JPWO2010079779A1 - 波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法 - Google Patents

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Abstract

マグネシア(MgO),アルミナ(Al2O3)などのイオン性酸化物結晶中に発光性酸素空孔を導入して、紫外〜可視領域の幅広い波長域における波長可変レーザーを生成するための、新規な製法技術を提供する。マグネシア(MgO),アルミナ(Al2O3),二酸化珪素(SiO2)や、マグネシア(MgO)−アルミナ(Al2O3)−二酸化珪素(SiO2)の三成分系の組成を有する酸化物結晶などのイオン性酸化物結晶に対して、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、酸化物結晶の融点より低い温度で熱処理を施すことにより、イオン性酸化物結晶中に多量の発光性酸素空孔を導入して、紫外〜可視領域の幅広い波長域におけるレーザー発振酸化物結晶を生成する。

Description

本発明は、酸化物中の酸素空孔による色中心(カラーセンター)を利用した紫外から可視域の波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法に関する技術である。
外部からの制御によってレーザー発振波長を広い範囲で連続的に可変できるレーザーは波長可変レーザーと呼ばれ、高輝度で単色性のよい光を放射する色中心(カラーセンター)レーザーや色素レーザー等が知られている。従来、色中心を利用した波長可変レーザー媒体は、フッ化リチウムなどのハロゲン化アルカリ結晶が殆どあり、そのレーザー発振波長域は800nm以上の近赤外領域に限られている。
かかる状況下、発明者は、既に、金属マグネシウム(Mg)と一酸化珪素(SiO)の固相昇華反応を利用することで、発光性カラーセンターを多量に含むマグネシア(MgO)微結晶(発光量子効率11%)を450℃という低温で合成可能であることを見出すとともに、そのマグネシア(MgO)微結晶中のカラーセンターを利用した室温でのレーザー発振に成功している(特許文献1)。これは、人為的なキャビティーミラーを用いない波長可変レーザー媒体となり得るものである。従来から酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物で、キャビティーミラーを用いないナノ結晶によるレーザー発振が報告されているが、マグネシア(MgO)の色中心(カラーセンター)を利用した人為的なキャビティーミラーを用いない波長可変レーザー媒体は、本発明者が初めて見出したものである。
一方、マグネシア(MgO),アルミナ(Al)などのイオン性酸化物結晶中に酸素空孔を導入すると、これら酸素空孔はカラーセンターとなり、紫外〜可視におよぶ幅広い発光を示すことが既に知られている。この幅広い発光を利用してレーザー発振させることができれば、紫外〜可視領域の幅広い波長域における波長可変レーザーが実現可能となる。
しかしながら、マグネシア(MgO),アルミナ(Al)などのイオン性酸化物は、融点がいずれも2000℃以上の結晶であり、かつ、構造中の酸素は隣接するカチオンと強く相互作用していることから、結晶中に酸素空孔を導入するのは容易ではない。
これまでに、マグネシア(MgO),アルミナ(Al)などのイオン性酸化物結晶中に酸素空孔を導入する方法としては、アルゴン雰囲気下、融点付近である2000℃以上の高温中でアルミニウムまたはマグネシウム蒸気下で加熱する化学的還元法(例えば、非特許文献1を参照)や、高エネルギーの電子線,中性子線照射による方法(例えば、非特許文献2を参照)などが知られている。
しかしながら、上記の方法は、2000℃以上という高温処理が必要であり、また、高エネルギーの電子線や中性子線照射が必要であるなど、実際上技術的な困難を伴う。さらに、高エネルギー中性子や電子照射では多量のカラーセンターを導入できるものの、その熱的安定性が低いという欠点があった。
そのため、マグネシア(MgO),アルミナ(Al)などのイオン性酸化物結晶中の酸素空孔を利用したレーザー発振は、現在のところ、まだ実現されていない状況である。
特願2008−224054号
K. H. Lee and J. H. Crawford, Appl. Phys. Lett. 33, 273 (1978) K. H. Lee and J. H.Crawford, Phys. Rev. B 19, 3217 (1979)
