JPH09273671A - 油井管用ねじ継手 - Google Patents

油井管用ねじ継手

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JPH09273671A
JPH09273671A JP8523596A JP8523596A JPH09273671A JP H09273671 A JPH09273671 A JP H09273671A JP 8523596 A JP8523596 A JP 8523596A JP 8523596 A JP8523596 A JP 8523596A JP H09273671 A JPH09273671 A JP H09273671A
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JP
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tip
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Application number
JP8523596A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsusachi Yamamoto
三幸 山本
Masaaki Sugino
正明 杉野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Publication of JPH09273671A publication Critical patent/JPH09273671A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L15/00Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints
    • F16L15/001Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints with conical threads
    • F16L15/004Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints with conical threads with axial sealings having at least one plastically deformable sealing surface

Abstract

(57)【要約】 【課題】軸方向圧縮後の引張時に生じる気密性低下を防
ぐ油井管用ねじ継手の提供。 【解決手段】管本体10の雄ねじ12をもつピン部11
の先のシール形成部13とトルクショルダ形成部14に
対して、雄ねじより小さいピッチ円半径の雌ねじ22を
もつボックス部21のシール形成部23とトルクショル
ダ形成部24が、接触することによりシール部とトルク
ショルダ部が形成される油井管用ねじ継手において、下
記式の内径を有する厚肉ピン先端部長さ15が、シー
ル部対応位置までの長さ16以上で、かつピン部長さ1
7の二分の一までの長さ以下であり、残りの管本体に近
い側のピン部内径は管本体内径と等しく、厚肉ピン部か
ら残りのピン部へ内径はゆるやかに漸増し、継手締結状
態においてトルクショルダ部のボックス部内径が厚肉ピ
ン先端内径に等しい油井管用ねじ継手。厚肉ピン部内径
をdx (mm) 、管本体内径をdo (mm)として、d
o > dx ≧ do-6 ・・・・

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然ガスまたは原
油の探査や生産に使用される油井管用ねじ継手、特に高
深度で、同時に厳しい腐食性環境の井戸等に適した油井
管用ねじ継手に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、深さ数千mにも及ぶ天然ガス田や
原油田等の探査や生産に使用される油井管を接続する技
術として、ねじ継手が広く用いられている。油井管用ね
じ継手には、管の一端にピン部を、他端にボックス部を
形成し、一方の管のピン部と他方の管のボックス部を接
続するインテグラル方式と、二つのボックス部を形成し
たカップリングを介して両端にピン部を形成した管を接
続するカップリング方式とがある。これらねじ継手に
は、1)接続された管の自重による軸方向の引張力に耐え
得ること、2)内部の流体による内圧に耐え得ること、3)
内部の流体による局部腐食が無いこと、などの性能が要
