JP5634285B2 - コルキライト型結晶、中性子検出用シンチレーター及び中性子線検出器 - Google Patents

コルキライト型結晶、中性子検出用シンチレーター及び中性子線検出器 Download PDF

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Description

本発明は、コルキライト型結晶及び当該コルキライト型結晶からなる中性子検出用シンチレーターに関する。詳しくは、アルカリ金属元素を含有し、且つLiの同位体比が20%以上であるコルキライト型結晶に関する。
シンチレーターとは、α線、β線、γ線、X線、中性子線等の放射線が当たった時に当該放射線を吸収して蛍光を発する物質のことであり、光電子増倍管などの光検出器と組み合わせることで放射線検出に用いられ、断層撮影などの医療分野、非破壊検査などの工業分野、所持品検査などの保安分野、高エネルギー物理学などの学術分野等の多彩な応用分野を持っている。
このシンチレーターとしては、放射線の種類や使用目的に応じてさまざまな種類のシンチレーターがあり、BiGe12、GdSiO:Ceなどの無機結晶、アントラセンなどの有機結晶、有機蛍光体を含有させたポリスチレンやポリビニルトルエンなどの高分子体、または液体シンチレーターや気体シンチレーターがある。
従来の中性子検出には、Heガスを用いた中性子線検出器が用いられてきたが、希少なHeガスの価格高騰により、代替技術への置き換えが求められている。固体中性子検出用シンチレーターを用いた中性子線検出器は、代替技術として有力な候補の一つである。
シンチレーターに求められる代表的な特性としては、高い発光量、高い放射線阻止能、早い蛍光の減衰などがあげられるが、特に中性子線を検出対象とするシンチレーターにおいては、中性子と吸収物質との間で放射線捕獲反応が起こってγ線が生じやすいので、このγ線との弁別能が必要となる。
中性子検出用固体シンチレーターとしては、潮解性がなく、高速応答性を有する材料としてLiガラスシンチレーターが用いられてきたが、製作工程が複雑であるため高価で、大型化にも限界があった。これに対して、フッ化物結晶からなる中性子検出用シンチレーターは、大型のシンチレーターを安価に製造できる利点があり、例えば、LiBaF結晶からなるシンチレーターが提案されている。しかしながら、該シンチレーターはγ線に対する感度が高く、γ線に由来するバックグラウンドノイズが大きいため、中性子検出用シンチレーターとして用いる際には特段の手段を講じる必要があった(非特許文献1参照)。
C.W.E. van Eijk et al"LiBaF3, a thermal neutron scintillator with optimal n−γ discrimination" Nuclar Instruments and Methods in Physics Research A 374 (1996) 197−201.
本発明は、中性子線に対する検出効率が高く、かつγ線に由来するバックグラウンドノイズが少ない中性子検出用シンチレーターに好適なコルキライト型結晶、並びに当該結晶からなる中性子検出用シンチレーターを提供することを目的とする。
本発明者等は、LiCaAlF結晶等の種々のコルキライト型結晶を作製し、当該コルキライト型結晶を中性子検出用シンチレーターとして用いた際の、中性子線に対する検出効率、並びに中性子線とγ線との弁別能を評価した。その結果、Liの同位体比を高めたコルキライト型結晶に特定のアルカリ金属元素を含有せしめることによって、中性子の検出効率が高くなり、かつ良好な弁別能が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、化学式LiM(ただし、MはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素であり、MはAl、Ga及びScから選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、XはF、Cl、BrおよびIから選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素である)で表わされるコルキライト型結晶であって、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を含有し、且つLiの同位体比が20%以上であり、ランタノイド元素を含まないことを特徴とするコルキライト型結晶、当該コルキライト型結晶からなる中性子検出用シンチレーター、及び当該シンチレーターと光検出器を具備することを特徴とする中性子線検出器である。
