JPWO2011148623A1 - 電動機制御装置 - Google Patents

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Abstract

フィードバック制御系内に配置された第1ノッチフィルタと、振動成分を含む信号x1を出力する振動抽出フィルタと、信号x1が入力される第2ノッチフィルタと、信号x1と第2ノッチフィルタ出力信号x2とに基づきノッチ中心周波数を変更するノッチ制御部と、信号x1に基づき第1ノッチフィルタのノッチ深さを変更するノッチ深さ制御部と、ノッチ制御部とノッチ深さ制御部とのいずれかが動作するよう制御する制御判断部とを備える。

Description

本発明は電動機や電動機で駆動される負荷に対し、その速度や位置などの動き動作を制御する電動機制御装置に関し、特に、駆動時などに発生する機械共振を抑制する機能を備えた電動機制御装置に関する。
従来、この種の電動機制御装置としては、特許文献1に記載されているようなものがあった。図10は、特許文献1に記載されている電動機制御装置の構成を示すブロック図である。
図10に示す従来の電動機制御装置50は、電動機11と速度検出器13とに接続される。電動機11には、負荷12が繋がれている。また、速度検出器13は、電動機11の回転速度を検出し、検出した回転速度を示す速度検出信号Vdを出力する。
電動機制御装置50は、速度検出信号Vdを指令速度信号Vrに追従させる速度制御系を有している。そして、電動機制御装置50は、機械共振などに起因する発振を抑制するため、図10に示すように、第1ノッチフィルタ15を備えている。さらに、電動機制御装置50は、速度制御部14とトルク制御部16と振動抽出フィルタ17と第2ノッチフィルタ18とノッチ制御部19とを備えている。
速度制御部14は、指令速度信号Vrおよび速度検出信号Vdを入力してトルク指令信号τ1を生成する。第1ノッチフィルタ15は、供給された信号から、その信号に含まれる特定の周波数を中心とした所定範囲の周波数を有する信号に対し、急峻な減衰を与えるフィルタである。この中心となる周波数をノッチ中心周波数、減衰させる近傍の周波数幅をノッチ幅、ノッチ中心周波数において与える減衰の度合いをノッチ深さと呼ぶ。また、ノッチ中心周波数およびノッチ幅で特定される周波数をノッチ周波数と呼ぶ。第1ノッチフィルタ15はこのような特性を有しており、トルク指令信号τ1に対して、ノッチ周波数の信号成分を減衰させ、フィルタ処理したトルク指令信号τ2をトルク制御部16に供給する。トルク制御部16は、入力されたトルク指令信号τ2をもとに、電動機11が目的のトルクを出力するように電動機11を制御する。
また、振動抽出フィルタ17は、速度検出信号Vdから、機械共振に起因する振動を抽出し、抽出振動信号x1として出力する。抽出振動信号x1は、第2ノッチフィルタ18へ入力される。第2ノッチフィルタ18は、ノッチ制御部19の制御に応じて、抽出振動信号x1に対しノッチ周波数の信号成分を減衰させるようなフィルタ処理を施す。第2ノッチフィルタ18は、フィルタ処理した抽出振動信号として、第2ノッチフィルタ出力信号x2を出力する。ノッチ制御部19は、抽出振動信号x1と第2ノッチフィルタ出力信号x2とに基づき、ノッチ周波数設定値cn1を生成する。ノッチ制御部19は、第1ノッチフィルタ15および第2ノッチフィルタ18のノッチ周波数が抽出振動信号x1の振動周波数となるように、ノッチ周波数設定値cn1により第1ノッチフィルタ15および第2ノッチフィルタ18を制御する。
ここで、第1ノッチフィルタ15は、ノッチ周波数におけるノッチ深さは固定の値であり、また、第2ノッチフィルタ18は、ノッチ周波数におけるノッチ深さが−∞である。
このように構成された従来の電動機制御装置では、何らかの原因で機械共振による発振が起きても、この発振による振動成分が減少するよう第1ノッチフィルタ15および第2ノッチフィルタ18のノッチ周波数が逐次変更される。
また、従来の電動機制御装置の他の例として、特許文献2に記載されているようなものがあった。図11は、特許文献2に記載されている従来の電動機制御装置の構成を示すブロック図である。
図11に示す電動機制御装置は、ノッチフィルタ15bとノッチ周波数決定部41と適応演算部42とフィルタ係数設定部43とを備えている。ノッチフィルタ15bは、ノッチ周波数決定部41によって、ノッチ中心周波数がノッチ周波数ωnに固定されている。一方、ノッチ深さおよびノッチ幅は可変であり、フィルタ係数設定部43が出力するフィルタ係数ζ1、ζ2をもとに、ノッチフィルタ15bのノッチ深さとノッチ幅が決定する。
適応演算部42は、ノッチフィルタ15bの出力τ2と基準信号uとをもとに、適応則によって適応入力ζを逐次変更し、出力する。フィルタ係数設定部43は、入力された適応入力ζをもとに、ノッチフィルタ15bのノッチ深さやノッチ幅を示すフィルタ係数ζ1、ζ2を出力する。
図11に示す従来の電動機制御装置では、機械共振による発振が起きたとき、この発振による振動成分が減少するようノッチフィルタ15bのノッチ深さが逐次変更される。
しかしながら、特許文献1のように、ノッチ深さが固定の第1ノッチフィルタ15では、ノッチ深さが最適な値とならないため、制御対象によって、不必要に振動を抑制しすぎて位相遅れが大きくなり、制御系ゲインを十分上げることができないという課題があった。
また、特許文献2のように、ノッチ周波数が固定のノッチフィルタ15bでは、機械の特性のバラつきや経年変化、固定されたノッチ周波数と共振周波数のずれなどが生じた場合、機械共振などに起因する発振を十分に抑制できなくなるおそれがあった。
特開2004−274976号公報 特開2007−293571号公報
本発明の電動機制御装置は、電動機または負荷の状態量をフィードバック制御する。本電動機制御装置は、第1ノッチフィルタと、振動抽出フィルタと、第2ノッチフィルタと、ノッチ制御部と、ノッチ深さ制御部と、制御判断部とを備える。第1ノッチフィルタは、フィードバック制御系内に配置され、ノッチ中心周波数とノッチ深さの変更が可能である。振動抽出フィルタは、機械共振に起因する振動成分を抽出し、抽出振動信号として出力する。第2ノッチフィルタは、抽出振動信号が入力され、ノッチ中心周波数が変更可能である。ノッチ制御部は、抽出振動信号および第2ノッチフィルタ出力信号に基づき、第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が減少するよう第1ノッチフィルタのノッチ中心周波数および第2ノッチフィルタのノッチ中心周波数を変更する。ノッチ深さ制御部は、抽出振動信号に基づいて第1ノッチフィルタのノッチ深さを変更する。制御判断部は、抽出振動信号および第2ノッチフィルタ出力信号に基づいて、ノッチ制御部とノッチ深さ制御部とのいずれか一方が動作するよう制御する。
このような構成により、例えば経年による装置の特性変化やノッチフィルタ適用の影響で機械共振の振動周波数が変化した場合や、指令追従動作を高速化するために制御系ゲインを大きくした場合でも、制御系を不安定化することなく、機械共振を常に安定して抑制することができる。
よって、本発明の電動機制御装置によれば、機械共振が生じた場合、必要以上に位相遅れを大きくすることなく、機械共振を抑制することが可能であり、常に安定した制御状態を確保しながら電動機やその負荷の動き動作の制御を行う電動機制御装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態1における電動機制御装置の構成を示すブロック図である。 図2は、同電動機制御装置の第1ノッチフィルタの周波数特性および位相特性の一例を示す特性図である。 図3は、同電動機制御装置の第2ノッチフィルタの周波数特性および位相特性の一例を示す特性図である。 図4は、同電動機制御装置の第1ノッチフィルタの特性設定処理を示すフローチャートである。 図5は、同電動機制御装置の変形例の構成としたときの第1ノッチフィルタの特性設定処理を示すフローチャートである。 図6は、指令速度信号Vrに対する速度検出信号Vdの伝達関数のゲイン特性を示す図である。 図7は、制御系ゲインをKvだけ増幅させた場合のゲイン特性を示す図である。 図8は、本発明の実施の形態2における電動機制御装置の第1ノッチフィルタの特性設定処理を示すフローチャートである。 図9は、本発明の実施の形態3における電動機制御装置の第1ノッチフィルタの特性設定処理を示すフローチャートである。 図10は、従来の電動機制御装置の構成を示すブロック図である。 図11は、従来の電動機制御装置の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電動機制御装置10の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態1における電動機制御装置10は、電動機11と速度検出器13とに接続される。電動機11には、負荷12が繋がれている。また速度検出器13は、電動機11内に備えた可動子(図示せず)の回転速度を測定し、その回転速度に応じた速度量を示す状態検出信号としての速度検出信号Vdを出力する。一方、可動子の回転速度を指令するため、電動機制御装置10には、指令速度信号Vrが通知される。電動機制御装置10は、フィードバック制御する制御系として、可動子の回転動作が指令速度に追従するようにフィードバック制御する速度制御系を有している。すなわち、本実施の形態では状態量としての速度量をフィードバック制御する。本実施の形態では、このような速度制御系を有した構成の電動機制御装置の一例を挙げて説明する。
電動機制御装置10は、図1に示すように、速度制御部14と、第1ノッチフィルタ15と、トルク制御部16と、振動抽出フィルタ17と、第2ノッチフィルタ18と、ノッチ制御部19と、ノッチ深さ制御部20と、制御判断部21と、切替部22とを備えている。
速度制御部14には、指令速度を示す指令速度信号Vrと速度検出器13が検出した検出速度を示す速度検出信号Vdとが入力される。速度制御部14は、指令速度信号Vrと速度検出信号Vdとの偏差量を算出し、この偏差量をゼロに制御するためのトルク指令信号τ1を生成し、出力する。具体的には、速度制御部14は、例えば指令速度信号Vrと速度検出信号Vdとの差分を計算し、その算出値を比例積分した結果をトルク指令信号τ1として出力する。
