JPWO2012063862A6 - コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるフェノールの製造方法 - Google Patents

コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるフェノールの製造方法 Download PDF

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コリスメート-ピルベート リアーゼ(Chorismate-pyruvate lyase)活性を有する酵素をコードする遺伝子、および4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ(4-hydroxybenzoate decarboxylase)活性を有する酵素をコードする遺伝子が、宿主のコリネ型細菌に導入された、フェノール生産能を有する形質転換体。この形質転換体を、還元条件下、糖類を含有する反応液中で反応させる工程と、反応液中のフェノールを回収する工程とを含むフェノールの製造方法。

Description

本発明は、フェノール生産技術に関する。さらに詳しくは、フェノール生産機能を付与するために特定の遺伝子操作が施されたコリネ型細菌の形質転換体、及びこの形質転換体を用いた効率的なフェノールの製造技術に関する。
地球温暖化、及び化石資源枯渇問題を背景に、再生可能資源を原料とした化学品の製造は、バイオ燃料製造と並び、新産業バイオリファイナリーとして低炭素社会実現の重要な方策であることが認識され、大きな注目が集まっている。
しかし、再生可能資源を原料としたバイオフェノール生産は、乳酸やエタノールの生産と比較して、原料となる糖類から代謝反応段数が大変多いために生産性が低く、また生産物であるフェノールにより菌の増殖が阻害されたり、フェノールによる細胞毒性がある等の理由により、これまで工業的生産が不可能とされていた。
フェノールの重要な用途として、フェノール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂は、フェノールとアルデヒド類との付加縮合反応により生成し、プラスチックの中でも最も古い歴史のある樹脂であり、その優れた耐熱性、耐久性等の特長から、現在でも自動車用金属代替材料、半導体封止材料、回路基板など様々な用途に用いられている。また、これまでフェノール樹脂は、原料のフェノールとアルデヒド類の反応性が極めて高く、得られる高分子が複雑な三次元網目構造になるため、ポリマーの精密構造設計やナノマテリアルへの展開が困難であり、高付加価値の用途への利用が難しいとされてきた。しかしながら、近年、高分子の物性理論やシミュレーションの急速な発展により、ネットワーク構造を精密化すればフェノール樹脂から高機能性材料の創製が可能となってきた。このような背景から日本におけるフェノール樹脂生産量も年々増加している。
フェノールの現在の工業的生産法(クメン法)は、石油由来のベンゼンとプロピレンを原料とし、多量の溶剤類及び多量の熱エネルギーを必要とする、典型的な化学工業の高エネルギー消費型プロセスである。従って、地球環境保全や温室効果ガス削減の観点から、二酸化炭素排出が少ない省エネルギー型で、再生可能資源から製造でき、低廃棄物排出の環境調和型プロセスの開発、即ちバイオフェノール製造技術確立が急務となっている。
これまで自然界においてフェノール生産菌は報告されていない。
また、遺伝子組換え菌によるフェノール生産技術であって、実用上十分なフェノール生産性が得られる技術も知られていない。
本発明は、糖類を原料として効率よくフェノールを製造できる微生物、及び糖類を原料として効率よくフェノールを製造できる方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) コリネ型細菌にコリスメート−ピルベート リアーゼ遺伝子、及び4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ遺伝子を導入した形質転換体は、効率よくフェノールを生産できる。
(ii) この形質転換体において、宿主のコリネ型細菌の染色体上に存在する4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ遺伝子が破壊又は欠損しているときは、一層効率よくフェノールを生産できる。
(iii) この形質転換体において、3-デオキシ-D-アラビノ−ヘプツロソネート7-ホスフェート(DAHP)シンテターゼ遺伝子が、形質転換前の宿主の遺伝子発現レベルに比べて高発現しているときは、一層効率よくフェノールを生産できる。
(iv) この形質転換体は、還元条件下の反応液中で実質的に増殖しない状態で反応させる場合、特に、フェノール生産効率が高い。
本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下の形質転換体及びフェノールの製造方法を提供する。
項1.
コリスメート-ピルベート リアーゼ(Chorismate-pyruvate lyase)活性を有する酵素をコードする遺伝子、及び4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ(4-hydroxybenzoate decarboxylase)活性を有する酵素をコードする遺伝子が、宿主のコリネ型細菌に導入された、フェノール生産能を有する形質転換体。
項2.
コリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、エシェリキア コリ(Escherichia coli)由来の遺伝子、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)由来の遺伝子、アシネトバクター バウマンニ(Acinetobacter baumannii)由来の遺伝子、アゾトバクター ビネランジー(Azotobacter vinelandii)由来の遺伝子、クロモハロバクター サレキシゲンス(Chromohalobacter salexigens)由来の遺伝子、シトロバクター コセリ(Citrobacter koseri)、シトロバクター ヤンガエ(Citrobacter youngae)のようなシトロバクター属細菌由来の遺伝子、エンテロバクター クロアカエ(Enterobacter cloacae)由来の遺伝子、マリノバクター アクアエオレイ(Marinobacter aquaeolei)由来の遺伝子、マリノモナス メディテラネア(Marinomonas mediterranea)由来の遺伝子、パントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来の遺伝子、シュードアルテロモナス ハロプランクティス(Pseudoalteromonas haloplanktis)由来の遺伝子、ラルストニア ユートロファ(Ralstonia eutropha)由来の遺伝子、シューワネラ プトレファシェンス(Shewanella putrefaciens)由来の遺伝子、又はチオバチルス デニトリフィカンス(Thiobacillus denitrificans)である項1に記載の形質転換体。
項3.
4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、バチラス サブチリス(Bacillus subtilis)由来の遺伝子、バチラス アトロファエウス由来の遺伝子、バチラス サブチリス亜種スピジゼニイ由来の遺伝子、シトロバクター コセリ由来の遺伝子、エンテロバクター アエロゲネス由来の遺伝子、エンテロバクター クロアカエ由来の遺伝子、エンテロバクター ホルメシェイ由来の遺伝子、エンテロバクター サカザキ由来の遺伝子、エシェリヒア コリ由来の遺伝子、エシェリヒア フェルグニソー由来の遺伝子、パエニバチラス ポリミキサ由来の遺伝子、又はパントエア アナナティス由来の遺伝子である項1に記載の形質転換体。
項4.
コリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が下記の(a)又は(b)のDNAである項1に記載の形質転換体。
(a) 配列番号31、配列番号34、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、又は配列番号93の塩基配列からなるDNA
(b) (a)の何れかの塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
項5.
4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が下記の(c)又は(d)のDNAである項1に記載の形質転換体。
(c) 配列番号37、配列番号44、配列番号47、配列番号50、配列番号53、配列番号56、配列番号59、配列番号62、配列番号65、配列番号68、配列番号71、又は配列番号74の塩基配列からなるDNA
(d) (c)の何れかの塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
項6.
宿主のコリネ型細菌が、その染色体上に存在する4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ(4-hydroxybenzoate hydroxylase)活性を有する酵素をコードする遺伝子が破壊され、又は欠損したものである、項1〜5の何れかに記載の形質転換体。
項7.
宿主のコリネ型細菌が、その染色体上に存在するフェノール2-モノオキシゲナーゼ(phenol 2-monooxygenase)活性を有する酵素をコードする遺伝子が破壊され、又は欠損したものである、項1〜6の何れかに記載の形質転換体。
項8.
宿主のコリネ型細菌内でDAHPシンテターゼ(3-deoxy-D-arabino-heptulosonate 7-phosphate (DAHP) synthase)活性を有する酵素をコードする遺伝子が高発現している項1〜7の何れかに記載の形質転換体。
項9.
宿主のコリネ型細菌がコリネバクテリウム グルタミカムである項1〜8の何れかに記載の形質転換体。
項10.
宿主のコリネ型細菌が、コリネバクテリウム グルミカムR(FERM P−18976)、ATCC13032、又はATCC13869である項1〜5の何れかに記載の形質転換体。
項11.
宿主のコリネ型細菌が、コリネバクテリウム グルミカムR(FERM P−18976)、ATCC13032、又はATCC13869の染色体上に存在する4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が破壊され、又は欠損したものである、項1〜5の何れかに記載の形質転換体。
項12.
宿主のコリネ型細菌が、コリネバクテリウム グルミカムR(FERM P−18976)、ATCC13032、又はATCC13869の染色体上に存在するフェノール2-モノオキシゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が破壊され、又は欠損したものである、項1〜5の何れかに記載の形質転換体。
項13.
宿主のコリネ型細菌が、コリネバクテリウム グルミカムR(FERM P−18976)、ATCC13032、又はATCC13869において、DAHPシンテターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が高発現しているものである項1〜5の何れかに記載の形質転換体。
項14.
コリネバクテリウム グルタミカム PHE18(受託番号:NITE BP−995)、PHE11、PHE12、PHE13、PHE14、PHE15、PHE16、PHE17、PHE19-1、PHE19-2、PHE19-3、PHE19-4、PHE19-5、PHE19-6、PHE19-7、PHE19-8、PHE19-9、PHE19-10、PHE19-11、PHE19-12、PHE20-1、PHE20-2、PHE20-3、PHE20-4、PHE20-5、PHE20-6、PHE20-7、PHE20-8、PHE20-9、PHE20-10、PHE20-11、PHE20-12、PHE20-13、又はPHE20-14の形質転換体。
項15.
項1〜14の何れかに記載の形質転換体を、還元条件下、糖類を含有する反応液中で反応させる工程と、反応液中のフェノールを回収する工程とを含むフェノールの製造方法。項16.
反応工程において、形質転換体が実質的に増殖しない項15に記載のフェノールの製造方法。
項17.
還元条件下の反応液の酸化還元電位が−200〜−500ミリボルトである項15又は16に記載のフェノールの製造方法。
項18.
糖類がグルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、キシロビオース、トレハロース、及びマンニトールからなる群より選ばれるものである項15〜17の何れかに記載のフェノールの製造方法。
本発明の形質転換体を用いることにより、糖類からフェノールを高効率で製造することができる。
一般に微生物はフェノールのような溶剤の細胞毒性により生育が阻害されるため、微生物を用いてフェノールを製造することは困難であったが、本発明方法によれば、微生物を用いて、実用上十分に効率良くフェノールを製造することができる。
実施例で用いた各種プラスミドの構築図である。 実施例で用いた各種プラスミドの構築図である。 実施例で用いた各種プラスミドの構築図である。 各種の微生物の好気条件下における増殖に及ぼすフェノールの影響を示す図である。 コリネバクテリウムの還元条件下における糖消費に及ぼすフェノールの影響を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)フェノール生産能を有する形質転換体
本発明のフェノール生産能を有する形質転換体は、コリスメート-ピルベート リアーゼ(Chorismate-pyruvate lyase)活性を有する酵素をコードする遺伝子、及び4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ(4-hydroxybenzoate decarboxylase)活性を有する酵素をコードする遺伝子が、宿主のコリネ型細菌に導入された形質転換体である。
宿主
コリネ型細菌とは、バージーズ・マニュアル・デターミネイティブ・バクテリオロジー〔Bergey's Manual of Determinative Bacteriology、Vol. 8、599(1974)〕に定義されている一群の微生物であり、通常の好気的条件で増殖するものならば特に限定されるものではない。具体例を挙げれば、コリネバクテリウム属菌、ブレビバクテリウム属菌、アースロバクター属菌、マイコバクテリウム属菌、マイクロコッカス属菌等が挙げられる。コリネ型細菌の中ではコリネバクテリウム属菌が好ましい。
コリネバクテリウム属菌としては、コリネバクテリウム グルタミカム、コリネバクテリウム エフィシェンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム ハロトレランス(Corynebacterium halotolerance)、コリネバクテリウム アルカノリティカム(Corynebacterium alkanolyticum)等が挙げられる。
中でも、安全でかつフェノール生産性が高い点で、コリネバクテリウム グルタミカムが好ましい。好適な菌株として、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)R株(FERM P-18976)、ATCC13032株、ATCC13869株、ATCC13058株、ATCC13059株、ATCC13060株、ATCC13232株、ATCC13286株、ATCC13287株、ATCC13655株、ATCC13745株、ATCC13746株、ATCC13761株、ATCC14020株、ATCC31831株、MJ-233(FERM BP-1497)、MJ-233AB-41(FERM BP-1498)等が挙げられる。中でも、R株(FERM P-18976)、ATCC13032株、ATCC13869株が好ましい。
なお、分子生物学的分類により、ブレビバクテリウム フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、ブレビバクテリウム ディバリカタム(Brevibacterium divaricatum)、コリネバクテリウム リリウム(Corynebacterium lilium)等のコリネ型細菌もコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に菌名が統一されている〔Liebl, W. et al., Transfer of Brevibacterium divaricatum DSM 20297T, "Brevibacterium flavum" DSM
20411, "Brevibacterium lactofermentum" DSM 20412 and DSM 1412, and Corynebacterium glutamicum and their distinction by rRNA gene restriction patterns. Int J Syst Bacteriol. 41:255-260. (1991)、駒形和男ら, コリネフォルム細菌の分類, 発酵と工業, 45:944-963 (1987)〕。
旧分類のブレビバクテリウム ラクトファーメンタムATCC13869株、ブレビバクテリウム フラバムのMJ-233株(FERM BP-1497)、MJ-233AB-41株(FERM BP-1498)なども好適なコリネバクテリウム グルタミカムである。
ブレビバクテリウム属菌としては、ブレビバクテリウム アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)(例えばATCC6872株)等が挙げられる。
アースロバクター属菌としては、アースロバクター グロビフォルミス(Arthrobacter
globiformis)(例えばATCC8010株、ATCC4336株、ATCC21056株、ATCC31250株、ATCC31738株、ATCC35698株)等が挙げられる。
マイコバクテリウム属菌としては、マイコバクテリウム ボビス(Mycobacterium bovis)(例えばATCC19210株、ATCC27289株)等が挙げられる。
マイクロコッカス属菌としては、マイクロコッカス フロイデンライヒ(Micrococcus freudenreichii)(例えばNo. 239株(FERM P-13221))、マイクロコッカス ルテウス(Micrococcus leuteus)(例えばNo. 240株(FERM P-13222))、マイクロコッカス ウレアエ(Micrococcus ureae)(例えばIAM1010株)、マイクロコッカス ロゼウス(Micrococcus roseus)(例えばIFO3764株)等が挙げられる。
また、コリネ型細菌は、野生株の他に、その変異株や人為的な遺伝子組換え体であってもよい。例えば、ラクテート(乳酸)デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase:LDH)、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ(phosphoenolpyrvate carboxylase)、マレートデヒドロゲナーゼ(malate dehydrogenase)などの遺伝子の破壊株が挙げられる。このような遺伝子破壊株を宿主として用いることにより、フェノールの生産性を向上させたり、副生成物の生成を抑制したりすることができる。
中でも、ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の破壊株が好ましい。この遺伝子破壊株は、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が破壊されていることにより、ピルビン酸から乳酸への代謝経路が遮断されている。中でも、コリネバクテリウム グルタミカムの、特にR(FERM P-18976)株のラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の破壊株が好ましい。
このような遺伝子破壊株は、遺伝子工学的手法により常法に従い作製できる。例えば、WO2005/010182A1に、乳酸デヒドロゲナーゼ破壊株、及びその作製方法が記載されている。
コリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子(ubiC)
コリスメート-ピルベート リアーゼは、コリスメートからピルビン酸を脱離させて4-ヒドロキシベンゾエートを生成する反応を触媒する酵素である。
コリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子の由来は特に限定されないが、エシェリキア コリ(Escherichia coli)由来の遺伝子、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)由来の遺伝子、アシネトバクター バウマンニ(Acinetobacter baumannii)由来の遺伝子、アゾトバクター ビネランジー(Azotobacter vinelandii)由来の遺伝子、クロモハロバクター サレキシゲンス(Chromohalobacter salexigens)由来の遺伝子、シトロバクター コセリ(Citrobacter koseri)、シトロバクター ヤンガエ(Citrobacter youngae)のようなシトロバクター属細菌由来の遺伝子、エンテロバクター クロアカエ(Enterobacter cloacae)由来の遺伝子、マリノバクター アクアエオレイ(Marinobacter aquaeolei)由来の遺伝子、マリノモナス メディテラネア(Marinomonas mediterranea)由来の遺伝子、パントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来の遺伝子、シュードアルテロモナス ハロプランクティス(Pseudoalteromonas haloplanktis)由来の遺伝子、ラルストニア ユートロファ(Ralstonia eutropha)由来の遺伝子、シューワネラ プトレファシェンス(Shewanella putrefaciens)由来の遺伝子、及びチオバチルス デニトリフィカンス(Thiobacillus denitrificans)由来の遺伝子が好ましく、シュードモナス プチダ由来の遺伝子がより好ましい。
エシェリキア コリ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号31の塩基配列からなるDNAが挙げられ、シュードモナス プチダ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号34の塩基配列からなるDNAが挙げられ、アシネトバクター バウマンニ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号81の塩基配列からなるDNAが挙げられ、アゾトバクター ビネランジー由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号82の塩基配列からなるDNAが挙げられ、クロモハロバクター サレキシゲンス由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号83の塩基配列からなるDNAが挙げられ、シトロバクター コセリ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号84の塩基配列からなるDNAが挙げられ、シトロバクター ヤンガエ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号85の塩基配列からなるDNAが挙げられ、エンテロバクター クロアカエ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号86の塩基配列からなるDNAが挙げられ、マリノバクター アクアエオレイ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号87の塩基配列からなるDNAが挙げられ、マリノモナス メディテラネア由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号88の塩基配列からなるDNAが挙げられ、パントエア アナナティス由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号89の塩基配列からなるDNAが挙げられ、シュードアルテロモナス ハロプランクティス由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号90の塩基配列からなるDNAが挙げられ、ラルストニア ユートロファ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号91の塩基配列からなるDNAが挙げられ、シューワネラ プトレファシェンス由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号92の塩基配列からなるDNAが挙げられ、及びチオバチルス デニトリフィカンス由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素遺伝子としては、配列番号93の塩基配列からなるDNAが挙げられる。
