JPWO2012137738A1 - シンチレーター、放射線検出装置および放射線検出方法 - Google Patents

シンチレーター、放射線検出装置および放射線検出方法 Download PDF

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Abstract

高温環境下での発光特性が良好な高温環境用シンチレーター、並びに高温環境下における放射線の測定方法を提供することを目的とする。LiCaAlF6等に代表される、化学式LiM1M2X6(M1はMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素であり、M2はAl、Ga及びScから選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、XはF、Cl、BrおよびIから選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素である)で表わされるコルキライト型結晶であって、必要に応じてCeやEuなどランタノイド元素を含有させた高温環境用シンチレーター、並びに該シンチレーターを用いた高温環境下における放射線の測定方法に関する。

Description

本発明は、放射線検出装置に用いられるシンチレーターに関する。詳しくは、コルキライト型結晶からなり、高温環境下で使用されるシンチレーター、高温環境用放射線検出装置並びに高温下に放射線を検出する方法に関する。
シンチレーターとは、α線、β線、γ線、X線、中性子等の放射線が当たった時に当該放射線を吸収して蛍光を発する物質であり、光電子増倍管などの光検出装置と組み合わせることで放射線検出装置として用いられる。
放射線検出装置は、油田検層などの資源探査分野、断層撮影などの医療分野、非破壊検査などの工業分野、所持品検査などの保安分野、高エネルギー物理学などの学術分野等の多彩な応用分野において、幅広く利用されている。
油田検層に用いられる放射線検出装置は、掘削ドリルの内部に設置され、掘削下でγ線や中性子を検出し、地層の性状を推定するために用いられる(特許文献1)。掘削下での使用においては温度が大きく変動するため、油田検層に用いられるシンチレーターには、0℃未満から200℃を超える広い温度範囲において、良好な特性を有することが求められる(非特許文献1参照)。
しかしながら、非特許文献1の図1に示されているように、シンチレーターは一般的に高温環境下で発光量が低下するという問題があった。例えば、ビスマスゲルマニウムオキサイド(BGO)の約110℃における発光量は、室温における発光量に比較して約16%に低下する。同様に、カドミウムタングステンオキサイド(CdWO4)の発光量は約150℃において約20%に低下する。高温環境下での発光特性が比較的良いとされるタリウム添加ソディウムアイオダイド(Tl:NaI)或いはセシウムフルオライド(CsF)でも、約140℃の高温環境下では、発光量がそれぞれ約70%或いは約61%に低下するという問題があった。
米国特許第5539225号
C.L. Melcher,"SCINTILLATORS FOR WELL LOGGING APPLICATIONS" Nuclar Instruments and Methods in Physics Research B 40/41 (1989) 1214−1218.
本発明は、かかる問題に鑑みて成されたものであって、高温環境下での発光量が良好な高温環境用シンチレーター、高温環境用放射線検出装置並びに該検出装置を用いた高温環境下における放射線の測定方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、種々のシンチレーターを作製し、高温下での発光量を評価した。その結果、特定の化学組成を持つコルキライト型結晶からなるシンチレーターが、高温下で良好な発光量を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明により、 下記化学式、
LiM
(式中、MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素であり、MはAl、Ga及びScからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素である)
で表されるコルキライト型結晶からなることを特徴とする高温環境用シンチレーターが提供される。
上記高温環境用シンチレーターにおいて、
1)前記コルキライト型結晶が、化学式LiCaAlFで表わされること、2)前記コルキライト型結晶が、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種のランタノイド元素を含有すること、