第1ノッチフィルタ15には、速度制御部14からトルク指令信号τ1が供給される。さらに、第1ノッチフィルタ15には、ノッチ制御部19からノッチ周波数設定値cn1、ノッチ深さ制御部20からノッチ深さ設定値cn2が供給される。第1ノッチフィルタ15は、トルク指令信号τ1から、トルク指令信号τ1に含まれる特定の周波数を中心とした周波数を有する信号成分に対し、急峻な減衰を与えるフィルタである。図2は、本発明の実施の形態1における電動機制御装置10の第1ノッチフィルタ15の周波数特性および位相特性の一例を示す特性図である。図2では、ノッチ中心周波数ωn1を中心として、ノッチ幅Bnとする近傍周波数の周波数帯域内の信号成分をノッチ深さDnに従って減衰させるような周波数特性の一例を示している。第1ノッチフィルタ15は、供給されたノッチ周波数設定値cn1に基づきノッチ中心周波数ωn1が変更され、ノッチ深さ設定値cn2に基づきノッチ深さDnが変更される。ノッチ深さ設定値cn2は、小さいほどノッチ深さDnが深く、大きいほどノッチ深さDnが浅くなる特徴を有する。
第1ノッチフィルタ15は、例えば次の(式1)で示す伝達関数H(s)をもつ2次の再帰型ノッチフィルタである。
Figure 2011148623
(式1)において、ωn1は第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1に対応するノッチ中心周波数係数、ζは減衰定数、dはノッチ深さDnを示すノッチ深さ係数である。ノッチ深さ係数dは、0≦d≦1であり、d=1の場合、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1におけるゲイン特性は0[dB]となり、d=0の場合、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1におけるゲイン特性は−∞[dB]となる。すなわち、d=1の場合には、第1ノッチフィルタ15の入力信号が第1ノッチフィルタ15からそのまま出力される。また、d=0の場合は、ノッチ中心周波数ωn1の信号成分の減衰量が最大となり、ノッチ中心周波数ωn1近傍の周波数の信号成分を減衰させた信号が第1ノッチフィルタ15から出力される。本実施の形態では、ノッチ中心周波数係数ωn1がノッチ周波数設定値cn1に基づき変更されることで、ノッチ中心周波数ωn1が変更され、ノッチ深さ係数dがノッチ深さ設定値cn2に基づき変更されることで、ノッチ深さDnが変更される。第1ノッチフィルタ15からは、トルク指令信号τ1をこのようにフィルタ処理した信号であるトルク指令信号τ2が出力される。
トルク制御部16には、第1ノッチフィルタ15から出力されたトルク指令信号τ2が入力される。トルク制御部16は、電動機11が目的のトルクを出力するように電動機11の回転動作を制御する。
このようにして、電動機制御装置10には、速度検出器13により検出された可動子の回転速度を示す速度検出信号Vdを利用して、この可動子の回転速度が指令速度信号Vrに応じた回転速度になるように、この可動子の動き動作をフィードバック制御する速度制御系が構成される。そして、電動機制御装置10は、この速度制御系内に第1ノッチフィルタ15を配置した構成である。
また、本実施の形態では、電動機制御装置10が、負荷12を駆動する場合などに発生した機械共振を自動的に抑制する機能を備えている。この機能を実現するため、電動機制御装置10は、速度制御系内に上述したような第1ノッチフィルタ15を配置するとともに、機械共振などの振動成分を抽出するための抽出フィルタである振動抽出フィルタ17を備えている。速度検出器13から出力される速度検出信号Vdは、振動抽出フィルタ17にも供給される。
振動抽出フィルタ17は、所定の周波数帯域が設定されており、速度検出信号Vdから、設定された周波数帯域内に含まれる振動成分を抽出する。すなわち、振動抽出フィルタは、例えば電動機11により負荷12を駆動した場合に発生する機械共振の振動成分など、入力された速度検出信号Vdに現れる振動成分を抽出し、出力する。なお、振動抽出フィルタ17は、このように振動成分を抽出できればよいため、所定の周波数以上の信号成分を通過させるハイパスフィルタであってもよく、所定の周波数帯域幅内の信号成分を通過させるバンドパスフィルタであってもよい。振動抽出フィルタ17は、このような周波数特性のフィルタを通過した信号、すなわち速度検出信号Vdに現れた振動成分を抽出した信号である抽出振動信号x1を出力する。
振動抽出フィルタ17から出力された抽出振動信号x1は、第2ノッチフィルタ18、制御判断部21および切替部22に入力される。さらに、抽出振動信号x1は、切替部22の切り替えに従ってノッチ制御部19またはノッチ深さ制御部20のいずれかに入力される。また、詳細については以下で説明するが、これらの構成によって、第1ノッチフィルタ15の特性が設定される。
まず、第2ノッチフィルタ18は、抽出振動信号x1に含まれる特定の周波数を中心とした周波数を有する信号成分に対し、急峻な減衰を与えた信号を出力する。また、第2ノッチフィルタ18には、ノッチ制御部19からノッチ周波数設定値cn1が供給される。本実施の形態では、第2ノッチフィルタ18の特性として、ノッチ幅は所定の値が予め与えられ、ノッチ中心周波数におけるノッチ深さは−∞[dB]としている。例えば、次の(式2)で示す伝達関数H(s)をもつ2次の再帰型ノッチフィルタとする。
Figure 2011148623
ここで、ωn2は第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2に対応するノッチ中心周波数係数であり、ζは減衰定数である。周波数特性は、第1ノッチフィルタ15と同様であり、図3に示すような特性を有している。図3からわかるように、ノッチ中心周波数ωn2の成分が抑圧される特性をもつ。また、第2ノッチフィルタ18は、図2のノッチ深さDnに対応するゲイン特性を−∞[dB]に設定している。さらに、本実施の形態では、ノッチ中心周波数係数ωn2がノッチ周波数設定値cn1に基づき変更されることで、ノッチ中心周波数ωn2が変更される。なお、第1ノッチフィルタ15と第2ノッチフィルタ18とは、(式1)および(式2)に基づき同一の設定値cn1により変更されるため、ノッチ中心周波数ωn1とノッチ中心周波数ωn2とは、同一の周波数となるように変更される。第2ノッチフィルタ18からは、抽出振動信号x1(以下、適宜、単に信号x1として説明する)をフィルタ処理した信号である第2ノッチフィルタ出力信号x2(以下、適宜、単に信号x2として説明する)が出力される。信号x2は、ノッチ制御部19および制御判断部21に供給される。
ここで、第2ノッチフィルタ18において、入力である信号x1に含まれる振動成分の振動周波数とノッチ中心周波数ωn2とが大きく異なる場合は、信号x1の振幅は抑圧されない。一方、一致する場合は、その振幅が抑圧される。このため、信号x2の振幅は、信号x1の振動周波数がノッチ中心周波数ωn2からずれるに従って大きくなる。すなわち、信号x2は、信号x1の振動周波数とノッチ中心周波数ωn2とのずれの程度を示すと言える。
次に、ノッチ制御部19は、信号x2と切替部22を介して供給された信号x1とに基づき、ノッチ周波数設定値cn1(以下、適宜、単に設定値cn1として説明する)を生成し、出力する。設定値cn1は、第1ノッチフィルタ15および第2ノッチフィルタ18に供給され、設定値cn1に応じてノッチ中心周波数ωn1およびノッチ中心周波数ωn2がそれぞれに設定される。ノッチ制御部19は、信号x1および信号x2を用いて、供給されている信号x2の振幅が小さくなるように設定値cn1を変更する。そして、この設定値cn1に基づき、第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2が変更される。ノッチ制御部19は、このように設定値cn1を逐次変更して、信号x2の振幅が所定値以下あるいは0となるまで、第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2を制御する。このようなノッチフィルタの制御は、第2ノッチフィルタ18と、例えば特許文献1に記載された方向フィルタやノッチフィルタ係数修正手段とを組み合わせることで実現できる。このようにして、ノッチ中心周波数ωn2が信号x1に含まれる振動成分の周波数となるように制御されるため、設定値cn1は、振動成分の周波数に対応した値となる。
また、このように設定値cn1に応じてノッチ中心周波数ωn2が変更されるとともに、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1もノッチ中心周波数ωn2と等しくなるように変更される。すなわち、ノッチ制御部19と第2ノッチフィルタ18とによって、ノッチ中心周波数ωn2=ωnとなるように制御されると、ノッチ中心周波数ωn1もノッチ中心周波数ωn1=ωnとなる。このため、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1も、振動抽出フィルタ17が抽出した振動成分の周波数となるように制御される。
次に、ノッチ深さ制御部20は、切替部22を介して供給された信号x1に基づき、ノッチ深さ設定値cn2を(以下、適宜、単に設定値cn2として説明する)生成し、出力する。設定値cn2は、第1ノッチフィルタ15に供給され、設定値cn2に応じてノッチ深さDnが設定される。ノッチ深さ制御部20は、供給された信号x1に振動成分が含まれているかどうかを監視し、振動成分を検出した場合にはノッチ深さDnがさらに深くなるように設定値cn2を変更して、第1ノッチフィルタ15に供給する。
次に、制御判断部21は、供給された信号x1および信号x2に基づき、ノッチ制御部19を動作させるか、あるいはノッチ深さ制御部20を動作させるかを判断する。制御判断部21は、判断に基づき切替部22を制御する。これにより、制御判断部21の判断に従って、信号x1がノッチ制御部19あるいはノッチ深さ制御部20に供給される。具体的には、信号x1は、まずノッチ制御部19に供給されるように設定する。そして、信号x1には振動成分が検出されるが、信号x2には振動成分が検出されないと、制御判断部21が判断した場合には、信号x1がノッチ深さ制御部20に供給されるように、切替部22が切り替えられる。そして、信号x1から振動成分が検出されないと制御判断部21が判断した場合には、再び信号x1がノッチ制御部19に供給されるように切替部22が切り替えられる。
