JPWO2010137606A1 - 磁気センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 特に、1チップ構成で複数の磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向を反平行に調整でき、しかも低コストで高い検出精度を備える磁気センサを提供することを目的とする。【解決手段】 同一基板に第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16とが成膜される。第1磁気抵抗効果素子13,14の固定磁性層42は、磁性層49,51,53が3層の積層フェリ構造であり、第2磁気抵抗効果素子15,16の固定磁性層55は、磁性層56,58が2層の積層フェリ構造である。第1磁気抵抗効果素子13,14の第3磁性層53の磁化方向と、第2磁気抵抗効果素子15,16の第2磁性層58の磁化方向とは互いに反平行となっている。【選択図】図3

Description

本発明は、同一基板に複数の磁気抵抗効果素子を備え、磁気抵抗効果素子を構成する固定磁性層が複数の磁性層と、各磁性層の間に介在する非磁性中間層との積層フェリ構造で形成された磁気センサに関する。
複数の磁気抵抗効果素子を用いて構成されたブリッジ回路(検出回路)を備える磁気センサは、出力を大きくすべく、外部磁場に対して逆の電気特性となる2種類の磁気抵抗効果素子を使用する。磁気抵抗効果素子としてGMR素子(巨大磁気抵抗効果素子)を用いた場合、GMR素子を構成する固定磁性層の磁化方向を一方の磁気抵抗効果素子と他方の磁気抵抗効果素子とで反対にすれば、電気特性を逆にすることが出来る。
これらGMR素子を、まず同一基板上に形成し、また磁場中熱処理にて、全てのGMR素子の固定磁性層の磁化方向を同一方向に調整する。そして、例えば複数のGMR素子を組として各組毎に基板を分断してチップ化し、一方のチップに配置されたGMR素子の固定磁性層の磁化方向と、他方のチップに配置されたGMR素子の固定磁性層の磁化方向とが反平行になるように、一方のチップを他方のチップに対して180度回転させた状態で、一方のチップと他方のチップを共通の支持基板上に設置する。さらに指示基板の電極部と各チップのパッド間をワイヤボンディングする。
国際公開第94/15223号 特開2002−140805号公報
しかしながら、上記により製造された磁気センサでは、固定磁性層の磁化方向が異なるGMR素子を備える各チップを、支持基板に並設しなければならず、さらに各チップと支持基板間をワイヤボンディングするためにワイヤボンディング領域が必要になる等、磁気センサが大型化する問題があった。
また従来では、基板を複数に切断した後、一方のチップを180度反転させて、さらに各チップを支持基板上に貼り付ける(ダイボンディング)という一連の作業工程が必要になり、また1つの基板から製造できる取り個数が少なくなり製造工程の煩雑化及び製造コストの上昇が問題となった。また製造ばらつきが生じやすく磁気センサの検出精度にもばらつきが生じやすくなった。
特許文献に記載された発明は、固定磁性層の磁化方向が異なる複数の磁気抵抗効果素子にて外部磁場に対する検出回路が構成された磁気センサに関する発明でなく、上記した従来課題に対する解決手段は記載されていない。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、1チップ構成で複数の磁気抵抗効果素子の固定磁性層の磁化方向を反平行に調整でき、しかも低コストで高い検出精度を備える磁気センサを提供することを目的とする。
本発明は、複数の磁気抵抗効果素子にて外部磁場に対する検出回路が構成された磁気センサであって、
前記磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性層を介して積層された外部磁場を受けて磁化方向が変動するフリー磁性層と、前記固定磁性層の前記非磁性層とは反対側の面に形成され、前記固定磁性層との間で磁場中熱処理により交換結合磁界を生じさせる反強磁性層と、を有する積層構造を備えており、
前記固定磁性層は、複数の磁性層と前記磁性層の間に介在する非磁性中間層との積層フェリ構造で構成されており、
複数の前記磁気抵抗効果素子のうち、前記磁性層の数が奇数の第1磁気抵抗効果素子と、前記磁性層の数が偶数の第2磁気抵抗効果素子とが同一基板に成膜されており、
前記第1磁気抵抗効果素子の前記固定磁性層を構成する前記磁性層のうち前記非磁性層に接する前記磁性層の磁化方向と、前記第2磁気抵抗効果素子の前記固定磁性層を構成する前記磁性層のうち前記非磁性層に接する前記磁性層の磁化方向とが互いに反平行となっていることを特徴とするものである。
本発明では1チップで構成でき、これにより磁気センサの小型化を促進でき、また製造ばらつきを小さくでき、さらに取り個数を増やすことができる。これにより、製造コストを抑えることが出来るとともに、高い検出精度を備えることができる。
