JPWO2011024652A1 - 炭化水素合成反応装置、及び炭化水素合成反応システム、並びに炭化水素合成反応方法 - Google Patents

炭化水素合成反応装置、及び炭化水素合成反応システム、並びに炭化水素合成反応方法 Download PDF

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Abstract

反応容器と、合成ガスを前記反応容器に供給する合成ガス供給路とを備え、前記反応容器内部での前記合成ガスと触媒スラリーとの接触によって炭化水素を合成する炭化水素合成反応装置であって、前記合成ガス供給路に接続され、合成ガス供給手段から前記合成ガス供給路への前記合成ガスの供給が停止されたときに前記合成ガス供給路を通して前記反応容器に不活性気体もしくは水素ガスを供給する予備供給路と、前記合成ガス供給路において前記予備供給路との接続部分よりも前記反応容器側に位置する流路を流通する流体、および前記予備供給路を流通する流体のうち少なくともいずれか一方を加熱する流体加熱手段とを備えている。

Description

本発明は、炭化水素合成反応装置、及び炭化水素合成反応システム、並びに炭化水素合成反応方法に関する。
本願は、2009年8月31日に日本出願された特願2009−200346に基づいて優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、天然ガスから液体燃料を合成するための方法の一つとして、GTL(Gas To Liquids:液体燃料合成)技術が開発されている。GTL技術では、天然ガスを改質して一酸化炭素ガス(CO)と水素ガス(H)とを主成分とする合成ガスを生成し、この合成ガスを原料ガスとしてフィッシャー・トロプシュ合成反応(以下、「FT合成反応」という。)により触媒を用いて炭化水素を合成し、さらにこの炭化水素を水素化および精製することで、ナフサ(粗ガソリン)、灯油、軽油、ワックス等の液体燃料製品を製造する。
従来、FT合成反応を利用して炭化水素を合成する炭化水素合成反応装置として、液体中に固体の触媒粒子を懸濁させてなる触媒スラリーを収容する反応容器と、合成ガスを供給する合成ガス供給手段から供給される合成ガスを反応容器に供給する合成ガス供給路と、を備える構成が知られている。この炭化水素合成反応装置によれば、反応容器内での合成ガスと触媒スラリーとの接触によるFT合成反応によって炭化水素を合成することができる。
前記炭化水素合成反応装置においては、反応容器内でFT合成反応が円滑になされるように、FT合成反応時の反応容器内の圧力は、常圧に比べて高く、温度は、常温に比べて高い。
この種の炭化水素合成反応装置においては、例えば不測の外部要因(地震や停電など)により、合成ガス供給手段から合成ガス供給路への合成ガスの供給が停止される恐れがある。この際、反応容器内の触媒スラリーの流動状態が悪化することで、以下に示す問題が発生する可能性がある。
まず、反応容器内に残留する合成ガスによりFT合成反応が継続され、発熱反応に伴う反応熱が触媒スラリーの流動性の悪化により効率的に除去されず、触媒スラリー内に一時的にホットスポットが形成されて、触媒の一部が過剰な温度上昇により劣化する可能性がある。この場合、合成ガス供給手段からの合成ガスの供給が再開された運転再開後、合成ガスの供給が停止された運転停止前に比べて、FT合成反応による炭化水素合成の歩留まりが低下してしまうという問題がある。
さらに、合成ガス供給路に触媒粒子が詰まる可能性もある。この場合、運転再開後に合成ガス供給手段からの合成ガスが反応容器内に円滑に供給されず、最悪の場合には合成ガスが全く供給されないという問題がある。
そこで、例えば下記特許文献1に示されるように、反応容器への合成ガスの供給が停止されたときに、反応容器に他の気体を供給して反応容器内の触媒スラリーの流動状態を確保する方法が提案されている。
米国特許出願公開第2007/0093560号明細書
しかしながら、反応容器に単に気体を供給するだけでは、反応容器内部の温度の低下を抑制することはできず、反応容器内部の温度が触媒スラリーを構成する媒体液の凝固点より低くなったときには該媒体液が凝固してしまい、触媒スラリーの流動状態を確保することはやはり困難である。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、反応容器への合成ガスの供給が停止されたときに反応容器内部の温度低下を抑制して触媒スラリーの流動状態を確保し、触媒の劣化を抑制して運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを向上させることができる炭化水素合成反応装置および炭化水素合成反応システム、並びに炭化水素合成反応方法を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る炭化水素合成反応装置は、液体中に固体の触媒粒子を懸濁させてなる触媒スラリーを収容する反応容器と、一酸化炭素ガス及び水素ガスを主成分とする合成ガスを供給する合成ガス供給手段から供給される前記合成ガスを前記反応容器に供給する合成ガス供給路と、を備え、前記反応容器内部での前記合成ガスと前記触媒スラリーとの接触によって炭化水素を合成する炭化水素合成反応装置であって、前記合成ガス供給路に接続され、前記合成ガス供給手段から前記合成ガス供給路への前記合成ガスの供給が停止されたときに前記合成ガス供給路を通して前記反応容器に不活性気体もしくは水素ガスを供給する予備供給路と、前記合成ガス供給路において前記予備供給路との接続部分よりも前記反応容器側に位置する流路を流通する流体、および前記予備供給路を流通する流体のうち少なくともいずれか一方を加熱する流体加熱手段と、を備えている。
また、本発明に係る炭化水素合成反応方法は、液体中に固体の触媒粒子を懸濁させてなる触媒スラリーを内部に収容する反応容器と、一酸化炭素ガス及び水素ガスを主成分とする合成ガスを供給する合成ガス供給手段から供給される前記合成ガスを前記反応容器に供給する合成ガス供給路と、を備える炭化水素合成反応装置を用い、前記反応容器内部での前記合成ガスと前記触媒スラリーとの接触によって炭化水素を合成する炭化水素合成反応方法であって、前記合成ガス供給手段から前記合成ガス供給路への前記合成ガスの供給が停止されたときに、不活性気体もしくは水素ガスを加熱し、前記合成ガス供給路を通して前記反応容器に加熱された前記不活性気体もしくは水素ガスを供給する。
ここで、この発明において、不活性気体とは、FT合成反応を行う反応容器内の条件下において反応に関与せず、自ら化学変化することなく、また、FT合成反応用触媒に影響を与えない気体を意味する。
この発明によれば、前記流体加熱手段を備えているので、合成ガス供給手段から合成ガス供給路への合成ガスの供給が停止されたときに予備供給路から反応容器に供給される不活性気体もしくは水素ガスを、反応容器に供給される前に加熱することが可能となり、加熱された不活性気体もしくは水素ガスを反応容器に供給することができる。したがって、反応容器内部の温度が低下するのを抑制して触媒スラリーの流動状態を確保することが可能になり、触媒の劣化を抑制することができる。
