JPWO2010113845A1 - 分布定数回路 - Google Patents
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Abstract
一実施形態における分布定数回路は、1ターン未満の矩形リング状に形成された第1伝送線路を含む第1絶縁体層と、前記第1伝送線路と層間接続導体を介して電気的に接続され、1ターン未満の矩形リング状に形成された第2伝送線路を含む第2絶縁体層と、グラウンド電極を含む第3絶縁体層と、を含む複数の絶縁体層を有する。この分布定数回路には、この複数の絶縁体層を積層して前記第1伝送線路及び前記第2伝送線路を含む矩形螺旋状の回路パターンが形成されている。一実施形態においては、第2伝送線路は、第1伝送線路の少なくとも1辺と平行に配置された辺を含み、当該平行に配置された辺同士が前記複数の絶縁体層の積層方向において重複しないように配置されており、前記第1伝送線路又は前記第2伝送線路の少なくとも一方のコーナー部分の少なくとも1つが、その内周と外周とが同心円になるよう構成される。
Description
本発明は、分布定数回路に関し、特に、小型化可能な分布定数回路に関する。
分布定数回路は、共振器などの様々な電子機器を実現するために利用されている。例えば、超広帯域(Ultra−Wide−Band;以下、「UWB」と称することがある。)無線システムにおいて使用されるバンドパスフィルタを、分布定数回路を用いて実現することが研究されており、本発明者は、特願2005−375484(特開2007−180781号公報(特許公報1)として出願公開されている)において、かかる広帯域を使用する電子機器に適した分布定数回路を提案した。
無線通信において用いられる分布定数回路は小型化が望まれる。例えば、特開2003−168948号公報(特許文献2)には、1つの絶縁体層において伝送線路を螺旋状(実際には渦巻状)、ミアンダ状、又は鋸波状に形成することで、回路の小型化を図っている。
本発明の課題は、従来の分布定数回路に様々な改良を提供することである。本発明者は、従来の小型化された分布定数回路では、伝送線路が単一の絶縁体層において互いに近接して形成されているため、小型化を進めるに従って伝送線路同士がショートするおそれが高まるという問題を発見した。また、小型化のために伝送線路をミアンダ形状に形成する場合、図25に示すように、近接した2つの伝送線路において電流が互いに逆方向に流れるため、これらの電流が作る磁界が互いに打ち消しあって共振周波数が高周波側に移動し、設計で意図した特性が得られないという問題を発見した。
上記以外にも、本明細書の開示を通じて様々な課題が記述される。
一実施形態における分布定数回路は、1ターン未満の矩形リング状に形成された第1伝送線路を含む第1絶縁体層と、前記第1伝送線路と層間接続導体を介して電気的に接続され、1ターン未満の矩形リング状に形成された第2伝送線路を含む第2絶縁体層と、グラウンド電極を含む第3絶縁体層と、を含む複数の絶縁体層を有し、この複数の絶縁体層を積層して前記第1伝送線路及び前記第2伝送線路を含む矩形螺旋状の回路パターンが形成され、前記第2伝送線路は、前記第1伝送線路の少なくとも1辺と平行に配置された辺を含み、当該平行に配置された辺同士が、前記複数の絶縁体層の積層方向において重複しないように配置されており、前記第1伝送線路又は前記第2伝送線路の少なくとも一方のコーナー部分の少なくとも1つが、その内周と外周とが同心円になるよう構成される。
一実施形態における分布定数回路においては、複数の絶縁体層に設けられた伝送線路を接続して、矩形螺旋状の周回パターンを形成しているので、同じ長さのパターンを単一絶縁体層にミアンダ形状に形成する場合と比較して、逆向きに電流が流れる伝送線路同士の距離を長く確保することができ、磁界が打ち消しあうことによる特性劣化を防止することができる。また、第2伝送線路は、前記第1伝送線路の少なくとも1辺と平行に配置された辺を含み、当該平行に配置された辺同士が、前記複数の絶縁体層の積層方向において重複しないように配置されているので、浮遊容量による特性の低下を防止することができる。
また、一実施形態におけるフィルタは、1ターン未満の矩形リング状に形成され、入力端子及び出力端子と接続された第1伝送線路を含む第1絶縁体層と、前記第1伝送線路と層間接続導体を介して電気的に接続され、1ターン未満の矩形リング状に形成された第2伝送線路を含む第2絶縁体層と、グラウンド電極を含む第3絶縁体層と、を含む複数の絶縁体層を有し、この複数の絶縁体層を積層して前記第1伝送線路及び前記第2伝送線路を含む矩形螺旋状の回路パターンを形成した分布定数型共振器を含むフィルタであって、前記第2伝送線路は、前記第1伝送線路の少なくとも1辺と平行に配置された辺を含み、当該平行に配置された辺同士が、前記複数の絶縁体層の積層方向において重複しないように配置されており、前記第1伝送線路又は前記第2伝送線路の少なくとも一方のコーナー部分の少なくとも1つが、その内周と外周とが同心円になるよう構成される。
このように、本発明の様々な実施形態における分布定数型共振器を用いて、小型化されたフィルタを実現することができる。
一実施形態におけるフィルタは、1ターン未満の矩形リング状に形成された第1伝送線路を含む第1絶縁体層と、前記第1伝送線路と層間接続導体を介して電気的に接続され、1ターン未満の矩形リング状に形成された第2伝送線路を含む第2絶縁体層と、グラウンド電極を含む第3絶縁体層と、を含む複数の絶縁体層を有し、この複数の絶縁体層を積層して前記第1伝送線路及び前記第2伝送線路を含む矩形螺旋状の回路パターンを形成した分布定数回路を含む回路モジュールであって、前記第2伝送線路は、前記第1伝送線路の少なくとも1辺と平行に配置された辺を含み、当該平行に配置された辺同士が、前記複数の絶縁体層の積層方向において重複しないように配置されており、前記第1伝送線路又は前記第2伝送線路の少なくとも一方のコーナー部分の少なくとも1つが、その内周と外周とが同心円になるよう構成される。このように、回路モジュールを小型化することが可能になる。
