この発明は、車両に搭載されて種々の案内を行うナビゲーション装置に関し、特に予測された行き先を他と区別する技術に関する。
ナビゲーション装置として、例えば、特許文献1は、利用者の現在位置に基づいて、利用者が今後移動すると予測される経路に関連する情報を利用者に対して自動的に提示できる情報提供装置を開示している。
この情報提供装置においては、利用者の現在位置に関する情報が、位置情報取得部によって取得されるとともに、範囲設定部によって、利用者の現在位置に基づいて情報を取得すべき情報取得エリアが設定される。そして、情報取得部によって、対象物関連情報が情報データベースから取得されるとともに、これらの対象物関連情報の中から、範囲設定部によって設定された情報取得エリアに含まれる情報が抽出され、これが情報提示部によって利用者に提示される。
上述した特許文献1に開示された情報提供装置においては、利用者は、提示された情報が情報取得により新たに表示されたものなのか、あるいは既存の表示なのかを判別しにくいという問題がある。また、情報取得エリアに利用者が所望する施設などが存在せず、情報取得エリアの外に所望する施設などが存在する場合は、利用者が今後移動すると予測された経路に関連する施設などのアイコンのみが表示されるので、通常のアイコンを確認できず、利用者は所望の施設などの情報を入手できないという問題がある。
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、利用者が今後移動すると予測された経路に関連する施設などのアイコンと通常のアイコンとの識別を容易にしたナビゲーション装置を提供することにある。
この発明に係るナビゲーション装置は、運転履歴に関する情報を取得し、該取得した運転履歴に関する情報に基づき行き先を予測する行き先予測部と、行き先予測部で予測された行き先候補を、該行き先候補以外のアイコンとは異なる形態で描画する描画判定切替部と、描画判定切替部で描画されたアイコンを表示させる情報表示部を備えている。
この発明に係るナビゲーション装置によれば、予測された行き先候補を、該行き先候補以外のアイコンとは異なる形態で描画して表示させるように構成したので、ユーザの視認性を高めることができ、その結果、利用者が今後移動すると予測された経路に関連する施設などのアイコンと通常のアイコンとを容易に識別することができる。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置を構成する制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において、運転が開始されてから予測された行き先候補または行き先候補までの直線が表示されるまでの処理を示すフローチャートである。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において画面に表示される施設アイコンの例を示す図である。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において画面に表示される予測された行き先候補施設に関して、各種詳細情報を有する施設アイコンの例を示す図である。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において現在地と行き先候補との間を直線で結んで表示した例を示す図である。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において複数のアイコンを重ねて示した例を示す図である。
この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置を構成する制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置において、音声認識を用いて行き先を予測する処理を示すフローチャートである。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、ナビゲーションユニット1、リモートコントローラ(以下、「リモコン」と略す)2、表示装置3およびスピーカ4を備えている。
ナビゲーションユニット1は、ナビゲーション装置の全体を制御する。このナビゲーションユニット1の詳細については後述する。
リモコン2は、ユーザが、ナビゲーション装置に対して各種の指示、例えば、表示装置3に表示されている画面をスクロールさせたり、経路探索時に目的地または経由地を入力したり、表示装置3またはスピーカ4から出力される操作を促すメッセージに応答したりするために使用される。なお、リモコン2の代わりに、または、リモコン2と併用して、表示装置3の画面上に設置されたタッチセンサに直接に触れることにより、各種の指示を入力するタッチパネルを設けることもできる。
表示装置3は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)から構成されており、ナビゲーションユニット1から送られてくる表示信号に応じて、地図、自車位置マーク、誘導経路、その他の種々のメッセージを表示する。スピーカ4は、ナビゲーションユニット1から送られてくる音声信号に応じて、誘導案内メッセージを音声で出力することにより、音声によるガイダンスを行う。
次に、ナビゲーションユニット1の詳細を説明する。ナビゲーションユニット1は、制御部11、GPS(Global Positioning System)受信機12、車速センサ13、ジャイロセンサ14、道路情報受信機15、インタフェース部16、マップマッチング部17、経路探索部18、誘導案内部19、地図データベース20、地図データアクセス部21および地図描画部22を備えている。
制御部11は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、ナビゲーションユニット1の全体を制御する。上述したインタフェース部16、マップマッチング部17、経路探索部18、誘導案内部19、地図データアクセス部21および地図描画部22は、このマイクロコンピュータによって実行されるアプリケーションプログラムにより実現されている。この制御部11の詳細は後述する。
GPS受信機12は、GPS衛星からアンテナを介して受信されたGPS信号に基づき、このナビゲーション装置が搭載された車両(図示しない)の現在位置を検出する。このGPS受信機12で検出された車両の現在位置を表す現在位置データは、制御部11に送られる。
車速センサ13は、車両から送られてくる車速信号に基づき車両の移動速度を検出する。この車速センサ13で検出された車両の移動速度を表す速度データは、制御部11に送られる。ジャイロセンサ14は、車両の進行方位を検出する。このジャイロセンサ14で検出された車両の進行方位を表す方位データは、制御部11に送られる。
道路情報受信機15は、例えば、道路交通データ通信システムから送信される道路情報信号を受信する。この道路情報受信機15で受信された道路情報信号は、制御部11に送られる。制御部11は、この道路情報受信機15から一定期間毎に送られてくる道路情報信号によって示される道路情報(渋滞情報または通行可否情報など)に基づいて、例えば道路の渋滞を表すメッセージを作成し、表示装置3の画面に表示するとともに、スピーカ4から音声により出力する。
インタフェース部16は、リモコン2から送られてくる指令または図示しない操作パネルが操作されることにより発生される指令を受信し、制御部11に送る。制御部11は、この指令に応じて、例えば、画面のスクロール、施設探索、経路探索または誘導案内などを実現するための処理を実行する。
