JPWO2010021125A1 - 補聴器および補聴器システム - Google Patents

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Abstract

ユーザが音環境に応じた補聴器の設定変更を意図どおりに反映でき、かつ補聴器の設定の変更による不便さや不快感を感じることがなく、さらに設定の変更を簡単化することができる補聴器を提供する。本発明の補聴器が、入力音から入力信号を生成するマイク101と、入力信号を加工して出力信号を生成する信号処理部120と、出力信号から出力音を再生するレシーバ103とを備える。また、信号処理部120は、所定時間区間において、補聴器への接触時に発生する接触音に基づく入力信号の時間応答を判定し、時間応答に基づいて補聴器の設定を変更する。

Description

本発明は、補聴器および補聴器システムに関し、特に、補聴器の設定(音量・動作モード)変更を簡単化することができる補聴器および補聴器システムに関する。
補聴器は、音声又は非音声の区別,周囲雑音,騒音又は残響の程度に応じて音声等の聴感を向上させ、音環境によらずに明瞭性の高い音声を再生する事が要望されている。この要望に対し、補聴器本体に音量変更ボタンや動作モード変更ボタンが付加され、補聴器装用者が意識的に利用シーンや音環境に応じた設定変更を行うことが可能な補聴器が存在する(例えば、特許文献1参照)。
一方、補聴器装用者が無意識的に音環境に応じて設定変更を行う技術として、様々な音響信号を事前(学習フェーズ)に分類整理し、学習フェーズにて分類整理された音響信号を用いて入力音響信号の増幅等を音環境に応じて自動的に設定変更する信号処理技術が存在する(例えば、特許文献2参照)。
また、補聴器本体以外の他機器を介して設定変更する方法として、音響パラメータの調整に関し、ネットワークを介してモバイル機器をサーバおよび聴力カルテ・データベースと接続して、モバイル機器の音質調整が可能な技術が存在する(例えば、特許文献3参照)。
さらに、電話機から補聴器の制御信号を発生し、受話信号とともに制御信号を音波に変換して送信する技術が存在する。図12は、かかる遠隔制御補聴器システムの構成例を示すブロック図である。この遠隔制御補聴器システムは、電話機10と、補聴器40とを有する。
電話の通話が始まると、通話中であることを電話機10の通話検出部6が検出する。通話検出部6で通話中であることが検出されると、制御信号発生部5は、制御信号を発生させる。制御信号と受話信号は、電気音響変換部4により、音響信号に変換され、補聴器40へ送信される。
送信された音響信号は、補聴器40側の音波受信部41で受信され、電気信号である受信信号へ変換される。音波受信部41で変換された受信信号は、受信切換部43を経て、電力増幅部44および分析制御部46へ送られる。送られた受信信号は、分析制御部46において、周波数解析され記憶されている信号と比較されることにより、制御信号を発生させる。制御信号は、電力増幅部44へ送られ受信信号の増幅率を変化させるために用いられる(例えば、特許文献4参照)。
日本国特開平9−18998号公報 日本国特開2005−203981号公報 日本国特許第3482465号公報 日本国特開2006−229866号公報
しかしながら、上記従来の補聴器は、ユーザが意識的に補聴器本体の設定変更を行う場合、音量変更ボタンおよび動作モード変更ボタンが小型でかつ、補聴器装用時にはボタンが直接見えず、設定変更の操作が困難であるという課題がある。一方、補聴器の設定を音環境に応じて自動的に変更する技術が存在するが、操作不要という利点がある一方で、必ずしもユーザの意図と設定が一致しないという課題もある。また、補聴器本体以外の他機器により設定変更を行う技術が存在するが、他機器を常時携帯しておかないと、ユーザが意図した時に設定変更が行えないという制約があった。また、補聴器を調整するためのサーバやデータベース、電話機などの外部装置を用いて音響パラメータを調整するものであり、外部装置を用いて音響パラメータを調整する場合、携帯電話による設定時に耳障りな調整音が聞こえ、不快感を感じることがあった。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、ユーザが音環境に応じた補聴器の設定変更を意図どおりに反映でき、かつ補聴器の設定の変更による不便さや不快感を感じることがなく、さらに設定変更を簡単化することができる補聴器および補聴器システムを提供することを目的としている。
本発明の補聴器は、入力音から入力信号を生成するマイクと、前記入力信号から出力信号を生成する信号処理部と、前記出力信号から出力音を再生するレシーバとを備え、前記信号処理部は、所定時間区間において、当該補聴器への接触時に発生する接触音に基づく前記入力信号の時間応答を判定し、前記時間応答に基づいて当該補聴器の設定を変更する。
上記構成によれば、入力信号の時間応答を判定し、時間応答に基づいて補聴器の設定を変更するので、小型化された補聴器のボタン操作を行うことなく、また別の機器を用いることなく補聴器だけで、簡単に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記入力信号の強度を算出し、所定時間区間における前記入力信号の強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、前記所定時間区間における前記入力信号の強度が第2の所定閾値以上になる時点を少なくとも2回検知することにより、当該補聴器の設定を変更する。
上記構成によれば、入力信号の強度が第2の所定閾値以上になる場合を少なくとも2回検知することにより設定を変更するので、雑音のある通常環境においても確実に補聴器の設定の変更を行うことができる。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記入力信号の強度が前記第2の所定閾値以上になる時点を検知するための時間幅を設定する。
上記構成によれば、時間幅を設定自在にすることで、補聴器装用者の使用環境に合わせて誤検出を最小にすることができる。
また、本発明の補聴器は、前記接触音が、爪先で弾く音または爪先のタップ音であり、前記信号処理部が、前記時間幅を20msec以下に設定する。
上記構成によれば、例えば、時間幅が狭すぎることで接触音を検出不可能となることを防止でき、かつ、時間幅が広すぎることで接触音以外の音を誤検出することを防止可能である。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記入力信号の強度が前記第2の所定閾値以上になる時点を検知した時間幅に対して、信号強度を低減する。
上記構成によれば、入力信号の強度が第2の所定閾値以上になる場合を検出した時間幅に対して、入力信号の強度を低減するので、補聴器の設定の変更を行う際に、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記入力信号の強度を算出し、所定時間区間における前記入力信号の強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、前記入力信号を周波数領域の信号に変換し、前記周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下になる時点を少なくとも2回検知することにより、当該補聴器の設定を変更する。
上記構成によれば、周波数信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下である場合を少なくとも2回検知することにより設定を変更するので、雑音のある通常環境においても確実に補聴器の設定の変更を行うことができる。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が前記第3の所定閾値以下である時点を検知するための時間幅を設定する。
上記構成によれば、時間幅を設定自在にすることで、補聴器装用者の使用環境に合わせて誤検出を最小にすることができる。
また、本発明の補聴器は、前記接触音が、爪先で弾く音または爪先のタップ音であり、前記信号処理部が、前記時間幅を20msec以下に設定する。
