さ方向HTに立設して形成されていることを特徴とするので、一対の治具130のうち、径内側周縁部135及び径外側周縁部137のそれぞれの高さを、参照する図12に示すように、焼き嵌め後の薄板鋼板11において、その厚み方向HTに規制したい変位量Xに対応させて設定することが容易にできるようになる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、積層鋼板からなるロータコアとシャフトとの組付け精度を高くして、低コストで高性能なモータのロータを製造することができる。
1 モータ
3 ロータ
10 ロータコア
11 積層鋼板
11a,11b 両側端面
11H 挿通孔
12 薄板鋼板
12H 貫通孔
20 シャフト
30H シャフト挿通孔
30,130 一対の治具
30a 傾斜面
31,131 第1治具
32,132 第2治具
35,135 径内側周縁部
37,137 径外側周縁部
134 基部
F 挟持力
HL 水平方向
HT 厚み方向、高さ方向
RD 径方向

Claims (6)

  1. 貫通孔を有した薄板鋼板を複数積層し、前記複数の薄板鋼板の各前記貫通孔を位置合わせして形成される挿通孔を有する積層鋼板を、該積層鋼板の厚み方向両側から挟み込む一対の治具を用いて、該一対の治具により、ロータコアとして前記積層鋼板を前記厚み方向に拘束した状態で、前記挿通孔にシャフトを挿入し、前記積層鋼板と焼き嵌めで固定させるモータのロータの製造方法において、
    前記一対の治具はそれぞれ、前記シャフトが挿通可能なシャフト挿通孔と、
    前記シャフト挿通孔の径方向に対し、前記シャフト挿通孔を径内側に取り囲む位置で、前記積層鋼板の前記挿通孔の周縁を挟む径内側周縁部と、前記径内側周縁部より径外側で、前記積層鋼板の外周縁を挟む径外側周縁部と、を有し、
    前記一対の治具では、前記径内側周縁部と前記径外側周縁部とが、前記径方向に直交する前記治具高さ方向に高低差を設けて形成されていることを特徴とするモータのロータの製造方法。
  2. 請求項1に記載するモータのロータの製造方法において、
    前記一対の治具では、水平方向を基準に、前記治具高さ方向片側に対し、前記径内側周縁部が前記径外側周縁部より高い形状を山型形状とし、前記径内側周縁部が前記径外側周縁部より低い形状を谷型形状としたとき、
    前記一対の治具を構成する第1治具と第2治具とは、前記山型形状または前記谷型形状で何れも同じ形状に形成されていることを特徴とするモータのロータの製造方法。
  3. 請求項2に記載するモータのロータの製造方法において、
    前記一対の治具は、前記山型形状で形成されていることを特徴とするモータのロータの製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載するモータのロータの製造方法において、
    前記一対の治具は、前記径内側周縁部と前記径外側周縁部とが傾斜面で繋がれた形状で形成されていることを特徴とするモータのロータの製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載するモータのロータの製造方法において、
    前記一対の治具は、前記径内側周縁部と前記径外側周縁部とを繋ぐ平板状の基部を有し、
    前記径内側周縁部と前記径外側周縁部とがそれぞれ、前記基部から前記治具高さ方向に立設して形成されていることを特徴とするモータのロータの製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載するモータのロータの製造方法において、
    前記一対の治具で挟持した前記積層鋼板を、前記厚み方向に対し、前記積層鋼板の両側から所定の挟持力で拘束する積層鋼板拘束工程と、
    前記積層鋼板拘束工程の後、拘束した前記積層鋼板を加熱する積層鋼板加熱工程と、
    前記積層鋼板の加熱後、前記一対の治具の前記シャフト挿通孔を通じて前記シャフトを前記積層鋼板の前記挿通孔に挿通し、前記シャフトと前記積層鋼板とを焼き嵌めするシャフト焼き嵌め工程と、を有することを特徴とするモータのロータの製造方法。
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