マップマッチング部17は、制御部11から送られてくる現在位置データによって示される自車位置を、地図データベース20から地図データアクセス部21および制御部11を経由して読み出した地図データによって表される地図に対応させ、地図上に自車位置マークを形成する処理を実行する。このマップマッチング部17における処理の結果は、制御部11および地図データアクセス部21を経由して地図描画部22に送られる。
経路探索部18は、制御部11から送られてくる現在位置データによって示される自車の現在位置から、リモコン2または図示しない操作パネルからインタフェース部16および制御部11を経由して送られてくる指令によって示される目的地までの経路を、地図データベース20から地図データアクセス部21および制御部11を経由して取得した地図データに基づき探索する。この経路探索部18で探索された経路は、制御部11を経由して誘導案内部19に送られるとともに、制御部11および地図データアクセス部21を経由して地図描画部22に送られる。
誘導案内部19は、地図データベース20から地図データアクセス部21および制御部11を経由して読み出した地図データに基づき、経路探索部18で探索された経路に沿って車両が移動する際に案内を行うための誘導案内図および誘導案内メッセージを生成し、表示装置3およびスピーカ4にそれぞれ送る。これにより、表示装置3に誘導案内図が表示されるとともに、スピーカ4から誘導案内メッセージが音声で出力される。
地図データベース20は、道路データおよび施設データといった地図に関連する様々なデータを、地図データとして格納している。この地図データベース20に格納された地図データは、地図データアクセス部21によって読み出される。地図データアクセス部21は、制御部11からの指示に応じて地図データベース20に格納されている地図データを読み出し、制御部11および地図描画部22に送る。
地図描画部22は、地図データアクセス部21から送られてくる地図データに基づき、表示装置3に地図などを表示させるための描画データを生成する。この地図描画部22で生成された描画データは、表示信号として表示装置3に送られる。これにより、表示装置3の画面に、地図、自車位置マーク、誘導経路、その他の種々のメッセージなどが表示される。
次に、制御部11の詳細を説明する。図2は、制御部11の機能的な構成を示すブロック図であり、この発明に関係する部分のみが示されている。この制御部11は、位置情報取得部31、操作入力部32、車両情報取得部33、外部情報取得部34、情報記録部35、行き先予測部36、描画判定切替部37、情報表示部38および音声出力部39を備えている。
位置情報取得部31は、GPS受信機12からの現在位置データを取得する。また、位置情報取得部31は、車速センサ13からの速度データおよびジャイロセンサ14からの方位データを受け取り、これら速度データおよび方位データに基づいて自立航法により車両の現在位置を検出して現在位置データを生成する。これにより、例えばトンネルまたはビルディングの谷間に入るなどによってGPS受信機12で車両の現在位置を検出できなくなっても、自立航法によって車両の現在位置を検出できるので、ナビゲーション装置は、常に正しい車両の現在位置を検出できる。この位置情報取得部31で取得された現在位置データ、または、生成された現在位置データは、行き先予測部36に送られる。
操作入力部32は、リモコン2の操作に応じてインタフェース部16から送られてくる指令を受け取り、行き先予測部36に送る。
車両情報取得部33は、当該ナビゲーション装置が搭載されている車両から車両情報、例えばガソリン(電気自動車の場合はバッテリ)の残量、警告灯の点灯の有無、バッテリの残量、搭乗人数または平均燃費などを取得し、行き先予測部36に送る。
外部情報取得部34は、外部の外部情報データベースから例えば通信により取得した外部情報、例えば天気情報、お買い得情報、ガソリンスタンドの価格情報または飲食店のクーポン情報などを一定期間毎に取得し、行き先予測部36に送る。
情報記録部35は、行き先予測部36から書き込まれた各種情報、例えば運転履歴情報、渋滞情報、車両情報または道路情報などを記憶する。運転履歴情報には、運転者の日頃の走行状況(速度、道路または走行履歴など)が含まれる。この情報記録部35に記憶されている情報は、行き先予測部36によって読み出される。なお、この情報記録部35に記憶される情報は、外部から通信により取得するように構成することもできるし、例えばUSBメモリなどのような記録媒体から取得するように構成することもできる。
また、情報記録部35には、実施の形態1に係るナビゲーション装置で記憶される情報の他に、操作履歴も記憶され、行き先予測の判定材料の1つとして使用される。
行き先予測部36は、運転履歴に関する情報、具体的には、位置情報取得部31から送られてくる現在位置データ、操作入力部32から送られてくる指令、車両情報取得部33から送られてくる車両情報、外部情報取得部34から送られてくる外部情報および情報記録部35から読み出した各種情報の少なくとも1つに基づき車両の行き先を予測する。行き先予測部36における行き先の予測には、さらに、識別判定情報(例えば、運転者、搭乗者、日時、曜日または季節など)を使用することもできる。この行き先予測部36で予測された行き先を表す行き先データは、描画判定切替部37および音声出力部39に送られる。
描画判定切替部37は、行き先予測部36から送られてくる行き先データによって示される行き先、つまり、予測された行き先で運転者が寄る可能性の高い施設アイコンを、他の一般の施設アイコンと区別して強調表示し、または、他の一般の施設アイコンを非強調表示するように切り替える。強調表示または非強調表示は、例えば、施設アイコンの大きさ、色の有無、色の濃度、アイコン表示の透過度などを異ならしめることにより行うことができる。この描画判定切替部37で切り替えられた施設アイコンを表す施設データは、情報表示部38に送られる。
情報表示部38は、描画判定切替部37から送られてくる施設データによって示される施設を表示するための表示データを生成し、地図データアクセス部21を経由して地図描画部22に送る。地図描画部22は、地図データアクセス部21から送られてくる表示データに基づき、表示装置3に描画判定切替部37で切り替えられた施設アイコンを含む地図を表示させるための描画データを生成し、表示信号として表示装置3に送る。これにより、表示装置3の画面に、描画判定切替部37で切り替えられた施設アイコンを含む地図が表示される。
音声出力部39は、行き先予測部36から送られてくる行き先データによって示される行き先を音声で出力するための音声データを生成し、誘導案内部19に送る。誘導案内部19は、音声出力部39からの音声データに基づき行き先を表す誘導案内メッセージを生成し、スピーカ4に送る。これにより、スピーカ4から誘導案内メッセージとして、行き先が音声で出力される。その結果、ユーザは、運転中に画面を注視しなくても行き先を認識できる。
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を説明する。まず、ナビゲーション装置の一般的な動作を説明する。ナビゲーション装置に電源が投入されると、現在位置データおよび地図データの取得が行われる。すなわち、制御部11は、GPS受信機12から取得した現在位置データまたは自律航法により算出した現在位置データを、マップマッチング部17に送る。
