JPWO2010113808A1 - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録特性が良好であると共に、生産性の良いインクジェット用記録媒体を提供する。【解決手段】支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含むインク受理層をキャストコート法により設けたインクジェット用記録媒体であって、インク受理層の顔料として、レーザー回折散乱法により体積基準で測定した粒度分布が2つのピークPA,PBを有し、そのうちピークPAを含む分布曲線SAの粒子径の範囲内に50%粒子径D50が含まれ、かつピークPBはピークPAより粒子径が小さく、ピークPBを含む分布曲線SBの粒子径の範囲が0.1〜1μmの間に存在し、かつ分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が99.5:0.5〜90:10の範囲にある湿式法シリカを含有し、インク受理層の全顔料100質量部に対して湿式法シリカを5〜50質量部含有する。【選択図】図1
Description
本発明はインクジェット記録媒体に関し、特に光沢性に優れ、染料インクおよび顔料インクを搭載したプリンタでの印字に適するインクジェット記録用キャストコート紙に関する。
一般にインクジェット記録方式は、種々の機構によりインクの小滴を吐出し、インクジェット記録媒体のインク受理層上に付着させることにより、ドットを形成し記録を行うものであるが、ドットインパクトタイプの記録方式に比べて騒音がなく、またフルカラー化が容易である上、高速印字が可能であるなどの利点がある。一方、インクジェット記録に使用されるインクは、通常直接染料や酸性染料などを用いた水性インクであるため乾燥性が悪いという欠点がある。また、顔料インクをインクジェット記録に用いた場合、耐候性等の保存性に優れる一方で、インク受理層表面にクラックがある場合には著しく画質が劣るなどの欠点がある。
最近では高解像度のデジタルビデオ、デジタルカメラの普及により、従来より高精細の画像を取り扱う機会が多くなり、これらのハードコピーをインクジェットプリンターで出力する機会が多くなっている。これに伴いインクジェット記録媒体に対しても要求特性が多様化してきており、中でも銀塩写真並の光沢感を有するインクジェット記録媒体の要望が高くなってきている。
このようなインクジェット記録媒体に要求される特性として、インク乾燥速度が速いこと、印字濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと、更に、インクを吸収することにより用紙が波打ちしないこと等が挙げられる。これらの特性を満たした高画質のインクジェット記録媒体を、キャストコート法により製造する方法は既に提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3等)。
これらの製造方法は、何れも合成シリカを主成分とする顔料、及び結着剤とからなるインク受理層を、未乾燥の湿潤状態にある間に、加熱された鏡面仕上げ面に圧着して鏡面を写し取ると同時に乾燥させ、高光沢のキャストコート紙を得るものであるが、最表層の光沢感が低く、銀塩写真並の光沢感が得られていない。
従って、本発明の目的は、染料インク、顔料インクいずれを用いたインクジェット記録においてもインクジェット記録特性が良好であると共に、銀塩写真並の光沢感を有するインクジェット用記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、粒度分布が2つのピークを有する湿式シリカを含有するインク受理層を、キャストコート法により設けることにより、染料及び顔料インクを用いたインクジェット記録特性が良好であると共に、銀塩写真並の光沢感を有するインクジェット用記録媒体を得られることを見い出した。
従って、上記の目的は以下の発明によって達成された。
本発明のインクジェット用記録媒体は、透気性を有する支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含むインク受理層をキャストコート法により設けたインクジェット用記録媒体であって、前記インク受理層の顔料として、レーザー回折散乱法により体積基準で測定した粒度分布が2つのピークPA,PBを有し、そのうち前記ピークPAを含む分布曲線SAの粒子径の範囲内に50%粒子径D50が含まれ、かつ前記ピークPBは前記ピークPAより粒子径が小さく、前記ピークPBを含む分布曲線SBの粒子径の範囲が0.1〜1μmの間に存在し、かつ前記分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が99.5:0.5〜90:10の範囲にある湿式法シリカを含有し、前記インク受理層の全顔料100質量部に対して前記湿式法シリカを5〜50質量部含有する。
前記湿式法シリカが沈降法シリカであることが好ましい。
前記湿式法シリカの50%粒子径D50が1〜10μmであることが好ましい。
前記インク受理層の顔料として前記湿式法シリカの他に、一次粒子径が3〜70nmのコロイダルシリカを前記インク受理層の全顔料100質量部に対して25〜80質量部含むことが好ましい。
前記キャストコート法が凝固法であることが好ましい。
前記支持体と前記インク受理層との間に、顔料および結着剤を含有する下塗り層を少なくとも一層設けることが好ましい。
前記湿式法シリカの50%粒子径D50が1〜10μmであることが好ましい。
前記インク受理層の顔料として前記湿式法シリカの他に、一次粒子径が3〜70nmのコロイダルシリカを前記インク受理層の全顔料100質量部に対して25〜80質量部含むことが好ましい。
前記キャストコート法が凝固法であることが好ましい。
前記支持体と前記インク受理層との間に、顔料および結着剤を含有する下塗り層を少なくとも一層設けることが好ましい。
本発明によれば、染料及び顔料インクを用いたインクジェット記録特性が良好であると共に、銀塩写真並の光沢感を有するインクジェット用記録媒体を得ることができる。
以下、本発明のインクジェット用記録媒体の実施形態について説明する。本発明のインクジェット用記録媒体は、透気性を有する支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含有するインク受理層をキャストコート法により設けたものである。
(支持体)
本発明で使用される支持体としては透気性を有すれば、いずれのものも使用することができるが、好ましくは紙(塗工紙、未塗工紙等)を用いる。前記紙の原料パルプとして、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。また、前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。また、紙中に填料を含有させると、紙の不透明度が向上する傾向があるため、填料を含有させることが好ましく、填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。
