JPWO2010131324A1 - 車群制御方法及び車両 - Google Patents

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Abstract

本発明の車群制御方法は、n台の車両(n=2,3,…)で構成される車群の走行を制御する車群制御方法であって、車群内の前からj−1台目の車両とj台目の車両(j=2,3,…,n)との車間を広げるときには、車間の変更中におけるj−1台目の車両に対するj台目の車両の相対速度が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように、当該相対速度を変化させることを特徴とする。

Description

本発明は、複数の車両で構成される車群の走行を制御する車群制御方法、及びそのような車群制御手段を備えた車両に関するものである。
従来、このような分野の技術として、特開2001−344686号公報に開示された走行制御装置が知られている。この装置は、車群走行可能な所定のサービス区間において、前方車両及び/または後方車両、並びに道路設備側の通信機器との通信を行いながら、それら車両と車群を編成した状態で自車両を走行させるものである。この装置では、上記サービス区間の終了地点までの距離が所定距離より短くなったときに、自車両の直前を走行する前方車両との目標車間距離を大きな値に変更するようにし、サービス区間の終了地点におけるスムーズなトラフィックを確保することが提案されている。
特開2001−344686号公報
このように、車群走行の際には車群走行可能なサービス区間の終了や、車両の合流・離脱などに対応して車群を構成する車両の車間を変更する必要が生じるが、上記特許文献1の走行制御装置では、車速をコントロールして車間距離を広げることが記載されているのみで、各車両間の相対速度や相対加速度までは言及がなく、車間変更の過程における相対車速変化のスムーズさや制御精度にも問題が残る。
本発明は、車群走行において、スムーズな相対車速の変化をもって車間変化を精度良く行うことができる車群制御方法及び車両を提供することを目的とする。
本発明の車群制御方法は、n台の車両(n=2,3,…)で構成される車群の走行を制御する車群制御方法であって、車群内の前からj−1台目の車両とj台目の車両(j=2,3,…,n)との車間を広げるときには、車間の変更中におけるj−1台目の車両に対するj台目の車両の相対速度が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように、当該相対速度を変化させることを特徴とする。
この車群制御方法によれば、j−1台目の車両とj台目の車両の車間を広げるときに、j−1台目の車両に対するj台目の車両の相対速度が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように、当該相対速度をスムーズに変化させるので、このような相対速度のスムーズな変化をもって、車間を広げる変化を精度よく行うことができる。
本発明の車群制御方法は、n台の車両(n=2,3,…)で構成される車群の走行を制御する車群制御方法であって、車群内の前からj−1台目の車両とj台目の車両(j=2,3,…,n)との車間を縮めるときには、車間の変更中におけるj−1台目の車両に対するj台目の車両の相対速度が、時間軸上で極大値を持つグラフで示されるように、当該相対速度を変化させることを特徴とする。
この車群制御方法によれば、j−1台目の車両とj台目の車両の車間を縮めるときに、j−1台目の車両に対するj台目の車両の相対速度が、時間軸上で極大値を持つグラフで示されるように、当該相対速度をスムーズに変化させるので、このような相対速度のスムーズな変化をもって、車間を縮める変化を精度よく行うことができる。
また、本発明の車群制御方法では、車群内のすべての車間距離を所定の変化量分だけ変更するときには、車両の台数と、所定の変化量と、車群の先頭車両の車速と、に基づいて車間距離の変更にかける時間を決定することとしてもよい。
車群内のすべての車間距離を変更する場合、特に、車群の両端(車群の先頭又は車群の最後尾)に近い車両においては、大きな速度変化が要求される可能性がある。従って、車群の両端の車両への負担が大きくなり、好ましくない場合もある。これに対し、上記の車群制御方法によれば、車両の台数と、所定の変化量と、車群の先頭車両の車速と、に基づいて車間距離の変更にかける時間が決定されるので、車間距離の変更にかける時間を長く調整することで、上記のような車両への負担を抑えることが可能になる。
また、本発明の車群制御方法では、車群内の車間距離を広げる場合に、車群の先頭車両と最後尾車両との間の所定の基準位置よりも前方に位置する車両では、当該車両の車間の変更中における車速が、時間軸上で極大値を持つグラフで示されるように当該車速を変化させ、所定の基準位置よりも後方に位置する車両では、当該車両の車間の変更中における車速が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように当該車速を変化させることとしてもよい。
この車群制御方法によれば、基準位置よりも前方の車両の車速は時間軸上で極大値を持つグラフで示されるので、基準位置よりも前方の車両は、車群内で当該基準位置から前方に離れるように移動する。また、基準位置よりも後方の車両の車速は時間軸上で極小値を持つグラフで示されるので、基準位置よりも後方の車両は、車群内で当該基準位置から後方に離れるように移動する。そして、上記基準位置は、車群の先頭車両と最後尾車両との間に存在する。従って、車群内では、各車両が車群内の基準位置から離れるように移動して、車群内の車間距離が広がることになる。従って、車群の両端に近い車両の移動を少なくすることができ、車両の両端に近い車両の加減速の負荷を抑えながらも、車間距離を広げる時間を短縮することができる。
また、本発明の車群制御方法では、車群内の車間距離を縮める場合に、車群の先頭車両と最後尾車両との間の所定の基準位置よりも前方に位置する車両では、当該車両の車間の変更中における車速が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように当該車速を変化させ、所定の基準位置よりも後方に位置する車両では、当該車両の車間の変更中における車速が、時間軸上で極大値を持つグラフで示されるように当該車速を変化させることとしてもよい。
この車群制御方法によれば、基準位置よりも前方の車両の車速は時間軸上で極小値を持つグラフで示されるので、基準位置よりも前方の車両は、車群内で当該基準位置に近づくように後方に移動する。また、基準位置よりも後方の車両の車速は時間軸上で極大値を持つグラフで示されるので、基準位置よりも後方の車両は、車群内で当該基準位置に近づくように前方に移動する。そして、上記基準位置は、車群の先頭車両と最後尾車両との間に存在する。従って、車群内では、各車両が車群内の基準位置に集まるように移動して、車群内の車間距離が縮まることになる。従って、車群の両端に近い車両の移動を少なくすることができ、車両の両端に近い車両の加減速の負荷を抑えながらも、車間距離を縮める時間を短縮することができる。
また、本発明の車群制御方法では、車間の変更前における車群の車速がゼロの場合には、車間の変更の開始後の所定の時間内において、車群のすべての目標車間距離を固定させ、車間の変更後における車群の車速をゼロとする場合には、車間の変更の終了前の所定の時間内において、車群のすべての目標車間距離を固定させることとしてもよい。
車群の停止状態から車両を発進させて車間を広げる場合、発進後から所定の時間内は、高精度の加減速の制御が難しい。また、車群の走行状態から車間を縮めて車両を停止させる場合、停止前の所定の時間内は、高精度の加減速の制御が難しい。このような加減速の制御が難しい時間帯において複雑な車間の制御を行えば、各車両の同時発進や同時停止のタイミングが乱れる場合がある。これに対し、上記の車群制御方法によれば、高精度の加減速の制御が難しい時間帯においてすべての目標車間距離を固定させることとしているので、車間距離の制御が比較的容易であり、同時発進や同時停止のタイミングの乱れを抑えることができる。
また、本発明の車群制御方法では、車群の車速が所定値よりも小さい場合には、車群のすべての目標車間距離を固定させることとしてもよい。
