JPWO2011040262A1 - 鋼管用ねじ継手 - Google Patents
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Abstract
ねじ形状が三角ねじである雄ねじ部を有するピンと、この雄ねじ部に螺合する三角ねじの雌ねじ部と先端に設けたねじ無しスリーブ部とを有するボックスとから構成される、アメリカ石油協会により規定されたラウンドねじ継手の規格を満たす鋼管用ねじ継手の耐ゴーリング性を改善する。ボックスのねじ無しスリーブ部のボックス軸方向長さが、前記規格で規定されている値の1/2以下(零を含む)となるようにねじ無しスリーブ部を短縮または削除する。さらに、ボックス端部にスウィーシュ部を設置するか、および/または雌ねじ部末端のベベル角を雌ねじ山の斜面角度の±15°以内になるように上記規格で規定されているボックス形状を変更してもよい。
Description
本発明は、地下に埋蔵される原油、天然ガス、メタンハイドレート、地下水、温泉等の、気体状または液体状の地下資源を採掘、生産する際に用いられる鋼管(その代表例は油井管)の締結に使用される鋼管用ねじ継手に関する。より具体的には、本発明は、鋼管用ねじ継手のうち、特に、アメリカ石油協会(American Petroleum Institutes、API)の規格に規定されているラウンドねじ継手の改良に関する。
油井管等の地下資源採掘用の鋼管は、通常、ねじ継手により接続される。この種のねじ継手は、一般に、雄ねじ部を有するピンと、該雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有するボックスとから構成されるピン−ボックス構造をとる。典型的には、ピンは締結される鋼管の両管端部の外面に、ボックスはカップリングと呼ばれる別の締結用部材の内面に形成される。このようなねじ継手をカップリング方式と呼ぶ。その他、鋼管の一端の外面にピンを、他端の内面にボックスを設けた、カップリングを使用せずに鋼管同士を直接締結するインテグラル方式のねじ継手も存在する。ピンとボックスのねじ山は、台形ねじ(バットレスねじ)、三角ねじ(ラウンドねじ)、フックねじなどから選ばれうる。
このような鋼管用ねじ継手に、いわゆるAPI継手と呼ばれる、アメリカ石油協会が規格化した標準的なねじ継手がある。図4は、カップリング方式のAPI規格のラウンドねじ継手の縦断面形状を示す断面図である。
図4に示すカップリング方式のラウンドねじ継手1は、締結される鋼管2、3の管端部の外面にそれぞれ形成されたピンと、短い締結部材(カップリング)4の内面に形成されたボックスとから構成される。ピンは、鋼管2、3の管端部の外表面に、鋼管軸方向におけるねじ山の断面形状がほぼ三角形のラウンドねじであるテーパ雄ねじ部2a,3aを設けることにより形成される。ピンに対向するボックスは、ピンの雄ねじ部2a,3aに螺合するラウンドねじからなるテーパ雌ねじ部4aを、カップリング4の内面の両側に設けることにより形成される。各ボックスは、雌ねじ部4aに加えて、カップリング4の軸方向両端部に、鋼管2、3の外径より大きい内径を有するねじ無しスリーブ部4bを備えている。このねじ無しスリーブ部4bは、インサートガイドの役割をもつ。
ねじ継手の締結は、油圧または水圧により作動するパワートングと呼ばれる締め付け機による機械締め付けにより行われる。締め付けは、規定のトルク反力に達すること、または既定の締め付け位置まで到達することにより、完了する。締め付けが完了したピンとボックスのねじ同士は、丁度接触する位置からさらにねじ込まれて締まり嵌めとなり、非常に強固に接続される。
例えば、雄ねじおよび雌ねじの芯ずれ、砂や石などの噛み込み、さらには潤滑剤の不足といった、締め付け時のわずかな不具合に起因して、ねじ部に焼き付き(ゴーリング)が発生する。通常、ねじ継手の締め付け機器や、ねじ継手、ねじ部に塗布する潤滑剤、さらには現場での締め付け手順は、ゴーリングを発生させないように、管理されている。しかし、近年開発が増加している、劣悪な環境下にある油井では、この管理を十分に行うことができないことがあり、ゴーリングがしばしば発生し、問題となっている。
これまでにも、ねじ継手の表面に塗布する潤滑剤、場合により予め該表面に形成される潤滑被膜、ならびに該表面の表面処理方法(例、粗面化処理)を改良することによって、ゴーリングを防止する(耐ゴーリング性を改善する)試みが多数提案されている。また、ねじ山の形状を工夫することによりゴーリングを防止することも提案されている。
潤滑被膜や表面処理の改良によりゴーリング防止を図った鋼管用ねじ継手は、その潤滑被膜または表面処理を傷つけないように取扱いに細心の注意を要することが多い。油井現場への搬送途中や、現場でのラフな取り扱い、さらにはずさんな在庫管理等により、潤滑被膜の剥がれ等の不良が発生し易く、この不良が発生すると、耐ゴーリング性能の向上が得られない。
ねじ山形状の改良に関して、米国特許第6,447,025号には、ラウンドねじのピンの雄ねじ山の頂部の丸みを、荷重面側より挿入面側の方が大きくなるようにした鋼管用ねじ継手が開示されている。それにより、ねじ締め付け時のスクラッチ(ひっかき疵)や摩耗損傷が防止される。しかし、このようなねじ山形状では、締め付け初期にはピンとボックスの相対するねじの斜面が傷つくことを防止できるものの、後述する局部的な高接触状態に起因したゴーリングを防止することはできない。