上記状況に鑑みて、本発明は、マグネシア(MgO),アルミナ(Al)などのイオン性酸化物結晶中に酸素空孔を導入して、紫外〜可視領域の幅広い波長域における波長可変レーザーを生成するための、新規な製法技術を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、カーボン坩堝中で、高真空・還元雰囲気下、イオン性酸化物結晶の融点(マグネシアでは2800℃、アルミナでは2050℃)よりも低い1600℃程度の熱処理により、これらイオン性酸化物中に多量の発光性酸素空孔を導入できることを見出し、本発明を完成したものである。
上記課題を達成すべく、本発明に係るレーザー発振酸化物結晶の作製方法は、イオン性酸化物結晶に対して、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、酸化物結晶の融点より低い温度で熱処理を行うことにより、イオン性酸化物結晶中に発光性酸素空孔を導入することを特徴とする。
ここで、イオン性酸化物結晶は、例えば、マグネシア(MgO),アルミナ(Al),二酸化珪素(SiO)や、マグネシア(MgO)−アルミナ(Al)−二酸化珪素(SiO)の三成分系の組成を有する酸化物結晶などである。イオン性酸化物結晶に対して、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下で、イオン性酸化物結晶の融点よりも低い温度で熱処理を施すことにより、イオン性酸化物結晶中に多量の発光性酸素空孔を導入して、紫外〜可視領域の幅広い波長域における波長可変レーザー発振酸化物結晶を生成することができる。
特に、アルミナ(Al)やマグネシア(MgO)に対して、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、酸化物結晶の融点より低い温度で熱処理を行うことにより、レーザー発振のような鋭い発光ピークを出現させることができる。詳細は後述の実施例で示すように、本発明の作製方法を施したイオン性酸化物に対して、励起パルスレーザー光(Nd:YAGレーザーの4倍波,266nm)をレーザー発振閾値となるエネルギー以上のポンプエネルギーで照射すると、イオン性酸化物結晶がレーザー発振を生じるようになる。
ここで、アルミナ(Al)に対しては、アルミナ(Al)酸化物結晶の融点より400〜100℃低い1600〜1900℃で熱処理を行うことが好ましい。
1600℃未満では、アルミナ(Al)酸化物結晶中に多量の発光性酸素空孔を導入することが困難であり、カラーセンターは生成されず、カラーセンターの発光特性を示さない。また、1900℃より高い温度は、通常の電気炉では達成不可能な温度であり(一般的に、アーク放電などの大規模な方法が必要)、作製コスト面および操作性の観点から、これらの温度範囲が好ましいのである。
なお、熱処理の温度が高い方が、アルミナ(Al)酸化物結晶中に多量の発光性酸素空孔を導入しやすく、カラーセンターの生成にとっては好ましい。従って、1900℃より高い温度の場合でも、アルミナ(Al)酸化物結晶中にカラーセンターを生成することが可能である。
また、マグネシア(MgO)に対しては、マグネシア(MgO)酸化物結晶の融点より1200〜900℃低い1600〜1900℃で熱処理を行うことが好ましい。
1600℃未満では、マグネシア(MgO)酸化物結晶中に多量の発光性酸素空孔を導入することが困難であり、カラーセンターは生成されず、カラーセンターの発光特性を示さない。また、1900℃より高い温度は、通常の電気炉では達成不可能な温度であり(一般的に、アーク放電などの大規模な方法が必要)、作製コスト面および操作性の観点から、これらの温度範囲が好ましいのである。
なお、熱処理の温度が高い方が、マグネシア(MgO)酸化物結晶中に多量の発光性酸素空孔を導入しやすく、カラーセンターの生成にとっては好ましい。従って、1900℃より高い温度の場合でも、マグネシア(MgO)酸化物結晶中にカラーセンターを生成することが可能である。
また、上記のアルミナ(Al)酸化物結晶に施す熱処理において、カーボンを添加し熱処理雰囲気をより還元性にすることで、酸素空孔の単量体からなる発光中心として正に帯電したFセンターのみを選択的に含有させることが可能である。
アルミナ(Al)酸化物結晶の溶融時にカーボン粉末を添加し、酸素空孔の単量体からなる発光中心としてFセンターのみを選択的に含有させることにより、F/Fセンター発光比を制御できることになる。なお、このカーボン添加により、全体の発光強度は殆ど影響を受けないか、あるいは、場合により発光強度が僅かに増大することもある。Fセンターのみを選択的に含有させた波長可変レーザー発振酸化物結晶を作製することにより、Fセンターの一光子吸収による発光と、Fセンターの二光子吸収による発光が競合する問題を回避し、より発光効率の高い波長可変レーザー発振酸化物結晶を作製することができる。