求される。近年、井戸の深さが深くなるとともに硫化水
素等の腐食成分をふくむ悪環境の井戸が多くなる傾向に
あり、上記要求性能はさらに厳しくなっている。
【0003】井戸の高深度化にともない井戸の径が掘削
コストに影響するところが大となり、井戸の径を小さく
するために継手の外径も小さくすることが要求され、ボ
ックス部の肉厚減少の要求となって現れている。
【0004】このような要求に対応してシール部および
トルクショルダ部を有する継手に関して多くの提案がな
されている。その代表例として特開昭60−26878
号公報に示されたインテグラル方式の継手をつぎに説明
する。
【0005】図4は、ピン部とボックス部の内面に溝を
設けて乱流を防止することにより耐食性を高めたインテ
グラル方式の継手の“管軸を含む平面による”断面図を
表す(以下、“管軸を含む平面による”を省略する)。
管の端の雄ねじ12を有するピン部11の先の外面に設
けたシール形成用ねじ無し部13と、カップリングの内
部の雌ねじ22を有するボックス部21の内奥に設けた
シール形成用ねじ無し部23とは、互いに接触すること
によりシール部を形成する。このシール部において内部
流体によって生じる内圧に対する気密性が確保される。
【0006】図4に示すねじ継手を含めて、ねじ継手に
は一般にねじ部に“干渉”と呼ばれる、ピン部の雄ねじ
のピッチ円直径をボックス部の雌ねじのそれより大きく
する締結力強化機構が設けられている。
【0007】以下において、「管」というときは、“管
端のピン部、およびインテグラル方式の場合はボックス
部も含む”こととするが、「管本体」というときは“ピ
ン部およびボックス部をともに含まない”ものとする。
【0008】ピン部11の先端にあるトルクショルダ形
成用ねじ無し部14と、ボックス部21の奥にあるトル
クショルダ形成用ねじ無し部24とは、互いに突き合わ
されることによりトルクショルダ部を形成する。このト
ルクショルダ部はシール部に適切な接触面圧を生じるさ
せるように締結トルクをコントロールするためのもので
ある。
【0009】図4においては、さらにトルクショルダ部
付近の内面に滑らかな溝30を設けており、これにより
トルクショルダ部近傍の内面を流れる流体の乱流発生を
防止し局部腐食を促進しないようにしている。
【0010】このような継手には、つぎのような問題が
ある。
【0011】油井管には頻度は高くないが軸方向に圧縮
力や曲げ荷重が負荷される場合があるが、その後、管の
自重による引張力が負荷されると、シール部およびトル
クショルダ部では、接触面圧が低下したり、極端な場合
には隙間が生じたりする。この現象のために、内圧負荷
に対する気密性能が低下し、内部流体が漏洩するという
問題や、このとき生じる隙間により内部流体の流れが乱
され顕著な局部腐食が発生するという問題が起きる。
【0012】また、接触面圧が低下し、または隙間が生
じている状態で、なんらかの原因で継手を緩める方向に
ねじりトルクが作用すると、継手が外れ、油井管が井戸
の中に落ち込む危険がある。井戸中での油井管の再接続
が非常に困難なことから、開発中あるいは生産中の油井
を放棄しなければならないという最悪の事態を招くこと
がある。このような事態は井戸の深さが深くなるととも
に、管の自重による引張力が増加するため、より起こり
易くなる傾向にある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、軸方
向の圧縮力または曲げ荷重の後に引張力が負荷されたと
きに起きるシール部およびトルクショルダ部における接
触面圧の低下または隙間の発生を防止し、合わせて耐食
性も確保された油井管用ねじ継手を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来の継手
における上記の問題を解決するために、圧縮力または曲
げ荷重が作用したときのねじ継手の挙動について詳細な
検討を行った結果、下記の事項を確認した。
【0015】1) 曲げ荷重は、曲げの凸側に引張り、ま
た、曲げの凹側に圧縮を生じさせるが、上記の問題は曲
げの凹側に生じるものであり、根本的には圧縮力に対す
る継手の性能を向上させることが問題の解決策である。
すなわち、曲げ荷重の場合も圧縮力に対する解決策によ
り対処できる。
【0016】2) ねじ継手に圧縮力が作用した場合、圧
縮力はねじ部、シール部、およびトルクショルダ部で負
担される。上記した従来の継手ではトルクショルダ部近
傍の内面に溝があるため、この部分の肉厚が相対的に薄
くなっており、トルクショルダ部の圧縮力負担能力が小
