以下、本発明における電磁誘導コントローラと、その電磁誘導コントローラに接続するインダクタの好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の電磁誘導コントローラと加熱コイル(何れも、ここでは図示せず)が搭載される電気機器の一例として、炊飯器1の使用状態を示している。同図において、2は上面を開口した炊飯器1の本体、3は本体2の上面を開閉自在に覆う蓋体であり、床面などに載置される本体2には、米や水などの被炊飯物を入れる有底状の鍋(図示せず)が着脱自在に収容される。鍋の外面には磁性金属材が設けられており、本体2の内部で加熱コイルに高周波電流が供給されると、加熱コイルから発生する交番磁界により磁性金属材が発熱し、鍋内の被炊飯物が加熱される構成となっている。
本体2と共に炊飯器1の外観をなす蓋3には、表示部4や操作部5を含む表示操作パネル6や、蓋体3を自動的に開けるための蓋開ボタン7や、鍋内の被炊飯物から発生する蒸気を外部に排出する蒸気口ユニット8などが設けられる。また9は、商用電源のコンセント11に差し込まれ、必要に応じて本体2に巻取りが可能なプラグ付きの電源コードで、ここから炊飯器1の各部に電力が供給される。
本実施形態では、電源コード9に印加される商用電源電圧が交流100V系の最低電圧である100Vから、交流200V系の最高電圧である240Vまでの全範囲(但し、電圧変動の誤差は含まず)で、同じ炊飯器1が使用できるような共通の電磁誘導コントローラと加熱コイルが組み込まれている。その詳細は後述するが、コンセント11の形状は電源電圧や地域によって様々なタイプがあるため、必要に応じて電源コード9のプラグにアダプタ(図示せず)を装着する必要がある。図1では、世界各地で使用される代表的なコンセント11の形状を並べて示しているが、例えば「Type−A(タイプ−A)」のコンセント11では、電源コード9のプラグをそのままコンセント11に差し込み、「Type−B(タイプ−B)」,「Type−BF(タイプ−BF)」,「Type−C(タイプ−C)」,「Type−S(タイプ−S)」のコンセント11では、それぞれのタイプに適合するアダプタを、電源コード9のプラグに装着してコンセント11に差し込めばよい。その他、図示しないタイプのコンセント11についても、同様にアダプタを交換して電源コード9のプラグに装着すれば、世界中の商用電源で炊飯器1を動作できる。
図2は、本実施形態における要部の回路構成を示したものである。同図において、21は本体2の内部に搭載される加熱基板、22は蓋体3の内部に搭載される制御基板で、本実施形態の電磁誘導コントローラ100は、インダクタとなる加熱コイル110を制御対象として、加熱基板21に実装する後述の各回路31〜39と、制御基板22に実装するマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)24とにより構成される。加熱基板21は、前述の電源プラグ9や加熱コイル110以外に、回路ショートや回路部品の故障に起因する発熱を感知して溶断する温度ヒューズ26や、蓋体3に設けられる蓋ヒータ27や、本体2に設けられる胴ヒータ28が、電気的に接続される。また制御基板22は、表示部4を構成するLEDやLCDと、操作部5となる各種スイッチが、マイコン24と共に実装される。またマイコン24は、図示しないがCPU(中央演算処理装置)や、記憶手段や、入出力インターフェースなどのハードウェア構成を有する。
加熱基板21には、入力フィルタ回路31、保護回路32、整流平滑回路33、インバータ34、ヒータ電源回路35、電圧検出回路36、電流検出回路37、トリガ検出回路38、及び駆動回路39が、電磁誘導コントローラ100の主な回路として実装される。入力フィルタ回路31は、電源プラグ9から電磁誘導コントローラ100に印加される電源電圧のノイズ成分を低減させるもので、周知のチョークコイルやコンデンサの組み合わせにより構成される。また保護回路32は、入力フィルタ回路31の入力側にあって、電源コード9につながる電源電圧ラインの一方に挿入接続する過電流保護用の電流ヒューズ41、入力フィルタ回路31の出力側にあって、電源電圧ラインの両端間に接続する過電圧保護用のバリスタ42、及びバリスタ42に並列接続されるコンデンサ43などにより構成される。温度ヒューズ26は、入力フィルタ回路31の出力側で、電源電圧ラインの一方に挿入接続されており、これも炊飯器1の各回路部品を保護する保護回路32の一部として機能する。
整流平滑回路33は、電源電圧を全波整流するダイオードブリッジ45と、ダイオードブリッジ45で整流された電圧を平滑するチョークコイル46および平滑コンデンサ47とにより構成される。電源プラグ9から供給される交流の電源電圧は、入力フィルタ回路31と保護回路32を経て、整流平滑回路33により整流平滑されるため、整流平滑回路33を交流電圧から直流電圧に変換する電源回路とみなすことができる。
