JP6151376B2 - 鋼管用ねじ継手 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼管の連結に用いられるねじ継手に関する。
油井、天然ガス井等(以下、総称して「油井」ともいう)においては、地下資源を採掘するために油井管が使用される。油井管は鋼管が順次連結されて成り、その連結にねじ継手が用いられる(特開平9−119564号公報(特許文献1)、特開平10−89554号公報(特許文献2)及び特開平9−273671号公報(特許文献3)参照)。
この種の鋼管用ねじ継手の形式は、カップリング型とインテグラル型に大別される。カップリング型の場合、連結対象の一対の管材のうち、一方の管材が鋼管であり、他方の管材がカップリングである。この場合、鋼管の両端部の外周に雄ねじ部が形成され、カップリングの両端部の内周に雌ねじ部が形成される。そして、鋼管の雄ねじ部がカップリングの雌ねじ部にねじ込まれ、これにより両者が締結されて連結される。インテグラル型の場合、連結対象の一対の管材がともに鋼管であり、別個のカップリングを用いない。この場合、鋼管の一端部の外周に雄ねじ部が形成され、他端部の内周に雌ねじ部が形成される。そして、一方の鋼管の雄ねじ部が他方の鋼管の雌ねじ部にねじ込まれ、これにより両者が締結されて連結される。
一般に、雄ねじ部が形成された管端部の継手部分は、雌ねじ部に挿入される要素を含むことから、ピンと称される。一方、雌ねじ部が形成された管端部の継手部分は、雄ねじ部を受け入れる要素を含むことから、ボックスと称される。これらのピンとボックスは、管材の端部であるため、いずれも管状である。
鋼管用ねじ継手としては、API(American Petroleum Institute(アメリカ石油協会))の規格で規定されたテーパねじのねじ継手が汎用される。また、例えば特許文献1に開示されるように、API規格のバットレスねじ(台形ねじ)を改良し、耐トルク性能を向上したねじ継手が用いられる。耐トルク性能とは、締結状態のねじに過大なトルクが負荷された場合でも変形、破損等が生じない性能のことである。
特許文献1に開示されたねじ継手のねじ部は、ねじ山の形状が概ね台形状のテーパねじである。このねじ部のねじ山の両側面のうち、締結の際に雄ねじ部のねじ込み進行方向の後側に位置する側面は、荷重フランク面又は荷重面と称される。一方、締結の際に雄ねじ部のねじ込み進行方向の前側に位置する側面は、挿入フランク面又は挿入面と称される。特許文献1の荷重面は、ねじの軸線(以下、「継手軸」又は「管軸」ともいう)に垂直な平面に対する角度(荷重面フランク角)が−20°以上0°未満である。この荷重面フランク角は、管軸に対して荷重面がねじ込み進行方向になす角度でいうと、90°を超え110°以下である。特許文献1の挿入面は、管軸に垂直な平面に対する角度(挿入面フランク角)が30°を超え60°以下である。この挿入面フランク角は、管軸に対して挿入面がねじ込み進行方向になす角度でいうと、120°を超え150°以下である。
特許文献1のねじ部の挿入面には、干渉量と呼ばれる締め代が設けられている。特許文献1のねじ部は、締結状態において、雄ねじ部及び雌ねじ部それぞれの荷重面同士が接触するとともに、挿入面同士が接触する。この状態のとき、ねじ山頂面とねじ谷底面は接触することなく、両者の間に隙間が形成される。このような特許文献1のねじ継手は、荷重面同士及び挿入面同士の接触に伴うくさび効果によって、高い耐トルク性能を有する。
特許文献1のピンの先端には、ショルダ面と呼ばれる突き当て面が設けられている。一方、ボックスには、ピンのショルダ面に対応するショルダ面が設けられている。ピンをボックスに締結する際、ピンのショルダ面がボックスのショルダ面に突き当たり、両者が接触する。ショルダ面同士が突き当たると、ピンのねじ込みに要する締付けトルクが急激に上昇する。このようにショルダ面同士が突き当たる事象は、ショルダリングと呼ばれ、ショルダリングの瞬間に発生する締付けトルクは、ショルダリングトルクと呼ばれる。
ショルダリング後にピンのねじ込みが過度に行われると、ショルダ面の部分が降伏(塑性変形)し、締付けトルクがそれ以上上がらなくなるか、又は急激に低下する。この事象、及びこの事象が起こる瞬間に発生する締付けトルクは、オーバートルクと呼ばれる。
ショルダリングとオーバートルクとの間の締付けトルクで締結が終了すれば、ねじ継手は最も優れた性能を発揮する。すなわち、ねじ継手の内部に適正な締付け軸力が発生し、ねじ部の噛み合いが強固になって容易に緩まなくなる。また、ねじ継手には、ピンとボックスとを締結した状態で全周に亘って嵌め合い密着するシール部が設けられることが多い。この場合、ショルダリングとオーバートルクとの間の締付けトルクで締結が終了することにより、シール部に設計どおりの干渉量が導入され、狙いどおりの密封性能がもたらされる。このため、締結に際しては、締結終了を判断するために締付けトルクの目標値が設定される。この目標トルクは、ショルダリングトルクとオーバートルクの間に設定される。
ここで、何らかの理由により、実際にはショルダリングが生じる前であるにもかかわらず、締付けトルクが異常に上昇して目標トルクを上回ると、いわゆる締め付け不足の状態で締結が終了し、十分な締付け軸力が導入されない。この場合、ねじ部の噛み合いが緩くなって所定の強度が得られなかったり、シール部での接触力が不足して所定の密封性能が得られなかったりする可能性がある。このような事態は、ハイショルダリング(ショルダリングトルクが目標トルクよりも高くなる不具合)と呼ばれる。
一方、締付けトルクがオーバートルクを上回ると、いわゆる締め過ぎの状態となり、ショルダ面の部分に塑性変形が生じる。そうすると、ショルダ面に隣接してシール部が設けられている場合、ショルダ面の部分の変形に伴ってシール部が変形して隙間が形成されやすくなり、密封性能が著しく低下する。
上記のとおり、特許文献1のねじ継手は、締結状態において、ねじ部の荷重面同士が接触するとともに、挿入面同士が接触しているので、荷重面同士の間及び挿入面同士の間に隙間がない。そのため、ねじ継手に対して管軸方向に高い引張荷重又は圧縮荷重が負荷された場合であっても、ピンとボックスとが管軸方向に相対移動することがない。特に、ねじ継手に圧縮荷重が負荷された場合には、ねじ部の挿入面が圧縮荷重のほとんどを負担するため、ショルダ面の部分の変形が抑制され、これにより、シール部の変形も抑制される。そのため、特許文献1のねじ継手は、API規格のバットレスねじを採用したねじ継手よりも高い密封性能を有する。
特開平9−119564号公報 特開平10−89554号公報 特開平9−273671号公報
特許文献1のねじ継手の場合、互いに接触する荷重面同士及び挿入面同士によってくさび効果が生じる一方、ねじ山頂面とねじ谷底面は互いに接触しない。特許文献1のねじ継手では、ピンのねじ込み過程の長期にわたり、荷重面同士及び挿入面同士がそれぞれ非常に高い圧力で接触しながら回転するため、焼き付きが生じやすい。
