JP2007075136A - 鼓膜穿孔の組織培養再生閉塞用膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】コラーゲン膜による鼓膜穿孔閉鎖手術は接着法に穿孔閉鎖率で劣り,複数回の処置が必要である。また、慢性中耳炎などの慢性感染例での閉鎖率が低い。
【解決手段】製品化されているアテロコラーゲン膜に、患者自己血から2回遠心分離法で採取した濃厚血小板血漿(PRP)とアクチベーター(自己トロンビンと塩化カルシウムから作成)を混合して0.1〜0.3mL含浸させてなる穿孔鼓膜の組織培養再生閉塞用膜。
【解決手段】製品化されているアテロコラーゲン膜に、患者自己血から2回遠心分離法で採取した濃厚血小板血漿(PRP)とアクチベーター(自己トロンビンと塩化カルシウムから作成)を混合して0.1〜0.3mL含浸させてなる穿孔鼓膜の組織培養再生閉塞用膜。
Description
本発明は、コラーゲン膜に濃厚血小板血漿(platelet-rich plasma, PRP)を含浸させた鼓膜穿孔の組織培養再生閉塞用膜に関するものである。さらに詳しくは、外傷や鼓膜切開による鼓膜穿孔や慢性中耳炎の手術治療に対して用いる鼓膜穿孔の組織培養再生閉塞用膜に関するものである。
鼓膜は聴覚器官の一部分であり、外耳道を通ってきた音受け止め、鼓膜が振動する事により音を内耳へ伝える。また、鼓膜は鼓室と外耳道を分けている薄い緊張性の膜であり、外耳と中耳の境界を構成している。鼓膜の組織は3層より成り、外側は重層扁平上皮で外耳道の皮膚の続きであり、中層は線維層、内側は単層扁平上皮で中耳粘膜の一部である。
鼓膜穿孔とは、鼓膜に裂傷や穿孔等の欠損を生ずる症状である。その原因としては、耳かき・マッチの軸・鉛筆や外耳道異物等による直接的(direct)なものと、平手打ち・爆発による外耳道内気圧の瞬間的激変や耳管通気損傷・破裂による間接的(indirect)なものに分けられる。また、その他原因として、急性中耳炎や滲出性中耳炎の処置として行う鼓膜切開や鼓膜ドレーンチューブ留置後の鼓膜穿孔の残存や慢性中耳炎によるものがある。上記のごとく鼓膜の損傷を一括して、本発明では鼓膜欠損と呼称する。
欠損した鼓膜は自然に再生することも少なくなく、再生を促進するために辺縁を三塩化酢酸やプロタルゴール液等で腐食させるが、既に縮小しなくなっていると判定される場合は、鼓膜形成術で閉鎖するか、または閉鎖材を用いて欠損部の閉鎖を行う。鼓膜形成術は鼓室内病変がない場合に行うものである。これは、鼓膜欠損部を移植組織片(皮膚、静脈片、側頭筋膜等)で塞ぐ方法である。しかし、手術に対して消極的な患者も少なからず存在し、安易に行えるものではない。被覆材により閉鎖する方法では、被覆材が異物の侵入を防止し、また、鼓膜がその表面に沿って再生する足場を提供することができる。このような鼓膜穿孔の閉鎖には、従来より種々の材料が使用されてきた。19世紀より綿、ガーゼ片、ゴム膜やゴム球、紙片、コロジオン膜、卵膜等が使用されており、今世紀に入ってはセロファン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン膜、コラーゲン膜、フィブリン膜等の天然由来物の加工品や人工材料が使用され始めた。生体由来材料としては、自家移植片として耳後部・外耳道の皮膚や口唇粘膜、骨膜、側頭筋膜、静脈弁、脂肪組織、鼻中隔軟骨膜と軟骨、鼓膜、脳硬膜等の自家組織等がある。
このように、鼓膜穿孔の閉塞膜として各種の材料が使用されてきた。特に今世紀後半に使用され始めたコラーゲン膜は、その生体親和性及び創傷治癒促進効果を利用して、元々外傷に対する被覆材として使用されてきたものであり、その創傷治癒効果を応用して鼓膜の再生に使用されたものである。
特開平10−337302
自家組織(皮下結合織や筋膜等)をフィブリン糊で接着する方法も一般的に行われているが、組織の採取に伴う侵襲や生体由来製剤であるフィブリン糊の安全性やコストの面で問題も多い。自家組織は移植片としての生体親和性等の性能は優れているが、採取と使用までの保存に慎重を期する必要がある。本発明は、優れた鼓膜再生機能を有し、かつ簡便な操作で使用することができる鼓膜穿孔の組織培養再生閉塞用の膜の提供を目的とするものである。
コラーゲン膜による鼓膜穿孔閉鎖手術は,上述の自家組織による接着法に比べ,手技が簡単で侵襲が少なく,コストが低く,安全性も高い。しかし、コラーゲン膜による鼓膜穿孔閉鎖手術は接着法に穿孔閉鎖率で劣り,特に慢性中耳炎などの感染例での閉鎖率は低い。そのため、実際の臨床現場での使用において改良の余地があった。
