JPWO2012046663A1 - 防眩性フィルム、防眩性フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、このような従来の防眩性フィルムは、いずれのタイプでも、防眩層の表面形状の作用により、光拡散・防眩作用を得るようにしている。防眩性を高めるためには防眩層表面の凹凸形状を大きくする必要があるが、凹凸形状が大きくなると、塗膜の曇価(ヘイズ値)が上昇して白茶けが発生し、これに伴い透過鮮明度が低下するという問題点があった。
内部拡散をもたせて面ギラを防止する場合、防眩性フィルムを構成するバインダー樹脂と粒子との屈折率差を大きくするか、粒子の添加量を増やす必要がある。
ところが、このような面ギラ防止方法では、バインダー樹脂と粒子との界面が存在することとなり、バインダー樹脂と粒子との屈折率差に応じて界面での反射が生じ、得られる画像のコントラストが低下してしまうという問題があった。
しかしながら、このような粒子は非常に高価であり、また、その製造方法に起因して粒子の粒径の制御や、粒子表層と内部との屈折率差を大きくすることが難しく、内部拡散を大きくすることは困難であるという問題があった。
rA>rB 式(1)
ΔA<ΔB 式(2)
rB/rA>CB/CA 式(3)
また、上記バインダー成分は、(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。
rA>rB 式(1)
ΔA<ΔB 式(2)
rB/rA>CB/CA 式(3)
また、本発明は、最表面に本発明の防眩性フィルム、又は、本発明の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
上記光透過性基材は、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。上記光透過性基材を形成する材料の具体例としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、シクロオレフィン、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、機械的強度の面から、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が好ましく、偏光を乱さないことから、セルローストリアセテートが好ましい。
また、上記光透過性基材は、その上に拡散層を形成するに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的あるいは化学的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
このような拡散層は、上記光透過性基材の少なくとも一方の面上に、有機微粒子(A)、有機微粒子(B)及びバインダー成分を含有する塗液を塗布し、乾燥させて塗膜を形成し、該塗膜を硬化させることで形成することができる。
なお、本明細書において、「バインダー成分」とは、電離放射線硬化してポリマー膜となるために、このポリマー膜の基本構造の構成単位となりうる分子を全て含む。つまり、モノマーだけでなく、オリゴマー、プレポリマー等の樹脂成分も包含する概念である。
本発明者らは、拡散層の反射について鋭意検討した結果、拡散層中では、含有される微粒子は疎に存在しており、厚み方向で重なり合うことはほとんど無いため、拡散層の反射は、表面での反射と含有される内部の微粒子の反射との和であること、及び、この内部の微粒子の反射は、その粒径、添加量及びバインダー成分の硬化物に対する屈折率差に応じて決定されること、を見出した。更に、面ギラを低減させるためには、バインダー成分の硬化物との屈折率差が大きい微粒子の添加が有効なことも見出した。
これら本発明者らが見出した知見を勘案し、主として表面凹凸を形成する比較的大きい微粒子と主として内部拡散を発現する比較的小さい微粒子とが拡散層中でのあるべき姿の考察により本発明を完成するに至った。
すなわち、2種類の有機微粒子を含有する拡散層を用いた画像表示装置の表示画像のコントラストを向上させるには、該拡散層を構成するバインダー成分の硬化物との屈折率差がより大きな有機微粒子のトータル表面積を、上記バインダー成分の硬化物との屈折率差がより小さな有機微粒子のトータル表面積よりも小さくすることが必要であることを見出した。
rA>rB 式(1)
ΔA<ΔB 式(2)
rB/rA>CB/CA 式(3)
また、上記式(2)は、有機微粒子(B)とバインダー成分の硬化物との屈折率差が、有機微粒子(A)とバインダー成分の硬化物との屈折率差よりも大きいことを表している。上記式(1)を満たす有機微粒子(A)及び有機微粒子(B)が式(2)を満たすことで、拡散層の内部散乱効果が高くなり、本発明の反射防止フィルムは、面ギラの防止効果が優れたものとなる。
また、上記拡散層中のバインダー成分の硬化物、有機微粒子(A)及び有機微粒子(B)の屈折率の測定方法としては、作製した防眩性フィルムの拡散層中から有機微粒子又は有機微粒子のかけら、あるいはバインダー成分の硬化物のかけらをなんらかの形で取り出したものについて上述の各方法を同様に用いることができる。このほか、位相シフトレーザー干渉顕微鏡(エフケー光学研究所製の位相シフトレーザー干渉顕微鏡や溝尻光学工業所製の二光束干渉顕微鏡等)を用いてバインダー成分の硬化物と有機微粒子(A)及び有機微粒子(B)との屈折率差を測定することができる。