様々な実施形態によって、周波数特性を劣化させることなく、小型の分布定数回路、及びこの分布定数回路を用いたフィルタ及び回路モジュールを提供することができる。
図1ないし図4を参照して、本発明の一実施形態における分布定数回路及び当該分布定数回路を含むフィルタ素子120について説明する。図1は、一実施形態におけるフィルタ素子120の等価回路100を示す。この等価回路100は、UWB無線システム用の小型モジュールとして利用可能であり、低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co−fired Ceramics、以下「LTCC」と称することがある)基板を利用して形成される広帯域フィルタである。等価回路100は、入力端子INと出力端子OUTとの間に直列に接続された4つの伝送線路104−107と、伝送線路104と伝送線路105との間に接続されたキャパシタ108と、伝送線路106と伝送線路107との間に接続されたキャパシタ109と、伝送線路104とキャパシタ108の接続点に一端が接続された伝送線路1011と、伝送線路105と伝送線路106の接続点に一端が接続された伝送線路1021と、伝送線路107とキャパシタ109の接続点に一端が接続された伝送線路1031と、伝送線路1011の他端とグラウンドとの間に接続されたキャパシタ1012と、伝送線路1021の他端とグラウンドとの間に接続されたキャパシタ1022と、伝送線路1031の他端とグラウンドとの間に接続されたキャパシタ1032と、伝送線路105の入力端と伝送線路106の出力端との間に接続されたキャパシタ110と、を含む。伝送線路1011、1021、及び1031は、フィルタの減衰極周波数と整合周波数を考慮し、分布定数線路部の長さが決められる。伝送線路1011、伝送線路1021、及び伝送線路1031は、それぞれ、本発明の一実施形態における分布定数回路の例である。
このように、等価回路100は、入力端子INと出力端子OUTとの間に4つの伝送線路104ないし107を直列に接続して信号ラインを構成している。また、伝送線路1011及びキャパシタ1012が第1の共振回路101を構成し、伝送線路1021及びキャパシタ1022が第2の共振回路102を構成し、伝送線路1031及びキャパシタ1032が第3の共振回路103を構成する。キャパシタ1012、1022、及び1032は、対応する共振回路101、102、103の共振周波数を低くするために配置され、短縮コンデンサとして機能する。つまり、キャパシタ1012、1022、及び1032を配置することにより、所定の共振周波数を実現するのに必要な伝送線路1011、1021、及び1031の線路長を短縮することができる。
続いて、図2ないし図4を参照し、本実施形態におけるフィルタ素子120を説明する。フィルタ素子120は、図1に示す等価回路100を実現する多層構造の回路素子である。フィルタ素子120は、上面に面状のグラウンド電極GNDが形成された絶縁体層L0と、下面に面状のグラウンド電極GNDが設けられた絶縁体層L3との間に、一実施形態における分布定数型の共振回路を構成する導体パターンの一部が形成された絶縁体層L1と、当該導体パターンの他の部分が構成された絶縁体層L2と、を含む。絶縁体層L0は上部カバーとして機能し、絶縁体層L3は下部カバーとして機能する。このように、フィルタ素子120は、絶縁体層L0ないしL3からなるストリップライン構造である。絶縁体層L0ないしL3は、例えば比誘電率が5から10程度の誘電体セラミックスによって形成される。
絶縁体層L2の入力端側には、入力端子に接続される引出導体128と、引出導体128の出力端側に接続された矩形のキャパシタ電極129と、キャパシタ電極129の一辺から下方に伸長する伝送線路1211と、を含む入力側導体パターンが形成される。一方、絶縁体層L2の出力端側には、出力端子に接続される引出導体137と、引出導体137の入力端側に接続された矩形のキャパシタ電極136と、キャパシタ電極136の一辺から下方に伸長する伝送線路1261と、を含む出力側導体パターンが形成される。また、入力側導体パターンと出力側導体パターンとの間には、一組のキャパシタ電極131、134と、キャパシタ電極131と接続された伝送線路132と、キャパシタ電極134と接続された伝送線路133と、伝送線路132と伝送線路133との接続点から伸長する伝送線路1241と、を含む導体パターンが形成されている。また、伝送線路1211、1241、1261の下方には、横長のキャパシタ電極123が形成されている。キャパシタ電極123は、ビアホールSHに設けられた層間接続導体を介して絶縁体層L3に形成されたグランド電極GNDに接続されている。
絶縁体層L2の上部に配置される絶縁体層L1の入力端側には、一端が絶縁体層L2の伝送線路1211のビアホールSH側端部(入力端子に接続された端部とは逆側の端部)とビアホールSHに設けられた層間接続導体を用いて電気的に接続された伝送線路1212と、伝送線路の1212の他端に接続され、キャパシタ電極123の一部と対向するように配置されたキャパシタ電極122と、キャパシタ電極129と対向するように配置されたキャパシタ電極130と、を含む導体パターンが形成される。この伝送線路1211と1212とを含んで共振器121が構成される。絶縁体層L1の出力端側には、一端が絶縁体層L2の伝送線路1261のビアホールSH側端部とビアホールSHに設けられた層間接続導体を用いて電気的に接続された伝送線路1262と、伝送線路の1262の他端に接続され、キャパシタ電極123の一部と対向するように配置されたキャパシタ電極127と、キャパシタ電極136と対向するように配置されたキャパシタ電極135と、を含む導体パターンが形成される。この伝送線路1261と1262とを含んで共振器126が構成される。また、伝送線路1212と伝送線路1262との間には、一端が絶縁体層L2の伝送線路1241のビアホールSH側端部にビアホールSHに設けられた層間接続導体を介して電気的に接続された伝送線路1242が形成される。この伝送線路1241と1242とを含んで共振器124が構成される。伝送線路1242の他端には、キャパシタ電極123の一部と対向する位置にキャパシタ電極125が接続される。