上記構成によれば、例えば、時間幅が狭すぎることで接触音を検出不可能となることを防止でき、かつ、時間幅が広すぎることで接触音以外の音を誤検出することを防止可能である。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が前記第3の所定閾値以下である時点を検知した時間幅に対して、信号強度を低減する。
上記構成によれば、周波数信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下である場合を検出した時間幅に対して、入力信号の強度を低減するので、補聴器の設定の変更を行う場合に、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、当該補聴器の設定を変更した旨を報知する。
上記構成によれば、設定変更後に、設定変更を補聴器装用者に通知するので、設定変更が行われたどうかに関する補聴器装用者の不安感をなくすことができる。
また、本発明の補聴器システムは、補聴器と前記補聴器の設定を変更する補聴器設定装置とを有する補聴器システムであって、前記補聴器設定装置が、前記補聴器の設定を入力する入力部と、前記補聴器の設定を変更する際に出力する調整音を示すマスキ音および前記マスキ音をマスクするためのマスカ音の情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記マスカ音および前記マスキ音と前記入力部により入力された前記補聴器の設定に基づいて、出力信号を生成する信号合成部と、前記出力信号から設定音を再生するスピーカと、を備え、前記補聴器が、前記補聴器設定装置により再生された設定音から設定信号を生成するマイクと、前記設定信号から前記マスキ音を抽出し、抽出したマスキ音から前記補聴器の設定を抽出し、抽出した補聴器の設定に基づいて当該補聴器の設定を変更する信号処理部と、を備える。
上記構成によれば、補聴器の設定変更時に耳障りな調整音が聞こえることがなく、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
また、本発明の補聴器システムは、前記マスキ音を示す信号の信号強度が、前記マスカ音を示す信号の信号強度以下である。
上記構成によれば、マスキ音をマスカ音のマスキングレベル以下とするので、設定時に耳障りな調整音が聞こえることがなく、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
また、本発明の補聴器システムは、前記マスキ音が、純音である。
上記構成によれば、マスキ音を純音とすることにより、マスキングのための回路構成を簡素化することができる。
また、本発明の補聴器システムは、前記補聴器の前記信号処理部が、当該補聴器の設定を変更した旨を報知する。
上記構成によれば、設定変更後に、設定変更を補聴器装用者に通知するので、設定変更が行われたどうかに関する補聴器装用者の不安感をなくすことができる。
また、本発明の補聴器システムは、前記マスカ音が、前記マスキ音に含まれる周波数成分以外の周波数成分を含む。
上記構成によれば、マスクするマスカ音からマスクされるマスキ音を抽出することが容易になる。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記入力信号の強度を算出し、所定時間区間における前記入力信号の強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、前記所定時間区間における前記入力信号の強度が第2の所定閾値以上になる回数を検知し、前記回数に基づいて当該補聴器の複数の設定を識別して変更する。
上記構成によれば、上記回数に応じて、ボタン操作を行うことなく、容易に複数の設定を識別して変更することができる。
また、本発明の補聴器は、入力音から第1入力信号を生成する第1マイクと入力音から第2入力信号を生成する第2マイクと、前記第1入力信号と前記第2入力信号から出力信号を生成する信号処理部と、前記出力信号から出力音を再生するレシーバとを備え、前記信号処理部は、所定時間区間において、当該補聴器への接触時に発生する接触音に基づく前記第1入力信号および前記第2入力信号の時間応答を判定し、前記時間応答に基づいて当該補聴器の複数の設定を識別して変更する。
上記構成によれば、2つの入力信号の時間応答を判定し、時間応答に基づいて補聴器の設定を変更するので、小型化された補聴器のボタン操作を行うことなく、また別の機器を用いることなく補聴器だけで、簡単に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。さらに、2つの入力信号の時間応答に基づいて、ボタン操作を行うことなく、容易に複数の設定を識別して変更することができる。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記第1入力信号と前記第2入力信号の振幅値を比較し、前記振幅値に基づいて、当該補聴器の複数の設定を識別して変更する。
上記構成によれば、例えば第1マイクのみ接触音を入力した場合と第2マイクのみ接触音を入力した場合とで異なる複数の設定(例えば音量増の設定と音量減の設定)を行うことができる。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部は、前記第1入力信号と前記第2入力信号の振幅ピーク時点の時間差を判定し、前記振幅ピーク時点の時間差に基づいて、当該補聴器の複数の設定を識別して変更する。
上記構成によれば、例えば第1マイクが接触音を入力した後に第2マイクが接触音を入力した場合と、第2マイクが接触音を入力した後に第1マイクが接触音を入力した場合とで、異なる複数の設定(例えば音量増の設定と音量減の設定)を行うことができる。
本発明は、小型化された補聴器のボタン操作を行うことなく、また別の機器を用いることなく、補聴器だけで、簡単に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。
また、抽出したマスキ音から補聴器設定を抽出し、抽出した補聴器設定に基づいて設定を変更するので、設定時に耳障りな調整音が聞こえることがなく、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
本発明の第1の実施形態にかかる補聴器の概略構成の一例を示すブロック図 本発明の第1の実施形態の補聴器における信号処理部の内部構成の一例を示すブロック図 本発明の第2の実施形態にかかる補聴器システムの概略構成の一例を示すブロック図 本発明の第2の実施形態の補聴器における設定変更用信号処理部の内部構成の一例を示すブロック図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として爪先で弾く音を耳掛型(実験機種A)の補聴器に適用した場合の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として爪先で弾く音を小型耳掛型(実験機種B)の補聴器に適用した場合の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として爪先で叩く音(タップ音)を耳掛型(実験機種A)の補聴器に適用した場合の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として爪先で叩く音(タップ音)を小型耳掛型(実験機種B)の補聴器に適用した場合の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として指腹で撫でる音を補聴器に適用した場合の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として咀嚼音を耳掛型の補聴器に適用した場合(測定場所が耳介上部)の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として咀嚼音を耳穴型の補聴器に適用した場合(測定場所が外耳道内)の時間応答の一例を示す図 従来の遠隔制御補聴器システムの構成例を示すブロック図 本発明の第3の実施形態にかかる補聴器の概略構成の一例を示すブロック図 (a)本発明の第3の実施形態において、補聴器装用者が爪先で前側音孔付近を叩いた場合の操作を示す図、(b)時間応答の一例を示す図 (a)本発明の第3の実施形態において、補聴器装用者が爪先で後側音孔付近を叩いた場合の操作を示す図、(b)時間応答の一例を示す図 (a)本発明の第3の実施形態において、補聴器装用者が爪先で後側音孔から前側音孔の方向に擦った場合の操作を示す図、(b)時間応答の一例を示す図 (a)本発明の第3の実施形態において、補聴器装用者が爪先で前側音孔から後側音孔の方向に擦った場合の操作を示す図、(b)時間応答の一例を示す図