本発明で使用される支持体としては透気性を有すれば、いずれのものも使用することができるが、好ましくは紙(塗工紙、未塗工紙等)を用いる。前記紙の原料パルプとして、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。また、前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。また、紙中に填料を含有させると、紙の不透明度が向上する傾向があるため、填料を含有させることが好ましく、填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。
(インク受理層の顔料)
インク受理層の顔料は、レーザー回折散乱法により体積基準で測定した粒度分布が2つのピークPA,PBを有し、そのうちピークPAを含む分布曲線SAの粒子径の範囲内に50%粒子径D50が含まれ、かつピークPBはピークPAより粒子径が小さく、ピークPBを含む分布曲線SBの粒子径の範囲が0.1〜1μmの間に存在し、かつ分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が99.5:0.5〜90:10の範囲にある湿式法シリカを含有する。
図1は、後述の実施例1で用いられた湿式法シリカの粒度分布を示す。粒度分布が2つのピークPA,PBを有していることがわかる。叉、分布曲線SAとSBは、0.6μmを境に分離している。又、分布曲線SAに含まれる粒子径の最小値(図1では0.6μm)は、分布曲線SBに含まれる粒子径の最大値(図1ではほぼ0.6μm)以上であり、分布曲線SAとSBとが互いに分離している。
なお、分布曲線SAとSBとが重なるような湿式法シリカは実際には殆ど存在しないが、両者が重なっている場合は、両分布曲線の境界(両分布曲線の谷の部分)で区切り、体積比を算出する。
図1では、PA=5.2μm、PB=0.3μmであり、分布曲線SAの粒子径の範囲(横軸に接する粒子径の最小値及び最大値)が0.6〜15μmであり、D50=4.6μmである。又、分布曲線SBの粒子径の範囲が0.1〜0.6μmである。さらに、分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が97:3である。
インク受理層の顔料は、レーザー回折散乱法により体積基準で測定した粒度分布が2つのピークPA,PBを有し、そのうちピークPAを含む分布曲線SAの粒子径の範囲内に50%粒子径D50が含まれ、かつピークPBはピークPAより粒子径が小さく、ピークPBを含む分布曲線SBの粒子径の範囲が0.1〜1μmの間に存在し、かつ分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が99.5:0.5〜90:10の範囲にある湿式法シリカを含有する。
図1は、後述の実施例1で用いられた湿式法シリカの粒度分布を示す。粒度分布が2つのピークPA,PBを有していることがわかる。叉、分布曲線SAとSBは、0.6μmを境に分離している。又、分布曲線SAに含まれる粒子径の最小値(図1では0.6μm)は、分布曲線SBに含まれる粒子径の最大値(図1ではほぼ0.6μm)以上であり、分布曲線SAとSBとが互いに分離している。
なお、分布曲線SAとSBとが重なるような湿式法シリカは実際には殆ど存在しないが、両者が重なっている場合は、両分布曲線の境界(両分布曲線の谷の部分)で区切り、体積比を算出する。
図1では、PA=5.2μm、PB=0.3μmであり、分布曲線SAの粒子径の範囲(横軸に接する粒子径の最小値及び最大値)が0.6〜15μmであり、D50=4.6μmである。又、分布曲線SBの粒子径の範囲が0.1〜0.6μmである。さらに、分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が97:3である。
分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が90:10未満であると、分布曲線SAに含まれる比較的大径の粒子の割合が少なくなり、インク吸収性が低下して印字面に滲みが生じ、印字品質が低下する。
一方、分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が99.5:0.5を超えると、分布曲線SBに含まれる微小な粒子の割合が少なくなり、加熱した鏡面ドラム表面を写し取ることが困難となり、インク受理層の光沢が低下して面感が劣る。
一方、分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が99.5:0.5を超えると、分布曲線SBに含まれる微小な粒子の割合が少なくなり、加熱した鏡面ドラム表面を写し取ることが困難となり、インク受理層の光沢が低下して面感が劣る。
分布曲線SBの粒子径の下限が0.1μm未満であると、粒子が微細になり過ぎ、インク吸収性が低下して印字面に滲みが生じ、印字品質が低下する。一方、分布曲線SBの粒子径の上限が1μmを超えると、分布曲線SAに含まれる粒子と粒子径の差が小さくなり、微小な粒子の割合が少なくなるため、インク受理層の光沢が低下して面感が劣化する。
分布曲線SAの粒子径の範囲が1〜10μmの間に存在すると好ましい。分布曲線SAの粒子径の下限が1μm未満であると、分布曲線SBに含まれる粒子と粒子径の差が小さくなり、大径の粒子の割合が少なくなるため、インク吸収性が低下して印字面に滲みが生じ、印字品質が低下する傾向にある。一方、分布曲線SAの粒子径の上限が10μmを超えると、微小な粒子の割合が少なくなり、加熱した鏡面ドラム表面を写し取ることが困難となり、インク受理層の光沢が低下して面感が劣る傾向にある。
上記した湿式法シリカの50%粒子径D50は1〜10μmであることが好ましく、高い光沢感を得るためにはD50が1〜5μmであることがより好ましい。D50が1μm未満の場合には上記した理由でインクの吸収性が低下し、10μmを超えると上記した理由で面感が低下する傾向にある。また、湿式法シリカのBET比表面積は150〜500m2/gであることが好ましい。BET比表面積が大きくなると発色性が低下する傾向にある。
このような湿式法シリカとして、株式会社トクヤマ製沈降法シリカ・ファインシールT−32、E−50等が例示される。
このような湿式法シリカとして、株式会社トクヤマ製沈降法シリカ・ファインシールT−32、E−50等が例示される。
なお、レーザー回折散乱法による体積基準の粒度分布は、レーザー法粒度測定器(マルバーン社製 マスターサイザーS型)にて測定することができる。又、分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比は、全粒子を100体積%とした場合の各分布曲線SAとSBにそれぞれ含まれる粒子の体積の比である。