3)ランタノイド元素が、CeまたはEuであること、
4)Liの同位体比が20%以上であって、中性子の検出に用いられること
が好適である。
本発明により、また、上記高温環境用シンチレーターと光検出器を具備することを特徴とする高温環境用放射線検出装置が提供される。
本発明により、更に、上記高温環境用シンチレーターに、高温下で放射線を入射させて蛍光を発光させ、該蛍光を検出器で検出することを特徴とする放射線の検出方法が提供される。該放射線の検出方法において、放射線が中性子であることが好適である。
本発明のシンチレーターは、X線、γ線、或いは中性子を検出する放射線検出装置に使用できる。従来のシンチレーターと比較して、100℃以上、更には200℃の高温下においても発光量が低下し難い、或いは、むしろ発光量が向上する。このため、油田検層等の高温環境下に用いられる放射線検出装置に、特に好適なシンチレーターとして使用できる。
本図は、本発明のシンチレーターに使用される結晶のチョクラルスキー法による製造装置の概略図である。 本図は、実施例1のシンチレーターに硬X線を照射して得られた発光スペクトルを示す図である。 本図は、種々の温度環境下における実施例1のシンチレーターの発光量を示す図である。 本図は、種々の温度環境下において、シンチレーターに中性子を照射して波高分布スペクトルを取得する際の実験体系を示す図である。 本図は、種々の温度環境下において、実施例1のシンチレーターに中性子を照射して得られた波高分布スペクトルを示す図である。 本図は、実施例2のシンチレーターに硬X線を照射して得られた発光スペクトルを示す図である。 本図は、種々の温度環境下における実施例2のシンチレーターの発光量を示す図である。 本図は、種々の温度環境下において、実施例2のシンチレーターに中性子を照射して得られた波高分布スペクトルを示す図である。 本図は、比較例1のシンチレーターに硬X線を照射して得られた発光スペクトルを示す図である。 本図は、種々の温度環境下における比較例1のシンチレーターの発光量を示す図である。 本図は、種々の温度環境下において、比較例1のシンチレーターに中性子を照射して得られた波高分布スペクトルを示す図である。
本発明の高温環境用シンチレーターは、化学式、
LiM
(式中、MはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素であり、MはAl、Ga及びScから選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、XはF、Cl、BrおよびIから選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素である)
で表わされるコルキライト型結晶(以下、単にコルキライト型結晶ともいう)からなる。当該コルキライト型結晶は、空間群P31cに属する六方晶であって、粉末X線回折の手法によって容易に同定することができる。
なお、コルキライトとは、天然に存在するLiCaAlF6化合物をいい、特有の結晶構造を有する。また、コルキライト型といった場合には、コルキライトに類似した結晶構造を有する化合物であって、該化合物中の元素が他の元素に一部置き換わったものも含む。
前記コルキライト型結晶からなるシンチレーターは、高温環境下での発光量の低下が小さいため、例えば油田検層等の高温環境下で用いられる放射線検出装置の高温環境用シンチレーターとして特に好適に使用できる。
本発明において、高温環境とはシンチレーターの温度が100℃以上となる環境をいう。当該高温環境について、温度の上限はシンチレーターの融点を超えない範囲であれば特に制限されないが、シンチレーターの発光特性及びシンチレーターの発光を検出するための光検出器の動作特性の変動を抑えるため、200℃以下とすることが好ましい。シンチレーターの周囲温度が200℃を超える環境下で用いる場合には、前記シンチレーターの温度を200℃以下とするための冷却機構を設けることが好ましい。
本発明のシンチレーターにおいて、前記コルキライト型結晶は、ハロゲン元素がFであるコルキライト型結晶が、潮解性がなく、化学的安定性に優れているため、最も好ましい。当該ハロゲン元素がFであるコルキライト型結晶において、発光量等のシンチレーターとしての特性を改善する目的で、Fの一部をCl、BrまたはIで置換しても良い。
更に、前記ハロゲン元素がFであるコルキライト型結晶の中でも、化学式
LiCa1−xSrAlF(ただし、xは0〜1である)
で表わされるコルキライト型結晶が、大型の結晶を作製しやすく、また、シンチレーターとして用いた際の発光量を高めることができるため、好ましい。