さい。
【0017】3) このため、圧縮力の作用によりトルク
ショルダ部に顕著な塑性変形が生じる。その後、鋼管の
自重による引張力が負荷されると、トルクショルダ部で
は上記塑性変形のため、接触面圧が低下したり、極端な
場合には隙間が生じたりする。トルクショルダ部はシー
ル部に適切な接触面圧を生じるさせる役目をしているた
め、このようなトルクショルダ部の劣化はシール部の性
能を低下させる。
【0018】4) トルクショルダ部近傍の肉厚を増加さ
せれば、圧縮力によるトルクショルダ部での塑性変形は
抑制される。しかし、厚肉化をむやみにおこなうと内部
流体に乱流が生じ、局部腐食が発生するので、乱流を発
生させない滑らかな内面形状にしなければならない。
【0019】5) 前記した雄ねじと雌ねじの“干渉”に
よる締結力強化機構に起因して、上記の厚肉化をピン部
の根元までおこなうと、ピン部が高剛性化しすぎてボッ
クス部の外面に大きな引張応力が作用してボックス部外
面に応力腐食割れを発生しやすい。ピン部の厚肉化をピ
ン部の先の一定範囲にとどめる場合には、ボックス部の
肉厚の厚い部分が、引張応力を分担し小さいものとする
ので応力腐食割れは発生しない。
【0020】図1は本発明に係るねじ継手のうちカップ
リング方式のねじ継手の一形態を示す継手全体の断面図
である。この方式の継手は、上記したように両端にボッ
クス部21をもつカップリング20により管10の端に
設けたピン部11同士が締結される。
【0021】図2は、本発明の標準的な継手のピン先端
付近(図1のA部)を拡大した断面図である。同図にお
いても図4の継手と同様に、ピン部11のシール形成用
ねじ無し部13およびトルクショルダ形成用ねじ無し部
14のそれぞれに対応して、ボックス部21のシール形
成用ねじ無し部23およびトルクショルダ形成用ねじ無
し部24のそれぞれが接触し、また、突き合わさり、シ
ール部およびトルクショルダ部が形成される。図2にお
いては、先端から一定の内径dx1を有する部分は、シー
ル部に対応する位置を超えてさらに管本体に近い位置に
まで長くなっている。通常は、図2のように厚肉化する
部分を一定の肉厚とするが、一定の肉厚でなく、例え
ば、図2のdx2の部分、すなわち小さくした内径から管
本体の内径に移行する部分がシール部に対応する位置に
かかっていてもよい。ただし、ピン部先端から管本体の
内径に等しくなる位置までの長さ(すなわち厚肉化され
たピン先端部長さ15)は、ピン部全体の長さの二分の
一以下としなければならない。すなわち、図2において
dx1に対応する部分(内径が一定の部分)とdx2に対応
する部分(内径が管本体のそれに漸増する部分)を加え
た管軸方向の長さはピン部長さの二分の一以下でなけれ
ばならない。
【0022】図3はインテグラル方式における本発明の
継手の断面図である。ピン部11の形状は図1に示した
ものと同じである。
【0023】本発明は上記の事項を組み合わせて完成さ
れたもので、下記の油井管用ねじ継手をその要旨とする
(図1〜図3参照)。
【0024】(1)管本体10の雄ねじ12を有するピ
ン部11のテーパ状外面先のシール形成用ねじ無し部1
3およびピン部先端のトルクショルダ形成用ねじ無し部
14のそれぞれに対応して、雄ねじより小さいピッチ円
半径の雌ねじ22を有するボックス部21のテーパ状内
奥のシール形成用ねじ無し部23およびトルクショルダ
形成用ねじ無し部24のそれぞれが、雌雄ねじ同士の螺
合により接触し、また、突き合わされて、シール部およ
びトルクショルダ部が形成される油井管用ねじ継手にお
いて、下記式を満足するように内径を小さくすること
により厚肉化されたピン先端部長さ15が、ピン先端か
らシール部に対応する位置までの長さ16以上で、かつ
ピン先端からピン部長さ17の二分の一までの長さ以下
であり、残りの管本体に近い側のピン部の内径は管本体
の内径と等しく、先端側の厚肉化されたピン部から残り
の管本体側のピン部へは内径はゆるやかに漸増し、合わ
せて、継手締結状態においてトルクショルダ部のボック
ス部の内径がピン部先端の厚肉化された内径に等しいこ
とを特徴とする油井管用ねじ継手。
【0025】厚肉化されたピン先端部の内径をdx (m
m) 、管本体の内径をdo (mm)として、 do >dx ≧ do − 6 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 上記(1)において、ボックス部21は、カップリング
方式のカップリング内奥に設けたボックス部でも、イン
テグラル方式の管本体と一体化されたボックス部でもど
