JPWO2011070785A1 - 誘導加熱装置およびそれを備えた誘導加熱調理器 - Google Patents

誘導加熱装置およびそれを備えた誘導加熱調理器 Download PDF

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Abstract

本発明の誘導加熱装置は、複数のスイッチング素子(46,47)のオンオフ動作により交流信号を出力するインバータ回路(40)と、複数のスイッチング素子を駆動制御する制御部(52)と、被加熱物を誘導加熱する加熱コイル(48,49)と共振コンデンサ(50,51)をそれぞれが含む複数の共振回路(56,57)とを備え、複数の共振回路のそれぞれが有する共振周波数のうち、最も高い共振周波数より高い周波数の領域、若しくは最も低い共振周波数より低い周波数の領域を動作領域としてスイッチング素子を駆動制御し、複数の共振回路におけるそれぞれの加熱コイルが組み合わされて少なくとも1つの誘導加熱源が構成されている。

Description

本発明は、加熱コイルを用いて被加熱物を誘導加熱する誘導加熱装置に関し、特に、複数の加熱コイルを用いて被加熱物である金属製の鍋などを誘導加熱する誘導加熱装置およびその誘導加熱装置を備えた誘導加熱調理器に関するものである。
従来の一般的な誘導加熱調理器について添付の図面を用いて説明する。図19Aは従来の誘導加熱調理器を厨房装置のキャビネットに組み入れた状態を示す断面図である。図19Bは図19Aに示した従来の誘導加熱調理器を示す平面図である。
図19Aおよび図19Bに示すように、誘導加熱調理器は、耐熱性ガラスなどの非金属で形成された平板状のトッププレート1と、トッププレート1の下側に設けた収容部8とにより筐体が構成されている。トッププレート1上の所定の位置(加熱領域)には被加熱物である鍋などが載置されて誘導加熱される。
収容部8の内部には、トッププレート1上に載置された被加熱物を誘導加熱するための加熱コイル21,22,23が、トッププレート1の裏面から約5mm程度の空間を有して配設されている。
図19Aおよび図19Bに示す誘導加熱調理器においては、3つの加熱コイル21,22,23が配設されており、左側加熱コイル21および右側加熱コイル22が手前側に配置されており、左側加熱コイル21および右側加熱コイル22の中央の奥側には中央加熱コイル23が配置されている。なお、図19Bの平面図で示す誘導加熱調理器においては、図面の下側で使用者が当該誘導加熱調理器を操作しており、前記の「左側」、「右側」、「手前側」および「奥側」とは使用者から見て左側、右側、手前側および奥側を示す。
収容部8の内部において、左側加熱コイル21の下方には焼き魚などの調理を行うためのロースタ6が配設されている。ロースタ6の内部には電気抵抗式のヒータ、焼き網、受け皿が配設されている。
また、収容部8の内部において、ロースタ6の右側には、3つの加熱コイル(左側加熱コイル21、右側加熱コイル22、中央加熱コイル23)のそれぞれに交流電流を供給するインバータ回路5が配設されている。インバータ回路5は各加熱コイル21,22,23に対応する複数のインバータ回路基板が上下位置に配置された構成である(例えば、特許第3613109号公報(特許文献1)参照)。
図20および図21は、従来の誘導加熱調理器に用いられている加熱コイルの形状を示す平面図である。誘導加熱は加熱コイルに流れる電流により発生する磁束で被加熱物を加熱するものであるため、磁束の偏りが大きい場合には加熱ムラが発生するという問題を有している。
図20に示した従来の一般的な加熱コイル24は、コイル線を渦巻き状に連続して等間隔で巻いた構成である。このような図20に示した加熱コイル24においては、渦巻き状の加熱コイル24の中心部分(内径側領域)や外側部分(外径側領域)では磁束密度が低く、内径側領域と外径側領域の間である中間領域では磁束密度が高くなっており、磁束の偏りが発生する。そこで、加熱コイルの中間領域付近に磁束が偏るのを抑制するため、加熱コイルの中間領域に間隙部を形成した構成が提案されている(例えば、特開2005−353458号公報(特許文献2)参照)。
図21に示す加熱コイル25は、加熱コイル25の中間領域にコイル線が存在しない間隙部26が形成された分割巻き形状である。図21に示すように、加熱コイル26の中間領域に間隙部26を有する分割巻き形状とすることにより、被加熱物である鍋の温度を検知する温度センサ33を鍋の温度が最も上昇する加熱コイル25の中間領域に配設することが可能となる。
図22は、従来の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の構成を示す回路図である。図22において、インバータ回路は、加熱コイル30に対して交流電流を入力して電力を供給することにより、トッププレート上に載置された被加熱物34は、渦電流を生じて発熱する。
インバータ回路は、2つのスイッチング素子31,32のオンオフ動作により直流を高周波の交流に変換して、加熱コイル30を有する共振回路に供給している。図22に示すインバータ回路は、加熱コイル30に高周波の交流電流を流すための回路構成であり、従来の誘導加熱調理器において採用されている一般的なインバータ回路の回路構成である。
また、従来の誘導加熱装置においては、複数の加熱領域を有し、それぞれの加熱領域の下方に配設された加熱コイルにより、それぞれの加熱領域に載置された被加熱物を誘導加熱する構成のものがある(例えば、特許第2722738号公報(特許文献3)参照)。特許文献3に開示された従来の誘導加熱装置は、加熱コイルを有する複数の共振回路を有しており、その複数の共振回路に対して一つのインバータ回路が接続されている。特許文献3に開示された従来の誘導加熱装置においては、それぞれの共振回路が互いに異なる共振周波数を有しており、複数の加熱コイルを切り替えて駆動するよう構成されている。また、この従来の誘導加熱装置においては、インバータ回路の動作周波数により、各加熱コイルにおける加熱電力の比率を制御するよう構成されている。
特許第3613109号公報 特開2005−353458号公報 特許第2722738号公報
上記のように、特許文献3に開示された従来の誘導加熱装置においては、複数の加熱コイルにおける加熱電力の比率を1つのインバータ回路の動作周波数により制御する構成であるため、インバータ回路の動作周波数を任意に変更できないという問題がある。
図23は、特許文献3に開示された従来の誘導加熱装置において、インバータ回路に異なる電圧(70V,85V,100V)が入力されたとき、2つの加熱コイル(第1の加熱コイル、第2の加熱コイル)の加熱電圧の周波数特性を示す図である。図23においては、インバータ回路に85Vの直流電圧が入力されて、インバータ回路が26kHzの周波数で動作したとき、第1の加熱コイルの加熱出力が1000Wであり、第2の加熱コイルの加熱出力が600Wであることを示している。また、図23に示すように、別々の加熱コイルを有する2つの共振回路が異なる共振周波数を有しており、第1の加熱コイルを有する共振回路の共振周波数が25kHzであり、第2の加熱コイルを有する共振回路の共振周波数が28kHzである。
図23においては、2つの共振回路の共振周波数である25kHzと28kHzの間の周波数である26kHzでインバータ回路を動作させたときの状態を2つの動作点(A,B)で示している。26kHzの動作周波数により、第1の加熱コイルおよび第2の加熱コイルの加熱電力の比率が1000W:600W、即ち5:3に設定されている。
図23に示す周波数特性を有する従来の誘導加熱装置においては、2つの加熱コイルの加熱電力を調節するために、2つの共振回路の共振周波数の間の周波数においてインバータ回路の動作周波数を連続的に変化させたとしても、加熱電力の調整は困難である。例えば、インバータ回路の動作周波数を徐々に高くしていくと、第1の加熱コイルの加熱電力は徐々に小さくなり、第2の加熱コイルの加熱電力は徐々に大きくなる。このため、第1の加熱コイルおよび第2の加熱コイルの加熱電力の合算値は、単純な増大や、若しくは減少することにはならず、動作周波数と加熱電力の合算値との関連性を導くことは非常に困難である。したがって、従来の誘導加熱装置においては、インバータ回路の動作周波数を変更することにより、加熱電力の合算値を調節することはできなかった。
また、図23に示す周波数特性において、第2の加熱コイルを含む共振回路の共振周波数(28kHz)より低い周波数でインバータ回路を動作(例えば、26kHz)させている。誘導加熱装置における加熱コイルのインダクタンス(L)は、加熱コイルと被加熱物が磁気結合しているときよりも磁気結合していないときの方が大きな値を示す。
共振周波数fLCと加熱コイルのインダクタンスLと共振コンデンサのキャパシタンスCとの間には、下記式(1)の関係がある。
[数1] fLC=1/2π√(LC) (1)
したがって、式(1)から明らかなように、第2の加熱コイルと被加熱物が磁気結合していない場合には共振周波数は低くなる。
そのため、第2の加熱コイルと被加熱物との間に磁気結合がない場合、即ち、第2の加熱コイルの近傍に被加熱物が存在しない場合には、第2の加熱コイルを含む共振回路の共振周波数がインバータ回路の動作周波数近傍に設定されてしまう。
さらに、第2の加熱コイルと被加熱物が磁気結合していない場合には、第2の加熱コイルを含む共振回路のQ値が大きくなり、第2の加熱コイルやインバータ回路には非常に多くの電流が流れることになる。この結果、スイッチング素子の破壊や、加熱コイルの発熱が増大して、加熱効率が大幅に低下するという問題を従来の誘導加熱調理器は有していた。
本発明は、前述の従来の誘導加熱調理器および誘導加熱装置の構成における各種問題を解決するものであり、従来の構成よりも制御の自由度を増して負荷変動や設定電力の変更に対して高精度に対応することができるとともに、製造コストを低減し、そして高い安全性、特に小さな被加熱物、例えば小鍋を加熱するときの漏洩磁界を低減することができる誘導加熱装置および誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の態様の誘導加熱装置は、複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子の駆動により交流信号を出力するインバータ回路と、
前記複数のスイッチング素子を駆動制御する制御部と、
前記インバータ回路に並列接続されると共に、被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと共振コンデンサをそれぞれが含む複数の共振回路と、を備え、
前記制御部は、前記複数の共振回路のそれぞれが有する共振周波数のうち、最も高い共振周波数より高い周波数の領域、若しくは最も低い共振周波数より低い周波数の領域を動作領域として前記複数のスイッチング素子を駆動制御し、前記複数の共振回路におけるそれぞれの加熱コイルが組み合わされて少なくとも1つの誘導加熱源が形成され、前記少なくとも1つの誘導加熱源により被加熱物を誘導加熱するよう構成されている。このように構成された本発明の第1の態様の誘導加熱装置は、負荷変動や設定電力の変更に対して高精度に対応することができる信頼性の高い装置になるとともに、製造コストの低減、高い安全性を有する。
本発明に係る第2の態様の誘導加熱装置は、特に第1の態様における前記スイッチング素子の動作領域において、前記1つの誘導加熱源を構成する全ての加熱コイルが被加熱物を誘導加熱するように、前記複数の共振回路における少なくとも前記加熱コイルのインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスを設定するよう構成してもよい。このように構成された本発明の第2の態様の誘導加熱装置は、インバータ回路の動作周波数を変更して電力の調節を行うことが可能となる。また、インバータ回路の動作周波数を変更して複数の加熱コイルのそれぞれから1つの被加熱物に供給する電力の比率を変更することが可能となり、当該被加熱物が必要とする電力バランスや温度分布に対応した調整が可能となる。
本発明に係る第3の態様の誘導加熱装置において、特に第1の態様における前記制御部を、前記複数の共振回路のそれぞれが有する共振周波数のうち、最も高い共振周波数より高い周波数の領域のみを動作領域として前記スイッチング素子を駆動制御するよう構成してもよい。このように構成された本発明の第3の態様の誘導加熱装置においては、インバータ回路の動作周波数を低くすると複数の加熱コイルに入力する電力全てが高くなるため、それぞれの加熱コイルに入力する電力の合算値も大きくなる。このため、インバータ回路の動作周波数を変更することにより加熱コイルに入力する電力の調節を精度高く行うことができる。また、被加熱物と磁気結合しない加熱コイルがあった場合には、当該加熱コイルの共振周波数がインバータ回路の動作周波数から離れているため、当該加熱コイルには電力の供給が少なくなり、インバータ回路に多くの電流が流れすぎてインバータ回路が破壊されることが防止される。さらに、スイッチング素子に正の電流が流れている期間にスイッチング動作が可能となり、スイッチング素子を導通状態から非導通状態に遷移する際にスイッチング素子に印加される電圧を緩やかに変化させて、スイッチング動作による損失を低減することができる。
本発明に係る第4の態様の誘導加熱装置において、特に第3の態様における前記共振回路に並列にスナバ回路を接続する構成としてもよい。このように構成された本発明の第4の態様の誘導加熱装置においては、スイッチング素子におけるスイッチング動作により発生するスイッチング損失を低減して、加熱効率を更に高めることが可能となる。
本発明に係る第5の態様の誘導加熱装置において、特に第1の態様における前記制御部は、前記複数の共振回路のそれぞれが有する共振周波数のうち、最も低い共振周波数より低い周波数の領域のみを動作領域として前記スイッチング素子を駆動制御するよう構成してもよい。このように構成された本発明の第5の態様の誘導加熱装置においては、インバータ回路の動作周波数を変更して電力を高精度に調節することが可能となる。また、動作周波数を変更して複数の加熱コイルのそれぞれから被加熱物に供給する電力の比率を変更することが可能となり、被加熱物が必要とする電力バランスや温度分布に対応できる量を容易に、且つ確実に調整することができる。
