JPWO2010106840A1 - 電子部品 - Google Patents

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Abstract

共振回路を内蔵した電子部品の小型化を図る。積層体(12a)は、第1の誘電材料からなる絶縁体層(16)、及び、該第1の誘電材料よりも高い比誘電率を有している第2の誘電材料からなる第2の絶縁体層(18)が積層されてなる。LCフィルタ(LC1)は、積層体(12a)に内蔵されているコイル(L1)及びコンデンサ(C1)からなる。コイル(L1)は、絶縁体層(18)上に設けられているコイル導体層(20)により構成されている。コイル導体層(20)は、絶縁体層(18)からなる領域(E1)内に設けられている。

Description

本発明は、電子部品に関し、より特定的には、共振回路を含む電子部品に関する。
従来の電子部品として、例えば、特許文献1に記載の電子部品が知られている。図7は、特許文献1に記載の電子部品の積層体212の分解斜視図である。
積層体212は、誘電体層214(214a〜214f)が積層されることにより構成され、直方体をなしている。積層体212は、コイルL11,L12及びコンデンサC11〜C14を内蔵している。コイルL11,L12はそれぞれ、コイル導体層216a,216bにより構成されている。コンデンサC11は、コンデンサ導体層218a,218dにより構成されている。コンデンサC12は、コンデンサ導体層218b,218cにより構成されている。コンデンサC13は、コンデンサ導体層218d,218eにより構成されている。コンデンサC14は、コンデンサ導体層218c,218eにより構成されている。以上のようなコイルL11,L12及びコンデンサC11〜C14は、例えば、ノイズフィルタを構成している。
特許文献1に記載の電子部品では、誘電体層214dは、第1の誘電体部分220及び第2の誘電体部分222により構成されている。第2の誘電体部分222は、第1の誘電体部分220よりも高い比誘電率を有している。そして、コンデンサC11〜C14は、第2の誘電体部分222を容量層とすることにより、大きな容量を有している。以上のような電子部品は、携帯電話や無線LAN等で使用される周波数の通過帯域で、良好な通過特性を示し、それ以外の周波数では良好な減衰特性を有する。また、該電子部品では、誘電体部分222が高い比誘電率を有しているので、コンデンサC11〜C14において大きな容量を得ることが容易となる。そのため、コンデンサC11〜C14の容量を維持しつつ小型化でき、特許文献1に記載の電子部品を小型化できる。
ところで、共振回路を内蔵している電子部品において、より小型化の要望が存在する。
特開2006−222691号公報
そこで、本発明の目的は、共振回路を内蔵した電子部品の小型化を図ることである。
本発明の一形態に係る電子部品は、第1の誘電体材料からなる第1の絶縁体層、及び、該第1の誘電体材料よりも高い比誘電率を有している第2の誘電体材料からなる第2の絶縁体層が積層されてなる積層体と、前記積層体に内蔵されている第1のコイルと、を備え、前記第1のコイルは、コイル導体層により構成されており、前記コイル導体層は、前記第2の絶縁体層からなる第1の領域内に設けられていること、を特徴とする。
本発明によれば、共振回路を内蔵した電子部品の小型化を図ることができる。
本発明の実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。 図1の電子部品のA−A及びB−Bにおける断面構造図である。 図1の電子部品の積層体の分解斜視図である。 図1の電子部品の等価回路図である。 その他の実施形態に係る電子部品の断面構造図である。 その他の実施形態に係る電子部品の断面構造図である。 特許文献1に記載の電子部品の積層体の分解斜視図である。
以下に本発明の実施形態に係る電子部品について説明する。
(電子部品の構成)
以下に、本発明の一実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電子部品10a,10bの外観斜視図である。図2(a)は、電子部品10aのA−Aにおける断面構造図である。図2(b)は、電子部品10aのB−Bにおける断面構造図である。図3は、電子部品10aの積層体12aの分解斜視図である。図4は、電子部品10aの等価回路図である。図1及び図2において、z軸方向は、積層方向を示す。また、x軸方向は、電子部品10aの長辺に沿った方向を示し、y軸方向は、電子部品10aの短辺に沿った方向を示す。また、x軸方向、y軸方向及びz軸方向の正方向及び負方向は、積層体12aの中心を基準とする。
