JPWO2011004573A1 - アルカリ可溶性樹脂、ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置 - Google Patents

アルカリ可溶性樹脂、ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置 Download PDF

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Abstract

本発明のアルカリ可溶性樹脂は、ビス(アミノフェノール)と、ジカルボン酸由来の構造とで構成されるポリベンゾオキサゾール前駆体構造を含むアルカリ可溶性樹脂であって、前記ビス(アミノフェノール)の二つの芳香環を回転させた際に計算化学により算出して得られる二面角の回転のエネルギー障壁が、3[kcal/mol]未満である。

Description

本発明は、アルカリ可溶性樹脂、ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置に関する。
従来、半導体素子の保護膜、絶縁膜には、耐熱性が優れ、かつ卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂、上記特性に加えて耐湿信頼性がよい。とされるポリベンゾオキサゾール樹脂等が用いられていた。更に、ポリイミド樹脂やポリベンゾオキサゾール樹脂、それらの前駆体樹脂自身に感光性を付与し、レリーフパターン作成工程の一部を簡略化できるようにし、高感度で微細加工性を有しながら、高い耐熱性、優れた電気特性、機械特性を持ち、工程短縮および歩留まり(生産性)向上に効果のある感光性樹脂組成物が開発されており、これは半導体素子の保護膜用のみならず絶縁用樹脂組成物としての可能性も有している。
更に最近では、安全性の面からアルカリ水溶液で現像ができるポジ型感光性樹脂組成物が開発されている。例えば、特許文献1にはアルカリ可溶性樹脂としてポリベンゾオキサゾール前駆体と感光剤であるジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。このポジ型感光性樹脂組成物の現像メカニズムは以下のようになっている。基板上に塗布されたポジ型感光性樹脂組成物に、所望のパターンが描かれたマスクを通して化学線を照射すると、露光されている部分(露光部)のジアゾキノン化合物は化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となり、アルカリ可溶性樹脂の溶解を促進させる。一方、露光されていない部分(未露光部)のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であり、アルカリ可溶性樹脂と相互作用することでこれに対し耐性を持つようになる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみのレリーフパターンの作成が可能となるものである。
レリーフパターンを形成した感光性樹脂組成物中のポリイミド前駆体樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂は、最終的に300℃〜350℃付近の高温で硬化することにより脱水閉環し、耐熱性に富むポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂となる。近年は半導体素子の小型化、高集積化、薄型化により、内部応力が小さく、低温で硬化可能なポリイミド前駆体樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂が必要とされている。
低温で硬化する際に重要となるのは、例えば半導体装置の温度サイクル試験等の信頼性試験において、硬化物の特性にバラツキが殆ど無く、半導体装置の耐熱性、信頼性に優れることである。
特開昭56−27140号公報
本発明の目的は、ポジ型感光性樹脂組成物として用いた場合に内部応力が小さく、低温で硬化しても耐熱性および信頼性に優れるアルカリ可溶性樹脂を提供することにある。
また、本発明の目的は、内部応力が小さく、低温で硬化しても耐熱性および信頼性に優れるポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)に記載の本発明により達成される。
(1)ビス(アミノフェノール)と、ジカルボン酸由来の構造とで構成されるポリベンゾオキサゾール前駆体構造を含むアルカリ可溶性樹脂であって、計算化学により算出して得られる前記ビス(アミノフェノール)の二つの芳香環の間の二面角の回転のエネルギー障壁が、3〔kcal/mol〕未満であることを特徴とするアルカリ可溶性樹脂。
(2)前記ビス(アミノフェノール)が下記式(1)で示されるものである(1)に記載のアルカリ可溶性樹脂。
Figure 2011004573
(式中、Rは、−O−、−S−、炭素数3以下のアルキレン、置換アルキレンから選ばれる有機基である。Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シクロアルキル基のいずれかであり、それぞれ同一でも異なってもよい。)
(3)ビス(アミノフェノール)と、ジカルボン酸由来の構造とで構成されるポリベンゾオキサゾール前駆体構造を含むアルカリ可溶性樹脂であって、下記式(2)で表される前記ビス(アミノフェノール)の二面角A−B−R−Dを−180度から180度の範囲において5度ずつ回転させ、それぞれの配座における生成熱を分子軌道法により求めたときの、最も高い生成熱と最も低い生成熱の差が、3〔kcal/mol〕未満であることを特徴とするアルカリ可溶性樹脂。
Figure 2011004573
(式中、Rは−O−、−S−、炭素数3以下のアルキレン、置換アルキレンから選ばれる有機基である。Rは水素原子、アルキル基、またはアルコキシ基であり、それぞれ同一でも異なってもよい。)
(4)上記(1)乃至(3)いずれかに記載されるアルカリ可溶性樹脂と、感光剤を含むポジ型感光性樹脂組成物。
(5)(4)に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物で構成されていることを特徴とする硬化膜。
(6)(5)に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする保護膜。