マップマッチング部17は、地図データベース20から地図データアクセス部21および制御部11を介して地図データを読み出し、制御部11から受け取った現在位置データに対応する位置に自車位置マークを重ね合わせるマッチング処理を行う。このマッチング処理が施された地図データは、制御部11および地図データアクセス部21を経由して地図描画部22に送られる。地図描画部22は、マップマッチング部17から送られてくる地図データに基づいて描画データを生成し、表示信号として表示装置3に送る。これにより、表示装置3には、自車の現在位置を中心とする地図が表示される。
次に、運転が開始されてから予測された行き先候補や、行き先候補までの直線が表示されるまでの処理を、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
運転が開始されると、図4(a)に示すように、道路、該道路上の自車位置および該道路の周囲の施設アイコンが表示される。この状態で、当該ナビゲーション装置を搭載した車両が走行すると、まず、進行方向から行く先が予測される(ステップST11)。すなわち、車両の運転がある程度行われると、運転履歴に関する情報から行き先の予測が実施される。具体的には、行き先予測部36は、位置情報取得部31から送られてくる現在位置データの変遷状態から進行方向を予測し、この予測した進行方向と情報記録部35から取得した各種情報(運転履歴情報、渋滞情報、車両情報または道路情報など)などから行き先を予測する。この行き先予測部36で予測された行き先候補を示す行き先データは、描画判定切替部37に送られる。
次いで、行き先候補の優先順位判定が行われる(ステップST12)。すなわち、行き先予測部36は、ステップST11において予測された行き先候補が複数存在する場合は、各行き先候補に対し、距離の近い順または出現する頻度の高い順に従って優先順位を付与する。この行き先予測部36で付与された優先順位は、描画判定切替部37に送られる。
次いで、画面上に行き先候補のアイコンが表示される(ステップST13)。すなわち、描画判定切替部37は、行き先予測部36から送られてくる行き先データによって示される行き先、つまり、予測された行き先の施設アイコンを、他の一般の施設アイコンと区別して強調表示し、または、他の一般の施設アイコンを非強調表示するように、例えば、施設アイコンの大きさ、色の有無、色の濃度、アイコン表示の透過度などを切り替える。図4(b)は、行き先候補の施設アイコンを、その大きさを変えて強調表示した例を示す。この際、行き先候補に詳細な施設情報がある場合は、図5(b)に示すように、行き先候補の施設アイコンに対し「!」マークが付されて表示される。これにより、ユーザは、予測された行き先候補の詳細な施設情報があるかどうかを一目で認識できる。
次いで、音声ガイダンスが実施される(ステップST14)。すなわち、音声出力部39は、行き先予測部36で予測された行き先候補が表示された旨を表す音声ガイダンスを出力する。より具体的には、音声出力部39は、行き先予測部36から送られてくる行き先データによって示される行き先を音声で出力するための音声データを生成し、誘導案内部19に送る。誘導案内部19は、音声出力部39からの音声データに基づき行き先を表す誘導案内メッセージを生成し、スピーカ4に送る。これにより、スピーカ4から誘導案内メッセージとして、行き先が音声で出力される。その結果、ユーザは、運転中に画面を注視しなくても行き先を認識できる。
次いで、詳細表示の指示があるかどうかが調べられる(ステップST15)。すなわち、例えば図5(b)に示すように、行き先候補の施設アイコンに対し「!」マークが付され詳細な候補情報が存在することが示されている場合に、その施設アイコンが押下されたかどうかが調べられる。
このステップST15において、詳細表示の指示があることが判断されると(ステップST15“YES”)、行き先更新情報詳細表示が行われる(ステップST16)。すなわち、描画判定切替部37は、行き先予測部36で予測された行き先に詳細情報または更新情報がある場合は、行き先候補の施設アイコンに、その旨を示す「!」マークを付加して描画する。この状態で、ユーザが「!」マークを押下すると、当該施設アイコンによって示される施設の詳細な情報が表示される。ステップST15において、詳細表示の指示がないことが判断されると(ステップST15“NO”)、ステップST16の処理はスキップされる。この処理により、ユーザは、詳細な更新情報が存在することを直感的に知ることができ、また、そのアイコンを押下することにより各種の詳細な情報を簡単に表示することができる。
次いで、現在地と行き先候補との間が直線で結ばれて表示される(ステップST17)。すなわち、描画判定切替部37は、行き先予測部36で予測された行き先候補と現在地を結ぶ直線を描いた描画データを生成し、表示信号として表示装置3に送る。これにより、図6(b)に示すように、表示装置3の画面に、描画判定切替部37で切り替えられた施設アイコンと自車の現在位置との間を結ぶ直線を含む地図が表示される。したがって、ユーザは、予測された行き先がどの方向にあるかを簡単に知ることができる。
なお、行き先予測部36は、距離の近い順または出現する頻度の高い順などに従って行き先候補に優先順位付けを行い、描画判定切替部37は、行き先予測部36で付与された優先順位に従って直線の線種、太さ、色または表示の有無などの少なくとも1つを変更するように構成できる。また、頻度または出現する確率により行き先候補の施設アイコンに優先順位を付与し、図7に示すように、優先順位の高いアイコンをより強調し、また、施設アイコンが重なったときは、優先順位の高いアイコンが上位になるように順番に重ねて描画し、表示装置3に表示するように構成できる。
次いで、リアルタイム更新情報表示が行われる(ステップST18)。すなわち、描画判定切替部37は、自車位置の進行にあわせ一定期間毎に行き先の予測を更新する。その後、処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、予測された行き先候補を、行き先候補以外のアイコンとは異なる形態で表示させるので、ユーザの視認性を高めることができ、その結果、利用者が今後移動すると予測された経路に関連する施設などのアイコンと通常のアイコンとを容易に識別することができる。
なお、上述したようにして予測された行き先候補のアイコンをクリックすることにより、目的地として設定するように構成できる。また、同様の操作のサブメニューから、行き先に電話をかけたり、ネットを通じて予約したりできるように構成することもできる。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置は、上述した実施の形態1に係るナビゲーション装置において行き先候補の予測に用いられる運転履歴に加えて、車内で発話された音声の内容を用いて行き先を予測するようにしたものである。なお、以下においては、実施の形態1に係るナビゲーション装置と異なる部分を中心に説明する。
図8は、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、図1に示した実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成に音声入力部5が追加されるとともに、ナビゲーションユニット1に音声認識処理部23および音声認識辞書部24が追加され、さらにナビゲーションユニット1内の制御部11が制御部11aに変更されて構成されている。
音声入力部5は、例えばマイクロフォンから構成されており、車内においてなされる搭乗者の会話内容を電気信号に変換して音声信号を生成し、音声情報として音声認識処理部23に送る。