本発明では、前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子の抵抗変化率(ΔMR)及び温度特性(TCΔMR)がほぼ等しいことが好ましい。本発明では、例えば、第1磁気抵抗効果素子を構成する磁性層のうち、非磁性層に接する磁性層及び反強磁性層に接する磁性層の膜厚を夫々調整することで、簡単且つ適切に第1磁気抵抗効果素子の抵抗変化率(ΔMR)及び温度特性(TCΔMR)を、第2磁気抵抗効果素子に合わせ込むことが出来る。
また本発明では、前記第1磁気抵抗効果素子の前記磁性層の数は3であり、前記第2磁気抵抗効果素子の前記磁性層の数は2であることが好ましい。これにより、第1磁気抵抗効果素子と第2磁気抵抗効果素子との間で、抵抗変化率(ΔMR)や温度特性(TCΔMR)の合わせ込みを簡単且つ適切に行うことができ、また第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子の双方が高い外乱磁場に対する耐熱信頼性や抵抗変化率(ΔMR)を得ることが出来るように調整しやすい。
また本発明では、前記第1磁気抵抗効果素子を構成する前記固定磁性層は、前記反強磁性層に接する側から第1磁性層、前記非磁性中間層、第2磁性層、前記非磁性中間層、前記第3磁性層の順に積層され、前記第3磁性層は前記非磁性層に接しており、
前記第2磁性層の膜厚は、前記第1磁性層及び前記第2磁性層の膜厚よりも厚いことが好ましい。これにより、第1磁気抵抗効果素子の外乱磁場に対する耐熱信頼性を向上でき、また抵抗変化率(ΔMR)の低下を適切に抑制できる。
また本発明では、前記第2磁性層の膜厚>前記第3磁性層の膜厚>前記第1磁性層の膜厚の関係を満たすことが好ましい。第3磁性層の膜厚を厚くすることで、抵抗変化率(ΔMR)を大きくすることができ、一方、第1磁性層の膜厚を薄くすることで、反強磁性層との交換結合磁界(Hex)を大きくでき、固定磁性層の磁化固定力を強くすることができる。
また本発明では、0.5Å<(前記第1磁性層の膜厚+前記第3磁性層の膜厚−前記第2磁性層の膜厚)<1.5Åの関係を満たすことが好ましい。これにより、より効果的に、第1磁気抵抗効果素子の外乱磁場に対する耐熱信頼性を向上でき、また高い抵抗変化率(ΔMR)を得ることが出来る。
また本発明では、(前記第1磁性層の膜厚+前記第3磁性層の膜厚−前記第2磁性層の膜厚)を−2.5Å〜−1.5Åの範囲内にて調整することも可能である。
また本発明では、上記した各磁性層の膜厚限定と合わせて、前記第1磁性層はCoxFe100-x(xはat%であり、60〜100の範囲内である)で形成され、前記第2磁性層及び前記第3磁性層は、CoyFe100-y(yはat%であり、80〜100の範囲内である)で形成されることが好ましい。
また本発明では、各磁性層の飽和磁化をMs、各磁性層の膜厚をtとしたとき、前記第2磁性層のMs・tは、前記第1磁性層のMs・tと前記第3磁性層の膜厚Ms・tとを足した値にほぼ等しいことが好ましい。これにより、より効果的に、第1磁気抵抗効果素子の外乱磁場に対する耐熱信頼性を向上でき、また高い抵抗変化率(ΔMR)を得ることが出来る。
また本発明では、前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子は平面視のパターン寸法が異なり、前記第1磁気抵抗効果素子の素子抵抗値と前記第2磁気抵抗効果素子の素子抵抗値とがほぼ同じとなっていることが好ましい。
また本発明では、前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子は、絶縁層を介して積層されていることが好ましい。これにより、より効果的に磁気センサの小型化を促進できる。
本発明の磁気センサによれば、1チップで構成でき、これにより磁気センサの小型化を促進でき、また製造ばらつきを小さくでき、さらに取り個数を増やすことができる。これにより、製造コストを抑えることが出来るとともに、高い検出精度を備えることができる。
本実施形態における磁気センサの斜視図、 本実施形態の磁気センサの部分拡大縦断面図、 第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子の積層構造の拡大縦断面図、 本実施形態の磁気センサの回路図、 第1磁気抵抗効果素子のR−H特性、 第2磁気抵抗効果素子のR−H特性、 第1磁気抵抗効果素子の固定磁性層を構成する第2磁性層あるいは第3磁性層の膜厚と抵抗変化率(ΔMR)との関係を示すグラフ、 第1磁気抵抗効果素子の固定磁性層を構成する第1磁性層の膜厚と温度特性(TCΔMR)との関係を示すグラフ、 第1磁気抵抗効果素子の(第1磁性層の膜厚+第3磁性層の膜厚−第2磁性層の膜厚)と規格化Hplとの関係を示すグラフ、 第1磁気抵抗効果素子の(第1磁性層の膜厚+第3磁性層の膜厚−第2磁性層の膜厚)と抵抗変化率(ΔMR)との関係を示すグラフ。
図1は本実施形態における磁気センサの斜視図、図2は、図1に示す磁気センサの部分拡大縦断面図、図3(a)(b)は、第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子の積層構造を示す拡大縦断面図、図4は、本実施形態の磁気センサの回路図、である。
本実施形態の磁気センサ10は、図1,図2に示すように、同一の基板11に、2つの第1磁気抵抗効果素子13,14と、2つの第2磁気抵抗効果素子15,16とが絶縁中間層を介して積層されている。
