JPWO2011142425A1 - 上皮層含有組織の再生材および再生評価方法 - Google Patents

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    • A61L2430/14Materials or treatment for tissue regeneration for ear reconstruction or ear implants, e.g. implantable hearing aids

Abstract

本発明は、操作性に優れ、外科手術をせずに、従来より短期間に再生が可能な、再生材を提供する。また、本発明は、組織の再生を有効に評価可能な評価方法を提供する。本発明の上皮層含有組織の再生材は、高密度コラーゲン基材と、コラーゲン結合性生理活性物質とを含み、前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mL以上であることを特徴とする。また、本発明の評価方法は、候補物質による組織の再生を評価する方法であって、下記(X)および(Y)工程を含み、下記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mL以上であることを特徴とする。(X)高密度コラーゲン基材を、前記候補物質と共に、実験動物の鼓膜欠損部に配置する工程(Y)前記(X)工程後の前記鼓膜欠損部における組織の再生を評価する工程

Description

本発明は、上皮層含有組織の再生材および再生評価方法に関する。
近年、様々な細胞が、生体外で培養可能になってきている。細胞を有機的に立体配置する培養技術として、例えば、三次元培養法が開発されている。前記三次元培養法は、従来、予め接着基質(いわゆる、足場材料)を作製し、これに細胞を播種して、培養液中で培養する方法(例えば、特許文献1〜6等)、ディッシュ(例えば、ペトリ皿)上で、前記接着基質と細胞とを混合して培養する方法等が開発されている。
しかし、前者は、細胞を、前記接着基質内に遊走させる必要があり、後者は、播種した細胞により、前記接着基質を収縮させて高密度化する必要がある。このため、いずれの方法も、2週間程度の培養を要する。しかし、このような長期間の培養は、細胞から分泌される前記接着基質に対する分解酵素によって、三次元的に形成された接着基質が分解されるリスクが高まる。このように、三次元的に形成された接着基質は、移植医療、生命科学、新薬開発等における有用性が期待されているが、作製期間が長く、かつ利用期間が短いため、未だ充分に普及していない。
他方、慢性中耳炎、外傷等の原因により、鼓膜に裂傷または穿孔等の欠損を生じる鼓膜穿孔という症状が知られている。前記鼓膜穿孔は、軽度の場合には、抗生物質の投与が有効である。しかしながら、重度の場合には、例えば、鼓膜形成術、鼓膜閉鎖術等が行われる。前記鼓膜形成術は、皮下組織等の移植により前記穿孔を塞ぎ、鼓膜再生を促す方法である。前記鼓膜形成術は、外科手術を伴うため、1〜2週間の入院と高額な医療費とを要し、かつ、再穿孔を起こす場合もある。これに対して、前記鼓膜閉鎖術は、障子紙、ステリストリップ(登録商標、3M社製)、キチンシート等を用いて、前記穿孔を塞ぎ、鼓膜再生を促す方法である。前記鼓膜閉鎖術は、近年、市販のゼラチンスポンジを用いて前記穿孔を塞ぎ、このシートに、bFGF(Basic fibroblast growth factor)を毎日投与する治療法が報告されている(特許文献7)。しかし、前記ゼラチンスポンジは、スポンジ状のため脆く、吸水によりゲル状に膨潤するため、取り扱い難い。また、前記bFGFは、保存安定性が低く、生体内における安定性も低い。このように失活の早いbFGF投与のため、約2週間、毎日通院しなければならず、患者への負担が大きい。他方、鼓膜等の組織を再生する活性物質の探索が行われているが、有効なアッセイ系が無いのが現状である。
特開平06−277050号公報 特開平10−52261号公報 特開2001−120255号公報 特開2003−265169号公報 国際公開第2004/078954号パンフレット 特開2004−65087号公報 国際公開第2009/157558号パンフレット
本発明は、操作性、有効性、確実性および安全性に優れ、従来より短期間に再生が可能な、粘膜、上皮および鼓膜等の上皮層含有組織の再生材の提供を目的とする。また、本発明は、種々の候補物質について、組織再生能を有効に評価可能な評価方法の提供を目的とする。
本発明の粘膜、上皮層含有組織の再生材は、上皮層含有組織の再生材であって、
高密度コラーゲン基材と、コラーゲン結合性生理活性物質とを含み、
前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mL以上であることを特徴とする。以下、「本発明の再生材」という。
本発明の評価方法は、候補物質による組織の再生を評価する方法であって、
下記(X)および(Y)工程を含み、
下記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mL以上であることを特徴とする。
(X)高密度コラーゲン基材を、前記候補物質と共に、実験動物の鼓膜欠損部に配置する工程
(Y)前記(X)工程後の前記鼓膜欠損部における組織の再生を評価する工程
本発明の評価用キットは、候補物質による組織再生を評価する評価用キットであって、
高密度コラーゲン基材を含み、
前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mL以上であり、前記本発明の評価方法に使用することを特徴とする。
本発明の再生材は、前記高密度コラーゲン基材と前記コラーゲン結合性生理活性物質とを用いることにより、操作性に優れ、かつ、局所的に再生が促進されるため、副作用が起こりにくく、安全性にも優れる。また、本発明の再生材は、通常のコラーゲン基材に比べて分解されにくいことから、比較的長期間、形態が維持されるため、有効性、確実性が高い。さらに、本発明の再生材は、従来よりも短期間に、粘膜、上皮または鼓膜等の上皮層含有組織の再生が可能であるため、通院および高額な費用等の患者への負担を低減できる。また、本発明の評価方法により、候補物質による組織の再生を、有効に評価できる。
図1は、実施例1およびコントロールにおける鼓膜の再生状況を示す写真である。 図2は、実施例2およびコントロールにおける残存穿孔サイズを示すグラフである。 図3は、実施例3およびコントロールにおける外耳側の鼓膜の再生状況を示す写真である。 図4は、実施例3およびコントロールにおける中耳側の再生状況を示す写真である。 図5は、実施例4(EGF−CBD融合タンパク質添加)およびコントロールにおける鼓膜の再生状況を示す写真である。 図6は、実施例4(VEGF−A−CBD融合タンパク質添加)およびコントロールにおける鼓膜の再生状況を示す写真である。 図7は、実施例5およびコントロールにおける外耳皮膚欠損部の写真である。 図8は、実施例6およびコントロールにおける鼓室表面粘膜の写真である。 図9は、本発明の再生材の製造に用いる製造装置の一例の概略図である。 図10は、本発明の再生材の製造に用いる形成用容器(リアクター)の一例の概略図である。 図11は、本発明の再生材の製造に用いる形成用容器(リアクター)における、コラーゲン含有液の液流方向を示す模式図である。 図12は、実施例7における鼓膜の再生状況を示す写真である。 図13は、実施例8における鼓膜の再生状況を示す写真である。 図14は、実施例8のコントロールにおける鼓膜の再生状況を示す写真である。 図15は、実施例3における鼓膜の再生状況を示す写真である。
本発明の再生材は、前記高密度コラーゲン基材に前記コラーゲン結合性生理活性物質を添加して使用するのが好ましい。
本発明の再生材は、前記高密度コラーゲン基材を、前記コラーゲン結合性生理活性物質を含有する液に浸漬して、前記高密度コラーゲン基材に前記コラーゲン結合性生理活性物質を添加するのが好ましい。
本発明の再生材は、例えば、さらに、支持体を含み、前記高密度コラーゲン基材が、前記支持体上に積層されていてもよい。
本発明の再生材は、前記コラーゲン結合性生理活性物質が、コラーゲン結合性サイトカインであるのが好ましい。
本発明の再生材は、前記コラーゲン結合性サイトカインが、コラーゲン結合性成長因子およびコラーゲン結合性ケモカインの少なくとも一方であるのが好ましい。
本発明の再生材は、前記コラーゲン結合性成長因子が、コラーゲン結合性上皮成長因子、コラーゲン結合性線維芽細胞増殖因子およびコラーゲン結合性血管内皮細胞増殖因子からなる群から選択される少なくとも一つであるのが好ましい。
本発明の再生材は、前記コラーゲン結合性ケモカインが、コラーゲン結合性ストローマ細胞由来因子であるのが好ましい。
本発明の再生材は、さらに、把持部を含み、前記高密度コラーゲン基材に、前記把持部が配置されているのが好ましい。
本発明の再生材は、例えば、前記コラーゲン含有液が、前記コラーゲン結合性生理活性物質を含んでもよい。
本発明の再生材は、前記コラーゲン含有液が、細胞を含まないのが好ましい。
本発明の評価方法は、前記(X)工程において、前記高密度コラーゲン基材を、前記鼓膜欠損部の中耳側に配置するのが好ましい。
本発明の再生材、評価方法および評価用キットにおいて、前記高密度コラーゲン基材は、下記(A)工程を含む製造方法により製造されたものであることが好ましい。
(A)支持体を配置した循環流路において、コラーゲン含有液を循環して、前記支持体上に前記高密度コラーゲン基材を形成する工程
つぎに、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の記載により制限されない。
本発明の再生材は、前述のように、高密度コラーゲン基材と、コラーゲン結合性生理活性物質とを含み、前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mL以上であることを特徴とする。前記再生材は、前述の密度範囲でコラーゲンを含む前記高密度コラーゲン基材と、前記コラーゲン結合性生理活性物質とを含むことが特徴であって、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の再生材は、例えば、再生用の足場材ということもできる。
本発明の再生材は、前述のように上皮層含有組織の再生に利用できる。前記上皮層含有組織は、特に制限されず、例えば、粘膜、上皮および鼓膜等があげられる。本発明の再生材は、例えば、粘膜、上皮および鼓膜の少なくとも一つの再生材ともいえる。なお、本発明の再生材の用途は、これらには限定されず、例えば、生体内における様々な器官、組織等の再生材としても使用できる。
前記コラーゲンは、特に制限されず、例えば、I型、II型、III型、IV型、V型等のコラーゲンがあげられる。前記コラーゲンの種類は、例えば、本発明の再生材を適用する箇所に応じて選択でき、非軟骨性組織の場合、例えば、I型、III型、IV型、V型であり、軟骨性組織の場合、例えば、II型、V型である。また、簡便性の点から、例えば、I型が好ましい。前記コラーゲンは、例えば、コラーゲンを含む生体組織を、酸、アルカリ、酵素等を用いて可溶化して調製できる。前記生体組織は、特に制限されず、例えば、動物の皮、アキレス腱等の腱、鼻軟骨等があげられる。前記動物は、特に制限されず、例えば、豚、牛等の家畜、魚介類等があげられる。前記コラーゲンは、例えば、遺伝子組換え型コラーゲンでもよい。前記コラーゲンは、例えば、酵素処理等により、テロペプチドの全部または一部を除去したアテロコラーゲンが好ましい。前記テロペプチドの除去により、例えば、前記コラーゲンによるアレルギー反応、拒否反応等の生体不適合反応を、解消または抑制できる。前記コラーゲンは、例えば、1種類でもよいし、2種類以上の混合物でもよい。後者の場合、前記コラーゲンは、例えば、前述のコラーゲン型、生体組織、処理方法等が異なるコラーゲンの混合物でもよい。前記コラーゲンは、例えば、可溶性コラーゲンおよび不溶性コラーゲンがあげられるが、不溶性コラーゲンが好ましい。
前記高密度コラーゲン基材における前記コラーゲン密度(例えば、コラーゲン濃度ということもできる)は、前述のように、20mg/mL以上である。本発明において、「前記高密度コラーゲン基材における前記コラーゲン密度(mg/mL)」は、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材1mLあたりのコラーゲン重量(mg)を意味する。また、「前記高密度コラーゲン基材における前記コラーゲン密度(mg/mL)」は、例えば、「湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材の湿重量1gあたりのコラーゲン重量(mg)」ともいえる。前者の値は、例えば、mL=cm、比重を1と仮定することで、後者の値から算出できる。以下、コラーゲン密度に関する「mg/mL」の単位は、全て、「湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材の湿重量1gあたりのコラーゲン重量(mg)」と読み替えることができる。前記高密度コラーゲン基材は、例えば、湿潤液に浸漬することで、湿潤状態とすることができる。湿潤の程度は、例えば、湿潤液への浸漬により飽和していることが好ましい。前記湿潤液は、特に制限されず、例えば、後述するような、水、生理食塩水、緩衝液、生理緩衝液等があげられる。
