JPWO2010113521A1 - 大気中の降下煤塵の水平成分捕集器および水平成分の計測方法 - Google Patents

大気中の降下煤塵の水平成分捕集器および水平成分の計測方法 Download PDF

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Abstract

この大気中の降下煤塵の水平成分の捕集器は、天板、側壁、及び、4枚以上の仕切板を有する煤塵採取口と;通気管と;捕集容器と;を備え、前記側壁は、鉛直方向の中心軸を持ち、上方に向けて広がる本質的に円錐台または多角形錐台の側面の形状を有する板であり、前記側壁は、その上端近傍の特定の高さに、前記側壁の周方向に一定間隔で配置された4つ以上の開口を有する外気流入口を有し、前記天板は、本質的に円板の形状を有し、前記天板の中心軸は、前記側壁の中心軸と一致し、前記4枚以上の仕切板は、前記天板の中心軸上で互いに接続され、前記4枚以上の仕切板は、前記側壁によって囲まれた空間を水平断面において均等な大きさの扇状領域に分割する。

Description

本発明は、大気中の降下煤塵を捕集する装置、および、当該装置を用いた降下煤塵量の計測方法に関し、特に、降下煤塵の水平成分の捕集器、および、降下煤塵の水平成分量の計測方法に関するものである。
本願は、2009年4月1日に、日本に出願された特願2009−089492号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
以下の関連記述の説明と、本発明の説明において、同一の符号を付した部材の対応関係は、構成・機能上の一致を示すものではなく、例えば機能上や一般的な呼称の上での部分的な対応関係を示すに過ぎない。具体的な構成や、機能が大きく異なる場合も、同一の符号が付される場合がある。
種々の生産活動および消費活動に伴って発生する大気中の煤塵のうち、特に大気中を自由落下しうる概ね10μm超の直径である粗大な煤塵は降下煤塵と呼ばれる。降下煤塵は、重要な環境汚染項目のひとつとみなされており、その実態把握と対策が社会から強く求められている。降下煤塵の実態把握のためには正確に降下煤塵量を測定することが重要であり、このためには、まず、降下煤塵を正確に捕集する装置が必要である。
大気中の比較的粗大な粒子、例えば直径が10μm超の粒子である降下煤塵は、周囲の大気流れに完全には追従せず、降下煤塵粒子の密度や大きさに応じた異なる速度で大気中を落下して地上に沈着する。降下煤塵は、大気中に障害物があればその障害物に降下煤塵が衝突、付着する。このため、降下煤塵の環境影響は、特定物への降下煤塵の沈着、付着による汚染によって主に生じる。従って、降下煤塵の環境影響を評価するためには、単に降下煤塵の大気中濃度を測定するだけでは不十分であり、空間に固定された検査面を単位面積、単位時間当たりに通過する降下煤塵の量、即ち、降下煤塵の流束を測定する必要がある。
環境問題で対象とする降下煤塵の流束は、鉛直流束と水平流束に分離できる。鉛直流束では検査面が水平であり、主に地上への降下煤塵の沈着の評価に関係する。水平流束では検査面が鉛直であり、主に建屋の壁等の垂直面への降下煤塵の付着の評価に関係する。屋外大気の流れ、即ち風は、長時間平均では水平面内のベクトルを有するとみなせる。このため、鉛直流束には風速の影響がない。これに対し、水平流束は風速の関数である。より具体的には、降下煤塵の流束は以下の式で定義できる。
[降下煤塵の鉛直流束]=[降下煤塵の濃度]×[降下煤塵の落下速度]
[降下煤塵の水平流束]=[降下煤塵の濃度]×[検査面垂直成分風速]
このように、降下煤塵の水平流束を測定するためには、測定時に風向や風速を常に把握する必要がある。その上、測定装置自身に常に風向方向の降下煤塵流れを捕集できるような機能が必要である。一方、降下煤塵の鉛直流束測定にはこのような配慮は不要であり、降下煤塵の水平流束よりも簡易に測定することができる。このため、降下煤塵の公的な管理には専ら鉛直流束を測定する装置、例えば、図1に示すデポジットゲージが用いられてきた。デポジットゲージでは、煤塵採取口1は、上方に開口した漏斗状の形状である。煤塵採取口1の内面に降下沈着した降下煤塵を、雨水、または、捕集降下煤塵を回収する際の水洗によって、煤塵最終口1の下方に存在する捕集容器25に捕集降下煤塵を水とともに流入させて、降下煤塵を捕集する。
また、降下煤塵の水平流束は、次の式で鉛直流束から形式的に変換できる。
[降下煤塵の水平流束]
=[降下煤塵の鉛直流束]×[検査面垂直成分風速]/[降下煤塵の落下速度]
ここで、検査面垂直成分風速とは以下のように定義する。まず、問題にする地点に、仮想の検査平面を鉛直に設定する。このとき、検査面垂直成分風速は、上記地点における風の速度のうち、検査平面に垂直な方向に沿った成分である。
このため、降下煤塵の水平流束が問題とされる場合にも、鉛直流束の測定結果と上式を用いた簡易評価が一般的に行われてきた。しかし、実際には、多様、かつ、時間的に変動する、降下煤塵の落下速度を測定することは、定量的には困難であり、上記の式に基づいて降下煤塵の水平流束を算出することには誤差が大きい。従って、水平流束を問題とする場合には、水平流束を直接、測定することが測定精度上望ましい。降下煤塵の水平流束を直接測定するためには、何らかの捕集装置を用いて降下煤塵の水平成分を捕集し、この捕集量を、捕集時間と捕集装置の開口面積等の値を用いて降下煤塵の水平流束に換算する方法が一般的である。
ここで、降下煤塵量の水平成分について説明する。降下煤塵の付着(沈着)形態は、地面などの水平面に上方から降下煤塵の付着する降下煤塵の鉛直成分と、建屋の壁面や窓等の鉛直面に対して側方から降下煤塵の付着する降下煤塵の水平成分に分類できる。降下煤塵のように大きな粒子の場合、これら鉛直成分及び水平成分は、大気中に設定した仮想の水平面(鉛直流束の場合)、または、仮想の鉛直面(水平流束の場合)を通過する降下煤塵の量として定義できる。これらの仮想面を通過する降下煤塵の量を通過時間及び仮想面面積で除すことにより、降下煤塵量の鉛直成分や水平成分を、降下煤塵の鉛直流束や水平流束にそれぞれ換算することができる。
降下煤塵量の水平成分を直接測定する方法には、降下煤塵水平成分捕集器法、並びに、等速吸引法の2種類が存在する。
降下煤塵の水平成分を直接測定する第1の方法である、降下煤塵水平成分捕集器法について説明する。この方法では、煤塵採取口の外気流入口を水平面に対して概ね垂直に配置する。この煤塵採取口の外気流入口から外気に存在する風を、外気中の降下煤塵と共に自然に流入させる。次に、煤塵採取口内で降下煤塵を外気から分離して、煤塵採取口に接続された捕集容器に捕集する。さらに、捕集容器に捕集された降下煤塵を回収してその質量を測定する。この結果から、単位時間当たりの降下煤塵捕集捕集量が求められる。この降下煤塵捕集捕集量と、煤塵採取口の開口面積から降下煤塵の水平流束を算出する。
この方法の装置は、一般に、動力機構や制御機構を必要としないため、簡易な装置構成となる。正確に降下煤塵の水平成分を捕集するために、理想的な構造は以下のようになる:降下煤塵の水平成分捕集器では、外気流入口を外気の風向に直交させる;外気流入口における大気流入流速を外気の風速と概ね同等とする;これに加え、煤塵採取口内に流入した降下煤塵のなるべく多くの部分を、装置からの流出大気から分離して装置内に貯留する。降下煤塵の水平成分とは、降下煤塵の、外気の風による水平方向移流成分のことである。時間当たり及び外気流入口開口面積当たりに捕集された降下煤塵の水平成分の量が降下煤塵量水平流束である。
このように、理想的な、降下煤塵の水平成分捕集器においては、捕集された、降下煤塵の水平成分量が捕集地点での降下煤塵量の水平流束に常に比例する。このため、降下煤塵量の水平流束を求める際に風速情報が一切、不要であり装置構造及び分析手法を単純化できる。この点が、通常、現地風速情報を必要とする、他の測定手法に対して降下煤塵水平成分捕集器法の大きな利点である。
しかしながら、この様な理想的な降下煤塵の水平成分捕集器は仮想のものであり、実際の降下煤塵の水平成分捕集器では、前記の、理想的な降下煤塵水平成分捕集器を実現するための前記の条件の全てを満たすことは困難である。このため、現実の降下煤塵水平成分捕集器において降下煤塵の水平成分捕集量は、現地での真の降下煤塵量水平流束から換算される理想的な降下煤塵水平成分量よりも少ない値となる。
特定の降下煤塵の水平成分捕集器での降下煤塵水平成分捕集量のこの理想的な降下煤塵の水平成分捕集量に対する比率を降下煤塵捕集効率とよぶ。個別の装置ごとの降下煤塵捕集効率は予め試験によって求めておくことができる。この場合、この計器で降下煤塵質量を測定した後、この降下煤塵捕集効率を用いて測定値を較正できる。これにより、計器の降下煤塵捕集効率が100%でない場合でも、降下煤塵の水平成分捕集器を用いた測定によって降下煤塵の水平流束を高精度で求めることも可能である。また、複数地点・複数時点の降下煤塵量水平流束の相対的な関係のみを問題にするのであれば、理想的な降下煤塵水平成分捕集量を意識する必要は必ずしも無い。この場合、予め定めた規準捕集量に対する、実際の降下煤塵水平成分捕集量の比を求め、この値を降下煤塵水平流束の傾向管理等に用いることもできる。
このような降下煤塵水平成分捕集器の使用方法であっても、現地風速情報無しに降下煤塵量水平流束の傾向を測定できるという降下煤塵水平成分捕集器法の利点が根本的に損なわれるわけではない。但し、降下煤塵捕集効率の低い捕集器の場合には、質量測定手法から定まる質量計測を行うために最低限必要な降下煤塵質量を得るためには装置を大型化させる必要がある。また、降下煤塵捕集効率が気象条件によって大きく変動する捕集器の場合には、降下煤塵の水平流束を求める際の較正を精度よく行うことが困難になるため、測定精度が低下する。従って、降下煤塵の水平成分捕集器においては、降下煤塵捕集効率が高く、かつ、安定していることが求められる。以下、具体的な降下煤塵水平成分捕集器の型式について説明する。
降下煤塵の水平流束の捕集器として、煤塵採取口内に風を自然に流通させ、流入する風に含まれる降下煤塵の一部を慣性、または、重力集塵することにより降下煤塵を捕集し、その結果に従って降下煤塵の水平流束を測定する装置が開示されている。非特許文献1には、この形式の粒子捕集器が複数開示されている。その代表的なものは、図2A、2Bに示すbig spring number eight(BSNE)である。
BSNEにおいて、外気流入口10から煤塵採取口1内に自然流入した大気は、流路の拡大とともに装置内で減速する。この後、煤塵採取口を通過する大気流れ17の流線に示されるように、大気は、装置上面に設けられた金網である排気口8から自然流出する。煤塵採取口内で風が減速することにより、煤塵採取口1内での降下煤塵の滞留時間が増大し、この間に降下煤塵は煤塵採取口内で長距離、自由落下する。このように、外気の流れ15の風速よりも煤塵採取口内での風速を減少させることによって煤塵採取口1内での降下煤塵の滞留時間を増大させる。上記のように、降下煤塵の落下距離を長大化させる効果を発揮する煤塵採取口1内部位を減風領域13と呼ぶことにする。減風領域13で落下した大気中の降下煤塵は、捕集される降下煤塵19の流線のように、装置内を通過する際に自由落下、または、装置下流端の壁に衝突して流路の下方に設けられた金網30を通過して粒子捕集器44に沈着して捕集される。
