JPWO2010073557A1 - 摩擦車式無段変速装置 - Google Patents

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Abstract

2個のトルクカムを用いるものでありながら、過不足のない適正な軸力特性に設定し得る押圧装置(12)を提供する。第1トルクカム(15)と第2トルクカム(20)をトルクの伝達経路に対して並列に配置する。第1トルクカム(15)は伝達トルクが所定値(b)より小さい領域(第1段階、第2段階)において該伝達トルクが経由され、該伝達トルクに応じた軸力を発生する。第2トルクカム(20)は、上記所定値(b)より大きな領域(第3段階)で伝達トルクが経由され、該伝達トルクに対した軸力を発生する。

Description

本発明は、入力側摩擦車と出力側摩擦車との間にオイルを介在して摩擦部材を接触し、該接触位置を変更することにより入力軸と出力軸との間の回転を無段に変速する摩擦車式無段変速装置に係り、好ましくは平行に配置された2つの軸のそれぞれに円錐形摩擦車(コーン)を配置し、軸方向移動可能に配置したリングを介して該2つの軸の間で回転を伝達する円錐摩擦リング式無段変速装置に係り、詳しくは、コーン等の摩擦車に軸方向の軸力を付与して、リング等の摩擦部材との間にトラクション力を得る押圧装置を備えた摩擦車式無段変速装置に関する。
従来、それぞれ円錐形からなる2個の摩擦車(プライマリコーン、セカンダリコーン)の間に、プライマリコーンを取り囲む形で鋼製のリングを介在し、プライマリコーンからリングを介してセカンダリコーンに動力伝達し、かつ上記リングを軸方向に移動することにより該リングが上記2個のコーンの接触位置を変更して、無段変速する円錐摩擦リング式(コーンリング式)無段変速装置が知られている。
上記円錐摩擦リング式無段変速装置の押圧装置として、下記特許文献1に記載のものが提案されている。該押圧装置(特許文献1にはプレスオン装置と表記)は、セカンダリコーンとセカンダリシャフトとの間に配置されるトルクカムを基本構成として、セカンダリコーンとセカンダリシャフトの相対回転方向のトルクに応じた軸力をセカンダリコーンに付与して、軸方向に移動不能に支持されているプライマリコーン及び上記軸力を付与されたセカンダリコーンとリングとの間にトラクション力を保持して、上記無段変速を行う。
1個のトルクカムによる上記押圧装置は、上記無段変速装置の全負荷及び部分負荷における全変速域に亘って適正な軸力を付与することは困難であり、特許文献1による押圧装置は、上記トルクカムによる第1プレスオン装置部に加えて第2プレスオン装置を配置し、第1プレスオン装置による第1の軸力に加えて又は減じて第2プレスオン装置による第2の軸力を適宜作用し、より適正化した軸力特性を備えようとするものである。第2プレスオン装置として各種の実施の形態が記載されており、例えば液圧によるものがあり、トルクカムによる一直線の第1の軸力では、出力トルクが大となる部分において軸力が大き過ぎ、無段変速装置に必要以上の負荷が作用することによるエネルギロス及び装置寿命の低下を防止すべく、上記第1の軸力を相殺するように第2の軸力を作用して、中間で折れ曲がる2段の軸力特性を得ている。
上記第2プレスオン装置として、トルクカムを用いる実施の形態も提案されており(特許文献1の図14〜図16並びに段落[0078]〜[0089]参照)、第1及び第2プレスオン装置の各トルクカムが軸力方向に直列に、かつ互に相殺する方向に軸力を発生するように配置されている。そして、該実施の形態では、第1段階(たとえば低出力トルク側)では第1及び第2プレスオン装置のトルクカムが直列にかつスプリングを介してセカンダリコーンに作用し、セカンダリコーンが所定ストロークした第2段階では、第1プレスオン装置のトルクカムの可動側部材がセカンダリコーンの肩部に当接して直接作用する。
特表2006−513375号公報
上記特許文献1の押圧装置(プレスオン装置)は、2個のトルクカムが直列的にかつ相殺する方向に作用するため、トルクカムによる軸力の設定が複雑となり、適正な軸力特性を得るのが困難である。また、直列的に配置される2個のトルクカムは、その両外側の端面カム板(プレスオンプレート114,115)を軸方向に移動可能にスプライン連結すると共に、両トルクカムの間に位置し両側端にカムが形成されている中間カム板(プレスオンプレート116)はセカンダリコーンと軸方向に移動可能にスプライン結合しており、上記端面カム板及び中間カム板との間に大きな相対回転を生じ、一方の端面カム板(プレスオンプレート115)とセカンダリコーンとの間に相対回転を許容するスラストベアリングを必要とする。このため、部品点数が増大し、構造が複雑であって、コストアップ及び装置の大型化の原因となる。
そこで、本発明は、2個のトルクカムを用いるものでありながら、両トルクカムを並列に配置して、上述した課題を解決した押圧装置を有する摩擦車式無段変速装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、入力軸(4)に駆動連結される入力側摩擦車(2)と、出力軸(11)に駆動連結される出力側摩擦車(10)と、前記入力側摩擦車(2)及び出力側摩擦車(10)に圧接してこれら両摩擦車との間で動力伝達する摩擦部材(3)と、を備え、前記摩擦部材(3)を、前記入力側摩擦車(2)及び出力側摩擦車(10)との接触位置を変更することにより前記入力軸(4)及び出力軸(11)との間の回転を無段に変速する摩擦車式無段変速装置(1)において、
前記入力軸(4)と前記入力側摩擦車(2)、又は前記出力側摩擦車(10)と前記出力軸(11)の間に配置され、前記入力側摩擦車(2)及び前記出力側摩擦車(10)と前記摩擦部材(3)とを圧接する軸力を付与する押圧装置(12,112,212)を備え、
前記押圧装置(12…)は、トルクの伝達経路に対して並列に配置された第1トルクカム(15,115,215)と第2トルクカム(20,120,220)を有し、
前記第1トルクカム(15…)は、伝達トルクが所定値(b)より小さな領域(第1段階、第2段階)において該伝達トルクが経由され、該伝達トルクに応じた軸力を発生し、
前記第2トルクカム(20…)は、伝達トルクが前記所定値(b)より大きな領域(第3段階)において該伝達トルクが経由され、該伝達トルクに応じた軸力を発生してなる、
ことを特徴とする摩擦車式無段変速装置にある。
前記押圧装置(12,112,212)は、前記出力側摩擦車(10)と前記出力軸(11)との間に配置されてなる。
例えば図6を参照して、前記押圧装置(12)は、前記第1トルクカム(15)の軸力方向に直列にスプリング(13)を配置し、
前記第1トルクカム(15)は、前記スプリング(13)による予圧(F1;第1段階)による軸力を越えた状態で、該第1トルクカムを経由する伝達トルクに応じた軸力を発生し(第2段階)、
前記第2トルクカム(20)は、所定遊び(l)を有し、該所定遊び内にあっては、前記第1トルクカム(15)に基づき軸力を発生し、該所定遊び(l)が無くなると、前記第2トルクカム(20)を経由してトルクが伝達され、該伝達トルクの増加に対応して軸力を発生してなる(第3段階)。
例えば図6を参照して、前記第2トルクカム(20)のカム角度(δ)が、前記第1トルクカム(12)のカム角度(γ)より大きく設定されてなる。
例えば図11を参照して、前記スプリング(13)の軸方向長さを調整する調整手段(150)が配置され、該調整手段(150)により前記第2トルクカム(20)が軸力を発生する前記所定値(b)を調整してなる。
例えば図2ないし図5を参照して、前記押圧装置(12,112,212)は、
前記出力軸(11)に対して固定されたフランジ部(19,119,219)と、
前記出力側摩擦車(10,110,210)と前記出力軸(11)との間で前記出力側摩擦車又は前記出力軸に対して相対回転不能かつ軸方向(X1−X2方向)移動可能に配置された受圧部材(14,114,214)及びスプリング(13)を有するスプリングユニット(40,140,240)と、を備え、
