以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1(a)〜図1(e)は、第1の実施形態に係る圧力センサを例示する模式図である。
図1(a)は、斜視図である。図1(c)は、図1(a)の矢印AR方向からみた平面図である。図1(b)は、図1(a)及び図1(c)のA1−A2線断面図である。図1(d)及び図1(e)は、圧力センサの一部の断面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る圧力センサ110は、膜部70dと、検知素子50と、磁界発生部60と、を含む。
膜部70dは、変形可能である。検知素子50は、膜部70dの一部に固定される。
膜部70dから検知素子50に向かう方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの軸をX軸方向とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な方向をY軸方向とする。
膜部70dは、外縁70rを有している。圧力センサ110において、保持部70sがさらに設けられる。保持部70sは、外縁70rを保持する。保持部70sと外縁70rとの間のスリットが設けられても良い。すなわち、保持部70sは、外縁70rを連続的または不連続的に保持する。膜部70dは、孔(スリット)を有しても良い。
例えば、膜部70dのZ軸方向の長さ(厚さ)は、保持部70sのZ軸方向の長さ(厚さ)よりも短い(薄い)。
図1(b)に示すように、例えば、基板(シリコン基板など)の一部が除去されて、空洞70hが設けられる。これにより、膜部70dが形成される。例えば、除去されていない部分が保持部70sとなる。
図1(a)に示すように、この例では、複数の検知素子50(第1〜第4検知素子50a〜50dなど)が設けられている。この例では、第2検知素子50bは、X軸方向に沿って第1検知素子50aと並ぶ。第4検知素子50cは、X軸方向に沿って第3検知素子50cと並ぶ。第3検知素子50c及び第4検知素子50dが設けられる領域は、第1検知素子50a及び第2検知素子50bが設けられる領域と、Y軸方向において離間している。
例えば、第2検知素子50bは、第1検知素子50aと電気的に接続されても良い。第1検知素子50a及び第2検知素子50bは、1つの検知部50uに含まれても良い。X軸方向に並ぶ検知素子50の数は、3以上でも良い。検知部50uに含まれる検知素子50の数は、3以上でも良い。
図1(b)に示すように、第1検知素子50a(検知素子50)は、膜部70dの一部の上に設けられる。第1検知素子50a(検知素子50)は、第1磁性層10と、第2磁性層20と、中間層30(第1中間層)と、を含む。中間層30(第1中間層)は、第1磁性層10と第2磁性層20との間に設けられる。この例では、第1磁性層10と膜部70dとの間に、第2磁性層20が、配置されている。実施形態において、第2磁性層20と膜部70dとの間に、第1磁性層10が配置されても良い。
図1(b)に示すように、第2検知素子50bは、膜部70dの別の一部の上に設けられる。第2検知素子50bは、第3磁性層10bと、第4磁性層20bと、第2中間層30bと、を含む。第2中間層30bは、第3磁性層10bと第4磁性層20bとの間に設けられる。この例では、第3磁性層10b膜部70dとの間に、第4磁性層20bが、配置されている。実施形態において、第4磁性層20bと膜部70dとの間に、第3磁性層10bが配置されても良い。
図1(d)に示すように、第3検知素子50cは、膜部70dの別の一部の上に設けられる。第3検知素子50cは、第5磁性層10cと、第6磁性層20cと、第3中間層30cと、を含む。第3中間層30cは、第5磁性層10cと第6磁性層20cとの間に設けられる。例えば、第5磁性層10cと膜部70dとの間に、第6磁性層20cが、配置される。第6磁性層20cと膜部70dとの間に、第5磁性層10cが配置されても良い。
図1(e)に示すように、第4検知素子50dは、膜部70dの別の一部の上に設けられる。第4検知素子50dは、第7磁性層10dと、第8磁性層20dと、第4中間層30dと、を含む。第4中間層30dは、第7磁性層10dと第8磁性層20dとの間に設けられる。例えば、第7磁性層10dと膜部70dとの間に、第8磁性層20dが、配置される。実施形態において、第8磁性層20dと膜部70dとの間に、第7磁性層10dが配置されても良い。
例えば、第1電極58aと、第2電極58bと、絶縁膜58cと、が設けられる。これらの電極の間の一部に検知素子50(第1検知素子50a)が設けられる。絶縁膜58cは、これらの電極の間の別の一部に設けられる。これらの電極に電流が供給される。この電流により、第1磁性層10と第2磁性層20との間の抵抗が検知可能である。
第1磁性層10は、磁化(第1磁化)を有している。第2磁性層20は、磁化(第2磁化)を有している。第1磁性層10の磁化(第1磁化)は、膜部70dの変形に応じて変化する。第1磁性層10は、例えば、磁化自由層である。第2磁性層20の磁化(第2磁化)は、固定される。第2磁性層20は、例えば、参照層(例えば磁化固定層)である。第2磁性層20の磁化が、膜部70dの変形に応じて変化しても良い。
検知素子50(第1検知素子50a)において、膜部70dの変形に応じた歪が、第1磁性層10に加わる。第1磁性層10において、加わった歪に応じて磁化の向きの変化が生じる。この磁化の変化は、例えば、逆磁歪効果による。第1磁性層10の第1磁化の方向と、第2磁性層20の第2磁化の方向と、の間の角度が、加わった歪に応じて変化する。磁化の方向の間の角度の変化に応じて、第1磁性層10と第2磁性層20との間の電気抵抗が変化する。この変化は、例えば、磁気抵抗効果(MR効果)による。電気抵抗の変化を検知することで、検知素子50に加わった歪を検知することができる。
同様に、第2〜第3検知素子50b〜50dにおいても、加わった歪に応じた電気抵抗の変化が生じる。これらの検知素子においても、電気抵抗の変化を検知することで、加わった歪を検知することができる。
電気抵抗の変化の検知のための電流が、第1電極58a及び第2電極58bを介して、検知素子50(第1検知素子50a、または検知部50u)に供給される。
図1(c)に示すように、この例では、膜部70d(外縁70r)は、実質的に多角形(四角形、具体的には長方形)である。膜部70dの外縁70rは、第1辺70s1と、第2辺70s2と、第3辺70s3と、第4辺70s4と、を含む。
第1辺70s1は、第1方向(この例では、X軸方向)に延びる。第2辺70s2は、第2方向において第1辺70s1と離間する。第2方向は、第1方向と交差する。この例では、第2方向は、Y軸方向である。第2辺70s1は、第1方向(X軸方向)に延びる。第3辺70s3は、第2方向(Y軸方向)に延びる。第4辺70s4は、第1方向(X軸方向)において第3辺70s3と離間し、第2方向(Y軸方向)に延びる。
この例では、第3辺70s3と第4辺70s4との間の第1方向の沿った距離は、第1辺70s1と第2辺70s2との間の第2方向に沿った距離よりも長い。膜部70dは、実質的に長方形であり、第1辺70s1及び第2辺70s2は、長辺である。第3辺70s3及び第4辺70s4は、短辺である。実施形態において、外縁70rにおいて、辺と辺との間に曲線部分が設けられても良い。例えば、膜部70dの強度が向上する。膜部70bは、正方形状でも良い。膜部70dは、円形状でも良い。
膜部70dに圧力が加わったときに、膜部70dの外縁70rの近傍において、大きな歪(異方性歪)が生じる。検知素子50を膜部70dの外縁70rの近傍に配置することで、大きな歪が検知素子50に加わり、高い感度が得られる。特に、膜部70dの一方の長さが別の方向に長さよりも長いとき(すなわち、形状に異方性がある場合)、外縁70rの内の長軸に沿った部分で、特に大きな歪が生じる。このため、外縁70rの長辺に沿った部分に検知素子50を配置することで、特に高い感度が得られる。
例えば、膜部70dは、外縁70rを有しており、検知素子50(第1検知素子50a)は、外縁70rのうちの第1外縁部分70r1に最近接する。この第1外縁部分70r1の近傍において、大きな歪が得られる。この第1外縁部分70r1の近傍に検知素子50を配置することで、高い感度が得られる。
膜部70dの外縁70rは、第1方向(X軸方向)に延びる第1辺70s1を含む。このとき、検知素子50は、外縁70rのうちで第1辺70s1に最近接する。この第1辺70s1の近傍において、大きな歪が得られる。この第1辺70s1の近傍に検知素子50を配置することで、高い感度が得られる。
実施形態においては、磁界発生部60が設けられる。磁界発生部60は、検知素子50に磁界Haを加える。
この例では、磁界発生部60として、配線65が設けられる。すなわち、磁界発生部60は、配線65を含む。配線65に電流Iaが供給される。配線65は、検知素子50と離間する。配線65には、検知素子50に流れる電流とは別の電流Iaが供給される。配線65は、第1電極58a及び第2電極58bの少なくともいずれか(第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれか)と絶縁される。電流Iaに基づいて、配線65から磁界Ha(例えば電流磁界)が発生する。磁界Haが検知素子50(第1磁性層10)に加わる。これにより、第1磁性層10の磁化は、膜部70dの変形に応じた歪と、加わる磁界Haと、に応じて変化する。例えば、電流Iaを制御することで、検知素子50で検知のダイナミックレンジが拡大できる。
実施形態によれば、ダイナミックレンジが拡大できる圧力センサが提供できる。
実施形態において、検知素子50(第1検知素子50a)は、例えば、第1方向に延びる第1辺70s1の近傍に配置される。このとき、第1検知素子50aの第1磁性層10の磁化は、第2方向と交差する。これにより、例えば、膜部70dが、凸形状及び凹形状のどちらの形状に変化した場合でも、第1辺70s1の付近において生じる歪により、第1磁性層10の磁化が変化する。
