JPWO2010093020A1 - 硬カプセル - Google Patents

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Abstract

本発明は、難溶性薬効成分を溶解する溶剤を充填しても安定性が高く、かつ、低湿度環境下における機械的強度にも優れた硬カプセルを提供することを課題とする。本発明により、(A)ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下、一般式[1]H2C=C(R1)−COOR2[1]〔式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。〕で表される少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体、及び、(B)(B-1)多価アルコール、(B-2)多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸とのエステル、及び(B-3)多価カルボン酸と炭素数1〜5アルコールとのエステル、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む皮膜を備えた硬カプセルが提供される。当該項カプセルは、優れた機械的強度を有し、低水分性を損なわず、難溶性薬物溶解溶剤を充填した場合においても優れた物理的安定性を有する。

Description

本発明は、ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下で少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体、並びに特定の化合物を含む皮膜を備えた硬カプセルに関する。
医薬品の活性物質、即ち、薬効成分には、水への溶解性の悪い物質が多く、そのような物質では消化管からの吸収性が低く、生物学的利用能や薬効発現が低下、また変動しやすい。前臨床試験において、動物などで薬効や生物薬剤学的なパラメーターを求めるときには、薬効成分を吸収しやすくするため、何らかの溶剤に溶解させることが多く、難溶解性の薬効成分に対しては、比較的低分子のポリエチレングリコールおよびその誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、炭素数が6から12の脂肪酸またはその塩、ポリオキシエチレンヒマシ油、ジエチレングリコールの誘導体などが使用される。しかし、これらの溶剤は通常液体であり、錠剤にすることは困難で、市場に出す最終的な剤形は別途検討が必要である。これらの溶剤を直接製剤化できれば、製剤化の時間が大幅に短縮することが可能となるが、その剤形としてカプセル剤が最も期待されている。
カプセル剤としては、従来、ゼラチン又はセルロース誘導体を基剤とするカプセル剤が知られている。しかし、ゼラチン硬カプセルに重量平均分子量400のポリエチレングリコール(PEG400)を充填すると、皮膜中の水分が溶剤に移行するため、カプセルが割れるという欠点がある(非特許文献1参照)。また、セルロース誘導体のカプセルではこれらの溶剤は可塑剤として働くためカプセルの皮膜を透過してカプセルの表面にしみ出すなどする。
このような問題点を解決するものとして、ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下で少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体を主体とする硬カプセルが報告されている(特許文献1参照)。
国際公開2002/017848号パンフレット
Pharmaceutical Technology Europe, October, 84,86, 88-90, 1998
しかしながら、ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下で少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体を主体とするだけでは、硬カプセルを湿度の低い環境下で保管する場合の機械的強度が十分でないという課題があった。
本発明は、難溶性薬効成分を溶解する溶剤(以下、「難溶性薬物溶解溶剤」ともいう)を充填しても安定性に優れ、かつ、低湿度環境下における機械的強度にも優れた硬カプセルを提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下に少なくとも1種の特定の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体に、特定の化合物を配合して形成された硬カプセルが、難溶性薬効成分を溶解する溶剤を充填しても安定性が高く、水溶解性など硬カプセルの持つべき一般的な特性にも優れ、かつ、低湿度環境下における皮膜の機械的強度にも優れていることを見出し、更に検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は例えば以下の硬カプセル等を提供するものである。
項1.
(A)ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下、一般式[1]
C=C(R)−COOR [1]
〔式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。〕
で表される少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体、及び、
(B)(B-1)多価アルコール、(B-2)多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸とのエステル、及び(B-3)多価カルボン酸と炭素数1〜5アルコールとのエステル、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含む皮膜を備えた硬カプセル。
項2.
前記(B)の化合物において、多価アルコールがソルビトール、マンニトール、グリセリン及びプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種であり、多価カルボン酸がクエン酸である、項1に記載の硬カプセル。
項3.
前記(B)の化合物が、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン及びクエン酸トリエチルからなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の硬カプセル。
項4.
前記(A)の重合体又は共重合体10重量部に対し、前記(B)の化合物0.1〜2重量部が含まれる、項1〜3のいずれかに記載の硬カプセル。
項5.
下記(a)〜(g)からなる群から選ばれる少なくとも1つを充填するための、項1〜4のいずれかに記載の硬カプセル。
(a)重量平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールまたはその誘導体、
(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(c)炭素数が6から12の脂肪酸またはその塩
(d)ポリオキシエチレンヒマシ油
(e)ジエチレングリコールのエーテル誘導体
(f)炭素数が6から12の脂肪族アルコール
(g)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
項6.
皮膜が、さらに(C)ゲル化剤を含む項1〜5のいずれかに記載の硬カプセル。
項7.
(A)が、ポリビニルアルコールの存在下で、少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体である項1〜6のいずれかに記載の硬カプセル。
項8.
(A)におけるポリビニルアルコールの誘導体が、末端にチオール基を有しているポリビニルアルコールである項1〜6のいずれかに記載の硬カプセル。
項9.