煤塵採取口1内の煤塵の一部は、煤塵採取口を通過する降下煤塵20の流線のように、排気口8から外気中に流出する。また、装置全体は水平方向に回転可能であり、装置に付属する羽根23と回転軸24の作用により、外気採取口10が常に風上方向を自動的に向く機構となっている。この装置は、風向に応じて外気流入口10を自動的に旋回させる機構を備えるために、降下煤塵の水平成分捕集器としては構造が複雑、かつ、大型化し易い問題点がある。また、この装置では煤塵採取口1内での大気からの降下煤塵の分離が必ずしも効率的でないため、非特許文献1に記載のとおり、降下煤塵の捕集効率は、高いものではない。
非特許文献1には、降下煤塵の水平流束捕集器として、suspended sediment trap(SUSTRA)やModified Wilson & Cooke sampler(MWAC)が紹介されている。SUSTRAの降下煤塵の捕集原理は、BSNEと基本的に同様である。図7A、7Bに示されるMWAC煤塵採取器は:風上方向に開口を設けたL字管である外気流入口10と;風下方向に開口を設けたL字管である排気口8と;を備えた捕集瓶を含む。MWACには煤塵採取口の外気流入口10を風向方向に追従させる特段の機構はない。このため、常に風向風速の変化する外気中で長時間の降下煤塵の水平成分を捕集する捕集器としては好適でない。
降下煤塵の水平成分を直接測定する第2の方法である、等速吸引法について説明する。
この方法では、瞬時の風向及び風速を計測する。また、煤塵採取口の外気流入口を水平面内で常に風向に対して直交させる。その上、外気流入口において、外気風速と同一速度で、降下煤塵を含む外気の吸引を行う。さらに、吸引した大気中の降下煤塵を捕集フィルタ等で捕集する。この結果単位時間当たりに捕集された降下煤塵質量を計測し、この計測値と外気流入口の開口面積とから降下煤塵の水平流束を算出する。この方法を実現する場合、一般に、外気の吸引、並びに、外気流入口の方向を変更するための動力機構及び制御機構を備えた装置となる。
次に、等速吸引法によって降下煤塵の水平流束を測定する原理について説明する。一般に、粗大な粒子である降下煤塵は風の流れに完全には追従しない。降下煤塵量測定装置の煤塵採取口1において、図3に示すように風向と異なる向きで吸引を行う場合や、図4に示す様に風速と異なる速度での吸引を行う場合がある。このような場合、吸引される大気16とともに外気中の降下煤塵が煤塵採取口1に吸引されるとは限らず、図3,4中に示される外気中の降下煤塵18のように、外気流入口10を迂回してしまう煤塵の割合が無視できないほど大きい。さらに、この迂回する降下煤塵の割合は、様々な気象条件および降下煤塵特性、並びに、装置形状の影響に敏感に影響を受ける。このため、前記迂回する降下煤塵割合の予測も困難である。従って、図3、4の方式の吸引は、降下煤塵の水平流束を測定するための降下煤塵捕集方法として好ましくない。具体的にこのような降下煤塵採取方法は、特許文献1、2等に示されている。これらの装置では外気流入口10での外気吸引速度が常に一定なので、外気の風速と外気流入速度は一般に一致しない。また、外気流入口10を配置する向きは通常、固定される場合が多い。従って、常に変化する外気の風向と、外気流入口10の向きとは、一般に一致しない。このため、非特許文献4に開示されているように、この種の煤塵採取口1での直径10μm超の粒子(即ち、降下煤塵と同等の大きさの粒子)の煤塵捕集効率は数%以下と極めて小さい。また、この煤塵捕集効率は風速等の周囲の測定条件の影響を強く受けるため、屋外実測時に煤塵捕集効率を精度良く把握することも困難である。このため、降下煤塵の水平流束を測定するための大気中の降下煤塵を捕集するための煤塵採取口1の外気流入口10では、外気の風向および風速とほぼ同じ速度で大気が流入させる、即ち、等速吸引法が必要である。
等速吸引法の具体例としては、特許文献2に記載される方法がある。図16を用いてこの方法を仕様する装置の構造を説明する。ブロワまたは圧縮機7を用いて、降下煤塵を含む外気を外気流入口10から吸引し、降下煤塵のみを捕集フィルタ35で捕集する。降下煤塵を除去された大気は、排気口8から系外に排出される。外気の風速を風向風速計31で測定して常に煤塵採取口1入口での大気流入速度をこの風速に一致するようにブロワまたは圧縮機7での吸引流量を制御して降下煤塵を含む大気を煤塵採取口1に吸引する。等速吸引は、風向が固定されている煙道内での降下煤塵流束を測定する際に主に適用されている。降下煤塵の水平流束を把握するために、屋外での降下煤塵捕集に等速吸引を適用する際に、風速の制御を行い、これに加えて煤塵採取口1の向きが常に風向方向となるように制御する方法が特許文献4、5に開示されている。これらの方法は水平流束測定に関する降下煤塵捕集の最も確実な手法である。
しかし、この場合、複雑な装置構成及び制御が必要であり、装置が高価、かつ、大型化しやすいため、簡便な測定方法とはいえない。
また、非特許文献3に示すローボリュームサンプラ、または、ローボリュームサンプラの吸引流量を増大させたものであるハイボリュームサンプラを、別途設けた風向風速計と組み合わせ、さらに、外気流入口の向き及び吸引流速を手動で常時、修正することによって等速吸引に適用することも原理的には可能である。この装置では、吸引した大気中の降下煤塵をフィルタでろ過し、フィルタの重量変化をオフラインで測定することにより、捕集した降下煤塵の質量を算出する。しかし、この方式の場合、機側での連続的なオペレータによる作業が必要なため、長期間の降下煤塵の水平流束を測定する方法としては現実的でない。
また、降下煤塵捕集とは逆の目的、即ち、大気中の微小な(例えば、直径10μm以下)粒子であるsuspended particulate matter(SPM)を降下煤塵から分離して捕集したい場合には、等速吸引状態が極力、発生しない煤塵採取口構造であることが望ましい。この観点から、外気を吸引して吸引大気中のSPM濃度を計測する市販のSPM計測装置の場合、降下煤塵の吸引を抑制するために、特許文献3に開示される図6A、6Bに示す形状の煤塵採取口を採用する場合がある。図6A、6Bの煤塵採取口は、10μmに近いSPMとしては粗大な粒子を吸気口9に吸引するために、煤塵採取口の内部に流れを阻害する構造物14を備えている。この煤塵採取口は、直径10μm以下の粒子を測定対象とする、SPM計測装置に適用されることを前提としている。このため、直径10μm超の粒子である降下煤塵の捕集に関して配慮されていない。このため、煤塵採取口内に流入した降下煤塵の大半は、図中で符号20で示した経路を通って、そのまま系外に排出されてしまう。その結果、この形状の煤塵採取口の場合、降下煤塵捕集効率は、非特許文献4に示されているように、5%以下と極めて低いものとなる。従って、この形状は、降下煤塵の捕集用には好適でない。
次に、降下煤塵の湿性沈着物と乾性沈着物について説明する。降下煤塵粒子が地表や壁面に沈着する際の物理機構として、降下煤塵粒子単独で沈着する乾性沈着と、雨に取り込まれた降下煤塵粒子が雨滴とともに沈着する湿性沈着の2種類に分類できる。雨天時に捕集された降下煤塵を湿性沈着物、非雨天時に沈着した降下煤塵を乾性沈着物と大別できる。同じ種類や大きさの降下煤塵であっても、乾性沈着であるか湿性沈着であるかによって、降下煤塵発生源から周囲への飛散範囲や環境への影響が異なるので、乾性沈着物と湿性沈着物を分離して捕集することが環境管理上、求められる。
また、降下煤塵は、水溶性の観点からも分類でき、水溶性のものと非水溶性のものに分けられる。水溶性降下煤塵と非水溶性のものでは、降下煤塵の主成分が互いに異なって環境影響にも違いが存在するので、行政では一般に両者を分離して降下煤塵管理を行っている。従って、降下煤塵は、乾性沈着で水溶性、乾性沈着で非水溶性、湿性沈着で水溶性、並びに、湿性沈着で非水溶性の4種類に分離できる。この分類に従って、降下煤塵を捕集することが、降下煤塵管理上、望ましい。
降下煤塵の鉛直成分の捕集器において、この4分類を実現する方法として、図5に示す構造の降水サンプラが市販されている。この装置は、湿性沈着物用捕集容器36と乾性沈着物用捕集容器37の上方に湿性沈着物用煤塵採取口38と乾性沈着物用煤塵採取口39を設け、さらにこれら採取口の上方に煤塵採取口蓋40と蓋開閉機構および蓋開閉制御装置41、感雨器42、並びに、装置保護用の筐体43から構成される。雨天時に感雨器42が降雨を検出すると、蓋開閉制御装置は蓋開閉装置を動作させて乾性沈着物用煤塵採取口39に煤塵採取口蓋40を閉じる。この際、湿性沈着物用煤塵採取口38は、外気に開放され、湿性沈着物である降下煤塵は、雨滴とともに湿性沈着物用煤塵採取口38内に落下して流下した後、湿性沈着物用捕集容器36に捕集される。降雨のない場合には煤塵採取口蓋40の開閉を上記とは逆にして、乾性沈着物である降下煤塵が乾性沈着物用捕集容器37に捕集される。この装置の場合、感雨計等のセンサや開閉制御装置が必要なため、構造が複雑で動力も必要とする。また、デポジットゲージとは異なり、乾性沈着物採口1には降雨が一切流れ込まないため、この煤塵採取口内面に付着した粒子が容器底に洗い落とされることがなく、煤塵採取口蓋40開放時の風の吹き込みによる再飛散によって乾性沈着物の捕集量が著しく低下するという問題も存在する。
一方、降下煤塵水平成分捕集器では、降雨の有無に係わらずに降下煤塵の捕集が可能ではあるものの、降下煤塵の水平成分を降水サンプラの様に降雨の有無で切り替えて捕集する装置は、従来存在しなかった。降雨サンプラでの考え方と同様に、粒子採取口及び排気口を雨天を検出して開閉する機構とすれば、原理的には湿性沈着物と乾性沈着物となる降下煤塵水平成分を切り分けて捕集することは可能と考えられる。しかし、BSNEにみられるように、降下煤塵水平成分捕集器は風向に追従して煤塵採取口を回転させるものが多い。このため、蓋の開閉機構や計測制御装置を捕集器に追加することは、降雨サンプラ以上に、装置と制御の複雑化を招き、効率的な方法とは考えられない。また、等速吸引法等でハイボリュームサンプラ等の空気フィルタを用いて降下煤塵を捕集する降下煤塵の水平成分捕集装置では、強い降雨の際に雨滴がフィルタに付着すると、フィルタの吸気抵抗が急上昇して、吸引の継続が困難になる問題がある。このため、これらの捕集装置はそもそも湿性沈着物の捕集には不向きである。
微量である降下煤塵の成分分析には、例えば、非特許文献5に示されように、一般的に市販のイオンクロマトグラフィー分析装置を用いたイオンクロマトグラフ法や、市販の蛍光X線分析装置を用いた蛍光X線法が用いられる。
日本国特開2006−3090号公報 日本国特許第3574045号公報 日本国特開2004−144664号公報 日本国実開平4−136551号公報
Goossens, D., Offer, Z. Y.: Atmospheric Environment, vol.34 (2000),pp.1043−1057. 日本工業規格、JIS Z 7151 日本工業規格、JIS Z 8814 R. M. Harrison, R. E. van Grieken: Atmospheric Particles, John Wiley & Sons (England), 1998, pp.47−53. 慶応義塾大学理工学部環境化学研究室編: 首都圏の酸性雨, 2003, 慶応大学出版会(東京).