本発明において、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材における前記コラーゲン密度は、例えば、市販試薬Sircol Collagen Assay kit(商品名、バイオカラー社、http://www.biocolor.co.uk/index.php/assay-kits/sircol-1/)を用いて、マニュアル(http://www.biocolor.co.uk/manuals/sircol.pdf)に沿って行うことができる。一例を以下に示す。まず、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材の一部を採取して、体積または重量を測定し、全量を、0.5mol/L 酢酸1mLに溶解して、この溶解液をコラーゲン試料とする。遠心管に、前記コラーゲン試料100μL、および、シリウスレッドを含むピクリン酸試薬としてSircol Dye Reagent 1mLを入れ、30分間振とうする。振とうした前記遠心管を、12,000rpmで10分間遠心処理し、上清を除去し、染色されたコラーゲンペレットを得る。このコラーゲンペレットを、0.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液であるAlkali reagent溶液 1mL中で、10分間振とうし、色素を抽出する。この抽出液の波長540nmにおける吸光度を測定する。他方、検量線作成のため、所定濃度(5、10、25および50μg/100μL)のコラーゲンを含む標準試料を調製する。前記標準試料は、前記コラーゲン試料と同様にして、吸光度を測定し、コラーゲン濃度と吸光度との検量線を作成する。そして、前記コラーゲン試料の吸光度と前記検量線とから、前記コラーゲン試料中のコラーゲン濃度を求め、前記高密度コラーゲン基材における前記コラーゲン密度を算出する。さらに、この結果から、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材1g(湿重量)あたりのコラーゲン量を算出する。なお、前記高密度コラーゲン基材の体積を求めた場合は、例えば、比重1として重量を換算できる。
前記コラーゲン密度の下限は、前述のように、20mg/mLであり、例えば、好ましくは25mg/mL、30mg/mL、34mg/mLであり、より好ましくは、100mg/mL以上、さらに好ましくは150mg/mL以上、特に好ましくは、200mg/mL以上、より特に好ましくは、250mg/mL以上であり、最も好ましくは、300mg/mL以上である。前記コラーゲン密度は、例えば、使用目的の組織等の種類に応じて適宜決定できるが、その上限は、特に制限されず、例えば、500mg/mLであり、好ましくは400mg/mLであり、このような上限であれば十分な密度である。
前記高密度コラーゲン基材における前記コラーゲン密度の測定方法は、特に制限されない。前記測定方法は、例えば、シリウスレッドを用いた定量法、ハイドロキシプロリン定量法等の公知の方法があげられ、好ましくは、シリウスレッドを用いた定量法である。前記シリウスレッドを用いた定量法は、例えば、Sircol Collagen Assay(バイオカラー社製)等の市販キットを用いて実施できる。
前記高密度コラーゲン基材は、例えば、前記コラーゲンのみから構成されてもよいし、前記コラーゲンの他に、さらに前記コラーゲン以外の成分を含んでもよい。前記成分は、例えば、細胞外マトリックス成分等があげられる。前記細胞外マトリックス成分は、例えば、エラスチン、プロテオグリカン、フィブリン、フィブロネクチン、ラミニン、キチン、キトサン、これらの構成成分等があげられる。前記構成成分は、特に制限されず、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸等のグリコサミノグリカン等があげられる。前記細胞外マトリックス成分は、例えば、化学的に修飾されていてもよい。前記修飾は、例えば、生体内で通常見られる修飾でもよいし、各種活性または特性を付与するための人工的な修飾でもよい。前記細胞外マトリックス成分は、例えば、1種類でもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記高密度コラーゲン基材は、例えば、さらに、細胞を含んでもよいし、含まなくてもよい。前者の場合、前記高密度コラーゲン基材は、例えば、前記細胞による収縮作用のため、より高密度なコラーゲン基材を作製できる。また、後者の場合、例えば、前記細胞による拒絶反応、ウイルスへの感染等を回避できるため、より安全性の高いコラーゲン基材を作製できる。生体への配置を考慮すると、前記高密度コラーゲン基材は、例えば、前記細胞を含まないのが好ましい。
前記細胞は、特に制限されず、例えば、線維芽細胞、上皮細胞、角化上皮細胞、粘膜上皮細胞、内皮細胞、血管内皮細胞、中皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、軟骨細胞、滑膜細胞、骨芽細胞等があげられる。前記細胞は、1種類でもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。前記高密度コラーゲン基材が前記細胞を含む場合、例えば、前記高密度コラーゲン基材は、収縮により、さらにコラーゲンが高密度化する。前記細胞の由来は、例えば、配置する生体と同じ動物種でもよいし、異なる動物種でもよく、好ましくは、配置する生体と同じ動物種である。前記動物種は、特に制限されず、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等の哺乳動物があげられる。前記細胞は、例えば、配置する生体由来の細胞でもよいし、配置する生体以外の生体由来の細胞でもよく、例えば、前記拒絶反応等を考慮すると、配置する生体由来の細胞が好ましい。
前記高密度コラーゲン基材は、さらに、前記コラーゲン以外の成分として、例えば、塩類、基本培地の構成成分、添加剤等を含んでもよい。前記塩類は、特に制限されず、例えば、塩化ナトリウム等があげられる。前記基本培地は、例えば、α−MEM、Eagle MEM、DMEM、RPMI 1640、CMRC、HAM、DME/F12、TCM199、MCDB等があげられる。前記高密度コラーゲン基材が前記細胞を含む場合、前記基本培地は、例えば、前記細胞の種類に応じて、前記細胞の培養に適した培地が好ましい。前記添加剤は、例えば、成長因子、ホルモン等の生理活性物質、血清、細胞付着促進物質等があげられる。
前記成長因子は、特に制限されず、例えば、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、神経栄養因子(NGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インシュリン様成長因子(IGF)等があげられる。前記VEGFのファミリーは、特に制限されず、例えば、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E等があげられ、例えば、VEGF−Aが好ましい。また、増殖因子は、例えば、PlGF−1、PlGF−2等の胎盤増殖因子があげられる。前記ホルモンは、特に制限されず、例えば、インシュリン、トランスフェリン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、チロキシン、3,3’,5−トリヨードチロシン、1−メチル−3−ブチルキサンチン、プロゲステロン等があげられる。前記生理活性物質は、これらの他に、例えば、アスコルビン酸、ビオチン、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸二リン酸、ビタミンD等のビタミン類、血清アルブミン、トランスフェリン等のタンパク質、脂質、脂質酸源、リノール酸、コレステロール、ピルビン酸、DNA合成用ヌクレオシド、RNA合成用ヌクレオシド、グルココルチコイド、レチノイン酸、β−グリセロホスフェート、モノチオグリセロール、抗生物質等があげられる。これらの添加剤は、例えば、いずれか1種類を単独で添加してもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記血清は、特に制限されず、例えば、ウシ胎児血清(FBS)、ヒト血清等があげられる。
前記細胞付着促進物質は、特に制限されず、例えば、ペプチド、タンパク質、多糖およびその誘導体、その他のポリマー等があげられる。前記ペプチドは、例えば、細胞接着性オリゴペプチド、ポリリジン、ヒストン、グルテン、ゼラチン、フィブリン、フィブロイン等があげられる。前記細胞接着性オリゴペプチドは、特に制限されず、RGD、RGDS、GRGDS、YIGSR、IKVAV等のアミノ酸配列があげられ、これらのアミノ酸配列からなるオリゴペプチドまたは前記アミノ酸配列を含むオリゴペプチドがあげられる。前記タンパク質は、例えば、前述のペプチドを含むタンパク質、前述のペプチドのアミノ酸配列を組み込んだ組換えタンパク質等があげられる。前記多糖は、例えば、アルギン酸、デンプン、デキストラン等があげられる。前記その他のポリマーは、特に制限されず、前記ポリマーの構成成分は、例えば、乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート等があげられる。前記その他のポリマーは、例えば、生分解性ポリマーがあげられる。前記その他のポリマーは、例えば、前記構成成分のポリマーまたはコポリマーでもよい。前記その他のポリマーは、例えば、前記ポリマーまたは前記コポリマーと、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールとのブロックコポリマー等の生分解性ポリマーでもよい。
前記高密度コラーゲン基材の形状および大きさは、特に制限されず、例えば、用途に応じて適宜設定可能である。前記形状の具体例は、例えば、シート状、フィルム状等があげられる。前記高密度コラーゲン基材は、例えば、乾燥タイプ(ドライタイプ)でもよいし、湿潤タイプ(ウェットタイプ)でもよい。前記高密度コラーゲン基材は、例えば、冷凍されていてもよいし、冷蔵されていてもよい。
前記高密度コラーゲン基材の製造方法は、特に制限されず、例えば、循環法、遠心法等があげられる。
前記循環法は、例えば、下記(A)工程を含む製造方法があげられる。
(A)支持体を配置した循環流路において、コラーゲン含有液を循環して、前記支持体上に前記高密度コラーゲン基材を形成する工程
前記(A)工程において、前記支持体は、例えば、液流制御部材、メッシュ部材等を含んでもよい。
前記液流制御部材は、例えば、前記コラーゲン含有液を通過させ、かつ、その液流を減速させる部材が好ましい。前記液流制御部材は、例えば、多孔質膜、織布、不織布等があげられ、前記多孔質膜が好ましい。前記多孔質膜の材質は、特に制限されず、例えば、多孔質ポリマー、紙、絹フィブロイン等があげられ、好ましくは、前記多孔質ポリマーである。前記多孔質ポリマーを使用した前記液流制御部材は、例えば、局所還流を制御できる。これにより、例えば、製造装置の構成をより簡素化でき、前記支持体の目詰まりによる還流障害をさらに回避できる。前記多孔質ポリマーは、特に制限されず、例えば、ポリ乳酸(PLA)等の生分解性ポリマーが好ましい。前記生分解性ポリマーを使用した前記液流制御部材は、例えば、生体に配置後、経時的に分解される。このため、より安全性に優れた再生材を製造できる。前記液流制御部材の網目または孔径は、特に制限されず、例えば、10〜500μmであり、好ましくは、50〜250μmである。
前記メッシュ部材は、特に制限されず、例えば、前記高密度コラーゲン基材を支持できるものが好ましい。前記メッシュ部材は、例えば、前記コラーゲン含有液の液流を大きく妨げない孔または網目を有することが好ましい。前記孔または網目の大きさは、特に制限されず、例えば、10μm〜1mm、好ましくは、0.25〜0.5mmである。前記メッシュ部材の材質は、特に制限されず、例えば、ステンレス等の金属、ポリエステル等の合成樹脂、セラミック、人工材料等があげられ、好ましくは、前記金属である。前記金属製のメッシュ部材は、例えば、滅菌および洗浄操作性に優れる。前記メッシュ部材の材質は、例えば、生体適合性材料でもよい。前記生体適合性材料製のメッシュ部材は、例えば、安全性および患部処置時の操作性に優れる。
前記支持体は、例えば、前記液流制御部材または前記メッシュ部材を単独で含んでもよいし、前記液流制御部材および前記メッシュ部材を含んでもよい。前者の場合、例えば、前記液流制御部材を単独で含んでもよく、前記高密度コラーゲン基材は、例えば、前記液流制御部材上に形成される。後者の場合、例えば、前記液流制御部材および前記メッシュ部材は、接触または近接して、層状に配置される。この場合、前記液流制御部材は、例えば、前記メッシュ部材よりも、前記コラーゲン含有液の液流の上流側に配置されるのが好ましい。前記液流制御部材と前記メッシュ部材との距離は、特に制限されず、例えば、2mm以下であり、好ましくは、1mm以下である。前記液流制御部材は、例えば、前記メッシュ部材よりも、前記コラーゲン含有液の液流の上流側に配置されてもよいし、反対の下流側に配置されてもよく、好ましくは、前者である。前者のように配置すれば、前記メッシュ部材により、例えば、前記液流制御部材上に形成された前記高密度コラーゲン基材を、より安定的に保持できる。
前記(A)工程において、前記コラーゲン含有液は、前述のコラーゲンを含む以外は、特に制限されない。前記コラーゲン含有液中の前記コラーゲン濃度は、特に制限されず、下限は、例えば、0.1mg/mLであり、好ましくは、0.25mg/mLであり、上限は、例えば、1mg/mLであり、好ましくは、0.75mg/mLであり、その範囲は、例えば、0.1〜1mg/mLであり、好ましくは、0.25〜0.75mg/mLである。前記コラーゲン含有液は、例えば、さらに、前記コラーゲン以外の成分を含んでもよい。前記成分は、前述した塩類、基本培地の構成成分、添加剤等があげられる。前記コラーゲン含有液の溶媒は、特に制限されず、例えば、水、緩衝液、生理食塩水、緩衝生理食塩水、前記基本培地等があげられ、前記コラーゲン含有液は、具体的には、例えば、水、緩衝液、生理食塩水、前記緩衝生理食塩水または前記基本培地等に、コラーゲンを添加した溶液等があげられる。前記コラーゲン含有液は、例えば、さらに、前記細胞を含んでもよい。前記コラーゲン含有液中の前記細胞の密度は、特に制限されず、例えば、1×10〜5×10細胞/mLであり、好ましくは、2×10〜3×10細胞/mLである。前記(A)工程では、前述のように、前記コラーゲン含有液を循環して前記高密度コラーゲン基材を形成する。このため、例えば、前記成分および/または前記細胞等を添加した前記コラーゲン含有液を使用すれば、前記成分および/または前記細胞等を含有する高密度コラーゲン基材を、より容易に形成できる。
