JP2008190914A - 骨形成関連因子候補化合物のスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 遺伝子機能を抑えた動物でなくとも、in vivoでの細胞活性化因子の骨と血管形成能をスクリーリングする方法を提供する。
【解決手段】骨形成関連因子候補化合物をCaイオンとリン酸イオンより構成されかつ直線状に多数の貫通孔を持つ硬構造物とコラーゲンあるいはゼラチンよりなる人工細胞外マトリックスに添加し、得られた人工細胞外マトリックスを動物に埋植して骨と血管形成能をもって評価する骨形成関連因子候補化合物のスクリーニング方法。
【選択図】図1
【解決手段】骨形成関連因子候補化合物をCaイオンとリン酸イオンより構成されかつ直線状に多数の貫通孔を持つ硬構造物とコラーゲンあるいはゼラチンよりなる人工細胞外マトリックスに添加し、得られた人工細胞外マトリックスを動物に埋植して骨と血管形成能をもって評価する骨形成関連因子候補化合物のスクリーニング方法。
【選択図】図1
Description
本発明は血管と骨を直線的持続的に誘導形成できる幾何構造を備えた生体内分解性の人工細胞外マトリックスを利用した骨形成に関与する細胞活性化因子等候補化合物のスクリーニング方法に関する。
骨形成関連因子の探索は治療上あるいは今後ますます進むと予想される高齢化社会においても、重要なテーマとなる。
治療上有用と予想される候補化合物の探索については、現在遺伝子レベルでの探索が中心となっており、そこでファーストスクリーニング候補化合物が見出される。次にこれら候補化合物そのものを実際にスクリーニングすることとなるが、in vivoの試験においては骨形成と血管形成を併せて評価することが重要となる。
現在、骨形成と血管形成との因果関係の具体的な解明は、歯科、整形外科の中心的な研究課題のひとつになっている。しかし血管形成の過程を観察できるような装置については考案されているが、骨の形成と血管形成を同時観察できる実験系についての報告は見られない。
生体内で一旦形成された骨組織は、ハバース・システムと呼ばれる円錐形トンネルの形成(吸収)と、吸収の後に新生骨を同円心的に追加するというプロセスによって、常時、改造がなされている。今日臨床的に問題にされている骨粗鬆症は吸収と新生のバランスが、負に傾いた結果とされている。しかしながら、現在、そのプロセスの詳細、とくに血管との関係については不明である。
このように骨の再生は血管形成と関連して調べることが必要となり、当然血管の進入が無い場合には早期に骨が再生することは困難になる。一方過剰に血管進入が起きた場合には、骨の再生より過剰な生体反応と理解される。よって適度な血管形成を伴った骨形成の条件を検討することが重要となる。
治療上有用と予想される候補化合物の探索については、現在遺伝子レベルでの探索が中心となっており、そこでファーストスクリーニング候補化合物が見出される。次にこれら候補化合物そのものを実際にスクリーニングすることとなるが、in vivoの試験においては骨形成と血管形成を併せて評価することが重要となる。
現在、骨形成と血管形成との因果関係の具体的な解明は、歯科、整形外科の中心的な研究課題のひとつになっている。しかし血管形成の過程を観察できるような装置については考案されているが、骨の形成と血管形成を同時観察できる実験系についての報告は見られない。
生体内で一旦形成された骨組織は、ハバース・システムと呼ばれる円錐形トンネルの形成(吸収)と、吸収の後に新生骨を同円心的に追加するというプロセスによって、常時、改造がなされている。今日臨床的に問題にされている骨粗鬆症は吸収と新生のバランスが、負に傾いた結果とされている。しかしながら、現在、そのプロセスの詳細、とくに血管との関係については不明である。
このように骨の再生は血管形成と関連して調べることが必要となり、当然血管の進入が無い場合には早期に骨が再生することは困難になる。一方過剰に血管進入が起きた場合には、骨の再生より過剰な生体反応と理解される。よって適度な血管形成を伴った骨形成の条件を検討することが重要となる。