ちらでもよい。
【0026】“ピン先端からシール部に対応する軸方向
位置までの長さ16”とは、“締結状態でシール部を形
成するピン部外面を含んだ管軸に垂直な平面とピン部内
面との交線(円)”をいう。実際には、シール部は面状
に形成されるので、上記の交線は幅をもったものになる
ので、その場合、その幅のうちのピン部先端に近い端と
する。
【0027】また、“ピン部長さの二分の一までの長
さ”とは、ピン部長さ17の中間(二分の一位置)を通
る管軸に垂直な平面とピン部内面との交線(円)をい
う。
【0028】“先端がわのピン部から残りの管本体がわ
のピン部へは内径はゆるやかに漸増する”とは、ピン部
の内径を次第に大きくし始め、同時に管本体の内径に等
しくする付近も段差がつかないように漸増させて次第に
等しくすることをいう。
【0029】“管本体の内径”とは、ピン部を含まない
管の内径の製造公差下限をいう。
【0030】
【発明の実施の形態】つぎに本発明のねじ継手の限定理
由について説明する。. 1.内径 厚肉化されたピン先端部長さ15においては、ピン部の
内径dx は管本体の内径do に対して、下記式を満足
させる。
【0031】 do >dx ≧ do − 6 ・・・・・・・・・・・・・・ dx ≧ do − 6 は、厚肉化されたピン先端部の内径
は、管本体の内径doより6mm以下だけ小さくするこ
とを意味するが、これは肉厚でいえば半径の差に対応す
るので、3mm以下だけ厚くすることに相当する。シー
ル部、トルクショルダ部の肉厚を厚くすることにより、
これら部分の圧縮力分担能力は向上する。
【0032】このような効果を十分に得るには、この厚
肉化するピン先端部長さ15は、最小でもピン先端から
シール部に対応する位置までの長さ16以上とし、最大
ではピン先端からピン部長さ17の二分の一までの長さ
とする。最小でもピン先端からシール部に対応する位置
までの長さ16とするのは、最小限その範囲を厚肉化す
ることにより、圧縮応力を十分小さくできるからであ
り、それより小さい範囲、例えば、ピン部先端のボック
ス部と突き当たる局所部分だけでは不十分である。
【0033】厚肉化する範囲に上限を設けて、最大でも
ピン先端からピン部長さ17の二分の一までの長さとす
るのは、この範囲を超えて、ピン部の根元近くまで厚肉
化すると、ピン部の剛性が高くなりすぎ前記した干渉の
機構により、ボックス部の薄肉部分の外面に大きな引張
応力が発生し、応力腐食割れを誘発しやすくするからで
ある。
【0034】管本体の製造公差下限の内径を基準とし
て、ピン部の内径をそれより6mm以下だけ小さくする
のは、内径を6mmを超えて小さくすると、その部分に
おける内部空間の大きさが減少し、それによって内部流
体の流量が影響されるほどになるからである。上記の圧
縮力の負担能力の観点からは厚肉化すればするほど効果
的であるが、その分ピン部先端付近の内部空間が狭くな
り必要な内部流体の流量が確保できなくなる。この部分
の圧縮力の負担能力を大きくして、通常発生する圧縮力
によってもトルクショルダ部に塑性変形を発生させない
ためには、上記厚肉化されたピン先端部長さ15におけ
る内径は、管本体の内径より小さくすることが望まし
い。すなわち内径を0mmを超えて小さくすることが望
ましい。さらに望ましくは、0.5〜5mmの範囲で小
さくすることが望ましい。
【0035】2.内面形状 継手を締結した状態でトルクショルダ部のボックスの内
径db をピン部先端の内径と等しくして、ピン部とボ
ックス部の境を滑らかにして段差をつけないことが必要
である。これはこの部分に乱流を発生させないためであ
る。
【0036】ピン部において内径が変化する部分の内径
dx2の漸増の程度は、一定の内径dx1を有する部分か
らdx2へ変わる境目の内面付近、および管本体の内径
に等しくなる内面付近の両方において乱流が発生しない
ほどとする。のdx1からdx2への変わりめの内面は、
その内面どうしのなす角が、例えば、管軸を含む平面に
よる断面上で、内面がわの角度で230度から180度
(平坦)の範囲にあるのが望ましい。の管本体の内径
に等しくなる内面においては、上記の角度において15
0度から180度(平坦)の範囲にあることが望まし
い。
【0037】そのほかに上記およびにおいて、断面
上で直線同士が交わる角度としないで、境の部分を曲線
としてゆるやかな曲率半径をもたせることもできる。そ
の場合、曲線部分から十分離れた直線部分どうしを延長
させ交わってできる角度は、上記およびに述べた角
度の範囲にあることが望ましい。
