JPWO2012066828A1 - 燃焼性ガスの比重測定方法および比重測定装置並びにウォッベ指数測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、対象ガスとなる燃焼性ガスの熱量を比重の平方根で除した値であるウォッベ指数を求めるための方法としては、対象ガスの比重および熱量の値を適宜の機器を用いて個別に求め、得られた比重の値と熱量の値とからウォッベ指数の値を算出するという簡便な手法が用いられている。
このような手法においては、各機器を配設することが必要とされ、しかも比重の値を求めるための機器としてはバッチ式であって、測定に際してガスの圧力を大気状態まで減圧する必要のあるものが用いられていることから、測定システムの構築および操作が煩雑で相当の時間を要することとなり、また連続的に測定を行うことができない。また、ウォッベ指数の算出に供する比重および熱量の値が同時刻の測定値であることが重要であるにも拘わらず、比重の値と熱量の値との間にタイムラグが生じてしまうなどの問題がある。
このような構成の装置においては、測定システムの操作が簡便となって連続的な測定を行うことがき、更に1つの測定値、具体的には対象ガスの音速の値から、比重の値と熱量の値とが得られるため、ウォッベ指数の算出に供する比重の値と熱量の値との間にタイムラグが生じることを防止することができる。しかも、パラフィン系炭化水素ガスの比重が音速と相関関係を有するものであり、このパラフィン系炭化水素ガスの比重と音速とが相関を有する特性を利用して比重の値が求められることから、特に対象ガスが、例えばLNG(液化天然ガス)とLPG(液化石油ガス)との混合ガスよりなる都市ガスなどのパラフィン系炭化水素ガスのみよりなるものである場合には、得られるウォッベ指数の値に高い信頼性が得られる。
ガス田から産出されたばかりの天然ガス、あるいはコークス炉ガス、高炉ガス、転炉ガス、炭鉱ガスやバイオガスには、パラフィン系炭化水素ガスと共に、パラフィン系炭化水素ガス以外のガスも多く含有されており、このパラフィン系炭化水素ガス以外のガスには、例えば二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス、窒素ガスおよび酸素ガスなどのように、その比重と音速との間においてパラフィン系炭化水素ガスと同様の特性を有さないガスが含まれることから、このようなパラフィン系炭化水素ガスと同様の特性を有さないガスが含有されていることに起因して音速に基づいて求められる比重の値が当該対象ガスの比重の真値との間に大きな差を有するものとなるため、その比重の値から求められるウォッベ指数の値にも必然的に当該対象ガスのウォッベ指数の真値との間に大きな差が生じてしまう、という問題がある。
また、複数種類のガスが含有されなるものであるため、例えば環境条件などによってその混合割合などが変更された場合には、その変化に対応することができない、という問題もある。
また、本発明の他の目的は、炭化水素ガス、水素ガスおよび一酸化炭素ガスから選ばれる少なくとも一種のガスを含有する燃焼性ガスのウォッベ指数をその組成にかかわらずに高い信頼性で測定することができると共に、短時間のうちにウォッベ指数の値を得ることのできる燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置を提供することにある。
対象ガスの屈折率を測定し、その屈折率の値から求められる屈折率換算比重Dnと、当該対象ガスの音速を測定し、その音速の値から求められる音速換算比重Dsとに基づいて、下記の数式(1)により、補正因子xとして2.4〜9.3の範囲内において選択される値を用いて対象ガスの比重Daの値を算出することを特徴とする。
Da=Ds−〔(Ds−Dn)/(1−x)〕
対象ガスの屈折率の値から屈折率換算比重Dnを求める屈折率換算比重測定機構、当該対象ガスの音速の値から音速換算比重Dsを求める音速換算比重測定機構、および屈折率換算比重測定機構において得られる屈折率換算比重Dnと、音速換算比重測定機構において得られる音速換算比重Dsとに基づいて、下記の数式(1)により、補正因子xとして2.4〜9.3の範囲内において選択される値を用いて対象ガスの比重Daの値を算出する比重計算機構を有することを特徴とする。
共通のハウジング内に設置された、対象ガスの比重を測定するための比重測定機構、対象ガスの熱量を測定するための熱量測定機構、および当該比重測定機構によって測定される比重の値と、当該熱量測定機構によって測定される熱量の値とに基づいてウォッベ指数の値を算出するウォッベ指数計算機構を備えており、