以上述べたように、従来技術の降下煤塵の水平流束測定装置は、いずれも、降下煤塵捕集効率が低いか、または、高価で複雑な構造のものであった。また、降下煤塵の水平成分を湿性沈着物と乾性沈着物に分離する手法も存在しなかった。
本発明は、降下煤塵捕集効率が高く、かつ、小型、かつ、簡易な構造で安価な、大気中の降下煤塵の水平成分捕集器を提供することを一つの目的とする。
併せて、降下煤塵水平成分を湿性沈着物と乾性沈着物に分離する方法を提供することも一つの目的とする。
本発明者の降下煤塵計測に関する研究の結果、以下の解決方法を発明するに至った。
(1) 本発明の一つの態様にかかる大気中の降下煤塵の水平成分の捕集器は、天板、側壁、及び、4枚以上の仕切板を有する煤塵採取口と;通気管と;前記煤塵採取口から流入する降下煤塵を前記通気管を通じて回収する捕集容器と;を備え、前記煤塵採取口は前記通気管に接続され、前記通気管は前記捕集容器に接続され、前記側壁は、その下端に開口である吸気口を有し、前記吸気口は前記通気管と接続され、前記側壁は、鉛直方向の中心軸を持ち、上方に向けて広がる本質的に円錐台または多角形錐台の側面の形状を有する板であり、前記側壁は、その上端近傍の特定の高さに、前記側壁の周方向に一定間隔で配置された4つ以上の開口を有する外気流入口を有し、前記天板は、本質的に円板の形状を有し、前記天板の中心軸は、前記側壁の中心軸と一致し、前記天板は、前記側壁の上端に接するように接続され、前記4枚以上の仕切板のそれぞれは、鉛直面内に配置される平板であり、前記4枚以上の仕切板のそれぞれは、前記側壁及び前記天板と、隙間を生じないように接続され、前記4枚以上の仕切板は、前記天板の中心軸上で互いに接続され、前記4枚以上の仕切板は、前記側壁によって囲まれた空間を水平断面において均等な大きさの扇状領域に分割する。
(2) 上記(1)の捕集器において、前記天板の直径は、前記側壁の上端部における水平断面の直径よりも大きく、前記天板は、前記側壁の上端部から周方向外側に延出するひさし部分を有してもよい。
(3) 上記(1)の捕集器において、前記天板の直径と前記側壁の上端部における水平断面の直径とが一致してもよい。
(4) 本発明の一つの態様にかかる大気中の降下煤塵の水平成分捕集器は:上記(3)に記載の大気中の降下煤塵の水平成分捕集器である第1の捕集器と;上記(2)に記載の大気中の降下煤塵の水平成分捕集器である第2の捕集器と;を備える。
(5) 上記(2)に記載の捕集器において、前記天板のひさし部分の半径方向長さが、[前記天板のひさし部分の半径方向長さ]<[外気の代表風速]/[捕集したい降下煤塵の自由落下速度]×[前記天板下面と前記吸気口下端間の鉛直方向長さ]および、[前記天板のひさし部分の半径方向長さ]>[外気の代表風速]/[捕集したくない、最小直径時の雨滴の自由落下速度]・[前記天板下面と前記吸気口下端間の鉛直方向長さ]を満たしてもよい。
(6) 本発明の一つの態様にかかる方法は、上記(1)〜(3)のいずれかの捕集器を用いた大気中の降下煤塵の水平成分の計測方法であって、単位時間当たりに前記水平成分捕集器に捕集された降下煤塵量を前記外気流入口の有効開口面積で除した値を降下煤塵の水平流束として算出する。
(7) 上記(4)の計測方法において、前記第2の捕集器によって捕集された降下煤塵量を降下煤塵の水平成分の乾性沈着物の量とし;前記第1の捕集器によって捕集された降下煤塵量から前記第2の捕集器によって捕集された降下煤塵量を減じた残りの降下煤塵量を、降下煤塵の水平成分の湿性沈着物の量として算出してもよい。
本発明により、小型で簡易、かつ、安価な構造で降下煤塵の水平流束計測が可能な降下煤塵の水平成分捕集器を提供できる。また、本発明の一態様によれば、乾性沈着物である降下煤塵の水平成分と湿性沈着物である降下煤塵の水平成分を分離することも実現できる。
従来技術の模式図である。 他の従来技術の模式断面図である。 他の従来技術の模式上面図である。 他の従来技術の模式図である。 他の従来技術の模式図である。 他の従来技術の模式図である。 他の従来技術の模式図上面図である。 他の従来技術の模式図断面図である。 他の従来技術の模式上面図である。 他の従来技術の模式断面図である。 本発明の第1実施形態の模式図である。 上記実施形態における粒子採取口の模式側面図である。 上記実施形態における粒子採取口の模式上面図である。 上記実施形態における粒子採取口の模式断面図である。 上記実施形態における粒子採取口の別の模式断面図である。 図9Aから図9Dの粒子採取口内における流れ場の模式上面図である。 上記流れ場の模式断面図である。 上記流れ場の他の模式断面図である。 上記実施形態の作用に関する模式図である。 上記実施形態の作用に関する他の模式図である。 上記実施形態の作用に関する他の模式図である。 本発明の第2実施形態の模式図であり、側面図である。 上記実施形態の上面模式図である。 図14BのA−A断面模式図である。 図14BのB−B断面模式図である。 本発明の第3実施形態である。 他の従来技術の模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[第1の実施形態]
以下、図8から図10Cを用いて、本発明の第1の実施形態について説明する。
本実施形態に係る装置(連続式煤塵量計測装置6とも呼ばれる)は、煤塵採取口1、通気管5、並びに、捕集容器25から構成される。煤塵採取口1には、外気及び外気中の降下煤塵が外気の風によって自然に流入する。煤塵採取口1は通気口9において通気管5と接続する。煤塵採取口内1の一部または全ての降下煤塵は、煤塵採取口1内で落下し、通気管5を通じて捕集容器25に捕集される。
(煤塵採取口1)
図9A〜図9D及び図10A〜図10Cを用いて煤塵採取口1を説明する。煤塵採取口1は、外気流入口10を設けた側壁2、天板3、並びに、仕切板4を有する。
(煤塵採取口1の側壁2)
側壁2は鉛直方向を中心軸とし、上端及び下端の開放された本質的に円錐状(ろうと状)の板である。側壁2は上方に向けて広がる形状である。側壁2は、中心軸を鉛直線上とした錐体台の側面に相当する部分を板で構成したものを典型とする。この錐体台の上底及び下底の形状は円形でもよいし、または、少なくとも4つ以上の頂点を有する正多角形等の円形に近い形状であってもよい。例えば、上面及び底面が円形の場合、側壁2の形状は円錐台の側面となる。また、側壁2で囲われた空間の任意高さの水平断面は、円形または正多角形等の円形に近い形状であり、かつ、これらの水平断面の中心、または、重心は同一の鉛直線上に常に位置する。この水平断面の断面積は、前記の円錐台の下端から上端に向けて単調に増大する。
さらに、前記の板面には、前記の板の面積に比較して十分に小さい、開口(例えば、吸排気口等)や突起(例えば、固定用ボルトの頭)が存在してもよい。上記開口や上記突起の面積は例えば前記の板の面積の10%未満の断面積であるのが好ましい。このように、本実施形態では、本質的に円錐状の側壁2とすることによって、煤塵採取口1の降下煤塵捕集効率の風向への依存性を小さくすることができる。この観点から、側壁2は、軸対称形状であることが好ましい。但し、加工上の便宜等の理由から、水平断面が正多角形等の円形に近い形状や、水平面内での異方性の比較的小さい形状のものでも、十分な作用効果が得られる場合がある。例えば、水平断面が正6角形、正8角形、正12角形、正16角形、などでもよく、水平断面の角数が多いほど異方性が低くなる。
側壁2下端の開放部は通気口9であり、通気管5に接続する。煤塵採取口1内に流入した降下煤塵の一部は側壁2の傾斜に沿って沈降して通気口9に至り、通気管5に吸引される。側壁2の勾配は水平面に対して少なくとも45°以上、好ましくは65°以上であることが望ましい。この場合、側壁2の水平面に対する平均勾配が十分大きく、煤塵採取口1内で煤塵が沈降する際、降下煤塵の大半が側壁2に付着されずに通気管5に吸引される。一方、水平面に対する勾配が極端に大きい場合には、煤塵採取口1の軸方向長さが長大となり、表面積が増大するため、降下煤塵の壁面付着の観点から不利になるので、側壁2の水平面に対する勾配は、85°以下であることが好ましい。
側壁2の厚みは少なくとも10mm以下、好ましくは3mm以下であることが望ましい。この場合、側壁2の厚みが十分小さく、側壁2に設けられる外気流入口10の通気抵抗が小さくなって外気が煤塵採取口1内へ十分に流入する。一方、極端に薄い側壁2の場合、風によって側壁2が振動して共振等の問題を生じるので、側壁2の厚みは0.3mm以上であることが好ましい。
側壁2内面の材質は、静電気による降下煤塵の壁面への付着を防止するために、金属、ガラス、または、セラミックスであることが好ましい。また、側壁2内面は、降下煤塵の付着を抑制するために、平滑であることが好ましい。この観点から、側壁2内面の材質が金属である場合には、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛めっきやクロムめっき等の防錆表面処理鋼、銅、銅合金、マグネシウム合金、チタン、並びに、チタン合金等を用いることができる。また、側壁2内面にセラミックスを用いる場合には、側壁2内面の吸湿による降下煤塵付着を防止するために、磁器やせっ器等を用いることができる。側壁2内面にガラスを用いる場合には、ソーダガラス、鉛ガラス、または、シリカガラス等を用いることができる。
側壁2は屋外で強風を受け、かつ、日照や降雨にさらされるので側壁2には強度と耐候性が必要である。この観点から、側壁2の構造材には、鋼、合金鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、マグネシウム合金、チタン、チタン合金等の金属や、磁器やせっ器等のセラミックス、ソーダガラス、鉛ガラス、シリカガラス等のガラス、または、硬質塩化ビニルやアクリル等の硬質合成樹脂等を用いることができる。
側壁2の開口である外気流入口10は、側壁2の上端近傍の一定の高さに、周方向に一定間隔で同一形状のものを複数個、設ける。外気流入口10の上端は、側壁2の上端と一致してもよいし、側壁28の上端より低い位置でもよい。後述の外気流入口10下端の高さ制約及び外気流入口10の総面積の制約によって外気流入口10の上端高さが導出されるので、この制約範囲の中で外気流入口10の上端高さは、適宜、定めればよい。外気流入口10の下端の軸方向位置は、降下煤塵の捕集特性を向上させるために、側壁2上端から側壁2軸方向に側壁2高さの1/5以内の距離であることが好ましい。