コラーゲン膜による鼓膜形成手術は生体内における一種の組織培養であり,それには最適な培養環境の維持が不可欠であり,優れた成長因子の使用が成功のカギとなる。従来,成長因子として生食水やヘパリン水,basic fibroblast growth factor等が用いられてきた。
本発明の膜においては、組織再生の足場であるアテロコラーゲンに成長因子として、様々な組織成長因子を豊富に含む自己血由来のPRPを含浸させるものである。PRPに豊富に含まれる生理的成長因子は互いに増幅・制御しあい,鼓膜組織の再生や創傷治癒促進に作用する。さらに,前記PRPは鼓膜穿孔患者の自己血から生成するため無毒かつ免疫非活性で高い安全性と組織親和性が確保できる。実際に,PRPはその優れた組織再生能力により歯科領域や形成外科領域で様々な目的に頻用されており,特に歯科インプラント処置においてその使用は不可欠なものとなりつつある。
今回,従来のコラーゲン膜による鼓膜形成処置にPRPを添加することにより穿孔閉鎖率を改善させ,慢性中耳炎等の難治例に対しても適応拡大が可能となった。
コラーゲン膜による鼓膜穿孔閉鎖手術は,上述の自家組織による接着法に比べ,手技が簡単で侵襲が少なく,コストが低く,安全性も高い。しかし、コラーゲン膜による鼓膜穿孔閉鎖手術は接着法に穿孔閉鎖率で劣り,特に慢性中耳炎などの感染例での閉鎖率は低い。そのため、実際の臨床現場での使用において改良の余地があった。
コラーゲン膜による鼓膜形成手術は生体内における一種の組織培養であり,それには最適な培養環境の維持が不可欠であり,優れた成長因子の使用が成功のカギとなる。従来,成長因子として生食水やヘパリン水,basic fibroblast growth factor等が用いられてきた。
本発明の膜においては、組織再生の足場であるアテロコラーゲンに成長因子として、様々な組織成長因子を豊富に含む自己血由来のPRPを含浸させるものである。PRPに豊富に含まれる生理的成長因子は互いに増幅・制御しあい,鼓膜組織の再生や創傷治癒促進に作用する。さらに,前記PRPは鼓膜穿孔患者の自己血から生成するため無毒かつ免疫非活性で高い安全性と組織親和性が確保できる。実際に,PRPはその優れた組織再生能力により歯科領域や形成外科領域で様々な目的に頻用されており,特に歯科インプラント処置においてその使用は不可欠なものとなりつつある。
今回,従来のコラーゲン膜による鼓膜形成処置にPRPを添加することにより穿孔閉鎖率を改善させ,慢性中耳炎等の難治例に対しても適応拡大が可能となった。
本発明は上記課題を解決するものでありその特徴とするところは、厚さ1〜2mmの鼓膜穿孔閉鎖用のアテロコラーゲン膜に、患者自己血から2回遠心分離法で採取した濃厚血小板血漿(PRP)に自己トロンビンと塩化カルシウムからなるアクチベーターを混合して0.1〜0.3mL含浸させてなることを特徴とする穿孔鼓膜の組織培養再生閉塞用膜にある。
このため本発明の穿孔鼓膜の組織培養再生閉塞用膜を用いた鼓膜穿孔閉鎖術は、高い臨床効果(穿孔閉鎖率)と安全性をあわせ持ち,さらに手技が簡単でコストも安い。特に,今まで様々な要因から手術を躊躇していた患者(特に小児例)にとって極めて有効な治療手段となりうる。
近年,耳鼻咽喉科領域では日帰り(外来)手術の適応拡大が盛んに試みられ,中でも濃厚血小板血漿(PRP)を用いた鼓膜穿孔閉鎖術はその高い安全性や成功率からその良い適応と考えられる。手技としては患者が来院後、採血や簡単な鼓膜麻酔を行い、採血から遠心分離により自己トロンビンを分離し、さらに遠心分離することによりPRPを分離・精製する。次に顕微鏡下に鼓膜穿孔縁の新鮮化を行い、穿孔の大きさに合わせたアテロコラーゲン膜を作成する。先に用意したPRPに、そのPRP100%に対し自己トロンビン7.5%と10%の塩化カルシウム2.5%を混合のアクチベーターを加えた含浸液を、穿孔の大きさに合わせたアテロコラーゲン膜に0.1〜0.3mL染み込ませ、それをすぐに鼓膜穿孔部に留置する。
そこで本発明の穿孔鼓膜の組織培養再生閉塞用膜において、コラーゲン膜とそれに含浸させる濃厚血小板血漿の最良の形態例を次に紹介する。
コラーゲン膜は、市販のウシまたはブタ由来のアテロコラーゲン膜を用いる。コラーゲン膜には強度の維持、外部刺激からの保護及び保湿効果のためシリコーン膜付きのものを用いる。コラーゲン膜の厚さは1〜2mmの範囲のものが良く、薄すぎると十分な量のPRP添加ができず固定も悪く、厚すぎると手術操作が煩雑でかえって固定も悪くなる。
また、前記コラーゲン膜に含浸させるPRPの分離・精製は、一般に臨床検査時などに行われる1回遠心分離法では十分な血小板の濃縮が難しいため、2回遠心分離法が好ましい。また、近年開発された自動血球分離システムを用いるのもよい。