本発明に係る第6の態様の誘導加熱装置において、特に第5の態様における前記複数のスイッチング素子とインダクタが直列接続され、電流位相を電圧位相より進ませるように前記複数のスイッチング素子がソフトスイッチング動作する構成としてもよい。このように構成された本発明の第6の態様の誘導加熱装置においては、インバータ回路の動作周波数を変更して電力を高精度に調節することが可能となる。
本発明に係る第7の態様の誘導加熱装置において、特に第5の態様における前記複数の共振回路における各共振周波数を、前記加熱コイルのインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスにより異なる値に設定してもよい。このように構成された本発明の第7の態様の誘導加熱装置においては、共振回路のQ値に関係なく、一定の動作周波数で複数の加熱コイルのそれぞれから被加熱物に対して供給する電力の比率を変更することが可能となり、被加熱物が必要とする電力バランスや温度分布に対応させることができる。さらに、それぞれの加熱コイルの温度や被加熱物の温度に対応させて、各加熱コイルに対する電力供給を調整することも可能である。
本発明に係る第8の態様の誘導加熱装置は、特に第7の態様における前記複数の共振回路において、入力する電力が大きい加熱コイルを含む共振回路の共振周波数を、入力する電力が小さい加熱コイルを含む共振回路の共振周波数より高く設定してもよい。このように構成された本発明の第8の態様の誘導加熱装置においては、入力する電力が大きい加熱コイルの共振周波数に近い周波数の領域において、インバータ回路が動作することになるため、入力する電力が大きい加熱コイルに対して電力の入力がスムーズであり、効率よく加熱することができる。
本発明に係る第9の態様の誘導加熱装置は、特に第1乃至第8の態様において、1つの誘導加熱源を構成する複数の加熱コイルのそれぞれに入力する電力の比率が、前記複数の加熱コイルのそれぞれにおける被加熱物に対向する面積に対応する比率となるよう構成してもよい。このように構成された本発明の第9の態様の誘導加熱装置においては、複数の加熱コイルのそれぞれから被加熱物に対して供給する電力における単位面積当たりの電力供給比率の差が小さくなり、被加熱物を均一に加熱することができる構成となる。
本発明に係る第10の態様の誘導加熱装置は、特に第1乃至第8の態様において、1つの誘導加熱源を構成する複数の加熱コイルに流す電流値の比率が、前記複数の加熱コイルのそれぞれを形成するコイル線における電流の流れる方向に直交する断面積に対応する比率となるよう構成してもよい。このように構成された本発明の第10の態様の誘導加熱装置においては、電流が少ない加熱コイルの断面積を小さくすることにより、加熱コイルのコイル線における銅の使用量を低減することが可能となり、加熱コイルの製造コストを抑制することができる。
本発明に係る第11の態様の誘導加熱装置は、特に第1乃至第10の態様において、1つの誘導加熱源を構成する複数の加熱コイルを、同一平面状に配設してもよい。このように構成された本発明の第11の態様の誘導加熱装置においては、加熱領域に載置された被加熱物に対して均一に加熱することができる。また、加熱領域に載置された被加熱物に対向する加熱コイルに供給する電力の比率を高くすることができるため、例えば被加熱物が加熱領域の中心部からずれて載置されたとしても、高い効率で誘導加熱することが可能となる。
本発明に係る第12の態様の誘導加熱装置は、特に第3の態様において、1つの誘導加熱源を構成する複数の加熱コイルを、それぞれが異なる直径を有するコイル状に形成して、同心円状に配設してもよい。このように構成された本発明の第12の態様の誘導加熱装置においては、被加熱物と磁気結合していない直径の大きな加熱コイルには電力を供給せず、被加熱物と磁気結合している直径の小さな加熱コイルには電力を多く供給することができる構成となる。このため、被加熱物の大きさが様々であっても、被加熱物のサイズに合わせて効率の高い誘導加熱を行うことができる。
本発明に係る第13の態様の誘導加熱調理器は、被加熱物を載置するトッププレートと、
前記トッププレートの下方に誘導加熱源としての複数の加熱コイルが配設され前述の第1乃至第12の態様におけるいずれかの誘導加熱装置と、を備えている。このように構成された本発明の第13の態様の誘導加熱調理器は、負荷変動や設定電力の変更に対して高精度に対応することができる信頼性の高い調理器になるとともに、製造コストの低減、および高い安全性を有する調理器となる。本発明の誘導加熱調理においては、被加熱物が上方に存在しない加熱コイルに対して、流れる電流を少なくすることが可能であり、漏洩磁界を低減することができる構成となる。
本発明に係る第14の態様の誘導加熱調理器は、特に第13の態様において、前記トッププレートは、被加熱物を載置する複数の加熱領域を有すると共に、前記複数の加熱領域における少なくとも1つの加熱領域に対する誘導加熱源として前記誘導加熱装置が備える構成としてもよい。このように構成された本発明の第14の態様の誘導加熱調理器は、1つの加熱領域において、その加熱領域に比較して小さい鍋を加熱するとき、その加熱領域からの漏洩磁界を抑制することが可能であり、他の加熱領域において被加熱物を誘導加熱するときに生じる加熱コイル間の磁気干渉を抑えることができ、干渉音の発生を抑制することができる。
本発明によれば、負荷の変動に対して適切に対応することができるとともに、製造コストの低減、および高い安全性を有する誘導加熱装置および誘導加熱調理器を提供することができる。
本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器におけるインバータ回路などの構成を示す回路図 実施の形態1におけるインバータ回路の動作周波数と、加熱コイルに入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図 本発明に係る実施の形態2の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の動作周波数と、加熱コイルに入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図 実施の形態2の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の動作周波数と、加熱コイルに入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図 本発明に係る実施の形態3の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の動作周波数と、加熱コイルに入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図 実施の形態3の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の動作周波数と、加熱コイルに入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図 実施の形態3の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の動作周波数と、加熱コイルに入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図 本発明に係る実施の形態4の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の動作周波数と、加熱コイルに入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図 本発明に係る実施の形態5の誘導加熱調理器における加熱コイルの概略形状を示す平面図 本発明に係る実施の形態6の誘導加熱調理器における加熱コイルの形状と加熱コイルの断面を示す図 実施の形態6の誘導加熱調理器における誘導加熱装置の加熱コイルに流れる電流波形を示す図 本発明に係る実施の形態7の誘導加熱調理器における誘導加熱装置の加熱コイルの平面図 本発明に係る実施の形態7の誘導加熱調理器における加熱動作において、誘導加熱装置の加熱コイルと、被加熱物と、被加熱物内部の内容物との関係を示す配置図 本発明に係る実施の形態8の誘導加熱調理器における誘導加熱装置のインバータ回路などの構成を示す回路図 実施の形態8の誘導加熱調理器における誘導加熱装置のインバータ回路の動作周波数と、加熱コイルに入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図 本発明に係る実施の形態9の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の動作周波数と、各加熱コイルに入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図 本発明に係る誘導加熱調理器における誘導加熱装置の他の構成を示す回路図 本発明に係る誘導加熱調理器における誘導加熱装置のさらに他の構成を示す回路図 従来の誘導加熱調理器を厨房装置のキャビネットに組み入れた状態を示す断面図 従来の誘導加熱調理器を厨房装置のキャビネットに組み入れた状態を示す平面図 従来の誘導加熱調理器に用いられている加熱コイルの形状を示す平面図 従来の誘導加熱調理器に用いられている加熱コイルの形状を示す平面図 従来の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の構成を示す回路図 従来の誘導加熱装置において、インバータ回路に異なる電圧が入力されたときの2つの加熱コイルの周波数特性を示す図
以下、本発明の誘導加熱装置に係る実施の形態として誘導加熱装置を用いた誘導加熱調理器について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明の誘導加熱装置は、以下の実施の形態に記載した誘導加熱調理器に用いた誘導加熱装置に限定されるものではなく、以下の実施の形態において説明する技術的思想と同等の技術的思想及び当技術分野における技術常識に基づいて構成される誘導加熱装置を含むものである。
(実施の形態1)
本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器は、前述の図19Aおよび図19Bを用いて説明した誘導加熱調理器と外観構成は実質的には同じであり、鍋などの被加熱物を載置するトッププレート、および後述する加熱コイルやインバータ回路などを収納する収容部により外観が構成されている。このように構成された誘導加熱調理器が厨房装置のキャビネットなどに組み入れて使用される。
図1は、本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器における誘導加熱装置のインバータ回路などの構成を示す回路図である。図1に示すように、誘導加熱装置は、電圧源である商用電源41から電力が供給されるインバータ回路40、インバータ回路40を駆動制御する制御部52、および加熱コイル48,49と共振コンデンサ50,51をそれぞれが有する複数の共振回路56,57を備えている。図1においては、誘導加熱装置における各要素の接続関係が示されている。
なお、実施の形態1の誘導加熱装置において、第1の加熱コイル48と第1の共振コンデンサ50により第1の共振回路56が構成されており、第2の加熱コイル49と第2の共振コンデンサ51により第2の共振回路57が構成されている。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、被加熱物が載置される1つの加熱領域に対して大小の直径が異なる2つの加熱コイル48,49により誘導加熱されるよう構成されている。1つの加熱領域における内側領域に存在する被加熱物が、第1の加熱コイル48(小径加熱コイル)により加熱され、外側領域に存在する被加熱物が、第2の加熱コイル49(大径加熱コイル)により加熱されるように構成されている。
図2は、本発明に係る実施の形態1における誘導加熱装置のインバータ回路40の動作周波数と、各加熱コイル48,49に入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図であり、横軸が動作周波数[kHz]、縦軸が加熱コイル48,49に入力できる最大電力[W]である。図2において、波形W1は動作周波数と第1の加熱コイル48に入力できる最大電力との関係を示しており、波形W2は動作周波数と第2の加熱コイル49に入力できる最大電力との関係を示している。また、波形W3は第1の加熱コイル48に入力できる最大電力と第2の加熱コイル49に入力できる最大電力の合算値と動作周波数との関係を示している。波形W1および波形W2は、トッププレート上の加熱領域に被加熱物が載置されているときの周波数特性であり、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49の両方の加熱コイルの上方に被加熱物が存在する状態における周波数特性を示している。
図1において、インバータ回路40に電力を供給する商用電源41は、交流電源であり、交流電源を直流電源に変換するためにインバータ回路40のダイオードブリッジ42に接続されている。
インバータ回路40において、ダイオードブリッジ42の出力端には、ダイオードブリッジ42から出力された全波整流された直流電源を平滑し、インバータ回路40のスイッチング動作により発生する電磁ノイズを商用電源41に伝達させないように、フィルタ回路60が接続されている。フィルタ回路60は、第1のフィルタコンデンサ43、フィルタインダクタ44、および第2のフィルタコンデンサ45により構成されている。第1のフィルタコンデンサ43および第2のフィルタコンデンサ45は、ダイオードブリッジ42の出力端である高電位側母線(以降、正の母線)および低電位側母線(以降、負の母線)の間に並列に設けられている。また、フィルタインダクタ44は、第1のフィルタコンデンサ43および第2のフィルタコンデンサ45を接続するように高電位側母線に設けられている。
フィルタ回路60の出力端となる第2のフィルタコンデンサ45の両端には、第1の逆導通ダイオード54が並列接続された第1のスイッチング素子46と、第2の逆導通ダイオード55が並列接続された第2のスイッチング素子47が電気的に直列に接続されている。