以上のような構成により、抽出振動信号x1に振動成分が含まれると判断されると、ノッチ制御部19により第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1が振動成分の周波数となるように設定される。さらに、ノッチ中心周波数ωn1が設定された後、ノッチ深さ制御部20によって、抽出振動信号x1に含まれる振動成分が抑制できる程度のノッチ深さとなるように、第1ノッチフィルタ15のノッチ深さDnが設定される。本実施の形態では、このような構成とすることにより、不必要に振動を抑制しすぎることを防ぐことができるため、制御系の安定した動作を確保しつつ、機械共振に起因する発振などを抑制できる。
次に、電動機制御装置10の動作について詳細に説明する。図4は、本発明の実施の形態1における第1ノッチフィルタ15の特性設定処理を示すフローチャートである。なお、図4の処理は、制御周期ごとに繰り返し行われる。
まず、制御判断部21は、ステップS101にて抽出振動信号x1の振幅をもとに振動が発生したか確認する。振動が発生、つまり信号x1において振動成分があると判断した場合、制御判断部21は、さらに、ステップS102に進み、信号x2において振動成分があるかどうか判断する。なお、振動成分があるかどうかの判断は、例えば、信号の振幅が0か非0かを検出したり、信号x1や信号x2の振幅と所定値の閾値とを比較し、信号の振幅が閾値を越えた場合に振動成分があると判断したりすることによって行われる。
ステップS102において、信号x2に振動成分があると制御判断部21が判断すると、ステップS103に進む。すなわち、この場合、信号x1および信号x2のいずれにおいても振動成分があるため、信号x1の振動周波数と第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2とが一致していないと判断する。制御判断部21は、この判断に基づき、ノッチ制御部19を動作させ、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1が信号x1の振動成分の周波数となるように制御する。すなわち、ステップS103にて、制御判断部21は、信号x1をノッチ制御部19へ入力するように切替部22を制御する。そして、ステップS104でノッチ制御部19はノッチ周波数設定値cn1の修正動作を行う。ステップS102において、信号x2に振動成分がないと判断されるまで、ステップS101からステップS104までの処理が、制御周期ごとに繰り返される。
なお、ステップS101からステップS104までを繰り返す処理は、より詳細には次のようにして実行される。まず、信号x2に振動成分がないと判断されるまで、第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2は、常に修正されながら入力される設定値cn1によって決定される。一方、第1ノッチフィルタ15は、設定値cn1が変更されている際には変更前の設定値cn1を保持し、設定値cn1の変更が停止した時点で、変更後の設定値cn1を設定する。すなわち、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1も常に修正するように処理した場合、これに併せて信号x1の状態も変化し、ノッチ制御部19の動作が不安定になる可能性がある。このため、ノッチ中心周波数ωn2が決定された後、ノッチ中心周波数ωn1を設定するような手順とすることにより、ノッチ制御部19の動作を安定して実行できる。
また、ステップS102において、信号x2に振動成分がないと制御判断部21が判断すると、ステップS105に進む。すなわち、この場合、信号x1においては振動成分が検出されるが、信号x2においては振動成分が検出されないため、信号x1の振動周波数と第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2とが一致し、さらに第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1とも一致していると判断する。
ステップS105で、制御判断部21は、信号x1をノッチ深さ制御部20へ入力するように切替部22を制御する。そして、ステップS106で、ノッチ深さ制御部20は、ノッチ深さ設定値cn2の修正動作を現在値から開始するように設定する。さらに、ノッチ深さ制御部20によって、ステップS107で、ノッチ深さDnが深くなるように設定値cn2の修正動作が行われる。ステップS101において、信号x1に振動成分がないと判断されるまで、ステップS101からステップS107までの処理が、制御周期ごとに繰り返される。
なお、ステップS101からステップS107までを繰り返す処理は、より詳細には次のようにして実行される。まず、設定値cn2の初期値は、第1ノッチフィルタ15のノッチ深さ係数d=1となるように設定する。そして、ノッチ深さが深くなるように、つまりノッチ深さ係数dが小さくなるように逐次変更動作を行い、信号x1に振動成分がないと判断されると、変更動作を停止する。
例えば、ノッチ深さ制御部20は、信号x1に振動成分が含まれる場合は、ノッチ深さ係数dが所定量だけ減るように、設定値cn2の変更動作を逐次行う。この結果、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1におけるゲイン特性が小さくなっていく。これに伴なって、信号x1に含まれる振動周波数ωn1の振動成分の振幅も小さくなっていく。そして、信号x1の振幅が0や閾値以下となった場合に、設定値cn2の逐次変更動作を停止する。このようにして、モータ駆動時に発生する機械共振などを抑圧することが可能な、第1ノッチフィルタ15におけるノッチ深さ係数dの最適値の探索を行うことができる。また、ノッチ深さ係数dを小さくしていく際、ノッチ深さ係数d=0に相当する設定値cn2が設定された場合、ノッチ深さ設定値cn2の変更動作を停止する。また、ノッチ深さ制御部20は、2回目以降のノッチ深さ設定値cn2の変更動作は、現在設定されている値より変更動作を開始する。
以上のような動作により、信号x1および信号x2のいずれにおいても振動成分が検出されなくなる。このため、図4のステップS101において、信号x1に振動成分なしと判定され、ステップS108に進む。制御判断部21は、ステップS108で、信号x1をノッチ制御部19へ入力するように切替部22を制御する。上述した処理により、制御系における振動を第1ノッチフィルタ15が抑圧するように設定されているため、信号x1に振動成分は含まれておらず、ノッチ制御部19は、振動は発生していないと判断し、設定値cn1の変更動作は行われない。また、負荷が変更されるなど、信号x1において新たな振動成分が含まれることになると、図4のステップS101からステップS102へと進み、新たな振動成分に対する上述したような処理を実行する。なお、信号x1がノッチ制御部19へ入力される場合、ノッチ深さ制御部20には0が入力され、ノッチ深さ設定値cn2の変更動作は行われない。また、信号x1がノッチ深さ制御部20に入力される場合は、ノッチ制御部19には0が入力され、ノッチ周波数設定値cn1の変更動作は行われない。
なお、本実施の形態では、1回目の設定値cn2の変更動作を初期値から開始し、2回目以降の設定値cn2の変更動作は現在設定されている値から開始するとしたが、第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2の変更に応じて、現在設定されている値と初期値とを切り替える構成であってもよい。図5は、本実施の形態のこのような変形例の構成としたときの第1ノッチフィルタの特性設定処理を示すフローチャートである。具体的には、ステップS105で、信号x1をノッチ深さ制御部20へ入力するように設定した後、ステップS111で、ノッチ中心周波数ωn2が前回の変更動作時の値から変更されているかを確認する。変更されている場合は、ステップS112で設定値cn2の変更動作開始時の値を初期値とする。変更されていない場合は、ステップS113で、開始時の値を現在設定されている値としている。
このような構成によって、ノッチ周波数が変更された場合に、設定値cn2の変更動作が、より早く停止するため、機械共振を早く抑制することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、設定値cn2を徐々に小さくしていく構成例を挙げて説明した。これに対し、実施の形態2では、設定値cn2を徐々に大きくしていく処理もさらに含めた構成としている。すなわち、本実施の形態における電動機制御装置10は、例えば、制御系ゲインの変更に応じて、設定値cn2の変更動作を、徐々に大きくしていく動作と徐々に小さくしていく動作のいずれかを選択するような構成である。
ここで、まず、機械共振などを含む制御系の周波数特性について説明する。図6は、指令速度信号Vrに対する速度検出信号Vdの伝達関数のゲイン特性を示す図である。図6において、周波数ωnは共振周波数であり、電動機制御装置10を使用して電動機および負荷を駆動したときに、共振周波数ωnの機械共振が発生した一例を示している。そして、共振周波数ωnにおけるゲイン特性を0[dB]以下とすることで、機械共振は抑制される。よって、この共振を抑制するためには、第1ノッチフィルタ15のノッチ深さDnはDvだけ必要となる。すなわち、図4に示す処理では、ノッチ深さ制御部20によって、ノッチ深さ初期値であるノッチ深さ0の状態から、ノッチ深さがDvとなるまで、設定値cn2の逐次変更動作が行われる。そして、ノッチ深さがDvに相当する設定値cn2となることで、この逐次変更動作が停止する。つまり、ゲイン特性が図6で表される制御系に対して、電動機制御装置10を用いた場合、ノッチ深さ制御部20によって第1ノッチフィルタ15のノッチ深さはDvとなり、機械共振は抑制される。
次に、制御系ゲインをKvだけ増幅させた場合について説明する。図7は、制御系ゲインをKvだけ増幅させた場合のゲイン特性を示す図である。ゲイン特性は、図7のように、図6に対して全体がKvだけ増幅することになり、共振周波数ωnにおけるゲインもKvだけ増加する。そのため、再び共振周波数ωnの機械共振が生じる。この場合、再び生じた機械共振に対して、共振周波数は変わっていないので、第2ノッチフィルタ出力信号x2には振動成分が含まれていない。このため、図4の処理においては、ステップS105へと進み、設定値cn2が逐次変更され、第1ノッチフィルタ15のノッチ深さDnがDv+Kvに相当する値になることで、機械共振が再び抑制される。