(A)における重合性ビニル単量体が、アクリル酸又はメタクリル酸並びにメチルメタクリレートを含み、アクリル酸又はメタクリル酸が重合性ビニル単量体合計量の5から50重量%、メチルメタクリレートが重合性ビニル単量体合計量の50から95重量%である項1〜8のいずれかに記載の硬カプセル。
項10.
(A)において、ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体が20から95重量%、重合性ビニル単量体が5から80重量%である項1〜9のいずれかに記載の硬カプセル。
項11.
項1〜10のいずれかに記載の硬カプセルに、下記(a)〜(g)からなる群から選ばれる少なくとも1つが充填されてなる、硬カプセル剤。
(a)重量平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールまたはその誘導体、
(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(c)炭素数が6から12の脂肪酸またはその塩
(d)ポリオキシエチレンヒマシ油
(e)ジエチレングリコールのエーテル誘導体
(f)炭素数が6から12の脂肪族アルコール
(g)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
項12.
(A)ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下、一般式[1]
C=C(R)−COOR [1]
〔式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。〕
で表される少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体、及び、
(B)(B-1)多価アルコール、(B-2)多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸とのエステル、及び(B-3)多価カルボン酸と炭素数1〜5アルコールとのエステル、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含有する水溶液に、カプセル成形用ピンを浸積して引き上げ、当該成形用ピンに付着した前記水溶液を乾燥させて、皮膜を形成することを特徴とする項1〜10のいずれかに記載の硬カプセルの皮膜の製造方法。
項13.
硬カプセルを製造するための、
(A)ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下、一般式[1]
C=C(R)−COOR [1]
〔式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。〕
で表される少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体、及び、
(B)(B-1)多価アルコール、(B-2)多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸とのエステル、及び(B-3)多価カルボン酸と炭素数1〜5アルコールとのエステル、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
の使用。
項14.内容物が、さらに増粘剤を含んでいる項11に記載の硬カプセル剤。
本発明の硬カプセルは、難溶性薬物溶解溶剤を充填しても安定性に優れており、かつ、低湿度環境下における機械的強度にも優れている。
これにより、従来、カプセルには適さないと考えられていた多くの薬効成分の充填が可能なだけでなく、保管時の機械的強度にも優れた硬カプセルが提供されることになり、多くの薬物の実用化やカプセル剤の品質向上等に寄与する。
図1は、硬カプセルの耐衝撃強度試験装置を示す模式図である。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
1.皮膜
本発明の硬カプセルは、皮膜に(A)ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下、一般式[1]
C=C(R)−COOR [1]
〔式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。〕
で表される少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体、及び、
(B)(B-1)多価アルコール、(B-2)多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸とのエステル、及び(B-3)多価カルボン酸と炭素数1〜5アルコールとのエステル、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいることを必須の要件とする。
(A)ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下、少なくとも1種の特定の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体
本発明において使用されるポリビニルアルコール(PVAともいう)およびその誘導体としては、PVAの完全ケン化物、中間ケン化物、部分ケン化物の他に、アミン変性PVA、エチレン変性PVA、末端チオール変性PVAなどの各種変性PVAが用いられる。
PVAは、酢酸ビニルをラジカル重合し、得られた酢酸ビニルを適宜ケン化することによって得ることができる。よって、通常PVAには酢酸ビニル由来の−OCOCH基が存在する。PVAは、ケン化度の違いにより、完全ケン化物、中間ケン化物、部分ケン化物等に分類され得る。本発明に用いるPVAのケン化度は約70モル%以上であることが好ましく、約80モル%以上であることがより好ましく、85モル%以上であることがさらに好ましい。なかでも、ケン化度85〜90モル%、特に86〜89モル%程度のPVAケン化物が好適である。なお、当該分野で当然に知られているように、PVAの完全ケン化物とは通常ケン化度98モル%以上のPVAのことであって、必ずしも100モル%ケン化されたものではない。
また、PVAの誘導体として例示される、アミン変性PVA、エチレン変性PVA、末端チオール変性PVAなどの各種変性PVAは、例えば当該分野で公知の方法で製造することができる。
なお、PVA及びその誘導体は、市販品を購入して用いることもできる。例えば日本合成化学工業株式会社、及び日本酢ビ・ポバール株式会社等から購入することができる。