しかも、特許文献1のねじ継手は、ねじ山及びねじ溝の幅の寸法誤差に大きく影響を受ける。具体的には、わずかな寸法誤差であっても締付けトルクが大きく変化する。そうすると、締結の際に締付けトルクが目標トルクに達した場合であっても、実際にはハイショルダリングとなっている可能性がある。一方、このような問題が生じないように、ねじ山及びねじ溝それぞれの幅の寸法公差を小さくすると、ねじ切り加工の能率が著しく低下する。
本発明の目的は、下記の特性を有する鋼管用ねじ継手を提供することである:
・高い密封性能を維持しつつ、耐トルク性能を向上すること;
・締結の際に焼き付きを抑制し、ハイショルダリングを抑制すること;
・容易に製造できること。
本発明の一実施形態による鋼管用ねじ継手は、管状のピンと、管状のボックスとから構成され、前記ピンが前記ボックスにねじ込まれて前記ピンと前記ボックスが締結される鋼管用ねじ継手である。
前記ピンは、ショルダ面、シール面及び雄ねじ部を備える。
前記ボックスは、前記ピンの前記ショルダ面、前記シール面及び前記雄ねじ部のそれぞれに対応するショルダ面、シール面及び雌ねじ部を備える。
前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部は、それぞれ、縦断面が台形状のねじ山を有するテーパねじであり、前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部の各ねじ山における縦断面の幅寸法は、頂部側よりも基部側が大きくなっている。
前記雄ねじ部のねじ込みの進行方向において、
前記雄ねじ部のねじ山の幅がねじの弦巻線に沿って次第に狭くなる一方、前記雄ねじ部のねじ溝の幅がねじの弦巻線に沿って次第に広くなっていて、前記雌ねじ部のねじ溝の幅がねじの弦巻線に沿って次第に狭くなる一方、前記雌ねじ部のねじ山の幅がねじの弦巻線に沿って次第に広くなっている。
締結状態において、
前記ショルダ面同士が接触し、前記シール面同士が接触し、前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部の荷重フランク面同士が接触し、前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部の挿入フランク面同士が接触し、前記雄ねじ部のねじ谷底面と前記雌ねじ部のねじ山頂面とが接触し、前記雄ねじ部のねじ山頂面と前記雌ねじ部のねじ谷底面との間に隙間が形成される。
本発明の鋼管用ねじ継手は、下記の顕著な効果を有する:
・高い密封性能を維持しつつ、耐トルク性能を向上できること;
・締結の際に焼き付きを抑制し、ハイショルダリングを抑制できること;
・容易に製造できること。
図1は、本発明の一実施形態による鋼管用ねじ継手の全体構成を示す縦断面図である。 図2は、図1に示す鋼管用ねじ継手の継手部分を拡大した縦断面図である。 図3は、図1に示す鋼管用ねじ継手のねじ部の領域を拡大した縦断面図である。 図4Aは、ピンとボックスとを締結する際の状況を示す模式図であり、ピンのねじ込みの初期段階を示す。 図4Bは、ピンとボックスとを締結する際の状況を示す模式図であり、ピンのねじ込みの中期段階を示す。 図4Cは、ピンとボックスとを締結する際の状況を示す模式図であり、ピンのねじ込みの終期段階を示す。 図4Dは、ピンとボックスとを締結する際の状況を示す模式図であり、締結終了時の状態を示す。 図5は、ショルダリングとロッキングの発生タイミングのずれに対するシール接触力の変化を示す図である。 図6は、比較例である試験No.10のねじ継手のねじ部の領域を拡大した縦断面図である。 図7は、比較例である試験No.11のねじ継手のねじ部の領域を拡大した縦断面図である。 図8Aは、ピンの締付けターン数と締付けトルクの関係の一例を示す模式図であり、ロッキングがショルダリングよりも先に発生する状況を示す。 図8Bは、ピンの締付けターン数と締付けトルクの関係の一例を示す模式図であり、ロッキングがショルダリングとほぼ同時に発生する状況を示す。 図8Cは、ピンの締付けターン数と締付けトルクの関係の一例を示す模式図であり、ロッキングがショルダリングよりも後に発生する状況を示す。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ね、下記の知見を得た。前記特許文献1の鋼管用ねじ継手において、焼き付き及びハイショルダリングが生じるのは、ピンのねじ込み過程の長期にわたり、荷重面同士及び挿入面同士がそれぞれ高い圧力で接触しながら回転することに起因する。そのため、締結の際、荷重面同士及び挿入面同士の接触しながらの回転(距離)を低減することができれば、焼き付きの発生を抑制することができ、その結果としてハイショルダリングの発生を抑制することができる。そして、締結の終了直前に、荷重面同士及び挿入面同士がそれぞれ接触してくさび効果が発現することにより、焼き付き及びハイショルダリングの発生リスクが少なくなる上、耐トルク性能及び密封性能の向上が可能になる。
本発明の鋼管用ねじ継手は、以上の知見に基づいて完成されたものである。以下に、本発明の鋼管用ねじ継手の実施形態を説明する。
本実施形態による鋼管用ねじ継手は、管状のピンと、管状のボックスとから構成され、ピンがボックスにねじ込まれてピンとボックスが締結される。ピンは、ショルダ面、シール面及び雄ねじ部を備える。ボックスは、ピンのショルダ面、シール面及び雄ねじ部のそれぞれに対応するショルダ面、シール面及び雌ねじ部を備える。雄ねじ部及び雌ねじ部は、それぞれ、縦断面が台形状のねじ山を有するテーパねじであり、雄ねじ部及び雌ねじ部の各ねじ山における縦断面の幅寸法は、頂部側よりも基部側が大きくなっている。雄ねじ部のねじ込みの進行方向において、雄ねじ部のねじ山の幅がねじの弦巻線に沿って次第に狭くなる一方、雄ねじ部のねじ溝の幅がねじの弦巻線に沿って次第に広くなっていて、雌ねじ部のねじ溝の幅がねじの弦巻線に沿って次第に狭くなる一方、雌ねじ部のねじ山の幅がねじの弦巻線に沿って次第に広くなっている。締結状態において、ショルダ面同士が接触し、シール面同士が接触し、雄ねじ部及び雌ねじ部の荷重フランク面同士が接触し、雄ねじ部及び雌ねじ部の挿入フランク面同士が接触し、雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面が接触し、雄ねじ部のねじ山頂面と雌ねじ部のねじ谷底面の間に隙間が形成される。
雄ねじ部及び雌ねじ部の形状、特にねじ山及びねじ溝の幅を上記の構成にすることにより、ねじ部の荷重面同士及び挿入面同士は、ピンがボックスにねじ込まれる過程で強く接触することなく、締結の終了直前で強く接触するようになる。荷重面同士及び挿入面同士がそれぞれ強く接触すると、この接触に伴うくさび効果によってトルク抵抗(回転抵抗)が増加する。これにより、ショルダ面の部分で塑性変形が生じるまでに必要とするトルクが上昇する。その結果、鋼管用ねじ継手の耐トルク性能を向上することができる。