前記第1トルクカム(15,115,215)は、前記スプリングユニットの受圧部材(14,114,214)と、該スプリングユニット(40,140,240)に対して相対回転する前記フランジ部(19,119,219)又は前記出力側摩擦車(10,110,210)と、の間で対向した第1対向部(16,116,216)に配置された複数の第1ボール(18,118,218)を有し、前記スプリング(13)の予圧(F1)による軸力を越えての軸力に基づき前記受圧部材を軸方向に移動しつつ前記出力側摩擦車に軸力を付与し、
前記第2トルクカム(20,120,220)は、前記出力側摩擦車(10,110,210)と前記フランジ部(19,119,219)との間で対向した第2対向部(21,121,221)に配置された複数の第2ボール(23,123,223)及び該第2ボールを前記第2対向部で遊動する所定遊び(l)を有し、前記第2対向部での前記所定遊び(l)が無くなると、伝達トルクが該第2トルクカムを経由して伝達され、該伝達トルクに応じた軸力を前記出力側摩擦車に付与してなる。
例えば図2及び図4を参照して、前記押圧装置(12,112)は、前記スプリングユニット(40,140)が前記出力側摩擦車(10,110)に対して相対回転不能かつ軸方向(X1−X2方向)移動可能に配置され、
前記第1トルクカム(15,115)は、前記受圧部材(14,114)と前記フランジ部(19,119)とが対向した前記第1対向部(16,116)にそれぞれ形成された複数の第1端面対(17,117)と、該複数の第1端面対の間にそれぞれ配置された前記複数の第1ボール(18,118)とからなり、
前記第2トルクカム(20,120)は、前記出力側摩擦車(10,110)と前記フランジ部(19,119)とが対向した前記第2対向部(21,121)にそれぞれ形成された複数の第2端面対(22,122)と、該複数の第2端面対の間にそれぞれ配置された前記複数の第2ボール(23,123)とからなる。
例えば図5を参照して、前記押圧装置(212)は、前記スプリングユニット(240)が前記出力軸(11)に対して相対回転不能かつ軸方向(X1−X2方向)移動可能に配置され、
前記第1トルクカム(215)は、前記受圧部材(214)と前記出力側摩擦車(210)とが対向した前記第1対向部(216)にそれぞれ形成された複数の第1端面対(217)と、該複数の第1端面対の間にそれぞれ配置された前記複数の第1ボール(218)とからなり、
前記第2トルクカム(220)は、前記出力側摩擦車(210)と前記フランジ部(219)とが対向した前記第2対向部(212)にそれぞれ形成された複数の第2端面対(222)と、該複数の第2端面対の間にそれぞれ配置された前記複数の第2ボール(223)とからなる。
例えば図2を参照して、前記出力側摩擦車(10)の軸方向一方側(X1方向)から、前記スプリング(13)、前記受圧部材(14)の第1端面(14a)、前記第1ボール(18)、前記フランジ部(19)の第1端面(19a)が、前記軸方向(X1−X2方向)に直列状に配置され、
前記出力側摩擦車(10)及び前記フランジ部(19)の第2端面対(22)が前記受圧部材(14)及び前記フランジ部(19)の第1端面対(17)よりも外周側に形成されてなる。
例えば図4を参照して、前記出力側摩擦車(110)の軸方向一方側(X1方向)から、前記スプリング(13)、前記受圧部材(114)の第1端面(114a)及び前記出力側摩擦車(110)の第2端面(110a)、前記第1ボール(118)及び前記第2ボール(123)、前記フランジ部(119)の前記第1端面(119a)及び前記第2端面(119b)が、前記軸方向(X1−X2方向)に直列状に配置され、
前記出力側摩擦車(110)の内周面に複数の凹凸部を形成すると共に、前記受圧部材(114)に該出力側摩擦車の複数の凹部(110c)に入り込む複数の凸部(114c)を形成し、
前記受圧部材(114)の複数の凸部(114c)及び前記フランジ部(119)に前記第1端面対(117)を形成すると共に、前記出力側摩擦車(110)の複数の凸部(110d)及び前記フランジ部(119)に前記第2端面対(122)を形成してなる。
前記入力側摩擦車及び出力側摩擦車は、平行に配置された前記入力軸(4)及び出力軸(11)にそれぞれ駆動連結され、かつ径大部と径小部とが軸方向逆になるように配置された円錐形摩擦車(2)(10)であり、
前記摩擦部材は、前記両円錐形摩擦車の対向する傾斜面に挟持されて、軸方向移動可能なリング(3)である。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、押圧装置は、2個のトルクカムを用いて、伝達トルクに対応する軸力を機械的に発生し、油圧を用いる押圧装置に比してエネルギ消費の少ないものでありながら、2個のトルクカムは、伝達経路に並列に配置され、伝達トルクが所定値より小さい領域では、専ら第1トルクカム経由でトルクが伝達されて、上記所定値より大きい領域では、第2トルクカムが伝達トルクを分担して、第1及び第2トルクカムは、それぞれ異なる伝達トルク領域で機能して軸力を発生するので、摩擦車式無段変速装置が必要とする軸力を、各変速域及び各負荷トルクに合せて適正に設定することが可能となり、摩擦車式無段変速装置による確実で信頼性の高い無段変速を可能とし、また過大な軸力を付与することがなく、動力伝達に際してのエネルギロスを減少して伝動効率を向上し、かつ摩擦車式無段変速装置の長寿命化を可能とすると共に、軸力を担持する軸受及びケース等の部品を小型化、軽量化してコンパクト性を向上することができる。
請求項2に係る本発明によると、押圧装置は、第1及び第2トルクカムが各領域においてそれぞれ出力トルクに対応した軸力を発生するので、摩擦車式無段変速装置の最高速(O/D)側から最減速(U/D)側までの各変速比に亘って、必要とする軸力を過不足なく付与することができる。
請求項3に係る本発明によると、第1トルクカムと軸力方向に直列にスプリングを配置したので、スプリングの予圧が第1トルクカムの軸力より大きい場合、該スプリングの予圧に基づく軸力が保償されて、低トルク領域(第1段階)でのトルク伝達を確保することができる。また、第2トルクカムは、所定遊びを有しており、第2トルクカムの作動の切換えが、上記所定遊びにより容易かつ確実に切換えることができ、例えば部分負荷の最高速側に合せた比較的急な勾配による第1トルクカムによる軸力発生領域(第2段階)と、全負荷における各変速比での必要軸力に合せた比較的緩やかな勾配による第2トルクによる軸力発生領域(第3段階)とを適正に設定することが可能となる。
請求項4に係る本発明によると、第1トルクカムのカム角度が、第2トルクカムのカム角度より小さいので、第1トルクカムの直列に配置されたスプリングを圧縮しつつ、第1トルクカムが相対回転して軸力を発生し、第2トルクカムの所定遊びがなくなると、相対回転に対して軸方向移動量の小さい第2トルクカムが専ら機能して軸力を発生し、伝達トルクの所定値で容易かつ確実に第1及び第2トルクカムの機能状態を切換えることができる。この際、第1トルクカムは、比較的小さいカム角度により伝達トルクに対して比較的大きな勾配での軸力を発生し、第2トルクカムは、比較的大きいカム角度により伝達トルクに対して比較的小さな勾配での軸力を発生し、摩擦車式無段変速装置の必要とする軸力に適合した軸力特性を得ることができる。
請求項5に係る本発明によると、シム等のスプリングの軸方向長さを調整する調整手段により、第2トルクカムがトルク伝達を分担する切換える位置を容易かつ確実に設定することができ、上記切換え時の出力トルク及び軸力を適正に設定して、部分負荷、全負荷及び全変速域に亘って過不足のない適正な軸力特性を容易に設定することができる。
請求項6に係る本発明によると、フランジ部が第1トルクカム及び第2トルクカムの軸力が付与される部材を兼用し、第2トルクカムが第2段階の軸力をフランジ部から直接的に出力側摩擦車に付与するので、第2トルクカムを第1トルクカムの外周側に配置することができ、軸方向に直列状に配置する部材を減らすことができて、軸方向のコンパクト化を図ることができると共に、第1トルクカム及び第2トルクカムを連結する部材を省略することができ、部品点数を削減することができる。