なお、キャパシタ電極122及びキャパシタ電極123を省略し、伝送線路1212のキャパシタが形成されていた部分をビアホールを介して絶縁体層L3のグラウンド電極GNDに接続してもよい。同様に、キャパシタ電極125又は127を省略するとともにキャパシタ電極123を省略して、伝送線路1242又は伝送線路1262のキャパシタが形成されていた部分をビアホールを介して絶縁体層L3のグラウンド電極GNDに接続してもよい。キャパシタ電極122、125、127、及び123をいずれも省略することも可能である。また、伝送線路1212、1242、又は1262のいずれか1つ又は全部とグラウンド電極GNDとの接続を省略し、伝送線路1212、1242、又は1262のいずれか1つ又は全部が絶縁体層L1において終端するように構成してもよい。絶縁体層L3の下面には、面状のグランド電極GNDが形成されており、上面のキャパシタ電極131及び134と対向する位置にはキャパシタ電極138が形成されている。
このように構成されるフィルタ120の各構成要素と、図1の等価回路100の構成要素との対応関係の一例を以下に示す。まず、等価回路100の信号ラインにおいて、伝送線路104は引出導体128によって構成され、伝送線路105は伝送線路132によって構成され、伝送線路106は伝送線路133によって構成され、伝送線路107は引出導体137によって構成される。信号ラインに介在するキャパシタ108はキャパシタ電極129とキャパシタ電極130によって構成され、キャパシタ109はキャパシタ電極135とキャパシタ電極136によって構成される。また、共振回路101において、伝送線路1011は、伝送線路1211、伝送線路1212、及び伝送線路1211と伝送線路1212とを電気的に接続する層間接続導体によって構成され、キャパシタ1012はキャパシタ電極122とキャパシタ電極123とによって構成される。共振回路102において、伝送線路1021は伝送線路1241、伝送線路1242、及び伝送線路1241と伝送線路1242とを電気的に接続する層間接続導体によって構成され、キャパシタ1022はキャパシタ電極125とキャパシタ電極123とによって構成される。共振回路103において、伝送線路1031は伝送線路1261、伝送線路1262、及び伝送線路1261と伝送線路1262とを電気的に接続する層間接続導体によって構成され、キャパシタ1032はキャパシタ電極127とキャパシタ電極123とによって構成される。キャパシタ110は、キャパシタ電極131、134と、キャパシタ電極138とによって構成される。このように、キャパシタ110は、伝送線路105と伝送線路106との直列回路に、それぞれ並列に接続された2つのキャパシタを合成したものである。
続いて、図5A及び図5Bを参照して、一実施形態における分布定数型の共振器について説明する。図5Aは、一実施形態における分布定数型の共振器124の部分拡大図である。上述のように、共振器124は、絶縁体層L2に設けられた伝送線路1241と、絶縁体層L1に設けられた伝送線路1242とを電気的に接続した矩形螺旋状の回路パターンによって構成される。伝送線路1241は、例えば、伝送線路132と伝送線路133との接続点にその一端が接続された直線状の線路要素502と、この直線状の線路要素502の他端から逆時計周りに約225度周回する矩形リング状の線路要素504とから構成される。矩形リング状の線路要素504は、辺510、512、及び514と、辺510と辺512を接続するコーナー522、辺512と辺514とを接続するコーナー524、及び辺514と線路要素504のビアホールSH側端部とを接続するコーナー526と、を含む。線路要素504のビアホールSH側端部は、ビアホールに設けられた層間接続導体に接続される。当該層間接続導体は、絶縁体層L1に設けられた伝送線路と絶縁体層L2に設けられた伝送線路とを接続するために設けられる。絶縁体層L1において、当該層間接続導体には、伝送線路1242の始端が接続される。伝送線路1242は、例えば、その一端から反時計回りに約225度周回する矩形リング状の線路要素506と、この矩形状の線路要素506の他端から下方に伸長する直線状の線路要素508とから構成される。矩形リング状の線路要素506は、辺516、518、及び520と、辺516と辺518とを接続するコーナー528と、辺518と辺520とを接続するコーナー530と、を含む。各コーナー522、524、526、528、530は、図10に示すように、その内周と外周とが同心円になるよう構成される。
伝送線路1241は、その矩形状の線路要素504の各辺が伝送線路1242の矩形状の線路要素506の各辺と実質的に平行になるよう配置される。例えば、線路要素504の辺510及び辺514は、線路要素506の辺518と平行に配置され、線路要素504の辺512は、線路要素506の辺516及び辺520と平行に配置される。線路要素504と線路要素506の平行に配置された辺同士は、絶縁体層L1及びL2の積層方向において重複しないように配置される。例えば、辺512と辺520とは、絶縁体層L1又はL2の面方向にS1だけ離れて配置される。辺520は、辺514をほぼ直交する方向に横切っているため互いに一部分が重複する関係にあるが、平行に配置された辺512とは重複しない位置に配置されている。直交する辺同士が積層方向において重複しても、浮遊容量等の特性に与える影響は軽微である。同様に、辺518は、平行に配置された辺510から絶縁体層L1又はL2の面方向にS2だけ離れて配置されているため、辺510とは絶縁体層L1及びL2の積層方向において重複しないように配置されている。また、伝送線路1241と伝送線路1242とは、階層の異なる絶縁体層に形成されているので、図5(b)に示すように、厚さ方向に絶縁体層L1の厚みtだけ離間して形成される。つまり、伝送線路1241と伝送線路1242とは、絶縁体層の面方向だけでなく積層方向にも離間して配置されている。このように、伝送線路1241と伝送線路1242とを異なる絶縁体層に配置したため、伝送線路1241と伝送線路1242との絶縁体層の面方向の間隔を狭くしても積層方向に間隔を確保できるので、伝送線路1241と伝送線路1242とを単一の絶縁体層に形成した場合よりも、絶縁体層の面方向の間隔を狭くすることができ、小型化を図ることができる。
