JPH1096489A - 耐外圧性に優れた油井管用ねじ継手 - Google Patents

耐外圧性に優れた油井管用ねじ継手

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JPH1096489A
JPH1096489A JP25116396A JP25116396A JPH1096489A JP H1096489 A JPH1096489 A JP H1096489A JP 25116396 A JP25116396 A JP 25116396A JP 25116396 A JP25116396 A JP 25116396A JP H1096489 A JPH1096489 A JP H1096489A
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pin
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Masaaki Sugino
正明 杉野
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三幸 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】基本的な性能を全て備え、さらに耐外圧性の高
い油井管用ねじ継手の提供。 【解決手段】ヒ゜ンとホ゛ックスを嵌合させシール部とトルクショルタ゛部
を形成し、条件(イ)(ロ)(ハ)(ニ)を全て満たすねじ継手。 (イ)ヒ゜ン先端叉はホ゛ックス奥のシール形成面は、管軸を回転軸と
する円錐面である。 (ロ)ヒ゜ン先端のシール形成面の基準位置での有効径はホ゛ックス側
のそれより大きい。 (ハ)ショルタ゛角θ,リッフ゜厚比R,リッフ゜長さL,シール長さS,シールテーハ゜T
が、0°≦θ≦20゜, 0.25≦R≦0.75, 6mm≦L≦30mm, 3m
m≦S≦10mm, 1/16≦T≦1 の範囲内にある。 (ニ)f>1.2を満足する。ただし、f=-3.26×10-1+3.19×1
0-2(1/゜)×θ(゜)+1.43×R-4.67×10-4(1/mm)×L(mm)+
8.39×10-2(1/mm)×S(mm)-6.22×10-1×T

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然ガスや原油の
探査または生産用の油井、とくに高い外圧のかかる海水
や地下水などの層の下にあるガスや油などの埋蔵物を汲
み上げる油井での使用に好適な管の継手に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、深さ数千mにもおよぶ天然ガス田
や油田等の探査および生産に使用される油井管を接続す
る技術としてねじ継手が広く用いられている。油井管用
ねじ継手には、管の一端にピン部を、他端にボックス部
を形成し、管同士を接続するインテグラル方式と、二つ
のボックス部をもつカップリングと両端にピン部をもつ
管とを接続するカップリング方式がある。これらねじ継
手には共通して、1)接続された管の自重による軸方向の
引張力に耐え得ること、2)内部の流体による内圧あるい
は外部の流体による外圧に耐え得ること、3)数十回の繰
り返し使用ができること、などの性能が要求される。近
年、井戸の深さが深くなる傾向にあり、また今まで掘削
の対象とされなかった大水深部の油田や極地などの劣悪
な埋蔵環境下においても採掘や生産が行われる場合が多
くなってきており、上記要求性能はますます厳しくなっ
てきている。
【0003】このような要求に対応して締結状態におい
てシール部およびトルクショルダ部を有する継手に関し
て多くの提案がなされてきた。
【0004】図1(a)は、本発明が対象とする、締結
状態においてシール部とトルクショルダ部が、ピンの雄
ねじ部より先端側で、同時にボックスの雌ねじ部より奥
側にあるカップリング方式のねじ継手の“管軸を含む平
面による断面”図である。図1(b)はそのねじ部、シ
ール部を含む継手内部の拡大図である。以後の説明にお
いて、“管軸を含む平面による断面”のことを単に“断
面”という。また、“奥”とはボックス内面の雌ねじ部
より奥の部分、すなわちカップリング中心に近い部分を
指す。
【0005】図1に示すように、この継手においては、
管10の端部であるピン部11の雄ねじ12より先の外
周面に、円錐面状のシール形成面13がある。また、カ
ップリング20の内部であるボックス部21の雌ねじ2
2より奥の内周面は、同じく円錐面をなし、その有効径
がピン側シール形成面13の有効径より小さいシール形
成面23がある。管とカップリングを螺合し、両者のシ
ール形成面を嵌合させることにより、締結状態でシール
部を形成する。ここで、「有効径」とは、締結していな
い状態において、管軸18あるいはカップリング軸18
のまわりの回転面であるピン部あるいはボックス部のシ
ール形成面の基準位置の平均直径をいう。また、「基準
位置」とは、ピン先端13あるいはボックス奥23のう
ち締結時シール部を形成する位置に対応する締結しない
状態でのそれぞれの表面位置をいう。ピン側の有効径が
ボックス側より大きいにもかかわらずボックスに嵌合さ
れるのは、締結時、弾性変形が生じるためである。ま
た、「円錐面」とは、管軸18あるいはカップリング軸