また、本発明では、配列番号31、配列番号34、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、又は配列番号93の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAも使用できる。
本発明において「ストリンジェントな条件」は、一般的な条件、例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition,1989,Vol2,p11.45に記載された条件を指す。具体的には、完全ハイブリッドの融解温度(Tm)より5〜10℃低い温度でハイブリダイゼーションが起こる場合を指す。
コリスメート-ピルベート リアーゼ活性は、「Journal of Bacteriology, 174, 5309-5316, 1992 “Materials and Methods”」に記載の方法で測定できる。簡単に説明すると、試験用液に被験酵素を添加し、50mM トリス-HCl pH7.5、5mM EDTA、10mM β-メルカプトエタノール、60μM コリスミ酸と酵素を含む反応液を調製し、240 nmにおける吸光度の傾き(初速度)を測定する。コリスミ酸を添加しない系についても同様に反応を行い、バックグラウンド値とする。両測定値の差をコリスメート-ピルベート リアーゼ活性とする。
また、本発明では、配列番号31、配列番号34、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、又は配列番号93の塩基配列と同一性が90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の塩基配列からなり、かつコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAも使用できる。
本発明において、塩基配列の同一性は、GENETYX ver.8(GENETYX 株式会社ゼネティックス製)により算出した値である。
配列番号31、配列番号34、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、又は配列番号93の塩基配列からなるDNAの類縁体は、例えば、これらの塩基配列に基づき常法に従い設計したプライマー又はプローブを用いたPCR又はハイブリダイゼーションにより、他生物種のDNAライブラリーから選択することができ、これにより高確率でコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAが得られる。
4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子(bsdBCD又はdca)
4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼは、4-ヒドロキシベンゾエートの脱炭酸によるフェノールの生成反応を触媒する酵素である。
4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子の由来は特に限定されないが、バチラス サブチリス(Bacillus subtilis)、バチラス メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチラス リッケニフォーミス(Bacillus licheniformis)、バチラス アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ(Bacillus subtilis subsp. spizizenii)のようなバチラス属細菌由来の遺伝子、シトロバクター コセリ(Citrobacter koseri)由来遺伝子、エンテロバクター アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター クロアカエ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター ホルメシェイ(Enterobacter hormaechei)、エンテロバクター サカザキ(Enterobacter sakazakii)のようなエンテロバクター属細菌由来の遺伝子、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)、エシェリヒア フェルグソニー(Escherichia fergusonii)のようなエシェリヒア属細菌由来遺伝子、パエニバチラス
ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)由来遺伝子、パントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来遺伝子などが挙げられる。中でも、バチルス属細菌(特に、バチラス サブチリス)由来の遺伝子、エンテロバクター属細菌(特に、エンテロバクター クロアカエ)由来の遺伝子、シェリヒア属細菌(特に、エシェリヒア コリ)由来の遺伝子が好ましい。
なお、4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子は、由来により異なる種々の略称が用いられている。例えば、バチラス サブチリス由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ遺伝子はbsdBCDと略称されている。本明細書では、4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ遺伝子を、由来を問わず「dca」と略称することがある。
バチラス サブチリス由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号37の塩基配列からなるDNAが、バチラス アトロファエウス由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号44の塩基配列からなるDNAが、バチラス サブチリス亜種スピジゼニイ由来の4-ヒドロキシベンゾエート
デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号47の塩基配列からなるDNAが、シトロバクター コセリ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号50の塩基配列からなるDNAが、エンテロバクター アエロゲネス由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号53の塩基配列からなるDNAが、エンテロバクター クロアカエ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号56の塩基配列からなるDNAが、エンテロバクター ホルメシェイ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号59の塩基配列からなるDNAが、エンテロバクター サカザキ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号62の塩基配列からなるDNAが、エシェリヒア コリ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号65の塩基配列からなるDNAが、エシェリヒア フェルグソニー由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号68の塩基配列からなるDNAが、パエニバチラス ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号71の塩基配列からなるDNAが、パントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素遺伝子としては、配列番号74の塩基配列からなるDNAが挙げられる。
また、本発明では、配列番号37、配列番号44、配列番号47、配列番号50、配列番号53、配列番号56、配列番号59、配列番号62、配列番号65、配列番号68、配列番号71、又は配列番号74の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAも使用できる。
4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性は、「Genomics, 86, 342-351, 2005 “Materials and Methods”」に記載の方法で測定できる。簡単に説明すると、試験用液に被験酵素を添加し、100 mM MES, pH6.0、1 mM DTT、5 mM 4-ヒドロキシベンゾエートと酵素を含む反応液を調製し、270 nmにおける吸光度の傾き(初速度)を測定する。4-ヒドロキシベンゾエートを添加しない系についても同様に反応を行い、バックグラウンド値とする。両測定値の差を4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性とする。
また、本発明では、配列番号37、配列番号44、配列番号47、配列番号50、配列番号53、配列番号56、配列番号59、配列番号62、配列番号65、配列番号68、配列番号71、又は配列番号74の塩基配列と同一性が90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の塩基配列からなり、かつ4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAも使用できる。
配列番号37、配列番号44、配列番号47、配列番号50、配列番号53、配列番号56、配列番号59、配列番号62、配列番号65、配列番号68、配列番号71、又は配列番号74の塩基配列からなるDNAの類縁体は、前述した方法で取得できる。
形質転換のためのベクターの構築
PCRで増幅したコリスメート-ピルベート リアーゼ酵素をコードするDNA、及び4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ酵素をコードするDNAは、それぞれ、宿主で増幅できる適切なベクターにクローニングすればよい。
プラスミドベクターとしては、コリネ型細菌内で自律複製機能を司る遺伝子を含むものであれば良い。その具体例としては、ブレビバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)2256由来のpAM330〔特開昭58-67699〕、〔Miwa, K. et al., Cryptic plasmids in glutamic acid-producing bacteria. Agric. Biol. Chem. 48:2901-2903(1984)〕 及び 〔Yamaguchi, R. et al., Determination of the complete nucleotide sequence of the Brevibacterium lactofermentum plasmid pAM330 and the analysis of its genetic information. Nucleic Acids Symp. Ser. 16:265-267(1985)〕、コリネバクテリウム グルタミカム ATCC13058由来のpHM1519 〔Miwa, K. et al., Cryptic plasmids in glutamic acid-producing bacteria. Agric. Biol. Chem. 48:2901-2903(1984)〕及びpCRY30 〔Kurusu, Y. et al., Identification of plasmid partition function in coryneform bacteria. Appl. Environ. Microbiol. 57:759-764 (1991)〕、コリネバクテリウム グルタミカム T250由来のpCG4〔特開昭57-183799〕、〔Katsumata, R. et al., Protoplast transformation of glutamate-producing bacteria with plasmid DNA. J. Bacteriol.、159:306-311 (1984)〕、pAG1、pAG3、pAG14、pAG50〔特開昭62-166890〕、pEK0、pEC5、pEKEx1 〔Eikmanns, B.J. et al., A family of Corynebacterium glutamicum/Escherichia coli shuttle vectors for cloning, controlled gene expression, and promoter probing. Gene, 102:93-98 (1991)〕などが挙げられる。
好ましいプロモーターとしては、コリネバクテリウム グルタミカムR由来のグリセルアルデヒド3-フォスフェートデヒドロゲナーゼA遺伝子(gapA)のプロモーターPgapA、マレートデヒドロゲナーゼ遺伝子(mdh)のプロモーターPmdh、ラクテートデヒドロゲナーゼA遺伝子(ldhA)のプロモーターPldhAなどが挙げられ、中でも、PgapAが好ましい。
好ましいターミネーターとしては、大腸菌rRNAオペロンのrrnB T1T2 ターミネーター、大腸菌のtrpA ターミネーター、ブレビバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)のtrp ターミネーターなどが挙げられ、中でも、rrnB T1T2 ターミネーターが好ましい。
形質転換
形質転換方法は、公知の方法を制限無く使用できる。このような公知の方法として、例えば塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン介在トランスフェクション、電気穿孔法などが挙げられる。中でも、コリネ型細菌には、電気パルス法が好適であり、電気パルス法は、公知の方法 〔Kurusu, Y. et al., Electroporation-transformation system for Coryneform bacteria by auxotrophic complementation. Agric. Biol. Chem. 54:443-447 (1990)〕 及び 〔Vertes A.A. et al., Presence of mrr- and mcr-like restriction systems in Coryneform bacteria. Res. Microbiol. 144:181-185 (1993)〕により行うことができる。
形質転換体は、微生物の培養に通常使用される培地を用いて培養すればよい。この培地としては、通常、炭素源、窒素源、無機塩類及びその他の栄養物質等を含有する天然培地又は合成培地等を用いることができる。
炭素源としては、グルコース、フルクトース、スクロース、マンノース、マルトース、マンニトール、キシロース、アラビノース、ガラクトース、澱粉、糖蜜、ソルビトール、グリセリン等の糖質又は糖アルコール;酢酸、クエン酵、乳酸、フマル酸、マレイン酸又はグルコン酸等の有機酸;エタノール、プロパノール等のアルコール等が挙げられる。また、所望によりノルマルパラフィン等の炭化水素等も用いることができる。炭素源は、1種を単独で使用でき、又は2種以上を混合して使用してもよい。培地中のこれら炭素源の濃度は、通常、約0.1〜10(w/v%)とすればよい。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機又は有機アンモニウム化合物、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が挙げられる。また、コーンスティープリカー、肉エキス、ベプトン、NZ−アミン、蛋白質加水分解物、アミノ酸等の含窒素有機化合物等も使用できる。窒素源は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。培地中の窒素源濃度は、使用する窒素化合物によっても異なるが、通常、約0.1〜10(w/v%)とすればよい。
無機塩類としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、又は炭酸カルシウム等が挙げられる。これら無機塩は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。培地中の無機塩類濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常、約0.01〜1(w/v%)とすればよい。
栄養物質としては、例えば肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティープリカー、脱脂粉乳、脱脂大豆塩酸加水分解物、又は動植物若しくは微生物菌体のエキスやそれらの分解物等が挙げられる。栄養物質の培地濃度は、使用する栄養物質によっても異なるが、通常、約0.1〜10(w/v%)とすればよい。さらに、必要に応じて、ビタミン類を添加することもできる。ビタミン類としては、例えば、ビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が挙げられる。
培地のpHは約5〜8が好ましい。
好ましい微生物培養培地としては、A培地〔Inui, M. et al., Metabolic analysis of Corynebacterium glutamicum during lactate and succinate productions under oxygen
deprivation conditions. J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 7:182-196 (2004)〕、BT培地〔Omumasaba, C.A. et al., Corynebacterium glutamicum glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase isoforms with opposite, ATP-dependent regulation. J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 8:91-103 (2004)〕等が挙げられる。
培養温度は約15〜45℃とすればよく、培養時間は約1〜7日間とすればよい。
宿主染色体遺伝子の破壊又は欠失
宿主のコリネ型細菌は、その染色体上に存在する4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子(pobA)が、破壊され、または欠失していることが好ましく、これにより一層効率良くフェノールを製造することができる。
また、宿主のコリネ型細菌は、その染色体上に存在するフェノール2-モノオキシゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子(poxF)が破壊され、または欠失していることが好ましく、これにより、一層効率良くフェノールを製造することができる。
pobA及びpoxFの双方が破壊され、または欠失していることが特に好ましい。
遺伝子の部分配列を欠失し、正常に機能する酵素タンパク質を産生しないように改変した欠失型遺伝子を作製し、該遺伝子を含むDNAで細菌を形質転換して、欠失型遺伝子と染色体上の遺伝子とで相同組換えを起こさせることにより、染色体上の遺伝子を欠失型又は破壊型の遺伝子に置換することができる。欠失型又は破壊型の遺伝子によってコードされる酵素タンパク質は、生成したとしても、野生型酵素タンパク質とは異なる立体構造を有し、機能が低下又は消失している。このような相同組換えを利用した遺伝子置換による遺伝子欠失又は破壊は既に確立しており、温度感受性複製起点を含むプラスミド、接合伝達可能なプラスミドを用いる方法、宿主内で複製起点を持たないスイサイドベクターを利用する方法などがある(米国特許第6303383号、特開平05-007491号)。
具体的には、実施例1の項目に記載の方法により、4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ酵素遺伝子(pobA)が破壊又は欠失したコリネ型細菌を得ることができる。また、同様の方法でフェノール2-モノオキシゲナーゼ遺伝子(poxF)が破壊又は欠失したコリネ型細菌を得ることができる。
代謝遺伝子の高発現
本発明の形質転換体は、DAHPシンテターゼ(3-deoxy-D-arabino-heptulosonate 7-phosphate (DAHP) synthase)遺伝子(aroG)が、宿主の本来のレベル、即ち野生型宿主のレベルより高発現していることが好ましい。この高発現は、形質転換による遺伝子導入、又は宿主染色体上の遺伝子のコピー数を高めることにより達成される。
形質転換について述べれば、導入するDAHPシンテターゼ遺伝子は、宿主の遺伝子と同じ又は実質的に同じDAHPシンテターゼ遺伝子でもよく、その他のDAHPシンテターゼ遺伝子であってもよい。宿主の遺伝子と同じ又は実質的に同じ、DAHPシンテターゼ遺伝子を導入する方が好ましい。
例えば、コリネバクテリウム グルタミカム由来のDAHPシンテターゼ遺伝子としては、配列番号28の塩基配列からなるDNAが挙げられる。
その他のコリネ型細菌のDHAPシンターゼ遺伝子としては、コリネバクテリウム エフィシェンス(Corynebacterium efficiens)由来の遺伝子(配列番号120、日本DNAデータバンク:CE2073)、マイコバクテリウム スメグマティス(Mycobacterium smegmatis)由来の遺伝子(配列番号121、日本DNAデータバンク:MSMEG_4244)、ロドコッカス オパカス(Rhodococcus opacus)由来の遺伝子(配列番号122、日本DNAデータバンク:ROP_08400)などがある。
また、DAHPシンテターゼ遺伝子について「実質的に同じ遺伝子」としては、当該遺伝子がコードするポリペプチドのアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有するポリペプチドであって、DAHPシンテターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAが挙げられる。また、DAHPシンテターゼ遺伝子について「実質的に同じ遺伝子」としては、当該遺伝子と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有するDNAであって、DAHPシンテターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAが挙げられる。
DAHPシンテターゼ活性の有無は、ホスホエノールピルビン酸とエリトロース-4-リン酸を基質として反応させ、生じた3-deoxy-D-arabino-heptulosonate 7-phosphate (DAHP)を、チオバルビツール酸を用いた発色法により定量(Appl. Environ. Microbiol., 74: 5497 - 5503 (2008).)することにより検出することができる。
宿主染色体上のDAHPシンテターゼ遺伝子のコピー数を高める方法について述べれば、この遺伝子をコリネバクテリウム グルタミカムの染色体DNA上に多コピー導入すればよい。微生物の染色体DNA上に遺伝子を多コピーで導入するには、染色体DNA上に多コピー存在する配列を標的に利用して、相同組換え法(Experimentsin Molecular Genetics, Cold Spring Harbor Lab. (1972))により行うことができる。染色体DNA上に多コピー存在する配列としては、レペティティブDNA、転移因子の端部に存在するインバーテッド・リピートが利用できる。また、特開平2-109985号公報に開示されているように、目的遺伝子をトランスポゾンと共に転移させて染色体DNA上に多コピー導入することも可能である。さらに、Muファージを用いる方法(特開平2-109985号)で宿主染色体に目的遺伝子を組み込むこともできる。
また、コリネ型細菌の染色体上のDAHPシンテターゼ遺伝子のプロモーター等の発現調節配列をより強力なものに置換することによっても、これらの遺伝子の発現を高めることができる。例えば、tacプロモーター、lacプロモーター、trcプロモーター、trpプロモーター等が強力なプロモーターとして知られている。また、国際公開WO00/18935に開示されているように、遺伝子のプロモーター領域に数塩基の塩基置換を導入し、より強力なものに改変することも可能である。プロモーターの強度の評価法および強力なプロモーターの例は、Goldsteinらの論文(Prokaryotic promoters in biotechnology. Biotechnol. Annu.