また、上記バインダー成分が、後述する(メタ)アクリレートとそれ以外の樹脂とを含有する場合、上記バインダー成分の硬化物の屈折率とは、有機微粒子を除いた含有する全ての樹脂成分による硬化物の平均屈折率をいう。
すなわち、上記有機微粒子(A)及び有機微粒子(B)のいずれもが球体であると仮定し、拡散層におけるトータル表面積をそれぞれSA、SBとすると、SA、SBは、それぞれ以下のように求められる。
SA=[CA/{4π(rA/2)3/3}]×4π(rA/2)2
SB=[CB/{4π(rB/2)3/3}]×4π(rB/2)2
そして、SA>SBであるので、
[CA/{4π(rA/2)3/3}]×4π(rA/2)2>[CB/{4π(rB/2)3/3}]×4π(rB/2)2
より、rB/rA>CB/CAが導き出される。
このような式(3)を満たさない場合、本発明の反射防止フィルムを用いた画像表示装置の表示画像のコントラストが不充分となる。
上記有機微粒子(A)における含浸層は、バインダー成分と有機微粒子(A)を構成する材料とが混合した状態で形成されたものである。すなわち、上記有機微粒子(A)は、中心部では含浸層が形成されていない状態の屈折率(すなわち、拡散層に含有させる前の有機微粒子(A)(以下、有機微粒子(a)と称する)の屈折率)を維持する一方、バインダー成分の硬化物との界面近傍では、該硬化物の屈折率に近い屈折率を有することとなる。この結果、バインダー成分の硬化物との屈折率差が維持された中心部での拡散性能を維持しつつ、有機微粒子(A)の反射率は低下する。更に、上記含浸層を有する有機微粒子(A)は、拡散層のバインダー成分の硬化物との密着性が極めて優れたものとなる。
すなわち、これまでの有機微粒子を含有する防眩性フィルムでは、耐湿熱性試験を行うと、拡散層に侵入した水分は、有機微粒子とバインダー樹脂との界面が持つ歪に作用し、当該歪の増大、緩和、マイクロクラックの発生等を引き起こすことにより、経時的な防眩性の変化(ヘイズの変化)を引き起こしていたものと類推される。なお、この歪は、粒径の大きい有機微粒子に顕著である。
しかしながら、本発明における有機微粒子(A)のように含浸層を有すると、上記有機微粒子(A)とバインダー成分の硬化物との界面の歪が減少するので、上記歪の増大、緩和、マイクロクラックの発生等が抑制されるものと類推される。
更に、後述するように、上記含浸層は、上記バインダー成分及び/又は溶剤が、有機微粒子(a)を膨潤させることで好適に形成される層であるため、上記有機微粒子(A)は、極めて柔軟性に富んだ微粒子である。このため、上記拡散層の表面には該拡散層中の有機微粒子(A)に対応する位置に凸部が形成されるが、該凸部の形状をなだらかなものとすることができる。
すなわち、本願における最も好適な形態は、式(1)〜(3)を満たし、かつ、含浸層を有する有機微粒子を用いた防眩性フィルムである。
なお、この点については、後で更に詳細に説明する。
ここで、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル−スチレン共重合体による有機微粒子は、一般的に知られている製造方法で製造する際、いずれも材料として(メタ)アクリル−スチレン共重合樹脂を用いることがある。
また、上記有機微粒子(A)が、コア−シェルタイプの微粒子では、コアに(メタ)アクリル樹脂からなる微粒子を用いたポリスチレン微粒子や、逆にコアにスチレン樹脂からなる微粒子を用いたポリ(メタ)アクリル微粒子が存在する。このため、本明細書では、(メタ)アクリル微粒子、スチレン微粒子及び(メタ)アクリル−スチレン共重合微粒子の区別については、微粒子の持つ特性(例えば、屈折率)が、どの樹脂に一番近いかで判断するものとする。例えば、微粒子の屈折率が1.50未満であれば(メタ)アクリル微粒子とし、微粒子の屈折率が1.50以上1.59未満であれば(メタ)アクリル−スチレン共重合体微粒子とし、微粒子の屈折率が1.59以上であればスチレン微粒子ととらえることができる。
上記アクリル系モノマーとして、メチルメタクリレートを用いて得られた架橋アクリル樹脂が特に好適である。なお、後述するバインダー成分及び/又は溶剤による膨潤度合いを調整することで含浸層の厚みを制御することができるが、このためには、バインダー成分の含浸量が好ましい範囲となるように架橋の程度を変えておくことが好ましい。
なお、上記平均粒径とは、拡散層に含有される前においては、有機微粒子(A)単独での測定であり、コールターカウンター法による重量平均径として計測できる。一方、拡散層に含有された後においては、拡散層中の有機微粒子(A)の平均粒径の測定であり、拡散層の透過光学顕微鏡観察において、10個の有機微粒子(A)の最大径を平均した値として求められる。もしくはそれが不適な場合は、有機微粒子(A)の中心近傍を通る断面の電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)観察において、任意の同じ種類で、ほぼ同じ位の粒径として観察される有機微粒子(A)30個選択して(粒子のどの部位の断面であるか不明であるためn数を増やしている)その断面の最大粒径を測定し、その平均値として算出される値である。いずれも画像から判断するため、画像解析ソフトにて算出してもよい。