前記(A)工程の処理時間は、特に制限されず、例えば、前記高密度コラーゲン基材が所望の厚さに形成されるまで行うことが好ましい。前記高密度コラーゲン基材の形成は、例えば、従来公知の方法により行える。前記循環流路における前記コラーゲン含有液の流速は、特に制限されず、例えば、0.5〜7mL/分であり、好ましくは、1〜2mL/分である。循環時間は、特に制限されず、例えば、3〜72時間であり、好ましくは、12〜24時間である。前記高密度コラーゲン基材の厚さは、特に制限されず、例えば、0.5〜3mmであり、好ましくは、1〜2mmである。前記高密度コラーゲン基材の形状および大きさは、特に制限されず、例えば、欠損部の形状および大きさ等に応じて適宜設定でる。前記高密度コラーゲン基材は、例えば、製造後に、メス等の切除用具を用いて、所望の形状および大きさに加工できる。
前記(A)工程は、例えば、図9に示す製造装置を用いて実施できる。図9は、製造装置の一例を示す模式図であり、具体的には、閉鎖循環式製造装置の一例である。図9に示すように、製造装置1は、リアクター10、液体用容器30、循環ポンプ40、フローセル50、管路100a〜100dおよびインキュベーター60を含む。リアクター10、液体用容器30、循環ポンプ40およびフローセル50は、管路100a〜100dで連通されており、これらは、インキュベーター60内に配置されている。製造装置1は、さらに、例えば、溶存酸素センサー70等のセンサー、前記センサーによる計測値の表示装置80、スターラー90を備えてもよい。スターラー90は、例えば、液体用容器30内の磁気撹拌子を回転させて前記コラーゲン含有液を撹拌するための磁気回転装置である。前記磁気回転装置の回転速度は、特に制限されず、例えば、100rpm以下が好ましく、より好ましくは、50〜60rpmである。
リアクター10内には、前記高密度コラーゲン基材を作製する形成用容器2(リアクター)が配置される。図10に、形成用容器2の一例について、分解構成図を、図11に、形成用容器2の概略図を示す。図10において、形成用容器2は、外筒21、シリコーンリング22、メッシュ部材23、生分解性シート24およびシリコーンリング25を有し、外筒21は、筒状体である。外筒21は、例えば、底を有してもよいし、有していなくてもよい。後者の場合、リアクター10の底部が、外筒21の底部を兼ねる。形成用容器2は、シリコーンリング22、メッシュ部材23、生分解性シート24、シリコーンリング25が、外筒21内に、前記筒状体の軸方向に略垂直になるように積層されている。この積層体26は、外筒21の内周面に形成されたリブ27上に、シリコーンリング25が上面になるように配置され、さらに、外筒21の内周に当接するスペーサー28が、前記シリコーンリング25側に配置されて、外筒21内に装着されている。図11において、スペーサー28は、外筒21内部に配置された際、その上部端が、外筒21の上部端と同じ高さであることが好ましい。また、図10において、外筒21は、リブ27の下方に、積層体26を通過したコラーゲン含有液を排出するスリット29が形成されている。スリット29は、例えば、数、大きさ、形状等は、何ら制限されない。
製造装置1において、液体用容器30内の前記コラーゲン含有液は、循環ポンプ40によりリアクター10内に導入され、形成用容器2内を通過し、さらに、フローセル50を通過後、液体用容器30に還流する。図11に示すように、本例では、前記コラーゲン含有液を、形成用容器2のシリコーンリング25側から流入させ、シリコーンリング22側に通過させる。この循環を、例えば、数時間〜数日間行うことにより、生分解性シート24上に、前記高密度コラーゲン基材が形成される。
前記遠心法は、例えば、下記(B1)および(B2)工程を含む製造方法があげられる。
(B1)コラーゲン溶液を加温して、コラーゲンゲルを形成する工程
(B2)前記コラーゲンゲルを遠心管に入れて、超遠心処理する工程
前記(B1)工程において、前記コラーゲンの種類は、特に制限されず、例えば、前述のコラーゲン等があげられる。前記加温温度は、特に制限されず、例えば、30〜40℃であり、好ましくは、35〜40℃であり、より好ましくは、37℃である。前記加温時間は、特に制限されず、例えば、10〜60分であり、好ましくは、20〜40分であり、より好ましくは、30分である。
前記(B2)工程において、前記遠心処理の回転数は、特に制限されず、例えば、5000〜20000rpmであり、好ましくは、7500〜15000rpmであり、より好ましくは、10000rpmである。
前記コラーゲン結合性生理活性物質は、一般に、コラーゲンに対する結合性を有する生理活性物質をいう。前記コラーゲン結合性生理活性物質は、例えば、天然の物質でもよいし、前記コラーゲン結合性を有するペプチドと生理活性物質との融合タンパク質(融合ペプチドの意味を含む。以下、同様)、前記コラーゲン結合性を有するペプチドと生理活性物質との結合物等でもよい。前記コラーゲン結合性を有するペプチドは、特に制限されず、例えば、コラゲナーゼに由来するコラーゲン認識ペプチド、コラーゲン結合性アドへジンに由来するコラーゲン結合ドメイン、細胞接着分子のコラーゲン結合部位、フォンヴィルブランド因子のコラーゲン結合部位等があげられる。
前記コラーゲン認識ペプチドは、例えば、コラーゲン結合ドメイン(CBD)等があげられる。前記コラーゲン結合性生理活性物質は、具体的には、例えば、前記コラーゲン結合性を有するペプチドである前記コラーゲン結合ドメイン(CBD)と、前記生理活性物質との融合タンパク質等があげられる。
前記コラーゲン結合性生理活性物質に含まれる前記生理活性物質は、例えば、直接または間接的に、生理作用、薬理作用等を示す物質等があげられる。前記生理活性物質は、特に制限されず、具体的には、例えば、サイトカイン、ホルモン、酵素、ビタミン等があげられる。前記コラーゲン結合性生理活性物質は、例えば、前記生理活性物質の全部を含んでもよいし、その一部を含んでもよい。前記生理活性物質の一部は、特に制限されず、例えば、生理活性物質として機能する最小限のアミノ酸領域、生理活性作用が高いアミノ酸領域等があげられる。前記生理活性物質の一部を含んだ前記コラーゲン結合性生理活性物質は、例えば、合成が容易であり、使用時の副作用を低減できる。
前記サイトカインは、特に制限されず、例えば、成長因子、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、造血因子、細胞傷害因子、神経栄養因子等があげられる。
前記成長因子は、特に制限されず、例えば、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インシュリン様成長因子(IGF)等があげられ、好ましくは、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)である。
前記ケモカインは、特に制限されず、例えば、CXCL12(SDF−1、ストローマ細胞由来因子−1)、CXCL1、CXCL8等のCXCケモカイン、CCL1、CCL2等のCCケモカイン、XCL1等のCケモカイン、CX3Cケモカイン等があげられ、好ましくは、CXCL12である。
前記インターフェロンは、特に制限されず、例えば、IFN−α、IFN−β、IFN−ω、IFN−ε、IFN−κ、IFN−γ、IFN−λ等があげられる。
前記インターロイキンは、特に制限されず、例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18等があげられる。
前記造血因子は、特に制限されず、例えば、コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、エリスロポエチン(EPO)等があげられる。
前記細胞傷害因子は、特に制限されず、例えば、TNF−α、TNF−β等があげられる。
前記神経栄養因子は、特に制限されず、例えば、神経成長因子(NGF)等があげられる。
前記コラーゲン結合性生理活性物質に含まれる前記ホルモンは、特に制限されず、例えば、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン等があげられる。
前記コラーゲン結合性生理活性物質に含まれる前記酵素は、特に制限されず、例えば、第X因子、トロンビン、ウロキナーゼ、プラスミン等のプロテアーゼ、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ等の炎症性メディエーター不活性化酵素等があげられる。
前記コラーゲン結合性生理活性物質が前記融合タンパク質の場合、前記融合タンパク質は、例えば、市販品でもよいし、調製品でもよい。前記融合タンパク質の調製方法は、特に制限されず、従来公知の方法があげられる。前記融合タンパク質は、例えば、下記(P1)〜(P3)工程により製造できる。以下の例では、前記融合タンパク質において、コラーゲン結合性を示すドメインとして前記CBDを使用するが、本発明は、以下の例により制限されない。
(P1)細菌性コラゲナーゼのコラーゲン結合ドメイン(CBD)をコードする遺伝子断片を、ベクターに挿入する工程
(P2)前記(P1)工程後の前記ベクターに、さらに、前記CBDに融合させる生理活性物質をコードする遺伝子断片を挿入し、前記生理活性物質と前記CBDとの融合タンパク質を発現する発現ベクターを構築する工程
(P3)前記(P2)工程の発現ベクターを宿主に導入して形質転換し、この形質転換体を培養して、前記融合タンパク質を生産および精製する工程
前記各種断片を挿入する前記ベクターは、特に制限されず、従来公知のベクターが使用できる。前記ベクターは、例えば、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターが使用でき、後者は、例えば、各種プラスミドがあげられる。
前記(P1)工程は、例えば、常法により、以下のように行ってもよい。まず、公知の細菌性コラゲナーゼの構造遺伝子を鋳型とし、PCR法等の核酸増幅法により前記CBDをコードする遺伝子断片を得る。そして、前記遺伝子断片を、任意のベクターに挿入する。
前記細菌性コラゲナーゼの構造遺伝子は、特に制限されず、例えば、配列番号1の塩基配列に示すClostridium histolyticum co1H遺伝子(GenBankアクセッション番号D29981.1)等があげられる。配列番号2に、前記Clostridium histolyticum co1H遺伝子がコードするコラゲナーゼのアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号BAA06251.1)を示す。前記配列番号1において、5’末端から3010番目〜3366番目の塩基配列(配列番号3)が、前記CBDをコードする。前記CBDをコードする遺伝子断片の塩基配列は、例えば、下記(Q1)〜(Q4)に表される塩基配列でもよい。
(Q1)配列番号3に表される塩基配列
(Q2)配列番号3に表される塩基配列において、1個もしくは数個の塩基が、置換、付加、挿入もしくは欠失した塩基配列からなり、かつ、コラーゲン結合活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列
(Q3)配列番号3に表される塩基配列と60%以上の相同性を有する塩基配列からなり、かつ、コラーゲン結合活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列
(Q4)配列番号3に表される塩基配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズする塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなり、かつ、コラーゲン結合活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列
前記(P2)工程は、例えば、常法を用いて、以下のように行ってもよい。まず、前記生理活性物質を発現している細胞から全RNAを回収し、cDNAライブラリーを調製する。そして、このcDNAを鋳型とし、PCR法等の遺伝子増幅法により前記生理活性物質をコードするDNA断片を得る。前記生理活性物質をコードするDNA断片は、例えば、前記生理活性物質のcDNAの全塩基配列でもよいし、その部分配列でもよい。前記DNA断片を、前記工程(P1)後の前記ベクターに挿入する。これによって、前記ベクターにおいて、前記生理活性物質と前記CBDとの融合タンパク質をコードする融合遺伝子が挿入される。
前記生理活性物質を発現している細胞は、特に制限されず、例えば、マクロファージ等の免疫担当細胞、血管内皮細胞、上皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、滑膜細胞等が好ましい。