ところで、以上の説明は、制御系ゲインを上げた場合の動作であるが、制御系ゲインを下げた場合、図4の処理では共振周波数ωnの機械共振に対してノッチ深さDnが深すぎることになる。
本実施の形態では、ノッチ深さDnを必要以上に深くしすぎないように、制御系ゲインの変更に応じて、ノッチ深さDnを浅くするように、設定値cn2を徐々に大きくしていくような処理も含めた構成としている。
図8は、本発明の実施の形態2における第1ノッチフィルタ15の特性設定処理を示すフローチャートである。図5との比較において、図8では、ステップS101において信号x1に振動成分なしと判定した場合の処理が異なる。図8では、ステップS121において、制御系ゲインを下げるように変更されたかどうかを判定する。そして、制御系ゲインを下げるように変更された場合、ステップS123において、信号x1をノッチ深さ制御部20に入力し、ステップS124において、ノッチ深さDnが浅くなるように現在値から設定値cn2が徐々に大きくなるように修正していく。このような構成とすることにより、制御系ゲインを下げるように制御系ゲインを変更した場合には、その制御系ゲインに適したノッチ深さDnとなるように変更される。このように、本実施の形態の構成によれば、制御系ゲインに応じて最適なノッチ深さDnが設定される。なお、制御系ゲインの変更に加えて、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1の変更、第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2の変更、制御系ゲインの変更のうち、少なくともいずれかに応じて、設定値cn2の変更動作を、徐々に大きくしていく動作と徐々に小さくしていく動作のいずれかを選択するような構成であってもよい。
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における第1ノッチフィルタ15の特性設定処理を示すフローチャートである。本実施の形態では、例えば図7のように制御系ゲインを上げた場合に、設定値cn2の変更量を演算により算出するような構成としている。
すなわち、図9に示す処理は、2回目以降の設定値cn2の変更動作で制御系ゲインの変更量に応じて、設定値cn2の変更量を算出し、設定するような構成である。つまり、制御系ゲインをKvだけ増幅させる際、ノッチ深さDnを現在値からKvだけ深くなるように設定値cn2を算出する。
具体的な動作を図9のフローチャートを用いて説明する。制御判断部21は、ステップS101において振動成分なしと判定した場合、ステップS131で、設定値cn2が既に1度設定されているか、つまりノッチ深さDnの変更動作が1度停止しているか、かつ制御系ゲインが変更されたかを確認する。ノッチ深さDnの変更動作が1度停止しており、かつ制御系ゲインが変更されている場合、ノッチ深さ制御部20は、ステップS132で、制御系ゲインの変更量に応じて、設定値cn2を現在値から、制御系ゲインの変更量に相当する分だけ変更する。そして、制御判断部21は、ステップS133で、信号x1をノッチ制御部19へ入力するよう切替部22を制御する。信号x1は、ノッチ制御部19へ入力されるが、抽出振動信号x1には振動成分がないので、ノッチ周波数設定値cn1の変更動作は行われない。
このような構成により、制御系ゲインを変更する場合に、振動を生じることなく、制御系ゲインの変更量を反映した、不必要に位相遅れを大きくしないノッチ深さDnが設定される。
以上説明したように本発明の電動機制御装置は、第1ノッチフィルタと、振動抽出フィルタと、第2ノッチフィルタと、ノッチ制御部と、ノッチ深さ制御部と、制御判断部とを備えている。そして、第1ノッチフィルタは、フィードバック制御系内に配置され、ノッチ中心周波数とノッチ深さの変更が可能である。振動抽出フィルタは、機械共振に起因する振動成分を抽出し、抽出振動信号として出力する。第2ノッチフィルタは、抽出振動信号が入力され、ノッチ中心周波数が変更可能である。ノッチ制御部は、抽出振動信号および第2ノッチフィルタ出力信号に基づき、第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が減少するように第1ノッチフィルタのノッチ中心周波数および第2ノッチフィルタのノッチ中心周波数を変更する。ノッチ深さ制御部は、抽出振動信号に基づいて、第1ノッチフィルタのノッチ深さを変更する。制御判断部は、抽出振動信号および第2ノッチフィルタ出力信号に基づいて、ノッチ制御部とノッチ深さ制御部とのいずれか一方が動作するよう制御する。
このように、本発明の電動機制御装置は機械共振の振動周波数と一致するノッチ中心周波数と、機械共振を抑制するノッチ深さ係数の最適値を設定することが可能であり、機械共振を常に安定して抑制することが可能である。したがって、本発明の電動機制御装置によれば、機械共振を常に安定して抑制することが可能であり、常に安定した制御状態を確保しながら電動機やその負荷の動き動作の制御を行う電動機制御装置を提供することができる。
なお、本発明の各実施の形態において、制御系として速度制御系の一例を挙げて説明した。しかし、本発明は、速度制御系に代えて、位置制御系としたシステム構成に置き換えても同様の作用効果が発揮される。
また、各実施の形態では、速度検出器が電動機の可動部の速度を検出する一例を挙げて説明した。しかし、本発明は、速度検出器が負荷の速度を検出するようなシステム構成であってもよい。さらに、本発明は、位置検出器によって電動機の可動部や負荷の位置を検出し、位置制御系によって制御されるような構成であってもよい。さらに、本発明は、検出位置を微分して検出速度とするような回路を含めた構成による位置検出器を備えた制御系や、検出速度を積分して位置を検出するような回路を含めた構成による速度検出器を備えた位置制御系としてもよい。すなわち、電動機による可動部の動き動作が、指令された位置や速度などの動き量に追従するようにフィードバック制御する制御系に本発明を適用することができる。また、動き動作として、電動機による可動部の回転動作であってもよく、直線動作であってもよく、その他の動きであってもよい。
また、各実施の形態では、信号x1の振幅が0や閾値以下となった場合に、設定値cn2の変更動作を停止するとした。しかし、本発明は、信号x1の振幅の移動平均による移動平均値に応じて、変更動作を停止する構成であってもよい。
また、各実施の形態では、ノッチ深さ制御部によって、設定値cn2を徐々に変更するとした。しかし、本発明は、制御系ゲイン、制御系ゲインの変更量、検出信号の検出単位のうち、少なくともいずれかに基づいて逐次変更量を決定する構成であってもよい。
また、各実施の形態では、ノッチフィルタのフィルタ係数を変更し機械共振を抑制する電動機制御装置を説明した。しかし、本発明は、上述したような構成に限定されず、振動成分を検出し、この検出結果に基づいて速度制御や位置制御系内に配置されたノッチフィルタのノッチ周波数やノッチ深さを変更し、機械共振を抑制する電動機制御装置であれば実施の形態で説明した内容によって同様の効果を得ることができる。
本発明の電動機制御装置は、機械共振などに対して精度よくその振動の抑制が可能であり、常に電動機を安定して制御することができるため、部品実装機や半導体製造装置など電動機を使用する装置で、特に機械共振が生じるような装置を駆動する電動機制御装置に適している。
10,50 電動機制御装置
11 電動機
12 負荷
13 速度検出器
14 速度制御部
15 第1ノッチフィルタ
15b ノッチフィルタ
16 トルク制御部
17 振動抽出フィルタ
18 第2ノッチフィルタ
19 ノッチ制御部
20 ノッチ深さ制御部
21 制御判断部
22 切替部
41 ノッチ周波数決定部
42 適応演算部
43 フィルタ係数設定部
本発明は電動機や電動機で駆動される負荷に対し、その速度や位置などの動き動作を制御する電動機制御装置に関し、特に、駆動時などに発生する機械共振を抑制する機能を備えた電動機制御装置に関する。
従来、この種の電動機制御装置としては、特許文献1に記載されているようなものがあった。図10は、特許文献1に記載されている電動機制御装置の構成を示すブロック図である。
図10に示す従来の電動機制御装置50は、電動機11と速度検出器13とに接続される。電動機11には、負荷12が繋がれている。また、速度検出器13は、電動機11の回転速度を検出し、検出した回転速度を示す速度検出信号Vdを出力する。
電動機制御装置50は、速度検出信号Vdを指令速度信号Vrに追従させる速度制御系を有している。そして、電動機制御装置50は、機械共振などに起因する発振を抑制するため、図10に示すように、第1ノッチフィルタ15を備えている。さらに、電動機制御装置50は、速度制御部14とトルク制御部16と振動抽出フィルタ17と第2ノッチフィルタ18とノッチ制御部19とを備えている。
速度制御部14は、指令速度信号Vrおよび速度検出信号Vdを入力してトルク指令信号τ1を生成する。第1ノッチフィルタ15は、供給された信号から、その信号に含まれる特定の周波数を中心とした所定範囲の周波数を有する信号に対し、急峻な減衰を与えるフィルタである。この中心となる周波数をノッチ中心周波数、減衰させる近傍の周波数幅をノッチ幅、ノッチ中心周波数において与える減衰の度合いをノッチ深さと呼ぶ。また、ノッチ中心周波数およびノッチ幅で特定される周波数をノッチ周波数と呼ぶ。第1ノッチフィルタ15はこのような特性を有しており、トルク指令信号τ1に対して、ノッチ周波数の信号成分を減衰させ、フィルタ処理したトルク指令信号τ2をトルク制御部16に供給する。トルク制御部16は、入力されたトルク指令信号τ2をもとに、電動機11が目的のトルクを出力するように電動機11を制御する。
また、振動抽出フィルタ17は、速度検出信号Vdから、機械共振に起因する振動を抽出し、抽出振動信号x1として出力する。抽出振動信号x1は、第2ノッチフィルタ18へ入力される。第2ノッチフィルタ18は、ノッチ制御部19の制御に応じて、抽出振動信号x1に対しノッチ周波数の信号成分を減衰させるようなフィルタ処理を施す。第2ノッチフィルタ18は、フィルタ処理した抽出振動信号として、第2ノッチフィルタ出力信号x2を出力する。ノッチ制御部19は、抽出振動信号x1と第2ノッチフィルタ出力信号x2とに基づき、ノッチ周波数設定値cn1を生成する。ノッチ制御部19は、第1ノッチフィルタ15および第2ノッチフィルタ18のノッチ周波数が抽出振動信号x1の振動周波数となるように、ノッチ周波数設定値cn1により第1ノッチフィルタ15および第2ノッチフィルタ18を制御する。