なお、後述する有機微粒子(B)の平均粒径も同様に測定することができる。
上記含浸層は、例えば、上記拡散層中の有機微粒子(A)の断面を顕微鏡(STEM等)観察することで判別することができる。
なお、上記含浸層に含浸するバインダー成分は、構成する全成分が含浸されたものであってもよく、構成する成分の一部が含浸したものであってもよい。
なお、上記含浸層の平均厚さとは、防眩性フィルムの断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が望ましい)写真で観察される有機微粒子(A)の断面における含浸層の厚さの平均値を意味する。具体的には、上記拡散層の断面を電子顕微鏡にて3000〜5万倍で、含浸層のある微粒子が必ず1個以上存在している任意の5場面を観察し、撮影した後に、含浸層の厚さを微粒子1個につき2点測定し、測定値10点を平均した値として求めることができる。上記含浸層の厚さの測定は、微粒子の周りのバインダー成分の硬化物と、微粒子との境目が比較的明瞭であり、かつ、最大含浸しているような部分を2点選択して行う。
なお、上記有機微粒子(A)の含有比CAは以下のようにして算出される。拡散層の光透過性基材に垂直な方向から顕微鏡写真を撮り、該写真画像における単位面積当たりに含まれる有機微粒子(A)の数(N)、平均粒径(rA)及び防眩性フィルムの断面写真から測定した拡散層の厚み(T)を用いて、拡散層の単位体積当たりの有機微粒子(A)の体積割合(N×π×rA 3/6/T)を算出し、これを上記有機微粒子(A)の含有比CAとする。
なかでも、屈折率が高くバインダー成分の硬化物との屈折率差を設けやすく(例えば、通常の放射線硬化型バインダーの屈折率は1.48〜1.54程度)、内部拡散を得やすいことから、ポリスチレン微粒子及び/又はアクリル−スチレン共重合体微粒子が好適に用いられる。
また、以下、微粒子について「高架橋」、「低架橋」という場合があるが、該「高架橋」、「低架橋」とは、下記のように定義することとする。
トルエンとメチルイソブチルケトンの混合物(質量比8:2)を、放射線硬化型バインダー(ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;重量平均分子量75,000)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=80/10/10))100質量部に対して、190質量部配合した塗液を調製する。
得られた塗液に微粒子を浸漬させ、直後にスポイトにてスライドガラスに載せ、更にその上にカバーガラスを載せる。これを光学顕微鏡で観察し平均粒径d0(20個の微粒子の平均値)を求める。さらに浸漬後30℃にて24時間経たものを同様に光学顕微鏡で観察し平均粒径d24を求める。こうして求めた粒径の変化率[(d24−d0)/d0]×100が、5%以上の微粒子を「低架橋」、5%未満の微粒子を「高架橋」と定義する。
上記有機微粒子(B)に上記含浸層が形成されていることで、上述した有機微粒子(A)の場合と同様に、面ギラの抑制とコントラストの向上及び本発明の防眩性フィルムの温湿度変化に対する防眩度合いの経時変化に対する安定性(耐湿熱性)が優れたものとなる。なお、以下の説明において、拡散層に含有させる前の有機微粒子(B)を有機微粒子(b)と称する。
上記有機微粒子(B)に形成される含浸層は、平均厚さが上記有機微粒子(A)の含浸層よりも小さいことが好ましい。上記有機微粒子(B)は、上記有機微粒子(A)の平均粒径rAより小さい平均粒径rBを有するため、上記有機微粒子(B)の含浸層の厚さが有機微粒子(A)の含浸層よりも厚い場合、拡散角度が大きいことを求められる有機微粒子(B)の中心部が小さくなるため、拡散層の拡散性能が不充分となることがある。
上記拡散層中の有機微粒子(B)に含浸層が形成されているか否かの判断は、例えば、上記拡散層の有機微粒子(B)の断面を顕微鏡(STEM等)で観察することで行うことができる。
このような上記バインダー成分としては、上述した有機微粒子(a)及び有機微粒子(b)を膨潤させるものが好適に挙げられ、透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。また、本明細書において、モノマーとは、電離放射線硬化してポリマー膜となるために、このポリマー膜の基本構造の構成単位となりうる分子を全て含み、不飽和結合を有する。つまり、オリゴマーやプレポリマーが硬化膜の基本単位であれば、オリゴマーやプレポリマーも含まれる。
本発明において、上記モノマーは、重量平均分子量が5000以下の小さいものが好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量とは、THF溶剤におけるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値として求めたものである。
1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物と(メタ)アルリレート等の反応生成物(例えば、多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)等が挙げられる。
また、2以上の不飽和結合を有するウレタン(メタ)アクリレートやポリエステル(メタ)アクリレートも挙げられる。