第1のスイッチング素子46と第2のスイッチング素子47の接続点には、直径が小さい第1の加熱コイル48の一端、および直径が大きい第2の加熱コイル49の一端がそれぞれ接続されている。
第1の加熱コイル48の他端には第1の共振コンデンサ50の一端が接続されており、第1の加熱コイル48と第1の共振コンデンサ50は電気的に直列に接続されている。また、第2の加熱コイル49の他端には第2の共振コンデンサ51の一端が接続されており、第2の加熱コイル49と第2の共振コンデンサ51は電気的に直列に接続されている。第1の共振コンデンサ50の他端および第2の共振コンデンサ51の他端は、負の母線に接続されている。
実施の形態1における誘導加熱装置のインバータ回路40においては、第1のスイッチング素子46および第2のスイッチング素子47のスイッチング動作(オンオフ動作)により生じるスイッチング損失を低減するために、スナバコンデンサ53が第2のスイッチング素子47と電気的に並列に接続されている。スナバコンデンサ53の両端が、インバータ回路40の出力端となり、それぞれの加熱コイル48,49に共振コンデンサ50,51を介して接続されている
実施の形態1における誘導加熱装置には、第1のスイッチング素子46および第2のスイッチング素子47を駆動制御するための制御部52が設けられている。制御部52は、第1のスイッチング素子46と第2のスイッチング素子47を排他的にオンオフ動作させるように駆動制御するとともに、第1のスイッチング素子46と第2のスイッチング素子47の動作周波数、およびデューティ比(オンオフ期間の比率)を制御して、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49に入力する電力を調節している。
次に、以上のように構成された実施の形態1の誘導加熱調理器における動作について説明する。
まず、実施の形態1におけるインバータ回路40の動作について説明する。実施の形態1におけるインバータ回路40においては、第1のスイッチング素子46と第2のスイッチング素子47の動作周波数およびデューティ比を変更することにより、第1の加熱コイル48と第2の加熱コイル49に入力する電力、即ち、被加熱物に供給される電力を一定の範囲内で任意の値に制御することができる。なお、第1のスイッチング素子46と第2のスイッチング素子47の動作周波数を、以降の説明においてインバータ回路40の動作周波数と称す。
デューティ比を変更して加熱コイル48,49に入力する電力を制御する場合、正の母線と負の母線の電位差が一定の条件下では、デューティ比を0.5、即ち、第1のスイッチング素子46と第2のスイッチング素子47のオンオフ期間の比率が1:1のときに、加熱コイル48,49に入力する電力が最大となる。
逆に、デューティ比を0.1や0.9など、0.5の値から遠ざければ遠ざけるほど加熱コイル48,49に入力する電力は小さくなる。
また、インバータ回路40の動作周波数を変更して加熱コイル48,49に入力する電力を制御する場合、正の母線と負の母線の電位差が一定の条件下では、図2の周波数特性に示したように、インバータ回路40の動作周波数を共振回路56,57の共振周波数f1に近づけることにより、加熱コイル48,49に入力する電力は大きくなる。
図2に示した周波数特性の波形は、デューティ比を0.5で一定とした場合であり、最大の電力が加熱コイル48,49に入力されている場合である。したがって、デューティ比を変更すれば、図2に示した周波数特性の波形が示す電力よりも小さい電力を加熱コイルに入力することが可能である。
図2に示した波形(W1,W2,W3)は、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49の両方の加熱コイルに対向する加熱領域に被加熱物が載置されているときの特性曲線である。図2においては、インバータ回路40の動作周波数と、加熱コイル48,49に入力できる最大電力との関係を示す特性曲線が示されている。
図2において、波形W1は、インバータ回路40の動作周波数と第1の加熱コイル48に入力できる最大電力との関係を示す周波数特性であり、波形W2は、インバータ回路40の動作周波数と第2の加熱コイル49に入力できる最大電力との関係を示す周波数特性である。また、波形W3は、第1の加熱コイル48に入力できる最大電力と第2の加熱コイル49に入力できる最大電力の合算値を示す周波数特性である。
2つの加熱コイル48,49で1つの被加熱物である鍋を加熱するとき、鍋に供給される電力は2つの加熱コイル48,49に入力される電力の合算値となる。したがって、図2に示す波形W3が示す電力は被加熱物である鍋に供給される総電力を示す。
インバータ回路40の動作周波数が、第1の加熱コイル48と第1の共振コンデンサ50で構成された第1の共振回路56の共振周波数より高い周波数領域であり、且つ第2の加熱コイル49と第2の共振コンデンサ51で構成された第2の共振回路57の共振周波数より高い周波数領域においては、インバータ回路40の動作周波数を低くしていくと、2つの加熱コイル48,49のそれぞれに入力される電力はどちらも大きくなっていく。図2において、第1の共振回路56の共振周波数より高い周波数領域であり、且つ第2の共振回路57の共振周波数より高い周波数領域をハッチングで示しており、このハッチングで示す領域が動作領域である。図2に示す周波数特性においては、第1の共振回路56の共振周波数と、第2の共振回路57の共振周波数は共に周波数f1で一致している。
上記の動作領域においては、動作周波数が設定されることにより、第1の加熱コイル48に入力される電力と第2の加熱コイル49に入力される電力の合算値が決定され、動作周波数が小さくなるにしたがって、その合算値は大きくなる。したがって、動作領域においてインバータ回路40の動作周波数を変更することにより、被加熱物である鍋に供給する電力を容易に精度高く調節することが可能となる。
誘導加熱調理器においては、加熱コイルへの入力電流とインバータ回路の動作周波数との関係により、加熱コイル上のトッププレートの加熱領域に被加熱物が載置されているか否かを検知し、どのような材質の被加熱物が載置されているかを判別している。このような検知や判別を行うために、インバータ回路の動作周波数と入力電流との関係が予め精度高く把握されていることが必要である。更に、誘導加熱調理器においては、被加熱物の負荷特性に適した動作周波数を選定して駆動する場合や、様々な種類の被加熱物を一定の電力を供給して加熱する場合においても、インバータ回路の動作周波数を精度高く調整することが望まれている。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、前述のように、加熱電力と動作周波数との関係が特定の動作領域を使用することにより単純化されており、容易に標準化できるものとなっている。このため、インバータ回路40の動作周波数と入力電流などに基づいて、被加熱物に対する精度の高い検知および判別が可能であり、所望の状態で適切に加熱動作を行うことが可能である。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、インバータ回路40の動作周波数と加熱コイルに入力する電力との関係が、特定の領域(動作領域)を用いているため、容易に標準化ができる構成となる。したがって、実施の形態1の誘導加熱調理器は、負荷変動の激しい調理器において適用することにより、負荷に応じた適切な誘導加熱を随時行うことができる。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、2つの加熱コイル48,49に流れる電流を制御しているにもかかわらず、インバータ回路内のスイッチング素子46,47の数は従来のインバータ回路のスイッチング素子の数と変わらず、2個で制御できる構成である。このため、実施の形態1の誘導加熱調理器は、制御が容易であると共に、回路構成が単純であり、高機能を有するにもかかわらず製造コストの増加を招くことがない安価な構成となる。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、上記のように共振回路56,57の共振周波数よりも高い周波数の領域(動作領域)でインバータ回路40を動作させる構成である。したがって、インバータ回路40においては、電圧の位相に対して電流の位相が遅れるため、スイッチング素子46,47が導通状態(オン)から非導通状態(オフ)へ遷移するとき、当該スイッチング素子46,47に電流が流れる状態となる。この遷移時に流れる電流がスナバコンデンサ53に流れる構成であるため、スナバコンデンサ53においては電荷の充放電が行われる。このようにスナバコンデンサ53における充放電動作により、スイッチング素子46,47の両端電圧は一定の傾きを有して、安定した変化となる。この結果、スイッチング素子46,47における電圧および電流の積で決まる、スイッチング素子46,47におけるスイッチング損失が低減される。したがって、実施の形態1の誘導加熱調理器は、高い電力変換効率を有する省エネルギーの調理器となる。また、上記のようにスナバコンデンサ53を設けることにより、スイッチング素子46,47におけるスイッチング損失が低減されるため、スイッチング素子46,47の放熱構成を簡素化することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2の誘導加熱調理器について説明する。なお、実施の形態2の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ構成を有している。実施の形態2の誘導加熱調理器において、実施の形態1の誘導加熱調理器と異なる点は、インバータ回路における制御動作である。したがって、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。実施の形態2の誘導加熱調理器の構成は、前述の図1に示した実施の形態1の誘導加熱調理器と同様である。
図3および図4は、実施の形態2の誘導加熱調理器における誘導加熱装置のインバータ回路40の動作周波数と、加熱コイル48,49に入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図である。図3および図4において、横軸が動作周波数[kHz]、縦軸が加熱コイル48,49に入力できる最大電力[W]である。
図3に示す周波数特性において、波形W1および波形W2は、図2に示した周波数特性と同様に、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49の両方の加熱コイルの上方に被加熱物が存在する状態における周波数特性である。図3における波形W4は、第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が存在していないときのインバータ回路40の動作周波数と、第2の加熱コイル49に入力できる最大電力との関係を示した周波数特性である。
次に、図3に示す周波数特性を参照して、実施の形態2の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の制御動作について説明する。
実施の形態2の誘導加熱調理器において、実施の形態1の誘導加熱調理器と同様にトッププレートの加熱領域の内側直下にある第1の加熱コイル48、およびトッププレートの加熱領域の外側直下にある第2の加熱コイル49の2つの加熱コイル48,49により、当該加熱領域に載置された被加熱物、例えば1つの鍋を加熱するよう構成されている。このように構成された実施の形態2の誘導加熱調理器において、被加熱物である鍋がトッププレートの加熱領域に載置されたとき、当該鍋の大きさによっては、第1の加熱コイル48の上方には鍋が存在するが、第2の加熱コイル49の上方には鍋が存在しない場合が生じる。
第2の加熱コイル49の上方に鍋が存在せず、第2の加熱コイル49と鍋が磁気結合していない場合には、磁気結合しているときに比べて第2の加熱コイル49の両端間の電気的抵抗Rは減少するとともに、インダクタンスLは増大する。
そのため、前述した式(1)に示す関係により、共振周波数fLCは低くなる。したがって、図3に示すように、第2の加熱コイル49と鍋が磁気結合していないときの共振周波数f4(波形W4)は、磁気結合しているときの共振周波数f1よりも低くなっている。
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、実施の形態1の誘導加熱調理器と同様に、インバータ回路40が共振周波数f1よりも高い周波数領域(動作領域)において動作するよう制御されている。このため、波形W4の共振周波数f4はインバータ回路40の動作周波数から離れている。
図3に示すように、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49のそれぞれの上方に鍋が存在するときには、波形W1(第1の加熱コイル48)および波形W2(第2の加熱コイル49)に示すように、第2の加熱コイル49に入力される電力は第1の加熱コイル48に入力される電力より大きくなる(図3において電力差V1参照)。
一方、第1の加熱コイル48の上方に鍋が存在し、第2の加熱コイル49の上方に鍋が載置しないときには、波形W1(第1の加熱コイル48における周波数特性)および波形W4(第2の加熱コイル49における周波数特性)となる。このような周波数特性を示す場合において、インバータ回路40の動作周波数を、共振周波数f1より高い周波数領域を動作領域とした場合、第2の加熱コイル49に入力される電力は第1の加熱コイル48に入力される電力よりも小さくなる(図3において電力差V2参照)。
したがって、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、共振周波数f1よりも高い周波数領域でインバータ回路40を動作させることにより、被加熱物が上方に存在する第1の加熱コイル48に対して入力する電力は維持させつつ、被加熱物が上方に存在していない第2の加熱コイル49に対して入力する電力は複雑な制御を行うことなく、自動的に小さくなっている。