電子部品10aは、例えば、無線LAN等の2.4GHz帯の高周波信号を通過させ、それ以外の周波数帯の信号を除去するフィルタとして用いられる。電子部品10aは、図1に示すように、積層体12a、外部電極14(14a〜14d)及びLCフィルタLC1を備えている。積層体12aは、図2及び図3に示すように、セラミック誘電体からなる絶縁体層16(16a〜16o),18(18a〜18h)が積層されることにより構成され、直方体状をなしている。
外部電極14aは、図1に示すように、y軸方向の負方向側の側面(表面)に設けられており、入力端子として用いられる。外部電極14bは、y軸方向の正方向側の側面(表面)に設けられ、出力端子として用いられる。外部電極14cは、y軸方向の負方向側の側面(表面)に設けられ、グランド端子として用いられる。外部電極14cは、外部電極14aよりもx軸方向の負方向側に設けられている。外部電極14dは、y軸方向の正方向側の側面(表面)に設けられ、グランド端子として用いられる。外部電極14dは、外部電極14bよりもx軸方向の負方向側に設けられている。
絶縁体層16は、例えば、セラミック誘電体などの第1の誘電体材料(例えば、比誘電率5)により構成されている。絶縁体層18は、絶縁体層16の第1の誘電体材料よりも高い比誘電率を有している第2の誘電体材料(例えば、比誘電率50)により構成されている。
LCフィルタLC1は、積層体12aに内蔵され、図2及び図3に示すように、コイルL1、コンデンサC1,C2及びビアホール導体b7〜b10により構成された共振回路である。コイルL1は、コイル導体層20(20a〜20c)及びビアホール導体b1〜b6により構成されている。コンデンサC1は、コンデンサ導体層22(22b,22c)により構成されている。コンデンサC2は、コンデンサ導体層22(22a,22b,22c)により構成されている。ビアホール導体b7〜b10は、コイルL1とコンデンサC1とを接続している。
以下に、絶縁体層16,18、コイル導体層20、コンデンサ導体層22及びビアホール導体b1〜b10の詳細について図2及び図3を参照しながら説明する。
絶縁体層16aは、第1の誘電体材料により構成された長方形状の層であり、z軸方向の最も正方向側に設けられている。
コイル導体層20aは、y軸方向の両側の長辺を接続する直線部分、及び、該直線部分から枝分かれしているコイル部分を備えている。直線部分が両長辺に引き出されているので、コイル導体層20aは、外部電極14a,14bに接続されている。また、コイル部分は、図3に示すように、z軸方向から平面視したときに、直線部分との接続部分を起点に時計回りに旋廻している。
絶縁体層16dは、長方形状の層である。絶縁体層18bは、絶縁体層16d上に設けられている。絶縁体層18bは、z軸方向から平面視したときに、コイル導体層20aに沿った「ロ」字形状をなしていると共に、コイル導体層20aの線幅よりも太い幅を有している。また、絶縁体層16cは、絶縁体層16d上であって、絶縁体層18bが設けられていない部分に設けられている。そして、コイル導体層20aは、絶縁体層18b上に設けられている。これにより、コイル導体層20aは、z軸方向から平面視したときに、絶縁体層16cにはみ出すことなく、絶縁体層18b内に収まっている。
絶縁体層18aは、絶縁体層18b及びコイル導体層20a上に設けられている。絶縁体層18aは、z軸方向から平面視したときに、コイル導体層20aに沿った「ロ」字形状をなしていると共に、コイル導体層20aの線幅よりも太い幅を有している。また、絶縁体層16bは、絶縁体層16c上に設けられている。なお、絶縁体層18aと絶縁体層18bとは同じ形状を有し、絶縁体層16bと絶縁体層16cとは同じ形状を有している。これにより、コイル導体層20aは、z軸方向から平面視したときに、絶縁体層16bにはみ出すことなく、絶縁体層18a内に収まっている。
以上のような絶縁体層16b〜16d,18a,18b及びコイル導体層20aが積層されることにより、図2に示すように、コイル導体層20aは、絶縁体層18a,18bにより囲まれている。すなわち、コイル導体層20aは、絶縁体層18a,18b(第2の誘電体材料)からなる領域E1内に設けられている。また、絶縁体層18a,18bは、コイル導体層20aに沿った形状をなしているので、領域E1も、コイル導体層20aに沿った形状をなしている。