検知素子50(第1検知素子50a)が第1方向に延びる第1辺70s1の近傍に配置される際に、第1検知素子50aに加わる磁界Haは、例えば、第1方向と交差する。これにより、例えば、磁界Haと歪とによる第1磁化の変化の制御性が高まる。すなわち、第1磁性層10に歪が加わっている状態において、磁界Haの変化に対する第1磁化の方向の変化が大きくできる。
実施形態において、例えば、磁界Haは、第2方向(第1辺70s1が延在する第1方向と交差する方向)に沿っている。すなわち、磁界Haは、第1方向に対して垂直な第2方向の成分を含む。このような磁界Haが検知素子50(第1磁性層10)に加わる。これにより、第1磁性層10の磁化は、膜部70dの変形に応じた歪と、加わる磁界Haと、に応じて変化する。これにより、ダイナミックレンジの拡大を、効率的に、高精度で行うことができる。
さらに、実施形態においては、配線65と膜部70dとの間に検知素子50(第1検知素子50a)が配置される。これにより、配線65による磁界Haを効率良く検知素子50(第1検知素子50a)に加えることができる。これにより、ダイナミックレンジの拡大を、さらに効率的に、さらに高精度で行うことができる。
このように、膜部70dは、第1方向に延びる第1辺70s1を含む外縁70rを有し、検知素子50が、外縁70rのうちで第1辺70s1に最近接している。配線65は、第1方向に延びる延在部分65pを有している。この延在部分65pと膜部70dとの間に検知素子50が配置されていることが望ましい。延在部分65pにより、例えば、Y軸方向の磁界Haが得られ、この磁界Haが第1磁性層10に効率良く加わる。
実施形態において、膜部70dの外縁70rは、曲線状の部分を含んでも良い。この場合も、検知素子50は、外縁70rのうちの第1外縁部分70r1に最近接する。第1外縁部分70r1の少なくとも一部は、曲線状でも良い。このとき、配線65は、第1外縁部分70r1に沿う延在部分65pを有している。この延在部分65pと膜部70dとの間に検知素子50が配置される。これにより、第1外縁部分70r1と交差する方向の磁界Haが得られ、この磁界Haが第1磁性層10に効率良く加わる。
この例では、別の配線65Aがさらに設けられている。配線65Aと膜部70dとの間に、第3検知素子50c及び第4検知素子50dが設けられている。第3検知素子50c及び第4検知素子50dのそれぞれの配置は、第1検知素子50a及び第2検知素子50bのそれぞれの配置と同様とすることができるので、説明を省略する。配線65Aの動作は、配線65と同様とすることができるので、説明を省略する。配線65Aにより、第3検知素子50c及び第4検知素子50dに磁界が印加される。これにより、ダイナミックレンジが拡大できる。
例えば、複数の検知素子50において、加えられる磁界Haが互いに異なっても良い。例えば、1つの検知素子50に加えられる磁界Haは、別の検知素子50に加えられる磁界Haよりも大きい。例えば、大きい圧力の検知は、上記の1つの検知素子50により行われる。小さい圧力の検知は、上記の別の検知素子50により行われる。磁界Haの方向により、上記の1つの検知素子50と、上記の別の検知素子50と、が入れ替えられても良い。例えば、これらの検知素子50のそれぞれの出力を選ぶことで、広いダイナミックレンジの検知を行うことができる。
例えば、1つの検知素子50において、磁界Haの大きさを変更しても良い。例えば、複数の動作モードが設けられ、複数の動作モードにおける磁界Haの大きさが変更される。複数の動作モードを採用することで、広いダイナミックレンジの検知を行うことができる。
このような動作は、例えば、制御部(回路部)などで行われても良い。さらに、回路部において、以下のように電流がモニタされ、検知が行われても良い。
実施形態において、圧力センサ110は、回路部68をさらに含んでも良い。回路部68は、第1磁性層10と、第2磁性層20と、配線65の一端65eと、配線65の他端65fと、電気的に接続される。
実施形態において、第1導電部が第2導電部と電気的に接続されている状態は、第1導電部が第2導電部と物理的に接触して第1導電部と第2導電部との間に電流が流れる状態の他に、第1導電部と第2導電部との間に別の導電部(スイッチング素子などを含む)が設けられ、この別の導電部を介して、第1導電部と第2導電部との間に電流が流れる状態も含む。
この例では、回路部68は、第1磁性層10と電気的に接続された第1電極58aを介して、第1磁性層10と電気的に接続される。回路部68は、第2磁性層20と電気的に接続された第2電極58bを介して、第2磁性層20と電気的に接続される。
以下、回路部68を含む圧力センサ110の例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る圧力センサを例示する回路図である。
図2に示すように、実施形態に係る圧力センサ110は、検知素子50(例えば検知部50u)と、磁界発生部60(例えば配線65)と、回路部68と、を含む。回路部68は、第1回路68aと、第2回路68bと、を含む。
第1回路68aは、第1磁性層10及び第2磁性層20の一方と電気的に接続される。この例では、第1回路68aは、第1磁性層10と電気的に接続されている。第1回路68aは、第2磁性層20と電気的に接続されても良い。すなわち、第1回路68aの入力端は、検知素子50の一端と電気的に接続されている。
第2回路68bは、磁界発生部60(例えば配線65)と電気的に接続されている。この例では、第2回路68bは、磁界発生部60(例えば配線65)の一端と電気的に接続されている。第1回路68aの出力部は、磁界発生部60の他端と接続されている。
この例では、回路部68は、抵抗部68cと、電源部68dと、をさらに含む。電源部68dの一端は、抵抗部68cの一端と電気的に接続されている。抵抗部68cの他端は、検知素子50の一端、及び、第1回路68aの入力端と、電気的に接続されている。検知素子50の他端は、電源部68dの他端と電気的に接続されている。第1回路68aの出力端は、磁界発生部60(例えば配線65)の他端と電気的に接続されている。
第1回路68aは、フィードバック回路である。第2回路68bは、電流モニタ回路である。
例えば、膜部70dは、外部からの圧力に応じて変形する。膜部70dの変形に応じて、検知素子50の抵抗が変化する。例えば、第1回路68aは、膜部70dの変形に応じた電流(第1電流I1)が流れる。第1回路68aは、第1回路68aに流れる第1電流I1に応じた第2電流I2を磁界発生部60(配線65)に供給する。第2電流I2は、膜部70dの変形に応じて変化する。第2回路部68bは、第2電流I2をモニタする。第2電流I2をモニタすることで、膜部70dの変形させる圧力が検知される。
このように、第1回路部68aは、第1磁性層10及び第2磁性層20の一方と電気的に接続され、検知素子50に流れる第1電流I1に応じた第2電流I2を磁界発生部60(例えば配線65)に供給する。第2回路68bは、磁界発生部60(例えば配線65)と電気的に接続され、第2電流I2をモニタする。第2回路部68bによりモニタされた第2電流I2により圧力が検知される。
以下、圧力センサ110の動作の例について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る圧力センサの特性を例示する模式図である。
図3に例示する状態では、磁界発生部60は、磁界Haを発生していない。図3において、横軸は、検知素子50に生じる歪εである。縦軸は、検知素子50の抵抗Rである。抵抗Rの変化は、第1磁性層10と第2磁性層20との間の抵抗の変化に、実質的に対応する。以下の説明では、第1磁性層10が磁化自由層に対応し、第2磁性層20が磁化固定層に対応する。以下の説明では、歪εの向きが正のときに、抵抗Rが小さくなり、歪εの向きが負のとき、抵抗Rが大きくなる。
第1歪領域ε1においては、抵抗Rが、歪εに応じて変化する。この領域において、例えば、磁化自由層の磁化が、歪に応じて変化し、磁化自由層の磁化と、磁化固定層の磁化と、の間の角度が変化する。一方、第2歪領域ε2または第3歪領域ε3においては、歪εが変化しても、抵抗Rは変化しない。例えば、第3歪領域ε3においては、磁化自由層の磁化は、磁化固定層の磁化に対して平行、または歪の加わる向きに対して平行であり、歪ε大きさが変化しても、角度が変化しない。例えば、第2歪領域ε2においては、磁化自由層の磁化は、磁化固定層の磁化に対して反平行、または歪の加わる向きに対して垂直であり、歪εの大きさが変化しても、磁化自由層の磁化と、磁化固定層の磁化と、の間の角度が変化しない。
第1歪領域ε1においては、検知の対象の圧力と、歪εと、の間には、1対1の関係がある。この領域においては、検知の対象の圧力と、抵抗Rと、の間には、1対1の関係がある。第1歪領域ε1が、ダイナミックレンジDRに対応する。第1歪領域ε1において、抵抗Rを検知することで、対象となる圧力が検知される。
第1歪領域ε1(ダイナミックレンジDR)を広げるときに、抵抗−歪特性(R−ε特性)の傾き(dR/dε)を低くする。すなわち、検知感度が低下する。
実施形態においては、磁界発生部60(例えば配線65)を設けることで、高い検知感度を維持しつつ、ダイナミックレンジDRを拡大することができる。磁界発生部60による磁界Haを検知素子50(例えば第1磁性層10)に加える。これにより、第1磁性層10の磁化(第1磁化)は、歪εの影響に加えて、磁界Haの影響により、変化する。例えば、磁界Haは、第1磁化の変化を促進する。または、磁界Haは、第1磁化の変化を抑制する。
図4は、第1の実施形態に係る圧力センサの特性を例示する模式図である。
図4に例示する状態では、磁界発生部60は、磁界Haを検知素子50に加えている。図4において、複数の磁界Ha(値及び方向が互いに異なる)が、検知素子50に加えられている。横軸は、検知素子50に生じる歪εである。縦軸は、検知素子50の抵抗Rである。