本発明のコルキライト型結晶は、従来よりもγ線に由来するバックグラウンドノイズが少ない中性子検出用シンチレーターとして、好適に用いることができる。当該シンチレーターは、光検出器と組み合わせることによって、環境中の中性子線の有無の判別などの用途に用いる中性子線検出器として好適に使用できる。
本図は、本発明のシンチレーターに使用される結晶のチョクラルスキー法による製造装置の概略図である。 本図は、実施例1の中性子検出用シンチレーターに中性子線を照射して得られた波高分布スペクトルである。
本発明のコルキライト型結晶は、化学式LiM(ただし、MはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素であり、MはAl、Ga及びScから選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、XはF、Cl、BrおよびIから選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素である)で表わされるハロゲン化物を主成分とする。
当該コルキライト型結晶は、空間群P31cに属する六方晶であって、粉末X線回折の手法によって容易に同定することができる。
前記コルキライト型結晶の中でも、ハロゲン元素がFであるコルキライト型結晶が、潮解性がなく、化学的安定性に優れているため、最も好ましい。なお、当該ハロゲン元素がFであるコルキライト型結晶において、発光量等のシンチレーターとしての特性を改善する目的で、Fの一部をCl、BrまたはIで置換しても良い。
前記ハロゲン元素がFであるコルキライト型結晶の中でも、化学式LiCa1−xSrAlF(ただし、xは0〜1である)で表わされるコルキライト型結晶が、大型の結晶を作製しやすく、また、シンチレーターとして用いた際の発光量を高めることができ、好ましい。さらに前記化学式中のxを0としたLiCaAlFは、有効原子番号が小さく、γ線に対する感度を低減することができるため、最も好ましい。なお、本発明において、有効原子番号とは下式で定義される指標である。
有効原子番号=(ΣW 1/4
式中、Wi及びZiは、それぞれシンチレーターを構成する元素のうちのi番目の元素の質量分率及び原子番号である。
本発明のコルキライト型結晶は、Liの同位体比が20%以上であることを特徴とする。当該Liの同位体比は、全リチウム元素に占めるLi同位体の比率であって、中性子線に対する検出効率に影響する。すなわち、コルキライト型結晶に入射した中性子は、当該Li同位体と核反応を起こすことによって検出されるため、Liの同位体比が高いほど、中性子検出用シンチレーターとして用いた際の中性子線に対する検出効率が向上する。検出効率が向上することによって、入射した中性子線をもれなく検出することができるため、かかる中性子検出用シンチレーターは、高い感度を要求される用途において特に好適に使用できる。
かかるLiの同位体比は、原料として用いるLiF等のハロゲン化リチウム(以下、LiXという)中のLiの同位体比を調整することによって適宜調整できる。ここで、天然に存在するLiでは、Liの同位体比は約7.6%にすぎないが、Li同位体を濃縮し、Liの同位体比を高めた原料が市販されており、容易に入手することができる。本発明において、Liの同位体比を調整する方法としては、Li同位体が所期のLiの同位体比まで濃縮された原料を用いる方法、或いはあらかじめLiが所期のLiの同位体比以上に濃縮された原料を用意し、該濃縮された原料と天然の同位体比を有する汎用の原料を混合して調整する方法が挙げられる。
本発明において、Liの同位体比を20%以上とすることによって、得られるコルキライト型結晶の中性子線に対する検出効率を充分に高めることができるが、さらに検出効率を高める目的で、50%以上とすることが好ましく、90%以上とすることが最も好ましい。
本発明のコルキライト型結晶は、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を含有することを最大の特徴とする。かかるアルカリ金属元素は、シンチレーターに発光機能を発現させるための賦活剤として作用する。前記Liガラスシンチレーター等の従来のシンチレーターでは、該賦活剤としてCe等のライタノイド元素を用いることが一般的であるが、該ランタノイドは原子番号が大きいため、γ線と相互作用する確率が高くなり、結果としてγ線に由来するバックグラウンドノイズが増大する。これに対して、アルカリ金属元素は原子番号が小さいため、γ線に由来するバックグラウンドノイズを低減することができる。
なお、前記アルカリ金属元素の中でも、Naが最も好ましい。すなわち、Naは原子番号が小さいためγ線と相互作用する確率が低く、また、潮解性の無いコルキライト型結晶を得ることができるため、本発明に好適に採用できる。