上記光重合開始剤としては、具体例には、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
上記溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、一般的に例示されるものが利用される。上記溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。
好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマー等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶剤(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶剤)に可溶な樹脂を使用することが好ましい。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記溶剤としては特に限定されず、例えば、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)等が挙げられる。
なお、上記有機微粒子(a)及び有機微粒子(b)の含浸層の形成は、該有機微粒子(a)及び有機微粒子(b)を膨潤させる性質を持つ溶剤が存在することで、上記バインダー成分の膨潤性の程度によらず、より確実に行うことができるので、少なくとも上記溶剤は、上記有機微粒子(a)及び有機微粒子(b)を膨潤させる性質を持つことがより好ましい。これは、上記有機微粒子(a)及び有機微粒子(b)に、まず、上記溶剤が作用して上記有機微粒子(a)及び有機微粒子(b)が膨潤し、次いで上記バインダー成分に含まれる低分子量成分が含浸してゆくためであると類推している。
本発明の防眩性フィルムでは、上記電離放射線硬化型バインダー及び溶剤の組み合わせとしては、なかでも、バインダー成分として、分子量が小さく含浸しやすいことから(メタ)アクリレートモノマーと、溶剤として、上記有機微粒子(A)を膨潤させる性質の強いケトン、エステル系とを組み合わせて用いることが好ましい。
また、上記溶剤を混合して用いることで有機微粒子(a)及び有機微粒子(b)の膨潤度合いを調整することにより、上記バインダー成分に含まれる低分子量成分の含浸量を制御することができる。
上記層状無機化合物としては特に限定されず、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、タルク、パイロフィライト、マイカ、マーガライト、白雲母、金雲母、テトラシリリックマイカ、テニオライト、アンチゴライト、クロライト、クックアイト、ナンタイト等が挙げられる。これらの層状無機化合物は、天然物であってもよく、合成物であってもよい。
これは、上記タルクが親油性の高い物質であることが影響しているものと推測している。すなわち、有機微粒子(a)(架橋アクリル樹脂)が親水性、有機微粒子(b)(スチレン)が親油性の各性質を有し、両微粒子が凝集するのを、親油性の高いタルクが調整しているものと推測している。
上記各材料を混合し塗液を調製する方法としては特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー又はビーズミル等を使用するとよい。
上記塗液の塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等が挙げられる。
上記塗液を調製して静置することなく拡散層を形成すると、使用する有機微粒子(A)の架橋度や、バインダー成分及び/又は溶剤による上記有機微粒子(A)の膨潤の度合いを適宜調整した場合であっても、拡散層中の有機微粒子(A)に充分な含浸層を形成することができないことがあるからである。
上記塗液の静置時間としては、用いる有機微粒子(A)の種類、架橋度及び粒径、並びに、用いる電離放射線硬化型バインダー及び/又は溶剤の種類等により適宜調整すればよいが、例えば、12〜48時間程度であることが好ましい。
上記塗膜の硬化方法としては特に限定されないが、紫外線照射によって行うことが好ましい。紫外線によって硬化を行う場合、190〜380nmの波長域の紫外線を使用することが好ましい。紫外線による硬化は、例えば、メタルハライドランプ灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯等によって行うことができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
上記拡散層は、該拡散層中の有機微粒子(A)に対応する位置に凸部(以下凸部(A)ともいう)を有することが好ましく、上記凸部(A)は、その高さが、下記要件(1)、(2)及び(3)の全てを充足する有機微粒子(C)を含む拡散層(C)の表面の上記有機微粒子(C)に対応する位置の凸部(以下、凸部(C)ともいう)の高さよりも低いことが好ましい。
要件(1):有機微粒子(A)に代えて有機微粒子(C)を用いる以外は、有機微粒子(A)を含有する拡散層と同条件で、拡散層(C)を形成する
要件(2):拡散層(C)中の有機微粒子(C)は、拡散層中の有機微粒子(A)と同じ平均粒径を有する
要件(3):有機微粒子(C)は、拡散層(C)中で含浸層が形成されない