18を回転軸とする円錐面で、かつピン部の場合はピン
先端ほど管軸に近づき、ボックス部ではボックスの奥ほ
どカップリング軸に近づく面をさす。締結したとき、こ
の円錐面同士が幅(“断面”上で点でない)をもって接
触する。本発明の対象もこのような形状のシール形成を
行う継手を対象とする。
【0006】このシール部においてメタルタッチシール
が構成されることにより、油井管内部の流体による内圧
負荷あるいは管外部の流体による外圧負荷に対する気密
性能が確保される。
【0007】なお、ピン先端において表面にシール形成
面およびトルクショルダ形成面を有するねじの無い部分
をリップ部15という。
【0008】ピン部11のシール形成面13よりさらに
先端にあるトルクショルダ形成面14と、ボックス部2
1のシール形成面23のさらに奥にあるトルクショルダ
形成面24とを、突き合わせることによりトルクショル
ダ部が形成される。トルクショルダ部が形成されること
により、過度の塑性変形が生じる程の高い接触面圧がシ
ール部に発生しないように、締結トルクが適正な値にコ
ントロールされる。
【0009】つぎに外圧に対する漏れを防止するねじ継
手の構造について説明する。
【0010】このような油井管用ねじ継手において、内
部の流体が漏洩しないように気密性能を確保することは
もちろんであるが、掘削対象以外の外部の高圧流体が管
内部に浸入すること、いわゆる外圧漏れを防止すること
も重要である。すなわち、もし、外部の高圧流体が継手
部分から油井管内部に浸入すると、内部を流れる生産対
象流体に泥水等が混入し品質が低下するという弊害が生
ずる。さらに悪いことには、内部の生産対象流体あるい
は掘削用循環水の粘度や比重などの物理的性質が急激に
変化するため油井の圧力コントロールが困難になり、圧
力不足が原因で汲み上げ不能に陥るか、または、最悪の
場合、油井の噴壊を招くおそれがある。そのため、油井
管継手の気密性能を担うシール部の構造にはこれまでに
さまざまな形態の発明がなされてきた。
【0011】それらを概括すればつぎのとおりである。
【0012】シールはその設置箇所により、継手のねじ
部よりもボックス奥側に設置された内部シール、ボック
ス先の部分に設置された外部シール、ねじ部に設置され
た中間シールおよびこれらの組み合わせシールに大別で
きる。さらにその密封態様には、ピン部とボックス部の
シール形成面の嵌合によりメタルタッチシールを形成す
る方法、テフロンリングなどの軟質材料からなるパッキ
ン材をピン部材とボックス部材の間に挿入する方法、ト
ルクショルダ部に高い気密性を付与してシール機能も併
せもつショルダを形成する方法およびこれらをいくつか
組み合わせた方法がある。また、特殊なものとして、ね
じ部のすき間を非常に小さくし、そのすき間をグリース
やコンパウンドで埋めることによりねじ自体に気密性能
を持たせ、いわゆるねじシールを形成する方法などがあ
る。またそれぞれの態様において、気密性能を向上させ
るために、シール形成面あるいはショルダ形成面、ねじ
形成面などに合金や軟金属のメッキあるいは合成樹脂に
よる被覆、リン酸亜鉛やリン酸マンガンなどによる表面
処理、メタルタッチシール部の密封面圧を高めるための
残留応力付与といった工夫を施したものがある。
【0013】下記の(a)〜(d)にこれらシール態様の代表
例およびその問題点を説明する。
【0014】(a) 図1に示すように、ボックス部の雌ね
じよりも奥に設置される内部シールは一般用途の油井管
用ねじ継手において最も多いシール形態であり、気密性
能や取り扱い性を向上させるために多くのシール部形状
およびトルクショルダ部形状が考案されている。
【0015】図2は、ピン部のシール形成面13を、大
きな曲率半径をもつ曲線弧を管軸に関して回転させてで
きる回転面とし、ボックス部のシール形成面23はテー
パ状の直線を回転させた円錐面とし、シール形成部の密
封箇所の形態を面接触でなく線接触とすることにより、
密封面圧を高め確実な密封性能が得られるようにしたカ
ップリング方式のねじ継手(特公平2−31271号公
報)を表す断面図である。すなわち、図2に示すよう
に、ピン側のシール形成面との接触が“断面”上で点と
なり、そこに応力を集中させ密封面圧を高くしたもので
ある。実際には、締結した状態では弾性変形などのた
め、その程度は小さいものの接触は幅をもったものにな
る。
【0016】図3は、ピン側トルクショルダ形成面とボ
ックス側のトルクショルダ形成面の“断面”上における
曲線弧を、それぞれ異なる曲率R1 およびR2 を持つ凸
曲線および凹曲線とし、ピン側トルクショルダ形成面の
曲率半径R1 をボックス側トルクショルダ形成面の曲率
半径R2 より小さくとり、かつR1 の曲率半径中心をR
2 のそれより管内側(管軸寄り)とした継手(特公昭5
2−11765号公報)を表す断面図である。トルクシ
ョルダ形成面をこのような形状にすると、同図において
ピン側リップ部15の管軸中心方向へのたわみは軽減さ
れる。さらに製作誤差によるシール部の周方向に不均一
な接触圧は自動的に均一な接触圧に再配分され、トルク
ショルダ部14、24とシール部13、23の2カ所で
良好な密封状態が得られるようになる。
【0017】さらに、メタルタッチシールの近傍に、テ
フロンリングなどのパッキン材を挿入し、高圧流体に対
してはメタルタッチシールによる密封部で、低圧流体に