PVAは、種々の重合度のものが知られているが、その平均重合度は用途に応じた濃度、粘度で最適なものを選択すればよいのであって、限定されるものでない。すなわち、硬カプセルの製造方法は例えば以下の2.製造方法の項に示したように種々の方法があり、それらの方法によって至適の粘度も異なり、そのために使用可能なPVAの分子量も適宜選択されうる。
一例としては、重量平均分子量約30000〜400000のPVA、好ましくは重量平均分子量約100000〜300000のPVAを本発明に用いることができる。なお、PVAの重量平均分子量は、GPC法(非水系サイズ排除クロマトグラフィー法)により測定した値である。具体的には、次のようにして測定する。すなわち、PVAを、ジメチルスルホキシド(DMSO)10moLの塩化リチウム溶液に濃度1mg/mLとなるように加え、40℃で30分間加熱しながら撹拌し、一晩室温にて静置した後、PTFEカートリッジフィルター(0.45μm)を用いて濾過し、GPC法で分子量分布を測定する。
また、例えば、平均重合度約350〜5000のPVA、好ましくは平均重合度約1200〜3800のPVAを本発明に用いることができる。
PVA及びその誘導体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、ケン化度の異なるPVA及び各種変性PVAを、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、PVA及びその誘導体として、市販品を用いることもできる。
本発明において使用される重合性ビニル単量体は、
一般式[1]
C=C(R)−COOR [1]
〔式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。〕
で表される化合物である。
本発明において使用される重合性ビニル単量体としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルアクリレートが挙げられる。アクリル酸及びメタクリル酸は、これらの塩を用いることもできる。例えば、これらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、又はアルキルアミン塩等を用いてもよい。
また、重合性ビニル単量体は1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
重合性ビニル単量体としては、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種と、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、及びイソブチルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種とを組み合わせて使用するのが好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸並びにメチルメタクリレートを使用するのがより好ましい。
PVA共重合体における、PVA及び/又はその誘導体と重合性ビニル単量体の重量比は、特に制限されないが、好ましくは、PVA及び/又はその誘導体が20から95重量%、重合性ビニル単量体が5から80重量%である。さらに好ましくは、PVA及び/又はその誘導体が50から90重量%、重合性ビニル単量体が10から50重量%である。
PVAおよび/またはその誘導体が20重量%未満である場合に比べ、20重量%以上である場合は、カプセルが水に溶解または分散する能力がより向上し、好ましい。また、PVAおよび/またはその誘導体が95重量%を超える場合に比べ、95重量%以下の場合の方が、カプセルが湿度の影響を受けにくく、高湿度下での強度がより軟化しにくい。
また、重合性ビニル単量体として、2種以上を併用する場合、その割合は、特に制限されないが、(I)アクリル酸、メタクリル酸、並びにこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びアルキルアミン塩からなる群より選択される少なくとも1種と(II)メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、及びイソブチルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種とを組み合わせて使用する場合には、重合性ビニル単量体合計量に対し、(I)の少なくとも1種の重量比は5から50重量%、好ましくは10から40重量%であり、(II)の少なくとも1種の重量比は50から95重量%、好ましくは60から90重量%である。
共重合の方法は、公知の方法を使用できるが、例えば、水にPVA及び/又はその誘導体を添加し、加温して溶解し、次いで重合性ビニル単量体の少なくとも1種と重合開始剤とを添加し、共重合させて樹脂を得ることができる。水に添加するPVA及び/又はその誘導体、並びに重合性ビニル単量体の重量比によって、上述のPVA共重合体におけるPVA及び/又はその誘導体、並びに重合性ビニル単量体の重量比が決定される。よって、水に添加する重量比は上述のPVA共重合体におけるPVA及び/又はその誘導体並びに重合性ビニル単量体の重量比であることが好ましい。
重合開始剤は、従来使用されているものを用いることができる。例えば、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、AIBN(アゾイソブチロニトリル)などのアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物、過酸化水素−酒石酸、過酸化水素−酒石酸ナトリウムなどのレドックス開始剤等を使用することができる。
また、(A)のPVA共重合体の量は、乾燥重量換算で、皮膜全重量に対し80〜98重量%であることが好ましい。
限定的な解釈を望むものではないが、本発明において、ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下、少なくとも1種の特定の重合性ビニル単量体を重合又は共重合させる際の反応機構は、次のようなものであると考えられる。すなわち、まず、重合開始剤により、PVAに存在する−OCOCH基の末端のメチル基の水素が引き抜かれ、ラジカルが発生する。当該ラジカルに重合性ビニル単量体が結合し、当該重合性ビニル単量体の二重結合が切断され、再度ラジカルが発生する。当該ラジカルに重合性ビニル単量体が結合し、同様に反応が繰り返される。