(7)(5)に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする絶縁膜。
(8)(5)に記載の硬化膜を有していることを特徴とする半導体装置。
(9)(5)に記載の硬化膜を有していることを特徴とする表示体装置。
本発明によれば、ポジ型感光性樹脂組成物として用いた場合に内部応力が小さく、低温で硬化しても耐熱性および信頼性に優れるアルカリ可溶性樹脂を提供することができる。
また、本発明によれば、内部応力が小さく、低温で硬化しても耐熱性および信頼性に優れるポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置を提供することができる。
内部応力を計算する際に用いる反り量の測定方法を説明するための模式図である。図1(a)は正面図、図1(b)は図1(a)の平面図である。
以下、本発明のアルカリ可溶性樹脂、ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜、半導体装置、表示体装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂は、ビス(アミノフェノール)と、ジカルボン酸由来の構造とで構成されるポリベンゾオキサゾール前駆体構造を含むものであり、前記ビス(アミノフェノール)が、その中に含まれる二つの芳香環を回転させた際、計算化学により算出した二面角の回転におけるエネルギー障壁が、3[kcal/mol]未満であることを特徴とするものである。ポジ型感光性樹脂組成物は、上記アルカリ可溶性樹脂、感光剤を含むことを特徴とする。
また、本発明の保護膜、絶縁膜は、上記ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜で構成されていることを特徴とする。
また、本発明の半導体装置、表示体装置は、上記硬化膜を有していることを特徴とする。
まず、本発明のアルカリ可溶性樹脂について詳細に説明する。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、ビス(アミノフェノール)と、ジカルボン酸由来の構造とで構成されるポリベンゾオキサゾール前駆体構造を含むものであり、前記ビス(アミノフェノール)に含まれる二つの芳香環を回転させる際、計算化学により算出する二面角の回転におけるエネルギー障壁が3[kcal/mol]未満であることを特徴とする。
ビス(アミノフェノール)としては、下記式(1)で示されるものが好ましい。
Figure 2011004573
(式中、Rは、−O−、−S−、炭素数3以下のアルキレン、置換アルキレンから選ばれる有機基である。Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シクロアルキル基のいずれかであり、それぞれ同一でも異なってもよい。)
ビス(アミノフェノール)の二面角の回転のエネルギー障壁は、例えば富士通株式会社製Scigress ExplorerでMOPAC2006のPM5法を用いて算出することができる。具体的には式(2)に示すビス(アミノフェノール)の構造を描き、二面角A−B−R−Dを−180度から180度の範囲において5度ずつ回転させ、生成熱を算出し、エネルギー障壁の値を求めることができる。
Figure 2011004573
(式中、Rは−O−、−S−、炭素数3以下のアルキレン、置換アルキレンから選ばれる有機基である。Rは水素原子、アルキル基、またはアルコキシ基であり、それぞれ同一でも異なってもよい。)
一般的に、ポリマーの内部応力を低減する方法としては、ポリマーの線膨張係数を下げる、弾性率を下げる等の手法が挙げられる。これに対して本発明では、分子の回転運動をしやすくすることで、発生する内部応力を緩和しやすくするという手法を検討した。分子の回転運動のし易さを分子内回転におけるエネルギー障壁ととらえ、計算化学により上記二面角の回転における生成熱の最高値と最低値の差を算出したところ、その値が3[kcal/mol]未満であるビス(アミノフェノール)を用いたとき、200℃で硬化したときの内部応力が30MPa未満と低応力になるポジ型感光性樹脂組成物が得られることを見出した。エネルギー障壁は低いほど好ましく、特に、芳香環上に置換基を持たず、連結部がエーテル結合である3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、連結部がメチレン結合である4,4'−メチレンビス(2−アミノフェノール)などが好ましい。エネルギー障壁は、内部応力緩和の観点から、低いほど好ましいが、ポジ型感光性樹脂組成物に要求される他の物性、取り扱い等を考慮するとエネルギー障壁は0.50以上であることが好ましい。
また、低温で硬化すると、硬化膜のガラス転移温度も低下にするため、一般的に信頼性が問題となる。しかし、回転のエネルギー障壁を下げるためにデザインした、芳香環、連結基上の置換基の数が少なく、嵩の小さいモノマーは、200℃という低い硬化温度にも関わらず耐リフロー性を有しており、耐熱性、信頼性に優れることを見出した。これは、置換基の数が少なく、嵩の小さい構造が、分子鎖の密なパッキングにつながり、リフロー試験に用いられるフラックスが膜にしみこみにくくなったためと考えられる。
式(1)のR、式(2)のRはそれぞれ、−O−、−S−、炭素数3以下のアルキレン、置換アルキレンから選ばれる有機基であるが、アルキレン、置換アルキレンの具体例としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−等が挙げられる。中でも−O−、−CH−が、内部応力が小さく、低温で硬化した際にも耐熱性、信頼性に優れる。
式(1)のR、式(2)のRはそれぞれ、水素原子、アルキル基、またはアルコキシ基であるビス(アミノフェノール)を用いることが好ましく、これにより低温で硬化した際にも信頼性を維持しながら、アルカリ水溶液に対して十分な溶解性を持つ、よりバランスに優れるアルカリ可溶性樹脂が得られる。アルキル基の具体的な例としては、例えば−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH、−CH(CH)(CHCH)、−CHCHCHCHCH、−CHCHCHCHCHCH、が挙げられる。アルコキシ基の具体的な例としては、例えば−OCH、−OCHCH、−OCHCHCH、−OCH(CH、−OCHCHCHCH、等が挙げられる。