特開2001−56075号公報に開示された鋼管用ねじ継手では、ピンの雄ねじのピッチがボックスの雌ねじのピッチより1〜7ミクロンの範囲で小さく設定される。ピンが嵌め合い時のポアソン効果で軸方向に伸びることによるねじ斜面の接触力の増大が、これによって抑制され、耐ゴーリング性能が向上する。つまり、ピンとボックスのねじ部が十分に嵌め合わされて、ピンがポアソン効果で軸方向に伸びた状態では、この鋼管用ねじ継手は耐ゴーリング性の向上効果を発揮できる。しかし、ピンとボックスのねじ部がまだ嵌め合っていない締め付け初期の段階では、ピンとボックスのねじピッチの差によってねじ斜面に不必要な接触力が発生し、かえってゴーリングが発生し易くなる。
本発明は、潤滑被膜や表面処理の改良に頼らず、かつねじ山形状やねじピッチを変更せずに、優れた耐ゴーリング性能を安定して発揮することができる、APIに規格されたラウンドねじ(即ち、継手軸方向のねじ山の断面形状がほぼ三角形であるねじ、本明細書では三角ねじという)を備えた鋼管用ねじ継手を提供することを目的とする。
本発明者らは、施工現場で発生しているAPI規格のラウンドねじ継手のゴーリングの発生状況をカップリング方式のねじ継手により詳細に調査した。その結果、ゴーリングは、鋼管管端部の外面に形成されたピンの雄ねじ部の軸方向中央部から鋼管本体側へ向けて発生する一方で、カップリング内面に形成されたボックスの雌ねじ部では、カップリングの端部から雌ねじ部の軸方向中央部付近にかけて発生していた。すなわち、雄ねじ部の中央部より鋼管先端側と、雌ねじ部の中央部よりカップリング奥側ではゴーリングは発生していなかった。
ゴーリングは、ねじの接触圧が局所的に非常に高まることに起因して発生することから、本発明者らは、ねじ継手のどの部位で高い接触圧が発生するのかを、有限要素法解析による数値シミュレーションにより詳細に検討した。その結果、カップリングの端部に位置するねじ山の接触圧が、他の部位に設けられたねじ山の接触圧に比較して、数倍から数十倍程度も高いことが判明した。すなわち、ゴーリングの主な発生原因が、カップリングの端部に位置するねじ山が局部的に高い接触圧で接触すること(以下、「高接触状態」と略記する)であることを知見した。
本発明者らは、カップリングの端部(すなわち、ピンを受け入れる開口部であるボックスの先端部)の位置でのねじ山の高接触状態を緩和できればゴーリングを解消できると考え、カップリングの端部におけるねじ山が高接触状態になる要因をさらに検討した結果、以下に列記する2つの要因(a)および(b)が判明した。
(a)ねじの接触圧は、嵌め合い力、すなわち小径の雌ねじ部に大径の雄ねじ部を強引にねじ込むことによって発生する雌ねじおよび雄ねじ間の押し合う力により、その平均的な大きさが決定される。換言すると、ねじの接触圧は、雄ねじ部により拡径させられた雌ねじ部が元の径に縮もうとする弾性回復力と、雌ねじ部により縮径させられた雄ねじ部が元の径に拡がろうとする弾性回復力との双方により、発生するといえる。
ここで、カップリングの軸方向中央部付近のねじ山では、隣り合ういくつかのねじ山によりこの弾性回復力が分担されるので、一山当たりの負担は小さくなり、ねじの接触圧の過剰な上昇は防がれる。これに対し、カップリング端部付近のねじ山では、カップリングの端部のねじ無しスリーブ部が元の径に縮もうとする弾性回復力をも負担することとなるため、カップリングの軸方向中央部付近のねじ山よりも接触圧が過剰に上昇する。
(b)カップリング端部に近いねじ山は、雌ねじ末端のベベル(面取り)によってねじ山の一部が切り取られた不完全な形状を有する不完全ねじ部であり、この不完全な形状の角部が片当たりするために、カップリングの雌ねじ端部のねじ数山の接触圧が局部的に過剰に上昇する。
本発明者らは、これら2つの要因のいずれか一方または双方を取り除くか、あるいは低減することができれば、耐ゴーリング性を飛躍的に向上させることができると考え、さらに検討を重ねた結果、API規格のラウンドねじ継手におけるカップリングの端部のねじ山の局所的な接触圧を低減するには、下記の(i)〜(iii)が有効であることを知見した:
(i)カップリング端部に設けられているねじ無しスリーブ部を削除または短縮する、
(ii)カップリング端部をある軸方向長さにわたって外表面を削りとり、肉厚を薄くする(本明細書ではこうして肉厚が薄くなった部分を「スウィーシュ部」という)、
(iii)特にラウンドねじの場合には、カップリング端部の不完全ねじ部による片当たりを低減するために、雌ねじ部のねじ末端のベベル角を、ラウンドねじの斜面の角度とほぼ同じ値に設定することにより、片当たりを生じる不完全ねじ山の数を最少にすることができる。
(i)カップリング端部に設けられているねじ無しスリーブ部を削除または短縮する、
(ii)カップリング端部をある軸方向長さにわたって外表面を削りとり、肉厚を薄くする(本明細書ではこうして肉厚が薄くなった部分を「スウィーシュ部」という)、
(iii)特にラウンドねじの場合には、カップリング端部の不完全ねじ部による片当たりを低減するために、雌ねじ部のねじ末端のベベル角を、ラウンドねじの斜面の角度とほぼ同じ値に設定することにより、片当たりを生じる不完全ねじ山の数を最少にすることができる。