外気流入口10の形状は、降下煤塵捕集効率の風向への依存性を低減するために、周方向に対称であることが好ましく、円、楕円、長方形、台形、二等辺三角形等の形状を用いることができる。個々の外気流入口10は、降下煤塵捕集効率の風向への依存性を低減するために、軸方向の対称位置に配置し、同一形状でなければならない。
外気流入口10の数は、4個以上である必要があり、好ましくは、8個から36個であることが望ましい。これは、本発明者の調査の結果、外気流入口10の開口に対する垂直方向単位ベクトルの水平面への投射ベクトルと風向のなす角が35°以上の場合、同一風速時の煤塵採取口1内への風の流入量が極端に低下して降下煤塵捕集効率を低下することが判明したからである。このため、外気流入口10が3個以下の場合、いずれの外気流入口10においても前記の外気流入口10と風向のなす角が35°以上となって降下煤塵捕集効率を極端に低下させる風向が生じうる。外気流入口10の数が多いほどこのような風向の影響は軽減される。
しかし、後述のように、外気流入口10の総面積には好ましい最大値が存在し、この最大面積までは総面積を増大させるほど、捕集できる降下煤塵量が増大する。このため、外気流入口10の総面積は、この最大面積に近い条件に設定することができる。このとき、外気流入口10の数を増大させると、外気流入口10あたりの有効開口面積が減少する。このため、外気流入口10の数の多い場合には吸気抵抗を増大させて降下煤塵の捕集効率を低下させる問題を生じるため、極端に多数の外気流入口10を設けることは問題である。
外気流入口10の外側端面は、ここでの流入大気の剥離による降下煤塵の壁面への付着を防止するために、金属、ガラス、または、セラミックスであることが好ましい。また、側壁2内面は、降下煤塵の付着を抑制するために、平滑であることが好ましい。この観点から、側壁2内面の材質が金属である場合には、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛めっきやクロムめっき等の防錆表面処理鋼、銅、銅合金、マグネシウム合金、チタン、並びに、チタン合金等を用いることができる。また、側壁2内面にセラミックスを用いる場合には、側壁2内面の吸湿による降下煤塵付着を防止するために、磁器やせっ器等を用いることができる。側壁2内面にガラスを用いる場合には、ソーダガラス、鉛ガラス、または、シリカガラス等を用いることができる。側壁2は屋外で強風を受け、かつ、日照や降雨にさらされるので側壁2には強度と耐候性が必要である。この観点から、側壁2の構造材には、鋼、合金鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、マグネシウム合金、チタン、チタン合金等の金属や、磁器やせっ器等のセラミックス、ソーダガラス、鉛ガラス、シリカガラス等のガラス、または、硬質塩化ビニルやアクリル等の硬質合成樹脂等を用いることができる。外気流入口10の外側端面は、ここでの流入大気の剥離による降下煤塵採取効率低下を低減するために、面取りすることが望ましい。
(煤塵採取口1の天板3)
天板3は、側壁2に前記側壁2の中心軸と中心軸が一致するように前記側壁2の上端に接する。
天板3は、風向への依存性を低減させるために本質的に円板でなければならない。「本質的に円板」であるとは、水平面内での天板の異方性が小さく、かつ薄い構造物であることを意味する。具体的には、天板3は、円板であることが望ましい。但し、加工上の便宜等の理由があれば、少なくとも4つ以上の頂点を有する正多角形等の円形に近い形状のものであってもよい。また、降雨時の天板上での排水性を考慮して、天板を傾斜の緩やかな(即ち、鉛直方向に薄い)円形ドーム形状としてもよい。例えば、ドームの最大勾配が10°以下である円形ドームを適用することができる。天板が鉛直方向に厚い構造である場合、天板の空気抵抗が大きくなって煤塵採取口への外気流入を妨げるので、好ましくない。
天板の材質は、屋外で構造を維持できる程度の強度があり、かつ、雨水を透過しないものであればどのようなものであってもよい。具体的には前記の側壁2に適用可能な材料であれば、天板3に適用することができる。また、空気抵抗を減少させるために、天板の端面を鋭角や流線形形状にしてもよい。
(煤塵採取口の仕切板)
仕切板4は、天板3及び側壁2上端を含む側壁2の上部と隙間なく接続し、かつ、煤塵採取口1の中心軸において仕切り板同士も互いに端面を接するように配置される。その結果、採取口内上部は、外気流入口10及び下方のみに開口を有する水平断面扇状の小領域27に分割される。煤塵採取口の周方向に同一断面形状の扇状小領域27が複数配置されるように、仕切板4は設置される。ここで、この扇状小領域27の数が3つ以下の場合、外気の風の上流側外気流入口からこの扇状小領域に流入した大気の大半は、図10A〜10Cに示すような、仕切板4の下端をまわりこんで減風領域13を通過することなく、同じ扇状小領域の下流側の外気流入口から直接、流出する。前述のように、減風領域において大気中の降下煤塵は大気から分離および濃縮されるので、扇状小領域27が3個以下の場合には、通気口9に到達する降下煤塵の比率、即ち、降下煤塵捕集率が低いという問題がある。
一方、扇状小領域27が4個以上の場合、大気の流入する扇状小領域27’の外気流入口から流入した大気の大半は、仕切板4の下端をまわりこんで減風領域13を通過する。この後、流入した空気は、流入した扇状小領域27とは別の扇状小領域27”から再び外気中に流出するか、または通気口に落下して捕集容器に捕集される。この間、減風領域13において大気中の降下煤塵の大半が、流出する大気から分離して通気口9に吸引され、その結果、高い降下煤塵捕集効率が得られることを本発明者は見出した。
従って、扇状小領域27の数は4個以上である必要があり、これを実現するために、仕切板の数も4個以上でなければならない。また、扇状小領域に外気を直接、流入させるために、扇状小領域27には必ず1つ以上の外気流入口が存在しなければならない。外気流入口10には好ましい断面積の最小値が存在するため、扇状小領域の数が増えるほど、全ての外気流入口10断面積を合計した総面積が増大する。後述のように、外気流入口10の総面積には好ましい範囲の最大値が存在するので、扇状小領域の数、即ち、仕切板の数にも好ましい最大値が存在する。本発明者の調査の結果、扇状小領域の数、即ち、仕切板の数は16個以下であることが望ましい。仕切板4の軸方向長さは、外気流入口10の軸方向長さの2倍以上であることが望ましい。この場合、本発明者が調査した結果である図12に示すように、煤塵採取口1内中心軸上での最大水平風速/平均水平風速が1を大きく上回らない。即ち、降下煤塵採取口1内で水平方向に吹き抜けが生じず、降下煤塵の捕集効率が著しく向上する。
また、仕切板4の軸方向長さ(高さ)は、各仕切板4で同一であり、煤塵採取口1の軸方向長さの0.5倍以下であることが望ましい。本発明者が調査した結果である図13に示すように、この場合、後述の、煤塵採取口1の降下煤塵捕集効率パラメータP1(定義は後述する)が十分に大きくなる。このため、降下煤塵の捕集効率が十分に高い。つまり、降下煤塵捕集効率パラメータP1が大きいほど、煤塵採取口1における降下煤塵の捕集効率が高い)。特に、煤塵採取口1の軸方向長さと一致するような極端に長い仕切板4の軸方向長さとした場合には、降下煤塵捕集効率パラメータP1低下以外の問題として、煤塵採取口1内で仕切板4による通気抵抗が大きく増大する。これによって外気の煤塵採取口への流入量が極端に低下する結果、降下煤塵の捕集効率も低下する問題が生じる。
以下、[仕切板4の軸方向長さ]/[煤塵採取口1の軸方向長さ]の値をL1と記載する。また、[仕切板4の軸方向長さ]/[外気流入口10の軸方向長さ]の値をL2と記載する。
また、図13を参照してL1の値が0.5を境に特性曲線の傾向が変化する理由について説明する。L2は、大きいほど吹き抜けが生じにくい効果が高いが一方で外気流入口面積の減少を招き、降下煤塵捕集量を減少させがちになる。このため、L2は、好適な下限値である2程度で設計する場合が多い。
この様な条件では、図13のようにL1が0.5以下では降下煤塵捕集効率パラメータP1はほぼ一定である。これに対してL1が0.5を超えると降下煤塵捕集効率パラメータP1は急速に減少する。0.5以上のL1で降下煤塵捕集効率パラメータP1が減少するのは、減風領域13になりうる煤塵採取口内空間が減少することによるためである。0.5以下で降下煤塵捕集効率パラメータP1が一定になるのは、次の理由によるものである。
L1が小さい場合、減風領域13になりうる煤塵採取口内空間は広いものの、鉛直方向風速の均一化が不十分なために高風速領域が存在する。このため、減風領域13の上端は、仕切板4下端よりもかなり下方になる。L1が増大して0.5に近づくにつれて鉛直方向風速の均一化が進むため、減風領域13上端と仕切板4の間隔が減少する。この結果、減風領域13上端は、L1が0.5以下の領域では一定となる。その結果、L2をより小さく設定しても減風領域は軸方向に延長せずに降下煤塵捕集効率パラメータP1はほぼ一定値となるからである。尚、この領域で鉛直方向の風速が分布を持つ場合でも、前記のL2が好適な条件範囲となる煤塵採取口1であれば、水平方向への吹き抜けは発生しない。
一方、前述のように、図13でL1が0.5を越えると、図13の場合と同様に、急激に降下煤塵補修パラメータが減少する。従って、L1が降下煤塵捕集効率に悪影響を及ぼさない限界値として0.5という値が重要である。
仕切板4と、天板3との接続形態として、天板3の下方に隙間を生じないように仕切板4の上端面が接続するか、または、仕切板4が天板3を貫通し、かつ、前記貫通部において隙間を生じないようにする。側壁2と、天板3との接続形態として、天板2の内面に隙間を生じないように仕切板4の外端面が接続するか、または、仕切板4が側壁2を貫通し、かつ、前記貫通部において隙間を生じないようにする。尚、図9Aから9Dにおける天板3と仕切板4の接続形態は、仕切板4の上端が天板3の下面に隙間なく接続するものであり、また、側壁2と仕切板4の接続形態は、仕切板4が側壁2を隙間を生じない様に貫通したものである。