また、締結状態で雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面とが接触する。すなわち、雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面には、干渉量と呼ばれる締め代が設けられている。このため、ピンのねじ込み過程において、ピン及びボックスのシール面同士が接触して摺動を開始するよりも先に、雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面とが接触する。これにより、ピンの軸芯とボックスの軸芯とが同軸になることから、ピン及びボックスが安定した姿勢で回転し、シール面同士も安定した姿勢で接触を開始する。その結果、シール面同士の偏当たりによる焼き付き及び損傷を抑制することができる。
更に、上記のとおり、荷重面同士及び挿入面同士には、締結の終了直前までは大きな圧力が作用せず、締結の終了直前になって初めて大きな圧力が作用する。このため、荷重面同士及び挿入面同士の接触しながらの回転(距離)が低減される。その結果、ねじ部で焼き付きが生じるのを防止できる。ここで、荷重面同士及び挿入面同士がそれぞれ強く接触すると、くさび効果が発現することにより、締付けトルクが急激に上昇する。この事象は、ロッキングと呼ばれる。
また、雄ねじ部及び雌ねじ部の形状、特にねじ山及びねじ溝の幅を上記の構成にすることにより、締結終了直前のショルダリング時(又はロッキング時)の締付けトルクが低く抑えられる。このため、ハイショルダリングが生じるのを防止できる。更に、ねじ山及びねじ溝の幅を高い精度の寸法公差で製造する必要がないため、ねじ切り加工の能率が向上する。
また、雄ねじ部及び雌ねじ部の各ねじ山における縦断面の幅寸法は、頂部側よりも基部側が大きくなっている。このような本実施形態のねじ部は、縦断面形状がダブテイル状又は逆台形状の場合に比べて容易に加工することができる。ダブテイル状のねじ部をねじ切り加工する場合、工具の刃先は、先端の幅が広く且つ付け根の幅が狭い形状であり、折損しやすい。これに対し、本実施形態のねじ部をねじ切り加工する場合、先端の幅よりも付け根の幅が広い刃先形状を有する丈夫な工具を用いることができる。このため、ねじ切り加工の能率が向上し、ねじ継手を容易に製造することができる。
上記のねじ継手において、管軸に対して、雄ねじ部の挿入フランク面がねじ込み進行方向になす角度α、及び、管軸に対して雄ねじ部の荷重フランク面がねじ込み進行方向になす角度βが、それぞれ、90度以上であり、且つα>βの条件を満たすことが好ましい。ねじ部をこのような寸法形状にすることにより、ねじ継手をより一層容易に製造することができる。しかも、荷重面の角度βが上記の範囲内であれば、ジャンプアウトが生じるのを防止することができる。ジャンプアウトとは、ねじ継手に大きな引張荷重が負荷された際にピンのねじ山がボックスのねじ山を乗り越えてすっぽ抜ける不具合のことである。
上記のとおり、ピンとボックスがロッキングした時点で、雄ねじ部及び雌ねじ部にはくさび効果が発現する。これに加え、ショルダリングが生じると、ショルダ面の部分で塑性変形が生じるまでに必要とするトルクは、非常に大きくなる。その結果、鋼管用ねじ継手の耐トルク性能が大幅に向上する。つまり、ショルダリングによるトルク抵抗に、ロッキングによるトルク抵抗が重畳されるため、鋼管用ねじ継手の耐トルク性能が大幅に向上する。
上記のねじ継手において、ねじ継手が締結される際に、ショルダ面同士が接触する時点を基準とし、ボックスに対するピンのねじ込み回転量が所定量の範囲内のときに、荷重面同士及び挿入面同士の両方の接触が発生するように、ショルダ面が設けられることが好ましい。この構成によれば、ショルダリングによるトルク抵抗とロッキングによるトルク抵抗との重畳効果が有効に得られる。
上記のねじ継手において、ピンのシール面は、ピンの雄ねじ部とショルダ面との間に設けられることが好ましい。この場合、ボックスのシール面は、ボックスの雌ねじ部とショルダ面との間に設けられる。これらのシール面同士には、干渉量と呼ばれる締め代が設けられる。このシール部により、ねじ継手の内部を流通する流体が外部に漏れたり、ねじ継手の外部の流体がねじ継手の内部に浸入したりするのを防止できる。この構成の場合、ねじ継手に高い圧縮荷重が負荷されても、ショルダ面だけでなくねじ部の挿入面がその圧縮荷重を負担するため、ショルダ面の部分の塑性変形が抑制され、これによりシール部の密封性能が安定して確保される。
上記のねじ継手において、ピンの先端にショルダ面が設けられ、ピンは、シール面とショルダ面との間に、ボックスと接触しないノーズ部を備えることが好ましい。この場合、ねじ継手に高い圧縮荷重が負荷されても、ノーズ部が緩衝部となるため、ノーズ部自身及びショルダ面の部分の塑性変形が抑制される。このため、シール部の密封性能がより安定して確保される。
以下、本実施形態の鋼管用ねじ継手について、図面を参照しながら詳述する。
[ねじ継手の構成]
図1は、本発明の一実施形態による鋼管用ねじ継手の全体構成を示す縦断面図である。本実施形態のねじ継手は、カップリング11によって一対の鋼管2を連結したカップリング型のねじ継手である。
カップリング11は、管軸Pに沿って延びる円筒状の短い管である。カップリング11の管軸P方向の両端部がそれぞれボックス12になる。一対の鋼管2の両端部がそれぞれピン13になる。ボックス12の内周には雌ねじ部21が設けられる。ピン13の外周には雄ねじ部51が設けられる。ピン13の雄ねじ部51がボックス12の雌ねじ部21にねじ込まれることにより、ボックス2とピン部13が締結される。これにより、一対の鋼管2とカップリング11から成るねじ継手1が形成される。
本実施形態のねじ継手1は、石油、天然ガス等といった地下資源を採掘し、生産し、又は利用するための油井をはじめとし、温泉又は地熱発電用の井戸、更には地下にCO等の廃棄物を封じ込めるための井戸等で用いられる鋼管2の連結に利用される。本実施形態のねじ継手1は、その他にも、海底のメタンハイドレード、レアメタル等を海上まで運搬するのに用いられる鋼管2の連結に利用される。このようなねじ継手1は、迅速に締結又は解体を行える。
図2は、図1に示す鋼管用ねじ継手の継手部分を拡大した縦断面図である。ピン13は、先端から管本体に向けて順に、ショルダ面59を含むノーズ部58と、シール面56と、雄ねじ部51と、を備える。ボックス12は、管本体から先端に向けて順に、ショルダ面24と、シール面22と、雌ねじ部21と、を備える。ボックス12のショルダ面24、シール面22及び雌ねじ部21は、それぞれ、ピン13のショルダ面59、シール面56及び雄ねじ部51に対応して設けられる。