このように、一実施形態におけるフィルタ120は、1ターン未満の矩形リング状に形成された矩形線路要素504を含む伝送線路1241が形成された絶縁体層L2と、1ターン未満の矩形リング状に形成され、伝送線路1241に電気的に接続された矩形線路要素506を含む伝送線路1242が形成された絶縁体層L1と、グラウンド電極を含む絶縁体層L0、L3と、を積層して構成される。積層された状態において、フィルタ120には、伝送線路1241及び伝送線路1242を含む矩形螺旋状の回路パターンが形成される。そして、矩形線路要素504の少なくとも1辺が矩形線路要素506の1辺と平行に配置され、当該平行に配置された辺同士は、前記複数の絶縁体層の積層方向において重複しないように配置されている。かかる構成により、伝送線路1241、1242は、他の導体パターンに実質的に遮蔽されることなく、絶縁体層L0、L3のグラウンド電極GNDと対向することができるので、他の導体パターンの影響による特性の劣化を抑制し、設計に従った特性を発揮することができる。線路要素504及び506は、いずれも1ターン未満の矩形リング状に形成されているので、電流が逆向きに流れる線路同士の間隔を大きくする設計が可能となる。特に、ミアンダ形状や渦巻形状に伝送線路を形成する従来の共振器と比較した場合、電流が逆向きに流れる線路同士の間隔を大きくすることができる。例えば、伝送線路1241及び伝送線路1242の矩形状の線路要素の対向する辺(例えば、辺510と辺514、又は、辺516と辺520)には逆向きの電流が流れるが、本開示における共振器124の構成によれば、共振器124の設置可能領域の上端に辺510を配置し、下端に辺514を配置することで、逆向きに電流が流れる線路要素同士を十分に離間して配置することができる。同様に、伝送線路1242についても、逆向きの電流が流れる線路要素を設置可能領域の端部のみに設けることができるので、逆向きに電流が流れる線路要素同士の密集配置を防止することができる。また、伝送線路1241及び1242が互いに異なる絶縁体層に形成されているため、低精度のスクリーン印刷を用いた場合であっても、にじみやダレ等による短絡を防止することができる。共振器121及び共振器126についても、共振器124と同様に構成することができる。
次に、図6ないし図8を参照して、共振器124の他の実施形態について説明する。図6ないし図8に示される共振器124は、図5Aに示した共振器と同様に、絶縁体層L2に配置され、1ターン未満の矩形リング状に形成された矩形線路要素を含む伝送線路1241と、縁体層L1に配置され、1ターン未満の矩形リング状に形成された矩形線路要素を含む伝送線路1242とを、層間接続導体を介して電気的に接続することで、矩形螺旋状に構成される。図6ないし図8に示す共振器124に含まれる伝送線路の各コーナーは、図10に示すように、内周と外周とが同心円になるよう構成される。図6に示される一実施形態における共振器124において、伝送線路1241は、伝送線路132と伝送線路133との接続点にその一端が接続された直線状の線路要素602と、この直線状の線路要素602の他端から逆時計周りに約180度周回する矩形リング状の線路要素604とから構成され、伝送線路1242は、その一端から反時計回りに約315度周回する矩形リング状の線路要素606と、この矩形状の線路要素606の他端から左方に伸長する直線状の線路要素608とから構成される。図7に示される共振器124においては、伝送線路1241は、伝送線路132と伝送線路133との接続点にその一端接続された直線状の線路要素702と、この直線状の線路要素702の他端から逆時計周りに約90度周回する矩形リング状の線路要素704とから構成され、伝送線路1242は、その一端から反時計回りに約315度周回する矩形リング状の線路要素706と、この矩形状の線路要素706の他端から左方に伸長する直線状の線路要素708とから構成される。図6又は図7に示す共振器124において、直線状の線路要素608、708は、絶縁体層L1において左方に延伸されるので、共振器121を構成する伝送線路と重複しないように適宜各要素の配置が変更される。
図8に示される共振器124において、伝送線路1241は、伝送線路132と伝送線路133との接続点にその一端が接続された直線状の線路要素802と、この直線状の線路要素802の他端から逆時計周りに約315度周回する矩形リング状の線路要素804とから構成され、伝送線路1242は、その一端から反時計回りに約315度周回する矩形リング状の線路要素806と、この矩形状の線路要素806の他端から上方に伸長する直線状の線路要素808とから構成される。図9に示される共振器124は、図8の共振器124を3層の絶縁体層に分散して配置したものである。図9に示される共振器124において、伝送線路1241は、伝送線路132と伝送線路133との接続点にその一端が接続された直線状の線路要素902と、この直線状の線路要素902の他端から逆時計周りに約315度周回する矩形リング状の線路要素904とから構成され、伝送線路1242は、その一端から反時計回りに約270度周回する矩形リング状の線路要素906から構成される。L1及びL2とは異なる絶縁体層には、矩形状の線路要素906の他端と層間接続導体を介してその一端が電気的に接続された矩形リング状の線路要素908と、矩形リング状の線路要素908の他端から上方に延伸する直線状の線路要素910とを含む。線路要素908は、1ターン未満の矩形リング状に形成される。このように、共振器124は、3層以上の絶縁体層に配置された伝送線路を接続して構成することができる。このように、図6ないし図9に示す共振器124は、1ターン未満の矩形リング状に形成され複数の絶縁体層に分散して配置された伝送線路1241を互いに接続して、矩形螺旋状の回路パターンに形成される。そして、1の絶縁体層に配置された矩形線路要素の少なくとも1辺が他の絶縁体層に配置された矩形線路要素の1辺と平行であり、当該平行に配置された辺同士は、前記複数の絶縁体層の積層方向において重複しないように配置される。