対してはパッキン材による密封部で気密性能を負担しよ
うとする形態のものもある(特公昭52−11768号
公報、特公昭52−11769号公報、特公昭52−3
8249号公報、特公平4−9956号公報など)。
【0018】これら内部シールの継手は、いずれも、1)
シール部の形状が複雑であり加工が困難であるか、ある
いは製造のコストがかかりすぎるため実用的でない。2)
外圧に対する気密性能について全く考慮されていない
か、あるいは考慮していても設計の段階では、実際にど
れ程の耐外圧性能を有するのか予測がつかない、といっ
た共通の問題点がある。
【0019】(b) 図4は、ねじ部の中ほどに、トルクシ
ョルダ部14、24と、2カ所のメタルタッチシール部
13、23および17、27を設けた中間シールによる
カップリング方式の継手(特公平4−8678号公報)
を表す断面図である。ねじ部でのシールを改良しようと
する発明は、同図に示す継手の他に、内面のメタルタッ
チシールとねじ部内のメタルタッチシールを組み合わせ
たものがある(特公平4−29915号公報)。
【0020】図5は、内部シール13、23と併設して
ボックス側雌ねじ中ほどに環状の溝30を設け、テフロ
ンリングなどのパッキン材31を挿入した継手(特開昭
55−119281号公報、特公昭57−32273号
公報)を表す断面図である。この他に内部シールと併設
するシールを設けた継手として、完全ねじ部中央付近の
1山ないし2山に金属メッキあるいは表面処理を施し
て、このねじ山部分に密封能力を持たせた継手(特開昭
63−130986号公報)がある。
【0021】これら中間シールの継手のうち、特公平4
−8678号公報(図4)および特公平4−29915
号公報に提示する継手は、上記内面シールと同様の問題
点がある。すなわち、1段目と2段目のねじピッチを精
密に合わせないといけないなど高い加工精度が要求され
るため、加工時間の長時間化、歩留まりの悪化を招き製
造コストの増大を招く。また、外圧に対してどれ程の気
密性能を有するかは実体試験を行うまで不明である。ま
た特開昭55−119281号公報や特公昭57−32
273号公報に示す継手(図5)は、ボックス側雌ねじ
部中ほどの環状溝に挿入したテフロンリングなどによる
密封面が、通常の低圧流体に対し密封効果を発揮する
が、高圧流体に対してはあまり密封効果は期待できない
という問題をもつ。特開昭63−130986号公報の
ようなねじ部中ほどの1山ないし2山を金属メッキある
いは表面処理する方法は、上記の問題点に加え、幾度か
継手の締め付けとゆるめを繰り返す間に被覆材が摩耗し
たり、欠落したりするために気密性能が低下し、数十回
の使用に耐えられないという欠点がある。
【0022】(c) 図6は、内部シール13、23と併設
してピン側外面の雄ねじ部の付け根部にトルクショルダ
用肩部14を設け、ボックス部先端に設けたトルクショ
ルダ用平坦面24をそれに突き合わせることにより形成
される外面トルクショルダ部にトルク制御能力に加えて
密封能力をも付与した継手(実公平1−12051号公
報)を表す断面図である。
【0023】この外部シールでは、管軸方向に垂直な面
からなるトルクショルダ面に気密性能が付与されている
が、上記(b) の問題点と同様、外圧に対しどれほどの気
密性能があるのか疑わしい。
【0024】(d) ねじ部に気密性能を付与したねじシー
ルの例としては、ねじ全面にスズなどの軟金属メッキを
施したもの、あるいは特公平3−75796号公報のよ
うにボックス側雌ねじ部およびシール形成部全面に合成
材料ライニングを貼り付けたものがある。
【0025】この継手では、ボックス側雌ねじ部および
シール形成部に合成材料ライニングを均一に貼り付ける
技術が難しく、加工時間の長時間化、歩留まりの悪化を
招き製造コストの増大を招く。また現場での繰り返し使
用中にライニング材が損傷および欠落し気密性能が低下
してしまう可能性がある。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、油井
管用ねじ継手に要求される基本的な性能を全て備えるこ
とに加えて、さらに耐外圧性に優れた油井管用ねじ継手
を提供することにある。具体的には、API Bulletin 5C3
で規定される管本体の崩壊外圧Ppの1.2 倍以上の外
圧が作用しても漏れが発生しない耐外圧性を有する油井
管用ねじ継手の提供にある。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を解決するため、内部シールを有する油井管用ねじ
継手について、ピン部とボックス部を締結した状態で内
圧が作用した時と外圧が作用した時のメタルシール形成
部およびトルクショルダ形成部の挙動の違いについて詳
細な検討を行い、下記の事項を確認した。
【0028】1) 図7は、継手の内面に内圧Pi40が
負荷された場合、ピン側シール形成面13がボックス側
シール形成面23に押しつけられる様子を表す断面図で
ある。すなわち、内圧Pi が増加するにしたがい、シー
ル部の密封面圧も増加するため、シール形成部の気密性
能がより向上する。
【0029】図8は、これに対し、ねじ部のすき間を通
ってシール部密封面の直前まで浸透してきた外圧Pe 4
2によって、気密性能が低下する様子を表す断面図であ
