JPWO2011045950A1 - 自動車用内装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、軽量で吸音性能、遮音性能の高い自動車用内装材を提供することにある。【解決手段】 叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲であり表面に開口する多数の細孔が設けられている多孔質パルプ繊維を90質量%以上含み、通気抵抗が0.07〜3.00kPa・s/mの範囲である紙材料1を用いることで、軽量かつ吸音性能、遮音性能の高い自動車用内装材を得ることができる。【選択図】 図3

Description

本発明は主として床敷用に供される自動車用内装材に関するものである。
この種の自動車用内装材としては、一般に所定の通気抵抗を有する通気性材料が使用される。例えば特許文献1には目付が150〜800g/m、嵩密度が0.01〜0.2g/cmである不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm/sec以下の表皮材とを積層した吸音材が記載され、特許文献2には目付けが150〜800g/m、嵩密度が0.01〜0.2g/mの不織布を表皮材として積層した易成形性吸音材が記載され、特許文献3には、空気流に対しての総抵抗R=500Nsm−3〜R=2500Nsm−3を有するファイバー層またはファイバー/フォーム複合体層を備えた遮音キットが記載されている。
上記吸音材あるいは遮音キットは、内部に侵入した音のエネルギーを摩擦エネルギーに変えて吸収するものである。
更に上記吸音材の吸音性能を高めるために、上記各吸音材に使用されている通気性材料に加え、更に多数の貫通孔を設けたゴム層あるいは樹脂層を挿入した構成のものが提案されている。
例えば特許文献4には、フロアマットの裏面に複数の貫通孔を設けたゴム層を裏打ちした吸音材層を積層した構成が記載され、特許文献5には、保形フェルト層の上側に開孔樹脂層を積層し、下側に非通気樹脂シートを積層することによって該開孔樹脂層から該保形フェルト層内に侵入した音波を該開孔樹脂層と該非通気樹脂シート間に閉じ込めて該保形フェルト内で乱反射させ、音のエネルギーを高い効率で吸収する内装材が記載されている。
国際公開第2005/019783号 特開2005−335279号公報 特表2000−516175号公報 特開2007−126084号公報 特開2007−161153号公報
上記ゴム層あるいは樹脂層を挿入する構成とする場合、これらに貫通孔を設ける加工方法には、一般的に針刺し加工が適用される。ところが、針刺し加工によって設けられる貫通孔の径は針の太さによって決まるため、径が微小な貫通孔、特に直径0.1mm以下の微小貫通孔を設けることは殆んど不可能であるという問題点がある。また樹脂層やゴム層が有する弾性復元力により、貫通孔を形成しても該貫通孔が塞がってしまうという問題点もある。
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、多孔質マット5上に非通気性樹脂シート4が積層され、該非通気性樹脂シート4上に成形性フェルト3が積層され、該成形性フェルト3上に、紙材料1を裏打ちした通気性表装材2が積層された自動車用内装材6であって、上記紙材料1は叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲であり表面に開口する多数の細孔が設けられている多孔質パルプ繊維を90質量%以上含み、通気抵抗が0.07〜3.00kPa・s/mの範囲の紙であることを特徴とする自動車用内装材6を提供するものである。
上記紙材料1は表面に多数の凹凸を形成することによって延伸性を付与されたクレープ加工および/またはエンボス加工紙であることが望ましく、上記紙材料1の目付量は15g/m〜50g/mであることが望ましい。
また、上記成形性フェルト3の目付量は50〜1000g/mであり、厚さが1.5mm以上であり、融点が180℃以下の低融点熱可塑性樹脂繊維を10〜50質量%含有し、通気抵抗が0.04〜1.50kPa・s/mであることが望ましい。
〔作用〕
本発明では、形成可能な貫通孔の最小径に限界があるゴム層や樹脂層を使わずに、叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲であり表面に開口する多数の細孔が設けられている多孔質パルプ繊維を90質量%以上含み、通気抵抗が0.07〜3.00kPa・s/mの範囲に設定された紙材料1を使用して吸音性能を高めることを特徴とする。
上記紙材料1にあっては、繊維間の空隙に加えて繊維自体にも空隙が形成されているから、該紙材料1の繊維間の空隙および繊維自体の空隙に音が取り込まれて該音波が繊維を振動させることで、音のエネルギーを紙材料1内部で繊維同士が摩擦エネルギーとして吸収することにより、音のエネルギーを減衰する。
更には該多孔質パルプ繊維の表面には多数のケバが存在するため、該ケバもまた音によって振動することにより音のエネルギーを摩擦エネルギーとして吸収する。
該繊維の叩解度がろ水度で650ml(CSF)を超えている場合には、パルプ繊維のケバや同心円状の緩みが不充分となり、パルプ繊維表面に開口する多数の細孔による多孔質化が不充分となり空隙率が低下して内装材6の吸音性能に悪影響が及ぼされる。一方350ml(CSF)を下回るとパルプ繊維がフィブリル化することで細分化されてしまい、極微細繊維が増加するので、紙材料1の密度が高くなり、通気抵抗が高くなって、やはり内装材6の吸音特性に悪影響が及ぼされる。
このように本発明の内装材6にあっては、音が成形性フェルト3内に達するまでにすでに紙材料1によってエネルギーを大幅に吸収されており、更に音は該成形性フェルト3内で該紙材料1と該非通気性樹脂シート4とによって閉じ込められ、乱反射することによって効率良く吸収される。
また、パルプ繊維自体に多数の細孔が設けられることにより、通気層が全表面に渡り分布し、従来の樹脂層やゴム層のような所定部位にのみ貫通孔を設けたものと比べて吸音性に優れ、全体としての軽量化を図ることが出来、更に安価である。
〔効果〕
本発明の内装材6は極めて優れた吸音性能を有し、軽量でかつ安価な自動車用内装材6が提供される。そして該内装材6に使用する紙材料1は木質のパルプ繊維からなり、有機合成繊維のように製造工程で多量の炭酸ガスを発生せず、また腐朽性があり、更にまたバイオマスエネルギー(例えばバイオエタノールの原料)としても使用できるので、省エネルギー対策、地球温暖化防止対策にも資する材料である。
通気抵抗Rの測定方法を説明する説明図 突起高さhを説明する説明図 本発明の自動車用内装材の断面図
本発明の自動車用内装材6は例えば図3に示すように、下層から順に多孔質マット5、非通気性樹脂シート4、成形性フェルト3、紙材料1、通気性表装材2を積層したものである。
以下に各材料について詳説する。
〔多孔質マット〕
多孔質マット5は上記内装材6に好適なクッション性を付与すると共に、非通気性樹脂シート4を自動車内の壁面や床面等から一定距離を保つことによって、該内装材6に良好な遮音効果を付するものである。
上記多孔質マット5としては、例えば後述する通気性表装材2や成形性フェルト3に用いられる繊維シートやマットが使用される。
また、上記多孔質マット5の材料としては、通気性ポリウレタン発泡体、通気性ポリエチレン発泡体、通気性ポリプロピレン発泡体、通気性ポリスチレン発泡体、通気性フェノール樹脂発泡体、通気性メラミン樹脂発泡体等の通気性プラスチック発泡体からなるシートまたはマットが用いられてもよい。
上記内装材6に良好なクッション性や遮音効果を付与するために、多孔質マット5の目付量は50〜1000g/mであることが望ましく、厚みは5〜30mmであることが望ましい。
〔非通気性樹脂シート〕
非通気性樹脂シート4は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂のシートである。
該非通気性樹脂シート4には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム等の充填剤や顔料等の着色剤等を添加してもよい。
上記非通気性樹脂シート4は該内装材6に良好な遮音性能を寄与するものであり、また該内装材6を所定形状に成形する際には成形形状を安定化させるものである。
上記非通気性樹脂シート4は良好な遮音性能を発揮するという観点から、目付量は20〜1000g/mであることが望ましく、厚みは0.01〜3.0mmであることが望ましい。
〔成形性フェルト〕
成形性フェルト3としては、繊維にバインダーとして熱硬化性樹脂初期縮合物を混合して、所望なれば該初期縮合物をB状態にした熱硬化性フェルト、繊維にバインダーとして擬似熱可塑性樹脂を混合した擬似熱可塑性フェルト、繊維にバインダーとして熱可塑性樹脂および/または低融点熱可塑性樹脂繊維を混合した熱可塑性フェルトがある。
上記熱硬化性フェルトや上記擬似熱可塑性フェルトや上記熱可塑性フェルトである成形性フェルト3に使用される繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラ、蚕糸、キワタ、ガマ繊維、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、デンプン系、ポリ乳酸系等の生分解性繊維、レーヨン(人絹、スフ)、ポリノジック、キュプラ、アセテート、トリアセテート等のセルロース系人造繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、これらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維等である。これらの繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。
上記熱硬化性フェルトに使用される熱硬化性樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、熱硬化型アクリル系樹脂、特に加熱によりエステル結合を形成して硬化する熱硬化性アクリル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化型ポリエステル系樹脂等が使用されるが、該合成樹脂を生成するウレタン樹脂プレポリマー、尿素系樹脂プレポリマー(初期縮合体)、フェノール系樹脂プレポリマー(初期縮合体)、ジアリルフタレートプレポリマー、アクリルオリゴマー、多価イソシアナート、メタクリルエステルモノマー、ジアリルフタレートモノマー等のプレポリマー、オリゴマー、モノマー等の合成樹脂前駆体が使用されてもよい。該熱硬化性樹脂は取り扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパーションの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
また、特に成形性フェルト3に使用される熱硬化性樹脂として望ましいのは、フェノール系樹脂である。該フェノール系樹脂は、フェノール系化合物とホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド供与体とを縮合させることによって得られる。
上記フェノール系樹脂に使用されるフェノール系化合物としては、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよいが、一価フェノールのみを使用した場合、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドが放出され易いため、好ましくは多価フェノールまたは一価フェノールと多価フェノールとの混合物を使用する。
上記熱硬化性樹脂あるいは合成樹脂前駆体は二種以上混合使用されてもよい。
上記擬似熱可塑性フェルトに使用される擬似熱可塑性樹脂は、
(A)5〜100質量%がエチレン性不飽和酸無水物またはカルボン酸基が酸無水物基を形成することができるエチレン性不飽和ジカルボン酸からなるラジカル重合により得られたポリマーと、
(B)少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルカノールアミンと、
(A)+(B)の和に対して1.5質量%より少ない、リン含有反応促進剤と、
を含有する、ホルムアルデヒド不含の水性結合剤である。
上記水性結合剤は一般的に、水性エマルジョン、水溶液、あるいはイソプロパノール、エタノール、グリコール等の水溶性有機溶媒溶液、水と上記水溶性有機溶媒との混合溶媒の溶液等の形状で提供され、ポリマー(A)に含まれる酸と、アルカノールアミン(B)に含まれる水酸基とのエステル化反応によって硬化し、水溶性が水不溶性に変化し、熱可塑性が擬似熱可塑性に変化する。
上記擬似熱可塑性樹脂は、現在BASF社より商品名アクロデュア(Acrodur)として上市されており、水溶液タイプとしては950L,DS3530、水性エマルジョンタイプとしては958Dがある。
上記アクロデュアは、大凡120℃以上の温度で上記エステル化反応によって架橋が開始され、160℃以上の温度で硬化するが、架橋前の熱可塑性の状態でも充分な硬さを有し、取扱いが容易であり、しかも熱成形時には加熱により硬さが低下して一時的に熱可塑性になり(擬似熱可塑性)、良好な成形性を示し、高い成形精度が得られる。また上記アクロデュアの架橋はエステル化反応によるから、水のみが副成され、ホルムアルデヒド等の有害物質が副成されないという利点がある。