前記生理活性物質が上皮成長因子(EGF)の場合、前記DNA断片の塩基配列は、例えば、配列番号4に示すRattus norvegicus epidermal growth factor遺伝子(NCBI Reference Sequenceアクセッション番号NM_12842.1)の塩基配列等があげられる。配列番号5に、前記Rattus norvegicus epidermal growth factor遺伝子がコードするタンパク質(EGF)のアミノ酸配列(NCBI Reference Sequenceアクセッション番号NP_036974.1)を示す。前記生理活性物質が前記線維芽細胞増殖因子(FGF)の場合、前記塩基配列は、例えば、配列番号6に示すHomo sapiens fibroblast growth factor 2(basic)遺伝子(NCBI Reference Sequenceアクセッション番号NM_002006.4)の塩基配列等があげられる。配列番号7に、前記Homo sapiens fibroblast growth factor 2(basic)遺伝子がコードするタンパク質(bFGF)のアミノ酸配列(NCBI Reference Sequenceアクセッション番号NP_001997.5)を示す。前記生理活性物質が前記血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の場合、前記塩基配列は、例えば、配列番号8に示すMus musculus vascular endothelial growth factor A(NCBI Reference Sequenceアクセッション番号NM_009505.3)の塩基配列等があげられる。配列番号9に、前記Mus musculus vascular endothelial growth factor A遺伝子がコードするタンパク質(VEGF)のアミノ酸配列(NCBI Reference Sequenceアクセッション番号NP_033531.2)を示す。前記生理活性物質が前記ストローマ細胞由来因子(CXCL12)の場合、前記塩基配列は、例えば、配列番号10に示すMus musculus chemokine(C−X−C motif)ligand 12遺伝子(GenBankアクセッション番号BC006640.1)の塩基配列等があげられる。配列番号11に、前記Mus musculus chemokine(C−X−C motif)ligand 12遺伝子がコードするタンパク質(CXCL12)のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号AAH06640.1)を示す。
前記(P3)工程において、前記宿主は、特に制限されず、例えば、使用したベクターに対応する宿主を選択できる。前記ベクターが原核細胞用ベクターの場合、前記宿主は、例えば、原核細胞があげられ、昆虫用ベクターの場合、昆虫細胞があげられる。前記導入の方法は、特に制限されず、例えば、エレクトロポレーション法、カルシウム法等の常法が採用できる。前記形質転換体の培養は、特に制限されず、例えば、前記宿主および前記ベクターの種類に応じて実施できる。前記融合タンパク質の精製は、特に制限されず、例えば、前記形質転換体の培養物を用いて、常法を用いて実施できる。
前記融合タンパク質の精製は、例えば、以下のように行える。前記ベクターが、例えば、タグペプチドが付加された融合タンパク質を発現する場合、まず、生産された前記タグペプチドが付加された前記融合タンパク質を、アフィニティ精製法等の公知の方法により分離する。前記融合タンパク質は、例えば、コラーゲン結合性生理活性物質であり、具体例として、前記CBDと前記生理活性物質との融合タンパク質があげられる。前記タグペプチドが付加された前記融合タンパク質の分離方法は、特に制限されず、例えば、タグペプチドの種類に応じて、適宜設定できる。前記分離後、常法を用いて、タグペプチドが付加された前記融合タンパク質から、前記融合タンパク質の切り出しを行うことで、前記融合タンパク質を得ることができる。前記タグペプチドは、特に制限されず、例えば、グルタチオンS転移酵素(GST)、ヒスチジンタグ(Hisタグ)等があげられる。
前記コラーゲン結合性生理活性物質は、特に制限されず、例えば、コラーゲン結合性上皮成長因子、コラーゲン結合性線維芽細胞増殖因子、コラーゲン結合性血小板由来成長因子、コラーゲン結合性肝細胞増殖因子、コラーゲン結合性トランスフォーミング増殖因子、コラーゲン結合性神経栄養因子、コラーゲン結合性血管内皮細胞増殖因子、コラーゲン結合性インシュリン様成長因子等があげられ、好ましくは、コラーゲン結合性上皮成長因子、コラーゲン結合性線維芽細胞増殖因子、コラーゲン結合性血管内皮細胞増殖因子である。前記コラーゲン結合性上皮成長因子は、例えば、EGFとCBDとの融合タンパク質(以下「EGF−CBD」という。)があげられる。前記コラーゲン結合性線維芽細胞増殖因子は、例えば、bFGFとCBDとの融合タンパク質(以下「bFGF−CBD」という。)があげられる。前記コラーゲン結合性血小板由来成長因子は、例えば、PDGFとCBDとの融合タンパク質(以下「PDGF−CBD」という。)があげられる。前記コラーゲン結合性肝細胞増殖因子は、例えば、HGFとCBDとの融合タンパク質(以下「HGF−CBD」という。)があげられる。前記コラーゲン結合性トランスフォーミング増殖因子は、例えば、TGFとCBDとの融合タンパク質(以下「TGF−CBD」という。)があげられる。前記コラーゲン結合性神経栄養因子は、例えば、NGFとCBDとの融合タンパク質(以下「NGF−CBD」という。)があげられる。前記コラーゲン結合性血管内皮細胞増殖因子は、例えば、VEGF−AとCBDとの融合タンパク質(以下「VEGF−A−CBD」という。)があげられる。前記コラーゲン結合性インシュリン様成長因子は、例えば、IGFとCBDとの融合タンパク質(以下「IGF−CBD」という。)があげられる。前記コラーゲン結合性生理活性物質は、例えば、タグ等の付加配列を含んでもよい。
前記EGF−CBDは、例えば、西らの文献(Nishi N et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A、1998年、95巻、p.7018−7023)に記載された公知物質である。前記文献において、前記EGF−CBDは、動物実験で皮下注射により投与した場合、期待された効果を示さなかったことが報告されている。これに対して、本発明の再生材は、粘膜、上皮および鼓膜等の上皮層含有組織が、短期間に再生できる。すなわち、前記EGF−CBDと前記高密度コラーゲン基材とを組み合わせることにより、前述の効果を発揮できる。
本発明の再生材は、前述のように、前記コラーゲン結合性生理活性物質と前記高密度コラーゲン基材とを含む。前記コラーゲン結合性生理活性物質は、例えば、前記高密度コラーゲン基材の使用時において、前記高密度コラーゲン基材と共存していればよく、また、前記高密度コラーゲン基材の表面および/または内部に存在していることが好ましい。具体例として、前記コラーゲン結合性生理活性物質は、例えば、前記コラーゲン含有液に含まれることにより、前記高密度コラーゲン基材中に内包されてもよいし、前記高密度コラーゲン基材を浸漬しておく保存液に添加されてもよいし、生体に配置する前または配置した後に、前記高密度コラーゲン基材に添加されてもよい。
前記コラーゲン結合性生理活性物質が前記コラーゲン含有液に含まれる場合、前記コラーゲン含有液中の前記コラーゲン結合性生理活性物質の濃度は、特に制限されない。前記濃度の下限は、例えば、0.1μg/mLであり、好ましくは、0.5μg/mLであり、その上限は、例えば、10μg/mLであり、好ましくは、3μg/mLであり、その範囲は、例えば、0.1〜10μg/mLであり、好ましくは、0.5〜3μg/mLである。前記コラーゲン含有液は、特に制限されず、例えば、前述のとおりである。
前記コラーゲン結合性生理活性物質が前記保存液に含まれる場合、前記保存液中の前記コラーゲン結合性生理活性物質の濃度は、特に制限されない。前記濃度の下限は、例えば、0.1μg/mLであり、好ましくは、0.5μg/mLであり、その上限は、例えば、10μg/mLであり、好ましくは、3μg/mLであり、その範囲は、例えば、0.1〜10μg/mLであり、好ましくは、0.5〜3μg/mLである。前記保存液は、例えば、さらに、塩化ナトリウム等の塩類、抗生物質、抗菌剤等を含んでもよい。
前記コラーゲン結合性生理活性物質が、前記高密度コラーゲン基材の生体への配置前または配置後に、前記高密度コラーゲン基材に添加される場合、前記コラーゲン結合性生理活性物質は、例えば、前記添加用の液に含まれるのが好ましい。前記添加用の液中の前記コラーゲン結合性生理活性物質の濃度は、特に制限されない。前記濃度の下限は、例えば、0.1μg/mLであり、好ましくは、0.5μg/mLであり、その上限は、例えば、10μg/mLであり、好ましくは、3μg/mLであり、その範囲は、例えば、0.1〜10μg/mLであり、好ましくは、0.5〜3μg/mLである。
本発明の再生材は、前記高密度コラーゲン基材と前記コラーゲン結合性生理活性物質とを含むことにより、例えば、組織の再生を持続的に促進できる。また、本発明の再生材は、例えば、前記高密度コラーゲン基材に対する前記コラーゲン結合性生理活性物質の結合性が高いため、前記コラーゲン結合性生理活性物質が局所的に作用し、他の部位への作用による副作用を防止できる。
本発明の再生材は、例えば、さらに、前記支持体を含んでもよい。前記支持体により、前記再生材は、例えば、物理的強度がさらに向上し、取り扱いがさらに容易になる。前記支持体の材質は、特に制限されず、例えば、プラスチック材料、生分解性材料等があげられる。前記プラスチック材料は、特に制限されず、例えば、シリコーン、ポリエチレン、ビニール、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール等があげられる。前記生分解性材料は、特に制限されず、例えば、前述の生分解性ポリマー等があげられる。前記支持体が前記生分解性材料の場合、前記再生材は、例えば、前記支持体を備えた状態で前記生体に留置できるため、操作性および安全性に優れる。また、本発明の再生材を、例えば、鼓膜の中耳側等に配置する場合、通常、手術が必要である。しかし、本発明の再生材が、生分解性材料製の前記支持体を含む場合、例えば、配置してから所定の期間が経過した後、生体内で前記支持体は分解される。このため、前記支持体を除去のための再手術は不要である。したがって、手術を要する配置部位に使用する場合、本発明の再生材の中でも、例えば、前記生分解性材料から形成された支持体を有する前記再生材は、特に有用である。前記支持体は、例えば、前述の液流制御部材が好ましい。
本発明の再生材は、例えば、さらに、把持部を備えてもよい。この場合、本発明の再生材は、例えば、前記把持部を持って前記生体に配置できるため、操作性に優れる。前記把持部は、例えば、前記高密度コラーゲン基材に配置されてもよいし、前記支持体に配置されてもよい。前記把持部は、例えば、生分解性材料により形成されていることが好ましい。前記生分解性材料は、特に制限されず、例えば、前述の生分解性ポリマー等があげられる。
前記把持部の形状および大きさは、特に制限されず、例えば、持ちやすく、配置の妨げにならない形状および大きさが好ましい。前記形状は、例えば、糸状、凸状等があげられる。前記糸状の場合、前記把持部の長さは、例えば、0.5〜10mmであり、好ましくは、1〜5mmである。前記糸状の場合、前記把持部の径は、例えば、1〜100μmであり、好ましくは、20〜50μmである。前記把持部は、例えば、生体への配置後、前記高密度コラーゲン基材表面に接着または埋没してもよい。この場合、前記把持部は、例えば、前記接着時に、前記高密度コラーゲン基材表面が平滑となる形状が好ましい。前記把持部は、具体的には、例えば、径0.1mm、長さ5mmの吸収糸があげられる。
本発明の再生材において、前記把持部の形成位置は、特に制限されず、例えば、持ちやすい位置が好ましい。前記把持部は、例えば、前記高密度コラーゲン基材の中央に形成されてもよいし、端部に形成されてもよい。前記把持部は、例えば、前記高密度コラーゲン基材の略中央部に形成されるのが好ましい。
本発明の再生材は、例えば、乾燥タイプ(ドライタイプ)でもよいし、湿潤タイプ(ウェットタイプ)でもよい。本発明の再生材は、例えば、前記高密度コラーゲン基材が予め前記コラーゲン結合性生理活性物質を含む剤型(以下、「一剤型」という。)でもよいし、前記コラーゲン結合性生理活性物質と前記高密度コラーゲン基材とを、それぞれ別個に有する剤型(以下「キット型」という。)でもよい。後者の場合、例えば、前記コラーゲン結合性生理活性物質と前記高密度コラーゲン基材とが、別々の容器に収容されてもよいし、同じ容器に収容されてもよい。前記コラーゲン結合性生理活性物質は、例えば、これを含む試薬でもよい。前記キット型の場合、さらに、使用説明書を含むことが好ましい。
前記一剤型の場合、本発明の再生材は、例えば、乾燥タイプでもよいし、湿潤タイプでもよい。前記一剤型の再生材は、例えば、前記コラーゲン結合性生理活性物質を含んだ前記高密度コラーゲン基材を凍結乾燥した再生材、前記コラーゲン結合性生理活性物質を含んだ前記高密度コラーゲン基材を冷蔵保存した再生材、前記コラーゲン結合性生理活性物質を含んだ前記高密度コラーゲン基材を凍結保存した再生材等があげられる。前記一剤型の場合、本発明の再生材は、例えば、前述のように、前記コラーゲン結合性生理活性物質を含む前記コラーゲン含有液を用いて製造した前記高密度コラーゲン基材を含む再生材があげられる。前記凍結乾燥方法、冷蔵保存方法、凍結方法は、特に制限されず、従来公知の方法を採用できる。
前記一剤型の再生材の使用方法は、特に制限されない。前記凍結乾燥した一剤型の再生材は、例えば、湿潤液に浸漬し、湿潤状態に戻した後に、生体に配置できる。前記湿潤液は、特に制限されず、例えば、水、生理食塩水、緩衝液、生理緩衝液等があげられる。前記冷蔵保存した一剤型の再生材は、例えば、そのまま生体に配置できる。前記凍結保存した一剤型の再生材は、例えば、解凍後、生体に配置するのが好ましい。前記解凍方法は、特に制限されず、従来公知の方法を採用できる。