これは、上記塗膜を硬化させる際の有機微粒子(A)は、上述の含浸層が形成された有機微粒子(A)であり、この有機微粒子(A)が、上記有機微粒子(C)と比較して、非常に柔軟性に富んだ微粒子であるからと類推される。すなわち、上記塗膜を硬化させると、バインダー成分は硬化収縮を起こすが、上記有機微粒子(A)が位置する表面の硬化収縮は、該有機微粒子(A)の位置しない表面の硬化収縮と比較して、上記バインダー成分の量が少ないため小さくなる。しかしながら、上記有機微粒子(A)は、非常に柔軟性に富んだ微粒子であるため、上記塗膜の硬化収縮により有機微粒子(A)が変形する。その結果、形成される凸部(A)の高さが、より硬い有機微粒子(C)を含む拡散層(C)の表面に形成される上記凸部(C)と比較して低く、滑らかになるものと推測している。
なお、上記凸部の高さとは、防眩性フィルム表面をAFMにより観察し、表面に存在する上記凸部の斜面における上記凸部から凹部へ変化する変曲点から、上記凸部の頂点までの高さ10点(任意)を測定した平均値を意味する。
また、上記拡散層中の有機微粒子(A)に上述した含浸層が形成されている場合、該含浸層は、バインダー成分が混合された状態で形成されたものであるので、上記拡散層中の有機微粒子(A)(含浸層)とバインダー成分の硬化物との界面で、上記拡散層の透過光が反射することを好適に防止しつつ適度な内部拡散性を発現することができる。
更に、上記拡散層の有機微粒子(A)に対応する位置に形成された凸部を、その高さが低く、なだらかな形状とすることができる。
そのため、本発明の防眩性フィルムの防眩性、白茶け防止性及び面ギラ防止性を高いレベルで達成することができる。
このような含浸層の確保を確実にするために、有機微粒子(A)は低架橋であることが好ましく、有機微粒子(A)及び有機微粒子(B)が低架橋であることがより好ましい。
上記拡散層の厚さのより好ましい下限は2μm、より好ましい上限は15μmであり、さらに好ましい上限は10μmである。
なお、上記拡散層の厚さとは、共焦点レーザー顕微鏡(LeicaTCS−NT:ライカ社製:対物レンズ「10〜100倍」)にて、防眩性フィルムの断面を観察し、界面の有無を判断し下記の評価基準で判断することにより求められる。
測定手順
(1)ハレーションのない鮮明な画像を得るため、共焦点レーザー顕微鏡に、湿式の対物レンズを使用し、かつ、防眩性フィルムの上に屈折率1.518のオイルを約2mL乗せて観察した。オイルの使用は、対物レンズと拡散層との間の空気層を消失させるために用いた。
(2)1画面につき凹凸の最大凸部、最小凹部の基材からの膜厚を1点ずつ計2点測定し、それを5画面分、計10点測定し、平均値を拡散層の厚さとして算出した。
なお、上記共焦点レーザー顕微鏡にて界面が明確にわからない防眩性フィルムの場合は、ミクロトーム等で断面を作成し、電子顕微鏡観察によって、上記(2)と同様に拡散層の厚さを算出することもできる。
なお、上記ヘイズ値は、JIS−K7136に規定されたヘイズ(曇度)に準じ、ヘイズメーターHM150(村上色彩技術研究所社製、商品名)を用いて測定した値である。
すなわち、本発明の防眩性フィルムの製造方法は、光透過性基材と、該光透過性基材の少なくとも一方の面上に形成され、表面に凹凸形状を有する拡散層とを有する防眩性フィルムの製造方法であって、上記光透過性基材の少なくとも一方の面上に、有機微粒子(A)、有機微粒子(B)及びバインダー成分を含有する塗液を塗布し、乾燥させて塗膜を形成し、該塗膜を硬化させて上記拡散層を形成する工程を有し、上記有機微粒子(A)の含有比をCA、平均粒径をrA、上記バインダー成分の硬化物との屈折率差をΔAとし、上記有機微粒子(B)の含有比をCB、平均粒径をrB、上記バインダー成分の硬化物との屈折率差をΔBとしたとき、下記式(1)、式(2)及び式(3)を満足することを特徴とする防眩性フィルムの製造方法である。
rA>rB 式(1)
ΔA<ΔB 式(2)
rB/rA>CB/CA 式(3)
また、上記拡散層を形成する工程も、上述した本発明の防眩性フィルムにおいて説明した方法と同様の方法が挙げられる。
まず、光透過性基材としてトリアセチルセルロース(富士フイルム社製、厚さ80μm)を用意した。
次に、下記組成の塗液を調製した。
バインダー成分[ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;重量平均分子量75,000)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=80/10/10)(屈折率1.52)] 100質量部
光重合開始剤(商品名:イルガキュア184;BASFジャパン社製)
5.0質量部
有機微粒子(A)[低架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm、綜研化学社製)] 7.8質量部
有機微粒子(B)[低架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.59、平均粒径3.5μm)、綜研化学社製] 4.0質量部
溶剤[トルエンとメチルイソブチルケトンとの混合物(質量比;トルエン/メチルイソブチルケトン=8/2)] 190質量部
その後、形成した塗膜に紫外線を照射して(窒素雰囲気下にて200mJ/cm2)バインダー成分を硬化させて拡散層を形成し、防眩性フィルムを作製した。なお、拡散層の厚さは6.0μmとした。
下記組成の塗液を用いた以外は、実施例1と同様にして防眩性フィルムを作製した。