図3は、図1に示す鋼管用ねじ継手のねじ部の領域を拡大した縦断面図である。ピン13の雄ねじ部51は、縦断面が台形状に形成されたねじ山57と、ねじ山57同士の間に形成されたねじ溝62と、を有する。雄ねじ部51のねじ山57は、ピン13の外周面に螺旋状に形成されている。よって、雄ねじ部51のねじ溝62も、ピン13の外周面に螺旋状に形成されている。なお、このねじ溝62の底面は、雄ねじ部51のねじ谷底面61である。
一方、ボックス12の雌ねじ部21は、ピン13の雄ねじ部51と同様に、縦断面が台形状に形成されたねじ山31と、ねじ山31同士の間に形成されたねじ溝42と、を有する。雌ねじ部21のねじ山31は、ボックス12の内周面に螺旋状に形成されている。よって、雌ねじ部21のねじ溝42も、螺旋状に形成されている。なお、このねじ溝42の底面は、雌ねじ部21のねじ谷底面41である。
ピン13の雄ねじ部51とボックス12の雌ねじ部21は、互いに噛み合うテーパねじである。雄ねじ部51のねじ山57は、雌ねじ部21のねじ溝42に螺合する。雄ねじ部51のねじ溝62は、雌ねじ部21のねじ山31に螺合する。上述のような雄ねじ部51及び雌ねじ部21の構成により、ピン13とボックス12とを締結する際、ピン13は、ボックス12に対して回転しながら管軸P方向に相対移動する。
以下の説明では、カップリング11のボックス2に鋼管2のピン13を締結する際、ピン13をねじ込む過程で、ピン13がボックス12に対して移動するものとする。図2及び図3において、ボックス12に対するピン13の移動方向、すなわち、ピン13の雄ねじ部51のねじ込み進行方向は、右方向(図2及び図3中の白抜き矢印参照)とする。
図3に示すように、雄ねじ部51のねじ山57は、ピン13の径方向外方側に位置するねじ山頂面52と、雄ねじ部51のねじ込み進行方向の前側に位置する挿入面54と、雄ねじ部51のねじ込み進行方向の後側に位置する荷重面55と、を有する。また、ねじ山57同士の間に位置するねじ溝62の底面は、雄ねじ部51のねじ谷底面61になる。
雌ねじ部21のねじ山31は、ボックス12の径方向内方側に位置するねじ山頂面32と、雄ねじ部51のねじ込み進行方向の後側に位置する挿入面33と、雄ねじ部51のねじ込み進行方向の前側に位置する荷重面34と、を有する。また、ねじ山31同士の間に位置するねじ溝42の底面は、雌ねじ部21のねじ谷底面41になる。締結状態において、雌ねじ部21の挿入面33は、雄ねじ部51の挿入面54と接触し、雌ねじ部21の荷重面34は、雄ねじ部51の荷重面55と接触する。
雄ねじ部51のねじ谷底面61と雌ねじ部21のねじ山頂面32は、ピン13及びボックス12の径方向に干渉量(締め代)を有するように設けられる。これにより、ピン13のねじ込み過程において、後述するボックス12のシール面22とピン13のシール面56とが接触を開始するよりも前に、雄ねじ部51のねじ谷底面61と雌ねじ部21のねじ山頂面32とが接触を開始する。
前記図2に示すように、雄ねじ部51のねじ込み進行方向において、雌ねじ部21は、ねじ山31同士の間隔、すなわちねじ溝42の幅が、ねじの弦巻線に沿って徐々に狭くなる一方、ねじ山31の幅が、ねじの弦巻線に沿って徐々に広くなっている。
ここで、雌ねじ部21において、ねじ溝42の幅とはねじ谷底面41の幅を意味し、ねじ山31の幅とはねじ山頂面32の幅を意味する。なお、ねじ谷底面41の幅とは、このねじ谷底面41をねじ継手1の軸芯に投影したときの幅を意味し、ねじ山頂面32の幅とは、このねじ山頂面32をねじ継手1の軸芯に投影したときの幅を意味する。すなわち、ねじ谷底面41の幅は、このねじ底谷面41の両端からねじ継手1の軸芯に下ろした一対の垂線の間隔を意味する。また、ねじ山頂面32の幅は、このねじ山頂面32の両端からねじ継手1の軸芯に下ろした一対の垂線の間隔を意味する。ここで、ねじ谷底面41の両端とは、このねじ谷底面41の延長線と、荷重面34の延長線及び挿入面33の延長線のそれぞれとの交点を意味する。同様に、ねじ山頂面32の両端とは、このねじ山頂面32の延長線と、荷重面34の延長線及び挿入面33の延長線のそれぞれとの交点を意味する。
また、雄ねじ部51のねじ込み進行方向において、雄ねじ部51は、ねじ山57同士の間隔、すなわちねじ溝62の幅が、ねじの弦巻線に沿って徐々に広くなる一方、ねじ山57の幅が、ねじの弦巻線に沿って徐々に狭くなっている。
ここで、雄ねじ部51において、ねじ溝62の幅とはねじ谷底面61の幅を意味し、ねじ山57の幅とはねじ山頂面52の幅を意味する。なお、上述の雌ねじ部21と同様に、ねじ谷底面61の幅とは、このねじ谷底面61をねじ継手1の軸芯に投影したときの幅を意味し、ねじ山頂面52の幅とは、このねじ山頂面52をねじ継手1の軸芯に投影したときの幅を意味する。
上記したカップリング11及び鋼管2は、例えば油井に用いられる場合、通常、以下のようにして締結される。油井の現場では、井戸口の真上に作業場(プラットフォーム)と櫓が設けられ、ここでボックス12へのピン13の締結作業が行われる。プラットフォームには、雌ねじ部21を有するボックス12(カップリング11)が固定される。このボックス12、すなわちカップリング11は、既に油井管として垂下する鋼管2に接続されている。雄ねじ部51を有するピン13である鋼管2は、プラットフォームに固定されたボックス12の真上に、クレーン、エレベータ等によって吊り上げられる。鋼管2は、管軸Pが鉛直方向に伸びる姿勢で下降し、ボックス12に挿入される。そして、パワートングと呼ばれる専用の締結機械によって、ピン13がボックス12にねじ込まれ、両者が締結される。
図4A〜図4Dは、ピンとボックスとを締結する際の状況を示す模式図である。これらの図4A〜図4Dは、いずれも、図1に示す鋼管用ねじ継手のねじ部の領域を拡大した縦断面図である。図4Aは、ピンのねじ込みの初期段階を示す。図4Bは、ピンのねじ込みの中期段階を示す。図4Cは、ピンのねじ込みの終期段階を示す。図4Dは、締結終了時の状態を示す。
図4A〜図4Dに示すように、ボックス12に対してピン13をねじ込む際、締結が終了するまでの大部分の過程において、ボックス12の挿入面33とピン13の挿入面54とが接触する。ピン13には自身(鋼管2)の重量が作用するからである。なお、図4A〜図4Cには、ピン13(鋼管2)のねじ込み進行方向を白抜き矢印で示す。
上記のとおり、雄ねじ部51(ピン13)のねじ山57の幅は、ねじの弦巻線に沿って徐々に狭くなるように形成されている。雌ねじ部21(ボックス12)のねじ溝42の幅も、雌ねじの弦巻線に沿って徐々に狭くなるように形成されている。そのため、ボックス12に対してピン13を螺合させる際、図4A〜図4Cに示すように、雌ねじ部21と雄ねじ部51との隙間が徐々に狭くなる。