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、上記のようにインバータ回路40を駆動制御することにより、被加熱物がその上方に載置されておらず加熱に寄与しない第2の加熱コイル49に対しては、電流が少なくなる。このため、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、第2の加熱コイル49のコイル線に電流が流れることによって発生する導通損失を大幅に抑えることができ、加熱効率の向上を図ることができる構成となる。
また、第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が載置されていない場合には、第2の加熱コイル49の両端間の抵抗Rが著しく減少するため、第2の加熱コイル49と第2の共振コンデンサ51で構成された第2の共振回路57(図1参照)のQ値が大きくなる。この結果、第2の加熱コイル49に関する周波数特性は、図3において波形W4で示す周波数特性となり、共振周波数f4の近傍では第2の加熱コイル49に入力できる電力は著しく増大する。この増大した電力は、第2の加熱コイル49が被加熱物と磁気結合していないために生じるものであり、このとき生じた殆どのエネルギーは第2の加熱コイル49のコイル線の固有抵抗により消費され、導通損失となる。
もし、インバータ回路の動作周波数が図3に示す波形W4の共振周波数f4の近傍である場合には、前述のようにインバータ回路内には多大な電流が流れ、インバータ回路は破壊されてしまう。そのため、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、インバータ回路40の動作周波数が第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が載置されているときの共振周波数f1よりも高い周波数領域を動作領域とすることにより、第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が載置されていないときの第2の加熱コイル49に流す電流を抑えることができ、インバータ回路40の破壊が確実に防止される。
また、実施の形態2の誘導加熱調理器において、被加熱物が第1の加熱コイル48の上方には存在して、第2の加熱コイル49の上方には存在しない場合には、加熱に寄与しない第2の加熱コイル49に流す電流を減少させることにより、結果的に漏洩磁界が低減され、他の機器等に与える電磁ノイズを抑制することができる。
次に、図4に示す周波数特性の場合における実施の形態2の誘導加熱調理器の制御動作について説明する。
図4に示す周波数特性において、波形W1および波形W2は、図2および図3に示した周波数特性と同様に、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49の両方の加熱コイル上に被加熱物が存在する状態における周波数特性である。図4における波形W5は、第1の加熱コイル48の上方には被加熱物が載置されているが、第2の加熱コイル49の上方には被加熱物の一部しか存在していない場合のインバータ回路40の動作周波数と、第2の加熱コイル49に入力できる最大電力との関係を示した周波数特性である。即ち、波形W5は、第2の加熱コイル49の内径よりもやや大きく、第2の加熱コイル49の外径より小さい被加熱物が第2の加熱コイル49の上方に載置されたときの周波数特性である。
波形W5に示す状態においては、第2の加熱コイル49が被加熱物の一部と磁気結合しているため、前述の図3に示した波形W4の共振周波数f4より、図4に示した波形W5の共振周波数f5の方が少し高い周波数となっている。しかしながら、波形W5の状態においても、依然として被加熱物と第2の加熱コイル49との磁気結合のレベルが弱く、第2の共振回路57のQ値は高い傾向を示している。
波形W5に示す状態において、被加熱物の一部と磁気結合した第2の加熱コイル49に電力が供給されるため、第2の加熱コイル49に入力される電力と第1の加熱コイル48に入力される電力の電力差V3は電力差V2(図3参照)よりも小さくなる。しかしながら、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が載置されていない場合と同様に、第2の加熱コイル49に供給される電力は低減されるという効果を有する。
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、第2の加熱コイル49の直径より小さい鍋(小鍋)を加熱することを想定して第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が載置されていない場合の動作および効果について説明した。
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、被加熱物として直径が小さい小鍋が載置された場合以外の効果も有する。例えば、被加熱物である鍋における鍋底の中心が内側に凹んでいる場合には、当該鍋と第2の加熱コイル49との間の距離よりも、当該鍋と第1の加熱コイル48との間の距離の方が離れている。この場合には、当該鍋と第1の加熱コイル48との磁気結合は、当該鍋と第2の加熱コイル48との磁気結合より小さくなる。このような場合においても、磁気結合が小さい第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の共振周波数が低くなる。
したがって、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、インバータ回路40の動作周波数が、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が載置されているときの、いずれの共振周波数f1よりも高い周波数領域となるよう設定されているため、第1の加熱コイル48と被加熱物との磁気結合が弱い場合であっても、第1の加熱コイル48に流す電流を抑えることができ、インバータ回路40の破壊が確実に防止される構成であるとともに、加熱効率の向上を図ることができる構成でもある。
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、インバータ回路40のスイッチング素子46,47への電源が電圧源であり、インバータ回路40における第1のスイッチング素子46または第2のスイッチング素子47がオンからオフに遷移する遷移動作を行うと、第2のスイッチング素子47と並列にスナバコンデンサ53が接続されているため、スイッチング動作(オフ動作)直前まで加熱コイル48,49に流れていた高周波電流がスナバコンデンサ53に流れる。この結果、スナバコンデンサ53においては充放電動作が行われる。
第2のスイッチング素子47に印加される電圧は、スナバコンデンサ53の両端の電圧と同じであるため、第2のスイッチング素子47に印加される電圧はスナバコンデンサ53の時定数で決まる一定の傾きを有して変化し、急峻な変化が生じることがない。即ち、第2のスイッチング素子47においては過電圧および過電流の発生が防止されている。
この結果、第2のスイッチング素子47に流れている電流と第2のスイッチング素子47に印加されている電圧の積の値を小さくすることができ、第2のスイッチング素子47のスイッチング動作時に発生するスイッチング損失を低減することができる。
なお、第1のスイッチング素子46に印加される電圧は、正の母線と負の母線の電位差からスナバコンデンサ53の両端電圧を引いた値であるため、第2のスイッチング素子47に印加されている電圧と同様に一定の傾きを有して変化し、急峻な変化が生じることがない。
インバータ回路40において、スイッチング素子46,47に電流が流れている期間にスイッチング動作(オフ動作)を行うためには、加熱コイル48,49を含む共振回路56,57に流れている電流が共振によって反転するよりも早くスイッチング動作(オフ動作)を行う必要がある。そのためには、インバータ回路40の動作周波数は共振周波数よりも高く設定する必要がある。
もし、インバータ回路40の動作周波数が、第1の共振回路56の共振周波数と、第2の共振回路57の共振周波数のどちらの共振周波数よりも低い周波数である場合には、共振回路56,57に流れる電流がスイッチング素子46,47と並列に接続された逆導通ダイオード54,55に流れている期間にスイッチング動作(オフ動作)を行うことになる。このため、スイッチング素子46,47におけるスイッチング損失を低減させることはできない。
また、インバータ回路40の動作周波数が、第1の加熱コイル48と第1の共振コンデンサ50で構成された第1の共振回路56の共振周波数と、第2の加熱コイル49と第2の共振コンデンサ51で構成された第2の共振回路57の共振周波数との間の周波数領域である場合においても、以下のような問題がある。
共振周波数よりも高い周波数でインバータ回路40を動作させている一方の共振回路においては、スイッチング素子に電流が流れている状態でスイッチング動作(オフ動作)を行うことになり好ましい状態である。しかし、共振周波数よりも低い周波数でインバータ回路40を動作させている他方の共振回路においては、スイッチング素子に逆並列に接続された逆導通ダイオードに電流が流れている状態でスイッチング動作(オフ動作)を行うことになり、スイッチング損失を低減できない状態となる。
実施の形態2の誘導加熱調理器において、インバータ回路40には2つの共振回路56,57の電流の和が流れる構成である。このため、2つの共振回路56,57に電流が流れている状態において、共振周波数の低い共振回路に流れている電流の方が共振周波数の高い共振回路に流れている電流よりも大きい場合には、スイッチング素子に電流が流れているときにスイッチング動作(オフ動作)を行うことになる。このときには、スイッチング素子に発生するスイッチング損失を抑制することが可能である。
しかし、共振周波数の低い共振回路に流れている電流の方が共振周波数の高い共振回路に流れている電流よりも小さいという、逆の場合には、逆導通ダイオードに電流が流れている状態でスイッチング動作を行うことになってしまう。したがって、スイッチング損失を低減した動作が可能であるか否かは、複数の共振回路における各種パラメータに依存してしまい、スイッチング損失を抑制することができる動作を安定して行うことが困難になる。
このため、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、インバータ回路40の動作周波数が、第1の加熱コイル48と第1の共振コンデンサ50により構成された第1の共振回路56の共振周波数と、第2の加熱コイル49と第2の共振コンデンサ51により構成された第2の共振回路57の共振周波数のいずれの共振周波数よりも高く領域となるよう構成されている。このように構成することにより、共振回路56,57に流れている電流の全てが、スイッチング素子46,47に流れている状態でスイッチング動作(オフ動作)を行うことになり、スイッチング動作によるスイッチング損失を低減することができる。
また、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、スイッチング素子に印加される電圧の急激な変動を抑えることにより、電磁ノイズの発生を抑制することができ、電磁ノイズ抑制対策に必要な部品が不要となり、それらの部品にかかるコストを低減することができる。
なお、実施の形態2の誘導加熱調理器における説明では、デューティ比=0.5の時には完全に成立するが、デューティ比が小さくなるにしたがって、またはデューティ比が大きくなるにしたがって、成立しない確率が高くなる。例えば、インバータ回路40の動作周波数が共振回路56,57の共振周波数よりも高い場合であっても、デューティ比が0.5の値から離れるにしたがって、導通時間(オン期間)が長いスイッチング素子に流れている電流がダイオード導通状態に移行する確立が高くなる。したがって、実施の形態2の誘導加熱調理器におけるインバータ回路40の制御動作は、全てのデューティ比に対して成り立つものではない。
しかし、実施の形態2の誘導加熱調理器における制御動作は、少なくともデューティ比=0.5、つまり大きな電流が流れて、スイッチング損失が大きくなってしまう領域では、スイッチング損失を抑制できる確実な手段であり、有効な手段である。
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3の誘導加熱調理器について説明する。なお、実施の形態3の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ構成を有している。実施の形態3の誘導加熱調理器において、実施の形態1の誘導加熱調理器と異なる点は、インバータ回路における制御動作である。したがって、実施の形態3の誘導加熱調理器においては、実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。実施の形態3の誘導加熱調理器の構成は、前述の図1に示した実施の形態1の誘導加熱調理器と同様である。
実施の形態3の誘導加熱調理器においては、第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の共振周波数と、第2の加熱コイル49を含む第2の共振回路57の共振周波数が異なる値である。このように第1の共振回路56と第2の共振回路57における共振周波数が異なる点が前述の実施の形態1および実施の形態2とは異なっている。
図5、図6および図7は、実施の形態3の誘導加熱調理器におけるインバータ回路40の動作周波数と、各加熱コイル48,49に入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図である。図5、図6および図7において、横軸が動作周波数[kHz]、縦軸が加熱コイル48,49に入力できる最大電力[W]である。
図5、図6及び図7に示す周波数特性は、第1の加熱コイル48より外側にある第2の加熱コイル49の直径よりもさらに大きい直径を有する被加熱物である鍋が当該第2の加熱コイル49の上方の加熱領域に載置されたときの周波数特性である。図5、図6及び図7において、波形W2は、図2に示した周波数特性と同様に、第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が存在する状態における周波数特性である。