バインダー成分[ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;重量平均分子量75,000)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=80/10/10)(屈折率1.52)] 100質量部
光重合開始剤(商品名:イルガキュア184;BASFジャパン社製) 5.0質量部
有機微粒子(A)[低架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm、綜研化学社製)] 7.8質量部
有機微粒子(B)[低架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.59、平均粒径3.5μm、綜研化学社製)] 4.0質量部
タルク(屈折率1.57、平均粒径0.8μm、日本タルク社製)
2.0質量部
溶剤[トルエンとメチルイソブチルケトンとの混合物(質量比;トルエン/メチルイソブチルケトン=8/2)] 190質量部
下記組成の塗液を用いた以外は、実施例1と同様にして防眩性フィルムを作製した。
バインダー成分[ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;重量平均分子量75,000)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=80/10/10)(屈折率1.52)] 100質量部
光重合開始剤(商品名:イルガキュア184;BASFジャパン社製)
5.0質量部
有機微粒子(A)[低架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm、綜研化学社製)] 7.8質量部
有機微粒子(B)[高架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.59、平均粒径3.5μm、綜研化学社製)] 4.0質量部
タルク(屈折率1.57、平均粒径0.8μm、日本タルク社製)
2.0質量部
溶剤[トルエンとメチルイソブチルケトンとの混合物(質量比;トルエン/メチルイソブチルケトン=8/2)] 190質量部
下記組成の塗液を用いた以外は、実施例1と同様にして防眩性フィルムを作製した。
バインダー成分[ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;重量平均分子量75,000)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=80/10/10)(屈折率1.52)] 100質量部
光重合開始剤(商品名:イルガキュア184;BASFジャパン社製)
5.0質量部
有機微粒子(A)[高架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm、綜研化学社製)] 7.8質量部
有機微粒子(B)[高架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.59、平均粒径3.5μm、綜研化学社製)] 4.0質量部
タルク(屈折率1.57、平均粒径0.8μm、日本タルク社製)
2.0質量部
溶剤[トルエンとメチルイソブチルケトンとの混合物(質量比;トルエン/メチルイソブチルケトン=8/2)] 190質量部
下記組成の塗液を用いた以外は、実施例1と同様にして防眩性フィルムを作製した。
バインダー成分[ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;重量平均分子量75,000)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=80/10/10)(屈折率1.52)] 100質量部
光重合開始剤(商品名:イルガキュア184;BASFジャパン社製)
5.0質量部
有機微粒子(A)[低架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm、綜研化学社製)] 7.8質量部
有機微粒子(B)[低架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.59、平均粒径3.5μm、綜研化学社製)] 5.6質量部
溶剤[トルエンとメチルイソブチルケトンとの混合物(質量比;トルエン/メチルイソブチルケトン=8/2)] 190質量部
下記組成の塗液を用いた以外は、実施例1と同様にして防眩性フィルムを作製した。
バインダー成分[ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;重量平均分子量75,000)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=80/10/10)(屈折率1.52)] 100質量部
光重合開始剤(商品名:イルガキュア184;BASFジャパン社製)
5.0質量部
有機微粒子(A)[高架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm、綜研化学社製)] 7.8質量部
有機微粒子(B)[高架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.59、平均粒径3.5μm、綜研化学社製)] 5.6質量部