前記比重測定機構が、対象ガスの屈折率の値から求められる屈折率換算比重Dnと、当該対象ガスの音速の値から求められる音速換算比重Dsとに基づいて、下記の数式(1)により、補正因子xとして2.4〜9.3の範囲内において選択される値を用いて対象ガスの比重Daの値を算出することを特徴とする。
当該屈折率測定手段および当該音速測定手段に対して前記ハウジングに設けられた共通のガス導入口から導入された対象ガスが供給されることが好ましい。
従って、本発明の燃焼性ガスの比重測定方法によれば、炭化水素ガス、水素ガスおよび一酸化炭素ガスから選ばれる少なくとも一種のガスを含有する燃焼性ガスの比重をその組成にかかわらずに高い信頼性で測定することができる。
従って、本発明の燃焼性ガスの比重測定装置によれば、炭化水素ガス、水素ガスおよび一酸化炭素ガスから選ばれる少なくとも一種のガスを含有する燃焼性ガスの比重をその組成にかかわらずに高い信頼性で連続的に測定することができる。
しかも、比重測定機構が、屈折率換算比重Dnと、音速換算比重Dsとに基づいて、特定の計算式により、補正因子xとして特定の範囲内の値を用いて対象ガスの比重Daの値を算出する構成のものであるため、対象ガスに、その比重と、屈折率および音速とが特定の対応関係にある特定のガスと共に、比重と音速との間および比重と屈折率との間において当該特定のガスと同様の特性を有さない混入ガスが含有されている場合であっても、あるいは混入ガスのみが含有されている場合であっても、混入ガスが含有されていることに起因して、屈折率換算比重Dnに生じる当該対象ガスの比重の真値との差と、音速換算比重Dsに生じる当該対象ガスの比重の真値との差とが、これらの2つの値の真値との差の関係に基づいて適切に補正される。その結果、ウォッベ指数計算機構においてウォッベ指数を求めるために用いられる対象ガスの比重Daの値が、対象ガスの組成によらず当該対象ガスの比重の真値との差が小さいものとなる。
従って、本発明の燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置によれば、炭化水素ガス、水素ガスおよび一酸化炭素ガスから選ばれる少なくとも一種のガスを含有する燃焼性ガスのウォッベ指数をその組成にかかわらずに高い信頼性で連続的に測定することができると共に、短時間のうちにウォッベ指数の値を得ることができる。
図1は、本発明の燃焼性ガスの比重測定装置の構成の一例を示す説明図である。
この比重測定装置10は、炭化水素ガス、水素ガスおよび一酸化炭素ガスから選ばれる少なくとも一種の可燃性ガスを含有する燃焼性ガスを対象ガスとするものであり、例えばガスパイプライン12内を図1の矢印方向に流通するガスの比重を測定するために用いられる。
ここに、本発明の燃焼性ガスの比重測定装置および比重測定方法において、対象ガスを構成する燃焼性ガスは、例えば炭化水素ガスの一種であるパラフィン系炭化水素ガスのように、比重と、屈折率および音速とが特定の対応関係にあるガス(以下、「特定ガス」ともいう。)よりなるものであってもよく、特定ガスに、比重と音速との間および比重と屈折率との間において特定ガスと同様の特性を有さない混入ガスが混入されてなる混合ガスよりなるものであってもよく、また混入ガスよりなるものであってもよい。
この比重計算機構37において算出された対象ガスの比重Daの値は、その比重Daの値のデータがデータ送信路19を介して表示部(以下、「比重表示部」ともいう。)18に送信され、この比重表示部18において対象ガスの比重Daの値が表示されることとなる。
図1において、16は、ガスパイプライン12内を流通するガスを、対象ガスとして、屈折率換算比重測定機構31および音速換算比重測定機構34の各々に供給するための分岐構造を有するガス流路である。また、33aは、屈折率換算比重測定機構31において得られた屈折率換算比重Dnのデータを比重計算機構37に送信するためのデータ送信路であり、36aは、音速換算比重測定機構34において得られた音速換算比重Dsのデータを比重計算機構37に送信するためのデータ送信路である。
具体的には、特定の比重測定方法によれば、対象ガスの比重Daの値は、屈折率換算比重Dnと、音速換算比重Dsとに基づき、上記の数式(1)により、補正因子xとして2.4〜9.3の範囲内において選択される値を用いる条件で算出される。
ここに、算出される対象ガスの比重Daの値と、当該比重Daの値を算出するために計算に供される屈折率換算比重Dnおよび音速換算比重Dsとは、空気を1としたときの値である。