インバータ34は、整流平滑回路33からの直流電圧が入力電圧として印加され、加熱コイル110と並列に接続する共振コンデンサ51と、フライホイールダイオード52を内蔵した単独のIGBTからなるスイッチ素子53と、により構成されるシングルエンド形式の電圧形共振インバータである。スイッチ素子53は、加熱コイル110と共振コンデンサ51とによる共振回路と直列に接続され、駆動回路39からスイッチ素子53のゲートにパルス駆動信号が与えられると、スイッチ素子53のエミッタ・コレクタ間がオン・オフ動作を繰り返して、整流平滑回路33からの直流入力電圧が共振回路に断続的に印加され、加熱コイル110に高周波電流が供給される構成となっている。このときパルス駆動信号の周期や、一周期に対するオン時間の比率(オン時比率)を変化させることで、インバータ34への入力電力ひいては加熱コイル110から鍋への加熱量を増減させることができる。
ヒータ電源回路35は、マイクロコンピュータ24からのヒータ制御信号を受けて、入力フィルタ回路31でノイズ成分を低減した電源電圧を、何れも保温用の抵抗線ヒータからなる蓋ヒータ27や胴ヒータ28に供給するものである。本実施形態では、マイクロコンピュータ24からヒータ電源回路35に蓋ヒータ制御信号が送出されると、蓋加熱手段となる蓋ヒータ27に電源電圧が供給されて通電し、鍋の上面開口に対向する蓋体3の下面部が主に加熱され、マイクロコンピュータ24からヒータ電源回路35に胴ヒータ制御信号が送出されると、側部加熱手段となる胴ヒータ27に電源電圧が供給されて通電し、鍋の側面部を主に加熱される構成となっている。これにより、鍋内の被炊飯物をご飯に炊き上げた後の保温時に、鍋の内面への露付きを防止することができる。
電圧検出回路36は、ダイオードブリッジ45で整流された電圧を取り込んで、内部の抵抗素子(図示せず)で積分し、インバータ34の入力電圧に応じた検出信号を送出するものである。マイクロコンピュータ24は、電圧検出回路36からの検出信号を受けて、内部のA/Dコンバータ(図示せず)でインバータ34の入力電圧を監視する構成となっている。また、電圧検出回路36に取り込まれる電圧は、ダイオードブリッジ45で整流される前の電源電圧を反映しているので、マイクロコンピュータ24は電磁誘導コントローラ100に印加される電源電圧を監視できる。
電流検出回路37は、インバータ34に流れる入力電流を電圧に変換して、インバータ34の入力電流と、スイッチ素子53のオフ状態でフライホイールダイオード52を流れる回生電流と、に応じた各検出信号を送出するものである。マイクロコンピュータ24は、電流検出回路37からの各検出信号を受けて、内部のA/Dコンバータで入力電流と回生電流を監視する構成となっている。
トリガ検出回路38は、スイッチ素子53のエミッタ・コレクタ間電圧(コレクタ電圧)を分圧して、そのコレクタ電圧に応じた検出信号を送出するものである。マイクロコンピュータ24は、トリガ検出回路38からの検出信号を受けて、内部のA/Dコンバータでスイッチ素子53のコレクタ電圧がゼロになるタイミングを監視する構成となっている。
駆動回路39は、マイクロコンピュータ24からのゲート制御信号を受けて、スイッチ素子53をオン・オフ動作させるに十分なパルス駆動信号を、スイッチ素子53のゲートに送出するものである。
一方、制御基板22に実装されるマイクロコンピュータ24は、記憶手段に記憶したプログラムをCPUが実行することで機能するソフトウェア構成として、操作部5への手動操作に伴う操作信号により、炊飯動作の開始が指示されると、電圧検出回路36や、電流検出回路37や、トリガ検出回路38からの各検出信号の他に、何れも図示しない鍋の温度を検出する鍋温度検出手段や、蓋体3の下部温度を検出する蓋温度検出手段からの検出信号を取り込んで、鍋の底部から側面下部にかけて主に加熱する加熱コイル110と、蓋体3を主に加熱する蓋ヒータ27と、鍋の側部を主に加熱するコードヒータによる側部ヒータ28を各々制御するとともに、炊飯器1の状況などを視覚的に知らせるために、表示部4のLCDやLEDを各々制御する加熱制御手段61を備える。加熱制御手段61は、操作部5からの炊飯動作の開始の指示を受けて、鍋に投入した米の吸水を促進させる浸しと、被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる沸騰加熱と、被炊飯物の沸騰状態を継続させる沸騰継続と、被炊飯物をドライアップ状態のご飯に炊き上げる炊き上げと、ご飯を焦がさない程度の高温に維持するむらしの各行程(ステップ)を順に実行して、鍋内の被炊飯物をご飯に仕上げて炊飯動作を完了させた後、引き続き鍋内のご飯を所定の保温温度(約70〜76℃)に保つように、保温動作を行なう構成となっている。
