JPWO2010079574A1 - Memsデバイス - Google Patents

Memsデバイス Download PDF

Info

Publication number
JPWO2010079574A1
JPWO2010079574A1 JP2010545641A JP2010545641A JPWO2010079574A1 JP WO2010079574 A1 JPWO2010079574 A1 JP WO2010079574A1 JP 2010545641 A JP2010545641 A JP 2010545641A JP 2010545641 A JP2010545641 A JP 2010545641A JP WO2010079574 A1 JPWO2010079574 A1 JP WO2010079574A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
insulating film
vibration
stress
mems device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2010545641A
Other languages
English (en)
Inventor
徹 山岡
徹 山岡
三由 裕一
裕一 三由
祐介 竹内
祐介 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Publication of JPWO2010079574A1 publication Critical patent/JPWO2010079574A1/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B81MICROSTRUCTURAL TECHNOLOGY
    • B81BMICROSTRUCTURAL DEVICES OR SYSTEMS, e.g. MICROMECHANICAL DEVICES
    • B81B3/00Devices comprising flexible or deformable elements, e.g. comprising elastic tongues or membranes
    • B81B3/0064Constitution or structural means for improving or controlling the physical properties of a device
    • B81B3/0067Mechanical properties
    • B81B3/0072For controlling internal stress or strain in moving or flexible elements, e.g. stress compensating layers

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Pressure Sensors (AREA)
  • Micromachines (AREA)
  • Electrostatic, Electromagnetic, Magneto- Strictive, And Variable-Resistance Transducers (AREA)

Abstract

MEMSデバイスは、シリコン基板(1)と、シリコン基板(1)の上に拘束部(12)を介して設けられ、下部電極(7)を有する振動膜(6)と、シリコン基板(1)の上に支持部(18)を介して振動膜(6)を覆うように設けられ、上部電極(14)を有する固定膜(13)とを備えている。振動膜(6)と固定膜(13)とは、互いに対向した領域に形成される間隙よりなるエアギャップ層(17)を有している。拘束部(12)は、シリコン基板(1)と振動膜(6)との間を部分的に連結し、振動膜(6)は、下部電極(7)と圧縮応力を持つ絶縁膜(8)とが積層されてなる多層構造を有している。絶縁膜(8)は、下部電極(7)の周囲から内側に配置されている。