補正因子xとして上記の範囲内の値を用いることにより、対象ガスに混入ガスが含有されている場合であっても、その混入ガスの組成および対象ガスの組成にかかわらず、得られる対象ガスの比重Daの値が、当該対象ガスの比重の真値との差が小さいもの、すなわち当該対象ガスの比重の真値に近似するものとなる。
その理由は、補正因子xの値が、後述の実験例1から明らかなように、対象ガスが混入ガスを含有することに起因して屈折率換算比重Dnおよび音速換算比重Dsに生じる対象ガスの比重の真値との差に基づいて定められており、これらの屈折率換算比重Dnおよび音速換算比重Dsに係る対象ガスの比重の真値との差の比が、混入ガスの組成によらずに特定の関係を有することから、この関係に基いて、混入ガスがいかなる組成を有するものであっても、屈折率換算比重Dnおよび音速換算比重Dsに生じた対象ガスの比重の真値との差を適切に補正することができるためである。
ここに、超音波式ガス比重計としては、例えば図2に示すような一対の超音波発信用素子62Aおよび超音波受信用素子62Bを備え、この一対の素子間における超音波の伝播時間を利用して比重の値を求める構成のもの、図3に示すような圧電素子66を備え、超音波の共鳴周波数を利用して比重の値を求める構成のものが挙げられる。
図2の超音波式ガス比重計は、音速測定手段として、一端側にガス導入口61A、他端側にガス排出口61Bを有する、対象ガスを流通させるための測定管61と、当該測定管61の一端に設けられた超音波発信用素子62Aと、当該測定管61の他端に設けられた超音波受信用素子62Bとを備えており、測定管61内に対象ガスが流通された状態において、超音波発信用素子62Aから発信された超音波が超音波受信用素子62Bに伝播するまでに要する時間(伝播時間)を測定し、その伝播時間の値から求められる音速の値に基づいて対象ガスの音速換算比重Dsを得る構成のものである。図2において、矢印は対象ガスの流動方向を示す。
また、図3の超音波式ガス比重計は、音速測定手段として、一端が開口しており、その開口によってガス排出口65Bが形成されていると共に、他端側にガス導入口65Aを有する、対象ガスを流通させるための測定管65と、当該測定管65の他端に設けられた圧電素子66とを備えており、測定管65内に対象ガスが流通された状態において、圧電素子66から超音波を発信して当該測定管65内に超音波を伝播させることによって超音波の共鳴周波数を測定し、その共鳴周波数の値から求められる音速の値に基づいて対象ガスの音速換算比重Dsを得る構成のものである。図3において、矢印は対象ガスの流動方向を示す。
図4の屈折率式比重計は、屈折率測定手段として、対象ガスを導入するための対象ガス用セル部72および例えば空気などの標準ガスを導入するための標準ガス用セル部73A、73Bが区画されてなるチャンバ71と、光源74からの光を分割する平行平面鏡75と、当該平行平面鏡75によって分割され、チャンバ71を通過した光を、反射することによってその進行方向を変更し、再度チャンバ71を通過させた後に平行平面鏡75上において重ね合わせて干渉縞を生じさせることのできるよう、調整されて配置されたプリズム78と、平行平面鏡75上で重ね合わせられた合成光(干渉光)を受光する干渉縞検出手段76とを備えてなる構成のものである。
図4において、77は合成光を反射する平面鏡、79は合成光を集光するための集光レンズであり、この集光レンズ79の焦点位置に干渉縞検出手段76が配置されている。また、一点鎖線矢印は、光源74からの光が干渉縞検出手段76に受光されるまでの経路を示す。
また、比重測定装置10は、対象ガスが、例えばLNGとLPGとの混合ガスよりなる都市ガスなどの特定ガス(具体的には、パラフィン系炭化水素ガス)のみよりなるものである場合であっても、あるいは混入ガスのみよりなるものである場合(例えば、一酸化炭素ガスと、その他の混入ガスとの混合ガスよりなる場合)であっても、高い信頼性で比重の測定を行うことができる。
図5は、本発明の燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置の構成の一例を示す説明図である。
このウォッベ指数測定装置20は、炭酸水素ガス、水素ガスおよび一酸化炭素ガスから選ばれる少なくとも一種の可燃性ガスを含有する燃焼性ガスを対象ガスとするものである。