上記擬似熱可塑性樹脂は二種以上、例えば水溶液タイプと水性エマルジョンタイプとが混合されてもよいし、他の熱可塑性樹脂水性エマルジョン等が混合されてもよい。
上記擬似熱可塑性樹脂の詳細は、例えば特表2000−506940号公報に記載されている。
上記熱可塑性フェルトに使用される熱可塑性樹脂としては、例えばアクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム共重合(ASA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合(ACS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、エチレンビニルアルコール共重合(EVOH)樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリブタジエン(BDR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリプロピレン(PP)、酢酸繊維素(セルロースアセテート:CA)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリオキシメチレン(=ポリアセタール)(POM)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、全芳香族ポリエステル(POB)等が例示される。
上記熱可塑性樹脂は、2種以上混合使用されてもよく、また熱可塑性樹脂の成形容易性を阻害しない程度で若干量の熱硬化性樹脂の1種または2種以上を混合使用してもよい。該熱可塑性樹脂は取り扱いが容易な点から水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパージョンの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
更に、上記成形性フェルト3に成形性を付与する手段としては、上記熱可塑性樹脂に代えて、あるいは上記熱可塑性樹脂と共に、融点が180℃以下である低融点熱可塑性樹脂繊維を使用する。該低融点熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル共重合体繊維、ポリアミド繊維、ポリアミド共重合体繊維等がある。これらの低融点熱可塑性樹脂繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。また、これらの低融点熱可塑性樹脂繊維を芯とし、融点が200℃以上の高融点繊維を鞘とした、あるいは融点が200℃以上の高融点繊維を芯とし、低融点熱可塑性樹脂繊維を鞘とした芯鞘構成の複合繊維等が使用される。
上記芯鞘構成の複合繊維を使用すると該フェルトの剛性が向上する。
該低融点熱可塑性樹脂繊維の繊度は、0.1dtex〜60dtexの範囲である。
上記低融点熱可塑性樹脂繊維は通常上記繊維に10〜50質量%混合される。
上記成形性フェルト3は、上記繊維のウェブのシートあるいはマットをニードルパンチングによって絡合する方法、あるいは繊維のウェブのシートあるいはマットが上記低融点熱可塑性樹脂繊維からなるか、あるいは上記低融点熱可塑性樹脂繊維が混合されている場合には該混合繊維のウェブをそのまま、あるいは該ウェブをニードルパンチングによって絡合した上で加熱して、該低融点熱可塑性樹脂繊維を軟化せしめて繊維相互を結着する方法、あるいは上記繊維シートまたはマットに合成樹脂を含浸あるいは混合して結着するか、あるいは上記繊維のウェブのシートまたはマットをニードルパンチングによって絡合した上で合成樹脂あるいは合成樹脂前駆体の粉末、溶液、エマルジョン、あるいはラテックスを混合、塗布あるいは含浸して結着する方法、上記繊維を編織する方法等によって製造される。
上記成形性フェルト3の目付量、厚みは原則任意に設定可能であるが、内装材6の軽量化の観点から、望ましくは、目付量50〜1000g/m、更に望ましくは100〜500g/mであり、形状保持の面から厚さは1.5mm以上とすることが望ましい。
上記成形性フェルト3に融点180℃以下の低融点熱可塑性樹脂繊維が10〜50質量%含まれていると、内装材6の成形性が向上する。
〔紙材料〕
紙材料1として用いられるのは多孔質パルプ繊維を90質量%以上含み、通気抵抗が0.07〜3.00kPa・s/mの範囲の紙である。
上記紙材料1の通気抵抗が0.07kPa・s/m未満の場合には吸音性能の良い内装材6が得られず、一方通気抵抗が3.00kPa・s/mを超える紙材料の場合には、成形性の良い内装材6が得られない。
(多孔質パルプ繊維)
上記多孔質パルプ繊維とは、繊維自体が、その表面で開口する細孔を多数有するものをいう。上記多孔質パルプ繊維は、非木材系植物繊維および/または木材系植物繊維からなり、通常針葉樹や広葉樹のチップを原料とし、叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲で繊維の長径が5μm〜100μmの多孔質パルプ繊維である。
上記叩解は通常コニカルリファイナー、ディスクリファイナー等によって行われる。
上記多孔質パルプ繊維の平均長は0.2〜30mmの範囲であることが望ましく、長径は5〜100μmであることが望ましい。上記多孔質パルプ繊維の平均長が0.2mmに満たない場合は紙材料1中の繊維相互の絡み合いが不充分となって内装材6の強度が低下し、平均長が30mmを超えると繊維自体が糸まり状に絡み易くなり、繊維をシートにすることが困難となる。また繊維長径が5μmに満たない場合はシート密度が過大になり、またシート強度が低下し、繊維長径が100μmを超えると繊維自体の剛性が高くなって繊維相互の絡み合いが困難になる。
本発明の紙材料1に使用される多孔質パルプ繊維は二種以上混合使用されてもよく、また、上記多孔質パルプ繊維と通常繊維(非多孔質繊維)とを混合してもよい。なお、この場合の混合比率は内装材6の吸音性能を良好なものとするという観点から、多孔質パルプ繊維が90質量%以上含まれるべきであり、望ましくは95質量%以上、更に望ましくは100質量%含まれるべきである。
(通常繊維)
上記多孔質パルプ繊維と併用される通常繊維(非多孔質繊維)としては、例えばポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、とうもろこしやサトウキビ等の植物から抽出された澱粉からなる生分解繊維(ポリ乳酸繊維)、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、あるいはこれらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維の1種または2種以上の繊維が使用されるが、例えばガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維、ステンレス繊維等の無機繊維やポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維等のアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等の望ましくは融点が250℃以上の耐熱性合成繊維を混合使用すれば、耐熱性の極めて高い繊維シートが得られる。その中でも炭素繊維は焼却処理が可能で細片が飛散しにくい点で有用な無機繊維であり、アラミド繊維は比較的安価で入手し易い点で有用な難燃性合成繊維である。
上記紙材料1の通気抵抗は0.07〜3.00kPa・s/mの範囲であるが、ここで、上記の通気抵抗(Pa・s/m)とは、通気性材料の通気の程度を表す尺度である。この通気抵抗の測定は定常流差圧測定方式により行われる。図1に示すように、シリンダー状の通気路W内に試験片Tを配置し、一定の通気量V(図中矢印の向き)の状態で図中矢印の始点側の通気路W内の圧力P1と、図中矢印の終点P2の圧力差を測定し、次式より通気抵抗Rを求めることが出来る。
R=ΔP/V
ここで、ΔP(=P1−P2):圧力差(Pa)、V:単位面積当りの通気量(m/m・s)である。
通気抵抗は、例えば、通気性試験機(製品名:KES−F8−AP1、カトーテック株式会社製、定常流差圧測定方式)によって測定することが出来る。
上記紙材料1として、表面に多数の凹凸を形成した延伸性紙材料を使用してもよい。該延伸性紙材料を使用すると、吸音性能に優れかつ成形性の良い表皮材が得られる。
前記延伸性紙材料としては、表面に縮緬状の皺を形成したクレープ加工紙、表面に多数の突起を形成したエンボス加工紙、表面に縮緬状の皺と多数の突起を形成したクレープエンボス加工紙等が例示される。
上記クレープ加工紙は原料にクレープ加工を施したものであり、上記クレープ加工には、湿紙の状態でプレスロールやドクターブレードを用いて縦方向に圧縮して皺付けを行なうウェットクレープと、シートをヤンキードライヤーやカレンダーで乾燥した後ドクターブレード等を用いて縦方向に圧縮して皺付けを行なうドライクレープがある。
この場合次式で計算されるクレープ率が10〜50%であることが望ましい。
クレープ率(%)=(A/B)×100
A:紙抄造工程における抄紙速度
B:紙の巻き取り速度
即ちクレープ率とはペーパーウェブがクレーピングで縦方向(抄造方向)に圧縮される割合である。
該クレープ率が10%未満の場合には、クレープ加工紙の吸音性能が悪くなりかつ延伸性が不充分となって成形時に皺が発生し易くなり、一方該クレープ率が50%を越えると、やはり成形時に皺が発生し易くなる。
上記エンボス加工紙は表面に多数の凹凸を設けたロール(エンボスロール)やプレート(エンボスプレート)を原紙に押圧し、紙の表面に多数の突起を形成したものであり、該突起の高さは0.02〜2.00mmであり、かつ突起数は20〜200個/cmであることが望ましい。該突起高さが0.02mm未満の場合には、該エンボス加工紙の吸音性能が悪くなり、かつ延伸性が不充分となって成形時に皺が発生し易くなり、一方該突起高さが2.00mmを超えても成形時に皺が発生し易くなる。また突起数が20個/cm未満の場合には、該エンボス加工紙の吸音性能が悪くなり、また延伸性が不充分となって成形時に皺が発生し易くなり、一方突起数が200個/cmを超えても、該エンボス加工紙の吸音性能が悪くなる。
なお図2に示されるエンボス加工紙1a(延伸性紙材料)には表面に多数の突起1bが形成されており、該突起1bの高さは、図2に示す「h」に相当する。上記原紙としてクレープ加工紙を使用すればエンボスクレープ加工紙となる。
ところで、紙材料の目付量は、通常10〜60g/m程度であるが、本発明に係る紙材料の目付量は、望ましくは15〜50g/mである。目付量が小さすぎると通気抵抗が低くなりすぎて望ましい吸音性能が得られず、逆に大きすぎると通気抵抗が高くなりすぎて吸音性能が低下する。
〔通気性表装材〕
通気性表装材2としては、通常上記成形性フェルト3で使用された繊維と同様な繊維からなるシートまたはマットが用いられる。
該通気性表装材2で用いられる繊維も該成形性フェルト3と同様に、融点が180℃以下である低融点熱可塑性樹脂繊維を使用してもよい。またその際用いられる低融点熱可塑性樹脂繊維の繊度は、0.1dtex〜60dtexの範囲であり、上記低融点熱可塑性樹脂繊維は通常上記繊維に1〜50質量%混合される。
上記通気性表装材2として使用される繊維シートまたはマットは、成形性フェルト3の製造方法において記載したものと同様に、上記繊維のウェブのシートあるいはマットをニードルパンチングによって絡合する方法、あるいは繊維のウェブのシートあるいはマットが上記低融点熱可塑性樹脂繊維からなるか、あるいは上記低融点熱可塑性樹脂繊維が混合されている場合には該混合繊維のウェブをそのまま、あるいは該ウェブをニードルパンチングによって絡合した上で加熱して、該低融点熱可塑性樹脂繊維を軟化せしめて繊維相互を結着する方法、あるいは上記繊維シートまたはマットに合成樹脂を含浸あるいは混合して結着するか、あるいは上記繊維のウェブのシートまたはマットをニードルパンチングによって絡合した上で合成樹脂あるいは合成樹脂前駆体の粉末、溶液、エマルジョン、あるいはラテックスを混合、塗布あるいは含浸して結着する方法、上記繊維を編織する方法等によって製造される。
上記繊維シートまたはマットの目付量は内装材6の好ましい意匠性や外観という観点から、通常50〜500g/m、厚みは通常1〜10mmに設定される。
上記通気性表装材2を床敷材として使用する場合には、通常カーペットのような起毛布を使用する。上記カーペットには通常カットパイルやループパイルのようなパイル層が形成されるが、上記パイル層を形成するにはタフティング、ニードルパンチング、あるいは静電植毛等が適用される。
従来のカーペットにあっては、通常吸音材料としてポリエステル繊維やポリプロピレン繊維等の有機合成繊維からなるフェルトが裏打ちされている。
本発明の内装材6においては、上記フェルトに代えて上記紙材料1を裏打ちすることで、従来のフェルトを裏打ちしたカーペットと比べて吸音性能に優れ、該フェルトの軽量化や厚さの低減が可能になり、その分厚みが薄くなり、その上重量が大幅に軽減される。
上記フェルトに使用される有機合成繊維は製造工程において二酸化炭素を排出する。しかし本発明の紙材料は原料として製造工程で二酸化炭素を殆んど排出されない天然パルプ繊維を使用しているから、二酸化炭素の排出量を削減できると共に、天然パルプ繊維は腐朽性があるために廃棄物処理も容易であり、またバイオマスエネルギー(例えばバイオエタノールの原料)としても使用できる。
〔合成樹脂〕