本発明の実施形態における補聴器では、補聴器装用者が補聴器本体を触る音(接触音)を補聴器が検知して設定変更(音響パラメータの変更)を行う。例えば、入力信号の振幅変動が、第1の所定閾値以下の区間(例えば騒音のない状態)で、第2の所定閾値以上の信号を最低2回超過した場合に補聴器の設定変更を行う。つまり、所定時間区間において、補聴器への接触時に発生する接触音に基づく入力信号の時間応答を判定し、この時間応答に基づいて補聴器の設定を変更する。この場合、上記入力信号の周波数特性を限定してもよい。
上記音響パラメータとしては、補聴器の周囲の環境を示す環境パラメータ、補聴器の出力レベルを示す出力パラメータ、補聴器の周囲の雑音を抑圧する抑圧レベルを示す雑音抑圧パラメータ等がある。なお、本実施形態では、音響パラメータを設定、変更することを単に設定、変更と称することもある。
上記接触音には、補聴器装用者が補聴器本体を爪先で弾いた音、爪先のタップ音、マイクを撫でる音などが含まれる。また、補聴器装用者の体内発生音(歯の噛合せ音、歯ぎしり音、口笛、舌打音など)を利用してもよい。
また、本発明の実施形態における補聴器は、調整装置(例えば携帯電話)からの再生音をマスカ音(マスクする音)とし、補聴器調整音をマスキ音(マスクされる音)として、補聴器調整音を目立たなくする。また、補聴器調整音をマスカ音(再生音)のマスキングレベル以下とする。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる補聴器の概略構成の一例を示すブロック図である。図1に示す補聴器100は、入力音から入力信号を生成するマイク101と、入力信号をディジタル信号に変換するA/D変換部111と、入力信号を加工して出力信号を生成する信号処理部120と、入力信号としての音声信号の周波数特性等を調整する、つまり周波数特性等を制御する補聴器用信号処理部118と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換部119と、D/A変換されたアナログ信号である出力信号から出力音を再生するレシーバ103とを備える。
なお、補聴器用の信号処理としては、例えば、周波数毎に異なる増幅率で入力された音声信号を増幅等する非線形圧縮処理や、マイク101から入力された雑音成分を抑圧する雑音抑圧処理などがある。この補聴器用の信号処理は、補聴器設定としての音響パラメータに基づいて行うことができる。
信号処理部120は、入力信号の強度を算出する信号強度算出部121と、入力信号の信号強度との比較を行うための所定閾値を記憶する閾値記憶部123と、入力信号の信号強度と所定閾値を比較する信号強度比較部124と、所定閾値および比較結果に基づいて入力信号の時間応答を判定する信号判定部125と、時間応答の判定に基づいて補聴器の設定を変更する設定制御部126とを有する。
信号判定部125は、所定時間区間内における入力信号強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、所定時間区間内における入力信号強度が第2の所定閾値以上になる時点を少なくとも2回検知すると、設定制御部126に補聴器の設定を変更するための信号を出力する。
このとき、信号判定部125は、誤検出を低減するために、所定時間区間内における入力信号強度が第2の所定閾値以上になる時点を検知するための時間幅を設定することができる。補聴器装用者による補聴器本体への接触音として、爪先で補聴器本体を弾いたときに発生する音(これを、「爪先で弾く音」と表現)、もしくは爪先で補聴器本体を叩いた時に発生する音(これを、「爪先タップ音」と表現)を利用した場合を考える。この場合、1回の接触音として爪先で弾く音もしくは爪先タップ音の開始から終了までの、その時間幅を、例えば5msec以上、20msec以下とすることができる。なお、信号処理部120の処理量を考慮すると5msec以上が好ましいが、信号処理部120の周波数分析処理機能の発達により5msec未満でも可能である。なお、マイクを撫でる音、体内発生音は、上記時間幅が長くなる。また、爪先で弾く音もしくは爪先タップ音を検出する時間幅は可能な限り短くして、例えば1msecとしてもよい。接触音を検出するために時間幅を短くすることにより、接触音による振幅の時間的な立ち上がりを正確に検出できる。また、誤検出を防止するために、短い時間幅における入力信号の振幅値の平滑化処理を行う、もしくは所定時間区間内で平均化処理を行うことにより、接触音の検出精度を向上させる事が出来る。
また、信号判定部125により補聴器設定を行うための信号であると判定された場合に、この信号を設定信号として設定制御部126に入力し、設定制御部126による補聴器の設定変更を行う。
このとき、補聴器設定を行うために発生した接触音は補聴器装用者にとって不快なため、信号処理部120は、所定時間区間内に入力信号強度が第2の所定閾値以上になる時点を検出した時間幅に対して、信号強度を低減することができる。なお、信号強度を低減する方法の一例として、入力信号強度を第1の所定閾値未満に変換する方法や、入力信号強度を第2の所定閾値未満に変換する方法や、所定時間区間内において、接触音が発生していない時間区間と同等の音圧レベルに変換する方法などが考えられる。信号強度を抑圧する方法の具体例として、例えば日本国特開平1−149508号公報に記載のある方法を適用したり、日本国特開平6−276599号公報に記載のある衝撃音抑圧方法を適用したりすることが出来る。
次に、信号処理部120からの出力を、A/D変換部111の出力信号に対して、補聴器設定変更を行うために発生した接触音の信号強度を低減した信号とし、補聴器用信号処理部118の入力とする。ここで、補聴器用信号処理部118では、指向性合成処理、雑音抑圧処理、ハウリング抑圧処理、非線形圧縮処理などの補聴器として必要な信号処理を実施する。
補聴器用信号処理部118では、信号処理判定部125で補聴器設定を行うための信号であると判定され、設定制御部126で設定変更した場合、設定変更が完了した旨を補聴器装用者に報知するための信号を付加する。報知方法の一例として、例えば、通知音を発生したり、もしくは音声により通知したりすることが考えられる。
さらに、信号処理部120は、図1の代わりに図2のように構成することもできる。図2に示す信号処理部120は、図1に示した信号処理部120と比較して、入力信号を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)することにより周波数領域のデータに変換するFFT部201と、周波数領域のデータのスペクトルを比較するスペクトル比較部202とが追加されている。つまり、図1の信号処理部120では時間応答について判定を行ったが、図2の信号処理部120は、入力信号の周波数成分について判定を行うものである。
信号判定部125は、所定時間区間内における入力信号強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、入力信号を周波数領域の信号に変換し、周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下となる時点を少なくとも2回検知する場合に、補聴器の設定を変更する。つまり、周波数領域の信号の分析結果に応じて、補聴器の設定の変更を行う。なお、所定信号の波形は、閾値記憶部123に記憶されている。
また、信号判定部125は、誤検出を低減するために、上記周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下となる時点を検知するための時間幅を設定することができる。補聴器装用者による補聴器本体への接触音として、爪先で弾く音もしくは爪先タップ音を利用した場合を考える。この場合、1回の接触音として爪先で弾く音もしくは爪先タップ音の開始から終了までの、その時間幅を、例えば20msec以下とすることができる。なお、マイクを撫でる音、体内発生音は、上記時間幅が長くなる。