また、上記のとおり、雄ねじ部51のねじ谷底面61と雌ねじ部21のねじ山頂面32との間には干渉量が設けられている。そのため、図4Cに示すように、ボックス12へのピン13のねじ込み過程において、雌ねじ部21及び雄ねじ部51の荷重面34、55同士が接触を開始するよりも前に、雄ねじ部51のねじ谷底面61と雌ねじ部21のねじ山頂面32とが接触を開始する。これにより、ピン13とボックス12とは、互いの軸芯が同軸になる。その後、図4Dに示すように、締結終了までの間に、雄ねじ部51のねじ谷底面61と雌ねじ部21のねじ山頂面32が互いに強く押し付けられる。雄ねじ部51のねじ谷底面61と雌ねじ部21のねじ山頂面32との間の干渉量により、それらのねじ谷底面61とねじ山頂面32との間に作用する嵌め合い圧力が、ピン13のねじ込みの回転に伴って、徐々に増加するからである。
更に、図4Dに示すように、雌ねじ部21及び雄ねじ部51の荷重面34、55同士が接触する。このとき、図示していないが、ピン13のショルダ面59は、ボックス12のショルダ面24と接触している。荷重面34、55同士は、挿入面33、54同士の接触によって生じた反力を受け、更にショルダ面59、24同士が接触した際に生じた反力の一部、すなわちねじの締め付け軸力を受けることによって、所定の荷重が作用した状態で接触する。したがって、ショルダ面59、24同士の接触によって、ボックス12に対するピン13の位置決めが可能になるとともに、ねじ継手1の耐トルク性能も向上することができる。
しかも、後述するように、ショルダ面59、24同士が接触するショルダリングと、荷重面55、34同士の接触及び挿入面54、33同士の接触に伴うくさび効果が発生するロッキングと、がほぼ同時に生じるように、ピン13及びボックス12それぞれのショルダ面59、24が設けられている。これにより、ねじ継手1の耐トルク性能をより向上することができる。
なお、ピン13とボックス12を締結した状態では、図4Dに示すように、雄ねじ部51と雌ねじ部21は、荷重面55、34同士が接触し、挿入面54、33同士が接触し、雄ねじ部51のねじ谷底面61と雌ねじ部21のねじ山頂面32とが接触する。ただし、雄ねじ部51のねじ山頂面52と雌ねじ部21のねじ谷底面41との間には隙間が形成されている。
前記図3に示すように、雄ねじ部51の挿入面54及び荷重面55は、管軸Pに対して雄ねじ部51のねじ込み進行方向にそれぞれなす角度が90°以上になるように形成される。具体的には、管軸Pに対して挿入面54が雄ねじ部51のねじ込み進行方向になす角度α、及び、管軸Pに対して荷重面55が雄ねじ部51のねじ込み進行方向になす角度βは、それぞれ、90°以上であり、且つα>βの条件を満足する。雌ねじ部21についても同様である。すなわち、雌ねじ部21の挿入面33は、雄ねじ部51の挿入面54と同じ角度に形成され、雌ねじ部21の荷重面55は、雄ねじ部51の荷重面34と同じ角度に形成される。
このような形状の雄ねじ部51及び雌ねじ部21のねじ切り加工では、先端の幅が広く且つ付け根の幅が狭い刃先形状を有する、折損しやすい工具は用いない。このため、ねじ切り加工の能率が向上し、ねじ継手1を容易に製造することができる。また、荷重面の角度βが90°以上であるので、ねじ継手1に大きな引張荷重が負荷されたとき、その負荷方向へのピン13の移動が確実に制限される。このため、ジャンプアウトが生じるのをより確実に防止することができる。
挿入面の角度α及び荷重面の角度βは、製造容易性以外の効果を最大限に発揮するためには、それぞれ90°が最も好ましい。ただし、角度α及びβの両方が90°というのは製造上容易ではない。したがって、挿入面の角度αは92〜114°の範囲であるのが好ましい。より好ましくは、挿入面の角度αは93〜106°である。荷重面の角度βは、90°未満であると、ジャンプアウトが発生する可能性があるため、90°以上とする。ただし、荷重面の角度βがあまりに大き過ぎると、工具の刃先を極端に鋭くする必要があり、工具寿命が著しく低下してしまう。そのため、荷重面の角度βは、α>βの条件を満たしたうえで、91〜106°の範囲であるのが好ましい。より好ましくは、荷重面の角度βは、α>βの条件を満たしたうえで、92〜101°の範囲内である。
また、雄ねじ部51及び雌ねじ部21の各ねじ山57、42における縦断面の幅寸法は、頂部側よりも基部側が大きくなっている。これにより、本実施形態のねじ部のねじ切り加工は、基部側よりも頂部側の幅寸法が大きいダブテイル状のねじ部をねじ切り加工する場合と比較し、容易である。本実施形態のねじ部をねじ切り加工する場合、先端の幅よりも付け根の幅が広い刃先形状を有する丈夫な工具を用いることができるからである。したがって、ねじ切り加工の能率が向上し、ねじ継手1を容易に製造することができる。
前記図2に示すように、ピン13のシール面56とボックス12のシール面22は、ピン13とボックス12が締結された状態で、互いに嵌め合い密着する。シール面56、22同士の間には干渉量が設けられているので、両者は、メタル接触によりシール部を構成し、密封性能を発揮する。
ピン13のノーズ部58は、ピン13のシール面56の先端から管軸P方向に延び出す。このノーズ部58の先端にショルダ面59が設けられる。締結状態において、ノーズ部58は、ボックス12と接触せず、ボックス12との間に隙間が形成される。ねじ継手1に高い圧縮荷重が負荷された場合、互いに接触するショルダ面59、24の部分が塑性変形するだけでなく、ノーズ部58が緩衝部となって塑性変形する。このため、ノーズ部58自身及びショルダ面59、24の部分で個々の塑性変形が抑制される。その結果、ノーズ部58に隣接するシール部(シール面56、22)で塑性変形が発生せず、このシール部の密封性能がより安定して確保される。
ピン13のショルダ面59とボックス12のショルダ面24は、管軸Pに対して雄ねじ部51のねじ込み進行方向にそれぞれなす角度が90°未満になるように形成される。ピン13をボックス12に締結する際、ショルダ面59、24は、ピン13のねじ込みに伴って互いに接触し、ピン13のねじ込みを制限するストッパの役割を担う。
ショルダ面59、24は、ロッキングとショルダリングとが同時に発生するような位置に設けられるのが好ましい。しかし、ロッキングとショルダリングとを厳密に同時に発生させるのは難しい。ロッキング及びショルダリングのいずれかが先に発生する可能性が高い。
図5は、ショルダリングとロッキングの発生タイミングのずれに対するシール接触力の変化を示す図である。ここでは、ロッキングとショルダリングの発生タイミングのずれが、シール面22、56同士の接触力に及ぼす影響を調査した。図5において、ショルダリングに対するロッキングのずれが正の値である範囲は、ロッキングがショルダリングよりも後に生じる状態を示している。
図5に示す結果より、ショルダリングがロッキングよりも先に発生した場合(図5中、ショルダリングに対するロッキングのずれが正の値である範囲)、シール面22、56同士の接触力を確保できることが分かる。逆に、ロッキングがショルダリングよりも先に発生した場合(図5中、ショルダリングに対するロッキングのずれが負の値である範囲)、そのずれ量、すなわちボックス12に対するピン13の相対回転量が、所定値未満(図5より0.050回転未満)であれば、十分なシール接触力が得られることが分かる。