上記した通気性表装材2および/または紙材料1にあっては、剛性や成形性を付与するために、合成樹脂等を塗布または含浸または混合させてもよい。合成樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂が例示される。
上記熱可塑性樹脂としては上記熱可塑性フェルトとして成形性フェルト3に用いたものと同様に、例えばアクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム共重合(ASA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合(ACS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、エチレンビニルアルコール共重合(EVOH)樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリブタジエン(BDR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリプロピレン(PP)、酢酸繊維素(セルロースアセテート:CA)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリオキシメチレン(=ポリアセタール)(POM)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、全芳香族ポリエステル(POB)等が例示される。このような熱可塑性樹脂は、上記通気性表装材2あるいは紙材料1に含浸および/または塗布および/または混合されて、成形形状保持性および剛性を向上せしめる。
上記熱可塑性樹脂は、2種以上混合使用されてもよく、また熱可塑性樹脂の成形容易性を阻害しない程度で若干量の熱硬化性樹脂の1種または2種以上を混合使用してもよい。該熱可塑性樹脂は取り扱いが容易な点から水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパージョンの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
上記熱硬化性樹脂としては上記熱硬化性フェルトとして成形性フェルト3に用いたのと同様に、例えばウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、熱硬化型アクリル系樹脂、特に加熱によりエステル結合を形成して硬化する熱硬化性アクリル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化型ポリエステル系樹脂等が使用されるが、該合成樹脂を生成するウレタン系樹脂プレポリマー、尿素系樹脂プレポリマー(初期縮合体)、フェノール系樹脂プレポリマー(初期縮合体)、ジアリルフタレートプレポリマー、アクリルオリゴマー、多価イソシアナート、メタクリルエステルモノマー、ジアリルフタレートモノマー等のプレポリマー、オリゴマー、モノマー等の合成樹脂前駆体が使用されてもよい。該熱硬化性樹脂も取り扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパーションの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
上記熱硬化性樹脂あるいは合成樹脂前駆体は二種以上混合使用されてもよい。
上記合成樹脂、特に熱硬化性樹脂の添加は、上記通気性表装材2あるいは紙材料1の成形形状保持性と剛性を共に向上せしめる。
また、特に本発明で使用される熱硬化性樹脂として望ましいのは、フェノール系樹脂である。該フェノール系樹脂には、フェノール系化合物に対してホルムアルデヒド類を過剰にしてアルカリ触媒で反応することによって得られるレゾールと、ホルムアルデヒド類に対してフェノールを過剰にして酸触媒で反応することによって得られるノボラックの二つの型がある。該レゾールはフェノールとホルムアルデヒドが付加した種々のフェノールアルコールの混合物からなり、通常は水溶液で提供される。該ノボラックはフェノールアルコールに更にフェノールが縮合したジヒドロキシジフェニルメタン系の種々な誘導体からなり、通常は粉末で提供される。
本発明において望ましいフェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物である。該フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、該共縮合物(初期縮合物)の水溶液の安定性が良く、かつフェノールのみからなる縮合物(初期縮合物)に比較して、常温で長期間保存することが出来るという利点がある。また該水溶液を上記通気性表装材2や紙材料1に含浸、塗布、あるいは混合させ、プレキュアして得られる該通気性表装材2や紙材料1の安定性が良く、該通気性表装材2や紙材料1を長期間保存しても成形性を喪失しない。また更にアルキルレゾルシンはホルムアルデヒド類との反応性が高く、遊離アルデヒドを捕捉して反応するので、樹脂中の遊離アルデヒド量が少なくなる等の利点も有する。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
上記フェノール系樹脂には、その製造の際に必要に応じて触媒またはpH調整剤を混合してもよい。更に、本発明のフェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物を含む)には、ホルムアルデヒド類あるいはアルキロール化トリアゾン誘導体等の硬化剤を添加混合してもよい。更にまた、水溶性のフェノール系樹脂を用いる場合、その安定性を改良するために、フェノール系樹脂をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化してもよい。
本発明で使用する合成樹脂あるいは合成樹脂前駆体には、更に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、コロイダルシリカ、雲母、珪藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、ガラス粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材;天然ゴムまたはその誘導体;スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム等の合成ゴム;ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉、澱粉誘導体、ニカワ、ゼラチン、血粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子や天然ガム類;木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、小麦粉、米粉等の有機充填材;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチリルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類;脂肪酸アミド類;カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワックス類;パラフィン類、パラフィン油、シリコンオイル、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、グリス等の離型剤;アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビス−2,2’−(2−メチルグロピオニトリル)等の有機発泡剤;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム等の無機発泡剤;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、発泡ガラス、中空セラミックス等の中空粒体;発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等のプラスチック発泡体や発泡粒;顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、燐系化合物、窒素系化合物、硫黄系化合物、ホウ素系化合物、臭素系化合物、グアニジン系化合物、燐酸塩系化合物、燐酸エステル系化合物、アミノ系樹脂等の難燃剤、防炎剤、撥水剤、撥油剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、界面活性剤、滑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤;DBP、DOP、ジシクロヘキシルフタレートのようなフタル酸エステル系可塑剤やその他のトリクレジルホスフェート等の可塑剤等を添加、混合してもよい。
また、撥水撥油剤としては、天然ワックス、合成ワックス、フッ素樹脂、シリコン系樹脂等がある。
上記通気性表装材2あるいは紙材料1に上記合成樹脂等を塗布含浸するには、通常上記合成樹脂の水性エマルジョンあるいは水性ディスパーションに該通気性表装材2あるいは紙材料1を浸漬するか、あるいはナイフコーター、ロールコーター、フローコーター等によって塗布する。
上記樹脂を含浸または塗布した上記通気性表装材2あるいは紙材料1中の樹脂量を調節するには、樹脂を含浸または塗布後、該通気性表装材2あるいは紙材料1を絞りロールやプレス盤を使用して絞る。この場合、該通気性表装材2あるいは紙材料1はその厚みを減少させるが、該通気性表装材2あるいは紙材料1として繊維シートまたはマットを用いた場合には、該繊維シートまたはマットが低融点熱可塑性樹脂繊維からなるか、あるいは低融点熱可塑性樹脂繊維が含まれている場合には、上記樹脂含浸前に該繊維シートまたはマットを加熱して低融点熱可塑性樹脂繊維を溶融させ、繊維を該溶融物によって結着しておくことが望ましい。そうすると該通気性表装材2あるいは紙材料1としての繊維シートまたはマットは強度および剛性が更に向上し、樹脂含浸の際の作業性が向上し、また絞り後の厚みの復元も顕著になる。
上記通気性表装材2あるいは紙材料1としての繊維シートまたはマットに上記樹脂を含浸または塗布した後は、上記通気性表装材2あるいは紙材料1を常温または加熱して乾燥させる。
上記樹脂の含浸量は通常10g/m〜100g/m程度とする。この程度の樹脂含浸量であれば、上記通気性表装材2あるいは紙材料1の通気抵抗に殆んど影響を及ぼさない。
(難燃剤)
また、上記通気性表装材2、紙材料1、あるいは成形性フェルト3には、難燃剤が添加されてもよい。上記難燃剤としては、例えば燐系難燃剤、窒素系難燃剤、硫黄系難燃剤、ホウ素系難燃剤、臭素系難燃剤、グアニジン系難燃剤、燐酸塩系難燃剤、燐酸エステル系難燃剤、アミノ樹脂系難燃剤、膨張黒鉛等がある。
本発明の自動車用内装材6であれば、特に水に難溶または不溶の粉末状の固体難燃剤が使用されることが望ましい。水に難溶または不溶の粉末状の固体難燃剤は本発明の内装材6に耐水性、耐久性に優れた難燃性を付与する。特に本発明の通気性表装材2、紙材料1、あるいは成形性フェルト3は粗構造を有しているから、上記粉末状の固体難燃剤が内部にまで円滑に浸透して高度な難燃性ないし不燃性を付与する。
〔自動車用内装材〕
上記通気性表装材2、紙材料1、成形性フェルト3、非通気性樹脂シート4、多孔質マット5をこの順に積層することで、例えば図3に示すような自動車床敷用内装材6となる。
本実施形態において、上記通気性表装材2と上記紙材料1、上記紙材料1と上記成形性フェルト3との接着には必要とあれば通気性接着剤が適用される。上記通気性接着剤において使用される接着剤は、通常の溶液型や水性エマルジョン型の接着剤や、粉末状、くもの巣状、溶液型、あるいは水性エマルジョン型のホットメルト接着剤等が使用される。粉末状、くもの巣状のホットメルト接着剤の場合には多孔性接着剤層となるため通気性を確保でき、上記通気性表装材2、紙材料1、成形性フェルト3の通気性を阻害しない。
溶液型あるいは水性エマルジョン型の接着剤の場合にはスプレー塗装あるいはシルク印刷塗装、オフセット印刷塗装等によって点状に接着剤を塗布し、上記通気性表装材2、紙材料1、成形性フェルト3の通気性を確保する。
上記成形性フェルト3と上記非通気性樹脂シート4、上記非通気性樹脂シート4と上記多孔質マット5との接着の場合は通気性を考慮する必要がないので、上記通気性接着剤に限らず周知の接着方法が適用できる。
なお、本発明において、通気性表装材2、紙材料1、成形性フェルト3は、それぞれを接着以外の方法、例えば溶着、融着等の方法で接合してもよい。
〔内装材成形物〕
上記内装材6は、例えば自動車の床形状に適合する所定形状に成形される。上記内装材6の構成要素である通気性表装材2、紙材料1、または成形性フェルト3に熱可塑性樹脂が塗布および/または含浸および/または混合されているか、あるいは上記通気性表装材2、または成形性フェルト3が低融点熱可塑性樹脂繊維からなるか、あるいは低融点熱可塑性樹脂繊維を含む場合に上記内装材6を成形するには、上記内装材6を上記熱可塑性樹脂あるいは低融点熱可塑性樹脂繊維の軟化温度以下でホットプレスを行なうか、あるいは上記軟化温度以上に加熱した上でコールドプレスを行なう。また、これらに熱硬化性樹脂が塗布されている場合は、ホットプレスで成形してもよい。
以下に本発明を更に具体的に説明するための実施例を記載するが、本発明は該実施例にのみ限定されるものではない。
〔実施例1〕