また、軸及びフランジ部と出力側摩擦車との相対回転を第1トルクカム及び第2トルクカムで生じる相対回転のみとすることができ、ベアリングの配置を不要とすることができて、部品点数を削減することができる。
請求項7に係る本発明によると、押圧装置は、スプリングユニットが出力側摩擦車に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に配置され、第1トルクカムは、受圧部材とフランジ部とが対向した第1対向部にそれぞれ形成された複数の第1端面対と、該複数の第1端面対の間にそれぞれ配置された複数の第1ボールとからなり、第2トルクカムは、出力側摩擦車とフランジ部とが対向した第2対向部にそれぞれ形成された複数の第2端面対と、該複数の第2端面対の間にそれぞれ配置された複数の第2ボールとからなるので、第1トルクカム及び第2トルクカム以外での相対回転が生じない構成を実現できる。
請求項8に係る本発明によると、押圧装置は、スプリングユニットが軸に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に配置され、第1トルクカムは、受圧部材と出力側摩擦車とが対向した第1対向部にそれぞれ形成された複数の第1端面対と、該複数の第1端面対の間にそれぞれ配置された複数の第1ボールとからなり、第2トルクカムは、出力側摩擦車とフランジ部とが対向した第2対向部にそれぞれ形成された複数の第2端面対と、該複数の第2端面対の間にそれぞれ配置された複数の第2ボールとからなるので、第1トルクカム及び第2トルクカム以外での相対回転が生じない構成を実現できる。
請求項9に係る本発明によると、出力側摩擦車及びフランジ部の第2端面対が受圧部材及びフランジ部の第1端面対よりも外周側に形成されるので、第2トルクカムを第1トルクカムよりも外周側に配置することができ、軸方向に直列状に配置する部材を減らすことができ、軸方向のコンパクト化を図ることができる。
請求項10に係る本発明によると、受圧部材の複数の凸部及びフランジ部に第1端面対を形成すると共に、出力側摩擦車の複数の凸部及びフランジ部に第2端面対を形成するので、第1トルクカムと第2トルクカムとを周方向交互に配置することができ、軸方向にコンパクト化できるものでありながら、さらに径方向のコンパクト化を図ることができる。
請求項11に係る本発明によると、摩擦車式無段変速装置として、円錐摩擦車及び両円錐摩擦車の対向する傾斜面に挟持されるリングからなる円錐摩擦リング(コーンリング)式無段変速装置を適用したので、前記押圧装置によりリングと円錐摩擦車との間のトラクション力を保持して、正確で確実な無段変速を素早い応答で行うことができ、自動車のトランスミッションとして最適である。
本発明に係る車輌を示す伝動系統図。 第1の実施の形態に係る円錐摩擦リング式無段変速装置に用いられる押圧装置を示す断面図で、(a)は第1トルクカムにより動力が伝達される状態を示す図、(b)は第2トルクカムにより動力が伝達される状態を示す図。 第1の実施の形態に係る押圧装置のトルクと軸力との関係を示す図。 第2の実施の形態に係る円錐摩擦リング式無段変速装置に用いられる押圧装置を示す断面図で、(a)は第1トルクカムにより動力が伝達される状態を示す図、(b)は第2トルクカムにより動力が伝達される状態を示す図。 第3の実施の形態に係る円錐摩擦リング式無段変速装置に用いられる押圧装置を示す断面図。 本発明に係る押圧装置の作動を示す模式図で、(a)は第1段階、(b)は第2段階、(c)は第3段階を示す。 本発明に係る押圧装置の作動を示す軸力特性を示す図。 本発明と比較するためにトルクカムが1つの軸力特性を示す図。 本発明と比較するためにトルクカムが2つの軸力特性を示す図。 本発明によるスプリングの特性を示す図。 本発明によるスプリングのストローク長さを調整する実施の形態を示す押圧装置の断面図。
自動車等の車輌に搭載される無段変速機Uは、図1に示すように、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータや多板湿式クラッチ等の発進装置31、前後進切換え装置32、本発明に係る円錐摩擦リング式無段変速装置1、及びディファレンシャル装置33からなり、これら各装置がケース5に組み込まれて構成される。
エンジン30によって発生した動力は、発進装置31、該発進装置31の動力伝達経路下流側に配置される前後進切換え装置32を介して円錐摩擦リング式無段変速装置1の入力軸(軸)4へ動力伝達され、円錐摩擦リング式無段変速装置1によって無段変速され、セカンダリシャフト(軸)11へ出力される。さらに、該セカンダリシャフト11に設けられたセカンダリギヤ36及びそれと噛合するマウントギヤ34によりディファレンシャル装置33へ動力伝達され、左右の駆動輪35,35に出力される。
なお、本無段変速機Uは、円錐摩擦リング式無段変速装置1を適用した一例として示すもので、これに限らず、エンジン及びモータを駆動源とするハイブリッド駆動装置等の他の装置に適用してもよい。また、上記円錐摩擦リング式無段変速装置は、摩擦車式無段変速装置の一例として代表して示すものであり、リングを両円錐摩擦車を囲むように配置したリングコーン式無段変速装置、その外、トロイダル式無段変速装置等、入力側摩擦車と出力側摩擦車との間にオイルを介在して摩擦部材を接触し、該接触位置を変更することにより入力軸と出力軸との間の回転を無段に変速する摩擦車式無段変速装置に適用可能である。また、本摩擦車式無段変速機Uは、トラクション用オイルに一部浸されており、接触部分に掻上げ等により上記トラクション用オイルが介在しており、該オイルの剪断力を介して動力伝達される。
上記円錐摩擦リング式無段変速装置1は、入力側摩擦車であるプライマリコーン(円錐形摩擦車)2と、出力側摩擦車であるセカンダリコーン(円錐形摩擦車)10と、プライマリコーン2及びセカンダリコーン10との間に介在する摩擦部材であるリング3と、スプリングユニット40、第1トルクカム15、及び第2トルクカム20からなる押圧装置12と、によって構成されている。
プライマリコーン2は、前後進切換え装置32と連結しているプライマリシャフト(入力軸)4に一体に連結されていると共にケース5に回転自在に支持されており、一定の傾斜角を有した円錐形状をしている。また、該プライマリコーン2には、鋼製のリング3がその外周を取り囲むようにしてセカンダリコーン10との間に配置されている。
セカンダリコーン10は、プライマリコーン2と同じ傾斜角を有した円錐中空形状をしており、プライマリシャフト4と平行に設けられたセカンダリシャフト11(出力軸)に、プライマリコーン2とは軸方向反対向きに嵌挿されて、ケース5にベアリング37,38により回転自在に支持されている。そして、上記セカンダリコーン10とセカンダリシャフト11との間に本第1の実施の形態に係る押圧装置12が介在されている。
上記押圧装置12は、図2(a)に示すように、セカンダリシャフト11に対して固定されたフランジ部19と、受圧部材14及びスプリング13からなるスプリングユニット40と、受圧部材14及びフランジ部19の間に配置された第1トルクカム15と、セカンダリコーン10及びフランジ部19の間に配置された第2トルクカム20とによって構成されている。
上記フランジ部19は、段付きのフランジ状に形成された部材で、上記セカンダリシャフト11とスプラインによって相対回転不能に配置されると共に、段差部によってセカンダリシャフト11に対して軸方向(X2方向)への移動が規制されている。即ち、詳しくは後述する第1及び第2トルクカム15,20によってセカンダリコーン10から離れる方向(X2方向)に力を受けるフランジ部19は、セカンダリシャフト11に対して固定されている。また、セカンダリシャフト11は、ケース5に対して円錐コロ軸受け39(図1参照)により回転自在、かつ軸方向、特にセカンダリコーン10から離れる方向(X2方向)のスラスト力を担持して一体に支持されている。さらに、セカンダリシャフト11は、段差部とスナップリング25によってセカンダリコーン10に対して軸方向移動が規制された支持部材24を嵌挿している。