また、これらの接続の固定に当たっては、溶接、接着、ねじ止め等の方法を用いることができる。また、これらの接続部において隙間を防止して大気の流入出を阻止するために、グリースやシリコンシーラントのような封止剤を塗布することができる。仕切板の材質には、自身の構造を維持でき、通気性がなく、かつ、降下煤塵の付着性の低い材料であればどのようなものでも用いることができる。例えば、前述の側壁2と同じ材質を用いることができる。
(捕集容器)
捕集容器25は、捕集した降下煤塵を再び外気中に放出することなく、かつ、捕集した降下煤塵を容易に取り出すことのできる構造や材質であればどのようなものであってもよい。捕集容器25には、従来技術と同様のものを適用することができる。例えば、従来技術である、デポジットゲージ用のガラス製の瓶を用いることができる。捕集容器の容量は、測定期間中に降雨による水が煤塵採取口1から捕集容器に流入することを考慮して、十分に大きなものであることが望ましい。例えば、10Lの容量のものを用いることができる。捕集瓶の材質は、ガラス以外にもステンレス、アルミ、防錆鋼板等を用いることができる。
捕集容器25は、通気管9から取り外し可能な構造とし、一定期間の降下煤塵の捕集後に、捕集容器25を通気管9から取り外して捕集した降下煤塵を回収することができる。
異物の捕集容器25への混入を防止するために、捕集容器25と通気管9の接続部分はシールされていることが望ましい。但し、捕集容器の着脱の便宜のために、捕集容器25と通気管の間に狭い隙間を設けた構造としても良い。
捕集容器25に水を入れることで、捕集した降下煤塵の再飛散を防止することができる。この場合、降下煤塵の捕集時には、不溶解性の固体である降下煤塵をろ過して回収するとともに、水溶性の降下煤塵をろ液として水とともに回収する。回収されたろ過残留物及びろ液をそれぞれ乾燥させた残留物がそれぞれ不溶解性降下煤塵及び水溶性降下煤塵に対応する。また、捕集容器25に水を張らない状態で降下煤塵を捕集し、不溶解性の降下煤塵及び水溶性の降下煤塵をともに固体として回収することができる。このようにして得られた降下煤塵の質量を例えば、電子天秤で測定することにより、降下煤塵総質量、不溶解性降下煤塵質量、並びに、水溶性降下煤塵質量を求めることができる。
尚、捕集容器中には、降下煤塵以外に厳密には、より微小なSPM等の粒子が含まれている。このSPM粒子の質量濃度が降下煤塵の質量濃度に比べて十分に小さいことが予め知られている環境下では、捕集容器に捕集された煤塵質量を全て降下煤塵質量とみなしてもよい。また、SPMの質量濃度が無視できない場合には、例えば、煤塵の捕集後に10μm以下の粒子を透過させるフィルタを用いてろ過を行い、捕集された降下煤塵を捕集されたSPMから分離すればよい。
(煤塵採取口1での降下煤塵捕集機構)
本実施形態における煤塵採取口1内での降下煤塵の捕集機構について説明する。本実施形態において、外気流入口10から流入した大気中の降下煤塵は、流入した大気が仕切板4を迂回して仕切板4の下方を通過する際に、大気とともに減風領域13に流入する。減風領域13に降下煤塵が流入する際には、周囲大気の流れが鉛直下方に向きを変える効果、または、降下煤塵粒子が仕切板4に衝突する効果によって降下煤塵は、鉛直下方に加速されている。このため、例えば直径100μm以上といった特別に粗大な降下煤塵粒子はそのまま通気口9まで落下して、通気管5を通じて捕集容器25に捕集される。特別に粗大ではない降下煤塵粒子の一部も、減風領域13内に滞留する間に自由落下してより粗大な降下煤塵粒子と同様に通気口9に到達して通気管を通じて捕集器25に捕集される。従来技術であるBSNEの説明で述べた様に、減風領域の降下煤塵捕集に与える効果は、煤塵採取口1内での降下煤塵の滞留時間を延長することによって、減風しない場合よりもより多量の降下煤塵を下方で捕集することである。
次に、本発明者の発案になる降下煤塵捕集効率パラメータP1を以下の式で定義する。
[降下煤塵捕集効率パラメータP1]
=[減風領域水平断面積28]・[減風領域長29]
/[外気流入口10の総面積]
ここで、減風領域とは、外気流入口10から煤塵採取口1にある流入風速で流入した降下煤塵を含む大気の風速が減速される領域のことを表す。また、減風領域水平断面積28とは減風領域13の水平断面の最大値を表す。さらに、減風領域長29とは、空気が減風領域を通過する経路の長さである。煤塵採取口1で外気に直接排気を行わない場合、減風領域は、減風領域の外気流入口側境界から通気口側の距離である。BSNEのように煤塵採取口1から外気に直接排気を行う場合、減風領域とは、減風領域の外気流入口側境界から排気口8側や下流側外気流入口10側(本実施形態の場合)を結ぶ直線長さである。具体的な減風領域位置及減風領域長の値を把握するためには、例えば、煤塵採取口1内に流速計を配置して煤塵採取口1内での風速分布を求めて低風速の領域を識別すればよい。
また、降下煤塵捕集効率パラメータP1の物理的意味を説明する。特定の風速で煤塵採取口1に流入した外気は、[外気流入口10の断面積]/[減風領域水平断面積28]に比例して減風領域での大気及び大気中の降下煤塵の平均滞留時間が増大する。また、[減風領域長29]/[外気流入口10の断面積]が大きいほど、減風領域13において風速の均一性が向上する。即ち、外気流入口10側境界から排気口8または通気口10側まで減風領域13の一部の領域のみを高速に通過する吹き抜け減少を防止する効果は、[減風領域長29]/[外気流入口10の断面積]が大きいほど高くなる。吹き抜け現象は、減風領域13における大気中の降下煤塵の平均滞留時間を著しく短縮するため、捕集効率を大きく悪化させる。したがって、降下煤塵パラメータが大きい状態とは、減風領域13において、大気中の降下煤塵が長時間平均的に滞留するため降下煤塵の自由落下による降下煤塵の捕集効率が高まり易い状態といえる。従って、降下煤塵捕集効率パラメータP1が大きいほど、煤塵採取口1における降下煤塵の捕集効率は高くなる。即ち、降下煤塵捕集効率パラメータP1を用いることによって、特定の煤塵採取口1での降下煤塵捕集効率を整理することができる。
降下煤塵の水平成分捕集器における降下煤塵捕集効率パラメータP1と降下煤塵捕集効率との関係をより具体的に説明する。BSNEやSUSTRAの減風領域13は、外気流入口開口面積に対して比較的小さいので、降下煤塵捕集効率パラメータP1も小さい。このため、図11に示す様に、降下煤塵捕集効率も例えば、MWACでの降下煤塵捕集効率最高値に比べて低い。
MWACは、降下煤塵捕集効率パラメータP1の値が比較的大きく、このとき、降下煤塵の捕集効率も高い値を示す場合がある。しかし、MWACには、外気風向への降下煤塵捕集効率の依存性が極端に強いという大きな欠点が存在する。この欠点は、以下の理由によるものである。MWACの外気流入口10の開口付近は直管であるため、外気流入口に流入する大気は流入直後に直管の軸方向の速度とならなければならない。このため、外気流入口10の軸方向と外気の風向が異なる場合には、外気流入口10において急激に大気の向きを変更することによる流入抵抗が大きくなり、外気の流入量が減少するとともに、流入大気の方向の急変に外気中の降下煤塵流れが追従できず、外気流入口10への降下煤塵の流入量が減少する。このため、MWACでは、降下煤塵の捕集効率が風向によって大きく変化するのである。MWACにおいては、外気風向が外気流入口と一致する場合にのみ降下煤塵の高い捕集効率を示す。
本実施形態においては、外気流入口10は煤塵採取口1の周方向に断続的に存在するので、降下煤塵捕集効率パラメータP1の値を従来の装置よりも大きく設定できる。MWACの最大時の効率並みに降下煤塵の捕集効率を得ようとする場合には、降下煤塵捕集効率パラメータP1の値を100[1/mm]程度に設定すればよい。これは、例えば、上端直径45mm高さ60mmの市販のろうと状レジューサの上端に幅3mm高さ7mmの外気流入口10を8個設けた場合に相当する。ろうと状レジューサと外気流入口10の寸法は、降下煤塵捕集パラメータの必要条件を満たすように適宜、条件設定できる。
また、本実施形態では煤塵採取口1の大半の表面では開口していない。開口の大きい他の方式に比べて、本実施形態の煤塵採取口1は、周囲の大気に対する空気抵抗が大きい。このため風下側の煤塵採取口1表面では大きな負圧が発生する。その結果、風下側の外気流入口10では煤塵採取口1内の大気を吸引して流出させる力が働く。このため外気流入口10が相対的に小さくても、また、外気流入口と外気の風向差が存在する場合でも煤塵採取口1の換気が特段悪化することはない。例えば、MWACも大気流入口10の開口面積は相対的に小さいが、この装置の場合、風下側の排気口8周辺では特に減圧条件は発生しない。このため、煤塵採取口1の換気は、外気流れの慣性力に基づく外気流入口10への外気流入の効果しか期待できない。このため、MWACでは煤塵採取口1の換気効率が低下し易く、降下煤塵捕集効率を低下させる大きな要因となる。
図6に示すSPM計用の煤塵採取口は、外気の吸気を行うので降下煤塵水平成分捕集器には分類できないが、構造が軸対称であること、天板を備えること、並びに、煤塵採取口内流れを阻害する構造物(コーン)が天板下に存在すること等の点で、本実施形態の構造と共通性がある。この煤塵採取口を用いた場合、コーン状の流れを阻害する構造物14の下方に減風領域13が形成される。しかし、外気流入口は全周に開口を有する面積の大きなものであるため、降下煤塵捕集効率パラメータP1の値は小さい。また、外気流入口10から煤塵採取口1に流入した大気の大半は流れを阻害する構造物の周囲を水平方向に迂回する17の流路をとるため、そもそも減風領域に流入する大気の比率が低い。このため、図6の煤塵採取口において降下煤塵の捕集効率は小さく、降下煤塵採取口として好適ではない。SPM計においては、大気中を自由落下しうる粗大な降下煤塵からSPMを分離してSPMのみを捕集することを目的としている。このため、SPM計において煤塵採取口1の降下煤塵捕集効率が低いことは当然である。
(降下煤塵量水平流束の算出方法)