更にまた、上記化学式中のxを0としたLiCaAlFは、中性子検出用のシンチレーターとして最も好ましい。当該LiCaAlFは、有効原子番号が小さいため、中性子検出においてバックグラウンドノイズとなるγ線に対する感度を低減することができる。なお、本発明において、有効原子番号とは下式で定義される指標である。
有効原子番号=(ΣW 1/4
式中、Wiはシンチレーターを構成する元素のうちのi番目の元素の質量分率、Ziはシンチレーターを構成する元素のうちのi番目の元素の原子番号である。
本発明の高温環境用シンチレーターにおいて、上記コルキライト型結晶は、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種のランタノイド元素を含有することが好ましい。
当該ランタノイド元素は、放射線が入射した際に発光するための賦活剤として作用し、シンチレーターの発光量を高めることができる。また、これらのランタノイド元素を含有するコルキライト型結晶からなるシンチレーターは、例外的に200℃を超える高温環境下でも好適に用いることができる。
前記ランタノイド元素の中でもCeは特に好ましい元素のうちの一つである。コルキライト型結晶にCeを含有せしめることによって、高温環境下での発光量の低下が特に少ないシンチレーターを得ることができる。また、Ceによる発光は蛍光寿命が短いため、高速応答性に優れたシンチレーターを得ることができる。
後述するように、例えば化学式LiCaAlFで表わされ、Ceを含有するコルキライト型結晶からなるシンチレーターは、200℃を超える高温環境下において、常温環境下よりも発光量が向上するという極めて稀な特長を有するため、200℃を超える高温環境下でも好適に用いることができる。
また、前記ランタノイド元素の中で、Euも特に好ましい元素である。コルキライト型結晶にEuを含有せしめることによって、高温環境下での発光量の低下が少なく、且つ、発光量が極めて高いシンチレーターを得ることができる。
例えば、化学式LiCaAlFで表わされ、Euを含有するコルキライト型結晶からなるシンチレーターは、300℃の高温環境下においても、常温環境下での発光量の50%を維持することができるため、200〜300℃の高温環境下でも好適に用いることができる。
ランタノイド元素の含有量は、コルキライト型結晶に対して、0.01〜0.5mol%とすることが好ましい。0.01mol%以上とすることによって、シンチレーターの発光量を高めることができ、0.5mol%以下とすることによって、シンチレーターの製造における白濁等の問題を回避することができる。なお、ランタノイド元素の含有量は、後述するように、シンチレーターの製造において、混合原料に添加するランタノイド元素のハロゲン化物の混合比によって適宜調整できる。
本発明のシンチレーターは、検出対象とする放射線に制限は無く、X線、α線、β線、γ線、或いは中性子等の放射線の検出に用いることができる。とりわけ、結晶中にLi同位体を含有せしめることができるため、放射線の中でも中性子の検出において最大の効果を発揮する。すなわち、当該Li同位体は中性子捕獲反応の効率が高く、シンチレーターに入射した中性子を中性子捕獲反応によって容易に検出できるため、Li同位体を含有する前記コルキライト型結晶は中性子検出用シンチレーターとして特に好適である。
本発明のシンチレーターを中性子検出用シンチレーターとして用いる際には、前記Liの同位体比を20%以上とすることが好ましい。Liの同位体比とは、全リチウム元素に占めるLi同位体の存在比率であって、中性子に対する検出効率に影響する。すなわち、前述したようにシンチレーターに入射した中性子は、当該Li同位体と中性子捕獲反応を起こすことによって検出されるため、Liの同位体比が高いほど、中性子検出用シンチレーターとして用いた際の中性子に対する検出効率が向上する。
かかるLiの同位体比は、原料として用いるLiF等のハロゲン化リチウム(以下、LiXという)中のLiの同位体比を調整することによって適宜調整できる。
天然に存在するLiでは、Liの同位体比は約7.6%にすぎないが、Li同位体を濃縮し、Liの同位体比を高めた原料が市販されており、容易に入手することができる。本発明において、Liの同位体比を調整する方法としては、Li同位体が所期のLiの同位体比まで濃縮された原料を用いる方法、或いはあらかじめLiが所期のLiの同位体比以上に濃縮された原料を用意し、該濃縮された原料と天然の同位体比を有する汎用の原料を混合して調整する方法が挙げられる。
本発明において、Liの同位体比を20%以上とすることによって、得られるコルキライト型結晶の中性子に対する検出効率を充分に高めることができる。さらに検出効率を高める目的で、50%以上とすることが好ましく、90%以上とすることが最も好ましい。