図2に示すように、基板11上には絶縁下地層12が形成され、この絶縁下地層12の上に第1磁気抵抗効果素子13,14が形成されている。また、第2磁気抵抗効果素子15,16は絶縁中間層17の平坦化面17a上に形成される。図2に示すように第2磁気抵抗効果素子15,16上は保護層18で覆われている。ここで絶縁下地層12は例えば膜厚が1000Å程度のAl23で形成される。また、絶縁中間層17は、下から、例えば膜厚が1000Å程度のAl23層と、膜厚が5000Å〜20000Å程度のSiO2層又はSiN層と、膜厚が1000Å程度のAl23層との積層構造で形成される。
ここで、絶縁中間層17は、上記のように3層構造とすることが好ましい。下から第1の絶縁層、第2の絶縁層、第3の絶縁層の順に積層され、第1の絶縁層を構成するAl23層は、第1磁気抵抗効果素子13,14を酸化等から保護する。また第2の絶縁層を構成するSiO2層又はSiN層は、第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16間を電気的に分離し且つ耐ESDに必要十分な膜厚を有する。また、第3の絶縁層を構成するAl23層は、第2磁気抵抗効果素子15,16のGMR特性の安定を得る目的のため設けられる。特に、ESD耐性を確保するために、第2の絶縁層の膜厚は5000Å以上で、更に好ましくは10000Å以上必要である。また、第2の絶縁層の膜厚は厚すぎると成膜プロセス及び電極の上下コンタクト用の貫通孔を形成するためのエッチングプロセス時間が長くなるため、20000Å以下、特に好ましくは15000Å以下とすることが好ましい。
また保護層18は、2000Å程度のAl23層やSiO2層で形成される。なお上記の絶縁構成はあくまでも一例である。上記では無機絶縁材料を使用したが有機絶縁材料を用いることもできる。
図1に示すように第1磁気抵抗効果素子13,14Å及び第2磁気抵抗効果素子15,16はミアンダ形状で形成されている。また図2に示すように、第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16は、絶縁中間層17を介して重なるように形成されている。
図1に示すように、2つの出力電極20,21と、入力電極22とグランド電極23とが、絶縁中間層17を貫いて形成されている。各電極には、第1磁気抵抗効果素子の一方の端部と第2磁気抵抗効果素子の一方の端部が電気的に接続され図4に示すブリッジ回路(検出回路)が構成されている。
図1,図2に示す磁気センサ10の製造方法について説明する。例えばまず、第1磁気抵抗効果素子を構成する積層膜を基板11の面内全域にスパッタ法等で形成し、エッチング法を用いて、ミアンダ形状の第1磁気抵抗効果素子13,14を形成する。また第1磁気抵抗効果素子13,14の端部を各電極の形成領域まで引き延ばして形成する。
そして、第1磁気抵抗効果素子13,14上に絶縁中間層17を形成し、前記絶縁中間層17上に、第2磁気抵抗効果素子15,16を形成する。例えば第2磁気抵抗効果素子を構成する積層膜を基板11の面内全域にスパッタ法等で形成し、エッチング法を用いて、ミアンダ形状の第2磁気抵抗効果素子15,16を形成する。このとき、第2磁気抵抗効果素子15,16の端部を各電極の形成領域まで引き延ばして形成する。
続いて、エッチングにて、各電極20〜23の形成領域の絶縁中間層17に貫通孔を形成し、この貫通孔内に、電極20〜23となる導電層をメッキ等で埋め込み形成する。これにより、各磁気抵抗効果素子13〜16の端部と各電極20〜23とを電気的に接続する。
図3(a)は、第1磁気抵抗効果素子13,14の積層構造を示す縦断面図であり、図3(b)は、第2磁気抵抗効果素子15,16の積層構造を示す縦断面図である。
図3(a)に示すように、第1磁気抵抗効果素子13,14は、下からシード層40、反強磁性層41、固定磁性層42、非磁性層43、フリー磁性層44及び保護層45の順に積層された巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)である。
シード層40は例えばNi−Fe−Crで形成される。反強磁性層41は、Ir−Mn合金(イリジウム−マンガン合金)やPt−Mn合金(プラチナ−マンガン合金)などの反強磁性材料で形成されている。非磁性層43はCu(銅)などである。フリー磁性層44は、Ni−Fe合金(ニッケル−鉄合金)などの軟磁性材料で形成されている。この実施形態ではフリー磁性層44は3層の積層構造であり、下から第1Co−Fe層46,第2Co−Fe層47及びNi−Fe層48の順に積層されている。第1Co−Fe層46のCo濃度のほうが、第2Co−Fe層47のCo濃度よりも高いことが好適である。例えば、第1Co−Fe層46は、CozFe100-z(zはat%であり、80〜100の範囲内である)で形成され、第2Co−Fe層47は、CowFe100-w(wはat%であり、60〜100の範囲内である)で形成される。またフリー磁性層44は2層構造でも単層構造であってもよい。保護層45はTa(タンタル)などである。