前記キット型の場合、前記コラーゲン結合性生理活性物質を含む試薬および前記高密度コラーゲン基材は、例えば、一方が乾燥タイプであり、他方が湿潤タイプでもよいし、両者が乾燥タイプでもよいし、両者が湿潤タイプでもよい。前記キット型の再生材は、例えば、凍結乾燥した前記高密度コラーゲン基材と液体タイプの前記試薬との組み合わせ、凍結乾燥した前記高密度コラーゲン基材と凍結乾燥した前記試薬との組み合わせ、湿潤タイプの前記高密度コラーゲン基材と液体タイプの前記試薬との組み合わせ、湿潤タイプの前記高密度コラーゲン基材と凍結乾燥した前記試薬との組み合わせ等があげられる。湿潤タイプの前記高密度コラーゲン基材は、例えば、冷蔵保存されていてもよいし、冷凍保存されていてもよい。後者の場合、前記高密度コラーゲン基材は、例えば、解凍後、生体に配置するのが好ましい。前記凍結乾燥方法、冷蔵保存方法、凍結方法および解凍方法は、特に制限されず、従来公知の方法を採用できる。
前記キット型の再生材の使用方法は、特に制限されない。凍結乾燥した前記高密度コラーゲン基材と液体タイプの前記試薬とを含む再生材の場合、例えば、前記試薬を前記高密度コラーゲン基材に添加し、湿潤状態に戻った前記基材を生体に配置してもよい。前記凍結乾燥した高密度コラーゲン基材と凍結乾燥した前記試薬とを含む再生材の場合、例えば、生理食塩水を用いて前記試薬を溶解し、この液を前記高密度コラーゲン基材に添加し、湿潤状態に戻った前記基材を生体に配置してもよい。湿潤タイプの前記高密度コラーゲン基材と液体タイプの前記試薬とを含む再生材の場合、例えば、前記試薬を前記高密度コラーゲン基材に添加し、前記基材を生体に配置してもよい。湿潤タイプの前記高密度コラーゲン基材と凍結乾燥した前記試薬とを含む再生材の場合、例えば、生理食塩水を用いて前記試薬を溶解し、この液を前記高密度コラーゲン基材に添加し、前記基材を生体に配置してもよい。
前記添加方法は、特に制限されず、例えば、浸漬、塗布、噴霧等の方法があげられる。前記浸漬の場合、例えば、前記コラーゲン結合性生理活性物質を含有する添加用の液に、前記高密度コラーゲン基材を浸漬すればよい。前記塗布または噴霧の場合、例えば、前記添加用の液を、前記高密度コラーゲン基材に塗布または噴霧すればよい。前記高密度コラーゲン基材が乾燥タイプの場合、前記添加方法は、特に制限されず、例えば、浸漬が好ましい。前記高密度コラーゲン基材が湿潤タイプの場合、前記添加方法は、特に制限されず、例えば、塗布または噴霧が好ましい。前記添加用の液は、例えば、前記高密度コラーゲン基材に代えて、生体の配置部位に添加してもよい。前記浸漬の場合、例えば、前記添加用の液に、前記配置部位を浸漬してもよい。前記塗布または噴霧の場合、例えば、前記添加用の液を、前記配置部位に塗布または噴霧してもよい。
前記添加用の液は、前記コラーゲン結合性生理活性物質以外に、例えば、塩化ナトリウム等の塩類、抗生物質等の抗菌薬、抗ウイルス薬、タンパク質、糖、アミノ酸、ビタミン等を含んでもよい。前記添加用の液中の前記コラーゲン結合性生理活性物質濃度は、例えば、前述の通りである。
前記再生材は、前述のように、生体に配置する前に、前記高密度コラーゲン基材に前記コラーゲン結合性生理活性物質を添加して使用してもよいし、生体に配置した後に、前記高密度コラーゲン基材に前記コラーゲン結合性生理活性物質を添加して使用してもよい。前記再生材は、例えば、生体に配置する前に、前記再生材を配置する生体部位に、前記コラーゲン結合性生理活性物質を添加して使用してもよい。
前記コラーゲン結合性生理活性物質を含有する添加用の液に、前記高密度コラーゲン基材を浸漬する場合、浸漬時間は、特に制限されない。前記浸漬時間は、例えば、1分〜16時間であり、好ましくは、3分〜3時間であり、より好ましくは、10〜30分である。前記コラーゲン結合性生理活性物質は、前記高密度コラーゲン基材に、例えば、10分間の前記浸漬により、ほぼ十分量結合し、20分間の前記浸漬により、十分量結合し、30分間の前記浸漬により最大量結合する。このように、本発明の再生材は、例えば、前記浸漬の場合に、短時間で処理できるため、事前準備が不要であり、緊急時にも使用できる。このため、本発明の再生材は、利便性が高い。また、本発明の再生材において、前記浸漬時間は、例えば、30分間以上でもよい。この場合、例えば、前記コラーゲン結合性生理活性物質を最大量含んだ状態で、本発明の再生材を生体に配置できる。
前記一剤型の場合、本発明の再生材は、例えば、前記添加処理をせずに使用してもよいし、前記添加処理後に使用してもよい。前記一剤型の再生材は、例えば、操作の簡便性から、前記添加処理をせずに使用するのが好ましい。また、前記再生材が前記支持体を含む場合、前記再生材は、例えば、前記生体に配置する時に、前記支持体を除去して貼付してもよい。
本発明の再生材は、例えば、その他の処理後、生体に配置してもよい。前記その他の処理は、特に制限されず、例えば、洗浄、接着剤塗布等の処理があげられる。前記洗浄に用いる洗浄剤は、例えば、生理食塩水等があげられる。前記接着剤は、特に制限されず、例えば、フィブリン系、シアノアクリレート系等があげられる。前記接着剤は、例えば、ヒアルロン酸等の粘性物質でもよい。
本発明の再生材は、例えば、生体に配置して使用する。前記生体は、特に制限されず、例えば、哺乳類動物があげられ、具体的には、ヒト、または、サル、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等の非ヒト哺乳動物があげられる。前記再生材を配置する器官は、特に制限されず、例えば、耳、口、鼻、目、皮膚、内臓、血管、リンパ管、神経、骨、筋、髄膜、肺、胸腔等があげられる。前記再生材を配置する組織は、特に制限されず、例えば、上皮、粘膜、鼓膜、内皮、中皮、皮下組織、結合組織、平滑筋、血管平滑筋、骨格筋、心筋、漿膜等があげられ、好ましくは、粘膜、上皮、鼓膜である。前記再生材は、例えば、前記器官または組織等の欠損部、その周辺部等に配置するのが好ましい。
本発明の再生材を鼓膜の再生に用いる場合、前記再生材の配置方法は、特に制限されず、例えば、Overlay法、Underlay法、Inlay法等があげられる。前記Overlay法は、例えば、前記鼓膜欠損部の外耳側に、前記再生材を配置する。前記Overlay法は、例えば、外耳道側から操作し、鼓膜の前記外耳道側に前記再生材を配置するため、操作が簡便である。前記Overlay法は、異常が生じた場合に、直ちに前記再生材を除去できるため、安全性に優れる。前記Underlay法は、例えば、前記鼓膜欠損部の中耳側に、前記再生材を配置する。前記Underlay法は、鼓膜のマイグレーション等の影響を受け難いため、前記再生材をより安定して配置できる。前記マイグレーションは、前記鼓膜の上皮層が、新陳代謝によって外耳道側に移動することを意味する。前記Underlay法は、鼓膜欠損部を外耳道側から観察できるため、再生程度の確認が容易である。前記Inlay法は、例えば、前記鼓膜欠損部の固有層に、前記再生材を挿入する。前記Inlay法は、前記再生材を鼓膜の上皮層と粘膜層との間に配置するため、前記再生材をより固定しやすい。
前記再生材の貼付期間は、特に制限されず、例えば、欠損領域の大きさ等に応じて適宜設定可能である。
<再生方法・治療方法>
本発明の再生方法は、上皮層含有組織を再生する再生方法であって、前記本発明の再生材を、生体に配置することを特徴とする。また、本発明の治療方法は、前記本発明の再生材を生体に配置することを特徴とする。より詳細に、本発明の治療方法は、上皮層含有組織を再生するための治療方法である。前記上皮層含有組織は、特に制限されず、前述の通りであり、例えば、粘膜、上皮および鼓膜の少なくとも一つがあげられる。
本発明の再生方法および治療方法は、前記本発明の再生材を生体に配置することが特徴であり、それ以外の工程および条件等は、何ら制限されない。前記再生材は、例えば、前述のとおりである。前記再生材を前記生体に配置する方法は、例えば、前述のとおりである。本発明の再生方法および治療方法は、例えば、鼓膜、皮膚、中耳粘膜、鼻粘膜、口腔粘膜、血管、リンパ管、神経、皮下組織、結合組織等の欠損部または新生もしくは増生を要する部位、口内炎等の治療に使用できる。
<再生キット>
本発明の再生キットは、前述のように、上皮層含有組織を再生するキットであって、前記本発明の再生材を含むことを特徴とする。前記再生キットは、前記本発明の再生材を含むことが特徴であって、その他の構成および条件は、何ら制限されない。前記再生材は、例えば、前述のとおりであり、その使用方法も前述の通りである。
<評価方法>
本発明の評価方法は、前述のように、候補物質による組織の再生を評価する方法であって、下記(X)および(Y)工程を含み、下記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mL以上であることを特徴とする。
(X)高密度コラーゲン基材を、前記候補物質と共に、実験動物の鼓膜欠損部に配置する工程
(Y)前記(X)工程後の前記鼓膜欠損部における組織の再生を評価する工程
前記(X)工程では、前述のように、前記高密度コラーゲン基材を、前記候補物質と共に、実験動物の鼓膜欠損部に配置する。
前記評価方法において、前記高密度コラーゲン基材は、例えば、前述のとおりである。
前記候補物質は、特に制限されず、例えば、天然由来物質でもよいし、化学合成物質でもよい。具体例としては、例えば、成長因子、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、造血因子、細胞傷害因子、神経栄養因子等のサイトカイン、ホルモン、酵素、ビタミン等の生理活性物質、化学的に合成された化学物質等があげられる。前記候補物質は、例えば、前記高密度コラーゲン基材に添加してもよいし、前記高密度コラーゲン基材に内包させてもよい。前記添加方法は、特に制限されず、例えば、前述のコラーゲン結合性生理活性物質を前記高密度コラーゲン基材に添加する方法と同様である。前記内包方法は、例えば、前述のコラーゲン結合性生理活性物質を前記高密度コラーゲン基材に内包させる方法と同様である。
前記鼓膜の欠損は、特に制限されず、例えば、裂傷、穿孔等があげられる。前記鼓膜に対する前記鼓膜欠損部の形成方法は、特に制限されず、例えば、メス、パンチ等を用いてもよい。前記高密度コラーゲン基材は、例えば、前記鼓膜欠損部およびその周囲を覆うように配置するのが好ましい。前記配置方法は、特に制限されず、例えば、前述のOverlay法、Underlay法、Inlay法等があげられ、好ましくは、Underlay法である。前記Overlay法、Underlay法およびInlay法による配置方法は、例えば、前述のとおりである。
前記実験動物は、特に制限されず、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ブタ等の非ヒト哺乳類動物等があげられる。前記実験動物は、例えば、種々の疾患モデル動物、老化モデル動物等でもよい。
前記(Y)工程では、前述のように、前記(X)工程後の前記鼓膜欠損部における組織の再生を評価する。
前記組織の再生は、例えば、以下のように観察できる。前記Overlay法を用いた場合は、例えば、中耳側から再生を観察でき、前記Underlay法を用いた場合、外耳側から再生を観察でき、前記Inlay法を用いた場合、両側から再生を観察できる。前記Underlay法またはInlay法は、例えば、外科手術をせずに、経時的に前記組織の再生を外耳側から観察できる。このため、前記評価方法における配置方法は、例えば、前記Underlay法またはInlay法が好ましい。
前記評価の指標は、特に制限されず、例えば、評価対象の組織等に応じた指標を適宜設定できる。前記組織が、例えば、粘膜、上皮、鼓膜全体等の場合、例えば、前記鼓膜欠損部における欠損面積または再生面積等を指標にして、再生を評価できる。具体的には、例えば、評価終了後における前記欠損面積を、前記候補物質(A)とコントロール(B)とで比較し、その差、または、その差の割合((B−A)/B)等を指標にしてもよい。また、前記組織が血管の場合、例えば、前記再生した血管の面積を指標にして、再生を評価できる。
<評価用キット>
本発明の評価用キットは、前述のように、候補物質による組織再生を評価する評価用キットであって、
高密度コラーゲン基材を含み、前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mL以上であり、本発明の評価方法に使用することを特徴とする。
本発明の評価用キットは、前記高密度コラーゲン基材を含み、前記本発明の評価方法に使用することが特徴であって、その他の構成および条件は、何ら制限されない。前記評価用キットにおいて、前記高密度コラーゲン基材は、例えば、前述の通りであり、また、それを用いた前記評価方法は、例えば、前述のとおりである。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。
(実施例1)
本例では、コラーゲン結合性生理活性物質としてEGF−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性上皮成長因子)を使用し、これを含む機能性コラーゲンシート(再生材)を、外耳側から鼓膜穿孔部に貼付して、鼓膜再生を評価した。
以下、本発明の実施例において、「鼓膜穿孔部」は、鼓膜の欠損部をいう。本発明の実施例において、「穿孔の縮小」は、例えば、再生した組織により穿孔の一部が閉鎖し、その結果、穿孔の大きさが小さくなることをいい、「穿孔の閉鎖」は、例えば、再生した組織により穿孔の全部が閉鎖されることをいう。したがって、例えば、機能性コラーゲンシート等による前記鼓膜穿孔部の閉塞は、再生評価における「穿孔の閉鎖」にはあたらない。
[ラットEGF−CBDの調製]