また,カーボンを添加は、酸素空孔の二単量体からなる発光中心であるF2センター、F2 センターの濃度を増大させる効果がある。F2センター、F2 センターは、FセンターやFセンターとは異なる発光波長を有するため、より波長可変域の広い波長可変レーザー発振酸化物結晶を作製することができる。
また、上記のアルミナ(Al)酸化物結晶から得られる波長可変レーザー発振酸化物結晶において、単量体酸素欠陥であるFセンターの濃度は、1017cm−3以上の高濃度であることを特徴とする。
本発明の作製方法によれば、アルミナ(Al)酸化物結晶中に多量の発光性酸素空孔を導入して、Fセンターの濃度を1017cm−3以上の高濃度とすることができ、優れたカラーセンター発光特性を持たせることができる。
また、上記のアルミナ(Al)酸化物結晶に施す熱処理において、酸化ガリウム(Ga)1〜5mol%を添加することにより、発光ピーク波長をシフトさせることが可能となる。
酸化ガリウム(Ga)添加による発光挙動の制御の具体例として、アルミナ(Al)酸化物結晶にごくわずか(1〜5mol%)の酸化ガリウム(Ga)を添加することにより、カラーセンターの電子状態が変化し、可視領域の発光が黄色から緑、オレンジへと変化させることができる。
また、上記のアルミナ(Al)酸化物結晶から得られる波長可変レーザー発振酸化物結晶において、305nm,225nmの光を交互に照射することにより、結晶中の複数のカラーセンター(Fセンター,Fセンター,F2センター、F2 センター)間の可逆的な光誘起相互変換が生じること利用した光メモリを提供することができる。
発明者は、本発明の作製方法により得られる波長可変レーザー発振酸化物結晶に対して、305nm,225nmの光を交互に照射することにより、結晶中の複数のカラーセンター(Fセンター,Fセンター,F2センター、F2 センター)間の可逆的な光誘起相互変換が生じることから、アルミナ(Al)酸化物結晶から本発明の作製方法により得られる波長可変レーザー発振酸化物結晶が、光メモリとして利用できることを見出したものである。
また、マグネシア(MgO)とアルミナ(Al)を1:1のモル比で混合させた混合酸化物(AlMgO:一般にスピネル(Spinel)と呼ばれている結晶)や、マグネシア(MgO)とアルミナ(Al)とシリカ(SiO)を4:5:2のモル比で混合させた混合酸化物(4MgO・5Al・2SiO:一般にサフィリン(Sapphirine)と呼ばれている結晶)に対して、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、酸化物結晶の融点より低い温度で、熱処理を行うことにより、アルミナ、マグネシアとは異なるピーク波長を有するブロードな発光特性を出現させることができる。
ここで、上記のスピネル(Spinel)やサフィリン(Sapphirine)の熱処理の温度は、1600〜1900℃である。すなわち、混合酸化物を構成する酸化物結晶の融点(例えば、マグネシアの融点は2800℃、アルミナの融点は2050℃である。)よりも、400℃〜1200℃も低い温度で処理が行える。
上記の作製方法を用いたイオン性酸化物結晶のレーザー発振は、後述の実施例にて説明するように、400nm付近と500nm付近にピークを有するものであるが、ブロードな発光特性となっており、300nmから700nmの全波長でレーザー発振しているものである。ピーク波長だけでなく、全波長域の発光強度が、ある閾値をもって強度の増大を示すことからから、この幅広い光を、例えば回折格子やプリズムなどで分光すれば、ある特定の波長の光のみ取り出す(波長可変)ことができ、波長可変レーザー媒体として活用できるものである。
なお、本波長可変レーザー媒体は、本酸化物結晶の境界でレーザーキャビティー共振が生じ、人為的なキャビティーミラーや液体窒素冷却を必要とせず、かつ室温で動作するといった特質を備えている。
また、上述の本発明の作製方法で得られた酸化物結晶は、多結晶体である。この酸化物結晶(多結晶体)の単結晶成分を種結晶として、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、酸化物結晶の融点より低い温度の熱処理を施して、バルク単結晶を成長させることにより、好適な波長可変レーザー装置を提供することができる。
このことについて以下説明する。本発明の作製方法により得られた酸素空孔を多量に有する酸化物結晶は、溶融過程を経ているが、単一の透明な単結晶ではない。従って、結晶子間の粒界での光散乱の影響が大きく、そのままではファブリ-ペロー型キャビティーを用いたレーザー発振用の結晶として用いることは困難である。しかしながら、本発明の作製方法により得られる酸化物結晶は、比較的大きな単結晶の集合体(多結晶体)であることから、この単結晶成分を種結晶として、酸素空孔を多く含む透明なバルク単結晶を育成することが可能となる。