る。同図にみられるように、外圧Peによりシール形成
部とねじの切れ上がり部の間にある空間32を膨らます
向きに力が加わり、特に内外圧力差のために、ピン部側
リップ部15の有効径を縮径させる向きの力Fe 43が
大きくなる。この力Fe は、ピン側シール形成面13と
ボックス側シール形成面23とを引き離す方向に作用す
るため、外圧Pe が増加すればするほどシール部の密封
面圧は小さくなる。ここで、Pe 42は正味の作用外圧
(kgf/mm2 )であり、Fe 43は内外圧力差によ
って発生する力(kgf)をさす。
【0030】しかしながら、シール形成部を特殊な形状
にしたり、密封部分を増やすことはいたずらに加工の手
間やコストを増大させ、また取り扱い性の低下にもつな
がるため、実用的でない。そこで本発明は、製造コスト
および取り扱い性の面で有利な、円錐面状のシール形成
部およびトルクショルダ形成部からなる内部シールの形
状、すなわち図1に示す形状を対象にした。このような
継手に外圧が作用したときのシール形成部近傍の力学的
挙動について詳しい調査を行った結果、つぎのことが確
認できた。
【0031】2) 図9は、継手締結時のシール部および
トルクショルダ部の接触面圧分布を表す断面図である。
同図において、ピン側シール形成面の有効径をボックス
側シール形成面の有効径より大きくしているために、ピ
ン先端のリップ部で縮径方向に曲げ変形が生じる。この
とき、リップ部の自由端よりも付け根側のほうが曲げ剛
性が高いために、シール形成面における接触圧分布は、
自由端側よりも付け根側のほうが大きくなる接触圧分布
45(図9)のようになる。
【0032】トルクショルダ部についても、ピン先端リ
ップ部の縮径方向の曲げ変形により、トルクショルダ形
成面のシール形成部側の接触しろの方が管内面側(管軸
側)のそれよりも大きくなるために、図9に示すような
接触圧分布45となる。
【0033】図10は、この締結された状態に外圧を作
用させたときのシール部およびトルクショルダ部の接触
面圧分布を表す断面図である。
【0034】また、図11は、ねじ部に近いピンの平行
部(以後、「ねじ無し平行部」という)に、外圧に起因
する力Fe43 が作用することによってこの部分が縮径
方向にたわむ様子を表す断面図である。同図に示すよう
に、外圧に起因する力Fe によりシール形成部の付け根
側の嵌合しろは小さくなる。それに比べて、トルクショ
ルダ形成面の管内面側端28(▲印の部位)がちょうど
支点のような働きをするため、リップ部の最先端部は逆
に拡径方向に反るように変形し、シール形成面の先端側
の嵌合しろは大きくなる。またトルクショルダ部につい
ても、管内面側端28がピン側リップ部のたわみ変形の
支点反力によって接触圧が高くなり、反対にシール形成
部側はリップ最先端部の拡径方向に反るような変形によ
って接触しろが小さくなるため接触圧が低くなる。
【0035】上記2)の詳細な検討より、外圧に対する気
密性能、すなわち外圧負荷時のシール部の接触面圧分布
には、つぎに示すの5つの形状因子が主に影響すること
を確認できた。
【0036】トルクショルダ形成面の支点の役割の効
果を左右する“ショルダ角θ(゜)”、 ピン先端のねじ無し平行部のたわみ量を左右する“リ
ップ厚比R”および“リップ長さL(mm)”、 シール形成部の形状そのものを決定する“シール長さ
S(mm)”および“シールテーパT” 図12は、上記の5つの形状因子を“断面”上で表した
図面である。ただし、ここで、“リップ厚比R”は、
(ピン側リップ部肉厚)/(リップ部外径)と(管本体
肉厚)/(管本体外径)との比を指し、管本体サイズを
加味した因子である。
【0037】本発明は、これら5つのシール形状因子の
とりうる値の範囲および漏れ発生外圧との関係を調査
し、両者の関係を決定することにより完成されたもので
あり、下記の油井管用ねじ継手を要旨とする(図1
(a)、(b)および図12参照)。
【0038】『ピンとボックスを螺合させ、ピン先端の
ねじ部の先の外周面に設けたシール形成面と、ボックス
のねじ部より奥の内周面に設けたシール形成面とを嵌合
させることによりシール部を形成し、同時にピン最先端
に設けたトルクショルダ形成面と、ボックス最奥の肩部
に設けたトルクショルダ形成面とを突き合わせることに
よりトルクショルダ部を形成するねじ継手であって、ピ
ン先端部とそれに相対するボックス奥部の形状の範囲を
決定する下記の条件(イ)、(ロ)、(ハ)および
(ニ)をすべて満足することを特徴とする、耐外圧性に
優れた油井管用ねじ継手。』 (イ) ピン先端外周面のシール形成面またはボックス
奥内周面のシール形成面は、管軸またはカップリング軸
を回転軸とし、それぞれ、ピン先端ほどまたはボックス
の奥ほど軸に近づく円錐面である。
【0039】(ロ) ピン先端のシール形成面の基準位
置における有効径はボックス奥のシール形成面の基準位
置における有効径より大きい。
【0040】(ハ) ピン先端および相対するボックス
奥の形状を決定する5つの因子、ショルダ角:θ
(゜)、リップ厚比:R、リップ長さ:L(mm)、シー
ル長さ:S(mm)およびシールテーパ:Tが、それぞ
れ、下記の範囲にある。
【0041】0°≦θ(゜)≦20°、0.25≦R≦
0.75 6mm≦L(mm)≦30mm、 3mm≦S(mm)≦10mm、1/16≦T≦1 (ニ) ショルダ角:θ(゜)、リップ厚比:R、リッ