また、信号判定部125により補聴器設定を行うための信号であると判定された場合に、この信号を設定信号として設定制御部126に入力し、設定制御部126による補聴器の設定変更を行う。
このとき、補聴器設定を行うために発生した接触音は補聴器装用者にとって不快なため、信号処理部120は、所定時間区間内に周波数信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下となる時点を検出した時間幅に対して、信号強度を低減することができる。なお、信号強度を低減する方法の一例として、入力信号強度を第1の所定閾値未満に変換する方法や、所定時間区間内において、接触音が発生していない時間区間と同等の音圧レベルに変換する方法などが考えられる。
次に、信号処理部120からの出力を、A/D変換部111の出力信号に対して、補聴器設定変更を行うために発生した接触音の信号強度を低減した信号とし、補聴器用信号処理部118の入力とする。ここで、補聴器用信号処理部118では、指向性合成処理、雑音抑圧処理、ハウリング抑圧処理、非線形圧縮処理などの補聴器として必要な信号処理を実施する。
補聴器用信号処理部118では、信号判定部125で補聴器設定を行うための信号であると判定され、設定制御部126で設定変更した場合、設定変更が完了した旨を補聴器装用者に報知するための信号を付加する。報知方法の一例として、例えば、通知音を発生したり、もしくは音声により通知したりすることが考えられる。
なお、補聴器設定変更の一例として、音量設定における音量増の設定と音量減の設定など、複数の異なる補聴器100の設定を識別したい場合は、信号判定部125により判定基準を複数有してもよい。例えば、音量増の設定と音量減の設定とを識別する場合において、信号判定部125が、所定時間区間内における入力信号強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、所定時間区間内における入力信号強度が第2の所定閾値以上になる時点を、2回検出すれば音量増と判定し、3回以上検出すれば音量減と判定することが出来る。つまり、上記検出された回数に基づいて、補聴器100の複数の設定を識別して変更することが出来る。こうする事で、補聴器装用者の設定変更の意図を、補聴器の信号判定部125により識別することが可能となる。
また、補聴器装用者による補聴器100への異なる操作により発生する接触音、例えば爪先で弾く音、爪先タップ音、指腹で撫でる音、体内発生音などの接触音の種別を、信号の振幅や時間変動、周波数特性などから識別して、別の制御信号として用いることが考えられる。これにより、補聴器装用者の設定変更の意図を、補聴器100の信号判定部125が識別することが可能となる。これにより、複数の設定を識別して変更することができ、補聴器装用者の設定変更操作回数の低減や、意図しない設定変更の回避が可能となる効果がある。
このように本実施形態にかかる補聴器によれば、入力信号の時間応答を判定し、時間応答に基づいて補聴器の設定を変更するので、小型化された補聴器のボタン操作を行うことなく、また別の機器を用いることなく、補聴器だけで、簡単に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。特に、高齢者が補聴器装用者である場合には、小型化された補聴器の操作を行うことが困難であるため、大変有用である。
(実験結果)
次に、本実施形態の補聴器への様々な接触音を入力した場合の時間応答について説明する。ここでは、補聴器として、耳掛型補聴器、小型耳掛型補聴器を用いている。ここでは、耳掛型補聴器とは、補聴器本体の全長(本体とは、ハンガー部分、チュブ部分を除く本体部分を指す)が略3cm以上であるものを指し、小型耳掛型補聴器とは、補聴器本体の全長が略3cm未満であるものを指している。
図5は、補聴器装用者の操作として爪先で弾く音(接触音の一例)を耳掛型(実験機種A)の補聴器に適用した場合のグラフを示す。図5(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベル(ここでは最大入力音圧レベルを0dBと表記)を示し、図5(b)は時間応答であるインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図5(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
なお、図5(a)では、th1(−15dBの線)は第1の所定閾値の一例を示しており、th2(−9dBの線)は第2の所定閾値の一例を示している。また、tiは所定時間区間の一例を示しており、dは時間幅の一例を示している。図5を参照すると、所定時間区間tiにおいて時間応答が第2の所定閾値となる時点が2回以上であることが理解できる。この場合、信号処理部において入力信号は接触音であると判断され、補聴器の設定が変更される。
図6は、補聴器装用者の操作として爪先で弾く音(接触音の一例)を小型耳掛型(実験機種B)の補聴器に適用した場合のグラフを示す。図6(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図6(b)は時間応答であるインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図6(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
耳掛型補聴器、小型耳掛型補聴器のいずれについても、図6(a)の入力信号振幅の時間応答を他の接触音の例と比較すると、爪先で弾く音は音圧レベルが大きいことが理解できる。したがって、これらの補聴器を爪先で弾いた場合には音圧レベルが上記第2の所定閾値を確実に上回り、確実に補聴器の設定変更を行うことができる。
図7は、補聴器装用者の操作として爪先で叩く音であるタップ音(接触音の一例)を耳掛型(実験機種A)の補聴器に適用した場合のグラフを示す。図7(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図7(b)は時間応答であるインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図7(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
図8は、補聴器装用者の操作として爪先で叩く音であるタップ音(接触音の一例)を小型耳掛型(実験機種B)の補聴器に適用した場合のグラフを示す。図8(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図8(b)は時間応答であるインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図8(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
図9は、補聴器装用者の操作として指腹で撫でる音(接触音の一例)を補聴器に適用した場合のグラフを示す。図9(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図9(b)は時間応答のインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図9(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。なお、指腹で補聴器をなでる場合には、録音するマイク101と音源が非常に近接しているので、爪先で弾く音や爪先タップ音、および体内発生音と比して、補聴器形状(耳掛型、耳穴型)の違いによる影響は少ない。
図10は、補聴器装用者の操作として咀嚼音(接触音の一例)を耳掛型の補聴器に適用した場合(測定場所が耳介上部)のグラフを示す。図10(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図10(b)は時間応答のインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図10(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