すなわち、得られた単結晶成分を種結晶とし、本発明の作製方法と同様の10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下で、チョクラルスキー法などの確立された単結晶育成法により単結晶を成長させることが可能なのである。
本発明の波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法によれば、還元雰囲気下、高真空雰囲気下で、マグネシア(MgO),アルミナ(Al)などのイオン性酸化物結晶の融点よりも低い温度で加熱処理を施すことにより、イオン性酸化物結晶中に多量の発光性酸素空孔を導入して、紫外〜可視領域の幅広い波長域における波長可変レーザー発振酸化物結晶を生成することができる。
また、本発明の波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法によれば、レーザー発振波長域が近紫外域(約300nm)から可視域(約700nm)におよぶ広帯域のレーザー媒体であって、人為的なレーザーキャビティーミラーおよび液体窒素冷却を必要とせず、かつ、室温で動作可能な波長可変レーザー媒体を提供することが可能となる。
更に、従来の作製方法(原料となる酸化物の融点付近の高温および酸化物を構成する金属の金属ガス蒸気下で加熱する化学的還元法)と比べ、熱的にも安定な発光性結晶が得られ、また400℃〜1200℃も低い温度で処理が行えることから、従来設備よりも安価な製造設備により製造でき、コストの安価な波長可変レーザー媒体の製造が可能である。
従来、紫外域の波長可変レーザーは、色素レーザーの2倍高調波発生のみであったが、本発明によれば、無機のバルク結晶の紫外域の波長可変レーザーができる可能性がある。
本発明のイオン性酸化物中に多量の発光性酸素空孔を導入するレーザー発振酸化物結晶の作製方法のフロー図 レーザー発振酸化物結晶の作製装置の一例を示す機能ブロック図 実施例1のアルミナ(Al)結晶試料のX線回折測定の結果を示したグラフ(実施例1) 実施例1のアルミナ(Al)結晶試料の真空溶融後の球状試料の写真 アルミナ(Al)結晶試料の発光スペクトルであって、レーザー励起フルエンスの依存性を示したグラフ(実施例1) カラーセンター間の可逆的な光誘起相互変換を示すグラフ(実施例1) マグネシア(MgO)結晶試料の発光スペクトルであって、レーザー励起フルエンスの依存性を示したグラフ(実施例2) アルミナとマグネシアを1:1のモル比で混合した結晶試料の発光スペクトル(実施例3) アルミナとマグネシアとシリカを4:5:2のモル比で混合した結晶試料の発光スペクトル(実施例4) 本発明に係る波長可変レーザー装置の概略構成図 キャビティーミラーを必要とする従来のレーザー装置の概略構成図 アルミナとマグネシアを1:1のモル比で混合した結晶試料のX線回折パターン(実施例3)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
先ず、還元雰囲気下・高真空雰囲気下で、1600℃程度の加熱処理で、イオン性酸化物中に多量の発光性酸素空孔を導入する作製方法を説明する。
図1は、本発明のイオン性酸化物中に多量の発光性酸素空孔を導入するレーザー発振酸化物結晶の作製方法のフローを示している。また、図2は、レーザー発振酸化物結晶の作製装置の一例を示す機能ブロック図である。
以下、図1および図2を参照して、波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法を説明する。
(1)原料となる酸化物中に酸素空孔を導入するには、加熱雰囲気を可能な限り還元雰囲気にすべく、原料の酸化物粉体(試料)21をカーボン坩堝22中に入れ、これらを真空排気可能なシリカガラス管23中に導入する(ステップS11)。なお、カーボン坩堝22は、アルミナ製支持台25により、シリカガラス管23中に保持されている。
(2)次に、ターボ分子ポンプ24を用いて、10−3Pa以下に系を十分排気する(ステップS12)。
(3)その後、誘導加熱コイル26を用いて原料の酸化物粉体(試料)21の入ったカーボン坩堝22を1600℃まで加熱して、1600℃で3分間保持する(ステップS13)。なお、温度測定には、放射温度計27を用いている。
(4)そして、1600℃で3分間保持した後、誘導加熱を停止し、系を室温まで冷却する。この際、加熱,冷却中も、ターボ分子ポンプ24による真空排気処理を継続する。最後に、系の温度が室温程度まで下がった後、真空排気を中止して大気圧にもどす(ステップS14)。
(5)作製した酸化物粉体(試料)21を取り出す(ステップS15)。
ここで、1600℃という熱処理温度は、例えば、マグネシア(MgO),アルミナ(Al)の融点(マグネシアの融点2800℃、アルミナの融点2050℃)以下であるにもかかわらず、原料の酸化物粉体(試料)は融着する。特に、アルミナでは原料粉体は液滴化し、加熱後は球状試料が得られる。