プ長さ:L(mm)、シール長さ:S(mm)およびシール
テーパ:T の1次多項式である関数fが、 f > 1.2 を満足する。 ただし、 上記の本発明は、ピン部の先端の形状を決める5つの因
子のそれぞれの範囲(条件(ハ))およびそれらに加え
て5つの因子の一次多項式fが決める1つの範囲(条件
(ニ))のみを指定すれば、API Bulletin 5C3 で規定
される管の崩壊外圧の1.2 倍の外圧が作用しても漏れ
の発生しないメタルシールを有するねじ継手が得られる
ことを意味する。これら5つの因子は当該ピン先端部に
対応するボックスの奥の形状をも決定するのは明らかで
ある。
【0042】また、管本体と継手の降伏強さおよびサイ
ズを指定する必要がないのは、つぎの理由による。すな
わち、管の降伏強さおよびサイズは、API Bulletin 5C3
による“管の崩壊外圧”の計算に使用されており、継
手の耐外圧性が、「“管の崩壊外圧の1.2 倍の外圧”
に耐えうる」と表現すれば、すでにおもてに現れない形
で使用されている。言い換えれば、後記するように外圧
を管の崩壊外圧で規格化したために、実験結果の整理、
すなわち関数fに継手の降伏強さおよびサイズの項が必
要ないのである。
【0043】本発明における条件(イ)、(ロ)、
(ハ)および(ニ)を満たした結果、5つの形状因子は
一義的に決まるわけではなく、5つの因子ともにそれぞ
れ条件(ハ)の範囲を条件(ニ)によって狭められる
が、なおそれぞれの因子は範囲をもつ。その狭められた
範囲のなかにある限り、API Bulletin 5C3 に規定する
崩壊外圧Pp の1.2 倍の外圧に耐えることができる。
その狭められた範囲内で、加工のしやすさなども考慮し
た上で最終的な形状を決定することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】つぎに本発明に関わる構成要件の
限定理由について説明する。
【0045】1.ピン先端の大略の形状(条件(イ)お
よび(ロ)) ピン部あるいはボックス部のシール形成面は、ともに管
軸あるいはカップリング軸のまわりに回転してできる円
錐面とする。円錐面とするのはシール部の全周にわたっ
て完全なメタルタッチシールを得るためである。それぞ
れピン先端ほど、あるいはボックスの奥ほど軸に近づく
テーパ状になっているのは、ピン先端のシール形成用ね
じ無し面をボックス側シール形成用ねじ無し面に挿入し
やすくし、上記したシール部およびトルクショルダ部を
形成しやすくするためである。
【0046】また、シール形成用ねじ無し面の基準位置
において、締結しない状態で、ピン側の有効径をボック
ス側のそれより大きくするのは、締結した状態において
材料(鋼材)の弾性変形を利用してメタルタッチシール
部の面圧を発生させ、密封能力をもたせるためである。
【0047】2.5つの形状因子 はじめに、本発明を構成する5つの形状因子がとりうる
値の範囲(条件(ハ))の限定理由について述べる。
【0048】ショルダ角:θ(゜) まず、ショルダ角θのとりうる値の範囲を0°以上20
°以下とするのは、次の理由による。すなわち、上限を
20°とするのは、ショルダ角が20゜を超えると、と
くにボックス側トルクショルダ部の最奥肩部で過度の塑
性変形が生じ、トルクの制御機能が損なわれて使用でき
なくなるからである。下限を0°とするのは、ショルダ
角が0°未満(すなわち、管軸に垂直な断面を挟んで反
対側への角度=a>0)になると、トルクショルダ面の
反力Ft の半径方向成分F ・cosaが、ピン側シ
ール形成面13をボックス側シール形成面23から引き
離す方向に作用するためにシール部の密封面圧が低下
し、その結果十分な気密性能が得られなくなるからであ
る。
【0049】図13は、このようなショルダ角が0゜未
満の場合のシール部の密閉面圧が低下する様子を表す断
面図である。
【0050】リップ厚比:R リップ厚比Rを0.25以上0.75以下とするのは、
つぎの理由による。すなわち、上限を0.75とするの
は、実用上、0.75以上のリップ厚比を考慮する必要
がないためである。すなわち、通常は管端をそのままの
肉厚でねじ切り加工を施しピン部を製造するが、テーパ
ねじを用いているため、リップ厚の物理的な上限はねじ
長さ、ねじテーパ、ねじ高さが定まればおのずと決定さ
れる。実用に供される油井管ねじ継手の場合、およその
ところ、ねじ長さは肉厚の3倍以上、ねじテーパは1/
20以上、ねじ高さは約1mm以上で設計されている。
この結果、ねじ切り加工の余裕しろやピン先端の内削分
も含めると、リップ厚比の物理的な上限は0.75程度
となる。
【0051】一方、下限を0.25とするのは、ピン先
端リップ部の厚みがこれよりも薄いと、リップ部の剛性
が小さくなりすぎ、わずかな締め過ぎに対してもピン先
端リップ部に過度の塑性変形が生じ気密性能が低下する
という、いわゆるオーバートルク性能が悪化するからで
ある。
【0052】リップ長さ:L(mm) リップ長さLのとりうる値の範囲を6mm以上30mm以下
とするのは、次の理由による。すなわち、図12におい
て、〔シール形成部端からねじの切れ上がりまでの間〕
である〔ねじ無し平行部〕に接して形成されるピン部お
よびボックス部のすき間(空間)のことを〔ねじランア
ウトグルーブ〕と呼ぶが、リップ長さは、(リップ長