次に、図10を参照して、伝送線路1241及び1242に含まれる各コーナーの構成について、コーナー522を例に説明する。コーナー522は、矩形リング状に形成された線路要素504の辺510と辺512とを接続するコーナーである。コーナー522は、その内周542と外周546とが、中心548を共有する同心円の一部である。各同心円は、その半径が様々な寸法をとるように形成することができる。例えば、線路要素504の線幅を100μm(100マイクロメートル)とした場合に、外周の半径R1が150μm、内周の半径R2が50μmになるように形成することができる。また、外周の半径R1を125μm、内周の半径R2を25μmとしてもよく、外周の半径R1を100μm、内周の半径R2を0μmとしてもよい。本開示において、コーナーの外周と内周とが同心円である場合には、内周の半径R2が0μmである場合も含める。本発明者は、このようにコーナーを形成した回路素子の特性を調べるために、図11に示す共振器用線路1100について伝送特性のシミュレーションを行った。図11に示す共振器用線路1100は、図5Aに示す共振器124と同様に、絶縁体層L2に設けられた伝送線路1241に絶縁体層L1に設けられた伝送線路1242とを電気的に接続して構成される。また、絶縁体層L0及びL3にグラウンド電極を設け、ストリップライン構造にしている。伝送線路1241にはコーナー522、524、526が設けられ、伝送線路1242にはコーナー528、530が設けられ、伝送線路1241の一方の端部にはポート552が、伝送線路1242の一方の端部にはポート554が設けられる。同心円の径による特性の変化を調べるため、各コーナーの外周の半径R1を(1)150μm、内周の半径R2を50μmにした場合、(2)外周の半径R1を125μm、内周の半径R2を25μmにした場合、(3)外周の半径R1を100μm、内周の半径R2を0μmとした場合、(4)コーナーを同心円状ではなく、直角に形成した場合、のそれぞれについてシミュレーションを行った。図12及び図13に、このシミュレーション結果を示す。図12において、横軸は、周波数をGHz単位で表し、縦軸はSパラメータ(S21)の大きさをdB単位で表す。図13において、横軸は、周波数をGHz単位で表し、縦軸は電圧定在波比 (Voltage Standing Wave Ratio; VSWR)の大きさを表す。図12及び図13のシミュレーション結果から明らかなように、コーナーを同心円状に形成した場合には、同心円の半径が大きいほど減衰量が少なく、特性インピーダンスを高精度に整合させることができる。また、コーナーを同心円状に形成した場合には、直角状に形成した場合と比較して、減衰量を著しく少なくすることができる。
上述したフィルタ素子120は、次のような方法で形成されることができる。まず、後述するLTCC材料の粉末と有機バインダーを混合し、セラミックグリーンシートを作製する。次に、セラミックグリーンシートの所定の位置にビアホールを形成する。続いて、このセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷によって導電ペーストを塗布して導体パターンを形成するとともに、ビアホールに導電ペーストを充填させる。このとき、伝送線路1212、1242および1262、並びにキャパシタ電極122、125、127、130および135を構成する導体パターンを絶縁体層L1に相当するセラミックグリーンシート上に形成し、絶縁体層L3に相当するセラミックグリーンシート上にキャパシタ電極138を構成する導体パターンを形成する。そして、伝送線路128、132、133、137、1211、1241、及び1261、並びにキャパシタ電極129、131、134、136、及び123を構成する導体パターンを絶縁体層L2に相当するセラミックグリーンシート上に形成する。また、絶縁体層L0及びL3にグラウンド電極を設け、ストリップライン構造にしている。そして、これらのセラミックグリーンシートを積み重ねて積層体を形成する。この積層体を所定の寸法に切断し、未焼成のフィルタ素子を形成する。これを焼成して長さV1、幅W1のフィルタ素子120が得られる。セラミックグリーンシートは、ディオプサイド結晶(CaMgSi2O6)含有セラミックスやガラスセラミックスなどのLTCC材料から形成することができる。また、導体パターンは、AgやCu等の導電率の高い金属を主原料にした導電性ペーストを用いて形成することができる。
次に、本発明の他の実施態様におけるフィルタ素子150を図14ないし図16を参照して説明する。上述したフィルタ素子120と共通する要素については、図2ないし図4における対応する要素と同一の参照番号を付して説明を省略する。このフィルタ素子150においては、図1に示す等価回路の波長短縮用のキャパシタ1012、1022および1032の構成及び配置が変更されており、図2ないし図4に示した実施態様と比較してさらに小型化が可能である。図14ないし図16に示すように、本開示の一実施態様におけるフィルタ素子150は、絶縁体層L0、L11、L12、L13、L14、及びL15を積層して構成される。絶縁体層L0、L11、L12、L13、L14、及びL15は、例えば比誘電率が5〜10程度の誘電体セラミックスによって形成される。フィルタ素子150は、図1に示す等価回路100を実現する多層構造の回路素子であり、図1の等価回路におけるキャパシタ1012、1022および1032を形成するキャパシタ電極を、共振器が構成される伝送線路とは別の絶縁体層L15に形成した点でフィルタ素子120と異なる。
等価回路100における共振器1011は、伝送線路1511及び伝送線路1512から構成され、共振器1021は、伝送線路1541及び伝送線路1542から構成され、共振器1031は、伝送線路1561及び伝送線路1562から構成される。伝送線路1512、1542及び1562のビアホールSH側端部には、ビアホールSHと接続される端子がそれぞれ形成されている。絶縁体層L12、L13、L14にも、それぞれビアホールSHが形成されており、伝送線路1512、1542及び1562は、これらのビアホールSHに配置される層間接続導体を介して、絶縁体層L15に形成されたキャパシタ電極152、155、及び157とそれぞれ電気的に接続されている。絶縁体層L14において、キャパシタ電極152、155、及び157と対向する位置には、キャパシタ電極153が形成されている。