また、反応容器内部の温度低下が抑制されることから、反応容器内部に合成ガスが残留していても、触媒を劣化させる金属カルボニル化合物が生成することを抑制することができる。すなわち、反応容器内部の温度が金属カルボニル化合物の分解温度よりも低い温度まで低下してしまうと、反応容器内部に残留する合成ガスが反応容器を形成する鋼材を構成する鉄やニッケル等に接触することで、これら金属のカルボニル化合物が生成するおそれがある。
さらに、合成ガスの供給が停止されたときに不活性気体、もしくは合成ガスの一成分である水素ガスが反応容器に供給されるので、反応容器に供給される流体に起因する触媒の劣化を抑制することができる。
以上より、反応容器への合成ガスの供給が停止されたときに触媒の劣化を確実に抑制することが可能になり、運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを向上させることができる。
また、本発明に係る炭化水素合成反応装置では、前記不活性気体は、窒素ガス、二酸化炭素ガス、希ガス、メタンガスおよびエタンガスのうちのいずれか一種類からなるガス、またはこれらのうちの複数種類が混合されてなる混合ガスであっても良い。
この場合、不活性気体が、窒素ガス、二酸化炭素ガス、希ガス、メタンガスおよびエタンガスのうちのいずれか一種類からなるガス、またはこれらのうちの複数種類が混合されてなる混合ガスなので、この不活性気体と触媒粒子とが接触することに起因して触媒が劣化することを確実に抑制することが可能となり、運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを一層向上させることができる。
また、本発明に係る炭化水素合成反応装置では、前記流体加熱手段は、前記流路を流通する流体を加熱するように設けられていても良い。
この場合、流体加熱手段が、前記流路を流通する流体を加熱するように形成されているので、通常の運転において、合成ガス供給手段から合成ガス供給路に供給される合成ガスも反応容器に供給する前に加熱することが可能となる。これにより、合成ガス中に、触媒の劣化に影響を与える金属カルボニル化合物が含まれている場合であっても、合成ガスを、流体加熱手段によって金属カルボニル化合物の分解温度以上の温度に加熱して金属カルボニル化合物を分解した後に反応容器に供給することができる。したがって、合成ガス中に含まれる金属カルボニル化合物に起因する触媒の劣化を抑制することが可能となり、炭化水素合成の歩留まりを向上させることができる。
なお、合成ガスが、合成ガス供給手段から反応容器に供給されるまでの間に、炭化水素合成反応装置を形成する鋼材を構成する鉄やニッケル等に接触することによって、合成ガス中には、触媒を劣化させる金属カルボニル化合物(例えば鉄カルボニル化合物やニッケルカルボニル化合物)が発生することがある。
また、本発明に係る炭化水素合成反応装置では、前記反応容器内を冷却する冷却手段をさらに備え、前記冷却手段は、前記合成ガス供給手段から前記合成ガス供給路への前記合成ガスの供給が停止されたときに、前記反応容器内を加熱する加熱手段に切り替え可能であるように構成されていても良い。
この場合、前記冷却手段を備えているので、反応容器内部で発熱反応が進行する場合であっても、反応容器内部の温度が上昇しすぎるのを抑制することができる。
また、冷却手段が、合成ガス供給手段から合成ガス供給路への合成ガスの供給が停止されたときに、反応容器内を加熱する加熱手段に切り替え可能であるように構成されているので、合成ガスの供給が停止されたときに加熱手段によって反応容器内を加熱することで、反応容器内部の温度の急な低下を確実に抑制して触媒の劣化を確実に防止することが可能となり、運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを一層向上させることができる。
また、本発明に係る炭化水素合成反応装置は、前記合成ガス供給手段から前記合成ガス供給路への前記合成ガスの供給が停止されたときに、この停止を検知して前記予備供給路から前記反応容器に前記不活性気体もしくは水素ガスを供給する制御部を備えていても良い。
この場合、前記制御部を備えているので、合成ガス供給手段から合成ガス供給路への合成ガスの供給が停止されたときに、予備供給路から反応容器に不活性気体もしくは水素ガスを確実に供給することが可能となり、反応容器内部の圧力および温度の急な低下を確実に抑制することができる。したがって、触媒の劣化を確実に防止することが可能となり、運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを一層向上させることができる。
また、本発明に係る炭化水素合成反応システムは、炭化水素原料から液体燃料基材を製造する炭化水素合成反応システムであって、前記本発明に係る炭化水素合成反応装置と、前記炭化水素を精製して液体燃料基材を製造する製品精製ユニットと、を備え、前記合成ガス供給手段は、前記炭化水素原料を改質して前記合成ガスを生成し、該合成ガスを前記合成ガス供給路に供給する合成ガス生成ユニットである。
本発明に係る炭化水素合成反応システムは、前記本発明に係る炭化水素合成反応装置を備えており、該反応装置を構成する合成ガス供給路への合成ガスの供給が停止された後に運転を再開する際に、該反応装置における炭化水素合成の歩留まりが向上されているので、炭化水素原料から液体燃料基材を製造する際の歩留まりを向上させることができる。
本発明によれば、反応容器への合成ガスの供給が停止されたときに反応容器内部の温度低下を抑制して触媒スラリーの流動状態を確保し、触媒の劣化を防止して運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る液体燃料合成システムの全体構成を示す概略図である。
以下、本発明の一実施形態に係る液体燃料合成システムを、図1を参照して説明する。
図1に示すように、液体燃料合成システム(炭化水素合成反応システム)1は、天然ガス等の炭化水素原料を液体燃料に転換するGTLプロセスを実行するプラント設備である。この液体燃料合成システム1は、合成ガス生成ユニット3と、FT合成ユニット(炭化水素合成反応装置)5と、製品精製ユニット7とから構成される。合成ガス生成ユニット3は、炭化水素原料である天然ガスを改質して一酸化炭素ガスと水素ガスを含む合成ガスを生成する。FT合成ユニット5は、生成された合成ガスからFT合成反応により液体の炭化水素を生成する。製品精製ユニット7は、FT合成反応により生成された液体の炭化水素を水素化・分留して液体燃料(ナフサ、灯油、軽油、ワックス等)の基材(液体燃料基材)を製造する。以下、これら各ユニットの構成要素について説明する。
まず、合成ガス生成ユニット3について説明する。合成ガス生成ユニット3は、例えば、脱硫反応器10と、改質器12と、排熱ボイラー14と、気液分離器16および18と、脱炭酸装置20と、水素分離装置26とを主に備える。