又、上記した粒度分布を持つ湿式法シリカを2種類以上混合して用いる場合、各湿式法シリカの粒度分布のパラメータ(ピークPA、PBの値、分布曲線SA、SBの粒子径の範囲、50%粒子径D50等)を、それらの配合割合に応じて加重平均する。
又、上記した粒度分布を持つ湿式法シリカを2種類以上混合して用いる場合、各湿式法シリカの粒度分布のパラメータ(ピークPA、PBの値、分布曲線SA、SBの粒子径の範囲、50%粒子径D50等)を、それらの配合割合に応じて加重平均する。
湿式法シリカの配合量は、インク受理層の全顔料100質量部に対し、5〜50質量部であることが必要であり、さらに好ましくは10〜40質量部である。上記したように、湿式法シリカが2つのピークを有するため、小さな粒子径の粒子が、大きな粒子径の粒子で形成する塗工層の空隙を埋め、緻密な塗工層を形成することで面感向上効果が得られると考えられる。湿式法シリカの配合量が5質量部未満の場合、上記した効果が生じず、十分な面感向上効果が得難い。また湿式法シリカの配合量が50質量部を超えると、インク受理層用塗工液への分散時の濃度を低減しないと調製が困難なため、結果として塗料濃度、塗料粘度が大幅に低下する。そのため、塗工適性が低下し、塗工時の塗工ムラ、品質の不均一さを生ずると共に、印字時の発色性も低下する。
湿式法シリカとしては、沈降法で製造した「沈降法シリカ」とゲル法で製造した「ゲル法シリカ」がある。本発明においては沈降法シリカとゲル法シリカのいずれを用いてもよく、これらを併用してもよいが、沈降法シリカを用いる方が面感、インク吸収性、印字濃度等の点で好ましい。
本発明で用いられる湿式法シリカ以外の顔料としては、粒度分布が1つのみピークを有する湿式法シリカ(沈降法シリカ、ゲル法シリカ)、気相法シリカ、コロイダルシリカ等公知の顔料を用いることができる。また、インクジェット記録した際のインク吸収性、発色性および光沢感を損なわない範囲でさらに他の顔料、例えばα型結晶のアルミナ、θ型結晶のアルミナ、合成シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等を併用しても良い。本発明のインク受理層に使用する湿式法シリカ以外の顔料としては、湿式法で製造された合成非晶質シリカと、気相法で製造された合成非晶質シリカコロイダルシリカとを含有することが好ましく、以下にこれらについて説明する。
1.湿式法シリカ
合成非晶質シリカはその製造法により、湿式法シリカと気相法シリカに大別できる。湿式法で製造された合成非晶質シリカ(以下、適宜、上記したインク受理層に使用する必須成分としての湿式法シリカと区別するため、「第2の湿式法シリカ」という)は顔料の透明性に関しては気相法シリカに劣るが、ポリビニルアルコールと併用した場合の塗料安定性に優れる。さらに、内部空隙の無い気相法シリカに比べ、湿式法シリカは液への分散性が良好であり、塗料濃度を高くすることが可能である。そのため、インク受理層の顔料として、第2の湿式法シリカを用いると、インク受理層中の顔料比率を高くしてインク受理層の吸収性を高くできるので、インク吸収性を向上できると共に染料インクの発色性を向上できると考えられる。第2の湿式法シリカの配合比率は塗料濃度、印字品質の点から70質量%以下にする必要がある。
合成非晶質シリカはその製造法により、湿式法シリカと気相法シリカに大別できる。湿式法で製造された合成非晶質シリカ(以下、適宜、上記したインク受理層に使用する必須成分としての湿式法シリカと区別するため、「第2の湿式法シリカ」という)は顔料の透明性に関しては気相法シリカに劣るが、ポリビニルアルコールと併用した場合の塗料安定性に優れる。さらに、内部空隙の無い気相法シリカに比べ、湿式法シリカは液への分散性が良好であり、塗料濃度を高くすることが可能である。そのため、インク受理層の顔料として、第2の湿式法シリカを用いると、インク受理層中の顔料比率を高くしてインク受理層の吸収性を高くできるので、インク吸収性を向上できると共に染料インクの発色性を向上できると考えられる。第2の湿式法シリカの配合比率は塗料濃度、印字品質の点から70質量%以下にする必要がある。
2.気相法シリカ
さらに、本発明においては、インク受理層に気相法シリカを含有させることが好ましい。気相法シリカをインク受理層に含有させると、理由は明らかではないが、インク受理層のインクの濡れが良好となるため、ベタ印字した際のムラが改善される傾向にある。
気相法シリカは、乾式法シリカ、またはヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。気相法シリカは、具体的には四塩化珪素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素の供給比率、及び原料の四塩化珪素供給量等の条件を変更することにより得られる。四塩化ケイ素の代わりに、メチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類を単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジルとして市販され、株式会社トクヤマからレオロシールQSタイプとして市販されており、容易に入手することができる。
さらに、本発明においては、インク受理層に気相法シリカを含有させることが好ましい。気相法シリカをインク受理層に含有させると、理由は明らかではないが、インク受理層のインクの濡れが良好となるため、ベタ印字した際のムラが改善される傾向にある。
気相法シリカは、乾式法シリカ、またはヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。気相法シリカは、具体的には四塩化珪素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素の供給比率、及び原料の四塩化珪素供給量等の条件を変更することにより得られる。四塩化ケイ素の代わりに、メチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類を単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジルとして市販され、株式会社トクヤマからレオロシールQSタイプとして市販されており、容易に入手することができる。
気相法シリカの平均二次粒径は5〜50nmであることが好ましい。また、比表面積(BET法による)が130m2/g〜300m2/gであると、インク受理層の透明性が高くなり、かつ塗料に配合した際の安定性が良好であるので好ましい。気相法シリカの比表面積が130m2/gより小さい場合、インク受理層の不透明性が増し、インクジェットプリンターで印字した場合の印字濃度が低下する等の不具合を生じる場合がある。気相法シリカの比表面積が300m2/gを越えると、インク受理層の透明性が良好となり、印字濃度が向上するが、塗料の安定性に劣る傾向にあり、塗工性が低下する場合がある。