図3(a)に示すように第1磁気抵抗効果素子13,14の固定磁性層42は、下から第1磁性層49、非磁性中間層50、第2磁性層51、非磁性中間層52、及び第3磁性層53の順に積層された積層フェリ構造である。例えば、第1磁性層49、第2磁性層51及び第3磁性層53は共にCo−Fe合金で形成され、非磁性中間層50,52はRu(ルテニウム)等で形成される。
反強磁性層41と第1磁性層49の間では磁場中熱処理により交換結合磁界(Hex)が生じるとともに、第1磁性層49と第2磁性層51の間、及び、第2磁性層51と第3磁性層53の間ではRKKY的相互作用が生じて、非磁性中間層50,52を介して対向する各磁性層49,51,53の磁化方向は互いに反平行状態で固定される。図3(a)に示すように、例えば、第1磁性層49,第3磁性層53の磁化方向はX1方向で、第2磁性層51の磁化方向はX2方向である。
また図3(b)に示すように、第2磁気抵抗効果素子15,16は、下からシード層40、反強磁性層41、固定磁性層55、非磁性層43、フリー磁性層44及び保護層45の順に積層された巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)である。図3(b)に示すように、第2磁気抵抗効果素子15,16を構成する固定磁性層55は、下から第1磁性層56、非磁性中間層57、第2磁性層58の順に積層された積層フェリ構造である。例えば、第1磁性層56及び第2磁性層58は共にCo−Fe合金で形成され、非磁性中間層57はRu(ルテニウム)等で形成される。
反強磁性層41と第1磁性層56の間では磁場中熱処理により交換結合磁界(Hex)が生じるとともに、第1磁性層56と第2磁性層58の間の間ではRKKY的相互作用が生じて、第1磁性層56と第2磁性層58の磁化方向が反平行状態で固定される。図3(b)に示すように、例えば、第1磁性層56の磁化方向はX1方向で、第2磁性層58の磁化方向はX2方向である。
本実施形態では、図3(a)(b)に示すように、第1磁気抵抗効果素子13,14の固定磁性層42を構成する磁性層のうち、非磁性層43に接する第3磁性層53の磁化方向(X1方向)と、第2磁気抵抗効果素子15,16の固定磁性層55を構成する磁性層のうち、非磁性層43に接する第2磁性層58の磁化方向(X2方向)とが反平行になっている。
一方、フリー磁性層44の磁化方向は、外部磁場により変動する。例えば、外部磁場がX1方向に作用するとフリー磁性層44の磁化はX1方向に向く。このとき第1磁気抵抗効果素子13,14の非磁性層43に接する第3磁性層53の磁化方向(X1方向)とフリー磁性層44の磁化方向とが平行になり第1磁気抵抗効果素子13,14の電気抵抗値は最小値(Rmin)になる。一方、第2磁気抵抗効果素子15,16の非磁性層43に接する第2磁性層58の磁化方向(X2方向)とフリー磁性層44の磁化方向とが反平行になり第2磁気抵抗効果素子15,16の電気抵抗値は最大値(Rmax)になる。このように第1磁気抵抗効果素子13,14の電気特性と、第2磁気抵抗効果素子15,16の電気特性は逆になる。
以下、第1磁気抵抗効果素子13,14及び第2磁気抵抗効果素子15,16のR−H特性の一例を示す。実験で使用した各磁気抵抗効果素子の膜構成は以下の通りである。
第1磁気抵抗効果素子13,14の膜構成を下から、基板/シード層40:NiFeCr/反強磁性層:IrMn/固定磁性層42:[第1磁性層49:Co70at%Fe30at%(X)/非磁性中間層50:Ru/第2磁性層51:Co90at%Fe10at%(Y)/非磁性中間層52:Ru/第3磁性層:Co90at%Fe10at%(Z)]/非磁性層43:Cu/フリー磁性層44:[CoFe/NiFe]/保護層:Taとした。
また、第2磁気抵抗効果素子15,16の膜構成を下から、基板/シード層40:NiFeCr/反強磁性層:IrMn/固定磁性層55:[第1磁性層56:CoFe/非磁性中間層57:Ru/第2磁性層58:CoFe]/非磁性層43:Cu/フリー磁性層44:[CoFe/NiFe]/保護層:Taとした。
なお、上記の膜構成において括弧内のX,Y,Zは膜厚を示す。
上記した磁気抵抗効果素子を成膜後、磁場中熱処理を施した。
図5は、第1磁気抵抗効果素子13,14のR−H特性であり、図6は、第2磁気抵抗効果素子15,16のR−H特性である。図5,図6の上段にはメジャーループを、図5,図6の下段にはマイナーループを示す。
また図5,図6のグラフの横軸は外部磁場の大きさ及び方向を示し、縦軸は抵抗変化率(ΔMR)を示す。
図5,図6に示すように、第1磁気抵抗効果素子13,14の電気特性と、第2磁気抵抗効果素子15,16の電気特性は外部磁場に対して逆になることがわかる。ここで1Oeは約80A/mである。
そして、本実施形態における第1磁気抵抗効果素子13,14及び第2磁気抵抗効果素子15,16により図4に示すブリッジ回路が構成され、図4に示すブリッジ回路の出力電極20,21からの出力は、第1磁気抵抗効果素子13,14及び第2磁気抵抗効果素子15,16の電気抵抗値の変動に基づいて変化する。出力電極20,21は、図示しない集積回路の差動増幅器に接続され、これにより差動出力を得ることが出来る。