単位時間当たりに連続式煤塵量計測装置6で計測された降下煤塵量を外気流入口の有効開口面積で除すことによって降下煤塵量水平流束値を算出することができる。本実施形態における外気流入口有効開口面積とは、外気流入口のうち、外気が実際に流入する開口面積の、風向に対する垂直面への投影面積の合計である。外気の流入する開口を特定するためには、例えば、本装置を風洞内に配置して一定風速条件下で煤塵採取口1近傍の流れ場を測定することによって、個々の外気流入口での外気流入の有無を判定すればよい。
また、一般に、煤塵採取口の空気抵抗によって、外気流入口開口での外気の流入平均流速は、外気の風速よりも小さくなる。その結果、外気とともに煤塵採取口に流入する降下煤塵質量も、外気風速で外気が煤塵採取口に流入する場合に比べて少なくなる。即ち、煤塵採取口での降下煤塵捕集効率は、一般に、100%よりも低い値となる。そこで、降下煤塵量水平流束を算出する際に、上記の方法で算出された降下煤塵量水平流束を、予め求めた降下煤塵捕集効率で除して降下煤塵量水平流束値を補正してもよい。降下煤塵捕集効率を予め求める方法として、例えば、本装置を風洞内に配置して上流から特定種の降下煤塵を一定濃度で一定時間放出し、その際、本装置に捕集された単位時間当たり降下煤塵質量、前記の方法で求めた外気流入口有効開口面積、並びに、風洞内での降下煤塵量水平流束の平均値を用いて降下煤塵捕集効率を算出すればよい。即ち、
[降下煤塵捕集効率]=[本装置に捕集された単位時間当たり降下煤塵質量]/([外気流入口有効開口面積]・[風洞内での降下煤塵量水平流束の平均値])とすればよい。風洞内での降下煤塵量水平流束の平均値は、非特許文献2に記載される方法等で求めればよい。
また、本実施形態では、外気の風速とは無関係に、捕集した降下煤塵量が外気中の降下煤塵量水平流束に比例する。従って、降下煤塵量水平流束の傾向管理を目的として降下煤塵量水平流束の絶対値を必要としない場合には、本実施形態の装置での降下煤塵量測定値の規準値を予め定め、本実施形態での連続式煤塵量計測装置6で時系列的に得られる降下煤塵量測定値を前記規準値で除したものを相対的な降下煤塵水平流束とすることもできる。
[第2の実施形態]
図14A〜14Dを用いて、第2の実施形態を説明する。本実施形態は、天板以外については、第1の実施形態と同様の構造である。本実施形態において、天板3の直径は、側壁2上端直径よりも大きくなければならない。天板3の直径が側壁2上端の直径に一致する場合には、雨天時に煤塵採取口1上に降る雨滴は、どの様な大きさのものであっても、外気流入口10から煤塵採取口1内に流入しうる。この際、降雨のウォシュアウト効果によって雨滴中に取り込まれた降下煤塵は、湿性沈着物として雨滴とともに煤塵採取口1内に流入して捕集容器25に捕集される。湿性沈着物である降下煤塵の環境に与える影響は、非雨天時に捕集される降下煤塵である乾性沈着物である降下煤塵が与えるものとは異なる。
例えば、湿性沈着物である降下煤塵が水溶性の塩や酸を含む場合、降雨中のこれらの物質は成長阻害因子として植生等に影響を与えうる。一方、乾性沈着物中に水溶性の酸が含まれていたとしても、降下煤塵の沈着後直ちに植生に影響を与えることは少ない。
本実施形態に係る装置では、天板2の直径が側壁2上端の直径よりも大きい。この場合には、側壁2上端より外側の天板部分はひさしとして機能し、特定寸法以上の雨滴が雨天時に煤塵採取口1内に侵入することを抑制する効果を発揮する。天板3の直径が大きいほど、より小さな雨滴の煤塵採取口1内への侵入を抑制することができる。即ち、本実施形態では特定下限直径以上の雨滴とともに湿性沈着する降下煤塵の捕集を抑制することができる。
しかし、一方で、非雨天時に煤塵採取口1に流入しうる最大の降下煤塵径は、天板径が大きいほど小さくなり、特定下限直径以上の非雨天時の乾性沈着である降下煤塵を捕集できない問題がある。従って、以下の2つの式を目安として天板直径値の範囲を決定することによって、目的とする寸法範囲の乾性沈着物である降下煤塵を捕集しつつ、降雨時の湿性沈着物である降下煤塵を捕集しない降下煤塵の水平成分捕集器、即ち、乾性沈着物である降下煤塵の水平成分捕集器を実現することができる。
[天板のひさし部分の半径方向長さ]
<[外気の代表風速]/[捕集したい降下煤塵の自由落下速度]
×[天板下面と外気流入口下端間の鉛直方向長さ]
また、
[天板のひさし部分の半径方向長さ]
>[外気の代表風速]/[捕集したくない、最小直径時の雨滴の自由落下速度]・[天板下面と外気流入口下端間の鉛直方向長さ]
通常、雨滴の直径は、300μm以上であるのに対し、代表的な降下煤塵の直径は、100μm以下である。したがって、上記の乾性沈着物である降下煤塵の水平成分捕集器に適用される天板3のひさし長さは実現可能である。
尚、雨天時に雨滴に取り込まれなかった降下煤塵は外気風とともに煤塵採取口に流入する。このような降下煤塵は、乾性沈着物とみなせる。また、十分な雨滴密度の存在する場合、例えば、1時間に1mm以上の降雨時には、前記の降下煤塵のウォシュアウト効果が大きく、このような雨天時の乾性沈着物の影響は一般に無視できるほど小さい。
天板は、風向への依存性を低減させるために円盤であることが望ましいが、加工上の便宜等の理由があれば、正多角形等の円形に近い形状のものであってもよい。また、側壁2の水平断面形状が円形以外、例えば、正多角形である場合には、側壁上端における側壁断面の正多角形の外接円直径を前記側壁2上端の直径とみなせばよい。さらに、天板3が円形以外、例えば、正多角形である場合には、天板3の内接円直径を前記天板3の直径とみなせばよい。
[第3の実施形態]
図15を用いて、本発明の第3の実施形態を説明する。この図において、第1の降下煤塵の水平成分捕集器32では天板3の直径が側壁2上端の直径に等しく、乾性沈着物である降下煤塵及び湿性沈着物である降下煤塵の水平成分を捕集することができる。第1の降下煤塵の水平成分捕集器32に隣接して架台上に設置された第2の降下煤塵の水平成分捕集器33では天板3の直径は、側壁2上端の直径より大きく、乾性沈着物である降下煤塵のみを捕集する。即ち、第2の降下煤塵の水平成分捕集器33で捕集された降下煤塵質量を降下煤塵水平成分の乾性沈着物質量とすることができる。これら2つの降下煤塵の水平成分捕集器は、近接して同一高さに設置されているので、これら2つの降下煤塵の水平成分捕集器は、外気中で同一の降下煤塵の水平流束に曝されていると考えられる。
従って、第1の降下煤塵の水平成分捕集器32で捕集された降下煤塵質量から、第2の降下煤塵の水平成分捕集器33で捕集された降下煤塵質量を減じた残りの降下煤塵質量を降下煤塵水平成分の湿性沈着物質量とすることができる。このようにして、降下煤塵水平成分の湿性沈着物と乾性沈着物の量を分離して計測することができる。
尚、湿性沈着物の質量を求める際の第1、第2の降下煤塵水平成分捕集器での捕集降下煤塵質量の差を求めるときに、総質量のみ用いるのではなく、降下煤塵の成分ごと、非水溶性粒子の粒径区分ごと、または、水への溶解性の有無別に両捕集器での捕集降下煤塵質量差を求めることによって、降下煤塵の成分別、粒径分布別、または、水溶性/非水溶性別の湿性沈着物質量を求めることができる。第2の降下煤塵水平成分捕集器33で捕集された乾性沈着物に対しても、捕集物の回収後に捕集物をオフラインで水に溶かしてろ過及び乾燥後に質量計測することによって、水溶性/非水溶性別の乾性沈着物質量を求めることができる。この方法により、降下煤塵水平成分を水溶性湿性沈着物、非水溶性湿性沈着物、水溶性乾性沈着物、並びに、非水溶性乾性沈着物に簡易に分離して分析することもできる。この結果、環境管理上有益な情報を得ることができる。
(実施例1)
図9に示す構造の煤塵採取口を、図8の構成に適用した装置を用いて降下煤塵水平流束の連続測定を屋外で実施した。
煤塵採取口1の側壁2には、日本工業規格(JIS)ステンレス製レジューサ5K、1−1/2×1/2のレジューサ(レジューサ上端部外径:48mm、下端部外径:21.7mm、軸方向長さ63mm)を用いた。この側壁2に上端から幅3mm高さ7mmの開口(矩形)を周方向に8箇所加工して外気流入口10とした。同様に管壁の上端から幅4mm深さ25mmの切り欠きを周方向に4箇所加工した。この切り欠きに幅24mm長さ24mm厚み4mmのステンレス平板4枚を挿入してこれを仕切板4とした。仕切板は、直径48mm厚2mmのステンレス円板である天板3にネジ止め固定した。天板3と側壁2上端、並びに、側壁2と仕切板4間の接続にはエポキシ系樹脂接着剤を用いて結合、並びに、シールを行った。
前記側壁2の下端、即ち、通気口9には直径1インチのステンレス管を溶接し、さらに、前記ステンレス管の下端に外径6mmのステンレス管をステンレス製レジューサを介して溶接し、これらステンレス管を通気管5とした。通気管5は、容量20Lのガラス製の細口瓶である捕集容器25の口に挿入し、通気管5の外側と捕集容器25の口の内側の間には着脱可能なゴムパッキンを充填することによって通気管5と捕集容器25を密着した。捕集容器には予め水を張っておき、捕集物の回収時には、捕集容器内の固形物および水溶物の両方を回収し、回収物をろ過した残留物の乾燥物を不溶解性の降下煤塵の水平成分捕集量として、質量を測定した。また、ろ液は、水を蒸発させた後の残留物の質量を計測し、この値を水溶性の降下煤塵の水平成分の捕集量とした。
これら不溶解性の降下煤塵の水平成分の捕集量と水溶性の降下煤塵の水平成分の捕集物の質量合計値を降下煤塵の水平成分の捕集量とし、この値を、予め実験によって求めておいた外気流入口の有効開口面積50mm、並びに、試験期間の時間長さで除することによって降下煤塵の水平流束を算出した。尚、外気流入口の有効開口面積を算出する実験には、機械工学便覧A5編(日本機械学会編)に記載される標準的な低速風洞の実験手法に基づいて以下のように試験を行った。屋外試験と同じ形状で透明アクリル材を用いて製作した煤塵採取口を備えた本実施形態の装置を風洞内に設置し、風洞の風速を一定に設定した。
本装置の煤塵採取口内部の各外気流入口の背後にタフト(気流観察用の糸)を設置し、タフト法による風向計測を実施した。タフト法ではタフトの先端の示した向きが気流の瞬時の下流(気流方向)に対応する。タフト先端の動きを透明天板を通して上方から観察して、タフトの先端の示す気流方向を連続的に記録した。気流方向を外気流入口に対する流入方向と流出方向の2つの方向に分類して、タフト先端がそれぞれの方向を示す時間割合を算出した。気流方向が外気流入口に対して流入方向となる時間割合が過半となる外気流入口を、有効な開口とした。