本発明は血管と骨を誘導形成できる幾何構造を備えた生体内分解性の人工細胞外マトリックスを利用した、骨形成関連因子のスクリーニング方法に関する。本スクリーニング方法は、血管と骨の同時形成の過程を明瞭に観察できる新しい手段として前例のないものであって、本スクリーニング方法によって、はじめて、どの細胞がこれらの前駆細胞へと分化し、成長して行くかを確実に追跡して見ることができ、今後、この方法によって、骨と血管の形成機構の解明が可能となり、また細胞活性化因子の骨と血管形成能をスクリーニングする方法である。
骨再生のスクリーニング方法としてはある種の遺伝子機能を抑えた動物を用いる方法、in vitroによるスクリーニング方法等が知られている。
材料としては三次元の連続気孔を有するリン酸カルシウムとコラーゲンを組み合わせた骨欠損補填材あるいは空隙部充填材については多数知られている。更に一定方向に延びる複数の貫通孔を持ったハニカム状の本体と、細胞活性化因子を含有する生分解粘性体、具体的にはβ-TCPと活性化因子を含有したコラーゲンからなる生体組織補填材についても知られている。
国際公開番号WO01/042785号公報
特表2005−500847号公報
特開平2−33388号公報
特開2004−298546号公報しかし、遺伝子操作された動物を用いる方法は実施が容易ではなく、またin vitroでのスクリーニングは最初のファーストスクリーニングとしては適しているが、生体での実際の結果と相関しない場合もあり、結局in vivoでのスクリーニングが必要とされる。一方硬構造物とコラーゲンからなる移植材料については知られているが、骨と血管の形成能を評価する方法は知られていなかった。更にハバース・システムをミミックしたプロセスによる骨、すなわち骨の直線的成長の速度、ならびに血管の成長速度を定量的に測定することは困難である。したがってこれまで、正確な骨の成長速度を測定した報告は殆どないのが現状であって、そのために骨粗鬆症などの解明に必要な、骨改造の定量的研究が為されていなかった。
材料としては三次元の連続気孔を有するリン酸カルシウムとコラーゲンを組み合わせた骨欠損補填材あるいは空隙部充填材については多数知られている。更に一定方向に延びる複数の貫通孔を持ったハニカム状の本体と、細胞活性化因子を含有する生分解粘性体、具体的にはβ-TCPと活性化因子を含有したコラーゲンからなる生体組織補填材についても知られている。
そこで発明者らは血管と骨を誘導形成でき、更には骨の直線的成長の速度、ならびに血管の成長速度を定量的に測定できる人工細胞外マトリックスについて鋭意検討の結果、血管と骨を誘導形成できる幾何構造を有した人工細胞外マトリックスを見出し、本人工細胞外マトリックスを利用した骨再生条件のスクリーニング方法に関する本発明を完成したものである。
すなわち本発明は、スクリーニングを行う物質をCaイオンとリン酸イオンより構成され、かつ直線状に多数の貫通孔を持つ硬構造物とコラーゲンあるいはゼラチンよりなる人工細胞外マトリックスに添加し、動物に埋植して骨と血管形成能を評価する方法であって、更に具体的には多数の直線状貫通孔を持ったβ-TCPと、スクリーニングする物質をコラーゲンあるいはゼラチンとともに組み合わせ動物に移植後、一定期間経過した後に取り出し骨と血管の形成を評価する方法である。
本発明による人工細胞外マトリックスを用いることにより、in vivoで骨と血管形成過程を同時に観察することができ、骨の再生に有効な因子となりうる物質探索を容易に行うことが可能となる。
更には一定の長さ以上の貫通孔を持つ構造は、ハバース・システムに類似した生体内での骨形成が起こることが明らかとなり、骨の直線的成長の速度、ならびに血管の成長速度を定量的に測定できる。例えば1週間の直線的骨成長が何mmであるというように、より正確な測定をすることができ、しかも血管との関連を追跡することが可能となる。これによって、特定の治療薬の効果を定量的に測定することができ、骨に対して基礎的、臨床的に画期的な活路を開くものである。
また本スクリーニング方法に用いる人工細胞外マトリックスは、臨床的な骨再建材料として有効であり、骨補填材としてもすぐれた埋植材料として用いることができる。
更には一定の長さ以上の貫通孔を持つ構造は、ハバース・システムに類似した生体内での骨形成が起こることが明らかとなり、骨の直線的成長の速度、ならびに血管の成長速度を定量的に測定できる。例えば1週間の直線的骨成長が何mmであるというように、より正確な測定をすることができ、しかも血管との関連を追跡することが可能となる。これによって、特定の治療薬の効果を定量的に測定することができ、骨に対して基礎的、臨床的に画期的な活路を開くものである。