図1,図2に示すように、本実施形態では、同一の基板11に、第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16とを絶縁中間層17を介して積層しており、1チップにて磁気センサ10を構成でき、従来のようなワイヤボンディング領域を必要としない。これにより、磁気センサ10の小型化を促進できる。また従来のように複数のチップで磁気センサ10を構成する場合に比べて、各チップ間の位置決め等が必要なく製造ばらつきを小さくでき、さらに取り個数を増やすことができる。これにより、製造コストを抑えることができるとともに、検出精度を向上させることができる。
しかも本実施形態では、第1磁気抵抗効果素子13,14の固定磁性層42を構成する磁性層49,51,53の数を奇数とし、第2磁気抵抗効果素子15,16の固定磁性層55を構成する磁性層56,58の数を偶数とすることで、1チップ構成でも、1回の磁場中熱処理にて、第1磁気抵抗効果素子13,14の非磁性層43に接する磁性層(第3磁性層)53の磁化方向と、第2磁気抵抗効果素子15,16の非磁性層43に接する磁性層(第2磁性層)58の磁化方向とを反平行にすることが出来る。
磁場中熱処理は、上記したように、反強磁性層41と第1磁性層49,56間に交換結合磁界(Hex)を生じさせるために行う。この磁場中熱処理は、第1磁気抵抗効果素子13,14及び第2磁気抵抗効果素子15,16の双方を形成した後、第1磁気抵抗効果素子13,14及び第2磁気抵抗効果素子15,16に対して同時に行なうことが可能である。
本実施形態では、第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16の抵抗変化率(ΔMR)及び温度特性(TCΔMRやTCR)をほぼ等しくすることで、安定して高い検出精度を得ることが出来る。ここで「ほぼ等しい」とは比率で、±10%程度の誤差を含む概念である。
本実施形態では、例えば、各磁気抵抗効果素子の固定磁性層を構成する磁性層の膜厚を調整することで、第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16の抵抗変化率(ΔMR)と温度特性(TCΔMR)とをほぼ等しく出来る。
具体的には、以下のようにして、抵抗変化率(ΔMR)と温度特性(TCΔMR)とを調整することが出来る。
今、固定磁性層55を構成する磁性層56,58が2層の第2磁気抵抗効果素子15,16の抵抗変化率(ΔMR)と温度特性(TCΔMR)に対して、固定磁性層42を構成する磁性層49,51,53が3層の第1磁気抵抗効果素子13,14の抵抗変化率(ΔMR)と温度特性(TCΔMR)を合わせ込むこととする。
第2磁気抵抗効果素子15,16には、上記した図6の実験で使用した積層膜を用い、このとき、第2磁気抵抗効果素子15,16の抵抗変化率(ここでの抵抗変化率(ΔMR)は、11.0%程度であった。
また、第2磁気抵抗効果素子15,16には、上記した図6の実験で使用した積層膜を用い、このとき、第2磁気抵抗効果素子15,16の抵抗変化率の温度特性(TCΔMR)は、−3060(ppm/℃)程度であった。
次に、第1磁気抵抗効果素子13,14の膜構成を下から、基板/シード層40:NiFeCr/反強磁性層:IrMn/固定磁性層42:[第1磁性層49:Co70at%Fe30at%(X)/非磁性中間層50:Ru/第2磁性層51:Co90at%Fe10at%(Y)/非磁性中間層52:Ru/第3磁性層:Co90at%Fe10at%(Z)]/非磁性層43:Cu/フリー磁性層44:[CoFe/NiFe]/保護層:Taとした。そして、素子成膜後、磁場中熱処理を施した。
ここで、第1磁性層49の膜厚(X)と、第2磁性層51の膜厚(Y)を固定し、第3磁性層53の膜厚(Z)を変化させて、第1磁気抵抗効果素子13,14の抵抗変化率(ΔMR)を求めた。
また、第1磁性層49の膜厚(X)と、第3磁性層53の膜厚(Z)を固定し、第2磁性層の膜厚(Y)を変化させて、第1磁気抵抗効果素子13,14の抵抗変化率(ΔMR)を求めた。その実験結果が図7に示されている。
図7に示すように、第3磁性層53の膜厚(Z)を厚くしていくと抵抗変化率(ΔMR)が徐々に大きくなることがわかった。図7に示すように、第3磁性層53の膜厚(Z)を変化させることで、第2磁気抵抗効果素子15,16の抵抗変化率(ΔMR)とほぼ等しい抵抗変化率(ΔMR)を得ることが可能であるとわかった。
次に、上記の膜構成の第1磁気抵抗効果素子13,14を用い、第2磁性層51の膜厚(Y)と、第3磁性層53の膜厚(Z)を固定し、第1磁性層49の膜厚(X)を変化させて、第1磁気抵抗効果素子13,14の温度特性(TCΔMR)を測定した。その実験結果が図8に示されている。
図8に示すように第1磁性層49の膜厚(X)が大きくなると、徐々に、第1磁気抵抗効果素子13,14の温度特性(TCΔMR)は低下することがわかった。そして図8に示すように、第1磁性層49の膜厚(X)を変化させることで、第2磁気抵抗効果素子15,16の温度特性(TCΔMR)とほぼ等しい温度特性(TCΔMR)を得ることが可能であるとわかった。