3.コロイダルシリカ
本発明において湿式法シリカ以外の顔料としてコロイダルシリカを使用する場合、コロイダルシリカの一次粒子径は3〜70nmであることが好ましく、さらに好ましくは10〜50nmである。コロイダルシリカの一次粒子径が3nm未満であると、顔料インクを用いたインクジェットプリンターで印字した場合にインク吸収性の低下が大きくなることがある。コロイダルシリカの一次粒子径が70nmを超えると、粒子間の空隙が増えてインク受理層のインク吸収性は良好となるが、不透明性が増大するため、染料インクでインクジェット記録した際の発色性が低下することがある。
本発明において湿式法シリカ以外の顔料としてコロイダルシリカを使用する場合、コロイダルシリカの一次粒子径は3〜70nmであることが好ましく、さらに好ましくは10〜50nmである。コロイダルシリカの一次粒子径が3nm未満であると、顔料インクを用いたインクジェットプリンターで印字した場合にインク吸収性の低下が大きくなることがある。コロイダルシリカの一次粒子径が70nmを超えると、粒子間の空隙が増えてインク受理層のインク吸収性は良好となるが、不透明性が増大するため、染料インクでインクジェット記録した際の発色性が低下することがある。
上記コロイダルシリカの配合量は、インク受理層の全顔料100質量部に対し、25〜80質量部であることが好ましく、さらに好ましくは40〜70質量部である。コロイダルシリカが25質量部未満の場合、コロイダルシリカに比べ粒子径が大きく、粗い顔料の配合量が増えるため、インク受理層の発色性の低下や光沢面に荒れや凹凸が生じることがある。また、コロイダルシリカの配合量が80質量部を超えると、塗工層が緻密になりすぎ、インク吸収性が低下することがあると共に、コロイダルシリカは他の材料に比べ非常に高価なため、製造コストの点でも望ましくない。
また、上記コロイダルシリカの二次粒子径に対する一次粒子径の比(二次粒子径/一次粒子径)を1.5〜3.0とすることが好ましい。上記比が1.5未満であると、顔料インク及び染料インクの発色性がいずれも著しく低下することがある。コロイダルシリカの一次粒子径及び二次粒子径はBET法や動的光散乱法等で測定できる。
上記した一次粒子径及び比を有するコロイダルシリカをインク受理層に含有させることにより、顔料インクの発色性を大きく向上することができる。コロイダルシリカの二次粒子径及び比が上記範囲であれば、それぞれ二次粒子径及び/または比の異なる2種以上のコロイダルシリカを併用することもできる。
なお、本発明におけるコロイダルシリカの分散状態を顕微鏡で観察した場合、球状の単一コロイダルシリカ(二次粒子)が2〜3個連なった(凝集した)ものが多数観察される。このような凝集状態を便宜上、ピーナツ状と表す。そして、本発明におけるコロイダルシリカは、その分散状態を顕微鏡観察した場合に、球状の単一コロイダルシリカが少なくとも5個以上、通常は10個以上凝集したシリカ(房状又は鎖状のコロイダルシリカという)を含まない。但し、ここでいう「含まない」とは、その分散状態を顕微鏡観察した場合に、上記した房状又は鎖状のコロイダルシリカ、又は単一コロイダルシリカがまったく観察されないことをいうのでなく、これらのコロイダルシリカが観察されてもよいが、マクロ的な物性である上記比が1.5〜3.0であればよいものとする。ここで、上記したコロイダルシリカの二次粒子の連結個数を平均した値は、上記比にほぼ対応する。
上記コロイダルシリカは、アルコキシシランを原料としてゾルゲル法により合成し、合成条件によって二次粒子径(BET法粒子径)や二次粒子径(動的光散乱法粒子径)をコントロールすることが好ましい。本発明に使用できるコロイダルシリカとしては、扶桑化学工業社製の商品名クォートロンを挙げることができる。
(インク受理層の結着剤)
本発明のインク受理層は、結着剤として少なくとも1種類の水系結着剤(水溶性又は/及び水分散性の樹脂エマルジョン)を含む。特に部分鹸化及び/または完全鹸化のポリビニルアルコールを使用することが好ましい。ポリビニルアルコールの添加量としては顔料100質量部に対して3〜30質質量部が好ましい。さらにインクジェット記録した際のインク吸収性、発色性および光沢感を損なわない範囲で他の水系結着剤を配合することが可能である。例えば、ポリビニルピロリドン、ウレタン樹脂エマルジョン由来のウレタン樹脂、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体、スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、尿素樹脂エマルジョン、アルキッド樹脂エマルジョン及びこれらの誘導体等があげられるが、特に限定されない。
本発明のインク受理層は、結着剤として少なくとも1種類の水系結着剤(水溶性又は/及び水分散性の樹脂エマルジョン)を含む。特に部分鹸化及び/または完全鹸化のポリビニルアルコールを使用することが好ましい。ポリビニルアルコールの添加量としては顔料100質量部に対して3〜30質質量部が好ましい。さらにインクジェット記録した際のインク吸収性、発色性および光沢感を損なわない範囲で他の水系結着剤を配合することが可能である。例えば、ポリビニルピロリドン、ウレタン樹脂エマルジョン由来のウレタン樹脂、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体、スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、尿素樹脂エマルジョン、アルキッド樹脂エマルジョン及びこれらの誘導体等があげられるが、特に限定されない。
(インク受理層の他の成分)
また、インク受理層には、上記した顔料と結着剤の他に、例えば、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、発泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、耐水化剤、染料定着剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤、カチオン性高分子電解質等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加することができる。
本発明で使用するインク受理層を形成する塗工液、処理液には、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
また、インク受理層には、上記した顔料と結着剤の他に、例えば、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、発泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、耐水化剤、染料定着剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤、カチオン性高分子電解質等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加することができる。