また本スクリーニング方法に用いる人工細胞外マトリックスは、臨床的な骨再建材料として有効であり、骨補填材としてもすぐれた埋植材料として用いることができる。
以下の本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる人工細胞外マトリックスは、Caイオンとリン酸イオンより構成され、かつ直線状に多数の貫通孔を持つ硬構造物とコラーゲンあるいはゼラチンよりなる人工細胞外マトリックスである。
Caイオンとリン酸イオンより構成される硬構造物としてはハイドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウム、焼成骨、炭酸カルシウム等を原料とした硬構造物を用いることができるが、特にβ−リン酸三カルシウムが望ましい。
これら硬構造物の形状としては骨形成と血管進入の両方を可能とする形状が望ましく、具体的には直線的なトンネル構造の貫通孔を持つことが望ましい。例えば硬構造物の全体が円柱状の場合には、上下の円形の面を結ぶ直線状のトンネル(貫通孔)を持つもので、他の形状でも同様な貫通孔を持った硬構造物が用いられる。
貫通孔の長さについては4mm以上であれば骨の直線的成長の速度並びに血管の成長速度の定量的測定が可能となる。一方、貫通孔の長さが10mm以上では骨並びに血管の進入が起こることが無いために、定量的な測定は困難となる。
貫通孔の開け方に特に制限はない。例えばドリル加工等の機械加工による穿孔、高温で溶融する有機物を含ませ成形体を造り、その後乾燥・焼結することにより、有機物が溶融除去され貫通孔とする方法等を用いることができる。具体的には特開平5−237178号等に開示された方法を用いることができる。
本発明で用いる人工細胞外マトリックスは、Caイオンとリン酸イオンより構成され、かつ直線状に多数の貫通孔を持つ硬構造物とコラーゲンあるいはゼラチンよりなる人工細胞外マトリックスである。
Caイオンとリン酸イオンより構成される硬構造物としてはハイドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウム、焼成骨、炭酸カルシウム等を原料とした硬構造物を用いることができるが、特にβ−リン酸三カルシウムが望ましい。
これら硬構造物の形状としては骨形成と血管進入の両方を可能とする形状が望ましく、具体的には直線的なトンネル構造の貫通孔を持つことが望ましい。例えば硬構造物の全体が円柱状の場合には、上下の円形の面を結ぶ直線状のトンネル(貫通孔)を持つもので、他の形状でも同様な貫通孔を持った硬構造物が用いられる。
貫通孔の長さについては4mm以上であれば骨の直線的成長の速度並びに血管の成長速度の定量的測定が可能となる。一方、貫通孔の長さが10mm以上では骨並びに血管の進入が起こることが無いために、定量的な測定は困難となる。
貫通孔の開け方に特に制限はない。例えばドリル加工等の機械加工による穿孔、高温で溶融する有機物を含ませ成形体を造り、その後乾燥・焼結することにより、有機物が溶融除去され貫通孔とする方法等を用いることができる。具体的には特開平5−237178号等に開示された方法を用いることができる。
硬構造物全体の形状に制限はないが、本人工細胞外マトリックスを用いたスクリーニング方法で、動物に埋植した際に動物の組織に物理的な刺激を与えないために、突起した角を持たないことが望ましい。具体的には円柱、四角柱、球状等を挙げることができる。
これまでに述べてきた硬構造物にコラーゲンあるいはゼラチンを組み合わせて、人工細胞外マトリックスを完成する。用いるコラーゲンに制限はなく、具体的には動物の組織より取り出したコラーゲン、細胞組換え技術によるリコンビナントコラーゲンのいずれも用いることができる。用いるコラーゲンのファミリーにも制限はないが、動物組織より取り出したコラーゲンでは存在量からI型、II型コラーゲンが使用しやすいと考えられる。動物組織としては動物種に制限はなく、具体的にはほ乳類、鳥類、魚類等を由来とするコラーゲンを用いることができる。
また用いるコラーゲンは天然型であっても、修飾されたコラーゲンのいずれでも良い。修飾されたコラーゲンにはアテロコラーゲンと呼ばれる酵素可溶化コラーゲン、コラーゲン分子側鎖の化学的、物理的修飾、コラーゲン分子間の架橋化反応等を用いることができる。