配列番号1に示すClostridium histolyticum co1H遺伝子(GenBankアクセッション番号D29981.1)の3010番目〜3366番目の塩基配列(配列番号3)を含むDNA断片(CBD遺伝子)を、pGEX−4T−2プラスミド(GEヘルスケア・ジャパン社製)のSmaI部位に、常法により挿入した。他方、配列番号4に示すRattus norvegicus epidermal growth factor(NCBI Reference Sequenceアクセッション番号NM_012842.1)の3308番目〜3448番目の塩基配列からなるDNA断片(ラットEGF遺伝子)を、PCR法により増幅した。前記CBD遺伝子との融合遺伝子を形成するため、前記PCRは、前記DNA断片が、その5’末端側にBamHI部位を有し、その3’末端側に1ヌクレオチド(塩基G)およびEcoRI部位を有するように、行った。増幅したDNA断片(EGF遺伝子)を、前記DNA断片(CBD遺伝子)を挿入した前記プラスミドのBamHI−EcoRI部位に、常法により挿入し、発現プラスミドを調製した。前記発現プラスミドは、GST−EGF−CBD融合タンパク質(配列番号12)をコードするリーディングフレーム(配列番号13)を有している。つぎに、エレクトロポレーション法を用いて、前記発現プラスミドを、大腸菌BL21(Stratagene社製)に導入し、形質転換体を作製した。
前記形質転換体を、50μg/mLアンピシリン含有2×YT−G培地 50mL中で、一晩、前培養した。得られた前培養液10mLを前記培地500mLに加え、この培養液の濁度(O.D.600)が約0.7になるまで、37℃で振とう培養した。得られた培養液に、0.1mol/L イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)水溶液5mLを添加し、37℃で2時間培養した。さらに、0.1mol/Lフェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF)含有イソプロパノール液5mLを添加後、前記培養液を、6000×g(58,800m/s)、4℃で10分間遠心し、前記形質転換体を回収した。1mmol/L PMSF含有リン酸緩衝生理食塩水 7.5mLに、前記形質転換体を懸濁し、フレンチ・プレスにより細胞を破壊した。この懸濁液19容量に対して、20% Triton(登録商標)X−100 1容量を加え、4℃で30分間撹拌した。得られた懸濁液を、15,000×g(147,000m/s)、4℃で30分間遠心し、上清を回収した。前記上清を、さらに15,000×g(147,000m/s)、4℃で30分間遠心し、さらに上清を回収した。この上清を、清澄溶菌液とした。
前記清澄溶菌液をグルタチオン−セファロースビーズ 2mLに添加し、4℃で1時間撹拌した。前記ビーズを、リン酸緩衝生理食塩水(以下「PBS」という。)12mLを用いて5回洗浄した後、前記ビーズを少量のPBSに懸濁してカラムに充填し、溶出液を用いて、前記GST−EGF−CBD融合タンパク質を溶出した。前記溶出液の組成は、50mmol/L Tris−HCl(pH8.0)、10mmol/L グルタチオンとした。前記融合タンパク質1mgあたり、5unitのトロンビンを添加して、25℃で10時間反応させた。この反応液を、50mmol/L Tris−HCl(pH7.5)300mLに対して、4℃で12時間の透析処理を、4回繰り返した。この透析物を、グルタチオン−セファロースビーズ 2mLを充填したカラムに添加し、50mmol/L Tris−HCl(pH7.5)を用い、EGF−CBD融合タンパク質(配列番号14)を含む非吸着画分を得た。配列番号14に示すアミノ酸配列において、N末端の2つのアミノ酸残基Gly−Serは、制限酵素(トロンビンプロテアーゼ)の認識部位の一部に由来する。前記EGF−CBD融合タンパク質をコードする塩基配列を配列番号15に示す。
[機能性コラーゲンシートの作製]
本例では、図9に示す製造装置1および図10に示す形成用容器2を用いて、高密度コラーゲン基材を作製した。図10において、形成用容器2の外筒21は、内径22mm、高さ17mmの円筒であり、外筒21内周面に形成されたリブ27上に、シリコーンゴムリング22、ステンレスメッシュ23、PLAシート24、シリコーンゴムリング25、金属スペーサー28が、下からこの順に積層されている。本例の形成用容器において、循環する混合液の液流方向は、図11に示す矢印の方向である。
5mg/mL I型アテロコラーゲン(豚皮由来)含有5mmol/L酢酸溶液(株式会社ニッピ製)を、0.5mg/mLとなるようにDMEMに添加して、50mLのコラーゲン含有液を調製した。前記コラーゲン含有液を、製造装置1を用いて、37℃で12時間循環させ、PLAシート24上に高密度コラーゲン基材を形成した。
他方、前記EGF−CBD融合タンパク質を、2.4μg/mLになるように生理食塩水に添加して、浸漬液を調製した。プラスチックカニューレ型穿刺針20G(プロテクティブI.V.カテーテル)を用いて、ラット(n=3)の両耳の鼓膜に孔を開け、穿孔を形成した。
前記鼓膜部位への処置直前に、前記PLAシートと前記高密度コラーゲン基材との積層体を、前記浸漬液に25℃で30分間浸漬した後、生理食塩水に25℃で5分間浸漬し、前記機能性コラーゲンシート(再生材)を作製した。
[評価方法]
(1)鼓膜の再生
各ラットの一方の鼓膜穿孔部に、外耳側から前記再生材を7日間貼付し、外耳道側から前記鼓膜穿孔部を写真撮影した。また、コントロールとして、他方の鼓膜穿孔部は、前記機能性コラーゲンシートを貼付せず、自然経過を写真撮影した。
(2)コラーゲン密度の測定
また、本例で形成した湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材中のコラーゲン密度を、コラーゲン測定キット(商品名Sircol Collagen Assay Kit、バイオカラー社製)を用いて、以下のようにして測定した。まず、平均厚みが0.15cmである前記高密度コラーゲン基材を、直径1.7cmの大きさに切り出し、0.5mol/L 酢酸1mLに溶解した。なお、切り出した前記高密度コラーゲン基材の切片は、全体の体積0.340mL(0.34mg)と算出した。この溶解液を、コラーゲン試料とした。遠心管に、前記コラーゲン試料100μLと、Sircol Dye Reagent1mLとを入れ、30分間振とうした。振とうした前記遠心管を、12,000rpmで10分間遠心処理し、上清を除去し、染色されたコラーゲンペレットを得た。このコラーゲンペレットを、Alkali reagent溶液1mL中で、10分間振とうし、色素を抽出した。この抽出液の波長540nmにおける吸光度を測定した。また、検量線作成のため、所定濃度(5、10、25および50μg/100μL)のコラーゲンを含む標準試料を調製した。前記標準試料は、前記コラーゲン試料と同様にして、吸光度を測定し、コラーゲン濃度と吸光度との検量線を作成し、前記コラーゲン試料のコラーゲン濃度を算出した。そして、この結果から、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材1g(湿重量)あたりのコラーゲン量を算出した。
[評価結果]
(1)鼓膜の再生
穿孔4日後、コントロールは、組織再生による前記穿孔の縮小傾向が認められなかったが、前記機能性コラーゲンシートは、組織再生により前記穿孔が顕著に縮小した。
図1に、穿孔7日後の鼓膜部位の写真を示す。図1において、(A)は、前記コントロールの結果であり、(B)は、前記EGF−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性上皮成長因子)を含む機能性コラーゲンシート(再生材)を貼付した結果である。図1(A)に示すように、前記コントロールにおける穿孔は、一部が組織再生したが、未だ組織再生していない部分(矢印部)が認められ、完全には閉鎖していなかった。これに対し、図1(B)に示すように、前記機能性コラーゲンシートを貼付した穿孔は、組織再生により、完全に閉鎖していた(矢印部)。そして、組織再生した部分には血管新生が認められ、前記機能性コラーゲンシートが生着していることが確認された。なお、評価に用いた3匹全てが同様の結果であった。
また、前記積層体からPLAシート24を除去した以外は、前述と同様にして作製した機能性コラーゲンシートも、PLAシート24を含んだ前記機能性コラーゲンシートと同様の結果が得られた。
さらに、前記浸漬液に浸漬していない前記積層体について、PLAシート24を除去し、前記高密度コラーゲン基材を得た。そして、前記高密度コラーゲン基材を、前記EGF−CBD融合タンパク質が1μg/mLになるように生理食塩水に添加した浸漬液に、25℃で30分浸漬させた後、生理食塩水に25℃で5分間浸漬し、機能性コラーゲンシートを作製した。この機能性コラーゲンシートを使用した以外は、前述と同様にして、評価を行った。その結果、PLAシート24を含む前記機能性コラーゲンシートと同様の結果が得られた。
(2)コラーゲン密度
本例で用いた、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度は、34mg/g、つまり、前記高密度コラーゲン基材1g(湿重量)あたりのコラーゲン量は34mgであった。なお、前記コラーゲン密度を、348mg/mL±119mg(229〜467mg/g)に変更した場合も、同様に優れた再生能が確認された。
(実施例2)
本例では、コラーゲン結合性生理活性物質としてヒトbFGF−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性塩基性線維芽細胞増殖因子)を使用し、これを含む機能性コラーゲンシート(再生材)を、外耳側から鼓膜穿孔部に貼付し、鼓膜再生を評価した。
本例では、以下に示す条件以外は、前記実施例1と同様にして、前記機能性コラーゲンシートの作製を行い、鼓膜穿孔部への貼付を行った。
前記浸漬液として、前記ラットEGF−CBD融合タンパク質に代えて、以下に示すヒトbFGF−CBD融合タンパク質を1μg/mLとなるように添加した浸漬液を使用した以外は、実施例1と同様にして、機能性コラーゲンシートを作製し、鼓膜穿孔部に貼付して、写真撮影した。そして、前記写真を、ImageJ(米国国立衛生研究所開発)を用いて解析し、前記写真における残存穿孔の大きさを算出した。
[ヒトbFGF−CBD融合タンパク質の調製]
前記bFGF−CBD融合タンパク質は、前記DNA断片(EGF遺伝子)に代えて、配列番号6に示すHomo sapiens fibroblast growth factor 2(basic)遺伝子(NCBI Reference Sequenceアクセッション番号NM_002006.4)の468番目〜932番目の塩基配列からなるDNA断片(bFGF遺伝子)を挿入した発現プラスミドを使用した以外は、実施例1と同様にして調製した。前記発現プラスミドは、GST−bFGF−CBD融合タンパク質(配列番号16)をコードするリーディングフレーム(配列番号17)を有している。前記bFGF−CBD融合タンパク質のアミノ酸配列を配列番号18に示し、前記bFGF−CBD融合タンパク質をコードする塩基配列を配列番号19に示す。配列番号18に示すアミノ酸配列において、N末端の2つのアミノ酸残基Gly−Serは、制限酵素(トロンビンプロテアーゼ)の認識部位の一部に由来する。
[評価結果]
本例において、自然経過をたどった前記コントロールに比べて、前記機能性コラーゲンシートを使用した場合は、組織再生により穿孔が顕著に縮小した。図2に、穿孔7日後における残存穿孔サイズのグラフを示す。図2において、縦軸は、残存穿孔の面積(mm)であり、各バーは、左から順に、前記コントロール、前記機能性コラーゲンシートの結果である。図2に示すように、前記機能性コラーゲンシートを使用した場合、前記面積は、0.1mm未満であった。これに対して、前記コントロールでは、前記面積は、0.3mmを超えていた。このように、本発明の再生材により、鼓膜の再生が促進された。
また、前記実施例1と同様にして、コラーゲン密度を測定したところ、本例で用いた、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度は、34mg/g、つまり、前記高密度コラーゲン基材1g(湿重量)あたりのコラーゲン量は34mgであった。なお、前記コラーゲン密度を、348mg/mL±119mg(229〜467mg/g)に変更した場合も、同様に優れた再生能が確認された。
(実施例3)
本例では、候補物質を添加した機能性コラーゲンシート(PLAシートなし)を、中耳側から鼓膜穿孔部に貼付し、前記候補物質による組織再生を評価した。前記候補物質は、前記ラットEGF−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性上皮細胞成長因子)、前記ヒトbFGF−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性塩基性線維芽細胞増殖因子)、マウスVEGF−A−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性血管上皮細胞増殖因子)またはマウスCXCL12−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性ストローマ細胞由来因子)を用いた。
本例では、以下に示す条件以外は、前記実施例1と同様にして、前記機能性コラーゲンシートを作製した。
前記浸漬液として、前記EGF−CBD融合タンパク質に代えて、前記候補物質を1.6μg/mLとなるように添加した浸漬液を使用し、前記積層体からPLAシートを除去した以外は、実施例1と同様にして、機能性コラーゲンシートを作製した。前記候補物質のうち、前記EGF−CBD融合タンパク質は、実施例1と同様にして調製し、前記bFGF−CBD融合タンパク質は、実施例2と同様にして調製した。また、前記VEGF−A−CBD融合タンパク質および前記CXCL12−CBD融合タンパク質は、以下のように調製した。