本発明において、(A)のPVA共重合体は、PVAの側鎖として存在する−OCOCH基に前述の重合性ビニル単量体の少なくとも1種がグラフト重合した構造を有する。なお、このグラフト重合において、重合性ビニル単量体の少なくとも1種が重合又は共重合した重合体を介してPVA同士が結合していてもよい。
例えば、重合性ビニル単量体としてアクリル酸及びメチルメタクリレートを用いた場合は、(A)のPVA共重合体は、アクリル酸及びメチルメタクリレートの共重合体が、PVAの−OCOCH基を介してPVAに結合した構造を有する。このようなPVA共重合体(ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体)として、具体的には、後述する実施例で使用するPOVACOAT(登録商標)TypeR、TypeL(大同化成株式会社製)を例示できる。
(B)(B-1)多価アルコール、(B-2)多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸とのエステル、及び(B-3)多価カルボン酸と炭素数1〜5アルコールとのエステル、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
本発明の硬カプセルの皮膜は、更に上記(B)の化合物を含んでおり、これにより、皮膜の機械的強度が向上し、特に、相対湿度(RH)40%以下のような比較的低い湿度環境下における耐衝撃性が向上する。
多価アルコールとしては、2個以上の水酸基を有するアルコールであれば限定されず、例えば、好ましい多価アルコールとしてグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、糖アルコール等が挙げられる。糖アルコールとしては、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール等が挙げられる。これらのなかでも、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトールが好ましく、グリセリン、プロピレングリコールがより好ましい。
また、多価アルコールのエステルとしては、多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸(好ましくは炭素数1〜4のカルボン酸、より好ましくは炭素数1〜3のカルボン酸)とのエステルを用いる。また、前記多価アルコールのモノエステル、ジエステル、トリエステル等が好ましく挙げられる。好ましい多価アルコールのエステルとして、具体的には、グリセリントリアセテート(以下、トリアセチンともいう)、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリブチレート、グリセリントリプロピオネート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等が挙げられる。これらのなかでも、トリアセチンが特に好ましい。
また、多価カルボン酸のエステルとしては、多価カルボン酸と炭素数1〜5のアルコール(好ましくは炭素数1〜4のアルコール、より好ましくは炭素数1〜3のアルコール)とのエステルを用いる。また、多価カルボン酸のモノエステル、ジエステル、トリエステル等が好ましく挙げられる。多価カルボン酸としては、2個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸であれば特に限定されないが、好ましい多価カルボン酸として、具体的には、クエン酸、アセチルクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、コハク酸等が挙げられる。
好ましい多価カルボン酸のエステルとして、具体的には、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジメチル等が挙げられる。これらのなかでもクエン酸トリエチルが特に好ましい。
これら(B-1)多価アルコール、(B-2)多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸とのエステル、及び(B-3)多価カルボン酸と炭素数1〜5のアルコールとのエステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記のうち、本発明における(B)の化合物としては、グリセリン及びグリセリンエステル、プロピレングリコール及びプロピレングリコールエステル、並びにクエン酸エステルから選ばれる少なくとも1種が特に好ましく用いられる。
中でも、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン及びクエン酸トリエチルが、機械的強度の改善効果が高く、かつ、難溶性薬物溶解溶剤充填時の安定性にも優れる点で、特に好ましい。
(B)の化合物の量は、本発明の効果を奏する範囲内であれば特に限定されないが、通常、乾燥重量換算で、皮膜全重量に対し1〜20重量%程度、好ましくは2〜15重量%、さらに好ましくは3〜10重量%程度である。(B)の化合物の量が当該範囲であれば、皮膜により優れた機械的強度を与えることができ、また、カプセルの成型性にも優れる。
また、本発明の硬カプセルの皮膜には、(A)10重量部に対して、(B)が好ましくは0.1〜2重量部、より好ましくは0.1〜1重量部、さらに好ましくは0.2〜1重量部含まれる。当該比率で(A)及び(B)が皮膜に含まれることで、皮膜は、より優れた機械的強度を有し、低水分性を損なわず、難溶性薬物溶解溶剤を充填した場合においてもより優れた物理的安定性を有する。
(C)他の成分
皮膜には、上記(A)及び(B)以外の他の成分が含まれていてもよい。
例えば、ゲル化能力が乏しい場合は、公知のいわゆるゲル化剤を添加してもよい。
例えば、水溶性セルロース誘導体を基剤とした硬カプセルの製造に用いるゲル化剤として日本特許第2552937号に提案されているゲル化剤を使用できる。