ゼラチンについても制限はなく酸性法ゼラチン、アルカリ法ゼラチンのいずれも用いることができ、また由来動物、組織にも特に制限はない。具体的にはウシ、ブタの皮膚、骨等いずれのゼラチンも用いることができる。さらにコラーゲンと同様に化学的、物理的修飾、分子間架橋化反応等を施したゼラチンであっても用いることができる。
これまでに述べてきた硬構造物にコラーゲンあるいはゼラチンを組み合わせて、人工細胞外マトリックスを完成する。用いるコラーゲンに制限はなく、具体的には動物の組織より取り出したコラーゲン、細胞組換え技術によるリコンビナントコラーゲンのいずれも用いることができる。用いるコラーゲンのファミリーにも制限はないが、動物組織より取り出したコラーゲンでは存在量からI型、II型コラーゲンが使用しやすいと考えられる。動物組織としては動物種に制限はなく、具体的にはほ乳類、鳥類、魚類等を由来とするコラーゲンを用いることができる。
また用いるコラーゲンは天然型であっても、修飾されたコラーゲンのいずれでも良い。修飾されたコラーゲンにはアテロコラーゲンと呼ばれる酵素可溶化コラーゲン、コラーゲン分子側鎖の化学的、物理的修飾、コラーゲン分子間の架橋化反応等を用いることができる。
ゼラチンについても制限はなく酸性法ゼラチン、アルカリ法ゼラチンのいずれも用いることができ、また由来動物、組織にも特に制限はない。具体的にはウシ、ブタの皮膚、骨等いずれのゼラチンも用いることができる。さらにコラーゲンと同様に化学的、物理的修飾、分子間架橋化反応等を施したゼラチンであっても用いることができる。
本発明では硬構造物とコラーゲンあるいはゼラチンを組み合わせた人工細胞外マトリックが用いられるが、それを利用した細胞活性化に関与する因子スクリーニング方法に使用するにはコラーゲンあるいはゼラチンにスクリーニングする因子を混合した後に、硬構造物と組み合わせられる。具体的にはコラーゲンあるいはゼラチンの溶液にスクリーニングする因子を混合後、その溶液に硬構造物を浸漬しそれを乾燥し用いられる。
コラーゲンあるいはゼラチンとスクリーニングする因子との混合の条件に制限はなく、スクリーニングする因子の活性が低下することがなければ良い。コラーゲンあるいはゼラチン溶液の濃度にも特に制限は無いが、具体的にはコラーゲン溶液では0.05%から5%の濃度が使用しやすい。ゼラチン溶液についてはゼラチンの分子量等により適する濃度が異なってくるが、例えば1%から30%の濃度が可能である。スクリーニングする因子の濃度については、因子により最適濃度が異なる、濃度を変えスクリーニングを行う等の理由から濃度の範囲を記載することはできないが、例えば骨誘導因子であるBMP-7の場合、1μg/ 10 μLの濃度で使用した場合に骨形成と血管の進入が観察される。
コラーゲンあるいはゼラチンとスクリーニングする因子との混合の条件に制限はなく、スクリーニングする因子の活性が低下することがなければ良い。コラーゲンあるいはゼラチン溶液の濃度にも特に制限は無いが、具体的にはコラーゲン溶液では0.05%から5%の濃度が使用しやすい。ゼラチン溶液についてはゼラチンの分子量等により適する濃度が異なってくるが、例えば1%から30%の濃度が可能である。スクリーニングする因子の濃度については、因子により最適濃度が異なる、濃度を変えスクリーニングを行う等の理由から濃度の範囲を記載することはできないが、例えば骨誘導因子であるBMP-7の場合、1μg/ 10 μLの濃度で使用した場合に骨形成と血管の進入が観察される。
本人工細胞外マトリックスにスクリーニングする因子を組み合わせ、因子のスクリーニングを行う場合には動物に埋植を行い、一定時間経過後にこの人工細胞外マトリックスを取り出し、組織学的観察を行う。
本人工細胞外マトリックスの埋植は、通常in vivo実験に用いられる動物、具体的にはマウス、ラット、ウサギ、ネコ等の小動物、イヌ等の中型動物からサル等の大型動物まで用いることができ、実験のし易さ等により動物を選択すればよい。
また埋植する部位としては背部皮下が望ましい。埋植期間としては1週間から4週間の間で動物により異なるが、例えば生後4週齢のラットであれば2週間の埋植でスクリーニングを行うことができる。埋植される本人工細胞外マトリックスの大きさについては、埋植する動物により大きさが異なってくるが、埋植物が大きすぎ埋植部位周囲に物理的刺激を与えない大きさで、また小さすぎて埋植部位が分からなくならない大きさが有ればよい。具体的な一例としては、4週齢のラットの背部皮下に埋植するのであれば、直径3mmで長さ4mmの円柱状を埋植することでスクリーニングを行うことができた。