コイル導体層20bは、長方形状の線状導体の一部が切り欠かれた形状を有するコイル部分からなる。絶縁体層16gは、長方形状の層である。絶縁体層18dは、絶縁体層16g上に設けられている。絶縁体層18dは、z軸方向から平面視したときに、コイル導体層20bに沿った「ロ」字形状をなしていると共に、コイル導体層20bの線幅よりも太い幅を有している。また、絶縁体層16fは、絶縁体層16g上であって、絶縁体層18dが設けられていない部分に設けられている。そして、コイル導体層20bは、絶縁体層18d上に設けられている。これにより、コイル導体層20bは、z軸方向から平面視したときに、絶縁体層16fにはみ出すことなく、絶縁体層18d内に収まっている。
絶縁体層18cは、絶縁体層18d及びコイル導体層20b上に設けられている。絶縁体層18cは、z軸方向から平面視したときに、コイル導体層20bに沿った「ロ」字形状をなしていると共に、コイル導体層20bの線幅よりも太い幅を有している。また、絶縁体層16eは、絶縁体層16f上に設けられている。なお、絶縁体層18cと絶縁体層18dとは同じ形状を有し、絶縁体層16eと絶縁体層16fとは同じ形状を有している。これにより、コイル導体層20bは、z軸方向から平面視したときに、絶縁体層16eにはみ出すことなく、絶縁体層18c内に収まっている。
以上のような絶縁体層16e〜16g,18c,18d及びコイル導体層20bが積層されることにより、図2に示すように、コイル導体層20bは、絶縁体層18c,18dにより囲まれている。すなわち、コイル導体層20bは、絶縁体層18c,18d(第2の誘電体材料)からなる領域E1内に設けられている。また、絶縁体層18c,18dは、コイル導体層20bに沿った形状をなしているので、領域E1も、コイル導体層20bに沿った形状をなしている。
コイル導体層20cは、長方形状の線状導体の一部が切り欠かれた形状を有するコイル部分からなる。絶縁体層16jは、長方形状の層である。絶縁体層18fは、絶縁体層16j上に設けられている。絶縁体層18fは、z軸方向から平面視したときに、コイル導体層20cに沿った「ロ」字形状をなしていると共に、コイル導体層20cの線幅よりも太い幅を有している。また、絶縁体層16iは、絶縁体層16j上であって、絶縁体層18fが設けられていない部分に設けられている。そして、コイル導体層20cは、絶縁体層18f上に設けられている。これにより、コイル導体層20cは、z軸方向から平面視したときに、絶縁体層16iにはみ出すことなく、絶縁体層18f内に収まっている。
絶縁体層18eは、絶縁体層18f及びコイル導体層20c上に設けられている。絶縁体層18eは、z軸方向から平面視したときに、コイル導体層20cに沿った「ロ」字形状をなしていると共に、コイル導体層20cの線幅よりも太い幅を有している。また、絶縁体層16hは、絶縁体層16i上に設けられている。なお、絶縁体層18eと絶縁体層18fとは同じ形状を有し、絶縁体層16hと絶縁体層16iとは同じ形状を有している。これにより、コイル導体層20cは、z軸方向から平面視したときに、絶縁体層16hにはみ出すことなく、絶縁体層18e内に収まっている。
以上のような絶縁体層16h〜16j,18e,18f及びコイル導体層20cが積層されることにより、図2に示すように、コイル導体層20cは、絶縁体層18e,18fにより囲まれている。すなわち、コイル導体層20cは、絶縁体層18e,18f(第2の誘電体材料)からなる領域E1内に設けられている。また、絶縁体層18e,18fは、コイル導体層20cに沿った形状をなしているので、領域E1も、コイル導体層20cに沿った形状をなしている。
ビアホール導体b1〜b3はそれぞれ、絶縁体層18b,16d,18cをz軸方向に貫通しており、コイル導体層20a,20bを接続している。具体的には、ビアホール導体b1は、コイル導体層20aのコイル部分の端部に接続されている。また、ビアホール導体b3は、コイル導体層20bの端部に接続されている。
ビアホール導体b4〜b6はそれぞれ、絶縁体層18d,16g,18eをz軸方向に貫通しており、コイル導体層20b,20cを接続している。具体的には、ビアホール導体b4は、コイル導体層20bにおいて、ビアホール導体b3が接続されていない方の端部に接続されている。また、ビアホール導体b6は、コイル導体層20cの端部に接続されている。
絶縁体層16kは、長方形状の層であり、絶縁体層16jのz軸方向の負方向側に設けられている。また、絶縁体層16nは、長方形状の層である。コンデンサ導体層22cは、絶縁体層16nの略全面を覆うように、該絶縁体層16n上に設けられた長方形状の導体層である。ただし、コンデンサ導体層22cは、絶縁体層16nのy軸方向の両側の長辺に引き出されており、その他の部分において絶縁体層16nの外縁と接していない。これにより、コンデンサ導体層22cは、外部電極14c,14dに接続されている。