ある試験条件での全ての有効開口の、風向垂直面上に対する投影面積の合計をその試験条件における有効開口面積とした。風洞実験は、風速条件、並びに、外気流入口と風向のなす角度条件を変更して多数実施し、それぞれの実験で求めた有効開口面積の全試験条件での平均値を代表的な有効開口面積として採用した。
屋外試験の方法は以下のとおりである。本装置を周囲200mの範囲に高い障害物の存在しない地上5mの作業デッキ上に、降雨のない日を選んで設置して連続測定を12時間実施した。比較のために、本装置に隣接して、通気口方向と吸気流速を手動で変更できるハイボリュームサンプラと風向風速計を設置し、これらを用いて、手動で等速吸引を試験時間中維持した。即ち、前記風向風速計の瞬時の測定値を目視で確認したのち、手動で前記ハイボリュームサンプラの通気口方向を前記風向測定値に一致させるとともに、前記ハイボリュームサンプラの吸引流速を前記風速測定値に一致させる作業を常時実施した。ハイボリュームサンプラの煤塵捕集フィルタを1時間ごとに交換してその質量をオフラインで手動で測定することにより、1時間ごとの降下煤塵捕集質量を求めた。この降下煤塵捕集質量を時間(1時間)及びハイボリュームサンプラ通気口開口面積で除することによって当該捕集時刻における降下煤塵の水平流束に換算した。尚、本実施例における測定値点で事前調査を行い、当該地点での大気中のSPM質量濃度は、降下煤塵質量濃度に比べて十分に小さいことを予め確認した。そこで、本実施例において、各計測機における煤塵捕集量は全て降下煤塵捕集量であるものとした。
このような試験を、日を変えて10回実施した。各試験終了後に本装置の捕集容器に捕集された降下煤塵を回収した。測定中の自然な蒸発によって容器内に水が溜まっていない場合には、降下煤塵の質量をそのまま測定した。また、容器内内に水が溜まっている場合には、回収物中の水分を減圧蒸発させて残留物の質量を降下煤塵質量とみなして測定した。
その結果、本装置で単位時間当たりに捕集された降下煤塵質量(質量)を外気流入口開口面積で除して求めた降下煤塵の水平流束測定値は、平均0.14mg/msであった。これに対し、ハイボリュームサンプラによる各試験日ごとの平均測定値と本装置での各試験日ごとの測定値の差は、平均0.021mg/ms、標準偏差0.012mg/msと小さく、本装置では等速吸引並みの高精度で降下煤塵の水平流束を測定できることが確認できた。
ここで、外気流入口の有効開口面積の算出方法を具体的に説明する。有効開口面積は、外気流入口のうち、外気の流入する開口の、風向に対する垂直面への投影面積の合計とした。外気の流入する開口を特定するために、本装置を風洞内に配置して一定風速を側面から与え、16個の外気流入口の近傍での風向を測定した。この結果を、平均的に外気が煤塵採取口内に流入する方向となる外気流入口の有効面積を算出するための対象とした。種々の風向条件で測定を行った結果、外気流入口の有効開口面積は、平均的に単独の外気流入口開口面積の1.6倍であった。
尚、ハイボリュームサンプラを用いた等速吸引による煤塵量計測は精度が高いものの、機側で手動で装置の向きと吸引流量を変更しなければならない点、並びに、基本的にバッチ式に捕集フィルタを手動で頻繁に交換しなければならない点に問題がある。従って、降下煤塵の水平成分を長時間連続して測定することに上記方法を適用することは、計測に要する人件費の観点から、本来、適当ではない。これに対して、本実施形態にかかる装置および方法では、手動操作を行うことなく、上記と同様に高精度の結果が得られる。
(実施例2)
図14A〜14Dに示す構造の煤塵採取口を持ち、天板3の直径が150mmであり、図8の構成を持つ降下煤塵水平流束の測定装置を用意した。この装置を用いて降下煤塵水平流束の連続測定を屋外で実施した。比較用の煤塵捕集器であるハイボリュームサンプラには、感雨計、外気流入口蓋、並びに、蓋開閉装置を追加して雨天時には外気を吸引しないように自動的に前記外気流入口蓋を開閉する機構を加えた。この機構によって、上記ハイボリュームサンプラは、非雨天時のみに煤塵を吸引できる。これ以外の構造を全て実施例1と同様にして、日を変えて10回試験を行った。
その結果、実施例1と同様の方法で算出した降下煤塵の水平流束測定結果は、本装置では平均0.10mg/msであった。これに対し、ハイボリュームサンプラによる各試験日ごとの平均測定値と本装置での各試験日ごとの測定値の差は、平均0.013mg/ms、標準偏差0.008mg/msと小さかった。この結果、本装置では高精度に非雨天時の降下煤塵の水平流束を測定できることを確認できた。
また、本実施例における、捕集したい降下煤塵の自由落下速度は、0.2m/sであり、捕集したくない雨滴の最小自由落下速度は、1.5m/sである。なぜなら、この落下速度以下である場合、霧雨であるため、大量の降雨が発生することは通常、ありえない。測定を行った地域の代表風速を、2〜10m/sとした。下限代表風速に関しては、この風速以下では降下煤塵の水平成分が問題になることは少ないという理由から設定した。上限代表風速は、この地域での平年の最高風速を採用した。即ち、下限代表風速の場合でも所要の降下煤塵を捕集でき、かつ、上限代表風速の場合でも、排除したい大きさ(自由落下速度)の雨滴を捕集しないことが捕集器には求められる。この前提条件下で、本実施例における天板のつば部の長さが、第2の実施形態で説明した望ましい範囲内になるよう、天板3の直径を設定した。
また、試験中に1時間に約10mmの強い降雨があり、かつ、降雨中の風速平均が前記代表風速上限に近い値であったときの本装置で捕集された捕集物を調査した結果、捕集器内に捕集された雨水は、高々10mlであり、降雨の大半を本装置では排除することができることを確認できた。これに対して、例えば、実施例1の捕集器では10mmの降雨に対して、通常、数百ml以上の雨水が捕集される。
また、全試験期間を通じて風速が前記代表風速下限値に近い値であった別の試験において、本装置での回収物を調査した。この結果、捕集物の中に、捕集したい降下煤塵である、自由落下速度0.2m/s以上のものが8%含まれていることがわかった。この結果、本装置では捕集したい大きさ(自由落下速度)の降下煤塵を効率的に捕集できることがわかった。尚、捕集物の落下速度の調査のために、捕集物を無塵の暗室の上部から落下させ、落下中の粒子にシート状のレーザ光を照射して粒子の散乱光から瞬時の粒子位置を特定する実験を行った。この方法で、個々の粒子の落下に要する時間から粒子の落下速度を算出した。
尚、本実施例での装置寸法を決定する際には、(a)仕切板4の軸方向長さを7mmとする、または、(b)仕切板4の軸方向長さを煤塵採取口の軸方向長さの80%(50.4mm)とする、等のように装置条件を変化させて予備試験を行い、適切な条件を見出した。仕切板4の軸方向長さが極端に短い場合には吹き抜けによって降下煤塵の捕集効率が低下し(例えば、40%)、また、仕切板4の軸方向長さが極端に長い場合には減風領域が減少することによって捕集効率が低下する(例えば、30%)現象がみられた。
(比較例1)
煤塵採取口を図6A、6Bに示す従来技術の構造の煤塵採取口とし、煤塵採取口の下方に捕集容器を接続した煤塵捕集器を製作し、これ以外の条件を全て実施例2と同様にして試験を行った。本装置で測定した前記降下煤塵捕集質量測定値を、本装置に併設した比較計器である等速吸引を行うハイボリュームサンプラでの降下煤塵捕集質量測定値と比較した。この両測定値の比較の際には、以下の方法で、本装置とハイボリュームサンプラ間の煤塵採取口1の外気流入口10の有効開口面積差の影響を反映させた。すなわち、本装置での降下煤塵捕集効率が100%のときに、本装置での降下煤塵捕集質量測定値が前記ハイボリュームサンプラによる降下煤塵捕集質量に一致するように前記ハイボリュームサンプラによる降下煤塵捕集質量測定値を補正した。尚、外気流入口の有効開口面積を求める際には、この装置では開口が全周に渡って単一であるので、風洞実験を行い、外気流入口内で外気が平均的に流入する部分を求めた。このような試験を、日を変えて10回実施した
その結果、実施例1と同様の方法で算出した降下煤塵の水平流束測定結果では、ハイボリュームサンプラによる各試験日ごとの平均測定値に対する本装置での各試験日ごとの測定値の比率は、平均0.05と小さくかった。一方、この比率の標準偏差は0.15とこの比率の平均値に比べて大きかった。即ち、本装置による測定では、ハイボリュームサンプラによる降下煤塵水平流束測定値とはオーダが異なり、かつ、相関も低い測定値しか得られないことがわかった。これは、従来型の煤塵採取口である本装置で用いた煤塵採取口では降下煤塵を効率良くは捕集できないからである。
(実施例3)
煤塵採取口1を実施例2と相似にして各寸法を2倍とし、これ以外の条件を全て実施例2と同様にして試験を行った。その結果、単位時間当たりの降下煤塵捕集量、即ち、実施例2と同様の方法で算出した降下煤塵量水平流束は、実施例2の装置での値の約4倍であった。
これらの実施例により、本発明の各実施形態によって、小型で簡易、かつ、安価な構造で降下煤塵の水平流束計測が可能な降下煤塵の水平成分捕集器を提供できることがわかった。
(実施例4)
図15の装置構成で試験を行った。この図において、第1の降下煤塵の水平成分捕集器は実施例1に用いたものと同様の降下煤塵水平成分捕集器である。第2の降下煤塵の水平成分捕集器は実施例2に用いたものと同様の降下煤塵水平成分捕集器である。これら2つの降下煤塵水平成分捕集器を、周囲200mの範囲に障害物のない屋外に、床面高さ5mの架台34上に互いに3mの間隔を設けて設置した。この状態で1ヶ月間の降下煤塵捕集を行った。この間、合計5日の降雨日があり、降水量の合計は、30mmであった。
試験終了後に前記2つの降下煤塵水平成分捕集器の捕集容器から降下煤塵を捕集容器内の水とともに回収した。前記回収物をそれぞれろ過し、ろ液の質量を測定した後に、ろ液の成分分析をそれぞれ行い、成分の質量構成率を調査した。また、ろ過残留物を乾燥して質量を測定した後に、成分分析をそれぞれ行い、成分の質量構成率を測定した。水溶性降下煤塵の成分ごとの質量構成率を計測する際には、一般的なイオンクロマトグラフ法を用い、非水溶性降下煤塵の成分ごとの質量構成率を求めるためには一般的な蛍光X線法をも用いた。