本発明において、コルキライト型結晶は、単結晶または多結晶のいずれの形態でも用いることができるが、格子欠陥に起因する非輻射遷移や結晶粒界でのシンチレーション光の散逸などによるロスを生じることなく、発光量の高いシンチレーターとするため、単結晶であることが好ましい。
前記単結晶からなるシンチレーターは、無色ないしはわずかに着色した透明な結晶であり、シンチレーション光の透過性に優れる。また、良好な化学的安定性を有しており、通常の使用においては短期間での性能の劣化は認められない。更に、機械的強度及び加工性も良好であり、所望の形状に加工して用いることが容易である。
前記単結晶からなるシンチレーターの製造方法は特に限定されず、公知の結晶製造方法によって製造することができる。チョクラルスキー法、またはマイクロ引き下げ法によって製造することが好ましい。チョクラルスキー法、またはマイクロ引き下げ法で製造することにより、透明性等の品質に優れた単結晶を製造することができる。マイクロ引下げ法によれば、単結晶を特定の形状にて直接製造することができ、しかも短時間で製造することができる。一方、チョクラルスキー法によれば、直径が数インチの大型の単結晶を安価に製造することが可能となる。
以下、チョクラルスキー法によってコルキライト型単結晶からなるシンチレーターを製造する際の、一般的な方法について説明する。
まず、所定量の原料を、坩堝1に充填する。原料の純度は特に限定されないが、99.99%以上とすることが好ましい。このような純度の高い原料を用いることにより、得られる結晶の純度を高めることができるため発光量等の特性が向上する。原料は、粉末状あるいは粒状の原料を用いても良く、あらかじめ焼結或いは溶融固化させてから用いてもよい。
原料としては、目的とするコルキライト型結晶に応じて、LiX、前記アルカリ土類金属のハロゲン化物(例えば、MgF、CaF、SrF及びBaF等)、前記金属元素のハロゲン化物(例えば、AlF、GaF及びScF等)、ならびに前記ランタノイド元素のハロゲン化物(例えば、CeF、PrF及びNdF等)を適宜混合した混合原料が用いられる。
当該混合原料中のLiX、アルカリ土類金属のハロゲン化物及び金属元素のハロゲン化物の配合比は、1:1:1のモル比となるように調製する。ただし、前記チョクラルスキー法、またはマイクロ引き下げ法のような融液成長法によって製造する場合、LiX及び金属元素のハロゲン化物が揮発しやすいため、これらをそれぞれ1〜10%程度過剰にしてもよい。揮発量は、結晶の製造条件(温度、雰囲気、工程等)によって全く異なるため、予めLiX及び金属元素のハロゲン化物の揮発量を調べて、原料の配合比を決めることが望ましい。
コルキライト型結晶に含有せしめるランタノイド元素の量は、前記混合原料に添加するランタノイド元素のハロゲン化物の配合比によって任意に調整できる。当該配合比はコルキライト型結晶に対して、0.1〜5mol%とすることが好ましい。混合比を0.1mol%以上とすることによって、発光量を高めることができ、5mol%以下とすることによって、単結晶の白濁等の問題を回避することができる。
次いで、上記原料を充填した坩堝1、ヒーター2、断熱材3、及び可動ステージ4を図1に示すようにセットする。坩堝1の上に、底部に穴の開いた坩堝をもう一つ設置し、ヒーター2等に固定して吊るすことで、二重坩堝構造としてもよい。
また、種結晶5を自動直径制御装置6の先端に取り付ける。種結晶に替えて、高温下での耐蝕性に優れた白金などの金属を用いてもよいが、製造するコルキライト型結晶もしくはそれと近い結晶構造を持った単結晶を用いた方が、多結晶化や結晶の割れを回避することができ、好適である。
なお、前記自動直径制御装置は、結晶の重量を測定するロードセルと、測定された重量をヒーター出力にフィードバックする回路系で構成されており、当該自動直径制御装置を用いることによって、所期の直径の結晶を精度よく安定して製造することができる。
次に真空排気装置を用いて、チャンバー7の内部を1.0×10−3Pa以下まで真空排気した後、高純度アルゴン等の不活性ガスをチャンバー内に導入してガス置換を行う。ガス置換後のチャンバー内の圧力は特に限定されないが、大気圧が一般的である。このガス置換操作によって、原料或いはチャンバー内に付着した水分を除去することができ、かかる水分に由来する結晶の劣化を妨げることができる。
上記ガス置換操作によっても除去できない水分による悪影響を避けるため、水分との反応性が高いスカベンジャーを用いることが好ましい。当該スカベンジャーは、四フッ化メタン等が好適に使用でき、上記不活性ガスに混合してチャンバー内に導入される。