ここに、本発明の燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置において、対象ガスを構成する燃焼性ガスは、例えば炭化水素ガスの一種であるパラフィン系炭化水素ガスのように、比重と、屈折率および音速とが特定の対応関係にある特定ガスよりなるものであってもよく、特定ガスに、比重と音速との間および比重と屈折率との間において特定ガスと同様の特性を有さない混入ガスが混入されてなる混合ガスよりなるものであってもよく、また混入ガスよりなるものであってもよい。
ウォッベ指数測定装置20は、対象ガスの比重を測定するための比重測定機構30と、対象ガスの熱量を測定するための熱量測定機構40と共に、比重測定機構30によって測定される比重の値と、熱量測定機構40によって測定される熱量の値とに基づいてウォッベ指数の値を算出するウォッベ指数計算機構50とを備えており、これらの比重測定機構30、熱量測定機構40およびウォッベ指数計算機構50とが共通のハウジング21内に配設されてなる構成のものである。
このウォッベ指数計算機構50において算出された対象ガスのウォッベ指数の値は、そのウォッベ指数の値のデータがデータ送信路52を介して表示部55に送信され、この表示部55において表示されることとなる。また表示部55においては、対象ガスのウォッベ指数の値と共に、比重測定機構30において得られた対象ガスの比重の値および熱量測定機構40において得られた対象ガスの熱量の値が表示される。
図5において、38は、比重測定機構30において得られた比重の値のデータをウォッベ指数計算機構50に送信するためのデータ送信路であり、39は、比重測定機構30において得られた比重の値のデータを表示部55に送信するためのデータ送信路であり、48は、熱量測定機構40において得られた熱量の値のデータをウォッベ指数計算機構50に送信するためのデータ送信路であり、49は、熱量測定機構40において得られた熱量の値のデータを表示部55に送信するためのデータ送信路である。
比重測定機構30としては、特定の比重測定方法によって対象ガスの比重を測定することのできる構成を有するものが用いられる。
比重測定機構30の具体例としては、図6に示すように、対象ガスの屈折率の値から求められる屈折率換算比重Dnを得るための屈折率換算比重測定機構31と、当該対象ガスの音速の値から求められる音速換算比重Dsを得るための音速換算比重測定機構34と共に、特定の比重測定方法により、屈折率換算比重Dnと音速換算比重Dsとに基づいて対象ガスの比重Daの値を算出するための比重計算機構37とを備えてなる装置、すなわち本発明の燃焼性ガスの比重測定装置(以下、「特定の比重測定装置」ともいう。)が挙げられる。
図6において、26は、ハウジング21に形成されたガス導入口を介して、当該ハウジング21内に導入された対象ガスを、屈折率換算比重測定機構31および音速換算比重測定機構34の各々に供給するための分岐構造を有するガス流路である。また、33aは、屈折率換算比重測定機構31において得られた屈折率換算比重Dnのデータを比重計算機構37に送信するためのデータ送信路であり、36aは、音速換算比重測定機構34において得られた音速換算比重Dsのデータを比重計算機構37に送信するためのデータ送信路である。
また、屈折率換算比重測定機構31としては、例えば図4に示されるような屈折率式比重計であって、屈折率測定手段32によって対象ガスの屈折率を測定し、その屈折率の値に基づいて、屈折率−比重換算処理手段33により、例えばグラフ化することなどによって予め取得された特定ガス(具体的には、例えばパラフィン系炭化水素ガス)における屈折率と比重との相関関係を利用し、当該相関関係に対して、得られた屈折率の値が特定ガスの屈折率である仮定して対照することにより比重の値(屈折率換算比重Dn)を求める構成を有するものが用いられている。図6において、32aは、屈折率測定手段32において得られた屈折率の値のデータを屈折率−比重換算処理手段33に送信するためのデータ送信路である。
また、比重計算機構27としては、例えばパーソナルコンピュータ、演算機能付レコーダなどを用いることができる。
熱量測定機構40としては、対象ガスの熱量を測定することのできるものであれば、種々の構成を有するものを用いることができる。
熱量測定機構40の具体例としては、熱量と特定の対応関係を有する物性値の1つを測定し、その測定値に基づいて熱量の値(換算熱量)を求める構成の装置、例えば特開2009−42216号公報および特開2010−175261号公報に開示されているような、2つの換算熱量に基づいて演算によって熱量の値(演算熱量)を求める構成の装置などが挙げられる。これらのうちでは、熱量の値として、対象ガスの組成によらずに対象ガスの熱量の真値との差の小さい値を得ることができることから、2つの換算熱量に基づいて演算熱量を求める構成の装置が好ましい。