このように、例えば第1磁気抵抗効果素子13,14を構成する磁性層のうち、非磁性層に接する磁性層(第3磁性層53)や反強磁性層41に接する磁性層(第1磁性層49)の膜厚を調整することで、簡単且つ適切に第1磁気抵抗効果素子13,14の抵抗変化率(ΔMR)及び温度特性(TCΔMR)を、第2磁気抵抗効果素子15,16に合わせ込むことが出来る。
本実施形態では、第1磁気抵抗効果素子13,14の固定磁性層42を構成する磁性層の数を奇数、第2磁気抵抗効果素子15,16の固定磁性層55を構成する磁性層の数を偶数としているが、図3に示すように第1磁気抵抗効果素子13,14では前記磁性層49,51,53の数が3で、第2磁気抵抗効果素子15,16では前記磁性層56,58の数が2であることが好適である。これにより、第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16との間で、図7,図8の実験に示した抵抗変化率(ΔMR)や温度特性(TCΔMR)、さらには素子抵抗値Rの合わせ込みを簡単且つ適切に行うことができ、また次に説明する第1磁気抵抗効果素子13,14及び第2磁気抵抗効果素子15,16の双方の耐熱信頼性や抵抗変化率(ΔMR)を簡単且つ適切に向上させることができる。
次に本実施形態では、図3(a)に示す磁性層49,51,53が3層の第1磁気抵抗効果素子13,14において、外乱磁場に対する耐熱信頼性を確保し、また、抵抗変化率(ΔMR)の低下を抑制するために、各磁性層49,51,53の膜厚に対する以下の実験を行った。
第1磁気抵抗効果素子13,14の膜構成を下から、基板/シード層40:NiFeCr/反強磁性層:IrMn/固定磁性層42:[第1磁性層49:Co70at%Fe30at%(X)/非磁性中間層50:Ru/第2磁性層51:Co90at%Fe10at%(Y)/非磁性中間層52:Ru/第3磁性層:Co90at%Fe10at%(Z)]/非磁性層43:Cu(20)/フリー磁性層44:[CoFe/NiFe]/保護層:Taとした。そして、素子成膜後、磁場中熱処理を施した。
実験では、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)を変化させながら、規格化Hplを求めた。ここで「Hpl」とは、図5,図6に示すR−H特性において、抵抗変化率(ΔMR)(ここで言う抵抗変化率(ΔMR)とは、図5,図6に示す縦軸の最大値を指す)が2%低下したときの外部磁場強度を指す。そして第1磁気抵抗効果素子13,14に対して約300℃の加熱下で、固定磁性層42の磁化方向に対して直交する方向に外乱磁場を印加した状態で数時間保持し、常温に戻した後に上記したHplを求め、このときのHplをHpl1とした。また、上記の加熱もせずに常温の状態で且つ直交外乱磁場も印加しない状態で、Hplを求め、このときのHplをHpl2とした。そして、Hpl1/Hpl2を規格化Hplとした。
図9は、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)と、規格化Hplとの関係を示す実験結果のグラフである。ここで、規格化Hplは、1に近いほど、外乱磁場に対する耐熱信頼性が高いことを意味する。
図9には、図6の実験で使用した積層膜により測定した第2磁気抵抗効果素子15,16の規格化Hplも掲載されている。第2磁気抵抗効果素子15,16には、第3磁性層は設けられていないので、横軸は、第1磁性層56の膜厚−第2磁性層58の膜厚で示される。
図9に示すように第2磁気抵抗効果素子15,16の規格化Hplは0.7程度であった。よって、第1磁気抵抗効果素子13,14も同程度以上の規格化Hplが得られることが望ましい。
図9に示すように、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)が約2Åよりも大きくなると規格化Hplが大きく低下しやすいことがわかった。また、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)が−2.5Å程度までは高い規格化Hplが得られることがわかった。
続いて、図9の実験で使用した第1磁気抵抗効果素子13、14を用いて、第3磁性層53の膜厚(Z)を変化させて、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)を変化させながら、抵抗変化率(ΔMR)を求めた。
図10は、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)と、抵抗変化率(ΔMR)との関係を示す実験結果のグラフである。図10には、図6の実験で使用した積層膜により測定した第2磁気抵抗効果素子15,16の抵抗変化率(ΔMR)も掲載されている。第2磁気抵抗効果素子15,16には、第3磁性層は設けられていないので、横軸は、第1磁性層56の膜厚−第2磁性層58の膜厚で示される。
また図10には、第1磁気抵抗効果素子13、14における(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)と抵抗変化率(ΔMR)との関係の理論線も図示されている。
図10に示すように(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)が0に近づくと、抵抗変化率(ΔMR)が理論値から外れ小さくなることがわかった。