図4に示すように、磁界Haを制御することで、R−ε特性の傾きが高い領域をシフトさせることができる。その結果、ダイナミックレンジDRが拡大する。そして、このシフトにおいて、R−ε特性の傾きが維持されている。すなわち、磁界Haを制御することで、高い検知感度を維持しつつ、ダイナミックレンジDRを拡大することができる。
実施形態において、磁界Haの向きによっては、R−ε特性の傾きを変化させることも可能である。磁界Haにより、検知素子50の感度を調節することができる。
以下、実施形態において、磁界Haを用いたときの圧力の検知の例について説明する。 図5(a)〜図5(d)は、第1の実施形態に係る圧力センサの動作を例示する模式図である。
これらの図は、検知素子50におけるR−ε特性を例示している。図5(a)及び図5(b)は、磁界Haが0の状態に対応する。図5(c)は、磁界Haが加えられているときの状態に対応する。図5(d)は、所定の磁界Ha(すなわち、磁界H3)が加えられているときの状態に対応する。
図5(a)に示すように、第1状態ST1(例えば初期状態)において、歪εは、第1歪εAである。初期状態は、例えば、検知の対象となる圧力が所定の状態である。初期状態は、例えば、基準となる状態であり、第1歪εAが0でなくても良い。初期状態において、抵抗Rは、第1抵抗R1である。歪εが変化すると、抵抗Rが変化する。
図5(b)は、第2状態ST2を示す。第2状態ST2においては、検知の対象の圧力が加わり、歪εは、第2歪εBである。このとき、抵抗Rは、第2抵抗R2となる。
この状態において、磁界Haが加わると、図5(c)に例示した状態となる。磁界Haの変化(H1〜H2)の変化に応じて、R−ε特性がシフトする。磁界Haの変化は、例えば、磁界発生部60(例えば配線65)に供給される第2電流I2により変更される。
すなわち、図5(d)に示すように、第2歪εBにおける検知素子50の抵抗Rが第1歪εAに対応する第1抵抗R1と同じになるような磁界Ha(すなわち、磁界H3)が、定まる。歪εの変化に対して検知素子50の抵抗を一定に保つ磁界H3(磁界H3を発生させる第2電流I2)と、検知素子50に加わる歪ε(圧力センサ120に加わる圧力)と、の間には相関がある。磁界H3(第2電流I2)を測定することで、圧力センサ120に加わる圧力の検知が可能になる。すなわち、実施形態においては、例えば、平衡方式の検知が行われる。この方式においては、検知素子50の抵抗の平衡が保たれる。
例えば、実施形態において、検知素子50の抵抗Rの変化により変化する第1電流I1が、第1回路68a(フィードバック回路)で検知される。第1回路68aは、抵抗Rの変化(すなわち、第1電流I1)に応じた第2電流I2を、磁界発生部60に供給する。第2回路68bにより、第2電流I2がモニタされる。例えば、第2歪εAにおける検知素子50の抵抗Rが第1歪εAに対応する第1抵抗R1となるような磁界Haが発生する。磁界Haに対応する第2電流I2がモニタされる。ダイナミックレンジが拡大できる圧力センサが提供できる。
実施形態においては、検知素子50の抵抗変化に応じて、フィードバック回路を介して、磁界発生部60に電流が供給される。この電流が、検知の対象となる圧力に対応する。例えば、検知素子50に第2歪εBが加わったときの抵抗Rが、第2歪εBが加わっていないときの第1抵抗R1に保たれるように、R−ε特定が制御される。検知素子50の抵抗Rの平衡が保たれる。検知素子50の抵抗Rを平衡に保つ電流(第2電流I2)は、検知素子50に加わる歪の大きさに依存する。すなわち、この電流は、検知対象の圧力に依存する。磁界発生部60に流れる第2電流I2をモニタすることで、対象となる圧力の検知が可能である。実施形態においては、例えば、高感度を維持しつつ、広いダイナミックレンジが得られる。実施形態に係る圧力センサにおいては、高感度で、広い検知圧力範囲を持つ。
(第2の実施形態)
図6(a)〜図6(e)は、第2の実施形態に係る圧力センサを例示する模式図である。
図6(a)は、斜視図である。図6(c)は、図6(a)の矢印AR方向からみた平面図である。図6(b)は、図6(a)及び図6(c)のA1−A2線断面図である。図6(d)及び図6(e)は、圧力センサの一部の断面図である。
図6(a)に示すように、本実施形態に係る圧力センサ120も、膜部70dと、検知素子50と、磁界発生部60と、を含む。この例では、磁界発生部60は、コイル66を含む。膜部70d及び検知素子50については、第1の実施形態と同様とすることができるので、説明を省略する。以下では、磁界発生部60となるコイル66について説明する。
コイル66は、検知素子50と離間する。コイル66には、検知素子50に流れる電流とは別の電流(電流Ia)Iaが供給される。コイル66は、第1電極58a及び第2電極58bの少なくともいずれか(第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれか)と絶縁される。
この例でも、膜部70dは、外縁70rを有している。検知素子50(第1検知素子50a)は、外縁70rのうちの第1外縁部分70r1に最近接する。磁界発生部60となるコイル66は、巻きの軸66xを有する。軸66xは、第1外縁部分70r1の延在方向と交差する。例えば、軸66xは、第1外縁部分70r1の延在方向に対して直交する。
この例では、膜部70dの外縁70rは、第1方向(X軸方向)に延びる第1辺70s1に最近接している。検知素子50(第1検知素子50a)は、外縁70rのうちで、第1辺70s1に最近接する。磁界発生部60となるコイル66の巻きの軸66xは、第1方向と交差する。軸66xは、第1方向に対して直交する。
コイル66は、検知素子50(例えば第1検知素子50a及び第2検知素子50bなど)に磁界Haを加える。圧力センサ120においても、ダイナミックレンジが拡大できる圧力センサが提供できる。
圧力センサ120においても、回路部68が設けられる。そして、回路部68は、第1回路68aと、第2回路68bと、を含む(図2参照)。これにより、図5に関してせつめいした動作が実施できる。圧力センサ120においても、高感度を維持しつつ、広いダイナミックレンジが得られる。
本実施形態において、保持部70sが設けられている。保持部70sは、膜部70dの外縁70rを保持する。コイル66は、保持部70sに設けられる。コイル66は、例えば、保持部70sの上に設けられる。コイル66において、例えば、導電部材が巻かれる。このため、コイル66は弾性変形し難い。コイル66を保持部70sの上に設けることで、膜部70dの変形特性が維持できる。高感度の検知ができる。
例えば、Y軸方向(第3方向)におけるコイル66の位置と、Y軸方向における検知素子50(第1検知素子50a)の位置と、の間に、Y軸方向における第1辺70s1の位置が配置される。
この例では、コイル66Aがさらに設けられる。コイル66Aは、第3検知素子50c及び第4検知素子50dに磁界を加える。Y軸方向(第3方向)におけるコイル66Aの位置と、Y軸方向における第3検知素子50cの位置と、の間に、Y軸方向における第2辺70s2の位置が配置される。
以下、第1及び第2の実施形態において用いられる検知素子50の例について説明する。以下の説明において、「材料A/材料B」の記載は、材料Aの層の上に、材料Bの層が設けられている状態を示す。
図7は、実施形態に係る圧力センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図7に示すように、検知素子50Aにおいて、下部電極204と、下地層205と、ピニング層206と、第2磁化固定層207と、磁気結合層208と、第1磁化固定層209と、中間層203と、磁化自由層210と、キャップ層211と、上部電極212と、が、この順で並ぶ。第1磁化固定層209は、例えば、第2磁性層20に対応する。磁化自由層210は、例えば、第1磁性層10に対応する。下部電極204は、例えば、第2電極58bに対応する。上部電極212は、例えば、第1電極58aに対応する。検知素子50Aは、例えば、ボトムスピンバルブ型である。
下地層205には、例えば、タンタルとルテニウムの積層膜(Ta/Ru)が用いられる。このTa層の厚さ(Z軸方向の長さ)は、例えば、3ナノメートル(nm)である。このRu層の厚さは、例えば、2nmである。ピニング層206には、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。第2磁化固定層207には、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。磁気結合層208には、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。第1磁化固定層209には、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。中間層203には、例えば、1.6nmの厚さのMgO層が用いられる。磁化自由層210には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20が用いられる。キャップ層211には、例えばTa/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
下部電極204及び上部電極212には、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム銅合金(Al−Cu)、銅(Cu)、銀(Ag)、及び、金(Au)の少なくともいずれかが用いられる。下部電極204及び上部電極212として、このような電気抵抗が比較的小さい材料を用いることで、検知素子50Aに効率的に電流を流すことができる。下部電極204及び上部電極212には、非磁性材料が用いられる。