図5、図6及び図7に示す周波数特性を参照して、実施の形態3の誘導加熱調理器における誘導加熱装置のインバータ回路の制御動作について説明する。
図5は、第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の共振周波数f6(波形W6)と、第2の加熱コイル49を含む第2の共振回路57の共振周波数f2(波形W2)を異なる値としたときの、インバータ回路40の動作周波数と各加熱コイル48,49に入力できる最大電力との関係を示すものである。
実施の形態3の誘導加熱調理器においては、インバータ回路40の動作周波数が最も高い共振周波数よりも更に高い周波数領域が動作領域として用いられている。実施の形態3の誘導加熱調理器においては、2つの共振周波数のうち、高い方の共振周波数である共振周波数f2よりも更に高い周波数領域でインバータ回路40を動作させることにより、本発明の効果を奏するものである。
図6に示す周波数特性図は、複数の共振回路の共振周波数を異なる値とする効果を示すものである。図6において、波形W2はインバータ回路40の動作周波数と第2の加熱コイル49に入力できる最大電力との関係を示しており、波形W7はインバータ回路40の動作周波数と第1の加熱コイル48に入力できる最大電力との関係を示している。
実施の形態3の誘導加熱調理器において、まず、それぞれの共振回路56,57の共振周波数を異なる値とするためには、それぞれの加熱コイル48,49を含む共振回路56,57を構成している第1の共振コンデンサ50および第2の共振コンデンサ51の容量が変更される。このように共振コンデンサ50,51の容量を変更することにより共振周波数が変更されることは、前述の式(1)から明らかである。
加熱コイル48,49に入力できる最大電力や、インバータ回路40において共振周波数から一定の周波数を有して動作させた場合の加熱コイルに入力できる電力などに関する周波数特性、即ち、図6における波形W2および波形W7などで示す周波数特性は、加熱コイル48,49の形状、加熱コイル48,49と被加熱物(鍋)との磁気結合の状態などによって決定される。このため、加熱コイル48,49を所望の周波数特性を有するように予め設計することは極めて困難である。
しかし、ある周波数特性(例えば、図6に示す第1の加熱コイル48に関する波形W7)が得られた場合には、その周波数特性における共振周波数(f7)を変更することは共振コンデンサ(51)の容量を変更することにより可能である。
したがって、例えば、図6に示すように、第1の加熱コイル48に入力する電力特性が波形W7、第2の加熱コイル49に入力する電力特性が波形W2となったとき、波形W2の共振周波数f2より高い周波数領域においては、波形W2と波形W7との間には電力差V4を有する。しかし、第1の加熱コイル48に入力する電力を小さくしたい場合には、第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の第1の共振コンデンサ50の容量を大きくすることにより、波形W7を波形W8(共振周波数f8<f7)に移動させることが可能である。この結果、インバータ回路40を同じ周波数で動作させた場合には、第1の加熱コイル48に入力する電力は、低下し、第2の加熱コイルに入力する電力に比べて電力差V5(V5>V4)と大きくなる。
上記のように、共振回路56,57の共振周波数を異なる値に設定することにより、2つの加熱コイル48,49が有する特性に関わらず、2つの加熱コイル48,49における電力差、および電力の比率を所望の値に設定することができる。このため、実施の形態3においては、設計自由度が高い誘導加熱調理器を提供することができる。
実施の形態3の誘導加熱調理器における効果としては、例えば、それぞれの加熱コイル48,49から被加熱物に入力する電力の比率を調整することにより、ムラなく均一に被加熱物を加熱することが可能となり、使い勝手の良い誘導加熱調理器を提供することができる。
また、加熱コイル48,49に入力する電力を変更することにより、各加熱コイル48,49に流れる電流が変化することになる。このため、例えば、第2の加熱コイル49よりも内側に設けられている第1の加熱コイル48からの発熱量が多く、第1の加熱コイル48に対して冷却が困難である場合には、第1の加熱コイル48から被加熱物に供給する電力を低下させて、第1の加熱コイル48に流れる電流を減少させることにより、第1の加熱コイル48の温度上昇を抑制することができる。この結果、実施の形態3の誘導加熱調理器においては、電力比率の調整により加熱コイルの冷却を行うことが可能となり、信頼性の高い調理器を構築することができる。
なお、上記のように第1の加熱コイル48から被加熱物に供給する電力を低下させた場合において、2つの加熱コイル48,49に入力する電力の和を変化させたくない場合には、インバータ回路40の動作周波数を少し低く設定する必要がある。
図7は、第2の加熱コイル49に入力できる最大電力(波形W2)よりも第1の加熱コイル48に入力できる最大電力(波形W9)の方が大きい場合を示している。このような場合においても、加熱コイル48,49を含むそれぞれの共振回路56,57の共振周波数を異なる値(f2,f9)とすることにより、第1の加熱コイル48と第2の加熱コイル49の電力差V6を所望の値に設定することができ、第1の加熱コイル48と第2の加熱コイル49に入力される電力の比率を所望の値とすることが可能となる。
したがって、実施の形態3の誘導加熱調理器においては、2つの加熱コイル48,49の直径および形状などにより特性がどのような状態であろうとも、例えば第1の共振コンデンサ50の容量を変更して、その共振周波数を変更することにより、所定の動作周波数において第1の加熱コイル48と第2の加熱コイル49の電力の比率を調節することが可能である。
なお、実施の形態3の誘導加熱調理器においては、第1の共振コンデンサ50の容量を変更する場合以外にも、第2の共振コンデンサ51の容量を変更しても同様の効果が得られる。
また、実施の形態3の誘導加熱調理器においては、第1の共振コンデンサ50および第2の共振コンデンサ51の容量を固定し、加熱コイル48,49と代表的な被加熱物(鍋)とが磁気結合している時に所望の周波数特性を有するように加熱コイル48,49を予め設計する場合は、少なくとも代表的な被加熱物およびそれに近い特性を有する被加熱物を加熱する際には同様の効果が得られる。
また、実施の形態3の誘導加熱調理器においては、第1の加熱コイル48に入力する電力を減少させる場合について説明したが、第1の加熱コイル48に入力する電力を上昇させる場合においても同様に特性を変更することにより可能である。即ち、本発明に係る実施の形態3の誘導加熱調理器で第1の共振コンデンサ50または第2の共振コンデンサ51の容量を変更する場合においては、複数の加熱コイルの特性を予め調整して製造する必要が無く、組み立てた後の状態において、複数の加熱コイルに入力できる電力の比率を容易に、且つ高精度に変更することができる。逆に、本発明に係る実施の形態3の誘導加熱調理器で第1の共振コンデンサ50または第2の共振コンデンサ51の容量を変更しない場合においては、代表的な被加熱物において加熱コイル48,49を予め設計しておくことにより、第1の共振コンデンサ50または第2の共振コンデンサ51の容量変化手段を有する必要が無く、誘導加熱調理器を安価に構成することができる。
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4の誘導加熱調理器について説明する。なお、実施の形態4の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ構成を有している。実施の形態4の誘導加熱調理器において、実施の形態1の誘導加熱調理器と異なる点は、インバータ回路における制御動作である。したがって、実施の形態4の誘導加熱調理器においては、実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。実施の形態4の誘導加熱調理器の構成は、前述の図1に示した実施の形態1の誘導加熱調理器と同様である。
図8は、実施の形態4の誘導加熱調理器における誘導加熱装置のインバータ回路の動作周波数と、各加熱コイルに入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図である。図8において、横軸が動作周波数[kHz]、縦軸が加熱コイル48,49に入力できる最大電力[W]である。
図8において、第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の共振周波数(f10)は、第2の加熱コイル49を含む第2の共振回路57の共振周波数(f2)より低くなっている。また、第1の加熱コイル48に入力される最大電力(波形W10)のピーク(共振周周波数f10における最大電力)は、第2の加熱コイル49に入力される電力(波形W2)のピーク(共振周波数f2における最大電力)より小さくなっている。上記の点が実施の形態4と前述の実施の形態1〜3とは異なる点である。図8において、波形W11は、波形W2および波形W10に示す周波数特性の合算値を波形化したものである。波形W11の周波数特性における共振周波数f11は、波形W2の共振周波数f2より低くなる。したがって、波形W2の共振周波数f2より高い周波数領域であれば、当然波形W11の共振周波数f11より高い周波数領域である。
図8に示す周波数特性を参照して、実施の形態4の誘導加熱調理器におけるインバータ回路の制御動作について説明する。
加熱コイルの導通損失は、加熱コイルに流れる電流と、加熱コイルのコイル線が有する固有抵抗により発生する。その導通損失[電力:W]は電流の2乗に比例する。加熱コイルの導通損失を減らすためには、加熱コイルに流れる電流を少なくすることが効果的である。そのためには、加熱コイルの上方に被加熱物が存在する加熱コイルの抵抗Rを大きくする必要がある。最大電力Pと電源電圧Eとの間には、次式(2)の関係がある。
[数2] P=E/R (2)
このように、加熱コイルの上方に被加熱物が存在する状態の加熱コイルの抵抗Rが大きくなると、当該加熱コイルに対して電力を入力し難い状態となる。
加熱コイルに流す電流を少なくする目的で、加熱コイルと被加熱物との磁気結合を強くし、抵抗Rを大きく設計した加熱コイルに対して電力を入力するためには、電力を入力しやすい共振周波数の近傍でインバータ回路を動作させなければならない。
したがって、実施の形態4の誘導加熱調理器においては、入力する電力が大きい第2の加熱コイル49の共振周波数f2の近傍でインバータ回路40を動作させることにより、加熱コイルの抵抗Rを大きく設計することが可能な構成となる。このため、実施の形態4の誘導加熱調理器においては、大きな電力が入力される加熱コイル、即ち、多くの電流を流す必要がある加熱コイルに対して、できるだけ少ない電流を流して所望の電力を確保することができる。このように、実施の形態4においては、加熱コイルの抵抗Rが大きくなるように設計された誘導加熱調理器を用いて、加熱コイルの導通損失を低減させることが可能な制御動作を行うことができる。
なお、実施の形態4の誘導加熱調理器においては、入力する電力が大きい第2の加熱コイル49の共振周波数f2より高い周波数領域をインバータ回路の動作領域とすることにより、前述の実施の形態1から3において説明した効果と同様の効果を有し、負荷に応じた適切な誘導加熱を行うことが可能となる。
また、実施の形態4の誘導加熱調理器において、特に、スイッチング素子46,47のスイッチング動作におけるデューティ比が0.5付近では、インバータ回路40の動作周波数と共振周波数(f2)が近い方が、スイッチング素子46,47の動作直前(オフ動作直前)にスイッチング素子46,47に流れている電流が少ないため、スイッチング損失を抑制することができる。
実施の形態4の誘導加熱調理器においては、2つの加熱コイル48,49に対して共通のスイッチング素子46,47を用いたインバータ回路40により駆動されるよう構成されている。各スイッチング素子46,47に流れている電流に関して、大きな電力が入力されている第2の加熱コイル49に流れている電流の比率が大きいため、大きな電力が入力されている第2の加熱コイル49を含む第2の共振回路57の共振周波数f2の近傍を動作周波数とすることにより、スイッチング素子46,47の動作時に発生するスイッチング損失を少なくすることができる。
(実施の形態5)
以下、本発明に係る実施の形態5の誘導加熱調理器について説明する。なお、実施の形態5の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ構成を有している。実施の形態5の誘導加熱調理器において、実施の形態1の誘導加熱調理器と異なる点は、インバータ回路の制御動作および加熱コイルの構成である。したがって、実施の形態5の誘導加熱調理器においては、実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。実施の形態5の誘導加熱調理器の構成は、前述の図1に示した実施の形態1の誘導加熱調理器と同様である。
図9は、実施の形態5の誘導加熱調理器における誘導加熱装置の加熱コイルの概略形状を示す平面図である。
実施の形態5の誘導加熱調理器においては、図9に示す2つの加熱コイル48,49に入力する電力値の比率が、2つの加熱コイル48,49のそれぞれが被加熱物に対向する面積(Sa,Sb)に対応する値となっている。
次に、実施の形態5の誘導加熱調理器における誘導加熱装置のインバータ回路の制御動作について説明する。
図9において、被加熱物が第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49の上方に載置された状態において、第1の加熱コイル48における被加熱物に対向する面積を「Sa」とし、第2の加熱コイル49における被加熱物に対向する面積を「Sb」とする。第1の加熱コイル48における対向面積Saと、第2の加熱コイル49における対向面積Sbとの比率は、約1:3である。このとき、第1の加熱コイル48と第2の加熱コイル49に入力する電力の和、即ち一つの被加熱物に入力される電力を3kWとしたとき、第1の加熱コイル48に入力する電力Paおよび第2の加熱コイル49に入力する電力Pbは以下のように設定される。