したがって、締結の際に、ショルダ面59、24同士が接触する時点(ショルダリング時点)を基準とし、ボックス12に対するピン13のねじ込み回転量が所定量の範囲内のときに、荷重面55、34同士及び挿入面54、33同士の両方の接触(ロッキング)が発生するように、ショルダ面59、24が設けられるのが好ましい。すなわち、ロッキングがショルダリングよりも先に発生する場合、ショルダリングの発生タイミングからピン13のねじ込み回転量が−0.050回転未満のときに、ロッキングが発生するようにすればよい。この場合、より好ましくは、ショルダリングの発生タイミングからピン13の回転量が−0.045回転以下のときに、ロッキングが発生するようにすればよい。また、ロッキングがショルダリングよりも後に発生するようにすればよい。更に好ましくは、ロッキングがショルダリングと同時に発生するようにすればよい。
本実施形態のねじ継手による効果を確認するため、弾塑性有限要素法による数値シミュレーション解析を実施し、耐トルク性能、耐焼き付き性能及び密封性能の評価を行った。更に、実際に試作品を製造することにより、ねじ継手の生産性の評価を行った。
ねじ継手(鋼管及びカップリング)の材質及び寸法に関する共通の諸特性は、下記のとおりとした。
・鋼管の寸法:外径が約φ169mm、肉厚が約9mm(API規格の6−5/8“24#)
・鋼管のグレード:API規格のL80(公称引張降伏強度が552MPa(80ksi))
・雌ねじ部及び雄ねじ部:荷重面のピッチが6.35mm(1インチあたりねじ山が4つ)、ねじ高さ(荷重面の高さ)が1.5mm、ねじ長さが100mm、荷重面の角度βが93°
他の因子は、下記の表1に示すとおりに種々変更した。試験No.1〜8は、本実施形態の条件を満足する本発明例である。試験No.9〜11は、本実施形態の条件を外れる比較例である。
下記の表1に示すように、本発明例のNo.1〜8は、図3に示す構成のねじ部を採用したねじ継手である。比較例のNo.9は、API規格のバットレスねじのように縦断面形状が台形状のねじ部を採用したねじ継手である。このNo.9のねじ継手は、雄ねじ部のねじ谷底面と雌ねじ部のねじ山頂面との間に干渉量を有し、雄ねじ部のねじ山頂面と雌ねじ部のねじ谷底面との間に隙間を有し、更に挿入面同士の間に隙間を有する。比較例のNo.10は、縦断面形状が台形状のねじ部を採用したねじ継手である。このNo.10のねじ継手は、荷重面同士及び挿入面同士の間に干渉量を有し、雄ねじ部及び雌ねじ部のいずれのねじ山頂面とねじ谷底面との間にも隙間を有する。比較例のNo.11は、縦断面形状がダブテイル状のねじ部、すなわち頂部側の幅寸法が基部側よりも大きいねじ部を採用したねじ継手である。
図6は、比較例である試験No.10のねじ継手のねじ部の領域を拡大した縦断面図である。図6に示すように、試験No.10のねじ継手では、ボックス101の雌ねじ部であるねじ山131は縦断面が台形状である。雌ねじ部の挿入面133は、管軸Pに対して所定の角度で傾斜した斜面である。雌ねじ部の挿入面133及び荷重面134は、ピン102の雄ねじ部であるねじ山157の挿入面154及び荷重面155にそれぞれ接触している。雌ねじ部の挿入面133は、雄ねじ部の挿入面154に対して干渉量を有する。一方、雌ねじ部のねじ山頂面132と雄ねじ部のねじ谷底面153との間、及び、雌ねじ部のねじ谷底面141と雄ねじ部のねじ頂面158との間には、それぞれ隙間を有する。なお、図6中の符号152は、ピン102の雄ねじ部のねじ溝である。
図7は、比較例である試験No.11のねじ継手のねじ部の領域を拡大した縦断面図である。図7に示すように、試験No.11のねじ継手では、ボックス201の雌ねじ部であるねじ山231はダブテイル状の縦断面形状を有する。雌ねじ部のねじ山頂面232、挿入面233及び荷重面234が、ピン202の雄ねじ部のねじ谷底面253、挿入面254及び荷重面255にそれぞれ接触している。一方、雌ねじ部のねじ谷底面241と雄ねじ部のねじ山頂面258との間には、隙間を有する。なお、図7中の符号252は、ピン202の雄ねじ部のねじ溝である。
試験No.1〜11のねじ継手のうち、No.11のねじ継手以外は、前記図2に示すショルダ面を有する。すなわち、No.11のねじ継手は、ねじ部自身のロッキングによってピンとボックスの移動が完全に拘束されることから、そのロッキングを阻害するショルダ面が設けられていない。
Figure 0006151376
数値シミュレーション解析では、試験No.1〜11のねじ継手の各モデルを作成して、ボックスとピンとを締結する解析を行い、ショルダリングトルク(又はロッキング時のトルク)、オーバートルク及び締結終了時のねじ部の荷重面及び挿入面に作用する接触圧力のうちの最大の接触圧力(以下、「フランク面の最大接触圧力」)を算出した。ショルダリングトルクによってハイショルダリングの評価を行い、オーバートルクによって耐トルク性能を評価した。フランク面の最大接触圧力によってねじ部での焼き付き発生リスクを評価した。
また、ねじ継手の試験規格であるISO13679(2002年版)で規定されるシリーズA試験を模擬した解析を行い、シール面の接触力の最小値を求めた。これにより、ねじ継手の密封性能を評価した。
更に、試験No.2、9及び11のねじ継手を実際に製作し、ねじ継手の生産性を評価した。
下記の表2に、数値シミュレーション解析の結果を示す。表2において、ショルダリングトルク、オーバートルク、シール面の最小接触力及びフランク面の最大接触圧力の各値は、No.9のねじ継手の計算値を基準「1.0」とした相対値で示す。
Figure 0006151376
表2に示すショルダリングトルクは、値が大きいほど、ハイショルダリングの発生リスクが高いことを意味する。表2に示すように、比較例のNo.10のねじ継手はハイショルダリングの発生リスクが高い。これに対し、本発明例のNo.1〜8のねじ継手は、ショルダリングトルクが比較例のNo.9及び11のねじ継手と同等であり、比較例のNo.10のねじ継手よりもハイショルダリングの発生リスクが小さい。
表2に示すオーバートルクは、値が大きいほど、耐トルク性能が優れることを意味する。表2に示すように、本発明例のNo.1〜8のねじ継手は、比較例のNo.9のねじ継手よりもオーバートルクが大きい。特に、本発明例のNo.1〜3のねじ継手のオーバートルクは、比較例のNo.10及び11のねじ継手と同程度である。
表2に示すフランク面の最大接触圧力は、値が大きいほど、締結の過程で焼き付きの発生リスクが高いことを意味する。表2に示すように、本発明例のNo.1〜8のねじ継手の焼き付き発生リスクは、比較例のNo.10のねじ継手に対して遥かに低く、比較例のNo.11のねじ継手と同程度である。