本発明で使用するインク受理層を形成する塗工液、処理液には、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
(インク受理層の形成)
支持体上にインク受理層用塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択して使用することができる。処理液を塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
支持体上にインク受理層用塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択して使用することができる。処理液を塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
インク受理層の塗工量は、支持体の表面を覆い、かつ十分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができるが、記録濃度及びインク吸収性を両立させる観点から、片面当たり、固形分換算で5〜30g/m2であることが好ましい。さらに好ましい範囲は10〜25g/m2である。塗工量が5g/m2未満であると、支持体表面を十分に覆うことができないので、インク吸収性が不十分になる。一方、30g/m2を超えると、鏡面ドラムからの剥離性が低下し塗工層が鏡面ドラムに付着するなどの問題を生じる。また、本発明においては、支持体とインク受理層の間に下塗り層を設けることが好ましい。
本発明においては、インク受理層中の水系バインダを凝固する作用を有する処理液を塗布した後の湿潤状態のインク受理層を、加熱した鏡面仕上げ面に圧着し乾燥することにより、インク受理層表面に光沢を付与する。処理液を塗布する際のインク受理層は、湿潤状態であっても乾燥状態であっても良いが、特に前者(インク受理層が湿潤状態である内に処理液を塗布する)の場合には鏡面仕上げ面を写し取り易く、表面の微小な凹凸を少なくすることができるので、銀塩写真並の光沢感を得易い。
インク受理層面に光沢を付与する方法としては、製造コストの点からキャストコーターを用いるキャストコート法を用いる。キャストコート法は、顔料と結着剤とを主成分とする塗工液を支持体上に塗工して塗工層を設け、塗工層をキャストドラムに圧着して光沢仕上げする方法であり、この光沢塗工層が上記インク受理層となる。
キャストコート法としては、(1)塗工層が湿潤状態にある間に、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着して乾燥するウェットキャスト法(直接法)、(2)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥又は半乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着し乾燥するリウェット法、(3)湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着し乾燥するゲル化キャスト法(凝固法)、の3種類がある。各方法の原理は、湿潤状態の塗工層を鏡面仕上げの面に押し当てて、塗工層表面に光沢を付与するという点では同様である。
本発明においては、インクジェット用記録媒体の最表面のインク受理層をキャストコート法で形成することによって、インク受理層に光沢を付与する。好ましくは、銀塩写真に匹敵する面感、光沢を付与することが可能であるという点で、ゲル化キャストコート法(凝固法)を用いる。
キャストコート法は、例えば、以下のようにして行う。まず、インク受理層となる塗工液を支持体に塗布する。次に、処理液を塗工層に塗布し、塗工層を湿潤状態にさせる。そして、湿潤状態の塗工層を、加熱した鏡面仕上げ面に圧着し乾燥することにより、インク受理層を形成し、その表面に光沢を付与する。処理液を塗布する際の塗工層は、湿潤状態であっても乾燥状態であってもよいが、特に湿潤状態とした場合には鏡面仕上げ面を写し取り易く、塗工層表面の微小な凹凸を少なくすることができるので、得られたインク受理層に銀塩写真並の光沢感を付与させ易くなる。処理液を塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
次に、ゲル化キャスト法を用いる場合について説明する。この方法は、上記キャストコート法において、上記塗工層を塗布後、未乾燥の塗工層を凝固液によってゲル化させてから、加熱した鏡面仕上げ面に圧着、乾燥するものである。凝固液を塗布する際に塗工層が乾燥状態であると鏡面ドラム表面を写し取ることが難しく、得られたインク受理層表面に微小な凹凸が多くなり、銀塩写真並の光沢感を得難い。
凝固液としては、湿潤状態の塗工層中の水系バインダを凝固する作用を持つもの、例えば、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硫酸等のカルシウム、亜鉛、マグネシウム等の各種の塩の溶液が用いられる。特に、水系バインダとしてポリビニルアルコールを用いた場合には、凝固液としてホウ酸とホウ酸塩とを含有する液を用いることが好ましい。ホウ酸とホウ酸塩とを混合して用いることにより、凝固時の塗工層固さを適度なものとすることが容易となり、インク受理層に良好な光沢感を付与できる。凝固液を塗布する方法は、塗工層に塗布できる限り特に制限されず、公知の方法(例えば、ロール方式、スプレー方式、カーテン方式等)の中から適宜選択することができる。
また、上記インク受理層容塗工液及び/または凝固液には、必要に応じて剥離剤を添加することができる。剥離剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の温度範囲においては、剥離剤の融点が鏡面仕上げ面の温度とほぼ同等であるため、剥離剤としての能力が最大限に発揮される。剥離剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではないが、ポリエチレン系のワックスエマルジョンを用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。又、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
[実施例1]