ガス置換操作を行った後、高周波コイル8、及びヒーター2によって原料を加熱して溶融させる。加熱方式は特に限定されず、例えば上記高周波コイルとヒーターを用いた誘導加熱方式に替えて、カーボンヒーター等を用いた抵抗加熱方式を適宜用いることができる。
次いで、溶融した原料融液を、種結晶と接触させる。種結晶と接触した部分が凝固する温度になるようヒーター出力を調整した後、自動直径制御装置6による制御の元、引き上げ速度を自動調整しながら結晶を引き上げる。なお、液面高さの調整のため可動ステージ4を上下方向に適宜動かしてもよい。高周波コイルの出力を適宜調整しながら連続的に引き上げ、所望の長さとなったところで液面から切り離し、結晶に割れが入らないように十分な時間をかけて冷却することで、単結晶を得ることができる。
ハロゲン原子の欠損あるいは熱歪に起因する結晶欠陥を除去する目的で、製造した結晶に対しアニール処理を行ってもよい。
得られた単結晶は、良好な加工性を有しており、所望の形状に加工してシンチレーターとして用いることができる。加工に際しては、公知のブレードソー、ワイヤーソー等の切断機、研削機、或いは研磨盤を何ら制限無く用いる事ができる。
本発明のシンチレーターの形状は特に制限されないが、後述する光検出器に対向する光出射面を有し、当該光出射面は光学研磨が施されていることが好ましい。かかる光出射面を有することによって、シンチレーターで生じた光を効率よく光検出器に入射できる。
前記光出射面の形状は限定されず、一辺の長さが数mm〜数百mm角の四角形、或いは直径が数mm〜数百mmの円など、用途に応じた形状を適宜選択して用いることができる。また、シンチレーターの放射線入射方向に対する厚さは、検出対象とする放射線によって異なるが、一般に数百μm〜数百mmである。
光検出器に対向しない面に、アルミニウム或いはテフロン(登録商標)等からなる光反射膜を施すことにより、シンチレーターで生じた光の散逸を防止することができ、好ましい。
本発明のシンチレーターは、光検出器と組み合わせて高温環境用放射線検出器とすることができる。即ち、放射線の照射によりシンチレーターから発せられた光を、光検出器によって電気信号に変換することによって、放射線の有無及び強度を電気信号として捉えることができる。
光検出器の種類は特に限定されないが、高温環境下での特性に優れた高温環境用光電子増倍管を用いることが好ましい。かかる高温環境用光電子増倍管を具体的に例示すれば、浜松ホトニクス社製 R4177シリーズ、R3991Aシリーズ、R1288Aシリーズ、R1288AHシリーズ、R6877Aシリーズ、R9722Aシリーズ、R4607シリーズ、及びR5473シリーズ等が挙げられる。
本発明の高温環境用放射線検出装置の別の態様として、シンチレーターを高温環境下に設置し、該シンチレーターから離れた位置に光検出器を設置し、前記シンチレーターと光検出器の間をライトガイドで光学的に結合する態様が挙げられる。かかる態様によれば、シンチレーターのみを高温環境下に設置し、光検出器は低温環境下に設置することが可能であるため、前記高温環境用光電子増倍管を用いる必要が無く、一般的に用いられる光検出器を制限なく選択して用いることができる。また、かかる態様は、光検出器のための設置スペースを測定部から遠ざけることができるため、狭隘空間での測定において特に好適に採用できる。
前記ライトガイドは、シンチレーターから発せられた光を、光検出器に伝送できるものであれば特に制限なく用いることができるが、光の伝送効率および設置の自由度に鑑みて光ファイバーを用いることが好ましい。
本発明の高温環境用放射線検出装置を製作する方法は特に限定されず、例えば、光検出器の光検出面にシンチレーターの光出射面を密接して設置し、光検出器に電源および信号読出し回路を接続して放射線検出装置を製作することができる。なお、前記信号読出し回路は、一般に前置増幅器、整形増幅器、多重波高分析器およびオシロスコープなどで構成される。
なお、前記ライトガイドを用いる態様においては、ライトガイドの一方の端面にシンチレーターの光出射面を密接して設置し、ライトガイドの他方の端面に光検出器の光検出面を密接して設置し、光検出器に電源および信号読出し回路を接続して放射線検出装置を製作することができる。
かかる高温環境用放射線検出装置の用途は特に限定されないが、高温環境下で用いられる油田検層用の放射線検出装置として好適に使用できる。
また、前記光反射膜が施されたシンチレーターを多数配列し、光検出器として位置敏感型光検出器を用いることにより、放射線検出装置に位置分解能を付与することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。また、実施例の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