ポリエステル繊維からなる目付量120g/m、厚さ3mmのニードルパンチング不織布である通気性表装材を作製した。
次に、針葉樹パルプ50質量部および広葉樹パルプ50質量部からなる木材パルプを原料とし、ディスクリファイナーを用いて叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で490ml(CSF)になるように叩解し、通常の抄紙工程を経てクレープ率25%、目付量30g/m、通気抵抗0.84kPa・s/mの多孔質パルプ繊維からなる紙材料を作製した。
上記紙材料の片面にポリエステル樹脂からなる融点150℃、粒度200〜300μmのホットメルト接着剤粉末を3g/mの撒布量で塗布した後、塗布面に上記通気性表装材を積層し、180℃の加熱ロールにて紙材料側から軽く圧着して上記通気性表装材に紙材料を裏打ちした。
上記積層物に紙材料側からポリエステル樹脂からなる融点120℃、粒度200〜300μmのホットメルト接着剤粉末を3g/mの撒布量で塗布し、140℃に加熱しホットメルト接着剤を紙材料に融着させた。このものの通気抵抗は1.23kPa・s/mであった。
次に、低融点ポリエステル繊維(繊度:2.2dtex、融点:120℃)を30質量部、通常ポリエステル繊維(繊度:6.6dtex)70質量部からなる繊維ウェブを180℃で吸引しながら加熱することで上記低融点ポリエステル繊維を溶融して通常ポリエステル繊維と接着させ、目付量300g/m、厚さ15mm、通気抵抗0.06kPa・s/mの成形性フェルトを作製した。
更に、ポリアミド樹脂(厚さ:0.2mm、目付量:100g/m、軟化点:120℃)のシートである非通気性樹脂シートを作製した。
また更に、上記成形性フェルトと同配合による厚さ10mm、目付量800g/mのフェルトシートである多孔質マットを作製した。
なお、このとき上記紙材料を裏打ちした通気性表装材の紙材料側に上記多孔質マットを積層し、180℃で加熱した後、直ちに冷却して(通気性表装材−紙材料)−成形性フェルトの順に積層接着したものの通気抵抗は1.29kPa・s/mであった。
次に、上記で得られた各材料を、(通気性表装材―紙材料)−成形性フェルト−非通気性樹脂シート−多孔質マットの順に積層し(紙材料が通気性表装材と成形性フェルトに挟まれる形となる)、180℃で加熱した後、直ちに冷却し、厚さ26.0mm、重さ1356g/mの内装材(No.1)を作製した。
〔実施例2〕
実施例1において、成形性フェルトの目付量を150g/mとした他は同様にして厚さ26.0mm、重さ1206g/mの内装材(No.2)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.04kPa・s/mであり、実施例1と同様に(通気性表装材−紙材料)−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.27kPa・s/mであった。
〔実施例3〕
実施例1において、成形性フェルトの目付量を100g/mとした他は同様にして厚さ26.0mm、重さ1156g/mの内装材(No.3)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.03kPa・s/mであり、実施例1と同様に(通気性表装材−紙材料)−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.26kPa・s/mであった。
〔実施例4〕
実施例1において、成形性フェルトの厚さを10mmとした他は同様にして厚さ20.0mm、重さ1356g/mの内装材(No.4)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.07kPa・s/mであり、実施例1と同様に(通気性表装材−紙材料)−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.30kPa・s/mであった。
〔実施例5〕
実施例1において、非通気性樹脂シートをポリアミド樹脂(厚さ:1.0mm、目付量:500g/m)のシートを使用した他は同様にして、厚さ26.0mm、重さ1756g/mの内装材(No.5)を作製した。
〔比較例1〕
実施例1において、紙材料(紙材料の両面に用いたホットメルト接着剤も含める)の代わりに、ポリアミド樹脂(厚さ:0.2mm、目付量:60g/m、軟化点:120℃)からなるシートに加熱した針にて貫通孔(直径:約0.9〜1.0mm、孔数:130個/100mm×100mm)を設けた開孔樹脂層を使用した他は同様にして、通気性表装材−開孔樹脂層−成形性フェルト−非通気性樹脂シート−多孔質マットからなる厚さ26.0mm、重さ1380g/mの内装材(No.6)を作製した。
なお、このときの開孔樹脂層の通気抵抗は1.17kPa・s/mであり、実施例1と同様に通気性表装材−開孔樹脂層−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.28kPa・s/mであった。
〔比較例2〕
比較例1において、成形性フェルトの目付量を150g/mとした他は同様にして厚さ26.0mm、重さ1230g/mの内装材(No.7)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.04g/mであり、比較例1と同様に通気性表装材−開孔樹脂層−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.27kPa・s/mであった。
〔比較例3〕
比較例1において、成形性フェルトの目付量を100g/mとした他は同様にして厚さ26.0mm、重さ1180g/mの内装材(No.8)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.03g/mであり、比較例1と同様に通気性表装材−開孔樹脂層−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.25kPa・s/mであった。
〔比較例4〕
比較例1において、成形性フェルトの厚さを10mmとした他は同様にして厚さ20.0mm、重さ1380g/mの内装材(No.9)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.07g/mであり、比較例1と同様に通気性表装材−開孔樹脂層−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.29kPa・s/mであった。
〔比較例5〕
比較例1において、非通気性樹脂シートをポリアミド樹脂(厚さ:1.0mm、目付量:500g/m)のシートを使用した他は同様にして、厚さ26.0mm、重さ1780g/mの内装材(No.10)を作製した。
上記実施例1〜4および比較例1〜4で得られた内装材No.1〜8の吸音性試験をJIS A 1409「残響室法吸音率」に準じて測定した結果を表1に示す。
また、上記実施例1、実施例5および比較例1、比較例5で得られた内装材No.1、No.5、No.6、No.10の遮音性試験をJIS A 1416「音響透過損失」に準じて測定した結果を表2に示す。
表1より、成形性フェルトの目付量(質量)を300g/mから150g/m、そして100g/mまで減じたところ、本実施例1〜3における内装材No.1、No.2、No.3については吸音率の低下が殆んど見られなかったが、紙材料に代えて開孔樹脂層を使用した比較例1〜3における内装材No.6、No.7、No.8については、成形性フェルトの質量の減少に伴って吸音率の低下が顕著であることが判る。
また、成形性フェルトの厚みだけを15mmから10mmに変化させたところ、本実施例1,4における内装材No.1とNo.4を比べてみると吸音率にあまり変化が見られないが、比較例1,4における内装材No.6とNo.9をみると、成形性フェルトの厚さを15mmから10mmと薄くすることで大きく吸音率が低下していることが判る。
上記結果より、本発明による表面に開口する多数の細孔からなる多孔質パルプ繊維を用いた紙材料を使用することで、通気抵抗が同程度であれば、最終的な製品の軽量化や厚さの低減が可能になることが判る。更に、成形性フェルトやその他の材料の厚さ、密度、通気抵抗によらず、紙材料の通気抵抗を調整することで簡単に性能を向上させることができることになる。
表2より、遮音性においては、紙材料と開孔樹脂層との間に差は殆んど見られず、非通気性樹脂シートの目付量(質量)が増えるほど遮音性能が向上する。
これらの事より、本実施例における内装材を自動車の内装材料として使用する場合は、車体側に多孔質マット側がくるように配置し、通気性表装材側が車内にくるように配置すると、車外からの騒音を遮音し、更に洩れてきた騒音を室内で吸音することが出来、この場合に従来の開孔樹脂層を設けた吸音材よりも軽量で厚みを小さくすることが可能となる。
〔実施例6〕
ポリエステル繊維からなる目付量80g/m、厚さ2mmのニードルパンチング不織布である通気性表装材を作製した。
次に、針葉樹パルプからなる木材パルプを原料とし、ディスクリファイナーを用いて叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で420ml(CSF)になるように叩解し、通常の抄紙工程を経てクレープ率20%、目付量20g/m、通気抵抗1.14kPa・s/mの多孔質パルプ繊維からなる紙材料を作製した。
上記紙材料の片面にポリエステル樹脂からなる融点150℃、粒度200〜300μmのホットメルト接着剤粉末を3g/mの撒布量で塗布した後、塗布面に上記通気性表装材を積層し、180℃の加熱ロールにて紙材料側から軽く圧着して上記通気性表装材に紙材料を裏打ちした。
上記積層物にフェノール−アルキルレゾルシン初期縮合物(固形分:40質量%水溶液)20質量部、リン−窒素系難燃剤(固形分:40質量%水溶液)5質量部、カーボンブラック(固形分:20質量%水分散液)2質量部、水73質量部からなる混合溶液を固形分として20g/mの含浸量になるようにロールにて塗布した後、140℃にて5分間加熱し、熱硬化性樹脂をB状態にした。このものの通気抵抗は1.21kPa・s/mであった。
次に、ケナフ繊維30質量部、通常ポリエステル繊維(繊度:6.6dtex)70質量部からなる繊維ウェブに上記混合溶液を固形分で50g/mの塗布量になるようにスプレー塗布し、180℃に加熱して熱硬化性樹脂をB状態にした目付量200g/m、厚さ20mm、通気抵抗0.16kPa・s/mである成形性フェルトを作製した。
非通気性樹脂シートとしては、実施例1と同じ非通気性樹脂シートを用いた。
更に、目付量180g/m、厚さ20mmのメラミン発泡体である多孔質マットを作製した。
次に、上記で得られた各材料を、(通気性表装材―紙材料)−成形性フェルト−非通気性樹脂シート−多孔質マットの順に積層し(紙材料が通気性表装材と成形性フェルトに挟まれる形となる)、200℃で加熱プレス成形し所定形状の内装材を作製した。得られた内装材は総重量が653g/mと軽量であり、難燃性、吸音性および遮音性に優れた成形物であった。
〔実施例7〕
実施例6において、積層物および成形性フェルトの樹脂含浸に用いた混合溶液中のフェノール−アルキルレゾルシン初期縮合物(固形分:40質量%水溶液)を、アクロデュア958D(固形分:42質量%水性エマルジョン)に代え、他の成分は同様にして積層物および成形性フェルトを作製した。上記積層物の通気抵抗は1.34kPa・s/mであり、成形性フェルトは目付量200g/m、厚さ20mm、通気抵抗0.18kPa・s/mであった。
上記積層物および成形性フェルトを用いて実施例6と同様に200℃で加熱プレス成形し所定形状の内装材を作製した。得られた内装材は軽量で吸音性、遮音性に優れた成形物であった。
〔実施例8〕
実施例6において、積層物および成形性フェルトの樹脂含浸に用いた混合溶液中のフェノール−アルキルレゾルシン初期縮合物(固形分:40質量%水溶液)を、アクロデュア950L(固形分:50質量%水溶液)とアクロデュア958D(固形分:42質量%水性エマルジョン)の50:50質量比混合溶液に代え、他の成分は同様にして積層物および成形性フェルトを作製した。上記積層物の通気抵抗は1.26kPa・s/mであり、成形性フェルトは目付量200g/m、厚さ20mm、通気抵抗0.23kPa・s/mであった。
上記積層物および成形性フェルトを用いて実施例6と同様に200℃で加熱プレス成形し所定形状の内装材を作製した。得られた内装材は軽量で吸音性、遮音性に優れた成形物であった。
〔比較例6〕
上記実施例1において、紙材料を省略した以外は同様にして、通気性表装材−成形性フェルト−非通気性樹脂シート−多孔質マットの順に積層し、180℃で加熱した後、直ちに冷圧プレス成形し所定形状の内装材を作製した。得られた内装材は実施例1に比べて吸音性に乏しく、自動車用内装材として使用するには不適であった。
本発明の内装材6は、良好な吸音性能、遮音性能を有し、更に軽量であり、従来の材料よりも厚みを薄くすることができるので、産業上利用可能である。
1 紙材料
1a エンボス加工紙(延伸性紙材料)
2 通気性表装材
3 成形性フェルト
4 非通気性樹脂シート
5 多孔質マット
6 自動車用内装材
R 通気抵抗
本発明は主として床敷用に供される自動車用内装材に関するものである。