音声認識処理部23は、音声入力部5から送られてくる音声信号によって生成される音声情報と音声認識辞書部24に格納されている音声認識辞書の音声情報とを比較して音声認識を行う。この音声認識処理部23における音声認識処理によって認識された語彙は、制御部11aに送られる。
音声認識辞書部24は、音声認識処理に用いられる音声認識辞書を格納している。音声認識辞書には、音声情報と認識語彙との対応が記述されている。この音声認識辞書部24に格納されている音声認識辞書は、上述したように音声認識処理部23によって参照される。
次に、制御部11aの詳細を説明する。図9は、制御部11aの機能的な構成を示すブロック図である。この制御部11aは、図2に示した実施の形態1に係るナビゲーション装置のナビゲーションユニット1内の制御部11に音声認識情報取得部40が追加されて構成されている。
音声認識情報取得部40は、音声認識処理部23における音声認識処理によって得られた施設名または地名などを取得し、行き先予測部36に送る。
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の動作を、音声認識によって行き先を予測する予測処理を中心に、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。この予測処理は、図3に示した処理のステップST11の代わりに実行される。
予測処理では、まず、音声認識機能が起動される(ステップST21)。この音声認識機能の起動は、車両のエンジンONによって自動的に行われる。次いで、搭乗者の音声が集音される(ステップST22)。すなわち、音声入力部5は、車内での会話内容を電気信号に変換して音声信号を生成し、音声情報として音声認識処理部23に送る。
次いで、音声内容が分析される(ステップST23)。すなわち、音声認識処理部23は、音声入力部5から受け取った音声信号によって示される音声情報と音声認識辞書部24に格納されている音声認識辞書の音声情報とを比較して音声認識を行い、この音声認識により得られた語彙を、制御部11aに送る。
次いで、キーワードが有るかどうかが調べられる(ステップST24)。すなわち、制御部11aは、音声認識処理部23から送られてきた語彙が、地名、施設名または施設名代替語などといったキーワードを含んでいるかどうかを調べる。ここで、施設名代替語とは、次のようなものをいう。例えば「お腹空いた」という語は「食事ができる周辺施設」の施設代替語であり、「お腹が痛い」という語は「周辺の病院」の施設代替語である。
このステップST24において、キーワードが無いことが判断されると、シーケンスはステップST22に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST24において、キーワードが有ることが判断されると、次いで、キーワードの有効性分析が行われる(ステップST25)。この有効性分析では、例えば、現在地または現在時刻などから判断して、行き先予測候補として妥当であるか否か、既に妥当であると判断された行き先候補と矛盾(例えば、方向が逆など)しないか、さらに、繰り返し発話されるか(所定回数以上繰り返されたとき有効と判断する)などが判断される。
次いで、「行き先予測」として扱うことができるかどうかが調べられる(ステップST26)。すなわち、ステップST25のキーワードの有効性分析において有効であるとされた地名または施設名などのキーワードを、行き先予測として扱うことができるかどうかが調べられる。このステップST26において、「行き先予測」として扱うことができないことが判断されると、シーケンスはステップST22に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST26において、「行き先予測」として扱うことができることが判断されると、キーワードが地名であるか、または、施設名であるかが調べられる(ステップST27)。このステップST27において、地名であることが判断されると、行き先方面の予測が行われる(ステップST28)。すなわち、行き先予測部36は、音声認識情報取得部40から送られてくる地名から進行方向を予測し、この予測した進行方向と情報記録部35から取得した各種情報(運転履歴情報、渋滞情報、車両情報または道路情報など)などから行き先を予測する。この行き先予測部36で予測された行き先候補を示す行き先データは、描画判定切替部37に送られる。その後、予測処理は終了する。
一方、このステップST27において、施設名であることが判断されると、行き先施設の予測が行われる(ステップST29)。その後、すなわち、行き先予測部36は、音声認識情報取得部40から送られてくる施設名から進行方向を予測し、この予測した進行方向と情報記録部35から取得した各種情報(運転履歴情報、渋滞情報、車両情報または道路情報など)などから行き先を予測する。この行き先予測部36で予測された行き先候補を示す行き先データは、描画判定切替部37に送られる。その後、予測処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置によれば、運転履歴に加えて、車内で発話された音声の内容をも用いて行き先または目的地を予測するように構成したので、予測精度が向上する。また、車両のエンジンがONされると、自動的に音声認識機能が起動されて車内での会話内容から行き先の地名または施設名の予測が行われるので、利用者は行き先や目的地を決めるための発話をする必要がない。
なお、上述した実施の形態2に係るナビゲーション装置では、利用者の会話において、同じ語彙が何度も(所定数以上)繰り返し発話された場合、その語彙に該当する施設情報の優先順位を高くし、他のアイコンと差別化して表示するように構成できる。この構成によれば、同じ語彙が何度も繰り返された場合、その語彙に該当する施設情報の優先順位が高くなったことが一目でわかる。
また、音声認識で予測された行き先候補は、会話内容が変われば予測した施設情報も変わるので、会話内容が変わった場合に、予測していた古い施設情報を消去して新しい施設情報を追加するように構成できる。なお、予測された新旧の施設情報を一度に全て入れ替えるように構成できるが、一時的に、古い施設情報と新しい施設情報を同時に表示し、話の進み具合で一方を消去していくように構成することもできる。また、新旧の施設情報のアイコンを区別し、差別化して表示するように構成することもできる。この構成によれば、時々刻々と変わる会話内容に対応できる。
また、利用者の履歴情報を活用して行き先を予測した施設情報と音声認識で予測した行き先の施設情報が一致する場合、どちらのアイコンも用いることができる。どちらのアイコンを優先するかは利用者が自由に設定できる。また、一致した施設情報のアイコンを全く異なるアイコンにして、アイコンを差別化するように構成することもできる。この構成によれば、アイコンの優先順位を利用者が自由に設定できる。
さらに、上述した実施の形態2に係るナビゲーション装置では、音声認識処理を自己の内部で行うように構成したが、音声入力部5から入力された音声情報を、ネットワークを経由してサーバに送信し、このサーバで音声認識処理を実行し、この音声認識処理によって得られた語彙をナビゲーション装置に返信し、ナビゲーション装置では、サーバから受け取った語彙を用いて施設アイコンの表示を変化させるように構成できる。この構成によれば、音声認識処理はサーバで実行されるので、音声認識の精度を向上させることができ、その結果、行き先や目的地を予測する予測精度を向上させることができる。
この発明は、行き先を予測し、予測された施設などを他と区別して表示するカーナビゲーション装置などに利用できる。