実施例1
〔シンチレーターの製造〕
化学式LiCaAlFで表わされ、ランタノイド元素としてCeを含有するコルキライト型結晶を、図1に示すチョクラルスキー法による結晶製造装置を用いて以下に示す方法で製造した。なお、Liの同位体比は95%とした。
原料としては、純度が99.99%以上のLiF、CaF、AlF、およびCeFの高純度フッ化物粉末を用いた。また、LiFとしては、Liの同位体比が95%の市販品を用いた。坩堝1、ヒーター2、及び断熱材3は、高純度カーボン製のものを使用した。
まず、LiF、CaF、AlF、およびCeFの混合比(モル比)が、1.01:1:1.03:0.02となるようにそれぞれ秤量し、よく混合して混合原料を調製した。なお、混合原料の総重量は3kgとした。得られた混合原料を坩堝1に充填し、当該坩堝1を可動ステージ4上に設置し、その周囲にヒーター2、及び断熱材3を順次セットした。次に種結晶5として、LiCaAlF単結晶を6×6×30mmの直方体形状に加工したものを自動直径制御装置の先端に取り付けた。
油回転ポンプ及び油拡散ポンプからなる真空排気装置を用いて、チャンバー6内を5.0×10−4Paまで真空排気した後、四フッ化メタン−アルゴン混合ガスをチャンバー7内に大気圧まで導入し、ガス置換を行った。
高周波コイル8に高周波電流を印加し、誘導加熱によって原料を加熱して溶融させた。種結晶5を移動し、種結晶5の6×6mmの面を、溶融した原料の液面に接触させた。種結晶と接触した部分が凝固する温度となるようヒーター出力を調整した後、自動直径制御装置6による制御のもと、結晶の直径を55mmまで徐々に拡大し、その後直径を55mmの一定に保ちながら、結晶を引き上げた。
前記結晶を引き上げる工程において、液面高さが一定となるように可動ステージ4を上昇させ、結晶の直径が一定となるように高周波コイルの出力を調整しながら連続的に引き上げ、約80mmの長さとなったところで液面から切り離し、約48時間かけて冷却することで、直径55mm、長さ約80mmの単結晶を得た。
当該単結晶の一部を粉砕し、得られた粉末についてX線回折測定を行った結果、当該単結晶はコルキライト型結晶の一種であるLiCaAlF単結晶であることが分かった。
また、前記単結晶の一部を粉砕して得られた粉末を用いて、アルカリ溶融法によって溶液を調製し、誘導結合プラズマ質量分析法を用いてCeの含有量を測定した結果、Ceの含有量はコルキライト型結晶に対して、0.04mol%であった。
これらより、本実施例で製造された単結晶は、化学式LiCaAlFで表わされ、Ceを0.04mol%含有し、且つLiの同位体比が95%のコルキライト型結晶であった。
得られたコルキライト型結晶を、ダイヤモンドワイヤーを備えたワイヤーソーによって切断した。次いで、当該結晶の全面を研磨盤によって研削および光学研磨し、10mm×6mm×0.5mmの形状に加工して、本発明のシンチレーターを得た。
〔種々の温度環境下における発光特性の評価:硬X線照射〕
得られたシンチレーターについて、硬X線を照射した際の発光特性を以下の方法によって測定した。
まず、シンチレーターを発光スペクトルの測定装置内部に設置し、加熱ヒーター、及び、シンチレーターの温度を計測するための熱電対を該シンチレーターに密着させて設置した。
次いで、タングステンをターゲットとする封入式X線管球(東芝電子管デバイス社製、A−41L−W)を用いて、硬X線をシンチレーターに照射した。封入式X線管球より硬X線を発生させる際の管電圧及び管電流はそれぞれ60kV及び40mAとした。シンチレーターの紫外線出射面より生じた紫外線を集光ミラーで集光し、分光器(分光計器製)にて単色化し、200〜400nmの範囲の各波長における発光の強度を記録してシンチレーターより生じた発光のスペクトルを得た。室温において得られた発光スペクトルを図2に示す。
上記測定の結果、本実施例のシンチレーターは、硬X線の照射によって289nmをピーク波長とする発光を呈し、シンチレーターとして作用することが確認された。
次いで、加熱ヒーターを用いてシンチレーターを加熱し、シンチレーターの温度が30、83、130及び200℃の各温度環境下での発光量を測定した。得られた結果を図3に示す。当該図3において、縦軸は前記発光スペクトルのピーク波長である289nmでの発光量であり、30℃における発光量を1として表わした。図3より、本実施例のシンチレーターは200℃の高温環境下でも発光量が低下せず、高温環境用シンチレーターとして有効であることが分かる。
〔種々の温度環境下における発光特性の評価:中性子照射〕
得られたシンチレーターについて、中性子を照射した際の発光特性を以下の方法によって測定した。