下部電極204及び上部電極212は、例えば、下部電極204及び上部電極212用の下地層(図示せず)と、下部電極204及び上部電極212用のキャップ層(図示せず)と、それらの間に設けられたAl、Al−Cu、Cu、Ag、及び、Auの少なくともいずれかの層とを含んでいても良い。例えば、下部電極204及び上部電極212には、タンタル(Ta)/銅(Cu)/タンタル(Ta)などが用いられる。下部電極204及び上部電極212の下地層としてTaを用いることで、例えば、基板(例えば膜部70d)と下部電極204及び上部電極212との密着性が向上する。下部電極204及び上部電極212用の下地層として、チタン(Ti)、または、窒化チタン(TiN)などを用いても良い。
下部電極204及び上部電極212のキャップ層としてTaを用いることで、そのキャップ層の下の銅(Cu)などの酸化が抑制される。下部電極204及び上部電極212用のキャップ層として、チタン(Ti)、または、窒化チタン(TiN)などを用いても良い。
下地層205には、例えば、バッファ層(図示せず)と、シード層(図示せず)とを含む積層構造が用いられる。このバッファ層は、例えば、下部電極204や膜部70d等の表面の荒れを緩和し、このバッファ層の上に積層される層の結晶性を改善する。バッファ層として、例えば、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された少なくともいずれかが用いられる。バッファ層として、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金を用いても良い。
下地層205のうちのバッファ層の厚さは、1nm以上10nm以下が好ましい。バッファ層の厚さは、1nm以上5nm以下がより好ましい。バッファ層の厚さが薄すぎると、バッファ効果が失われる。バッファ層の厚さが厚すぎると、検知素子50Aの厚さが過度に厚くなる。バッファ層の上にシード層が形成され、例えば、そのシード層がバッファ効果を有する。この場合、バッファ層は省略しても良い。バッファ層には、例えば、3nmの厚さのTa層が用いられる。
下地層205のうちのシード層は、このシード層の上に積層される層の結晶配向を制御する。このシード層は、このシード層の上に積層される層の結晶粒径を制御する。このシード層として、fcc構造(face-centered cubic structure:面心立方格子構造)、hcp構造(hexagonal close-packed structure:六方最密格子構造)またはbcc構造(body-centered cubic structure:体心立方格子構造)の金属等が用いられる。
下地層205のうちのシード層として、hcp構造のルテニウム(Ru)、または、fcc構造のNiFe、または、fcc構造のCuを用いることにより、例えば、シード層の上のスピンバルブ膜の結晶配向をfcc(111)配向にすることができる。シード層には、例えば、2nmの厚さのCu層、または、2nmの厚さのRu層が用いられる。シード層の上に形成される層の結晶配向性を高める場合には、シード層の厚さは、1nm以上5nm以下が好ましい。シード層の厚さは、1nm以上3nm以下がより好ましい。これにより、結晶配向を向上させるシード層としての機能が十分に発揮される。
一方、例えば、シード層の上に形成される層を結晶配向させる必要がない場合(例えば、アモルファスの磁化自由層を形成する場合など)には、シード層は省略しても良い。シード層としては、例えば、2nmの厚さのCu層が用いられる。
ピニング層206は、例えば、ピニング層206の上に形成される第2磁化固定層207(強磁性層)に、一方向異方性(unidirectional anisotropy)を付与して、第2磁化固定層207の磁化を固定する。ピニング層206には、例えば反強磁性層が用いられる。ピニング層206には、例えば、Ir−Mn、Pt−Mn、Pd−Pt−Mn、Ru−Mn、Rh−Mn、Ru−Rh−Mn、Fe−Mn、Ni−Mn、Cr−Mn−PtおよびNi−Oよりなる群から選択された少なくともいずれかが用いられる。Ir−Mn、Pt−Mn、Pd−Pt−Mn、Ru−Mn、Rh−Mn、Ru−Rh−Mn、Fe−Mn、Ni−Mn、Cr−Mn−PtおよびNi−Oよりなる群から選択された少なくともいずれかに、さらに添加元素を加えた合金を用いても良い。ピニング層206の厚さは適切に設定される。これにより、例えば、十分な強さの一方向異方性が付与される。
例えば、磁界印加中での熱処理が行われる。これにより、例えば、ピニング層206に接する強磁性層の磁化の固定が行われる。熱処理時に印加されている磁界の方向にピニング層206に接する強磁性層の磁化が固定される。熱処理温度(アニール温度)は、例えば、ピニング層206に用いられる反強磁性材料の磁化固着温度以上である。Mnを含む反強磁性層を用いる場合、ピニング層206以外の層にMnが拡散してMR変化率を低減する場合がある。熱処理温度は、Mnの拡散が起こる温度以下に設定することが望ましい。熱処理温度は、例えば200℃以上500℃以下である。熱処理温度は、例えば、好ましくは、250℃以上400℃以下である。
ピニング層206として、PtMnまたはPdPtMnが用いられる場合には、ピニング層206の厚さは、8nm以上20nm以下が好ましい。ピニング層206の厚さは、10nm以上15nm以下がより好ましい。ピニング層206としてIrMnを用いる場合には、ピニング層206としてPtMnを用いる場合よりも薄い厚さで、一方向異方性を付与することができる。この場合には、ピニング層206の厚さは、4nm以上18nm以下が好ましい。ピニング層206の厚さは、5nm以上15nm以下がより好ましい。ピニング層206には、例えば、7nmの厚さのIr22Mn78層が用いられる。
ピニング層206として、ハード磁性層を用いても良い。ハード磁性層として、例えば、Co−Pt、Fe−Pt、Co−Pd、または、Fe−Pdなどを用いても良い。これらの材料においては、例えば、磁気異方性および保磁力が比較的高い。これらの材料は、ハード磁性材料である。ピニング層206として、Co−Pt、Fe−Pt、Co−Pd、または、Fe−Pdにさらに添加元素を加えた合金を用いても良い。例えば、CoPt(Coの比率は、50at.%以上85at.%以下)、(CoxPt100−x)100−yCry(xは、50at.%以上85at.%以下であり、yは、0at.%以上40at.%以下)、または、FePt(Ptの比率は、40at.%以上60at.%以下)などを用いても良い。
第2磁化固定層207には、例えば、CoxFe100−x合金(xは、0at.%以上100at.%以下)、または、NixFe100−x合金(xは、0at.%以上100at.%以下)が用いられる。これらの材料に非磁性元素を添加した材料が用いられても良い。第2磁化固定層207として、例えば、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくともいずれかが用いられる。第2磁化固定層207として、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金を用いても良い。第2磁化固定層207として、(CoxFe100−x)100−yBy合金(xは、0at.%以上100at.%以下であり、yは、0at.%以上30at.%以下)を用いることもできる。第2磁化固定層207として、(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いることで、検知素子のサイズが小さい場合にも、検知素子50Aの特性のばらつきを抑制することができる。
第2磁化固定層207の厚さは、例えば、1.5nm以上5nm以下が好ましい。これにより、例えば、ピニング層206による一方向異方性磁界の強度をより強くすることができる。例えば、第2磁化固定層207の上に形成される磁気結合層を介して、第2磁化固定層207と第1磁化固定層209との間の反強磁性結合磁界の強度をより強くすることができる。例えば、第2磁化固定層207の磁気膜厚(飽和磁化Bsと厚さtとの積(Bs・t))は、第1磁化固定層209の磁気膜厚と、実質的に等しいことが好ましい。
薄膜でのCo40Fe40B20の飽和磁化は、約1.9T(テスラ)である。例えば、第1磁化固定層209として、3nmの厚さのCo40Fe40B20層を用いると、第1磁化固定層209の磁気膜厚は、1.9T×3nmであり、5.7Tnmとなる。一方、Co75Fe25の飽和磁化は、約2.1Tである。上記と等しい磁気膜厚が得られる第2磁化固定層207の厚さは、5.7Tnm/2.1Tであり、2.7nmとなる。この場合、第2磁化固定層207には、約2.7nmの厚さのCo75Fe25層を用いることが好ましい。第2磁化固定層207として、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。
検知素子50Aにおいては、第2磁化固定層207と磁気結合層208と第1磁化固定層209とにより、シンセティックピン構造が用いられている。その代わりに、1層の磁化固定層のシングルピン構造を用いても良い。シングルピン構造を用いる場合には、磁化固定層として、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。シングルピン構造の磁化固定層に用いる強磁性層として、上述した第2磁化固定層207の材料と同じ材料を用いても良い。
磁気結合層208は、第2磁化固定層207と第1磁化固定層209との間において、反強磁性結合を生じさせる。磁気結合層208は、シンセティックピン構造を形成する。磁気結合層208の材料として、例えば、Ruが用いられる。磁気結合層208の厚さは、例えば、0.8nm以上1nm以下であることが好ましい。第2磁化固定層207と第1磁化固定層209との間に十分な反強磁性結合を生じさせる材料であれば、磁気結合層208としてRu以外の材料を用いても良い。磁気結合層208の厚さは、例えば、RKKY(Ruderman-Kittel-Kasuya-Yosida)結合のセカンドピーク(2ndピーク)に対応する0.8nm以上1nm以下の厚さに設定される。さらに、磁気結合層208の厚さは、RKKY結合のファーストピーク(1stピーク)に対応する0.3nm以上0.6nm以下の厚さに設定しても良い。磁気結合層208の材料として、例えば、0.9nmの厚さのRuが用いられる。これにより、高信頼性の結合がより安定して得られる。