各車両の性質上、車速が小さい場合には高精度の加減速の制御が難しいので、複雑な車間の制御を行えば車群の車間が乱れる場合がある。これに対し、上記の車群制御方法によれば、車群の車速が所定値よりも小さい場合には、すべての目標車間距離を固定させることとしているので、例えば、発進直後や停止直前のように車速が小さい場合における車間の乱れを抑えることができる。
また、本発明の車群制御方法では、車群内のすべての車間距離を変更する場合に、車群内の前からk台目の車両とk+1台目の車両(k=2,3,…,n−1)との車間距離の変更は、車群内の前からk−1台目の車両とk台目の車両との車間距離の変更が完了した直後に開始されることとしてもよい。
この車群制御方法によれば、車群内の車間距離を変更する場合に、車群の前方から後方に向かって順に車間距離の変更が完了していく。従って、車群の構成車両の台数が多い場合にも、車群の最後尾に近い車両に対して大きな加減速が要求されることが避けられ、各車両に対する加減速の負担を軽減することができる。
また、本発明の車群制御方法では、車群内の車間距離を変更する場合に、車群の後方の車両にいくほど、相対速度がピークに達するタイミングが遅くなるように、各車両の相対速度を変化させることとしてもよい。
この車群制御方法によれば、車群内の車間距離を変更する場合に、車群の前方の車両から順に、自車前方の車両に対する相対速度がピークに達していく。従って、車群の前方から後方に向かって順に車間距離が変更されるように、車群内で車両が移動する。従って、車群の構成車両の台数が多い場合にも、車群の最後尾に近い車両に対して大きな加減速が要求されることが避けられ、各車両に対する加減速の負担を軽減することができる。
また、本発明の車群制御方法では、車群内のすべての車間距離を広げる場合に、車群の先頭車両以外のすべての後続車両に、先頭車両に対して同時に減速を開始させた後、各々の後続車両を各々の切り替えタイミングで加速に切り替えて、先頭車両の車速と等しくなるまで加速させ、上記切り替えタイミングは、車群の後方の車両にいくほど遅くなることとしてもよい。
この車群制御方法によれば、先頭車両に対して後続車両が同時に減速を開始し、前方の後続車両から順に、各後続車両が加速し先頭車両と等しい車速に復帰する。最初に後続車両の減速が同時に開始されるので、すべての車間距離の変更をある程度同時進行することができ、比較的素早い車間距離の変更が可能になる。また、先頭車両に対する相対的な移動距離は後方の車両ほど大きくなるが、後方の車両ほど上記の切り替えタイミングが遅いので移動時間が長くなり、後方の車両に大きな加減速が強いられることも避けられる。
また、本発明の車群制御方法では、車群内のすべての車間距離を縮める場合に、車群の先頭車両以外のすべての後続車両に、先頭車両に対して同時に加速を開始させた後、各々の後続車両を各々の切り替えタイミングで減速に切り替えて、先頭車両の車速と等しくなるまで減速させ、上記切り替えタイミングは、車群の後方の車両にいくほど遅くなることとしてもよい。
この車群制御方法によれば、先頭車両に対して後続車両が同時に加速を開始し、前方の後続車両から順に、各後続車両が減速し先頭車両と等しい車速に復帰する。最初に後続車両の加速が同時に開始されるので、すべての車間距離の変更をある程度同時進行することができ、比較的素早い車間距離の変更が可能になる。また、先頭車両に対する相対的な移動距離は後方の車両ほど大きくなるが、後方の車両ほど上記の切り替えタイミングが遅いので移動時間が長くなり、後方の車両に大きな加減速が強いられることも避けられる。
また、本発明の車両は、n台の車両(n=2,3,…)で構成される車群の走行を制御する車群制御手段を備えた車両であって、車群制御手段は、車群内の前からj−1台目の車両とj台目の車両(j=2,3,…,n)との車間を広げるときには、車間の変更中におけるj−1台目の車両に対するj台目の車両の相対速度が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように、当該相対速度を変化させることを特徴とする。
この車両によれば、車群のj−1台目の車両とj台目の車両の車間を広げるときに、j−1台目の車両に対するj台目の車両の相対速度が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように、当該相対速度をスムーズに変化させるので、このような相対速度のスムーズな変化をもって、車間を広げる変化を精度よく行うことができる。
また、本発明の車両は、n台の車両(n=2,3,…)で構成される車群の走行を制御する車群制御手段を備えた車両であって、車群制御手段は、車群内の前からj−1台目の車両とj台目の車両(j=2,3,…,n)との車間を縮めるときには、車間の変更中におけるj−1台目の車両に対するj台目の車両の相対速度が、時間軸上で極大値を持つグラフで示されるように、当該相対速度を変化させることを特徴とする。
この車両によれば、車群のj−1台目の車両とj台目の車両の車間を縮めるときに、j−1台目の車両に対するj台目の車両の相対速度が、時間軸上で極大値を持つグラフで示されるように、当該相対速度をスムーズに変化させるので、このような相対速度のスムーズな変化をもって、車間を縮める変化を精度よく行うことができる。
本発明の車群制御方法及び車両によれば、車群走行において、スムーズな相対車速の変化をもって車間変化を精度良く行うことができる。
図1は、本発明に係る車両が備える車群走行制御システムの第1〜第6実施形態を示すブロック図である。 図2は、図1の車群走行制御システムで実現される車群走行を示す図である。 図3は、車群走行の車間距離を変更する処理を示すフローチャートである。 図4(a)は、第1実施形態における相対加速度の目標値変化パターンを示すグラフであり、図4(b)は、相対速度の目標値変化パターンを示すグラフであり、図4(c)は、前方車間距離の変化分の目標値変化パターンを示すグラフである。 図5は、車間距離変更工程における各車速V〜Vの変化の一例を示すグラフである。 図6(a)は、第1実施形態における相対加速度の目標値変化パターンを示すグラフであり、図6(b)は、相対速度の目標値変化パターンを示すグラフであり、図6(c)は、前方車間距離の変化分の目標値変化パターンを示すグラフである。 図7(a)は、車間距離変更工程における各車速V〜Vの変化の一例を示すグラフであり、図7(b)は、第2実施形態における車間距離変更工程での各車速V〜Vの変化の一例を示すグラフである。 図8は、車両Cの位置に設定された基準位置Zを示す図である。 図9は、第3実施形態における車間距離変更工程での各車速V〜Vの変化の一例を示すグラフである。 図10は、第3実施形態における車間距離変更工程での各車速V〜Vの変化の他の例を示すグラフである。 図11は、第4実施形態における車間距離変更工程での各車速V〜Vの変化の一例を示すグラフである。 図12は、第4実施形態における車間距離変更工程での各車速V〜Vの変化の他の例を示すグラフである。 図13(a)〜(d)は、第5実施形態における車間距離変更工程での各車速V〜Vの変化の一例を示すグラフである。 図14(a)は、第5実施形態における相対速度の目標値変化パターンを示すグラフであり、図14(b)は、前方車間距離の変化分の目標値変化パターンを示すグラフである。 図15は、第6実施形態における車間距離変更工程での各車速V〜Vの変化の他の例を示すグラフである。 図16(a)は、第6実施形態における相対速度の目標値変化パターンを示すグラフであり、図16(b)は、前方車間距離の変化分の目標値変化パターンを示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る車両及び車群制御方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、互いに同一又は同等な構成については重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1に示す車群走行制御システム1は、複数の車両に車群を組んで走行させるべく、当該複数の車両の各々の走行状態を制御するシステムである。この車群走行制御システム1によって、図2に示すように、複数の車両が比較的狭い車間距離で縦一列に並んで走行する車群走行が実現される。