ここで、第1ノッチフィルタ15は、ノッチ周波数におけるノッチ深さは固定の値であり、また、第2ノッチフィルタ18は、ノッチ周波数におけるノッチ深さが−∞である。
このように構成された従来の電動機制御装置では、何らかの原因で機械共振による発振が起きても、この発振による振動成分が減少するよう第1ノッチフィルタ15および第2ノッチフィルタ18のノッチ周波数が逐次変更される。
また、従来の電動機制御装置の他の例として、特許文献2に記載されているようなものがあった。図11は、特許文献2に記載されている従来の電動機制御装置の構成を示すブロック図である。
図11に示す電動機制御装置は、ノッチフィルタ15bとノッチ周波数決定部41と適応演算部42とフィルタ係数設定部43とを備えている。ノッチフィルタ15bは、ノッチ周波数決定部41によって、ノッチ中心周波数がノッチ周波数ωnに固定されている。一方、ノッチ深さおよびノッチ幅は可変であり、フィルタ係数設定部43が出力するフィルタ係数ζ1、ζ2をもとに、ノッチフィルタ15bのノッチ深さとノッチ幅が決定する。
適応演算部42は、ノッチフィルタ15bの出力τ2と基準信号uとをもとに、適応則によって適応入力ζを逐次変更し、出力する。フィルタ係数設定部43は、入力された適応入力ζをもとに、ノッチフィルタ15bのノッチ深さやノッチ幅を示すフィルタ係数ζ1、ζ2を出力する。
図11に示す従来の電動機制御装置では、機械共振による発振が起きたとき、この発振による振動成分が減少するようノッチフィルタ15bのノッチ深さが逐次変更される。
しかしながら、特許文献1のように、ノッチ深さが固定の第1ノッチフィルタ15では、ノッチ深さが最適な値とならないため、制御対象によって、不必要に振動を抑制しすぎて位相遅れが大きくなり、制御系ゲインを十分上げることができないという課題があった。
また、特許文献2のように、ノッチ周波数が固定のノッチフィルタ15bでは、機械の特性のバラつきや経年変化、固定されたノッチ周波数と共振周波数のずれなどが生じた場合、機械共振などに起因する発振を十分に抑制できなくなるおそれがあった。
特開2004−274976号公報 特開2007−293571号公報
本発明の電動機制御装置は、電動機または負荷の状態量をフィードバック制御する。本電動機制御装置は、第1ノッチフィルタと、振動抽出フィルタと、第2ノッチフィルタと、ノッチ制御部と、ノッチ深さ制御部と、制御判断部とを備える。第1ノッチフィルタは、フィードバック制御系内に配置され、ノッチ中心周波数とノッチ深さの変更が可能である。振動抽出フィルタは、機械共振に起因する振動成分を抽出し、抽出振動信号として出力する。第2ノッチフィルタは、抽出振動信号が入力され、ノッチ中心周波数が変更可能である。ノッチ制御部は、抽出振動信号および第2ノッチフィルタ出力信号に基づき、第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が減少するよう第1ノッチフィルタのノッチ中心周波数および第2ノッチフィルタのノッチ中心周波数を変更する。ノッチ深さ制御部は、抽出振動信号に基づいて第1ノッチフィルタのノッチ深さを変更する。制御判断部は、抽出振動信号および第2ノッチフィルタ出力信号に基づいて、ノッチ制御部とノッチ深さ制御部とのいずれか一方が動作するよう制御する。
このような構成により、例えば経年による装置の特性変化やノッチフィルタ適用の影響で機械共振の振動周波数が変化した場合や、指令追従動作を高速化するために制御系ゲインを大きくした場合でも、制御系を不安定化することなく、機械共振を常に安定して抑制することができる。
よって、本発明の電動機制御装置によれば、機械共振が生じた場合、必要以上に位相遅れを大きくすることなく、機械共振を抑制することが可能であり、常に安定した制御状態を確保しながら電動機やその負荷の動き動作の制御を行う電動機制御装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態1における電動機制御装置の構成を示すブロック図である。 図2は、同電動機制御装置の第1ノッチフィルタの周波数特性および位相特性の一例を示す特性図である。 図3は、同電動機制御装置の第2ノッチフィルタの周波数特性および位相特性の一例を示す特性図である。 図4は、同電動機制御装置の第1ノッチフィルタの特性設定処理を示すフローチャートである。 図5は、同電動機制御装置の変形例の構成としたときの第1ノッチフィルタの特性設定処理を示すフローチャートである。 図6は、指令速度信号Vrに対する速度検出信号Vdの伝達関数のゲイン特性を示す図である。 図7は、制御系ゲインをKvだけ増幅させた場合のゲイン特性を示す図である。 図8は、本発明の実施の形態2における電動機制御装置の第1ノッチフィルタの特性設定処理を示すフローチャートである。 図9は、本発明の実施の形態3における電動機制御装置の第1ノッチフィルタの特性設定処理を示すフローチャートである。 図10は、従来の電動機制御装置の構成を示すブロック図である。 図11は、従来の電動機制御装置の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電動機制御装置10の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態1における電動機制御装置10は、電動機11と速度検出器13とに接続される。電動機11には、負荷12が繋がれている。また速度検出器13は、電動機11内に備えた可動子(図示せず)の回転速度を測定し、その回転速度に応じた速度量を示す状態検出信号としての速度検出信号Vdを出力する。一方、可動子の回転速度を指令するため、電動機制御装置10には、指令速度信号Vrが通知される。電動機制御装置10は、フィードバック制御する制御系として、可動子の回転動作が指令速度に追従するようにフィードバック制御する速度制御系を有している。すなわち、本実施の形態では状態量としての速度量をフィードバック制御する。本実施の形態では、このような速度制御系を有した構成の電動機制御装置の一例を挙げて説明する。
電動機制御装置10は、図1に示すように、速度制御部14と、第1ノッチフィルタ15と、トルク制御部16と、振動抽出フィルタ17と、第2ノッチフィルタ18と、ノッチ制御部19と、ノッチ深さ制御部20と、制御判断部21と、切替部22とを備えている。
速度制御部14には、指令速度を示す指令速度信号Vrと速度検出器13が検出した検出速度を示す速度検出信号Vdとが入力される。速度制御部14は、指令速度信号Vrと速度検出信号Vdとの偏差量を算出し、この偏差量をゼロに制御するためのトルク指令信号τ1を生成し、出力する。具体的には、速度制御部14は、例えば指令速度信号Vrと速度検出信号Vdとの差分を計算し、その算出値を比例積分した結果をトルク指令信号τ1として出力する。
第1ノッチフィルタ15には、速度制御部14からトルク指令信号τ1が供給される。さらに、第1ノッチフィルタ15には、ノッチ制御部19からノッチ周波数設定値cn1、ノッチ深さ制御部20からノッチ深さ設定値cn2が供給される。第1ノッチフィルタ15は、トルク指令信号τ1から、トルク指令信号τ1に含まれる特定の周波数を中心とした周波数を有する信号成分に対し、急峻な減衰を与えるフィルタである。図2は、本発明の実施の形態1における電動機制御装置10の第1ノッチフィルタ15の周波数特性および位相特性の一例を示す特性図である。図2では、ノッチ中心周波数ωn1を中心として、ノッチ幅Bnとする近傍周波数の周波数帯域内の信号成分をノッチ深さDnに従って減衰させるような周波数特性の一例を示している。第1ノッチフィルタ15は、供給されたノッチ周波数設定値cn1に基づきノッチ中心周波数ωn1が変更され、ノッチ深さ設定値cn2に基づきノッチ深さDnが変更される。ノッチ深さ設定値cn2は、小さいほどノッチ深さDnが深く、大きいほどノッチ深さDnが浅くなる特徴を有する。
第1ノッチフィルタ15は、例えば次の(式1)で示す伝達関数H1(s)をもつ2次の再帰型ノッチフィルタである。
Figure 2011148623
(式1)において、ωn1は第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1に対応するノッチ中心周波数係数、ζ1は減衰定数、d1はノッチ深さDnを示すノッチ深さ係数である。ノッチ深さ係数d1は、0≦d1≦1であり、d1=1の場合、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1におけるゲイン特性は0[dB]となり、d1=0の場合、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1におけるゲイン特性は−∞[dB]となる。すなわち、d1=1の場合には、第1ノッチフィルタ15の入力信号が第1ノッチフィルタ15からそのまま出力される。また、d1=0の場合は、ノッチ中心周波数ωn1の信号成分の減衰量が最大となり、ノッチ中心周波数ωn1近傍の周波数の信号成分を減衰させた信号が第1ノッチフィルタ15から出力される。本実施の形態では、ノッチ中心周波数係数ωn1がノッチ周波数設定値cn1に基づき変更されることで、ノッチ中心周波数ωn1が変更され、ノッチ深さ係数d1がノッチ深さ設定値cn2に基づき変更されることで、ノッチ深さDnが変更される。第1ノッチフィルタ15からは、トルク指令信号τ1をこのようにフィルタ処理した信号であるトルク指令信号τ2が出力される。
トルク制御部16には、第1ノッチフィルタ15から出力されたトルク指令信号τ2が入力される。トルク制御部16は、電動機11が目的のトルクを出力するように電動機11の回転動作を制御する。
このようにして、電動機制御装置10には、速度検出器13により検出された可動子の回転速度を示す速度検出信号Vdを利用して、この可動子の回転速度が指令速度信号Vrに応じた回転速度になるように、この可動子の動き動作をフィードバック制御する速度制御系が構成される。そして、電動機制御装置10は、この速度制御系内に第1ノッチフィルタ15を配置した構成である。