上記スプリングユニット40の受圧部材14は、セカンダリコーン10の先端側(X1方向側)の内周面において、セカンダリコーン10に対してスプラインによって相対回転不能かつ軸方向移動可能に配置されている。また、上記スプリングユニット40のスプリング13は、軸方向(X1−X2方向)に複数枚並べて配置された皿ばねからなり、セカンダリコーン10と上記受圧部材14との間に縮設されている。つまり、セカンダリコーン10、受圧部材14、及びスプリング13は、一体的に回転するように構成されており、これらの部材間におけるベアリングの配置を不要としている。なお、スプリング13は、皿ばねが望ましい。例えばコイルスプリングであってもよく、つまりセカンダリコーン10に予圧を付与し得るスプリングであればどのようなスプリングであっても本発明を適用することができる。
上記第1トルクカム15は、上記受圧部材14とフランジ部19とが対向した第1対向部16にそれぞれ形成された複数の第1端面カム対(第1端面対)17と、該複数の第1端面カム対17の間にそれぞれ配置された複数の第1ボール18と、で構成されている。該第1端面カム対17は、受圧部材14のX2方向側端面に複数形成された波状の端面カム(第1端面)14aと、フランジ部19のX1方向側端面のうち受圧部材14に対向した部分に複数形成された波状の端面カム(第1端面)19aとによって構成されている。つまり、セカンダリコーン10の内周先端側(X1方向側)から、スプリング13、受圧部材14の端面カム14a、第1ボール18、及びフランジ部19の端面カム19aは、軸方向に直列状に配置されている。
そして、上記複数の第1端面カム対17の間に介在・配置される複数の第1ボール18を有する第1トルクカム15は、受圧部材14とフランジ部19との相対回転により一方の部材に対して他方の部材が軸方向に沿って互いが離反する方向に移動するように構成されている。即ち、上述のようにフランジ部19のX2方向への移動は規制されており、受圧部材14がX1方向側に移動し、スプリング13を圧縮するように構成されている。
上記第2トルクカム20は、上記セカンダリコーン10とフランジ部19とが対向した第2対向部21にそれぞれ形成された複数の第2端面カム対(第2端面対)22と、該複数の第2端面カム対22の間にそれぞれ配置された複数の第2ボール23と、で構成されている。上記第2端面カム対22は、周方向に延びる長溝形状からなり、該カム対22の所定回転量では第2ボール23がカム対の底面を遊転する所定遊びlを形成している(図6参照)。該第2端面カム対22は、セカンダリコーン10のフランジ部19に対向する端面に複数形成された波状の端面カム10aと、フランジ部19のX1方向側端面のうち、上記端面カム19aよりも外周側に形成され、セカンダリコーン10に対向した部分に複数形成された波状の端面カム19bと、によって構成されている。つまり、第2トルクカム20は、上記第1トルクカム15よりも外周側に配置されている。
そして、上記複数の第2端面カム対22の間に介在・配置される複数の第2ボール23を有する第2トルクカム20は、セカンダリコーン10とフランジ部19との上記所定遊びを越えた相対回転により一方の部材に対して他方の部材が軸方向に沿って互いが離反する方向に移動するように構成されている。即ち、上述のようにフランジ部19のX2方向への移動は規制されており、セカンダリコーン10がX1方向側に押圧されるように構成されている。
図6に示すように、第1トルクカム15は、セカンダリコーン10からセカンダリシャフト11(と一体のフランジ部19)に作用する出力トルクに応じて直ちに軸力を発生するが、第2トルクカム20は、セカンダリコーン10とセカンダリシャフト11との間に所定相対回転(遊び)をした後、出力トルクに応じた軸力を発生する。また、第2トルクカム20のカム角度が第1トルクカム15のカム角度より大きく設定されている。
また、上記フランジ部19は、断面凸状となる段付きに形成され、該凸部がセカンダリコーン10の径方向寸法が小さくなる方向(X1方向)に向けて配置されているため、該セカンダリコーン10の円錐形状に合わせることができ、軸方向コンパクト化を図ることができる。
以上のように構成された押圧装置12は、まず、スプリング13が軸方向に固定されているセカンダリシャフト11に対してセカンダリコーン10をX1方向側に常時(つまり、円錐摩擦リング式無段変速装置1による動力伝達が行われない非作動時でも)付勢することで、リング3をプライマリコーン2及びセカンダリコーン10に押付ける(圧接させる)軸力の予圧として作用する(第1段階;図3参照)。
次に、押圧装置12は、セカンダリコーン10からセカンダリシャフト11にトルクが伝達される作動時となる際に、セカンダリシャフト11に作用する負荷トルクに対応して(順じて)第1トルクカム15が相対回転する。該第1トルクカム15の相対回転に基づき、軸方向に固定されているセカンダリシャフト11(フランジ部19)に対してセカンダリコーン10(受圧部材14)は、該負荷トルクに対して軸力の増加率の大きいX1方向の軸力が付与される(第2段階;図3参照)。
このとき、プライマリコーン2から伝達されたトルクは、図2(a)中の符号Lで示す太線のように、セカンダリコーン10、受圧部材14、第1トルクカム15、及びフランジ部19を介してセカンダリシャフト11に伝達される。そして、第1トルクカム15は、上記セカンダリコーン10とセカンダリシャフト11との間に作用する出力(負荷)トルクに対応した軸力を発生し、該軸力はスプリング13を介してセカンダリコーン10に作用する。第1トルクカム15の作用を受けた受圧部材14は、図2(b)に示すように、X1方向側にXだけ移動し、スプリング13は、上記第1段階の軸方向長さAから、A−Xに縮められる。
ついで、押圧装置12は、上記第2段階の場合よりも強いトルクが伝達されて、第2トルクカム20の遊びを越えてセカンダリコーン10とセカンダリシャフト11(フランジ部19)とが相対回転すると、セカンダリシャフト11に作用する負荷トルクに対応して第2トルクカム20のカム部分が作動する。該第2トルクカム20の相対回転に基づき、軸方向に固定されているセカンダリシャフト11(フランジ部19)に対してセカンダリコーン10は、第2段階の軸力よりも増加率の小さいX1方向の軸力が付与される(第3段階;図3参照)。このとき、プライマリコーン2から伝達されたトルクは図2(a)中の符号Lで示す太線に加え、図2(b)中の符号Mで示す太線のように、セカンダリコーン10、第2トルクカム20、及びフランジ部19を介してセカンダリシャフト11に伝達される。従って、軸方向X2に対して固定状態にあるセカンダリシャフト11(フランジ部19)に対して、第2トルクカム20は、上記出力トルクに対応したX1方向の軸力をセカンダリコーン10に作用し、該セカンダリコーン10には、直列状の第1トルクカム15及びスプリング13に基づく第2段階の最大軸力(一定)に加えて、上記第2トルクカム20による軸力が作用する。
このように、上記スプリング13、第1トルクカム15、及び第2トルクカム20によりセカンダリコーン10に作用するX1方向の軸力は、軸方向へ移動が規制されているプライマリコーン2に対して、リング3を両コーン2,10に押付ける狭圧力として作用し、トラクションオイルの中でリング3と両コーン2,10との間でトルク伝達に必要とする摩擦力を付与し、両コーン2,10の間で動力伝達がなされる。また、押圧装置12によって付与される軸力は、図3に示すように、第1段階、第2段階、及び第3段階の3段階となっており、伝動効率の向上を図ることができる。
なお、上記説明は、セカンダリコーン10からセカンダリシャフト11へトルク伝達する正トルクについて述べたが、エンジンブレーキ等で、セカンダリシャフト11からセカンダリコーン10へトルク伝達する逆トルク(逆駆動)にあっても、第1及び第2端面カム対17,22の端面カムの形状が波状からなるため、同様にX1方向の軸力が発生する。
以上のように、第1の実施の形態に係る円錐摩擦リング式無段変速装置1によると、フランジ部19が第1トルクカム15及び第2トルクカム20の軸力が付与される部材を兼用し、第2トルクカム20が第3段階の軸力をフランジ部19から直接的にセカンダリコーン10に付与するので、第2トルクカム20を第1トルクカム15の外周側に配置することができ、軸方向に直列状に配置する部材を減らすことができて、軸方向のコンパクト化を図ることができると共に、第1トルクカム15及び第2トルクカム20を連結する部材を省略することができ、部品点数を削減することができる。