なお、以下の説明においては、車群を構成する車両の台数を「n」で表す。図2の例の場合は、n=4である。また、図2に示されるように、車群の先頭から数えてj番目(j=1,2,…,n)の車両Cの加速度を「a」で表し、車両Cの速度を「V」で表し、車両Cの加速度指令値を「u」で表す。また、車両Cと車両Cj+1との車間距離を「L」で表す。また、車両Cに対する車両Cj+1の相対速度Vj+1−Vを「Vr」で表し、車両Cに対する車両Cj+1の相対加速度aj+1−aを「ar」で表す。なお、速度V,相対速度Vr、加速度a,相対加速度arについては、車群の進行方法(矢印Y方向)をプラスの符号とする。また、車群の構成車両C〜Cのうち、先頭を走行する車両Cを「先頭車両」と呼び、これに対して、車両C〜Cを総称し「後続車両」と呼ぶ場合がある。また、車両Cを「最後尾車両」と呼ぶ場合がある。
この車群走行制御システム1では、任意台数の車両で構成される車群走行を実現することができるが、ここでは、図2に示すように、4台の車両C,C,C,Cで車群走行が行われる場合(n=4の場合)を例に挙げて説明する。
車群を構成するすべての車両C〜Cは、それぞれ1つずつ、以下に説明する車群走行制御システム1を搭載している。
図1に示すように、車群走行制御システム1は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)10を備えている。車両制御ECU10は、車群走行制御システム1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。車両制御ECU10は、情報を一時的又は長期的に保存することが可能な情報記憶部10aを有している。情報記憶部10aには、自車両の種々の特性を示す車両諸元情報が保存されている。なお、この車両制御ECU10は、後述する所定の演算により車両C〜Cの各加速度指令値u〜uを算出する演算手段として機能する。
更に、車群走行制御システム1は、自車両の走行状態を検知するためのセンサ類を備えている。このセンサ類には、前方車間距離センサ21aと、後方車間距離センサ22aと、車速センサ23aと、加速度センサ24aとが含まれている。
前方車間距離センサ21aは、自車両の直ぐ前方を走行する車両との車間距離を検知することができる。同様に、後方車間距離センサ22aは、自車両の直ぐ後方を走行する車両との車間距離を検知することができる。このような前方車間距離センサ21a及び後方車間距離センサ22aとしては、例えば、それぞれ車両の前部及び後部にそれぞれ設けられたミリ波レーダが採用される。前方車間距離センサ21aで得られる信号は、前方センサECU21で処理され、前方車間距離情報として車両制御ECU10に送信される。同様に、後方車間距離センサ22aで得られる信号は、後方センサECU22で処理され、後方車間距離情報として車両制御ECU10に送信される。
車速センサ23aは、自車両の速度を検知することができる。車速センサ23aとしては、例えば、車輪速を検知する電磁ピックアップセンサが用いられる。車速センサ23aで得られる信号は、車速センサECU23で処理され、車速情報として車両制御ECU10に送信される。加速度センサ24aとしては、例えば、ガスレートセンサもしくはジャイロセンサが用いられる。加速度センサ24aで得られる信号は、加速度センサECU24で処理され、加速度情報として車両制御ECU10に送信される。
なお、前方センサECU21と、後方センサECU22と、車速センサECU23と、加速度センサECU24とは、車両内ネットワークとして構築された通信・センサ系CAN20を介して車両制御ECU10に接続されている。
以上のように、車群走行制御システム1では、上述のセンサ類により、自車両についての前方車間距離情報と、後方車間距離情報と、車速情報と、加速度情報とが得られる。なお、以下の説明では、前方車間距離情報と、後方車間距離情報と、車速情報と、加速度情報とをまとめて「走行状態情報」という場合がある。
更に、システム1は、自車両の加減速・操舵等の操作を行うべく、エンジン制御ECU31と、ブレーキ制御ECU32と、ステアリング制御ECU33とを備えている。エンジン制御ECU31は、車両制御ECU10から送信される加速度指令値情報を受信し、当該加速度指令値に対応する操作量でスロットルアクチュエータ31a等を操作する。また、ブレーキ制御ECU32は、上記加速度指令値情報を受信し、当該加速度指令値に対応する操作量でブレーキアクチュエータ32a等を操作する。また、ステアリング制御ECU33は、車両制御ECU10から送信される操舵指令値情報を受信し、当該操舵指令値に対応する操作量でステアリングアクチュエータ33a等を操作する。エンジン制御ECU31と、ブレーキ制御ECU32と、ステアリング制御ECU33とは、車両内ネットワークとして構築された制御系CAN30を介して車両制御ECU10に接続されている。
また、車群走行制御システム1は、車群の他の構成車両との間で互いの走行状態情報等を交換すべく、無線アンテナ26a及び無線制御ECU26を備えている。車群内の各車両C〜Cは、この無線アンテナ26a及び無線制御ECU26により互いに車車間通信を行い、他の構成車両すべての車両諸元情報、走行状態情報、及び加速度指令値情報を取得すると共に、自車両の車両諸元情報、走行状態情報、及び加速度指令値情報を他車両に送信する。このような車車間通信により、すべての車両C〜Cの車両制御ECU10において、すべての車両C〜Cの車両諸元情報、走行状態情報、及び加速度指令値情報を共有することができる。また、車両C〜Cは、走行状態情報等に限られず、車車間通信によって他の種々の情報を共有することも可能である。なお、無線制御ECU26は、前述の通信・センサ系CAN20を介して車両制御ECU10に接続されている。
車群走行制御システム1は、上位のアプリケーション又はドライバから与えられた設定車間距離Lに基づき、車群内の互いの車間距離L〜Lをすべて等しく設定車間距離Lに維持するように各車両C〜Cの走行状態を制御する。先頭車両Cの車群走行制御システム1は、上位のアプリケーション又はドライバから与えられたフィードフォワード加速度指令値uffに基づいて、自車両Cの加減速を制御する。後続車両C(m=2,3,4)のそれぞれの車群走行制御システム1は、設定車間距離Lを目標車間距離として、自車両Cの前方の車間距離Lm−1が目標車間距離Lに維持されるように、自車両Cの加減速を制御する。この加減速制御においては、自車両Cの前方車間距離Lm−1と、前方車両Cm−1との相対速度Vrm−1と、前方車両Cm−1との相対加速度arm−1と、がフィードバックされる。
フィードバックされる前方車間距離Lm−1は、前方車間距離センサ21aから取得される。相対速度Vrm−1は、車速センサ23aで得られた車速Vと、車車間通信で得られた前方車両Cm−1の車速Vm−1と、の差分の算出により取得される。相対加速度arm−1は、加速度センサ24aで得られた加速度aと、車車間通信で得られた前方車両Cm−1の加速度am−1と、の差分の算出により取得される。このように、各車両C〜Cが前方の車間距離を維持すべくそれぞれが走行状態の制御を行う結果、4台の車両C〜Cが設定車間距離Lの等間隔で一列に並んで走行する車群走行が実現される。なお、設定車間距離Lの値は、例えば、車両制御ECU10の情報記憶部10aに一時的に記憶されている。
続いて、上記のような車群走行中において、設定車間距離Lが変更された場合における車群走行制御システム1の処理について説明する。以下、設定車間距離Lの変更に応じて車間距離L〜Lを変化させる工程を「車間距離変更工程」と呼ぶ場合がある。
〔車間距離を広げる処理〕
ここでは、設定車間距離Lの変更に伴い、上位のアプリケーション又はドライバから、変化させるべき車間距離L〜Lの変化量Lsと、車間距離L〜Lの変化にかけるべき変化時間tsとが与えられる。与えられた変化量Ls及び変化時間tsは、車車間通信によって車群内のすべての車両C〜Cに共有される。そして、各車両C〜Cの車群走行制御システム1は、車間距離変更工程の開始時の同期を取り、それぞれ独立して前方車間距離の変更に関する自車両の制御を開始する。