表2に示すシール面の最小接触力は、値が大きいほど、密封性能が優れることを意味する。表2に示すように、本発明例のNo.1〜4のねじ継手の密封性能は、比較例のNo.9〜11のねじ継手と同程度かそれ以上である。特に、本発明例のNo.1〜3のねじ継手の密封性能は、No.11のねじ継手と同程度かそれ以上であり、さらに密封性能に優れていることが分かる。
下記の表3に、ねじ継手の生産性の評価結果を示す。表3では、実際に製作した試験No.2、9及び11のねじ継手のうちで、最もねじ切り加工時間が短いねじ継手(試験No.9)のねじ切り加工時間を「1.0」とし、各ねじ継手のねじ切り加工時間はその相対値で示す。また、表3では、実際に製作したねじ継手のうちで、最も工具寿命が短いねじ継手(試験No.11)の工具寿命を「1」とし、各ねじ継手の工具寿命はその相対値で示す。
Figure 0006151376
表3に示すように、本発明例のNo.2のねじ継手のねじ切り加工時間は、ダブテイル状のねじ部を有するNo.11のねじ継手のねじ切り加工時間の約半分であり、台形ねじのNo.9のねじ継手のねじ切り加工時間に近い。本発明例のNo.2のねじ継手の工具寿命は、No.9のねじ継手の工具寿命には及ばないが、No.11のねじ継手の工具寿命よりは遥かに長い。
上記のとおり、本実施形態の鋼管用ねじ継手1は、雄ねじ部51のねじ込み進行方向において、雄ねじ部51のねじ山57の幅がねじの弦巻線に沿って徐々に狭くなる一方、ねじ溝62の幅がねじの弦巻線に沿って徐々に広くなっている。更に、雌ねじ部21のねじ溝42の幅がねじの弦巻線に沿って徐々に狭くなる一方、ねじ山31の幅がねじの弦巻線に沿って徐々に広くなっている。
これにより、ボックス12に対するピン13のねじ込みの過程で、雄ねじ部51と雌ねじ部21とがロッキングした際に、荷重面55、34同士の接触、及び挿入面54、33同士の接触に伴うくさび効果により、トルク抵抗が急激に増大する。このため、ショルダリングしたショルダ面59、24の部分で塑性変形が生じるまでに必要とするトルクを、上昇させることができる。したがって、ねじ継手1の耐トルク性能を向上することができる。また、雄ねじ部51及び雌ねじ部21の形状を上述のような構成にすることにより、ハイショルダリングの発生を防止できるとともに、ねじ部の高い寸法精度が不要になってねじ継手1の生産性を向上することができる。
本実施形態の鋼管用ねじ継手1では、ボックス12に対するピン13のねじ込み過程において、ボックス12のシール面22とピン13のシール面56とが接触するよりも前に、雌ねじ部21のねじ山頂面32と雄ねじ部51のねじ谷底面61とが接触する。ここで、雌ねじ部21のねじ山頂面32及び雄ねじ部51のねじ谷底面61は、シール面22、56同士が接触するよりも前に接触を開始し、ボックス12とピン13との締結が終了した状態で所定の干渉量を有するように形成されている。
上述のように、荷重面55、34同士及び挿入面54、33同士は、それぞれの接触に伴うくさび効果によって非常に強く接触するが、その前段階の過程においては、挿入面54、33のみが鋼管2(ボックス12)の自重程度の強さで接触するに過ぎない。このため、ねじ部での焼き付きの発生リスクを低減することができる。しかも、雌ねじ部21のねじ山頂面32と雄ねじ部51のねじ谷底面61とが接触した後に、シール面22、56同士が接触する。このため、ボックス12へのピン13のねじ込み過程で、ボックス12とピン13とを同芯に配置することができる。これにより、シール面22、56同士が接触する際に、シール面22、56同士の偏当たりによる焼き付きが発生するのを防止できる。
なお、雌ねじ部21のねじ山頂面32及び雄ねじ部51のねじ谷底面53は、管軸Pに平行であってもよいし、管軸Pに対して傾斜していてもよい。また、雌ねじ部21のねじ山頂面32及び雄ねじ部51のねじ谷底面53の縦断面形状は厳密な直線でなくてもよいし、他の曲率を有する曲線であってもよく、直線及び曲線を組み合せた形状であってもよい。
雄ねじ部51のねじ山57の幅の変化量は、ねじ継手1の外径、雄ねじ部51の長さによって適宜調整するのが好ましい。ただし、ねじ山57の幅の変化量が大きい場合には、ねじ山57を加工する際にねじ切り用の工具を何回も往復させる必要があるため、ねじ切り加工の能率が低下し、生産コストが上昇してしまう。このため、生産性を考慮すると、雄ねじ部51のねじ山57の幅の変化量は、弦巻線の両端でのねじ山57の幅を比較して、3倍以内が好ましく、2倍以内がより好ましい。
雄ねじ部51及び雌ねじ部21のねじ高さが高いほど、また、雄ねじ部51及び雌ねじ部21のねじピッチを小さいほど、ねじ継手1の耐トルク性能が向上する反面、雄ねじ部51及び雌ねじ部21のせん断剛性が低下する。この場合、ねじ切り用の工具の刃先も幅が狭く細長い形状となり、工具の折損、破損等が生じやすくなる。これらを回避するために、雄ねじ部51のねじ溝62及び雌ねじ部21のねじ溝42の最も狭くなる幅が、それぞれ、ねじ高さの0.7倍よりも大きくなるようにねじ高さ及びねじピッチを決めるのがよい。
ボックス12のショルダ面24及びピン13のショルダ面59は、ロッキングとショルダリングとが同時に発生するように設けられる。このため、高い耐トルク性能が得られるとともに、シール面22、56同士の間に所定の干渉量が導入される。その結果、設計どおりの密封性能が得られる。
ショルダリング時点を基準とするロッキングの発生タイミングのずれ量が、ボックス12に対するピン13のねじ込み回転量で±0.150回転以内であれば、耐トルク性能を向上することができる。より高い耐トルク性能を得るためには、前記回転量は±0.080回転以内がより好ましい。更に十分なシール接触力を確保するためには、マイナス側の回転量、すなわち先のロッキングから後のショルダリングまでの回転量を小さくすることが好ましい。したがって、前記回転量は、高い密封性能及び高い耐トルク性能の両方を安定して得るためには、+0.150回転から−0.050回転未満にすることが好ましく、+0.080回転から−0.045回転以内にすることがより好ましい。
図8A〜図8Cは、ピンとボックスとを締結する際のピンの締付けターン数と締付けトルクの関係の一例を示す模式図である。これらの図8A〜図8Cは、トルクチャートと呼ばれるものである。図8Aは、ロッキングがショルダリングよりも先に発生する状況を示す。図8Bは、ロッキングがショルダリングとほぼ同時に発生する状況を示す。図8Cは、ロッキングがショルダリングよりも後に発生する状況を示す。これらの図8A〜図8C中、「LP」はロッキングの発生タイミングを示し、「SP」はショルダリングの発生タイミングを示す。
ショルダリング時点を基準とするロッキングの発生タイミングのずれ量が、ピンのねじ込み回転量で所定量の範囲内(+0.150回転から−0.050回転未満)であることは、以下のようにして確認することができる。締結を実施する前にピンの雄ねじ部及びボックスの雌ねじ部のそれぞれのねじ位置を測定し、その上で、締結時に記録したトルクチャートを調査することで行う。