また、本実施の形態では、電動機制御装置10が、負荷12を駆動する場合などに発生した機械共振を自動的に抑制する機能を備えている。この機能を実現するため、電動機制御装置10は、速度制御系内に上述したような第1ノッチフィルタ15を配置するとともに、機械共振などの振動成分を抽出するための抽出フィルタである振動抽出フィルタ17を備えている。速度検出器13から出力される速度検出信号Vdは、振動抽出フィルタ17にも供給される。
振動抽出フィルタ17は、所定の周波数帯域が設定されており、速度検出信号Vdから、設定された周波数帯域内に含まれる振動成分を抽出する。すなわち、振動抽出フィルタは、例えば電動機11により負荷12を駆動した場合に発生する機械共振の振動成分など、入力された速度検出信号Vdに現れる振動成分を抽出し、出力する。なお、振動抽出フィルタ17は、このように振動成分を抽出できればよいため、所定の周波数以上の信号成分を通過させるハイパスフィルタであってもよく、所定の周波数帯域幅内の信号成分を通過させるバンドパスフィルタであってもよい。振動抽出フィルタ17は、このような周波数特性のフィルタを通過した信号、すなわち速度検出信号Vdに現れた振動成分を抽出した信号である抽出振動信号x1を出力する。
振動抽出フィルタ17から出力された抽出振動信号x1は、第2ノッチフィルタ18、制御判断部21および切替部22に入力される。さらに、抽出振動信号x1は、切替部22の切り替えに従ってノッチ制御部19またはノッチ深さ制御部20のいずれかに入力される。また、詳細については以下で説明するが、これらの構成によって、第1ノッチフィルタ15の特性が設定される。
まず、第2ノッチフィルタ18は、抽出振動信号x1に含まれる特定の周波数を中心とした周波数を有する信号成分に対し、急峻な減衰を与えた信号を出力する。また、第2ノッチフィルタ18には、ノッチ制御部19からノッチ周波数設定値cn1が供給される。本実施の形態では、第2ノッチフィルタ18の特性として、ノッチ幅は所定の値が予め与えられ、ノッチ中心周波数におけるノッチ深さは−∞[dB]としている。例えば、次の(式2)で示す伝達関数H2(s)をもつ2次の再帰型ノッチフィルタとする。
Figure 2011148623
ここで、ωn2は第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2に対応するノッチ中心周波数係数であり、ζ2は減衰定数である。周波数特性は、第1ノッチフィルタ15と同様であり、図3に示すような特性を有している。図3からわかるように、ノッチ中心周波数ωn2の成分が抑圧される特性をもつ。また、第2ノッチフィルタ18は、図2のノッチ深さDnに対応するゲイン特性を−∞[dB]に設定している。さらに、本実施の形態では、ノッチ中心周波数係数ωn2がノッチ周波数設定値cn1に基づき変更されることで、ノッチ中心周波数ωn2が変更される。なお、第1ノッチフィルタ15と第2ノッチフィルタ18とは、(式1)および(式2)に基づき同一の設定値cn1により変更されるため、ノッチ中心周波数ωn1とノッチ中心周波数ωn2とは、同一の周波数となるように変更される。第2ノッチフィルタ18からは、抽出振動信号x1(以下、適宜、単に信号x1として説明する)をフィルタ処理した信号である第2ノッチフィルタ出力信号x2(以下、適宜、単に信号x2として説明する)が出力される。信号x2は、ノッチ制御部19および制御判断部21に供給される。
ここで、第2ノッチフィルタ18において、入力である信号x1に含まれる振動成分の振動周波数とノッチ中心周波数ωn2とが大きく異なる場合は、信号x1の振幅は抑圧されない。一方、一致する場合は、その振幅が抑圧される。このため、信号x2の振幅は、信号x1の振動周波数がノッチ中心周波数ωn2からずれるに従って大きくなる。すなわち、信号x2は、信号x1の振動周波数とノッチ中心周波数ωn2とのずれの程度を示すと言える。
次に、ノッチ制御部19は、信号x2と切替部22を介して供給された信号x1とに基づき、ノッチ周波数設定値cn1(以下、適宜、単に設定値cn1として説明する)を生成し、出力する。設定値cn1は、第1ノッチフィルタ15および第2ノッチフィルタ18に供給され、設定値cn1に応じてノッチ中心周波数ωn1およびノッチ中心周波数ωn2がそれぞれに設定される。ノッチ制御部19は、信号x1および信号x2を用いて、供給されている信号x2の振幅が小さくなるように設定値cn1を変更する。そして、この設定値cn1に基づき、第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2が変更される。ノッチ制御部19は、このように設定値cn1を逐次変更して、信号x2の振幅が所定値以下あるいは0となるまで、第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2を制御する。このようなノッチフィルタの制御は、第2ノッチフィルタ18と、例えば特許文献1に記載された方向フィルタやノッチフィルタ係数修正手段とを組み合わせることで実現できる。このようにして、ノッチ中心周波数ωn2が信号x1に含まれる振動成分の周波数となるように制御されるため、設定値cn1は、振動成分の周波数に対応した値となる。
また、このように設定値cn1に応じてノッチ中心周波数ωn2が変更されるとともに、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1もノッチ中心周波数ωn2と等しくなるように変更される。すなわち、ノッチ制御部19と第2ノッチフィルタ18とによって、ノッチ中心周波数ωn2=ωnとなるように制御されると、ノッチ中心周波数ωn1もノッチ中心周波数ωn1=ωnとなる。このため、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1も、振動抽出フィルタ17が抽出した振動成分の周波数となるように制御される。
次に、ノッチ深さ制御部20は、切替部22を介して供給された信号x1に基づき、ノッチ深さ設定値cn2を(以下、適宜、単に設定値cn2として説明する)生成し、出力する。設定値cn2は、第1ノッチフィルタ15に供給され、設定値cn2に応じてノッチ深さDnが設定される。ノッチ深さ制御部20は、供給された信号x1に振動成分が含まれているかどうかを監視し、振動成分を検出した場合にはノッチ深さDnがさらに深くなるように設定値cn2を変更して、第1ノッチフィルタ15に供給する。
次に、制御判断部21は、供給された信号x1および信号x2に基づき、ノッチ制御部19を動作させるか、あるいはノッチ深さ制御部20を動作させるかを判断する。制御判断部21は、判断に基づき切替部22を制御する。これにより、制御判断部21の判断に従って、信号x1がノッチ制御部19あるいはノッチ深さ制御部20に供給される。具体的には、信号x1は、まずノッチ制御部19に供給されるように設定する。そして、信号x1には振動成分が検出されるが、信号x2には振動成分が検出されないと、制御判断部21が判断した場合には、信号x1がノッチ深さ制御部20に供給されるように、切替部22が切り替えられる。そして、信号x1から振動成分が検出されないと制御判断部21が判断した場合には、再び信号x1がノッチ制御部19に供給されるように切替部22が切り替えられる。
以上のような構成により、抽出振動信号x1に振動成分が含まれると判断されると、ノッチ制御部19により第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1が振動成分の周波数となるように設定される。さらに、ノッチ中心周波数ωn1が設定された後、ノッチ深さ制御部20によって、抽出振動信号x1に含まれる振動成分が抑制できる程度のノッチ深さとなるように、第1ノッチフィルタ15のノッチ深さDnが設定される。本実施の形態では、このような構成とすることにより、不必要に振動を抑制しすぎることを防ぐことができるため、制御系の安定した動作を確保しつつ、機械共振に起因する発振などを抑制できる。
次に、電動機制御装置10の動作について詳細に説明する。図4は、本発明の実施の形態1における第1ノッチフィルタ15の特性設定処理を示すフローチャートである。なお、図4の処理は、制御周期ごとに繰り返し行われる。
まず、制御判断部21は、ステップS101にて抽出振動信号x1の振幅をもとに振動が発生したか確認する。振動が発生、つまり信号x1において振動成分があると判断した場合、制御判断部21は、さらに、ステップS102に進み、信号x2において振動成分があるかどうか判断する。なお、振動成分があるかどうかの判断は、例えば、信号の振幅が0か非0かを検出したり、信号x1や信号x2の振幅と所定値の閾値とを比較し、信号の振幅が閾値を越えた場合に振動成分があると判断したりすることによって行われる。
ステップS102において、信号x2に振動成分があると制御判断部21が判断すると、ステップS103に進む。すなわち、この場合、信号x1および信号x2のいずれにおいても振動成分があるため、信号x1の振動周波数と第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2とが一致していないと判断する。制御判断部21は、この判断に基づき、ノッチ制御部19を動作させ、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1が信号x1の振動成分の周波数となるように制御する。すなわち、ステップS103にて、制御判断部21は、信号x1をノッチ制御部19へ入力するように切替部22を制御する。そして、ステップS104でノッチ制御部19はノッチ周波数設定値cn1の修正動作を行う。ステップS102において、信号x2に振動成分がないと判断されるまで、ステップS101からステップS104までの処理が、制御周期ごとに繰り返される。
なお、ステップS101からステップS104までを繰り返す処理は、より詳細には次のようにして実行される。まず、信号x2に振動成分がないと判断されるまで、第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2は、常に修正されながら入力される設定値cn1によって決定される。一方、第1ノッチフィルタ15は、設定値cn1が変更されている際には変更前の設定値cn1を保持し、設定値cn1の変更が停止した時点で、変更後の設定値cn1を設定する。すなわち、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1も常に修正するように処理した場合、これに併せて信号x1の状態も変化し、ノッチ制御部19の動作が不安定になる可能性がある。このため、ノッチ中心周波数ωn2が決定された後、ノッチ中心周波数ωn1を設定するような手順とすることにより、ノッチ制御部19の動作を安定して実行できる。