本発明は、互いに嵌合し得るピンとボックスとから構成される鋼管用ねじ継手であって、ピンがねじ形状が三角ねじである雄ねじ部を有し、ボックスが前記雄ねじ部に螺合する三角ねじ形状の雌ねじ部とボックス先端に位置するねじ無しスリーブ部とを有する、アメリカ石油協会(API)により規定されたラウンドねじ継手の規格を満たす形状から、前記ボックスのねじ無しスリーブ部が、そのボックス軸方向長さが前記規格で規定されている値の1/2以下(零を含む)となるように少なくとも部分的に除去されている点で異なる、ことを特徴とする鋼管用ねじ継手である。
ここで、ねじ無しスリーブ部とは、API規格のラウンドねじ継手のボックス先端部に設けられている、ボックス軸方向において内径が一定(すなわち、内面が円筒面)である部分を意味する。内面の円筒面は、±5°以内の微小な傾斜角度の傾斜面をも許容する。
前記ねじ無しスリーブ部のボックス軸方向の長さは零であってもよく、その方が望ましい。すなわち、このスリーブ部の全体を除去し、ボックスがねじ無しスリーブ部を有していないことが好ましい。
ボックスは、その端面(先端面)から、ボックス端面に最も近い雌ねじ部のねじ山から奥に向かって少なくとも2ピッチ分に相当する位置までの軸方向長さのボックス部分(この部分をボックス「端部」という)が、API規格に規定されたねじ無しスリーブ部の肉厚の1/3以上、1/2以下の厚みだけボックス外周面を削り落した外面削ぎ落し部(スウィーシュ部)になっていることが好ましい。換言すると、ねじ無しスリーブ部の一部が残存している場合、ねじ無しスリーブ部におけるスウィーシュ部の肉厚は、スウィーシュ部を設ける前のねじ無しスリーブ部の肉厚の1/2以上、2/3以下となる。
前述したように、本発明に係る鋼管用ねじ継手ではねじ無しスリーブ部が完全に除去されていてもよい。その場合でも、スウィーシュ部を設けるためにボックス外面を削りとる厚みは、ねじ無しスリーブ部を除去する前のAPI規格に規定されたねじ無しスリーブ部の肉厚を基準にして上記のようにする。
スウィーシュ部の外面形状は、円柱面、テーパ面、または円弧、放物線、双曲線などの単純な幾何学曲線を回転させた回転体面でよく、形状の異なる2種以上の面を組み合わせた面としてもよい。円柱面以外の場合、スウィーシュ部の肉厚はスウィーシュ部全長についての平均値とする。
ボックスはまた、ボックス先端に最も近い雌ねじ部の末端雌ねじ山のベベル角(ねじ末端の面取り角)が、三角ねじの斜面の角度(前記規格では30°)の±15°の範囲内にあることが望ましい。
本発明に係る鋼管用ねじ継手は、品質管理、作業管理が行き届かずラフハンドリングを受けるような油井現場であっても、通常の潤滑剤および表面処理のままで、優れた耐ゴーリング性能を安定して発揮することができる。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る鋼管用ねじ継手を構成するボックス10の端部の部分断面図である。本発明は、カップリング方式のみならず、インテグラル方式の鋼管用ねじ継手にも適用可能である。従って、雌ねじ部を有するボックスは、図4に示すように、カップリングの両側に形成されているか、あるいは鋼管の一端に形成されている。以下では、主としてカップリング方式、すなわち、ボックスがカップリングに形成されている態様を例にとって、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る鋼管用ねじ継手を構成するボックス10の端部の部分断面図である。本発明は、カップリング方式のみならず、インテグラル方式の鋼管用ねじ継手にも適用可能である。従って、雌ねじ部を有するボックスは、図4に示すように、カップリングの両側に形成されているか、あるいは鋼管の一端に形成されている。以下では、主としてカップリング方式、すなわち、ボックスがカップリングに形成されている態様を例にとって、本発明を説明する。
鋼管用ねじ継手は、互いに嵌合し得るピンおよびボックスとから構成される。カップリング方式の鋼管用ねじ継手の場合、ピンは鋼管の両端に形成される。本発明は、APIにより規定されたラウンドねじ継手の規格を満たす(ただし、後述する本発明による変更点を除いて)鋼管用ねじ継手を対象とするので、ピンはねじ形状が三角ねじである雄ねじ部を鋼管管端の外面に有している。
図1に示すように、ボックス10は、ボックスの先端部(ピンが挿入される開口端部)に設けたねじ無しスリーブ部11と、それに続いてボックスの内部側に設けた、図示しないピンの雄ねじ部に螺合する、雌ねじ部12とを有する。カップリング方式のねじ継手の場合、図4に示すように、ボックスは短管(カップリング)の両側に形成される。従って、カップリングはその両端部にねじ無しスリーブ部11を、それより内側の内面に雌ねじ部12を有する。
図1の破線で示す輪郭は、API規格に適合したラウンドねじ継手のボックス10の先端近傍部13の形状を示す。すなわち、API規格のラウンドねじ継手におけるボックスは、ねじ無しスリーブ部を有しており、このスリーブ部のボックス軸方向における長さはL2である。L2はAPI規格のラウンドねじ継手におけるねじ無しスリーブ部の軸方向長さの規格値である。
ボックス10のねじ無しスリーブ部11の内径は、本ねじ継手で接続される鋼管本体の外径よりも大径である。このねじ無しスリーブ部の内径はAPI規格において規定されている。ボックスの雌ねじ部とねじ無しスリーブ部との間は、通常は傾斜面(テーパ面)で接続される。この傾斜面の角度θをベベル角という。API規格に適合する傾斜面は、図1に破線で示されている。
本発明によれば、ボックス10の先端部に位置するねじ無しスリーブ部11の、ボックス軸方向の長さL1は、API規格ラウンドねじ継手におけるねじ無しスリーブ部の軸方向長さの規格値L2の1/2以下であり、零であってもよい。つまり、0≦L1≦(1/2)L2の関係を満たす。