[数3] Pa=3kW×Sa/(Sa+Sb)=0.75kW (3)
[数4] Pb=3kW×Sb/(Sa+Sb)=2.25kW (4)
実施の形態5の誘導加熱調理器においては、上記のように第1の加熱コイル48に入力される電力Paと第2の加熱コイル49に入力される電力Pbとの電力比率(Pa/Pb)が、第1の加熱コイル48における対向面積Saと第2の加熱コイル49における対向面積Sbとの比率(Sa/Sb)に対応するよう制御されている。
誘導加熱動作においては、加熱コイルにより発生した磁界が加熱コイルに対向した位置に載置された被加熱物に印加されることにより、被加熱物が発熱するものである。そのため、誘導加熱動作においては、加熱コイルの平面形状(被加熱物との対向面形状)と略同じ形状に被加熱物が加熱される。
また、被加熱物に入力される電力密度は、加熱コイル上では略一定となる。このため、加熱コイルに入力する電力を、被加熱物に対向する加熱コイルの対向面の面積で除した値が、加熱コイルの上方に載置された被加熱物の対向面における電力密度となる。
実施の形態5の誘導加熱調理器においては、上記のように電力比率(Pa/Pb)を設定することにより、第1の加熱コイル48の上方に載置された被加熱物に入力される対向面積における電力密度と、第2の加熱コイル49の上方に載置された被加熱物に入力される対向面積にける電力密度が同一となる。
上記のように構成された実施の形態5の誘導加熱調理器においては、複数の加熱コイルを用いて1つの被加熱物を加熱しても、各加熱コイルの上方に存在する被加熱物の各部分の温度を略同一とすることができる。この結果、実施の形態5の誘導加熱調理器においては、被加熱物を均一に加熱することができ、調理性能を向上させることができる。
前述の背景技術の欄で説明した図21に示すような従来の分割巻き形状の加熱コイル25においては、加熱コイル25に流す電流は同一である。このため、加熱コイル25の巻数や厚みなどを調整しない限り、加熱コイル25の内側コイルと外側コイルで電力の比率を変更することはできない。
もし仮に、図21に示す従来の分割形状の加熱コイル25において、巻数や厚みなどを調節して電力の比率を設定するとしても、加熱コイル25の直径、巻数、厚みなどの形状や寸法を所望の値とすることはできず、設計の自由度はないものである。
実施の形態5の誘導加熱調理器においては、加熱コイル48,49に入力する電力の比率を加熱コイル48,49の形状や寸法以外の制御動作において調節することができる構成である。このため、例えば被加熱物の温度検出用の温度センサを加熱コイル近傍の任意の場所に配設することが可能となる。また、実施の形態5の誘導加熱調理器においては、加熱コイル48,49の厚みを一定にして巻回した構成としても、磁束密度の均一化を図ることが可能であり、均一加熱を実現することができる。
なお、実施の形態5の誘導加熱調理器においては、加熱コイル48,49の対向面積の比率と各加熱コイル48,49に入力する電力の比率を完全に一致させた制御動作について説明したが、本発明はこのような制御動作に限定されるものではない。誘導加熱調理器においては、各加熱コイルの冷却度合、加熱された被加熱物の放熱の度合、被加熱物の大きさなどにより、各加熱コイルの対向面積の比率と各加熱コイルに入力する電力の比率を、多少変更した値に設定するほうが被加熱物を均一に加熱することができる場合がある。このため、本発明の誘導加熱調理器においては、上記のような各種状況に応じて電力の比率が調整されるものを含むものである。
発明者の実験によれば、加熱コイルの対向面積の比率と加熱コイルに入力する電力の比率のずれは20%程度以内であった。このことから、例えば実施の形態5のように2つの加熱コイル48,49の対向面積の比率が約1:3であるならば、上記のように20%のずれがあったとしても、対向面積の小さい第1の加熱コイル48に入力する電力が、対向面積の大きい第2の加熱コイル49に入力する電力よりも大きくなることはない。
(実施の形態6)
以下、本発明に係る実施の形態6の誘導加熱調理器について説明する。なお、実施の形態6の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ構成を有している。実施の形態6の誘導加熱調理器において、実施の形態1の誘導加熱調理器と異なる点は、加熱コイルの構成(断面形状)である。したがって、実施の形態6の誘導加熱調理器においては、実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。実施の形態6の誘導加熱調理器の構成は、前述の図1に示した実施の形態1の誘導加熱調理器と同様である。
図10は、実施の形態6の誘導加熱調理器における誘導加熱装置の加熱コイルの形状と加熱コイルの断面を示す図である。図11は、実施の形態6の誘導加熱調理器における誘導加熱装置の加熱コイルに流れる電流波形を示す図である。
図10に示すように、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49の各コイル線における電流の流れる方向(巻き付け方向)に直交する断面形状(断面積)が異なっており、第1の加熱コイル48の断面積が第2の加熱コイル49の断面積より小さくなっている。実施の形態6の誘導加熱調理器において、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49に流す電流の比率は、各加熱コイル48,49のそれぞれが形成されるコイル線の断面積に対応した値としている。この点が前述の実施の形態1〜5の誘導加熱調理器とは異なる点である。
図10において、第1の加熱コイル48を形成するコイル線の断面と、第2の加熱コイル49を形成するコイル線の断面は、第1の加熱コイル48と第2の加熱コイル49を、被加熱物が載置されるトッププレートの加熱領域面に対して垂直に切断した断面である。図10において、第1の加熱コイル48を形成するコイル線の断面積をAa、第2の加熱コイル49を形成するコイル線の断面積をAbとしている。
図11は、第1の加熱コイル48に流れる電流の波形(W12)および第2の加熱コイル49に流れる電流の波形(W13)を示している。実施の形態6の誘導加熱調理器において各加熱コイル48,49に流す電流の比率は、各加熱コイル48,49のそれぞれを形成するコイル線の断面積の比率に対応する値としている。
以上のように構成された実施の形態6の誘導加熱調理器における誘導加熱装置における動作について説明する。
加熱コイル48,49の各コイル線から発生する損失は、加熱コイル48,49に流れる電流に依存する。図11に示すように、2つの加熱コイル48,49に流れる電流波形(W12,W13)が異なっており、第1の加熱コイル48に流れる電流の波形W12は、第2の加熱コイル49に流れる電流の波形W13に比べてピーク電流が少なくなっている。また、ピーク電流に大差があることから、第1の加熱コイル48に流れ、コイル線から発生する損失に寄与する実効値電流も、第2の加熱コイル49に流れる実効値電流に比べて少なくなることが判断できる。
それぞれの加熱コイル48,49と被加熱物との磁気結合によって、被加熱物が上方に載置された状態の加熱コイル48,49の抵抗Rは異なっている。また、2つの加熱コイル48,49のそれぞれの共振回路56,57の共振周波数は異なるため、第1の加熱コイル48に流れる電流の波形W12と、第2の加熱コイル49に流れる電流の波形W12は異なる波形となる。
実施の形態6の誘導加熱調理器においては、第1の加熱コイル48と第2の加熱コイル49に異なる値の電流が流れており、各加熱コイル48,49の断面積が各加熱コイル48,49に流れる電流に対応した値となっている。このように、実施の形態6の誘導加熱調理器においては、それぞれの加熱コイル48,49が上記のように構成して、流れる電流が少ない第1の加熱コイル48の断面積を小さくすることにより、第1の加熱コイル48における銅の使用量を低減して、第1の加熱コイルを安価に製造することができる。
被加熱物が上方に載置された状態での加熱コイルの抵抗Rを大きくするために、加熱コイルのコイル線の巻数を増やしたい場合であっても、加熱コイルの外径や厚みにおいて制約がある条件下では、同じ断面積のままでは巻き数を増やすことができなかった。しかし、実施の形態6の誘導加熱調理器においては、入力する電力が小さい加熱コイルでは断面積を小さくする構成であるため、加熱コイルの外径や厚みを変更することなく巻数を増やして、加熱コイルの抵抗Rを大きくすることが可能な構成となる。
(実施の形態7)
以下、本発明に係る実施の形態7の誘導加熱調理器について説明する。なお、実施の形態7の誘導加熱調理器は、1つの加熱領域に複数の加熱コイルが並設された構成であり、その他の点は前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ構成を有しており、同じ制御を行っている。したがって、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、実施の形態1の誘導加熱調理器と実質的に同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。実施の形態7の誘導加熱調理器における加熱コイル以外の構成は、前述の図1に示した実施の形態1の誘導加熱調理器と同様である。
図12は、実施の形態7の誘導加熱調理器における誘導加熱装置の加熱コイルの平面図である。図12に示すように、実施の形態7の誘導加熱調理器における2つの加熱コイル70,71は、トッププレート上に形成された1つの加熱領域72の直下に配設されており、並設された2つの加熱コイル70,71により被加熱物を誘導加熱する構成である。したがって、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態1〜6において示した構成のように、複数の加熱コイルが1つの加熱領域の直下において同心円状に配設された構成ではなく、複数の加熱コイル70,71が並設された構成である。
以上のように構成された実施の形態7の誘導加熱調理器における動作について説明する。
図12の平面図に示すように、被加熱物が載置される加熱領域72の直下には第1の加熱コイル70と、第2の加熱コイル71が実質的に同一平面上に並設されて誘導加熱面が実質的に同一面となっている。この加熱領域72に被加熱物が載置されることにより、被加熱物は、2つの加熱コイル70,71により略均一に加熱される構成である。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、2つの加熱コイル70,71のそれぞれが単独に巻回されて形成され、並設されている。2つの加熱コイル70,71は加熱領域72に対向して同一平面となるよう配設されている。被加熱物が加熱領域72の上に載置される構成であるため、2つの加熱コイル70,71の少なくとも1つの加熱コイルの上方には被加熱物が確実に存在することになる。このため、加熱領域72の上に載置された被加熱物は、加熱コイル70,71により確実に、かつ十分に誘導加熱される構成である。
実施の形態7の誘導加熱調理器において、例えば被加熱物である鍋73を加熱領域72の中心からずれた状態(図12において、鍋73の鍋底を破線で示す配置状態)に載置されたとき、第1の加熱コイル70の上方には鍋73が載置されている。このため、第1の加熱コイル70と鍋73とは磁気結合して、第1の加熱コイル70を含む第1の共振回路56の共振周波数は高くなる。
一方、第2の加熱コイル71の上方には鍋73が載置されていないため、第2の加熱コイル71を含む第2の共振回路57の共振周波数は低くなる。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、鍋73が載置されている第1の加熱コイル70を含む第1の共振回路56の共振周波数(前述の図4における波形W1の共振周波数f1参照)が、鍋73が載置されていない第2の加熱コイル71を含む第2の共振回路57の共振周波数(図4における波形W5の共振周波数f5参照)よりも高くなっている。また、実施の形態7の誘導加熱調理器は、鍋73が載置されている第1の加熱コイル70を含む第1の共振回路56の共振周波数よりも高い周波数領域に、インバータ回路40の動作周波数が設定されている。即ち、前述の実施の形態2の誘導加熱調理器において説明した制御動作(図4参照)と同じように、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、鍋73が上方に存在する第1の加熱コイル70から鍋73に対しては電力が通常通り供給され、鍋73が上方に存在していない第2の加熱コイル71においては鍋73に対する電力の供給が低減される。
上記のように、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、第2の加熱コイル71に流れる電流を抑制して、第2の加熱コイル71に電流が流れることより生じる損失を低減することができる。また、第2の加熱コイル71からの漏洩磁界の低減を図ることができる。
なお、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、複数の加熱コイルが同心円状の構成ではなく、並設された構成である。このため、それぞれの加熱コイルの上方に被加熱物が載置された状態のとき、加熱コイルを含むそれぞれの共振回路の共振周波数を略一致させておくことが望ましい。
各共振回路の共振周波数を略一致させておくことにより、例えば、第2の加熱コイル71の上方に鍋73が存在し、第1の加熱コイル70の上方には鍋73が存在していないような、図12に示した鍋73の配置とは反対の方向に鍋73がずれている場合には、第2の加熱コイル71を含む第2の共振回路57の共振周波数の方が、第1の加熱コイル70を含む第1の共振回路56の共振周波数よりも高くなる。
したがって、インバータ回路40の動作周波数を、鍋73が載置されている第2の加熱コイル71を含む第2の共振回路57の共振周波数よりも高い周波数領域において設定することにより、第2の加熱コイル71から鍋73に対して電力を供給することができるとともに、第1の加熱コイル70に流れる電流を抑制して、第1の加熱コイル70に電流が流れることより生じる損失を低減することができる。