ゲル化剤は、(A)及び(B)の混合物に対する相溶性に応じて適宜選択されるが、具体的には、例えばカッパカラギーナン、イオターカラギーナン、ラムダカラギーナン、タマリンド種子多糖、ペクチン、カードラン、ゼラチン、ファーセレラン、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジエランガムなどが挙げられる。なお、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、必要に応じてゲル化補助剤を用いることもできる。ゲル化補助剤は、使用するゲル化剤の種類に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、カッパカラギーナンについては、カリウムイオン、アンモニウムイオン及びカルシウムイオンの1種又は2種以上を含む水溶性化合物、例えば塩化カリウム、リン酸カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウムを挙げることができる。またイオターカラギーナンについては、カルシウムイオンを含む水溶性化合物、例えば塩化カルシウムを挙げることができる。
ゲル化剤の量は、用いるゲル化剤の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、乾燥重量換算で、皮膜全重量に対し好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜3重量%を挙げることができる。また、ゲル化補助剤の量も、用いるゲル化剤の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、乾燥重量換算で、皮膜全重量に対し好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜3重量%を挙げることができる。
また、本発明の硬カプセルは、通常の硬ゼラチンカプセルまたはセルロース誘導体カプセルと同様に、必要に応じて色素、顔料等の着色剤、不透明化剤、香料、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜添加することができる。これらの配合量は、硬カプセルが製造できる範囲で適宜選択される。
硬カプセルの皮膜の厚さは、硬カプセルとしての機能を満たす限り特に制限されないが、一般に0.01から5mm程度、好ましくは0.05から1mm程度、更に好ましくは0.05〜0.5mm程度である。
2.製造方法
上記皮膜を備えた本発明の硬カプセルの製造方法としては、射出成型法やディッピング法などが挙げられる。但し、硬カプセルが成型可能な方法ならば、特にこれらの方法に限定されるものではなく、通常の硬ゼラチンカプセル成型手法と同様の方法を用いることができる。
ディッピング法は、硬カプセル基剤が温度差によりゲル化することを利用したカプセルの製造方法である。基剤にゲル化能力がない場合には、上記ゲル化剤、更に必要に応じてゲル化補助剤を添加して、製造することもできる。
ゲル化剤を使用した場合の硬カプセルの製造方法を例示する。上記(A)及び(B)の他、(C)ゲル化剤、並びに、必要に応じて(D)ゲル化補助剤を含む組成物を溶解した水溶液(ジェル)中に成型ピンを浸漬し、これを引き上げ、前記水溶液を必要に応じて冷却してゲル化し、さらにこれを乾燥して皮膜を形成するという方法が挙げられる。即ち、(A)〜(D)を溶解した水溶液(カプセル調製液)にカプセル成形用ピンを浸積して引き上げ、当該成形用ピンに付着した前記水溶液(カプセル調製液)を乾燥させることで、硬カプセルの皮膜を得ることができる。また、例えば、(C)ゲル化剤及び(D)ゲル化補助剤を用いない場合は、(A)及び(B)を溶解した水溶液(カプセル調製液)を用いて、同様にすればよい。
なお、カプセル調製液の調製において、当該調製液に溶解させる各種成分の溶解順に特に制限はない。
より具体的には、実施例に記載の方法が挙げられる。
3.硬カプセル
本発明の硬カプセルは、上記皮膜を備えたものであればよく、内容物が充填されたカプセル(カプセル剤)も含み、内容物が充填されていない空のカプセルも含む。
充填する内容物の種類は、特に限定されないが、本発明の硬カプセルは、特に、難溶性薬物溶解溶剤を充填する場合や、安定性に悪影響を及ぼすとされていた薬効成分を充填する場合に好適に用いられる。
即ち、従来の硬カプセルにおいては、難溶性薬物溶解溶剤を充填した場合に割れなどの問題を生じていたが、本発明の硬カプセルにおいてはそのような問題は起こらず、難溶性薬効成分も充填可能という利点を有する。またこのため、従来の硬カプセルの安定性に悪影響を及ぼしていた薬効成分も充填可能という利点も有する。さらには、本発明の硬カプセルは従来の硬カプセル(例えばゼラチンカプセル)に比べ、優れた低水分性を示す。低水分性とは、通常の湿度下(例えば25℃40%RH)での含有水分が低い性質を指す。硬カプセルの皮膜に水分が多く含まれると、カプセル内に充填した薬物及び溶媒へ皮膜中の水分が移行し、薬物及び溶媒の安定性が悪くなるおそれがあることから、硬カプセルは低水分性であることが好ましい。
なお、難溶性薬物とは、水に溶解しにくい薬物をいい、第十五改正日本薬局方に記載される「やや溶けにくい」「溶けにくい」「極めて溶けにくい」「ほとんど溶けない」のいずれに当てはまるものであってもよい。具体的には、薬物が固形の場合は粉末とした後、水中に入れ、20±5℃で5分ごとに強く30秒間振り混ぜるとき、30分以内に溶ける度合を検討し、薬物1g又は1mLを溶かすのに要する水量が30mL以上100mL未満のものを「やや溶けにくい」、100mL以上1000mL未満のものを「溶けにくい」、1000mL以上10000mL未満のものを「極めて溶けにくい」、10000mL以上のものを「ほとんど溶けない」とする。
難溶性薬物溶解溶剤としては、例えば、ポリエチレングリコールおよびその誘導体、ジエチレングリコールのエーテル誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、中鎖脂肪酸またはその塩、中鎖脂肪族アルコールが挙げられる。
ポリエチレングリコールとしては、低分子量のポリエチレングリコールが好ましい。低分子量のポリエチレングリコールとしては、重量平均分子量2000以下(好ましくは1500以下、より好ましくは1000以下)のポリエチレングリコールが挙げられる。具体的には、PEG400(重量平均分子量約400のポリエチレングリコール)が例示できる。またその誘導体としては、脂肪酸エステル誘導体が挙げられる。なお、ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、次のようにして測定した値である。すなわち、無水フタル酸42gをとり、新たに蒸留したピリジン300mLを入れた1Lの遮光した共栓瓶に加え、強く振り混ぜて溶かした後、16時間以上放置する。この液25mLを、約200mLの耐圧共栓瓶に入れ、これに測定するPEG試料約0.8〜15gを加え、密栓し、これを丈夫な布で包み、あらかじめ98±2℃に加熱した水浴中に入れる。この際、瓶の中の液が水浴の液の中に浸るようにする。98±2℃で30分間保った後、水浴から瓶を取り出し、室温になるまで空気中で放冷する。次に0.5mol/L 水酸化ナトリウム液 50mLを加え、更にフェノールフタレインのピリジン溶液(1→100)5滴を加え、この液につき、0.5mol/L 水酸化ナトリウム液で滴定する。但し、滴定の終点は液が15秒間持続する淡赤色を呈するときとする。同様の方法で空試験を行う。 以下の式より重量平均分子量を算出する。