この発明は、車両に搭載されて種々の案内を行うナビゲーション装置に関し、特に予測された行き先を他と区別する技術に関する。
ナビゲーション装置として、例えば、特許文献1は、利用者の現在位置に基づいて、利用者が今後移動すると予測される経路に関連する情報を利用者に対して自動的に提示できる情報提供装置を開示している。
この情報提供装置においては、利用者の現在位置に関する情報が、位置情報取得部によって取得されるとともに、範囲設定部によって、利用者の現在位置に基づいて情報を取得すべき情報取得エリアが設定される。そして、情報取得部によって、対象物関連情報が情報データベースから取得されるとともに、これらの対象物関連情報の中から、範囲設定部によって設定された情報取得エリアに含まれる情報が抽出され、これが情報提示部によって利用者に提示される。
上述した特許文献1に開示された情報提供装置においては、利用者は、提示された情報が情報取得により新たに表示されたものなのか、あるいは既存の表示なのかを判別しにくいという問題がある。また、情報取得エリアに利用者が所望する施設などが存在せず、情報取得エリアの外に所望する施設などが存在する場合は、利用者が今後移動すると予測された経路に関連する施設などのアイコンのみが表示されるので、通常のアイコンを確認できず、利用者は所望の施設などの情報を入手できないという問題がある。
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、利用者が今後移動すると予測された経路に関連する施設などのアイコンと通常のアイコンとの識別を容易にしたナビゲーション装置を提供することにある。
この発明に係るナビゲーション装置は、運転履歴に関する情報を取得し、該取得した運転履歴に関する情報に基づき行き先を予測する行き先予測部と、行き先予測部で予測された行き先候補を、該行き先候補以外のアイコンとは異なる形態で描画する描画判定切替部と、描画判定切替部で描画されたアイコンを表示させる情報表示部と、発話された音声を認識する音声認識処理部を備え、行き先予測部は、取得した運転履歴に関する情報および音声認識処理部で認識された語彙に基づき行き先を予測することを特徴とする。
この発明に係るナビゲーション装置によれば、予測された行き先候補を、該行き先候補以外のアイコンとは異なる形態で描画して表示させるように構成したので、ユーザの視認性を高めることができ、その結果、利用者が今後移動すると予測された経路に関連する施設などのアイコンと通常のアイコンとを容易に識別することができる。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置を構成する制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において、運転が開始されてから予測された行き先候補または行き先候補までの直線が表示されるまでの処理を示すフローチャートである。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において画面に表示される施設アイコンの例を示す図である。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において画面に表示される予測された行き先候補施設に関して、各種詳細情報を有する施設アイコンの例を示す図である。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において現在地と行き先候補との間を直線で結んで表示した例を示す図である。
この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において複数のアイコンを重ねて示した例を示す図である。
この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置を構成する制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置において、音声認識を用いて行き先を予測する処理を示すフローチャートである。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、ナビゲーションユニット1、リモートコントローラ(以下、「リモコン」と略す)2、表示装置3およびスピーカ4を備えている。
ナビゲーションユニット1は、ナビゲーション装置の全体を制御する。このナビゲーションユニット1の詳細については後述する。
リモコン2は、ユーザが、ナビゲーション装置に対して各種の指示、例えば、表示装置3に表示されている画面をスクロールさせたり、経路探索時に目的地または経由地を入力したり、表示装置3またはスピーカ4から出力される操作を促すメッセージに応答したりするために使用される。なお、リモコン2の代わりに、または、リモコン2と併用して、表示装置3の画面上に設置されたタッチセンサに直接に触れることにより、各種の指示を入力するタッチパネルを設けることもできる。
表示装置3は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)から構成されており、ナビゲーションユニット1から送られてくる表示信号に応じて、地図、自車位置マーク、誘導経路、その他の種々のメッセージを表示する。スピーカ4は、ナビゲーションユニット1から送られてくる音声信号に応じて、誘導案内メッセージを音声で出力することにより、音声によるガイダンスを行う。
次に、ナビゲーションユニット1の詳細を説明する。ナビゲーションユニット1は、制御部11、GPS(Global Positioning System)受信機12、車速センサ13、ジャイロセンサ14、道路情報受信機15、インタフェース部16、マップマッチング部17、経路探索部18、誘導案内部19、地図データベース20、地図データアクセス部21および地図描画部22を備えている。
制御部11は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、ナビゲーションユニット1の全体を制御する。上述したインタフェース部16、マップマッチング部17、経路探索部18、誘導案内部19、地図データアクセス部21および地図描画部22は、このマイクロコンピュータによって実行されるアプリケーションプログラムにより実現されている。この制御部11の詳細は後述する。
GPS受信機12は、GPS衛星からアンテナを介して受信されたGPS信号に基づき、このナビゲーション装置が搭載された車両(図示しない)の現在位置を検出する。このGPS受信機12で検出された車両の現在位置を表す現在位置データは、制御部11に送られる。
車速センサ13は、車両から送られてくる車速信号に基づき車両の移動速度を検出する。この車速センサ13で検出された車両の移動速度を表す速度データは、制御部11に送られる。ジャイロセンサ14は、車両の進行方位を検出する。このジャイロセンサ14で検出された車両の進行方位を表す方位データは、制御部11に送られる。
道路情報受信機15は、例えば、道路交通データ通信システムから送信される道路情報信号を受信する。この道路情報受信機15で受信された道路情報信号は、制御部11に送られる。制御部11は、この道路情報受信機15から一定期間毎に送られてくる道路情報信号によって示される道路情報(渋滞情報または通行可否情報など)に基づいて、例えば道路の渋滞を表すメッセージを作成し、表示装置3の画面に表示するとともに、スピーカ4から音声により出力する。