すなわち、ねじ無しスリーブ部11は、全て取り除いてもよく、そうする方が、ねじの接触圧の最大の低減効果を得ることができるので望ましい。しかし、製造上の都合等によりねじ無しスリーブ部を全て取り除くことが困難である場合、APIによる規格値L2の半分以下の長さであれば、ねじ無しスリーブ部11を残存させておいてもよい。
本発明において、「API(アメリカ石油協会)で規格されたラウンドねじ継手」とは、API specification 5CTまたはAPI standard 5Bで規定されているラウンドねじ継手のうち、特にCasing Short-Thread継手(以下「STC」と略記する)、Casing Long-Thread継手(以下「LTC」と略記する)、Non-Upset Tubing Thread継手(以下「NUE」と略記する)、External-Upset Tubing Thread継手(以下「EUE」と略記する)、およびIntegral-Joint Tubing Thread継手(以下「IJC」と略記する)から選ばれたラウンドねじ継手を意味する。このうちIJCはインテグラル方式のラウンドねじ継手であるので、カップリングは存在しない。残りはカップリング方式の継手である。
「APIで規格されたラウンドねじ継手におけるねじ無しスリーブ部の軸方向長さの規格値L2」を、各ねじ継手の種類ごとに以下に列記する。
(STC)
油井管本体の公称外径(以下、パイプODと略記)が4−1/2インチ〜7インチの場合はL2=0.5インチ、パイプODが7−5/8インチ〜13−3/8インチL2=0.433インチ、パイプODが16インチ〜20インチの場合はL2=0.366インチ。
(STC)
油井管本体の公称外径(以下、パイプODと略記)が4−1/2インチ〜7インチの場合はL2=0.5インチ、パイプODが7−5/8インチ〜13−3/8インチL2=0.433インチ、パイプODが16インチ〜20インチの場合はL2=0.366インチ。
(LTCの場合)
パイプODが4−1/2インチ〜7インチの場合はL2=0.5インチ、パイプODが7−5/8インチ〜9−5/8インチの場合はL2=0.433インチ、パイプODが20インチの場合はL2=0.366インチ。
パイプODが4−1/2インチ〜7インチの場合はL2=0.5インチ、パイプODが7−5/8インチ〜9−5/8インチの場合はL2=0.433インチ、パイプODが20インチの場合はL2=0.366インチ。
(NUEの場合)
パイプODが1.05インチ〜3−1/2インチの場合はL2=5/16インチ、パイプODが4インチ又は4−1/2インチである場合、L2=3/8インチ。
パイプODが1.05インチ〜3−1/2インチの場合はL2=5/16インチ、パイプODが4インチ又は4−1/2インチである場合、L2=3/8インチ。
(EUEの場合)
パイプODが1.05インチ〜1.9インチの場合はL2=5/16インチ、パイプODが2−3/8インチ〜4−1/2インチの場合はL2=3/8インチ。
パイプODが1.05インチ〜1.9インチの場合はL2=5/16インチ、パイプODが2−3/8インチ〜4−1/2インチの場合はL2=3/8インチ。
(IJCの場合)
パイプODが1.315インチの場合はL2=5/32インチ、パイプODが1.66インチ〜2.063インチの場合はL2=5/16インチ。
パイプODが1.315インチの場合はL2=5/32インチ、パイプODが1.66インチ〜2.063インチの場合はL2=5/16インチ。
また、ボックス10は、ねじ無しスリーブ部11の軸方向長さL1以外のボックスの全般的な寸法と形状は、アメリカ石油協会で規格されたラウンドねじ継手における規格値を満足する。ただし、後述するように、ボックス端部において、スウィーシュ部の設置やベベル角の変更といった改良(すなわち、API規格からの変更)を加えることができる。ただし、ボックスとピンのねじ山形状およびねじピッチは、API規格の通りで変更を要しない。
ボックス端部におけるAPI規格に規定されている寸法として、ねじ無しスリーブ部の軸方向長さL2以外に、ボックス(カップリング方式の継手の場合はカップリング)の外径W(図1の半径r2の2倍)、ねじ無しスリーブ部の内径Q(図1の半径r3の2倍)および雌ねじ端部のベベル角θがある。
これらの規格値のうち、雌ねじ端部のベベル角θは、上述したSTC、LTC、NUE、EUE、IJCの全てにおいて65°である。一方、カップリングの外径W、ねじ無しスリーブ部の内径Qについては、表1から表4にそれぞれの継手の具体的な数値を記載する。なお、(W−Q)/2がねじ無しスリーブ部の肉厚t2に相当することは言うまでもない。
なお、これまで述べたAPI規格値は全て公称値であり、その公差は全てAPI specification 5CTまたはAPI standard 5Bで規定された公差に従うものとする。
ボックス10は、好ましくは、図1に示すように、その端面15から、ボックス端面に最も近い雌ねじ部12のねじ山(以下、末端ねじという)から奥に向かって少なくとも2ピッチ分(図1に示す例では4ピッチ分)に相当する位置16までの軸方向長さ(17で示す)部分であるボックスの端部に、API規格に規定されたねじ無しスリーブ部11の肉厚の1/3以上、1/2以下の厚みだけボックス外周面を削り落した外面削ぎ落し部(スウィーシュ部、swoosh portion)19を有することが好ましい。つまり、スウィーシュ部19は、スウィーシュ部におけるボックス半径r1が、スウィーシュ部形成前の半径(スウィーシュ部を除くボックス部分である「一般部」18の半径)r2より、スウィーシュ部形成前のねじ無しスリーブ部11の肉厚t2(API規格値)の1/3以上、1/2以下だけ小さくなるようにする。