叩解度285mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に対し、タルク10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.1部、歩留向上剤0.02部を添加して抄紙機で抄紙した。この紙の両面に、片面当り固形分で2.5g/m2となるようにデンプンを塗布して、坪量170g/m2の原紙を得た。この原紙の片面に塗工液Aをブレードコーターで塗工量が10g/m2となるように塗工して140℃で送風乾燥した。次いで、塗工液Aを塗工した面にロールコーターで塗工液Bを15g/m2塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、凝固液Cを用いて凝固させた。次いでプレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、195g/m2のインクジェット用記録媒体を得た。
叩解度285mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に対し、タルク10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.1部、歩留向上剤0.02部を添加して抄紙機で抄紙した。この紙の両面に、片面当り固形分で2.5g/m2となるようにデンプンを塗布して、坪量170g/m2の原紙を得た。この原紙の片面に塗工液Aをブレードコーターで塗工量が10g/m2となるように塗工して140℃で送風乾燥した。次いで、塗工液Aを塗工した面にロールコーターで塗工液Bを15g/m2塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、凝固液Cを用いて凝固させた。次いでプレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、195g/m2のインクジェット用記録媒体を得た。
(塗工液A)
顔料として非晶質合成シリカ(ファインシールX−37B:株式会社トクヤマ社製)100部に対し、結着剤としてエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン(AM−3100:昭和高分子株式会社製の商品名)30部及びポリビニルアルコール(PVA117:株式会社クラレ社製の商品名)5部、カチオン性インク定着剤(ポリフィックス700::昭和高分子株式会社製の商品名)5部、サイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業株式会社製の商品名)5部を混合して濃度25%の水性塗工液を調製した。
(塗工液B)
顔料として、一次粒子径が24nmで、二次粒子/一次粒子径の比が2.0のコロイダルシリカA(クォートロンPL−2:扶桑化学工業社製の商品名の商品名)60部;比表面積が200m2/gの気相法シリカ(アエロジル200V:日本アエロジル株式会社製の商品名)10部;50%粒子径D50が4.6μmで、粒度分布が2つのピークPA(5.2μm)、PB(0.3μm)を有し、SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が97:3の湿式法シリカA(ファインシールT−32:株式会社トクヤマ製の商品名、図1に粒度分布を示す)30部;を用いた。これらの顔料100部、結着剤として重合度2600のポリビニルアルコール(MA26GP:信越化学株式会社製の商品名)6部、重合度1700のポリビニルアルコール(クラレ617:クラレ株式会社製の商品名)6部、離型剤(FL−48C:東邦化学工業社製の商品名)2部、消泡剤(デフォーマー480:サンノプコ株式会社製の商品名)0.2部を配合して濃度22%の塗工液を調整した。
(凝固液C)
ホウ砂/ホウ酸の配合比(質量比)が1で、Na2B4O7およびH3BO3換算で濃度を4%とし、離型剤(FL−48C:東邦化学工業社製)0.2%を配合して凝固液を調整した。
顔料として非晶質合成シリカ(ファインシールX−37B:株式会社トクヤマ社製)100部に対し、結着剤としてエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン(AM−3100:昭和高分子株式会社製の商品名)30部及びポリビニルアルコール(PVA117:株式会社クラレ社製の商品名)5部、カチオン性インク定着剤(ポリフィックス700::昭和高分子株式会社製の商品名)5部、サイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業株式会社製の商品名)5部を混合して濃度25%の水性塗工液を調製した。
(塗工液B)
顔料として、一次粒子径が24nmで、二次粒子/一次粒子径の比が2.0のコロイダルシリカA(クォートロンPL−2:扶桑化学工業社製の商品名の商品名)60部;比表面積が200m2/gの気相法シリカ(アエロジル200V:日本アエロジル株式会社製の商品名)10部;50%粒子径D50が4.6μmで、粒度分布が2つのピークPA(5.2μm)、PB(0.3μm)を有し、SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が97:3の湿式法シリカA(ファインシールT−32:株式会社トクヤマ製の商品名、図1に粒度分布を示す)30部;を用いた。これらの顔料100部、結着剤として重合度2600のポリビニルアルコール(MA26GP:信越化学株式会社製の商品名)6部、重合度1700のポリビニルアルコール(クラレ617:クラレ株式会社製の商品名)6部、離型剤(FL−48C:東邦化学工業社製の商品名)2部、消泡剤(デフォーマー480:サンノプコ株式会社製の商品名)0.2部を配合して濃度22%の塗工液を調整した。
(凝固液C)
ホウ砂/ホウ酸の配合比(質量比)が1で、Na2B4O7およびH3BO3換算で濃度を4%とし、離型剤(FL−48C:東邦化学工業社製)0.2%を配合して凝固液を調整した。
[実施例2]
塗工液Bの顔料として、湿式法シリカAの代わりに、50%粒子径D50が5.6μm、粒度分布が2つのピークPA(5.6μm)、PB(0.3μm)を有し、SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が97:3の湿式法シリカB(ファインシールE−50:株式会社トクヤマ製の商品名、図2に粒度分布を示す)30部を配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Bの顔料として、湿式法シリカAの代わりに、50%粒子径D50が5.6μm、粒度分布が2つのピークPA(5.6μm)、PB(0.3μm)を有し、SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が97:3の湿式法シリカB(ファインシールE−50:株式会社トクヤマ製の商品名、図2に粒度分布を示す)30部を配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
[実施例3]