溶剤[トルエンとメチルイソブチルケトンとの混合物(質量比;トルエン/メチルイソブチルケトン=8/2)] 190質量部
まず、光透過性基材としてトリアセチルセルロース(富士フイルム社製、厚さ80μm)を用意した。
次に、下記組成の塗液を調製した。
バインダー成分[ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;重量平均分子量75,000)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=80/10/10)(屈折率1.52)] 100質量部
光重合開始剤(商品名:イルガキュア184;BASFジャパン社製)
5.0質量部
有機微粒子(A)[高架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm、綜研化学社製)] 10質量部
溶剤[トルエンとメチルイソブチルケトンとの混合物(質量比;トルエン/メチルイソブチルケトン=8/2)] 190質量部
その後、形成した塗膜に紫外線を照射して(窒素雰囲気下にて200mJ/cm2)バインダー成分を硬化させて拡散層を形成し、防眩性フィルムを作製した。なお、拡散層の厚さは6.0μmとした。
下記組成の塗液を用いた以外は、比較例3と同様にして防眩性フィルムを作製した。
バインダー成分[ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;重量平均分子量75,000)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=80/10/10)(屈折率1.52)] 100質量部
光重合開始剤(商品名:イルガキュア184;BASFジャパン社製)
5.0質量部
有機微粒子(A)[高架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径3.5μm、綜研化学社製)] 10質量部
溶剤[トルエンとメチルイソブチルケトンとの混合物(質量比;トルエン/メチルイソブチルケトン=8/2)] 190質量部
(比較例5)
下記組成の塗液を用いた以外は、比較例3と同様にして防眩性フィルムを作製した。
バインダー成分[ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及び、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;重量平均分子量75,000)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=80/10/10)(屈折率1.52)] 100質量部
光重合開始剤(商品名:イルガキュア184;BASFジャパン社製)
5.0質量部
有機微粒子(A)[高架橋アクリル粒子(屈折率1.49、平均粒径5.0μm、綜研化学社製)] 7.8質量部
有機微粒子(B)[高架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.59、平均粒径3.5μm、綜研化学社製)] 4.0質量部
溶剤[トルエンとメチルイソブチルケトンとの混合物(質量比;トルエン/メチルイソブチルケトン=8/2)] 190質量部
エフケー光学研究所社製の透過型位相シフトレーザー顕微干渉計測装置PLM−OPTを用いて、以下のようにして、実施例及び比較例で得られた防眩性フィルムの拡散層中の有機微粒子(A)、有機微粒子(B)(以下、これらの有機微粒子を区別しない場合、単に有機微粒子と表記する)と、バインダー成分の硬化物との屈折率差ΔA、ΔBをそれぞれ求めた。
具体的には、実施例及び比較例で得られた防眩性フィルムを適当な大きさに切り取り、クロロホルムの中に一昼夜程度浸漬することにより光透過性基材から拡散層を剥離させ、乾燥させた。これをスライドガラスに載せ、バインダー成分の硬化物(以下、バインダーと表記)と同じ屈折率を持つオイル(モリテックス社製のカーギル標準屈折液)に浸漬しその上にカバーガラスを載せサンプルを作製した。こうすることにより、拡散層の厚み方向に対して、バインダーの凹凸等の有機微粒子以外の位相差が生じる要因を除去することができる。こうして得られたサンプルをエフケー光学研究所社製の透過型位相シフトレーザー顕微干渉計測装置(測定条件:測定波長633nm、測定倍率200倍)にて光の入射方向をサンプルの厚み方向として測定して、バインダーのみの部分と有機微粒子がある部分の位相差を測定し、また、光学顕微鏡にて有機微粒子の粒径を測定することにより以下の式からバインダーと有機微粒子の屈折率差を求めた。
Δn = Δφ・λ/(2π・d)
但し、Δn:バインダーと有機微粒子の屈折率差
Δφ:バインダーのみの部分と有機微粒子がある部分の位相差
λ :測定波長
d :有機微粒子の粒径
実施例及び比較例で得られた防眩性フィルムを光学顕微鏡(キーエンス社製VHX−200)にて透過観察し、任意の10点の有機微粒子(A)及び有機微粒子(B)の粒径を測定し、その平均値をそれぞれ平均粒径rA、rBとした。