第1磁化固定層209に用いられる磁性層は、MR効果に直接的に寄与する。第1磁化固定層209として、例えば、Co−Fe−B合金が用いられる。具体的には、第1磁化固定層209として、(CoxFe100−x)100−yBy合金(xは、0at.%以上100at.%以下であり、yは、0at.%以上30at.%以下)を用いることもできる。第1磁化固定層209として、(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いた場合には、例えば、検知素子50Aのサイズが小さい場合においても、結晶粒に起因した素子間のばらつきを抑制することができる。
第1磁化固定層209の上に形成される層(例えばトンネル絶縁層(図示せず))を平坦化することができる。トンネル絶縁層の平坦化により、トンネル絶縁層の欠陥密度を減らすことができる。これにより、より低い面積抵抗で、より大きいMR変化率が得られる。例えば、トンネル絶縁層の材料としてMgOを用いる場合には、第1磁化固定層209として、(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いることで、トンネル絶縁層の上に形成されるMgO層の(100)配向性を強めることができる。MgO層の(100)配向性をより高くすることで、より大きいMR変化率が得られる。(CoxFe100−x)100−yBy合金は、アニール時にMgO層の(100)面をテンプレートとして結晶化する。このため、MgOと(CoxFe100−x)100−yBy合金との良好な結晶整合が得られる。良好な結晶整合を得ることで、より大きいMR変化率が得られる。
第1磁化固定層209として、Co−Fe−B合金以外に、例えば、Fe−Co合金を用いても良い。
第1磁化固定層209がより厚いと、より大きなMR変化率が得られる。第1磁化固定層209が薄いと、例えば、より大きな固定磁界が得られる。MR変化率と固定磁界との間には、第1磁化固定層209の厚さにおいてトレードオフの関係が存在する。第1磁化固定層209としてCo−Fe−B合金を用いる場合には、第1磁化固定層209の厚さは、1.5nm以上5nm以下が好ましい。第1磁化固定層209の厚さは、2.0nm以上4nm以下がより好ましい。
第1磁化固定層209には、上述した材料の他に、fcc構造のCo90Fe10合金、または、hcp構造のCo、または、hcp構造のCo合金が用いられる。第1磁化固定層209として、例えば、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。第1磁化固定層209として、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金が用いられる。第1磁化固定層209として、bcc構造のFeCo合金材料、50%以上のコバルト組成を含むCo合金、または、50%以上のNi組成の材料(Ni合金)を用いることで、例えば、より大きなMR変化率が得られる。
第1磁化固定層209として、例えば、Co2MnGe、Co2FeGe、Co2MnSi、Co2FeSi、Co2MnAl、Co2FeAl、Co2MnGa0.5Ge0.5、及び、Co2FeGa0.5Ge0.5などのホイスラー磁性合金層を用いることもできる。例えば、第1磁化固定層209として、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
中間層203は、例えば、第1磁性層10と第2磁性層20との間の磁気的な結合を分断する。
中間層203の材料には、例えば、金属、絶縁体または半導体が用いられる。金属としては、例えば、Cu、AuまたはAg等が用いられる。中間層203として金属を用いる場合、中間層の厚さは、例えば、1nm以上7nm以下程度である。この絶縁体または半導体としては、例えば、マグネシウム酸化物(MgO等)、アルミニウム酸化物(Al2O3等)、チタン酸化物(TiO等)、亜鉛酸化物(ZnO等)、または、ガリウム酸化物(Ga−O)などが用いられる。中間層203として絶縁体または半導体を用いる場合は、中間層203の厚さは、例えば0.6nm以上2.5nm以下程度である。中間層203として、例えば、CCP(Current-Confined-Path)スペーサ層を用いても良い。スペーサ層としてCCPスペーサ層を用いる場合には、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)の絶縁層中に銅(Cu)メタルパスが形成された構造が用いられる。例えば、中間層として、1.6nmの厚さのMgO層が用いられる。
磁化自由層210には、強磁性体材料が用いられる。磁化自由層210には、例えば、Fe、Co、Niを含む強磁性体材料が用いられる。磁化自由層210の材料として、例えばFeCo合金、NiFe合金等が用いられる。さらに、磁化自由層210には、Co−Fe−B合金、Fe−Co−Si−B合金、λs(磁歪定数)が大きいFe−Ga合金、Fe−Co−Ga合金、Tb−M−Fe合金、Tb−M1−Fe−M2合金、Fe−M3−M4−B合金、Ni、Fe−Al、または、フェライト等が用いられる。これらの材料においては、例えば、λs(磁歪定数)が大きい。上記のTb−M−Fe合金において、Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つである。上記のTb−M1−Fe−M2合金において、M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つである。M2は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つである。上記のFe−M3−M4−B合金において、M3は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つである。M4は、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy及びErよりなる群から選択された少なくとも1つである。上記のフェライトとしては、Fe3O4、(FeCo)3O4などが挙げられる。磁化自由層210の厚さは、例えば2nm以上である。
磁化自由層210には、ホウ素を含む磁性材料が用いられても良い。磁化自由層210には、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択される少なくとも一つの元素と、ホウ素(B)とを含む合金が用いられても良い。磁化自由層210には、例えば、Co−Fe−B合金、または、Fe−B合金が用いられる。例えば、Co40Fe40B20合金が用いられる。磁化自由層210に、Fe、Co及びNiよりなる群から選択される少なくとも一つの元素と、ホウ素(B)とを含む合金を用いる場合、Ga、Al、Si、または、Wなどを添加しても良い。これらの元素を添加することで、例えば、高磁歪が促進される。磁化自由層210として、例えば、Fe−Ga−B合金、Fe−Co−Ga−B合金、または、Fe−Co−Si−B合金を用いても良い。このようなホウ素を含有する磁性材料を用いることで磁化自由層210の保磁力(Hc)が低くなり、歪に対する磁化方向の変化が容易となる。これにより、高い感度が得られる。
磁化自由層210におけるホウ素濃度(例えば、ホウ素の組成比)は、5at.%(原子パーセント)以上が好ましい。これにより、アモルファス構造が得易くなる。磁化自由層におけるホウ素濃度は、35at.%以下が好ましい。ホウ素濃度が高すぎると、例えば、磁歪定数が減少する。磁化自由層におけるホウ素濃度は、例えば、5at.%以上35at.%以下が好ましく、10at.%以上30at.%以下がさらに好ましい。
磁化自由層210の磁性層の一部に、Fe1−yBy(0<y≦0.3)、または(FezX1−a)1−yBy(Xは、CoまたはNi、0.8≦z<1、0<y≦0.3)用いる場合、大きい磁歪定数λと低い保磁力を両立することが容易となる。このため、高いゲージファクタを得る観点で、特に好ましい。例えば、磁化自由層210として、Fe80B20(4nm)が用いられる。磁化自由層として、Co40Fe40B20(0.5nm)/Fe80B20(4nm)が用いられる。
磁化自由層210は多層構造を有しても良い。中間層203としてMgOのトンネル絶縁層を用いる場合には、磁化自由層210のうちの中間層203に接する部分には、Co−Fe−B合金の層を設けることが好ましい。これにより、高い磁気抵抗効果が得られる。この場合、中間層203の上には、Co−Fe−B合金の層が設けられ、そのCo−Fe−B合金の層の上には、磁歪定数の大きい他の磁性材料が設けられる。磁化自由層210が多層構造を有する場合、磁化自由層210には、例えば、Co−Fe−B(2nm)/Fe−Co−Si−B(4nm)などが用いられる。
キャップ層211は、キャップ層211の下に設けられる層を保護する。キャップ層211には、例えば、複数の金属層が用いられる。キャップ層211には、例えば、Ta層とRu層との2層構造(Ta/Ru)が用いられる。このTa層の厚さは、例えば1nmであり、このRu層の厚さは、例えば5nmである。キャップ層211として、Ta層やRu層の代わりに他の金属層を設けても良い。キャップ層211の構成は、任意である。例えば、キャップ層211として、非磁性材料が用いられる。キャップ層211の下に設けられる層を保護可能なものであれば、キャップ層211として、他の材料を用いても良い。