このように得られた酸化物結晶は、以下の実施例で示されるように、紫外〜可視領域の幅広い波長域における波長可変レーザー発振酸化物結晶となる。
カーボン坩堝中に置かれたアルミナ(Al)粉体(原料試料:和光純薬製,純度99.99%)約0.3gを、シリカガラス管中に導入した後、ターボ分子ポンプを用いて、10−3Pa程度の真空度まで排気した。このターボ分子ポンプによる真空排気を続けたままで、シリカガラス管中のカーボン坩堝を、高周波誘導加熱装置にて、1600℃まで2分で昇温した。1600℃で3分間保持した後で、高周波誘導加熱を停止し、系全体を500℃程度まで5分で冷却した。冷却後、カーボン坩堝中には、加熱により原料粉体は融解、液滴化し、ほぼ真球状のガラス光沢を有する物質が生成された。
図3は、試料のX線回折測定の結果を示したものである。図3において、(a)は真空溶融前のアルミナ(Al)試料のX線回折図であり、(b)は真空溶融後の球状試料(図4を参照)を粉砕後、粉状にした試料のX線回折図である。また、図3の(c),(d)は、真空溶融後の球状試料を粉砕せずに、球体のまま測定したX線回折図である。(c)と(d)では,試料の入射X線に対する相対配置が異なるものの、いずれの場合も1本の鋭い回折ピークが表れていることから、試料は単結晶であることがわかる。
図3(b)に示すように、球状試料を粉砕してX線回折(XRD)測定を行ったところ、得られた物質は原料の酸化物と同じく、アルミナ(Al)であることが確認できた。また、キセノンランプの分光光を光源として定常状態発光スペクトルを測定したところ、生成物質は、235nmおよび259nmに励起光ピークを有する328nmの発光バンド(PL1)と、214nmに励起光ピークを有する408nmの発光バンド(PL2)の2種の発光バンドを有することが確認できた。これらの2種の発光バンドは、これまでに報告されているアルミナ(Al)中のFセンター(PL1に相当)およびFセンター(PL2に相当)の発光挙動と一致した。
以上の結果は、アルミナ(Al)粉体をカーボン坩堝中で1600℃の真空下で加熱することにより、アルミナ(Al)が通常の融点(2050℃)以下で溶融し、かつ、溶融過程で酸素空孔であるFセンターおよびFセンターが導入されることを示している。
次に、この生成物質に関し、ナノ秒パルスのNd:YAGレーザーの4倍波(266nm)を励起源に用い、励起フルエンスを順次変化させて発光測定を行った。
図5は、上記方法にて加熱処理後のアルミナ(Al)結晶試料の発光スペクトルのレーザー励起フルエンスの依存性を示したグラフである。図5において、励起フルエンスは、グラフの下から上に30,50,70,100,110,120,145,160,180,200,220,250
mJ/cmである。また、励起レーザーには、ナノ秒パルスのNd:YAGレーザーの4倍波である266nmを用いている。なお、図5のグラフの中で、*は、励起レーザーに使用したNd:YAGレーザーの2倍波である532nmを表している。
低フルエンス(140mJ/cm以下)ではキセノンランプの分光光を用いた場合と同様に、PL1バンドすなわちFセンターに由来する発光のみが328nmに現れた。しかし、図5に示すように、ポンプ光の励起フルエンスの増大に従い、PL2バンドすなわち214nmに発光励起ピークを有するFセンター発光の強度も次第に増加した。PL2バンドの強度は、励起フルエンスの2乗に比例して増加していることから、
PL2バンドは二光子吸収過程に生じたものである。
さらに、図5に示すように、フルエンスが120mJ/cmを超えると、396nm付近に鋭敏なピークが現れている。また、そのピーク強度は、フルエンスの増加と共に急激に、かつ、ほぼ線形に増加している。
このピークの波長396nmは、アルミニウム(Al)の4s軌道から3p軌道への電子励起過程に伴う原子発光ピークと一致する。従って、高フルエンス領域で確認された396nmのピークは、カラーセンターの電子励起過程により生じた自由電子とAlイオンの再結合によって生じたAl原子の原子発光に由来すると考えられる。
以上の結果は、カラーセンターの電子励起に伴い自由電子が生成するとともに、周辺のAlがイオン化して、同イオンが自由電子と再結合することにより、Al原子の原子発光が表れることを示している。但し、励起フルエンスが120mJ/cm以上でも幅広いスペクトル形状は保持していることから、このレーザー発振は、カラーセンターに起因する幅広い発光と、Alの原子発光に由来する鋭敏な発光の両方の発光過程で起こっている。
また、実施例1で作製した試料中には、酸素空孔の二量体であるF センターやFセンターも含まれている。中性子照射したアルミナ(Al)の既知の実験結果から、Fセンターの生成には、その前駆体であるFセンターが少なくとも、1017