さ)=(シール長さ)+〔ねじランアウトグルーブ=ね
じ無し平行部〕で表される。このねじランアウトグルー
ブは、ボックス側のねじ切り加工時の、チェザーと呼ば
れるねじ切り工具の切削屑の逃げ場の役目を果たしてい
る。したがってリップ長さの下限を6mmとするのは、最
低限必要な大きさのねじランアウトグルーブを確保する
ためである。反対に上限を30mmとするのは、ねじラン
アウトグルーブ長さをいたずらに長くしても継手の気密
性能、耐引張性能、耐圧縮性能はほとんど向上せず、逆
に材料コストが増加するだけだからである。
【0053】シール長さ:S(mm) シール長さSのとりうる値の範囲を3mm以上10mm以下
とするのは、次の理由による。すなわちシール長さの上
限を10mmとするのは、シール長さが長いとシール形成
部の接触面積が大きくなるとともに接触面圧が小さくな
り、気密性能が低下してしまうからである。またもし気
密性能を確保できるだけの接触面圧を得るためにシール
形成部の嵌合しろを大きくすると、今度はシール形成面
で焼き付きが発生してしまうからである。さらに、シー
ル形成面は通常気密性能を高めるために、他の部位より
も表面粗さが小さくなるように精密切削加工を行い、リ
ン酸亜鉛やリン酸マンガンなどを用いて表面処理が施さ
れているので、シール長さをいたずらに長くすることは
製品精度の低下や製造コストの増加を招き好ましくな
い。
【0054】一方、シール長さの下限を3mmとするのは
つぎの理由による。すなわち、シール長さが短すぎる
と、シール形成面の接触形態が線接触に近い状態にな
り、接触圧が高くなりすぎてシール形成面の焼き付きあ
るいは過度の塑性変形が生じてしまうからである。
【0055】シールテーパ:T 最後にシールテーパTのとりうる値の範囲を1/16以
上1以下とするのは、つぎの理由による。すなわちシー
ルテーパの上限を1とするのは、これより大きいと締結
された継手を含む管本体に軸方向に引張力が作用したと
きに、シール形成面の接触面圧の低下率が大きく、気密
性能が大幅に低下してしまうからである。一方、シール
テーパの下限を1/16とするのは、1/16より小さ
いとシール形成面が接触しながら回転する距離、すなわ
ち摺動距離が長くなり、シール形成面で焼き付きが生じ
る原因になるからである。
【0056】上記の5つの形状因子は、いずれもピン部
に関して記述し、また図12においてピン部に関して表
示されているが、継手として機能するためにはそれに相
対するボックス部内面の形状も、当然ピン部に合わせた
形状としなければならないことはいうまでもない。
【0057】3.関数f つぎに、本発明の不等式(ニ)のなかに示される関数f
を設定した理由について述べる。関数fは、図1に示す
内部シールの形状の範囲内で様々な形状のリップ部を有
するカップリング形式の油井管用ねじ継手を作製し、外
圧負荷の実体試験を行い、その結果を解析することによ
って決定された。
【0058】つぎに関数fを設定する根拠となった実体
試験について述べる。
【0059】a.実体試験 上記供試材のピン先端および相対するカップリング内部
の形状につき、本発明の条件(ハ)に記載されている範
囲で各シール形状因子を変化させることにより、シール
形状の異なる継手を多数製作し、次の外圧負荷試験に供
した。
【0060】a-2.外圧負荷試験 ピン部のねじを設けていない管端に鋼板を溶接すること
によって密封し、カップリング部と締結した後、外圧を
負荷する。そして負荷外圧を徐々に高くし、漏れが発生
するか継手あるいは管本体が圧潰するまで試験を続行
し、最終圧力値を記録した。
【0061】b.関数fの導出 上記の外圧負荷試験結果を整理することにより、各シー
ル形状因子は上記の範囲内において、それぞれが漏れ発
生外圧とほぼ比例関係にあることを確認した。それぞれ
の影響の仕方はつぎの通りであった。
【0062】(A)ショルダ角θおよびリップ厚比Rは
大きいほど、漏れ発生外圧が高い。
【0063】(B)シール長さSは短いほど、シールテ
ーパTは小さいほど、漏れ発生外圧が高い。
【0064】(C)リップ長さLは、耐外圧性能に対す
る影響度が低い。
【0065】これより、各シール形状因子と漏れ発生外
圧(〔API(米国石油協会)のBulletin 5C で規定され
ている崩壊外圧=Pp 〕によって規格化された外圧値)
の関係を一義的に決定するため、実験結果を最小2乗法
により下記の(ホ)式に示す1次の多項式の形に近似を
行い、その係数α0〜α5の値を決定した。 (ホ)・・・f(θ,R,L,S,T) =α0 + α1・θ + α2・R + α3・L + α4・S + α5・T ただし、上記したように、θはショルダ角、Rはリップ
厚比、Lはリップ長さ、Sはシール長さ、Tはシールテ
ーパ、を表す。
【0066】具体的には、APIに規定される崩壊外圧
をPp 、漏れ発生外圧をPとして、f(θ,R,L,S,
T)=P/Pp とおいて、係数α0〜α5の値を求めた。
すなわち、API Bulletin 5C3 に規定する崩壊外圧が5k
g/mm2 のとき、漏れ発生外圧が7kg/mm2(実験値)とす
ると、規格化された外圧として1.4 (=7/5)を右
辺に代入する。他の実験値も同様に代入して、それらに
対して最小2乗法を適用して係数α0〜α5を求めた。そ
の結果は、つぎの通りである。