【0038】dx2が変化して形成する内面と管軸を含む
平面との交線を、図2のように直線としないで曲線とし
て、その曲線を管本体の内面に近づく滑らかな漸増曲線
とすることもできる。その場合でも内径を小さくする部
分は先端からピン部の2分の1までの範囲とする。
【0039】このように、ピン部およびボックス部の内
面形状を滑らかにするのは、硫化水素等の腐食成分をふ
くむ悪環境の井戸が多くなる近年の傾向に対応して、乱
流を発生させないようにすることにより、内部流体によ
る局部腐食を抑制するためである。
【0040】上記の説明はインテグラル方式の継手にも
そのまま適用できる。図3において、ピン部11の形状
は図1に示したものと同じである。ボックス部の内径
は、トルクショルダ部24の近傍でピン部の内面とほぼ
面一をなして滑らかな内面を形成する。すなわち、イン
テグラル方式におけるボックス部のトルクショルダ部付
近の内径は、ボックス部が接続されている管本体の内径
より0を超え6mm以下だけ小さくすることにより、管
本体より厚肉化されていなければならない。その厚肉化
された部分からボックス部が接続されている管本体に近
い側(図3では右側)に向かって、ボックス部の内径は
次第に大きくなり始め、ほぼテーパ形状をなして漸増
し、管本体の内径と滑らかに等しくなる。このインテグ
ラル方式のボックス部の内径の変化、とくに“ゆるやか
な漸増”の意味については、図2のピン部の内径変化に
ついての限定範囲がそのまま適用される。
【0041】また、図3中のB部を拡大すると図2と等
しくなる。すなわち図2において説明したピン部の内径
についての限定範囲はそのまま図3のインテグラル方式
のピン部についても適用できる。インテグラル方式のボ
ックス部において内径を小さくする範囲は、内面形状が
上記の意味でなめらかであるかぎりとくに限定しない。
【0042】本発明の継手に使用するねじの形状はAP
I(American Petroleum Institute)規格に示されている
ような通常の三角ねじ、台形ねじを使用することができ
る。さらに、本発明の主目的である耐圧縮性能の向上に
は、ねじ部においても圧縮力の分担能力を向上させるこ
とがより一層効果的であり、例えば特開平6−2810
61号公報または特開平6−281059号公報に示さ
れているようなねじ形状も採用できる。これらのねじ
は、それぞれ圧縮力負荷後も高い気密性を確保し、ま
た、繰り返し使用に対して耐久性を発揮するねじ形状を
有するものである。
【0043】本発明は管本体の肉厚と外径の比(以下、
“肉厚比”という)が0.055以下の場合に適用する
と、さらに大きな効果が得られる。肉厚比が0.055
以下の管が各種の負荷を受けた場合、肉厚が実質的に薄
い場合と同様な大きな変形を受け、これに伴ってピン部
先端も同様に大きく変形する。このため、例えば特開平
6−281061号公報や特開平6−281059号公
報に提示されている圧縮力分担能力の向上を図ったねじ
を採用しても継手全体の耐圧縮性能が十分でない場合が
ある。このような場合に本発明に係る継手を適用すれば
高い耐圧縮性能を確保することができる。
【0044】本発明に係る継手は、例えば、管端を熱間
あるいは冷間にて縮径あるいは増肉加工した後、機械加
工することにより製造することができる。耐食性の観点
からは、炭素鋼または低合金鋼を冷間で加工した場合
は、加工歪を減少または除去するために変態を生じさせ
ない温度域で焼鈍することが望ましい。ステンレス鋼の
場合は焼鈍が必ずしも耐食性を向上するとは限らないの
で鋼に応じて適切な熱処理をおこなうことが望ましい。
この縮径量あるいは増肉量は比較的小さいので、ねじ継
手の製造コスト全体に占める製造コスト増加は大きいも
のではない。
【0045】
【実施例】下記に本発明の効果を実施例に基づいて示
す。
【0046】[実施例1]:複合荷重試験 表1は、図1〜図3に示した本発明の範囲内のカップリ
ング方式の継手、および図4に示した形状と同じ形状の
比較のための継手をあらわす一覧表である。これら継手
は、外径88.9mmから339.7mmまでの13%
Cr鋼の鋼管を対象とするものである。表2は、この1
3%Cr鋼の鋼管の化学組成および強度を示す表であ
る。ボックス部も同じ鋼により製造された。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】継手は、ピン部先端の内面以外の諸形状は
すべての継手について同一とした。すなわち、ねじ形
状、ねじ長さ、シールテーパ長さ等は下記のとおりとし
て、本発明による継手と従来技術による継手で同一とし