Description

本発明は、多層膜構造により構成された振動膜を有するMEMSデバイスに関する。
従来の電子部品の小型化、高性能化の手段として半導体技術を応用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスが有望視されている。半導体技術を用いることにより、センサやトランスデューサのデバイス特性を決定する振動膜の構造を複数の薄膜で構成される多層構造とすることができる。特許文献1は、センサの多層構造振動膜を構成する複数の薄膜のうち、最大破壊強度を有する薄膜を振動膜の表面側及び裏面側の最外層の少なくとも一方に用いることにより、振動膜を厚くすることなく、振動膜の破壊強度を向上する技術を開示している。また、特許文献2は、トランスデューサの多層構造振動膜の特性を決める張力調整の方法について開示している。
特開2001−194201号公報 特表2002−518913号公報
近年、携帯機器用を中心に、MEMSセンサ又はMEMSトランスデューサが採用され、そのチップサイズの縮小の要望が高まっている。このため、特性に影響する振動膜の面積、すなわち可動電極面積を縮小する必要が生じている。
可聴音域における音響トランスデューサの感度Sの一般式は、近似的に下記(式1)で表される。
S=α×Ca×Va×(1/S0 ) ・・・ (式1)
(式1)において、αは比例係数を表し、Caは可動電極を含むエアギャップ容量((可動電極面積Sdia/エアギャップ長d0)に比例する。)を表し、Vaはエアギャップ間電圧を表し、S0 は振動膜スティフネス(動きにくさ)を表している。
(式1)からも分かるように、エアギャップ間電圧Va、振動膜スティフネスS0 一定の下で可動電極面積Sdiaを縮小すると、エアギャップ容量Caが低下して感度Sが低下する。感度Sを低下させることなく可動電極面積Sdiaを縮小する方法としては、エアギャップ間電圧Vaを増加させるか、振動膜スティフネスS0を低下させることが有効である。
ここで、振動膜スティフネスS0を低下するには、振動膜を低応力化すると共に、振動膜がシリコン基板と機構的に連結される拘束部の面積を縮小する構造(以下、部分拘束構造と記す。)とする必要がある。
携帯機器向けとしてチップサイズを1mm程度にまで縮小する場合、振動膜の応力を数MPaまで下げ、且つ振動膜の周辺長に対する拘束部の周辺長と同一方向の長さの率(拘束率)を10%程度とする必要がある。ところが、多層構造を持つ振動膜を低応力化すると、多層構造を構成する薄膜の層間応力の差によって振動膜の変形が生じるため、エアギャップ容量Ca(エアギャップ長d0)及び振動膜スティフネスS0を制御できず、その結果、所望の感度特性を得られないという問題がある。
前記の問題を解決するため、本発明に係る第1のMEMSデバイスは、半導体基板と、半導体基板の上に拘束部を介して設けられ、第1の電極を有する振動膜と、半導体基板の上に支持部を介して振動膜を覆うように設けられ、第2の電極を有する固定膜とを備え、振動膜と固定膜とは、互いに対向した領域に形成される間隙よりなるエアギャップ層を有しており、拘束部は、半導体基板と振動膜との間を部分的に連結し、振動膜は、第1の電極と圧縮応力を持つ第1の絶縁膜とが積層されてなる多層構造を有し、第1の絶縁膜は、第1の電極の周囲から内側に配置されている。
本発明の第1のMEMSデバイスによると、振動膜は第1の電極と圧縮応力を持つ第1の絶縁膜とが積層されてなる多層構造を有し、第1の絶縁膜は第1の電極の周囲から内側に配置されているため、振動膜と半導体基板とを部分的に連結する拘束部において引張応力が働いた場合にも、振動膜の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制することができる。
本発明の第1のMEMSデバイスにおいて、振動膜は引張応力を持つ第2の絶縁膜及び引張応力を持つ第3の絶縁膜を有しており、第2の絶縁膜は第1の絶縁膜の上に形成され、第3の絶縁膜は第1の絶縁膜の下に形成されていてもよい。
この場合に、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜の少なくとも一方は、拘束部の周辺部を除く領域に形成されていてもよい。
本発明の第1のMEMSデバイスにおいて、第1の絶縁膜には互いに交差する複数の溝部が形成され、第1の絶縁膜は溝部によって複数の部分に分離されていてもよい。
本発明の第1のMEMSデバイスが第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜を有する場合に、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜はシリコン窒化膜であってもよい。
本発明の第1のMEMSデバイスにおいて、第1の絶縁膜はシリコン酸化膜であってもよい。
本発明に係る第2のMEMSデバイスは、半導体基板と、半導体基板の上に拘束部を介して設けられ、第1の電極を有する振動膜と、半導体基板の上に支持部を介して振動膜を覆うように設けられ、第2の電極を有する固定膜とを備え、振動膜と固定膜とは、互いに対向した領域に形成される間隙よりなるエアギャップ層を有しており、拘束部は、半導体基板と振動膜との間を部分的に連結し、振動膜は、第1の電極、圧縮応力を持つ第1の絶縁膜及び圧縮応力を持つ第2の絶縁膜が積層されてなる多層構造を有し、第1の絶縁膜は、第1の電極の上に形成され、第2の絶縁膜は、第1の電極の下に形成されている。
本発明の第2のMEMSデバイスによると、拘束部は半導体基板と振動膜との間を部分的に連結し、振動膜は第1の電極、圧縮応力を持つ第1の絶縁膜及び圧縮応力を持つ第2の絶縁膜が積層されてなる多層構造を有し、第1の絶縁膜は第1の電極の上に形成され、第2の絶縁膜は第1の電極の下に形成されている。これにより、振動膜と半導体基板とを部分的に連結する拘束部において引張応力が働いた場合にも、振動膜の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制することができる。
本発明の第2のMEMSデバイスにおいて、振動膜は引張応力を持つ第3の絶縁膜及び引張応力を持つ第4の絶縁膜を有しており、第3の絶縁膜は第1の絶縁膜の上に形成され、第4の絶縁膜は第2の絶縁膜の下に形成されていてもよい。
この場合に、第3の絶縁膜及び第4の絶縁膜の少なくとも一方は、拘束部の周辺部を除く領域に形成されていてもよい。
本発明の第2のMEMSデバイスにおいて、第1の絶縁膜には互いに交差する複数の溝部が形成され、第1の絶縁膜は溝部によって複数の部分に分離されていてもよい。
また、本発明の第2のMEMSデバイスにおいて、第2の絶縁膜には互いに交差する複数の溝部が形成され、第2の絶縁膜は溝部によって複数の部分に分離されていてもよい。
本発明の第2のMEMSデバイスが第3の絶縁膜及び第4の絶縁膜を有する場合に、第3の絶縁膜及び第4の絶縁膜はシリコン窒化膜であってもよい。
本発明の第2のMEMSデバイスにおいて、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜はシリコン酸化膜であってもよい。
尚、以上の特徴を矛盾が生じないように適宜組み合わせることが可能であることはいうまでもない。また、それぞれの特徴において、効果が複数期待できるときも、全ての効果を発揮できなければいけないわけではない。
本発明に係るMEMSデバイスによると、多層構造からなる振動膜の薄膜間の応力の差に起因する振動膜の変形を抑制することにより、振動膜中の可動電極を小さくしたとしても、所望の感度特性を得ることが可能となる。その結果、感度特性を維持したままMEMSデバイスを小型化することが可能となる。
図1は本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサを示す断面図である。 図2は本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサの振動膜を示す平面図である。 図3は図2のIII−III線における断面図である。 図4は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサを示す断面図である。 図5は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサの振動膜を示す平面図である。 図6は図5のVI−VI線における断面図である。 図7(a)及び図7(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図8(a)及び図8(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図9(a)及び図9(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図10(a)及び図10(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図11(a)及び図11(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図12(a)及び図12(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図13は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す一工程の断面図である。 図14は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサを示す断面図である。 図15は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサの振動膜を示す平面図である。 図16は図15のXVI−XVI線における断面図である。 図17は本発明の第3の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサを示す断面図である。 図18は本発明の第3の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサの振動膜を示す平面図である。 図19は図18のXIX−XIX線における断面図である。 図20は本発明の第4の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサを示す断面図である。 図21は本発明の第4の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサの振動膜を示す平面図である。 図22は図21のXXII−XXII線における断面図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサについて図1〜図3を参照しながら説明する。以下に示す各図、種々の形状、材料及び数値等はいずれも望ましい例を挙げるに過ぎず、示した内容には限定されない。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、記載内容に限定されることなく適宜変更が可能である。さらに加えるならば、本実施形態は、他の実施形態と組み合わせることも矛盾がない範囲で可能である。なお、ここでは、MEMSデバイスの例として、音響トランスデューサを用いて説明しているが、本発明はMEMSデバイス全般に適用できる。MEMSデバイスとは、後述するが、半導体プロセスを用いて形成された機械信号等を電気信号等に変換する変換素子を指す。MEMSデバイスの例としては、音響トランスデューサ(MEMSマイク)、圧力センサ、加速度センサ及び角速度センサ等が挙げられる。以上のことは、本発明に共通する。
まず、本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサの構成について説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサの断面図を示している。
図1に示すように、シリコン基板1の上に第1のシリコン酸化膜2及び第2のシリコン酸化膜3が形成されている。シリコン基板1は、その周辺部4を残すように除去されており、それによって基板除去領域5が形成されている。すなわち、基板除去領域5は、後述する振動膜6が外部から圧力を受けて振動することを可能とするために、シリコン基板1が選択的に(周辺部を残すように)除去されてなる領域である。
シリコン基板1の上には、基板除去領域5を覆うように振動膜6が形成されている。振動膜6は、下部電極(振動電極)を構成する導電膜から構成される場合と、絶縁膜を含む多層膜から構成される場合とがある。振動膜6が、特に永久電荷を保持するエレクトレット膜を含む場合には、エレクトレットコンデンサを構成でき、外部からの電圧供給を不要にすることができる。
本実施形態においては、振動膜6は、ポリシリコン等の導電膜である下部電極7と、その上に形成される酸化シリコン等からなる絶縁膜8と、絶縁膜8の側面を含む下面及び上面をそれぞれ覆う窒化シリコン等からなる絶縁膜9及び10とから構成されている。絶縁膜8は、基板除去領域5の内側に設けられている。
振動膜6とシリコン基板1との間にはエアギャップ層11が設けられており、エアギャップ層11が設けられていない領域の振動膜6とシリコン基板1との間には振動膜6を支持するための、第1のシリコン酸化膜2及び第2のシリコン酸化膜3からなる拘束部12が設けられている。この拘束部12により、振動膜6はシリコン基板1と機構的に連結される。
振動膜6の上方には固定膜13が配置されている。固定膜13は、上部電極(固定電極)を構成する1つの導電膜から構成される場合と、絶縁膜を含む多層膜から構成される場合とがある。固定膜13が、特に永久電荷を保持する酸化シリコン等からなるエレクトレット膜を含む場合には、エレクトレットコンデンサを構成でき、外部からの電圧供給を不要にすることができる。本実施形態においては、固定膜13は、ポリシリコン等の導電膜である上部電極14と、上部電極14の側面を含む下面及び上面をそれぞれ覆う窒化シリコン等からなる絶縁膜15及び16とから構成されている。
振動膜6と固定膜13との間にはエアギャップ層17が形成されており、エアギャップ層17が設けられていない領域の第2のシリコン酸化膜3と固定膜13との間には固定膜13を支持するための酸化シリコンからなる支持部18が形成されている。
尚、エアギャップ層17は、支持部18を構成するシリコン酸化膜の一部を除去することにより、少なくとも基板除去領域5の上側の全体にわたって形成されている。
エアギャップ層17上の固定膜13には、エアギャップ層17に通じる複数のアコースティックホール19が形成されている。ここで、アコースティックホール19は、振動膜6を振動させる空気の通り穴としての役割を果たす。
支持部18には、下部電極7のパッド部20と上部電極14のパッド部21が露出するように第1の開口部22と第2の開口部23とが設けられており、図示は省略するが、ワイヤボンド接続等を介して外部回路に接続される。
次に、本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の構造について、詳細に説明する。図2は本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の平面構成を示し、図3は本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の断面構成を示している。ここで、図3は図2のIII−III線における断面形状を示している。
図2から分かるように、振動膜6の平面形状は略正六角形であり、拘束部12の平面形状は略円形である。但し、振動膜の平面形状は、略正六角形だけでなく、略四角形、略六角形等の多角形形状及び略円形状でも構わない。また、拘束部12の平面形状は、略円形だけでなく、略四角形又は略六角形等の多角形形状でも構わない。また、隣接する拘束部12の中心間の距離(L1とする)を符号24で表し、拘束部12の直径(L2とする)を符号25で表している。
また、図3から分かるように、振動膜6は、ほぼ無応力であるポリシリコン等の導電膜である下部電極7と、その上に形成される−500MPa〜−100MPaの圧縮応力を持つ酸化シリコン等からなる絶縁膜8と、絶縁膜8の側面を含む下面及び上面をそれぞれ覆う、1000MPa〜2000MPaの引張応力を持つ窒化シリコン等からなる絶縁膜9及び10とから構成されている。ここで、絶縁膜8は、基板除去領域5の内側に設けられている。尚、圧縮応力を持つ絶縁膜8の全てが、基板除去領域5の内側に配置されている必要はない。例えば、絶縁膜8は、少なくとも下部電極7の内側、又は少なくとも拘束部12よりも内側に配置されていればよい。
−500MPa〜−100MPaの圧縮応力を持つシリコン酸化膜は、例えば、テトラエトキシシランを用いた化学気相堆積(chemical vapor deposition:CVD)法により形成することができる。また、シラン系ガスによってCVD法で形成されるシリコン酸化膜であっても、圧縮応力を持つ絶縁膜であれば、同様の効果を得ることができる。
1000MPa〜2000MPaの引張応力を持つシリコン窒化膜は、例えば、シラン系ガスとアンモニアとを用いたCVD法により形成することができる。
また、図2及び図3から分かるように、下部電極7、絶縁膜8、絶縁膜9及び絶縁膜10に加わる応力の向きを矢印で示している。振動膜6は、前述したように、圧縮応力を持つ絶縁膜8と、ほぼ無応力である下部電極7と、引張応力を持つ絶縁膜9及び10とから構成されている。圧縮応力を持つ絶縁膜8は基板除去領域5の内側に設けられている。一方、引張応力を持つ絶縁膜9及び10は、振動膜6上のほぼ全面にわたって形成されている。このため、図2及び図3に示すように、エアギャップ層11上の振動膜6には、拘束部12からの引張応力が加わることとなる。これは、引張応力を持つ絶縁膜9及び10の影響の方が、圧縮応力を持つ絶縁膜8の影響よりも大きくなるように、引張応力を持つ絶縁膜の端部(すなわち、振動膜の端部)の内側に圧縮応力を持つ絶縁膜の端が収まるように配置されているからである。
次に、本実施形態における音響トランスデューサの動作について図1を参照しながら説明する。本実施形態における音響トランスデューサにおいて、複数のアコースティックホール19を通して、振動膜6が上方(外部)から音圧を受けると、その音圧に応じて振動膜6が機械的に上下に振動する。ここで、下部電極7及び上部電極14をそれぞれ電極とする平行平板型のコンデンサ構造が形成されているために、振動膜6が振動すると下部電極7と上部電極14との電極間距離が変化し、コンデンサの容量(Ca)が変化する。一方、当該コンデンサに蓄えられる電荷量(Qa)が一定の下では、容量(Ca)が変化(以下、容量Caの変化量をΔCaとする。)すると、(式2)の関係より下部電極7と上部電極14との間の電圧(Va)に変化(以下、電圧Vaの変化量をΔVaとする。)が生じる(式3)。
Qa=Ca×Va ・・・ (式2)
ΔVa=Qa/ΔCa ・・・ (式3)
すなわち、空気振動が、機械振動を介して電圧変化ΔVaに変換されることとなる。これが、本実施形態における音響トランスデューサの動作原理である。
次に、音響トランスデューサの特性を表す感度について説明する。可聴音域における音響トランスデューサの感度Sの一般式は、前述の通り、近似的に(式1)で表される。
S=α×Ca×Va×(1/S0 ) ・・・ (式1)
(式1)において、αは比例係数を表し、Caは可動部であるエアギャップ容量
Ca=ε0×ε×(Sdia/d0 ) ・・・ (式4)
を表し、Vaはエアギャップ間電圧を表し、S0 は振動膜スティフネス(動きにくさ)を表している。また、(式4)において、ε0は真空中の誘電率を表わし、εは下部電極7と上部電極14との電極間の平均比誘電率を表し、Sdiaは可動電極面積を表し、d0は電極間距離を表している。
(式1)と(式4)からも分かるように、感度Sを低下させることなく可動電極面積Sdiaを縮小するには振動膜スティフネスS0を低下させることが必要になる。また、振動膜スティフネスS0を低下するためには、振動膜を低応力化すると共に、振動膜がシリコン基板1と機構的に連結する拘束部12の面積を縮小する構造(部分拘束構造)にする必要がある。また、振動膜6の構成材料が決まると、振動膜スティフネスS0は、下記(式5)で表される。
0 =(σ×A)/(6×L1)=(σ×6×L2×T)/(6×L1)
=σ×T×(L2/L1) ・・・ (式5)