絶縁体層18hは、コンデンサ導体層22c上に設けられた長方形状の層である。絶縁体層16mは、絶縁体層18hの周囲に設けられている。コンデンサ導体層22bは、絶縁体層18h上に設けられた長方形状の導体層である。これにより、図2に示すように、コンデンサ導体層22b,22cにより挟まれている領域E3には、第2の誘電体材料からなる絶縁体層18hが設けられている。
絶縁体層18gは、コンデンサ導体層22bの半分程度の大きさを有し、コンデンサ導体層22b上に設けられている。絶縁体層16lは、コンデンサ導体層22b及び絶縁体層16mにおいて、絶縁体層18gが設けられていない部分に設けられている。
コンデンサ導体層22aは、コンデンサ導体層22bの半分程度の大きさを有する長方形状の導体層であり、絶縁体層18g上に設けられている。これにより、図2に示すように、コンデンサ導体層22a,22bにより挟まれている領域E3には、第2の誘電体材料からなる絶縁体層18gが設けられている。また、コンデンサ導体層22aは、絶縁体層16lのy軸方向の両側の長辺に引き出されることにより、外部電極14a,14bに接続されている。
ビアホール導体b7〜b10はそれぞれ、絶縁体層18f,16j,16k,16lをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b7〜b10は、コイルL1とコンデンサC1とを接続している。具体的には、ビアホール導体b7は、コイル導体層20cにおいて、ビアホール導体b6が接続されていない方の端部に接続されている。また、ビアホール導体b10は、コンデンサ導体層22bに接続されている。
また、絶縁体層16oは、長方形状をなし、z軸方向の最も負方向側に設けられている。
なお、図2に示すように、コイルL1とコンデンサC1,C2との間の領域E2の少なくとも一部は、絶縁体層16j,16k(第1の誘電体材料)により構成されている。
以上のように構成された電子部品10aは、図4に示すように、フィルタを構成している。より具体的には、コイル導体層20aの直線部分は、外部電極14a,14bを接続している。よって、図4に示すように外部電極14a,14b間は、配線により接続されている。
また、コイル導体層20aのコイル部分は、直線部分から枝分かれしている。更に、コイル導体層20aのコイル部分、コイル導体層20b,20cは、互いに接続されている。これにより、コイルL1は、外部電極14a,14bを接続する配線から枝分かれして設けられている。
また、コイル導体層20cとコンデンサ導体層22bとは、ビアホール導体b7〜b10により接続されている。更に、コンデンサ導体層22cは、外部電極14c,14dに接続されている。よって、図4に示すように、コイルL1とコンデンサC1とは、外部電極14a,14bを接続する配線と外部電極14c,14dとの間に直列に接続されている。
更に、コンデンサ導体層22aは、外部電極14a,14bに接続されており、コンデンサ導体層22cは、外部電極14c,14dに接続されている。よって、図4に示すように、コンデンサC2は、外部電極14a,14bと外部電極14c,14dとの間に接続されている。すなわち、コンデンサC2は、コイルL1及びコンデンサC1に並列に接続されている。
(電子部品の製造方法)
以上のように構成された電子部品10aの製造方法について図1及び図3を参照しながら説明する。なお、以下では、一つの電子部品10aが作製される場合について説明するが、実際には、複数個の電子部品10aが同時に作製される。
まず、絶縁体層16a,16d,16g,16j,16k,16n,16oとなるべきセラミックグリーンシートを準備する。次に、絶縁体層16dとなるべきセラミックグリーンシート上に、第2の誘電体材料のペーストをスクリーン印刷により塗布して、絶縁体層18bとなるべきセラミックグリーン層を形成する。絶縁体層16dとなるべきセラミックグリーンシート上に、第1の誘電体材料のペーストをスクリーン印刷により塗布して、絶縁体層16cとなるべきセラミックグリーン層を形成する。
次に、絶縁体層16d,18bとなるべきセラミックグリーンシートにビアホール導体b1,b2を形成する。具体的には、絶縁体層16d,18bとなるべきセラミックグリーンシートに対して、レーザビームを照射してビアホールを形成する。そして、該ビアホールに対して、Cu等を主成分とする導電体ペーストを充填する。
次に、絶縁体層18bとなるべきセラミックグリーン層上に、Cu等を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布して、コイル導体層20aを形成する。なお、コイル導体層20aを形成する際に、絶縁体層16d,18bとなるべきセラミックグリーンシートのビアホールに導電性ペーストを充填してもよい。