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂は、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造を有するが、これに限定されず他の構造を有してもよい。
他の構造として挙げられるのは、ポリベンゾオキサゾール構造およびポリイミド構造の少なくとも一方を有し、かつ主鎖または側鎖に水酸基、カルボキシル基、エーテル基またはエステル基を有する構造、ポリイミド前駆体構造、ポリアミド酸エステル構造である。
例えば、最終加熱後の耐熱性、信頼性の点から式(3−1)で示される構造を含むポリアミド樹脂が好ましい。より好ましくは、式(3−2)に示されるポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂である。
Figure 2011004573
(式(3)中、X、Yは有機基である。a、b、c、dはモルパーセントを示し、a+b=100、c+d=100で、a、cがそれぞれ70以上100以下、b、dがそれぞれ0以上30以下である。R、R12は水酸基又は−O−Rであり、同一でも異なってもよい。Rは水酸基、カルボキシル基、−O−R、−COO−Rのいずれかであり、同一でも異なってもよい。mは0〜2の整数、nは0〜4の整数、pは0〜2の整数である。Rは炭素数1〜15の有機基である。式(3−1)で、Rとして水酸基がない場合、Rは少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。また、Rとしてカルボキシル基がない場合、Rは少なくとも1つは水酸基でなければならない。R、R10は−O−、−S−や炭素数3以下のアルキレン、置換アルキレンから選ばれる有機基である。R、R11は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シクロアルキル基のいずれかであり、同一でも異なってもよい。)
式(3)のR、R10のアルキレン、置換アルキレンの具体的な例としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−等が挙げられる。
式(3)のR、R11のアルキル基の具体的な例としては、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH、−CH(CH)(CHCH)、−CHCHCHCHCH、−CHCHCHCHCHCH等が挙げられる。アルコキシ基の具体的な例としては、−OCH、−OCHCH、−OCHCHCH、−OCH(CH、−OCHCHCHCH、が挙げられる。)
式(3−1)で示される構造を含むポリアミド樹脂は、例えば、式(1)で示されるビス(アミノフェノール)と、必要によりXを含むジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物と、Yを含むテトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応して得られるものである。
式(3−2)で示されるポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂は、例えば、式(1)で示されるビス(アミノフェノール)と、必要によりXを含むビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物と、Yを含むジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応して得られるものである。なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
a、cが70モルパーセント以上の場合、内部応力が30MPa未満かつ、200℃で硬化しても耐熱性・信頼性に優れるアルカリ可溶性樹脂が得られる。
式(3)で示されるアルカリ可溶性樹脂において、Xの置換基としての−O−R、Yの置換基としての−O−R、−COO−Rは、水酸基、カルボキシル基のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する目的で、炭素数1〜15の有機基であるRで保護された基であり、必要により水酸基、カルボキシル基を保護してもよい。Rの例としては、ホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
このアルカリ可溶性樹脂を、低温で加熱する場合は150℃以上280℃未満、高温で加熱する場合は280℃以上380℃以下で処理すると脱水閉環し、ポリベンゾオキサゾール樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂とポリイミド樹脂との共重合という形で耐熱性樹脂が得られる。低温で加熱処理すると、発生する内部応力がより小さくなり、半導体素子の製造において、歩留まりが向上する。また信頼性に優れる効果がある。
式(3)のXは有機基であり、例えばベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族化合物、ビスフェノール類、ピロール類、フラン類等の複素環式化合物、シロキサン化合物等が挙げられ、より具体的には下記式(4)で示されるものを好ましく挙げることができる。これらは必要により1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2011004573
(式中、*はNH基に結合することを示す。Aは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−C(CF−、または単結合である。R13は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R14は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを示す。R=0〜2の整数である。R15〜R18は有機基である。)
式(4)のR13およびR14のアルキル基の具体的な例としては、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH、−CH(CH)(CHCH)、−C(CH、−CHCHCHCHCH、−CHCHCH(CH、−CHCH(CH)(CHCH)、−CH(CHCH)(CHCH)、−CH(CH)(CHCHCH)、−CH(CH)(CH(CH)、−CHCHCHCHCHCH、−CH(CH)(CHCHCHCH)、−CH(CH)(CHCH(CH)、−CHCHCHCHCHCHCH、−CHCHCHCHCHCHCHCH等が挙げられる。