個cm−3以上含まれていなければならないことが知られており、本発明で作製したイオン性酸化物結晶中には、少なくとも1017個cm−3以上の酸素空孔の単量体であるFタイプのカラーセンターが存在していると言える。
次に、実施例1における高周波誘導加熱装置による溶融時に、原料試料中にカーボン粉末を添加することにより、F/Fセンターの発光比(R)を制御できることを説明する。下記表1に示すように、カーボンを添加しない場合、R=3程度である。しかし、カーボンを10wt%程度添加することにより、R=10程度にまで発光比を増大させることが可能である。このとき、カーボン添加により、全体の発光強度は殆ど影響を受けないか、あるいは、発光強度が僅かに増大することもある。
以上の結果は、カーボン添加により発光中心としてFセンターのみを選択的に含むアルミナ(Al)酸化物結晶を作製することが可能であることを示している。Fセンターが共存する試料では、Fセンターの一光子吸収による発光とFセンターの二光子吸収による発光が競合する可能性があるが、Fセンターのみを選択的に含むアルミナ(Al)酸化物結晶を作製することが可能となれば、かかる問題を回避することができ、より発光効率の高いアルミナ(Al)酸化物結晶を作製することが期待できる。
次に、実施例1のアルミナ(Al)酸化物結晶から得られる波長可変レーザー発振酸化物結晶が光メモリとして利用できることを説明する。
実施例1のアルミナ(Al)酸化物結晶から得られる波長可変レーザー発振酸化物結晶に対して、305nm,225nmの光を交互に照射することにより、以下の数式(1),(2)の示すような反応、すなわち、305nmと225nmの波長の光の相互照射により可逆的に反応の方向が反転する。ここで、数式(1)は、波長305nmの光を照射した時に反応であり、数式(2)は波長225nmの光を照射した時に反応である。
すなわち、図6に示すように、305nm,225nmの光を交互に照射することにより、アルミナ(Al)酸化物結晶から得られる波長可変レーザー発振酸化物結晶中の複数のカラーセンター(Fセンター,Fセンター,F2センター、F2 センター)間の可逆的な光誘起相互変換が生じることから、この反応を利用して光メモリとして利用できるのである。
カーボン坩堝中に置かれたマグネシア(MgO)粉体(原料試料:高純度化学研究所製,純度99.99%,比表面積約33m/g)約0.3gを、シリカガラス管中に導入した後、ターボ分子ポンプを用いて、10−3Pa程度の真空度まで排気した。このターボ分子ポンプによる真空排気を続けたままで、シリカガラス管中のカーボン坩堝を、高周波誘導加熱装置にて、1600℃まで2分で昇温した。1600℃で3分間保持した後で、高周波誘導加熱を停止し、系全体を500℃程度まで5分で冷却した。冷却後、カーボン坩堝中には、個々の粉体の融着による凝集物が生成された。
得られた凝集物に対して、X線回折(XRD)測定を行ったところ、得られた物質は原料の酸化物と同じく、マグネシア(MgO)であることが確認できた。また、キセノンランプの分光光を光源として定常状態発光スペクトルを測定したところ、生成物質は、260nmに励起光ピークを有する400nmの幅広い発光バンド(PL1)と、257nmに励起光ピークを有する500nmの幅広い発光バンド(PL2)の2種の発光バンドを有することが確認できた。これらの2種の発光バンドは、これまでに報告されているマグネシア(MgO)中のFセンター(PL1に相当)およびFセンター(PL2に相当)の発光挙動と一致した。
ここで、Fセンターは酸素空孔に電子が2個充填され電荷の中性が保たれた状態をいい、Fセンターは酸素空孔に電子が1個充填されプラス1に帯電した状態をいう。
図7は、上記方法にて加熱処理後のマグネシア(MgO)結晶試料の発光スペクトルのレーザー励起フルエンスの依存性を示したグラフである。図7において、励起フルエンスは、グラフの下から上に5,20,60,100,110,120,130,140
mJ/cmである。また、励起レーザーには,ナノ秒パルスのNd:YAGレーザーの4倍波である266nmを用いている。なお、図7のグラフの中で、*は、励起レーザーに使用したNd:YAGレーザーの2倍波である532nmを表している。
図7に示すように、励起フルエンスが80mJ/cm以下の場合には、マグネシア(MgO)中のカラーセンターに起因する幅広い発光が400nm付近に観測されるのみである。しかしながら、励起フルエンスが110mJ/cmを超えた場合には、383nmと518nmに鋭敏なピークが現れ始め、そのピーク強度は励起フルエンスの増大に伴い急激に増加することが確認できる。