図9,図10に示す実験結果から、第2磁性層51の膜厚を第1磁性層49及び第3磁性層53の膜厚よりも厚くして、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)を、0よりもややプラス寄りあるいはマイナス寄りにすることが、第1磁気抵抗効果素子13,14の外乱磁場に対する耐熱信頼性を向上できるとともに、抵抗変化率(ΔMR)の低下を適切に抑制できることがわかった。
また、第2磁性層51の膜厚>第3磁性層53の膜厚>第1磁性層49の膜厚の関係を示すことが好ましい。図7に示すように第3磁性層53の膜厚を厚くすることで、効果的に、抵抗変化率(ΔMR)を向上させることができ、一方、第1磁性層49の膜厚を薄くすることで、反強磁性層41との交換結合磁界(Hex)を大きくすることが可能であり、固定磁性層42を安定して磁化固定できる。図9,図10の実験では、第1磁性層49の膜厚は11Åで、第2磁性層51の膜厚は27Åであり、高い規格化Hplと抵抗変化率(ΔMR)を得るべく、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)を1Å程度とすると、第3磁性層53の膜厚は17Å程度となり、第2磁性層51の膜厚>第3磁性層53の膜厚>第1磁性層49の膜厚の関係を満たすことがわかった。
ここで、図9に示すように、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)を0Åにすると、規格化Hplを非常に大きくできて好ましいが、その一方で、図10に示すように、抵抗変化率(ΔMR)が小さくなりやすいことがわかった。
そこで、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)を0Åに調整するのは避けたほうが好ましく、具体的には、0.5Å<(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)<1.5Åの関係を満たすことが好ましいと設定した。これにより、図9,図10に示すように、より効果的に、固定磁性層42の磁性層49,51,53が3層とされた第1磁気抵抗効果素子13,14の外乱磁場に対する耐熱信頼性を向上でき、また高い抵抗変化率(ΔMR)を得ることが出来る。
また、−2.5Å<第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚<−1.5Åの関係を満たすように設定することも可能である。
ただし、(第1磁性層49の膜厚+第3磁性層53の膜厚−第2磁性層51の膜厚)を0.5Å〜1.5Åの範囲内としたほうが、より確実に、第1磁気抵抗効果素子13,14の外乱磁場に対する耐熱信頼性を向上でき、また高い抵抗変化率(ΔMR)を得ることが出来て好適である。
また本実施形態では、上記したように第1磁気抵抗効果素子13,14の固定磁性層42を構成する磁性層49,51,53の膜厚を規定したが、磁性層の材質としては、第1磁性層49をCoxFe100-x(xはat%であり、60〜100の範囲内である)で形成し、第2磁性層51及び第3磁性層53を、CoyFe100-y(yはat%であり、80〜100の範囲内である)で形成することが好適である。
また本実施形態では、固定磁性層42の磁性層49,51,53が3層とされた第1磁気抵抗効果素子13,14において、各磁性層の飽和磁化をMs、各磁性層の膜厚をtとしたとき、第2磁性層51のMs・tを、第1磁性層49のMs・tと第3磁性層53の膜厚Ms・tとを足した値にほぼ等しくすることが好適である。ここで「ほぼ等しい」とは比率で、±10%程度の誤差を含む概念である。
なお、固定磁性層55の磁性層56,58が2層とされた第2磁気抵抗効果素子15,16においても、第1磁性層56のMs・tと第2磁性層58のMs・tとをほぼ等しくすることが好適である。
このようにMs・tを調整することで、より効果的に、第1磁気抵抗効果素子13,14の外乱磁場に対する耐熱信頼性を向上でき、また高い抵抗変化率(ΔMR)を得ることが出来る。
また、第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16とでは、積層構造が異なるため、平面視パターンを同寸法に設計すると、第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16の素子抵抗値R(外部磁場が作用していない無磁場状態での抵抗値)が異なることになり、図4に示すブリッジ回路において高精度に中点電位を得ることができなくなる。そこで、本実施形態では、第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16の平面視パターン寸法を異ならせて、第1磁気抵抗効果素子13,14の素子抵抗値Rと第2磁気抵抗効果素子15,16の素子抵抗値Rとをほぼ同じに調整することが好適である。ここで「ほぼ同じ」とは比率で、±10%程度の誤差を含む概念である。