具体的には、例えば屈折率測定手段によって対象ガスの屈折率を測定し、その屈折率の値に基づいて、屈折率−熱量換算処理手段により、例えばグラフ化することなどによって予め取得された、屈折率と熱量との対応関係(例えば、パラフィン系炭化水素ガスにおける屈折率と熱量との相関関係)を利用することによって屈折率換算熱量Qnを求める構成を有する装置などが挙げられる。
具体的には、例えば熱伝導率測定手段によって対象ガスの熱伝導率を測定し、その熱伝導率の値に基づいて、熱伝導率−熱量換算処理手段により、例えばグラフ化することなどによって予め取得された、熱伝導率と熱量との対応関係(例えば、パラフィン系炭化水素ガスにおける熱伝導率と熱量との相関関係)を利用することによって熱伝導率換算熱量Qtを求める構成を有する装置などが挙げられる。
具体的には、例えば音速測定手段によって対象ガスの音速を測定し、その音速の値に基づいて、音速−熱量換算処理手段により、例えばグラフ化することなどによって予め取得された、音速と熱量との対応関係(例えば、パラフィン系炭化水素ガスにおける音速と熱量との相関関係)を利用することによって音速換算熱量Qsを求める構成を有する装置、また、音速測定手段によって対象ガスの音速を測定し、その音速の値に基づいて、密度算出処理手段によって下記の数式(2)にて当該対象ガスの密度の値を算出し、更に得られた密度の値に基づいて、密度−熱量換算処理手段により、例えばグラフ化することなどによって予め取得された、密度と熱量との対応関係(例えば、パラフィン系炭化水素ガスにおける密度と熱量との相関関係)を利用することによって音速換算熱量Qsを求める構成を有する装置などが挙げられる。
ここに、下記の数式(2)において、γは比熱比、Rは気体定数、Tは対象ガスの温度、cは対象ガスの音速を示す。
密度=γRT/c2
このように、熱量測定機構40を構成する測定手段と比重測定機構30を構成する測定手段とに共通のガス導入口およびガス流路を設けることにより、ウォッベ指数測定装置20自体の設計の自由度が大きくなると共に、ウォッベ指数測定装置20を構成する複数の測定手段に対して対象ガスを同時に供給することができる。
熱量測定機構40として屈折率換算熱量Qnを求める構成の装置を用いる場合には、図7に示すように、比重測定機構30を構成する屈折率測定手段32において測定される屈折率の値のデータを利用することによって屈折率換算熱量Qnを得ることができるため、ウォッベ指数測定装置20の構成部材数を低減することができることから装置の小型化を図ることができる。
図7において、41は、比重測定機構30における屈折率測定手段32からデータ送信路32bを介して送信される対象ガスの屈折率の値のデータに基づいて熱量の値を求めるための屈折率−熱量換算処理手段である。
また、熱量測定機構40として音速換算熱量Qsを求める構成のものを用いる場合には、比重測定機構30を構成する音速測定手段35において測定される音速の値のデータを利用することによって音速換算熱量Qsを得ることができるため、ウォッベ指数測定装置20の構成部材数を低減することができることから装置の小型化を図ることができる。
具体的には、例えば音速測定手段によって測定された対象ガスの音速の値に基づいて音速−熱量換算処理手段によって得られた音速換算熱量Qsと、屈折率測定手段によって測定された対象ガスの屈折率の値に基づいて屈折率−熱量換算処理手段によって得られた屈折率換算熱量Qnとに基づいて、熱量計算機構により、下記の数式(3)により、補正因子α1として1.1〜4.2の範囲内、好ましくは2.40〜2.60の範囲内において選択される値を用いる条件にて対象ガスの演算熱量Qnsを算出する構成を有する装置などが挙げられる。
Qns=Qn−〔(Qn−Qs)/(1−α1)〕
具体的には、例えば熱伝導率測定手段によって測定された対象ガスの熱伝導率の値に基づいて熱伝導率−熱量換算処理手段によって得られた熱伝導率換算熱量Qtと、屈折率測定手段によって測定された対象ガスの屈折率の値に基づいて屈折率−熱量換算処理手段によって得られた屈折率換算熱量Qnとに基づいて、熱量計算機構により、下記の数式(4)により、補正因子α2として、1.5〜4.8の範囲内、好ましくは2.21〜2.75の範囲内において選択される値を用いる条件にて対象ガスの演算熱量Qntを算出する構成を有する装置などが挙げられる。
Qnt=Qn−〔(Qn−Qt)/(1−α2)〕