そして、加熱制御手段61による上述した一連の炊飯動作では、各行程で適切な加熱量で鍋内の被炊飯物を加熱できるように、駆動回路39へのゲート制御信号によりインバータ34の入力電力が調整される。具体的には、加熱制御手段61は、炊飯動作中に電圧検出回路36からの入力電圧検出信号と、電流検出回路37からの入力電流検出信号をそれぞれ取り込み、入力電圧検出信号から得られる電磁誘導コントローラ100への実際の電源電圧に応じた駆動周波数で、且つ入力電圧検出信号と入力電流検出信号から得られるインバータ34の実際の入力電力が、各行程で予め設定された入力電力となるようなオン時比率で、スイッチ素子53がオン・オフ動作をするようなバルス駆動信号を、スイッチ素子53のゲートに供給できるように、パルス状のゲート制御信号を駆動回路39に送出する。
これにより、例えば前述の沸騰加熱で、加熱コイル110から最大の加熱量で鍋内の被炊飯物を強加熱させようとするときに、加熱制御手段61は、実際の電源電圧に応じたスイッチ素子53の駆動周波数を決定し、次に最大の加熱量に見合うインバータ34の入力電力が最大の例えば1200Wとなるようなスイッチ素子53のオン時比率を決定する。そして、決定した駆動周波数とオン時比率でスイッチ素子53がオン・オフ動作されるように、加熱制御手段61からのゲート制御信号を受けて、駆動回路39がスイッチ素子53のゲートにパルス駆動信号を供給すれば、実際の電源電圧が交流100V〜240Vのどの範囲にあっても、インバータ34の入力電力を最大の1200Wにして、最大の加熱量で鍋内の被炊飯物を強加熱できる。
インバータ34の入力電力Pは、入力電圧をE、加熱コイル110のインダクタンスをL、スイッチ素子53の駆動周波数をf、スイッチ素子53のオン時間をTon、スイッチ素子53のオフ時間をToff、定数をAとしたときに、次の式で表せる。加熱コイル110のインダクタンスLや定数Aを予めマイコン24の記憶手段(図示せず)に予め記憶させておけば、加熱制御手段61は以下の式を利用して、電圧検出回路36からの検出信号に基づき、設定した入力電力Pが得られるようなスイッチ素子53の駆動周波数と、スイッチ素子のオン時比率Ton/(Ton+Toff)の各値を算出できる。
加熱制御手段61は、インバータ34の動作モードが準E級となるように、スイッチ素子53をターンオンさせるタイミングを、電流検出回路37からの回生電流検出信号と、トリガ検出回路38からのトリガ検出信号とにより決定してもよい。つまり、パルス駆動信号が「H」(高)レベルになって、スイッチ素子53がターンオンすると、整流平滑回路33からの入力電圧が加熱コイル110に印加され、加熱コイル110を流れる電流と、スイッチ素子53のコレクタからエミッタに流れる電流が、何れも徐々に増加する。この後、パルス駆動信号が「L」(低)レベルに切替わって、スイッチ素子53がターンオフすると、スイッチ素子53のコレクタからエミッタに流れる電流は遮断されるものの、加熱コイル110にそれまで流れていた電流が、共振電流として共振コンデンサ51に流れ込み、やがて共振コンデンサ51から加熱コイル110に逆方向の電流が流れる。この共振回路内のエネルギーの受け渡しで、スイッチ素子53のコレクタ電圧は、最初に上昇した後に減少し、やがてゼロに達する。
この時点で、共振コンデンサ51から加熱コイル110に向けて引き続き電流が流れようとしても、今度はフライホイールダイオード52がオンしてその電流は停止され、代わりにフライホイールダイオード52を介して、平滑コンデンサ47から加熱コイル110に回生電流が流れるようになる。加熱制御手段61は、トリガ検出回路38からのトリガ検出信号を受けて、スイッチ素子53のコレクタ電圧がゼロになるタイミングを取得したら、電流検出回路37からの回生電流検出信号により、加熱コイル110に回生電流が流れている間に、パルス駆動信号を「L」レベルから「H」レベルに切替えて、スイッチ素子53が再びターンオンするようなゲート制御信号を駆動回路39に送出できれば、スイッチ素子53のノイズ発生を最小にした準E級動作モードが実現する。
一方、本実施形態では、電源電圧に応じてスイッチ素子53の駆動周波数が決定され、インバータ34の入力電力に応じてスイッチ素子53のオン時比率が決定されるため、所望の入力電力をインバータ34に印加させるには、スイッチ素子53のコレクタ電圧がゼロになる前のタイミングで、スイッチ素子53をターンオンさせざるを得ない場合がある。これが短絡動作モードで、共振回路を通じてスイッチ素子53のコレクタからエミッタに短絡電流が流れ、この短絡電流が大きくなる程、スイッチ素子53のノイズ発生が増大する。また、スイッチ素子53の駆動周波数が高くなれば、スイッチ素子53はその分オン・オフを頻繁に繰り返すので、スイッチ素子53の損失も増大する。したがって本実施形態では、スイッチ素子53の駆動周波数が高くなる交流240Vの電源電圧であっても、スイッチ素子53の駆動周波数が極力下がって、短絡電流も小さくなるように、加熱コイル110のインダクタンスが選定される。