Rev., 1995, 1, 105-128)等に記載されている。発現調節配列の置換は、例えば、温度感受性プラスミドを用いた遺伝子置換と同様にして行うことができる。
さらに、リボソーム結合部位(RBS)と開始コドンとの間のスペーサ、特に開始コドンのすぐ上流の配列における数個のヌクレオチドの置換がmRNAの翻訳効率に非常に影響を及ぼすことが知られており、これらを改変することによって、翻訳量を向上させることもできる。
上記のような遺伝子置換を行う方法としては、例えば、温度感受性複製起点を含むプラスミド、接合伝達可能なプラスミドを用いる方法、宿主内で複製起点を持たないスイサイドベクターを利用する方法などがある(米国特許第6303383号明細書、または特開平05-007491号公報)。
(II)フェノールの製造方法
上記説明した本発明の形質転換体を、糖類を含有する反応液中で反応させる工程と、反応液中のフェノールを回収する工程とを含む方法によりフェノールを製造することができる。
微生物の増殖
反応に先立ち、形質転換体を好気条件下で、温度約25〜38℃で、約12〜48時間培養して増殖させることが好ましい。
反応に先立つ形質転換体の好気的培養に用いる培地は、炭素源、窒素源、無機塩類およびその他の栄養物質等を含有する天然培地または合成培地を用いることができる。
炭素源として、糖類(グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトースのような単糖;スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、キシロビオース、トレハロースのような二糖;澱粉のような多糖;糖蜜等)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グリセリンのような糖アルコール;酢酸、クエン酵、乳酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸のような有機酸;エタノール、プロパノールのようなアルコール;ノルマルパラフィンのような炭化水素等も用いることができる。
炭素源は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムのような無機又は有機アンモニウム化合物、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等を使用できる。また、コーンスティープリカー、肉エキス、ペプトン、NZ−アミン、蛋白質加水分解物、アミノ酸等の含窒素有機化合物等も使用できる。窒素源は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。窒素源の培地中の濃度は、使用する窒素化合物によっても異なるが、通常、約0.1〜10(w/v%)とすればよい。
無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機塩は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。無機塩類の培地中の濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常、約0.01〜1(w/v%)とすればよい。
栄養物質としては、肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティープリカー、脱脂粉乳、脱脂大豆塩酸加水分解物、動植物又は微生物菌体のエキスやそれらの分解物等が挙げられる。栄養物質の培地中の濃度は、使用する栄養物質によっても異なるが、通常約0.1〜10(w/v%)とすればよい。
さらに、必要に応じて、ビタミン類を添加することもできる。ビタミン類としては、ビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が挙げられる。
培地のpHは約6〜8が好ましい。
具体的な好ましいコリネ型細菌用培地としては、A培地〔Inui, M. et al., Metabolic analysis of Corynebacterium glutamicum during lactate and succinate productions under oxygen deprivation conditions. J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 7:182-196 (2004)〕、BT培地〔Omumasaba, C.A. et al., Corynebacterium glutamicum glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase isoforms with opposite, ATP-dependent regulation. J.
Mol. Microbiol. Biotechnol. 8:91-103 (2004)〕等が挙げられる。これらの培地において、糖類濃度を上記範囲にして用いればよい。
反応液
反応液としては、炭素源、窒素源、無機塩類およびその他の栄養物質等を含有する天然培地または合成培地を用いることができる。
炭素源としては糖類を用いる。糖類としては、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトースのような単糖;スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、キシロビオース、トレハロースのような二糖;澱粉のような多糖;糖蜜等が挙げられる。中でも、単糖が好ましく、グルコースがより好ましい。
炭素源として、糖類の他に、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グリセリンのような糖アルコール;酢酸、クエン酵、乳酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸のような有機酸;エタノール、プロパノールのようなアルコール;ノルマルパラフィンのような炭化水素等も用いることができる。
炭素源は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
反応液中の糖類の濃度は、約1〜20(w/v%)が好ましく、約2〜10(w/v%)がより好ましく、約2〜5(w/v%)がさらにより好ましい。
また、糖類を含む全炭素源の反応液中の濃度は、通常、約2〜5(w/v%)とすればよい。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムのような無機又は有機アンモニウム化合物、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等を使用できる。また、コーンスティープリカー、肉エキス、ベプトン、NZ−アミン、蛋白質加水分解物、アミノ酸等の含窒素有機化合物等も使用できる。窒素源は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。窒素源の反応液中の濃度は、使用する窒素化合物によっても異なるが、通常、約0.1〜10(w/v%)とすればよい。
無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機塩は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。無機塩類の反応液中の濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常、約0.01〜1(w/v%)とすればよい。
栄養物質としては、肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティープリカー、脱脂粉乳、脱脂大豆塩酸加水分解物、動植物又は微生物菌体のエキスやそれらの分解物等が挙げられる。栄養物質の反応液中の濃度は、使用する栄養物質によっても異なるが、通常約0.1〜10(w/v%)とすればよい。
さらに、必要に応じて、ビタミン類を添加することもできる。ビタミン類としては、ビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が挙げられる。
培地のpHは約6〜8が好ましい。
具体的な好ましいコリネ型細菌用培地としては、前述したA培地、BT培地等が挙げられる。これらの培地において、糖類濃度を上記範囲にして用いればよい。
反応条件
反応温度、即ち反応中の形質転換体の生存温度は、約20〜50℃が好ましく、約25〜40℃がより好ましい。上記温度範囲であれば、効率良くフェノールを製造できる。
また、反応時間は、約1〜7日間が好ましく、約1〜3日間がより好ましい。
培養は、バッチ式、流加式、連続式の何れでもよい。中でも、バッチ式が好ましい。
<還元条件>
反応は、好気的条件で行ってもよく、還元条件で行ってもよいが、還元条件で行うことが好ましい。還元条件では、コリネ型細菌は実質的に増殖せず、一層効率的にフェノールを生産させることができる。
還元条件は、反応液の酸化還元電位で規定される。反応液の酸化還元電位は、約−200mV〜−500mVが好ましく、約−250mV〜−500mVがより好ましい。
反応液の還元状態は簡便にはレサズリン指示薬(還元状態であれば、青色から無色への脱色)で推定できるが、正確には酸化還元電位差計(例えば、BROADLEY JAMES社製、ORP
Electrodes)を用いて測定できる。
還元条件にある反応液の調整方法は、公知の方法を制限なく使用できる。例えば、反応液の液体媒体として、蒸留水などの代わりに反応液用水溶液を使用してもよく、反応液用水溶液の調整方法は、例えば硫酸還元微生物などの絶対嫌気性微生物用の培養液調整方法(Pfennig, N et.al.,(1981):The dissimilatory sulfate-reducing bacteria, In The Prokaryotes, A Handbook on Habitats, Isolation and Identification of Bacteria,Ed. By Starr, M.P. et al., p.926-940, Berlin, Springer Verlag.)や「農芸化学実験書 第三巻、京都大学農学部 農芸化学教室編、1990年第26刷、産業図書株式会社出版」などが参考となり、所望する還元条件下の水溶液を得ることができる。
具体的には、蒸留水などを加熱処理や減圧処理して溶解ガスを除去することにより、還元条件の反応液用水溶液を得ることができる。この場合、約10 mmHg以下、好ましくは約5
mmHg以下、より好ましくは約3 mmHg以下の減圧下で、約1〜60分程度、好ましくは約5〜40分程度、蒸留水などを処理することにより、溶解ガス、特に溶解酸素を除去して還元条件下の反応液用水溶液を作成することができる。
また、適当な還元剤(例えば、チオグリコール酸、アスコルビン酸、システィン塩酸塩、メルカプト酢酸、チオール酢酸、グルタチオン、硫化ソーダ等)を添加して還元条件の反応液用水溶液を調整することもできる。
これらの方法を適宜組み合わせることも有効な還元条件の反応液用水溶液の調整方法である。
反応中も反応液を還元条件に維持することが好ましい。反応途中での還元条件を維持するために、反応系外からの酸素の混入を可能な限り防止することが望ましく、具体的には、反応系を窒素ガス等の不活性ガスや炭酸ガス等で封入する方法が挙げられる。酸素混入をより効果的に防止する方法としては、反応途中において本発明の好気性細菌の菌体内の代謝機能を効率よく機能させるために、反応系のpH維持調整液の添加や各種栄養素溶解液を適宜添加する必要が生じる場合もあるが、このような場合には添加溶液から酸素を予め除去しておくことが有効である。
フェノールの回収
上記のようにして培養することにより、反応液中にフェノールが生産される。反応液を回収することによりフェノールを回収できるが、さらに、公知の方法でフェノールを反応液から分離することもできる。そのような公知の方法として、蒸留法、膜透過法、有機溶媒抽出法等が挙げられる。
実施例1 フェノール生産遺伝子のクローニングと発現
(1) 微生物からの染色体DNAの抽出
コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum) R (FERM P-18976)からの染色体DNA抽出は、A培地 [(NH2)2CO 2 g、(NH4)2SO4 7 g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O
1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 gを蒸留水1 Lに溶解] に、炭素源として、最終濃度4%になるように50% (w/v)グルコース溶液を添加し、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで33℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
エシェリキア コリ(Escherichia coli K-12 MG1655)からの染色体DNA抽出は、LB培地
[tryptone 10 g, yeast extract 5 g, NaCl 5 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida KT2440)ATCC 47054からの染色体DNA抽出は、LB培地 [tryptone 10 g, yeast extract 5 g, NaCl 5 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
アシネトバクター バウマンニ(Acinetobacter baumannii)JCM 6841からの染色体DNA抽出は、JCM Medium No.12培地 [peptone 5 g, beef extract 3 g, NaCl 5 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
アゾトバクター ビネランジー(Azotobacter vinelandii)ATCC 9104からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.805培地 [yeast extract 1 g, Mannitol 5 g, K2HPO4 0.7 g, KH2PO4 0.1 g, MgSO4・7H2O 0.2 g, NaCl 1 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
クロモハロバクター サレキシゲンス(Chromohalobacter salexigens)ATCC BAA-138からの染色体DNA抽出は、Nutrient broth with NaCl培地 [Nutrient Broth(Becton, Dickinson and Company製 Catalog No. 234000) 8 g, NaCl 100 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
シトロバクター ヤンガエ(Citrobacter youngae)ATCC 29220からの染色体DNA抽出は、Nutrient broth培地 [Nutrient Broth(Becton, Dickinson and Company製 Catalog No. 234000) 8 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
マリノバクター アクアエオレイ(Marinobacter aquaeolei)ATCC 700491の染色体DNA(Catalog No. 700491D-5)はATCC(American Type Culture Collection)より入手した。
マリノモナス メディテラネア(Marinomonas mediterranea)NBRC 103028からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.340培地 [Bacto Marine Broth 2216(Becton, Dickinson and Company製 Catalog No. 279110) 37.4 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで25℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
シュードアルテロモナス ハロプランクティス(Pseudoalteromonas haloplanktis)NBRC 102225からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.340培地 [Bacto Marine Broth 2216(Becton, Dickinson and Company製 Catalog No. 279110) 37.4 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで25℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
ラルストニア ユートロファ(Ralstonia eutropha)IAM 12368からの染色体DNA抽出は、Nutrient broth培地 [Nutrient Broth(Becton, Dickinson and Company製 Catalog No. 234000) 8 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで26℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
シューワネラ プトレファシェンス(Shewanella putrefaciens)JCM 20190からの染色体DNA抽出は、Nutrient broth培地 [Nutrient Broth(Becton, Dickinson and Company製
Catalog No. 234000) 8 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで25℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
チオバチルス デニトリフィカンス(Thiobacillus denitrificans)ATCC 25259 JCM 20190からの染色体DNA抽出は、JCM Medium No.91培地[KNO3 5 g, NaHCO3 0.5 gをS6 medium(KH2PO4 1.8 g, Na2HPO4 1.2 g, (NH4)2SO4 0.1 g, MgSO4・7H2O 0.1 g, FeCl3・6H2O 30 mg, MnSO4・xH2O 30 mg, CaCl2・2H2O 40 mg, 10% Na2S2O3 solution 100 mlを蒸留水900 mlに溶解)1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
バチルス サブチリス(Bacillus subtilis)NBRC 14144からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.802培地 [polypeptone 10 g, yeast extract 2 g, MgSO4・7H2O 1 gを蒸留水1
Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
バチラス アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)JCM 9070からの染色体DNA抽出は、JCM Medium No.22培地 [peptone 10 g, beef extract 10 g, NaCl 5 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ(Bacillus subtilis subsp. spizizenii)NBRC 101239からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.802培地 [polypeptone 10 g, yeast extract 2 g, MgSO4・7H2O 1 gを蒸留水1 Lに溶解]に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
シトロバクター コセリ(Citrobacter koseri)ATCC BAA-895の染色体DNA(Catalog No. BAA-895D-5)はATCC(American Type Culture Collection)より入手した。
エンテロバクター アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)NBRC 13534からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.802培地 [polypeptone 10 g, yeast extract 2 g, MgSO4・7H 2O 1 gを蒸留水1 Lに溶解]に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
エンテロバクター クロアカエ(Enterobacter cloacae)NBRC 13535からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.802培地 [polypeptone 10 g, yeast extract 2 g, MgSO4・7H2O 1
gを蒸留水1 Lに溶解]に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
エンテロバクター ホルメシェイ(Enterobacter hormaechei)ATCC 49162からの染色体DNA抽出は、Tryptic Soy Broth培地 [Tryptic Soy Broth (Becton, Dickinson and Company製 Catalog No. 211825) 30 gを蒸留水1 Lに溶解]に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
エンテロバクター サカザキ(Enterobacter sakazakii)ATCC BAA-894の染色体DNA(Catalog No. BAA-894D-5)はATCC(American Type Culture Collection)より入手した。
エシェリヒア コリ(Escherichia coli) W NBRC 13500からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.802培地 [polypeptone 10 g, yeast extract 2 g, MgSO4・7H2O 1 gを蒸留水1
Lに溶解]に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
エシェリヒア フェルグソニー(Escherichia fergusonii)NBRC 102419からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.802培地 [polypeptone 10 g, yeast extract 2 g, MgSO4・7H2O 1 gを蒸留水1 Lに溶解]に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
パエニバチラス ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)NBRC 15309からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.802培地 [polypeptone 10 g, yeast extract 2 g, MgSO4・7H2O 1
gを蒸留水1 Lに溶解]に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
パントエア アナナティス(Pantoea ananatis)LMG 20103からの染色体DNA抽出は、BCCM/LMG BacteriCulture Medium No.1培地 [beef extract 1 g, yeast extract 2 g, peptone 5 g, NaCl 5 gを蒸留水1 Lに溶解]に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
(2) クローニングベクターの構築
クローニングベクターpCRB22の構築
コリネバクテリウム カゼイ JCM12072由来のプラスミドpCASE1のDNA複製起点(以降、pCASE1-oriと記す)配列、及びクローニングベクターpHSG298(タカラバイオ株式会社製)をそれぞれ含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、pCASE1-ori配列、クローニングベクターpHSG298をそれぞれクローン化するべく、配列番号1(pCASE1-ori配列)、配列番号2(クローニングベクター−pHSG298)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
pCASE1-ori配列増幅用プライマー
(a-1); 5’- AT AGATCT AGAACGTCCGTAGGAGC -3’ (配列番号3)
(b-1); 5’- AT AGATCT GACTTGGTTACGATGGAC -3’ (配列番号4)
尚、プライマー(a-1)及び(b-1)には、BglII制限酵素部位が付加されている。

クローニングベクターpHSG298増幅用プライマー
(a-2); 5’- AT AGATCT AGGTTTCCCGACTGGAAAG -3’ (配列番号5)
(b-2); 5’- AT AGATCT CGTGCCAGCTGCATTAATGA -3’ (配列番号6)
尚、プライマー(a-2)及び(b-2)には、BglII制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、Japan. Collection of Microorganisms (JCM)より入手したコリネバクテリウム カゼイ JCM12072から抽出したトータルDNA及びクローニングベクターpHSG298(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、pCASE1-ori配列の場合約1.4-kb、クローニングベクターpHSG298の場合、約2.7-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したコリネバクテリウム カゼイ株由来のプラスミドpCASE1-ori配列含む約1.4-kb DNA断片10μl及びクローニングベクターpHSG298を含む約2.7-kb DNA断片10μlを各々制限酵素BglIIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製)1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションA液とした。
得られたライゲーションA液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素BglIIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpHSG298約2.7-kbのDNA断片に加え、pCASE-ori配列の約1.4-kb DNA断片が認められた。
pCASE1-ori配列を含むクローニングベクターをpCRB22と命名した。
クローニングベクターpCRB11の構築
コリネバクテリウム グルタミカム内で複製可能なプラスミドpCG1 [(特開昭57−134500)] 由来のDNA複製起点(以降、pCG1-oriと記す)配列、及びクローニングベクターpHSG398(タカラバイオ株式会社製)をそれぞれ含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、pCG1-ori配列、クローニングベクターpHSG398をそれぞれクローン化するべく、配列番号7(pCG1-ori配列)、配列番号8(クローニングベクターpHSG398)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
pCG1-ori配列増幅用プライマー
(a-3); 5’- AT AGATCT AGCATGGTCGTCACAGAG -3’ (配列番号9)
(b-3); 5’- AT AGATCT GGAACCGTTATCTGCCTATG -3’ (配列番号10)
尚、プライマー(a-3)及び(b-3)には、BglII制限酵素部位が付加されている。

クローニングベクターpHSG398増幅用プライマー
(a-4); 5’- AT AGATCT GTCGAACGGAAGATCACTTC -3’ (配列番号11)
(b-4); 5’- AT AGATCT AGTTCCACTGAGCGTCAG -3’ (配列番号12)