次に、絶縁体層18bとなるべきセラミックグリーン層及びコイル導体層20a上に、第2の誘電体材料のペーストをスクリーン印刷により塗布して、絶縁体層18aとなるべきセラミックグリーン層を形成する。更に、絶縁体層16cとなるべきセラミックグリーンシート上に、第1の誘電体材料のペーストをスクリーン印刷により塗布して、絶縁体層16bとなるべきセラミックグリーン層を形成する。以上の工程により図3に示すセラミックグリーンシートS1が完成する。また、同様の工程を行うことにより、セラミックグリーンシートS2,S3が得られる。
次に、絶縁体層16nとなるべきセラミックグリーンシート上に、Cu等を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布して、コンデンサ導体層22cを形成する。次に、コンデンサ導体層22c上に、第2の誘電体材料のペーストをスクリーン印刷により塗布して、絶縁体層18hとなるべきセラミックグリーン層を形成する。更に、絶縁体層16nとなるべきセラミックグリーンシート上に、第1の誘電体材料のペーストをスクリーン印刷により塗布して、絶縁体層16mとなるべきセラミックグリーン層を形成する。
次に、絶縁体層16mとなるべきセラミックグリーン層上に、Cu等を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布して、コンデンサ導体層22bを形成する。次に、コンデンサ導体層22b上に、第2の誘電体材料のペーストをスクリーン印刷により塗布して、絶縁体層18gとなるべきセラミックグリーン層を形成する。
次に、コンデンサ導体層22b及び絶縁体層16mとなるべきセラミックグリーン層上に、第1の誘電体材料のペーストを塗布して、絶縁体層16lとなるべきセラミックグリーン層を形成する。この際、絶縁層16lとなるべきセラミックグリーン層に、ビアホール導体b10を形成する。具体的には、絶縁体層16lとなるべきセラミックグリーン層の形成の際に、ビアホールを形成しておく。そして、該ビアホールに対して、Cu等を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷により充填する。
次に、絶縁体層18gとなるべきセラミックグリーン層上にCu等を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布して、コンデンサ導体層22aを形成する。なお、コンデンサ導体層22aを形成する際に、絶縁体層16lとなるべきセラミックグリーン層のビアホールに導電性ペーストを充填してもよい。以上の工程により、セラミックグリーンシートS4が完成する。
次に、絶縁体層16kとなるべきセラミックグリーンシートにビアホール導体b9を形成する。具体的には、絶縁体層16kとなるべきセラミックグリーンシートに対して、レーザビームを照射してビアホールを形成する。そして、該ビアホールに対して、Cu等を主成分とする導電体ペーストを充填する。
以上のように構成されたセラミックグリーンシートを積層して、積層体12aを得る。具体的には、絶縁体層16oとなるべきセラミックグリーンシートを配置する。次に、絶縁体層16oとなるべきセラミックグリーンシート上に、セラミックグリーンシートS4を積層し、仮圧着を行う。この後、絶縁体層16kとなるべきセラミックグリーンシート、セラミックグリーンシートS3,S2,S1及び絶縁体層16aとなるべきセラミックグリーンシートも、この順に積層及び仮圧着を行う。これにより、未焼成の積層体12aが得られる。未焼成の積層体12aには、静水圧プレスなどにより本圧着が施される。更に、未焼成の積層体12aに、脱バインダー処理及び焼成を行う。
以上の工程により、焼成された積層体12aが得られる。積層体12aには、バレル加工が施されて、面取りが行われる。その後、積層体12aの表面には、例えば、浸漬法等の方法により主成分が銅である電極ペーストが塗布及び焼き付けされることにより、外部電極14となるべき銅電極が形成される。
最後に、銅電極の表面に、Niめっき/Snめっきを施すことにより、外部電極14を形成する。以上の工程を経て、図1に示すような電子部品10aが完成する。
なお、複数個の電子部品10aを同時に作製する場合には、大判のセラミックグリーンシートを積層して、マザー積層体を作製する。そして、該マザー積層体をカットすることにより、積層体を得る。
(効果)