インタフェース部16は、リモコン2から送られてくる指令または図示しない操作パネルが操作されることにより発生される指令を受信し、制御部11に送る。制御部11は、この指令に応じて、例えば、画面のスクロール、施設探索、経路探索または誘導案内などを実現するための処理を実行する。
マップマッチング部17は、制御部11から送られてくる現在位置データによって示される自車位置を、地図データベース20から地図データアクセス部21および制御部11を経由して読み出した地図データによって表される地図に対応させ、地図上に自車位置マークを形成する処理を実行する。このマップマッチング部17における処理の結果は、制御部11および地図データアクセス部21を経由して地図描画部22に送られる。
経路探索部18は、制御部11から送られてくる現在位置データによって示される自車の現在位置から、リモコン2または図示しない操作パネルからインタフェース部16および制御部11を経由して送られてくる指令によって示される目的地までの経路を、地図データベース20から地図データアクセス部21および制御部11を経由して取得した地図データに基づき探索する。この経路探索部18で探索された経路は、制御部11を経由して誘導案内部19に送られるとともに、制御部11および地図データアクセス部21を経由して地図描画部22に送られる。
誘導案内部19は、地図データベース20から地図データアクセス部21および制御部11を経由して読み出した地図データに基づき、経路探索部18で探索された経路に沿って車両が移動する際に案内を行うための誘導案内図および誘導案内メッセージを生成し、表示装置3およびスピーカ4にそれぞれ送る。これにより、表示装置3に誘導案内図が表示されるとともに、スピーカ4から誘導案内メッセージが音声で出力される。
地図データベース20は、道路データおよび施設データといった地図に関連する様々なデータを、地図データとして格納している。この地図データベース20に格納された地図データは、地図データアクセス部21によって読み出される。地図データアクセス部21は、制御部11からの指示に応じて地図データベース20に格納されている地図データを読み出し、制御部11および地図描画部22に送る。
地図描画部22は、地図データアクセス部21から送られてくる地図データに基づき、表示装置3に地図などを表示させるための描画データを生成する。この地図描画部22で生成された描画データは、表示信号として表示装置3に送られる。これにより、表示装置3の画面に、地図、自車位置マーク、誘導経路、その他の種々のメッセージなどが表示される。
次に、制御部11の詳細を説明する。図2は、制御部11の機能的な構成を示すブロック図であり、この発明に関係する部分のみが示されている。この制御部11は、位置情報取得部31、操作入力部32、車両情報取得部33、外部情報取得部34、情報記録部35、行き先予測部36、描画判定切替部37、情報表示部38および音声出力部39を備えている。
位置情報取得部31は、GPS受信機12からの現在位置データを取得する。また、位置情報取得部31は、車速センサ13からの速度データおよびジャイロセンサ14からの方位データを受け取り、これら速度データおよび方位データに基づいて自立航法により車両の現在位置を検出して現在位置データを生成する。これにより、例えばトンネルまたはビルディングの谷間に入るなどによってGPS受信機12で車両の現在位置を検出できなくなっても、自立航法によって車両の現在位置を検出できるので、ナビゲーション装置は、常に正しい車両の現在位置を検出できる。この位置情報取得部31で取得された現在位置データ、または、生成された現在位置データは、行き先予測部36に送られる。
操作入力部32は、リモコン2の操作に応じてインタフェース部16から送られてくる指令を受け取り、行き先予測部36に送る。
車両情報取得部33は、当該ナビゲーション装置が搭載されている車両から車両情報、例えばガソリン(電気自動車の場合はバッテリ)の残量、警告灯の点灯の有無、バッテリの残量、搭乗人数または平均燃費などを取得し、行き先予測部36に送る。
外部情報取得部34は、外部の外部情報データベースから例えば通信により取得した外部情報、例えば天気情報、お買い得情報、ガソリンスタンドの価格情報または飲食店のクーポン情報などを一定期間毎に取得し、行き先予測部36に送る。
情報記録部35は、行き先予測部36から書き込まれた各種情報、例えば運転履歴情報、渋滞情報、車両情報または道路情報などを記憶する。運転履歴情報には、運転者の日頃の走行状況(速度、道路または走行履歴など)が含まれる。この情報記録部35に記憶されている情報は、行き先予測部36によって読み出される。なお、この情報記録部35に記憶される情報は、外部から通信により取得するように構成することもできるし、例えばUSBメモリなどのような記録媒体から取得するように構成することもできる。
また、情報記録部35には、実施の形態1に係るナビゲーション装置で記憶される情報の他に、操作履歴も記憶され、行き先予測の判定材料の1つとして使用される。
行き先予測部36は、運転履歴に関する情報、具体的には、位置情報取得部31から送られてくる現在位置データ、操作入力部32から送られてくる指令、車両情報取得部33から送られてくる車両情報、外部情報取得部34から送られてくる外部情報および情報記録部35から読み出した各種情報の少なくとも1つに基づき車両の行き先を予測する。行き先予測部36における行き先の予測には、さらに、識別判定情報(例えば、運転者、搭乗者、日時、曜日または季節など)を使用することもできる。この行き先予測部36で予測された行き先を表す行き先データは、描画判定切替部37および音声出力部39に送られる。
描画判定切替部37は、行き先予測部36から送られてくる行き先データによって示される行き先、つまり、予測された行き先で運転者が寄る可能性の高い施設アイコンを、他の一般の施設アイコンと区別して強調表示し、または、他の一般の施設アイコンを非強調表示するように切り替える。強調表示または非強調表示は、例えば、施設アイコンの大きさ、色の有無、色の濃度、アイコン表示の透過度などを異ならしめることにより行うことができる。この描画判定切替部37で切り替えられた施設アイコンを表す施設データは、情報表示部38に送られる。
情報表示部38は、描画判定切替部37から送られてくる施設データによって示される施設を表示するための表示データを生成し、地図データアクセス部21を経由して地図描画部22に送る。地図描画部22は、地図データアクセス部21から送られてくる表示データに基づき、表示装置3に描画判定切替部37で切り替えられた施設アイコンを含む地図を表示させるための描画データを生成し、表示信号として表示装置3に送る。これにより、表示装置3の画面に、描画判定切替部37で切り替えられた施設アイコンを含む地図が表示される。
音声出力部39は、行き先予測部36から送られてくる行き先データによって示される行き先を音声で出力するための音声データを生成し、誘導案内部19に送る。誘導案内部19は、音声出力部39からの音声データに基づき行き先を表す誘導案内メッセージを生成し、スピーカ4に送る。これにより、スピーカ4から誘導案内メッセージとして、行き先が音声で出力される。その結果、ユーザは、運転中に画面を注視しなくても行き先を認識できる。
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を説明する。まず、ナビゲーション装置の一般的な動作を説明する。ナビゲーション装置に電源が投入されると、現在位置データおよび地図データの取得が行われる。すなわち、制御部11は、GPS受信機12から取得した現在位置データまたは自律航法により算出した現在位置データを、マップマッチング部17に送る。