尚、プライマー(a-4)及び(b-4)には、BglII制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、pCG1 [(特開昭57−134500)] 及びクローニングベクターpHSG398(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、pCG1-ori配列の場合約1.9-kb、クローニングベクターpHSG398の場合、約2.2-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したプラスミドpCG1由来pCG1-ori遺伝子含む約1.9-kb DNA断片10μl及びクローニングベクターpHSG398を含む約2.2-kb DNA断片10μlを各々制限酵素BglIIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1
unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションB液とした。
得られたライゲーションB液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素BglIIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpHSG398約2.2-kbのDNA断片に加え、pCG1-ori配列の約1.9-kb DNA断片が認められた。
pCG1-ori配列を含むクローニングベクターをpCRB11と命名した。
クローニングベクターpCRB15の構築
クローニングベクターpCRB11を含むDNA断片及びpSELECT-zeo-mcs(インビトロジェン株式会社製)由来のゼオシン耐性遺伝子をそれぞれ含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、クローニングベクターpCRB11及びゼオシン耐性遺伝子をそれぞれクローン化するべく、配列番号13(pCRB11)及び配列番号14(ゼオシン耐性遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
クローニングベクターpCRB11配列増幅用プライマー
(a-5); 5’- AT GATATC CGAAGTGATCTTCCGTTCGA -3’ (配列番号15)
(b-5); 5’- AT GATATC AAGGCAGTTATTGGTGCCCT -3’ (配列番号16)
尚、プライマー(a-5)及び(b-5)には、EcoRV制限酵素部位が付加されている。

ゼオシン耐性遺伝子増幅用プライマー
(a-6); 5’- AT GATATC TAGCTTATCCTCAGTCCTGC -3’ (配列番号17)
(b-6); 5’- AT GATATC CCATCCACGCTGTTTTGACA -3’ (配列番号18)
尚、プライマー(a-6)及び(b-6)には、EcoRV制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、クローニングベクターpCRB11及びpSELECT-zeo-mcs(インビトロジェン株式会社製)を用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、クローニングベクターpCRB11配列の場合約3.3-kb、ゼオシン耐性遺伝子の場合約0.5-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したクローニングベクターpCRB11を含む約3.3-kb DNA断片10μl及びpSELECT-zeo-mcsプラスミド由来ゼオシン耐性遺伝子を含む約0.5-kb DNA断片10μlを各々制限酵素EcoRVで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションC液とした。
得られたライゲーションC液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、ゼオシン25μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素EcoRVでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpCRB11由来約3.3-kbのDNA断片に加え、ゼオシン耐性遺伝子の場合、約0.5-kb DNA断片が認められた。
ゼオシン耐性遺伝子を含むクローニングベクターをpCRB15と命名した。
クローニングベクターpCRB207の構築
コリネバクテリウム グルタミカムR由来のグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)をコードするgapA遺伝子のプロモーター配列(以降、PgapAと記す)を含むDNA断片、及びクローニングベクターpKK223-3(ファルマシア社製)由来rrnBT1T2双方向ターミネーター配列(以降、ターミネーター配列と記す)を含むDNA断片を以下の方法により増幅した。
PCRに際して、PgapA配列及びターミネーター配列をそれぞれクローン化するべく、配列番号19(PgapA配列)、配列番号20(ターミネーター配列)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
PgapA配列増幅用プライマー
(a-7);5’- CTCT GTCGAC CCGAAGATCTGAAGATTCCTG -3’(配列番号21)
(b-7);5’- CTCT GTCGAC GGATCC CCATGG TGTGTCTCCTCTAAAGATTGTAGG -3’
(配列番号22)
尚、プライマー(a-7)には、SalI制限酵素部位が、プライマー(b-7)には、SalI、BamHI及びNcoI制限酵素部位が付加されている。

ターミネーター配列増幅用プライマー
(a-8); 5’- CTCT GCATGC CCATGG CTGTTTTGGCGGATGAGAGA -3’
(配列番号23)
(b-8); 5’- CTCT GCATGC TCATGA AAGAGTTTGTAGAAACGCAAAAAGG -3
(配列番号24)
尚、プライマー(a-8)には、SphI及びNcoI制限酵素部位が、プライマー(b-8)には、SphI及びBspHI制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、コリネバクテリウム グルタミカム R (FERM P-18976)から抽出した染色体DNA及びpKK223-3プラスミド(ファルマシア社製)を用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、PgapA配列の場合約0.6-kb、ターミネーター配列の場合、約0.4-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカム R由来PgapA配列を含む約0.6-kb DNA断片10μlとクローニングベクターpCRB22約4.1-kbを各々制限酵素SalIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションD液とした。
得られたライゲーションD液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素SalIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpCRB22約4.1-kbのDNA断片に加え、PgapA配列)の約0.6-kb DNA断片が認められた。
PgapA配列を含むクローニングベクターをpCRB206と命名した。
上記PCRにより増幅したpKK223-3プラスミド由来ターミネーター配列を含む約0.4-kb DNA断片10μlを制限酵素NcoI及びBspHIで、上述のクローニングベクターpCRB206 2μlを制限酵素NcoIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションE液とした。
得られたライゲーションE液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpCRB206約4.7-kbのDNA断片に加え、ターミネーター配列の約0.4-kb DNA断片が認められた。
rrnBT1T2ターミネーター配列を含むクローニングベクターをpCRB207と命名した。
クローニングベクターpCRB209の構築
コリネバクテリウム グルタミカムR由来のgapA(glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase A)遺伝子のプロモーター(以降、PgapAと記す)配列を含むDNA断片を以下の方法により増幅した。
PCRに際して、pCRB207配列をクローン化するべく、配列番号25(pCRB207)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。

pCRB207配列増幅用プライマー
(a-9); 5’- CTCT CATATG CTGTTTTGGCGGATGAGAG -3’(配列番号26)
(b-9); 5’- CTCT CATATG GTGTCTCCTCTAAAGATTGTAGG -3’
(配列番号27)
尚、プライマー(a-9)及び(b-9)にはNdeI制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、gapAプロモーター及びrrnBT1T2ターミネーター配列を含有するクローニングベクターpCRB207を用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(宝酒造株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、クローニングベクターpCRB207配列を含む約5.1-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したpCRB207由来遺伝子を含む約5.1-kb DNA断片10μlを制限酵素NdeIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (宝酒造株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションF液とした。
得られたライゲーションF液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素NdeIで切断し、制限酵素サイトの挿入を確認した。
PgapA配列及びrrnBT1T2ターミネーター配列を含むクローニングベクタ−をpCRB209と命名した。
(3)フェノール生産遺伝子のクローニング
(3-1) DAHPシンテターゼ遺伝子(aroG)
コリネバクテリウム グルタミカム由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
コリネバクテリウム グルタミカム由来のDAHPシンテターゼをコードするaroG遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、aroG遺伝子をクローン化するべく、配列番号28(コリネバクテリウム グルタミカムaroG遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。

aroG遺伝子増幅用プライマー
(a-10); 5’- CTCT CATATG AATAGGGGTGTGAGTTGG -3’
(配列番号29)
(b-10); 5’- CTCT CATATG TTAATTACGCAGCATTTCTGCAACG -3’
(配列番号30)
尚、プライマー(a-10)及び(b-10)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
(3-2) コリスメート-ピルベート リアーゼ遺伝子(ubiC)
エシェリヒア コリ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
エシェリヒア コリ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号31(エシェリヒア コリubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-11); 5’- CTCT CATATG TCACACCCCGCGTTAA -3’ (配列番号32)
(b-11); 5’- CTCT CATATG TTAGTACAACGGTGACGCC -3’(配列番号33)
尚、プライマー(a-11)及び(b-11)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
シュードモナス プチダ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
シュードモナス プチダ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号34(シュードモナス プチダubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-12); 5’- CTCT CATATG TCGTACGAATCCCCG -3’ (配列番号35)
(b-12); 5’- CTCT CATATG TCAGCGGTTTTCCTCCTTG -3’(配列番号36)
尚、プライマー(a-12)及び(b-12)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
アシネトバクター バウマンニ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
アシネトバクター バウマンニ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号81(アシネトバクター バウマンニ ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-29); 5’- CTCT CATATG CGTAAACGACAACCAGTAC -3’ (配列番号94)
(b-29); 5’- CTCT CATATG TCATAGTAATTCCTTGTCGTGCTG -3’(配列番号95)
尚、プライマー(a-29)及び(b-29)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
アゾトバクター ビネランジー由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
アゾトバクター ビネランジー由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号82(アゾトバクター ビネランジー ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-30); 5’- CTCT CATATG ACCGCTGCTCCCG -3’ (配列番号96)
(b-30); 5’- CTCT CATATG TTATAGGGTGTCCGGGTC -3’(配列番号97)
尚、プライマー(a-30)及び(b-30)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
クロモハロバクター サレキシゲンス由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
クロモハロバクター サレキシゲンス由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号83(クロモハロバクター サレキシゲンス ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-31); 5’- CTCT CATATG TCTCCTGACCGCTTC -3’ (配列番号98)
(b-31); 5’- CTCT CATATG TTAGCGCGATGGCAGCG -3’(配列番号99)
尚、プライマー(a-31)及び(b-31)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
シトロバクター コセリ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
シトロバクター コセリ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号84(シトロバクター コセリ
ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-32); 5’- CTCT CATATG TCACACCCTGCGTTAAC -3’ (配列番号100)
(b-32); 5’- CTCT CATATG TTAATACAACGGTGATGCGGG -3’(配列番号101)
尚、プライマー(a-32)及び(b-32)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
シトロバクター ヤンガエ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
シトロバクター ヤンガエ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号85(シトロバクター ヤンガエ ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-33); 5’- CTCT CATATG CCACACCCTGCGTTAA -3’ (配列番号102)
(b-33); 5’- CTCT CATATG TCAGTACAACGGCGATGCA -3’(配列番号103)
尚、プライマー(a-33)及び(b-33)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
エンテロバクター クロアカエ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
エンテロバクター クロアカエ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号86(エンテロバクター クロアカエ ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-34); 5’- CTCT CATATG TCACACCCTGCGCTAA -3’ (配列番号104)
(b-34); 5’- CTCT CATATG TCAGTACAACGGCGATGC -3’(配列番号105)
尚、プライマー(a-34)及び(b-34)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
マリノバクター アクアエオレイ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
マリノバクター アクアエオレイ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号87(マリノバクター アクアエオレイ ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-35); 5’- CTCT CATATG CCGTTAAAGGACTGTGAC -3’(配列番号106)
(b-35); 5’- CTCT CATATG TTAACCCCGGTTGGGC -3’ (配列番号107)
尚、プライマー(a-35)及び(b-35)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
マリノモナス メディテラネア由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
マリノモナス メディテラネア由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号88(マリノモナス メディテラネア ubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-36); 5’- CTCT CATATG ACGTTACTCAATAAAAACGCTG -3’(配列番号108)
(b-36); 5’- CTCT CATATG CTACAGCTGGCCTATGGTA -3’ (配列番号109)
尚、プライマー(a-36)及び(b-36)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
パントエア アナナティス由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
パントエア アナナティス由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号89(パントエア アナナティスubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-37); 5’- CTCT CATATG ACGCAAGACCCGCT -3’ (配列番号110)
(b-37); 5’- CTCT CATATG TTAACCTTGATCACGATAGAGCG -3’(配列番号111)
尚、プライマー(a-37)及び(b-37)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
シュードアルテロモナス ハロプランクティス由来のフェノール生産遺伝子のクローニン
シュードアルテロモナス ハロプランクティス由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号90(シュードアルテロモナス ハロプランクティスubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-38); 5’- CTCT CATATG ATTACTTTCCCTGTTTCATTATCTGC -3’
(配列番号112)
(b-38); 5’- CTCT CATATG TCATGAGTACAAATACGCTCCTG -3’
(配列番号113)
尚、プライマー(a-38)及び(b-38)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
ラルストニア ユートロファ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
ラルストニア ユートロファ由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号91(ラルストニア ユートロファubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-39); 5’- CTCT CATATG AGCGCGCAGTCCG -3’ (配列番号114)
(b-39); 5’- CTCT CATATG TCATCTCGTGGTCTCTTTCTTG -3’(配列番号115)
尚、プライマー(a-39)及び(b-39)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
シューワネラ プトレファシェンス由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
シューワネラ プトレファシェンス由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号92(シューワネラ プトレファシェンスubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-40); 5’- CTCT CATATG AATGTGACTAGCTTAAGCTTCC -3’(配列番号116)
(b-40); 5’- CTCT CATATG TCACTGGCAAATTGCTCGC -3’ (配列番号117)
尚、プライマー(a-40)及び(b-40)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
チオバチルス デニトリフィカンス由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
チオバチルス デニトリフィカンス由来のコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する遺伝子をコードするubiC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ubiC遺伝子をクローン化するべく、配列番号93(チオバチルス デニトリフィカンスubiC遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ubiC遺伝子増幅用プライマー
(a-41); 5’- CTCT CATATG ATCGCCACGCGCG -3’ (配列番号118)
(b-41); 5’- CTCT CATATG TCATGGCGTTAATAGGGCG -3’(配列番号119)
尚、プライマー(a-41)及び(b-41)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
(3-3) 4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ遺伝子(bsdBCD/dca)
バチラス サブチリス由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
バチラス サブチリス由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするbsdBCD遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、bsdBCD遺伝子をクローン化するべく、配列番号37(バチラスサブチリスbsdBCD遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
bsdBCD遺伝子増幅用プライマー
(a-13); 5’- CTCT CATATG AAAGCAGAATTCAAGCGTAAAG -3’(配列番号38)
(b-13); 5’- CTCT CATATG GATCAAGCCTTTCGTTCCG -3’ (配列番号39)
尚、プライマー(a-13)及び(b-13)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
バチラス アトロファエウス由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
バチラス アトロファエウス由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号44(バチラス アトロファエウス dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-16); 5’- CTCT CATATG AAACTCGTTGTCGGGATG -3’ (配列番号45)
(b-16); 5’- CTCT CATATG TCAGGCCTTTCTTTCC -3’ (配列番号46)
尚、プライマー(a-16)及び(b-16)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号47(バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-17); 5’- CTCT CATATG AAAGCAGAATTCAAGCGTAAAG -3’(配列番号48)
(b-17); 5’- CTCT CATATG TCAAGCCTTTCGTTCCGG -3’ (配列番号49)
尚、プライマー(a-17)及び(b-17)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
シトロバクター コセリ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
シトロバクター コセリ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号50(シトロバクター コセリ dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-18); 5’- CTCT CATATG AGACTGATTGTGGGGATG -3’ (配列番号51)
(b-18); 5’- CTCT CATATG TTAACGCTTATCTTCCGCCAG -3’(配列番号52)
尚、プライマー(a-18)及び(b-18)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
エンテロバクター アエロゲネス由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
エンテロバクター アエロゲネス由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号53(エンテロバクター アエロゲネス dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-19); 5’- CTCT CATATG AAACTGATTATTGGGATGACCG -3’(配列番号54)
(b-19); 5’- CTCT CATATG TTAACGCTTATCTGCCGCC -3’ (配列番号55)
尚、プライマー(a-19)及び(b-19)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
エンテロバクター クロアカエ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