図3〜図5は、本実施形態における100V系と200V系に共通する炊飯器(図中、「本実施形態 100V系/200V系共通機種」)と、従来の100V系の専用機種となる炊飯器(図中、「従来 100V系専用機種」)と、同じく従来の200V系の専用機種となる炊飯器(図中、「従来 200V系専用機種」)について、主な項目で特性を比較したものである。本実施形態では、従来の100V系と200V系の各専用機種の性能を合わせ持つような、電源電圧が100V〜240Vの全範囲で、インバータ34に所望の入力電力を印加できる共通の電磁誘導コントローラ100と加熱コイル110を開発した。開発に際しては、従来の200V系の専用機種を基本仕様のベースモデルにして、そこから設計変更を加えて100V系/200V系の共通機種を試作した。また、耐電流や耐電圧については、100V系/200V系のどちらにも満足する上位コンパチブルの部品を選定した。
先ず第1の項目として、商用電源電圧ACVとインバータ周波数fの特性を、図3に示す。インバータ周波数fは、前述したスイッチ素子53の駆動周波数に相当する。従来の100V系専用機種では、電源電圧が交流100V〜110Vの範囲で、インバータ34の入力電力が何れも最大で1200Wとなるように、インバータ周波数fが変動する。また、従来の200V系専用機種では、電源電圧が交流220V〜240Vの範囲で、インバータ34の入力電力が何れも最大で1200Wとなるように、インバータ周波数fが変動する。インバータ周波数fの変動範囲は、何れも25kHz〜26kHzである。
一方、本実施形態の100V系/200V系共通機種では、電源電圧が100V〜240Vの範囲で、インバータ34の入力電力が何れも最大で1200Wとなるように、インバータ周波数fが連続的に変動する。インバータ周波数fの変動範囲は、23kHz〜46kHzである。なお、電磁誘導加熱によるインバータ周波数fの範囲は、例えば電波法で20kHz〜100kHzと規定されており、20kHz未満では可聴周波数のノイズが出てしまう。そのため、電源電圧が100V〜240Vの範囲で、インバータ周波数fの変動範囲は20kHz〜100kHzとするのが好ましい。また前述のように、インバータ周波数fが高くなるに従い、スイッチ素子53の損失も増大するので、インバータ周波数fの変動範囲は20kHz〜50kHzとするのがさらに好ましい。
次に第2の項目として、加熱基板21に各回路31〜39を実装した加熱基板組立71の特性を、また第3の項目として、加熱コイル110を含むコイルベース組立72の特性を、それぞれ図4に示す。従来の100V系専用機種と200V系専用機種は、それぞれ別個の加熱基板組立71で組み立てられている。100V系専用機種の加熱基板組立71は200V系専用機種と比べて部品点数が少なく、その分、加熱基板21の寸法サイズも小さくなっている。それに対して、本実施形態の100V系/200V系共通機種では、200V系専用機種の加熱基板組立71をベースにして、そこから幾つかの部品を変更している。したがって、加熱基板21は200V系専用機種と共通のものを使用できる。
コイルベース組立72は、それぞれの機種に共通して、椀状で樹脂製のコイルベース73の外表面に、内側の巻線110Aと外側の巻線110Bを連続して巻回した加熱コイル110を装着して構成される。コイルベース73は、最終的に本体2の内部で、鍋を収容する鍋収容部の底部を形成する。したがって、本体2に鍋を収容すると、鍋はコイルベース73を挟んで、巻線110A,110Bに対向して配置される。巻線110A,110Bの一端からそれぞれ引き出される一対のリード線110Cは、加熱基板21と電気的に接続される。
従来の100V系専用機種では、直径φが0.3mmの導線を39本撚り合わせたリッツ線を、加熱コイル110の線材として使用し、内側の巻線110Aが9ターン、外側の巻線110Bが10ターンで、全体では19ターンとなるような巻数とした。これにより加熱コイル110のインダクタンスは26μHで、抵抗値は1.0Ωとなった。また、従来の200V系専用機種では、直径φが0.3mmの導線を20本撚り合わせたリッツ線を、加熱コイル110の線材として使用し、内側の巻線110Aが16ターン、外側の巻線110Bが19ターンで、全体では35ターンとなるような巻数とした。これにより加熱コイル110のインダクタンスは98μHで、抵抗値は4.1Ωとなった。