前記の質量測定値及び成分分析による成分質量構成率測定値を用いて、次の計算を行い、水溶性湿性沈着物、非水溶性湿性沈着物、水溶性乾性沈着物、並びに、非水溶性乾性沈着物の質量を求めた。さらに、水溶性湿性沈着物と非水溶性湿性沈着物の質量を合計して湿性沈着物全体の質量を算出し、水溶性乾性沈着物と非水溶性乾性沈着物の質量を合計して乾性沈着物全体の質量を算出した。
[特定成分の水溶性乾性沈着物質量]
= [第2の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ液の質量]
×[第2の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ液の特定成分の質量構成率]
[特定成分の非水溶性乾性沈着物質量]
= [第2の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ過残留物の質量]
×[第2の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ過残留物の特定成分の質量構成率]
[特定成分の水溶性湿性沈着物質量]
= [第1の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ液の質量]
×[第1の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ液の特定成分の質量構成率]
−[第2の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ液の質量]
×[第2の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ液の特定成分の質量構成率]
[特定成分の非水溶性湿性沈着物質量]
= [第1の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ過残留物の質量]
×[第1の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ過残留物の特定成分の質量構成率]
−[第2の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ過残留物の質量]
×[第2の降下煤塵水平成分捕集器で捕集されたろ過残留物の特定成分の質量構成率]
次に、実施例1に示した方法で降下煤塵質量の水平流束値をそれぞれ算出した。その結果のうち、代表的な成分については以下の値であった。
水溶性湿性沈着物として塩化ナトリウムが0.02mg/ms、塩化マグネシウムが0.003mg/ms、塩化カルシウムが0.001mg/ms、硫酸ナトリウムが0.001mg/msであった。これらの物質は、試料に含有されるイオン量(例えば、SO 2−の量)の測定値から代表的な化学種に対応付けて質量を算出したものである。例えば、SO 2−は硫酸ナトリウムに対応付けた。
非水溶性湿性沈着物として、SiO(元素Siの構成率から算出)が0.02mg/ms、Al(元素Alの構成率から算出)が0.005mg/ms、酸化鉄(化学式をFeと仮定して元素Feの構成率から算出)が0.005mg/msであった。
水溶性乾性沈着物として塩化ナトリウムが0.003mg/ms、塩化マグネシウムが0.001mg/msであった。
非水溶性乾性沈着物として、SiOが0.06mg/ms、Alが0.01mg/ms、酸化鉄が0.02mg/ms、TiOが0.002mg/msであった。
湿性沈着物全体の降下煤塵水平流束は、上記水溶性湿性沈着物及び上記非水溶性湿性沈着物のものを合計して求めた。乾性沈着物全体の降下煤塵水平流束は、上記水溶性乾性沈着物及び上記非水溶性乾性沈着物のものを合計して求めた。
なお、乾性沈着物全体の降下煤塵水平流束は、第2の降下煤塵水平成分捕集器で回収された降下煤塵を含む水を乾燥して、乾燥後の降下煤塵の質量を計測し(計測値A)、当該計測値Aを乾性沈着物全体の降下煤塵水平流束として算出することもできる。また、湿性沈着物全体の降下煤塵水平流束は、第1の降下煤塵水平成分捕集器で回収された降下煤塵を含む水を乾燥して、乾燥後の降下煤塵の質量を計測し(計測値B)、当該計測値Bから前記計測値Aを差し引いた値(B−A)を、湿性沈着物全体の降下煤塵水平流束として算出することもできる。
この様に、本発明により、従来困難であった、湿性沈着物である水溶性湿性沈着物及び非水溶性湿性沈着物、並びに、乾性沈着物である水溶性乾性沈着物、及び非水溶性乾性沈着物別の降下煤塵水平流束をそれぞれ、簡易に求めることができた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
本発明により、小型で簡易、かつ、安価な構造で降下煤塵の水平流束計測が可能な降下煤塵の水平成分捕集器を提供できる。また、本発明の一態様によれば、乾性沈着物である降下煤塵の水平成分と湿性沈着物である降下煤塵の水平成分を分離することも実現できる。
1 ・・・煤塵採取口
2 ・・・側壁
3 ・・・天板
4 ・・・仕切板
5 ・・・通気管
8 ・・・排気口
9 ・・・通気口
10・・・外気流入口
12・・・筐体
13・・・減風領域
14・・・流れを阻害する構造物
15・・・外気の大気流れ
16・・・吸引される大気流れ
17・・・煤塵採取口内を通過する大気流れ
18・・・外気中の降下煤塵
19・・・捕集される降下煤塵
20・・・煤塵採取口内を通過する降下煤塵
21・・・底板
22・・・支柱
23・・・羽根
24・・・回転軸
25・・・捕集容器
26・・・通気管
27・・・扇状小領域
27’・・・大気の流入する扇状小領域
27”・・・別の扇状小領域
27’・・・大気の流入する扇状小領域
27”・・・別の小領域
28・・・減風領域水平断面積
29・・・減風領域長
30・・・金網
31・・・風向風速計
32・・・第1の降下煤塵の水平成分捕集器
33・・・第2の降下煤塵の水平成分捕集器
34・・・架台
35・・・捕集フィルタ
36・・・湿性沈着物用捕集容器
37・・・乾性沈着物用捕集容器
38・・・湿性沈着物用煤塵採取口
39・・・乾性沈着物用煤塵採取口
40・・・煤塵採取口蓋
41・・・蓋開閉機構および蓋開閉制御装置
42・・・感雨器
43・・・筐体
44・・・粒子捕集器

Claims (7)

  1. 大気中の降下煤塵の水平成分の捕集器であって:
    天板、側壁、及び、4枚以上の仕切板を有する煤塵採取口と;
    通気管と;
    前記煤塵採取口から流入する降下煤塵を前記通気管を通じて回収する捕集容器と;を備え、
    前記煤塵採取口は前記通気管に接続され、
    前記通気管は前記捕集容器に接続され、
    前記側壁は、その下端に開口である吸気口を有し、
    前記吸気口は前記通気管と接続され、
    前記側壁は、鉛直方向の中心軸を持ち、上方に向けて広がる本質的に円錐台または多角形錐台の側面の形状を有する板であり、
    前記側壁は、その上端近傍の特定の高さに、前記側壁の周方向に一定間隔で配置された4つ以上の開口を有する外気流入口を有し、
    前記天板は、本質的に円板の形状を有し、
    前記天板の中心軸は、前記側壁の中心軸と一致し、
    前記天板は、前記側壁の上端に接するように接続され、
    前記4枚以上の仕切板のそれぞれは、鉛直面内に配置される平板であり、
    前記4枚以上の仕切板のそれぞれは、前記側壁及び前記天板と、隙間を生じないように接続され、
    前記4枚以上の仕切板は、前記天板の中心軸上で互いに接続され、
    前記4枚以上の仕切板は、前記側壁によって囲まれた空間を水平断面において均等な大きさの扇状領域に分割する、
    ことを特徴とする、大気中の降下煤塵の水平成分捕集器。
  2. 前記天板の直径は、前記側壁の上端部における水平断面の直径よりも大きく、
    前記天板は、前記側壁の上端部から周方向外側に延出するひさし部分を有する、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の大気中の降下煤塵の水平成分捕集器。
  3. 前記天板の直径と前記側壁の上端部における水平断面の直径とが一致することを特徴とする、請求項1に記載の大気中の降下煤塵の水平成分捕集器。
  4. 大気中の降下煤塵の水平成分捕集器であって:
    請求項3に記載の大気中の降下煤塵の水平成分捕集器である第1の捕集器と;
    請求項2に記載の大気中の降下煤塵の水平成分捕集器である第2の捕集器と;
    を備えることを特徴とする、大気中の降下煤塵の水平成分捕集器。
  5. 請求項2に記載の大気中の降下煤塵の水平成分捕集器であって、
    前記天板のひさし部分の半径方向長さが、
    [前記天板のひさし部分の半径方向長さ]<[外気の代表風速]/[捕集したい降下煤塵の自由落下速度]
    ×[前記天板下面と前記吸気口下端間の鉛直方向長さ]
    および、
    [前記天板のひさし部分の半径方向長さ]
    >[外気の代表風速]/[捕集したくない、最小直径時の雨滴の自由落下速度]・[前記天板下面と前記吸気口下端間の鉛直方向長さ]
    を満たすことを特徴とする、大気中の降下煤塵の水平成分捕集器。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載した大気中の降下煤塵の水平成分捕集器を用いた大気中の降下煤塵の水平成分の計測方法であって、
    単位時間当たりに前記水平成分捕集器に捕集された降下煤塵量を前記外気流入口の有効開口面積で除した値を降下煤塵の水平流束として算出することを特徴とする、大気中の降下煤塵の水平成分の計測方法。
  7. 請求項4に記載した大気中の降下煤塵の水平成分捕集器を用いた大気中の降下煤塵の水平成分の計測方法であって:
    前記第2の捕集器によって捕集された降下煤塵量を降下煤塵の水平成分の乾性沈着物の量とし;
    前記第1の捕集器によって捕集された降下煤塵量から前記第2の捕集器によって捕集された降下煤塵量を減じた残りの降下煤塵量を、降下煤塵の水平成分の湿性沈着物の量として算出する;
    ことを特徴とする、大気中の降下煤塵の水平成分の計測方法。
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