以下では、車群の先頭からm台目(m=2,3,4)の車両Cの車群走行制御システム1が行う処理について説明する。車両Cの車群走行制御システム1は、車群内における自車両の順位(mの値:自車両が車群内の何番目を走行しているか)を認識する必要があるが、自車両の順位は、例えば、車車間通信で共有される各車両C〜Cの現在位置を比較して導出することができる。この場合、各車両C〜Cは、自車両の現在位置を取得するために、GPS装置等の自車両位置検知手段を備えてもよい。
ここでは、上位アプリケーション等から、車間距離を広げる旨の指示がなされた場合を考える。すなわち、与えられた上記変化量Lsはプラスの値である。
図3のフローチャートに示すように、まず、車群走行制御システム1の車両制御ECU10は、上位アプリケーション等から与えられた前方車間距離Lm−1の変化量Lsと、変化時間tsとを取得し(S101)、このときの時刻tをt=0とする(S103)。続いて、車両制御ECU10は、変化量Lsと、変化時間tsとに基づいて決定された目標値変化パターンに基づいて、現在時刻tに対応する目標値ar(t)、Vr(t)、Lr(t)を算出する(S105)。
上記の目標値変化パターンとは、車両Cの加減速制御に用いられる前方車間距離Lm−1の変化分の目標値、相対速度Vrm−1の目標値、相対加速度arm−1の目標値の時刻t=0〜tsにおける経時的変化のパターンを表すものである。目標値変化パターンは、変化量Lsと変化時間tsとに基づいて設定される。ここでは、Ls/2=1/2・ar・(ts/2)との関係が採用され、時刻tにおける前方車間距離Lm−1の変化分の目標値Lr(t)は、図4(c)に示すような曲線のグラフで表される。なお、このグラフでは、前方車間距離Lm−1が長くなるような変化分をプラスの符号で表し、前方車間距離Lm−1が短くなるような変化分をマイナスの符号で表す。また、時刻tにおける相対速度Vrm−1の目標値Vr(t)は、目標値Lr(t)を時間微分したものであり、図4(b)に示すように、2つの直線からなり下に凸のV字形のグラフで表される。この目標値Vr(t)のグラフは、t=ts/2において極小値を持っている。
すなわち、この目標値Vr(t)は、
Vr(t)= -(4Ls/ts2)・t (0<t≦ts/2) …(1.1)
Vr(t)= -(4Ls/ts2)・(ts-t) (ts/2<t≦ts) …(1.2)
と表される。
また、時刻tにおける相対加速度arm−1の目標値ar(t)は、目標値Vr(t)を時間微分したものであり、図4(a)に示すように、車間距離変更工程の前半(0<t≦ts/2)ではマイナスの値で一定、後半(ts/2<t≦ts)ではプラスの値で一定である。
車両Cは、後述する加減速制御により、時刻t=0〜tsにおいて、前方車間距離Lm−1と、相対速度Vrm−1と、相対加速度arm−1と、を図4(a),(b),(c)で示される上記目標値変化パターンに沿って変化させる。この目標値変化パターンの場合、車間距離変更工程の前半(0<t≦ts/2)では車両Cが前方車両Cm−1に対して等減速度で相対的に減速され、車間距離変更工程の後半(ts/2<t≦ts)では車両Cが前方車両Cm−1に対して等加速度で相対的に加速されることになる。なお、この車群走行制御システム1では、すべての車両C〜Cにおいて、図4(a),(b),(c)で示す目標値変化パターンが共通して用いられる。
続いて、車両制御ECU10は、L+Lr(t)、Vr(t)、ar(t)を、それぞれ、目標前方車間距離Lm−1_tgt、目標相対速度Vrm−1_tgt、目標相対加速度arm−1_tgtとして、時刻tにおけるフィードバック加速度指令値ufb_mを算出する(S107)。具体的には、フィードバック加速度指令値ufb_mは下式(1.3)で算出される。
ufb_m = k・(Lm-1-Lm-1_tgt)+c・(Vrm-1-Vrm-1_tgt)+f・(arm-1-arm-1_tgt) …(1.3)
ただし、式(1.3)中のk,c,fは、予め定められたゲインであり、例えば、車両制御ECU10の情報記憶部10aに予め記憶されている。なお、式(1.3)において、c=0,f=0としても前方車間距離Lm−1のフィードバック制御は可能であるが、ここでは、c≠0,f≠0とされて、相対速度Vrm−1と相対加速度arm−1も、各目標値Vr(t),ar(t)に沿って変化する。
次に、車両制御ECU10は、先頭車両Cのフィードフォワード加速度指令値uffをフィードフォワードとして、自車両Cの加速度指令値uを算出する。具体的には、加速度指令値uは下式(1.4)で算出される。
um = uff+ufb_m-ar(t)・(m-1) …(1.4)
そして、車両制御ECU10は、算出された加速度指令値uを、加速度実現部としてのエンジン制御ECU31とブレーキ制御ECU32に送信する(S109)。このときエンジン制御ECU31は受信した加速度指令値uに基づいてスロットルアクチュエータ31aを操作し、ブレーキ制御ECU32は受信した加速度指令値uに基づいてブレーキアクチュエータ32aを操作することで、車両Cの加減速が実現される。なおここでは、上記の式(1.4)に代えて、下式(1.5)を用いてもよい。
um = uff'+ufb_m-ar(t) …(1.5)
式(1.5)中のuff'は、自車両の直前の車両Cm−1のフィードフォワード加速度指令値である。
前述の処理S105〜S109が、t>tsになるまで繰り返されることにより(S111)、時刻t=0〜tsの間に、車両Cの前方車間距離Lm−1が、距離Lsだけ増加される。その後、設定車間距離Lが新たな距離L+Lsに更新される(S113)。以上のような処理S101〜S113が、車両C〜Cでそれぞれ行われることにより、車群のすべての車間距離L〜Lが、時間tsをかけて、距離Lsだけ、同じタイミングで広がるといったことが実現される。
ここで、例えば、上述の車間距離変更工程中に、先頭車両Cが加速度指令値uffに基づき等加速度で走行しているものとすれば、時刻t=0〜tsにおける各車両C〜Cの車速V〜Vの変化は、図5に示すようなものとなる。
以上説明した車群走行制御システム1を備える車両C〜C、及び車群走行制御方法によれば、車間距離L〜Lの変更の際には、目標値変化パターンにより、前方車間距離、相対速度、相対加速度について、それぞれ、車間変化時間t=0〜tsにおける目標値変化パターンが与えられ、当該目標値変化パターンに沿った経時変化をもって、前方車間距離L〜L、相対速度Vr〜Vr、相対加速度ar〜arが変更される。また、図4(b)に示す通り、各車両Cの前方車両Cm−1に対する相対速度の目標値Vr(t)は、下に凸のV字形のグラフ(図4(b)参照)のような極小値を持つグラフで表されるので、車両Cは、車間距離変更工程の開始直後(t=0付近)には前方車両Cm−1に対して徐々に離れるように移動し、車間距離変更工程の途中(t=ts/2付近)には前方車両Cm−1に対して素早く離れるように移動し、また、車間距離変更工程の終了直前(t=ts付近)には前方車両Cm−1に対して徐々に停止するといったように、各車間距離Lm−1がスムーズに変更される。このように、上述の車両C〜C及び車群走行制御方法によれば、車両C〜C相互間のスムーズな相対車速の変化をもって、車間変化を精度良く行うことができる。
なお、ここでは、相対速度の目標値Vr(t)のグラフは、V字形のグラフとしているが、これには限られない。目標値Vr(t)のグラフは、t軸上で極小値を持つグラフであればよく、グラフが直線からなることも必須ではない。すなわち、t=0及びt=tsのときに共にVr(t)がゼロであり、かつ、t=0〜tsにおいてVr(t)≦0であればよい。この構成によれば、相対速度の目標値Vr(t)は、t=0〜tsで常にゼロ以下の値であるので、各車間距離Lm−1は、t=0〜tsにおいて常に広がり続けることになり、車間距離Lm−1の無駄な伸縮の発生が抑えられる。
〔車間距離を縮める処理〕
続いて、上位アプリケーション等から、車間距離をLsだけ縮める旨の指示がなされた場合を考える。
この場合、前述の説明における車間距離の変化量を−Lsとすればよく、前述の説明における変化量Lsの符号を反転させればよいので、各目標値変化パターンは、図4(a)〜(c)のグラフを、時間軸に対して上下反転させたものになる。すなわち、時刻tにおける前方車間距離Lm−1の変化分の目標値Lr(t)は、図6(c)に示すように、図4(c)のグラフを上下反転させた曲線のグラフで表される。また、時刻tにおける相対速度Vrm−1の目標値Vr(t)は、図6(b)に示すように、図4(b)のグラフを上下反転させたものであり、2つの直線からなり上に凸の山形のグラフで表される。この目標値Vr(t)のグラフは、t=ts/2において極大値を持っている。