Figure 2010093020
中鎖脂肪酸またはその塩としては、炭素数が6から12の脂肪酸またはその塩が挙げられる。具体的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸及びラウリン酸、並びにそれらのナトリウム塩やカリウム塩が挙げられる。
また、中鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数が6〜12の脂肪族アルコールが挙げられる。具体的には、カプロイルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
但し、本発明の硬カプセルに充填される溶剤は、上記に限定されず、上記以外の難溶性薬物溶解溶剤を用いてもよく、また、上記溶剤と他の公知の溶剤との混合物を用いてもよい。
更に、上述の溶剤に対して増粘剤を添加することによって、充填操作を簡便にする、硬カプセルからの充填物の漏出を防止するなどの製剤学的な工夫を図ることもできる。増粘剤としては、軽質無水ケイ酸、植物油、セルロース誘導体など、製剤学の教科書などに記載されているものや一般に使用されているものならば、特に限定されない。また、増粘剤の添加量としては、例えば難溶性薬物溶解溶剤100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜3重量部を挙げることができる。
本発明の硬カプセルに充填される薬効成分としては、カプセルの機能を損なわないものであれば使用可能であり、特に制限されない。
例えば、医薬品類としては、ビタミン類、解熱剤、鎮痛剤、消炎剤、抗潰瘍剤、強心剤、抗凝固剤、止血剤、骨吸収抑制剤、血管新生抑制剤、抗うつ剤、抗腫瘍剤、鎮咳去痰剤、筋弛緩剤、抗てんかん剤、抗アレルギー剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、抗結核剤、ホルモン剤、麻薬拮抗剤、抗細菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤などが挙げられる。但し、特にこれらの薬理作用群に限定されるものではなく、比較的水への溶解性の悪い薬効成分を含むすべてが本発明の硬カプセルの充填対象となる。もちろん、水に溶解する薬剤であれば、水に溶解させたうえで本発明の硬カプセルに充填することができる。また、粉末又は顆粒の薬剤を直接硬カプセルへ充填してもよい。
特に、本発明の硬カプセルは、難溶解性の活性物質を充填する場合においても好適に用いられる。
更に、本発明の硬カプセルに、通常の硬カプセルに使用される添加剤、例えば、乳糖やスターチ類などを充填することも何ら制限されない。
また、充填する内容物の形態に特に制限はなく、液状、懸濁状、粉末状、顆粒状、ペースト状、半固形又は軟膏、クリーム状等のいずれであっても良い。
また、本発明の硬カプセルには、カプセル剤に関する他の公知の技術を必要に応じて付加することもできる。例えば、カプセルのキャップとボディのかん合部分を、例えばカプセルの皮膜と同様の材料でシールすることにより、内容物の漏出、逸散などを防ぐことができる。ポリビニルピロリドンによりシールすることもできる。また、シールの方法としては、具体的には例えばバンドシール法を挙げることができる。
本発明の硬カプセルは、経口投与製剤以外に、吸入剤、直腸投与製剤としても用いることができる。また、医療用の薬物以外でも、動物または植物用の薬品や、化粧品、食品分野においても利用可能である。さらに、定量または合成用の試薬などを充填して、これらの操作の簡便化を図る目的にも使用しえる。
以下、本発明をより詳細に説明するために、実施例及び比較例を用いて説明を行うが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
尚、下記実施例及び比較例において、「%」は特に断らない限り、「重量%」を意味する。
また、表中の「添加濃度」とは、 皮膜全重量に対する、本発明の化合物(B)の重量(乾燥重量換算)を示す。また、カプセルの「3号サイズ」とは、カプセル容量0.3mL、カプセル重量0.05g、カプセルの長径1.6cm、カプセルの短径0.6cmのものをいう。
1.PVA共重合体の合成
冷却還流管、滴下ロート、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにPVA(EG05、平均重合度500、けん化度88%、日本合成化学製)175.8g、イオン交換水582.3gを仕込み、常温で分散させた後95℃で完全溶解させた。次いでアクリル酸5.4g、メチルメタクリレート37.3gを添加し、窒素置換後50℃まで昇温した後、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド8.5g、エリソルビン酸ナトリウム8.5gを添加し4時間で反応を終了しPVA共重合体を得た。これを乾燥・粉砕してPVA共重合体粉末を得た。
2.硬カプセルの製造
(1)上記合成により得た共重合体を固形分として約17%の濃度に調製した水溶液210gに、ソルビトールを3.5g、カッパカラギーナン0.35gおよび塩化カリウム0.35gを添加して溶解させカプセル調製用原液とし、この溶液を約60℃に保温して室温のステンレス製のピンを浸漬し、引き上げ、膜厚約0.06から0.15mmの3号サイズの硬カプセルを製造した。この硬カプセルを「実施例A」とした。実施例A中のソルビトール/PVA共重合体(重量比)は約1/10である。
(2)上記ソルビトール3.5gに代えてマンニトール3.5gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製した。この硬カプセルを「実施例B」とした。実施例B中のマンニトール/PVA共重合体(重量比)は約1/10である。
(3)以下、添加物の種類及び量を代える以外は同様として、実施例C〜Iのカプセルを作製した。