塗工液Bの顔料として、湿式法シリカB(ファインシールE−50:株式会社トクヤマ製の商品名)の配合量を15部に変更し、さらに50%粒子径D50が5.6μm、粒度分布が1つのピークPA(6.1μm)を有する湿式法シリカC(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製の商品名、図3に粒度分布を示す)15部を配合したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Bの顔料として、湿式法シリカB(ファインシールE−50:株式会社トクヤマ製の商品名)の配合量を15部に変更し、さらに50%粒子径D50が5.6μm、粒度分布が1つのピークPA(6.1μm)を有する湿式法シリカC(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製の商品名、図3に粒度分布を示す)15部を配合したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
[実施例4]
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカA(クォートロンPL−2:扶桑化学工業社製の商品名)の配合量を45部に変更し、湿式法シリカBの配合量を22.5部に変更し、湿式法シリカCの配合量を22.5部に変更したこと以外は実施例3と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカA(クォートロンPL−2:扶桑化学工業社製の商品名)の配合量を45部に変更し、湿式法シリカBの配合量を22.5部に変更し、湿式法シリカCの配合量を22.5部に変更したこと以外は実施例3と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
[実施例5]
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカA(クォートロンPL−2:扶桑化学工業社製の商品名)の配合量を30部に変更し、湿式法シリカBの配合量を30部に変更し、湿式法シリカCの配合量を30部に変更したこと以外は実施例3と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカA(クォートロンPL−2:扶桑化学工業社製の商品名)の配合量を30部に変更し、湿式法シリカBの配合量を30部に変更し、湿式法シリカCの配合量を30部に変更したこと以外は実施例3と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
[実施例6]
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカA(クォートロンPL−2:扶桑化学工業社製の商品名)の配合量を45部に変更し、湿式法シリカCの配合量を15部に変更したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカA(クォートロンPL−2:扶桑化学工業社製の商品名)の配合量を45部に変更し、湿式法シリカCの配合量を15部に変更したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
[実施例7]
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカAの代わりに一次粒子径が35nmで、二次粒子/一次粒子径の比が2.0のコロイダルシリカB(クォートロンPL−3:扶桑化学工業社製の商品名)を配合したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカAの代わりに一次粒子径が35nmで、二次粒子/一次粒子径の比が2.0のコロイダルシリカB(クォートロンPL−3:扶桑化学工業社製の商品名)を配合したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
[実施例8]
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカAの代わりに一次粒子径が52nmで、二次粒子/一次粒子径の比が2.0のコロイダルシリカC(クォートロンPL−5:扶桑化学工業社製の商品名)を配合したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカAの代わりに一次粒子径が52nmで、二次粒子/一次粒子径の比が2.0のコロイダルシリカC(クォートロンPL−5:扶桑化学工業社製の商品名)を配合したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
[比較例1]
塗工液Bの顔料として、湿式法シリカAを配合せず、その代わりに50%粒子径D50が5.2μm、粒度分布が1つのピークPA(6.0μm)を有する湿式法シリカD(ファインシールX−70:株式会社トクヤマ製の商品名、図4に粒度分布を示す)30部を配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Bの顔料として、湿式法シリカAを配合せず、その代わりに50%粒子径D50が5.2μm、粒度分布が1つのピークPA(6.0μm)を有する湿式法シリカD(ファインシールX−70:株式会社トクヤマ製の商品名、図4に粒度分布を示す)30部を配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
[比較例2]
塗工液Bの顔料として、湿式法シリカAを配合せず、その代わりに50%粒子径D50が4.8μm、粒度分布が1つのピークPA(5.2μm)を有する湿式法シリカE(ファインシールX−40:株式会社トクヤマ製の商品名、図5に粒度分布を示す)30部を配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Bの顔料として、湿式法シリカAを配合せず、その代わりに50%粒子径D50が4.8μm、粒度分布が1つのピークPA(5.2μm)を有する湿式法シリカE(ファインシールX−40:株式会社トクヤマ製の商品名、図5に粒度分布を示す)30部を配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
[比較例3]
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカAの配合量を20部に変更し、湿式シリカAの配合量を70部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Bの顔料として、コロイダルシリカAの配合量を20部に変更し、湿式シリカAの配合量を70部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
各実施例、及び各比較例で得られたインクジェット用記録媒体の評価を以下の方法で行った。