(式5)において、σは振動膜6の応力(振動膜6の単位面積当たりに作用する力)、Aは拘束部12の上に位置する振動膜6の断面積、L1は隣接する拘束部12の中心間の距離、L2は拘束部12の直径、Tは振動膜6の膜厚である。
ここで、本実施形態の音響トランスデューサの振動膜スティフネスS0について、詳しく説明する。
図3に示すように、エアギャップ領域11上の振動膜6はシリコン基板1から開放された構成、すなわち、シリコン基板1とは接しない構成を採る。また、図2に示すように、エアギャップ層11上の振動膜6には、拘束部12からの引張応力が加わることになる。このため、振動膜6とシリコン基板1が接することがない。その結果、シリコン基板1との熱膨張係数の差によって生じる残留応力が振動膜6に作用することがなくなる。すなわち、拘束部12からの引張応力により、振動膜6とシリコン基板1とが接触するのを防ぐことができる。
一方、引張応力を持つ絶縁膜9、10の影響が強すぎると、非拘束部(振動膜6とシリコン基板1とが拘束されていない部分)において、振動膜6が跳ね上がる現象が発生する。そこで、振動膜6の跳ね上がりを抑制するために、圧縮応力を持つ絶縁膜8を基板除去領域5の内側に設ける。このようにすると、引張応力を持つ絶縁膜9、10の影響を、圧縮応力を持つ絶縁膜8の影響により抑制することができる。その結果、非拘束部における振動膜6の跳ね上がりを抑制できるという効果を得る。
以上のように、引張応力を持つ絶縁膜と圧縮応力を持つ絶縁膜とを積層させ、圧縮応力を持つ絶縁膜が引張応力を持つ絶縁膜の内側に位置するように配置することにより、振動膜内の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制することができるため、所望の振動スティフネスを得ることができる。
従って、(式5)を参照すると、拘束部12の直径25の長さL2を隣接する拘束部12の中心間の距離L1の例えば50%に設定した場合に、互いに間隔をおいた複数の拘束部12を形成せず振動膜6の全周にわたりシリコン基板1に拘束されている場合と比べて、振動膜6の単位長さ当たりの張力S0 を約50%の大きさに低減することができる。これは、振動膜6の変形を抑制できているからである。その結果、(式1)及び(式4)より、音響トランスデューサの感度Sを低下させることなく可動電極面積Sdiaを50%に縮小することができ、チップサイズの縮小が可能となる。
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサによると、振動膜が、電極と圧縮応力を持つ絶縁膜とが積層した多層構造を有しており、且つ圧縮応力を持つ絶縁膜が電極の内側に配置されている点に大きな特徴がある。このような構成により、振動膜とシリコン基板を部分的に連結する拘束部とにおいて引張応力が働いた場合にも、非拘束部において、引張応力の影響が強すぎることによる振動膜の跳ね上がりを抑制することができるからである。その結果、振動膜の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。
また、振動膜は、引張応力を持つ絶縁膜をさらに有しており、引張応力を持つ絶縁膜が振動膜の端部にまで形成されていることが好ましい。この構成により、拘束部に引張応力が働きやすくなる。このため、圧縮応力を持つ絶縁膜が電極の内側に配置されていることによる効果がさらに高まるからである。
尚、本実施形態においては、図1〜図3に示すように、下部電極7、引張応力を持つ絶縁膜9、圧縮応力を持つ絶縁膜8及び引張応力を持つ絶縁膜10の順に積層した振動膜6について説明している。すなわち、圧縮応力を持つ絶縁膜8の直下に引張応力を持つ絶縁膜9が配置されている振動膜6について説明してる。しかし、引張応力を持つ絶縁膜9を、圧縮応力を持つ絶縁膜8の直下に配置するのではなく、引張応力を持つ絶縁膜9を、下部電極7の下面に形成する構成としてもよい。この構成により、下部電極7の面内方向を軸にして、引張応力を持つ絶縁膜9と引張応力を持つ絶縁膜10とが上下対称の構造となる。このため、振動膜6の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサについて、図4〜図6を参照しながら説明する。以下に示す各図、種々の形状、材料及び数値等はいずれも望ましい例を挙げるに過ぎず、示した内容には限定されない。発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、記載内容に限定されることなく適宜変更可能である。さらに加えるならば、本実施形態は、他の実施形態との組み合わせ等も矛盾がない範囲で可能である。なお、ここでは、MEMSデバイスの例として、音響トランスデューサを用いて説明するが、MEMSデバイス全般に適用できる。
まず、本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサについて説明する。図4は本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサの断面図を示している。また、図5は本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の平面構成を示し、図6は本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の断面構成を示している。尚、図6は図5のVI−VI線における断面形状を示している。ここで、第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、振動膜6の構造が異なる以外は同様の構成となっている。従って、図5及び図6について詳細を説明する。尚、音響トランスデューサの動作及び音響トランスデューサの特性を表す感度の説明については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図5から分かるように、振動膜6の平面形状は略正六角形であり、拘束部12の平面形状は略円形である。但し、振動膜6の平面形状は、略正六角形だけでなく、略四角形、略六角形等の多角形形状及び略円形状でも構わない。また、拘束部の平面形状は、略円形だけでなく、略四角形又は略六角形等の多角形形状でも構わない。また、隣接する拘束部12の中心間の距離(L1とする)を符号24で表し、拘束部12の直径(L2とする)を符号25で表している。
また、図6から分かるように、振動膜6は、ほぼ無応力であるポリシリコン等の導電膜である下部電極7と、その下に形成される−500MPa〜−100MPaの圧縮応力を持つ酸化シリコン等からなる絶縁膜8aと、絶縁膜8aの下面及び側面をそれぞれ覆う、1000MPa〜2000Mpaの引張応力を持つ窒化シリコン等からなる絶縁膜9aと、下部電極7の上に形成される−500MPa〜−100MPaの圧縮応力を持つ酸化シリコン等からなる絶縁膜8bと、絶縁膜8bの上面及び側面をそれぞれ覆う、1000MPa〜2000Mpaの引張応力を持つ窒化シリコン等からなる絶縁膜10aとから構成されている。
−500MPa〜−100MPaの圧縮応力を持つシリコン酸化膜は、例えば、テトラエトキシシランを用いたCVD法により形成することができる。また、シラン系ガスによってCVD法で形成されるシリコン酸化膜であっても、圧縮応力を持つ絶縁膜であれば、同様の効果を得ることができる。
1000MPa〜2000MPaの引張応力を持つシリコン窒化膜は、例えば、シラン系ガスとアンモニアを用いたCVD法により形成することができる。
また、図5及び図6から分かるように、下部電極7、絶縁膜8a、絶縁膜8b、絶縁膜9a及び絶縁膜10aに加わる応力の向きを矢印で示している。振動膜6は、圧縮応力を持つ絶縁膜8a及び8bと、ほぼ無応力である下部電極7と、引張応力を持つ絶縁膜9a及び10aとから構成されている。圧縮応力を持つ絶縁膜8a及び8bは基板除去領域5の内側に設けられている。一方、引張応力を持つ絶縁膜9a及び10aは、振動膜6上のほぼ全面にわたって形成されている。このため、図5及び図6に示すように、エアギャップ層11上の振動膜6には、拘束部12からの引張応力が加わることとなる。
さらに、ほぼ無応力の下部電極7の上下に絶縁膜8a、絶縁膜8b、絶縁膜9a及び絶縁膜10aを配置することが好ましい。さらには、絶縁膜8aの膜厚と絶縁膜8bの膜厚とを同等にし、絶縁膜9aの膜厚と絶縁膜10aの膜厚とを同等にすることが好ましい。これは、下部電極7を挟んで振動膜6の断面方向の応力分布を対称にすることが好ましいからである。
ここで、本実施形態の音響トランスデューサの振動膜スティフネスS0について、第1の実施形態と同様に、詳しく説明する。
図6に示すように、エアギャップ領域11上の振動膜6はシリコン基板1から開放された構成、すなわちシリコン基板1とは接しない構成を採る。また、図5に示すように、エアギャップ層11の上の振動膜6には、拘束部12からの引張応力が加わることになる。このため、振動膜6とシリコン基板1が接することがない。その結果、シリコン基板1との熱膨張係数の差によって生じる残留応力が振動膜6に作用することがなくなる。すなわち、引張応力を持つ絶縁膜9a及び10aに起因する拘束部12からの引張応力により、振動膜6とシリコン基板1とが接触するのを防ぐことができる。
また、本実施形態においては、ほぼ無応力の下部電極7の下面及び上面に、それぞれ絶縁膜8a、絶縁膜8bを配置している。この構成により、下部電極7を挟み、振動膜6の断面方向の応力分布が対称となり、その結果、振動膜6内の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、ほぼ無応力の下部電極7の下面及び上面に、それぞれ絶縁膜8a及び絶縁膜8bと、絶縁膜9a及び絶縁膜10aとをそれぞれ配置することが好ましい。また、絶縁膜8aの膜厚と絶縁膜8bの膜厚とを同等とし、絶縁膜9aの膜厚と絶縁膜10aの膜厚とを同等とすることが好ましい。この構成により、下部電極7を挟み、振動膜6の断面方向の応力分布が対称となり、その結果、振動膜6内の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。
ここで、引張応力を持つ絶縁膜の影響が強すぎると、非拘束部(振動膜6とシリコン基板1とが拘束されていない部分)において、振動膜6が跳ね上がる現象が発生する。そこで、振動膜6の跳ね上がりを抑制するために、圧縮応力を持つ絶縁膜8a及び8bが形成されている。こうすることにより、引張応力を持つ絶縁膜9a及び10aの影響を、圧縮応力を持つ絶縁膜8a及び8bの影響により抑制することができる。その結果、非拘束部における振動膜6の跳ね上がりを抑制することができる。
従って、第1の実施形態で説明した(式5)を参照すると、拘束部12の直径25の長さL2を隣接する拘束部12の中心間の距離L1の例えば50%に設定した場合、互いに間隔をおいた複数の拘束部12を形成せず振動膜6の全周にわたりシリコン基板1に拘束されている場合と比べて、振動膜6の単位長さ当たりの張力S0 を約50%の大きさに低減することができる。これは、振動膜6の変形を抑制できているからである。その結果、第1の実施形態で説明した(式1)及び(式4)より、音響トランスデューサの感度Sを低下させることなく可動電極面積Sdiaを50%に縮小することができ、チップサイズの縮小が可能となる。
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサによると、振動膜が、電極と圧縮応力を持つ第1の絶縁膜と圧縮応力を持つ第2の絶縁膜とを積層した多層構造となっている点に大きな特徴がある。すなわち、第1の実施形態と比較すると、圧縮応力を持つ絶縁膜を振動膜内に1層追加している点が異なる。この構成により、振動膜とシリコン基板とを部分的に連結する拘束部において引張応力が働いた場合にも、非拘束部において、引張応力の影響が強すぎることによる振動膜の跳ね上がりをさらに抑制することができる。その結果、振動膜の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。
また、圧縮応力を持つ第1の絶縁膜は、電極の上に形成され、圧縮応力を持つ第2の絶縁膜は、電極の下に形成されていることが好ましい。このように配置することにより、電極を挟んで振動膜の断面方向の応力分布を対称にしやすくなるからである。このため、上記効果をさらに得やすくなる。
また、振動膜は、引張応力を持つ絶縁膜を2層有しており、引張応力を持つ第1の絶縁膜は、圧縮応力を持つ第1の絶縁膜の上に形成されており、引張応力を持つ第2の絶縁膜は、圧縮応力を持つ第2の絶縁膜の下に形成されていることが好ましい。このような構成により、拘束部に引張応力がより働きやすくなる。このため、圧縮応力を持つ絶縁膜が電極の内側に配置されていることによる効果がさらに高まる。また、電極を挟んで振動膜の断面方向の応力分布を対称にしやすくなる。
(第2の実施形態の製造方法)
以下に、第2の実施形態に係る音響トランスデューサであって、MEMSマイクの製造方法の一例を説明する。なお、図4に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付しているが、本構成部材に限定されることはない。あくまで本実施形態に記載の部材は例示に過ぎない。
まず、図7(a)に示すように、熱酸化法又はCVD法により、ウェハ状のシリコン基板1の上に第1のシリコン酸化膜2を形成する。続いて、リソグラフィ法及びエッチング法により、第1のシリコン酸化膜2に対して、後工程で形成される基板除去領域5と対応する領域に開口部を選択的に形成する。
次に、図7(b)に示すように、シリコン基板1の上に、第1のシリコン酸化膜2の開口部を覆うように、不純物、例えばリンをドープしたポリシリコンからなる第1の犠牲層27を形成する。
次に、図8(a)に示すように、CVD法により、第1の犠牲層27及び第1のシリコン酸化膜2の上に、第2のシリコン酸化膜3を形成する。ここで、第1のシリコン酸化膜2及び第2のシリコン酸化膜3の一部が後工程で形成される拘束部12となる。続いて、第2のシリコン酸化膜3にヒンジ溝を形成する。このヒンジ溝は、最終的に振動膜のヒンジ部として残存する。ここで、ヒンジ部とは、振動膜を上面から見た場合に、該振動膜の外縁部に複数形成されるものであり、断面で見た場合には、凹凸の繰り返し形状となる。ヒンジ部により、例えば振動膜を構成する膜の応力を調整して、該振動膜の振動特性を向上することができる。
次に、図8(b)に示すように、CVD法により、第2のシリコン酸化膜3の上に、シリコン窒化膜9aを形成する。続いて、シリコン窒化膜9aの上にシリコン酸化膜(TEOS:Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate)膜)8aを形成する。その後、シリコン酸化膜8aに対して基板除去領域5に相当する部分を残すようにパターニングする。
次に、図9(a)に示すように、CVD法により、シリコン酸化膜8aを含めシリコン窒化膜9aの上に、下部電極となる、不純物、例えばリンをドープした第1のポリシリコン膜7Aを形成する。続いて、CVD法により、第1のポリシリコン膜7Aの上に、シリコン酸化膜8bを形成する。その後、シリコン酸化膜8bに対して、シリコン酸化膜8aと対応する部分を残すようにパターニングする。
次に、図9(b)に示すように、第1のポリシリコン膜7A及びシリコン窒化膜9aに対して、振動膜を構成する部分を残すようにパターニングすることにより、第1のポリシリコン膜7Aから下部電極7を形成する。
次に、図10(a)に示すように、CVD法により、第2のシリコン酸化膜3、下部電極膜7及びシリコン酸化膜8bの上に、シリコン窒化膜10aを形成する。その後、形成したシリコン窒化膜10aに対して、振動膜の一部として残す部分と、他の必要部分を残すようにパターニングする。これにより、下部電極7の上面及び下面が共にシリコン酸化膜8a、8bとシリコン窒化膜9a、10bとに挟まれてなる振動膜6が形成される。
次に、図10(b)に示すように、シリコン基板1上の全面に、酸化シリコンからなる第2の犠牲層18Aを形成し、さらに、形成された第2の犠牲層18Aに対して、後工程で形成される、スティッキングを防止するためのストッパ部及びパッド部20、21と対応する部分に溝部を形成する。ストッパ部とは、後工程で形成される振動膜と固定膜との吸着(スティッキング)を防ぐために、振動膜側に突き出るように固定膜に形成される凸部である。
次に、図11(a)に示すように、第2の犠牲層18Aに対して、後工程で形成される、パッド部20、21と対応する部分を開口する。
次に、図11(b)に示すように、CVD法により、シリコン基板1上の全面に、シリコン窒化膜15及び不純物、例えばリンをドープした第2のポリシリコン膜14Aを順次形成する。その後、形成されたシリコン窒化膜15及び第2のポリシリコン膜14Aに対して、後工程で形成されるアコースティックホール19に対応する部分に複数の開口部を形成する。
次に、図12(a)に示すように、CVD法により、シリコン基板1上の全面に、シリコン窒化膜16を形成する。その後、形成されたシリコン窒化膜16に対して、後工程で形成されるアコースティックホール19に対応する部分に開口部を形成する。これにより、ポリシリコンからなる上部電極14がその上面及び下面を絶縁膜(シリコン窒化膜)15、16に挟まれてなる固定膜13が形成される。
次に、図12(b)に示すように、シリコン基板1上の全面に、酸化シリコンからなる第1の保護膜29を形成し、シリコン基板1の裏面の全面にも、酸化シリコンからなる第2の保護膜30を形成する。続いて、第2の保護膜における基板除去領域5を選択的にエッチングして、開口パターンを形成する。その後、各保護膜29、30をマスクとして、シリコン基板1を貫通するように裏面からエッチングすることにより、シリコン基板1に基板除去領域5を形成する。その際、基板除去領域5の直上に形成されていた第1の犠牲層27も除去される。
次に、図13に示すように、基板除去領域5が形成されたシリコン基板1に対してウェットエッチングを行う。すなわち、第1の保護膜29及び第2の保護膜30が除去されると共に、固定膜13に形成された複数のアコースティックホール19からエッチングを施し、第2の犠牲層18Aが除去される。さらには、第1のシリコン酸化膜2、第2のシリコン酸化膜3における振動膜6の下側部分を、複数の拘束部12を残すように除去する。その後、振動膜6と固定膜13との貼り付き、いわゆるスティッキングを防止するために、乾燥時の液体表面張力の影響がない超臨界乾燥を行う。
以上のようにして、第2の実施形態に係るMEMSマイクを形成することができる。すなわち、シリコン窒化膜9a、シリコン酸化膜8a、ポリシリコンからなる下部電極7、シリコン酸化膜8b及びシリコン窒化膜10aにより構成された振動膜6が形成される。また、シリコン窒化膜15、ポリシリコンからなる上部電極14及びシリコン窒化膜16により構成された固定膜13が形成される。
また、固定膜13と振動膜6との間には、第2の犠牲層18Aが除去されてなるエアギャップ層17が形成される。また、第2の犠牲層18Aの残存部分は固定膜13を支持する支持部18となる。
(第2の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサについて、図14〜図16を参照しながら説明する。
図14は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサの断面図を示している。また、図15は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサの振動膜の平面構成を示し、図16は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサの振動膜の断面構成を示している。尚、図16は図15のXVI−XVI線における断面形状を示している。