この種の自動車用内装材としては、一般に所定の通気抵抗を有する通気性材料が使用される。例えば特許文献1には目付が150〜800g/m、嵩密度が0.01〜0.2g/cmである不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm/sec以下の表皮材とを積層した吸音材が記載され、特許文献2には目付けが150〜800g/m、嵩密度が0.01〜0.2g/mの不織布を表皮材として積層した易成形性吸音材が記載され、特許文献3には、空気流に対しての総抵抗R=500Nsm−3〜R=2500Nsm−3を有するファイバー層またはファイバー/フォーム複合体層を備えた遮音キットが記載されている。
上記吸音材あるいは遮音キットは、内部に侵入した音のエネルギーを摩擦エネルギーに変えて吸収するものである。
更に上記吸音材の吸音性能を高めるために、上記各吸音材に使用されている通気性材料に加え、更に多数の貫通孔を設けたゴム層あるいは樹脂層を挿入した構成のものが提案されている。
例えば特許文献4には、フロアマットの裏面に複数の貫通孔を設けたゴム層を裏打ちした吸音材層を積層した構成が記載され、特許文献5には、保形フェルト層の上側に開孔樹脂層を積層し、下側に非通気樹脂シートを積層することによって該開孔樹脂層から該保形フェルト層内に侵入した音波を該開孔樹脂層と該非通気樹脂シート間に閉じ込めて該保形フェルト内で乱反射させ、音のエネルギーを高い効率で吸収する内装材が記載されている。
国際公開第2005/019783号 特開2005−335279号公報 特表2000−516175号公報 特開2007−126084号公報 特開2007−161153号公報
上記ゴム層あるいは樹脂層を挿入する構成とする場合、これらに貫通孔を設ける加工方法には、一般的に針刺し加工が適用される。ところが、針刺し加工によって設けられる貫通孔の径は針の太さによって決まるため、径が微小な貫通孔、特に直径0.1mm以下の微小貫通孔を設けることは殆んど不可能であるという問題点がある。また樹脂層やゴム層が有する弾性復元力により、貫通孔を形成しても該貫通孔が塞がってしまうという問題点もある。
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、多孔質マット5上に非通気性樹脂シート4が積層され、該非通気性樹脂シート4上に成形性フェルト3が積層され、該成形性フェルト3上に、紙材料1を裏打ちした通気性表装材2が積層された自動車用内装材6であって、上記紙材料1は叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲であり表面に開口する多数の細孔が設けられている多孔質パルプ繊維を90質量%以上含み、通気抵抗が0.07〜3.00kPa・s/mの範囲の紙であることを特徴とする自動車用内装材6を提供するものである。
上記紙材料1は表面に多数の凹凸を形成することによって延伸性を付与されたクレープ加工および/またはエンボス加工紙であることが望ましく、上記紙材料1の目付量は15g/m〜50g/mであることが望ましい。
また、上記成形性フェルト3の目付量は50〜1000g/mであり、厚さが1.5mm以上であり、融点が180℃以下の低融点熱可塑性樹脂繊維を10〜50質量%含有し、通気抵抗が0.04〜1.50kPa・s/mであることが望ましい。
〔作用〕
本発明では、形成可能な貫通孔の最小径に限界があるゴム層や樹脂層を使わずに、叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲であり表面に開口する多数の細孔が設けられている多孔質パルプ繊維を90質量%以上含み、通気抵抗が0.07〜3.00kPa・s/mの範囲に設定された紙材料1を使用して吸音性能を高めることを特徴とする。
上記紙材料1にあっては、繊維間の空隙に加えて繊維自体にも空隙が形成されているから、該紙材料1の繊維間の空隙および繊維自体の空隙に音が取り込まれて該音波が繊維を振動させることで、音のエネルギーを紙材料1内部で繊維同士が摩擦エネルギーとして吸収することにより、音のエネルギーを減衰する。
更には該多孔質パルプ繊維の表面には多数のケバが存在するため、該ケバもまた音によって振動することにより音のエネルギーを摩擦エネルギーとして吸収する。
該繊維の叩解度がろ水度で650ml(CSF)を超えている場合には、パルプ繊維のケバや同心円状の緩みが不充分となり、パルプ繊維表面に開口する多数の細孔による多孔質化が不充分となり空隙率が低下して内装材6の吸音性能に悪影響が及ぼされる。一方350ml(CSF)を下回るとパルプ繊維がフィブリル化することで細分化されてしまい、極微細繊維が増加するので、紙材料1の密度が高くなり、通気抵抗が高くなって、やはり内装材6の吸音特性に悪影響が及ぼされる。
このように本発明の内装材6にあっては、音が成形性フェルト3内に達するまでにすでに紙材料1によってエネルギーを大幅に吸収されており、更に音は該成形性フェルト3内で該紙材料1と該非通気性樹脂シート4とによって閉じ込められ、乱反射することによって効率良く吸収される。
また、パルプ繊維自体に多数の細孔が設けられることにより、通気層が全表面に渡り分布し、従来の樹脂層やゴム層のような所定部位にのみ貫通孔を設けたものと比べて吸音性に優れ、全体としての軽量化を図ることが出来、更に安価である。
〔効果〕
本発明の内装材6は極めて優れた吸音性能を有し、軽量でかつ安価な自動車用内装材6が提供される。そして該内装材6に使用する紙材料1は木質のパルプ繊維からなり、有機合成繊維のように製造工程で多量の炭酸ガスを発生せず、また腐朽性があり、更にまたバイオマスエネルギー(例えばバイオエタノールの原料)としても使用できるので、省エネルギー対策、地球温暖化防止対策にも資する材料である。
通気抵抗Rの測定方法を説明する説明図 突起高さhを説明する説明図 本発明の自動車用内装材の断面図
本発明の自動車用内装材6は例えば図3に示すように、下層から順に多孔質マット5、非通気性樹脂シート4、成形性フェルト3、紙材料1、通気性表装材2を積層したものである。
以下に各材料について詳説する。
〔多孔質マット〕
多孔質マット5は上記内装材6に好適なクッション性を付与すると共に、非通気性樹脂シート4を自動車内の壁面や床面等から一定距離を保つことによって、該内装材6に良好な遮音効果を付するものである。
上記多孔質マット5としては、例えば後述する通気性表装材2や成形性フェルト3に用いられる繊維シートやマットが使用される。
また、上記多孔質マット5の材料としては、通気性ポリウレタン発泡体、通気性ポリエチレン発泡体、通気性ポリプロピレン発泡体、通気性ポリスチレン発泡体、通気性フェノール樹脂発泡体、通気性メラミン樹脂発泡体等の通気性プラスチック発泡体からなるシートまたはマットが用いられてもよい。
上記内装材6に良好なクッション性や遮音効果を付与するために、多孔質マット5の目付量は50〜1000g/mであることが望ましく、厚みは5〜30mmであることが望ましい。
〔非通気性樹脂シート〕
非通気性樹脂シート4は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂のシートである。
該非通気性樹脂シート4には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム等の充填剤や顔料等の着色剤等を添加してもよい。
上記非通気性樹脂シート4は該内装材6に良好な遮音性能を寄与するものであり、また該内装材6を所定形状に成形する際には成形形状を安定化させるものである。
上記非通気性樹脂シート4は良好な遮音性能を発揮するという観点から、目付量は20〜1000g/mであることが望ましく、厚みは0.01〜3.0mmであることが望ましい。
〔成形性フェルト〕
成形性フェルト3としては、繊維にバインダーとして熱硬化性樹脂初期縮合物を混合して、所望なれば該初期縮合物をB状態にした熱硬化性フェルト、繊維にバインダーとして擬似熱可塑性樹脂を混合した擬似熱可塑性フェルト、繊維にバインダーとして熱可塑性樹脂および/または低融点熱可塑性樹脂繊維を混合した熱可塑性フェルトがある。
上記熱硬化性フェルトや上記擬似熱可塑性フェルトや上記熱可塑性フェルトである成形性フェルト3に使用される繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラ、蚕糸、キワタ、ガマ繊維、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、デンプン系、ポリ乳酸系等の生分解性繊維、レーヨン(人絹、スフ)、ポリノジック、キュプラ、アセテート、トリアセテート等のセルロース系人造繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、これらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維等である。これらの繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。
上記熱硬化性フェルトに使用される熱硬化性樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、熱硬化型アクリル系樹脂、特に加熱によりエステル結合を形成して硬化する熱硬化性アクリル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化型ポリエステル系樹脂等が使用されるが、該合成樹脂を生成するウレタン樹脂プレポリマー、尿素系樹脂プレポリマー(初期縮合体)、フェノール系樹脂プレポリマー(初期縮合体)、ジアリルフタレートプレポリマー、アクリルオリゴマー、多価イソシアナート、メタクリルエステルモノマー、ジアリルフタレートモノマー等のプレポリマー、オリゴマー、モノマー等の合成樹脂前駆体が使用されてもよい。該熱硬化性樹脂は取り扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパーションの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
また、特に成形性フェルト3に使用される熱硬化性樹脂として望ましいのは、フェノール系樹脂である。該フェノール系樹脂は、フェノール系化合物とホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド供与体とを縮合させることによって得られる。
上記フェノール系樹脂に使用されるフェノール系化合物としては、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよいが、一価フェノールのみを使用した場合、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドが放出され易いため、好ましくは多価フェノールまたは一価フェノールと多価フェノールとの混合物を使用する。
上記熱硬化性樹脂あるいは合成樹脂前駆体は二種以上混合使用されてもよい。
上記擬似熱可塑性フェルトに使用される擬似熱可塑性樹脂は、
(A)5〜100質量%がエチレン性不飽和酸無水物またはカルボン酸基が酸無水物基を形成することができるエチレン性不飽和ジカルボン酸からなるラジカル重合により得られたポリマーと、
(B)少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルカノールアミンと、
(A)+(B)の和に対して1.5質量%より少ない、リン含有反応促進剤と、
を含有する、ホルムアルデヒド不含の水性結合剤である。
上記水性結合剤は一般的に、水性エマルジョン、水溶液、あるいはイソプロパノール、エタノール、グリコール等の水溶性有機溶媒溶液、水と上記水溶性有機溶媒との混合溶媒の溶液等の形状で提供され、ポリマー(A)に含まれる酸と、アルカノールアミン(B)に含まれる水酸基とのエステル化反応によって硬化し、水溶性が水不溶性に変化し、熱可塑性が擬似熱可塑性に変化する。
上記擬似熱可塑性樹脂は、現在BASF社より商品名アクロデュア(Acrodur)として上市されており、水溶液タイプとしては950L,DS3530、水性エマルジョンタイプとしては958Dがある。
上記アクロデュアは、大凡120℃以上の温度で上記エステル化反応によって架橋が開始され、160℃以上の温度で硬化するが、架橋前の熱可塑性の状態でも充分な硬さを有し、取扱いが容易であり、しかも熱成形時には加熱により硬さが低下して一時的に熱可塑性になり(擬似熱可塑性)、良好な成形性を示し、高い成形精度が得られる。また上記アクロデュアの架橋はエステル化反応によるから、水のみが副成され、ホルムアルデヒド等の有害物質が副成されないという利点がある。
上記擬似熱可塑性樹脂は二種以上、例えば水溶液タイプと水性エマルジョンタイプとが混合されてもよいし、他の熱可塑性樹脂水性エマルジョン等が混合されてもよい。
上記擬似熱可塑性樹脂の詳細は、例えば特表2000−506940号公報に記載されている。
上記熱可塑性フェルトに使用される熱可塑性樹脂としては、例えばアクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム共重合(ASA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合(ACS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、エチレンビニルアルコール共重合(EVOH)樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリブタジエン(BDR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリプロピレン(PP)、酢酸繊維素(セルロースアセテート:CA)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリオキシメチレン(=ポリアセタール)(POM)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、全芳香族ポリエステル(POB)等が例示される。