脱硫反応器10は、水添脱硫装置等で構成されて原料である天然ガスから硫黄成分を除去する。改質器12は、脱硫反応器10から供給された天然ガスを改質して、一酸化炭素ガス(CO)と水素ガス(H)とを主成分として含む合成ガスを生成する。排熱ボイラー14は、改質器12にて生成した合成ガスの排熱を回収して高圧スチームを発生する。気液分離器16は、排熱ボイラー14において合成ガスとの熱交換により加熱された水を気体(高圧スチーム)と液体とに分離する。気液分離器18は、排熱ボイラー14にて冷却された合成ガスから凝縮分を除去し気体分を脱炭酸装置20に供給する。脱炭酸装置20は、気液分離器18から供給された合成ガスから吸収液を用いて炭酸ガスを除去する吸収塔22と、当該炭酸ガスを含む吸収液から炭酸ガスを放散させて吸収液を再生する再生塔24とを有する。水素分離装置26は、脱炭酸装置20により炭酸ガスが分離された合成ガスから、当該合成ガスに含まれる水素ガスの一部を分離する。ただし、上記脱炭酸装置20は場合によっては設けないこともある。
このうち、改質器12は、例えば、下記の化学反応式(1)、(2)で表される水蒸気・炭酸ガス改質法により、二酸化炭素と水蒸気とを用いて天然ガスを改質して、一酸化炭素ガスと水素ガスとを主成分とする高温の合成ガスを生成する。なお、この改質器12における改質法は、上記水蒸気・炭酸ガス改質法の例に限定されず、例えば、水蒸気改質法、酸素を用いた部分酸化改質法(POX)、部分酸化改質法と水蒸気改質法の組合せである自己熱改質法(ATR)、炭酸ガス改質法などを利用することもできる。
CH+HO→CO+3H ・・・(1)
CH+CO→2CO+2H ・・・(2)
また、水素分離装置26は、脱炭酸装置20又は気液分離器18と気泡塔型反応器30とを接続する合成ガス供給路31から分岐した分岐ライン上に設けられる。この水素分離装置26は、例えば、圧力差を利用して水素ガスに含まれる不純物の吸着除去を行う水素PSA(Pressure Swing Adsorption:圧力変動吸着)装置などで構成できる。この水素PSA装置は、並列配置された複数の吸着塔(図示せず。)内に吸着剤(ゼオライト系吸着剤、活性炭、アルミナ、シリカゲル等)を有しており、各吸着塔で不純物を含む水素ガスの加圧、吸着、脱着(減圧)、パージの各工程を順番に繰り返すことで、合成ガスから分離した純度の高い水素ガス(例えば99.999%程度)を、連続して供給することができる。
なお、水素分離装置26における水素ガス分離方法としては、上記水素PSA装置のような圧力変動吸着法の例に限定されず、例えば、水素吸蔵合金吸着法、膜分離法、或いはこれらの組合せなどであってもよい。
水素吸蔵合金法は、例えば、冷却/加熱されることで水素ガスを吸着/放出する性質を有する水素吸蔵合金(TiFe、LaNi、TiFe0.7〜0.9Mn0.3〜0.1、又はTiMn1.5など)を用いて、水素ガスを分離する手法である。水素吸蔵合金が収容された複数の吸着塔を設け、各吸着塔において、水素吸蔵合金の冷却による水素ガスの吸着と、水素吸蔵合金の加熱による水素ガスの放出とを交互に繰り返すことで、合成ガス内の水素ガスを分離・回収することができる。
また、膜分離法は、芳香族ポリイミド等の高分子素材の膜を用いて、混合ガス中から膜透過性に優れた水素ガスを分離する手法である。この膜分離法は、相変化を伴わないため、運転に必要なエネルギーが小さくて済み、ランニングコストが低い。また、膜分離装置の構造が単純でコンパクトなため、設備コストが低く設備の所要面積も小さくて済む。さらに、分離膜には駆動装置がなく、安定運転範囲が広いため、保守管理が容易であるという利点がある。
以上のように構成された合成ガス生成ユニット3は、合成ガスを合成ガス供給路31に供給する合成ガス供給手段として機能し、合成ガス供給路31を通してFT合成ユニット5に合成ガスを供給する。
次に、FT合成ユニット5について説明する。FT合成ユニット5は、例えば、気泡塔型反応器30と、合成ガス供給路31と、伝熱管32と、気液分離器34と、分離器36と、気液分離器38と、第1精留塔40と、予備供給路80と、制御部82と、を主に備える。
気泡塔型反応器30は、合成ガスを液体炭化水素に転換(合成ガスから液体炭化水素を合成)する反応容器の一例であり、FT合成反応により合成ガスから液体炭化水素を合成するFT合成用反応器として機能する。この気泡塔型反応器30は、例えば、塔型の容器内部に主に触媒粒子と媒体油とからなる触媒スラリーが収容された気泡塔型スラリー床式反応器で構成される。この気泡塔型反応器30は、FT合成反応により合成ガスから気体又は液体の炭化水素を生成する。詳細には、気泡塔型反応器30には、合成ガス生成ユニット3(脱炭酸装置20又は気液分離器18)から供給された原料ガスである合成ガスが、合成ガス供給路31を通って供給されている。ここで、本実施形態では、合成ガス供給路31は、合成ガスを気泡塔型反応器30の底部から供給しており、この合成ガス供給路31を通って気泡塔型反応器30に供給された合成ガスが、気泡塔型反応器30に収容された触媒スラリー内を上昇しながら通過するように形成されている。そして、気泡塔型反応器30では、合成ガス生成ユニット3から供給された合成ガスが、気泡塔型反応器30の底部の分散板から気泡となって供給されて触媒スラリー内を通過し、懸濁状態の中で下記化学反応式(3)に示すように水素ガスと一酸化炭素ガスとが反応を起こす。
Figure 2011024652
合成ガス供給路31には、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給の停止を検知する検知手段84と、合成ガス供給路31を開閉可能に形成され合成ガス生成ユニット3(脱炭酸装置20又は気液分離器18)と気泡塔型反応器30とを連通もしくは遮断する第1開閉弁86と、が設けられている。
検知手段84は、合成ガス供給路31を流通する合成ガスの流量を測定する流量計(図示せず。)を備え、例えばこの流量計で測定された合成ガスの流量が予め設定された下限値を下回った場合に、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたことを検知するように形成されている。また、検知手段84は、前述の停止を検知したときに、制御部82に検知信号を供給するように形成されている。
第1開閉弁86は、合成ガス供給路31において、合成ガス供給路31と上記分岐ラインとの接続部分、および検知手段84のいずれよりも、気泡塔型反応器30側に位置する部分に設けられている。なお、第1開閉弁86の開閉状態は、制御部82により制御されており、第1開閉弁86は、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31へ合成ガスが送出される通常時には開状態とされている。