また、セカンダリシャフト11及びフランジ部19とセカンダリコーン10との相対回転を第1トルクカム15及び第2トルクカム20で生じる相対回転のみとすることができ、ベアリングの配置を不要とすることができて、部品点数を削減することができる。
また、セカンダリコーン10及びフランジ部19の第2端面カム対22が受圧部材14及びフランジ部19の第1端面カム対17よりも外周側に形成されるので、第2トルクカム20を第1トルクカム15よりも外周側に配置することができ、軸方向に直列状に配置する部材を減らすことができ、軸方向のコンパクト化を図ることができる。
次に、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について、図4に沿って説明する。なお、本第2の実施の形態においては、一部の変更部分を除き、上記第1の実施の形態と同様の部分に同符号を付して、その説明を省略する。
本第2の実施の形態に係る円錐摩擦リング式無段変速装置1は、図4に示すように、上述の円錐摩擦リング式無段変速装置1に対して、押圧装置112を備えて構成したものである。
上記押圧装置112は、図4(a)に示すように、セカンダリシャフト11に対して固定されたフランジ部119と、セカンダリコーン110に対してスプラインによって相対回転不能かつ軸方向移動可能に配置された受圧部材114及びスプリング13からなるスプリングユニット140と、受圧部材114及びフランジ部119の間に配置された第1トルクカム115と、セカンダリコーン110及びフランジ部119の間に配置された第2トルクカム120とによって構成されている。
上記第1トルクカム115は、上記受圧部材114とフランジ部119とが対向した第1対向部116にそれぞれ形成された複数の第1端面カム対(第1端面対)117と、該複数の第1端面カム対117の間にそれぞれ配置された複数の第1ボール118と、で構成されている。該第1端面カム対117は、セカンダリコーン110の内周面に形成された複数の凹凸部110c,110dの凹部110cに入り込むように、かつ放射状に形成された複数の凸部114cを有する受圧部材114のX2方向側端面に複数形成された波状の端面カム(第1端面)114aと、フランジ部119のX1方向側端面のうち受圧部材114の複数の凸部114cに対向した部分に複数形成された波状の端面カム(第1端面)119aとによって構成されている。つまり、セカンダリコーン110の内周先端側(X1方向側)から、スプリング13、受圧部材114の端面カム114a、第1ボール118、及びフランジ部119の端面カム119aは、軸方向に直列状に配置されている。
そして、上記複数の第1端面カム対117の間に介在・配置される複数の第1ボール118を有する第1トルクカム115は、受圧部材114とフランジ部119との相対回転により一方の部材に対して他方の部材が軸方向に沿って互いが離反する方向に移動するように構成されている。即ち、上述のようにフランジ部119のX2方向への移動は規制されており、受圧部材114がX1方向側に移動し、スプリング13を圧縮するように構成されている。
上記第2トルクカム120は、上記セカンダリコーン110とフランジ部119とが対向した第2対向部121にそれぞれ形成された複数の第2端面カム対(第2端面対)122と、該複数の第2端面カム対122の間にそれぞれ配置された複数の第2ボール123と、で構成されている。該第2端面カム対122は、セカンダリコーン110の内周面に形成され、上記放射状に複数形成された受圧部材114の凸部114cが凹部110cに係合するように形成された複数の凹凸部110c,110dのうち、フランジ部119に対向する内径方向に突出する凸部110dの端面に複数形成された波状の端面カム110aと、フランジ部119のX1方向側端面のうち、セカンダリコーン110の端面カム110aに対向した部分に複数形成された波状の端面カム(第2端面)119bとによって構成されている。つまり、第2トルクカム120の複数の第2端面カム対122と、第1トルクカム115の複数の第1端面カム対117とは、周方向交互に配置されており、第1の実施の形態に係る押圧装置12よりも径方向寸法を小さく構成することができる。
そして、上記複数の第2端面カム対122の間に介在・配置される複数の第2ボール123を有する第2トルクカム120は、セカンダリコーン110とフランジ部119との相対回転により一方の部材に対して他方の部材が軸方向に沿って互いが離反する方向に移動するように構成されている。即ち、上述のようにフランジ部119のX2方向への移動は規制されており、セカンダリコーン110がX1方向側に押圧されるように構成されている。
以上のように構成された押圧装置112は、図3に示すように、上記第1の実施の形態に係る押圧装置12の作用と同様に第1段階、第2段階、及び第3段階の3段階の軸力を付与するように作用し、第2段階でのトルクの伝達経路は図4(a)中の符号Nで示す太線のようになり、第3段階でのトルクの伝達経路は図4(b)中の符号Oで示す太線のようになる。
以上のように、第2の実施の形態に係る円錐摩擦リング式無段変速装置1によると、受圧部材114の複数の凸部(外径方向に突出する)及びフランジ部119に第1端面カム対117を形成すると共に、セカンダリコーン110の複数の凸部(内径方向に突出する)及びフランジ部119に第2端面カム対122を形成するので、第1トルクカム115と第2トルクカム120とを周方向交互に配置することができ、軸方向にコンパクト化できるものでありながら、さらに径方向のコンパクト化を図ることができる。
上述した部分以外の構成、作用、及び効果は、上記第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
次に、上記第1の実施の形態を一部変更した第3の実施の形態について、図5に沿って説明する。なお、本第3の実施の形態においては、一部の変更部分を除き、上記第1の実施の形態と同様の部分に同符号を付して、その説明を省略する。
本第3の実施の形態に係る円錐摩擦リング式無段変速装置1は、図5に示すように、上述の円錐摩擦リング式無段変速装置1に対して、押圧装置212を備えて構成したものである。
上記押圧装置212は、図5に示すように、セカンダリシャフト11に対して固定されたフランジ部219と、セカンダリシャフト11に対してスプラインによって相対回転不能かつ軸方向移動可能に配置された受圧部材214及びスプリング13からなるスプリングユニット240と、セカンダリコーン210及び受圧部材214の間に配置された第1トルクカム215と、セカンダリコーン210及びフランジ部219の間に配置された第2トルクカム220とによって構成されている。つまり、セカンダリシャフト11、受圧部材214、及びスプリング13は、一体的に回転するように構成されており、これらの部材間におけるベアリングの配置を不要としている。
上記第1トルクカム215は、上記セカンダリコーン210と受圧部材214とが対向した第1対向部216にそれぞれ形成された複数の第1端面カム対(第1端面対)217と、該複数の第1端面カム対217の間にそれぞれ配置された複数の第1ボール218と、で構成されている。該第1端面カム対217は、セカンダリコーン210の内周側に形成され、X2方向に向いた端面に複数形成された波状の端面カム(第1端面)210aと、受圧部材214のX1方向側端面に複数形成された波状の端面カム(第1端面)214aとによって構成されている。つまり、セカンダリコーン210の内周先端側(X1方向側)から、セカンダリコーン210の端面カム210a、第1ボール218、受圧部材214の端面カム214a、及びスプリング13は、軸方向に直列状に配置されている。
そして、上記複数の第1端面カム対217の間に介在・配置される複数の第1ボール218を有する第1トルクカム215は、セカンダリコーン210と受圧部材214との相対回転により一方の部材に対して他方の部材が軸方向に沿って互いが離反する方向に移動するように構成されている。即ち、上述と同様にフランジ部219のX2方向への移動は規制されており、受圧部材214にX2方向側への力が作用し、スプリング13を圧縮するように構成されている。