アルカリ金属元素の含有量は、後述するように、コルキライト型結晶の製造において、混合原料に添加するアルカリ金属元素のハロゲン化物の混合比によって適宜調整できる。
本発明のコルキライト型結晶は、単結晶または多結晶のいずれの形態でも用いることができるが、格子欠陥に起因する非輻射遷移や結晶粒界でのシンチレーション光の散逸などによるロスを生じることなく、発光量の高い中性子用シンチレーターとするため、単結晶であることが好ましい。
本発明のコルキライト型結晶は、無色ないしはわずかに着色した透明な結晶であり、シンチレーション光の透過性に優れる。また、良好な化学的安定性を有しており、通常の使用においては短期間での性能の劣化は認められない。更に、機械的強度及び加工性も良好であり、所望の形状に加工して用いることが容易である。
本発明のコルキライト型結晶の製造方法は特に限定されず、公知の結晶製造方法によって製造することができるが、チョクラルスキー法、またはマイクロ引き下げ法によって製造することが好ましい。チョクラルスキー法、またはマイクロ引き下げ法で製造することにより、透明性等の品質に優れたコルキライト型結晶を製造することができる。マイクロ引下げ法によれば、結晶を特定の形状にて直接製造することができ、しかも短時間で製造することができる。一方、チョクラルスキー法によれば、直径が数インチの大型結晶を安価に製造することが可能となる。
以下、チョクラルスキー法によってコルキライト型結晶を製造する際の、一般的な方法について説明する。
まず、所定量の原料を、坩堝1に充填する。原料の純度は特に限定されないが、99.99%以上とすることが好ましい。このような純度の高い原料を用いることにより、得られる結晶の純度を高めることができるため発光量等の特性が向上する。原料は、粉末状あるいは粒状の原料を用いても良く、あらかじめ焼結或いは溶融固化させてから用いてもよい。
原料としては、目的とするコルキライト型結晶に応じて、LiX、前記アルカリ土類金属のハロゲン化物(例えば、MgF、CaF、SrF及びBaF等)、前記金属元素のハロゲン化物(例えば、AlF、GaF及びScF等)ならびに前記アルカリ金属元素のハロゲン化物(例えば、NaF、KF、RbF及びCsF等)を適宜混合した混合原料が用いられる。
当該混合原料中のLiX、アルカリ土類金属のハロゲン化物及び金属元素のハロゲン化物の混合比は、1:1:1のモル比となるように調製する。ただし、前記チョクラルスキー法、またはマイクロ引き下げ法のような融液成長法によってコルキライト型結晶を製造する場合、LiX及び金属元素のハロゲン化物が揮発しやすいため、これらをそれぞれ1〜10%程度過剰にしてもよい。揮発量は、結晶の製造条件(温度・雰囲気・工程)によって全く異なるため、予めLiX及び金属元素のハロゲン化物の揮発量を調べて、原料の混合比を決めることが望ましい。
コルキライト型結晶に含有せしめるアルカリ金属元素の量は、前記混合原料に添加するアルカリ金属元素のハロゲン化物の混合比によって適宜調整できるが、コルキライト型結晶に対して、0.1〜5mol%とすることが好ましい。混合比を0.1mol%以上とすることによって、発光量や中性子線とγ線との弁別能等のシンチレーターとしての特性が良好なコルキライト型結晶を得ることができ、5mol%以下とすることによって、結晶の製造における結晶の白濁等の問題を回避することができる。
次いで、上記原料を充填した坩堝1、ヒーター2、断熱材3、及び可動ステージ4を図1に示すようにセットする。坩堝1の上に、底部に穴の開いた坩堝をもう一つ設置し、ヒーター2等に固定して吊るすことで、二重坩堝構造としてもよい。
また、種結晶5を自動直径制御装置6の先端に取り付ける。種結晶に替えて、高温下での耐蝕性に優れた白金などの金属を用いてもよいが、製造するコルキライト型結晶もしくはそれと近い結晶構造を持った単結晶を用いた方が、結晶の割れを回避することができ、好適である。
なお、前記自動直径制御装置は、結晶の重量を測定するロードセルと、測定された重量をヒーター出力にフィードバックする回路系で構成されており、当該自動直径制御装置を用いることによって、所期の直径の結晶を精度よく安定して製造することができる。
次に真空排気装置を用いて、チャンバー7の内部を1.0×10−3Pa以下まで真空排気した後、高純度アルゴン等の不活性ガスをチャンバー内に導入してガス置換を行う。ガス置換後のチャンバー内の圧力は特に限定されないが、大気圧が一般的である。このガス置換操作によって、原料或いはチャンバー内に付着した水分を除去することができ、かかる水分に由来する結晶の劣化を妨げることができる。