FT合成反応は発熱反応であるため、気泡塔型反応器30は内部に伝熱管32が配設された熱交換器型になっている。伝熱管32に冷媒として例えば水(BFW:Boiler Feed Water)を供給し、上記FT合成反応の反応熱を、触媒スラリーと水との熱交換により中圧スチームとして回収できる。つまり、伝熱管32は、気泡塔型反応器30内を冷却する冷却手段として機能する。そして、FT合成ユニット5が、伝熱管32を備えていることにより、FT合成反応時における気泡塔型反応器30の内部温度、つまりFT合成反応の反応温度は、概ね一定の温度(例えば、230℃)で維持される。
気液分離器34は、気泡塔型反応器30内に配設された伝熱管32内を流通して加熱された水を、水蒸気(中圧スチーム)と液体とに分離する。また、気液分離器34には、液体として分離された水を伝熱管32に供給する配管88が設けられ、この配管88には、配管88内部を流通する水(液体)を加熱する加熱器90が設けられている。この加熱器90としては、例えば熱交換器などを採用することが可能であり、加熱器90による上記配管88内部を流通する水の加熱は、制御部82により制御されている。また、この加熱器90には、他の構成要素から独立した専用の駆動源(図示せず。)が設けられており、加熱器90は、他の構成要素が停止してしまった場合であっても動作(加熱)可能であるように形成されている。
以上のように形成された伝熱管32は、加熱器90により上記配管88内部を流通する水を加熱することで、気泡塔型反応器30内を冷却する冷却手段から、気泡塔型反応器30内を加熱する加熱手段に切り替え可能であるように構成されている。
分離器36は、触媒スラリー中の触媒粒子と液体炭化水素を分離する濾過手段の一例であり、ここでは気泡塔型反応器30の外部に配置されている。気液分離器38は、気泡塔型反応器30の塔頂に接続され、未反応合成ガス及び気体炭化水素生成物を冷却処理する。第1精留塔40は、分離器36及び気液分離器38を介して供給された液体の炭化水素を沸点に応じて各留分に分留する。なお、分離器36は、気泡塔型反応器30内に配置されていても良い。
予備供給路80は、合成ガス供給路31に接続されるとともに、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに合成ガス供給路31を通して気泡塔型反応器30に不活性気体を供給する。なお、合成ガスの供給が停止されたときに供給される気体は不活性気体もしくは水素ガスであるが、以下の説明は、不活性ガスを使用する例に沿って行う。ここで、不活性気体とは、FT合成反応を行う条件下において該反応に関与せず、自ら化学変化することなく、また、FT合成反応用触媒に影響を与えない気体を意味する。前記不活性気体としては、例えば、窒素ガス、二酸化炭素ガス、希ガス、メタンガスおよびエタンガスのうちのいずれか一種類からなるガス、またはこれらのうちの複数種類が混合されてなる混合ガスなどを好適に採用することができる。
予備供給路80の一端は、合成ガス供給路31において、第1開閉弁86よりも気泡塔型反応器30側に位置する部分に接続されている。また、予備供給路80の他端には、不活性気体が内部に収容された予備気体容器92が接続されている。このように形成された予備供給路80により、合成ガス供給路31と予備気体容器92とが連通される。
また、予備気体容器92の内圧は、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31に合成ガスが供給されFT合成反応が行われているときの気泡塔型反応器30において想定されうる最高内圧よりも高くなっている。さらに、予備供給路80には、この予備供給路80を開閉可能に形成され合成ガス供給路31と予備気体容器92とを連通もしくは遮断する第2開閉弁94が設けられている。なお、第2開閉弁94の開閉状態は、制御部82により制御され、第2開閉弁94は、上記通常時には閉状態とされている。
以上のように形成された予備供給路80、予備気体容器92および第2開閉弁94によれば、上記通常時には第2開閉弁94が閉状態であるので、不活性気体が予備供給路80から気泡塔型反応器30に供給されることがない。また、第2開閉弁94を開状態にした場合、予備気体容器92の内圧が、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31に合成ガスが供給されFT合成反応が行われているときの気泡塔型反応器30における最高内圧よりも高くなっている。そのため、予備気体容器92内の不活性気体が予備供給路80から気泡塔型反応器30に供給される。
そして、本実施形態では、FT合成ユニット5には、合成ガス供給路31において予備供給路80との接続部分よりも気泡塔型反応器30側に位置する流路31Aを流通する流体、および予備供給路80を流通する流体のうち少なくともいずれか一方を加熱する流体加熱手段96が備えられている。図示の例では、流体加熱手段96は、上記流路31Aを流通する流体を加熱するように設けられている。
流体加熱手段96としては、例えば熱交換器などを採用することが可能であり、流体加熱手段96による上記流路31Aを流通する流体の加熱は、制御部82により制御されている。また、この流体加熱手段96には、他の構成要素から独立した専用の駆動源(図示せず。)が設けられており、流体加熱手段96は、他の構成要素が停止してしまった場合であっても動作(加熱)可能であるように設けられている。
また、流体加熱手段96は、合成ガス生成ユニット3から供給され合成ガス供給路31を流通する合成ガスを、カルボニル化合物の分解温度以上に加熱可能に設けられている。本実施形態では、流体加熱手段96は、合成ガスを、鉄カルボニル化合物またはニッケルカルボニル化合物の分解温度以上に加熱可能に設けられている。具体的には、流体加熱手段96は、合成ガスを140℃以上、好ましくは140℃以上かつ上記FT合成反応の反応温度以下、より好ましくは200℃以上かつ上記FT合成反応の反応温度以下に加熱可能に設けられている。
制御部82は、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに、この停止を検知して予備供給路80から気泡塔型反応器30に不活性気体を供給させる。この制御部82の動作については、後述するFT合成ユニット5の動作の説明とともに詳しく説明する。
最後に、製品精製ユニット7について説明する。製品精製ユニット7は、例えば、ワックス留分水素化分解反応器50と、中間留分水素化精製反応器52と、ナフサ留分水素化精製反応器54と、気液分離器56、58、60と、第2精留塔70と、ナフサスタビライザー72とを備える。ワックス留分水素化分解反応器50は、第1精留塔40の塔底に接続されている。中間留分水素化精製反応器52は、第1精留塔40の中央部に接続されている。ナフサ留分水素化精製反応器54は、第1精留塔40の塔頂に接続されている。気液分離器56、58、60は、これら水素化反応器50、52、54のそれぞれに対応して設けられている。第2精留塔70は、気液分離器56、58から供給された液体の炭化水素を沸点に応じて分留する。ナフサスタビライザー72は、気液分離器60及び第2精留塔70から供給されたナフサ留分の液体の炭化水素を分留して、ブタン及びブタンより軽質の成分はフレアガスとして排出し、炭素数5以上の成分は製品のナフサとして回収する。