絶縁体層L13において、絶縁体層L12に形成されたキャパシタ電極131、134と対向する位置には、キャパシタ電極138が形成されている。このキャパシタ電極131、134と、キャパシタ電極138とによって、等価回路100のキャパシタ110が構成される。絶縁体層L15には、キャパシタ電極152とキャパシタ電極155との間、及びキャパシタ電極155とキャパシタ電極157との間に、ビアホールSHが形成されている。また、絶縁体層L14において、これらの絶縁体層L15のビアホールSHと対向する位置にビアホールSHが設けられ、キャパシタ電極153は、これらのビアホールSHに配置された層間接続導体を介して、絶縁体層L15の下面に設けられたグランド電極GNDに電気的に接続される。
このように構成されるフィルタ150の各構成要素と、図1の等価回路100の構成要素との対応関係の一例を以下に示す。まず、等価回路100の信号ラインにおいて、伝送線路104は引出導体128によって構成され、伝送線路105は伝送線路132によって構成され、伝送線路106は伝送線路133によって構成され、伝送線路107は引出導体137によって構成される。信号ラインに介在するキャパシタ108はキャパシタ電極129とキャパシタ電極130によって構成され、キャパシタ109はキャパシタ電極135とキャパシタ電極136によって構成される。また、共振回路101において、伝送線路1011は伝送線路1511、伝送線路1512、及び伝送線路1511と伝送線路1512とを電気的に接続する層間接続導体によって構成され、キャパシタ1012はキャパシタ電極152とキャパシタ電極153とによって構成される。共振回路102において、伝送線路1021は伝送線路1541、伝送線路1542、及び伝送線路1541と伝送線路1542とを電気的に接続する層間接続導体によって構成され、キャパシタ1022はキャパシタ電極155とキャパシタ電極153とによって構成される。共振回路103において、伝送線路1031は伝送線路1561、伝送線路1562、及び伝送線路1561と伝送線路1562とを電気的に接続する層間接続導体によって構成され、キャパシタ1032はキャパシタ電極157とキャパシタ電極153とによって構成される。キャパシタ110は、キャパシタ電極131、134と、キャパシタ電極138とによって構成される。
共振器151、154、及び156は、図2ないし図4に示すフィルタ素子120の共振器121、124、及び126とそれぞれ同様に構成される。
以上のように構成されたフィルタ素子150においては、キャパシタ電極153が、信号ラインの方向に後退した位置に形成されており、フィルタ素子150の長さ寸法V2は、フィルタ素子120の長さ寸法V1よりも、キャパシタ電極153が後退した分だけ短くなる。よって、フィルタ素子150は、フィルタ素子120よりも面方向においてさらに小型化される。
図2に示す一実施形態におけるフィルタ素子120、図14に示す一実施形態におけるフィルタ素子150、図18に示す比較例としてのフィルタ素子220、及び図21に示す比較例としてのフィルタ素子320について、周波数特性のシミュレーションを行った。図18ないし図20は、図1に示す等価回路100を実現する多層構造のフィルタ素子の他の例が示されている。図18ないし図20において、図2に示された構成要素と同じ構成要素には同じ参照符号を付して詳しい説明を省略する。図18ないし図20に示されているフィルタ素子220は、その上面にグラウンド電極GNDが形成された上側カバー用の絶縁体層L0と、入力側のキャパシタ電極130および出力側のキャパシタ電極135が形成された絶縁体層絶縁体層L21と、引出導体128、キャパシタ電極129、伝送線路221およびキャパシタ電極222とにより構成される入力側導体パターン、キャパシタ電極136、引出導体137、伝送線路226およびキャパシタ電極227とから構成される出力側導体パターン、及びキャパシタ電極131、伝送線路132、伝送線路133、キャパシタ電極134、伝送線路224およびキャパシタ電極225とから構成される導体パターンと、が形成された絶縁体層L22と、キャパシタ電極138およびキャパシタ電極223が上面に形成された下側カバー用の絶縁体層L23とを積層して構成される。このフィルタ素子220は、共振器を構成する伝送線路221、224、及び226が直線状に構成されている点で、矩形螺旋状に形成された共振器を有するフィルタ素子120及びフィルタ素子150と異なる。図21には、共振器をミアンダ形状の伝送線路321、324、326で構成したフィルタ素子320が示されている。共振器がミアンダ形状である以外は、フィルタ素子320に含まれる構成要素は、フィルタ素子220と同様である。フィルタ素子120、150、220、及び320の幅方向の寸法W1、W2、W3およびW4は互いに等しい。一方、フィルタ素子120及び150は、共振器が螺旋状に形成されているため、直線状に形成された共振器を有するフィルタ素子220及びミアンダ状に形成された共振器を有するフィルタ素子320よりも小型である。具体的には、長さ方向の寸法V1、V2、V3およびV4は、V3>V4>V1>V2である。また、各分布定数型の共振器の共振特性が同じになるように、分布定数型の共振器以外の各導体パターンは同じ形状および同じ寸法に構成した。
これらの各分布定数型の共振器の周波数特性を比較した結果を図17に示す。図17の結果から、矩形螺旋状に形成された分布定数型の共振器を有するフィルタ素子120およびフィルタ素子150は、直線の分布定数型の共振器を有するフィルタ素子220やミアンダ形状の分布定数型の共振器を有するフィルタ素子320と同等の周波数特性が得られることが確認できる。このように、本開示の各実施形態におけるフィルタは、直線状又はミアンダ状に形成された共振器を有するフィルタ素子と同等の周波数特性を実現しつつ、小型に構成することができる。