マップマッチング部17は、地図データベース20から地図データアクセス部21および制御部11を介して地図データを読み出し、制御部11から受け取った現在位置データに対応する位置に自車位置マークを重ね合わせるマッチング処理を行う。このマッチング処理が施された地図データは、制御部11および地図データアクセス部21を経由して地図描画部22に送られる。地図描画部22は、マップマッチング部17から送られてくる地図データに基づいて描画データを生成し、表示信号として表示装置3に送る。これにより、表示装置3には、自車の現在位置を中心とする地図が表示される。
次に、運転が開始されてから予測された行き先候補や、行き先候補までの直線が表示されるまでの処理を、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
運転が開始されると、図4(a)に示すように、道路、該道路上の自車位置および該道路の周囲の施設アイコンが表示される。この状態で、当該ナビゲーション装置を搭載した車両が走行すると、まず、進行方向から行く先が予測される(ステップST11)。すなわち、車両の運転がある程度行われると、運転履歴に関する情報から行き先の予測が実施される。具体的には、行き先予測部36は、位置情報取得部31から送られてくる現在位置データの変遷状態から進行方向を予測し、この予測した進行方向と情報記録部35から取得した各種情報(運転履歴情報、渋滞情報、車両情報または道路情報など)などから行き先を予測する。この行き先予測部36で予測された行き先候補を示す行き先データは、描画判定切替部37に送られる。
次いで、行き先候補の優先順位判定が行われる(ステップST12)。すなわち、行き先予測部36は、ステップST11において予測された行き先候補が複数存在する場合は、各行き先候補に対し、距離の近い順または出現する頻度の高い順に従って優先順位を付与する。この行き先予測部36で付与された優先順位は、描画判定切替部37に送られる。
次いで、画面上に行き先候補のアイコンが表示される(ステップST13)。すなわち、描画判定切替部37は、行き先予測部36から送られてくる行き先データによって示される行き先、つまり、予測された行き先の施設アイコンを、他の一般の施設アイコンと区別して強調表示し、または、他の一般の施設アイコンを非強調表示するように、例えば、施設アイコンの大きさ、色の有無、色の濃度、アイコン表示の透過度などを切り替える。図4(b)は、行き先候補の施設アイコンを、その大きさを変えて強調表示した例を示す。この際、行き先候補に詳細な施設情報がある場合は、図5(b)に示すように、行き先候補の施設アイコンに対し「!」マークが付されて表示される。これにより、ユーザは、予測された行き先候補の詳細な施設情報があるかどうかを一目で認識できる。
次いで、音声ガイダンスが実施される(ステップST14)。すなわち、音声出力部39は、行き先予測部36で予測された行き先候補が表示された旨を表す音声ガイダンスを出力する。より具体的には、音声出力部39は、行き先予測部36から送られてくる行き先データによって示される行き先を音声で出力するための音声データを生成し、誘導案内部19に送る。誘導案内部19は、音声出力部39からの音声データに基づき行き先を表す誘導案内メッセージを生成し、スピーカ4に送る。これにより、スピーカ4から誘導案内メッセージとして、行き先が音声で出力される。その結果、ユーザは、運転中に画面を注視しなくても行き先を認識できる。
次いで、詳細表示の指示があるかどうかが調べられる(ステップST15)。すなわち、例えば図5(b)に示すように、行き先候補の施設アイコンに対し「!」マークが付され詳細な候補情報が存在することが示されている場合に、その施設アイコンが押下されたかどうかが調べられる。
このステップST15において、詳細表示の指示があることが判断されると(ステップST15“YES”)、行き先更新情報詳細表示が行われる(ステップST16)。すなわち、描画判定切替部37は、行き先予測部36で予測された行き先に詳細情報または更新情報がある場合は、行き先候補の施設アイコンに、その旨を示す「!」マークを付加して描画する。この状態で、ユーザが「!」マークを押下すると、当該施設アイコンによって示される施設の詳細な情報が表示される。ステップST15において、詳細表示の指示がないことが判断されると(ステップST15“NO”)、ステップST16の処理はスキップされる。この処理により、ユーザは、詳細な更新情報が存在することを直感的に知ることができ、また、そのアイコンを押下することにより各種の詳細な情報を簡単に表示することができる。
次いで、現在地と行き先候補との間が直線で結ばれて表示される(ステップST17)。すなわち、描画判定切替部37は、行き先予測部36で予測された行き先候補と現在地を結ぶ直線を描いた描画データを生成し、表示信号として表示装置3に送る。これにより、図6(b)に示すように、表示装置3の画面に、描画判定切替部37で切り替えられた施設アイコンと自車の現在位置との間を結ぶ直線を含む地図が表示される。したがって、ユーザは、予測された行き先がどの方向にあるかを簡単に知ることができる。
なお、行き先予測部36は、距離の近い順または出現する頻度の高い順などに従って行き先候補に優先順位付けを行い、描画判定切替部37は、行き先予測部36で付与された優先順位に従って直線の線種、太さ、色または表示の有無などの少なくとも1つを変更するように構成できる。また、頻度または出現する確率により行き先候補の施設アイコンに優先順位を付与し、図7に示すように、優先順位の高いアイコンをより強調し、また、施設アイコンが重なったときは、優先順位の高いアイコンが上位になるように順番に重ねて描画し、表示装置3に表示するように構成できる。
次いで、リアルタイム更新情報表示が行われる(ステップST18)。すなわち、描画判定切替部37は、自車位置の進行にあわせ一定期間毎に行き先の予測を更新する。その後、処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、予測された行き先候補を、行き先候補以外のアイコンとは異なる形態で表示させるので、ユーザの視認性を高めることができ、その結果、利用者が今後移動すると予測された経路に関連する施設などのアイコンと通常のアイコンとを容易に識別することができる。
なお、上述したようにして予測された行き先候補のアイコンをクリックすることにより、目的地として設定するように構成できる。また、同様の操作のサブメニューから、行き先に電話をかけたり、ネットを通じて予約したりできるように構成することもできる。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置は、上述した実施の形態1に係るナビゲーション装置において行き先候補の予測に用いられる運転履歴に加えて、車内で発話された音声の内容を用いて行き先を予測するようにしたものである。なお、以下においては、実施の形態1に係るナビゲーション装置と異なる部分を中心に説明する。
図8は、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、図1に示した実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成に音声入力部5が追加されるとともに、ナビゲーションユニット1に音声認識処理部23および音声認識辞書部24が追加され、さらにナビゲーションユニット1内の制御部11が制御部11aに変更されて構成されている。
音声入力部5は、例えばマイクロフォンから構成されており、車内においてなされる搭乗者の会話内容を電気信号に変換して音声信号を生成し、音声情報として音声認識処理部23に送る。