次に、以上のような構成の液体燃料合成システム1により、天然ガスから液体燃料基材を製造する工程(GTLプロセス)について説明する。
液体燃料合成システム1には、天然ガス田又は天然ガスプラントなどの外部の天然ガス供給源(図示せず。)から、炭化水素原料としての天然ガス(主成分がCH)が供給される。上記合成ガス生成ユニット3は、この天然ガスを改質して合成ガス(一酸化炭素ガスと水素ガスを主成分とする混合ガス)を製造する。
具体的には、まず、上記天然ガスは、水素分離装置26によって分離された水素ガスとともに脱硫反応器10に供給される。脱硫反応器10は、当該水素ガスを用いて天然ガスに含まれる硫黄分を公知の水素化脱硫触媒により硫化水素に転化し、生成した硫化水素を例えばZnO等の吸着剤により吸着することにより除去する。このようにして天然ガスを予め脱硫しておくことにより、改質器12及び気泡塔型反応器30等で用いられる触媒の活性が硫黄分により低下することを防止できる。
このようにして脱硫された天然ガス(二酸化炭素を含んでもよい。)は、二酸化炭素供給源(図示せず。)から供給される二酸化炭素(CO)ガスと、排熱ボイラー14で発生した水蒸気とが混合された上で、改質器12に供給される。改質器12は、例えば、上述した水蒸気・炭酸ガス改質法により、二酸化炭素と水蒸気とを用いて天然ガスを改質して、一酸化炭素ガスと水素ガスとを主成分とする高温の合成ガスを生成する。このとき、改質器12には、例えば、改質器12が備えるバーナー用の燃料ガスと空気とが供給されており、当該バーナーにおける燃料ガスの燃焼熱により、吸熱反応である上記水蒸気・炭酸ガス改質反応に必要な反応熱がまかなわれている。
このようにして改質器12で生成された高温の合成ガス(例えば、900℃、2.0MPaG)は、排熱ボイラー14に供給され、排熱ボイラー14内を流通する水との熱交換により冷却(例えば400℃)されて、排熱回収される。このとき、排熱ボイラー14において合成ガスにより加熱された水は気液分離器16に供給され、この気液分離器16から気体分が高圧スチーム(例えば3.4〜10.0MPaG)として改質器12または他の外部装置に供給され、液体分の水が排熱ボイラー14に戻される。
一方、排熱ボイラー14において冷却された合成ガスは、凝縮液分が気液分離器18において分離・除去された後、脱炭酸装置20の吸収塔22、又は気泡塔型反応器30に供給される。吸収塔22は、貯留している吸収液内に、合成ガスに含まれる炭酸ガスを吸収することで、当該合成ガスから炭酸ガスを除去する。この吸収塔22内の炭酸ガスを含む吸収液は、再生塔24に送出され、当該炭酸ガスを含む吸収液は例えばスチームで加熱されてストリッピング処理され、放散された炭酸ガスは、再生塔24から改質器12に送られて、上記改質反応に再利用される。
このようにして、合成ガス生成ユニット3で生成された合成ガスは、上記FT合成ユニット5の気泡塔型反応器30に供給される。このとき、気泡塔型反応器30に供給される合成ガスの組成比は、FT合成反応に適した組成比(例えば、H:CO=2:1(モル比))に調整されている。なお、気泡塔型反応器30に供給される合成ガスは、合成ガス供給路31に設けられた圧縮機(図示せず。)により、FT合成反応に適切な圧力(例えば3.6MPaG程度)まで昇圧される。
また、上記脱炭酸装置20により炭酸ガスが分離された合成ガスの一部は、水素分離装置26にも供給される。水素分離装置26は、上記のように圧力差を利用した吸着、脱着(水素PSA)により、合成ガスに含まれる水素ガスを分離する。当該分離された水素ガスは、ガスホルダー等(図示せず。)から圧縮機(図示せず。)を介して、液体燃料合成システム1内において水素ガスを利用して所定反応を行う各種の水素利用反応装置(例えば、脱硫反応器10、ワックス留分水素化分解反応器50、中間留分水素化精製反応器52、ナフサ留分水素化精製反応器54など)に連続して供給される。
次いで、上記FT合成ユニット5は、上記合成ガス生成ユニット3おいて生成された合成ガスから、FT合成反応により、液体の炭化水素を合成する。
具体的には、上記脱炭酸装置20において炭酸ガスを分離された合成ガスは、まず、合成ガス供給路31を通して気泡塔型反応器30に供給される。ここで、合成ガス供給路31内を流通する合成ガスは、上記脱炭酸装置20に供給される前に、熱交換器(図示せず。)によって例えば約40℃まで冷却されている。そこで、本実施形態では、この冷却された合成ガスを、この合成ガスが気泡塔型反応器30に供給される時点で例えば約200℃になるように流体加熱手段96により加熱する。
その後、加熱された合成ガスは、気泡塔型反応器30の底部から流入して、気泡塔型反応器30内に貯留された触媒スラリー内を上昇する。この際、気泡塔型反応器30内では、上述したFT合成反応により、当該合成ガスに含まれる一酸化炭素ガスと水素ガスとが反応して、炭化水素が生成される。さらに、この合成反応時には、気泡塔型反応器30の伝熱管32内に水を流通させることで、FT合成反応の反応熱を除去し、この熱交換により加熱された水の一部が気化して水蒸気となる。水蒸気と水のうち、気液分離器34で分離された水は伝熱管32に戻され、気体分は中圧スチーム(例えば1.0〜2.5MPaG)として外部装置に供給される。
このようにして、気泡塔型反応器30で合成された液体の炭化水素は、気泡塔型反応器30の中央部から触媒スラリーとして取り出されて、分離器36に送出される。分離器36は、取り出された触媒スラリーを、触媒粒子(固形分)と、液体の炭化水素生成物を含んだ液体分とに分離する。分離された触媒粒子は、その一部が気泡塔型反応器30に戻され、液体分は第1精留塔40に供給される。また、気泡塔型反応器30の塔頂からは、未反応の合成ガスと、合成された炭化水素のガス分とが気液分離器38に導入される。気液分離器38は、これらのガスを冷却して、一部の凝縮分の液体の炭化水素を分離して第1精留塔40に導入する。一方、気液分離器38で分離されたガス分は、主として未反応の合成ガスおよびC以下の炭化水素から構成され、その大部分が気泡塔型反応器30の底部に再投入されて未反応の合成ガスがFT合成反応に再利用される。なお、残りの前記ガス分は、改質器12の燃料ガスに使用しても良いし、外部の燃焼設備(図示せず。)に導入されて、燃焼された後に大気放出されても良い。
次いで、第1精留塔40は、上記のようにして気泡塔型反応器30からそれぞれ分離器36および気液分離器38を介して供給された液体の炭化水素(炭素数は多様)をナフサ留分(沸点が約150℃より低い)と、灯油・軽油留分に相当する中間留分(沸点が約150〜360℃)と、ワックス留分(沸点が約360℃より高い)とに分留する。この第1精留塔40の底部から取り出されるワックス留分の液体の炭化水素(主としてC21以上)は、ワックス留分水素化分解反応器50に移送される。第1精留塔40の中央部から取り出される灯油・軽油留分に相当する中間留分の液体の炭化水素(主としてC11〜C20)は、中間留分水素化精製反応器52に移送される。第1精留塔40の塔頂から取り出されるナフサ留分の液体の炭化水素(主としてC〜C10)は、ナフサ留分水素化精製反応器54に移送される。