エンテロバクター クロアカエ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号56(エンテロバクター クロアカエ dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-20); 5’- CTCT CATATG AGATTGATCGTGGGAATGAC -3’(配列番号57)
(b-20); 5’- CTCT CATATG TTACAGCAATGGCGGAATGG -3’(配列番号58)
尚、プライマー(a-20)及び(b-20)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
エンテロバクター ホルメシェイ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
エンテロバクター ホルメシェイ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号59(エンテロバクター ホルメシェイ dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-21); 5’- CTCT CATATG AGATTGATTGTGGGAATGAC -3’ (配列番号60)
(b-21); 5’- CTCT CATATG GAGTCTGGTTTAGTTCTCTGC -3’(配列番号61)
尚、プライマー(a-21)及び(b-21)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
エンテロバクター サカザキ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
エンテロバクター サカザキ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号62(エンテロバクター サカザキ dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-22); 5’- CTCT CATATG AGGCTAATTGTCGGAATGAC -3’(配列番号63)
(b-22); 5’- CTCT CATATG TTAACGCTTACCATCCGCC -3’ (配列番号64)
尚、プライマー(a-22)及び(b-22)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
エシェリヒア コリ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
エシェリヒア コリ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号65(エシェリヒア コリ dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-23); 5’- CTCT CATATG AAACTGATCGTCGGGATG -3’(配列番号66)
(b-23); 5’- CTCT CATATG TTAGCGCTTACCTTCCGC -3’(配列番号67)
尚、プライマー(a-23)及び(b-23)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
エシェリヒア フェルグソニー由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
エシェリヒア フェルグソニー由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号68(エシェリヒアフェルグソニー dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-24); 5’- CTCT CATATG AGACTGATCGTCGGGAT -3’ (配列番号69)
(b-24); 5’- CTCT CATATG TTAGCGCTTATCTGCCGC -3’(配列番号70)
尚、プライマー(a-24)及び(b-24)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
パエニバチラス ポリミキサ由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
パエニバチラス ポリミキサ由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号71(パエニバチラス ポリミキサ dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-25); 5’- CTCT CATATG AAGAAAATCATTGTAGGAATATCGG -3’
(配列番号72)
(b-25); 5’- CTCT CATATG CTATATCCGCTCTGGAATAGG -3’
(配列番号73)
尚、プライマー(a-25)及び(b-25)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
パントエア アナナティス由来のフェノール生産遺伝子のクローニング
パントエア アナナティス由来の4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する遺伝子をコードするdca遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、dca遺伝子をクローン化するべく、配列番号74(パントエア アナナティス dca遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
dca遺伝子増幅用プライマー
(a-26); 5’- CTCT CATATG AGTAGATTACTGTTAATTTCATTCGTAC -3
(配列番号75)
(b-26); 5’- CTCT CATATG TTACTTAGCTAACAGAGGAGGG -3’
(配列番号76)
尚、プライマー(a-26)及び(b-26)には、NdeI制限酵素部位が付加されている。
(3-4) 条件
鋳型DNAは、コリネバクテリウム グルタミカムは、コリネバクテリウム グルタミカムRから抽出した染色体DNAを用いた。
エシェリヒア コリは、エシェリヒア コリ K12 MG1655から抽出した染色体DNAを用いた。
シュードモナス プチダは、American Type Culture Collection (ATCC)より入手したシュードモナス プチダ ATCC 47054から抽出した染色体DNAを用いた。
アシネトバクター バウマンニは、Japan Collection of Microorganisms(JCM)より入手したアシネトバクター バウマンニ JCM 6841から抽出した染色体DNAを用いた。
アゾトバクター ビネランジーは、American Type Culture Collection (ATCC)より入手したアゾトバクター ビネランジー ATCC 9104から抽出した染色体DNAを用いた。
クロモハロバクター サレキシゲンスは、American Type Culture Collection (ATCC)より入手したクロモハロバクター サレキシゲンス ATCC BAA-138から抽出した染色体DNAを用いた。
シトロバクター ヤンガエは、American Type Culture Collection (ATCC)より入手したシトロバクター ヤンガエ ATCC 29220から抽出した染色体DNAを用いた。
マリノバクター アクアエオレイAmerican Type Culture Collection (ATCC)より入手したマリノバクター アクアエオレイ染色体DNA(catalog No. 700491D-5)を用いた。
マリノモナス メディテラネアは、NITE(National Institute of Technology and Evaluation) Biological Resource Center(NBRC)より入手したマリノモナス メディテラネアNBRC 103028から抽出した染色体DNAを用いた。
シュードアルテロモナス ハロプランクティスは、NITE(National Institute of Technology and Evaluation) Biological Resource Center(NBRC)より入手したシュードアルテロモナス ハロプランクティス NBRC 102225から抽出した染色体DNAを用いた。
ラルストニア ユートロファは、Institute of Applied Microbiology Culture Collection (IAM)より入手したラルストニア ユートロファ(Ralstonia eutropha)IAM12368の染色体DNAを用いた。
シューワネラ プトレファシェンスは、Japan Collection of Microorganisms(JCM)より入手したシューワネラ プトレファシェンス JCM 20190から抽出した染色体DNAを用いた。
チオバチルス デニトリフィカンスは、American Type Culture Collection (ATCC)より入手したチオバチルス デニトリフィカンス ATCC 25259から抽出した染色体DNAを用いた。
バチラス サブチリスは、NITE(National Institute of Technology and Evaluation)
Biological Resource Center(NBRC)より入手したバチラス サブチリス NBRC 14144から抽出した染色体DNAを用いた。
バチラス アトロファエウスは、Japan Collection of Microorganisms(JCM)より入手したバチラス アトロファエウス JCM 9070から抽出した染色体DNAを用いた。
バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイは、NITE(National Institute of Technology and Evaluation) Biological Resource Center(NBRC)より入手したバチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイNBRC 101239から抽出した染色体DNAを用いた。
シトロバクター コセリは、American Type Culture Collection (ATCC)より入手したシトロバクター コセリ染色体DNA(catalog No. BAA-895D-5)を用いた。
エンテロバクター アエロゲネスは、NITE(National Institute of Technology and Evaluation) Biological Resource Center(NBRC)より入手したエンテロバクター アエロゲネスNBRC 13534から抽出した染色体DNAを用いた。
エンテロバクター クロアカエは、NITE(National Institute of Technology and Evaluation) Biological Resource Center(NBRC)より入手したエンテロバクター クロアカエNBRC 13535から抽出した染色体DNAを用いた。
エンテロバクター ホルメシェイは、American Type Culture Collection (ATCC)より入手したエンテロバクター ホルメシェイATCC 49162から抽出した染色体DNAを用いた。
エンテロバクター サカザキは、American Type Culture Collection (ATCC)より入手したエンテロバクター サカザキ染色体DNA(catalog No. BAA-894D-5)を用いた。
エシェリヒア コリ Wは、NITE(National Institute of Technology and Evaluation)
Biological Resource Center(NBRC)より入手したエシェリヒア コリNBRC 13500から抽出した染色体DNAを用いた。
エシェリヒア フェルグソニーは、NITE(National Institute of Technology and Evaluation) Biological Resource Center(NBRC)より入手したエシェリヒア フェルグソニーNBRC 102419から抽出した染色体DNAを用いた。
パエニバチラス ポリミキサは、NITE(National Institute of Technology and Evaluation) Biological Resource Center(NBRC)より入手したパエニバチラス ポリミキサNBRC 15309から抽出した染色体DNAを用いた。
パントエア アナナティスは、BCCM/LMG(Belgian Coordinated Collections of Microorganisms / Laboratory for Microbiology, University of Gent)より入手したパントエア アナナティスLMG 20103から抽出した染色体DNAを用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
*) コリネバクテリウム グルタミカムaroG遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-10) と (b-10) の組み合わせ、エシェリヒア コリubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-11) と (b-11) の組み合わせ、シュードモナス プチダ ubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-12) と (b-12) の組み合わせ、アシネトバクター バウマンニ ubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-29) と (b-29) の組み合わせ 、アゾトバクター ビネランジーubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-30) と (b-30) の組み合わせ 、クロモハロバクター サレキシゲンスubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-31) と (b-31) の組み合わせ 、シトロバクター コセリubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-32) と (b-32) の組み合わせ 、シトロバクター ヤンガエubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-33) と (b-33) の組み合わせ 、エンテロバクター クロアカエubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-34) と (b-34) の組み合わせ 、マリノバクター アクアエオレイubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-35) と (b-35) の組み合わせ 、マリノモナス メディテラネアubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-36) と (b-36) の組み合わせ 、パントエア アナナティスubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-37) と (b-37) の組み合わせ 、シュードアルテロモナス ハロプランクティスubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-38) と (b-38) の組み合わせ 、ラルストニア ユートロファubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-39) と (b-39) の組み合わせ 、シューワネラ プトレファシェンスubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-40) と (b-40) の組み合わせ、チオバチルス デニトリフィカンスubiC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-41) と (b-41) の組み合わせ、バチラス サブチリスbsdBCD遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-13) と (b-13) の組み合わせ、バチラス アトロファエウスdca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-16)と (b-16)の組み合わせ、バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ dca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-17)と (b-17)の組み合わせ、シトロバクター コセリ dca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-18)と (b-18)の組み合わせ、エンテロバクター アエロゲネス dca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-19)と (b-19)の組み合わせ、エンテロバクター クロアカエ dca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-20)と (b-20)の組み合わせ、エンテロバクター ホルメシェイ dca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-21)と (b-21)の組み合わせ、エンテロバクター サカザキ dca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-22)と (b-22)の組み合わせ、エシェリヒア コリ W dca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-23)と (b-23)の組み合わせ、エシェリヒア
フェルグソニー dca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-24)と (b-24)の組み合わせ、パエニバチラス ポリミキサ dca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-25)と (b-25)の組み合わせ、パントエア アナナティス dca遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-26)と (b-26)の組み合わせで行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、コリネバクテリウム グルタミカムaroG遺伝子の場合約1.4-kb、エシェリヒア コリubiC遺伝子の場合約0.5-kb、シュードモナス プチダ ubiC遺伝子の場合約0.6-kb、アシネトバクター バウマンニ ubiC遺伝子の場合約0.5-kb、アゾトバクター ビネランジーubiC遺伝子の場合約0.6-kb、クロモハロバクター サレキシゲンスubiC遺伝子の場合約0.6-kb、シトロバクター コセリubiC遺伝子の場合約.5-0kb、シトロバクター ヤンガエubiC遺伝子の場合約0.5-kb、エンテロバクター クロアカエubiC遺伝子の場合約0.5-kb、マリノバクター アクアエオレイubiC遺伝子の場合約0.6-kb、マリノモナス メディテラネアubiC遺伝子の場合約0.5-kb、パントエア アナナティスubiC遺伝子の場合約0.5-kb、シュードアルテロモナス ハロプランクティスubiC遺伝子の場合約0.5-kb、ラルストニア ユートロファubiC遺伝子の場合約0.7-kb、シューワネラ プトレファシェンスubiC遺伝子の場合約0.6-kb、チオバチルス デニトリフィカンスubiC遺伝子の場合約0.6-kb、バチラス サブチリスbsdBCD遺伝子の場合約2.3-kb、バチラス アトロファエウス bsdBCD遺伝子の場合約2.3-kb、バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ dca遺伝子の場合約2.3-kb、シトロバクター コセリ dca遺伝子の場合約2.3-kb、エンテロバクター アエロゲネス dca遺伝子の場合約2.3-kb、エンテロバクター クロアカエdca遺伝子の場合約2.3-kb、エンテロバクター ホルメシェイdca遺伝子の場合約2.4-kb、エンテロバクター サカザキ dca遺伝子の場合約2.3-kb、エシェリヒア コリ W dca遺伝子の場合約2.3-kb、エシェリヒア フェルグソニー dca遺伝子の場合約2.3-kb、パエニバチラス ポリミキサ dca遺伝子の場合約2.3-kb、パントエア アナナティス dca遺伝子の場合約2.3-kbのDNA断片が検出できた。
(4) フェノール生産遺伝子発現プラスミドの構築
フェノール生産遺伝子のpCRB209へのクローニング
上記項(3)に示したPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカム株由来aroG遺伝子を含む約1.4-kb DNA断片、エシェリヒア コリ株由来ubiC遺伝子を含む約0.5-kb DNA断片、シュードモナス プチダ 株由来ubiC遺伝子を含む約0.6-kb DNA断片、アシネトバクター バウマンニ株由来ubiC遺伝子を含む約0.5-kb DNA断片、アゾトバクター ビネランジー株由来ubiC遺伝子を含む約0.6-kb DNA断片、クロモハロバクター サレキシゲンス株由来ubiC遺伝子を含む約0.6-kb DNA断片、シトロバクター コセリ株由来ubiC遺伝子を含む約.5-0kb DNA断片、シトロバクター ヤンガエ株由来ubiC遺伝子を含む約0.5-kb DNA断片、エンテロバクター クロアカエ株由来ubiC遺伝子を含む約0.5-kb DNA断片、マリノバクター アクアエオレイ株由来ubiC遺伝子を含む約0.6-kb DNA断片、マリノモナス メディテラネア株由来ubiC遺伝子を含む約0.5-kb DNA断片、パントエア アナナティス株由来ubiC遺伝子を含む約0.5-kb DNA断片、シュードアルテロモナス ハロプランクティス株由来ubiC遺伝子を含む約0.5-kb DNA断片、ラルストニア ユートロファ株由来ubiC遺伝子を含む約0.7-kb DNA断片、シューワネラ プトレファシェンス株由来ubiC遺伝子を含む約0.6-kb DNA断片、チオバチルス デニトリフィカンス株由来ubiC遺伝子を含む約0.6-kb DNA断片、バチラス サブチリス株由来bsdBCD遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片、バチラス アトロファエウス株由来 dca遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片、バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ株由来 dca遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片、シトロバクター コセリ株由来 dca遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片、エンテロバクター アエロゲネス株由来 dca遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片、エンテロバクター クロアカエ株由来 dca遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片、エンテロバクター ホルメシェイ株由来 dca遺伝子を含む約2.4-kb DNA断片、エンテロバクター サカザキ株由来 dca遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片、エシェリヒア コリ W株由来
dca遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片、エシェリヒア フェルグソニー株由来 dca遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片、パエニバチラス ポリミキサ株由来 dca遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片、パントエア アナナティス株由来 dca遺伝子を含む約2.3-kb DNA断片のそれぞれ10μl及びPgapAプロモーターを含有するクローニングベクターpCRB209 2μlを各々制限酵素NdeIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションG液、H液、I液、AA液、AB液、AC液、AD液、AE液、AF液、AG液、AH液、AI液、AJ液、AK液、AL液、AM液、J液、O液、P液、Q液、R液、S液、T液、U液、V液、W液、X液、及びY液とした。
得られた28種のライゲーションG液、H液、I液、AA液、AB液、AC液、AD液、AE液、AF液、AG液、AH液、AI液、AJ液、AK液、AL液、AM液、J液、O液、P液、Q液、R液、S液、T液、U液、V液、W液、X液、及びY液それぞれを、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
各々培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素でそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB209約5.1-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来aroG遺伝子(ライゲーションG液)の場合、長さ約1.4-kbの挿入断片が、エシェリヒア コリ株由来ubiC遺伝子(ライゲーションH液)の場合、長さ約0.5-kbの挿入断片が、シュードモナス プチダ株由来ubiC遺伝子(ライゲーションI液)の場合、長さ約0.6-kbの挿入断片が、アシネトバクター バウマンニ株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAA液)の場合、長さ約0.5-kbが、アゾトバクター ビネランジー株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAB液)の場合、長さ約0.6-kbが、クロモハロバクター サレキシゲンス株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAC液)の場合、長さ約0.6-kbが、シトロバクター コセリ株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAD液)の場合、長さ約0.5-kbが、シトロバクター ヤンガエ株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAE液)の場合、長さ約0.5-kbが、エンテロバクター クロアカエ株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAF液)の場合、長さ約0.5-kbが、マリノバクター アクアエオレイ株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAG液)の場合、長さ約0.6-kbが、マリノモナス メディテラネア株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAH液)の場合、長さ約0.5-kbが、パントエア アナナティス株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAI液)の場合、長さ約0.5-kbが、シュードアルテロモナス ハロプランクティス株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAJ液)の場合、長さ約0.5-kbが、ラルストニア ユートロファ株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAK液)の場合、長さ約0.7-kbが、シューワネラ プトレファシェンス株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAL液)の場合、長さ約0.6-kbが、チオバチルス デニトリフィカンス株由来 ubiC遺伝子(ライゲーションAM液)の場合、長さ約0.6-kbが、バチラス サブチリス株由来bsdBCD遺伝子(ライゲーションJ液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が、バチラス アトロファエウス株由来 dca遺伝子(ライゲーションO液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が、バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ株由来 dca遺伝子(ライゲーションP液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が、シトロバクター コセリ株由来 dca遺伝子(ライゲーションQ液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が、エンテロバクター アエロゲネス株由来 dca遺伝子(ライゲーションR液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が、エンテロバクター クロアカエ株由来 dca遺伝子(ライゲーションS液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が、エンテロバクター ホルメシェイ株由来 dca遺伝子(ライゲーションT液)の場合、長さ約2.4-kbの挿入断片が、エンテロバクター サカザキ株由来 dca遺伝子(ライゲーションU液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が、エシェリヒア コリ W株由来 dca遺伝子(ライゲーションV液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が、エシェリヒア フェルグソニー株由来 dca遺伝子(ライゲーションW液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が、パエニバチラス ポリミキサ株由来 dca遺伝子(ライゲーションX液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が、パントエア アナナティス株由来 dca遺伝子(ライゲーションY液)の場合、長さ約2.3-kbが認められた。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来aroG遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-aroG/CG、エシェリヒア コリ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/EC、シュードモナス プチダ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/PP、アシネトバクター