た。
【0050】ねじ形状:API規格の台形ねじ ねじ長さ:管本体の肉厚の4倍 ねじ干渉量:0.3mm ねじテーパ:1/16 シール形状:テーパシール(テーパ : 1/10、 シー
ル長さ : 10mm) 表1において、「ピン先端の内径差」は、本発明例の場
合は一定の内径dx1を有する部分と管本体との、また、
比較例の場合は一定の深さの溝の部分と管本体との、そ
れぞれ差をあらわす。これら一定の厚さ厚肉化または薄
肉化した(すなわち溝をつけた)軸方向長さは、本発明
例の場合(厚肉化)は、ピン先端からピン長さの21
%、薄肉化した比較例の場合はピン先端から16%とし
た。また、一定の厚さ厚肉化または薄肉化した部分から
なめらかに漸増させて管本体の内径に等しくした位置
は、本発明例の場合は先端からピン長さの30%、比較
例の場合は19%とし、本発明例および比較例のなかで
同一とした。
【0051】これらの継手を下記の試験条件による複合
荷重試験に供試し、その性能を評価した。
【0052】継手を締結した後、管本体に降伏強さの5
0%に相当する応力が生じるような軸方向の圧縮力を負
荷した後、継手と反対側の鋼管端部を溶接により封じた
うえで継手に内圧を負荷して、継手において内圧の漏れ
が発生するまで内圧を順次増加させた。ここで、内圧負
荷試験により管本体に発生するミーゼスの相当応力σeq
は下記の式となることから、内圧の厳しさを漏れ発生
の相当応力σeqと材料の降伏強さの比σeq/σyで表すこ
とにし、内圧はこの比が最高で100%となるまで負荷
した。
【0053】 ミーゼスの相当応力: σeq=(σθ2+σz2-σθ・σz)1/2・・・・・・・・・・ ここで、 円周方向応力: σθ=p×{(D2/do2) +1}/{(D2/do2) −1} 軸方向応力 : σz=p/{ (D2/do2) −1} ただし、 D :管本体の外径(mm) do :管本体の内径(mm) p :試験で負荷する内圧(単位は任意) 〔結果〕表1の最も右側の「漏れ発生荷重(%)」の欄
に、試験結果である漏れが発生したときのσeq/σyの値
を示す。表1に示すように、比較例の従来継手ではσeq
/σyの比が60〜90%で内圧の漏れが発生するのに対
し、本発明の継手ではσeq/σyの比が100%でも内圧
の漏れは発生せず、管の降伏強さに匹敵する圧縮応力が
作用しても健全な継手性能を有していることがわかる。
さらに肉厚比が0.055以下の本発明例である、継手
代符C、D、Eとそれぞれ同じ肉厚比の比較例である継
手代符c、d、eを比べると、本発明に係る継手は漏れ
発生荷重は25%以上高い。肉厚比が0.055を超え
る本発明の継手である継手代符A、Bと比較例の継手代
符a、bとを比較することにより認められる、本発明に
係る継手の漏れ発生荷重の向上代10〜15%以上は、
肉厚比が0.055以下のそれよりも小さい。すなわ
ち、薄肉大径管の場合に本発明の継手の効果がより大き
いことが判る。
【0054】[実施例2]:継手内面についての腐食試
験 継手の内外面の腐食試験を行い、本発明が腐食を確実に
抑制していることをつぎに示す。
【0055】供試材は、表1に示した継手代符A、すな
わち13%Cr鋼からなる外径88.9mm、肉厚6.
40mmの鋼管を対象とする。
【0056】図5(イ)は、本発明に係る継手の要部
を、また図5(ロ)は比較例の継手の要部を示す断面図
である。これら継手を締結した状態で、内部に150
℃、5%NaCl水溶液に30気圧でCO2 を過飽和に
溶解させた流体を流速7m/秒で循環させ、2週間(3
36時間)後の減肉量を測定した。
【0057】〔結果〕本発明に係る継手は、測定部位1
8において最大減肉厚さ0.02mmで、通常認められ
る減肉厚さであったのに対して、比較例の継手において
は測定部位19において最大減肉厚さ0.2mmを示し
た。この減肉厚さの差は、ちょうど10倍であり、内面
形状を本発明のものとすることによる効果が明白であ
る。
【0058】[実施例3]:ボックス部外面の応力腐食
割れ試験 供試材は、上記[実施例2]の供試材と同じ、表1に記
載した継手代符A(材質13%Cr鋼、外径88.9m
m、肉厚6.40mm)を用いた。
【0059】図6(イ)は、本発明に係る厚肉化したピ
ン部を先端から二分の一以下とした継手を、また図6
(ロ)は、ピン部の根元まで厚肉化した比較例の継手の
断面図を示す。図6(イ)においては、内面先端からピ
ン部の17%までを一定厚さに厚肉化し、図6(ロ)の
それは約93%を厚肉化したものである。
【0060】これら継手を締結した状態で、25℃、5