そこで本発明の穿孔鼓膜の組織培養再生閉塞用膜において、コラーゲン膜とそれに含浸させる濃厚血小板血漿の最良の形態例を次に紹介する。
コラーゲン膜は、市販のウシまたはブタ由来のアテロコラーゲン膜を用いる。コラーゲン膜には強度の維持、外部刺激からの保護及び保湿効果のためシリコーン膜付きのものを用いる。コラーゲン膜の厚さは1〜2mmの範囲のものが良く、薄すぎると十分な量のPRP添加ができず固定も悪く、厚すぎると手術操作が煩雑でかえって固定も悪くなる。
また、前記コラーゲン膜に含浸させるPRPの分離・精製は、一般に臨床検査時などに行われる1回遠心分離法では十分な血小板の濃縮が難しいため、2回遠心分離法が好ましい。また、近年開発された自動血球分離システムを用いるのもよい。
次の表1に本発明の実施例を紹介する
表1に記載の実施例における組織培養再生閉塞用膜において、穿孔の大きさに合わせたアテロコラーゲン膜への含浸液は、前記PRPと、そのPRP100%に対し自己トロンビン7.5%と10%の塩化カルシウム2.5%を混合したアクチベーターを加えた液であり、この含浸液をアテロコラーゲン膜に0.1〜0.3mL染み込ませたものである。
表1に記載の実施例における組織培養再生閉塞用膜において、穿孔の大きさに合わせたアテロコラーゲン膜への含浸液は、前記PRPと、そのPRP100%に対し自己トロンビン7.5%と10%の塩化カルシウム2.5%を混合したアクチベーターを加えた液であり、この含浸液をアテロコラーゲン膜に0.1〜0.3mL染み込ませたものである。
本発明の鼓膜穿孔の組織培養再生閉塞用膜は、外傷性鼓膜穿孔,慢性中耳炎,鼓膜切開及び鼓膜チューブ留置後の鼓膜穿孔などの鼓膜穿孔閉鎖術に最適であり、前記の優れた効果を有し、耳鼻医学産業に寄与すること多大なものがある。
Claims (1)
- 厚さ1〜2mmの鼓膜穿孔閉鎖用のアテロコラーゲン膜に、患者自己血から2回遠心分離法で採取した濃厚血小板血漿(PRP)に自己トロンビンと塩化カルシウムからなるアクチベーターを混合して0.1〜0.3mL含浸させてなることを特徴とする穿孔鼓膜の組織培養再生閉塞用膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005262707A JP2007075136A (ja) | 2005-09-09 | 2005-09-09 | 鼓膜穿孔の組織培養再生閉塞用膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005262707A JP2007075136A (ja) | 2005-09-09 | 2005-09-09 | 鼓膜穿孔の組織培養再生閉塞用膜 |
Publications (1)
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JP2007075136A true JP2007075136A (ja) | 2007-03-29 |
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JP2005262707A Pending JP2007075136A (ja) | 2005-09-09 | 2005-09-09 | 鼓膜穿孔の組織培養再生閉塞用膜 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2007075136A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011142425A1 (ja) * | 2010-05-12 | 2011-11-17 | 国立大学法人香川大学 | 上皮層含有組織の再生材および再生評価方法 |
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2005
- 2005-09-09 JP JP2005262707A patent/JP2007075136A/ja active Pending
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WO2011142425A1 (ja) * | 2010-05-12 | 2011-11-17 | 国立大学法人香川大学 | 上皮層含有組織の再生材および再生評価方法 |
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