すなわち、この目標値Vr(t)は、
Vr(t)= (4Ls/ts2)・t (0<t≦ts/2) …(1.6)
Vr(t)= (4Ls/ts2)・(ts-t) (ts/2<t≦ts) …(1.7)
と表される。
また、時刻tにおける相対加速度arm−1の目標値ar(t)は、図6(a)に示すように、図4(a)のグラフを上下反転させたものであり、車間距離変更工程の前半ではプラスの値で一定、後半ではマイナスの値で一定である。
すなわち、このパターンの場合、車間距離変更工程の前半(0<t≦ts/2)では車両Cが前方車両Cm−1に対して等加速度で相対的に加速され、車間距離変更工程の後半(ts/2<t≦ts)では車両Cが前方車両Cm−1に対して等減速度で相対的に減速されることになる。
このように、各車両Cの前方車両Cm−1に対する相対速度の目標値Vr(t)は、上に凸の山形のグラフ(図6(b)参照)のような極大値を持つグラフで表されるので、車両Cは、車間距離変更工程の開始直後(t=0付近)には前方車両Cm−1に対して徐々に近づくように移動し、車間距離変更工程の途中(t=ts/2付近)には前方車両Cm−1に対して素早く近づくように移動し、また、車間距離変更工程の終了直前(t=ts付近)には前方車両Cm−1に対して徐々に停止するといったように、各車間距離Lm−1がスムーズに変更される。このように、上述の車群走行制御システム1及び車群走行制御方法によれば、車間距離を縮める場合においても、車両C〜C相互間のスムーズな相対車速の変化をもって、車間変化を精度良く行うことができる。
なお、ここでは、相対速度の目標値Vr(t)のグラフは、山形のグラフとしているが、これには限られない。目標値Vr(t)のグラフは、t軸上で極大値を持つグラフであればよく、グラフが直線からなることも必須ではない。すなわち、t=0及びt=tsのときに共にVr(t)がゼロであり、かつ、t=0〜tsにおいてVr(t)≧0であればよい。この構成によれば、相対速度の目標値Vr(t)は、t=0〜tsで常にゼロ以上の値であるので、各車間距離Lm−1は、t=0〜tsにおいて常に縮み続けることになり、車間距離Lm−1の無駄な伸縮の発生が抑えられる。
(第2実施形態)
続いて、本発明に係る車両及び車群制御方法の第2実施形態について説明する。本実施形態の車両C〜Cに搭載される車群走行制御システム201の物理的な構成は、図1に示すように、車群走行制御システム1と同様であるので、重複する説明は省略する。
前述の車群走行制御システム1及び車群走行制御方法においては、車間距離変更工程中において、上式(1.4)からも理解されるように、車群の後方の車両ほど要求される速度変化が大きい。従って、先頭車両Cが加速度指令値uffに基づき一定速度で走行しているものとすれば、時刻t=0〜tsにおける各車両C〜Cの車速V〜Vの変化が、図7(a)に示すようなものとなる場合もある。図7(a)の例の場合、車両Cの車速Vは、時刻t=ts/2付近において、マイナスの値になっている。この場合、車間距離を広げる工程の時刻t=ts/2付近において、車両Cには後退する動作が要求されることになり、好ましくない。
また、図7(a)に示されるように、車群の後方の車両ほど大きい加減速度が要求されるので、後方の車両の加減速の負担も大きくなる。また、この場合、後方の車両においては、時刻t=ts/2における減速から加速への切り替わりが急激なものとなり、乗り心地にも問題が生じる可能性がある。このように、上位アプリケーション等から与えられる変化量Ls及び変化時間tsによっては、車群の最後尾付近の車両に大きな負担を強いることになり、好ましくない。
そこで、車群走行制御システム201では、与えられた変化量Ls及び変化時間tsに従うとした場合に、車群の最後尾車両Cに大きな負担が発生する場合には、与えられた変化時間tsに代えて、より長い変化時間ts’を適用して以降の処理を行うこととしている。具体的な処理は、次の通りである。なおここでは、車間距離変更工程中において、先頭車両Cは加速度指令値uffに基づき一定速度で走行しているものとする。
まず、車群走行制御システム201の車両制御ECU10は、変化量Ls及び変化時間tsが与えられると、車間距離変更工程中に要求される最後尾車両Cの車速Vの最小値を算出する。なおnは、車群を構成する車両の台数である。具体的には、車速Vは時刻t=ts/2で最小値をとるので、車速Vの最小値は、下式(2.1)で表される。
Vn(最小値)=V1-(n-1)・4Ls/ts2 …(2.1)
そして、図7(b)に示すように、この車速Vの最小値が所定の許容速度cよりも大であることを許容条件とすれば、
V1-(n-1)・4Ls/ts2>c …(2.2)
となる。
また、車両制御ECU10は、車間距離変更工程中に要求される最後尾車両Cの加減速度aを、算出する。加減速度aは、下式(2.3)で表される。
an =|(n-1)・4Ls/ts2| …(2.3)
そして、この加減速度aが所定の許容加減速度athよりも小であることを許容条件とすれば、
|(n-1)・4Ls/ts2| <ath …(2.4)
となる。
車両制御ECU10は、車群の構成車両の台数nと、与えられた変化量Lsと、先頭車両Cの車速Vと、に基づいて、上式(2.2),(2.4)を両方とも満たす最小の変化時間ts’を算出する。そして、車両制御ECU10は、算出した変化時間ts’が、上位アプリケーション等から与えられた変化時間tsよりも長い場合には、変化時間tsに代えて変化時間ts’を採用して以降の処理を行う。以降の処理は、車群走行制御システム1における処理S103〜S113(図3参照)と同様であるので、重複する説明を省略する。本来であれば、上位アプリケーション等からの指示により、図7(a)に示すような負担が大きい各車両C〜Cの車速V〜Vが要求されるところ、図7(b)に示すような車速V〜Vに代わることで、特に車群の最後尾付近の車両の負担が軽減される。
以上説明した車群走行制御システム201を備える車両、及び車群走行制御方法によれば、車間距離変更工程中において、最後尾車両Cが、許容速度c以下の低い車速まで減速する必要がなくなる。また、車両Cが、許容加減速度ath以上の大きい加減速を行う必要もなくなる。また、車両Cにおいて、時刻t=ts’/2付近における加減速の切り替わりが急激なものとなることも避けられる。その結果、車間距離変更工程中において、最後尾車両C及び最後尾付近の車両の負担を軽減することができる。
なお、ここでは、条件式(2.2),(2.4)を両方とも満たすように変化時間ts’を決定しているが、これには限られず、条件式(2.2),(2.4)のうち何れか一方を満たすように変化時間ts’を決定してもよい。
(第3実施形態)
続いて、本発明に係る車両及び車群制御方法の第3実施形態について説明する。本実施形態の車両C〜Cに搭載される車群走行制御システム301の物理的な構成は、図1に示すように、車群走行制御システム1と同様であるので、重複する説明は省略する。
前述したように、車群走行制御システム1においては、車間距離変更工程中に、車群の後方の車両ほど負担が大きくなりやすい。そこで、車群走行制御システム301では、車間距離変更工程において、先頭車両Cに近い車両と、最後尾車両Cに近い車両とが反対の向きに加減速を行うようにしている。
〔車間距離を広げる処理〕
例えば、車間距離を広げる工程において、図8に示すように、車両Cの位置に基準位置Zを設定すれば、図9に示すように、基準位置Zよりも前方の車両Cの車速Vは、2つの直線からなり上に凸の山形のグラフで表される。この車速Vのグラフは、t=ts/2において極大値を持っている。また、基準位置Zよりも後方の車両C,Cの車速V,Vは、2つの直線からなり下に凸のV字形のグラフで表される。この車速V,Vのグラフは、共に、t=ts/2において極小値を持っている。また、この場合、車両Cは、車間距離変更工程中に一定速度で走行する。
このような車両C〜Cの車速V〜Vを実現するために、車両Cの車両制御ECU10は、上位アプリケーション等から変化量Lsと変化時間tsとが与えられた後、先頭車両Cの加速度指令値uffを下式(3.1)の加速度指令値uに変更する。