また、このように第1の加熱コイル70に流れる電流を抑制することができるため、第1の加熱コイル70からの漏洩磁界の低減を図ることができる。即ち、被加熱物である鍋73との磁気結合の有無により共振周波数の関係を逆転させるためには、複数の共振回路の共振周波数が近い状態であることが必要である。
このとき、複数の共振回路の共振周波数を略一致させるためには、略同一形状の複数の加熱コイルと略同一の容量のコンデンサを接続するのが最も単純な構成である。なお、複数の加熱コイルの形状が異なっていることにより、それぞれのインダクタンスなどが異なる場合には、そのインダクタンスに基づいた容量のコンデンサを接続することによって共振周波数を略一致させてもよい。
また、実施の形態7の誘導加熱調理器において、例えば図12に示す加熱コイルの構成では、第1の加熱コイル70に右回りの電流が流れているときに、第2の加熱コイル71に左回りの電流が流れるようにそれぞれの加熱コイル70,71を接続することが好ましい。このように加熱コイル70,71を接続することにより、2つの加熱コイル70,71を跨るように被加熱物である鍋73が載置され、それぞれの加熱コイル70,71の一部の上方には鍋73が存在しないとき、第1の加熱コイル70の鍋73が載置されていない部分から発生する漏洩磁界と、第2の加熱コイル71の鍋73が載置されていない部分から発生する漏洩磁界とが互いに打ち消しあい、漏洩磁界を低減することができる。
次に、実施の形態7の誘導加熱調理器において、使用状況に応じて制御方法が異なることについて説明する。
次に説明する異なる使用状況とは、全ての加熱コイル70,71の上方である加熱領域を覆うように被加熱物となる鍋が載置されており、その鍋の内部において内容物が偏って配置された状態である。
図13は、実施の形態7の誘導加熱調理器における加熱動作において、2つの加熱コイル70,71と、被加熱物である鍋73と、鍋73の内部の内容物74との配置関係を示す平面図である。図13に示す加熱動作においては、鍋73の内部において容量の大きな内容物74が偏って配置されている。
以下、図13に示すように、加熱コイル70,71、被加熱物である鍋73および内容物74が配置された状態において、実施の形態7の誘導加熱調理器における制御動作について説明する。
図13に示すように、第1の加熱コイル70と第2の加熱コイル71の上方を略覆うように被加熱物である鍋73が載置されており、内容物74である食材(例えばステーキ)が第1の加熱コイル70の上方のみに配置されて焼かれている。
図13に示す加熱状態において、伝熱特性の悪い鍋73を使用している場合、内容物74が置かれていない第2の加熱コイル71の上方の温度の方は、内容物74が配置されている第1の加熱コイル70の上方の温度より、食材74により熱が奪われないために高くなる。鍋73の温度が高くなると、鍋の材料である金属の電気抵抗が高くなるため、鍋73に対する電力の供給が低減する。
したがって、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、所定の鍋温度において、第1の加熱コイル70が鍋73に供給する電力と、第2の加熱コイル71が鍋73に供給する電力が略一致するよう設定されている。このように設定されているため、実施の形態7の誘導加熱調理器は、内容物74が鍋73の内部において偏って配置されて鍋73の温度が不平衡となったとき、温度が高い鍋73の領域の下方に配設された加熱コイル(図13においては、第2の加熱コイル71)から鍋73に供給される電力は、内容物74が配置されて温度が低い鍋73の領域の下方に配設された加熱コイル(図13においては、第1の加熱コイル70)から鍋73に供給される電力よりも少なくなる。
上記のように設定されているため、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、被加熱物である鍋73において内容物74が偏って配置された状況においても、鍋73の温度を略一定に近づけることができ、内容物(食材)74に対して焼きムラがなく調理することができる。
図13に示す加熱動作においては、内容物74を食材のステーキの肉塊としたために、内容物74が略一定の肉厚を有する大きな容量であり、内容物74の有無が鍋内において明確である場合について説明した。しかし、実施の形態7の誘導加熱調理器の構成においては、被加熱物が、例えば魚のように、場所によって肉厚が異なる内容物74などの場合においても有効である。このような内容物74において、肉厚の厚い方の鍋73の温度が下がる傾向にあるため、肉厚が厚い部分の下方にある加熱コイルには大きな電力を供給し、肉厚の薄い部分の下方にある加熱コイルには小さな電力を供給することが可能となる。このような内容物74における部位により肉厚が異なる被加熱物に対しては、1つの加熱領域において2組以上の複数の加熱コイルを用いることにより、加熱領域における各部位の温度をより均一化することが可能となる。したがって、実施の形態7の構成においては、調理性能を格段に向上させた誘導加熱調理器を提供することができる。
図12および図13においては、1つの加熱領域に楕円形状の加熱コイルを2つ並設した構成を示しているが、本発明の誘導加熱装置はこのような構成に限定されるものではない。本発明に係る実施の形態7の構成においては加熱コイルの上方に被加熱物が載置されているか否かにより共振回路の特性が異なることを利用したものである。このため、本発明の誘導加熱装置においては、加熱コイルの平面形状を実施の形態7における加熱コイルの形状に限定されるものではなく、円形、四角形、三角形などの各種形状を用いることができる。また、本発明の誘導加熱装置においては、加熱コイルの個数に関しても3組以上の加熱コイルにより1つの加熱領域上に載置された被加熱物を誘導加熱する構成としてもよい。
(実施の形態8)
以下、本発明に係る実施の形態8の誘導加熱調理器について説明する。
図14は、実施の形態8の誘導加熱調理器における誘導加熱装置のインバータ回路などの構成を示す回路図である。図14において、前述の図1に示した実施の形態1の誘導加熱調理器と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付している。
図14に示すように、実施の形態8の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と同じように、インバータ回路80は、商用電源41に接続されたダイオードブリッジ42と、フィルタ回路60と、2つのスイッチング素子81,82とを有して構成されており、制御部52がスイッチング素子81,82を駆動制御するよう構成されている。また、実施の形態8におけるインバータ回路80においては、2つのスイッチング素子81,82と直列にインダクタであるコイル83,84が接続されている。このように、実施の形態8におけるインバータ回路80の構成においては、スイッチング素子81,82と直列にコイル83,84が接続されている。このため、インバータ回路80においては、電流位相を電圧位相より進ませてスイッチング動作(オン時)を行うことにより、スイッチング素子81,82に発生する損失の少ないソフトスイッチング動作が行われる構成である。
図15は、実施の形態8の誘導加熱調理器における誘導加熱装置のインバータ回路80の動作周波数と、加熱コイル48,49に入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図である。図15において、横軸が動作周波数[kHz]、縦軸が加熱コイル48,49に入力できる最大電力[W]である。図15において、波形W1はインバータ回路80の動作周波数と第1の加熱コイル48に入力できる最大電力との関係を示しており、波形W2は動作周波数と第2の加熱コイル49に入力できる最大電力との関係を示している。また、波形W3は第1の加熱コイル48に入力できる最大電力と第2の加熱コイル49に入力できる最大電力の合算値と動作周波数との関係を示している。波形W1および波形W2は、トッププレート上の加熱領域に被加熱物が載置されているときの周波数特性であり、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49の両方の加熱コイル上に被加熱物が存在する状態における周波数特性を示している。実施の形態8の誘導加熱調理器においては、波形W1および波形W2の共振周波数(f1)は同じである。
なお、実施の形態8の誘導加熱調理器においては、図14の回路図に示すように、電流位相を電圧位相より進ませてスイッチング動作(オン時)を行う構成を有し、スイッチング素子81,82がソフトスイッチング動作を行うインバータ回路80を用いている。
また、実施の形態8の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態1から7において説明したような、加熱コイルと被加熱物が磁気結合されなくなったときに共振周波数が低下して当該加熱コイルへ電流供給が低減される構成ではない。このため、実施の形態8の誘導加熱調理器においては、加熱コイルと被加熱物との磁気結合がなくなるような条件下における、前述の実施の形態1から7において説明した効果は成立しない。
図15の周波数特性図において動作領域として示すように、実施の形態8の誘導加熱調理器においては、第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の共振周波数(波形W1の共振周波数f1)および第2の加熱コイル49を含む第2の共振回路57の共振周波数(波形W2の共振周波数f1)よりも低い周波数領域を動作領域としている。
次に、以上のように構成され、図15に示す周波数特性を有する実施の形態8の誘導加熱調理器における動作について説明する。
実施の形態8の誘導加熱調理器においては、インバータ回路80の動作周波数が、第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の共振周波数および第2の加熱コイル49を含む第2の共振回路57の共振周波数における、低い方の共振周波数よりさらに低い周波数領域(動作領域)に設定されている。なお、図15に示すように、実施の形態8の誘導加熱調理器においては、第1の共振回路56および第2の共振回路57の共振周波数(f1)は同じであるが、共振周波数が異なる場合には、低い方の共振周波数よりさらに低い周波数領域が動作領域となる。このように、インバータ回路80の動作周波数を、例えば図15に示す周波数特性図おいてハッチングで示す動作領域内とすることにより、この動作領域内においてインバータ回路80の動作周波数を高くしていくと、2つの加熱コイル48,49のそれぞれに入力する電力は、いずれも大きくなっていく。
したがって、インバータ回路80の動作周波数を動作領域内において高くしていくと、2つの加熱コイル48,49に入力する電力の合算値も確実に大きくなる。このように、実施の形態8の誘導加熱調理器においては、インバータ回路80の動作周波数を変更することにより、被加熱物に供給する電力の調整を容易に、且つ確実に行うことができる。
誘導加熱調理器においては、加熱コイルの上方に鍋などの被加熱物が載置されているか否かを入力電流と動作周波数との関係で検知したり、どのような材質の被加熱物が載置されているかを入力電流と動作周波数との関係で判断したり、更には被加熱物の負荷特性に適した動作周波数を選定する必要があるときなど、様々な種類の鍋などの被加熱物を一定の電力で加熱しなければならない場合に、インバータ回路80の動作周波数と入力電流との関係を予め高精度に把握しておく必要がある。
実施の形態8の誘導加熱調理器においては、インバータ回路80の動作周波数の変更に対して電力の変化が単純な増減で表れるため、動作周波数の調整を負荷変動や設定電力の変更に応じて信頼性高く安定して行うことが可能となり、負荷変動の激しい誘導加熱調理器に実施の形態8の構成を適用することにより、信頼性の高い誘導加熱調理器を構築することができる。
また、実施の形態8の誘導加熱調理器においては、2つの加熱コイル48,49に流れる電流を制御しているにもかかわらず、インバータ回路80におけるスイッチング素子81,82は従来のインバータ回路のスイッチング素子の数と変わらず2個であるため、インバータ回路80の製造コストを低減することができ、安価な調理器を提供することができる。
(実施の形態9)
以下、本発明に係る実施の形態9の誘導加熱調理器について説明する。
実施の形態9の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態8の誘導加熱調理器と同じ構成を有しており、図14に示したように、インバータ回路80において電流位相を電圧位相より進ませてスイッチング動作(オン時)を行うことによりソフトスイッチング動作が行われる構成である。したがって、実施の形態9の誘導加熱調理器においては、実施の形態8の誘導加熱調理器と実質的に同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。実施の形態9の誘導加熱調理器の構成については、前述の図1に示した実施の形態1の誘導加熱調理器を参照。
図16は、実施の形態9の誘導加熱調理器におけるインバータ回路80の動作周波数と、各加熱コイル48,49に入力できる最大電力との関係を示す周波数特性図である。図16において、横軸が動作周波数[kHz]、縦軸が加熱コイル48,49に入力できる最大電力[W]である。
図16に示す周波数特性は、第1の加熱コイル48より外側にある第2の加熱コイル49の直径よりもさらに大きい直径を有する被加熱物(鍋)が当該第2の加熱コイル49の上方の加熱領域に載置されたときの周波数特性である。図16において、前述の図5(実施の形態3)に示した周波数特性と同様に、波形W2は第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が存在する状態における周波数特性であり、波形W6は第1の加熱コイル48の上方に被加熱物が存在する状態における周波数特性である。