図11は、補聴器装用者の操作として咀嚼音(接触音の一例)を耳穴型の補聴器に適用した場合(測定場所が外耳道内)のグラフを示す。図11(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図11(b)は時間応答のインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図11(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
このように本実施形態にかかる補聴器によれば、例えば、補聴器装用者が補聴器を爪先で弾く音やタップ音を入力信号とすれば、入力信号の強度が所定閾値以上になる場合を確実に検知することができ、雑音のある通常環境においても確実に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。爪先で弾く音を最も検出しやすく、次にタップ音を検出しやすい。したがって、爪先で弾く音を接触音とすることが最も好ましく、次にタップ音が好ましい。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態にかかる補聴器システムの概略構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の補聴器システムは、補聴器設定装置400と補聴器100とからなる。補聴器設定装置400は、補聴器の所定の設定が入力される設定選択部401と、マスカ音(マスクする音)を記憶するマスカ音記憶部403と、マスキ音(マスクされる音)を記憶するマスキ音記憶部404と、補聴器設定に基づいてマスカ音およびマスキ音から設定音を合成する設定音合成部405と、設定音をアナログ信号に変換するD/A変換部407と、設定音を出力するスピーカ408とを備える。なお、第1の実施形態にかかる補聴器の構成と同一の部分に関しては、同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
なお、マスキング(masking)とは、例えば、雑音の激しいところで会話する場合のように、ある音が他の音の存在によって聞こえにくくなる現象をいう。この場合、マスクする音(マスカ音:masker)を一定の感覚レベルに保ち、マスクされる音(マスキ音:maskee)のレベルを、それが聞こえない状態からしだいに上げていき、聞こえ始めるレベル、すなわちマスカ音が存在するときのマスキ音の最小可聴値を求め、マスカ音がないときの最小可聴値からのずれをdBで表わし、これをマスキングレベルとする。
なお、マスカ音は、例えば設定装置が携帯電話である場合には、着信音としてもよい。また、マスキ音は、例えば補聴器の設定を変更する際に出力する調整音であり、例えば「ピピッ」のような従来の設定音である。ここで、マスキ音をマスカ音のマスキングレベル以下に設定することにより、補聴器設定時に補聴器装用者は不快感を感じることはない。また、補聴器装用者の好みに応じて、適宜マスカ音を設定できるように構成してもよい。
また、マスカ音からマスキ音を抽出するためには、マスキ音に含まれる周波数成分は、マスカ音に含まれない事が望ましい。この理由は、補聴器設定操作を補聴器装用者の指示により行うことを考えると、補聴器設定装置と補聴器との距離が一定とは限らないため、仮に補聴器設定装置の再生音が一定であっても、補聴器の入力音の音圧レベルが変動することが考えられる。この場合、同一周波数成分を含むと、マスカ音からマスキ音を抽出することが困難となるためである。
また、設定音の具体例は、例えば設定装置が携帯電話である場合に着信音と従来の設定音とを含む音である。なお、設定装置が携帯電話である場合、マスキ音とマスカ音を合成した設定音をサーバから携帯電話に事前にダウンロードしておき、その設定音を携帯電話で再生して、補聴器の設定変更をする形態も考えられる。
設定選択部401から補聴器設定が入力されると、設定音合成部405は、設定選択部401から供給される補聴器設定に応じて、マスキ音記憶部404に記憶されたマスキ音にマスカ音記憶部403に記憶されたマスカ音を合成し、設定音としてスピーカ408により出力される出力信号を生成する。
ここで、マスカ音およびマスキ音は、補聴器100の設定変更を行うために、周波数や音圧レベルを調整して出力することが出来る音源生成装置で事前に生成しておく。
なお、音源生成装置がマスカ音を生成する際に、マスカ音はマスキ音に含まれる周波数成分を含まない音源、つまり、マスキ音に含まれる周波数成分以外の周波数成分を含む音源を選択することが望ましい。また、音源生成装置が、マスカ音を生成する際、耳障りでない音、例えば音楽などを選択することにより、補聴器装用者の不快感を低減することができる。このように生成したマスカ音は、マスカ音記憶部403に記憶する。
なお、音源生成装置がマスキ音を生成する際、単一周波数成分を有する場合と複数の周波数成分を有する場合とが考えられる。まずマスキ音として単一周波数成分であれば、信号処理の演算量を軽減できる。一方、複数の周波数成分であれば、設定音を短く出来る可能性がある。このように生成されたマスキ音は、マスキ音記憶部404に記憶される。
一方、補聴器100は、設定音410を収音するマイク101と、設定音410をディジタル信号に変換するA/D変換部111と、設定音から補聴器設定を抽出する設定変更用信号処理部420と、音声信号の周波数特性等を調整する補聴器用信号処理部118と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換部119と、変換されたアナログ信号である出力信号から出力音を再生するレシーバ103とを備える。
マイク101は、スピーカ408から出力される設定音410を検出し、A/D変換部111は、設定音410をディジタル信号(設定信号)に変換する。設定変更用信号処理部420は、設定信号からマスキ音を抽出し、さらにマスキ音から補聴器設定を抽出して補聴器の設定を変更する。この場合、マスキ音はマスカ音のマスキングレベル以下とすることができる。つまり、マスカ音を示す信号の信号強度がマスカ音を示す信号の信号強度より小さい状態とすることができる。また、マスキ音を純音(単一周波数の音)とすることができる。マスキ音を純音とすることで、信号の情報量が小さくなり、処理負荷が軽減される。
図4は、設定変更用信号処理部420の内部構成の一例を示す概略図である。設定変更用信号処理部420は、入力信号を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)することにより周波数領域のデータに変換するFFT部201と、入力信号の信号強度と比較するための所定閾値を記憶する閾値記憶部501と、入力信号としての設定音からマスキ音を抽出するマスキ音抽出部502と、抽出したマスキ音および所定閾値から補聴器設定を抽出する信号判定部503と、抽出した補聴器設定に基づいて設定を変更する設定制御部126とを有する。
補聴器100は、設定装置400と同様、マスキ音自体、もしくはマスキ音の特徴(例えば、周波数成分および周波数信号レベルなど)を記憶しており、マスキ音抽出部502は、その記憶内容を元に設定音の中からマスキ音を抽出する。マスキ音抽出部502は、FFT部201の出力である周波数成分毎の信号から、マスキ音の特徴(例えば、周波数成分)に着目し、マスキ音が含まれるか否かの情報(例えば、マスキ音抽出フラグ)を生成する。ここで、マスカ音にはマスキ音に含まれる周波数成分を含まない制限を加えることにより、マスキ音の抽出を行うことができる。
信号判定部503は、抽出されたマスキ音を元に、補聴器に対する設定変更内容を算出する。ここでマスキ音が純音である場合には、周波数軸上でマスキ音に対応する周波数帯域に対して、所定の閾値を設定し、この所定の閾値を時間軸上で少なくとも2回以上超えた場合に、補聴器の設定変更と判断する。ここで、少なくとも2回以上とは、誤動作防止の目的で設定している。