熱量測定機構30として演算熱量Qnsを求める構成の装置を用いる場合には、図8に示すように、比重測定機構30を構成する屈折率測定手段32および音速測定手段35において測定される屈折率の値のデータおよび比重の値のデータを利用することによって屈折率換算熱量Qnおよび音速換算熱量Qsを得ることができるため、ウォッベ指数測定装置20の構成部材数を低減することができることから装置の小型化を図ることができる。
図8において、41は、比重測定機構30における屈折率測定手段32からデータ送信路32bを介して送信される対象ガスの屈折率の値のデータに基づいて熱量の値を求めるための屈折率−熱量換算処理手段であり、42は、比重測定機構30における音速測定手段35からデータ送信路35bを介して送信される対象ガスの音速の値のデータに基づいて熱量の値を求めるための音速−熱量換算処理手段であり、45は、音速−熱量換算処理手段42からデータ送信路42aを介して送信される音速換算熱量Qsのデータと、屈折率−熱量換算処理手段41からデータ送信路41aを介して送信される屈折率換算熱量Qnのデータとに基づいて対象ガスの演算熱量Qnsを算出するための熱量計算機構である。
ウォッベ指数計算機構50としては、比重測定機構30において得られる比重Daの値と、熱量測定機構40において得られる熱量Qの値とに基づいてウォッベ指数の値を算出することのできる構成のものが用いられる。
ここに、ウォッベ指数とは、下記の数式(5)により算出される値である。
ウォッベ指数(WI)=Q/Da1/2
しかも、比重測定機構30が、屈折率換算比重測定機構31において得られる屈折率換算比重Dnと、音速換算比重測定機構34において得られる音速換算比重Dsとに基づいて、特定の計算式により、補正因子xとして特定の範囲内の値を用いて対象ガスの比重Daの値を算出する構成のものであるため、対象ガスに、特定ガスと共に、当該特定ガスと同様の特性を有さない混入ガスが含有されている場合であっても、あるいは混入ガスのみが含有されている場合であっても、混入ガスが含有されていることに起因して、屈折率換算比重Dnに生じる当該対象ガスの比重の真値との差と、音速換算比重Dsに生じる当該対象ガスの比重の真値との差とが、これらの2つの値の真値との差の関係に基づいて適切に補正される。その結果、ウォッベ指数計算機構50においてウォッベ指数を求めるために用いられる対象ガスの比重Daの値が、対象ガスの組成によらず当該対象ガスの比重の真値との差が小さい値、すなわち当該対象ガスの比重の真値に近似するものとなる。
従って、ウォッベ指数測定装置20によれば、対象ガスの組成にかかわらずに高い信頼性で連続的に測定を行うことができると共に、短時間のうちにウォッベ指数の値を得ることができる。
また、ウォッベ指数測定装置20は、対象ガスが、例えばLNGとLPGとの混合ガスよりなる都市ガスなどの特定ガス(具体的には、パラフィン系炭化水素ガス)のみよりなるものである場合であっても、あるいは混入ガスのみよりなるものである場合(例えば、一酸化炭素ガスと、その他の混入ガスとの混合ガスよりなる場合)であっても、高い信頼性で比重の測定を行うことができる。
更に、ウォッベ指数測定装置20によれば、対象ガスの組成によらずに得られるウォッベ指数の値が当該対象ガスのウォッベ指数の真値との差が小さいものとなることから、例えば環境条件、ガスパイプライン12における流通ガスの供給切替などの諸事情によって対象ガス中における混入ガスの種類および濃度などが大きく変化した場合であってもその変化に対応することができる。
例えば燃焼性ガスの比重測定方法は、屈折率換算比重測定機構と音速換算比重測定機構と比重計算機構とを合わせて備えてなる装置によって実施されることに限定されず、屈折率換算比重Dnと音速換算比重Dsとに基づいて、上記の数式(1)により、補正因子xとして2.4〜9.3の範囲内において選択される値を用いる条件にて対象ガスの比重Daの値を算出するのであれば、屈折率換算比重Dnおよび音速換算比重Dsを得るための装置が一体化されておらずに個別であってもよく、更に対象ガスの比重Daの値を算出する手法が演算機などによる自動計算であっても、あるいは手動による計算であってもよい。
また、燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置は、ハウジングに複数のガス導入口が設けられており、比重測定機構および熱量測定機構を構成する対象ガスの物性値を測定する測定手段の各々に対して個別に対象ガスが供給される構成のものであってもよい。