即ち、ソルビトール3.5gに代えてグリセリン0.35gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例C」とした。実施例C中のグリセリン/PVA共重合体(重量比)は約0.1/10である。
また、ソルビトール3.5gに代えてグリセリン0.7gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例D」とした。実施例D中のグリセリン/PVA共重合体(重量比)は約0.2/10である。
また、ソルビトール3.5gに代えてグリセリン1.75gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例E」とした。実施例E中のグリセリン/PVA共重合体(重量比)は約0.5/10である。
また、ソルビトール3.5gに代えてグリセリン3.5gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例F」とした。実施例F中のグリセリン/PVA共重合体(重量比)は約1/10である。
また、ソルビトール3.5gに代えてトリアセチン0.7g添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例G」とした。実施例G中のトリアセチン/PVA共重合体(重量比)は約0.2/10である。
ソルビトール3.5gに代えてトリアセチン1.75gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例H」とした。実施例H中のトリアセチン/PVA共重合体(重量比)は約0.5/10である。
ソルビトール3.5gに代えてトリアセチン3.5gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例I」とした。実施例I中のトリアセチン/PVA共重合体(重量比)は約1/10である。
ソルビトール3.5gに代えてトリアセチン7.0gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例J」とした。実施例J中のトリアセチン/PVA共重合体(重量比)は約2/10である。
ソルビトール3.5gに代えてクエン酸トリエチル1.75gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例K」とした。実施例K中のクエン酸トリエチル/PVA共重合体(重量比)は約0.5/10である。
ソルビトール3.5gに代えてクエン酸トリエチル3.5gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例L」とした。実施例L中のクエン酸トリエチル/PVA共重合体(重量比)は約1/10である。
ソルビトール3.5gに代えてプロピレングリコール1.0gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例M」とした。実施例M中のプロピレングリコール/PVA共重合体(重量比)は約0.3/10である。
ソルビトール3.5gに代えてプロピレングリコール3.5gを添加し、他は上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「実施例N」とした。実施例N中のプロピレングリコール/PVA共重合体(重量比)は約1/10である。
(4)また比較のため、上記(1)と同サイズ(3号サイズ)の第十五改正日本薬局方ゼラチンカプセルを、「対照品A」として用いた。
また、ソルビトール3.5gを添加しない以外は、上記(1)と同様にして同サイズの硬カプセルを作製し、この硬カプセルを「対照品B」とした。
3. 評価試験
(1)硬カプセルの溶状試験
第十五改正日本薬局方の「カプセル」の項の純度試験に記載される方法により、上記方法により得た空の硬カプセルの溶解性を試験した。具体的には、硬カプセルをキャップ及びボディに分離し、硬カプセル1個(1対のキャップ及びボディ)を37±2℃の水50mLに加え、時々攪拌し、完全に溶解するまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2010093020
上記表1に示すとおり本発明に係る硬カプセルは、全て、第十五改正日本薬局方に規定されるとおり10分以内に皮膜が溶解することを確認した。
(2)硬カプセルの耐衝撃強度試験
対照品A、B及び上記実施例A〜Nをそれぞれ30カプセルずつ用意し、恒温恒湿器にて25℃40%RHの条件下に3日間保管した時の耐衝撃強度を、図1に示す耐衝撃試験装置(カプセル硬度計;クオリカプス株式会社)を用いて測定した。すなわち、空カプセルの上5cmから50gの錘を垂直に落下させたときのカプセルの破損する個数を調べた。なお、当該錘は直方体であり、高さ4cm、横1.5cm、奥行き3cmである。また、目視により、ヒビが確認できるカプセルは破損した(割れた)と判断した。当該結果を表2に示す。
(3)硬カプセルの水分値
25℃40%RHの条件下に3日間保管された上記の硬カプセルそれぞれ3個について、キャップとボディに分離し質量を測定し、105℃の乾燥機にて2時間乾燥した。その後、デシケーター(シリカゲル)内で放冷、再度質量を測定し、乾燥前と乾燥後の質量差より水分値を算出した。すなわち、乾燥前の質量と乾燥後の質量との差を水分質量とし、水分質量が乾燥前の質量の何%にあたるかを算出して水分値とした。
結果を表2に示す。
Figure 2010093020
表2に示されるように、本発明に係る硬カプセルは、対照品Bに比べて割れた硬カプセルの個数が著しく減少し、耐衝撃強度の向上が確認できた。
また、本発明における化合物(B)の添加量を増加させるに従い、著しく耐衝撃強度が向上することも確認できた。
また、本発明の硬カプセルの水分値は、ゼラチンカプセルと比べてかなり低く、対照品Bとほぼ同等であることから、本発明の(B)の化合物の添加によって低水分性が損なわれないことも確認できた。
(4)溶剤充填時の安定性試験
対照品A、B及び実施例A〜Nのカプセルをそれぞれ3個ずつ用意し、重量平均分子量400のポリエチレングリコール(以下、「PEG400」)を0.2mL充填し、20%のPVA共重合体水溶液を用いてバンドシールを施して封入し、40℃密栓条件下で7日間保存した後、カプセルの形状変化及び漏れなどの外観変化、並びに割れの有無を肉眼で確認することにより、溶剤充填時の安定性を調べた。なお、当該20%のPVA共重合体水溶液は、上記「1.PVA共重合体の合成」で得たPVA共重合体粉末の20重量%水溶液である。
外観は、以下の基準で、評価した。
○:外観変化なし。
△:僅かな外観変化を認めるものの実用上問題なし(充填物の漏れ無し)。