具体的には、先ず、ピンについて、雄ねじ部の任意のねじ山を選定し、選定したねじ山からショルダ面までの管軸方向の距離Xを測定する。ボックスについて、雌ねじ部のねじ溝のうち、ピンの測定で選定したねじ山と同じ幅を有するねじ溝を選定し、選定したねじ溝からショルダ面までの管軸方向の距離Yを測定する。前記距離Xと前記距離Yの差Aを算出する。そして、雄ねじ部又は雌ねじ部の荷重面のねじピッチがPである場合、A/Pを算出する。理論的には、A/Pが、ショルダリング時点を基準とするロッキングの発生タイミングのずれ量、すなわちピンのねじ込み回転量となる。
ここで、現実には、ねじリードが製造公差の範囲で変動したり、ピン、ボックス等の表面に表面処理が施されてねじリードが僅かに変動したりする。このため、上記で算出したA/Pに、ねじリードの変動の影響分を加算又は減算し、より正確なA/Pを求める。その上で、上記で測定したピン及びボックスを実際に締結し、その締結時のトルクチャートの線図形状を調査する。
例えば、ロッキングの発生タイミングのずれ量が所定量の範囲内であれば、図8Bに示すように、立ち上がっている線図の部分(これをデルタトルクと呼ぶ)に段差はほとんど見られず、耐トルク性能を示すオーバートルクが非常に高くなる。仮に、ロッキングの発生タイミングのずれ量が所定量の範囲を外れる場合、図8A又は図8Cに示すように、デルタトルクに段差が生じる。通常は、デルタトルクに最初に段差(直線から外れる部分)が生じた時点のトルクをオーバートルクと見なす。このため、ロッキングの発生タイミングのずれ量が所定量の範囲を外れると、高い耐トルク性能が得られないことになる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
上記の実施形態では、カップリング11及び鋼管2を管軸Pが上下方向に伸びるように配置した姿勢で、両者を締結している。しかしながら、締結の際のカップリング11及び鋼管2の姿勢は、互いに締結が可能であれば、どのような姿勢であってもよい。
上記の実施形態では、ボックス12のシール面22は、雌ねじ部21とショルダ面24との間に設けられ、ピン13のシール面56は、雄ねじ部51とショルダ面59との間に設けられている。更に、シール面とショルダ面とが隣接し、ピンの先端部にノーズ部が設置されている。しかしながら、本実施形態のねじ継手1は、いかなるシール構造とも組み合わせることが可能である。本実施形態のねじ継手1は、繰り返し荷重が負荷された場合であっても、シール面、ショルダ面及びノーズ部に大きなダメージが生じない。よって、従来の鋼管用ねじ継手よりも更に安定した密封性能が得られる。
上記の実施形態のねじ継手は、カップリング型のねじ継手のみならず、インテグラル型のねじ継手にも適用することができる。
本発明による鋼管用ねじ継手は、鋼管を接続するねじ継手として利用可能である。
1:鋼管用ねじ継手、 2:鋼管、 11:カップリング、
12:ボックス、 13:ピン、
21:雌ねじ部、 22:ボックスのシール面、
24:ボックスのショルダ面、
31:雌ねじ部のねじ山、 32:雌ねじ部のねじ山頂面、
33:雌ねじ部の挿入面、 34:雌ねじ部の荷重面、
41:雌ねじ部のねじ谷底面、 42:雌ねじ部のねじ溝、
51:雄ねじ部、
52:雄ねじ部のねじ山頂面、 54:雄ねじ部の挿入面、
55:雄ねじ部の荷重面、 56:ピンのシール面、
57:雄ねじ部のねじ山、 58:ノーズ部、
59:ピンのショルダ面、 61:雄ねじ部のねじ谷底面、
62:雄ねじ部のねじ溝、 P:管軸、
α:雄ねじ部の挿入面が管軸に対してなす角度、
β:雄ねじ部の荷重面が管軸に対してなす角度

Claims (4)

  1. 管状のピンと、管状のボックスとから構成され、前記ピンが前記ボックスにねじ込まれて前記ピンと前記ボックスが締結される鋼管用ねじ継手であって、
    前記ピンは、ショルダ面、シール面及び雄ねじ部を備え、
    前記ボックスは、前記ピンの前記ショルダ面、前記シール面及び前記雄ねじ部のそれぞれに対応するショルダ面、シール面及び雌ねじ部を備え、
    前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部は、それぞれ、縦断面が台形状のねじ山を有するテーパねじであり、前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部の各ねじ山における縦断面の幅寸法は、頂部側よりも基部側が大きくなっており、
    前記雄ねじ部のねじ込みの進行方向において、
    前記雄ねじ部のねじ山の幅がねじの弦巻線に沿って次第に狭くなる一方、前記雄ねじ部のねじ溝の幅がねじの弦巻線に沿って次第に広くなっていて、前記雌ねじ部のねじ溝の幅がねじの弦巻線に沿って次第に狭くなる一方、前記雌ねじ部のねじ山の幅がねじの弦巻線に沿って次第に広くなっており、
    締結状態において、
    前記ショルダ面同士が接触し、前記シール面同士が接触し、前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部の荷重フランク面同士が接触し、前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部の挿入フランク面同士が接触し、前記雄ねじ部のねじ谷底面と前記雌ねじ部のねじ山頂面とが接触し、前記雄ねじ部のねじ山頂面と前記雌ねじ部のねじ谷底面との間に隙間が形成され
    ねじ継手が締結される際に、前記ショルダ面同士が接触する時点を基準とし、前記ボックスに対する前記ピンのねじ込み回転量が+0.150回転から−0.050回転未満のときに、前記荷重フランク面同士及び前記挿入フランク面同士の両方の接触が発生するように、前記ショルダ面が設けられている、鋼管用ねじ継手。
  2. 請求項1に記載の鋼管用ねじ継手において、
    管軸に対して前記雄ねじ部の前記挿入フランク面が前記進行方向になす角度α、及び、前記管軸に対して前記雄ねじ部の前記荷重フランク面が前記進行方向になす角度βが、それぞれ、90度以上であり、且つα>βの条件を満たす、鋼管用ねじ継手。
  3. 請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手において、
    前記ピンの前記シール面は、前記ピンの前記雄ねじ部と前記ショルダ面との間に設けられている、鋼管用ねじ継手。
  4. 請求項に記載の鋼管用ねじ継手において、
    前記ピンの先端に前記ショルダ面が設けられ、
    前記ピンは、前記シール面と前記ショルダ面との間にノーズ部を備える、鋼管用ねじ継手。
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