式(3)で示すように、XにはRあるいはR12が0〜2個結合される。(式(4)において、RおよびR12は省略)。
式(3)中の、Xを含む繰り返し単位のモルパーセントであるbおよびdは0(ゼロ)であってもよい。
また、式(3)のYは有機基であり、前記Xと同様のものが挙げられ、例えばベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族化合物、ビスフェノール類、ピロール類、ピリジン類、フラン類等の複素環式化合物、シロキサン化合物等が挙げられ、より具体的には下記式(5)で示されるものを好ましく挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2011004573
(式中、*はC=O基に結合することを示す。Aは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−C(CF−、または単結合である。R19は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R20は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを示す。t=0〜2の整数である。R21〜R24は有機基である。)
式(5)のR19およびR20のアルキル基の具体的な例としては、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH、−CH(CH)(CHCH)、−C(CH、−CHCHCHCHCH、−CHCHCH(CH、−CHCH(CH)(CHCH)、−CH(CHCH)(CHCH)、−CH(CH)(CHCHCH)、−CH(CH)(CH(CH)、−CHCHCHCHCHCH、−CH(CH)(CHCHCHCH)、−CH(CH)(CHCH(CH)、−CHCHCHCHCHCHCH、−CHCHCHCHCHCHCHCH等が挙げられる。
式(3)で示すように、YにはRが0〜4個結合される(式(5)において、Rは省略)。
これらの中で特に好ましいものとしては、下記式(6)で表されるものが挙げられる。
下記式(6)中のテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、C=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でもよい。
Figure 2011004573
(式中、*はC=O基に結合することを示す。R25は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基、ハロゲン原子の内から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R26は、水素原子又は炭素数1〜15の有機基から選ばれた1つを示し、一部が置換されていてもよい。u=0〜2の整数である。)
式(6)のR25のアルキル基の具体的な例としては、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH、−CH(CH)(CHCH)、−C(CH、−CHCHCHCHCH、−CHCHCH(CH、−CHCH(CH)(CHCH)、−CH(CHCH)(CHCH)、−CH(CH)(CHCHCH)、−CH(CH)(CH(CH)、−CHCHCHCHCHCH、−CH(CH)(CHCHCHCH)、−CH(CH)(CHCH(CH)、−CHCHCHCHCHCHCH、−CHCHCHCHCHCHCHCH等が挙げられる。
上記アルカリ可溶性樹脂からなるポジ型感光性樹脂組成物を、低温で硬化しても耐熱性に優れるためには、式(3)中のXとYは環式化合物が望ましく、特に芳香族化合物が好ましい。
また、上述の式(3)で示されるアルカリ可溶性樹脂は、該アルカリ可溶性樹脂の末端のアミノ基を、アルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基、または環式化合物基を含む酸無水物または酸誘導体を用いてアミドとしてキャップすることが好ましい。これにより、保存性を向上することができる。このような、アルカリ可溶性樹脂の末端のアミノ基と反応するアルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物としては、マレイン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−(フェニルエチニル)フタル酸無水物、などが挙げられ、例えば式(7)に挙げることができる。酸誘導体は、例えば式(8)に挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2011004573
Figure 2011004573
これらの中で特に好ましいものとしては、下記式(9)から選ばれる基が好ましい。これにより、特に保存性を向上することができる。
Figure 2011004573
またこの方法に限定される事はなく、該アルカリ可溶性樹脂中に含まれる末端のカルボン酸をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含むアミン誘導体を用いてアミドとしてキャップすることもできる。
(ポジ型感光性樹脂組成物)
次に、ポジ型感光性樹脂組成物について詳細に説明する。ポジ型感光性樹脂組成物は、上記アルカリ可溶性樹脂と感光剤とを含むことを特徴とする。
本発明で用いる感光剤は、ポジ型のパターニングが可能となる感光剤を用いることができ、具体的には感光性ジアゾキノン化合物やオニウム塩など光により酸を発生する化合物や、ジヒドロピリジン化合物などを用いることができる。感光性ジアゾキノン化合物は、例えばフェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルが挙げられる。具体的には、式(10)〜式(13)に示すエステル化合物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2011004573
Figure 2011004573