×:顕著な外観変化を生じ、実用上使用不可(充填物の漏れ有り)。
Figure 2010093020
表3に示すとおり、対照品Aのゼラチンカプセルでは顕著な外観変化とカプセルの割れが観察されたのに対し、本発明のカプセルおよび対照品Bではまったく変化が認めないかごくわずかの変化にとどまった。
当該結果からも明らかなとおり、本発明カプセルは、PEG400を充填しても殆どカプセルに外観変化を来さず、割れも認められず、実用上何等問題なく製剤化できるものであることが確認された。
(5)全体評価
上記(1)〜(4)の評価試験結果を表4に総括して示す。
Figure 2010093020
表4に示されるように、本発明のカプセルは従来のゼラチンカプセルに匹敵する耐衝撃性を有する。しかも、ゼラチンカプセルとは異なり、低水分性を損なうことなく、PEG400を充填した場合においても十分な物理的安定性を有することが確認された。

Claims (8)

  1. (A)ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下、一般式[1]
    C=C(R)−COOR [1]
    〔式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。〕
    で表される少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体、及び、
    (B)(B-1)多価アルコール、(B-2)多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸とのエステル、及び(B-3)多価カルボン酸と炭素数1〜5アルコールとのエステル、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
    を含む皮膜を備えた硬カプセル。
  2. 前記(B)の化合物において、多価アルコールがソルビトール、マンニトール、グリセリン及びプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種であり、多価カルボン酸がクエン酸である、請求項1に記載の硬カプセル。
  3. 前記(B)の化合物が、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン及びクエン酸トリエチルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の硬カプセル。
  4. 前記(A)の重合体又は共重合体10重量部に対し、前記(B)の化合物0.1〜2重量部が含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載の硬カプセル。
  5. 下記(a)〜(g)からなる群から選ばれる少なくとも1つを充填するための、請求項1〜4のいずれかに記載の硬カプセル。
    (a)重量平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールまたはその誘導体、
    (b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
    (c)炭素数が6から12の脂肪酸またはその塩
    (d)ポリオキシエチレンヒマシ油
    (e)ジエチレングリコールのエーテル誘導体
    (f)炭素数が6から12の脂肪族アルコール
    (g)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の硬カプセルに、下記(a)〜(g)からなる群から選ばれる少なくとも1つが充填されてなる、硬カプセル剤。
    (a)重量平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールまたはその誘導体、
    (b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
    (c)炭素数が6から12の脂肪酸またはその塩
    (d)ポリオキシエチレンヒマシ油
    (e)ジエチレングリコールのエーテル誘導体
    (f)炭素数が6から12の脂肪族アルコール
    (g)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
  7. (A)ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下、一般式[1]
    C=C(R)−COOR [1]
    〔式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。〕
    で表される少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体、及び、
    (B)(B-1)多価アルコール、(B-2)多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸とのエステル、及び(B-3)多価カルボン酸と炭素数1〜5アルコールとのエステル、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
    を含有する水溶液に、カプセル成形用ピンを浸積して引き上げ、当該成形用ピンに付着した前記水溶液を乾燥させて、皮膜を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の硬カプセルの皮膜の製造方法。
  8. 硬カプセルを製造するための、
    (A)ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体の存在下、一般式[1]
    C=C(R)−COOR [1]
    〔式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。〕
    で表される少なくとも1種の重合性ビニル単量体を重合又は共重合した重合体又は共重合体、及び、
    (B)(B-1)多価アルコール、(B-2)多価アルコールと炭素数1〜5のカルボン酸とのエステル、及び(B-3)多価カルボン酸と炭素数1〜5アルコールとのエステル、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
    の使用。
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