以上のように構成された電子部品10aによれば、以下に説明するように、共振回路を内蔵した電子部品10aの小型化を図ることができる。より詳細には、特許文献1に記載の電子部品では、図7に示すように、高い比誘電率を有する第2の誘電体部分222が、コンデンサC11〜C14の容量層を形成している。これにより、コンデンサC11〜C14において大きな容量を得ることが容易となる。そのため、コンデンサC11〜C14を容易に小型化でき、特許文献1に記載の電子部品を小型化できる。
しかしながら、コイルL11,L12の周囲には、低い比誘電率を有する第1の誘電体部分220が存在している。コイルL11,L12を進行する高周波信号の伝搬速度は、比誘電率に反比例する。よって、コイルL11,L12を進行する高周波信号の伝搬速度は、比較的大きくなってしまう。その結果、該高周波信号の波長は比較的長くなってしまう。
高周波信号の波長が長くなると、コイルL11,L12及びコンデンサC11〜C14により、共振回路を構成する際に、コイルL11,L12の線路長を多くする必要がある。その結果、特許文献1に記載の電子部品は、大型化してしまう。
そこで、電子部品10aでは、コイル導体層20a〜20cは、絶縁体層18(第2の誘電体層)からなる領域E1内に設けられている。すなわち、コイル導体層20a〜20cは、高い比誘電率を有する第2の誘電体層に囲まれている。そのため、コイル導体層20a〜20cを進行する高周波信号の伝搬速度は小さくなる。よって、コイル導体層20a〜20cを進行する高周波信号の波長は短くなる。その結果、コイルL1及びコンデンサC1により共振回路を構成する際に、コイルL1の線路長を短くすることができる。すなわち、電子部品10aの小型化が図られる。
また、電子部品10aでは、コイルL1の自己共振周波数を低周波化することができる。より詳細には、コイル導体層20a〜20cは、第2の誘電体層に囲まれている。そのため、コイル導体層20a〜20c間の浮遊容量が大きくなる。コイルL1の自己共振周波数は、コイルL1のインダクタンス値とコイルL1の浮遊容量との積の平方根に反比例する。よって、電子部品10aにおいて、コイル導体層20a〜20c間の浮遊容量が大きくなると、コイルL1の自己共振周波数は、低くなる。
また、電子部品10aでは、コイルL1とコンデンサC1,C2との間の浮遊容量を低減することができる。より詳細には、図2に示すように、コイルL1とコンデンサC1,C2との間の領域E2の少なくとも一部は、第1の誘電体材料よりも低い比誘電率を有する絶縁体層16j,16k(第1の誘電体材料)により構成されている。よって、電子部品10aでは、コイルL1とコンデンサC1,C2との間の浮遊容量が低減される。その結果、コイルL1のQ値が低下することが抑制されると共に、電子部品10の自己共振周波数を高くすることができる。以上のように、電子部品10によれば、電子部品10の使用可能周波数帯域の調整を容易に行うことができるようになる。
また、電子部品10aでは、以下に説明するように、製造コストの高騰を抑制できる。より詳細には、電子部品10aの製造方法では、絶縁体層16a,16d,16g、16j,16k,16n,16oとなるべきセラミックグリーンシートに対して、スクリーン印刷を施すことにより、絶縁体層16,18となるべきセラミックグリーン層、コイル導体層20及びコンデンサ導体層22が形成されている。そのため、準備すべきセラミックグリーンシートは、1種類のみで足りる。その結果、電子部品10aでは、複数種類のセラミックグリーンシートを準備する必要がある電子部品に比べて、製造コストの高騰が抑制される。
また、コンデンサC1,C2の容量層は、比誘電率が高い第2の誘電体材料からなる絶縁体層18により構成されている。そのため、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2の容量を大きくすることが容易である。その結果、コンデンサC1,C2の容量を維持しつつ、コンデンサC1,C2を小さくすることができるので、電子部品10aの小型化を図ることができる。
(その他の実施形態)
本願発明に係る電子部品は、前記電子部品10aに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。以下に、その他の実施形態に係る電子部品10bについて図面を参照しながら説明する。図5は、その他の実施形態に係る電子部品10bの断面構造図である。