なお、マスキ音が複数の純音の組合せである場合も考えられる。この場合、信号判定部503は、複数の純音に対して、所定の閾値を設定し、この所定の閾値を、複数の純音のうち、全てもしくはいずれかが超えた場合に、補聴器の設定変更と判断する。この様に、複数の純音を用いると、誤動作防止目的の、時間軸上で少なくとも2回以上検出という処理を省略する事ができる。
このように本実施形態の補聴器システムによれば、抽出したマスキ音から補聴器設定を抽出し、抽出した補聴器設定に基づいて設定を変更するので、設定時に耳障りな調整音が聞こえることがなく、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態にかかる補聴器の目的は、補聴器装用者の設定変更回数の低減と、補聴器装用者の意図しない設定変更の防止である。例えば補聴器の音量の増減を設定する際に、例えば増加方向と減少方向で別設定が出来ず、巡回して音量設定が切り替る場合を考える。一例として、補聴器装用者の意図として音量減をしたいにも関わらず、巡回設定として一旦音量増加してから上限に到達した後に、音量の下限に切り替る場合が考えられる。この場合、補聴器装用者にとって複数回の設定変更が必要で、かつ意図せずに一時的に音量増設定になってしまい、不便に感じることがある。これに対して、補聴器装用者の操作の違いを補聴器で識別することにより、音量増なのか音量減なのかを識別して、1回の操作で意図通りの設定を反映する方法を説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態にかかる補聴器の概略構成の一例を示すブロック図である。本発明の第3の実施形態と第1の実施形態の違いは、図1に示す補聴器100では、マイク101が一つであった事に対し、図13においては、前側マイク101Fと後側マイク101Rという2マイク構成であるという点である。補聴器にマイクを2つ搭載する構成は、後方の音を抑圧して前方の音を聞きやすくする指向性合成機能を実現するための構成として一般的に用いられる。図13の構成において、マイクが1つ搭載される構成であった図1と同じ部分の説明は割愛し、図1と異なる部分である信号処理部120について説明する。なお、前側マイク101Fは、補聴器100が補聴器装用者の耳に装着された場合に図14〜図17に図示された前方方向の前側に配置され、後ろ側マイク101Rは、補聴器100が補聴器装用者の耳に装着された場合に図14〜図17に図示された前方方向の後側に配置される。
信号処理部120は、前側マイク101Fと後側マイク101Rからの入力信号を入力とする。図13における信号処理部120において、信号強度算出部121、閾値記憶部123、信号強度比較部124、信号判定部125は、図1と同じ処理を行う構成部である。前後マイク信号比較部610は、前側マイク101Fでの入力信号に対する判定結果と、後側マイク101Rでの入力信号に対する判定結果とを比較する。前後マイク信号比較部610の処理は、図14、図15、図16、図17を用いて説明する。前後マイク信号比較部610により識別された設定は、設定制御部126に反映される。
すなわち、信号処理部120は、所定時間区間において、補聴器100への接触時に発生する接触音に基づく前側マイク101Fによる入力信号および後側マイク101Rによる入力信号の時間応答を判定する。そして、判定された時間応答に基づいて、補聴器100の複数の設定を識別して変更する。複数の設定とは、例えば音量の増加方向の変更設定及び音量の減少方向の変更設定が考えられる。
図14、図15、図16、図17は、本発明の第3の実施形態にかかる補聴器において、補聴器装用者による2マイクを搭載した耳掛型の補聴器100に対する操作を示す図14(a)、図15(a)、図16(a)、図17(a)と、補聴器100の前側マイク101Fおよび後側マイク101Rからの入力信号の時間応答の一例を示す図14(b)、図15(b)、図16(b)、図17(b)と、を各操作に分けて記載した図である。このうち図14、図15は、補聴器装用者が設定変更を行うための操作として、補聴器100のマイク101付近を指の爪先で叩く、もしくは弾く場合を表す。また図16,図17は、補聴器装用者が設定変更を行うための操作として、指の爪先もしくは指の腹で、補聴器のマイク101付近を擦るもしくは撫でる場合を表す。なお、図14〜17では耳掛型補聴器で説明するが、耳穴型補聴器であるカナル型、コンチャ型、CIC型等にも適用可能である。
図14では、補聴器装用者が設定変更を行うために、指の爪先911で補聴器100の前側マイク101F付近を叩く、もしくは弾く場合を想定している。図14(a)は、その操作を示す図であり、図14(b)は、その場合の時間応答を示す図である。
図14(a)は、補聴器装用者の耳介900に耳掛型の補聴器100が装着され、指910により設定変更の操作がされることを示している。補聴器100には2つのマイクが搭載されており、前側マイク101Fと後側マイク101Rが存在する。また、各々のマイクに音を取り入れる(入力する)ために、前側マイク101Fは前側音孔601Fを有し、後側マイク101Rは後側音孔601Rを有する。
図14(b)は、指の爪先911で補聴器100の前側マイク101F付近を叩いたとき、もしくは、弾いたときの、前側マイク101Fの入力信号の時間応答621Fと、後側マイク101Rの入力信号の時間応答621Rと、を示している。時間応答621Fは、時間応答621Rより振幅が大きくなる。これより、補聴器装用者が前側マイク101F付近に接触したことを、補聴器100で識別することが出来る。
図15では、補聴器装用者が設定変更を行うために、指の爪先911で補聴器100の後側マイク101R付近を叩く、もしくは弾く場合を想定している。図15(a)は、その操作を示す図であり、図15(b)は、その場合の時間応答を示す図である。
図15(a)について、図14(a)と同じ部分は説明を割愛するが、異なる部分は、補聴器装用者が補聴器100の設定変更を行うために、後側マイク101R付近を叩く、もしくは弾く点である。
図15(b)は、指の爪先911で補聴器100の後側マイク101R付近を叩いたとき、もしくは、弾いたときの、前側マイク101Fの入力信号の時間応答622Fと、後側マイク101Rの入力信号の時間応答622Rと、を示している。時間応答622Rは、時間応答622Fより振幅が大きくなる。これより、補聴器装用者が後側マイク101R付近に接触したことを、補聴器100で識別することが出来る。
すなわち、図14および図15についての上述の説明のように、補聴器装用者が爪先で補聴器100を叩く、もしくは弾く場所を変更することにより、補聴器100の前後マイク信号比較部610で補聴器装用者の操作を識別することが出来る。このとき、前後マイク信号比較部610は、時間応答621Fおよび時間応答621Rに示された各々の入力信号の振幅値を比較し、設定制御部126は、当該振幅に基づいて、補聴器100の複数の設定を識別して変更する。これにより、補聴器100で補聴器装用者の意図を識別する事が出来、補聴器装用者が不快に感じることなく、意図通りの設定変更することが可能となる。
図16では、補聴器装用者が設定変更を行うために、指の爪先911で補聴器100の後側マイク101Rから前側マイク101Fの方向へ擦る、もしくは撫でる場合を想定している。図16(a)は、その操作を示す図であり、図16(b)は、その場合の時間応答を示す図である。
図16(a)について、図14(a)と同じ部分は説明を割愛するが、異なる部分は、補聴器装用者が補聴器100の設定変更を行うために、例えば指の爪先911で後側マイク101Fから前側マイク101Fの方向に擦る、もしくは撫でる点である。すなわち、ここでの操作は、指の爪先911を補聴器100に接触させ、図16(a)に図示する矢印の方向へ指を移動させる操作である。
図16(b)は、指の爪先911で補聴器100の後側マイク101Rから前側マイク101Fの方向へ擦ったとき、もしくは撫でたときの、前側マイク101Fの入力信号の時間応答631Fと、後側マイク101Rの入力信号の時間応答631Rと、を示している。時間応答631Rは、時間応答631Fより、振幅のピーク部分が時間軸上で早く現れることが理解できる。これより、補聴器装用者が補聴器100を後側から前側に擦る、もしくは撫でる操作であることを、補聴器100が識別することが出来る。