バウマンニ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/ACB、アゾトバクター ビネランジー株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/AVN、クロモハロバクター
サレキシゲンス株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/CSA、シトロバクター コセリ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/CKO、シトロバクター ヤンガエ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/CIT、エンテロバクター クロアカエ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/ECL、マリノバクター アクアエオレイ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/MAQ、マリノモナス メディテラネア株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/MME、パントエア アナナティス株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/PAM、シュードアルテロモナス ハロプランクティス株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/PHA、ラルストニア
ユートロファ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/REH、シューワネラ プトレファシェンス株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/SPC、チオバチルス
デニトリフィカンス株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-ubiC/TBD、バチラス サブチリス株由来bsdBCD遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-bsdBCD/BS、バチラス アトロファエウス株由来 dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/BAE、バチラス サブチリス
亜種 スピジゼニイ株由来 dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/BSS、シトロバクター コセリ株由来 dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/CKO、エンテロバクター アエロゲネス株由来 dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/EAE、エンテロバクター クロアカエ株由来 dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/ECL、エンテロバクター ホルメシェイ株由来 dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/EHO、エンテロバクター サカザキ株由来 dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/ESA、エシェリヒア コリ W株由来 dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/ECK、エシェリヒア フェルグソニー株由来
dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/EFE、パエニバチラス ポリミキサ株由来 dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/PPY、パントエア アナナティス株由来 dca遺伝子を含むプラスミドをpCRB209-dca/PAMとそれぞれ命名した。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来aroG遺伝子を含むプラスミドpCRB209-aroG/CG、エシェリヒア コリ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドpCRB209-ubiC/EC、シュードモナス プチダ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドpCRB209-ubiC/PP、バチラス サブチリス株由来bsdBCD遺伝子を含むプラスミドpCRB209-bsdBCD/BSの構築を図1に示す。
フェノール生産遺伝子のpCRB1へのクローニング
上述のプラスミドpCRB209-ubiC/EC、pCRB209-ubiC/PP、pCRB209-ubiC/ACB、pCRB209-ubiC/AVN、pCRB209-ubiC/CSA、pCRB209-ubiC/CKO、pCRB209-ubiC/CIT、pCRB209-ubiC/ECL、pCRB209-ubiC/MAQ、pCRB209-ubiC/MME、pCRB209-ubiC/PAM、pCRB209-ubiC/PHA及びpCRB209-ubiC/SPCを制限酵素SalIで切断し、アガロース電気泳動後、アガロースゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(株式会社キアゲン社製)によって回収したgapAプロモーターとエシェリヒア コリ株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.5-kbのDNA断片、gapAプロモーターとシュードモナス プチダ株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.6-kbのDNA断片、gapAプロモーターとアシネトバクター バウマンニ株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.5-kbのDNA断片、gapAプロモーターとアゾトバクター ビネランジー株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.6-kbのDNA断片、gapAプロモーターとクロモハロバクター サレキシゲンス株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.6-kbのDNA断片、gapAプロモーターとシトロバクター コセリ株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.5-kbのDNA断片、gapAプロモーターとシトロバクター ヤンガエ株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.5-kbのDNA断片、gapAプロモーターとエンテロバクター クロアカエ株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.5-kbのDNA断片、gapAプロモーターとマリノバクター アクアエオレイ株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.6-kbのDNA断片、gapAプロモーターとマリノモナス メディテラネア株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.5-kbのDNA断片、gapAプロモーターとパントエア アナナティス株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.5-kbのDNA断片、gapAプロモーターとシュードアルテロモナス ハロプランクティス株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.5-kbのDNA断片、gapAプロモーターとシューワネラ プトレファシェンス株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.6-kbのDNA断片とSalIで切断したクローニングベクターpCRB1 〔Nakata, K. et al., Vectors for the genetics engineering of corynebacteria; in Saha, B.C. (ed.):Fermentation Biotechnology, ACS Symposium Series 862. Washington, American Chemical Society : 175-191 (2003)〕約4.1-kbを70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させたDNA断片を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションK液、L液、AN液、AO液、AP液、AQ液、AR液、AS液、AT液、AU液、AV液、AW液及びAX液とした。
また、同様に、上述のプラスミドpCRB209-ubiC/REH及びpCRB209-ubiC/TBDを制限酵素BamHIで切断し、アガロース電気泳動後、アガロースゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(株式会社キアゲン社製)によって回収したgapAプロモーターとラルストニア ユートロファ株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.7-kbのDNA断片、gapAプロモーターとチオバチルス デニトリフィカンス株由来ubiC遺伝子とターミネーター配列を連結した約1.6-kbのDNA断片とBamHIで切断したクローニングベクターpCRB1 〔Nakata, K. et al., Vectors for the genetics engineering of corynebacteria; in Saha, B.C. (ed.):Fermentation Biotechnology, ACS Symposium Series 862. Washington, American Chemical Society : 175-191 (2003)〕約4.1-kbを70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させたDNA断片を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションAY液及びAZ液とした。
得られたライゲーションK液、L液、AN液、AO液、AP液、AQ液、AR液、AS液、AT液、AU液、AV液、AW液、AX液、AY液及びAZ液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素SalIまたはBamHIで切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB1約4.1-kbのDNA断片に加え、エシェリヒア コリ株由来ubiC遺伝子(ライゲーションK液)の場合、長さ約1.5-kbの挿入断片、シュードモナス プチダ株由来ubiC遺伝子(ライゲーションL液)の場合、長さ約1.6-kbの挿入断片、アシネトバクター バウマンニ株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAN液)の場合、長さ約1.5-kbの挿入断片、アゾトバクター ビネランジー株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAO液)の場合、長さ約1.6-kbの挿入断片、クロモハロバクター サレキシゲンス株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAP液)の場合、長さ約1.6-kbの挿入断片、シトロバクター コセリ株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAQ液)の場合、長さ約1.5-kbの挿入断片、シトロバクター ヤンガエ株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAR液)の場合、長さ約1.5-kbの挿入断片、エンテロバクター クロアカエ株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAS液)の場合、長さ約1.5-kbの挿入断片、マリノバクター アクアエオレイ株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAT液)の場合、長さ約1.6-kbの挿入断片、マリノモナス メディテラネア株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAU液)の場合、長さ約1.5-kbの挿入断片、パントエア アナナティス株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAV液)の場合、長さ約1.5-kbの挿入断片、シュードアルテロモナス ハロプランクティス株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAW液)の場合、長さ約1.5-kbの挿入断片、ラルストニア ユートロファ株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAY液)の場合、長さ約1.7-kbの挿入断片、シューワネラ プトレファシェンス株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAX液)の場合、長さ約1.6-kbの挿入断片、チオバチルス デニトリフィカンス株由来ubiC遺伝子(ライゲーションAZ液)の場合、長さ約1.6-kbの挿入断片が認められた。
エシェリヒア コリ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/EC、シュードモナス プチダ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/PPとそれぞれ命名した(図2)。アシネトバクター バウマンニ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/ACB、アゾトバクター ビネランジー株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/AVN、クロモハロバクター サレキシゲンス株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/CSA、シトロバクター コセリ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/CKO、シトロバクター ヤンガエ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/CIT、エンテロバクター クロアカエ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/ ECL、マリノバクター
アクアエオレイ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/MAQ、マリノモナス メディテラネア株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/MME、パントエア アナナティス株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/PAM、シュードアルテロモナス ハロプランクティス株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/PHA、ラルストニア
ユートロファ株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/REH、シューワネラ プトレファシェンス株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/SPC、チオバチルス デニトリフィカンス株由来ubiC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ubiC/TBDとそれぞれ命名した。
フェノール生産遺伝子のpCRB15へのクローニング
上述のプラスミドpCRB209-aroG/CGを制限酵素BamHIで切断し、アガロース電気泳動後、アガロースゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(株式会社キアゲン社製)によって回収したgapAプロモーターとコリネバクテリウム グルタミカム株由来aroG遺伝子及びターミネーター配列を連結した約2.4-kbのDNA断片とBamHIで切断した上述のプラスミドpCRB15約3.8-kbを70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させたDNA断片を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションM液とした。
得られたライゲーションM液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、ゼオシン 25μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素BamHIで切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB15約3.8-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来aroG遺伝子(ライゲーションM液)の場合、長さ約2.4-kbの挿入断片が認められた。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来aroG遺伝子を含むプラスミドをpCRB15-aroG/CGと命名した(図3)。
(5) コリネバクテリウム グルタミカムの染色体遺伝子破壊用プラスミドの構築
コリネバクテリウム グルタミカム株pobA遺伝子破壊用プラスミドの構築
コリネバクテリウム グルタミカム株の染色体上pobA遺伝子のマーカーレス破壊用プラスミドを構築するために必要なDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際してコリネバクテリウム グルタミカム Rの配列を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
pobA-1領域増幅用プライマー
(a-14); 5’- CTCT TCTAGA GAAACGATCAAGTGCACCAG -3’(配列番号40)
(b-14); 5’- GACACGAGCGTTTATACCTCTAATTGCCACTGGTACGTGG -3’
(配列番号41)
尚、プライマー(a-14)には、XbaI制限酵素部位が付加されている。

pobA-2領域増幅用プライマー
(a-15); 5’- GAGGTATAAACGCTCGTGTC -3’ (配列番号42)
(b-15); 5’- CTCT GAGCTC GAGAACACGAACCATACGAG -3 (配列番号43)
尚、プライマー(b-15)には、SacI制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、コリネバクテリウム グルタミカムRから抽出した染色体DNAを用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、コリネバクテリウム グルタミカムコリpobA-1領域の場合約1.0-kb、pobA-2領域の場合約1.0-kbのDNA断片が検出できた。
次に、上記のPCRにより増幅したpobA-1領域断片とpobA-2領域断片を1μlずつ混合し、PCRにより2種の断片の結合反応を行った。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
さらに、得られたpobA-1及びpobA -2の結合断片を鋳型とし、PCRによりpobA欠失断片の増幅を行った。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、pobA欠失断片約2.0が検出できた。
上記のPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカム R由来pobA欠失配列約2.0 DNA断片10μlと約4.4-kbのマーカーレス染色体遺伝子導入用プラスミドpCRA725 [J. Mol.
Microbiol. Biotechnol.、Vol. 8、243-254(2004) 、(特開2006-124440)] 2μlを各々制限酵素XbaI及びSacIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションN液とした。
得られたライゲーションN液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素XbaI及びSacIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRA725約4.4-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来pobA欠失遺伝子(ライゲーションN液)の場合、長さ約2.0-kbの挿入断片が認められた。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来pobA欠失遺伝子を含むプラスミドをpCRA725-pobA/CGと命名した。
コリネバクテリウム グルタミカム株poxF遺伝子破壊用プラスミドの構築
コリネバクテリウム グルタミカム株の染色体上poxF遺伝子のマーカーレス破壊用プラスミドを構築するために必要なDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際してコリネバクテリウム グルタミカム Rの配列を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
poxF-1領域増幅用プライマー
(a-27); 5’- CTCT TCTAGA TACGTCCTAAACACCCGAC -3’(配列番号77)
(b-27); 5’- GACCAACCATTGCTGACTTGCGTATCCATAGTCAGGCTTC -3’
(配列番号78)
尚、プライマー(a-27)には、XbaI制限酵素部位が付加されている。

poxF-2領域増幅用プライマー
(a-28); 5’- CAAGTCAGCAATGGTTGGTC -3’ (配列番号79)
(b-28); 5’- CTCT TCTAGA TGATCAGTACCAAGGGTGAG -3’(配列番号80)
尚、プライマー(b-28)には、XbaI制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、コリネバクテリウム グルタミカムRから抽出した染色体DNAを用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、コリネバクテリウム グルタミカムpoxF-1領域の場合約0.8-kb、poxF-2領域の場合約0.8-kbのDNA断片が検出できた。
次に、上記のPCRにより増幅したpoxF-1領域断片とpoxF-2領域断片を1μlずつ混合し、PCRにより2種の断片の結合反応を行った。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
さらに、得られたpoxF-1及びpoxF-2の結合断片を鋳型とし、PCRによりpoxF欠失断片の増幅を行った。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、poxF欠失断片約1.6-kbが検出できた。
上記のPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカム R由来poxF欠失配列約1.7-kb DNA断片10μlと約4.4-kbのマーカーレス染色体遺伝子導入用プラスミドpCRA725 [J. Mol. Microbiol. Biotechnol., Vol. 8, 243-254(2004) 、(特開2006-124440)] 2μlを各々制限酵素XbaIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションZ液とした。
得られたライゲーションZ液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素XbaIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRA725約4.4-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来pheA欠失遺伝子(ライゲーションZ液)の場合、長さ約1.7-kbの挿入断片が認められた。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来poxF欠失遺伝子を含むプラスミドをpCRA725-poxF/CGと命名した。
(6) 4-ヒドロキシベンゾエート分解に関わる遺伝子破壊株の構築
マーカーレス染色体遺伝子導入用ベクターpCRA725は、コリネバクテリウム グルタミカムR内で複製不能なプラスミドである。pCRA725-pobA/CGを用いて、電気パルス法 [Agric.
Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムRを形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むA寒天培地〔A液体培地、および1.5% 寒天〕に塗布した。上記の培地で得られた一重交叉株を、10%(W/V)スクロース含有BT寒天培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v)
MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 mlを蒸留水1Lに溶解、および1.5% 寒天]に塗付した。
プラスミドpCRA725-pobA/CGが染色体上の相同領域との一重交叉株の場合、pCRA725-pobA/CG上のカナマイシン耐性遺伝子の発現によるカナマイシン耐性と、バチラス サブチリス(Bacillus subtilis)のsacR-sacB遺伝子の発現によるスクロース含有培地での致死性を示すのに対し、二重交叉株の場合、pCRA725-pobA/CG上のカナマイシン耐性遺伝子の脱落によるカナマイシン感受性と、sacR-sacB遺伝子の脱落によるスクロース含有培地での生育性を示す。従って、マーカーレス染色体遺伝子破壊株は、カナマイシン感受性及びスクロース含有培地生育性を示す。
そこで、カナマイシン感受性及びスクロース含有培地生育性を示した株を選択した。このコリネバクテリウム グルタミカムR株pobA遺伝子マーカーレス破壊株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ΔpobAと命名した。
コリネバクテリウム グルタミカム株pobA、poxF遺伝子破壊株の構築
マーカーレス染色体遺伝子導入用ベクターpCRA725は、コリネバクテリウム グルタミカムR内で複製不能なプラスミドである。pCRA725-poxF/CGを用いて、電気パルス法 [Agric.
Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムΔpobA株を形質転換し、カナマイシン 50μg/mlを含むA寒天培地〔A液体培地、および1.5% 寒天〕に塗布した。上記の培地で得られた一重交叉株を、10%(W/V)スクロース含有BT寒天培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 mlを蒸留水1Lに溶解、および1.5% 寒天]に塗付した。
プラスミドpCRA725-poxF/CGが染色体上の相同領域との一重交叉株の場合、pCRA725-poxF/CG上のカナマイシン耐性遺伝子の発現によるカナマイシン耐性と、バチラス サブチリス(Bacillus subtilis)のsacR-sacB遺伝子の発現によるスクロース含有培地での致死性を示すのに対し、二重交叉株の場合、pCRA725-poxF/CG上のカナマイシン耐性遺伝子の脱落によるカナマイシン感受性と、sacR-sacB遺伝子の脱落によるスクロース含有培地での生育性を示す。従って、マーカーレス染色体遺伝子破壊株は、カナマイシン感受性及びスクロース含有培地生育性を示す。
そこで、カナマイシン感受性及びスクロース含有培地生育性を示した株を選択した。このコリネバクテリウム グルタミカムΔpobA株poxF遺伝子マーカーレス破壊株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ΔpobAΔpoxFと命名した。
(7) フェノール生産遺伝子導入株の構築
(7-1) コリネバクテリウム グルタミカム野生株、及びΔpobA株の形質転換
上述のプラスミドpCRB1-ubiC/EC及びpCRB209-bsdBCD/BSを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムR株及びコリネバクテリウム グルタミカムΔpobA株を形質転換し、クロラムフェニコール5μg/ml及びカナマイシン50μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら2種類のプラスミドは、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ubiC/EC及びpCRB209-bsdBCD/BSの導入が認められた。R株に導入した株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)PHE11、ΔpobA株に導入した株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)PHE13と命名した。
上述のプラスミドpCRB1-ubiC/EC、pCRB209-bsdBCD/BS及びpCRB15-aroG/CGを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol.
144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムR株及びコリネバクテリウム グルタミカムΔpobA株を形質転換し、クロラムフェニコール5μg/ml、カナマイシン50μg/ml及びゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら3種類のプラスミドは、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ubiC/EC、pCRB209-bsdBCD/BS及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた。R株に導入した株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)PHE12、ΔpobA株に導入した株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)PHE14と命名した。
上述のプラスミドpCRB1-ubiC/PP及びpCRB209-bsdBCD/BSを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem., Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol., Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムR株及びコリネバクテリウム グルタミカムΔpobA株を形質転換し、クロラムフェニコール5μg/ml及びカナマイシン50μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら2種類のプラスミドは、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ubiC/PP及びpCRB209-bsdBCD/BSの導入が認められた。R株に導入した株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)PHE15、ΔpobA株に導入した株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)PHE17と命名した。
上述のプラスミドpCRB1-ubiC/PP、pCRB209-bsdBCD/BS及びpCRB15-aroG/CGを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem., Vol. 54, 443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol.
144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムR株及びコリネバクテリウム グルタミカムΔpobA株を形質転換し、クロラムフェニコール5μg/ml、カナマイシン50μg/ml及びゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら3種類のプラスミドは、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ubiC/PP、pCRB209-bsdBCD/BS及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた。R株に導入した株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)PHE16、ΔpobA株に導入した株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)PHE18と命名した。
(7-2) コリネバクテリウム グルタミカムΔpobAΔpoxF株の形質転換
上述のプラスミドpCRB1-ubiC/PP、pCRB209-bsdBCD/BS、pCRB209-dca/BAE、pCRB209-dca/BSS、pCRB209-dca/CKO、pCRB209-dca/EAE、pCRB209-dca/ECL、pCRB209-dca/EHO、pCRB209-dca/ESA、pCRB209-dca/ECK、pCRB209-dca/EFE、pCRB209-dca/PPY、pCRB209-dca/PAM及びpCRB15-aroG/CGをそれぞれ用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムΔpobAΔpoxF株を形質転換し、クロラムフェニコール5μg/ml、カナマイシン50μg/ml及びゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら3種類のプラスミド(pCRB1、pCRB209及びpCRB15)は、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ubiC/PP、pCRB209-bsdBCD/BS、pCRB209-dca/BAE、pCRB209-dca/BSS、pCRB209-dca/CKO、pCRB209-dca/EAE、pCRB209-dca/ECL、pCRB209-dca/EHO、pCRB209-dca/ESA、pCRB209-dca/ECK、pCRB209-dca/EFE、pCRB209-dca/PPY、pCRB209-dca/PAM及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた。
ΔpobAΔpoxF株においてpCRB1-ubiC/PP、pCRB209-bsdBCD/BS及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-1、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/BAE及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-2、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/BSS及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-3、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/CKO及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-4、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/EAE及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-5、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-6、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/EHO及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-7、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/ESA及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-8、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/ECK及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-9、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/EFE及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-10、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/PPY及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-11、pCRB1-ubiC/PP、pCRB209-dca/PAM及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE19-12と命名した。
上述のプラスミドpCRB1-ubiC/EC、pCRB1-ubiC/ACB、pCRB1-ubiC/AVN、pCRB1-ubiC/CSA、pCRB1-ubiC/CKO、pCRB1-ubiC/CIT、pCRB1-ubiC/ECL、pCRB1-ubiC/MAQ、pCRB1-ubiC/MME、pCRB1-ubiC/PAM、pCRB1-ubiC/PHA、pCRB1-ubiC/REH、pCRB1-ubiC/SPC、pCRB1-ubiC/TBD、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムΔpobAΔpoxF株を形質転換し、クロラムフェニコール5μg/ml、カナマイシン50μg/ml及びゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら3種類のプラスミド(pCRB1、pCRB209及びpCRB15)は、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ubiC/EC、pCRB1-ubiC/ACB、pCRB1-ubiC/AVN、pCRB1-ubiC/CSA、pCRB1-ubiC/CKO、pCRB1-ubiC/CIT、pCRB1-ubiC/ECL、pCRB1-ubiC/MAQ、pCRB1-ubiC/MME、pCRB1-ubiC/PAM、pCRB1-ubiC/PHA、pCRB1-ubiC/REH、pCRB1-ubiC/SPC、pCRB1-ubiC/TBD、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた。
ΔpobAΔpoxF株においてpCRB1-ubiC/EC、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-1、pCRB1-ubiC/ACB、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-2、pCRB1-ubiC/AVN、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-3、pCRB1-ubiC/CSA、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-4、pCRB1-ubiC/CKO、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-5、pCRB1-ubiC/CIT、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-6、pCRB1-ubiC/ECL、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-7、pCRB1-ubiC/MAQ、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-8、pCRB1-ubiC/MME、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-9、pCRB1-ubiC/PAM、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-10、pCRB1-ubiC/PHA、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-11、pCRB1-ubiC/REH、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-12、pCRB1-ubiC/SPC、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-13、pCRB1-ubiC/TBD、pCRB209-dca/ECL及びpCRB15-aroG/CGの導入が認められた株をコリネバクテリウム グルタミカムPHE20-14と命名した。
上述の遺伝子組換えの概要を、以下の表1にまとめて示す。
コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)PHE18は、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818)の独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センターに寄託した(受託日:2010年10月21日、受託番号:NITE BP−995)。
<遺伝子起源略語>
BS ; バチラス サブチリス
EC ; エシェリキア コリ
PP ; シュードモナス プチダ
CG ; コリネバクテリウム グルタミカム
BAE; バチラス アトロファエウス
BSS; バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ
CKO; シトロバクター コセリ
EAE; エンテロバクター アエロゲネス
ECL; エンテロバクター クロアカエ
EHO; エンテロバクター ホルメシェイ
ESA; エンテロバクター サカザキ
ECK; エシェリヒア コリ W
EFE; エシェリヒア フェルグソニー
PPY; パエニバチラス ポリミキサ
PAM; パントエア アナナティス
ACB; アシネトバクター バウマンニ
AVN; アゾトバクター ビネランジー
CSA; クロモハロバクター サレキシゲンス
CIT; シトロバクター ヤンガエ
MAQ; マリノバクター アクアエオレイ
MME; マリノモナス メディテラネア
PHA; シュードアルテロモナス ハロプランクティス
REH; ラルストニア ユートロファ
SPC; シューワネラ プトレファシェンス
TBD; チオバチルス デニトリフィカンス
<遺伝子名>
ubiC; コリスメート-ピルベート リアーゼ(Chorismate-pyruvate lyase)遺伝子
bsdBCD; 4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ(4-hydroxybenzoate decarboxylase)遺伝子
aroG; DAHPシンテターゼ(3-deoxy-D-arabino-heptulosonate 7-phosphate (DAHP) synthase)遺伝子
pobA; 4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ(4-hydroxybenzoate hydroxylase)遺伝子
dca; 4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ(4-hydroxybenzoate decarboxylase)遺伝子
poxF; フェノール2-モノオキシゲナーゼ(phenol 2-monooxygenase)遺伝子
実施例2 コリネバクテリウム グルタミカム フェノール生産遺伝子導入株及び副生経 路破壊株のフェノール生成実験
実施例1において作製したコリネバクテリウム グルタミカム フェノール遺伝子導入株PHE11−PH18に関して、フェノールの生産比較を行った。
各々のコリネバクテリウム グルタミカム フェノール遺伝子導入株(PHE11−PH18)を、表2に示す抗生物質を含むA寒天培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 g、寒天 15 gを蒸留水1Lに懸濁] に塗布し、28℃、20時間暗所に静置した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカム フェノール遺伝子導入株を、表2に示す各抗生物質を含むA液体培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5
g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 gを蒸留水1Lに溶解] 10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、28℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したコリネバクテリウム グルタミカム フェノール生産遺伝子導入株を、各抗生物質を含むA液体培地10mlに植菌し、33℃にて24時間、好気的に振盪培養を行った。
フェノールの定量は、24時間後にサンプリングした反応液を遠心分離(4℃、15,000×g、10分)し、得られた上清液を液体クロマトグラフィーで分析することにより行った。
なお、野生株コリネバクテリウム グルタミカムについても同様の方法でフェノール生産を試みたが、フェノール生成は検出されなかった。
各菌株によるフェノール生産量を以下の表2に示す。
<遺伝子起源略語>
BS; バチラス サブチリス
EC; エシェリキア コリ
PP; シュードモナス プチダ
CG; コリネバクテリウム グルタミカム
<培地添加抗生物質>
A; クロラムフェニコール 5μg/ml
B; カナマイシン 50μg/ml
C; ゼオシン 25μg/ml
<遺伝子名>
ubiC; コリスメート-ピルベート リアーゼ(Chorismate-pyruvate lyase)遺伝子
bsdBCD; 4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ(4-hydroxybenzoate decarboxylase)遺伝子
aroG; DAHPシンテターゼ(3-deoxy-D-arabino-heptulosonate 7-phosphate (DAHP) synthase)遺伝子
pobA; 4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ(4-hydroxybenzoate hydroxylase)遺伝子
表2に示されるように、コリネバクテリウム グルタミカム PHE11は、0.4 mMのフェノールを、PHE12は、0.9 mMのフェノールを、PHE13は、0.8 mMのフェノールを、PHE14は、1.8 mMのフェノールを、PHE15は、1.1 mMのフェノールを、PHE16は、3.5 mMのフェノールを、PHE17は、1.6 mMのフェノールを、PHE18は、6.3 mMのフェノールを培養液中に生産していた。
この結果から、以下の事項が導かれる。
(1) ubiC遺伝子とbsdBCD遺伝子をコリネバクテリウム グルタミカムに導入することにより、初めて、実用的なグルコースからフェノール生成が可能となった。
(2) ubiC遺伝子として、エシェリキア コリ由来遺伝子を用いるよりも、シュードモナス
プチダ由来遺伝子を用いる方が、フェノール生産性が高かった。
(3) ubiC遺伝子とbsdBCD遺伝子の導入に加えて、aroG遺伝子を導入することによりフェノール生成量が増大した。
(4) pobA遺伝子を破壊することにより、フェノール生産性が一層向上した。
実施例3 コリネバクテリウム グルタミカム フェノール生産遺伝子導入株及び副生経 路破壊株のフェノール生成実験
実施例1において作製したコリネバクテリウム グルタミカム フェノール遺伝子導入株PHE19-1〜PHE19-12に関して、フェノールの生産比較を行った。
各々のコリネバクテリウム グルタミカム フェノール遺伝子導入株(PHE19-1〜PHE19-12)を、抗生物質クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml及びゼオシン 25μg/mlを含むA寒天培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 g、寒天 15 gを蒸留水1Lに懸濁] に塗布し、28℃、20時間暗所に静置した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカム フェノール遺伝子導入株を、抗生物質クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml及びゼオシン 25μg/mlを含むA液体培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract
2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 gを蒸留水1Lに溶解] 10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、28℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したコリネバクテリウム グルタミカム フェノール生産遺伝子導入株を、抗生物質クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml及びゼオシン 25μg/mlを含むA液体培地10mlに植菌し、33℃にて24時間、好気的に振盪培養を行った。
フェノールの定量は、24時間後にサンプリングした反応液を遠心分離(4℃、15,000×g、10分)し、得られた上清液を液体クロマトグラフィーで分析することにより行った。
各菌株によるフェノール生産量を以下の表3に示す。
<遺伝子起源略語>
BS ; バチラス サブチリス
EC ; エシェリキア コリ
PP ; シュードモナス プチダ
CG ; コリネバクテリウム グルタミカム
BAE; バチラス アトロファエウス
BSS; バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ
CKO; シトロバクター コセリ
EAE; エンテロバクター アエロゲネス
ECL; エンテロバクター クロアカエ
EHO; エンテロバクター ホルメシェイ
ESA; エンテロバクター サカザキ
ECK; エシェリヒア コリ W
EFE; エシェリヒア フェルグソニー
PPY; パエニバチラス ポリミキサ
PAM; パントエア アナナティス
<遺伝子名>
ubiC; コリスメート-ピルベート リアーゼ(Chorismate-pyruvate lyase)遺伝子
bsdBCD; 4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ(4-hydroxybenzoate decarboxylase)遺伝子