%NaCl水溶液に1%H2S を含むCO2 ガスをバブ
リングした液に浸漬して、2週間(336時間)後にボ
ックス外面を調査した。
【0061】〔結果〕比較例の継手のボックス外面部位
26には応力腐食割れが発生していたのに対して、本発
明例の該当部位25には全く割れは認められなかった。
これは、比較例においてはピン部根元までピン部の内径
を小さくしたために当該部位の剛性が高くなり、ねじの
干渉により発生するボックス部外面の応力も高くなった
ことに起因する。これを回避する方法として、ボックス
部を大きくし肉厚を厚くする方法があるが、そのために
は拡大した継手を挿入可能とするために井戸の径を大き
くする必用があり、その分井戸の掘削コストが増加する
という別の問題を生じる。
【0062】なお、上記実施例1〜3では図1に示した
構成のカップリング方式の継手を示したが、図4に示し
たインテグラル方式の継手でも同様な効果が得られるこ
とは、前記したとおり図3のBの部分が図2と同じであ
ることから明らかである。
【0063】
【発明の効果】本発明による油井管用ねじ継手は、圧縮
力または曲げ荷重の負荷後も優れた気密性能を有するた
め、今後ますます深く、かつ腐食環境が厳しくなる井戸
にも十分な耐久性を有し天然ガスや原油の採取産業にと
って非常に有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るねじ継手のうちカップリング方式
のねじ継手の一形態を示す継手全体の断面図である。
【図2】本発明の標準的な継手のピン部先端付近(図1
のA部)を拡大した断面図である。
【図3】インテグラル方式における本発明の継手の断面
図である。
【図4】ピン部とボックス部の内面に溝を設けて乱流を
防止することにより耐食性を高めたインテグラル方式の
継手の断面図である。
【図5】内面腐食試験に用いた継手の断面図であり、
(イ)は内面形状を滑らかにした本発明例を、また
(ロ)は段差がついた比較例を示す。
【図6】ボックス部の応力腐食割れ試験に用いた継手の
断面図であり、(イ)は厚肉化した部分を先端から17
%とした本発明例を、また(ロ)は先端から93%とし
た比較例を示す。
【符号の説明】
10…管本体 11…ピン部 12…雄ねじ 13…ピン部のシール形成用ねじ無し部 14…ピン部のトルクショルダ形成用ねじ無し部 15…厚肉化されたピン先端部長さ 16…ピン先端からシール部に対応する位置までの長さ 17…ピン部長さ 18、19…ピン部の腐食減肉厚さ測定部位 20…カップリング 21…ボックス部 22…雌ねじ 23…ボックス部のシール形成用ねじ無し部 24…ボックス部のトルクショルダ形成用ねじ無し部 25、26…ボックス部の応力腐食割れ観測部位 30…内面に設けた溝

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】管本体(10)の雄ねじ(12)を有する
    ピン部(11)のテーパ状外面先のシール形成用ねじ無
    し部(13)およびピン部先端のトルクショルダ形成用
    ねじ無し部(14)のそれぞれに対応して、雄ねじより
    小さいピッチ円半径の雌ねじ(22)を有するボックス
    部(21)のテーパ状内奥のシール形成用ねじ無し部
    (23)およびトルクショルダ形成用ねじ無し部(2
    4)のそれぞれが、雌雄ねじ同士の螺合により接触し、
    また、突き合わされて、シール部およびトルクショルダ
    部が形成される油井管用ねじ継手において、下記式を
    満足するように内径を小さくすることにより厚肉化され
    たピン先端部長さ(15)が、ピン先端からシール部に
    対応する位置までの長さ(16)以上で、かつピン先端
    からピン部長さ(17)の二分の一までの長さ以下であ
    り、残りの管本体に近い側のピン部の内径は管本体の内
    径と等しく、先端側の厚肉化されたピン部から残りの管
    本体側のピン部へは内径はゆるやかに漸増し、合わせ
    て、継手締結状態においてトルクショルダ部のボックス
    部の内径がピン部先端の厚肉化された内径に等しいこと
    を特徴とする油井管用ねじ継手。厚肉化されたピン先端
    部の内径をdx (mm) 、管本体の内径をdo (m
    m)として、 do >dx ≧ do − 6 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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