Figure 2011004573
Figure 2011004573
式中Qは、水素原子、式(14)、式(15)のいずれかから選ばれるものである。ここで各化合物のQのうち、少なくとも1つは式(14)、式(15)である。
Figure 2011004573
Figure 2011004573
更に本発明では、高感度で更に現像後の樹脂残り(スカム)無くパターニングできるようにフェノール性化合物を添加することができる。
本発明における樹脂組成物および感光性樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を含んでもよい。
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体素子上に塗布する場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるよう塗布する。膜厚が下限値を下回ると、半導体素子の保護膜、絶縁膜としての機能を十分に発揮することが困難となる場合があり、上限値を越えると、微細なレリーフパターンを得ることが困難となるばかりでなく、加工に時間がかかりスループットが低下する場合がある。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
次に、照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液、及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理(硬化)を行い、オキサゾール環、又はオキサゾール環およびイミド環を形成し、耐熱性に富む硬化物を得る。
加熱処理は高温でも低温でも可能であり、高温での加熱処理温度は、280℃〜380℃が好ましく、より好ましくは290℃〜350℃である。低温での加熱処理温度は150℃〜280℃が好ましく、より好ましくは180℃〜260℃である。
次に、本発明による感光性樹脂組成物の硬化膜について説明する。感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜は、半導体素子等の半導体装置用途のみならず、TFT型液晶や有機EL等の表示体装置用途、多層回路の層間絶縁膜やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜としても有用である。
半導体装置用途の例としては、半導体素子上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなるパッシベーション膜、パッシベーション膜上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなるバッファーコート膜等の保護膜、また、半導体素子上に形成された回路上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる層間絶縁膜等の絶縁膜、また、α線遮断膜、平坦化膜、突起(樹脂ポスト)、隔壁等を挙げることができる。
表示体装置用途の例としては、表示体素子上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる保護膜、TFT素子やカラーフィルター用等の絶縁膜または平坦化膜、MVA型液晶表示装置用等の突起、有機EL素子陰極用等の隔壁等を挙げることができる。その使用方法は、半導体装置用途に準じ、表示体素子やカラーフィルターを形成した基板上にパターン化された感光性樹脂組成物層を、上記の方法で形成することによるものである。表示体装置用途の、特に絶縁膜や平坦化膜用途では、高い透明性が要求されるが、この感光性樹脂組成物層の硬化前に、後露光工程を導入することにより、透明性に優れた樹脂層が得られることもでき、実用上更に好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
<実施例1>
(アルカリ可溶性樹脂の合成)
イソフタル酸0.18モルとジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸0.72モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.8モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)426.62g(0.9モル)と、4,4'−メチレンビス(2−アミノフェノール)230.26g(1モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン2628gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて80℃にて16時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン172gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物43.04g(0.25モル)を加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=7/4(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(3−2)で示され、c=100、d=0で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂を得た。
二面角の回転のエネルギー障壁:
計算には504MBのメモリーを搭載した日本電気株式会社製パーソナルコンピュータ MY18A/E−1を使用した。
富士通株式会社製Scigress Explorer Workspaceで4,4'−メチレンビス(2−アミノ−フェノール)を描いた。式(2)に示す二面角A−B−R−Dを−180度から180度の範囲において5度ずつ回転させ、それぞれの配座における生成熱を分子軌道法(PM5法)により求め、そのエネルギーマップを作成した。そのエネルギーマップから最も高い生成熱と最も低い生成熱を読み取り、その差を計算した。
実施例1において、二面角の回転のエネルギー障壁は、1.0[kcal/mol]であった。
(感光剤の合成)