また、ステップS102において、信号x2に振動成分がないと制御判断部21が判断すると、ステップS105に進む。すなわち、この場合、信号x1においては振動成分が検出されるが、信号x2においては振動成分が検出されないため、信号x1の振動周波数と第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2とが一致し、さらに第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1とも一致していると判断する。
ステップS105で、制御判断部21は、信号x1をノッチ深さ制御部20へ入力するように切替部22を制御する。そして、ステップS106で、ノッチ深さ制御部20は、ノッチ深さ設定値cn2の修正動作を現在値から開始するように設定する。さらに、ノッチ深さ制御部20によって、ステップS107で、ノッチ深さDnが深くなるように設定値cn2の修正動作が行われる。ステップS101において、信号x1に振動成分がないと判断されるまで、ステップS101からステップS107までの処理が、制御周期ごとに繰り返される。
なお、ステップS101からステップS107までを繰り返す処理は、より詳細には次のようにして実行される。まず、設定値cn2の初期値は、第1ノッチフィルタ15のノッチ深さ係数d1=1となるように設定する。そして、ノッチ深さが深くなるように、つまりノッチ深さ係数d1が小さくなるように逐次変更動作を行い、信号x1に振動成分がないと判断されると、変更動作を停止する。
例えば、ノッチ深さ制御部20は、信号x1に振動成分が含まれる場合は、ノッチ深さ係数d1が所定量だけ減るように、設定値cn2の変更動作を逐次行う。この結果、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1におけるゲイン特性が小さくなっていく。これに伴なって、信号x1に含まれる振動周波数ωn1の振動成分の振幅も小さくなっていく。そして、信号x1の振幅が0や閾値以下となった場合に、設定値cn2の逐次変更動作を停止する。このようにして、モータ駆動時に発生する機械共振などを抑圧することが可能な、第1ノッチフィルタ15におけるノッチ深さ係数d1の最適値の探索を行うことができる。また、ノッチ深さ係数d1を小さくしていく際、ノッチ深さ係数d1=0に相当する設定値cn2が設定された場合、ノッチ深さ設定値cn2の変更動作を停止する。また、ノッチ深さ制御部20は、2回目以降のノッチ深さ設定値cn2の変更動作は、現在設定されている値より変更動作を開始する。
以上のような動作により、信号x1および信号x2のいずれにおいても振動成分が検出されなくなる。このため、図4のステップS101において、信号x1に振動成分なしと判定され、ステップS108に進む。制御判断部21は、ステップS108で、信号x1をノッチ制御部19へ入力するように切替部22を制御する。上述した処理により、制御系における振動を第1ノッチフィルタ15が抑圧するように設定されているため、信号x1に振動成分は含まれておらず、ノッチ制御部19は、振動は発生していないと判断し、設定値cn1の変更動作は行われない。また、負荷が変更されるなど、信号x1において新たな振動成分が含まれることになると、図4のステップS101からステップS102へと進み、新たな振動成分に対する上述したような処理を実行する。なお、信号x1がノッチ制御部19へ入力される場合、ノッチ深さ制御部20には0が入力され、ノッチ深さ設定値cn2の変更動作は行われない。また、信号x1がノッチ深さ制御部20に入力される場合は、ノッチ制御部19には0が入力され、ノッチ周波数設定値cn1の変更動作は行われない。
なお、本実施の形態では、1回目の設定値cn2の変更動作を初期値から開始し、2回目以降の設定値cn2の変更動作は現在設定されている値から開始するとしたが、第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2の変更に応じて、現在設定されている値と初期値とを切り替える構成であってもよい。図5は、本実施の形態のこのような変形例の構成としたときの第1ノッチフィルタの特性設定処理を示すフローチャートである。具体的には、ステップS105で、信号x1をノッチ深さ制御部20へ入力するように設定した後、ステップS111で、ノッチ中心周波数ωn2が前回の変更動作時の値から変更されているかを確認する。変更されている場合は、ステップS112で設定値cn2の変更動作開始時の値を初期値とする。変更されていない場合は、ステップS113で、開始時の値を現在設定されている値としている。
このような構成によって、ノッチ周波数が変更された場合に、設定値cn2の変更動作が、より早く停止するため、機械共振を早く抑制することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、設定値cn2を徐々に小さくしていく構成例を挙げて説明した。これに対し、実施の形態2では、設定値cn2を徐々に大きくしていく処理もさらに含めた構成としている。すなわち、本実施の形態における電動機制御装置10は、例えば、制御系ゲインの変更に応じて、設定値cn2の変更動作を、徐々に大きくしていく動作と徐々に小さくしていく動作のいずれかを選択するような構成である。
ここで、まず、機械共振などを含む制御系の周波数特性について説明する。図6は、指令速度信号Vrに対する速度検出信号Vdの伝達関数のゲイン特性を示す図である。図6において、周波数ωnは共振周波数であり、電動機制御装置10を使用して電動機および負荷を駆動したときに、共振周波数ωnの機械共振が発生した一例を示している。そして、共振周波数ωnにおけるゲイン特性を0[dB]以下とすることで、機械共振は抑制される。よって、この共振を抑制するためには、第1ノッチフィルタ15のノッチ深さDnはDvだけ必要となる。すなわち、図4に示す処理では、ノッチ深さ制御部20によって、ノッチ深さ初期値であるノッチ深さ0の状態から、ノッチ深さがDvとなるまで、設定値cn2の逐次変更動作が行われる。そして、ノッチ深さがDvに相当する設定値cn2となることで、この逐次変更動作が停止する。つまり、ゲイン特性が図6で表される制御系に対して、電動機制御装置10を用いた場合、ノッチ深さ制御部20によって第1ノッチフィルタ15のノッチ深さはDvとなり、機械共振は抑制される。
次に、制御系ゲインをKvだけ増幅させた場合について説明する。図7は、制御系ゲインをKvだけ増幅させた場合のゲイン特性を示す図である。ゲイン特性は、図7のように、図6に対して全体がKvだけ増幅することになり、共振周波数ωnにおけるゲインもKvだけ増加する。そのため、再び共振周波数ωnの機械共振が生じる。この場合、再び生じた機械共振に対して、共振周波数は変わっていないので、第2ノッチフィルタ出力信号x2には振動成分が含まれていない。このため、図4の処理においては、ステップS105へと進み、設定値cn2が逐次変更され、第1ノッチフィルタ15のノッチ深さDnがDv+Kvに相当する値になることで、機械共振が再び抑制される。
ところで、以上の説明は、制御系ゲインを上げた場合の動作であるが、制御系ゲインを下げた場合、図4の処理では共振周波数ωnの機械共振に対してノッチ深さDnが深すぎることになる。
本実施の形態では、ノッチ深さDnを必要以上に深くしすぎないように、制御系ゲインの変更に応じて、ノッチ深さDnを浅くするように、設定値cn2を徐々に大きくしていくような処理も含めた構成としている。
図8は、本発明の実施の形態2における第1ノッチフィルタ15の特性設定処理を示すフローチャートである。図5との比較において、図8では、ステップS101において信号x1に振動成分なしと判定した場合の処理が異なる。図8では、ステップS121において、制御系ゲインを下げるように変更されたかどうかを判定する。そして、制御系ゲインを下げるように変更された場合、ステップS123において、信号x1をノッチ深さ制御部20に入力し、ステップS124において、ノッチ深さDnが浅くなるように現在値から設定値cn2が徐々に大きくなるように修正していく。このような構成とすることにより、制御系ゲインを下げるように制御系ゲインを変更した場合には、その制御系ゲインに適したノッチ深さDnとなるように変更される。このように、本実施の形態の構成によれば、制御系ゲインに応じて最適なノッチ深さDnが設定される。なお、制御系ゲインの変更に加えて、第1ノッチフィルタ15のノッチ中心周波数ωn1の変更、第2ノッチフィルタ18のノッチ中心周波数ωn2の変更、制御系ゲインの変更のうち、少なくともいずれかに応じて、設定値cn2の変更動作を、徐々に大きくしていく動作と徐々に小さくしていく動作のいずれかを選択するような構成であってもよい。
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における第1ノッチフィルタ15の特性設定処理を示すフローチャートである。本実施の形態では、例えば図7のように制御系ゲインを上げた場合に、設定値cn2の変更量を演算により算出するような構成としている。
すなわち、図9に示す処理は、2回目以降の設定値cn2の変更動作で制御系ゲインの変更量に応じて、設定値cn2の変更量を算出し、設定するような構成である。つまり、制御系ゲインをKvだけ増幅させる際、ノッチ深さDnを現在値からKvだけ深くなるように設定値cn2を算出する。
具体的な動作を図9のフローチャートを用いて説明する。制御判断部21は、ステップS101において振動成分なしと判定した場合、ステップS131で、設定値cn2が既に1度設定されているか、つまりノッチ深さDnの変更動作が1度停止しているか、かつ制御系ゲインが変更されたかを確認する。ノッチ深さDnの変更動作が1度停止しており、かつ制御系ゲインが変更されている場合、ノッチ深さ制御部20は、ステップS132で、制御系ゲインの変更量に応じて、設定値cn2を現在値から、制御系ゲインの変更量に相当する分だけ変更する。そして、制御判断部21は、ステップS133で、信号x1をノッチ制御部19へ入力するよう切替部22を制御する。信号x1は、ノッチ制御部19へ入力されるが、抽出振動信号x1には振動成分がないので、ノッチ周波数設定値cn1の変更動作は行われない。