一方、本実施形態の100V系/200V系共通機種では、直径φが0.3mmの導線を20本撚り合わせたリッツ線を、加熱コイル110の線材として使用した。これは、200V系専用機種の加熱コイル110と同じ直径と撚り本数であるが、通電時の温度上昇を抑える場合には、撚り本数をそれ以上に増やすのが好ましい。例えば、前述の沸騰加熱で鍋を強加熱する際に、リッツ線の温度がすぐに上り、長時間の加熱ができない場合には、撚り本数を2倍の40本撚りにする。また、ここで使用する加熱コイル110は、内側の巻線110Aが11ターン、外側の巻線110Bが10ターンで、全体では21ターンとなるような巻数とした。これにより加熱コイル110のインダクタンスは41μHで、抵抗値は1.5Ωとなった(25kHzにて)。
加熱コイル110のインダクタンスは巻数の二乗に比例するため、直列に接続して巻数を増やし、インダクタンスを大きくすれば、電源電圧が高い場合でも、スイッチ素子53の駆動周波数を上げることなく、インバータ34に最大の入力電力(1200W)を印加できるようになる。但し、インダクタンスをむやみに大きくすると、今度は電源電圧が低い場合に、スイッチ素子53のオン通電率をいくら増加させても、最大の入力電力を得ることができなくなる。したがって、100V系/200V系共通機種で使用する加熱コイル110は、各巻線110A,110Bの巻数を工夫して、電源電圧が100V系から200V系までの間の全範囲で、スイッチ素子53の駆動周波数を好ましくは20kHz〜100kHz、さらに好ましくは20kHz〜50kHzの範囲で連続的に変化させたときに、インバータ34に同じ入力電力が最大で印加できるようなインダクタンスとするのが重要である。
さらに第4の項目として、回路図での特性を図5に示す。また図6は、従来の100V系専用機種の主要な回路図を示したものである。200V系専用機種と100V系/200V系共通機種は、前述のような耐電流や耐電圧を含めて、個々の部品の特性が異なるものの、部品間の導線の配置は図2に示した通りで共通する。
100V系専用機種に搭載される電磁誘導コントローラ100は、前述の入力フィルタ回路31が省略されているが、それ以外は200V系専用機種や100V系/200V系共通機種の電磁誘導コントローラ100と同等の回路32〜39を有する。ここで主要な部品P1〜P4として、平滑コンデンサ47と、共振コンデンサ51と、電流ヒューズ41と、加熱コイル110にそれぞれ着目し、これらの部品P1〜P4についての諸特性を図7に示す。同図において、部品P1の平滑コンデンサ47と部品P2の共振コンデンサ51は、何れも静電容量/定格電圧の特性を機種毎に示しており、部品P3の電流ヒューズ41は、定格電流と定格電圧の特性を機種毎に示しており、部品P4の加熱コイル110は、インダクタンスと抵抗値の特性を機種毎に示している。またここでは、仕様1として印加される電源電圧の特性を、仕様2としてインバータ34の入力電力の特性を、結果1としてインバータ34の発振周波数(すなわち、スイッチ素子53の駆動周波数)の特性を、機種毎に示している。
次に、本実施形態の電磁誘導コントローラ100に好適な加熱コイル110の第1設計例を、図8および図9に基づき説明する。ここでは、図2に示す回路構成で、主な部品P1〜部品P3については、図7に示す「100V系/200V系共通機種」の特性を有する電磁誘導コントローラ100を用い、部品P4については、第1試作案で「100V系専用機種」の特性を有する加熱コイル110を用いる一方で、第2試作案で「100V系/200V系共通機種」の特性を有する加熱コイル110を用いた。
図8は、第1試作案の電磁誘導コントローラ100と加熱コイル110の出力特性をそれぞれ示したものである。第1試作案では、本来は100V系専用機種に組み込まれる加熱コイル110を電磁誘導コントローラ100に接続して、それらの出力特性を確認した。加熱コイル110は、直径φが0.3mmの導線を39本撚り合わせたリッツ線を線材として使用し、その線材を内側の巻線110Aが9ターン、外側の巻線110Bが10ターンで、全体では19ターンとなるように巻回している。これにより加熱コイル110のインダクタンスは26μHで、抵抗値は1.0Ωとなった。
第1試作案では、電磁誘導コントローラ100に印加する電源電圧が100V〜240Vの全範囲で、インバータ34の入力電力が何れも最大で1250Wとなるように、スイッチ素子(IGBT)53の駆動周波数とゲートパルス幅が加熱制御手段61で調整された。図8の左側には、電源電圧が240V,220V,120V、及び100Vのときに、インバータ34の入力電力が1250Wとなるような、スイッチ素子53の駆動周波数とゲートパルス幅が示されている。ここでいうゲートパルス幅は、スイッチ素子53のオン時間に相当するもので、駆動周波数の逆数となる一周期に対するオン時間の割合、すなわちオン時比率は、電源電圧が240Vのときに0.19、電源電圧が220Vのときに0.21、電源電圧が120Vのときに0.44、電源電圧が100Vのときに0.54であった。