磁化自由層210にホウ素を含有する磁性材料を用いる場合、酸化物材料や窒化物材料の拡散抑制層(図示しない)を磁化自由層210とキャップ層211との間に設けても良い。これにより、例えば、ホウ素の拡散が抑制される。酸化物層または窒化物層を含む拡散抑制層を用いることにより、磁化自由層210に含まれるホウ素の拡散を抑制し、磁化自由層210のアモルファス構造を保つことができる。拡散抑制層に用いられる酸化物材料や窒化物材料として、例えば、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Sn、CdまたはGaなどの元素を含む酸化物材料または窒化物材料が用いられる。拡散抑制層は、磁気抵抗効果には寄与しない層である。拡散抑制層の面積抵抗は、低いほうが好ましい。例えば、拡散抑制層の面積抵抗は、磁気抵抗効果に寄与する中間層の面積抵抗よりも低く設定されることが好ましい。拡散抑制層の面積抵抗を下げる観点では、拡散抑制層には、Mg、Ti、V、Zn、Sn、Cd、Gaの酸化物または窒化物が好ましい。これらの材料において、バリアハイトは低い。ホウ素の拡散を抑制する機能としては、より化学結合の強い酸化物のほうが好ましい。例えば、1.5nmのMgO層が用いられる。酸窒化物は、酸化物及び窒化物のいずれかに含まれる。
拡散抑制層に酸化物または窒化物を用いる場合、拡散抑制層の厚さは、例えば、0.5nm以上が好ましい。これより、ホウ素の拡散抑制機能が十分に発揮される。拡散抑制層の厚さは、5nm以下が好ましい。これにより、例えば、低い面積抵抗が得られる。拡散抑制層の厚さは、0.5nm以上5nm以下が好ましく、1nm以上3nm以下が好ましい。
拡散抑制層として、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)及びアルミニウム(Al)よりなる群から選択された少なくともいずれかを用いても良い。拡散抑制層として、これらの軽元素を含む材料が用いられる。これらの軽元素は、ホウ素と結合して化合物を生成する。拡散抑制層と磁化自由層210との界面を含む部分に、例えば、Mg−B化合物、Al−B化合物、及び、Si−B化合物の少なくともいずれかが形成される。これらの化合物が、ホウ素の拡散を抑制する。
拡散抑制層と磁化自由層210との間に他の金属層などが挿入されていても良い。拡散抑制層と磁化自由層210との距離が離れすぎていると、その間でホウ素が拡散して磁化自由層210中のホウ素濃度が下がってしまう。このため、拡散抑制層と磁化自由層210との間の距離は、10nm以下が好ましく3nm以下がさらに好ましい。
図8は、実施形態に係る別の圧力センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図8に示すように、検知素子50AAにおいて、絶縁層213が設けられるこれ以外は、検知素子50Aと同様である。絶縁層213は、下部電極204と上部電極212との間に設けられる。絶縁層213は、下部電極204と上部電極212とを結ぶ方向と交差する方向において、磁化自由層210及び第1磁化固定層209と並ぶ。絶縁層213を除く部分は、検知素子50Aと同様なので説明を省略する。
絶縁層213には、例えば、アルミニウム酸化物(例えば、Al2O3)、または、シリコン酸化物(例えば、SiO2)などが用いられる。絶縁層213により、検知素子50AAのリーク電流が抑制される。絶縁層213は、後述する検知素子に設けられても良い。
図9は、実施形態に係る別の圧力センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図9に示すように、検知素子50ABにおいて、ハードバイアス層214がさらに設けられる。これ以外は、検知素子50Aと同様である。ハードバイアス層214は、下部電極204と上部電極212との間に設けられる。下部電極204と上部電極212との間とを結ぶ方向と交差する方向において、磁化自由層210及び第1磁化固定層209は、ハードバイアス層214の2つの部分の間に配置される。これ以外は、検知素子50AAと同様である。
ハードバイアス層214は、ハードバイアス層214の磁化により、磁化自由層210の磁化方向を設定する。ハードバイアス層214により、外部からの圧力が膜部70dに印加されていない状態において、磁化自由層210の磁化方向は、所望の方向に設定される。
ハードバイアス層214には、例えば、Co−Pt、Fe−Pt、Co−Pd、または、Fe−Pdなどが用いられる。これらの材料においては、例えば、磁気異方性および保磁力が比較的高い。これらの材料は、例えば、ハード磁性材料である。ハードバイアス層214には、例えば、Co−Pt、Fe−Pt、Co−PdまたはFe−Pdに、さらに添加元素を加えた合金を用いても良い。ハードバイアス層214には、例えば、CoPt(Coの比率は、50at.%以上85at.%以下)、(CoxPt100−x)100−yCry(xは50at.%以上85at.%以下、yは0at.%以上40at.%以下)、または、FePt(Ptの比率は40at.%以上60at.%以下)などが用いられても良い。このような材料を用いる場合、ハードバイアス層214の磁化の方向は、ハードバイアス層214の保磁力よりも大きい外部磁界を加えることで、外部磁界を加えた方向に設定(固定)される。ハードバイアス層214の厚さ(例えば、下部電極204から上部電極に向かう方向に沿った長さ)は、例えば5nm以上50nm以下である。
下部電極204と上部電極212の間に絶縁層213を配置する場合、絶縁層213の材料として、SiOxまたはAlOxが用いられる。さらに、絶縁層213とハードバイアス層214の間に、図示しない下地層を設けても良い。ハードバイアス層214にCo−Pt、Fe−Pt、Co−Pd、または、Fe−Pdなどのハード磁性材料を用いる場合には、ハードバイアス層214用の下地層の材料として、CrやFe−Coなどが用いられる。
ハードバイアス層214は、図示しないハードバイアス層用ピニング層に積層された構造を有していても良い。この場合、ハードバイアス層214とハードバイアス層用ピニング層の交換結合により、ハードバイアス層214の磁化の方向を設定(固定)できる。この場合、ハードバイアス層214には、Fe、Co及びNiの少なくともいずれか、または、これらの少なくとも1種を含む合金の強磁性材料が用いられる。この場合、ハードバイアス層214には、例えば、CoxFe100−x合金(xは0at.%以上100at.%以下)、NixFe100−x合金(xは0at.%以上100at.%以下)、または、これらに非磁性元素を添加した材料が用いられる。ハードバイアス層214として、上記の第1磁化固定層209と同様の材料が用いられる。ハードバイアス層用ピニング層には、上記の検知素子50A中のピニング層206と同様の材料が用いられる。ハードバイアス層用ピニング層を設ける場合、下地層205に用いる材料と同様の下地層をハードバイアス層用ピニング層の下に設けても良い。ハードバイアス層用ピニング層は、ハードバイアス層の下部に設けても良いし、上部に設けても良い。この場合のハードバイアス層214の磁化方向は、ピニング層206と同様に、磁界中熱処理により決定される。
上記のハードバイアス層214及び絶縁層213は、実施形態に係る検知素子のいずれにも適用できる。ハードバイアス層214とハードバイアス層用ピニング層との積層構造を用いると、大きな外部磁界がハードバイアス層214に短い時間で加わった場合においても、ハードバイアス層214の磁化の向きを容易に保持することができる。
図10は、実施形態に係る別の圧力センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図10に示すように、検知素子50Bにおいて、下部電極204と、下地層205と、磁化自由層210と、中間層203と、第1磁化固定層209と、磁気結合層208と、第2磁化固定層207と、ピニング層206と、キャップ層211と、上部電極212と、が、順に積層される。第1磁化固定層209は、第2磁性層20に対応する。磁化自由層210は、第1磁性層10に対応する。検知素子50Bは、例えば、トップスピンバルブ型である。
下地層205には、例えば、タンタルと銅の積層膜(Ta/Cu)が用いられる。このTa層の厚さ(Z軸方向の長さ)は、例えば、3nmである。このCu層の厚さは、例えば、5nmである。磁化自由層210には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20が用いられる。中間層203には、例えば、1.6nmの厚さのMgO層が用いられる。第1磁化固定層209には、例えば、Co40Fe40B20/Fe50Co50が用いられる。このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば2nmである。このFe50Co50層の厚さは、例えば1nmである。磁気結合層208には、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。第2磁化固定層207には、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。ピニング層206には、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。キャップ層211には、例えばTa/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
検知素子50Bに含まれる各層の材料は、検知素子50Aに含まれる各層の材料を上下反転させて用いることができる。上記の拡散抑制層を、検知素子50Bの下地層205と磁化自由層210の間に設けても良い。
図11は、実施形態に係る別の圧力センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図11に示すように、検知素子50Cにおいて、下部電極204と、下地層205と、ピニング層206と、第1磁化固定層209と、中間層203と、磁化自由層210と、キャップ層211と、が、この順で積層される。第1磁化固定層209は、第2磁性層20に対応する。磁化自由層210は、第1磁性層10に対応する。検知素子50Cは、例えば、単一の磁化固定層を用いたシングルピン構造を有する。