このことは、励起フルエンスが110mJ/cm以上で、レーザー発振することを示している。また、励起フルエンスが110mJ/cm以上で観測される鋭敏な発光ピークの位置(383nmと518nm)は、Mgの原子発光線と一致する。
以上の結果は、カラーセンターの電子励起に伴い自由電子が生成するとともに、周辺のマグネシウム(Mg)がイオン化し、マグネシウムイオンが自由電子と再結合することにより、Mg原子の原子発光が表れることを示している。但し、励起フルエンスが110mJ/cm以上でも幅広いスペクトル形状は保持していることから、本レーザー発振は、カラーセンターに起因する幅広い発光と、Mgの原子発光に由来する鋭敏な発光の両方の発光過程で起こっているものである。
アルミナ(Al)粉体(原料試料:和光純薬製,純度99.99%)とマグネシア(MgO)粉体(原料試料:高純度化学研究所製,純度99.99%,比表面積約33m/g)を1:1のモル比で混合した粉体を1600℃,3分間加熱して試料を作製した。アルミナとマグネシアを1:1のモル比で混合したものは、一般にスピネル(Spinel)と呼ばれる結晶である。
図8は、上記方法にて加熱処理後の結晶試料の発光スペクトルである。図8において、励起レーザーには励起波長238nmを用いている。図8に示すように、発光スペクトルの形状は、実施例1や実施例2で示したアルミナやマグネシアのものとは異なり、可視光域全体にブロードに現れているのが確認できる。その発光のピーク波長は466nmである。
但し、実施例1のアルミナや実施例2のマグネシアのようなレーザー発振のような鋭いピークは、使用した励起レーザーでは確認できなかった。
また、図12に上記方法にて加熱処理後の結晶試料のX線回折パターンを示す。なお、図12中、黒丸は文献値を示している。なお、エネルギー分散X線分析による分析値は、Al:MgO=43.63:45.05(mol %)であった。スピネル(Spinel)の組成は、MgAl(=Al+MgO)なので理想的には、Al:MgO=50:50のはずであるが、わずかな組成の揺らぎが確認できるが、この組成揺らぎは、測定誤差が1%程度あることを加味すると誤差の範囲程度と推察する。
マグネシア(MgO)粉体(原料試料:高純度化学研究所製,純度99.99%,比表面積約33m/g)とアルミナ(Al)粉体(原料試料:和光純薬製,純度99.99%)とシリカ(純度99.9%)を4:5:2のモル比で混合した粉体を1600℃,3分間加熱して試料を作製した。アルミナとマグネシアとシリカを4:5:2のモル比で混合したものは、サフィリン(Sapphirine)と呼ばれている結晶である。
図9は、上記方法にて加熱処理後の結晶試料の発光スペクトルである。図9において、励起レーザーには励起波長238nmを用いている。図9に示すように、発光スペクトルの形状は、実施例1や実施例2で示したアルミナやマグネシアのものとは異なり、可視光域全体にブロードに現れているのが確認できる。その発光のピーク波長は464nmである。発光スペクトルはスピネル(Spinel)と類似している。
但し、実施例1のアルミナや実施例2のマグネシアのようなレーザー発振のような鋭いピークは使用した励起レーザーでは確認できなかった。
上述の実施例1〜4が示すように、マグネシア,アルミナ,シリカの3成分系の混合比率を変えることにより、発光波長を330,460,410nmと可変にすることができるのである。すなわち、本発明を用いることで、紫外〜可視領域の幅広い波長域におけるレーザー発振酸化物結晶を生成でき、波長可変レーザー装置を実現できるのである。
また、本発明に係るレーザー発振酸化物結晶自体が、自然なキャビティー共振器として機能することから、本発明に係る波長可変レーザー装置は、図10に示すように、本酸化物結晶のレーザー媒体と励起レーザー光源を備えた概略構成となり、図11に示すような従来のキャビティーミラーを必要とするレーザー媒体を利用したレーザー装置の構成とは異なる。また、本発明に係るレーザー発振酸化物結晶自体が、酸化物結晶のFセンターを利用するもので、従来のような液体窒素冷却を必要としない、室温で動作できるレーザー媒体となり得るものである。
本発明は、分光計測や分光分析に用いる可変波長レーザーに有用である。
1,10 レーザー媒体
2 励起レーザー光源
3 終端ミラー
4 出力ミラー
5 レーザーキャビティー共振器
6 同調素子
7 励起光
8 レーザー光
21 酸化物粉体(試料)
22 カーボン坩堝
23 シリカガラス管
24 ターボ分子ポンプ
25 アルミナ製支持台
26 誘導加熱コイル
27 放射温度計

Claims (15)