電子部品10bは、図5に示すように、グランド導体層24が設けられている点において、電子部品10aと異なっている。グランド導体層24は、z軸方向において、コイルL1とコンデンサC1,C2との間に設けられた導体層であり、外部電極14c,14dに接続されている。これにより、コイルL1とコンデンサC1,C2との間のアイソレーションが向上する。なお、グランド導体層24の代わりに、外部電極14c,14dに接続された配線やビアホール導体が設けられていてもよい。
次に、その他の実施形態に係る電子部品10cについて図面を参照しながら説明する。図6は、その他の実施形態に係る電子部品10cの断面構造図である。
電子部品10cは、LCフィルタLC2が設けられている点において電子部品10aと相違点を有している。LCフィルタLC1は、2.4GHz帯の高周波信号を通過させる。一方、LCフィルタLC2は、LCフィルタLC2よりも高い共振周波数を有し、5GHz帯の高周波信号を通過させる。そして、LCフィルタLC1とLCフィルタLC2とにより、分配器が構成されている。
LCフィルタLC2は、図6に示すように、コイルL2及びコンデンサC3により構成されている。コイルL2は、コイル導体層30a,30b及び図示しないビアホール導体により構成されている。また、コンデンサC3は、コンデンサ導体層32a,32bにより構成されている。更に、コイルL2とコンデンサC3とは、図示しないビアホール導体により接続されている。
ここで、前記の通り、LCフィルタLC2は、LCフィルタLC1に比べて高い共振周波数を有している。そのため、LCフィルタLC2のコイルL2の自己共振周波数は、LCフィルタLC1のコイルL2の自己共振周波数ほど低周波化する必要がない。よって、コイルL2を構成しているコイル導体層30a,30bは、第2の誘電体材料よりも低い比誘電率を有する第1の誘電体材料からなる領域E4内に設けられている。
本発明は、電子部品に有用であり、特に、共振回路を内蔵した電子部品の小型化を図ることができる点において優れている。
LC1,LC2 LCフィルタ
C1〜C3 コンデンサ
L1,L2 コイル
b1〜b10 ビアホール導体
10a〜10c 電子部品
12a〜12c 積層体
14a〜14d 外部電極
16a〜16o,18a〜18h 絶縁体層
20a〜20c,30a,30b コイル導体層
22a〜22c,32a,32b コンデンサ導体層
24 グランド導体層
E1〜E4 領域

Claims (7)

  1. 第1の誘電体材料からなる第1の絶縁体層、及び、該第1の誘電体材料よりも高い比誘電率を有している第2の誘電体材料からなる第2の絶縁体層が積層されてなる積層体と、
    前記積層体に内蔵されている第1のコイルと、
    を備え、
    前記第1のコイルは、コイル導体層により構成されており、
    前記コイル導体層は、前記第2の絶縁体層からなる第1の領域内に設けられていること、
    を特徴とする電子部品。
  2. 前記第1の領域は、前記コイル導体層に沿った形状をなしていること、
    を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記積層体に内蔵されている第1のコンデンサを、
    更に備え、
    前記第1のコイル及び前記第1のコンデンサは、第1の共振回路を構成していること、
    を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
  4. 前記第1のコイルと前記第1のコンデンサとの間の第2の領域の少なくとも一部は、前記第1の絶縁体層により構成されていること、
    を特徴とする請求項3に記載の電子部品。
  5. 前記第1のコンデンサは、複数のコンデンサ導体層により構成され、
    前記コンデンサ導体層により挟まれている第3の領域には、前記第2の絶縁体層が設けられていること、
    を特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の電子部品。
  6. 前記第1のコイルと前記第1のコンデンサとを接続するビアホール導体を、
    更に備えていること、
    を特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の電子部品。
  7. 前記積層体は、
    第2のコイル及び第2のコンデンサからなり、かつ、前記第1の共振回路よりも高い共振周波数を有する第2の共振回路を、
    更に備え、
    前記第2のコイルは、前記第1の絶縁体層からなる第4の領域内に設けられていること、
    を特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の電子部品。
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