ねじ無しスリーブ部11が部分的に残存している場合、スウィーシュ部19におけるねじ無しスリーブ部11の肉厚をt1とすると、t1とt2は次式を満たす:
(1/2)t2 ≦t1≦ (2/3)t2
つまり、スウィーシュ部19の肉厚t1は、スウィーシュ部形成前のねじ無しスリーブ部11の肉厚t2の1/2以上、2/3以下となるようにする。スウィーシュ部19の肉厚t1が大き過ぎると、ねじ山の接触圧の低減効果が小さくなる。一方、この肉厚t1が小さ過ぎると、施工現場でボックス10の端面15が容易に変形してしまい、現場取扱性が悪くなってしまう。
(1/2)t2 ≦t1≦ (2/3)t2
つまり、スウィーシュ部19の肉厚t1は、スウィーシュ部形成前のねじ無しスリーブ部11の肉厚t2の1/2以上、2/3以下となるようにする。スウィーシュ部19の肉厚t1が大き過ぎると、ねじ山の接触圧の低減効果が小さくなる。一方、この肉厚t1が小さ過ぎると、施工現場でボックス10の端面15が容易に変形してしまい、現場取扱性が悪くなってしまう。
スウィーシュ部19の軸方向長さ17は、接触圧を低減したいねじ山の外表面まで十分長くする必要がある。高い接触圧が発生するのは、雌ねじ部12の最先端のねじ山(末端ねじ山)から2山程度までなので、スウィーシュ部19の軸方向長さ17は、雌ねじ部12の末端ねじ山から少なくとも2ピッチの位置までとする。しかし、スウィーシュ部19をいたずらに長くし過ぎるとボックス10の強度が低下し、また締め付け作業をする場合にボックス10のチャッキングを行い難くなるなどの弊害を生じる。従って、スウィーシュ部19の軸方向長さ17の上限は、雌ねじ部12の末端ねじ山から10ピッチ程度までとすることが望ましい。
スウィーシュ部19の外面形状は、加工の都合に応じて、円柱面、テーパ面、または円弧、放物線、双曲線などの単純な幾何曲線を回転させた回転体面のいずれでもよい。これらの2種以上の面を組み合わせた面(例、円柱面とテーパ面、円柱面と回転体面、テーパ面と回転体面の組み合わせ)とすることもできる。
スウィーシュ部19と一般部18との接続部20の形状も、図示のようなテーパ面20aでよいが、大きな曲率を有する円弧などの単純な幾何曲線を回転させた回転体面とすることもできる。
ボックス10の雌ねじ部12における、軸方向最先端(すなわち、ボックス端面に最も近く)に位置するねじ山とねじ無しスリーブ部11(該スリーブ部が存在しない場合はボックス端面)とをつなぐ斜面(ベベル)がボックス管軸垂直面となす角度であるベベル角θは、前述し、かつ図1に破線で示すように、API規格ラウンドねじ継手ではいずれも65°である。
本発明の好適態様においては、このベベル角θを、三角ねじの斜面の角度(同じくボックス管軸垂直面となす角度)の±15°の範囲内にする。API規格のラウンドねじ継手の三角ねじは、典型的には斜面角度が30°である。この場合、ベベル角θは30°±5°の範囲内にするのが最も望ましいが、後述する実施例に示すように、30°からかなりずれても実質的にねじの接触圧低減効果は変わらないので、30°±15°(つまり、15°〜45°)の範囲内であればよい。
図2(a)〜(h)は、本発明に係る鋼管用ねじ継手を構成するボックスの各種変更例10−1〜10−8の端部を示す部分断面図である。図中の破線は、API規格に規定された形状を示す。
上述したように、本発明に係る鋼管用ねじ継手では、ゴーリングの主原因であるボックスの先端部の位置でのピンとボックスのねじ山の接触圧を低減させるために、APIに規格されたラウンドねじ継手に対して、(1)ねじ無しスリーブ部11を除去または短縮、(2)スウィーシュ部19の設置、および(3)ベベル角度θの適正化、が有効である。このうち、(1)のねじ無しスリーブ部11の除去または短縮は最も効果が大きいので必須とし、残る(2)と(3)の変更は、必要に応じて独立して採用すればよい。(1)に加えて、(2)と(3)の変更の一方または両方を組み合わせて適用することにより、より大きな接触圧低減効果を得ることができる。
図2について具体的に説明すると、図2(a)はねじ無しスリーブ部の短縮とスウィーシュ部の設置とベベル角θの変更を行った例、図2(b)はねじ無しスリーブ部の削除とスウィーシュ部の設置を行った例、図2(c)はねじ無しスリーブ部の短縮とスウィーシュ部の設置を行った例、図2(d)はねじ無しスリーブ部の削除のみを行った例、図2(e)はねじ無しスリーブ部の短縮のみを行った例、図2(f)はねじ無しスリーブ部の短縮とベベル角θの変更を行った例、図2(g)はねじ無しスリーブ部の削除とベベル角θの変更を行った例、そして図2(h)はねじ無しスリーブ部の短縮とスウィーシュ部の設置を行った例、をそれぞれ示す。
本発明に係る鋼管用ねじ継手は、品質管理、作業管理が行き届かずラフハンドリングを受けるような油井現場であっても、通常の潤滑剤および表面処理のままで優れた耐ゴーリング性能を安定して発揮することができる。
以下の実施例は本発明を例示するものであり、本発明を制限する意図はない。 本発明の効果を実証するため、有限要素法を用いた数値シミュレーションにより、鋼管用ねじ継手を構成するボックスの端部のねじ山の局所の接触圧を評価した。
