JPWO2011052322A1 - 注射剤の調製実習用教材およびそれを用いた調製実習方法 - Google Patents
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Abstract
Description
注射器による医療用薬液の調製作業は、まず、注射筒に注射針を装着した注射器に、バイアル瓶やアンプルなどから薬液を吸引し、注射器内の空気を抜き、輸液を入れた容器に注入し、注射針を抜針するという一連の動作で行われる。医療従事者は、確実にこの作業ができるよう繰り返し実習して習得、熟練しておくことが望ましい。
技術向上のためには、薬液がどのような状態で飛散したかを知り、学習することが大事であるが、薬液が無色透明である場合には、飛散した薬液を視認することは非常に難しい。
前記蛍光液用容器と酸化液用容器とは、前記蛍光液または前記酸化液を構成する成分の液体を、成分ごと、或いは成分を組み合わせて、貯留した1以上の容器であるのが望ましい。蛍光液と酸化液とが、蛍光液用容器と酸化液用容器とに貯留されていれば、実習中に混合させることができるので、使用したいときにすぐに発光させることができる。また、蛍光液用容器と酸化液用容器とを、成分ごとに容器を分けたり、成分の組み合わせにより1つの容器としたり複数の容器としたりすることで、予め混合された状態では発光時間が短くなるような組み合わせを回避したり、最大輝度が低下するような組み合わせを回避したりすることができる。
このように実習を行うことで、飛散した実習用薬液が飛散した場所で紫外線を照射しなくても発光するので、確実に、かつ容易に実習用薬液の飛散を発見することができる。
21 蛍光液用容器
22 酸化液用容器
23 希釈液用容器
2a 容器本体
2b 蓋体
3 バイアル瓶
31 セプタム
32 蓋体
33 瓶体
34 ゴム栓
4 注射器
41 注射針
42 注射筒
42a 内筒
42b 外筒
5 吸収シート
6 別の注射剤容器
本発明の実施の形態1に係る注射剤の調製実習用教材を、図面に基づいて説明する。
図1に示す注射剤の調製実習用教材1は、医療用薬液の代わりに容器に貯留された実習用薬液を注射器に吸引させて調製作業を実習するためのものである。以下、注射剤の調製実習用教材を、単に調製実習用教材と称す。
この実習用薬液は、従来から知られた蛍光液と酸化液が使用できる。蛍光液は、シュウ酸エステル、蛍光物質および溶媒を含有し、過酸化水素を含有する酸化液と混合した際に化学発光現象を生じるものである。
酸化液としては、フタル酸ジメチル、クエン酸トリエチルなどを主な溶媒とし、これにt-ブタノール、過酸化水素水、サリチル酸塩、エタノールから選ばれた1種、または複数種を混合したものを使用することができる。
なお、酸化液、蛍光液には、必要に応じ界面活性剤等の添加剤を本発明の本質を損なわない範囲で加えることができる。
また、実習用薬液は、小さい飛沫でも所定時間、視認できるように調製されているのが望ましい。本実施の形態1では、手袋上で10μLの飛沫が30分の間で視認可能なように調製されている。
(1)実習用薬液の混合
(2)注射針の注射器への装着
(3)注射針の穿刺とバイアル瓶からの薬液の吸引と注射針の抜針
(4)注射器からの空気抜き
(5)注射針の穿刺と別の注射剤容器への薬液の吐出と注射針の抜針
(6)注射針の廃棄
(7)実習用薬液の飛散状態の確認
この順序に従って説明する。
実習者は、蛍光液用容器21の蓋体2bを開き、一方の発光液である蛍光液を、バイアル瓶3へ約5mLほど移す。次に、酸化液用容器22の蓋体2bを開き、他方の発光液である酸化液を、同様にしてバイアル瓶3へ約5mLほど移す。実習用薬液は蛍光液と酸化液とを1:1で混合させるように調製されているので、蛍光液と酸化液との混合に微調整が不要であり、目分量で容易に混合させることができる。従って、蛍光液と酸化液とを素早く混合させることができる。従って、限られた実習時間を有効に使うことができる。バイアル瓶3の瓶体33の中で混合された実習用薬液は化学発光を始める。実習者は瓶体33に蓋体32を付けて準備が完了する。
実習者は注射針41を注射筒42へ装着する。その作業の際には、まだ注射針41と注射筒42のいずれも薬液に触れていないため、この段階では薬液による汚染の心配はない。注意点としては、針刺し事故である。
次に、実習者は、一方の手でバイアル瓶3の瓶体33を持ち、他方の手で注射器4を持ちながら、注射針41をセプタム31に穿刺した後、バイアル瓶3および注射器4を倒立させて内筒42aを引くことで、注射筒42に実習用薬液を吸引する。その後、実習者は、注射針41をセプタム31から抜針する。このとき、実習用薬液が付着した状態にある注射針41をバイアル瓶3から引き抜くため、周囲に実習用薬液が霧状に飛散する可能性がある。特に、蓋体32により閉鎖されたバイアル瓶3では、内外での圧力の差が生じやすく、この圧力差によって周囲の床面や蓋体32に汚染が発生しやすくなる。また、少し注射針が撓んだ状態でセプタム31に穿刺されていると、注射針41が抜針したときに撓みが戻り、注射針41内の実習用薬液が先端から飛散することがある。この場合には、バイアル瓶3を持つ手に実習用薬液が付着することがある。注射針41の抜針を行う際には、内筒42aを引いて注射筒42内を負圧にしておくことが重要である。また、注射針41を真っ直ぐ引き抜くことが重要である。