[マウスVEGF−A−CBD融合タンパク質の調製]
前記VEGF−A−CBD融合タンパク質として、以下のようにして、VEGF−A−CBD−6×His融合タンパク質を調製した。
配列番号1に示すClostridium histolyticum ColH遺伝子(GenBankアクセッション番号D29981.1)の3010番目〜3366番目の塩基配列からなるDNA断片(CBD遺伝子)を、PCR法により増幅した。前記PCRは、前記DNA断片が、その5’末端側にEcoRI部位を有し、その3’末端側にXhoI部位を有するように、行った。他方、Mus musculus vascular endothelial growth factor A(GenBankアクセッション番号NM_009505.3)の395番目〜964番目の塩基配列からなるDNA断片を、PCR法により増幅した。前記PCRは、前記DNA断片が、その5’末端側にBamHI部位を有し、その3’末端側にEcoRI部位を有するように行った。増幅した前記両DNA断片を、pMCs−IGベクタープラスミド(コスモバイオ社製)のBamHI−XhoI部位に、常法により挿入した。そして、さらに、3’末端側にXhoI部位を有する6×His tagオリゴマーを、前記両DNA断片を挿入した前記プラスミドのXhoI部位に挿入し、発現プラスミドを調製した。前記発現プラスミドは、VEGF−A−CBD−6×His融合タンパク質(配列番号20)をコードするリーディングフレーム(配列番号21)を有している。つぎに、DEAEデキストラン法を用いて、前記発現プラスミドを、Cos−1細胞に導入し、形質転換体を作製した。
前記形質転換体を、5%ウシ胎児血清、50μmol/L 2−メルカプトエタノール、100U/mLペニシリンおよび100μg/mL硫酸ストレプトマイシンを含むRPMI1640培地(RPMI(+)培地)中で、4日間培養した。得られた培養液を、2000rpm、4℃で15分間遠心し、上清を回収した。他方、前記遠心により得られた沈殿物(形質転換体)に、新たに前記RPMI(+)培地を加えて、さらに4日間培養した。得られた培養液から、前述と同様にして、上清を回収した。この上清200mLに、Lysisバッファー20mLを添加して、上清希釈液を調製した。前記Lysisバッファーの組成は、500mmol/L NaHPO、1.5mol/L NaClおよび100mmol/L イミダゾールとした。
前記上清希釈液を、1mL His Trap HPカラムに添加し、4℃で4時間循環させた。循環後、洗浄バッファーを用いて、前記カラムを洗浄した。前記洗浄バッファーの組成は、50mmol/L NaHPO、300mmol/L NaClおよび20mmol/L イミダゾールとした。洗浄後、さらに、溶出液を用いて、前記カラムから、前記VEGF−A−CBD−6×His融合タンパク質(配列番号20)を溶出した。前記溶出液の組成は、50mmol/L NaHPO、300mmol/L NaClおよび250mmol/L イミダゾールとした。前記VEGF−A−CBD−6×His融合タンパク質をコードする塩基配列を配列番号21に示す。
[マウスCXCL12−CBD融合タンパク質の調製]
前記CXCL12−CBD融合タンパク質は、前記DNA断片(EGF遺伝子)に代えて、配列番号10に示すMus musculus chemokine(C−X−C motif)ligand 12遺伝子(GenBankアクセッション番号BC006640.1)の133番目〜336番目の塩基配列からなるDNA断片(CXCL12遺伝子)を挿入した発現プラスミドを使用した以外は、実施例1と同様にして調製した。前記発現プラスミドは、GST−CXCL12−CBD融合タンパク質(配列番号22)をコードするリーディングフレーム(配列番号23)を有している。前記CXCL12−CBD融合タンパク質のアミノ酸配列を配列番号24に示し、前記CXCL12−CBD融合タンパク質をコードする塩基配列を配列番号25に示す。配列番号24に示すアミノ酸配列において、N末端の2つのアミノ酸残基Gly−Serは、制限酵素(トロンビンプロテアーゼ)の認識部位の一部である。
[評価方法]
前記各候補物質を用いて調製した前記各機能性コラーゲンシート(再生材)を、各ラット(n=3)の一方の鼓膜穿孔部に、中耳側から7日間貼付した以外は、前記実施例1と同様にして、外耳道側および内耳側から前記鼓膜穿孔部を写真撮影した。また、コントロールとして、前記浸漬液に代えて生理食塩水に浸漬した前記高密度コラーゲン基材を、他方の鼓膜穿孔部に、中耳側から7日間貼付し、外耳道側および内耳側から写真撮影した。
[評価結果]
前記各種候補物質を添加した機能性コラーゲンシートを用いた場合は、前記コントロールに比べて、組織再生によって穿孔が縮小し、完全に閉鎖される期間が短かった。
図3および図4に、前記マウスVEGF−A−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシートを貼付した鼓膜穿孔部の写真を示す。図3は、前記鼓膜穿孔部の外耳道側からの写真であり、図4は、前記鼓膜穿孔部の中耳側からの写真である。図3(A)は、穿孔直後の鼓膜穿孔部の写真であり、矢印で指し示す部分は、形成した穿孔である。図3(B)は、前記機能性コラーゲンシート貼付直後の鼓膜部分の写真であり、矢印で指し示す白い部分は、貼付した前記機能性コラーゲンシートである。図3(C)は、穿孔4日後の前記コントロールの写真であり、矢印で指し示す部分は、貼付した前記機能性コラーゲンシートである。図3(D)は、穿孔4日後の前記機能性コラーゲンシートを貼付した鼓膜部分の写真であり、矢印で指し示す部分は、前記機能性コラーゲンシートの表層に新生した血管である。図3(E)は、穿孔7日後の前記コントロールの写真であり、矢印で指し示す部分は、貼付した前記機能性コラーゲンシートである。図3(F)は、穿孔7日後の前記機能性コラーゲンシートを貼付した鼓膜部分の写真であり、矢印で指し示す部分は、前記機能性コラーゲンシートに新生した血管である。また、図4(A)は、穿孔7日後の前記コントロールの写真であり、矢印で指し示す部分は、耳小骨周辺にわずかに新生した血管である。貼付した前記機能性コラーゲンシートの表層には新生した血管はほとんど認めなかった。図4(B)は、穿孔7日後の前記機能性コラーゲンシートを貼付した鼓膜部分の写真であり、矢印で指し示す部分は、前記機能性コラーゲンシートの表層部に新生した血管である。
前記高密度コラーゲン基材の貼付から7日後に、鼓膜部分の組織を採取し、ヘマトキシリン−エオジン染色して観察を行った。組織の採取および染色は、公知の方法に基づいて行った。組織像を、図15に示す。図15(A)は、前記VEGF−A−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシートにより補修した鼓膜断片の光学顕微鏡写真であり、図15(B)は、前記(A)の四角枠内の拡大写真である。図15(A)において、グレーで示された領域が、染色領域である(*:実際には赤桃色)。この染色された領域には、前記マウスVEGF−A−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシートを配置した領域が含まれることから、生体内において、前記機能性コラーゲンシートが組織化(器質化ともいう)したことが明らかとなった。また、図15(A)において、鼓膜の両面、すなわち外耳道側と中耳腔側の表面が、表皮で覆われていることが確認できた。具体的には、図15(A)の四角枠内の拡大写真である図15(B)において、外耳道側の表面に層(図においてEの領域)が形成されており、これが表皮であることは明らかである。また、図15(A)において、毛細血管および線維芽細胞も確認された。具体的には、図15(B)において、移植した前記VEGF−A−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシート(*)内に、毛細血管(矢印)があり、その内部に赤血球が充満していることが確認された。図15(B)によれば、矢印部分に、複数の血管が形成されていることが明らかである。なお、前記マウスVEGF−A−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシートを移植していないコントロールにおいては、新生血管はほとんど確認できなかった。これらの結果から、前記VEGF−A−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシートの移植領域において、血流を伴う新生血管が再生されたことがわかった。
図3、図4および図15に示すように、前記コントロールに比べて、前記マウスVEGF−A−CBD融合タンパク質を添加した機能性コラーゲンシートを使用した場合、前記鼓膜穿孔部の両面共に、組織再生による穿孔の縮小が顕著に認められた。また、血管新生は、前記コントロールでは、前記高密度コラーゲン基材の周辺部のみにわずかに認められただけであったが、前記機能性コラーゲンシートを使用した場合は、前記シート上に顕著に認められた。このように、前記機能性コラーゲンシートを用いた本発明の評価方法により、候補物質による組織再生を経時的に評価可能であった。
また、前記マウスCXCL12−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性ストローマ細胞由来因子)を添加した機能性コラーゲンシートを用いた場合も、VEGF−A−CBD融合タンパク質を添加した機能性コラーゲンシートを使用した場合と同様に、鼓膜再生の促進に加え血管新生が顕著であった。
また、前記候補物質は、いずれもコラーゲン結合性サイトカインであるため、前記候補物質を含む機能性コラーゲンシートは、本発明の再生材に該当する。したがって、本発明の再生材により、鼓膜の上皮層、粘膜層および血管が再生し、前記高密度コラーゲン基材のみを配置した場合に比べて、鼓膜の再生期間が短縮化されることが示された。
また、前記実施例1と同様にして、コラーゲン密度を測定したところ、本例で用いた、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度は、34mg/g、つまり、前記高密度コラーゲン基材1g(湿重量)あたりのコラーゲン量は34mgであった。なお、前記コラーゲン密度を、348mg/ml±119mg(229〜467mg/g)に変更した場合も、同様に優れた再生能が確認された。
(実施例4)
本例では、コラーゲン結合性生理活性物質として、前記EGF−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性上皮成長因子)または前記VEGF−A−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性血管上皮細胞増殖因子)を使用し、いずれかを含む機能性コラーゲンシート(再生材)を、鼓膜穿孔部に中耳側から貼付し、鼓膜再生を評価した。また、前記機能性コラーゲンシートについて、既存材料であるコラーゲンスポンジ(ペルナック(登録商標)、シリコーンシートなし、グンゼ社製)との鼓膜再生の比較を行った。
前記コラーゲン結合性生理活性物質として、前記EGF−CBD融合タンパク質または前記VEGF−A−CBD融合タンパク質を用い、ラット(n=5)の一方の前記鼓膜穿孔部に、前記再生材を7日間貼付した以外は、実施例1と同様にして、機能性コラーゲンシートの作製し、前記鼓膜穿孔部の再生の評価を行った。また、コントロールとして、他方の鼓膜穿孔部に、生理食塩水に浸漬した市販のコラーゲンスポンジ(ペルナック(登録商標)、シリコーンシートなし、グンゼ社製)を、中耳側から前記鼓膜穿孔部に7日間貼付し、外耳道側から写真撮影した。
[評価結果]
図5および図6に、貼付7日後に外耳道側から撮影した各鼓膜の写真を示す。図5において、(A)は、前記コラーゲンスポンジの結果であり、(B)は、前記EGF−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシートの結果である。また、図6において、(A)は、前記コラーゲンスポンジの結果であり、(B)は、前記VEGF−A−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシートの結果である。前記コラーゲンスポンジは、図5(A)の矢印で指し示すように、表面が平滑でなく、しわが形成され、図6(A)の矢印で指し示すように、偏って、穿孔周囲に収縮して付着した。これに対して、前記機能性コラーゲンシートの場合は、図5(B)および図6(B)に示すように、前記鼓膜穿孔部を覆った状態が維持され、組織再生による穿孔の縮小が確認された。特に、前記VEGF−A−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシートでは、図6(B)の矢印で指し示すように、血管新生が顕著に認められた。このように、本発明の再生材は、前記既存のコラーゲンスポンジより、鼓膜および血管の再生の促進効果が優れていることが示された。また、本例では、前記実施例3と同様に、前記機能性コラーゲンシートの使用により、鼓膜および血管の再生を外耳道側から観察可能であった。このように、前記機能性コラーゲンシートを用いた本発明の評価方法により、組織再生についての有効性を評価可能であった。
また、前記実施例1と同様にして、コラーゲン密度を測定したところ、本例で用いた、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度は、34mg/g、つまり、前記高密度コラーゲン基材1g(湿重量)あたりのコラーゲン量は34mgであった。なお、前記コラーゲン密度を、348mg/ml±119mg(229〜467mg/g)に変更した場合も、同様に優れた再生能が確認された。