供試したのは、API規格の油井管9−5/8インチ47#N80用のカップリング方式のAPIラウンドねじ継手であった。このねじ継手を規定締め付け位置(Vanish Point)まで締めつけた状態と、規定締め付け位置よりさらに2ターン余分に締め込みをした状態の2つの状態について、シミュレーション解析を実施した。
ピンを構成する管本体、およびボックスを構成するカップリング本体の代表的な諸元を以下に示す。
(管本体)
公称外径:244.48mm
公称肉厚:11.99mm
公称耐力:80ksi(=552MPa)
(カップリング本体)
カップリング外径:270.56mm
カップリング長さ:266.7mm
ねじ無しスリーブ部長さ:11mm
ねじ無しスリーブ部肉厚:10.7mm
ねじピッチ:3.175mm(インチ当たり8山)
雌ねじ部のねじ末端のベベル角度:65°
上記の標準のAPIラウンドねじ継手に加えて、図3に示すボックス(カップリング)21の端部の形状因子a〜d(a:ねじ無しスリーブ部長さ、b:スウィーシュ部深さ、c:スウィーシュ部長さ17、d:ベベル角度θ)を、表5に示すように組み合わせた形状のラウンドねじ継手を有限要素法で数値シミュレーションし、ボックス端部側の2山についてねじ山の局所接触圧を評価した。
(管本体)
公称外径:244.48mm
公称肉厚:11.99mm
公称耐力:80ksi(=552MPa)
(カップリング本体)
カップリング外径:270.56mm
カップリング長さ:266.7mm
ねじ無しスリーブ部長さ:11mm
ねじ無しスリーブ部肉厚:10.7mm
ねじピッチ:3.175mm(インチ当たり8山)
雌ねじ部のねじ末端のベベル角度:65°
上記の標準のAPIラウンドねじ継手に加えて、図3に示すボックス(カップリング)21の端部の形状因子a〜d(a:ねじ無しスリーブ部長さ、b:スウィーシュ部深さ、c:スウィーシュ部長さ17、d:ベベル角度θ)を、表5に示すように組み合わせた形状のラウンドねじ継手を有限要素法で数値シミュレーションし、ボックス端部側の2山についてねじ山の局所接触圧を評価した。
図1を参照すると、図3のaは図1のL1に、図3のbは図1の(t2−t1)に、図3のcは図1の[17+(L2−L1)]に、図3のdは図1のθにそれぞれ対応する。スウィーシュ部の形状は円柱状であるとし、スウィーシュ部とボックス一般部(非スウィーシュ部)との接続面は、テーパ角度が45°のテーパ面であるとした。
表5において、スウィーシュ部の長さcが同じ25mmでも、雌ねじのかみ合い端部からの山の数が異なる場合があるのは、ベベル角度dが異なり、ベベル角度dが小さいほどベベル部の軸方向長さが短くなるためである。
表6に、数値シミュレーションの結果を示す。表6において、第1ねじ山とは、ボックスの雌ねじ部においてボックス(カップリング)先端に最も近い完全ねじ山を意味し、第2ねじ山とは第1ねじ山の隣りの完全ねじ山を意味する。荷重面は、継手が引張り荷重を受けた時にピンとボックスのねじ山が接触する側のねじ山側面であり、挿入面は、ピンの挿入時または継手が圧縮荷重を受けた時にピンとボックスのねじ山が接触する側のねじ山側面である。図3において、第1ねじ山の荷重面はe、第2ねじ山の挿入面はf、第2ねじ山の荷重面はgでそれぞれ示される。
表6に示すように、本発明に係るねじ継手は、標準のAPIラウンドねじやほかの比較例よりも,局所のねじ接触圧が低くなった。また、ボックス先端部のねじ無しスリーブ部の短縮もしくは削除だけでなく、さらにスィーシュ部の設置とベベル角の変更の一方または両方を組み合わせることによりねじ接触圧の低減効果が大きくなり、最も大きな効果はスウィーシュ部の設置とベベル角の変更の両方を組み合わせた場合であった。
ボックスは、その端面(先端面)から、ボックス端面に最も近い雌ねじ部のねじ山から奥に向かって少なくとも2ピッチ分に相当する位置までの軸方向長さのボックス部分(この部分をボックス「端部」という)が、API規格に規定されたねじ無しスリーブ部の肉厚またはねじ無しスリーブ部のボックス軸方向長さが零の場合におけるボックス端面の厚みの1/3以上、1/2以下の厚みだけボックス外周面を削り落した外面削ぎ落し部(スウィーシュ部)になっていることが好ましい。換言すると、ねじ無しスリーブ部の一部が残存している場合、ねじ無しスリーブ部におけるスウィーシュ部の肉厚は、スウィーシュ部を設ける前のねじ無しスリーブ部の肉厚の1/2以上、2/3以下となる。
前記ベベル角が30°±15°である、請求項5に記載の鋼管用ねじ継手。
前記ベベル角が30°±15°である、請求項5に記載の鋼管用ねじ継手。
ボックスはまた、ボックス先端に最も近い雌ねじ部の末端雌ねじ山のベベル角、具体的には、雌ねじ部のボックス先端に最も近い末端ねじ山とねじ無しスリーブ部またはねじ無しスリーブ部のボックス軸方向長さが零の場合におけるボックス端面とを接続する斜面のベベル角(ねじ末端の面取り角)が、三角ねじの斜面の角度(前記規格では30°)の±15°の範囲内にあることが望ましい。
図2について具体的に説明すると、図2(a)はねじ無しスリーブ部の短縮とスウィーシュ部の設置とベベル角θの変更を行った例、図2(b)はねじ無しスリーブ部の削除とスウィーシュ部の設置を行った例、図2(c)はねじ無しスリーブ部の短縮とスウィーシュ部の設置を行った例、図2(d)はねじ無しスリーブ部の削除のみを行った例、図2(e)はねじ無しスリーブ部の短縮のみを行った例、図2(f)はねじ無しスリーブ部の短縮とベベル角θの変更を行った例、図2(g)はねじ無しスリーブ部の削除とベベル角θの変更を行った例、をそれぞれ示す。