ここで、第2の実施形態の一変形例は、第2の実施形態と比較して、振動膜とシリコン基板を機構的に連結する拘束部の構造が異なる以外は同様の構成である。すなわち、本変形例においては、振動膜における周縁部分とシリコン基板を部分的に拘束するのではなく、ほぼ全面的に拘束している。この構成を採った場合には、非拘束部の面積が小さいことから、振動膜が跳ね上がる現象が起きにくくなる。しかしながら、振動膜の変形を抑制することによって、感度特性の変動を低減する必要がある。この場合には、振動膜6の構成を、ほぼ無応力である下部電極7の上下に、絶縁膜8b及び10aと絶縁膜8a及び9aとを配置することにより、振動膜6の断面方向の応力分布を対称にしやすくなる。その結果、振動膜6内の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制しやすくなる。また、絶縁膜8aの膜厚と絶縁膜8bの膜厚とを同等とし、さらに、絶縁膜9aの膜厚と絶縁膜10aの膜厚とを同等とすることにより、下部電極7を挟み、振動膜6の断面方向の応力分布を対称とすれば、振動膜6内の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。このように、積層構造からなる振動膜6内の応力分布を対称とすることは、振動膜6内の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制することにつながる。従って、上下の電極間の距離d0、すなわちエアギャップ容量Caの変動を抑制して、所望の感度特性を得ることができる。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る音響トランスデューサについて、図17〜図19を参照しながら説明する。以下に示す各図、種々の形状、材料及び数値等はいずれも望ましい例を挙げるに過ぎず、示した内容には限定されない。発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、記載内容に限定されることなく適宜変更可能である。さらに加えるならば、本実施形態は、他の実施形態との組み合わせ等も矛盾がない範囲で可能である。なお、ここでは、MEMSデバイスの例として、音響トランスデューサを用いて説明するが、MEMSデバイス全般に適用できる。
図17は本発明の第3の実施形態に係る音響トランスデューサの断面図を示している。また、図18は本発明の第3の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の平面構成を示し、図19は本発明の第3の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の断面構成を示している。尚、図19は図18のXIX−XIX線における断面形状を示している。ここで、第3の実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態と比較して、振動膜に形成されている引張応力を持つシリコン窒化膜等の絶縁膜10aの平面形状が異なる以外は同様の構成となっている。従って、図18及び図19について、第1の実施形態と第2の実施形態と相違する部分を詳細に説明する。尚、音響トランスデューサの動作及び音響トランスデューサの特性を表す感度の説明については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、図17〜図19は、図4〜6に示した振動膜を変形した構成を表しているが、図1〜3に示した振動膜の構成を変えてもよい。
図18及び図19から分かるように、第3の実施形態においては、第1及び第2の実施形態と同様に、シリコン基板1に対して拘束部12により部分的に連結された振動膜6を有している。さらに、振動膜6を構成する下部電極7の上に形成された引張応力を持つシリコン窒化膜等の絶縁膜10aには、拘束部12及びその近傍が選択的に除去された領域26が設けられている。言い換えれば、下部電極7の上に形成された引張応力を持つ絶縁膜10aは、拘束部12の周辺部以外の部分に形成されている。
第3の実施形態に係る音響トランスデューサは、上記の構成により、第1及び第2の実施形態に係る音響トランスデューサと比較して以下のような効果を期待できる。すなわち、拘束部12は、部分的に振動膜6と連結されているため、応力集中が起きやすい構造を持つ。そこで、第3の実施形態のように、拘束部12及びその近傍を選択的に除去した領域26を設けることにより、拘束部12における応力集中を緩和することができる。その結果、振動膜6の破壊耐量が増加して、加工歩留まりを向上することが可能となる。
尚、図17〜図19には記していないが、下部電極7の下に形成された引張応力を持つ絶縁膜9aにおいて、拘束部12及びその近傍が選択的に除去された領域を設けても同様の効果を得ることができる。また、下部電極7の上面及び下面に形成された引張応力を持つ絶縁膜10a、9aの両者において、拘束部12及びその近傍を選択的に除去した領域を設けることにより、さらに、振動膜6の破壊耐量が増大するという効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る音響トランスデューサについて、図20〜図22を参照しながら説明する。以下に示す各図、種々の形状、材料及び数値等はいずれも望ましい例を挙げるに過ぎず、示した内容には限定されない。発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、記載内容に限定されることなく適宜変更可能である。さらに加えるならば、本実施形態は、他の実施形態との組み合わせ等も矛盾がない範囲で可能である。なお、ここでは、MEMSデバイスの例として、音響トランスデューサを用いて説明するが、MEMSデバイス全般に適用できる。
図20は本発明の第4の実施形態に係る音響トランスデューサの断面図を示している。また、図21は本発明の第4の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の平面構成を示し、図22は本発明の第4の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の断面構成を示している。尚、図22は図21のXXII−XXII線における断面形状を示している。ここで、第4の実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態と比較して、振動膜6に形成されている圧縮応力を持つシリコン酸化膜等の絶縁膜8cの形状が異なる以外は同様の構成となっている。従って、図22及び図21について、第1の実施形態と第2の実施形態と相違する部分を詳細に説明する。尚、音響トランスデューサの動作及び音響トランスデューサの特性を表す感度の説明については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、図20〜図22は、図1〜3に示した振動膜を変形した構成を表しているが、図4〜6に示した振動膜の構成を変えてもよい。
図21及び図22から分かるように、本実施形態においては、第1及び第2の実施形態と同様に、シリコン基板1に対して拘束部12により部分的に連結された振動膜6を有している。下部電極7の上に形成され、振動膜6を構成する圧縮応力を持つ酸化シリコン等からなる絶縁膜8cには、互いに略直線的に交差する複数の溝部が形成されている。圧縮応力を持つ絶縁膜8cは、これら複数の溝部によって複数の部分に分離された構造を採る。言い換えれば、圧縮応力を持つ絶縁膜8cは、複数の溝部により島状にパターン化された平面形状を有している。
第4の実施形態に係る音響トランスデューサによると、上記の構成により、第1及び第2の実施形態に係る音響トランスデューサと比較して以下のような効果を期待できる。すなわち、圧縮応力を持つ絶縁膜8cは、下部電極7の内側に配置されており、振動膜6の中心部に集中するように配置されている。このため、振動膜6の中心部に部分的に応力集中が起きやすい構造を持つ。従って、振動膜6の中心部への圧縮応力が強い場合には、振動膜6の中心部が上方に跳ね上がるおそれがある。そこで、第4の実施形態のように、圧縮応力を持つ絶縁膜8cを複数の溝部によって複数の部分に分離する構造とすることにより、振動膜6の中心部への応力集中を抑制することができる。これにより、振動膜6の中心部が上方に跳ね上がることを抑制できる。このため、振動膜6の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。
尚、図20〜図22には記していないが、下部電極7の下側に圧縮応力を持つ絶縁膜を形成した場合には、該下部電極7の下側に形成された圧縮応力を持つ絶縁膜に対しても、複数の溝部によって複数の部分に分離する構造としてもよい。このようにしても、同様の効果を得ることができる。また、下部電極7の上面及び下面に形成された2つの圧縮応力を持つ絶縁膜の両者に対しても、複数の溝部によって複数の部分に分離する構造としてもよい。
ここで、全ての実施形態において説明しているMEMSデバイスについて説明する。CMOS(complementary metal-oxide semiconductor )用の製造プロセス技術等を用いて多数のチップが同時に製造された基板(ウェハ)をチップに分割することにより、容量型のコンデンサマイクロホン又は圧力センサ等のデバイスを製造する技術をMEMS技術と称し、このようなMEMS技術を用いて製造されたデバイスをMEMSデバイスと称している。
本発明に係る音響トランスデューサ等のMEMSデバイスは、多層構造の低応力振動膜の応力分布を制御して振動膜の変形を抑制することにより、所望の特性を得ることができ、また、振動膜、すなわち可動電極面積の縮小が可能となり、多層膜構造の振動膜を有するMEMSデバイス等に有用である。
1 シリコン基板
2 第1のシリコン酸化膜
3 第2のシリコン酸化膜
4 シリコン基板の周辺部
5 基板除去領域
6 振動膜
7 下部電極
7A 第1のポリシリコン膜
8 圧縮応力を持つ絶縁膜
8a 圧縮応力を持つ絶縁膜(シリコン酸化膜)
8b 圧縮応力を持つ絶縁膜(シリコン酸化膜)
8c 圧縮応力を持つ絶縁膜
9 引張応力を持つ絶縁膜
9a 引張応力を持つ絶縁膜(シリコン窒化膜)
10 引張応力を持つ絶縁膜
10a 引張応力を持つ絶縁膜(シリコン窒化膜)
11 エアギャップ層
12 拘束部
13 固定膜
14 上部電極
14A 第2のポリシリコン膜
15 絶縁膜(シリコン窒化膜)
16 絶縁膜(シリコン窒化膜)
17 エアギャップ層
18 支持部
18A 第2の犠牲層
19 アコースティックホール
20 下部電極のパッド部
21 上部電極のパッド部
22 第1の開口部
23 第2の開口部
24 隣接拘束部間の距離
25 拘束部の直径
26 拘束部及びその近傍の絶縁膜除去領域
27 第1の犠牲層
29 第1の保護膜
30 第2の保護膜
本発明は、多層膜構造により構成された振動膜を有するMEMSデバイスに関する。
従来の電子部品の小型化、高性能化の手段として半導体技術を応用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスが有望視されている。半導体技術を用いることにより、センサやトランスデューサのデバイス特性を決定する振動膜の構造を複数の薄膜で構成される多層構造とすることができる。特許文献1は、センサの多層構造振動膜を構成する複数の薄膜のうち、最大破壊強度を有する薄膜を振動膜の表面側及び裏面側の最外層の少なくとも一方に用いることにより、振動膜を厚くすることなく、振動膜の破壊強度を向上する技術を開示している。また、特許文献2は、トランスデューサの多層構造振動膜の特性を決める張力調整の方法について開示している。
特開2001−194201号公報 特表2002−518913号公報
近年、携帯機器用を中心に、MEMSセンサ又はMEMSトランスデューサが採用され、そのチップサイズの縮小の要望が高まっている。このため、特性に影響する振動膜の面積、すなわち可動電極面積を縮小する必要が生じている。
可聴音域における音響トランスデューサの感度Sの一般式は、近似的に下記(式1)で表される。
S=α×Ca×Va×(1/S0 ) ・・・ (式1)
(式1)において、αは比例係数を表し、Caは可動電極を含むエアギャップ容量((可動電極面積Sdia/エアギャップ長d0)に比例する。)を表し、Vaはエアギャップ間電圧を表し、S0 は振動膜スティフネス(動きにくさ)を表している。
(式1)からも分かるように、エアギャップ間電圧Va、振動膜スティフネスS0 一定の下で可動電極面積Sdiaを縮小すると、エアギャップ容量Caが低下して感度Sが低下する。感度Sを低下させることなく可動電極面積Sdiaを縮小する方法としては、エアギャップ間電圧Vaを増加させるか、振動膜スティフネスS0を低下させることが有効である。
ここで、振動膜スティフネスS0を低下するには、振動膜を低応力化すると共に、振動膜がシリコン基板と機構的に連結される拘束部の面積を縮小する構造(以下、部分拘束構造と記す。)とする必要がある。
携帯機器向けとしてチップサイズを1mm程度にまで縮小する場合、振動膜の応力を数MPaまで下げ、且つ振動膜の周辺長に対する拘束部の周辺長と同一方向の長さの率(拘束率)を10%程度とする必要がある。ところが、多層構造を持つ振動膜を低応力化すると、多層構造を構成する薄膜の層間応力の差によって振動膜の変形が生じるため、エアギャップ容量Ca(エアギャップ長d0)及び振動膜スティフネスS0を制御できず、その結果、所望の感度特性を得られないという問題がある。
前記の問題を解決するため、本発明に係る第1のMEMSデバイスは、半導体基板と、半導体基板の上に拘束部を介して設けられ、第1の電極を有する振動膜と、半導体基板の上に支持部を介して振動膜を覆うように設けられ、第2の電極を有する固定膜とを備え、振動膜と固定膜とは、互いに対向した領域に形成される間隙よりなるエアギャップ層を有しており、拘束部は、半導体基板と振動膜との間を部分的に連結し、振動膜は、第1の電極と圧縮応力を持つ第1の絶縁膜とが積層されてなる多層構造を有し、第1の絶縁膜は、第1の電極の周囲から内側に配置されている。
本発明の第1のMEMSデバイスによると、振動膜は第1の電極と圧縮応力を持つ第1の絶縁膜とが積層されてなる多層構造を有し、第1の絶縁膜は第1の電極の周囲から内側に配置されているため、振動膜と半導体基板とを部分的に連結する拘束部において引張応力が働いた場合にも、振動膜の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制することができる。
本発明の第1のMEMSデバイスにおいて、振動膜は引張応力を持つ第2の絶縁膜及び引張応力を持つ第3の絶縁膜を有しており、第2の絶縁膜は第1の絶縁膜の上に形成され、第3の絶縁膜は第1の絶縁膜の下に形成されていてもよい。
この場合に、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜の少なくとも一方は、拘束部の周辺部を除く領域に形成されていてもよい。
本発明の第1のMEMSデバイスにおいて、第1の絶縁膜には互いに交差する複数の溝部が形成され、第1の絶縁膜は溝部によって複数の部分に分離されていてもよい。
本発明の第1のMEMSデバイスが第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜を有する場合に、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜はシリコン窒化膜であってもよい。
本発明の第1のMEMSデバイスにおいて、第1の絶縁膜はシリコン酸化膜であってもよい。
本発明に係る第2のMEMSデバイスは、半導体基板と、半導体基板の上に拘束部を介して設けられ、第1の電極を有する振動膜と、半導体基板の上に支持部を介して振動膜を覆うように設けられ、第2の電極を有する固定膜とを備え、振動膜と固定膜とは、互いに対向した領域に形成される間隙よりなるエアギャップ層を有しており、拘束部は、半導体基板と振動膜との間を部分的に連結し、振動膜は、第1の電極、圧縮応力を持つ第1の絶縁膜及び圧縮応力を持つ第2の絶縁膜が積層されてなる多層構造を有し、第1の絶縁膜は、第1の電極の上に形成され、第2の絶縁膜は、第1の電極の下に形成されている。
本発明の第2のMEMSデバイスによると、拘束部は半導体基板と振動膜との間を部分的に連結し、振動膜は第1の電極、圧縮応力を持つ第1の絶縁膜及び圧縮応力を持つ第2の絶縁膜が積層されてなる多層構造を有し、第1の絶縁膜は第1の電極の上に形成され、第2の絶縁膜は第1の電極の下に形成されている。これにより、振動膜と半導体基板とを部分的に連結する拘束部において引張応力が働いた場合にも、振動膜の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制することができる。
本発明の第2のMEMSデバイスにおいて、振動膜は引張応力を持つ第3の絶縁膜及び引張応力を持つ第4の絶縁膜を有しており、第3の絶縁膜は第1の絶縁膜の上に形成され、第4の絶縁膜は第2の絶縁膜の下に形成されていてもよい。
この場合に、第3の絶縁膜及び第4の絶縁膜の少なくとも一方は、拘束部の周辺部を除く領域に形成されていてもよい。
本発明の第2のMEMSデバイスにおいて、第1の絶縁膜には互いに交差する複数の溝部が形成され、第1の絶縁膜は溝部によって複数の部分に分離されていてもよい。
また、本発明の第2のMEMSデバイスにおいて、第2の絶縁膜には互いに交差する複数の溝部が形成され、第2の絶縁膜は溝部によって複数の部分に分離されていてもよい。
本発明の第2のMEMSデバイスが第3の絶縁膜及び第4の絶縁膜を有する場合に、第3の絶縁膜及び第4の絶縁膜はシリコン窒化膜であってもよい。
本発明の第2のMEMSデバイスにおいて、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜はシリコン酸化膜であってもよい。
尚、以上の特徴を矛盾が生じないように適宜組み合わせることが可能であることはいうまでもない。また、それぞれの特徴において、効果が複数期待できるときも、全ての効果を発揮できなければいけないわけではない。
本発明に係るMEMSデバイスによると、多層構造からなる振動膜の薄膜間の応力の差に起因する振動膜の変形を抑制することにより、振動膜中の可動電極を小さくしたとしても、所望の感度特性を得ることが可能となる。その結果、感度特性を維持したままMEMSデバイスを小型化することが可能となる。
図1は本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサを示す断面図である。 図2は本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサの振動膜を示す平面図である。 図3は図2のIII−III線における断面図である。 図4は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサを示す断面図である。 図5は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサの振動膜を示す平面図である。 図6は図5のVI−VI線における断面図である。 図7(a)及び図7(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図8(a)及び図8(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図9(a)及び図9(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図10(a)及び図10(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図11(a)及び図11(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図12(a)及び図12(b)は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す工程順の断面図である。 図13は本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法を示す一工程の断面図である。 図14は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサを示す断面図である。 図15は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサの振動膜を示す平面図である。 図16は図15のXVI−XVI線における断面図である。 図17は本発明の第3の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサを示す断面図である。 図18は本発明の第3の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサの振動膜を示す平面図である。 図19は図18のXIX−XIX線における断面図である。 図20は本発明の第4の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサを示す断面図である。 図21は本発明の第4の実施形態に係るMEMSデバイスであって、音響トランスデューサの振動膜を示す平面図である。 図22は図21のXXII−XXII線における断面図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサについて図1〜図3を参照しながら説明する。以下に示す各図、種々の形状、材料及び数値等はいずれも望ましい例を挙げるに過ぎず、示した内容には限定されない。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、記載内容に限定されることなく適宜変更が可能である。さらに加えるならば、本実施形態は、他の実施形態と組み合わせることも矛盾がない範囲で可能である。なお、ここでは、MEMSデバイスの例として、音響トランスデューサを用いて説明しているが、本発明はMEMSデバイス全般に適用できる。MEMSデバイスとは、後述するが、半導体プロセスを用いて形成された機械信号等を電気信号等に変換する変換素子を指す。MEMSデバイスの例としては、音響トランスデューサ(MEMSマイク)、圧力センサ、加速度センサ及び角速度センサ等が挙げられる。以上のことは、本発明に共通する。