窒素ガス、酸素ガス、二酸化炭素ガスおよび一酸化炭素ガスを試料ガスとし、この試料ガスの各々を、屈折率式比重計および音速式比重計によって測定し、屈折率式比重計の測定値と試料ガスの比重の真値との差(以下、「屈折率計誤差値」ともいう。)と、音速式比重計の測定値と試料ガスの比重の真値との差(以下、「音速計誤差値」ともいう。)との比(屈折率計誤差値/音速計誤差値)(以下、「誤差比」ともいう。)を算出した。結果を下記表1に示す。
ここに、「屈折率計誤差値」および「音速誤差値」とは、各々、試料ガスがパラフィン系炭化水素ガスに含有されている場合において、試料ガスとパラフィン系炭化水素ガスとの混合ガスの比重を屈折率式比重計および音速式比重計の各々を用いて測定した際にその測定値に生じうる、試料ガス1体積%当たりの混合ガスの比重の真値との差を示す値である。
図9に示すような、屈折率式比重計81と音速式比重計82とが試料ガス供給路88によって直列に接続されており、この屈折率式比重計81および音速式比重計82の各々に対して試料ガスを供給して比重を測定するための比重測定用システムを用意した。この比重測定用システムを用い、ボンベ85から供給される比重0.635の天然ガスに、容積2Lのバッファタンク86を介して、メタンガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガスおよびメタンガスとエタンガスの混合ガスのいずれか1種が混入された5種類のガスを試料ガスとし、それらの各試料ガスについて、屈折率式比重計81および音速式比重計82によって、屈折率換算比重Dnおよび音速換算比重Dsを測定した。そして、屈折率式比重計81において測定された屈折率換算比重Dnから各試料ガスの比重の真値を算出し、その比重の真値と、屈折率換算比重Dnおよび音速換算比重Dsとの差を確認した。結果を図10に示す。
ここに、屈折率式比重計81および音速式比重計82による試料ガスの測定は、メタンガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガスおよびメタンガスとエタンガスの混合ガスをこの順に混入することによって行った。また、各試料ガスの測定は、バッファタンク86内に、メタンガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガスおよびメタンガスとエタンガスの混合ガスが、それぞれガス缶89によって注入されてから当該バッファタンク86内が再び天然ガスに置換されるまでの間にわたって行った。
図10においては、屈折率式比重計81において得られた屈折率換算比重Dnと試料ガスの比重の真値との差の値を三角プロット(▲)で示し、音速式比重計82において得られた音速換算比重Dsと試料ガスの比重の真値との差の値を四角プロット(■)で示した。なお、図10においては、屈折率換算比重Dnと試料ガスの比重の真値との差の値を示す曲線状の三角プロット群に「Dn」、音速換算比重Dsと試料ガスの比重の真値との差の値を示す曲線状の四角プロット群に「Ds」の符号を付した。
図10において、比重Daの値と試料ガスの比重の真値との差の値を丸プロット(●)で示した。なお、図10においては、比重Daの値と試料ガスの比重の真値との差の値を示す曲線状の丸プロット群に「Da」の符号を付した。
12 ガスパイプライン
16 ガス流路
18 表示部
19 データ送信路
20 ウォッベ指数測定装置
21 ハウジング
26 ガス流路
30 比重測定機構
31 屈折率換算比重測定機構
32 屈折率測定手段
32a,32b データ送信路
33 屈折率−比重換算処理手段
33a データ送信路
34 音速換算比重測定機構
35 音速測定手段
35a,35b データ送信路
36 音速−比重換算処理手段
36a データ送信路
37 比重計算機構
38,39 データ送信路
40 熱量測定機構
41 屈折率−熱量換算処理手段
41a データ送信路
42 音速−熱量換算処理手段
42a データ送信路
45 熱量計算機構
48,49 データ送信路
50 ウォッベ指数計算機構
52 データ送信路
55 表示部
61 測定管
61A ガス導入口
61B ガス排出口
62A 超音波発信用素子
62B 超音波受信用素子
65 測定管
65A ガス導入口
65B ガス排出口
66 圧電素子
71 チャンバ
72 対象ガス用セル部
73A,73B 標準ガス用セル部
74 光源
75 平行平面鏡
76 干渉縞検出手段
77 平面鏡
78 プリズム
79 集光レンズ
81 屈折率式比重計
82 音速式比重計
85 ボンベ
86 バッファタンク
88 試料ガス供給路
89 ガス缶
Claims (10)