上記熱可塑性樹脂は、2種以上混合使用されてもよく、また熱可塑性樹脂の成形容易性を阻害しない程度で若干量の熱硬化性樹脂の1種または2種以上を混合使用してもよい。該熱可塑性樹脂は取り扱いが容易な点から水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパージョンの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
更に、上記成形性フェルト3に成形性を付与する手段としては、上記熱可塑性樹脂に代えて、あるいは上記熱可塑性樹脂と共に、融点が180℃以下である低融点熱可塑性樹脂繊維を使用する。該低融点熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル共重合体繊維、ポリアミド繊維、ポリアミド共重合体繊維等がある。これらの低融点熱可塑性樹脂繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。また、これらの低融点熱可塑性樹脂繊維を芯とし、融点が200℃以上の高融点繊維を鞘とした、あるいは融点が200℃以上の高融点繊維を芯とし、低融点熱可塑性樹脂繊維を鞘とした芯鞘構成の複合繊維等が使用される。
上記芯鞘構成の複合繊維を使用すると該フェルトの剛性が向上する。
該低融点熱可塑性樹脂繊維の繊度は、0.1dtex〜60dtexの範囲である。
上記低融点熱可塑性樹脂繊維は通常上記繊維に10〜50質量%混合される。
上記成形性フェルト3は、上記繊維のウェブのシートあるいはマットをニードルパンチングによって絡合する方法、あるいは繊維のウェブのシートあるいはマットが上記低融点熱可塑性樹脂繊維からなるか、あるいは上記低融点熱可塑性樹脂繊維が混合されている場合には該混合繊維のウェブをそのまま、あるいは該ウェブをニードルパンチングによって絡合した上で加熱して、該低融点熱可塑性樹脂繊維を軟化せしめて繊維相互を結着する方法、あるいは上記繊維シートまたはマットに合成樹脂を含浸あるいは混合して結着するか、あるいは上記繊維のウェブのシートまたはマットをニードルパンチングによって絡合した上で合成樹脂あるいは合成樹脂前駆体の粉末、溶液、エマルジョン、あるいはラテックスを混合、塗布あるいは含浸して結着する方法、上記繊維を編織する方法等によって製造される。
上記成形性フェルト3の目付量、厚みは原則任意に設定可能であるが、内装材6の軽量化の観点から、望ましくは、目付量50〜1000g/m、更に望ましくは100〜500g/mであり、形状保持の面から厚さは1.5mm以上とすることが望ましい。
上記成形性フェルト3に融点180℃以下の低融点熱可塑性樹脂繊維が10〜50質量%含まれていると、内装材6の成形性が向上する。
〔紙材料〕
紙材料1として用いられるのは多孔質パルプ繊維を90質量%以上含み、通気抵抗が0.07〜3.00kPa・s/mの範囲の紙である。
上記紙材料1の通気抵抗が0.07kPa・s/m未満の場合には吸音性能の良い内装材6が得られず、一方通気抵抗が3.00kPa・s/mを超える紙材料の場合には、成形性の良い内装材6が得られない。
(多孔質パルプ繊維)
上記多孔質パルプ繊維とは、繊維自体が、その表面で開口する細孔を多数有するものをいう。上記多孔質パルプ繊維は、非木材系植物繊維および/または木材系植物繊維からなり、通常針葉樹や広葉樹のチップを原料とし、叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲で繊維の長径が5μm〜100μmの多孔質パルプ繊維である。
上記叩解は通常コニカルリファイナー、ディスクリファイナー等によって行われる。
上記多孔質パルプ繊維の平均長は0.2〜30mmの範囲であることが望ましく、長径は5〜100μmであることが望ましい。上記多孔質パルプ繊維の平均長が0.2mmに満たない場合は紙材料1中の繊維相互の絡み合いが不充分となって内装材6の強度が低下し、平均長が30mmを超えると繊維自体が糸まり状に絡み易くなり、繊維をシートにすることが困難となる。また繊維長径が5μmに満たない場合はシート密度が過大になり、またシート強度が低下し、繊維長径が100μmを超えると繊維自体の剛性が高くなって繊維相互の絡み合いが困難になる。
本発明の紙材料1に使用される多孔質パルプ繊維は二種以上混合使用されてもよく、また、上記多孔質パルプ繊維と通常繊維(非多孔質繊維)とを混合してもよい。なお、この場合の混合比率は内装材6の吸音性能を良好なものとするという観点から、多孔質パルプ繊維が90質量%以上含まれるべきであり、望ましくは95質量%以上、更に望ましくは100質量%含まれるべきである。
(通常繊維)
上記多孔質パルプ繊維と併用される通常繊維(非多孔質繊維)としては、例えばポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、とうもろこしやサトウキビ等の植物から抽出された澱粉からなる生分解繊維(ポリ乳酸繊維)、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、あるいはこれらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維の1種または2種以上の繊維が使用されるが、例えばガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維、ステンレス繊維等の無機繊維やポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維等のアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等の望ましくは融点が250℃以上の耐熱性合成繊維を混合使用すれば、耐熱性の極めて高い繊維シートが得られる。その中でも炭素繊維は焼却処理が可能で細片が飛散しにくい点で有用な無機繊維であり、アラミド繊維は比較的安価で入手し易い点で有用な難燃性合成繊維である。
上記紙材料1の通気抵抗は0.07〜3.00kPa・s/mの範囲であるが、ここで、上記の通気抵抗(Pa・s/m)とは、通気性材料の通気の程度を表す尺度である。この通気抵抗の測定は定常流差圧測定方式により行われる。図1に示すように、シリンダー状の通気路W内に試験片Tを配置し、一定の通気量V(図中矢印の向き)の状態で図中矢印の始点側の通気路W内の圧力P1と、図中矢印の終点P2の圧力差を測定し、次式より通気抵抗Rを求めることが出来る。
R=ΔP/V
ここで、ΔP(=P1−P2):圧力差(Pa)、V:単位面積当りの通気量(m/m・s)である。
通気抵抗は、例えば、通気性試験機(製品名:KES−F8−AP1、カトーテック株式会社製、定常流差圧測定方式)によって測定することが出来る。
上記紙材料1として、表面に多数の凹凸を形成した延伸性紙材料を使用してもよい。該延伸性紙材料を使用すると、吸音性能に優れかつ成形性の良い表皮材が得られる。
前記延伸性紙材料としては、表面に縮緬状の皺を形成したクレープ加工紙、表面に多数の突起を形成したエンボス加工紙、表面に縮緬状の皺と多数の突起を形成したクレープエンボス加工紙等が例示される。
上記クレープ加工紙は原料にクレープ加工を施したものであり、上記クレープ加工には、湿紙の状態でプレスロールやドクターブレードを用いて縦方向に圧縮して皺付けを行なうウェットクレープと、シートをヤンキードライヤーやカレンダーで乾燥した後ドクターブレード等を用いて縦方向に圧縮して皺付けを行なうドライクレープがある。
この場合次式で計算されるクレープ率が10〜50%であることが望ましい。
クレープ率(%)=(A/B)×100
A:紙抄造工程における抄紙速度
B:紙の巻き取り速度
即ちクレープ率とはペーパーウェブがクレーピングで縦方向(抄造方向)に圧縮される割合である。
該クレープ率が10%未満の場合には、クレープ加工紙の吸音性能が悪くなりかつ延伸性が不充分となって成形時に皺が発生し易くなり、一方該クレープ率が50%を越えると、やはり成形時に皺が発生し易くなる。
上記エンボス加工紙は表面に多数の凹凸を設けたロール(エンボスロール)やプレート(エンボスプレート)を原紙に押圧し、紙の表面に多数の突起を形成したものであり、該突起の高さは0.02〜2.00mmであり、かつ突起数は20〜200個/cmであることが望ましい。該突起高さが0.02mm未満の場合には、該エンボス加工紙の吸音性能が悪くなり、かつ延伸性が不充分となって成形時に皺が発生し易くなり、一方該突起高さが2.00mmを超えても成形時に皺が発生し易くなる。また突起数が20個/cm未満の場合には、該エンボス加工紙の吸音性能が悪くなり、また延伸性が不充分となって成形時に皺が発生し易くなり、一方突起数が200個/cmを超えても、該エンボス加工紙の吸音性能が悪くなる。
なお図2に示されるエンボス加工紙1a(延伸性紙材料)には表面に多数の突起1bが形成されており、該突起1bの高さは、図2に示す「h」に相当する。上記原紙としてクレープ加工紙を使用すればエンボスクレープ加工紙となる。
ところで、紙材料の目付量は、通常10〜60g/m程度であるが、本発明に係る紙材料の目付量は、望ましくは15〜50g/mである。目付量が小さすぎると通気抵抗が低くなりすぎて望ましい吸音性能が得られず、逆に大きすぎると通気抵抗が高くなりすぎて吸音性能が低下する。
〔通気性表装材〕
通気性表装材2としては、通常上記成形性フェルト3で使用された繊維と同様な繊維からなるシートまたはマットが用いられる。
該通気性表装材2で用いられる繊維も該成形性フェルト3と同様に、融点が180℃以下である低融点熱可塑性樹脂繊維を使用してもよい。またその際用いられる低融点熱可塑性樹脂繊維の繊度は、0.1dtex〜60dtexの範囲であり、上記低融点熱可塑性樹脂繊維は通常上記繊維に1〜50質量%混合される。
上記通気性表装材2として使用される繊維シートまたはマットは、成形性フェルト3の製造方法において記載したものと同様に、上記繊維のウェブのシートあるいはマットをニードルパンチングによって絡合する方法、あるいは繊維のウェブのシートあるいはマットが上記低融点熱可塑性樹脂繊維からなるか、あるいは上記低融点熱可塑性樹脂繊維が混合されている場合には該混合繊維のウェブをそのまま、あるいは該ウェブをニードルパンチングによって絡合した上で加熱して、該低融点熱可塑性樹脂繊維を軟化せしめて繊維相互を結着する方法、あるいは上記繊維シートまたはマットに合成樹脂を含浸あるいは混合して結着するか、あるいは上記繊維のウェブのシートまたはマットをニードルパンチングによって絡合した上で合成樹脂あるいは合成樹脂前駆体の粉末、溶液、エマルジョン、あるいはラテックスを混合、塗布あるいは含浸して結着する方法、上記繊維を編織する方法等によって製造される。
上記繊維シートまたはマットの目付量は内装材6の好ましい意匠性や外観という観点から、通常50〜500g/m、厚みは通常1〜10mmに設定される。
上記通気性表装材2を床敷材として使用する場合には、通常カーペットのような起毛布を使用する。上記カーペットには通常カットパイルやループパイルのようなパイル層が形成されるが、上記パイル層を形成するにはタフティング、ニードルパンチング、あるいは静電植毛等が適用される。
従来のカーペットにあっては、通常吸音材料としてポリエステル繊維やポリプロピレン繊維等の有機合成繊維からなるフェルトが裏打ちされている。
本発明の内装材6においては、上記フェルトに代えて上記紙材料1を裏打ちすることで、従来のフェルトを裏打ちしたカーペットと比べて吸音性能に優れ、該フェルトの軽量化や厚さの低減が可能になり、その分厚みが薄くなり、その上重量が大幅に軽減される。
上記フェルトに使用される有機合成繊維は製造工程において二酸化炭素を排出する。しかし本発明の紙材料は原料として製造工程で二酸化炭素を殆んど排出されない天然パルプ繊維を使用しているから、二酸化炭素の排出量を削減できると共に、天然パルプ繊維は腐朽性があるために廃棄物処理も容易であり、またバイオマスエネルギー(例えばバイオエタノールの原料)としても使用できる。
〔合成樹脂〕
上記した通気性表装材2および/または紙材料1にあっては、剛性や成形性を付与するために、合成樹脂等を塗布または含浸または混合させてもよい。合成樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂が例示される。
上記熱可塑性樹脂としては上記熱可塑性フェルトとして成形性フェルト3に用いたものと同様に、例えばアクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム共重合(ASA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合(ACS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、エチレンビニルアルコール共重合(EVOH)樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリブタジエン(BDR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリプロピレン(PP)、酢酸繊維素(セルロースアセテート:CA)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリオキシメチレン(=ポリアセタール)(POM)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、全芳香族ポリエステル(POB)等が例示される。このような熱可塑性樹脂は、上記通気性表装材2あるいは紙材料1に含浸および/または塗布および/または混合されて、成形形状保持性および剛性を向上せしめる。