まず、本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサの構成について説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサの断面図を示している。
図1に示すように、シリコン基板1の上に第1のシリコン酸化膜2及び第2のシリコン酸化膜3が形成されている。シリコン基板1は、その周辺部4を残すように除去されており、それによって基板除去領域5が形成されている。すなわち、基板除去領域5は、後述する振動膜6が外部から圧力を受けて振動することを可能とするために、シリコン基板1が選択的に(周辺部を残すように)除去されてなる領域である。
シリコン基板1の上には、基板除去領域5を覆うように振動膜6が形成されている。振動膜6は、下部電極(振動電極)を構成する導電膜から構成される場合と、絶縁膜を含む多層膜から構成される場合とがある。振動膜6が、特に永久電荷を保持するエレクトレット膜を含む場合には、エレクトレットコンデンサを構成でき、外部からの電圧供給を不要にすることができる。
本実施形態においては、振動膜6は、ポリシリコン等の導電膜である下部電極7と、その上に形成される酸化シリコン等からなる絶縁膜8と、絶縁膜8の側面を含む下面及び上面をそれぞれ覆う窒化シリコン等からなる絶縁膜9及び10とから構成されている。絶縁膜8は、基板除去領域5の内側に設けられている。
振動膜6とシリコン基板1との間にはエアギャップ層11が設けられており、エアギャップ層11が設けられていない領域の振動膜6とシリコン基板1との間には振動膜6を支持するための、第1のシリコン酸化膜2及び第2のシリコン酸化膜3からなる拘束部12が設けられている。この拘束部12により、振動膜6はシリコン基板1と機構的に連結される。
振動膜6の上方には固定膜13が配置されている。固定膜13は、上部電極(固定電極)を構成する1つの導電膜から構成される場合と、絶縁膜を含む多層膜から構成される場合とがある。固定膜13が、特に永久電荷を保持する酸化シリコン等からなるエレクトレット膜を含む場合には、エレクトレットコンデンサを構成でき、外部からの電圧供給を不要にすることができる。本実施形態においては、固定膜13は、ポリシリコン等の導電膜である上部電極14と、上部電極14の側面を含む下面及び上面をそれぞれ覆う窒化シリコン等からなる絶縁膜15及び16とから構成されている。
振動膜6と固定膜13との間にはエアギャップ層17が形成されており、エアギャップ層17が設けられていない領域の第2のシリコン酸化膜3と固定膜13との間には固定膜13を支持するための酸化シリコンからなる支持部18が形成されている。
尚、エアギャップ層17は、支持部18を構成するシリコン酸化膜の一部を除去することにより、少なくとも基板除去領域5の上側の全体にわたって形成されている。
エアギャップ層17上の固定膜13には、エアギャップ層17に通じる複数のアコースティックホール19が形成されている。ここで、アコースティックホール19は、振動膜6を振動させる空気の通り穴としての役割を果たす。
支持部18には、下部電極7のパッド部20と上部電極14のパッド部21が露出するように第1の開口部22と第2の開口部23とが設けられており、図示は省略するが、ワイヤボンド接続等を介して外部回路に接続される。
次に、本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の構造について、詳細に説明する。図2は本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の平面構成を示し、図3は本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の断面構成を示している。ここで、図3は図2のIII−III線における断面形状を示している。
図2から分かるように、振動膜6の平面形状は略正六角形であり、拘束部12の平面形状は略円形である。但し、振動膜の平面形状は、略正六角形だけでなく、略四角形、略六角形等の多角形形状及び略円形状でも構わない。また、拘束部12の平面形状は、略円形だけでなく、略四角形又は略六角形等の多角形形状でも構わない。また、隣接する拘束部12の中心間の距離(L1とする)を符号24で表し、拘束部12の直径(L2とする)を符号25で表している。
また、図3から分かるように、振動膜6は、ほぼ無応力であるポリシリコン等の導電膜である下部電極7と、その上に形成される−500MPa〜−100MPaの圧縮応力を持つ酸化シリコン等からなる絶縁膜8と、絶縁膜8の側面を含む下面及び上面をそれぞれ覆う、1000MPa〜2000MPaの引張応力を持つ窒化シリコン等からなる絶縁膜9及び10とから構成されている。ここで、絶縁膜8は、基板除去領域5の内側に設けられている。尚、圧縮応力を持つ絶縁膜8の全てが、基板除去領域5の内側に配置されている必要はない。例えば、絶縁膜8は、少なくとも下部電極7の内側、又は少なくとも拘束部12よりも内側に配置されていればよい。
−500MPa〜−100MPaの圧縮応力を持つシリコン酸化膜は、例えば、テトラエトキシシランを用いた化学気相堆積(chemical vapor deposition:CVD)法により形成することができる。また、シラン系ガスによってCVD法で形成されるシリコン酸化膜であっても、圧縮応力を持つ絶縁膜であれば、同様の効果を得ることができる。
1000MPa〜2000MPaの引張応力を持つシリコン窒化膜は、例えば、シラン系ガスとアンモニアとを用いたCVD法により形成することができる。
また、図2及び図3から分かるように、下部電極7、絶縁膜8、絶縁膜9及び絶縁膜10に加わる応力の向きを矢印で示している。振動膜6は、前述したように、圧縮応力を持つ絶縁膜8と、ほぼ無応力である下部電極7と、引張応力を持つ絶縁膜9及び10とから構成されている。圧縮応力を持つ絶縁膜8は基板除去領域5の内側に設けられている。一方、引張応力を持つ絶縁膜9及び10は、振動膜6上のほぼ全面にわたって形成されている。このため、図2及び図3に示すように、エアギャップ層11上の振動膜6には、拘束部12からの引張応力が加わることとなる。これは、引張応力を持つ絶縁膜9及び10の影響の方が、圧縮応力を持つ絶縁膜8の影響よりも大きくなるように、引張応力を持つ絶縁膜の端部(すなわち、振動膜の端部)の内側に圧縮応力を持つ絶縁膜の端が収まるように配置されているからである。
次に、本実施形態における音響トランスデューサの動作について図1を参照しながら説明する。本実施形態における音響トランスデューサにおいて、複数のアコースティックホール19を通して、振動膜6が上方(外部)から音圧を受けると、その音圧に応じて振動膜6が機械的に上下に振動する。ここで、下部電極7及び上部電極14をそれぞれ電極とする平行平板型のコンデンサ構造が形成されているために、振動膜6が振動すると下部電極7と上部電極14との電極間距離が変化し、コンデンサの容量(Ca)が変化する。一方、当該コンデンサに蓄えられる電荷量(Qa)が一定の下では、容量(Ca)が変化(以下、容量Caの変化量をΔCaとする。)すると、(式2)の関係より下部電極7と上部電極14との間の電圧(Va)に変化(以下、電圧Vaの変化量をΔVaとする。)が生じる(式3)。
Qa=Ca×Va ・・・ (式2)
ΔVa=Qa/ΔCa ・・・ (式3)
すなわち、空気振動が、機械振動を介して電圧変化ΔVaに変換されることとなる。これが、本実施形態における音響トランスデューサの動作原理である。
次に、音響トランスデューサの特性を表す感度について説明する。可聴音域における音響トランスデューサの感度Sの一般式は、前述の通り、近似的に(式1)で表される。
S=α×Ca×Va×(1/S0 ) ・・・ (式1)
(式1)において、αは比例係数を表し、Caは可動部であるエアギャップ容量
Ca=ε0×ε×(Sdia/d0 ) ・・・ (式4)
を表し、Vaはエアギャップ間電圧を表し、S0 は振動膜スティフネス(動きにくさ)を表している。また、(式4)において、ε0は真空中の誘電率を表わし、εは下部電極7と上部電極14との電極間の平均比誘電率を表し、Sdiaは可動電極面積を表し、d0は電極間距離を表している。
(式1)と(式4)からも分かるように、感度Sを低下させることなく可動電極面積Sdiaを縮小するには振動膜スティフネスS0を低下させることが必要になる。また、振動膜スティフネスS0を低下するためには、振動膜を低応力化すると共に、振動膜がシリコン基板1と機構的に連結する拘束部12の面積を縮小する構造(部分拘束構造)にする必要がある。また、振動膜6の構成材料が決まると、振動膜スティフネスS0は、下記(式5)で表される。
0 =(σ×A)/(6×L1)=(σ×6×L2×T)/(6×L1)
=σ×T×(L2/L1) ・・・ (式5)
(式5)において、σは振動膜6の応力(振動膜6の単位面積当たりに作用する力)、Aは拘束部12の上に位置する振動膜6の断面積、L1は隣接する拘束部12の中心間の距離、L2は拘束部12の直径、Tは振動膜6の膜厚である。
ここで、本実施形態の音響トランスデューサの振動膜スティフネスS0について、詳しく説明する。
図3に示すように、エアギャップ領域11上の振動膜6はシリコン基板1から開放された構成、すなわち、シリコン基板1とは接しない構成を採る。また、図2に示すように、エアギャップ層11上の振動膜6には、拘束部12からの引張応力が加わることになる。このため、振動膜6とシリコン基板1が接することがない。その結果、シリコン基板1との熱膨張係数の差によって生じる残留応力が振動膜6に作用することがなくなる。すなわち、拘束部12からの引張応力により、振動膜6とシリコン基板1とが接触するのを防ぐことができる。
一方、引張応力を持つ絶縁膜9、10の影響が強すぎると、非拘束部(振動膜6とシリコン基板1とが拘束されていない部分)において、振動膜6が跳ね上がる現象が発生する。そこで、振動膜6の跳ね上がりを抑制するために、圧縮応力を持つ絶縁膜8を基板除去領域5の内側に設ける。このようにすると、引張応力を持つ絶縁膜9、10の影響を、圧縮応力を持つ絶縁膜8の影響により抑制することができる。その結果、非拘束部における振動膜6の跳ね上がりを抑制できるという効果を得る。
以上のように、引張応力を持つ絶縁膜と圧縮応力を持つ絶縁膜とを積層させ、圧縮応力を持つ絶縁膜が引張応力を持つ絶縁膜の内側に位置するように配置することにより、振動膜内の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制することができるため、所望の振動スティフネスを得ることができる。
従って、(式5)を参照すると、拘束部12の直径25の長さL2を隣接する拘束部12の中心間の距離L1の例えば50%に設定した場合に、互いに間隔をおいた複数の拘束部12を形成せず振動膜6の全周にわたりシリコン基板1に拘束されている場合と比べて、振動膜6の単位長さ当たりの張力S0 を約50%の大きさに低減することができる。これは、振動膜6の変形を抑制できているからである。その結果、(式1)及び(式4)より、音響トランスデューサの感度Sを低下させることなく可動電極面積Sdiaを50%に縮小することができ、チップサイズの縮小が可能となる。
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る音響トランスデューサによると、振動膜が、電極と圧縮応力を持つ絶縁膜とが積層した多層構造を有しており、且つ圧縮応力を持つ絶縁膜が電極の内側に配置されている点に大きな特徴がある。このような構成により、振動膜とシリコン基板を部分的に連結する拘束部とにおいて引張応力が働いた場合にも、非拘束部において、引張応力の影響が強すぎることによる振動膜の跳ね上がりを抑制することができるからである。その結果、振動膜の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。
また、振動膜は、引張応力を持つ絶縁膜をさらに有しており、引張応力を持つ絶縁膜が振動膜の端部にまで形成されていることが好ましい。この構成により、拘束部に引張応力が働きやすくなる。このため、圧縮応力を持つ絶縁膜が電極の内側に配置されていることによる効果がさらに高まるからである。
尚、本実施形態においては、図1〜図3に示すように、下部電極7、引張応力を持つ絶縁膜9、圧縮応力を持つ絶縁膜8及び引張応力を持つ絶縁膜10の順に積層した振動膜6について説明している。すなわち、圧縮応力を持つ絶縁膜8の直下に引張応力を持つ絶縁膜9が配置されている振動膜6について説明してる。しかし、引張応力を持つ絶縁膜9を、圧縮応力を持つ絶縁膜8の直下に配置するのではなく、引張応力を持つ絶縁膜9を、下部電極7の下面に形成する構成としてもよい。この構成により、下部電極7の面内方向を軸にして、引張応力を持つ絶縁膜9と引張応力を持つ絶縁膜10とが上下対称の構造となる。このため、振動膜6の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサについて、図4〜図6を参照しながら説明する。以下に示す各図、種々の形状、材料及び数値等はいずれも望ましい例を挙げるに過ぎず、示した内容には限定されない。発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、記載内容に限定されることなく適宜変更可能である。さらに加えるならば、本実施形態は、他の実施形態との組み合わせ等も矛盾がない範囲で可能である。なお、ここでは、MEMSデバイスの例として、音響トランスデューサを用いて説明するが、MEMSデバイス全般に適用できる。
まず、本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサについて説明する。図4は本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサの断面図を示している。また、図5は本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の平面構成を示し、図6は本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の断面構成を示している。尚、図6は図5のVI−VI線における断面形状を示している。ここで、第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、振動膜6の構造が異なる以外は同様の構成となっている。従って、図5及び図6について詳細を説明する。尚、音響トランスデューサの動作及び音響トランスデューサの特性を表す感度の説明については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図5から分かるように、振動膜6の平面形状は略正六角形であり、拘束部12の平面形状は略円形である。但し、振動膜6の平面形状は、略正六角形だけでなく、略四角形、略六角形等の多角形形状及び略円形状でも構わない。また、拘束部の平面形状は、略円形だけでなく、略四角形又は略六角形等の多角形形状でも構わない。また、隣接する拘束部12の中心間の距離(L1とする)を符号24で表し、拘束部12の直径(L2とする)を符号25で表している。
また、図6から分かるように、振動膜6は、ほぼ無応力であるポリシリコン等の導電膜である下部電極7と、その下に形成される−500MPa〜−100MPaの圧縮応力を持つ酸化シリコン等からなる絶縁膜8aと、絶縁膜8aの下面及び側面をそれぞれ覆う、1000MPa〜2000Mpaの引張応力を持つ窒化シリコン等からなる絶縁膜9aと、下部電極7の上に形成される−500MPa〜−100MPaの圧縮応力を持つ酸化シリコン等からなる絶縁膜8bと、絶縁膜8bの上面及び側面をそれぞれ覆う、1000MPa〜2000Mpaの引張応力を持つ窒化シリコン等からなる絶縁膜10aとから構成されている。
−500MPa〜−100MPaの圧縮応力を持つシリコン酸化膜は、例えば、テトラエトキシシランを用いたCVD法により形成することができる。また、シラン系ガスによってCVD法で形成されるシリコン酸化膜であっても、圧縮応力を持つ絶縁膜であれば、同様の効果を得ることができる。
1000MPa〜2000MPaの引張応力を持つシリコン窒化膜は、例えば、シラン系ガスとアンモニアを用いたCVD法により形成することができる。
また、図5及び図6から分かるように、下部電極7、絶縁膜8a、絶縁膜8b、絶縁膜9a及び絶縁膜10aに加わる応力の向きを矢印で示している。振動膜6は、圧縮応力を持つ絶縁膜8a及び8bと、ほぼ無応力である下部電極7と、引張応力を持つ絶縁膜9a及び10aとから構成されている。圧縮応力を持つ絶縁膜8a及び8bは基板除去領域5の内側に設けられている。一方、引張応力を持つ絶縁膜9a及び10aは、振動膜6上のほぼ全面にわたって形成されている。このため、図5及び図6に示すように、エアギャップ層11上の振動膜6には、拘束部12からの引張応力が加わることとなる。
さらに、ほぼ無応力の下部電極7の上下に絶縁膜8a、絶縁膜8b、絶縁膜9a及び絶縁膜10aを配置することが好ましい。さらには、絶縁膜8aの膜厚と絶縁膜8bの膜厚とを同等にし、絶縁膜9aの膜厚と絶縁膜10aの膜厚とを同等にすることが好ましい。これは、下部電極7を挟んで振動膜6の断面方向の応力分布を対称にすることが好ましいからである。
ここで、本実施形態の音響トランスデューサの振動膜スティフネスS0について、第1の実施形態と同様に、詳しく説明する。
図6に示すように、エアギャップ領域11上の振動膜6はシリコン基板1から開放された構成、すなわちシリコン基板1とは接しない構成を採る。また、図5に示すように、エアギャップ層11の上の振動膜6には、拘束部12からの引張応力が加わることになる。このため、振動膜6とシリコン基板1が接することがない。その結果、シリコン基板1との熱膨張係数の差によって生じる残留応力が振動膜6に作用することがなくなる。すなわち、引張応力を持つ絶縁膜9a及び10aに起因する拘束部12からの引張応力により、振動膜6とシリコン基板1とが接触するのを防ぐことができる。
また、本実施形態においては、ほぼ無応力の下部電極7の下面及び上面に、それぞれ絶縁膜8a、絶縁膜8bを配置している。この構成により、下部電極7を挟み、振動膜6の断面方向の応力分布が対称となり、その結果、振動膜6内の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、ほぼ無応力の下部電極7の下面及び上面に、それぞれ絶縁膜8a及び絶縁膜8bと、絶縁膜9a及び絶縁膜10aとをそれぞれ配置することが好ましい。また、絶縁膜8aの膜厚と絶縁膜8bの膜厚とを同等とし、絶縁膜9aの膜厚と絶縁膜10aの膜厚とを同等とすることが好ましい。この構成により、下部電極7を挟み、振動膜6の断面方向の応力分布が対称となり、その結果、振動膜6内の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。