スクリーニングの方法としては埋植した本人工細胞外マトリックスを埋植部位より取り出した後に、本人工細胞外マトリックスの組織学的評価を行う。また本人工細胞外マトリックスは長期の移植では無い場合、移植部位より容易に取り出すことができるため、この取り出した人工細胞外マトリックス全体の、例えばアルカリフォスファターゼ活性等の測定を行うことができ、取り出した人工細胞外マトリックス中の特定の活性を測定する方法によっても、スクリーニングを行うことができる。
本人工細胞外マトリックスの埋植は、通常in vivo実験に用いられる動物、具体的にはマウス、ラット、ウサギ、ネコ等の小動物、イヌ等の中型動物からサル等の大型動物まで用いることができ、実験のし易さ等により動物を選択すればよい。
また埋植する部位としては背部皮下が望ましい。埋植期間としては1週間から4週間の間で動物により異なるが、例えば生後4週齢のラットであれば2週間の埋植でスクリーニングを行うことができる。埋植される本人工細胞外マトリックスの大きさについては、埋植する動物により大きさが異なってくるが、埋植物が大きすぎ埋植部位周囲に物理的刺激を与えない大きさで、また小さすぎて埋植部位が分からなくならない大きさが有ればよい。具体的な一例としては、4週齢のラットの背部皮下に埋植するのであれば、直径3mmで長さ4mmの円柱状を埋植することでスクリーニングを行うことができた。
スクリーニングの方法としては埋植した本人工細胞外マトリックスを埋植部位より取り出した後に、本人工細胞外マトリックスの組織学的評価を行う。また本人工細胞外マトリックスは長期の移植では無い場合、移植部位より容易に取り出すことができるため、この取り出した人工細胞外マトリックス全体の、例えばアルカリフォスファターゼ活性等の測定を行うことができ、取り出した人工細胞外マトリックス中の特定の活性を測定する方法によっても、スクリーニングを行うことができる。
以下実施例により本発明を説明する。
実施例1
直径3mm、高さ4mmの円柱状で、その縦方向に、直径300μmの直線上のトンネル状の貫通孔を、37本線備えているβ−TCPの構造体であって、さらにトンネルを構成する壁部分に、1〜2μmの貫通孔を備えている2重の貫通孔を持つ硬構造体(パイロットプレフィジョン製)を作成する。
アテロコラーゲンの5mg/mL溶液に1μg/10μlのBMP-7を加え、この溶液を先の硬構造物に含浸させ凍結乾燥した後に、生後4週のラットの背部皮下に埋植し2週間後に摘出し、通常の方法により病理標本を作成し組織学的観察を行った。
2週間後すでに、4mmの全長に亘って骨が縦方向に成長していた。同時に、骨形成に平行して毛細血管が形成され、その先端部では骨と毛細血管が、競い合うように出現し、伸長している像が、明瞭に観察でき、その前駆細胞(前駆骨芽細胞Pre-osoteoblasts)と血管芽細胞(Angioblasts)と見なされる細胞に満ちていた。(図1参照)この写真には、赤血球の詰まった毛細管と、それに隣り合わせに骨が出来つつあることが明らかにされている。
実施例1
直径3mm、高さ4mmの円柱状で、その縦方向に、直径300μmの直線上のトンネル状の貫通孔を、37本線備えているβ−TCPの構造体であって、さらにトンネルを構成する壁部分に、1〜2μmの貫通孔を備えている2重の貫通孔を持つ硬構造体(パイロットプレフィジョン製)を作成する。
アテロコラーゲンの5mg/mL溶液に1μg/10μlのBMP-7を加え、この溶液を先の硬構造物に含浸させ凍結乾燥した後に、生後4週のラットの背部皮下に埋植し2週間後に摘出し、通常の方法により病理標本を作成し組織学的観察を行った。
2週間後すでに、4mmの全長に亘って骨が縦方向に成長していた。同時に、骨形成に平行して毛細血管が形成され、その先端部では骨と毛細血管が、競い合うように出現し、伸長している像が、明瞭に観察でき、その前駆細胞(前駆骨芽細胞Pre-osoteoblasts)と血管芽細胞(Angioblasts)と見なされる細胞に満ちていた。(図1参照)この写真には、赤血球の詰まった毛細管と、それに隣り合わせに骨が出来つつあることが明らかにされている。