まず、図4に示すように、加熱ヒーター9及びシンチレーターの温度を計測するための熱電対10をシンチレーター11に密着させて設置し、光検出器として光電子増倍管12(浜松ホトニクス社製 H6521)をシンチレーターの光出射面に対向する位置に設置した。なお、シンチレーターの光出射面と光電子増倍管の光検出面の距離は10mmとした。
前記光電子増倍管に電源および信号読出し回路を接続した。なお、前記信号読出し回路として、光電子増倍管側から整形増幅器及び多重波高分析器を接続した。前記光電子増倍管にシンチレーター以外からの光が入射しないように、遮光用のブラックシート13で覆った後に、光電子増倍管に接続された電源を用いて、1400Vの高電圧を光電子増倍管に印加した。
約3.7MBqの放射能の252Cf密封線源14からの中性子を、100mmの厚みのポリエチレンブロック15で減速してシンチレーターに照射した。中性子の入射によって、シンチレーターで生じた発光パルスを光電子増倍管でパルス状の電気信号に変換し、当該電気信号を整形増幅器を介して多重波高分析器に入力した。多重波高分析器に入力された電気信号を解析して波高分布スペクトルを作成した。
温度調節器に接続された加熱ヒーター9及び熱電対10を用いて、シンチレーターの温度が25、100、200及び300℃となるように加熱し、各温度環境下において前記波高分布スペクトルを作成した。
得られた波高分布スペクトルを図5に示す。なお、当該波高分布スペクトルの横軸は、パルス状の電気信号の波高値すなわちシンチレーターの発光量を表しており、ここでは、25℃の常温環境下での波高分布スペクトルのピークの波高値を100とした相対値で示した。また、縦軸は各波高値を示した電気信号の計測された頻度を表し、ここでは、counts/secで示した。
図5より中性子を検出した結果として生じるピークが確認でき、いずれの温度環境下においても中性子を検出できていることが分かる。また、本実施例のシンチレーターは、200および300℃の高温環境下において、それぞれ常温環境下の155および230%の発光量を示し、高温環境下において発光量が向上するという優れた特徴を有することが分かる。
実施例2
〔シンチレーターの製造〕
化学式LiCaAlFで表わされ、ランタノイド元素としてEuを含有するコルキライト型結晶を製造した。なお、Liの同位体比は95%とした。
LiF、CaF、AlF、およびEuFの混合比(モル比)を、1.01:1:1.03:0.02とする以外は、実施例1と同様にして単結晶を得た。得られた単結晶について、実施例1と同様にしてX線回折測定及び誘導結合プラズマ質量分析法による測定を行った結果、本実施例で製造された単結晶は、化学式LiCaAlFで表わされ、Euを0.04mol%含有し、且つLiの同位体比が95%のコルキライト型結晶であった。
得られたコルキライト型結晶を、実施例1と同様にして10mm×6mm×0.5mmの形状に加工して、本発明のシンチレーターを得た。
〔種々の温度環境下における発光特性の評価:硬X線照射〕
測定する波長の範囲を300〜500nmとする以外は、実施例1と同様にしてシンチレーターの発光特性を測定した。
室温において得られた発光スペクトルを図6に示す。本実施例のシンチレーターは、硬X線の照射によって374nmをピーク波長とする極めて強い発光を呈し、シンチレーターとして作用することが確認された。
次いで、加熱ヒーターを用いてシンチレーターを加熱し、シンチレーターの温度が27、49、108、140及び200℃の各温度環境下での発光量を測定した。得られた結果を図7に示す。当該図7において、縦軸は前記発光スペクトルのピーク波長である374nmでの発光量であり、27℃における発光量を1として表わした。図7より、本実施例のシンチレーターは140℃及び200℃の高温環境下において、それぞれ27℃の発光量の81%及び70%を維持しており、高温環境用シンチレーターとして有効であることが分かる。
〔種々の温度環境下における発光特性の評価:中性子照射〕
シンチレーターとして、前記化学式LiCaAlFで表わされ、Euを0.04mol%含有し、且つLiの同位体比が95%のコルキライト型結晶を用いる以外は、実施例1と同様にして中性子を照射した際の各温度環境下での発光特性を測定した。
得られた波高分布スペクトルを図8に示す。なお、当該波高分布スペクトルの横軸は、パルス状の電気信号の波高値すなわちシンチレーターの発光量を表しており、ここでは、25℃の常温環境下での波高分布スペクトルのピークの波高値を100とした相対値で示した。また、縦軸は各波高値を示した電気信号の計測された頻度を表し、ここでは、counts/secで示した。