(1)面感
インクジェット用記録媒体のインク受理層表面の面感を目視で評価した。ここで面感とは、評価サンプルに写り込んだ光に対する反射光の強度、すなわち「光沢」と、評価サンプルに写り込んだ像の「鮮明さ」を総合的に評価したものである。評価が◎又は○であれば、実用上問題ない。
◎:非常に面感が良い
○:面感が良い
△:曇ったような面感である
×:光沢感が低い
インクジェット用記録媒体のインク受理層表面の面感を目視で評価した。ここで面感とは、評価サンプルに写り込んだ光に対する反射光の強度、すなわち「光沢」と、評価サンプルに写り込んだ像の「鮮明さ」を総合的に評価したものである。評価が◎又は○であれば、実用上問題ない。
◎:非常に面感が良い
○:面感が良い
△:曇ったような面感である
×:光沢感が低い
(2)光沢面の出来
インク受理層表面の荒れ、凹凸感を目視で評価した。評価が◎又は○であれば、実用上問題ない。
◎:荒れ、凹凸感がない
○:ほとんど荒れ、凹凸感がない
△:少し荒れ、凹凸感が見られる
×:荒れている、凹凸感が見られる
インク受理層表面の荒れ、凹凸感を目視で評価した。評価が◎又は○であれば、実用上問題ない。
◎:荒れ、凹凸感がない
○:ほとんど荒れ、凹凸感がない
△:少し荒れ、凹凸感が見られる
×:荒れている、凹凸感が見られる
(3)インクジェット記録試験
記録試験は染料インクを用いたインクジェットプリンター(iP−4500:キヤノン株式会社製の商品名)および顔料インクを用いたインクジェットプリンター(G−930:エプソン株式会社製の商品名)を用いて所定のパターンを記録し、下記の基準によって評価した。
a)インク乾燥性(ブリーディング)
赤と緑の混色べた部の境界で滲みを目視で評価した。評価が○であれば、実用上問題ない。
記録試験は染料インクを用いたインクジェットプリンター(iP−4500:キヤノン株式会社製の商品名)および顔料インクを用いたインクジェットプリンター(G−930:エプソン株式会社製の商品名)を用いて所定のパターンを記録し、下記の基準によって評価した。
a)インク乾燥性(ブリーディング)
赤と緑の混色べた部の境界で滲みを目視で評価した。評価が○であれば、実用上問題ない。
○:色の境界部が明瞭に分かれている
△:色の境界部で、若干滲みがある
×:色の境界部で、滲みが大きい
b)鮮やかさ
記録画像部の鮮やかさを目視で評価した。評価が○であれば、実用上問題ない。
○:鮮やか
△:若干鮮やかさが劣る
×:鮮やかに見えない
△:色の境界部で、若干滲みがある
×:色の境界部で、滲みが大きい
b)鮮やかさ
記録画像部の鮮やかさを目視で評価した。評価が○であれば、実用上問題ない。
○:鮮やか
△:若干鮮やかさが劣る
×:鮮やかに見えない
(4)顔料の平均粒子径および粒度分布
固形分15%となるように顔料スラリーを調製したのち、卓上ホモディスパーザーを使用し1500rpmにて60分混合して均一分散体とした。分散液をレーザー法粒度測定器(マルバーン社製 マスターサイザーS型)により粒度測定し、平均粒子径及び粒度分布を求めた。
得られた結果を表1に示す。
固形分15%となるように顔料スラリーを調製したのち、卓上ホモディスパーザーを使用し1500rpmにて60分混合して均一分散体とした。分散液をレーザー法粒度測定器(マルバーン社製 マスターサイザーS型)により粒度測定し、平均粒子径及び粒度分布を求めた。
得られた結果を表1に示す。
表1から明らかなように、インク受理層の顔料として、粒度分布が2つのピークを有する湿式シリカを用いた各実施例の場合、インク受理層の面感、光沢面の出来、印字の鮮やかさ、インク乾燥性の全てにおいて高い評価を得られた。但し、インク受理層の顔料として、一次粒子径が50μmを超えたコロイダルシリカを配合した実施例8の場合、鮮やかさが劣った。
一方、インク受理層の顔料として、粒度分布が2つのピークを有する湿式法シリカを配合しなかった比較例1、2の場合、面感は良好なものの、光沢面がきれいに形成されず、光沢面の出来が劣った。
インク受理層の顔料100質量部に対し、粒度分布が2つのピークを有する湿式シリカの配合量が50質量部を超えた比較例3の場合、各実施例と同等の塗料濃度としても顔料の分散、調製ができず、その分、塗料濃度を低くして塗工したために塗工がし難く、光沢面にムラが生じ、また印字の鮮やかさも劣った。
一方、インク受理層の顔料として、粒度分布が2つのピークを有する湿式法シリカを配合しなかった比較例1、2の場合、面感は良好なものの、光沢面がきれいに形成されず、光沢面の出来が劣った。
インク受理層の顔料100質量部に対し、粒度分布が2つのピークを有する湿式シリカの配合量が50質量部を超えた比較例3の場合、各実施例と同等の塗料濃度としても顔料の分散、調製ができず、その分、塗料濃度を低くして塗工したために塗工がし難く、光沢面にムラが生じ、また印字の鮮やかさも劣った。
Claims (6)
- 透気性を有する支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含むインク受理層をキャストコート法により設けたインクジェット用記録媒体であって、
前記インク受理層の顔料として、レーザー回折散乱法により体積基準で測定した粒度分布が2つのピークPA,PBを有し、そのうち前記ピークPAを含む分布曲線SAの粒子径の範囲内に50%粒子径D50が含まれ、かつ前記ピークPBは前記ピークPAより粒子径が小さく、前記ピークPBを含む分布曲線SBの粒子径の範囲が0.1〜1μmの間に存在し、かつ前記分布曲線SAとSBとにそれぞれ含まれる粒子の体積比が99.5:0.5〜90:10の範囲にある湿式法シリカを含有し、
前記インク受理層の全顔料100質量部に対して前記湿式法シリカを5〜50質量部含有するインクジェット用記録媒体。 - 前記湿式法シリカが沈降法シリカである請求項1記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記湿式法シリカの50%粒子径D50が1〜10μmである請求項1または2に記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記インク受理層の顔料として前記湿式法シリカの他に、一次粒子径が3〜70nmのコロイダルシリカを前記インク受理層の全顔料100質量部に対して25〜80質量部含む請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記キャストコート法が凝固法である請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記支持体と前記インク受理層との間に、顔料および結着剤を含有する下塗り層を少なくとも一層設けた請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
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