ここで、引張応力を持つ絶縁膜の影響が強すぎると、非拘束部(振動膜6とシリコン基板1とが拘束されていない部分)において、振動膜6が跳ね上がる現象が発生する。そこで、振動膜6の跳ね上がりを抑制するために、圧縮応力を持つ絶縁膜8a及び8bが形成されている。こうすることにより、引張応力を持つ絶縁膜9a及び10aの影響を、圧縮応力を持つ絶縁膜8a及び8bの影響により抑制することができる。その結果、非拘束部における振動膜6の跳ね上がりを抑制することができる。
従って、第1の実施形態で説明した(式5)を参照すると、拘束部12の直径25の長さL2を隣接する拘束部12の中心間の距離L1の例えば50%に設定した場合、互いに間隔をおいた複数の拘束部12を形成せず振動膜6の全周にわたりシリコン基板1に拘束されている場合と比べて、振動膜6の単位長さ当たりの張力S0 を約50%の大きさに低減することができる。これは、振動膜6の変形を抑制できているからである。その結果、第1の実施形態で説明した(式1)及び(式4)より、音響トランスデューサの感度Sを低下させることなく可動電極面積Sdiaを50%に縮小することができ、チップサイズの縮小が可能となる。
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る音響トランスデューサによると、振動膜が、電極と圧縮応力を持つ第1の絶縁膜と圧縮応力を持つ第2の絶縁膜とを積層した多層構造となっている点に大きな特徴がある。すなわち、第1の実施形態と比較すると、圧縮応力を持つ絶縁膜を振動膜内に1層追加している点が異なる。この構成により、振動膜とシリコン基板とを部分的に連結する拘束部において引張応力が働いた場合にも、非拘束部において、引張応力の影響が強すぎることによる振動膜の跳ね上がりをさらに抑制することができる。その結果、振動膜の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。
また、圧縮応力を持つ第1の絶縁膜は、電極の上に形成され、圧縮応力を持つ第2の絶縁膜は、電極の下に形成されていることが好ましい。このように配置することにより、電極を挟んで振動膜の断面方向の応力分布を対称にしやすくなるからである。このため、上記効果をさらに得やすくなる。
また、振動膜は、引張応力を持つ絶縁膜を2層有しており、引張応力を持つ第1の絶縁膜は、圧縮応力を持つ第1の絶縁膜の上に形成されており、引張応力を持つ第2の絶縁膜は、圧縮応力を持つ第2の絶縁膜の下に形成されていることが好ましい。このような構成により、拘束部に引張応力がより働きやすくなる。このため、圧縮応力を持つ絶縁膜が電極の内側に配置されていることによる効果がさらに高まる。また、電極を挟んで振動膜の断面方向の応力分布を対称にしやすくなる。
(第2の実施形態の製造方法)
以下に、第2の実施形態に係る音響トランスデューサであって、MEMSマイクの製造方法の一例を説明する。なお、図4に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付しているが、本構成部材に限定されることはない。あくまで本実施形態に記載の部材は例示に過ぎない。
まず、図7(a)に示すように、熱酸化法又はCVD法により、ウェハ状のシリコン基板1の上に第1のシリコン酸化膜2を形成する。続いて、リソグラフィ法及びエッチング法により、第1のシリコン酸化膜2に対して、後工程で形成される基板除去領域5と対応する領域に開口部を選択的に形成する。
次に、図7(b)に示すように、シリコン基板1の上に、第1のシリコン酸化膜2の開口部を覆うように、不純物、例えばリンをドープしたポリシリコンからなる第1の犠牲層27を形成する。
次に、図8(a)に示すように、CVD法により、第1の犠牲層27及び第1のシリコン酸化膜2の上に、第2のシリコン酸化膜3を形成する。ここで、第1のシリコン酸化膜2及び第2のシリコン酸化膜3の一部が後工程で形成される拘束部12となる。続いて、第2のシリコン酸化膜3にヒンジ溝を形成する。このヒンジ溝は、最終的に振動膜のヒンジ部として残存する。ここで、ヒンジ部とは、振動膜を上面から見た場合に、該振動膜の外縁部に複数形成されるものであり、断面で見た場合には、凹凸の繰り返し形状となる。ヒンジ部により、例えば振動膜を構成する膜の応力を調整して、該振動膜の振動特性を向上することができる。
次に、図8(b)に示すように、CVD法により、第2のシリコン酸化膜3の上に、シリコン窒化膜9aを形成する。続いて、シリコン窒化膜9aの上にシリコン酸化膜(TEOS:Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate)膜)8aを形成する。その後、シリコン酸化膜8aに対して基板除去領域5に相当する部分を残すようにパターニングする。
次に、図9(a)に示すように、CVD法により、シリコン酸化膜8aを含めシリコン窒化膜9aの上に、下部電極となる、不純物、例えばリンをドープした第1のポリシリコン膜7Aを形成する。続いて、CVD法により、第1のポリシリコン膜7Aの上に、シリコン酸化膜8bを形成する。その後、シリコン酸化膜8bに対して、シリコン酸化膜8aと対応する部分を残すようにパターニングする。
次に、図9(b)に示すように、第1のポリシリコン膜7A及びシリコン窒化膜9aに対して、振動膜を構成する部分を残すようにパターニングすることにより、第1のポリシリコン膜7Aから下部電極7を形成する。
次に、図10(a)に示すように、CVD法により、第2のシリコン酸化膜3、下部電極膜7及びシリコン酸化膜8bの上に、シリコン窒化膜10aを形成する。その後、形成したシリコン窒化膜10aに対して、振動膜の一部として残す部分と、他の必要部分を残すようにパターニングする。これにより、下部電極7の上面及び下面が共にシリコン酸化膜8a、8bとシリコン窒化膜9a、10bとに挟まれてなる振動膜6が形成される。
次に、図10(b)に示すように、シリコン基板1上の全面に、酸化シリコンからなる第2の犠牲層18Aを形成し、さらに、形成された第2の犠牲層18Aに対して、後工程で形成される、スティッキングを防止するためのストッパ部及びパッド部20、21と対応する部分に溝部を形成する。ストッパ部とは、後工程で形成される振動膜と固定膜との吸着(スティッキング)を防ぐために、振動膜側に突き出るように固定膜に形成される凸部である。
次に、図11(a)に示すように、第2の犠牲層18Aに対して、後工程で形成される、パッド部20、21と対応する部分を開口する。
次に、図11(b)に示すように、CVD法により、シリコン基板1上の全面に、シリコン窒化膜15及び不純物、例えばリンをドープした第2のポリシリコン膜14Aを順次形成する。その後、形成されたシリコン窒化膜15及び第2のポリシリコン膜14Aに対して、後工程で形成されるアコースティックホール19に対応する部分に複数の開口部を形成する。
次に、図12(a)に示すように、CVD法により、シリコン基板1上の全面に、シリコン窒化膜16を形成する。その後、形成されたシリコン窒化膜16に対して、後工程で形成されるアコースティックホール19に対応する部分に開口部を形成する。これにより、ポリシリコンからなる上部電極14がその上面及び下面を絶縁膜(シリコン窒化膜)15、16に挟まれてなる固定膜13が形成される。
次に、図12(b)に示すように、シリコン基板1上の全面に、酸化シリコンからなる第1の保護膜29を形成し、シリコン基板1の裏面の全面にも、酸化シリコンからなる第2の保護膜30を形成する。続いて、第2の保護膜における基板除去領域5を選択的にエッチングして、開口パターンを形成する。その後、各保護膜29、30をマスクとして、シリコン基板1を貫通するように裏面からエッチングすることにより、シリコン基板1に基板除去領域5を形成する。その際、基板除去領域5の直上に形成されていた第1の犠牲層27も除去される。
次に、図13に示すように、基板除去領域5が形成されたシリコン基板1に対してウェットエッチングを行う。すなわち、第1の保護膜29及び第2の保護膜30が除去されると共に、固定膜13に形成された複数のアコースティックホール19からエッチングを施し、第2の犠牲層18Aが除去される。さらには、第1のシリコン酸化膜2、第2のシリコン酸化膜3における振動膜6の下側部分を、複数の拘束部12を残すように除去する。その後、振動膜6と固定膜13との貼り付き、いわゆるスティッキングを防止するために、乾燥時の液体表面張力の影響がない超臨界乾燥を行う。
以上のようにして、第2の実施形態に係るMEMSマイクを形成することができる。すなわち、シリコン窒化膜9a、シリコン酸化膜8a、ポリシリコンからなる下部電極7、シリコン酸化膜8b及びシリコン窒化膜10aにより構成された振動膜6が形成される。また、シリコン窒化膜15、ポリシリコンからなる上部電極14及びシリコン窒化膜16により構成された固定膜13が形成される。
また、固定膜13と振動膜6との間には、第2の犠牲層18Aが除去されてなるエアギャップ層17が形成される。また、第2の犠牲層18Aの残存部分は固定膜13を支持する支持部18となる。
(第2の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサについて、図14〜図16を参照しながら説明する。
図14は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサの断面図を示している。また、図15は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサの振動膜の平面構成を示し、図16は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る音響トランスデューサの振動膜の断面構成を示している。尚、図16は図15のXVI−XVI線における断面形状を示している。
ここで、第2の実施形態の一変形例は、第2の実施形態と比較して、振動膜とシリコン基板を機構的に連結する拘束部の構造が異なる以外は同様の構成である。すなわち、本変形例においては、振動膜における周縁部分とシリコン基板を部分的に拘束するのではなく、ほぼ全面的に拘束している。この構成を採った場合には、非拘束部の面積が小さいことから、振動膜が跳ね上がる現象が起きにくくなる。しかしながら、振動膜の変形を抑制することによって、感度特性の変動を低減する必要がある。この場合には、振動膜6の構成を、ほぼ無応力である下部電極7の上下に、絶縁膜8b及び10aと絶縁膜8a及び9aとを配置することにより、振動膜6の断面方向の応力分布を対称にしやすくなる。その結果、振動膜6内の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制しやすくなる。また、絶縁膜8aの膜厚と絶縁膜8bの膜厚とを同等とし、さらに、絶縁膜9aの膜厚と絶縁膜10aの膜厚とを同等とすることにより、下部電極7を挟み、振動膜6の断面方向の応力分布を対称とすれば、振動膜6内の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。このように、積層構造からなる振動膜6内の応力分布を対称とすることは、振動膜6内の層間応力の差に起因する膜の変形を抑制することにつながる。従って、上下の電極間の距離d0、すなわちエアギャップ容量Caの変動を抑制して、所望の感度特性を得ることができる。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る音響トランスデューサについて、図17〜図19を参照しながら説明する。以下に示す各図、種々の形状、材料及び数値等はいずれも望ましい例を挙げるに過ぎず、示した内容には限定されない。発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、記載内容に限定されることなく適宜変更可能である。さらに加えるならば、本実施形態は、他の実施形態との組み合わせ等も矛盾がない範囲で可能である。なお、ここでは、MEMSデバイスの例として、音響トランスデューサを用いて説明するが、MEMSデバイス全般に適用できる。
図17は本発明の第3の実施形態に係る音響トランスデューサの断面図を示している。また、図18は本発明の第3の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の平面構成を示し、図19は本発明の第3の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の断面構成を示している。尚、図19は図18のXIX−XIX線における断面形状を示している。ここで、第3の実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態と比較して、振動膜に形成されている引張応力を持つシリコン窒化膜等の絶縁膜10aの平面形状が異なる以外は同様の構成となっている。従って、図18及び図19について、第1の実施形態と第2の実施形態と相違する部分を詳細に説明する。尚、音響トランスデューサの動作及び音響トランスデューサの特性を表す感度の説明については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、図17〜図19は、図4〜6に示した振動膜を変形した構成を表しているが、図1〜3に示した振動膜の構成を変えてもよい。
図18及び図19から分かるように、第3の実施形態においては、第1及び第2の実施形態と同様に、シリコン基板1に対して拘束部12により部分的に連結された振動膜6を有している。さらに、振動膜6を構成する下部電極7の上に形成された引張応力を持つシリコン窒化膜等の絶縁膜10aには、拘束部12及びその近傍が選択的に除去された領域26が設けられている。言い換えれば、下部電極7の上に形成された引張応力を持つ絶縁膜10aは、拘束部12の周辺部以外の部分に形成されている。
第3の実施形態に係る音響トランスデューサは、上記の構成により、第1及び第2の実施形態に係る音響トランスデューサと比較して以下のような効果を期待できる。すなわち、拘束部12は、部分的に振動膜6と連結されているため、応力集中が起きやすい構造を持つ。そこで、第3の実施形態のように、拘束部12及びその近傍を選択的に除去した領域26を設けることにより、拘束部12における応力集中を緩和することができる。その結果、振動膜6の破壊耐量が増加して、加工歩留まりを向上することが可能となる。
尚、図17〜図19には記していないが、下部電極7の下に形成された引張応力を持つ絶縁膜9aにおいて、拘束部12及びその近傍が選択的に除去された領域を設けても同様の効果を得ることができる。また、下部電極7の上面及び下面に形成された引張応力を持つ絶縁膜10a、9aの両者において、拘束部12及びその近傍を選択的に除去した領域を設けることにより、さらに、振動膜6の破壊耐量が増大するという効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る音響トランスデューサについて、図20〜図22を参照しながら説明する。以下に示す各図、種々の形状、材料及び数値等はいずれも望ましい例を挙げるに過ぎず、示した内容には限定されない。発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、記載内容に限定されることなく適宜変更可能である。さらに加えるならば、本実施形態は、他の実施形態との組み合わせ等も矛盾がない範囲で可能である。なお、ここでは、MEMSデバイスの例として、音響トランスデューサを用いて説明するが、MEMSデバイス全般に適用できる。
図20は本発明の第4の実施形態に係る音響トランスデューサの断面図を示している。また、図21は本発明の第4の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の平面構成を示し、図22は本発明の第4の実施形態に係る音響トランスデューサの振動膜の断面構成を示している。尚、図22は図21のXXII−XXII線における断面形状を示している。ここで、第4の実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態と比較して、振動膜6に形成されている圧縮応力を持つシリコン酸化膜等の絶縁膜8cの形状が異なる以外は同様の構成となっている。従って、図22及び図21について、第1の実施形態と第2の実施形態と相違する部分を詳細に説明する。尚、音響トランスデューサの動作及び音響トランスデューサの特性を表す感度の説明については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、図20〜図22は、図1〜3に示した振動膜を変形した構成を表しているが、図4〜6に示した振動膜の構成を変えてもよい。
図21及び図22から分かるように、本実施形態においては、第1及び第2の実施形態と同様に、シリコン基板1に対して拘束部12により部分的に連結された振動膜6を有している。下部電極7の上に形成され、振動膜6を構成する圧縮応力を持つ酸化シリコン等からなる絶縁膜8cには、互いに略直線的に交差する複数の溝部が形成されている。圧縮応力を持つ絶縁膜8cは、これら複数の溝部によって複数の部分に分離された構造を採る。言い換えれば、圧縮応力を持つ絶縁膜8cは、複数の溝部により島状にパターン化された平面形状を有している。
第4の実施形態に係る音響トランスデューサによると、上記の構成により、第1及び第2の実施形態に係る音響トランスデューサと比較して以下のような効果を期待できる。すなわち、圧縮応力を持つ絶縁膜8cは、下部電極7の内側に配置されており、振動膜6の中心部に集中するように配置されている。このため、振動膜6の中心部に部分的に応力集中が起きやすい構造を持つ。従って、振動膜6の中心部への圧縮応力が強い場合には、振動膜6の中心部が上方に跳ね上がるおそれがある。そこで、第4の実施形態のように、圧縮応力を持つ絶縁膜8cを複数の溝部によって複数の部分に分離する構造とすることにより、振動膜6の中心部への応力集中を抑制することができる。これにより、振動膜6の中心部が上方に跳ね上がることを抑制できる。このため、振動膜6の層間応力の差に起因する膜の変形をさらに抑制することができる。
尚、図20〜図22には記していないが、下部電極7の下側に圧縮応力を持つ絶縁膜を形成した場合には、該下部電極7の下側に形成された圧縮応力を持つ絶縁膜に対しても、複数の溝部によって複数の部分に分離する構造としてもよい。このようにしても、同様の効果を得ることができる。また、下部電極7の上面及び下面に形成された2つの圧縮応力を持つ絶縁膜の両者に対しても、複数の溝部によって複数の部分に分離する構造としてもよい。
ここで、全ての実施形態において説明しているMEMSデバイスについて説明する。CMOS(complementary metal-oxide semiconductor )用の製造プロセス技術等を用いて多数のチップが同時に製造された基板(ウェハ)をチップに分割することにより、容量型のコンデンサマイクロホン又は圧力センサ等のデバイスを製造する技術をMEMS技術と称し、このようなMEMS技術を用いて製造されたデバイスをMEMSデバイスと称している。
本発明に係る音響トランスデューサ等のMEMSデバイスは、多層構造の低応力振動膜の応力分布を制御して振動膜の変形を抑制することにより、所望の特性を得ることができ、また、振動膜、すなわち可動電極面積の縮小が可能となり、多層膜構造の振動膜を有するMEMSデバイス等に有用である。
1 シリコン基板
2 第1のシリコン酸化膜
3 第2のシリコン酸化膜
4 シリコン基板の周辺部
5 基板除去領域
6 振動膜
7 下部電極
7A 第1のポリシリコン膜
8 圧縮応力を持つ絶縁膜
8a 圧縮応力を持つ絶縁膜(シリコン酸化膜)
8b 圧縮応力を持つ絶縁膜(シリコン酸化膜)
8c 圧縮応力を持つ絶縁膜
9 引張応力を持つ絶縁膜
9a 引張応力を持つ絶縁膜(シリコン窒化膜)
10 引張応力を持つ絶縁膜
10a 引張応力を持つ絶縁膜(シリコン窒化膜)
11 エアギャップ層
12 拘束部
13 固定膜
14 上部電極
14A 第2のポリシリコン膜
15 絶縁膜(シリコン窒化膜)
16 絶縁膜(シリコン窒化膜)
17 エアギャップ層
18 支持部
18A 第2の犠牲層
19 アコースティックホール
20 下部電極のパッド部
21 上部電極のパッド部
22 第1の開口部
23 第2の開口部
24 隣接拘束部間の距離
25 拘束部の直径
26 拘束部及びその近傍の絶縁膜除去領域
27 第1の犠牲層
29 第1の保護膜
30 第2の保護膜