次に、本開示におけるフィルタ素子120又はフィルタ素子150を用いた回路モジュール500について、図22および図23を参照して説明する。
図22に示すように、回路モジュール2300は、多層配線基板2301の上に、ランド電極2303を介して、チップコンデンサ等の電子部品2307、及び高周波送受信用IC2308等の個別部品が搭載されており、これらの電子部品2307やIC2308はシールドカバー2309によって覆われている。多層配線基板2301の下面には、外部端子電極2302が形成されている。多層配線基板2301の内部には、配線導体2304、バンドパスフィルタ2305、及び積層型バラン2306が内蔵されている。バンドパスフィルタ2305は、本開示におけるフィルタ素子120又はフィルタ素子150を用いて構成することができる。
このような多層配線基板2301は、当業者に明らかなように、一般的な多層セラミックデバイスの製造方法に従って形成される。多層配線基板2301に形成されるフィルタ2305は、スクリーン印刷によって、セラミックグリーンシート上に他の配線導体とともに導体パターンを印刷し、導体パターンが印刷されたグリーンシートを積層して積層体を構成し、積層体を、400〜700℃で脱バインダーした後、850〜920℃で焼成して製造される。
図23に示すように、一実施形態における回路モジュール2300は、アンテナ2311と、バンドパスフィルタ2305と、積層型バラン2306と、高周波送受信用IC2308とを含む。この回路モジュール2300において、アンテナ2311によって受信された無線信号はバンドパスフィルタ2305に出力される。バンドパスフィルタ2305は、アンテナ2311からの受信信号のうち、特定周波数の信号を通過させる。バンドパスフィルタ2305を通過した信号は、積層型バラン2306において平衡型の信号に変換され、高周波送受信用IC2308に送信される。高周波送受信用IC2308は、受信した平衡型の信号に所定の受信処理を行う。
このように、開示された実施形態によれば、周波数特性を劣化させることなく共振器を小型化することができる。また、その小型化された共振器を用いてフィルタ素子を構成することにより、このフィルタ素子を搭載した多層配線基板、及びこの多層配線基板を搭載した回路モジュールを小型化することができる。
本発明の実施形態における回路の構成は、本明細書において明示的に開示された態様に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、図1において3つの共振回路を備えた等価回路100を示したが、本発明の実施形態における分布定数回路は、図24に示すように、共振回路を1つ備えたフィルタ100’であっても良い。フィルタ100’において、伝送線路1021は、図2ないし図4に示すように、2つの絶縁体層に分散して形成される。各絶縁体層には、1ターン未満の矩形リング状の線路要素が形成され、これらの線路要素が層間接続導体で電気的に接続されて、矩形螺旋状の伝送線路1021が構成される。また、図25に示すように、本発明の実施形態における分布定数回路は、終端開放の共振回路を有するフィルタ100aであっても良い。フィルタ100aは、伝送線路1011、1021、及び1031が、キャパシタを介して接地されていない点でフィルタ100と異なる。また、図26には、本実施形態における移相器2600が示されている。移相器2600は、伝送線路2602の一端を入力端子に接続し、他端を出力端子に接続して構成される。この伝送線路2602は、本発明の一実施形態における分布定数回路であり、図5Aに示す導体パターンと同様に構成される。つまり、伝送線路2602は、2以上の絶縁体層に形成された伝送線路を接続して構成される。各絶縁体層には、1ターン未満の矩形リング状の線路要素が形成され、これらの線路要素が層間接続導体で電気的に接続されて、矩形螺旋状の伝送線路2602が構成される。また、一実施形態においては、本発明の実施形態における分布定数回路を実現する部品は、多層回路基板2301に埋設される。特に、本発明の一実施形態における共振器又はフィルタを基板中に形成しても良い。また、フィルタ素子120及び150は、導体パターンを形成したセラミックグリーンシートを積み重ねる方法に代えて、セラミックペーストと導電ペーストをスクリーン印刷等で交互に印刷する方法を用いて形成しても良い。
フィルタ素子120において、伝送線路1211、1241、及び1261は絶縁体層L2以外の絶縁体層に形成されてもよく、伝送線路1212、1242、及び1262は絶縁体層L1以外の絶縁体層に形成されてもよい。また、フィルタ素子150において、伝送線路1511、1541、及び1561は絶縁体層L12以外の絶縁体層に形成されてもよく、伝送線路1512、1542、及び1562は絶縁体層L11以外の絶縁体層に形成されてもよい。1組の絶縁体層L0−L3及び1組の絶縁体層L0及びL11ないしL15は、それぞれ等価回路100を実現する構成であれば、適宜順序を入れ替えて積層することができる。
本明細書においては、分布定数回路が、絶縁体層L0及びL3にグラウンド電極を設けたストリップライン構造を有する場合を例に説明したが、様々な実施形態における分布定数回路は、当業者に明らかなように、マイクロストリップライン構造に形成することもできる。分布定数回路がマイクロストリップライン構造に形成される場合には、例えば、フィルタ120において絶縁体層L0が省略される。
フィルタ素子120において、伝送線路1211、1241、及び1261は絶縁体層L2以外の絶縁体層に形成されてもよく、伝送線路1212、1242、及び1262は絶縁体層L1以外の絶縁体層に形成されてもよい。また、フィルタ素子150において、伝送線路1511、1541、及び1561は絶縁体層L12以外の絶縁体層に形成されてもよく、伝送線路1512、1542、及び1562は絶縁体層L11以外の絶縁体層に形成されてもよい。1組の絶縁体層L0−L3及び1組の絶縁体層L0及びL11ないしL15は、それぞれ等価回路100を実現する構成であれば、適宜順序を入れ替えて積層することができる。