(実施例5)
本例では、コラーゲン結合性生理活性物質として、前記EGF−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性上皮成長因子)を使用し、これを含む機能性コラーゲンシート(再生材)を、外耳の皮膚欠損部に貼付し、皮膚再生を評価した。
電気メスを用いて、ラット(n=2)の両耳の外耳の皮膚を欠損させた。一方の外耳の皮膚欠損部に、前記再生材を5日間貼付した以外は、実施例1と同様にして、機能性コラーゲンシートを作製し、前記皮膚欠損部における再生の評価を行った。また、コントロールとして、他方の皮膚欠損部は、前記機能性コラーゲンシートを貼付せず、前記皮膚欠損部の自然経過における皮膚再生を評価した。
図7に、欠損5日後の皮膚欠損部の写真を示す。図7において、(A)は、前記コントロールの結果であり、(B)は、前記機能性コラーゲンシートの結果である。図7(A)に示すように、前記コントロールでは、前記皮膚欠損部の表面に、大きな痂皮が形成され、中心部には潰瘍が増悪して、穿孔(矢印で指し示す部分)が形成された。これに対し、図7(B)の矢印で指し示すように、前記機能性コラーゲンシートを貼付した場合は、前記高密度コラーゲン基材が痂皮状に小さく収縮し、欠損が顕著に縮小し、再生が促進された。このように、本発明の再生材により、皮膚の再生が示された。
また、前記実施例1と同様にして、コラーゲン密度を測定したところ、本例で用いた、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度は、34mg/g、つまり、前記高密度コラーゲン基材1g(湿重量)あたりのコラーゲン量は34mgであった。なお、前記コラーゲン密度を、348mg/ml±119mg(229〜467mg/g)に変更した場合も、同様に優れた再生能が確認された。
(実施例6)
本例では、コラーゲン結合性生理活性物質として、前記VEGF−A−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性血管上皮細胞増殖因子)または前記CXCL12−CBD融合タンパク質(コラーゲン結合性ストローマ細胞由来因子)を使用し、いずれかを含む機能性コラーゲンシート(再生材)を、粘膜で囲まれた鼓室(中耳)に貼付し、粘膜および血管の新生を評価した。
前記コラーゲン結合性生理活性物質として、前記VEGF−A−CBD融合タンパク質または前記CXCL12−CBD融合タンパク質を用い、ラットの前記鼓室に前記機能性コラーゲンシートを7日間貼付した以外は、実施例1と同様にして、機能性コラーゲンシートを作製し、前記鼓室に貼付して、写真撮影した。
図8に、7日後の前記鼓室の写真を示す。図8(A)は、VEGF−A−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシートの結果であり、図8(B)は、CXCL12−CBD融合タンパク質を含む機能性コラーゲンシートの結果である。両図に示すように、各機能性コラーゲンシートの表面に、粘膜および血管の新生が認められた(楕円で囲った部分)。このように、本発明の再生材により、粘膜および血管の新生が示された。
また、前記実施例1と同様にして、コラーゲン密度を測定したところ、本例で用いた、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度は、34mg/g、つまり、前記高密度コラーゲン基材1g(湿重量)あたりのコラーゲン量は34mgであった。なお、前記コラーゲン密度を、348mg/ml±119mg(229〜467mg/g)に変更した場合も、同様に優れた再生能が確認された。
(実施例7)
前記コラーゲン含有液の体積を100mLとし、循環時間を24時間とし、図10において前記PLAシート24とステンレスメッシュ23との間にさらに前記液流制御部材として、PETシートを配置した以外は、前記実施例1と同様にして、前記PLAシート上に、高密度コラーゲン基材を形成した。そして、前記コラーゲン結合性生理活性物質として、前記ラットEGF−CBD融合タンパク質およびヒトEGF−CBD融合タンパク質を使用し、前記積層体からPLAシートを除去したこと以外は、前記実施例1と同様に、前記機能性コラーゲンシートを作製し、ラットの鼓膜穿孔部に貼付した後、長期間にわたる観察を行なって、鼓膜の再生と腫瘍形成(腫瘍類似病変を含む)の有無を確認した。
ラットEGF−CBD融合タンパク質は、前記実施例1と同様に調製した。前記ヒトEGF−CBD融合タンパク質は、前記実施例1において、前記ラットEGF遺伝子のDNA断片に代えて、ヒトEGF遺伝子のDNA断片を使用した以外は、前記ラットEGF−CBD融合タンパク質と同様に調製した。前記DNA断片は、前記ヒトEGF遺伝子(NCBI Reference Sequenceアクセッション番号X04571.1)の3347番目〜3502番目の塩基配列であり、配列番号26で表わされる。前記機能性コラーゲンシートを浸漬する浸漬液における前記ラットEGF−CBD融合タンパク質または前記ヒトEGF−CBD融合タンパク質の濃度は、1μg/mLとした。
配列番号26
aatagtgactctgaatgtcccctgtcccacgatgggtactgcctccatgatggtgtgtgcatgtatattgaagcattggacaagtatgcatgcaactgtgttgttggctacatcggggagcgatgtcagtaccgagacctgaagtggtgggaactg
前記機能性コラーゲンシートをラットの鼓膜穿孔部に貼付して、3ヶ月後および8ヶ月後に、手術用顕微鏡で鼓膜を観察した。図12に、前記コラーゲン結合性生理活性物質として前記ラットEGF−CBD融合タンパク質を使用した場合における、8ヶ月後の鼓膜部位の写真を示す。図12に示すように、鼓膜(矢印部分)が完全に再生され、上皮化し、穿孔は、治癒した状態が継続していることが確認できた(n=3)。また、腫瘍形成等の副作用が生じていないことが確認できた。また、前記ラットEGF−CBD融合タンパク質に代えて、前記ヒトEGF−CBD融合タンパク質を使用した場合も、3ヶ月後で同様の結果が得られた。
なお、前記実施例1と同様にして、本例で用いた、機能性コラーゲンシートにおける前記高密度コラーゲン基材について、コラーゲン密度を測定した。その結果、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材1g(湿重量)あたりのコラーゲン重量は、348mgであった。また、同様の方法により、前記コラーゲン重量が348±119mg(229〜467mg)の範囲に該当する高密度コラーゲン基材を使用して、同様に実験を行った結果、同様の結果が得られた。
(実施例8)
前記コラーゲン含有液の体積を100mLとし、循環時間を24時間とし、前記コラーゲン結合性生理活性物質として、EGF−CBD融合タンパク質を使用し、前記積層体からPLAシート24を除去した以外は、前記実施例1と同様に前記機能性コラーゲンシートを作製し、ラットにおける鼓膜の再生を確認した。また、コントロールとして、対側の鼓膜穿孔部は、前記機能性コラーゲンシートを貼付しなかった。
前記機能性コラーゲンシートをラットの鼓膜穿孔部に貼付して、7日目に、手術用顕微鏡で鼓膜を観察した。図13および図14に、7日目の鼓膜部位の写真を示す。図13は、機能性コラーゲンシートを貼付した結果であり、粘膜側からの写真である。図14は、コントロールの結果であり、粘膜側からの写真である。図13において、矢印で示す部分に、鼓膜および鼓膜上皮の再生が確認された。これに対して、図14に示すコントロールでは、矢印で示す部分に穿孔が残存しており、治癒していないことがわかった。
なお、前記実施例1と同様にして、本例で用いた、機能性コラーゲンシートにおける前記高密度コラーゲン基材について、コラーゲン密度を測定した。その結果、湿潤状態の前記高密度コラーゲン基材1g(湿重量)あたりのコラーゲン重量は、348mgであった。また、同様の方法により、前記コラーゲン重量が348±119mg(229〜467mg)の範囲に該当する高密度コラーゲン基材を使用して、同様に実験を行った結果、同様の結果が得られた。
前記実施例1〜8から、本発明の再生材による、上皮、粘膜、鼓膜および血管の再生促進または新生が示された。また、本発明の評価方法により、上皮、粘膜、鼓膜および血管の再生または新生を、経時的に評価できることが示された。
以上のように、本発明は、例えば、組織の再生およびその評価に利用できる。このため、本発明は、特に、医療分野において有用であり、その他の分野にも適用可能である。
1 製造装置
2 形成用容器
10 リアクター
21 外筒
22、25 シリコーンリング
23 メッシュ部材
24 生分解性シート
26 積層体
27 リブ
28 スペーサー
29 スリット
30 液体用容器
40 循環ポンプ
50 フローセル
60 インキュベーター
70 溶存酸素センサー
80 表示装置
90 スターラー
100a、100b、100c、100d 管路

Claims (21)

  1. 上皮層含有組織の再生材であって、
    高密度コラーゲン基材と、コラーゲン結合性生理活性物質とを含み、
    前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mL以上であることを特徴とする上皮層含有組織の再生材。
  2. 前記高密度コラーゲン基材に前記コラーゲン結合性生理活性物質を添加して使用する、請求項1記載の上皮層含有組織の再生材。
  3. 前記高密度コラーゲン基材を、前記コラーゲン結合性生理活性物質を含有する液に浸漬して、前記高密度コラーゲン基材に前記コラーゲン結合性生理活性物質を添加する、請求項2記載の上皮層含有組織の再生材。
  4. さらに、支持体を含み、
    前記高密度コラーゲン基材が、前記支持体上に積層されている、請求項1記載の上皮層含有組織の再生材。
  5. 前記コラーゲン結合性生理活性物質が、コラーゲン結合性サイトカインである、請求項1記載の上皮層含有組織の再生材。
  6. 前記コラーゲン結合性サイトカインが、コラーゲン結合性成長因子およびコラーゲン結合性ケモカインの少なくとも一方である、請求項5記載の上皮層含有組織の再生材。
  7. 前記コラーゲン結合性成長因子が、コラーゲン結合性上皮成長因子、コラーゲン結合性線維芽細胞増殖因子およびコラーゲン結合性血管内皮細胞増殖因子からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項6記載の上皮層含有組織の再生材。
  8. 前記コラーゲン結合性ケモカインが、コラーゲン結合性ストローマ細胞由来因子である、請求項6記載の上皮層含有組織の再生材。
  9. さらに、把持部を含み、
    前記高密度コラーゲン基材に、前記把持部が配置されている、請求項1記載の上皮層含有組織の再生材。
  10. 前記高密度コラーゲン基材が、下記(A)工程を含む製造方法により製造された、請求項1記載の上皮層含有組織の再生材。
    (A)支持体を配置した循環流路において、コラーゲン含有液を循環して、前記支持体上に前記高密度コラーゲン基材を形成する工程
  11. 前記コラーゲン含有液が、前記コラーゲン結合性生理活性物質を含む、請求項10記載の上皮層含有組織の再生材。
  12. 前記コラーゲン含有液が、細胞を含まない、請求項10記載の上皮層含有組織の再生材。
  13. 前記上皮層含有組織が、粘膜、上皮および鼓膜の少なくとも一つである、請求項1記載の上皮層含有組織の再生材。
  14. 前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、100mg/mL以上である、請求項1記載の上皮層含有組織の再生材。
  15. 候補物質による組織の再生を評価する方法であって、
    下記(X)および(Y)工程を含み、
    下記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mL以上であることを特徴とする評価方法。
    (X)高密度コラーゲン基材を、前記候補物質と共に、実験動物の鼓膜欠損部に配置する工程
    (Y)前記(X)工程後の前記鼓膜欠損部における組織の再生を評価する工程
  16. 前記(X)工程において、
    前記高密度コラーゲン基材を、前記鼓膜欠損部の中耳側に配置する、請求項15記載の評価方法。
  17. 前記高密度コラーゲン基材が、下記(A)工程を含む製造方法により製造された、請求項15記載の評価方法。
    (A)支持体を配置した循環流路において、コラーゲン含有液を循環して、前記支持体上に前記高密度コラーゲン基材を形成する工程
  18. 候補物質による組織再生を評価する評価用キットであって、
    高密度コラーゲン基材を含み、
    前記高密度コラーゲン基材におけるコラーゲン密度が、20mg/mLであり、
    請求項15記載の評価方法に使用することを特徴とする、評価用キット。
  19. 前記高密度コラーゲン基材が、下記(A)工程を含む製造方法により製造された、請求項18記載の評価用キット。
    (A)支持体を配置した循環流路において、コラーゲン含有液を循環して、前記支持体上に前記高密度コラーゲン基材を形成する工程
  20. 上皮層含有組織を再生する再生方法であって、
    請求項1記載の再生材を、生体に配置することを特徴とする再生方法。
  21. 前記上皮層含有組織が、粘膜、上皮および鼓膜の少なくとも一つである、請求項20記載の再生方法。
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