  1. イオン性酸化物結晶に対して、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、前記イオン性酸化物結晶の融点より低い温度で熱処理を行うことにより、前記イオン性酸化物結晶中に発光性酸素空孔を導入したことを特徴とする波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  2. イオン性酸化物結晶であるアルミナ(Al)に対して、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、アルミナ(Al)の融点より低い温度で熱処理を行うことにより、アルミナ(Al)に発光性酸素空孔を導入し、可視光域でブロードな発光特性を有するカラーセンターレーザーを得ることを特徴とする波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  3. 前記酸化物結晶の融点より400〜100℃低い1600〜1900℃で熱処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  4. 前記熱処理において、カーボンを添加することにより、酸素空孔の単量体からなる発光中心としてFセンターのみを選択的に含有させ、かつ、酸素空孔の二単量体からなる発光中心としてF2センター、F2 センターを含有させたことを特徴とする請求項2又は3に記載の波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  5. 請求項2又は3に記載の作製方法により得られる波長可変レーザー発振酸化物結晶において、Fセンター(単量体酸素欠陥)の濃度が1017cm−3以上の高濃度であること。
  6. 前記熱処理において、酸化ガリウム(Ga)1〜5mol%を添加することにより、発光ピーク波長をシフトさせることを特徴とする請求項2又は3に記載の波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  7. 請求項2〜5のいずれかの作製方法で得られた酸化物結晶に対して、305nm,225nmの光を交互に照射することにより、結晶中の複数のカラーセンター(Fセンター,Fセンター,F2センター、F2 センター)間の可逆的な光誘起相互変換が生じることを利用した光メモリ。
  8. イオン性酸化物結晶であるマグネシア(MgO)に対して、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、前記マグネシア(MgO)の融点より低い温度で熱処理を行うことにより、マグネシア(MgO)に発光性酸素空孔を導入し、可視光域でブロードな発光特性を有するカラーセンターレーザーを得ることを特徴とする波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  9. 前記酸化物結晶の融点より1200〜900℃低い1600〜1900℃で熱処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  10. イオン性酸化物結晶であるマグネシア(MgO)とアルミナ(Al)を1:1のモル比で混合させた混合酸化物に対して、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、前記酸化物結晶の融点より低い温度で熱処理を行うことを特徴とする波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  11. イオン性酸化物結晶であるマグネシア(MgO)とアルミナ(Al)とシリカ(SiO)を4:5:2のモル比で混合させた混合酸化物に対して、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、前記酸化物結晶の融点より低い温度で熱処理を行うことを特徴とする波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  12. 前記熱処理の温度は、1600〜1900℃であることを特徴とする請求項8又は9に記載の波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかの作製方法において、熱処理はカーボン坩堝内で行われることを特徴とする波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかの作製方法で得られた酸化物結晶(多結晶体)の単結晶成分を種結晶として、10−3(Pa)以下の高真空・還元雰囲気下、前記酸化物結晶の融点より低い温度で、バルク単結晶を成長させることを特徴とする波長可変レーザー発振酸化物結晶の作製方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかの作製方法で得られた前記酸化物結晶を備えた波長可変レーザー装置。
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