下地層205には、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さ(Z軸方向の長さ)は、例えば、3nmである。このRu層の厚さは、例えば、2nmである。ピニング層206には、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。第1磁化固定層209には、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。中間層203には、例えば、1.6nmの厚さのMgO層が用いられる。磁化自由層210には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20が用いられる。キャップ層211には、例えばTa/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
検知素子50Cの各層の材料には、例えば、検知素子50Aの各層の材料と同様のものが用いられる。
図12は、実施形態に係る別の圧力センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図12に示すように、検知素子50Dにおいて、下部電極204と、下地層205と、下部ピニング層221と、下部第2磁化固定層222と、下部磁気結合層223と、下部第1磁化固定層224と、下部中間層225と、磁化自由層226と、上部中間層227と、上部第1磁化固定層228と、上部磁気結合層229と、上部第2磁化固定層230と、上部ピニング層231と、キャップ層211とが、順に積層される。下部第1磁化固定層224及び上部第1磁化固定層228は、例えば、第2磁性層20に対応する。磁化自由層226は、例えば、第1磁性層10に対応する。
下地層205には、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さ(Z軸方向の長さ)は、例えば、3ナノメートル(nm)である。このRu層の厚さは、例えば、2nmである。下部ピニング層221には、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。下部第2磁化固定層222には、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。下部磁気結合層223には、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。下部第1磁化固定層224には、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。下部中間層225には、例えば、1.6nmの厚さのMgO層が用いられる。磁化自由層226には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20が用いられる。上部中間層227には、例えば、1.6nmの厚さのMgO層が用いられる。上部第1磁化固定層228には、例えば、Co40Fe40B20/Fe50Co50が用いられる。このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば2nmである。このFe50Co50層の厚さは、例えば1nmである。上部磁気結合層229には、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。上部第2磁化固定層230には、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。上部ピニング層231には、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。キャップ層211には、例えばTa/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
検知素子50Dの各層の材料には、例えば、検知素子50Aの各層の材料と同様のものが用いられる。
図13は、実施形態に係る別の圧力センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図13に示すように、検知素子50Eにおいて、下部電極204と、下地層205と、第1磁化自由層241と、中間層203と、第2磁化自由層242と、キャップ層211と、上部電極212と、が、この順で積層される。第1磁化自由層241は、第1磁性層10に対応する。第2磁化自由層242は、第2磁性層20に対応する。この例では、第2磁性層20の磁化は、変化可能である。
下地層205には、例えば、Ta/Cuが用いられる。このTa層の厚さ(Z軸方向の長さ)は、例えば、3nmである。このCu層の厚さは、例えば、5nmである。第1磁化自由層241には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20が用いられる。中間層203には、例2には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20が用いられる。キャップ層211には、例えばCu/Ta/Ruが用いられる。このCu層の厚さは、例えば、5nmである。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
検知素子50Eの各層の材料は、検知素子50Aの各層の材料と同様のものが用いられる。第1磁化自由層241及び第2磁化自由層242の材料として、例えば検知素子50Aの磁化自由層210と同様のものを用いても良い。
(第3の実施形態)
図14は、第3の実施形態に係るマイクロフォンを例示する模式図である。
図14に示すように、本実施形態に係るマイクロフォン610は、上記の実施形態に係る任意の圧力センサ、または、それらの変形に係る圧力センサを含む。この例では、圧力センサとして、圧力センサ110が用いられている。
マイクロフォン610は、例えば、携帯情報端末710に設けられる。圧力センサ110の膜部70dは、例えば、携帯情報端末710の表示部620が設けられた面に対して実質的に平行である。膜部70dの配置は、任意である。実施形態によれば、ダイナミックレンジが拡大できるマイクロフォンが提供できる。実施形態に係るマイクロフォン610は、例えば、ICレコーダーやピンマイクロフォンなどに設けられても良い。
図15は、第3の実施形態に係る別のマイクロフォンを例示する模式的断面図である。 本実施形態に係るマイクロフォン320(音響マイクロフォン)は、プリント基板321と、カバー323と、圧力センサと、を含む。圧力センサとして、実施形態に係る任意の圧力センサのいずれか、または、それらの変形が用いられる。この例では、圧力センサとして、圧力センサ110が用いられている。プリント基板321は、例えばアンプなどの回路を含む。カバー323には、アコースティックホール325が設けられる。音329は、アコースティックホール325を通って、カバー323の内部に進入する。 マイクロフォン320は、音圧に対して感応する。高感度な圧力センサ110を用いることにより、高感度なマイクロフォン320が得られる。例えば、圧力センサ110をプリント基板321の上に搭載し、電気信号線を設ける。圧力センサ110を覆うように、プリント基板321の上にカバー323が設けられる。ダイナミックレンジが拡大できるマイクロフォンが提供できる。
(第4の実施形態)
図16(a)及び図16(b)は、第4の実施形態に係る血圧センサを例示する模式図である。
図16(a)は、ヒトの動脈血管の上の皮膚を例示する模式的平面図である。図16(b)は、図16(a)のH1−H2線断面図である。
本実施形態に係る、血圧センサ330は、実施形態に係る任意の圧力センサ、または、それらの変形を含む。この例では、圧力センサとして圧力センサ110が用いられている。圧力センサ110を動脈血管331の上の皮膚333に押し当てる。これにより、血圧センサ330は、連続的に血圧測定を行うことができる。本実施形態によれば、ダイナミックレンジが拡大できる血圧センサが提供できる。高感度で血圧が測定できる。
(第5の実施形態)
図17は、第5の実施形態に係るタッチパネルを例示する模式図である。
本実施形態に係るタッチパネル340は、実施形態に係る任意の圧力センサ、または、それらの変形が用いられる。この例では、圧力センサとして圧力センサ110が用いられている。タッチパネル340において、圧力センサ110が、ディスプレイの内部及びディスプレイの外部の少なくともいずれかに搭載される。
例えば、タッチパネル340は、複数の第1配線346と、複数の第2配線347と、複数の圧力センサ110と、制御部341と、を含む。
この例では、複数の第1配線346は、Y軸方向に沿って並ぶ。複数の第1配線346のそれぞれは、X軸方向に沿って延びる。複数の第2配線347は、X軸方向に沿って並ぶ。複数の第2配線347のそれぞれは、Y軸方向に沿って延びる。
複数の圧力センサ110のそれぞれは、複数の第1配線346と複数の第2配線347とのそれぞれの交差部に設けられる。圧力センサ110の1つは、検知のための検知要素310eの1つとなる。ここで、交差部は、第1配線346と第2配線347とが交差する位置及びその周辺の領域を含む。
複数の圧力センサ110のそれぞれの一端310aは、複数の第1配線346のそれぞれと接続される。複数の圧力センサ110のそれぞれの他端310bは、複数の第2配線347のそれぞれと接続される。
制御部341は、複数の第1配線346と複数の第2配線347とに接続される。例えば、制御部341は、複数の第1配線346に接続された第1配線用回路346dと、複数の第2配線347に接続された第2配線用回路347dと、第1配線用回路346dと第2配線用回路347dとに接続された制御回路345と、を含む。圧力センサ110は、小型で高感度な圧力センシングが可能である。そのため、高精細なタッチパネルを実現することが可能である。
実施形態によれば、ダイナミックレンジが拡大できるタッチパネルが提供できる。高感度のタッチ入力が可能になる。