上記熱可塑性樹脂は、2種以上混合使用されてもよく、また熱可塑性樹脂の成形容易性を阻害しない程度で若干量の熱硬化性樹脂の1種または2種以上を混合使用してもよい。該熱可塑性樹脂は取り扱いが容易な点から水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパージョンの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
上記熱硬化性樹脂としては上記熱硬化性フェルトとして成形性フェルト3に用いたのと同様に、例えばウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、熱硬化型アクリル系樹脂、特に加熱によりエステル結合を形成して硬化する熱硬化性アクリル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化型ポリエステル系樹脂等が使用されるが、該合成樹脂を生成するウレタン系樹脂プレポリマー、尿素系樹脂プレポリマー(初期縮合体)、フェノール系樹脂プレポリマー(初期縮合体)、ジアリルフタレートプレポリマー、アクリルオリゴマー、多価イソシアナート、メタクリルエステルモノマー、ジアリルフタレートモノマー等のプレポリマー、オリゴマー、モノマー等の合成樹脂前駆体が使用されてもよい。該熱硬化性樹脂も取り扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパーションの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
上記熱硬化性樹脂あるいは合成樹脂前駆体は二種以上混合使用されてもよい。
上記合成樹脂、特に熱硬化性樹脂の添加は、上記通気性表装材2あるいは紙材料1の成形形状保持性と剛性を共に向上せしめる。
また、特に本発明で使用される熱硬化性樹脂として望ましいのは、フェノール系樹脂である。該フェノール系樹脂には、フェノール系化合物に対してホルムアルデヒド類を過剰にしてアルカリ触媒で反応することによって得られるレゾールと、ホルムアルデヒド類に対してフェノールを過剰にして酸触媒で反応することによって得られるノボラックの二つの型がある。該レゾールはフェノールとホルムアルデヒドが付加した種々のフェノールアルコールの混合物からなり、通常は水溶液で提供される。該ノボラックはフェノールアルコールに更にフェノールが縮合したジヒドロキシジフェニルメタン系の種々な誘導体からなり、通常は粉末で提供される。
本発明において望ましいフェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物である。該フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、該共縮合物(初期縮合物)の水溶液の安定性が良く、かつフェノールのみからなる縮合物(初期縮合物)に比較して、常温で長期間保存することが出来るという利点がある。また該水溶液を上記通気性表装材2や紙材料1に含浸、塗布、あるいは混合させ、プレキュアして得られる該通気性表装材2や紙材料1の安定性が良く、該通気性表装材2や紙材料1を長期間保存しても成形性を喪失しない。また更にアルキルレゾルシンはホルムアルデヒド類との反応性が高く、遊離アルデヒドを捕捉して反応するので、樹脂中の遊離アルデヒド量が少なくなる等の利点も有する。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
上記フェノール系樹脂には、その製造の際に必要に応じて触媒またはpH調整剤を混合してもよい。更に、本発明のフェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物を含む)には、ホルムアルデヒド類あるいはアルキロール化トリアゾン誘導体等の硬化剤を添加混合してもよい。更にまた、水溶性のフェノール系樹脂を用いる場合、その安定性を改良するために、フェノール系樹脂をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化してもよい。
本発明で使用する合成樹脂あるいは合成樹脂前駆体には、更に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、コロイダルシリカ、雲母、珪藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、ガラス粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材;天然ゴムまたはその誘導体;スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム等の合成ゴム;ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉、澱粉誘導体、ニカワ、ゼラチン、血粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子や天然ガム類;木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、小麦粉、米粉等の有機充填材;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチリルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類;脂肪酸アミド類;カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワックス類;パラフィン類、パラフィン油、シリコンオイル、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、グリス等の離型剤;アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビス−2,2’−(2−メチルグロピオニトリル)等の有機発泡剤;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム等の無機発泡剤;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、発泡ガラス、中空セラミックス等の中空粒体;発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等のプラスチック発泡体や発泡粒;顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、燐系化合物、窒素系化合物、硫黄系化合物、ホウ素系化合物、臭素系化合物、グアニジン系化合物、燐酸塩系化合物、燐酸エステル系化合物、アミノ系樹脂等の難燃剤、防炎剤、撥水剤、撥油剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、界面活性剤、滑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤;DBP、DOP、ジシクロヘキシルフタレートのようなフタル酸エステル系可塑剤やその他のトリクレジルホスフェート等の可塑剤等を添加、混合してもよい。
また、撥水撥油剤としては、天然ワックス、合成ワックス、フッ素樹脂、シリコン系樹脂等がある。
上記通気性表装材2あるいは紙材料1に上記合成樹脂等を塗布含浸するには、通常上記合成樹脂の水性エマルジョンあるいは水性ディスパーションに該通気性表装材2あるいは紙材料1を浸漬するか、あるいはナイフコーター、ロールコーター、フローコーター等によって塗布する。
上記樹脂を含浸または塗布した上記通気性表装材2あるいは紙材料1中の樹脂量を調節するには、樹脂を含浸または塗布後、該通気性表装材2あるいは紙材料1を絞りロールやプレス盤を使用して絞る。この場合、該通気性表装材2あるいは紙材料1はその厚みを減少させるが、該通気性表装材2あるいは紙材料1として繊維シートまたはマットを用いた場合には、該繊維シートまたはマットが低融点熱可塑性樹脂繊維からなるか、あるいは低融点熱可塑性樹脂繊維が含まれている場合には、上記樹脂含浸前に該繊維シートまたはマットを加熱して低融点熱可塑性樹脂繊維を溶融させ、繊維を該溶融物によって結着しておくことが望ましい。そうすると該通気性表装材2あるいは紙材料1としての繊維シートまたはマットは強度および剛性が更に向上し、樹脂含浸の際の作業性が向上し、また絞り後の厚みの復元も顕著になる。
上記通気性表装材2あるいは紙材料1としての繊維シートまたはマットに上記樹脂を含浸または塗布した後は、上記通気性表装材2あるいは紙材料1を常温または加熱して乾燥させる。
上記樹脂の含浸量は通常10g/m〜100g/m程度とする。この程度の樹脂含浸量であれば、上記通気性表装材2あるいは紙材料1の通気抵抗に殆んど影響を及ぼさない。
(難燃剤)
また、上記通気性表装材2、紙材料1、あるいは成形性フェルト3には、難燃剤が添加されてもよい。上記難燃剤としては、例えば燐系難燃剤、窒素系難燃剤、硫黄系難燃剤、ホウ素系難燃剤、臭素系難燃剤、グアニジン系難燃剤、燐酸塩系難燃剤、燐酸エステル系難燃剤、アミノ樹脂系難燃剤、膨張黒鉛等がある。
本発明の自動車用内装材6であれば、特に水に難溶または不溶の粉末状の固体難燃剤が使用されることが望ましい。水に難溶または不溶の粉末状の固体難燃剤は本発明の内装材6に耐水性、耐久性に優れた難燃性を付与する。特に本発明の通気性表装材2、紙材料1、あるいは成形性フェルト3は粗構造を有しているから、上記粉末状の固体難燃剤が内部にまで円滑に浸透して高度な難燃性ないし不燃性を付与する。
〔自動車用内装材〕
上記通気性表装材2、紙材料1、成形性フェルト3、非通気性樹脂シート4、多孔質マット5をこの順に積層することで、例えば図3に示すような自動車床敷用内装材6となる。
本実施形態において、上記通気性表装材2と上記紙材料1、上記紙材料1と上記成形性フェルト3との接着には必要とあれば通気性接着剤が適用される。上記通気性接着剤において使用される接着剤は、通常の溶液型や水性エマルジョン型の接着剤や、粉末状、くもの巣状、溶液型、あるいは水性エマルジョン型のホットメルト接着剤等が使用される。粉末状、くもの巣状のホットメルト接着剤の場合には多孔性接着剤層となるため通気性を確保でき、上記通気性表装材2、紙材料1、成形性フェルト3の通気性を阻害しない。
溶液型あるいは水性エマルジョン型の接着剤の場合にはスプレー塗装あるいはシルク印刷塗装、オフセット印刷塗装等によって点状に接着剤を塗布し、上記通気性表装材2、紙材料1、成形性フェルト3の通気性を確保する。
上記成形性フェルト3と上記非通気性樹脂シート4、上記非通気性樹脂シート4と上記多孔質マット5との接着の場合は通気性を考慮する必要がないので、上記通気性接着剤に限らず周知の接着方法が適用できる。
なお、本発明において、通気性表装材2、紙材料1、成形性フェルト3は、それぞれを接着以外の方法、例えば溶着、融着等の方法で接合してもよい。
〔内装材成形物〕
上記内装材6は、例えば自動車の床形状に適合する所定形状に成形される。上記内装材6の構成要素である通気性表装材2、紙材料1、または成形性フェルト3に熱可塑性樹脂が塗布および/または含浸および/または混合されているか、あるいは上記通気性表装材2、または成形性フェルト3が低融点熱可塑性樹脂繊維からなるか、あるいは低融点熱可塑性樹脂繊維を含む場合に上記内装材6を成形するには、上記内装材6を上記熱可塑性樹脂あるいは低融点熱可塑性樹脂繊維の軟化温度以下でホットプレスを行なうか、あるいは上記軟化温度以上に加熱した上でコールドプレスを行なう。また、これらに熱硬化性樹脂が塗布されている場合は、ホットプレスで成形してもよい。
以下に本発明を更に具体的に説明するための実施例を記載するが、本発明は該実施例にのみ限定されるものではない。
〔実施例1〕
ポリエステル繊維からなる目付量120g/m、厚さ3mmのニードルパンチング不織布である通気性表装材を作製した。
次に、針葉樹パルプ50質量部および広葉樹パルプ50質量部からなる木材パルプを原料とし、ディスクリファイナーを用いて叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で490ml(CSF)になるように叩解し、通常の抄紙工程を経てクレープ率25%、目付量30g/m、通気抵抗0.84kPa・s/mの多孔質パルプ繊維からなる紙材料を作製した。
上記紙材料の片面にポリエステル樹脂からなる融点150℃、粒度200〜300μmのホットメルト接着剤粉末を3g/mの撒布量で塗布した後、塗布面に上記通気性表装材を積層し、180℃の加熱ロールにて紙材料側から軽く圧着して上記通気性表装材に紙材料を裏打ちした。
上記積層物に紙材料側からポリエステル樹脂からなる融点120℃、粒度200〜300μmのホットメルト接着剤粉末を3g/mの撒布量で塗布し、140℃に加熱しホットメルト接着剤を紙材料に融着させた。このものの通気抵抗は1.23kPa・s/mであった。