aroG; DAHPシンテターゼ(3-deoxy-D-arabino-heptulosonate 7-phosphate (DAHP) synthase)遺伝子
pobA; 4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ(4-hydroxybenzoate hydroxylase)遺伝子
dca; 4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ(4-hydroxybenzoate decarboxylase)遺伝子
poxF; フェノール2-モノオキシゲナーゼ(phenol 2-monooxygenase)遺伝子
表3の結果と、表2のPHE18のフェノール生産性結果を比較することにより、pobA遺伝子の破壊に加えて、poxF遺伝子の破壊を重ねると、より生産性が向上することがわかった。
さらに、バチルス サブチリス由来のbsdBCD遺伝子の代わりに、バチラス アトロファエウス由来のdca遺伝子、又は、バチラス サブチリス 亜種 スピジゼニイ由来のdca遺伝子、又は、シトロバクター コセリ由来のdca遺伝子、又は、エンテロバクター アエロゲネス由来のdca遺伝子、又は、エンテロバクター クロアカエ由来のdca遺伝子、又は、エンテロバクター ホルメシェイ由来のdca遺伝子、又は、エンテロバクター サカザキ由来のdca遺伝子、又は、エシェリヒア コリ由来のdca遺伝子、又は、エシェリヒア フェルグソニー由来のdca遺伝子、又は、パエニバチラス ポリミキサ由来のdca遺伝子、又は、パントエア アナナティス由来のdca遺伝子を、ubiC遺伝子及びaroG遺伝子と共にコリネバクテリウム グルタミカムΔpobAΔpoxF株に導入しても、同等あるいはそれ以上のフェノール生産性が観察された。
実施例4 コリネバクテリウム グルタミカム フェノール生産遺伝子導入株及び副生経 路破壊株のフェノール生成実験
実施例1において作製したコリネバクテリウム グルタミカム フェノール遺伝子導入株PHE19-6及びPHE20-1〜PHE20-14に関して、フェノールの生産比較を行った。
各々のコリネバクテリウム グルタミカム フェノール遺伝子導入株(PHE19-6及びPHE20-1〜PHE20-14)を、抗生物質クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml及びゼオシン 25μg/mlを含むA寒天培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K 2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 g、寒天 15 gを蒸留水1Lに懸濁] に塗布し、28℃、20時間暗所に静置した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカム フェノール遺伝子導入株を、抗生物質クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml及びゼオシン 25μg/mlを含むA液体培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract
2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 gを蒸留水1Lに溶解] 10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、28℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したコリネバクテリウム グルタミカム フェノール生産遺伝子導入株を、抗生物質クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml及びゼオシン 25μg/mlを含むA液体培地10mlに植菌し、33℃にて24時間、好気的に振盪培養を行った。
フェノールの定量は、24時間後にサンプリングした反応液を遠心分離(4℃、15,000×g、10分)し、得られた上清液を液体クロマトグラフィーで分析することにより行った。
各菌株によるフェノール生産量を以下の表4に示す。
<遺伝子起源略語>
PP ; シュードモナス プチダ
ECL; エンテロバクター クロアカエ
CG ; コリネバクテリウム グルタミカム
EC ; エシェリキア コリ
ACB; アシネトバクター バウマンニ
AVN; アゾトバクター ビネランジー
CSA; クロモハロバクター サレキシゲンス
CKO; シトロバクター コセリ
CIT; シトロバクター ヤンガエ
MAQ; マリノバクター アクアエオレイ
MME; マリノモナス メディテラネア
PAM; パントエア アナナティス
PHA; シュードアルテロモナス ハロプランクティス
REH; ラルストニア ユートロファ
SPC; シューワネラ プトレファシェンス
TBD; チオバチルス デニトリフィカンス
<遺伝子名>
ubiC; コリスメート-ピルベート リアーゼ(Chorismate-pyruvate lyase)遺伝子
aroG; DAHPシンテターゼ(3-deoxy-D-arabino-heptulosonate 7-phosphate (DAHP) synthase)遺伝子
pobA; 4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ(4-hydroxybenzoate hydroxylase)遺伝子
dca; 4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ(4-hydroxybenzoate decarboxylase)遺伝子
poxF; フェノール2-モノオキシゲナーゼ(phenol 2-monooxygenase)遺伝子
表4の結果より、シュードモナス プチダ由来のubiC遺伝子の代わりに、エシェリキア コリ由来のubiC遺伝子、アシネトバクター バウマンニ由来のubiC遺伝子、アゾトバクター ビネランジー由来のubiC遺伝子、クロモハロバクター サレキシゲンス由来のubiC遺伝子、シトロバクター コセリ由来のubiC遺伝子、シトロバクター ヤンガエ由来のubiC遺伝子、マリノバクター アクアエオレイ由来のubiC遺伝子、マリノモナス メディテラネア由来のubiC遺伝子、パントエア アナナティス由来のubiC遺伝子、シュードアルテロモナス ハロプランクティス由来のubiC遺伝子、ラルストニア ユートロファ由来のubiC遺伝子、シューワネラ プトレファシェンス由来のubiC遺伝子、又はチオバチルス デニトリフィカンス由来のubiC遺伝子を、dca遺伝子及びaroG遺伝子と共にコリネバクテリウム グルタミカムΔpobAΔpoxF株に導入しても、有意なフェノール生産性が観察された。
実施例5 コリネバクテリウム グルタミカムPHE18を用いた還元条件下におけるフェノー ル生成実験
実施例1で創製したコリネバクテリウム グルタミカムPHE18フェノール生成株を、クロラムフェニコール5μg/ml、カナマイシン50μg/ml及びゼオシン25μg/mlを含有したA寒天培地に塗布し、28℃、20時間暗所に静置した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカムPHE18フェノール生成株を、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml及びゼオシン 25μg/mlを含有したA液体培地10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、28℃にて10時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したコリネバクテリウム グルタミカムPHE18フェノール生成株を、クロラムフェニコール5μg/ml、カナマイシン50μg/ml及びゼオシン25μg/mlを含有したA液体培地500mlの入った容量2Lの三角フラスコに植菌し、33℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
このようにして培養増殖されたそれぞれの菌体は、遠心分離 (4℃、5,000×g, 15分)により菌体を回収した。得られた菌体を、終濃度OD610=60となるようにBT(-尿素)液体培地〔0.7% 硫酸アンモニウム、0.05% リン酸二水素カリウム、0.05% リン酸水素二カリウム、0.05% 硫酸マグネシウム・7水和物、0.0006% 硫酸鉄・7水和物、0.00042% 硫酸マンガン水和物、0.00002% ビオチン、0.00002% チアミン塩酸塩〕に懸濁した。このそれぞれの菌体懸濁液60mlを容量100mlメディウム瓶に入れ、還元条件下(酸化還元電位;-450 mV)、グルコースを初発5%、12時間後にさらに5%を添加し、33℃で攪拌しながら反応させた。この時、反応液のpHが7.0を下回らないように2.5Nのアンモニア水を用いてpHコントローラー (エイブル株式会社製、型式:DT-1023)でコントロールしながら反応した。
サンプリングした反応液を遠心分離 (4℃、15,000×g、10分) し、得られた上清液を用いてフェノールの定量を行った。
この結果、コリネバクテリウム グルタミカムPHE18フェノール生成株は、還元条件下における反応において、24時間後に9.2 mMのフェノールを生成していた。
本発明の形質転換体が、還元条件下で一層効率良くフェノールを生成することが分かる。
実施例6 フェノール生産用宿主としての適性試験
(1) フェノールによる好気増殖への影響
コリネバクテリウム グルタミカム、エシェリヒア コリおよびシュードモナス プチダについて、好気培養におけるフェノールの生育阻害試験を行った。尚、本試験に用いたシュードモナス プチダS12は、溶媒耐性菌として報告されており、これまでに唯一フェノール生産の宿主として用いられた技術が開示されている。
コリネバクテリウム グルタミカムRをA寒天培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO 4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 g、寒天 15 gを蒸留水1Lに懸濁]に塗布し、33℃、15時間暗所に静置した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカムRを、A液体培地[(NH2)2CO
2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino
acid 7 g、glucose 40 gを蒸留水1Lに溶解] 10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、33℃にて13時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したコリネバクテリウム グルタミカムRを、A液体培地100mlに初期菌体濃度OD610=0.05となるように植菌し、同時にフェノールが終濃度0、0.16、0.2、0.24、0.32mMとなるように添加し、33℃にて好気的に振盪培養を行った。菌体の生育はOD610の吸光度を測定することにより行った。
エシェリヒア コリJM109をLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布し、37℃、15時間暗所に静置した。
上記プレートで生育したエシェリヒア コリJM109を、LB液体培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキスおよび0.5% 塩化ナトリウム〕10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、37℃にて13時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したエシェリヒア コリJM109をLB液体培地100mlに初期菌体濃度OD610=0.05となるように植菌し、同時にフェノール濃度が終濃度0、0.16、0.20mMとなるように添加し、37℃にて好気的に振盪培養を行った。菌体の生育はOD610の吸光度を測定することにより行った。
シュードモナス プチダF1およびS12をLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布し、30℃、15時間暗所に静置した。
上記プレートで生育したシュードモナス プチダF1およびS12を、LB(+グルコース)液体培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウムおよび0.4%グルコース〕10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、30℃にて13時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したシュードモナス プチダF1およびS12株をLB(+グルコース)液体培地100mlに初期菌体濃度OD610=0.05となるように植菌し、同時にフェノール濃度が終濃度0、0.10、0.20mMとなるように添加し、30℃にて好気的に振盪培養を行った。菌体の生育はOD610の吸光度を測定することにより行った。
培地中へのフェノール添加による好気増殖への影響の解析結果を図4に示す。
エシェリヒア コリは、0.16%フェノール存在下で著しく増殖阻害を受け、0.20%フェノールでは完全に増殖が阻害された。
シュードモナス プチダF1及び溶剤耐性菌として報告されていたシュードモナス プチダS12は、ほぼ同じ傾向を示し、0.10%フェノール存在下で著しく増殖阻害を受け0.20%フェノールでは完全に増殖が阻害された。
これに対して、コリネバクテリウム グルタミカムは、エシェリヒア コリが顕著な増殖阻害を受けた0.16%のフェノール存在下においても増殖への影響はほとんどなく、エシェリヒア コリやシュードモナス プチダでは完全に増殖を阻害された0.20%のフェノール存在下においても良好な生育を示した。さらに0.24%のフェノール存在下において増殖が可能であった。
このように、コリネバクテリウム グルタミカムはエシェリヒア コリおよびシュードモナス プチダと比較して、フェノールに対し高い耐性を有し、フェノール生産の宿主として高い適性を有することが示された。
(2)フェノールによる還元条件下での糖代謝への影響
コリネバクテリウム グルタミカムRを、A寒天培地に塗布し、33℃、20時間暗所に静置した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカムRをA液体培地10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、33℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したコリネバクテリウム グルタミカムRをA液体培地500mlの入った容量2Lの三角フラスコに植菌し、33℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
このようにして培養増殖した菌体は、遠心分離 (4℃、5,000×g, 15分)により回収した。得られた菌体を、10 w/v%となるようにBT(-尿素)液体培地〔0.7% 硫酸アンモニウム、0.05% リン酸二水素カリウム、0.05% リン酸水素二カリウム、0.05% 硫酸マグネシウム・7水和物、0.0006% 硫酸鉄・7水和物、0.00042% 硫酸マンガン水和物、0.00002% ビオチン、0.00002% チアミン塩酸塩〕に懸濁した。このそれぞれの菌体懸濁液60mlを容量100mlメディウム瓶に入れ、還元条件下(酸化還元電位;-450 mV)、グルコースを8%、フェノール濃度を0、0.24、0.38、0.46mMとなるように添加し、33℃に保った水浴中で攪拌しながら反応させた。この時、反応液のpHが7.0を下回らないように2.5Nのアンモニア水を用いてpHコントローラー (エイブル株式会社製、型式:DT-1023)でコントロールしながら反応した。
コリネバクテリウム グルタミカムRの還元条件下における糖代謝に及ぼすフェノールの影響を検討した結果を図5に示す。
還元条件下においては、好気培養において増殖阻害が認められた0.24%フェノール存在下でも、フェノールによる影響は全く見られず、フェノール未添加と同等の糖消費を示した。
さらに、0.38%のフェノール存在下でも糖消費を認められ、0.46%のフェノール存在下においても僅かながら糖消費を示した。
このように、好気培養と比較して、還元条件ではフェノールに対して高い耐性を示し、還元条件下におけるコリネバクテリウム グルタミカムを宿主としたフェノール生産が、好気条件下における生産と比較して優位であることが示された。
本発明方法によれば、微生物を用いて実用的な効率でフェノールを製造することができる。

Claims (18)

  1. コリスメート-ピルベート リアーゼ(Chorismate-pyruvate lyase)活性を有する酵素をコードする遺伝子、及び4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ(4-hydroxybenzoate decarboxylase)活性を有する酵素をコードする遺伝子が、宿主のコリネ型細菌に導入された、フェノール生産能を有する形質転換体。
  2. コリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、エシェリキア コリ(Escherichia coli)由来の遺伝子、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)由来の遺伝子、アシネトバクター バウマンニ(Acinetobacter baumannii)由来の遺伝子、アゾトバクター ビネランジー(Azotobacter vinelandii)由来の遺伝子、クロモハロバクター サレキシゲンス(Chromohalobacter salexigens)由来の遺伝子、シトロバクター コセリ(Citrobacter koseri)、シトロバクター ヤンガエ(Citrobacter youngae)のようなシトロバクター属細菌由来の遺伝子、エンテロバクター クロアカエ(Enterobacter cloacae)由来の遺伝子、マリノバクター アクアエオレイ(Marinobacter aquaeolei)由来の遺伝子、マリノモナス メディテラネア(Marinomonas mediterranea)由来の遺伝子、パントエア アナナティス(Pantoea ananatis)由来の遺伝子、シュードアルテロモナス ハロプランクティス(Pseudoalteromonas haloplanktis)由来の遺伝子、ラルストニア ユートロファ(Ralstonia eutropha)由来の遺伝子、シューワネラ プトレファシェンス(Shewanella putrefaciens)由来の遺伝子、又はチオバチルス デニトリフィカンス(Thiobacillus denitrificans)である請求項1に記載の形質転換体。
  3. 4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、バチラス サブチリス(Bacillus subtilis)由来の遺伝子、バチラス アトロファエウス由来の遺伝子、バチラス サブチリス亜種スピジゼニイ由来の遺伝子、シトロバクター コセリ由来の遺伝子、エンテロバクター アエロゲネス由来の遺伝子、エンテロバクター クロアカエ由来の遺伝子、エンテロバクター ホルメシェイ由来の遺伝子、エンテロバクター サカザキ由来の遺伝子、エシェリヒア コリ由来の遺伝子、エシェリヒア フェルグニソー由来の遺伝子、パエニバチラス ポリミキサ由来の遺伝子、又はパントエア アナナティス由来の遺伝子である請求項1に記載の形質転換体。
  4. コリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が下記の(a)又は(b)のDNAである請求項1に記載の形質転換体。
    (a) 配列番号31、配列番号34、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、又は配列番号93の塩基配列からなるDNA
    (b) (a)の何れかの塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
  5. 4-ヒドロキシベンゾエート デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が下記の(c)又は(d)のDNAである請求項1に記載の形質転換体。
    (c) 配列番号37、配列番号44、配列番号47、配列番号50、配列番号53、配列番号56、配列番号59、配列番号62、配列番号65、配列番号68、配列番号71、又は配列番号74の塩基配列からなるDNA
    (d) (c)の何れかの塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつコリスメート-ピルベート リアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
  6. 宿主のコリネ型細菌が、その染色体上に存在する4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ(4-hydroxybenzoate hydroxylase)活性を有する酵素をコードする遺伝子が破壊され、又は欠損したものである、請求項1〜5の何れかに記載の形質転換体。
  7. 宿主のコリネ型細菌が、その染色体上に存在するフェノール2-モノオキシゲナーゼ(phenol 2-monooxygenase)活性を有する酵素をコードする遺伝子が破壊され、又は欠損したものである、請求項1〜6の何れかに記載の形質転換体。
  8. 宿主のコリネ型細菌内でDAHPシンテターゼ(3-deoxy-D-arabino-heptulosonate 7-phosphate (DAHP) synthase)活性を有する酵素をコードする遺伝子が高発現している請求項1〜7の何れかに記載の形質転換体。
  9. 宿主のコリネ型細菌がコリネバクテリウム グルタミカムである請求項1〜8の何れかに記載の形質転換体。
  10. 宿主のコリネ型細菌が、コリネバクテリウム グルミカムR(FERM P−18976)、ATCC13032、又はATCC13869である請求項1〜5の何れかに記載の形質転換体。
  11. 宿主のコリネ型細菌が、コリネバクテリウム グルミカムR(FERM P−18976)、ATCC13032、又はATCC13869の染色体上に存在する4-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が破壊され、又は欠損したものである、請求項1〜5の何れかに記載の形質転換体。
  12. 宿主のコリネ型細菌が、コリネバクテリウム グルミカムR(FERM P−18976)、ATCC13032、又はATCC13869の染色体上に存在するフェノール2-モノオキシゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が破壊され、又は欠損したものである、請求項1〜5の何れかに記載の形質転換体。
  13. 宿主のコリネ型細菌が、コリネバクテリウム グルミカムR(FERM P−18976)、ATCC13032、又はATCC13869において、DAHPシンテターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が高発現しているものである請求項1〜5の何れかに記載の形質転換体。
  14. コリネバクテリウム グルタミカム PHE18(受託番号:NITE BP−995)、PHE11、PHE12、PHE13、PHE14、PHE15、PHE16、PHE17、PHE19-1、PHE19-2、PHE19-3、PHE19-4、PHE19-5、PHE19-6、PHE19-7、PHE19-8、PHE19-9、PHE19-10、PHE19-11、PHE19-12、PHE20-1、PHE20-2、PHE20-3、PHE20-4、PHE20-5、PHE20-6、PHE20-7、PHE20-8、PHE20-9、PHE20-10、PHE20-11、PHE20-12、PHE20-13、又はPHE20-14の形質転換体。
  15. 請求項1〜14の何れかに記載の形質転換体を、還元条件下、糖類を含有する反応液中で反応させる工程と、反応液中のフェノールを回収する工程とを含むフェノールの製造方法。
  16. 反応工程において、形質転換体が実質的に増殖しない請求項15に記載のフェノールの製造方法。
  17. 還元条件下の反応液の酸化還元電位が−200〜−500ミリボルトである請求項15又は16に記載のフェノールの製造方法。
  18. 糖類がグルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、キシロビオース、トレハロース、及びマンニトールからなる群より選ばれるものである請求項15〜17の何れかに記載のフェノールの製造方法。
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