本発明は、互いに嵌合し得るピンとボックスとから構成される鋼管用ねじ継手であって、ピンは、ねじ形状が三角ねじである雄ねじ部を有するとともに、ボックスは、前記雄ねじ部に螺合する三角ねじ形状の雌ねじ部と、ボックス先端に位置するねじ無しスリーブ部と、前記ねじ無しスリーブ部又はボックス端面と雌ねじ部のボックス先端に最も近い位置に存在する末端ねじ山とを接続する斜面を有するベベル部とを有し、ねじ無しスリーブ部のボックス軸方向長さは、0以上規格値の1/2以下であるとともに、ねじ無しスリーブ部のボックス軸方向長さ以外の部分は、アメリカ石油協会規格5CT又は5Bで規定されるラウンドねじ継手の規格値を満足し、かつ、ボックスは、ボックスの端面から、この端面に最も近い雌ねじ部のねじ山から奥に向かって少なくとも2ピッチ分に相当する位置までの軸方向長さの部分に、この部分を除いた一般部におけるボックスの外面の半径よりも、この外面の半径とボックスの端面の内面の内径との差の(1/3)以上(1/2)以下だけ小さい半径の外面を有するスウィーシュ部を有することを特徴とする鋼管用ねじ継手である。
ここで、ラウンドねじ継手のボックス軸方向長さの規格値は、
(a)鋼管用ねじ継手がAPI規格5CT又はAPI規格5Bで規定されるラウンドねじ継手のうちのケーシングショートスレッド継手(Casing short-Thread継手)であって、鋼管本体の公称外径が4−1/2〜7インチである場合には、0.5インチであり、
(b)鋼管用ねじ継手がケーシングショートスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が7−5/8〜13−3/8インチである場合には、0.433インチであり、
(c)鋼管用ねじ継手がケーシングショートスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が16〜20インチである場合には、0.366インチであり、
(d)鋼管用ねじ継手がラウンドねじ継手のうちのケーシングロングスレッド継手(Casing long-Thread継手)であって、鋼管本体の公称外径が4−1/2〜7インチである場合には、0.5インチであり、
(e)鋼管用ねじ継手がケーシングロングスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が7−5/8〜9−5/8インチである場合には、0.433インチであり、
(f)鋼管用ねじ継手がケーシングロングスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が20インチである場合には、0.366インチであり、
(g)鋼管用ねじ継手がラウンドねじ継手のうちのノンアップセットチュービングスレッド継手(Non-Upset Tubing Thread継手)であって、鋼管本体の公称外径が1.05〜3−1/2インチである場合には、5/16インチであり、
(h)鋼管用ねじ継手がノンアップセットチュービングスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が4インチ又は4−1/2インチである場合には、3/8インチであり、
(i)鋼管用ねじ継手がラウンドねじ継手のうちのエクスターナルアップセットチュービングスレッド継手(External-Upset Tubing Thread継手)であって、鋼管本体の公称外径が1.05〜1.9インチである場合には、5/16インチであり、
(j)鋼管用ねじ継手がエクスターナルアップセットチュービングスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が2−3/8〜4−1/2インチである場合には、3/8インチであり、
(k)鋼管用ねじ継手がラウンドねじ継手のうちのインテグラルジョイントチュービングスレッド継手(Integral-Uoset Tubing Thread継手)であって、鋼管本体の公称外径が1.315インチである場合には、5/32インチであり、又は、
(l)鋼管用ねじ継手がインテグラルジョイントチュービングスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が1.66〜2.063インチである場合には、5/16インチであることが例示される。
ここで、ラウンドねじ継手のボックス軸方向長さの規格値は、
(a)鋼管用ねじ継手がAPI規格5CT又はAPI規格5Bで規定されるラウンドねじ継手のうちのケーシングショートスレッド継手(Casing short-Thread継手)であって、鋼管本体の公称外径が4−1/2〜7インチである場合には、0.5インチであり、
(b)鋼管用ねじ継手がケーシングショートスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が7−5/8〜13−3/8インチである場合には、0.433インチであり、
(c)鋼管用ねじ継手がケーシングショートスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が16〜20インチである場合には、0.366インチであり、