また図8の右側には、電源電圧が240Vと100Vのときに、フライホイールダイオード52とスイッチ素子53に流れる電流波形W1と、スイッチ素子53のコレクタ電圧波形W2の観測結果をそれぞれ示している。電源電圧が240Vの場合は、スイッチ素子53の駆動周波数が50kHzよりも高く、その分早いタイミングでスイッチ素子53をターンオンせざるを得なくなるため、スイッチ素子53を流れる高い短絡電流が電流波形W1に観測される。第1試作案の加熱コイル110では、電源電圧が200V以上になると、好ましくない短絡電流が発生していた。
そこで、第1試作案とは特性の異なる第2試作案の加熱コイル110を設計し、これを100V系/200V系共通機種で使用する電磁誘導コントローラ100に接続して、同様に出力特性を確認した。第2試作案の加熱コイル110は、直径φが0.3mmの導線を20本撚り合わせたリッツ線を線材として使用し、その線材を内側の巻線110Aが11ターン、外側の巻線110Bが10ターンで、全体では21ターンとなるように巻回している。これにより加熱コイル110のインダクタンスは26μHから41μHに増加し、抵抗値は1.5Ωから1.0Ωとなった。
図9は、第2試作案の電磁誘導コントローラ100と加熱コイル110の出力特性をそれぞれ示したものである。第2試作案でも、電磁誘導コントローラ100に印加する電源電圧が100V〜240Vの全範囲で、インバータ34の入力電力が何れも最大で1250Wとなるように、スイッチ素子(IGBT)53の駆動周波数とゲートパルス幅が加熱制御手段61で調整された。図9の左側には、電源電圧が240Vと100Vのときに、インバータ34の入力電力が1250Wとなるような、スイッチ素子53の駆動周波数とゲートパルス幅が示されている。併せてここには、前述の加熱コイル110の特性(インダクタンス及び抵抗値)と、スイッチ素子53のコレクタ電圧の最大値VCEと、スイッチ素子53を流れる電流のピーク値Ipeakと、フライホイールダイオード52を流れる回生電流の値を、それぞれ示している。スイッチ素子53を流れる電流のピーク値Ipeakは、加熱コイル110と共振コンデンサ51のLC定数を調整して、最大で60A以下とするのが好ましい。スイッチ素子53の駆動周波数とゲートパルス幅から算出されるオン時比率は、電源電圧が240Vのときに0.24、電源電圧が100Vのときに0.64であった。
また図9の右側には、電源電圧が240Vと100Vのときに、フライホイールダイオード52とスイッチ素子53に流れる電流波形W1と、スイッチ素子53のコレクタ電圧波形W2の観測結果をそれぞれ示している。これを図8の観測結果と比較すると、特に電源電圧が240Vの場合に、スイッチ素子53がターンオンする瞬間の短絡電流が77Aから24Aに減少していることが電流波形W1から確認でき、スイッチ素子53からのノイズ発生が低減した。また、加熱コイルのインダクタンスが大きくなった分、同じ入力電力を得るのに必要なスイッチ素子53の駆動周波数が58.6kHzから50kHz以下の44.9kHzに下がったため、スイッチ素子53の損失も低減した。したがって、電波法の規定からすれば、スイッチ素子53の好ましい駆動周波数の範囲は20kHz〜100kHzとなるが、スイッチ素子53の損失を考慮すれば、スイッチ素子53のさらに好ましい駆動周波数の範囲は20kHz〜50kHzとなる。最終的には、この第2試作案の加熱コイル100が、本実施形態に適合するインダクタとなった。
続いて、本実施形態の電磁誘導コントローラ100に好適な加熱コイル110の第2設計例を、図10〜図12に基づき説明する。
第2設計例では、200V系の電源電圧が印加されたときに、従来よりも高い加熱量(インバータ34の入力電力では1200Wから2000W)の炊飯技術を確立することを目的として、炊飯器1の試作が行われた。具体的には、電源電圧が100V系よりも高い200V系の利点を生かし、インバータ34の入力電力を、従来の200V系の炊飯器1では最大値とされた1500Wから2000Wにハイパワー化させ、高速炊飯(炊飯時間:15分)と炊きムラの低減を実現させることを目的とする。
ここでも、100V系/200V系共通機種の電磁誘導コントローラ100で作った回路を、そのまま使用した。また、部品P4については、87μHのインダクタンスを有する加熱コイル110を新たに巻いて、インバータ周波数が30kHz未満で、インバータ34の入力電力が最大で2000Wとなるような設計を実現させた。回路方式は、これまで説明したシングルエンド形式の準E級電圧形共振インバータとし、200V系の電源電圧でインバータ34の入力電力を300W〜2000Wに可変できるようにする。これは、入力電力を1200W〜2000Wとする場合には、前述のようにスイッチ素子53の駆動周波数とオン時比率を可変させたパルス駆動信号群を、スイッチ素子53のゲートに連続して供給する一方で、入力電力を1200W未満とする場合には、スイッチ素子53へのパルス駆動信号群をPWM制御して、スイッチ素子53のゲートに間欠的に供給することで実現する。例えば入力電力を300Wとする場合には、1200Wに相当する連続のパルス駆動信号群を、加熱制御手段61のPWM制御により、25%の割合でスイッチ素子53のゲートに供給すれよく、パルス駆動信号群のオン/オフ比率を変えることで調整可能となる。