実施例及び比較例で得られた防眩性フィルムについて、拡散層の光透過性基材に垂直な方向から顕微鏡写真を撮り、該写真画像における単位面積当たりに含まれる有機微粒子(A)の数(N)、上述した方法で測定した平均粒径(rA)及び後述する方法で測定した拡散層の厚み(T)を用いて、拡散層の単位体積当たりの有機微粒子(A)の体積割合(N×π×rA 3/6/T)を算出し、これを上記有機微粒子(A)の含有比CAとした。同様の方法で、有機微粒子(B)の含有比CBを求めた。
実施例及び比較例で得られた防眩性フィルムについて、拡散層の厚さ方向に切断し、有機微粒子(A)を1個以上少なくとも含む断面を倍率3000〜5万倍でSTEM観察を行い、バインダー成分が有機微粒子(A)に含浸している部分で、有機微粒子(A)と周りのバインダー成分の硬化物との境界が比較的明瞭であり、かつ、有機微粒子(A)内にバインダー成分が最も含浸していると見られる部分2点の厚さを測定した。合計5個の有機微粒子(A)について同様に測定し、10点の測定結果の平均値を算出した。
実施例2に係る防眩性フィルムの拡散層の断面STEM写真を図1に示した。
なお、有機微粒子(A)の他に、さらに有機微粒子(B)も上記と同様に含浸層の厚さを測定できる。
JIS−K7136に規定されたヘイズ(曇度)に準じ、ヘイズメーターHM150(村上色彩技術研究所社製)を用いて、実施例及び比較例で得られた防眩性フィルムのヘイズ値を測定した。
黒色アクリル板に実施例及び比較例で得られた防眩性フィルムを、光学フィルム用透明粘着フィルムを用いて貼合し、防眩性フィルムの表面状態を、15名の被験者が、1000Lxの明室条件で様々な方向から目視官能評価を行った。艶のある黒色を再現することができるか否かを判定し、以下の基準により評価した。
◎:良好と答えた人が10人以上
○:良好と答えた人が9〜8人
△:良好と答えた人が7〜5人
×:良好と答えた人が4人以下
ソニー社製液晶テレビ「KDL−40X2500」の最表面の偏光板を剥離し、表面塗布のない偏光板を貼付した。
次いで、偏光板の上に実施例及び比較例で得られた防眩性フィルムを、拡散層側が最表面となるように、光学フィルム用透明粘着フィルム(全光線透過率91%以上、ヘイズ0.3%以下、膜厚20〜50μmの製品、例えばMHMシリーズ:日栄化工社製等)により貼付した。
該液晶テレビを、照度が約1000Lxの環境下の室内に設置し、白画面表示して、液晶テレビから1.5〜2.0m程度離れた場所から上下、左右様々な角度から、被験者15人が目視官能評価を行った。白画面表示に面ギラが認められるか否かを判定し、以下の基準に従って評価した。
◎:良好と答えた人が10人以上
○:良好と答えた人が9〜8人
△:良好と答えた人が7〜5人
×:良好と答えた人が4人以下
rA>rB 式(1)
ΔA<ΔB 式(2)
rB/rA>CB/CA 式(3)
を満たしているため、コントラストと面ギラとのバランスよく良好なものであった。
一方、比較例に係る防眩性フィルムは、上記式(1)〜(3)全てを満たしていないため、面ギラかコントラストの一方又は両方に劣るものであった。
Claims (6)
- 光透過性基材と、該光透過性基材の少なくとも一方の面上に形成され、表面に凹凸形状を有する拡散層とを有する防眩性フィルムであって、
前記拡散層は、有機微粒子(A)、有機微粒子(B)及びバインダー成分の硬化物を含有し、
前記拡散層における前記有機微粒子(A)の含有比をCA、平均粒径をrA、前記バインダー成分の硬化物との屈折率差をΔAとし、
前記拡散層における前記有機微粒子(B)の含有比をCB、平均粒径をrB、前記バインダー成分の硬化物との屈折率差をΔBとしたとき、下記式(1)、式(2)及び式(3)を満足する
ことを特徴とする防眩性フィルム。
rA>rB 式(1)
ΔA<ΔB 式(2)
rB/rA>CB/CA 式(3) - 有機微粒子(A)及び/又は有機微粒子(B)は、バインダー成分が含浸して形成された含浸層を有することを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルム。
- バインダー成分は、(メタ)アクリレートモノマーを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の防眩性フィルム。
- 光透過性基材と、該光透過性基材の少なくとも一方の面上に形成され、表面に凹凸形状を有する拡散層とを有する防眩性フィルムの製造方法であって、
前記光透過性基材の少なくとも一方の面上に、有機微粒子(A)、有機微粒子(B)及びバインダー成分を含有する塗液を塗布し、乾燥させて塗膜を形成し、該塗膜を硬化させて前記拡散層を形成する工程を有し、
前記有機微粒子(A)の含有比をCA、平均粒径をrA、前記バインダー成分の硬化物との屈折率差をΔAとし、
前記有機微粒子(B)の含有比をCB、平均粒径をrB、前記バインダー成分の硬化物との屈折率差をΔBとしたとき、下記式(1)、式(2)及び式(3)を満足する
ことを特徴とする防眩性フィルムの製造方法。
rA>rB 式(1)
ΔA<ΔB 式(2)
rB/rA>CB/CA 式(3) - 偏光素子を備えてなる偏光板であって、前記偏光素子の表面に請求項1、2又は3記載の防眩性フィルムを備えることを特徴とする偏光板。
- 最表面に請求項1、2若しくは3記載の防眩性フィルム、又は、請求項5記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
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