図17では、補聴器装用者が設定変更を行うために、指の爪先911で補聴器100の前側マイク101Fから後側マイク101Rの方向に擦る、もしくは撫でる場合を想定している。図17(a)は、その操作を示す図であり、図17(b)は、その場合の時間応答を示す図である。
図17(a)について、図16(a)と同じ部分は説明を割愛するが、異なる部分は、補聴器装用者が補聴器100の設定変更を行うために、例えば指の爪先911で前側マイク101Fから後側マイク101Rの方向に擦る、もしくは撫でる点である。すなわち、ここでの操作は、指の爪先911を補聴器100に接触させ、図17(a)に図示する矢印の方向へ指を移動させる操作である。
図17(b)は、指の爪先911で補聴器100の前側マイク101Fから後側マイク101Rの方向に擦ったとき、もしくは撫でたときの、前側マイク101Fの入力信号の時間応答632Fと、後側マイク101Rの入力信号の時間応答632Rと、を示している。時間応答632Fは、時間応答632Rより、振幅のピーク部分が時間軸上で早く現れることが理解できる。これより、補聴器装用者が補聴器100を前側から後側に擦る、もしくは撫でる操作であることを、補聴器100が識別することが出来る。
すなわち、図16および図17の説明のように、補聴器装用者が爪先で後側マイク101Rから前側マイク101Fの方向に、又はその逆で、前側マイク101Fから後側マイク101Rの方向に、擦るもしくは撫でる操作を、補聴器100の前後マイク信号比較部610が識別することが出来る。このとき、前後マイク信号比較部610は、時間応答621Fおよび時間応答621Rに示された各々の入力信号の振幅ピーク時点の時間差を判定し、設定制御部126は、当該振幅ピーク時点の時間差に基づいて、補聴器100の複数の設定を識別して変更する。これにより、補聴器100で補聴器装用者の意図を識別する事が出来、補聴器装用者が不快に感じることなく、意図通りの設定変更することが可能となる。
さらに、補聴器単体で音量設定可能な機械的なスイッチを有する補聴器では、音量設定の手段として、円盤状の可変音量変更スイッチを用いる場合があり、この操作と、本実施形態の補聴器を擦る、もしくは撫でるという操作が似ている。このことから、音量増減に対する操作として、擦る、もしくは撫でるという操作により、簡単に補聴器装用者の音量設定に対する誤操作を低減することできるという効果がある。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2008年8月20日出願の日本特許出願No.2008-212050に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、補聴器の設定の変更による不快感を感じることがなく、さらに設定の変更を簡単化することができる補聴器および補聴器システム等として有用である。
4 電気音響変換部
5 制御信号発生部
6 通話検出部
10 電話機
40,100 補聴器
41 音波受信部
43 受信切換部
44 電力増幅部
46 分析制御部
101 マイク
101F 前側マイク
101R 後側マイク
103 レシーバ
111 A/D変換部
118 補聴器用信号処理部
119 D/A変換部
120 信号処理部
121 信号強度算出部
123 閾値記憶部
124 信号強度比較部
125 信号判定部
126 設定制御部
201 FFT部
202 スペクトル比較部
400 補聴器設定装置
401 設定選択部
403 マスカ音記憶部
404 マスキ音記憶部
405 設定音合成部
407 D/A変換部
408 スピーカ
410 設定音
420 設定変更用信号処理部
501 閾値記憶部
502 マスキ音抽出部
503 信号判定部
601F 前側音孔
601R 後側音孔
610 前後マイク信号比較部
621F 爪先で前側音孔付近を叩いた場合の前側マイクからの入力信号
621R 爪先で前側音孔付近を叩いた場合の後側マイクからの入力信号
622F 爪先で後側音孔付近を叩いた場合の前側マイクからの入力信号
622R 爪先で後側音孔付近を叩いた場合の後側マイクからの入力信号
631F 爪先で後側音孔から前側音孔の方向に擦った場合の前側マイクからの入力信号
631R 爪先で後側音孔から前側音孔の方向に擦った場合の後側マイクからの入力信号
632F 爪先で前側音孔から後側音孔の方向に擦った場合の前側マイクからの入力信号
632R 爪先で前側音孔から後側音孔の方向に擦った場合の後側マイクからの入力信号
900 耳介
910 指
911 指の爪先
本発明は、補聴器および補聴器システムに関し、特に、補聴器の設定(音量・動作モード)変更を簡単化することができる補聴器および補聴器システムに関する。
補聴器は、音声又は非音声の区別,周囲雑音,騒音又は残響の程度に応じて音声等の聴感を向上させ、音環境によらずに明瞭性の高い音声を再生する事が要望されている。この要望に対し、補聴器本体に音量変更ボタンや動作モード変更ボタンが付加され、補聴器装用者が意識的に利用シーンや音環境に応じた設定変更を行うことが可能な補聴器が存在する(例えば、特許文献1参照)。
一方、補聴器装用者が無意識的に音環境に応じて設定変更を行う技術として、様々な音響信号を事前(学習フェーズ)に分類整理し、学習フェーズにて分類整理された音響信号を用いて入力音響信号の増幅等を音環境に応じて自動的に設定変更する信号処理技術が存在する(例えば、特許文献2参照)。
また、補聴器本体以外の他機器を介して設定変更する方法として、音響パラメータの調整に関し、ネットワークを介してモバイル機器をサーバおよび聴力カルテ・データベースと接続して、モバイル機器の音質調整が可能な技術が存在する(例えば、特許文献3参照)。
さらに、電話機から補聴器の制御信号を発生し、受話信号とともに制御信号を音波に変換して送信する技術が存在する。図12は、かかる遠隔制御補聴器システムの構成例を示すブロック図である。この遠隔制御補聴器システムは、電話機10と、補聴器40とを有する。
電話の通話が始まると、通話中であることを電話機10の通話検出部6が検出する。通話検出部6で通話中であることが検出されると、制御信号発生部5は、制御信号を発生させる。制御信号と受話信号は、電気音響変換部4により、音響信号に変換され、補聴器40へ送信される。
送信された音響信号は、補聴器40側の音波受信部41で受信され、電気信号である受信信号へ変換される。音波受信部41で変換された受信信号は、受信切換部43を経て、電力増幅部44および分析制御部46へ送られる。送られた受信信号は、分析制御部46において、周波数解析され記憶されている信号と比較されることにより、制御信号を発生させる。制御信号は、電力増幅部44へ送られ受信信号の増幅率を変化させるために用いられる(例えば、特許文献4参照)。
特開平9−18998号公報 特開2005−203981号公報 特許第3482465号公報 特開2006−229866号公報
しかしながら、上記従来の補聴器は、ユーザが意識的に補聴器本体の設定変更を行う場合、音量変更ボタンおよび動作モード変更ボタンが小型でかつ、補聴器装用時にはボタンが直接見えず、設定変更の操作が困難であるという課題がある。一方、補聴器の設定を音環境に応じて自動的に変更する技術が存在するが、操作不要という利点がある一方で、必ずしもユーザの意図と設定が一致しないという課題もある。また、補聴器本体以外の他機器により設定変更を行う技術が存在するが、他機器を常時携帯しておかないと、ユーザが意図した時に設定変更が行えないという制約があった。また、補聴器を調整するためのサーバやデータベース、電話機などの外部装置を用いて音響パラメータを調整するものであり、外部装置を用いて音響パラメータを調整する場合、携帯電話による設定時に耳障りな調整音が聞こえ、不快感を感じることがあった。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、ユーザが音環境に応じた補聴器の設定変更を意図どおりに反映でき、かつ補聴器の設定の変更による不便さや不快感を感じることがなく、さらに設定変更を簡単化することができる補聴器および補聴器システムを提供することを目的としている。