図8より中性子を検出した結果として生じるピークが確認でき、いずれの温度環境下においても中性子を検出できていることが分かる。また、本実施例のシンチレーターは、200および300℃の高温環境下において、それぞれ常温環境下の75および50%の発光量を示し、高温環境下における発光量の減少が極めて少ないことが分かる。
比較例1
〔シンチレーターの製造〕
市販されているLiガラス(サンゴバン社製、GS−20)を、実施例1と同様に10mm×6mm×0.5mmの形状に加工して、シンチレーターを得た。
〔種々の温度環境下における発光特性の評価:硬X線照射〕
測定する波長の範囲を300〜500nmとする以外は、実施例1と同様にしてLiガラスシンチレーターの発光特性を測定した。室温において得られた発光スペクトルを図9に示す。Liガラスシンチレーターは、硬X線の照射によって390nmをピーク波長とする発光を呈した。
次いで、加熱ヒーターを用いてシンチレーターを加熱し、シンチレーターの温度が20、90、140及び200℃の各温度環境下での発光量を測定した。得られた結果を図10に示す。当該図10において、縦軸は前記発光スペクトルのピーク波長である390nmでの発光量であり、20℃における発光量を1として表わした。図10より、本比較例で用いた従来公知のLiガラスシンチレーターでは、140℃及び200℃の高温環境下において、それぞれ20℃の発光量の32%及び11%にまで低下し、高温環境用シンチレーターとしては適用し難いことが分かる。
〔種々の温度環境下における発光特性の評価:中性子照射〕
シンチレーターとして、前記Liガラスを用いる以外は、実施例1と同様にして中性子を照射した際の各温度環境下での発光特性を測定した。
得られた波高分布スペクトルを図11に示す。なお、当該波高分布スペクトルの横軸は、パルス状の電気信号の波高値すなわちシンチレーターの発光量を表しており、ここでは、25℃の常温環境下での波高分布スペクトルのピークの波高値を100とした相対値で示した。また、縦軸は各波高値を示した電気信号の計測された頻度を表し、ここでは、counts/secで示した。
図11より、200℃以下の高温環境下では中性子を検出した結果として生じるピークが確認できるが、300℃の高温環境下では発光量の減少が著しく、中性子を検出した結果として生じるピークが確認できないことが分かる。また、本比較例のシンチレーターは、200℃の高温環境下において、常温環境下の40%にまで発光量が減少しており、高温環境下での使用が困難であることが分かる。
1 坩堝
2 ヒーター
3 断熱材
4 可動ステージ
5 種結晶
6 自動直径制御装置
7 チャンバー
8 高周波コイル
9 加熱ヒーター
10 熱電対
11 シンチレーター
12 光電子増倍管
13 ブラックシート
14 252Cf密封線源
15 ポリエチレンブロック

Claims (8)

  1. 下記化学式、
    LiM
    〔式中、Mはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素であり、Mはアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)からなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素である〕
    で表されるコルキライト型結晶からなることを特徴とする高温環境用シンチレーター。
  2. 前記コルキライト型結晶が、化学式LiCaAlFで表わされることを特徴とする請求項1に記載の高温環境用シンチレーター。
  3. 前記コルキライト型結晶が、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)及びイッテルビウム(Yb)からなる群より選ばれる少なくとも1種のランタノイド元素を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高温環境用シンチレーター。
  4. 前記ランタノイド元素が、CeまたはEuであることを特徴とする請求項3に記載の高温環境用シンチレーター。
  5. Liの同位体比が20%以上であって、中性子の検出に用いられることを特徴とする請求項1〜4に記載の高温環境用シンチレーター。
  6. 請求項1〜5に記載の高温環境用シンチレーターと光検出器を具備することを特徴とする高温環境用放射線検出装置。
  7. 請求項1〜5の何れか一項に記載の高温環境用シンチレーターに、高温下で放射線を入射させて蛍光を発光させ、該蛍光を光検出器で検出することを特徴とする放射線の検出方法。
  8. 放射線が、中性子であることを特徴とする請求項7の放射線の検出方法。
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