ワックス留分水素化分解反応器50は、第1精留塔40の塔底から取り出された炭素数の多いワックス留分の液体の炭化水素(概ねC21以上)を、上記水素分離装置26から供給された水素ガスを利用して水素化分解して、炭化水素の炭素数を概ね20以下に低減する。この水素化分解反応では、触媒と熱を利用して、炭素数の多い炭化水素のC−C結合を切断して、炭素数の少ない(低分子量の)炭化水素を生成する。このワックス留分水素化分解反応器50における水素化分解により得られる液体の炭化水素を含む生成物は、気液分離器56で気体と液体とに分離され、そのうち液体の炭化水素は、第2精留塔70に移送され、気体分(水素ガスを含む。)は、中間留分水素化精製反応器52及びナフサ留分水素化精製反応器54に移送される。
中間留分水素化精製反応器52は、第1精留塔40の中央部から取り出された炭素数が中程度である灯油・軽油留分に相当する中間留分の液体の炭化水素(概ねC11〜C20)を、水素分離装置26からワックス留分水素化分解反応器50を介して供給された水素ガスを用いて、水素化精製する。この水素化精製反応では、主に分枝状飽和炭化水素を得るために、上記液体の炭化水素を異性化し、上記液体の炭化水素の不飽和結合に水素を付加して飽和させる。この結果、水素化精製された液体の炭化水素を含む生成物は、気液分離器58で気体と液体に分離され、そのうち液体の炭化水素は、第2精留塔70に移送され、気体分(水素ガスを含む。)は、上記水素化反応に再利用される。
ナフサ留分水素化精製反応器54は、第1精留塔40の塔頂から取り出された炭素数が少ないナフサ留分の液体の炭化水素(概ねC10以下)を、水素分離装置26からワックス留分水素化分解反応器50を介して供給された水素ガスを用いて、水素化精製する。この結果、水素化精製された液体の炭化水素を含む生成物は、気液分離器60で気体と液体に分離され、そのうち液体の炭化水素は、ナフサスタビライザー72に移送され、気体分(水素ガスを含む。)は、上記水素化反応に再利用される。
次いで、第2精留塔70は、上記のようにしてワックス留分水素化分解反応器50及び中間留分水素化精製反応器52から供給された液体の炭化水素を炭素数が概ね10以下のナフサ留分(沸点が約150℃より低い)と、灯油留分(沸点が約150〜250℃)と、軽油留分(沸点が約250〜360℃)と、ワックス留分水素化分解反応器50からの未分解ワックス留分(沸点が約360℃より高い)とに分留する。第2精留塔70の塔底からは主として未分解ワックス留分が得られ、これはワックス留分水素化分解反応器50の上流にリサイクルされる。第2精留塔70の中央部からは灯油及び軽油留分が取り出される。一方、第2精留塔70の塔頂からは、炭素数が概ね10以下の炭化水素が取り出されて、ナフサスタビライザー72に供給される。
さらに、ナフサスタビライザー72では、上記ナフサ留分水素化精製反応器54及び第2精留塔70から供給された炭素数が概ね10以下の炭化水素を分留して、製品としてのナフサ(C〜C10)を得る。これにより、ナフサスタビライザー72の下部からは、高純度のナフサが取り出される。一方、ナフサスタビライザー72の塔頂からは、製品対象外である炭素数が所定数以下(C以下)の炭化水素を主成分とするガス(フレアガス)が吐出される。このガスは、改質器12の燃料ガスに使用しても良く、LPGとして回収しても良く(図示せず)、外部の燃料設備(図示せず)に導入されて燃焼された後に大気放出されても良い。
次に、以上のような構成の液体燃料合成システム1において、例えば不測の外部要因(地震や停電など)により合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときのFT合成ユニット5の動作(炭化水素合成反応方法)について説明する。
はじめに、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたことを検知する検知工程を行う。本実施形態では、検知手段84が、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給の停止を検知して制御部82に検知信号を供給する。
次いで、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに、合成ガス供給路31を通して気泡塔型反応器30に不活性気体を供給する予備供給工程を行う。本実施形態では、制御部82が、上記検知信号に基づいて合成ガス生成ユニット3からの合成ガスの供給の停止を検知し、予備供給路80から気泡塔型反応器30に不活性気体を供給させる。この際、制御部82が、第1開閉弁86を閉状態にした後、第2開閉弁94を開状態にすることで、予備気体容器92内の不活性気体が、予備供給路80および合成ガス供給路31の上記流路31Aを通って気泡塔型反応器30に供給される。ここで、本実施形態では、第1開閉弁86が閉状態となっているので、不活性気体が合成ガス供給路31を通って合成ガス生成ユニット3側に流通することがなく、不活性気体を気泡塔型反応器30に確実に供給することができる。
そして、本実施形態では、予備供給工程は、不活性気体を加熱した後に気泡塔型反応器30に供給する。つまり、上記流路31Aを通る不活性気体を、流体加熱手段96により加熱した後、気泡塔型反応器30に供給する。
また、本実施形態では、制御部82が、上記配管88に設けられた加熱器90を制御することで、伝熱管32を、気泡塔型反応器30内を加熱する加熱手段に切り替え、気泡塔型反応器30内を加熱する。つまり、伝熱管32は、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに、気泡塔型反応器30内を加熱する加熱手段に切り替えられるように構成されている。
以上示したように、本実施形態に係るFT合成ユニット5によれば、流体加熱手段96を備えているため、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに予備供給路80から気泡塔型反応器30に供給される不活性気体を、気泡塔型反応器30に供給される前に流体加熱手段96によって加熱することが可能となり、加熱された不活性気体を気泡塔型反応器30に供給することができる。したがって、気泡塔型反応器30内部の温度が低下するのを抑制して触媒スラリーの流動状態を確保することが可能になり、触媒の劣化を抑制することができる。
また、気泡塔型反応器30内部の温度低下が抑制されることから、気泡塔型反応器30内部に合成ガスが残留していても、触媒を劣化させるカルボニル化合物が生成されるのを抑制することができる。すなわち、気泡塔型反応器30内部の温度が金属カルボニル化合物の分解温度よりも低い温度まで低下してしまうと、気泡塔型反応器30内部に残留する合成ガスが気泡塔型反応器30を形成する鋼材を構成する鉄やニッケル等に接触することで、カルボニル化合物が生成されるおそれがある。