上記第2トルクカム220は、上記セカンダリコーン210とフランジ部219とが対向した第2対向部221にそれぞれ形成された複数の第2端面カム対(第2端面対)222と、該複数の第2端面カム対222の間にそれぞれ配置された複数の第2ボール223と、で構成されている。該第2端面カム対222は、セカンダリコーン210のフランジ部219に対向する端面に複数形成された波状の端面カム210bと、フランジ部219のX1方向側端面のセカンダリコーン210に対向した部分に複数形成された波状の端面カム219aとによって構成されている。
そして、上記複数の第2端面カム対222の間に介在・配置される複数の第2ボール223を有する第2トルクカム220は、セカンダリコーン210とフランジ部219との相対回転により一方の部材に対して他方の部材が軸方向に沿って互いが離反する方向に移動するように構成されている。即ち、上述のようにフランジ部219のX2方向への移動は規制されており、セカンダリコーン210がX1方向側に押圧されるように構成されている。
以上のように構成された押圧装置212は、図3に示すように、上記第1の実施の形態に係る押圧装置12の作用と同様に第1段階、第2段階、及び第3段階の3段階の軸力を付与するように作用し、第2段階でのトルクの伝達経路は図5中の符号Pで示す太線のようになる。また、本第3の実施の形態に係る押圧装置212の第2トルクカム220においては、第1の実施の形態に係る押圧装置12の第2トルクカム20に比して、セカンダリコーン210からフランジ部219までの伝達経路に係る構成が略々同じになるため、該押圧装置212における第3段階でのトルクの伝達経路は図2(b)中の符号Mで示す太線と同様に示すことができる。
上述した部分以外の構成、作用、及び効果は、上記第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
ついで、図6〜9に沿って、本発明に係る押圧装置の作用について説明する。なお、以下の説明は、便宜的に第1の実施の形態による押圧装置12に基づき説明するが、第1、第2及び第3の実施の形態に共通する作用の説明であり、第2及び第3の実施の形態による押圧装置112、212にも同様である。
図6は、第1段階、第2段階、第3段階からなる押圧装置の軸力特性と、各段階における押圧装置12の作動状態を模式的に示した図である。第1段階は、スプリング13に基づき軸力が付勢されている状況で、出力トルクに関係なく一定の軸力F1が発生している。即ち、図6(a)に示すように、スプリング13は、該一定の軸力が発生するように予め圧縮された状態(予圧)でセカンダリコーン10と受圧部材14との間に配設されている。この状態では、セカンダリコーン10からセカンダリシャフト11(フランジ部19)への出力トルクが0であって、第1トルクカム15及び第2トルクカム20がボールを端面カムの最深部に保持する場合でもスプリング13の予圧に基づく一定軸力F1が発生しており、所定出力トルクaが第1トルクカム15に作用しても、該第1トルクカムが上記スプリング予圧を超える軸力を発生するまでは、受圧部材14はスプリング予圧に基づき上記最深部である所定位置(スプリング13の予圧長さA位置)に止まり、一定軸力状態にある。
ついで、図6(b)に示す第2段階にあっては、上記所定出力トルクa以上のトルクが作用し、受圧部材14とフランジ部19との間で相対回転を生じて、第1トルクカム15が上記スプリング予圧以上の軸力を発生する。すると、フランジ部19はセカンダリシャフト11により軸方向位置が一定に保持されているので、受圧部材14が軸方向X1方向に移動し、スプリング13を圧縮しつつセカンダリコーン10に軸力を作用する。該第2段階にあっては、第1トルクカム15に基づき、比較的急な勾配αにより出力トルクの増加に対応して増加する軸力を発生する。なおこの際、受圧部材14と回転方向一体のセカンダリコーン10とセカンダリシャフトと一体のフランジ部19との間で相対回転を生ずるが、第2トルクカム20は、対向する端面カム対(第2対向部)に周方向に延びる長溝状の所定遊びlが形成されており、ボールがカム対の底面を転がるだけでトルク伝達並びに軸力を発生することがない。この状態は、前記第2トルクカム20の所定遊びlがなくなり、ボールが端面カム対の傾斜面に当接するまで続く。
ついで、図6(c)に基づき第3段階について説明する。第1トルクカム15は、出力トルクの増加に応じて受圧部材14をスプリング13を圧縮しつつ軸力を増大する。出力トルクが所定値bを超えて受圧部材14が軸方向X1方向に所定量Xストロークする。即ち、スプリング13が予圧状態である長さAから上記ストロークX分だけ圧縮され(A−X)、フランジ部19に対して受圧部材14が所定量X軸方向に移動すると共に所定量回転し、かつスプラインで一体に回転するセカンダリコーン10もフランジ部19に対して上記所定量回転すると、第2トルクカム20は上記所定遊びlがなくなり、ボールが端面カム対の傾斜面に当接する。すると、セカンダリコーン10からフランジ部19に第2トルクカム20を介してトルクが直接作用し、第2トルクカム20は、上記トルクに基づき軸力を発生する。
この際、第2トルクカム20の端面カムのカム角度δは、第1トルクカム15の端面カムのカム角度γより大きく設定されている。これにより、出力トルクに基づくフランジ部19に対するセカンダリコーン10の相対回転量は、第1トルクカム15に比して第2トルクカム20の方が小さく、上記セカンダリコーン10からフランジ部(セカンダリシャフト)19に伝達されるトルクは、専ら第2トルクカム20を経由して伝達されることになる。従って、第1トルクカム15は、スプリング13をA−X圧縮した圧縮位置にあって、出力トルクbに対応する軸力F2を発生する状態に保持され、第2トルクカム20が上記一定値からなる軸力F2に加えて、勾配βによる出力トルクに対応して増大する軸力を発生する。第2トルクカム20は、カム角δが第1トルクカム15のカム角γより大きいので、斜面の原理によって出力トルクに対する軸力の増加が小さく、第3段階は、第2段階に比してなだらかな勾配(β<α)となる。
ついで、本押圧装置に軸力特性を円錐摩擦リング式無段変圧装置に適用した作用について、図8、図9と比較しつつ、図7に沿って説明する。図7は、本発明に基づく軸力特性であり、第1段階、第2段階及び第3段階からなる。図8は、1つのトルクカムで設定した1段階からなる軸力特性を示し、本発明と比較のために作成したものである。図9は、第1トルクカムと第2トルクカムにより設定した2段階からなる軸力特性を示し、先行技術文献1として示した多段の実施例の中の1つとして示されたものに相当する。
円錐摩擦リング式無段変速装置1に全負荷が作用し、入力軸4から出力軸11に最大トルクを伝達する際、即ちエンジンをフルスロットルにして駆動車輪に伝達する場合、押圧装置12が出力トルクに応じて発生する軸力は、全負荷時必要軸力線Aとなる。全負荷(最大トルク)時必要トルク軸力線Aは、最大トルク伝達時にプライマリ及びセカンダリの両コーン2,10とリング3との間に滑りを生じないような摩擦力を付与するに必要で充分な軸力を示すものである。アンダドライブ(減速)U/D時、即ちリング3が図1の右側にあって、プライマリコーン2の小径部、セカンダリコーン10の大径部にリング3に位置する場合、入力軸4の一定トルクに対して出力軸11の出力トルクは上記両コーンによる減速比に比例して大きくなり、オーバドライブ(増速)側に向ってリングが移動するに従って、出力トルクは小さくなる。従って、上記軸力線Aにおいて、最アンダドライブU/D状態で、出力トルク及び軸力が最大となり、最オーバドライブO/D時、出力トルク及び軸力が最小となる。
該全負荷時必要軸力線Aは、円錐摩擦リング式無段変速装置1の最大トルク伝達時における各変速比で動力伝達上必要とする軸力が設定され、図7に示す本発明の第3段階にあり、最も出力トルク及び軸力の小さいO/D時が、第2段階最大値の出力トルクb、軸力F2(図6参照)に設定される。図8に示す1つのトルクカムによるものも、全負荷時必要軸力線A2にあっては、本発明と同様に、出力トルクb、軸力F2に設定されるのが合理的であるが、1次関数からなる上記必要軸力線A2は、O/D状態からそのまま出力トルク0に向って延長する。従って、該1つのトルクカムによる軸力特性は、低トルク状態で過剰な軸力を発生する。