u1 =uff+k・ar(t) …(3.1)
この式(3.1)中のar(t)は、図6(a)に示されるように、車間距離を縮める工程における相対加速度の目標値ar(t)と同様の経時変化パターンを示す値である。また、式(3.1)中のkは、前述の式(2.2)を満たすように、1<k<n−1の範囲から適宜決定される。すなわち、車速Vの最小値が、許容速度cを超えるようにkが決定される。
以降の各車両Cにおける車群走行制御システム301の処理は、車群走行制御システム1における処理S103〜S113(図3参照)と同様であるので、重複する説明を省略する。
以上説明した車群走行制御システム301を備える車両、及び車群走行制御方法による作用効果は、次の通りである。先頭車両Cに上式(3.1)のような加速度指令値uが与えられることで、車間距離を広げる工程において、先頭車両Cの車速Vは、2つの直線からなり上に凸の山形をなし極大値を持つグラフで表されることになる(図9参照)。それに伴い、車速V,V,Vのグラフも、図7(a)のグラフに比較して上方に移動することになり、その結果、車速Vの最小値も比較的大きくすることができ、車両Cの加減速度も比較的小さく抑えられる。従って、車間距離を広げる工程中において、上位アプリケーション等から与えられた変更時間tsを延長することなく、最後尾車両C及び最後尾付近の車両の負担を軽減することができる。すなわち、この車群走行制御システム301は、変更時間tsが長くなってしまうことが避けられる点において、車群走行制御システム201よりも優れている。
なお、ここでは、式(3.1)中のkの値を決定する際に、式(2.2)を必要条件としているが、これに代えて式(2.4)を必要条件としてもよく、式(2.2)と式(2.4)との両方を必要条件としてもよい。またここでは、図8に示すように基準位置Zを車両Cの位置としているが、基準位置Zは、車群の先頭車両Cと最後尾車両Cとの間の位置であれば、何れの位置に設定してもよい。例えば、基準位置Zは、何れかの車両C〜Cの位置に一致させてもよいが、必ずしも何れかの車両C〜Cの位置に一致させる必要はなく、車両同士の間の位置であってもよい。設定される基準位置Zの位置は、式(3.1)中のkの値の大小によって前後させることができる。
〔車間距離を縮める処理〕
車間距離を縮める工程においては、前述の車間距離を広げる工程に対して、各車両C〜Cの加速と減速とを逆にすればよい。この場合、図10に示すように、基準位置Z(図8参照)よりも前方の車両Cの車速Vは、2つの直線からなり下に凸のV字形のグラフで表される。この車速Vのグラフは、t=ts/2において極小値を持っている。また、基準位置Zよりも後方の車両C,Cの車速V,Vは、2つの直線からなり上に凸の山形のグラフで表される。この車速V,Vのグラフは、共に、t=ts/2において極大値を持っている。また、この場合、車両Cは、車間距離変更工程中に一定速度で走行する。
このように、車間距離を縮める工程において、先頭車両Cの車速Vは、2つの直線からなり下に凸のV字形をなし極小値を持つグラフで表されることになる。それに伴い、車速V,V,Vのグラフも、図7(a)のグラフに比較して下方に移動することになり、その結果、車速Vの最大値も比較的小さくすることができ、車両Cの加減速度も比較的小さく抑えられる。従って、車間距離を縮める工程中においても、上位アプリケーション等から与えられた変更時間tsを延長することなく、最後尾車両C及び最後尾付近の車両の負担を軽減することができる。
(第4実施形態)
続いて、本発明に係る車両及び車群制御方法の第4実施形態について説明する。本実施形態の車両C〜Cに搭載される車群走行制御システム401の物理的な構成は、図1に示すように、車群走行制御システム1と同様であるので、重複する説明は省略する。
ここでは、比較的狭い車間距離で車両C〜Cが停止している状態(車速がゼロの状態)から発進し加速しながら車間距離を広げる場合と、車群走行中の車両C〜Cが、減速しながら車間距離を縮めて比較的狭い車間距離で停止する(車速がゼロの状態)場合と、を考える。
車両の性質上、発進直後や停止直前には正確な車間距離の制御が難しい。例えば、車両の発進直後はクリープで走行するため高精度の加減速制御は困難である。また、車両の停止直前の微低速時は各車両の速度等のバラツキにより同時に停止することが難しい。このような発進直後や停止直前に複雑な車間距離の制御を行えば、同時発進や同時停止のタイミングが乱れたり、車群の車間距離が乱れたりする場合がある。
そこで、車群走行制御システム401では、発進直後の所定の時間t1内と、停止直前の所定の時間t2内には、各車間距離L〜Lを固定することとしている。ここで、時間t1,t2は、車両C〜Cの正確な加減速制御が容易である時間帯を基にして予め設定され、例えば、車両制御ECU10の情報記憶部10aに予め記憶されている。例えば、時間t1、t2は、数秒程度の値である。
〔発進直後における処理〕
具体的には、車群の発進時に上位アプリケーション等から車間距離の変化量Lsと変化時間tsとが与えられたとき、車両Cの車両制御ECU10は、変化時間tsを、下式(4.1)のts’に変更する。
ts' =ts-t1 …(4.1)
その後、時間t1が経過するまでの間は、自車の前方の車間距離Lm−1を一定に維持する制御を行う。すなわち、車両制御ECU10は、時間t1が経過するまでの間、前方車間距離Lm−1の目標値を一定に固定する。その後、時間t1が経過した時点でt=0とする。以降の処理は、車群走行制御システム1における処理S105〜S113(図3参照)と同様であるので、重複する説明を省略する。各車両C〜Cによる上記処理によれば、発進直後における各車両C〜Cの車速V〜Vの変化は、図11に示すようなものとなる。
〔停止直前における処理〕
また、車群の停止前に上位アプリケーション等から車間距離の変化量Lsと変化時間tsとが与えられたとき、車両Cの車両制御ECU10は、変化時間tsを、下式(4.2)のts”に変更する。
ts” =ts-t2 …(4.2)
その後、車群走行制御システム1における処理S103〜S111(図3参照)と同様の処理を行い、t>ts”となった以降は、自車の前方の車間距離Lm−1を一定に維持する制御を行いながら、自車を停止させる。すなわち、車両制御ECU10は、時刻t”以降は、前方車間距離Lm−1の目標値を一定に固定する。各車両C〜Cによる上記処理によれば、停止直前における各車両C〜Cの車速V〜Vの変化は、図12に示すようなものとなる。
ここでは、時間t1,t2を基準として車間距離を固定する時間帯を決定しているが、車群の車速V〜Vが所定値Vaよりも小さい場合に車間距離を固定するようにしてもよい。この場合、車両制御ECU10は、発進時に上位アプリケーション等から与えられる加速度指令値uffに基づいて、車速V〜Vが上記所定値Vaに達する時間taを算出する。また、停止時に上位アプリケーション等から与えられる加速度指令値uffに基づいて、車速V〜Vが所定値Vaに達する時間tbを算出する。そして、この時間ta,tbをそれぞれ上記時間t1,t2に適用して、前述と同様の処理を行う。なお、所定値Vaは、車両C〜Cの正確な加減速制御が容易である車速の下限値として予め設定され、例えば、車両制御ECU10の情報記憶部10aに予め記憶されている。
以上説明した車群走行制御システム401を備える車両、及び車群走行制御方法によれば、各車両C〜Cの高精度の加減速が難しい発進直後の時間帯において、車間距離を一定に維持するといった比較的容易な制御が行われるので、同時発進や同時停止のタイミングが乱れたり、車群の車間距離が乱れたりすることを抑えることができる。
(第5実施形態)
続いて、本発明に係る車両及び車群制御方法の第5実施形態について説明する。本実施形態の車両C〜Cに搭載される車群走行制御システム501の物理的な構成は、図1に示すように、車群走行制御システム1と同様であるので、重複する説明は省略する。
前述したように、車群走行制御システム1においては、車間距離変更工程中に、車群の後方の車両ほど負担が大きくなりやすい。特に、車群を構成する車両の台数が多くなるほど、この問題が顕著になる。そこで、車群走行制御システム501では、車間距離L〜Lを、前方から順に1つずつ変更することとしている。すなわち、車間距離Lの変更が完了した直後に車間距離Lの変更を開始させ、車間距離Lの変更が完了した直後に車間距離Lの変更を開始させるようにしている。