このような構成により、制御系ゲインを変更する場合に、振動を生じることなく、制御系ゲインの変更量を反映した、不必要に位相遅れを大きくしないノッチ深さDnが設定される。
以上説明したように本発明の電動機制御装置は、第1ノッチフィルタと、振動抽出フィルタと、第2ノッチフィルタと、ノッチ制御部と、ノッチ深さ制御部と、制御判断部とを備えている。そして、第1ノッチフィルタは、フィードバック制御系内に配置され、ノッチ中心周波数とノッチ深さの変更が可能である。振動抽出フィルタは、機械共振に起因する振動成分を抽出し、抽出振動信号として出力する。第2ノッチフィルタは、抽出振動信号が入力され、ノッチ中心周波数が変更可能である。ノッチ制御部は、抽出振動信号および第2ノッチフィルタ出力信号に基づき、第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が減少するように第1ノッチフィルタのノッチ中心周波数および第2ノッチフィルタのノッチ中心周波数を変更する。ノッチ深さ制御部は、抽出振動信号に基づいて、第1ノッチフィルタのノッチ深さを変更する。制御判断部は、抽出振動信号および第2ノッチフィルタ出力信号に基づいて、ノッチ制御部とノッチ深さ制御部とのいずれか一方が動作するよう制御する。
このように、本発明の電動機制御装置は機械共振の振動周波数と一致するノッチ中心周波数と、機械共振を抑制するノッチ深さ係数の最適値を設定することが可能であり、機械共振を常に安定して抑制することが可能である。したがって、本発明の電動機制御装置によれば、機械共振を常に安定して抑制することが可能であり、常に安定した制御状態を確保しながら電動機やその負荷の動き動作の制御を行う電動機制御装置を提供することができる。
なお、本発明の各実施の形態において、制御系として速度制御系の一例を挙げて説明した。しかし、本発明は、速度制御系に代えて、位置制御系としたシステム構成に置き換えても同様の作用効果が発揮される。
また、各実施の形態では、速度検出器が電動機の可動部の速度を検出する一例を挙げて説明した。しかし、本発明は、速度検出器が負荷の速度を検出するようなシステム構成であってもよい。さらに、本発明は、位置検出器によって電動機の可動部や負荷の位置を検出し、位置制御系によって制御されるような構成であってもよい。さらに、本発明は、検出位置を微分して検出速度とするような回路を含めた構成による位置検出器を備えた制御系や、検出速度を積分して位置を検出するような回路を含めた構成による速度検出器を備えた位置制御系としてもよい。すなわち、電動機による可動部の動き動作が、指令された位置や速度などの動き量に追従するようにフィードバック制御する制御系に本発明を適用することができる。また、動き動作として、電動機による可動部の回転動作であってもよく、直線動作であってもよく、その他の動きであってもよい。
また、各実施の形態では、信号x1の振幅が0や閾値以下となった場合に、設定値cn2の変更動作を停止するとした。しかし、本発明は、信号x1の振幅の移動平均による移動平均値に応じて、変更動作を停止する構成であってもよい。
また、各実施の形態では、ノッチ深さ制御部によって、設定値cn2を徐々に変更するとした。しかし、本発明は、制御系ゲイン、制御系ゲインの変更量、検出信号の検出単位のうち、少なくともいずれかに基づいて逐次変更量を決定する構成であってもよい。
また、各実施の形態では、ノッチフィルタのフィルタ係数を変更し機械共振を抑制する電動機制御装置を説明した。しかし、本発明は、上述したような構成に限定されず、振動成分を検出し、この検出結果に基づいて速度制御や位置制御系内に配置されたノッチフィルタのノッチ周波数やノッチ深さを変更し、機械共振を抑制する電動機制御装置であれば実施の形態で説明した内容によって同様の効果を得ることができる。
本発明の電動機制御装置は、機械共振などに対して精度よくその振動の抑制が可能であり、常に電動機を安定して制御することができるため、部品実装機や半導体製造装置など電動機を使用する装置で、特に機械共振が生じるような装置を駆動する電動機制御装置に適している。
10,50 電動機制御装置
11 電動機
12 負荷
13 速度検出器
14 速度制御部
15 第1ノッチフィルタ
15b ノッチフィルタ
16 トルク制御部
17 振動抽出フィルタ
18 第2ノッチフィルタ
19 ノッチ制御部
20 ノッチ深さ制御部
21 制御判断部
22 切替部
41 ノッチ周波数決定部
42 適応演算部
43 フィルタ係数設定部

Claims (13)

  1. 電動機または負荷の状態量をフィードバック制御する電動機制御装置であって、
    フィードバック制御系内に配置され、ノッチ中心周波数とノッチ深さの変更が可能である第1ノッチフィルタと、
    機械共振に起因する振動成分を抽出し、抽出振動信号として出力する振動抽出フィルタと、
    前記抽出振動信号が入力され、ノッチ中心周波数が変更可能である第2ノッチフィルタと、
    前記抽出振動信号および第2ノッチフィルタ出力信号に基づき、前記第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が減少するように前記第1ノッチフィルタのノッチ中心周波数および前記第2ノッチフィルタのノッチ中心周波数を変更するノッチ制御部と、
    前記抽出振動信号に基づいて、前記第1ノッチフィルタのノッチ深さを変更するノッチ深さ制御部と、
    前記抽出振動信号および前記第2ノッチフィルタ出力信号に基づいて、前記ノッチ制御部と前記ノッチ深さ制御部とのいずれか一方が動作するよう制御する制御判断部とを備えたことを特徴とする電動機制御装置。
  2. 前記振動抽出フィルタは、状態検出信号に含まれる所定周波数以上の信号成分を抽出するハイパスフィルタ、または所定周波数帯域幅内の信号成分を抽出するバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  3. 前記ノッチ制御部は、前記第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が所定値以下になると前記第2ノッチフィルタのノッチ中心周波数の変更動作を停止し、前記第1ノッチフィルタのノッチ中心周波数を前記第2ノッチフィルタのノッチ中心周波数に変更することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  4. 前記ノッチ深さ制御部は、前記抽出振動信号の振幅が減少するように前記第1ノッチフィルタのノッチ深さを初期値または現在値から逐次変更し、前記抽出振動信号の振幅が所定値以下になると変更動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  5. 前記ノッチ深さ制御部は、前記抽出振動信号の振幅を増加させるように前記第1ノッチフィルタのノッチ深さを初期値または現在値から逐次変更し、前記抽出振動信号の振幅が0近傍の所定値以上になると変更動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  6. 前記ノッチ深さ制御部は、前記抽出振動信号の振幅の移動平均値が減少するように前記第1ノッチフィルタのノッチ深さを初期値または現在値から逐次変更し、前記抽出振動信号の振幅が所定値以下になると変更動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  7. 前記ノッチ深さ制御部は、前記抽出振動信号の振幅の移動平均値を増加させるように前記第1ノッチフィルタのノッチ深さを初期値または現在値から逐次変更し、前記抽出振動信号の振幅が0近傍の所定値以上になると変更動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  8. 前記ノッチ深さ制御部は、制御系ゲイン、前記制御系ゲインの変更量、状態検出信号の検出単位のうち、少なくともいずれかに基づいて前記第1ノッチフィルタのノッチ深さの逐次変更量を決定することを特徴とする請求項4から7までのいずれか1項に記載の電動機制御装置。
  9. 前記制御判断部は、前記第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が所定値より大きい場合、前記ノッチ制御部を動作させ、前記第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が所定値より小さい場合、前記ノッチ深さ制御部を動作させることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  10. 前記ノッチ深さ制御部は、前記第2ノッチフィルタのノッチ中心周波数が前回のノッチ中心周波数と異なる場合は、前記第1ノッチフィルタのノッチ深さの変更動作を初期値から開始し、同じ場合は現在値から開始することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  11. 前記ノッチ深さ制御部は、前記第1ノッチフィルタのノッチ中心周波数の変更量、前記第2ノッチフィルタのノッチ中心周波数の変更量、制御系ゲインの変更量のうち、少なくともいずれかに基づいて、前記抽出振動信号の振幅を減少させるように行うか、増加させるように行うかを決定し、前記第1ノッチフィルタのノッチ深さを逐次変更することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  12. 前記ノッチ深さ制御部は、前記第1ノッチフィルタのノッチ中心周波数の変更量、前記第2ノッチフィルタのノッチ中心周波数の変更量、制御系ゲインの変更量のうち、少なくともいずれかに基づいて、前記第1ノッチフィルタのノッチ深さの変更量を算出し、前記第1ノッチフィルタのノッチ深さを変更することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  13. 前記制御系は、速度または位置のいずれかを状態量として制御する制御系であることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
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