例えばトリミング処理により第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16のパターン寸法を調整して、第1磁気抵抗効果素子13,14の素子抵抗値Rと第2磁気抵抗効果素子15,16の素子抵抗値Rとをほぼ同じにすることが可能である。
なお図1,図2では、第1磁気抵抗効果素子13,14が図示下側(基板11側)で、第2磁気抵抗効果素子15,16が図示上側に位置しているが逆であってもよい。
また本実施形態では、第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16とを基板11の上方に設けられた絶縁下地層12上に並設してもよいが、かかる場合、磁気センサ10の平面視形状が大きくなるので、図2に示すように絶縁中間層17を介して第1磁気抵抗効果素子13,14と第2磁気抵抗効果素子15,16とを積層させることが磁気センサ10の小型化を図るうえで好ましい。
10 磁気センサ
11 基板
13,14 第1磁気抵抗効果素子
15,16 第2磁気抵抗効果素子
17 絶縁中間層
18 保護層
20,21 出力電極
22 入力電極
23,24 グランド電極
41 反強磁性層
42,55 固定磁性層
43 非磁性層
44 フリー磁性層
49、56 第1磁性層
50、52、57 非磁性中間層
51、58 第2磁性層
53 第3磁性層

Claims (11)

  1. 複数の磁気抵抗効果素子にて外部磁場に対する検出回路が構成された磁気センサであって、
    前記磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性層を介して積層された外部磁場を受けて磁化方向が変動するフリー磁性層と、前記固定磁性層の前記非磁性層とは反対側の面に形成され、前記固定磁性層との間で磁場中熱処理により交換結合磁界を生じさせる反強磁性層と、を有する積層構造を備えており、
    前記固定磁性層は、複数の磁性層と前記磁性層の間に介在する非磁性中間層との積層フェリ構造で構成されており、
    複数の前記磁気抵抗効果素子のうち、前記磁性層の数が奇数の第1磁気抵抗効果素子と、前記磁性層の数が偶数の第2磁気抵抗効果素子とが同一基板に成膜されており、
    前記第1磁気抵抗効果素子の前記固定磁性層を構成する前記磁性層のうち前記非磁性層に接する前記磁性層の磁化方向と、前記第2磁気抵抗効果素子の前記固定磁性層を構成する前記磁性層のうち前記非磁性層に接する前記磁性層の磁化方向とが互いに反平行となっていることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子の抵抗変化率(ΔMR)及び温度特性(TCΔMR)がほぼ等しい請求項1記載の磁気センサ。
  3. 前記第1磁気抵抗効果素子の前記磁性層の数は3であり、前記第2磁気抵抗効果素子の前記磁性層の数は2である請求項1又は2に記載の磁気センサ。
  4. 前記第1磁気抵抗効果素子を構成する前記固定磁性層は、前記反強磁性層に接する側から第1磁性層、前記非磁性中間層、第2磁性層、前記非磁性中間層、前記第3磁性層の順に積層され、前記第3磁性層は前記非磁性層に接しており、
    前記第2磁性層の膜厚は、前記第1磁性層及び前記第2磁性層の膜厚よりも厚い請求項3記載の磁気センサ。
  5. 前記第2磁性層の膜厚>前記第3磁性層の膜厚>前記第1磁性層の膜厚の関係を満たす請求項4記載の磁気センサ。
  6. 0.5Å<(前記第1磁性層の膜厚+前記第3磁性層の膜厚−前記第2磁性層の膜厚)<1.5Åの関係を満たす請求項4又は5に記載の磁気センサ。
  7. −2.5Å<(前記第1磁性層の膜厚+前記第3磁性層の膜厚−前記第2磁性層の膜厚)<−1.5Åの関係を満たす請求項4又は5に記載の磁気センサ。
  8. 前記第1磁性層はCoxFe100-x(xはat%であり、60〜100の範囲内である)で形成され、前記第2磁性層及び前記第3磁性層は、CoyFe100-y(yはat%であり、80〜100の範囲内である)で形成される請求項4ないし7のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  9. 各磁性層の飽和磁化をMs、各磁性層の膜厚をtとしたとき、前記第2磁性層のMs・tは、前記第1磁性層のMs・tと前記第3磁性層の膜厚Ms・tとを足した値にほぼ等しい請求項3ないし8のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  10. 前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子は平面視のパターン寸法が異なり、前記第1磁気抵抗効果素子の素子抵抗値と前記第2磁気抵抗効果素子の素子抵抗値とがほぼ同じとなっている請求項1ないし9のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  11. 前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子は、絶縁中間層を介して積層されている請求項1ないし10のいずれか1項に記載の磁気センサ。
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