具体的には、車間距離を広げる工程における各車両C〜Cの車速V〜Vが、それぞれ図13(a),(b),(c),(d)のグラフで示すような変化をするように、各車両の目標値変化パターンが決定される。このような車速V〜Vの変化によれば、車両Cは、t=0〜3ts’の間、一定速度で走行する。そして、t=0〜ts’では、車両Cに対して車両C〜Cが車間距離L,Lを維持したまま後退することで、車間距離Lが広げられる。次に、車間距離Lの変更が完了した直後のt=ts’〜2ts’では、車両C,Cに対して車両C,Cが車間距離Lを維持したまま後退することで、車間距離Lが広げられる。最後に、車間距離Lの変更が完了した直後のt=2ts’〜3ts’では、車両C〜Cに対して車両Cが後退することで、車間距離Lが広げられる。なお、上記の時間ts’は、上位アプリケーション等から与えられる変化時間tsに対して、ts=3ts’で表される。
このような車速V〜Vの変化を実現するため、t=0〜tsにおける各車両Cの相対速度Vrの目標値Vr(t)の変化パターンは、各車両ごとに異なり、図14(a)に示すようなものとなる。図14(a)のVr(t)のグラフは、図13におけるVm+1のグラフとVのグラフとの差分により導出される。また、各車両Cの車間距離Lの目標値Lr(t)の変化パターンも、各車両ごとに異なり、図14(b)に示すようなものとなる。また、各車両Cの相対加速度arの目標値ar(t)の変化パターンも、各車両ごとに異なり、各目標値Vr(t)を時間微分して得られる。
各車両Cの車群走行制御システム501は、このように得られた目標値ar(t),Vr(t),Lr(t)の変化パターンを、図4(a),(b),(c)の目標値変化パターンの代わりに採用して、車群走行制御システム1と同様の前方車間距離Lm−1を広げる制御(図4のS101〜S113)を行う。そして、このような加減速制御が各車両C〜Cで行われることにより、図13に示すような車速V〜Vの変化が達成される。なお、図14(a)に示されるように、相対速度Vr〜Vrは、車群の後方に行くほど最小ピークに達するタイミングが遅くなっている。
以上説明した車群走行制御システム501を備える車両、及び車群走行制御方法によれば、車群の前方から後方に向かって順に車間距離L〜Lの変更が1つずつ完了していく。従って、車群の構成車両の台数nが多くなった場合にも、図13から理解されるように、車群の最後尾に近い車両に対しても大きな加減速が要求されることが避けられ、各車両に対する加減速の負担を軽減することができる。
なお、ここでは、車間距離を広げる工程について説明したが、車間を縮める工程についても同様であり、車速V,変化量L等の符号を反転させればよいので、各目標値ar(t),Vr(t),Lr(t)の変化パターンは、図14(a),(b)のグラフを、時間軸に対して上下反転させたものになる。また、各車両の車速V〜Vの変化も、図13(a)〜(d)のグラフを、時間軸に対して上下反転させたものになる。またこの場合、相対速度Vr〜Vrは、車群の後方に行くほど最大ピークに達するタイミングが遅くなる。従って、車間を縮める工程においても、車群の最後尾に近い車両に対して大きな加減速が要求されることが避けられ、各車両に対する加減速の負担を軽減することができる。
(第6実施形態)
続いて、本発明に係る車両及び車群制御方法の第6実施形態について説明する。本実施形態の車両C〜Cに搭載される車群走行制御システム601の物理的な構成は、図1に示すように、車群走行制御システム1と同様であるので、重複する説明は省略する。
前述した車群走行制御システム501においては、車間距離変更工程中における車群の後方の車両の負担を軽減できるが、変化時間tsが車間距離の数に比例して長くなってしまう問題が残る。また、図13(c),(d)に示されるように、後方の車両C,Cは、加速と減速とを交互に複数回繰り返すことになり、効率が良くない。特に、車群を構成する車両の台数が多くなるほど、これら問題が顕著になる。
そこで、車群走行制御システム601では、先頭車両Cに対する後続車両C,C,Cの相対的な移動を同時に開始し、後方の車両ほど加減速の切り替えのタイミングが遅くなるように、前方から順に1台ずつ後続車両C,C,Cの加減速の切り替えを開始させることとしている。具体的には、車間距離を広げる工程における各車両C〜Cの車速V〜Vが、それぞれ図15のグラフで示すような変化をするように、各車両の目標値変化パターンが決定される。
このような車速V〜Vの変化によれば、先頭車両Cは、時刻t=0〜√(3)・ts’の間、一定速度で走行する。そして、時刻t=0〜ts’/2では、後続車両C〜Cが同じ減速度で減速する。その後、時刻t=ts’/2において車両Cが加速に転じ、時刻t=√(2)・ts’/2において車両Cが加速に転じ、時刻t=√(3)・ts’/2において車両Cが加速に転じる。各後続車両C〜Cは、それぞれ、先頭車両Cの車速Vに達したところで加速を終了する。なお、上記の時間ts’は、上位アプリケーション等から与えられる変化時間tsに対して、ts=√(3)・ts’で表される。
このような車速V〜Vの変化を実現するため、t=0〜tsにおける各車両Cの相対速度Vrの目標値Vr(t)の変化パターンは、各車両ごとに異なり、図16(a)に示すようなものとなる。図16(a)のVr(t)のグラフは、図15におけるVm+1のグラフとVのグラフとの差分により導出される。図16に示されるように、目標値Vr(t)は、時刻t=ts’/2で最小ピークに達し、目標値Vr(t)は、時刻t=√(2)・ts’/2で最小ピークに達し、目標値Vr(t)は、時刻t=√(3)ts’/2で最小ピークに達している。従って、上記の車速V〜Vの変化によれば、後方の車両に行くほど、前方車両との相対速度が最小ピークに達するタイミングが遅くなることが判る。そして、図15に示されるように、後方の車両に行くほど、先頭車両Cと同じ車速Vに再び復帰する時刻が遅くなっている。
また、各車両Cの車間距離Lの目標値Lr(t)の変化パターンも、各車両ごとに異なり、図16(b)に示すようなものとなる。また、各車両Cの相対加速度arの目標値ar(t)の変化パターンも、各車両ごとに異なり、各目標値Vr(t)を時間微分して得られる。
各車両Cの車群走行制御システム601は、このように得られた目標値ar(t),Vr(t),Lr(t)の変化パターンを、図4(a),(b),(c)の目標値変化パターンの代わりに採用して、車群走行制御システム1と同様の前方車間距離Lm−1を広げる制御(図4のS101〜S113)を行う。そして、このような加減速制御が各車両C〜Cで行われることにより、図13に示すような車速V〜Vの変化が達成される。
具体的には、車両Cm−1と車両Cとの車間距離の変化が開始する時刻t0mは下式(6.1)で表され、車両Cm−1と車両Cとの相対速度の最大値Vrm’は下式(6.2)で表され、相対速度Vrの減少が開始される時刻t1mは下式(6.3)で表され、車間距離Lの変化が終了する時刻t2mは下式(6.4)で表される。
Figure 2010131324
以上説明した車群走行制御システム501を備える車両、及び車群走行制御方法によれば、先頭車両Cに対して後続車両C〜Cが同時に減速を開始し、前方の後続車両から順に加速に転じ、順に先頭車両Cと等しい車速Vに復帰する。この場合、最初に後続車両C〜Cの減速が同時に開始されるので、すべての車間距離L〜Lの変更をある程度同時進行することができ、比較的素早い車間距離の変更が可能になる。また、先頭車両Cに対する相対的な移動距離は後方の車両ほど大きくなるが、後方の車両ほど減速から加速への切り替えタイミングが遅いため移動時間が長く、後方の車両に大きな加減速が強いられることも避けられる。また、各後続車両C〜Cは、減速から加速への切り替えを1回のみ行えばよく、効率がよい。すなわち、この車群走行制御システム601は、変更時間tsをより短くすることができる点、及び各後続車両C〜Cの繰り返しの加減速が避けられる点において、車群走行制御システム501よりも優れている。