図9に示す2つのトルクカムによる最大トルク時の必要軸力線Aは、本発明と同様に、出力トルクb、軸力F2に設定されるのが合理的であり、かつ出力トルクbより小さい出力トルクに対して、本発明と同様な比較的急な勾配αにて出力トルク0及び軸力0に向って延びている。
入力軸4から出力軸11への伝達トルクが、部分負荷である場合、該部分負荷に対応するパーシャルトルクを伝達するに必要な軸力線が図7、図8、図9のB1,B2,B3,B4として示されている。軸力線B1は、全負荷(最大トルク)に対して例えば80%であり、同様にB2が60%、B3が40%、B4が20%を示す。部分負荷(パーシャルトルク)時にあっても、同様に無段変速装置のアンダドライブ(U/D)状態で出力トルクが大きく、オーバドライブ(O/D)状態で出力トルクが小さく、従ってそれぞれ出力トルクに対応して必要とする軸力も、U/DからO/Dに向って徐々に小さくなる。そして、各パーシャルトルク伝達時において、出力トルクが最小となる最オーバドライブ(変速比が最高速側にある状態)(O/D)は、パーシャルトルクの割合B1,B2,B3,B4に応じて各最小出力トルクに対応する軸力となり、各伝達トルクでのO/D端を結んだ線が第2段階の勾配αによる軸力特性線Cとなる。即ち、すべての部分負荷における全変速比での必要軸力線は、全負荷時必要軸力線Aと、O/D端軸力特性線(変速比が最高速側である各負荷での軸力)Cと、軸力及び出力トルク0と全負荷時必要軸力線Aの最U/D端とを結んだ線Dの中に入ることになる。
前記円錐摩擦リング式無段変速装置1は、トラクション用オイルの環境下にあり、リングと両円錐摩擦車(コーン)との間にはトラクション用オイルの油膜が介在するトラクション伝達により動力伝達される。前記第3段階の軸力特性(線)Aは、入力側摩擦車から出力側摩擦車に伝達する回転を最高速(O/D)側に設定した状態で最大トルクを伝達するトラクション伝達に必要とする軸力の点F2と、最低速(U/D)側に設定した状態で最大トルクを伝達するトラクション伝達に必要とする軸力の点F3と、を結んだ勾配βに基づき設定される。また、前記第2段階の軸力特性(線)Cは、出力トルクが0における軸力0の点と、前記最高速(O/D)側に設定した状態で最大トルクを伝達するトラクション伝達に必要とする軸力の点F2と、を結んだ勾配αに基づき設定される。
そして、第1段階のスプリング予圧による一定軸力F1は、リングと両円錐形摩擦車との間での前記トラクション用オイルの油膜が、液体の粘性特性から固定されて弾性特性に変わる(固化)圧力(ガラス遷移圧力)より大きい軸力に設定されている。
図8に示す1個のトルクカムからなる特性は、1次関数からなる関係上、上記全負荷時及び部分負荷時におけるすべての変速比に対してカバーする軸力を発生することが可能であるが、低出力トルク時において、部分負荷におけるO/D時に必要となる軸力に対して過剰な軸力を発生し、その分、軸力発生のためのエネルギが無駄になり、かつ該過剰な軸力により無段変速装置の耐久性を損い、また堅牢な構造となってコンパクト性及び軽量化を損う原因となる。
図9に示す2つのトルクカムからなる特性は、2段階からなり、上述した全負荷時及び部分負荷時における全変速比に対して必要とする軸力を付与し得ると共に、低出力トルクにおいて、部分負荷におけるO/D時に必要となる軸力を過不足なく確保することができ、過剰な軸力を発生することもない。しかし、出力トルクが0に近い状態、時に無段変速装置が車輌に搭載されている場合において、図9に示す出力トルク及び軸力が0から例えば勾配αにて延びる軸力特性(線)Cでは、極低トルク状態で軸力不足となる領域があり、信頼性に欠ける虞れがある。例えば極低トルクで発進する場合、発進直後の1転がり目等にあって、充分な軸力が確保できず、リングと両コーンとの間のトラクション用オイルの油膜が液体の粘性特性にあって、リングとコーンとの間で滑りを生じて違和感を生じたり、また被牽引時や下り坂等の出力トルクがない場合、無段変速装置の滑らかな変速ができない場合がある。
図7に示す本発明にあっては、第1段階にあっては、スプリングの予圧に基づき出力トルクに関係なく、上記トラクション用オイルが固化する圧力以上の一定の軸力が常に付与されているので、極低トルク状態の発進でも、無段変速装置は滑らかに確実に動力伝達し、また被牽引時又は下り坂等の無出力トルク状態でも、無段変速装置は確実に変速操作される。
上記第1段階の一定の軸力は、図8に示す1次関数による軸力(最大トルク伝達時の軸力)A2より低く設定されており、伝達効率の低下に対する影響は小さい。
ついで、図10に沿って、押圧装置に用いるスプリング13について説明する。スプリング13は、多数の皿ばねが直列状に重ねて用いられており、図10に示すようにヒステリシスを有する。即ち、たわみと圧縮荷重との関係が、荷重増加時が荷重減少時に比して大きなばね定数となる。出力トルクの増加に従って第1トルクカム15により軸力が増加する皿ばねの圧縮方向側が、セカンダリコーンの反力の減少による皿ばね伸び方向側より勾配の大きなばね定数からなり、荷重増加時の特性Eにて荷重Hを設定すると、荷重減少時の特性Gにあっては、たわみがcからdに大きくなる。該特性Gでのたわみdに相当する第1トルクカム15の軸力を予圧とすると、予圧が小さ過ぎ、必要とする第1段階での軸力を得ることができない。
そこで、荷重減少時の特性Gにおいて、必要とする荷重Hを設定し、それに対応するたわみdに対応するように荷重増加時の特性Eでの荷重Vを設定して、皿ばね13は、該荷重Vになるように組付けられる。これにより、例え荷重減少時にあっても、第1段階での必要とする軸力は確保される。
ついで、図11に沿って、上記スプリング13の組付けの調整について説明する。図6に基づき説明した通り、受圧部材14の軸方向移動が可能な第2トルクカム20の遊び内にあって、第1トルクカム15とスプリング13とが直列に作用し、スプリング13による第1段階の所定予圧が得られる。スプリング13が、予め設定されるストロークXになる前に第2トルクカム20の所定遊びlがなくなると、出力トルクが予め設定される値bより早く第2トルクカム20が作用状態となり、全負荷時のO/D端での必要とする軸力F2より小さい軸力で第3段階に入ることになり、必要とする軸力が得られないことになる。一方、スプリング13のストロークが予め設定されたストロークXより長いと、第2トルクカム20による第3段階へ入る位置が遅くなる。即ち、第1トルクカム15によるフランジ部19と受圧部材14との相対回転が大きくなり、出力トルクが所定値bよりも大きくかつ軸力も所定値F2より大きくなる。従って、勾配αの大きな第2段階での軸力上昇が大きくなり、その分過剰な軸力発生となって、伝達効率を低くすると共に耐久性で不利となる。
そこで、多数の皿ばねからなるスプリング13に所定肉厚のシム150を介在し、スプリング13の長さを調整する。これにより、第2段階と第3段階との間の出力トルクb及び軸力F2が設定値となるように、スプリング13のストロークが設定値Xになるように調整する。上記シム150は、肉厚又は枚数により受圧部材14とセカンダリコーン10の間隔が調整されるが、これは、フランジ部19とセカンダリコーン10との間隔を調整することにもなり、これにより第2トルクカム20の所定遊び量lが調整されることになる。なお、スプリング13のストロークをシム150により調整したが、これに限らず、皿ばねの一部の厚さを調整したり、またネジ等のスプリング13の長さ方向調整手段を設けてもよい。