さらに、合成ガスの供給が停止されたときに不活性気体が気泡塔型反応器30に供給されるので、気泡塔型反応器30に供給される流体に起因する触媒の劣化を抑制することができる。
以上より、気泡塔型反応器30への合成ガスの供給が停止されたときに触媒粒子の劣化を確実に抑えることが可能になり、運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを向上させることができる。
また、合成ガス供給路31を通して気泡塔型反応器30に不活性気体を供給することから、気泡塔型反応器30に供給される不活性気体は、通常運転における合成ガスと同様に、触媒スラリー内を上昇しながら通過することが可能となる。そのため、不活性気体によって触媒スラリーの懸濁状態をFT合成反応時と同等に維持することができる。したがって、触媒粒子が沈降、堆積することがなく、また、気泡塔型反応器30と合成ガス供給路31との接続口に触媒スラリーが逆流して触媒粒子が上記接続口を閉塞してしまうようなことがない。これにより、FT合成ユニット5の運転再開時に、媒体油中に触媒粒子をFT合成反応に好適な程度に懸濁させたり、上記接続口を閉塞させたスラリーを除去したりするために時間を要することが無く、運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを一層向上させることができる。
また、不活性気体が、窒素ガス、二酸化炭素ガス、希ガス、メタンガスおよびエタンガスのうちのいずれか一種類からなるガス、またはこれらのうちの複数種類が混合されてなる混合ガスとすることで、この不活性気体と触媒粒子とが接触することに起因して触媒が劣化することを確実に抑制することが可能となる。そのため、運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを一層向上させることができる。
また、流体加熱手段96が、上記流路31Aを流通する流体を加熱するように形成されているので、通常運転時に合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31に供給される合成ガスも、気泡塔型反応器30に供給する前に加熱することが可能となる。これにより、合成ガス中に触媒の劣化に影響を与える金属カルボニル化合物が含まれている場合であっても、合成ガスを流体加熱手段96によって加熱して金属カルボニル化合物を分解した後に気泡塔型反応器30に供給することができる。したがって、合成ガス中に含まれる金属カルボニル化合物に起因する触媒の劣化を抑制することが可能となり、FT合成反応による炭化水素合成の歩留まりを一層向上させることができる。
流体加熱手段96が、合成ガス供給路31内を流通する合成ガスを、Fe(CO)12(ドデカカルボニル三鉄)の分解温度である140℃以上に加熱するので、合成ガス供給路31内の合成ガスに含まれる鉄カルボニル化合物及びニッケルカルボニル化合物を確実に分解することができる。なお、鉄カルボニル化合物のうち、Fe(CO)12よりもカルボニル基の数が少ない他の鉄カルボニル化合物の分解温度は、例えばFe(CO)が約100℃、Fe(CO)が約77℃となっており、更に、ニッケルカルボニル化合物の分解温度についても、例えばNi(CO)が約127℃であり、いずれも140℃以下である。
しかも、流体加熱手段96は、合成ガス供給路31内の合成ガスを140℃以上に加熱する一方で、気泡塔型反応器30内部における上記FT合成反応の反応温度以下になるように加熱している。したがって、加熱された合成ガスが気泡塔型反応器30内に供給されても、この気泡塔型反応器30内の温度が過度に上昇することがなく、FT合成反応が安定的になされて炭化水素合成の歩留まりを一層向上させることができる。
また、伝熱管32を備えているので、FT合成反応の反応熱によって気泡塔型反応器30内部の温度が上昇しすぎるのを抑制することができる。
また、伝熱管32が、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに、気泡塔型反応器30内を加熱する加熱手段に切り替え可能であるように構成されている。合成ガスの供給が停止されたときに、伝熱管32によって気泡塔型反応器30内を加熱することで、気泡塔型反応器30内部の温度の急な低下を確実に抑制して触媒の劣化を確実に防止することが可能となる。そのため、運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを一層向上させることができる。
また、制御部82を備えているので、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに、予備供給路80から気泡塔型反応器30に不活性気体を確実に供給することが可能となる。そのため、気泡塔型反応器30内部の圧力および温度の急な低下を確実に抑制することができる。したがって、触媒の劣化を確実に防止することが可能となり、運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを一層向上させることができる。
また、以上に示した液体燃料合成システム1によれば、炭化水素合成反応装置を構成する合成ガス供給路への合成ガスの供給が停止された後に運転を再開する際に、炭化水素合成の歩留まりが向上されたFT合成ユニット5を備えているので、炭化水素原料から液体燃料基材を製造する際の歩留まりを向上させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、液体燃料合成システム1に供給される炭化水素原料として、天然ガスを用いたが、かかる例に限定されず、例えば、アスファルト、残油など、その他の炭化水素原料を用いてもよい。
上記実施形態では、気泡塔型反応器30における合成反応として、FT合成反応による炭化水素の合成について述べたが、本発明に係る技術はかかる例に限定されず、気泡塔型反応器を用い、合成ガスを原料として用いるその他の合成反応にも適用できる。気泡塔型反応器における炭化水素以外を目的生成物とした合成ガスを原料とする合成反応としては、例えば、オキソ合成反応(ヒドロホルミル化反応、R−CH=CH+CO+H→R−CHCHCHO)、メタノール合成反応(CO+2H→CHOH)、ジメチルエーテル(DME)合成反応(3CO+3H→CHOCH+CO)などを例示することができる。
検知手段84は、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給の停止を検知するものであれば、上記実施形態に示したものに限られない。例えば、検知手段84は、脱炭酸装置20に設けられ、脱炭酸装置20の稼動が停止されたときに合成ガス生成ユニット3から合成ガスの供給が停止されたことを検知しても良い。さらに、検知手段84は無くても良い。