フェノール式(A−1)12.74g(0.03モル)と、トリエチルアミン7.59g(0.075モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、アセトン103gを加えて溶解させた。この反応溶液を10℃以下に冷却した後に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライド20.15g(0.075モル)をアセトン100gと共に10℃以上にならないように徐々に滴下した。その後10℃以下で5分攪拌した後、室温で5時間攪拌して反応を終了させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−1)の構造で示される感光剤を得た。
Figure 2011004573
(感光性樹脂組成物の作製)
合成したアルカリ可溶性樹脂100g、式(Q−1)の構造を有する感光剤13.5g、2,2'−メチレンビスフェノールをN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解した後、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。
加工性評価:
このポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分プリベークし、膜厚約8.0μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷株式会社製・マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー(株式会社ニコン製・4425i)を用いて、露光量を変化させて照射した。
次に2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、プリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が1μmになるように現像時間を調節してパドル現像を行った。その後、純水で10秒間リンスし、観察した。パターンが成形された場合を「○」、パターンが成形されなかった場合を「×」として評価した。
その結果、実施例1において、パターンが成形されていることが確認できた。
内部応力評価:
別に、上記ポジ型感光性樹脂組成物を同様にシリコンウエハー上に塗布し、プリベークした後、オーブン中クリーンオーブンにて酸素濃度1000ppm以下で、200℃90分で硬化を行った。シリコンウエハー上に得られた塗膜を、表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密製・サーフコム1400D)にて、シリコンウエハー直径200mmのうち、190mm(端部を除く)を測定し、シリコンウエハーの中心部をゼロとしたときの、中心部と190mmの両端部分との差(浮いている部分)を反り量とした。
図1は、シリコンウエハーSの反り量の測定方法を説明するための模式図である。図1(a)には、塗膜mが形成されたシリコンウエハーSの反り量(X)、測定距離(a)、曲率半径(R)が示されている。図1(b)は、図1(a)の平面図であり、図1(b)には、シリコンウエハーSのx、y方向が示されている。ただし、図1(b)では、塗膜mは省略されている。反り量(X)は、シリコンウエハーSのx、y方向におけるそれぞれの反り量の平均値として算出された。
得られた反り量(X)から、以下の(数式1)及び(数式2)を用いて内部応力σ(MPa)を算出した。
R=(a+4X)/8X (数式1)
σ=DE/{6Rt(1−ν)} (数式2)
R:曲率半径[mm]
a:測定距離[mm]
X:反り量[mm]
D:シリコンウエハーの厚み[mm]
E:シリコンの弾性率[kgf/mm
t:硬化膜(塗膜)の厚み[mm]
ν:ポアソン比
なお、本実施例において、{E/(1−ν)}=180500kgf/mmであった。
実施例1において、内部応力σは、25.7MPaであった。
リフロー耐性評価:
上記加工性評価でパターン加工されたウエハーをクリーンオーブンにて酸素濃度1000ppm以下で、200℃90分で硬化を行った。次にこのウエハーにタムラ化研株式会社製フラックス、BF−30をスピンナーで500rpm/5秒+1000ppm/30秒の条件で塗布した。リフロー炉で140〜160℃/100秒(プレヒート)、350℃/30秒の条件で立て続けに連続2回通した。次に40℃に加熱したキシレンで10分洗浄した後、イソプロピルアルコールでリンスして乾燥させた。フラックスを除去した膜表面を金属顕微鏡で表面を観察した。大きなクラック、シワがなかった場合を「○」、大きなクラック、シワがあった場合を「×」として評価した。
実施例1では、大きなクラック、シワ等の発生はなく良好であった。
<実施例2>
ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸0.9モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.8モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)443.2g(0.9モル)と、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル162.57g(0.7モル)、4,4'−メチレンビス(2−アミノ−3,6−ジメチルフェノール)85.91g(0.3モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン2767gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて80℃にて16時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン172gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物43.04g(0.25モル)を加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=7/4(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(3−2)で示され、c=70、d=30、p=2で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂を得た。その他は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を、表1を示す。