(d)鋼管用ねじ継手がラウンドねじ継手のうちのケーシングロングスレッド継手(Casing long-Thread継手)であって、鋼管本体の公称外径が4−1/2〜7インチである場合には、0.5インチであり、
(e)鋼管用ねじ継手がケーシングロングスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が7−5/8〜9−5/8インチである場合には、0.433インチであり、
(f)鋼管用ねじ継手がケーシングロングスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が20インチである場合には、0.366インチであり、
(g)鋼管用ねじ継手がラウンドねじ継手のうちのノンアップセットチュービングスレッド継手(Non-Upset Tubing Thread継手)であって、鋼管本体の公称外径が1.05〜3−1/2インチである場合には、5/16インチであり、
(h)鋼管用ねじ継手がノンアップセットチュービングスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が4インチ又は4−1/2インチである場合には、3/8インチであり、
(i)鋼管用ねじ継手がラウンドねじ継手のうちのエクスターナルアップセットチュービングスレッド継手(External-Upset Tubing Thread継手)であって、鋼管本体の公称外径が1.05〜1.9インチである場合には、5/16インチであり、
(j)鋼管用ねじ継手がエクスターナルアップセットチュービングスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が2−3/8〜4−1/2インチである場合には、3/8インチであり、
(k)鋼管用ねじ継手がラウンドねじ継手のうちのインテグラルジョイントチュービングスレッド継手(Integral-Uoset Tubing Thread継手)であって、鋼管本体の公称外径が1.315インチである場合には、5/32インチであり、又は、
(l)鋼管用ねじ継手がインテグラルジョイントチュービングスレッド継手であって、鋼管本体の公称外径が1.66〜2.063インチである場合には、5/16インチであることが例示される。
ボックスは、その端面(先端面)から、ボックス端面に最も近い雌ねじ部のねじ山から奥に向かって少なくとも2ピッチ分に相当する位置までの軸方向長さのボックス部分(この部分をボックス「端部」という)が、API規格に規定されたねじ無しスリーブ部の肉厚の1/3以上、1/2以下の厚みだけボックス外周面を削り落した外面削ぎ落し部(スウィーシュ部)になっていることが好ましい。換言すると、ねじ無しスリーブ部の一部が残存している場合、ねじ無しスリーブ部におけるスウィーシュ部の肉厚は、スウィーシュ部を設ける前のねじ無しスリーブ部の肉厚の1/2以上、2/3以下となる。
図2(a)〜(g)は、本発明に係る鋼管用ねじ継手を構成するボックスの各種変更例10−1〜10−7の端部を示す部分断面図である。図中の破線は、API規格に規定された形状を示す。
Claims (7)
- 互いに嵌合し得るピンとボックスとから構成される鋼管用ねじ継手であって、ピンがねじ形状が三角ねじである雄ねじ部を有し、ボックスが前記雄ねじ部に螺合する三角ねじ形状の雌ねじ部とボックス先端に位置するねじ無しスリーブ部とを有する、アメリカ石油協会(API)により規定されたラウンドねじ継手の規格を満たす形状から、前記ボックスのねじ無しスリーブ部が、そのボックス軸方向長さが前記規格で規定されている値の1/2以下(零を含む)となるように少なくとも部分的に除去されている点で異なる、ことを特徴とする鋼管用ねじ継手
- 前記ねじ無しスリーブ部のボックス軸方向長さが零である、請求項1に記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記ボックスが、その端面から、ボックス端面に最も近い雌ねじ部のねじ山から奥に向かって少なくとも2ピッチ分に相当する位置までの軸方向長さのボックス部分において、API規格に規定されたねじ無しスリーブ部の肉厚の1/3以上、1/2以下の厚みだけボックス外周面を削り落したスウィーシュ部を有する、請求項1または2に記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記スウィーシュ部が円柱面、テーパ面、または曲線を回転させた回転体面の1または2以上から構成される、請求項3に記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記スウィーシュ部のボックス軸方向長さが、ボックス端面に最も近い雌ねじ部のねじ山から奥に向かって少なくとも10ピッチ分に相当する位置より長くない、請求項3または4に記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記ボックスは、前記雌ねじ部のボックス先端に最も近い末端ねじ山と前記ねじ無しスリーブ部とを接続する斜面のベベル角が、前記雌ねじ部を構成する三角ねじの斜面角度の±15°の範囲内にある、請求項1〜5のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記ベベル角が30°±15°である、請求項6に記載の鋼管用ねじ継手。
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