比較例
実施例1と同じ硬構造物と、同じ大きさで貫通孔を持たないβ-TCPからなる硬構造物の両方を用い、実施例1と同様にアテロコラーゲンとβ−TCPを組み合わせ(0.5μgのBMP-7を3mg/mLのアテロコラーゲン溶液(高研製セルゲン)2.5μL)、両方の構造物を4週齢のウイスター雄ラットの皮下に埋植し、2週間後、周囲から明確に隔離されたペレットとして摘出し、アルカリフォスファターゼを生化学的に測定した。
結果を次に示すが、貫通孔を持つ硬構造物を用いた場合に、高いアルカリフォスファターゼ活性が測定された。
実施例1と同じ硬構造物と、同じ大きさで貫通孔を持たないβ-TCPからなる硬構造物の両方を用い、実施例1と同様にアテロコラーゲンとβ−TCPを組み合わせ(0.5μgのBMP-7を3mg/mLのアテロコラーゲン溶液(高研製セルゲン)2.5μL)、両方の構造物を4週齢のウイスター雄ラットの皮下に埋植し、2週間後、周囲から明確に隔離されたペレットとして摘出し、アルカリフォスファターゼを生化学的に測定した。
結果を次に示すが、貫通孔を持つ硬構造物を用いた場合に、高いアルカリフォスファターゼ活性が測定された。
Claims (6)
- 骨形成関連因子候補化合物をCaイオンとリン酸イオンより構成され、かつ直線状に多数の貫通孔を持つ硬構造物とコラーゲンあるいはゼラチンよりなる人工細胞外マトリックスに添加し、動物に埋植して骨と血管形成能をもって評価する骨形成関連因子候補化合物のスクリーニング方法。
- 硬構造物としてβ−リン酸三カルシウムを用いることを特徴とする特許請求項1に記載の骨形成関連因子候補化合物のスクリーニング方法。
- 直線状の貫通孔が4mm以上の長さを持つことを特徴とする特許請求項1に記載の骨形成関連因子候補化合物のスクリーニング方法。
- コラーゲンとして酵素可溶化コラーゲンを用いることを特徴とする特許請求項1に記載の骨形成関連因子候補化合物のスクリーニング方法。
- スクリーニングする物質を人工細胞外マトリックスに含有することを特徴とする特許請求項1に記載の骨形成関連因子候補化合物のスクリーニング方法。
- スクリーニングする物質をコラーゲンあるいはゼラチンに含有することを特徴とする特許請求項5に記載の骨形成関連因子候補化合物のスクリーニング方法。
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---|---|---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011142425A1 (ja) * | 2010-05-12 | 2011-11-17 | 国立大学法人香川大学 | 上皮層含有組織の再生材および再生評価方法 |
JP2012523870A (ja) * | 2009-04-17 | 2012-10-11 | テテック ティシュー エンジニアリング テクノロジーズ アクチェンゲゼルシャフト | ヒト及び/又は動物の筋骨格系に関連する損傷及び/又は疾患の治療のための移植片及び治療用組成物 |
-
2007
- 2007-02-01 JP JP2007023454A patent/JP2008190914A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012523870A (ja) * | 2009-04-17 | 2012-10-11 | テテック ティシュー エンジニアリング テクノロジーズ アクチェンゲゼルシャフト | ヒト及び/又は動物の筋骨格系に関連する損傷及び/又は疾患の治療のための移植片及び治療用組成物 |
JP2015231559A (ja) * | 2009-04-17 | 2015-12-24 | テテック ティシュー エンジニアリング テクノロジーズ アクチェンゲゼルシャフト | ヒト及び/又は動物の筋骨格系に関連する損傷及び/又は疾患の治療のための移植片及び治療用組成物 |
WO2011142425A1 (ja) * | 2010-05-12 | 2011-11-17 | 国立大学法人香川大学 | 上皮層含有組織の再生材および再生評価方法 |
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