実施例2において、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−メチレンビス(2−アミノ−3,6−ジメチルフェノール)の二面角の回転のエネルギー障壁は、実施例1と同様にして計算し、それぞれ0.7[kcal/mol]、4.7[kcal/mol]であった。このアルカリ可溶性樹脂は、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルを7割と4,4'−メチレンビス(2−アミノ−3,6−ジメチルフェノール)3割を混合して用いているので、その回転のエネルギー障壁は3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルの0.7[kcal/mol]を0.7倍した値と4,4'−メチレンビス(2−アミノ−3,6−ジメチルフェノール)の4.7[kcal/mol]を0.3倍した値を足し合わせた1.9[kcal/mol]となった。
<比較例1>
ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸0.87モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.566モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)428.42g(0.87モル)と、ヘキサフルオロ−2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.26g(1モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3179gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて80℃にて16時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン224gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物55.95g(0.325モル)を加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=7/4(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(3−2)で示され、c=0、d=100、p=2で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂を得た。その他は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を、表1を示す。
比較例1において、二面角の回転のエネルギー障壁は、5.3[kcal/mol]であった。
Figure 2011004573
表1に示すように、実施例1、2は内部応力が小さく、かつ200℃の低温で硬化した場合でもリフロー耐性が優れ、耐熱性および信頼性に優れていた。
本発明によれば、ポジ型感光性樹脂組成物として用いた場合に内部応力が小さく、低温で硬化しても耐熱性および信頼性に優れるアルカリ可溶性樹脂を提供することができる。
本発明によれば、内部応力が小さく、低温で硬化しても耐熱性および信頼性に優れるポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置を提供することができる。
この出願は、2009年7月8日に出願された日本出願特願2009−161652を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。

Claims (9)

  1. ビス(アミノフェノール)と、ジカルボン酸由来の構造とで構成されるポリベンゾオキサゾール前駆体構造を含むアルカリ可溶性樹脂であって、計算化学により算出して得られる前記ビス(アミノフェノール)の二つの芳香環の間の二面角の回転のエネルギー障壁が、3〔kcal/mol〕未満であることを特徴とするアルカリ可溶性樹脂。
  2. 前記ビス(アミノフェノール)が下記式(1)で示されるものである請求項1に記載のアルカリ可溶性樹脂。
    Figure 2011004573
    (式中、Rは、−O−、−S−、炭素数3以下のアルキレン、置換アルキレンから選ばれる有機基である。Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シクロアルキル基のいずれかであり、それぞれ同一でも異なってもよい。)
  3. ビス(アミノフェノール)と、ジカルボン酸由来の構造とで構成されるポリベンゾオキサゾール前駆体構造を含むアルカリ可溶性樹脂であって、
    下記式(2)で表される前記ビス(アミノフェノール)の二面角A−B−R−Dを−180度から180度の範囲において5度ずつ回転させ、それぞれの配座における生成熱を分子軌道法により求めたときの、最も高い生成熱と最も低い生成熱の差が、3〔kcal/mol〕未満であることを特徴とするアルカリ可溶性樹脂。
    Figure 2011004573
    (式中、Rは−O−、−S−、炭素数3以下のアルキレン、置換アルキレンから選ばれる有機基である。Rは水素原子、アルキル基、またはアルコキシ基であり、それぞれ同一でも異なってもよい。)
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載されるアルカリ可溶性樹脂と、感光剤を含むポジ型感光性樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物で構成されていることを特徴とする硬化膜。
  6. 請求項5に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする保護膜。
  7. 請求項5に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする絶縁膜。
  8. 請求項5に記載の硬化膜を有していることを特徴とする半導体装置。
  9. 請求項5に記載の硬化膜を有していることを特徴とする表示体装置。
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