実施形態に係る圧力センサは、上記の応用の他に、気圧センサ、または、タイヤの空気圧センサなどに応用されても良い。実施形態に係る圧力センサは、様々な圧力検知に応用することができる。
実施形態によれば、ダイナミックレンジが拡大できる圧力センサ、マイクロフォン、血圧センサ及びタッチパネルを提供できる。
実施形態においては、圧力センサは、例えば平衡式の圧力センサである。圧力センサは、例えば、支持部と、基板と、検知素子と、磁界発生部と、を含む。基板は、支持部に支えられ、被測定圧力を歪に変換する。基板は、可撓性を有する。検知素子は、基板上に形成される。検知素子は、歪の変化により、抵抗変化を生ずる。検知素子は、歪により磁化が変化する第1磁性層と、第2磁性層と、第1及び第2磁性層の間に形成されたスペーサ層と、を含む。磁界発生部は、検知素子に磁界を加える。磁界発生部は、第1磁性層の磁化を変化させる。圧力センサにおいては、抵抗変化に応じた電流が磁界発生部に流れる。例えば、歪による第1磁性層の磁化の変化と、磁界による第1磁性層の磁化の変化と、が相殺される平衡状態となったときの、磁界発生部に流れる電流が求められる。この電流により、検知の対象となる圧力が測定される。本実施形態においては、フィードバック回路が設けられる。このフィードバック回路は、検知素子の抵抗変化を検知し、適切な電流を磁界発生部に流す。検知素子の抵抗を平衡に保つ磁界として、検知素子の付近に配置された導線から発生する誘導磁界が利用される。
(付記)
実施形態は、以下の特徴を含む。
(特徴1)
変形可能な膜部と、
前記膜部の一部に固定され、第1磁性層と、第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた中間層と、を含む検知素子と、
前記検知素子に磁界を加える磁界発生部と、
を備えた圧力センサ。
(特徴2)
前記膜部は、第1方向に延びる第1辺を含む外縁を有し、
前記検知素子は、前記外縁のうちで前記第1辺に最近接し、
前記磁界は、前記第1方向に対して垂直な第2方向の成分を含む、特徴1記載の圧力センサ。
(特徴3)
前記膜部は、外縁を有し、
前記検知素子は、前記外縁のうちの第1外縁部分に最近接し、
前記磁界発生部は、配線を含み、
前記配線は、前記第1外縁部分に沿う延在部分を有し、
前記延在部分と前記膜部との間に前記検知素子が配置された、特徴1記載の圧力センサ。
(特徴4)
前記膜部は、第1方向に延びる第1辺を含む外縁を有し、
前記検知素子は、前記外縁のうちで前記第1辺に最近接し、
前記磁界発生部は、配線を含み、
前記配線は、第1方向に延びる延在部分を有し、
前記延在部分と前記膜部との間に前記検知素子が配置された、特徴1記載の圧力センサ。
(特徴5)
前記外縁は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1辺と離間し前記第1方向に延びる第2辺と、前記第2方向に延びる第3辺と、前記第1方向において前記第3辺と離間し前記第2方向に延びる第4辺と、をさらに含み、前記第3辺と前記第4辺との間の前記第1方向の沿った長さは、前記第1辺と前記第2辺との間の前記第2方向に沿った長さよりも長い、特徴4記載の圧力センサ。
(特徴6)
前記膜部は、外縁を有し、
前記検知素子は、前記外縁のうちの第1外縁部分に最近接し、
前記磁界発生部は、コイルを含み、
前記コイルの巻きの軸は、第1外縁部分の延在方向と交差する、特徴1記載の圧力センサ。
(特徴7)
前記膜部は、第1方向に延びる第1辺を含む外縁を有し、
前記検知素子は、前記外縁のうちで前記第1辺に最近接し、
前記磁界発生部は、コイルを含み、
前記コイルの巻きの軸は、前記第1方向と交差する、特徴1記載の圧力センサ。
(特徴8)
前記外縁は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1辺と離間し前記第1方向に延びる第2辺と、前記第2方向に延びる第3辺と、前記第1方向において前記第3辺と離間し前記第2方向に延びる第4辺と、をさらに含み、前記第3辺と前記第4辺との間の前記第1方向の沿った長さは、前記第1辺と前記第2辺との間の前記第2方向に沿った長さよりも長い、特徴7記載の圧力センサ。
(特徴9)
前記膜部の前記外縁を保持する保持部をさらに備え、
前記コイルは、前記保持部に設けられる、特徴6〜8のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴10)
前記第1磁性層及び前記第2磁性層の一方と電気的に接続され前記検知素子に流れる第1電流に応じた第2電流を前記磁界発生部に供給する第1回路と、
前記磁界発生部と電気的に接続され前記第2電流をモニタする第2回路と、
を含む回路部さらに備えた、特徴1〜9のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴11)
変形可能な膜部と、
前記膜部の一部に固定され、第1磁性層と、第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた中間層と、を含む検知素子と、
配線と、
を備え、
前記膜部は、外縁を有し、
前記検知素子は、前記外縁のうちの第1外縁部分に最近接し、
前記配線は、前記第1外縁部分に沿う延在部分を有し、
前記延在部分と前記膜部との間に前記検知素子が配置された、圧力センサ。
(特徴12)
前記第1外縁部分は、第1方向に延びる第1辺を含み、
前記検知素子は、前記外縁のうちで前記第1辺に最近接し、
前記延在部分は、第1方向に延びる、特徴11記載の圧力センサ。
(特徴13)
前記外縁は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1辺と離間し前記第1方向に延びる第2辺と、前記第2方向に延びる第3辺と、前記第1方向において前記第3辺と離間し前記第2方向に延びる第4辺と、をさらに含み、前記第3辺と前記第4辺との間の前記第1方向の沿った長さは、前記第1辺と前記第2辺との間の前記第2方向に沿った長さよりも長い、特徴12記載の圧力センサ。
(特徴14)
前記配線は、前記検知素子に磁界を加える、特徴12または13のいずれか1つに記載の備えた圧力センサ。
(特徴15)
前記磁界は、前記第1方向に対して垂直な第2方向の成分を含む、特徴14記載の圧力センサ。
(特徴16)
前記第1磁性層及び前記第2磁性層の一方と電気的に接続され前記検知素子に流れる第1電流に応じた第2電流を前記配線に供給する第1回路と、
前記配線と電気的に接続され前記第2電流をモニタする第2回路と、
を含む回路部さらに備えた、特徴11〜15のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴17)
変形可能な膜部と、
前記膜部の一部に固定され、第1磁性層と、第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた中間層と、を含む検知素子と、
コイルと、
を備え、
前記膜部は、外縁を有し、
前記検知素子は、前記外縁のうちの第1外縁部分に最近接し、
前記コイルの巻きの軸は、第1外縁部分の延在方向と交差する、圧力センサ。
(特徴18)
前記第1外縁部分は、第1方向に延びる第1辺を含み、
前記検知素子は、前記外縁のうちで前記第1辺に最近接し、
前記軸は、前記第1方向と交差する、特徴17記載の圧力センサ。
(特徴19)
前記外縁は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1辺と離間し前記第1方向に延びる第2辺と、前記第2方向に延びる第3辺と、前記第1方向において前記第3辺と離間し前記第2方向に延びる第4辺と、をさらに含み、前記第3辺と前記第4辺との間の前記第1方向の沿った長さは、前記第1辺と前記第2辺との間の前記第2方向に沿った長さよりも長い、特徴18記載の圧力センサ。
(特徴20)
前記膜部の前記外縁を保持する保持部をさらに備え、
前記コイルは、前記保持部に設けられる、特徴17〜19のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴21)
前記コイルは、前記検知素子に磁界を加える、特徴19または20のいずれか1つに記載の備えた圧力センサ。
(特徴22)
前記磁界は、前記第1方向に対して垂直な第2方向の成分を含む、特徴21記載の圧力センサ。
(特徴23)
前記第1磁性層及び前記第2磁性層の一方と電気的に接続され前記検知素子に流れる第1電流に応じた第2電流を前記コイルに供給する第1回路と、
前記コイルと電気的に接続され前記第2電流をモニタする第2回路と、
を含む回路部さらに備えた、特徴17〜22のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴24)
前記第1磁性層の磁化は、前記膜部の変形に応じて変化する、特徴1〜23のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴25)
特徴1〜24のいずれか1つに記載の圧力センサを備えたマイクロフォン。
(特徴26)
特徴1〜24のいずれか1つに記載の圧力センサを備えた血圧センサ。
(特徴27)
特徴1〜24のいずれか1つに記載の圧力センサを備えたタッチパネル。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、圧力センサに含まれる膜部、検知素子、磁性層、中間層、電極、磁界発生部、配線、コイル、及び、回路などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した圧力センサ、マイクロフォン、血圧センサ及びタッチパネルを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての圧力センサ、マイクロフォン、血圧センサ及びタッチパネルも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。