なお、以上説明した実施の形態においては、押圧装置12,112,212がセカンダリコーン10,110に配置されるように説明したが、これに限らず、プライマリコーン2に配置されても、又はプライマリコーン2及びセカンダリコーン10,110の両方に配置されても、本発明を適用することができる。また、上記説明は、コーンリング式の摩擦車式無段変速装置について説明したが、これに限らず、2個の円錐形摩擦車の両方を取り囲むようにリングを配置する無段変速装置(リングコーン式)、2個の円錐形状の摩擦車の間に、両摩擦車に接触しかつ軸方向に移動する摩擦車を介在する無段変速装置、トロイダル等の球面形状の摩擦車を用いる無段変速装置、並びに入力側及び出力側の摩擦円盤を互いに近づく方向に付勢されている1対のシーブからなるプーリ状摩擦車に挟むように配置し、プーリ状摩擦車を、両摩擦円盤との軸間距離を変更するように移動して変速する無段変速装置等の他の摩擦車式無段変速装置に適用してもよい。
本発明に係る押圧装置を有する摩擦車式無段変速装置は、円錐形摩擦リング式無段変速装置として好適であり、産業機械、運輸機械等のあらゆる分野の動力伝達装置として利用可能であり、特に自動車に搭載されてトランスミッションに用いて好適である。
1 摩擦車式無段変速装置(円錐摩擦リング式無段変速装置)
2 入力側摩擦車(円錐形摩擦車、プライマリコーン)
3 摩擦部材(リング)
4 入力軸(プライマリシャフト)
10,110,210 出力側摩擦車(円錐形摩擦車、セカンダリコーン)
11 出力軸(セカンダリシャフト)
12,112,212 押圧装置
13 スプリング(皿ばね)
14,114,214 受圧部材
14a,114a 第1端面
15,115,215 第1トルクカム
16,116,216 第1対向部
17,117,217 第1端面対
18,118,218 第1ボール
19,119,219 フランジ部
19a,119a 第1端面
20,120,220 第2トルクカム
21,121,221 第2対向部
22,122,222 第2端面対
23,123,223 第2ボール
40,140,240 スプリングユニット
110a 第2端面
110c 凹部
110d 凹部
114c 凸部
119b 第2端面
X1−X2 軸方向

Claims (11)

  1. 入力軸に駆動連結される入力側摩擦車と、出力軸に駆動連結される出力側摩擦車と、前記入力側摩擦車及び出力側摩擦車に圧接してこれら両摩擦車との間で動力伝達する摩擦部材と、を備え、前記摩擦部材を、前記入力側摩擦車及び出力側摩擦車との接触位置を変更することにより前記入力軸及び出力軸との間の回転を無段に変速する摩擦車式無段変速装置において、
    前記入力軸と前記入力側摩擦車、又は前記出力側摩擦車と前記出力軸の間に配置され、前記入力側摩擦車及び前記出力側摩擦車と前記摩擦部材とを圧接する軸力を付与する押圧装置を備え、
    前記押圧装置は、トルクの伝達経路に対して並列に配置された第1トルクカムと第2トルクカムを有し、
    前記第1トルクカムは、伝達トルクが所定値より小さな領域において該伝達トルクが経由され、該伝達トルクに応じた軸力を発生し、
    前記第2トルクカムは、伝達トルクが前記所定値より大きな領域において該伝達トルクが経由され、該伝達トルクに応じた軸力を発生してなる、
    ことを特徴とする摩擦車式無段変速装置。
  2. 前記押圧装置は、前記出力側摩擦車と前記出力軸との間に配置されてなる、
    請求項1記載の摩擦車式無段変速装置。
  3. 前記押圧装置は、前記第1トルクカムの軸力方向に直列にスプリングを配置し、
    前記第1トルクカムは、前記スプリングの予圧による軸力を越えた状態で、該第1トルクカムを経由する伝達トルクに応じた軸力を発生し、
    前記第2トルクカムは、所定遊びを有し、該所定遊び内にあっては、前記第1トルクカムに基づき軸力を発生し、該所定遊びが無くなると、前記第2トルクカムを経由してトルクが伝達され、該伝達トルクの増加に対応して軸力を発生してなる、
    請求項1又は2記載の摩擦車式無段変速装置。
  4. 前記第2トルクカムのカム角度が、前記第1トルクカムのカム角度より大きく設定されてなる、
    請求項1ないし3のいずれか記載の摩擦車式無段変速装置。
  5. 前記スプリングの軸方向長さを調整する調整手段が配置され、該調整手段により前記第2トルクカムが軸力を発生する前記所定値を調整してなる、
    請求項3又は4記載の摩擦車式無段変速装置。
  6. 前記押圧装置は、
    前記出力軸に対して固定されたフランジ部と、
    前記出力側摩擦車と前記出力軸との間で前記出力側摩擦車又は前記出力軸に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に配置された受圧部材及びスプリングを有するスプリングユニットと、を備え、
    前記第1トルクカムは、前記スプリングユニットの受圧部材と、該スプリングユニットに対して相対回転する前記フランジ部又は前記出力側摩擦車と、の間で対向した第1対向部に配置された複数の第1ボールを有し、前記スプリングの予圧による軸力を越えての軸力に基づき前記受圧部材を軸方向に移動しつつ前記出力側摩擦車に軸力を付与し、
    前記第2トルクカムは、前記出力側摩擦車と前記フランジ部との間で対向した第2対向部に配置された複数の第2ボール及び該第2ボールを前記第2対向部で遊動する所定遊びを有し、前記第2対向部での前記所定遊びが無くなると、伝達トルクが該第2トルクカムを経由して伝達され、該伝達トルクに応じた軸力を前記出力側摩擦車に付与してなる、
    請求項2記載の摩擦車式無段変速装置。
  7. 前記押圧装置は、前記スプリングユニットが前記出力側摩擦車に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に配置され、
    前記第1トルクカムは、前記受圧部材と前記フランジ部とが対向した前記第1対向部にそれぞれ形成された複数の第1端面対と、該複数の第1端面対の間にそれぞれ配置された前記複数の第1ボールとからなり、
    前記第2トルクカムは、前記出力側摩擦車と前記フランジ部とが対向した前記第2対向部にそれぞれ形成された複数の第2端面対と、該複数の第2端面対の間にそれぞれ配置された前記複数の第2ボールとからなる、
    請求項6記載の摩擦車式無段変速装置。
  8. 前記押圧装置は、前記スプリングユニットが前記出力軸に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に配置され、
    前記第1トルクカムは、前記受圧部材と前記出力側摩擦車とが対向した前記第1対向部にそれぞれ形成された複数の第1端面対と、該複数の第1端面対の間にそれぞれ配置された前記複数の第1ボールとからなり、
    前記第2トルクカムは、前記出力側摩擦車と前記フランジ部とが対向した前記第2対向部にそれぞれ形成された複数の第2端面対と、該複数の第2端面対の間にそれぞれ配置された前記複数の第2ボールとからなる、
    請求項6記載の摩擦車式無段変速装置。
  9. 前記出力側摩擦車の軸方向一方側から、前記スプリング、前記受圧部材の第1端面、前記第1ボール、前記フランジ部の第1端面が、前記軸方向に直列状に配置され、
    前記出力側摩擦車及び前記フランジ部の第2端面対が前記受圧部材及び前記フランジ部の第1端面対よりも外周側に形成されてなる、
    請求項7記載の摩擦車式無段変速装置。
  10. 前記出力側摩擦車の軸方向一方側から、前記スプリング、前記受圧部材の第1端面及び前記出力側摩擦車の第2端面、前記第1ボール及び前記第2ボール、前記フランジ部の前記第1端面及び前記第2端面が、前記軸方向に直列状に配置され、
    前記出力側摩擦車の内周面に複数の凹凸部を形成すると共に、前記受圧部材に該出力側摩擦車の複数の凹部に入り込む複数の凸部を形成し、
    前記受圧部材の複数の凸部及び前記フランジ部に前記第1端面対を形成すると共に、前記出力側摩擦車の複数の凸部及び前記フランジ部に前記第2端面対を形成してなる、
    請求項7記載の摩擦車式無段変速装置。
  11. 前記入力側摩擦車及び出力側摩擦車は、平行に配置された前記入力軸及び出力軸にそれぞれ駆動連結され、かつ径大部と径小部とが軸方向逆になるように配置された円錐形摩擦車であり、
    前記摩擦部材は、前記両円錐形摩擦車の対向する傾斜面に挟持されて、軸方向移動可能なリングである、
    請求項1ないし10のいずれか記載の摩擦車式無段変速装置。
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