実施の形態9の誘導加熱調理器においては、図16に示すように、第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の共振周波数f6(波形W6)と、第2の加熱コイル49を含む第2の共振回路57の共振周波数f2(波形W2)が異なる値である。
なお、実施の形態9の誘導加熱調理器においては、スイッチング素子81,82と直列にコイル83,84が接続されている。このため、インバータ回路80は、電流位相を電圧位相より進ませてスイッチング動作(オン時)を行うことにより、スイッチング素子81,82に発生する損失の少ないソフトスイッチング動作が行われる構成である。
また、実施の形態9の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態8の誘導加熱調理器と同様に、加熱コイルと被加熱物が磁気結合されなくなったときに、共振周波数が低下して当該加熱コイルへの電流供給が抑制されるという効果はない。このため、実施の形態9の誘導加熱調理器においては、加熱コイルと被加熱物との磁気結合がなくなるような条件下における、前述の実施の形態1から7において説明した効果は成立しない。
図16の周波数特性図に示すように、実施の形態9の誘導加熱調理器においては、第2の加熱コイル49よりも大きい直径を有する被加熱物が載置されたとき、第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の共振周波数(f6)と、第2の加熱コイル49を含む第2の共振回路57の共振周波数(f2)が異なる値である点が前述の実施の形態8の誘導加熱調理器とは異なる。
次に、図16に示す周波数特性を有する実施の形態9の誘導加熱調理器における動作について説明する。
前述のように、図16においては、第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の共振周波数f6(波形W6)と、第2の加熱コイル49を含む第2の共振回路57の共振周波数f2(波形W2)が異なる値であるときの、インバータ回路80の動作周波数を示している。
実施の形態9の誘導加熱調理器において、インバータ回路80の動作周波数は、2つの共振周波数(f2,f6)における最も低い共振周波数(図16においては、f6)よりも更に低い周波数領域が動作領域であるため、動作領域においてはインバータ回路80の動作周波数の変更に対して電力の変化が単純な増減で表れる。この結果、実施の形態9の誘導加熱調理器においては、動作周波数の変更を負荷変動や設定電力の変更に応じて信頼性高く安定して行うことができる。また、実施の形態9の誘導加熱調理器においては、複数の加熱コイルの特性を合わせるように製造する必要が無く、複数の加熱コイルに入力できる電力の比率を容易に、且つ高精度に変更することができる。
前述の実施の形態1から実施の形態6、実施の形態8、および実施の形態9においては小径の加熱コイルと大径の加熱コイルの2組の加熱コイルを組み合わせた構成で説明し、実施の形態7の誘導加熱調理器においては同一形状を有する2組の加熱コイルを並設した構成で説明した。しかし、本発明の誘導加熱装置はこのような加熱コイルの構成に限定されるものではない。
本発明の誘導加熱装置においては、前述のように1つの加熱領域における加熱コイルの数は2つに限定されるものではなく、複数の加熱コイルにより1つの加熱領域を構成するものが含まれる。例えば直径の小さい円形の加熱コイルを3つあるいは4つ用いて1つの加熱領域を構成してもよく、または小径の加熱コイル、中径の加熱コイル、および大径の加熱コイルの3つの加熱コイルにより1つの加熱領域を構成してもよい。このような構成において、本発明の誘導加熱装置は、加熱コイルの面積や巻数に応じて、それぞれの加熱コイルに流れる電流を制御することにより、負荷変動に対して高精度に対応することができる高い信頼性を有するとともに、製造コストの低減、および安全性の向上という本発明の効果を奏することができる。
さらに、前述の実施の形態1から9の誘導加熱調理器におけるインバータ回路40,80で用いられているスイッチング素子46,47,81,82は、スイッチング損失が極めて小さく加熱効率に大きな影響を与えないハイレベルの仕様であれば、スナバコンデンサ53や、コイル83,84を接続しない回路構成とすることにより、部品点数が少なく安価な誘導加熱調理器を構築することができる。その他、加熱条件などによって、例えば複数の共振回路のそれぞれが有する共振周波数のうち、最も高い共振周波数より高い周波数の領域と、最も低い共振周波数より低い周波数の領域の両方の領域を、同一のインバータ回路で動作させる領域としてスイッチング素子を駆動制御する場合においては、スナバコンデンサ53や、コイル83,84を接続しないインバータ回路構成はスイッチング損失を低減させることができる。
また、前述の実施の形態1から9においては、誘導加熱調理器を取り上げて説明したが、本発明は誘導加熱調理器に限定されるものではなく、誘導加熱の原理を用いて加熱している全ての装置に展開可能である。
なお、前述の実施の形態1から9において示したインバータ回路は、SEPP回路(Single End Push Pull 回路)と呼ばれる、スイッチング素子を2つ直列に接続し、その2つの接続点と負の母線の間に共振回路を接続した構成で説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、インバータ回路としては、図17に示すような共振回路の一方を正の母線に接続する構成や、図18に示すようなフルブリッジ回路構成を適用しても、本発明の誘導加熱装置の効果を奏することができる。図17および図18は、本発明に係る誘導加熱装置などの回路構成を示しており、特にインバータ回路の回路構成を示している。
以上のように、本発明の誘導加熱装置は、複数の加熱コイルを用いて一つの被加熱物を加熱するよう構成されており、各加熱コイルに対するインバータ回路は共通であるにもかかわらず、それぞれの加熱コイルに対して同時に、且つ異なる電流を流すことができる。このため、本発明の誘導加熱装置は、加熱電力のバランスを調節して均一に加熱することができるとともに、製造コストを大幅に低減することができる構成である。
また、本発明の誘導加熱装置は、加熱コイルに流す電流を少なくしても所定の加熱電力を維持することができる構成であるため、加熱コイルのコイル線の自己発熱を抑制することができ、加熱効率の大幅な向上を図ることができる。
さらに、本発明の誘導加熱装置においては、複数の加熱コイルを一つのインバータ回路で動作させる構成であるが、電力の制御を確実に、且つ高精度に行うことができるとともに、負荷が変動してもスイッチング素子の損失を抑制することができる。
本発明の誘導加熱装置は、被加熱物に対して効率高く、且つ均一に加熱することができるため、誘導加熱を用いる各種加熱装置において適用することができる。
40 インバータ回路
41 商用電源
42 ダイオードブリッジ
43,45 フィルタコンデンサ
44 フィルタインダクタ
46 第1のスイッチング素子
47 第2のスイッチング素子
48 第1の加熱コイル
49 第2の加熱コイル
50 第1の共振コンデンサ
51 第2の共振コンデンサ
52 制御部
53 スナバコンデンサ
56 第1の共振回路
57 第2の共振回路
60 フィルタ回路
【0023】
値は高い傾向を示している。
[0087]
波形W5に示す状態において、被加熱物の一部と磁気結合した第2の加熱コイル49に電力が供給されるため、第2の加熱コイル49に入力される電力と第1の加熱コイル48に入力される電力の電力差V3は電力差V2(図3参照)よりも小さくなる。しかしながら、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が載置されていない場合と同様に、第2の加熱コイル49に供給される電力は低減されるという効果を有する。
[0088]
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、第2の加熱コイル49の直径より小さい鍋(小鍋)を加熱することを想定して第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が載置されていない場合の動作および効果について説明した。
[0089]
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、被加熱物として直径が小さい小鍋が載置された場合以外の効果も有する。例えば、被加熱物である鍋における鍋底の中心が内側に凹んでいる場合には、当該鍋と第2の加熱コイル49との間の距離よりも、当該鍋と第1の加熱コイル48との間の距離の方が離れている。この場合には、当該鍋と第1の加熱コイル48との磁気結合は、当該鍋と第2の加熱コイル49との磁気結合より小さくなる。このような場合においても、磁気結合が小さい第1の加熱コイル48を含む第1の共振回路56の共振周波数が低くなる。
[0090]
したがって、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、インバータ回路40の動作周波数が、第1の加熱コイル48および第2の加熱コイル49の上方に被加熱物が載置されているときの、いずれの共振周波数f1よりも高い周波数領域となるよう設定されているため、第1の加熱コイル48と被加熱物との磁気結合が弱い場合であっても、第1の加熱コイル48に流す電流を抑えることができ、インバータ回路40の破壊が確実に防止される構成であるとともに、加熱効率の向上を図ることができる構成でもある。
[0091]
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、インバータ回路40のスイッチング素子46,47への電源が電圧源であり、インバータ回路40におけ

Claims (14)

  1. 複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子の駆動により交流信号を出力するインバータ回路と、
    前記複数のスイッチング素子を駆動制御する制御部と、
    前記インバータ回路に並列接続されると共に、被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと共振コンデンサをそれぞれが含む複数の共振回路と、を備え、
    前記制御部は、前記複数の共振回路のそれぞれが有する共振周波数のうち、最も高い共振周波数より高い周波数の領域、若しくは最も低い共振周波数より低い周波数の領域を動作領域として前記複数のスイッチング素子を駆動制御し、前記複数の共振回路におけるそれぞれの加熱コイルが組み合わされて少なくとも1つの誘導加熱源が形成され、前記少なくとも1つの誘導加熱源により被加熱物を誘導加熱するよう構成された誘導加熱装置。
  2. 前記スイッチング素子の動作領域において、前記1つの誘導加熱源を構成する全ての加熱コイルが被加熱物を誘導加熱するように、前記複数の共振回路における少なくとも前記加熱コイルのインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスを設定するよう構成された請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 前記制御部は、前記複数の共振回路のそれぞれが有する共振周波数のうち、最も高い共振周波数より高い周波数の領域のみを動作領域として前記スイッチング素子を駆動制御するよう構成された請求項1に記載の誘導加熱装置。
  4. 前記共振回路に並列にスナバ回路が接続された請求項3に記載の誘導加熱装置。
  5. 前記制御部は、前記複数の共振回路のそれぞれが有する共振周波数のうち、最も低い共振周波数より低い周波数の領域のみを動作領域として前記スイッチング素子を駆動制御するよう構成された請求項1に記載の誘導加熱装置。
  6. 前記複数のスイッチング素子とインダクタが直列接続され、電流位相を電圧位相より進ませるように前記複数のスイッチング素子がソフトスイッチング動作するよう構成された請求項5に記載の誘導加熱装置。
  7. 前記複数の共振回路における各共振周波数は、前記加熱コイルのインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスにより異なる値に設定された請求項1に記載の誘導加熱装置。
  8. 前記複数の共振回路において、入力する電力が大きい加熱コイルを含む共振回路の共振周波数が、入力する電力が小さい加熱コイルを含む共振回路の共振周波数より高く設定された請求項7に記載の誘導加熱装置。
  9. 1つの誘導加熱源を構成する複数の加熱コイルのそれぞれに入力する電力の比率が、前記複数の加熱コイルのそれぞれにおける被加熱物に対向する面積に対応する比率となるよう構成された請求項1乃至8のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
  10. 1つの誘導加熱源を構成する複数の加熱コイルに流す電流値の比率は、前記複数の加熱コイルのそれぞれを形成するコイル線における電流の流れる方向に直交する断面積に対応する比率となるよう構成された請求項1乃至8のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
  11. 1つの誘導加熱源を構成する複数の加熱コイルが、同一平面状に配設された請求項1乃至10のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
  12. 1つの誘導加熱源を構成する複数の加熱コイルは、それぞれが異なる直径を有するコイル状に形成され、同心円状に配設された請求項3に記載の誘導加熱装置。
  13. 被加熱物を載置するトッププレートと、
    前記トッププレートの下方に誘導加熱源としての複数の加熱コイルが配設され請求項1乃至12のいずれか1項に記載の誘導加熱装置と、
    を備えた誘導加熱調理器。
  14. 前記トッププレートは、被加熱物を載置する複数の加熱領域を有すると共に、前記複数の加熱領域における少なくとも1つの加熱領域に対する誘導加熱源として前記誘導加熱装置が備えられた請求項13に記載の誘導加熱調理器。
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