実習者が実習用薬液を注射器4に吸引した際に、実習用薬液が注射器4内に回収されるが、空気も注射器4内に混入することが多い。この空気が微量の場合は問題ないが、多い場合には針先を上方へ向け、注射器4内の空気を抜く必要がある。この際、過って実習者が実習用薬液も注射器4外に吐出してしまうことがあり、注射器4の外筒42bや注射器4を持つ手の甲に実習用薬液が付着することがある。これも汚染の原因となる。注射針41にサックを被せて空気抜きを行うことで防止を図る。
次に、実習者は、注射針41を別の注射剤容器に穿刺し、注射器4内の実習用薬液を注入し、そして注射剤容器から注射針を抜針する。注射剤容器としては、例えば、他のバイアル瓶、アンプル、バッグ、ボトルなどのいずれか一つとしたり、複数を組み合わせたりして使用することができる。実習用薬液の飛散が、吸引時か、元に戻した時かが判りにくくなってもよければ、実習用薬液を吸引した同じバイアル瓶3へ戻してもよい。
実習者は、注射器4内の実習用薬液を注射剤容器へ移した後、注射針41と注射筒42を廃棄する実習を行う。注射針41と注射筒42は分けて廃棄されることが多いが、この分離作業の際には、接合部分近傍にあった実習用薬液が周囲に飛散しやすいので、注射針41と注射筒42とを分離せずに廃棄することで防止を図る。
次に、実習用薬液の飛散状態を確認する。この確認は、(1)〜(6)まで終了した後に行ってもよいが、それぞれの作業後に行ってもよい。
本発明の実施の形態2に係る注射剤の調製実習用教材を、図面に基づいて説明する。なお、図3および図4においては、図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
実施の形態2では、実習用薬液として、蛍光液および酸化液の他に、希釈液を含むことを特徴とするものである。
希釈液については、トリアセチン、エタノールの混合液が好適に使用することができる。
まず、図4(A)に示すように、注射器4を用いて蛍光液1mLを蛍光液用容器21からバイアル瓶3へ移す。
次に、図4(B)に示すように、同様に、注射器4を用いて酸化液1mLを酸化液用容器22からバイアル瓶3へ移す。
図4(C)に示すように、蛍光液と酸化液とを混合させた段階で、発光が開始される。
図4(D)に示すように、注射器4を用いて希釈液2mLを希釈液用容器23からバイアル瓶3へ移して、蛍光液と酸化液との混合液の粘度を調整する。本実施の形態2では、蛍光液と酸化液と、および希釈液を1:1:2の割合で混合しているが、1:1:1から1:1:3までの範囲とすることができる。この混合比率は、粘度に応じて変更してもよい。例えば、蛍光液と酸化液と希釈液との混合比が1:1:3でもまだ粘度が高すぎる場合には、1:1:4とすることも可能である。
図4(E)に示すように、バイアル瓶3のセプタム31付きの蓋体32を外して、ゴム栓34を装着して、蓋体32を取り付ける。
図4(F)に示すように、蛍光液、酸化液および希釈液がよく混合するようにバイアル瓶3を振る。
次に、図4(G)に示すように、バイアル瓶3への注射針の穿刺と、薬液の吸引および注射針の抜針とを行った後に、別の注射剤容器6への注射針の穿刺と、薬液の吐出および注射針の抜針とを行って、実際の調製作業の実習を行う。実習用薬液を注射器4に吸引した際に空気が混入した場合には、必要に応じて針先を上方へ向けて注射器4内の空気を抜く。
そして、図4(H)に示すように、実習用薬液の飛散状態の確認を行う。
実習後には、使用済みの実習用薬液や余剰の実習用薬液、飛散した実習用薬液などは、吸収シート5(図3参照)に吸収させる。
また、本実施の形態2に係る調製実習用教材1xでは、蛍光液および酸化液と、希釈液とを別々の容器に入れているが、予め、蛍光液および酸化液のいずれか一方、または両方に混合させておいてもよい。しかし、医療用薬液と同じ程度の粘性に近づけるための調製が実習中に行うことができるので、それぞれを別の容器とするのが望ましい。
Claims (6)
- 容器に貯留された実習用薬液を注射器に吸引させて調製作業を実習するための注射剤の調製実習用教材であって、
前記実習用薬液は、混合することで化学発光する蛍光液と酸化液とを含むことを特徴とする注射剤の調製実習用教材。 - 前記蛍光液は蛍光液用容器に貯留され、前記酸化液は酸化液用容器に貯留され、
前記蛍光液用容器と酸化液用容器とは、前記蛍光液または前記酸化液を構成する成分の液体を、成分ごと、或いは成分を組み合わせて、貯留した1以上の容器である請求項1記載の注射剤の調製実習用教材。 - 前記蛍光液と酸化液とを混合させるために、混合用容器が添付されている請求項1または2記載の注射剤の調製実習用教材。
- 前記蛍光液と酸化液とは、1:1で混合させるように調製されている請求項1から3のいずれかの項に記載の注射剤の調製実習用教材。
- 前記実習用薬液には、前記蛍光液および/または酸化液を希釈する希釈液が含まれている請求項1から4のいずれかの項に記載の注射剤の調製実習用教材。
- 医療用薬液の代わりに容器に貯留された実習用薬液を注射器に吸引させて調製作業を実習するための注射剤の調製実習用教材を用いた実習方法であって、
混合することで化学発光する実習用薬液として使用する蛍光液および酸化液を、混合用容器で混合するステップと、
前記混合用容器にて混合された実習用薬液を、注射器で吸引すると共に該注射器内の空気を抜くステップと、
前記実習用薬液の発光を確認して汚染の度合いをチェックするステップとを含むことを特徴とする注射剤の調製実習用教材を用いた調製実習方法。
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