【0067】α0 = −3.26×10-1 α1 = +3.19×10-2(1/゜) α2 = +1.43 α3 = −4.67×10-4(1/mm) α4 = +8.39×10-2(1/mm) α5 = −6.22×10-1 これらの係数を上記(ホ)式に代入した一次多項式が、
関数fである。この関数を用いることにより、上記の5
つの形状因子の限定範囲内での任意のシール形状におけ
る漏れ発生外圧が推定可能となり、その推定値と実測値
との誤差は最大で4%程度と非常に精度のよい漏れ発生
外圧予測を行うことができる。
【0068】4.不等式の設定 上記実体試験から得られた各シール形状因子と漏れ発生
外圧の関係を表すfを用いることにより、形状設計の段
階で耐外圧に関する性能設計が容易に行うことができ
る。すなわち、APIの崩壊外圧Ppのy倍の外圧P
(P=y・Pp )が作用しても漏れが発生しないような
密封性能を有するリップ先端形状を設計する場合、関数
fが f(θ,R,L,S,T)>y を満たしさえすれば、5つのシール形状因子を適宜組み
合わせて、外圧Pに耐え得るねじ継手の範囲を決定する
ことができる。本発明の場合、y=1.2 である。本発
明のように管の崩壊外圧の1.2 倍の外圧に耐えること
をうたった油井管用ねじ継手は、これまで例をみない。
このように、多くの試作試験を経ることなく本発明の技
術思想に基づき試作回数を最小にしながら、外圧に対す
る性能を確保した上で、残りの自由度は加工コストを最
小にするような継手にすることも可能であるし、焼き付
きなどの不具合の発生しにくい継手にすることも可能で
ある。ここで“残りの自由度”とは、上記の条件
(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)は、5つの形状因
子の範囲を決めるが、5つの形状因子をそれぞれ一義的
に決めるものでなく、範囲として決めることをいう。し
たがって、上記したように、その範囲のなかで各因子を
自由に選択することができる。
【0069】これまでの説明では、“カップリング”と
いう用語を用いて説明するときがあったが、本発明はカ
ップリングのボックス構造が予め接続する管の端に設け
られていても修正する必要はない。したがって、本発明
はカップリング方式およびインテグラル方式の別なく両
方の方式に適用できる。
【0070】
【実施例】本発明の効果を、図1に示した内部シールを
有するカップリング方式の継手についての実施例に基づ
いて示す。
【0071】表1は、それらの継手A、B、C、Dおよ
びEについてピン先端部以外の諸元を表す一覧表であ
る。
【0072】また、表2は、上記継手A、B、C、Dお
よびEのピン先端および対応するボックス奥の形状を決
定する5つのシール形状因子の一覧表である。継手A、
BおよびCの5つのシール形状因子の値は、各因子につ
いて本発明で設定された範囲内(条件(ハ))におい
て、条件(ニ)、すなわち管の崩壊外圧の1.2 倍の外
圧に耐えるように決定された。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】継手DおよびEは、本発明で得られた油井
管用ねじ継手の耐外圧性能が既存の継手よりもどの程度
優れているかを明確にするために、実際に油井において
使用されている比較用の同サイズの油井管用ねじ継手2
種類である。
【0076】これらの継手を以下の試験に供試し、その
性能を評価した。
【0077】a.外圧負荷試験 潤滑用グリスをねじ部およびねじ無し部に塗布し、継手
の締結と解体を10回繰り返した後、継手を締結した状
態でガスにて外圧を負荷した。負荷は、圧力を徐々に増
加させ、漏れが発生するか、継手あるいは管本体が圧潰
するまで試験を行い、最終圧力値を記録した。本試験
は、従来に例を見ないほど耐外圧性を向上させた本発明
の継手の性能を確認するための試験である。
【0078】b.引張荷重と内圧の重畳負荷試験 上記試験と同じく継手の締結と解体を10回繰り返した
後、継手を締結し管本体に降伏強度の95%に相当する
応力が生じるような軸方向の引張力( 291.2to
n)を負荷し、さらにそれに加えて管本体に降伏強度の
95%に相当する応力が生じるような内圧(6.6kgf/m
m2)をガスにより負荷する。このときの漏れの発生の有
無を調査する。本試験は、本発明の継手が基本的な性能
を満足することを立証するための試験である。
【0079】表3は、これらの試験結果を表す一覧表で
ある。
【0080】同表より、本発明例の耐外圧性能はピン先
端部の形状設計時の耐外圧性能(API規定の崩壊外圧
の1.2倍 )をいずれも満足している。実際に漏れが発
生した外圧と、関数fにより計算された外圧値との誤差
は最大で2.3% である。さらに、本発明例が、既存の
継手(比較例)に比べて耐外圧性能が優れているのは表
3より明らかである。
【0081】
【表3】
【0082】
【発明の効果】本発明による油井管用ねじ継手は、関数
fに基づいて内部シールの形状が決定され、従来の継手
に例をみない管本体の崩壊圧の1.2倍の耐外圧性能を
満足したうえで、なおかつ加工コストを最小限に抑えた
り、あるいは耐久性を高めたり、またそれらの性能の均
衡をとることが可能であり、今後ますます厳しくなる採
掘条件にも十分耐えうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明が対象とする、カップリ