本明細書においては、分布定数回路が、絶縁体層L0及びL3にグラウンド電極を設けたストリップライン構造を有する場合を例に説明したが、様々な実施形態における分布定数回路は、当業者に明らかなように、マイクロストリップライン構造に形成することもできる。分布定数回路がマイクロストリップライン構造に形成される場合には、例えば、フィルタ120において絶縁体層L0が省略される。
2005年12月27日に太陽誘電株式会社が出願した日本国特許出願2005−375484(発明の名称は「共振回路、フィルタ回路、及び多層基板」)及び2009年4月3日に太陽誘電株式会社が出願した日本国特許出願2009−090814発明の名称は「分布定数型の共振器、フィルタ、多層配線基板および回路モジュール」)は、引用により本明細書に組み込まれる。
100、100’、100a フィルタ
120、150、220、320 フィルタ素子
101、102、103 共振回路
104、105、106、107、1011、1021、1031 伝送線路
108 109 110 1012、1022、1032 キャパシタ
121、124、126、151、154、156、221、224、226、32
1、324、326 共振器
122、123、125、127、129、130、131、134、135、13
6、152、153、155、157、222、223、225、227 キャパシタ電
極
128、137 引出導体
1211、1241、1261、1511、1541、1561、1212、1242、1262、1512、1542、1562 伝送線路
120、150、220、320 フィルタ素子
101、102、103 共振回路
104、105、106、107、1011、1021、1031 伝送線路
108 109 110 1012、1022、1032 キャパシタ
121、124、126、151、154、156、221、224、226、32
1、324、326 共振器
122、123、125、127、129、130、131、134、135、13
6、152、153、155、157、222、223、225、227 キャパシタ電
極
128、137 引出導体
1211、1241、1261、1511、1541、1561、1212、1242、1262、1512、1542、1562 伝送線路
Claims (11)
- 1ターン未満の矩形リング状に形成された第1矩形線路要素を含む第1伝送線路が形成された第1絶縁体層と、
前記第1伝送線路と層間接続導体を介して電気的に接続され、1ターン未満の矩形リング状に形成された第2矩形線路要素を含む第2伝送線路が形成された第2絶縁体層と、
グラウンド電極を含む第3絶縁体層と、
を含む複数の絶縁体層を有し、
この複数の絶縁体層を積層して前記第1伝送線路及び前記第2伝送線路を含む矩形螺旋状の回路パターンを形成した分布定数回路であって、
前記第1矩形線路要素の少なくとも1辺が前記第2矩形線路要素の1辺と平行に配置され、当該平行に配置された辺同士が、前記複数の絶縁体層の積層方向において重複しないように配置されており、
前記第1伝送線路又は前記第2伝送線路の少なくとも一方のコーナーの少なくとも1つが、その内周と外周とが同心円になるよう構成された、
分布定数回路。 - 前記第1伝送線路が入力端子と接続され、前記第2伝送線路が出力端子と接続された請求項1に記載の分布定数回路。
- 前記第1伝送線路が入力端子及び出力端子と接続された請求項1に記載の分布定数回路。
- 前記第2伝送線路が接地された請求項3に記載の分布定数回路。
- 前記第2伝送線路が第1キャパシタを介して接地される請求項3に記載の分布定数回路。
- 入力端子と出力端子とを接続する信号ラインと、
前記信号ラインに並列に接続された第2キャパシタと、
を有する請求項1に記載の分布定数回路。 - 前記第1伝送線路が、前記第1矩形線路要素に接続された直線状の第1直線線路要素をさらに含む請求項1に記載の分布定数回路。
- 前記第2伝送線路が、前記第2矩形線路要素に接続された直線状の第2直線線路要素をさらに含む請求項1に記載の分布定数回路。
- グラウンド電極を含む第4絶縁体層を含み、
第3絶縁体層と第4絶縁体層との間に、第1絶縁体層及び第2絶縁体層を介在させる、
請求項1に記載の分布定数回路。 - 1ターン未満の矩形リング状に形成され、入力端子及び出力端子と接続された第1伝送線路を含む第1絶縁体層と、
前記第1伝送線路と層間接続導体を介して電気的に接続され、1ターン未満の矩形リング状に形成された第2伝送線路を含む第2絶縁体層と、
グラウンド電極を含む第3絶縁体層と、
を含む複数の絶縁体層を有し、
この複数の絶縁体層を積層して前記第1伝送線路及び前記第2伝送線路を含む矩形螺旋状の回路パターンを形成した分布定数型共振器を含むフィルタであって、
前記第2伝送線路は、前記第1伝送線路の少なくとも1辺と平行に配置された辺を含み、当該平行に配置された辺同士が、前記複数の絶縁体層の積層方向において重複しないように配置されており、
前記第1伝送線路又は前記第2伝送線路の少なくとも一方のコーナー部分の少なくとも1つが、その内周と外周とが同心円になるよう構成された、
フィルタ。 - 1ターン未満の矩形リング状に形成された第1伝送線路を含む第1絶縁体層と、
前記第1伝送線路と層間接続導体を介して電気的に接続され、1ターン未満の矩形リング状に形成された第2伝送線路を含む第2絶縁体層と、
グラウンド電極を含む第3絶縁体層と、
を含む複数の絶縁体層を有し、
この複数の絶縁体層を積層して前記第1伝送線路及び前記第2伝送線路を含む矩形螺旋状の回路パターンを形成した分布定数回路を含む回路モジュールであって、
前記第2伝送線路は、前記第1伝送線路の少なくとも1辺と平行に配置された辺を含み、当該平行に配置された辺同士が、前記複数の絶縁体層の積層方向において重複しないように配置されており、
前記第1伝送線路又は前記第2伝送線路の少なくとも一方のコーナー部分の少なくとも1つが、その内周と外周とが同心円になるよう構成された、
回路モジュール。
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