図10は、ベースモデルとなる前述した200V系の専用機種と、第2設計例の試作案(第3試作案)について、電磁誘導コントローラ100に搭載される主な部品P1〜P4の特性を示したものである。部品P1の平滑コンデンサ47と、部品P2の共振コンデンサ51は、何れもベースモデルよりも静電容量が大きなものに取り替えた。また、部品P3の電流ヒューズ41も、インバータ34の高入力電力化に伴い、ベースモデルの200V系専用機種よりも定格電流が大きなものに取り替えた。加熱基板21は、前述の200V系専用機種や、第1試作案及び第2試作案と同じものを使用する。
図11は、従来のベースモデルで組み込まれる加熱コイル110と、本実施形態に対応して、第2設計例の第3試作案で組み込まれる加熱コイル110の特性を比較して示したものである。前述したように、ベースモデルとなる200V系専用機種の炊飯器1では、直径φが0.3mmの導線を20本撚り合わせたリッツ線を、加熱コイル110の線材として使用し、内側の巻線110Aが16ターン、外側の巻線110Bが19ターンで、全体では35ターンとなるような巻数とした。これにより加熱コイル110のインダクタンスは98μHで、抵抗値は4.1Ωとなった。
一方、第3試作案の炊飯器1では、直径φが0.3mmの導線を20本撚り合わせたリッツ線を、加熱コイル110の線材として使用し、内側の巻線110Aが16ターン、外側の巻線110Bが17ターンで、全体では33ターンとなるような巻数とした。これにより加熱コイル110のインダクタンスは87μHで、抵抗値は3.5Ωとなった。コイルベース73の外表面に加熱コイル110を装着したコイルベース組立72の構成については、前述した通りである。
図12は、第3試作案の電磁誘導コントローラ100と加熱コイル110の出力特性をそれぞれ示したものである。第3試作案では、電磁誘導コントローラ100に印加する電源電圧が200V系の最大値である240Vで、インバータ34に最大で2000Wまで入力電力を入れられるように、またインバータ34の入力電力が、スイッチ素子53のゲートに連続したパルス駆動信号群を供給できる下限値の1200Wで、スイッチ素子53の駆動周波数が30kHz未満となるように、スイッチ素子53の駆動周波数とゲートパルス幅が加熱制御手段61で調整された。
前述のように、スイッチ素子53の駆動周波数は、20kHz〜50kHzであることがより好ましいが、その上限値が30kHzを超えると、電磁誘導コントローラ100に搭載される部品は高周波特性のグレードが要求される。上限値が30kHz未満であれば、従来の200V系専用機種をベースとして電磁誘導コントローラ100を組み立てたときに、そうした高周波特性のグレードに部品を取り替える必要がなく、従来部品をそのまま利用できるので、コストアップを避けることができる。
図12の左側には、電源電圧が240Vで、インバータ34の入力電力が2000Wと1200Wとなるような、スイッチ素子53の駆動周波数とゲートパルス幅が示されている。併せてここには、スイッチ素子53のコレクタ電圧の最大値VCEと、スイッチ素子53を流れる電流のピーク値Ipeakと、フライホイールダイオード52を流れる回生電流の値を、それぞれ示している。ここでも、スイッチ素子53を流れる電流のピーク値Ipeakを60A以下とするために、加熱コイル110と共振コンデンサ51のLC定数を調整している。また、スイッチ素子53のコレクタ電圧の最大値VCEを抑えるために、スイッチ素子53として高耐圧のIGBTを採用し、共振コンデンサ51の切換回路を追加している。スイッチ素子53のオン時比率は、インバータ34の入力電力が2000Wのときに0.51、インバータ34の入力電力が1200Wのときに0.40であった。
図12の右側には、インバータ34の入力電力が2000Wと1200Wのときに、フライホイールダイオード52とスイッチ素子53に流れる電流波形W1と、スイッチ素子53のコレクタ電圧波形W2の観測結果をそれぞれ示している。第3試作案では、87μHのインダクタンスとなる新たな加熱コイル110を、前述の100V系/200V系共通機種で使用した電磁誘導コントローラ100に接続することで、電磁誘導コントローラ100に200V系の電源電圧を印加した場合に、より好ましいスイッチ素子53の駆動周波数の範囲内とされる20kHz〜50kHzで、インバータ34に第2試作案で達成された上限の入力電力である1250Wよりも高い2000Wの入力電力を最大で印加できた。また、スイッチ素子53に連続してパルス駆動信号を供給して、インバータ34の入力電力を最大の2000Wから1200Wまでの範囲とする場合に、スイッチ素子53の駆動周波数を20kHz〜30kHz未満とすることができた。これにより、100V系/200V系共通機種で使用した電磁誘導コントローラ100の回路に、従来部品をそのまま利用することが可能となり、コストアップなしに炊飯器1のハイパワー化を実現できた。