上記ガス置換操作によっても除去できない水分による悪影響を避けるため、水分との反応性が高いスカベンジャーを用いることが好ましい。当該スカベンジャーは、四フッ化メタン等が好適に使用でき、上記不活性ガスに混合してチャンバー内に導入される。
ガス置換操作を行った後、高周波コイル8、及びヒーター2によって原料を加熱して溶融させる。加熱方式は特に限定されず、例えば上記高周波コイルとヒーターを用いた誘導加熱方式に替えて、カーボンヒーター等を用いた抵抗加熱方式を適宜用いることができる。
次いで、溶融した原料融液を、種結晶と接触させる。種結晶と接触した部分が凝固する温度になるようヒーター出力を調整した後、自動直径制御装置6による制御の元、引き上げ速度を自動調整しながら結晶を引き上げる。なお、液面高さの調整のため可動ステージ4を上下方向に適宜動かしてもよい。高周波コイルの出力を適宜調整しながら連続的に引き上げ、所望の長さとなったところで液面から切り離し、結晶に割れが入らないように十分な時間をかけて冷却することで、コルキライト型結晶を得ることができる。
なお、フッ素原子の欠損あるいは熱歪に起因する結晶欠陥を除去する目的で、製造した結晶に対しアニール処理を行ってもよい。
得られたコルキライト型結晶は、良好な加工性を有しており、所望の形状に加工して中性子検出用シンチレーターとして用いることができる。加工に際しては、公知のブレードソー、ワイヤーソー等の切断機、研削機、或いは研磨盤を何ら制限無く用いる事ができる。
本発明の中性子検出用シンチレーターの形状は特に制限されないが、後述する光検出器に対向する光出射面を有し、当該光出射面は光学研磨が施されていることが好ましい。かかる光出射面を有することによって、シンチレーターで生じた光を効率よく光検出器に入射できる。
なお、前記光出射面の形状は限定されず、一辺の長さが数mm〜数百mm角の四角形、或いは直径が数mm〜数百mmの円など、用途に応じた形状を適宜選択して用いることができる。
また、シンチレーターの中性子線入射方向に対する厚さは、検出対象とする中性子線のエネルギーによって異なるが、一般に数百μm〜数百mmである。
また、光検出器に対向しない面に、アルミニウム或いはテフロン(登録商標)等からなる光反射膜を施すことにより、シンチレーターで生じた光の散逸を防止することができ、好ましい。
本発明の中性子検出用シンチレーターは、光検出器と組み合わせて中性子線検出器とすることができる。即ち、中性子線の照射により中性子検出用シンチレーターから発せられた光を、光検出器によって電気信号に変換することによって、中性子線の有無及び強度を電気信号として捉えることができる。本発明において、光検出器は特に限定されず、光電子増倍管、フォトダイオード等の従来公知の光検出器を何ら制限なく用いることができる。
本発明の中性子検出用シンチレーターと光検出器とを組み合わせて中性子線検出器を製作する方法は特に限定されず、例えば、光検出器の光検出面に中性子検出用シンチレーターの光出射面を光学グリース等で接着し、光検出器に電源および信号読出し回路を接続して中性子線検出器を製作することができる。なお、前記信号読出し回路は、一般に前置増幅器、整形増幅器、多重波高分析器およびオシロスコープなどで構成される。
また、前記光反射膜が施されたシンチレーターを多数配列し、光検出器として位置敏感型光検出器を用いることにより、中性子検出器に位置分解能を付与することができる。
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
(中性子検出用シンチレーターの製造)
化学式LiCaAlFで表わされ、アルカリ金属元素としてNaを含有するコルキライト型結晶を製造した。なお、Liの同位体比は95%とした。
図1に示すチョクラルスキー法による結晶製造装置を用いて、前記コルキライト型結晶を製造した。原料としては、純度が99.99%以上のLiF、CaF、AlFおよびNaFの高純度フッ化物粉末を用いた。また、LiFとしては、Liの同位体比が95%の市販品を用いた。坩堝1、ヒーター2、及び断熱材3は、高純度カーボン製のものを使用した。
まず、LiF、CaF、AlFおよびNaFの混合比(モル比)が、1.01:1:1.03:0.01となるようにそれぞれ秤量し、よく混合して混合原料を調製した。なお、混合原料の総重量は3kgとした。得られた混合原料を坩堝1に充填し、当該坩堝1を可動ステージ4上に設置し、その周囲にヒーター2、及び断熱材3を順次セットした。次に種結晶5として、LiCaAlF単結晶を6×6×30mmの直方体形状に加工したものを自動直径制御装置の先端に取り付けた。
油回転ポンプ及び油拡散ポンプからなる真空排気装置を用いて、チャンバー7内を5.0×10−4Paまで真空排気した後、四フッ化メタン−アルゴン混合ガスをチャンバー7内に大気圧まで導入し、ガス置換を行った。