次に、低融点ポリエステル繊維(繊度:2.2dtex、融点:120℃)を30質量部、通常ポリエステル繊維(繊度:6.6dtex)70質量部からなる繊維ウェブを180℃で吸引しながら加熱することで上記低融点ポリエステル繊維を溶融して通常ポリエステル繊維と接着させ、目付量300g/m、厚さ15mm、通気抵抗0.06kPa・s/mの成形性フェルトを作製した。
更に、ポリアミド樹脂(厚さ:0.2mm、目付量:100g/m、軟化点:120℃)のシートである非通気性樹脂シートを作製した。
また更に、上記成形性フェルトと同配合による厚さ10mm、目付量800g/mのフェルトシートである多孔質マットを作製した。
なお、このとき上記紙材料を裏打ちした通気性表装材の紙材料側に上記多孔質マットを積層し、180℃で加熱した後、直ちに冷却して(通気性表装材−紙材料)−成形性フェルトの順に積層接着したものの通気抵抗は1.29kPa・s/mであった。
次に、上記で得られた各材料を、(通気性表装材―紙材料)−成形性フェルト−非通気性樹脂シート−多孔質マットの順に積層し(紙材料が通気性表装材と成形性フェルトに挟まれる形となる)、180℃で加熱した後、直ちに冷却し、厚さ26.0mm、重さ1356g/mの内装材(No.1)を作製した。
〔実施例2〕
実施例1において、成形性フェルトの目付量を150g/mとした他は同様にして厚さ26.0mm、重さ1206g/mの内装材(No.2)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.04kPa・s/mであり、実施例1と同様に(通気性表装材−紙材料)−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.27kPa・s/mであった。
〔実施例3〕
実施例1において、成形性フェルトの目付量を100g/mとした他は同様にして厚さ26.0mm、重さ1156g/mの内装材(No.3)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.03kPa・s/mであり、実施例1と同様に(通気性表装材−紙材料)−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.26kPa・s/mであった。
〔実施例4〕
実施例1において、成形性フェルトの厚さを10mmとした他は同様にして厚さ20.0mm、重さ1356g/mの内装材(No.4)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.07kPa・s/mであり、実施例1と同様に(通気性表装材−紙材料)−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.30kPa・s/mであった。
〔実施例5〕
実施例1において、非通気性樹脂シートをポリアミド樹脂(厚さ:1.0mm、目付量:500g/m)のシートを使用した他は同様にして、厚さ26.0mm、重さ1756g/mの内装材(No.5)を作製した。
〔比較例1〕
実施例1において、紙材料(紙材料の両面に用いたホットメルト接着剤も含める)の代わりに、ポリアミド樹脂(厚さ:0.2mm、目付量:60g/m、軟化点:120℃)からなるシートに加熱した針にて貫通孔(直径:約0.9〜1.0mm、孔数:130個/100mm×100mm)を設けた開孔樹脂層を使用した他は同様にして、通気性表装材−開孔樹脂層−成形性フェルト−非通気性樹脂シート−多孔質マットからなる厚さ26.0mm、重さ1380g/mの内装材(No.6)を作製した。
なお、このときの開孔樹脂層の通気抵抗は1.17kPa・s/mであり、実施例1と同様に通気性表装材−開孔樹脂層−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.28kPa・s/mであった。
〔比較例2〕
比較例1において、成形性フェルトの目付量を150g/mとした他は同様にして厚さ26.0mm、重さ1230g/mの内装材(No.7)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.04g/mであり、比較例1と同様に通気性表装材−開孔樹脂層−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.27kPa・s/mであった。
〔比較例3〕
比較例1において、成形性フェルトの目付量を100g/mとした他は同様にして厚さ26.0mm、重さ1180g/mの内装材(No.8)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.03g/mであり、比較例1と同様に通気性表装材−開孔樹脂層−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.25kPa・s/mであった。
〔比較例4〕
比較例1において、成形性フェルトの厚さを10mmとした他は同様にして厚さ20.0mm、重さ1380g/mの内装材(No.9)を作製した。
なお、このときの成形性フェルトの通気抵抗は0.07g/mであり、比較例1と同様に通気性表装材−開孔樹脂層−成形性フェルトの順に積層し、加熱−冷却し積層接着したものの通気抵抗は1.29kPa・s/mであった。
〔比較例5〕
比較例1において、非通気性樹脂シートをポリアミド樹脂(厚さ:1.0mm、目付量:500g/m)のシートを使用した他は同様にして、厚さ26.0mm、重さ1780g/mの内装材(No.10)を作製した。
上記実施例1〜4および比較例1〜4で得られた内装材No.1〜8の吸音性試験をJIS A 1409「残響室法吸音率」に準じて測定した結果を表1に示す。
また、上記実施例1、実施例5および比較例1、比較例5で得られた内装材No.1、No.5、No.6、No.10の遮音性試験をJIS A 1416「音響透過損失」に準じて測定した結果を表2に示す。
表1より、成形性フェルトの目付量(質量)を300g/mから150g/m、そして100g/mまで減じたところ、本実施例1〜3における内装材No.1、No.2、No.3については吸音率の低下が殆んど見られなかったが、紙材料に代えて開孔樹脂層を使用した比較例1〜3における内装材No.6、No.7、No.8については、成形性フェルトの質量の減少に伴って吸音率の低下が顕著であることが判る。
また、成形性フェルトの厚みだけを15mmから10mmに変化させたところ、本実施例1,4における内装材No.1とNo.4を比べてみると吸音率にあまり変化が見られないが、比較例1,4における内装材No.6とNo.9をみると、成形性フェルトの厚さを15mmから10mmと薄くすることで大きく吸音率が低下していることが判る。
上記結果より、本発明による表面に開口する多数の細孔からなる多孔質パルプ繊維を用いた紙材料を使用することで、通気抵抗が同程度であれば、最終的な製品の軽量化や厚さの低減が可能になることが判る。更に、成形性フェルトやその他の材料の厚さ、密度、通気抵抗によらず、紙材料の通気抵抗を調整することで簡単に性能を向上させることができることになる。
表2より、遮音性においては、紙材料と開孔樹脂層との間に差は殆んど見られず、非通気性樹脂シートの目付量(質量)が増えるほど遮音性能が向上する。
これらの事より、本実施例における内装材を自動車の内装材料として使用する場合は、車体側に多孔質マット側がくるように配置し、通気性表装材側が車内にくるように配置すると、車外からの騒音を遮音し、更に洩れてきた騒音を室内で吸音することが出来、この場合に従来の開孔樹脂層を設けた吸音材よりも軽量で厚みを小さくすることが可能となる。
〔実施例6〕
ポリエステル繊維からなる目付量80g/m、厚さ2mmのニードルパンチング不織布である通気性表装材を作製した。
次に、針葉樹パルプからなる木材パルプを原料とし、ディスクリファイナーを用いて叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で420ml(CSF)になるように叩解し、通常の抄紙工程を経てクレープ率20%、目付量20g/m、通気抵抗1.14kPa・s/mの多孔質パルプ繊維からなる紙材料を作製した。
上記紙材料の片面にポリエステル樹脂からなる融点150℃、粒度200〜300μmのホットメルト接着剤粉末を3g/mの撒布量で塗布した後、塗布面に上記通気性表装材を積層し、180℃の加熱ロールにて紙材料側から軽く圧着して上記通気性表装材に紙材料を裏打ちした。
上記積層物にフェノール−アルキルレゾルシン初期縮合物(固形分:40質量%水溶液)20質量部、リン−窒素系難燃剤(固形分:40質量%水溶液)5質量部、カーボンブラック(固形分:20質量%水分散液)2質量部、水73質量部からなる混合溶液を固形分として20g/mの含浸量になるようにロールにて塗布した後、140℃にて5分間加熱し、熱硬化性樹脂をB状態にした。このものの通気抵抗は1.21kPa・s/mであった。
次に、ケナフ繊維30質量部、通常ポリエステル繊維(繊度:6.6dtex)70質量部からなる繊維ウェブに上記混合溶液を固形分で50g/mの塗布量になるようにスプレー塗布し、180℃に加熱して熱硬化性樹脂をB状態にした目付量200g/m、厚さ20mm、通気抵抗0.16kPa・s/mである成形性フェルトを作製した。
非通気性樹脂シートとしては、実施例1と同じ非通気性樹脂シートを用いた。
更に、目付量180g/m、厚さ20mmのメラミン発泡体である多孔質マットを作製した。
次に、上記で得られた各材料を、(通気性表装材―紙材料)−成形性フェルト−非通気性樹脂シート−多孔質マットの順に積層し(紙材料が通気性表装材と成形性フェルトに挟まれる形となる)、200℃で加熱プレス成形し所定形状の内装材を作製した。得られた内装材は総重量が653g/mと軽量であり、難燃性、吸音性および遮音性に優れた成形物であった。
〔実施例7〕
実施例6において、積層物および成形性フェルトの樹脂含浸に用いた混合溶液中のフェノール−アルキルレゾルシン初期縮合物(固形分:40質量%水溶液)を、アクロデュア958D(固形分:42質量%水性エマルジョン)に代え、他の成分は同様にして積層物および成形性フェルトを作製した。上記積層物の通気抵抗は1.34kPa・s/mであり、成形性フェルトは目付量200g/m、厚さ20mm、通気抵抗0.18kPa・s/mであった。
上記積層物および成形性フェルトを用いて実施例6と同様に200℃で加熱プレス成形し所定形状の内装材を作製した。得られた内装材は軽量で吸音性、遮音性に優れた成形物であった。
〔実施例8〕
実施例6において、積層物および成形性フェルトの樹脂含浸に用いた混合溶液中のフェノール−アルキルレゾルシン初期縮合物(固形分:40質量%水溶液)を、アクロデュア950L(固形分:50質量%水溶液)とアクロデュア958D(固形分:42質量%水性エマルジョン)の50:50質量比混合溶液に代え、他の成分は同様にして積層物および成形性フェルトを作製した。上記積層物の通気抵抗は1.26kPa・s/mであり、成形性フェルトは目付量200g/m、厚さ20mm、通気抵抗0.23kPa・s/mであった。
上記積層物および成形性フェルトを用いて実施例6と同様に200℃で加熱プレス成形し所定形状の内装材を作製した。得られた内装材は軽量で吸音性、遮音性に優れた成形物であった。
〔比較例6〕
上記実施例1において、紙材料を省略した以外は同様にして、通気性表装材−成形性フェルト−非通気性樹脂シート−多孔質マットの順に積層し、180℃で加熱した後、直ちに冷圧プレス成形し所定形状の内装材を作製した。得られた内装材は実施例1に比べて吸音性に乏しく、自動車用内装材として使用するには不適であった。
本発明の内装材6は、良好な吸音性能、遮音性能を有し、更に軽量であり、従来の材料よりも厚みを薄くすることができるので、産業上利用可能である。
1 紙材料
1a エンボス加工紙(延伸性紙材料)
2 通気性表装材
3 成形性フェルト
4 非通気性樹脂シート
5 多孔質マット
6 自動車用内装材
R 通気抵抗

Claims (4)

  1. 多孔質マット上に非通気性樹脂シートが積層され、該非通気性樹脂シート上に成形性フェルトが積層され、該成形性フェルト上に、紙材料を裏打ちした通気性表装材が積層された自動車用内装材であって、
    上記紙材料は叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲であり表面に開口する多数の細孔が設けられている多孔質パルプ繊維を90質量%以上含み、通気抵抗が0.07〜3.00kPa・s/mの範囲の紙である
    ことを特徴とする自動車用内装材。
  2. 上記紙材料は表面に多数の凹凸を形成することによって延伸性を付与されたクレープ加工および/またはエンボス加工紙である請求項1に記載の自動車用内装材。
  3. 上記紙材料の目付量は15g/m〜50g/mである請求項1または請求項2に記載の自動車用内装材。
  4. 上記成形性フェルトの目付量は50〜1000g/mであり、厚さが1.5mm以上であり、融点が180℃以下の低融点熱可塑性樹脂繊維を10〜50質量%含有し、通気抵抗が0.04〜1.50kPa・s/mである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の自動車用内装材。
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