以上のように、本実施形態の電磁誘導コントローラ100は、交流の電源電圧を直流の入力電圧に変換する電源回路としての整流平滑回路33と、整流平滑回路33に印加する電源電圧を検出する電圧検出回路36と、整流平滑回路33からの入力電圧が印加され、インダクタとなる加熱コイル110に高周波電流を供給するために、駆動回路39からのパルス駆動信号によりオン・オフ動作されるスイッチ素子53を含んで構成されるインバータ34と、電圧検出回路36からの検出結果を受けて、スイッチ素子53のオン・オフ動作を制御する制御手段となる加熱制御手段61と、を備え、電源電圧が上昇するに従い、スイッチ素子53の駆動周波数を連続的に上げ、さらにはインバータ34に印加する入力電力が上昇するに従い、スイッチ素子53のオン時比率を連続的に増加させることで、電源電圧が第1電圧系となる100V系と第2電圧系となる200V系との間の全範囲で、インバータ34に同じ最大の第1入力電力(1250W)が印加されるように、加熱制御手段61を構成している。
そのため、整流平滑回路33に加わる電源電圧が100V系と200V系の間のどの電圧値であっても、加熱制御手段61がスイッチ素子53の駆動周波数とオン時比率を連続的に可変させることで、従来のように複数の加熱コイルの接続をわざわざ切替えることなく、単独の加熱コイル110でインバータ34に同じ最大の第1入力電力を印加できる。したがって、設置スペースの制約を受けることなく、電源電圧が100V系や200V系以外の中間値であっても、インバータ34が所定の入力電力を得ることが可能な電磁誘導コントローラ100を、電源電圧に依存することなく共通に提供できる。
また本実施形態では、上記構成の電磁コントローラ100に加熱コイル110を接続して、電源電圧が第1電圧系である100V系と第2電圧系である200V系との間の全範囲で、スイッチ素子53の駆動周波数を20kHz〜50kHzの範囲で連続的に変化させたときに、インバータ34に同じ最大の第1入力電力となる1250Wが印加されるように、加熱コイル110のインダクタンスが選定される。
そのため、電磁誘導コントローラ100に適切なインダクタとなる加熱コイル110を接続することで、電磁誘導コントローラ100に印加される電源電圧が100V系や200V系以外の中間値であっても、好ましいスイッチ素子53の駆動周波数の範囲内で、インバータ34に所定の入力電力を最大で印加できる。
また本実施形態では、上記構成の電磁コントローラ100に加熱コイル110を接続して、電源電圧が第2電圧系である200V系のときに、スイッチ素子の駆動周波数を20〜50kHzの範囲で連続的に変化させたときに、インバータ34に前記第1入力電力となる1250Wよりも大きな第2入力電力となる2000Wが最大で印加されるように、加熱コイル110のインダクタンスが選定される。
そのため、電磁誘導コントローラ100に適切なインダクタとなる加熱コイル110を接続することで、整流平滑回路33に200V系の電源電圧を印加した場合には、好ましいスイッチ素子の駆動周波数の範囲内で、インバータ34に第1入力電力よりも高い第2入力電力を最大で印加できる。
なお、本実施形態では電磁誘導コントローラ100と加熱コイル110を炊飯器1に組み込んだ一例を説明したが、炊飯器1以外の商用電源で動作する電気機器に適用してもよい。例えば、電気機器としてオーブンレンジに組み込む場合には、加熱コイル110に代わるインダクタとして、昇圧トランスの一次巻線を電磁誘導コントローラ100に接続する。昇圧トランスの一次巻線と二次巻線との間の電磁誘導作用により、二次巻線に誘起された高電圧をマグネトロンに印加することで、オーブンレンジの調理庫内に入れた被調理物を高周波加熱することができる。この場合も、昇圧トランスの一次巻線のインダクタンスを適宜調整すれば、本実施形態と同様の作用・効果が得られる。また、特許文献1のような定着装置の他に、インダクタに交流電流を供給して電磁誘導作用を生じさせるあらゆる電気機器に、本発明を適用できる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。上記実施形態中の数値はあくまでも一例であり、電気機器の仕様に応じて適宜変更してよい。またインバータ34は、例えば複数のスイッチ素子を使用するハーフブリッジ形やフルブリッジ形のインバータを採用してもよい。