音声認識処理部23は、音声入力部5から送られてくる音声信号によって生成される音声情報と音声認識辞書部24に格納されている音声認識辞書の音声情報とを比較して音声認識を行う。この音声認識処理部23における音声認識処理によって認識された語彙は、制御部11aに送られる。
音声認識辞書部24は、音声認識処理に用いられる音声認識辞書を格納している。音声認識辞書には、音声情報と認識語彙との対応が記述されている。この音声認識辞書部24に格納されている音声認識辞書は、上述したように音声認識処理部23によって参照される。
次に、制御部11aの詳細を説明する。図9は、制御部11aの機能的な構成を示すブロック図である。この制御部11aは、図2に示した実施の形態1に係るナビゲーション装置のナビゲーションユニット1内の制御部11に音声認識情報取得部40が追加されて構成されている。
音声認識情報取得部40は、音声認識処理部23における音声認識処理によって得られた施設名または地名などを取得し、行き先予測部36に送る。
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の動作を、音声認識によって行き先を予測する予測処理を中心に、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。この予測処理は、図3に示した処理のステップST11の代わりに実行される。
予測処理では、まず、音声認識機能が起動される(ステップST21)。この音声認識機能の起動は、車両のエンジンONによって自動的に行われる。次いで、搭乗者の音声が集音される(ステップST22)。すなわち、音声入力部5は、車内での会話内容を電気信号に変換して音声信号を生成し、音声情報として音声認識処理部23に送る。
次いで、音声内容が分析される(ステップST23)。すなわち、音声認識処理部23は、音声入力部5から受け取った音声信号によって示される音声情報と音声認識辞書部24に格納されている音声認識辞書の音声情報とを比較して音声認識を行い、この音声認識により得られた語彙を、制御部11aに送る。
次いで、キーワードが有るかどうかが調べられる(ステップST24)。すなわち、制御部11aは、音声認識処理部23から送られてきた語彙が、地名、施設名または施設名代替語などといったキーワードを含んでいるかどうかを調べる。ここで、施設名代替語とは、次のようなものをいう。例えば「お腹空いた」という語は「食事ができる周辺施設」の施設代替語であり、「お腹が痛い」という語は「周辺の病院」の施設代替語である。
このステップST24において、キーワードが無いことが判断されると、シーケンスはステップST22に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST24において、キーワードが有ることが判断されると、次いで、キーワードの有効性分析が行われる(ステップST25)。この有効性分析では、例えば、現在地または現在時刻などから判断して、行き先予測候補として妥当であるか否か、既に妥当であると判断された行き先候補と矛盾(例えば、方向が逆など)しないか、さらに、繰り返し発話されるか(所定回数以上繰り返されたとき有効と判断する)などが判断される。
次いで、「行き先予測」として扱うことができるかどうかが調べられる(ステップST26)。すなわち、ステップST25のキーワードの有効性分析において有効であるとされた地名または施設名などのキーワードを、行き先予測として扱うことができるかどうかが調べられる。このステップST26において、「行き先予測」として扱うことができないことが判断されると、シーケンスはステップST22に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST26において、「行き先予測」として扱うことができることが判断されると、キーワードが地名であるか、または、施設名であるかが調べられる(ステップST27)。このステップST27において、地名であることが判断されると、行き先方面の予測が行われる(ステップST28)。すなわち、行き先予測部36は、音声認識情報取得部40から送られてくる地名から進行方向を予測し、この予測した進行方向と情報記録部35から取得した各種情報(運転履歴情報、渋滞情報、車両情報または道路情報など)などから行き先を予測する。この行き先予測部36で予測された行き先候補を示す行き先データは、描画判定切替部37に送られる。その後、予測処理は終了する。
一方、このステップST27において、施設名であることが判断されると、行き先施設の予測が行われる(ステップST29)。その後、すなわち、行き先予測部36は、音声認識情報取得部40から送られてくる施設名から進行方向を予測し、この予測した進行方向と情報記録部35から取得した各種情報(運転履歴情報、渋滞情報、車両情報または道路情報など)などから行き先を予測する。この行き先予測部36で予測された行き先候補を示す行き先データは、描画判定切替部37に送られる。その後、予測処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置によれば、運転履歴に加えて、車内で発話された音声の内容をも用いて行き先または目的地を予測するように構成したので、予測精度が向上する。また、車両のエンジンがONされると、自動的に音声認識機能が起動されて車内での会話内容から行き先の地名または施設名の予測が行われるので、利用者は行き先や目的地を決めるための発話をする必要がない。
なお、上述した実施の形態2に係るナビゲーション装置では、利用者の会話において、同じ語彙が何度も(所定数以上)繰り返し発話された場合、その語彙に該当する施設情報の優先順位を高くし、他のアイコンと差別化して表示するように構成できる。この構成によれば、同じ語彙が何度も繰り返された場合、その語彙に該当する施設情報の優先順位が高くなったことが一目でわかる。
また、音声認識で予測された行き先候補は、会話内容が変われば予測した施設情報も変わるので、会話内容が変わった場合に、予測していた古い施設情報を消去して新しい施設情報を追加するように構成できる。なお、予測された新旧の施設情報を一度に全て入れ替えるように構成できるが、一時的に、古い施設情報と新しい施設情報を同時に表示し、話の進み具合で一方を消去していくように構成することもできる。また、新旧の施設情報のアイコンを区別し、差別化して表示するように構成することもできる。この構成によれば、時々刻々と変わる会話内容に対応できる。
また、利用者の履歴情報を活用して行き先を予測した施設情報と音声認識で予測した行き先の施設情報が一致する場合、どちらのアイコンも用いることができる。どちらのアイコンを優先するかは利用者が自由に設定できる。また、一致した施設情報のアイコンを全く異なるアイコンにして、アイコンを差別化するように構成することもできる。この構成によれば、アイコンの優先順位を利用者が自由に設定できる。
さらに、上述した実施の形態2に係るナビゲーション装置では、音声認識処理を自己の内部で行うように構成したが、音声入力部5から入力された音声情報を、ネットワークを経由してサーバに送信し、このサーバで音声認識処理を実行し、この音声認識処理によって得られた語彙をナビゲーション装置に返信し、ナビゲーション装置では、サーバから受け取った語彙を用いて施設アイコンの表示を変化させるように構成できる。この構成によれば、音声認識処理はサーバで実行されるので、音声認識の精度を向上させることができ、その結果、行き先や目的地を予測する予測精度を向上させることができる。