高周波コイル8に高周波電流を印加し、誘導加熱によって原料を加熱して溶融させた。種結晶5を移動し、種結晶5の6×6mmの面を、溶融した原料の液面に接触させた。種結晶と接触した部分が凝固する温度となるようヒーター出力を調整した後、自動直径制御装置6による制御のもと、結晶の直径を55mmまで徐々に拡大し、その後直径を55mmの一定に保ちながら、結晶を引き上げた。
育成中、液面高さが一定となるよう調整するため可動ステージ4を適宜動かし、高周波コイルの出力を適宜調整しながら連続的に引き上げ、約80mmの長さとなったところで液面から切り離し、約48時間かけて冷却することで、直径55mm、長さ約80mmの単結晶を得た。
当該単結晶の一部を粉砕し、得られた粉末についてX線回折測定を行った結果、当該単結晶はコルキライト型結晶の一種であるLiCaAlF単結晶であることが分かった。
次いで、当該単結晶の一部を用いて、厚さが1mmで両面が光学研磨されたディスク状の試料を作製した。当該試料についてSEM−EDSによる測定を行った結果、Naが検出された。
これらより、本実施例で製造された単結晶は、化学式LiCaAlFで表わされ、アルカリ金属元素としてNaを含有し、且つLiの同位体比が95%のコルキライト型結晶である。
得られたコルキライト型結晶を、ダイヤモンドワイヤーを備えたワイヤーソーによって切断した。次いで、当該結晶の全面を研磨盤によって研削および光学研磨し、10×10×4mmの形状に加工して、本発明の中性子検出用シンチレーターを得た。
(中性子線検出器の製作)
まず、前記中性子検出用シンチレーターの10×10mmの面を光出射面とし、当該光出射面以外の面にテープ状のテフロン(登録商標)を巻いて光反射膜とした。次いで、光検出器として光電子増倍管(浜松ホトニクス社製 R7600U)を用意し、当該光電子増倍管の光検出面に、前記シンチレーターの光出射面を光学グリースで接着した。
前記光電子増倍管に電源および信号読出し回路を接続して中性子線検出器を製作した。なお、前記信号読出し回路として、光電子増倍管側から前置増幅器、整形増幅器及び多重波高分析器を接続した。
(中性子検出器の特性評価)
中性子線検出器を遮光用のブラックシートで覆った後に、約1MBqの放射能の252Cf密封線源からの中性子線を、40mmの厚みのポリエチレンブロックで減速して照射した。
光電子増倍管に接続された電源を用いて、700Vの高電圧を光電子増倍管に印加した。中性子の入射によって、シンチレーターで生じた発光パルスを光電子増倍管でパルス状の電気信号に変換し、当該電気信号を前置増幅器、整形増幅器を介して多重波高分析器に入力した。多重波高分析器に入力された電気信号を解析して波高分布スペクトルを作成した。
次に、252Cf密封線源を取り除き、中性子線を照射しない以外は、前記と同様にして波高分布スペクトルを作成した。
得られた波高分布スペクトルを図2に示す。図2の実線および点線は、それぞれ中性子線照射下および非照射下での波高分布スペクトルである。なお、当該波高分布スペクトルの横軸は、パルス状の電気信号の波高値すなわちシンチレーターの発光量を表しており、ここでは、多重波高分析器のチャンネルで示した。また、縦軸は各波高値を示した電気信号の頻度を表し、ここでは、電気信号が計測された頻度(counts)で示した。
図2より、中性子線非照射下(点線)に対して中性子線照射下(実線)では波高値の増大が確認でき、中性子線検出器として動作していることが分かる。

1 坩堝
2 ヒーター
3 断熱材
4 可動ステージ
5 種結晶
6 自動直径制御装置
7 チャンバー
8 高周波コイル

Claims (3)

  1. 化学式LiM(ただし、MはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素であり、MはAl、Ga及びScから選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、XはF、Cl、BrおよびIから選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素である)で表わされるコルキライト型結晶であって、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を含有し、且つLiの同位体比が20%以上であり、ランタノイド元素を含まないことを特徴とするコルキライト型結晶。
  2. 請求項1記載のコルキライト型結晶からなることを特徴とする中性子検出用シンチレーター。
  3. 請求項2記載の中性子検出用シンチレーターと光検出器を具備することを特徴とする中性子線検出器。
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