なお、ここでは、車間距離を広げる工程について説明したが、車間を縮める工程についても同様であり、車速V,変化量L等の符号を反転させればよいので、各目標値変化パターンは、図16(a),(b)のグラフを、時間軸に対して上下反転させたものになる。この場合、図16(a)のグラフを上下反転させれば判るように、後方の車両に行くほど、前方車両との相対速度が最大ピークに達するタイミングが遅くなる。また、各車両の車速V〜Vの変化も、図15のグラフを、時間軸に対して上下反転させたものになる。従って、先頭車両Cに対して後続車両C〜Cが同時に加速を開始し、前方の後続車両から順に減速に転じ、順に先頭車両Cと等しい車速Vに復帰する。すなわち、後方の車両に行くほど、先頭車両Cと同じ車速Vに再び復帰する時刻が遅くなっている。以上の結果、車間を縮める工程においても車間を広げる工程と同様に、比較的素早い車間距離の変更が可能になり、後方の車両に大きな加減速が強いられることが避けられる。また、各後続車両C〜Cは、加速から減速への切り替えを1回のみ行えばよく、効率がよい。
なお、本発明は上述した第1〜第5実施形態に限定されるものではない。例えば、第1〜第6実施形態では、各車両C〜Cがそれぞれ備える各車群走行制御システムが、それぞれ独立して演算処理を並行して行うようにしているが、車両C〜Cのうちの何れか1台の車両の車群走行制御システムが上記演算処理を行って加速度指令値u〜uを算出した後、車車間通信により演算結果を各他車両に配信するようにしてもよい。但し、各車両C〜Cが備える各車群走行制御システムが、それぞれ独立して演算処理を行う方式は、車車間通信分の遅れが発生しない点で優れている。また、各車両C〜Cが備える各車群走行制御システムが、それぞれ独立して演算処理を行うと共に、車車間通信により互いに演算結果を交換し、演算結果のクロスチェックを行うようにしてもよい。
また、この第1〜第6実施形態では、4台の車両C〜Cで車群走行が行われる場合を例として説明しているが、第1〜第6実施形態における車群走行制御に倣えば、4台に限られず任意台数の車両による車群走行が実現できることは明白である。
本発明は、複数の車両で構成される車群の走行を制御する車群制御方法、及びそのような車群制御手段を備えた車両に関するものであり、車群走行において、スムーズな相対車速の変化をもって車間変化を精度良く行うことを可能にするものである。
1…車群走行制御システム(車群制御手段)、C〜C…車両、C…先頭車両、C…最後尾車両、L〜L…車間距離、V〜V…車速、Vr〜Vr…相対速度、Z…基準位置。

Claims (13)

  1. n台の車両(n=2,3,…)で構成される車群の走行を制御する車群制御方法であって、
    前記車群内の前からj−1台目の車両とj台目の車両(j=2,3,…,n)との車間を広げるときには、
    前記車間の変更中における前記j−1台目の車両に対する前記j台目の車両の相対速度が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように、当該相対速度を変化させることを特徴とする車群制御方法。
  2. n台の車両(n=2,3,…)で構成される車群の走行を制御する車群制御方法であって、
    前記車群内の前からj−1台目の車両とj台目の車両(j=2,3,…,n)との車間を縮めるときには、
    前記車間の変更中における前記j−1台目の車両に対する前記j台目の車両の相対速度が、時間軸上で極大値を持つグラフで示されるように、当該相対速度を変化させることを特徴とする車群制御方法。
  3. 前記車群内のすべての車間距離を所定の変化量分だけ変更するときには、
    前記車両の台数と、前記所定の変化量と、前記車群の先頭車両の車速と、に基づいて前記車間距離の変更にかける時間を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車群制御方法。
  4. 前記車群内の車間距離を広げる場合に、
    前記車群の先頭車両と最後尾車両との間の所定の基準位置よりも前方に位置する車両では、当該車両の前記車間の変更中における車速が、時間軸上で極大値を持つグラフで示されるように当該車速を変化させ、
    前記所定の基準位置よりも後方に位置する車両では、当該車両の前記車間の変更中における車速が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように当該車速を変化させることを特徴とする請求項1に記載の車群制御方法。
  5. 前記車群内の車間距離を縮める場合に、
    前記車群の先頭車両と最後尾車両との間の所定の基準位置よりも前方に位置する車両では、当該車両の前記車間の変更中における車速が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように当該車速を変化させ、
    前記所定の基準位置よりも後方に位置する車両では、当該車両の前記車間の変更中における車速が、時間軸上で極大値を持つグラフで示されるように当該車速を変化させることを特徴とする請求項2に記載の車群制御方法。
  6. 前記車間の変更前における車群の車速がゼロの場合には、車間の変更の開始後の所定の時間内において、前記車群のすべての目標車間距離を固定させ、
    前記車間の変更後における車群の車速をゼロとする場合には、車間の変更の終了前の所定の時間内において、前記車群のすべての目標車間距離を固定させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車群制御方法。
  7. 前記車群の車速が所定値よりも小さい場合には、前記車群のすべての目標車間距離を固定させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車群制御方法。
  8. 前記車群内のすべての車間距離を変更する場合に、
    前記車群内の前からk台目の車両とk+1台目の車両(k=2,3,…,n−1)との車間距離の変更は、
    前記車群内の前からk−1台目の車両とk台目の車両との車間距離の変更が完了した直後に開始されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車群制御方法。
  9. 前記車群内の車間距離を変更する場合に、
    車群の後方の車両にいくほど、前記相対速度がピークに達するタイミングが遅くなるように、前記各車両の前記相対速度を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車群制御方法。
  10. 前記車群内のすべての車間距離を広げる場合に、
    車群の先頭車両以外のすべての後続車両に、前記先頭車両に対して同時に減速を開始させた後、
    各々の前記後続車両を各々の切り替えタイミングで加速に切り替えて、前記先頭車両の車速と等しくなるまで加速させ、
    前記切り替えタイミングは、
    車群の後方の車両にいくほど遅くなることを特徴とする請求項1に記載の車群制御方法。
  11. 前記車群内のすべての車間距離を縮める場合に、
    車群の先頭車両以外のすべての後続車両に、前記先頭車両に対して同時に加速を開始させた後、
    各々の前記後続車両を各々の切り替えタイミングで減速に切り替えて、前記先頭車両の車速と等しくなるまで減速させ、
    前記切り替えタイミングは、
    車群の後方の車両にいくほど遅くなることを特徴とする請求項2に記載の車群制御方法。
  12. n台の車両(n=2,3,…)で構成される車群の走行を制御する車群制御手段を備えた車両であって、
    前記車群制御手段は、
    前記車群内の前からj−1台目の車両とj台目の車両(j=2,3,…,n)との車間を広げるときには、
    前記車間の変更中における前記j−1台目の車両に対する前記j台目の車両の相対速度が、時間軸上で極小値を持つグラフで示されるように、当該相対速度を変化させることを特徴とする車両。
  13. n台の車両(n=2,3,…)で構成される車群の走行を制御する車群制御手段を備えた車両であって、
    前記車群制御手段は、
    前記車群内の前からj−1台目の車両とj台目の車両(j=2,3,…,n)との車間を縮めるときには、
    前記車間の変更中における前記j−1台目の車両に対する前記j台目の車両の相対速度が、時間軸上で極大値を持つグラフで示されるように、当該相対速度を変化させることを特徴とする車両。
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