Claims (13)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の上に拘束部を介して設けられ、第1の電極を有する振動膜と、
    前記半導体基板の上に支持部を介して前記振動膜を覆うように設けられ、第2の電極を有する固定膜とを備え、
    前記振動膜と前記固定膜とは、互いに対向した領域に形成される間隙よりなるエアギャップ層を有しており、
    前記拘束部は、前記半導体基板と前記振動膜との間を部分的に連結し、
    前記振動膜は、前記第1の電極と圧縮応力を持つ第1の絶縁膜とが積層されてなる多層構造を有し、
    前記第1の絶縁膜は、前記第1の電極の周囲から内側に配置されているMEMSデバイス。
  2. 請求項1において、
    前記振動膜は、引張応力を持つ第2の絶縁膜及び引張応力を持つ第3の絶縁膜を有しており、
    前記第2の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜の上に形成され、
    前記第3の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜の下に形成されているMEMSデバイス。
  3. 請求項2において、
    前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜の少なくとも一方は、前記拘束部の周辺部を除く領域に形成されているMEMSデバイス。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記第1の絶縁膜には、互いに交差する複数の溝部が形成され、
    前記第1の絶縁膜は、前記溝部によって複数の部分に分離されているMEMSデバイス。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項において、
    前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜は、シリコン窒化膜であるMEMSデバイス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記第1の絶縁膜は、シリコン酸化膜であるMEMSデバイス。
  7. 半導体基板と、
    前記半導体基板の上に拘束部を介して設けられ、第1の電極を有する振動膜と、
    前記半導体基板の上に支持部を介して前記振動膜を覆うように設けられ、第2の電極を有する固定膜とを備え、
    前記振動膜と前記固定膜とは、互いに対向した領域に形成される間隙よりなるエアギャップ層を有しており、
    前記拘束部は、前記半導体基板と前記振動膜との間を部分的に連結し、
    前記振動膜は、前記第1の電極、圧縮応力を持つ第1の絶縁膜及び圧縮応力を持つ第2の絶縁膜が積層されてなる多層構造を有し、
    前記第1の絶縁膜は、前記第1の電極の上に形成され、
    前記第2の絶縁膜は、前記第1の電極の下に形成されているMEMSデバイス。
  8. 請求項7において、
    前記振動膜は、引張応力を持つ第3の絶縁膜及び引張応力を持つ第4の絶縁膜を有しており、
    前記第3の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜の上に形成され、
    前記第4の絶縁膜は、前記第2の絶縁膜の下に形成されている記載のMEMSデバイス。
  9. 請求項8において、
    前記第3の絶縁膜及び前記第4の絶縁膜の少なくとも一方は、前記拘束部の周辺部を除く領域に形成されているMEMSデバイス。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項において、
    前記第1の絶縁膜には、互いに交差する複数の溝部が形成され、
    前記第1の絶縁膜は、前記溝部によって複数の部分に分離されているMEMSデバイス。
  11. 請求項7〜9のいずれか1項において、
    前記第2の絶縁膜には、互いに交差する複数の溝部が形成され、
    前記第2の絶縁膜は、前記溝部によって複数の部分に分離されているMEMSデバイス。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項において、
    前記第3の絶縁膜及び前記第4の絶縁膜は、シリコン窒化膜であるMEMSデバイス。
  13. 請求項7〜12のいずれか1項において、
    前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜は、シリコン酸化膜であるMEMSデバイス。
JP2010545641A 2009-01-09 2009-12-25 Memsデバイス Withdrawn JPWO2010079574A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009003455 2009-01-09
JP2009003455 2009-01-09
PCT/JP2009/007272 WO2010079574A1 (ja) 2009-01-09 2009-12-25 Memsデバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2010079574A1 true JPWO2010079574A1 (ja) 2012-06-21