上記実施形態では、流体加熱手段96は、上記流路31Aを流通する流体を加熱するものとしたが、これに限られない。例えば、流体加熱手段96は、予備供給路80を流通する流体を加熱しても良い。また、上記流路31Aを流通する流体および予備供給路80を流通する流体の双方を加熱しても良い。さらに、流体加熱手段96が、上記流路31Aを流通する合成ガスを加熱する温度は、上記実施形態に示した温度に限られるものではない。
上記実施形態では、伝熱管32は、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに、気泡塔型反応器30内を冷却する冷却手段から気泡塔型反応器30内を加熱する加熱手段に切り替え可能であるが、これに限られない。例えば、伝熱管32は、気泡塔型反応器30内を冷却する冷却手段としてのみ機能しても良い。また、気泡塔型反応器30内を冷却する冷却手段の形態は、上記実施形態に示した伝熱管32に限られるものではない。
上記実施形態では、第1開閉弁86を備えているものとしたが、第1開閉弁86は無くても良い。
上記実施形態では、予備供給路80には、予備気体容器92が接続されるとともに第2開閉弁94が設けられている。しかし、予備供給路80は、合成ガス供給路31に接続されるとともに、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに合成ガス供給路31を通して気泡塔型反応器30に不活性気体を供給するものであれば、これに限られるものではない。例えば、予備供給路80にポンプなどの供給手段を設けて予備気体容器92内部の不活性気体を気泡塔型反応器30に供給しても良い。また、予備供給路80の上記他端に、予備気体容器92に代えて、不活性気体を生成する不活性気体生成ユニットを接続しても良い。
上記実施形態では、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに気泡塔型反応器30に不活性気体が供給されるものとした。しかし、これに代えて、合成ガスの一成分である水素ガスが供給されるものとしても同様の作用効果を奏することができる。この場合例えば、予備気体容器92に水素ガスを収容しても良い。ここで使用される水素ガスは、合成ガス生成ユニットで生成された合成ガスから水素分離装置26により分離された水素ガス、あるいは製品精製ユニット7の各水素化反応装置から排出される未反応の水素ガス等であってもよく、これらの水素ガスを予備供給路80を通して気泡塔型反応器30に供給するように構成しても良い。
上記実施形態では、制御部82を備えるものとしたが、制御部82は無くても良い。例えば、第1開閉弁86、第2開閉弁94および流体加熱手段96を操作する操作部を設け、合成ガス生成ユニット3から合成ガス供給路31への合成ガスの供給が停止されたときに、液体燃料合成システム1のオペレーターが上記操作部を用いて第1開閉弁86、第2開閉弁94および流体加熱手段96を操作することで、加熱した不活性気体を気泡塔型反応器30に供給しても良い。
本発明の炭化水素合成反応装置、及び炭化水素合成反応システム、並びに炭化水素合成反応方法によれば、反応容器への合成ガスの供給が停止されたときに反応容器内部の温度低下を抑制して触媒スラリーの流動状態を確保し、触媒の劣化を抑制して運転再開後の炭化水素合成の歩留まりを向上させることができる。
1 液体燃料合成システム(炭化水素合成反応システム)
3 合成ガス生成ユニット(合成ガス供給手段)
5 FT合成ユニット(炭化水素合成反応装置)
7 製品精製ユニット
30 気泡塔型反応器(反応容器)
31 合成ガス供給路
31A 流路
32 伝熱管(冷却手段、加熱手段)
80 予備供給路
82 制御部
96 流体加熱手段

Claims (7)

  1. 液体中に固体の触媒粒子を懸濁させてなる触媒スラリーを収容する反応容器と、一酸化炭素ガス及び水素ガスを主成分とする合成ガスを供給する合成ガス供給手段から供給される前記合成ガスを前記反応容器に供給する合成ガス供給路と、を備え、前記反応容器内部での前記合成ガスと前記触媒スラリーとの接触によって炭化水素を合成する炭化水素合成反応装置であって、
    前記合成ガス供給路に接続され、前記合成ガス供給手段から前記合成ガス供給路への前記合成ガスの供給が停止されたときに前記合成ガス供給路を通して前記反応容器に不活性気体もしくは水素ガスを供給する予備供給路と、
    前記合成ガス供給路において前記予備供給路との接続部分よりも前記反応容器側に位置する流路を流通する流体、および前記予備供給路を流通する流体のうち少なくともいずれか一方を加熱する流体加熱手段と、
    を備えている炭化水素合成反応装置。
  2. 請求項1記載の炭化水素合成反応装置であって、
    前記不活性気体は、窒素ガス、二酸化炭素ガス、希ガス、メタンガスおよびエタンガスのうちのいずれか一種類からなるガス、またはこれらのうちの複数種類が混合されてなる混合ガスである炭化水素合成反応装置。
  3. 請求項1又は2記載の炭化水素合成反応装置であって、
    前記流体加熱手段は、前記流路を流通する流体を加熱するように設けられている炭化水素合成反応装置。
  4. 請求項1から3いずれか1項に記載の炭化水素合成反応装置であって、
    前記反応容器内を冷却する冷却手段をさらに備え、
    前記冷却手段は、前記合成ガス供給手段から前記合成ガス供給路への前記合成ガスの供給が停止されたときに、前記反応容器内を加熱する加熱手段に切り替えることができるように構成されている炭化水素合成反応装置。
  5. 請求項1から4いずれか1項に記載の炭化水素合成反応装置であって、
    前記合成ガス供給手段から前記合成ガス供給路への前記合成ガスの供給が停止されたときに、この停止を検知して前記予備供給路から前記反応容器に前記不活性気体もしくは水素ガスを供給させる制御部を備えている炭化水素合成反応装置。
  6. 炭化水素原料から液体燃料基材を製造する炭化水素合成反応システムであって、
    請求項1から5いずれか1項に記載の炭化水素合成反応装置と、
    前記炭化水素から液体燃料基材を精製する製品精製ユニットと、
    を備え、
    前記合成ガス供給手段は、前記炭化水素原料を改質して前記合成ガスを生成し、該合成ガスを前記合成ガス供給路に供給する合成ガス生成ユニットである炭化水素合成反応システム。
  7. 液体中に固体の触媒粒子を懸濁させてなる触媒スラリーを内部に収容する反応容器と、一酸化炭素ガス及び水素ガスを主成分とする合成ガスを供給する合成ガス供給手段から供給される前記合成ガスを前記反応容器に供給する合成ガス供給路と、を備える炭化水素合成反応装置を用い、前記反応容器内部での前記合成ガスと前記触媒スラリーとの接触によって炭化水素を合成する炭化水素合成反応方法であって、
    前記合成ガス供給手段から前記合成ガス供給路への前記合成ガスの供給が停止されたときに、不活性気体もしくは水素ガスを加熱し、前記合成ガス供給路を通して前記反応容器に加熱された前記不活性気体もしくは水素ガスを供給する炭化水素合成反応方法。
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