- 炭化水素ガス、水素ガスおよび一酸化炭素ガスから選ばれる少なくとも一種のガスを含有する燃焼性ガスの比重測定方法であって、
対象ガスの屈折率を測定し、その屈折率の値から求められる屈折率換算比重Dnと、当該対象ガスの音速を測定し、その音速の値から求められる音速換算比重Dsとに基づいて、下記の数式(1)により、補正因子xとして2.4〜9.3の範囲内において選択される値を用いて対象ガスの比重Daの値を算出することを特徴とする燃焼性ガスの比重測定方法。
数式(1):
Da=Ds−〔(Ds−Dn)/(1−x)〕 - 前記数式(1)において、補正因子xの値が4.9〜6.2であることを特徴とする請求項1に記載の燃焼性ガスの比重測定方法。
- 対象ガスが、二酸化炭素ガス、窒素ガスおよび酸素ガスのうちの少なくとも一種を含有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃焼性ガスの比重測定方法。
- 対象ガスが、天然ガス、コークス炉ガス、高炉ガス、転炉ガス、炭鉱ガスおよびバイオガスのいずれかであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の燃焼性ガスの比重測定方法。
- 炭化水素ガス、水素ガスおよび一酸化炭素ガスから選ばれる少なくとも一種のガスを含有する燃焼性ガスの比重を測定するための燃焼性ガスの比重測定装置であって、
対象ガスの屈折率の値から屈折率換算比重Dnを求める屈折率換算比重測定機構、当該対象ガスの音速の値から音速換算比重Dsを求める音速換算比重測定機構、および屈折率換算比重測定機構において得られる屈折率換算比重Dnと、音速換算比重測定機構において得られる音速換算比重Dsとに基づいて、下記の数式(1)により、補正因子xとして2.4〜9.3の範囲内において選択される値を用いて対象ガスの比重Daの値を算出する比重計算機構を有することを特徴とする燃焼性ガスの比重測定装置。
数式(1):
Da=Ds−〔(Ds−Dn)/(1−x)〕 - 炭化水素ガス、水素ガスおよび一酸化炭素ガスから選ばれる少なくとも一種のガスを含有する燃焼性ガスのウォッベ指数を測定するための燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置であって、
共通のハウジング内に設置された、対象ガスの比重を測定するための比重測定機構、対象ガスの熱量を測定するための熱量測定機構、および当該比重測定機構によって測定される比重の値と、当該熱量測定機構によって測定される熱量の値とに基づいてウォッベ指数の値を算出するウォッベ指数計算機構を備えており、
前記比重測定機構が、対象ガスの屈折率の値から求められる屈折率換算比重Dnと、当該対象ガスの音速の値から求められる音速換算比重Dsとに基づいて、下記の数式(1)により、補正因子xとして2.4〜9.3の範囲内において選択される値を用いて対象ガスの比重Daの値を算出することを特徴とする燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置。
数式(1):
Da=Ds−〔(Ds−Dn)/(1−x)〕 - 前記数式(1)において、補正因子xの値が4.9〜6.2であることを特徴とする請求項6に記載の燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置。
- 前記比重測定機構は、対象ガスの屈折率を測定する屈折率測定手段と、当該対象ガスの音速を測定する音速測定手段とを有しており、
当該屈折率測定手段および当該音速測定手段に対して前記ハウジングに設けられた共通のガス導入口から導入された対象ガスが供給されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置。 - 対象ガスが、二酸化炭素ガス、窒素ガスおよび酸素ガスのうちの少なくとも一種を含有するものであることを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれかに記載の燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置。
- 対象ガスが、天然ガス、コークス炉ガス、高炉ガス、転炉ガス、炭鉱ガスおよびバイオガスのいずれかであることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載の燃焼性ガスのウォッベ指数測定装置。
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