ング方式のねじ継手の管軸を含む平面による断面図であ
る。図1(b)はそのねじ、シール部を含む継手内部の
拡大図である。
【図2】図2は、先行発明のねじ継手を表す断面図であ
る。
【図3】図3は、ピン側トルクショルダ形成面の曲率半
径R1 をボックス側トルクショルダ形成面の曲率半径R
2 より小さくとり、かつR1 の曲率半径中心をR2 のそ
れより管軸よりとした先行発明の継手を表す断面図であ
る。
【図4】図4は、ねじ部の中ほどに、トルクショルダ部
14、24と2カ所のメタルタッチシール部13、23
および17、27を設けた先行発明の継手を表す断面図
である。
【図5】図5は、内部シール13、23と併設してボッ
クス側雌ねじ中ほどに環状の溝30を設け、テフロンリ
ングなどのパッキン材31を挿入した従来技術の継手を
表す断面図である。
【図6】図6は、内部シール13、23と併設してピン
側外面の雄ねじ部の付け根部にトルクショルダ用肩部1
4を設けた外面トルクショルダ部に密封能力を付与した
先行発明の継手を表す断面図である。
【図7】図7は、継手内面に内圧Pi が負荷された場合
に、ピン側シール形成面13がボックス側シール形成面
23に押しつけられる様子を表す断面図である。
【図8】図8は、ねじ部のすき間を通ってシール部密封
面の直前まで浸透してきた外圧Pe によって、気密性能
が低下する様子を表す断面図である。
【図9】図9は、継手締結時のシール部およびトルクシ
ョルダ部の接触面圧分布を表す断面図である。
【図10】図10は、締結された状態で外圧を作用させ
たときの、シール部およびトルクショルダ部の接触面圧
分布を表す断面図である。
【図11】図11は、ピンのシール部とねじ部の間にあ
るねじ無し平行部に、内外圧力差に起因する力Fe が作
用することによる、ピン先端の変形の様子を表す断面図
である。
【図12】図12は、ピン先端での5つの形状因子を
“断面”上で表す図面である。
【図13】図13は、ショルダ角が0゜未満の場合のシ
ール部の密閉面圧が低下する様子を表す断面図である。
【符号の説明】
θ…ショルダ角、r…リップ厚(リップ厚比ではな
い)、L…リップ長さ S…シール長さ、T…シールテーパ 10…管本体 11…ピン部 12…雄ねじ 13…ピン部のシール形成面 14…ピン部のトルクショルダ形成面 15…ピン先端リップ部 16…トルクショルダ形成部の管内面端部 17…中間シールにおける第2のシール形成部 18…管軸またはカップリング軸 20…カップリング 21…ピン部 22…雄ねじ 23…ボックス部のシール形成面 24…ボックス部のトルクショルダ形成面 26…ボックス部のトルクショルダ形成部の管内面端部 27…ボックス部の中間シール形成部 28…外圧が作用したとき、支点として働く位置 30…ねじ部中程に設けられたパッキン材挿入用の環状
溝 31…テフロンなどのリング状パッキン材 40…内圧Pi 41…内圧に起因する面圧増加分 42…外圧Pe 43…外圧に起因する力Fe 44…外圧に起因する面圧低下分 45…締結時の面圧分布 46…外圧負荷時の面圧分布 47…外圧に起因する面圧増加分 48…ショルダ角が負の場合のシール部の面圧低下分

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピンとボックスを螺合させ、ピン先端のね
    じ部の先の外周面に設けたシール形成面と、ボックスの
    ねじ部より奥の内周面に設けたシール形成面とを嵌合さ
    せることによりシール部を形成し、同時にピン最先端に
    設けたトルクショルダ形成面と、ボックス最奥の肩部に
    設けたトルクショルダ形成面とを突き合わせることによ
    りトルクショルダ部を形成するねじ継手であって、ピン
    先端部とそれに相対するボックス奥部の形状の範囲を決
    定する下記の条件(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)
    をすべて満足することを特徴とする、耐外圧性に優れた
    油井管用ねじ継手。 (イ) ピン先端外周面のシール形成面またはボックス
    奥内周面のシール形成面は、管軸またはカップリング軸
    を回転軸とし、それぞれ、ピン先端ほどまたはボックス
    の奥ほど軸に近づく円錐面である。 (ロ) ピン先端のシール形成面の基準位置における有
    効径はボックス奥のシール形成面の基準位置における有
    効径より大きい。 (ハ) ピン先端および相対するボックス奥の形状を決
    定する5つの因子、ショルダ角:θ(゜)、リップ厚
    比:R、リップ長さ:L(mm)、シール長さ:S(mm)
    およびシールテーパ:Tが、それぞれ、下記の範囲にあ
    る。 0°≦θ(゜)≦20°、0.25≦R≦0.75 6mm
    ≦L(mm)≦30mm、 3mm≦S(mm)≦10mm、1/16≦T≦1 (ニ) ショルダ角:θ(゜)、リップ厚比:R、リッ
    プ長さ:L(mm)、シール長さ:S(mm)およびシール
    テーパ:T の1次多項式である関数fが、 f > 1.2 を満足する。 ただし、
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