Family

ID=42316352

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010545641A Withdrawn JPWO2010079574A1 (ja) 2009-01-09 2009-12-25 Memsデバイス

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20110215672A1 (ja)
JP (1) JPWO2010079574A1 (ja)
CN (1) CN102066239A (ja)
WO (1) WO2010079574A1 (ja)

Families Citing this family (34)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8486487B2 (en) * 2005-02-17 2013-07-16 Konica Minolta Holdings, Inc. Gas barrier film, gas barrier film manufacturing method, resin substrate for organic electroluminescent device using the aforesaid gas barrier film, and organic electroluminescent device using the aforementioned gas barrier film
US8368153B2 (en) * 2010-04-08 2013-02-05 United Microelectronics Corp. Wafer level package of MEMS microphone and manufacturing method thereof
JP2012173314A (ja) * 2011-02-17 2012-09-10 Seiko Epson Corp 波長可変干渉フィルター、光モジュール、および電子機器
JP5790116B2 (ja) * 2011-04-20 2015-10-07 セイコーエプソン株式会社 波長可変干渉フィルター、光モジュール、及び電子機器
US8975107B2 (en) * 2011-06-16 2015-03-10 Infineon Techologies Ag Method of manufacturing a semiconductor device comprising a membrane over a substrate by forming a plurality of features using local oxidation regions
KR101781553B1 (ko) 2011-08-22 2017-09-26 삼성전자주식회사 용량성 트랜스듀서와 그 제조 및 동작방법
DE102012205921A1 (de) * 2012-04-12 2013-10-17 Robert Bosch Gmbh Membrananordnung für einen mikro-elektromechanischen Messumformer und Verfahren zum Herstellen einer Membrananordnung
CN103780121B (zh) * 2013-01-08 2015-12-02 北京纳米能源与系统研究所 一种基于摩擦电纳米发电机的超声和声波探测仪
CN103368448B (zh) * 2013-01-16 2015-07-08 北京纳米能源与系统研究所 一种自驱动声波换能器
US20140225115A1 (en) * 2013-02-11 2014-08-14 Macronix International Co., Ltd. Tensile polycrystalline silicon film having stable resistivity and method of fabricating thereof
US9102519B2 (en) * 2013-03-14 2015-08-11 Infineon Technologies Ag Semiconductor devices and methods of forming thereof
CN105324329A (zh) * 2013-05-02 2016-02-10 罗伯特·博世有限公司 单片cmos-mems麦克风及制造方法
CN103281661B (zh) * 2013-05-09 2019-02-05 上海集成电路研发中心有限公司 一种mems麦克风结构及其制造方法
CN103347241B (zh) * 2013-07-03 2018-08-28 上海集成电路研发中心有限公司 电容式硅麦克风芯片及其制备方法
US9448126B2 (en) 2014-03-06 2016-09-20 Infineon Technologies Ag Single diaphragm transducer structure
JP6264969B2 (ja) * 2014-03-14 2018-01-24 オムロン株式会社 音響トランスデューサ
CN105333943A (zh) * 2014-08-14 2016-02-17 北京纳米能源与系统研究所 声音传感器及使用声音传感器的声音探测方法
US9580304B2 (en) * 2015-05-07 2017-02-28 Texas Instruments Incorporated Low-stress low-hydrogen LPCVD silicon nitride
US10737931B2 (en) * 2015-07-31 2020-08-11 Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd. Semiconductor structure and manufacturing method thereof
KR101776725B1 (ko) * 2015-12-11 2017-09-08 현대자동차 주식회사 멤스 마이크로폰 및 그 제조방법
CN107465983B (zh) * 2016-06-03 2021-06-04 无锡华润上华科技有限公司 Mems麦克风及其制备方法
KR101700571B1 (ko) * 2016-06-24 2017-02-01 (주)이미지스테크놀로지 멤스 마이크로폰
KR101893056B1 (ko) * 2016-11-15 2018-10-04 소스트 주식회사 멤스 마이크로폰 칩 구조체 및 마이크로폰 패키지
CN108529552A (zh) * 2017-03-03 2018-09-14 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 一种mems器件及其制备方法、电子装置
KR102322257B1 (ko) * 2017-05-11 2021-11-04 현대자동차 주식회사 마이크로폰 및 그 제조 방법
DE102017216835B9 (de) * 2017-09-22 2022-06-30 Infineon Technologies Ag MEMS-Bauelement und Herstellungsverfahren für ein MEMS-Bauelement
JP2020049628A (ja) * 2018-09-28 2020-04-02 新日本無線株式会社 Mems素子およびその製造方法
CN110316692B (zh) * 2019-05-23 2022-05-31 王传蔚 互补式金氧半微机电麦克风及其制作方法
US10962427B2 (en) * 2019-01-10 2021-03-30 Nextinput, Inc. Slotted MEMS force sensor
CN110351618A (zh) * 2019-06-28 2019-10-18 歌尔股份有限公司 一种微型过滤器及声学设备
CN110351619A (zh) * 2019-06-28 2019-10-18 歌尔股份有限公司 一种微型过滤器及声学设备
CN111711901B (zh) * 2020-08-19 2020-12-22 共达电声股份有限公司 Mems传感器芯片
CN112435933B (zh) * 2020-12-03 2022-08-19 宝纳生(深圳)科技有限公司 一种cob封装结构及其制造方法
US20220259037A1 (en) * 2021-02-12 2022-08-18 Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd. Arched Membrane Structure for MEMS Device

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DK79198A (da) * 1998-06-11 1999-12-12 Microtronic As Fremgangsmåde til fremstilling af en transducer med en membran med en forudbestemt opspændingskraft
JP3675312B2 (ja) * 2000-07-10 2005-07-27 松下電器産業株式会社 薄膜構造体、及びその応力調整方法
JP4137158B2 (ja) * 2004-03-05 2008-08-20 松下電器産業株式会社 エレクトレットコンデンサーマイクロフォン
US20070121972A1 (en) * 2005-09-26 2007-05-31 Yamaha Corporation Capacitor microphone and diaphragm therefor
JP2007116650A (ja) * 2005-09-26 2007-05-10 Yamaha Corp ダイヤフラム及びダイヤフラムの製造方法並びにコンデンサマイクロホン
JP2007274096A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Yamaha Corp ダイヤフラム及びその製造方法
JP4929753B2 (ja) * 2006-02-22 2012-05-09 オムロン株式会社 薄膜構造体の形成方法並びに薄膜構造体、振動センサ、圧力センサ及び加速度センサ
JP2008005441A (ja) * 2006-06-26 2008-01-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd 音響感応装置
JP2008167277A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Matsushita Electric Ind Co Ltd 音響トランスデューサ

Also Published As

Publication number Publication date
WO2010079574A1 (ja) 2010-07-15
US20110215672A1 (en) 2011-09-08
CN102066239A (zh) 2011-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2010079574A1 (ja) Memsデバイス
US9266716B2 (en) MEMS acoustic transducer with silicon nitride backplate and silicon sacrificial layer
JP4264103B2 (ja) エレクトレットコンデンサーマイクロホン
US8509462B2 (en) Piezoelectric micro speaker including annular ring-shaped vibrating membranes and method of manufacturing the piezoelectric micro speaker
US10158949B2 (en) MEMS microphone and method of manufacturing the same
JP5083369B2 (ja) 音響センサ及びその製造方法
TW200826717A (en) Electrostatic pressure transducer and manufacturing method therefor
EP2969911A1 (en) Mems acoustic transducer with silicon nitride backplate and silicon sacrificial layer
US20180139544A1 (en) Mems microphone
US10343898B1 (en) MEMS microphone with tunable sensitivity
US9674618B2 (en) Acoustic sensor and manufacturing method of the same
JP6819002B2 (ja) 圧電素子
US10623852B2 (en) MEMS devices and processes
JP6606439B2 (ja) Mems素子
US11470426B2 (en) MEMS devices
JP6307171B2 (ja) Memsマイクロホン
JP6787553B2 (ja) 圧電素子
JP5775281B2 (ja) Memsセンサおよびその製造方法
CN112399311B (zh) 用于双背板换能器的膜支撑件
KR100941893B1 (ko) 커패시터형 실리콘 멤스 마이크로폰
JP2018058150A (ja) Mems素子及びその製造方法
JP6860514B2 (ja) Mems素子及びその製造方法
JP2008167277A (ja) 音響トランスデューサ
JP6874943B2 (ja) Mems素子
JP2011044792A (ja) マイクロフォン

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20130305