本発明の補聴器は、入力音から入力信号を生成するマイクと、前記入力信号から出力信号を生成する信号処理部と、前記出力信号から出力音を再生するレシーバとを備え、前記信号処理部が、所定時間区間において、当該補聴器への接触時に発生する接触音に基づく前記入力信号の時間応答を判定し、前記時間応答に基づいて当該補聴器の設定を変更し、前記信号処理部が、前記入力信号の強度を算出し、所定時間区間における前記入力信号の強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、前記所定時間区間における前記入力信号の強度が第2の所定閾値以上になる時点を少なくとも2回検知することにより、当該補聴器の設定を変更する。
上記構成によれば、入力信号の時間応答を判定し、時間応答に基づいて補聴器の設定を変更するので、小型化された補聴器のボタン操作を行うことなく、また別の機器を用いることなく補聴器だけで、簡単に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。
また、入力信号の強度が第2の所定閾値以上になる場合を少なくとも2回検知することにより設定を変更するので、雑音のある通常環境においても確実に補聴器の設定の変更を行うことができる。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記入力信号の強度が前記第2の所定閾値以上になる時点を検知するための時間幅を設定する。
上記構成によれば、時間幅を設定自在にすることで、補聴器装用者の使用環境に合わせて誤検出を最小にすることができる。
また、本発明の補聴器は、前記接触音が、爪先で弾く音または爪先のタップ音であり、前記信号処理部が、前記時間幅を20msec以下に設定する。
上記構成によれば、例えば、時間幅が狭すぎることで接触音を検出不可能となることを防止でき、かつ、時間幅が広すぎることで接触音以外の音を誤検出することを防止可能である。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記入力信号の強度が前記第2の所定閾値以上になる時点を検知した時間幅に対して、信号強度を低減する。
上記構成によれば、入力信号の強度が第2の所定閾値以上になる場合を検出した時間幅に対して、入力信号の強度を低減するので、補聴器の設定の変更を行う際に、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
また、本発明の補聴器は、入力音から入力信号を生成するマイクと、前記入力信号から出力信号を生成する信号処理部と、前記出力信号から出力音を再生するレシーバとを備え、前記信号処理部が、所定時間区間において、当該補聴器への接触時に発生する接触音に基づく前記入力信号の時間応答を判定し、前記時間応答に基づいて当該補聴器の設定を変更し、前記信号処理部が、前記入力信号の強度を算出し、所定時間区間における前記入力信号の強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、前記入力信号を周波数領域の信号に変換し、前記周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下になる時点を少なくとも2回検知することにより、当該補聴器の設定を変更する。
上記構成によれば、入力信号の時間応答を判定し、時間応答に基づいて補聴器の設定を変更するので、小型化された補聴器のボタン操作を行うことなく、また別の機器を用いることなく補聴器だけで、簡単に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。
また、周波数信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下である場合を少なくとも2回検知することにより設定を変更するので、雑音のある通常環境においても確実に補聴器の設定の変更を行うことができる。
また、本発明の補聴器システムは、補聴器と前記補聴器の設定を変更する補聴器設定装置とを有する補聴器システムであって、前記補聴器設定装置が、前記補聴器の設定を入力する入力部と、前記補聴器の設定を変更する際に出力する調整音を示すマスキ音および前記マスキ音をマスクするためのマスカ音の情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記マスカ音および前記マスキ音と前記入力部により入力された前記補聴器の設定に基づいて、出力信号を生成する信号合成部と、前記出力信号から設定音を再生するスピーカと、を備え、前記補聴器が、前記補聴器設定装置により再生された設定音から設定信号を生成するマイクと、前記設定信号から前記マスキ音を抽出し、抽出したマスキ音から前記補聴器の設定を抽出し、抽出した補聴器の設定に基づいて当該補聴器の設定を変更する信号処理部と、を備える。
上記構成によれば、補聴器の設定変更時に耳障りな調整音が聞こえることがなく、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
また、本発明の補聴器システムは、前記マスキ音を示す信号の信号強度が、前記マスカ音を示す信号の信号強度以下である。
上記構成によれば、マスキ音をマスカ音のマスキングレベル以下とするので、設定時に耳障りな調整音が聞こえることがなく、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記入力信号の強度を算出し、所定時間区間における前記入力信号の強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、前記所定時間区間における前記入力信号の強度が第2の所定閾値以上になる回数を検知し、前記回数に基づいて当該補聴器の複数の設定を識別して変更する。
上記構成によれば、上記回数に応じて、ボタン操作を行うことなく、容易に複数の設定を識別して変更することができる。
また、本発明の補聴器は、入力音から第1入力信号を生成する第1マイクと、入力音から第2入力信号を生成する第2マイクと、前記第1入力信号と前記第2入力信号から出力信号を生成する信号処理部と、前記出力信号から出力音を再生するレシーバとを備え、前記信号処理部は、所定時間区間において、当該補聴器への接触時に発生する接触音に基づく前記第1入力信号および前記第2入力信号の時間応答を判定し、前記時間応答に基づいて当該補聴器の複数の設定を識別して変更する。
上記構成によれば、2つの入力信号の時間応答を判定し、時間応答に基づいて補聴器の設定を変更するので、小型化された補聴器のボタン操作を行うことなく、また別の機器を用いることなく補聴器だけで、簡単に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。さらに、2つの入力信号の時間応答に基づいて、ボタン操作を行うことなく、容易に複数の設定を識別して変更することができる。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部が、前記第1入力信号と前記第2入力信号の振幅値を比較し、前記振幅値に基づいて、当該補聴器の複数の設定を識別して変更する。
上記構成によれば、例えば第1マイクのみ接触音を入力した場合と第2マイクのみ接触音を入力した場合とで異なる複数の設定(例えば音量増の設定と音量減の設定)を行うことができる。
また、本発明の補聴器は、前記信号処理部は、前記第1入力信号と前記第2入力信号の振幅ピーク時点の時間差を判定し、前記振幅ピーク時点の時間差に基づいて、当該補聴器の複数の設定を識別して変更する。
上記構成によれば、例えば第1マイクが接触音を入力した後に第2マイクが接触音を入力した場合と、第2マイクが接触音を入力した後に第1マイクが接触音を入力した場合とで、異なる複数の設定(例えば音量増の設定と音量減の設定)を行うことができる。
本発明は、小型化された補聴器のボタン操作を行うことなく、また別の機器を用いることなく、補聴器だけで、簡単に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。
また、抽出したマスキ音から補聴器設定を抽出し、抽出した補聴器設定に基づいて設定を変更するので、設定時に耳障りな調整音が聞こえることがなく、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
本発明の第1の実施形態にかかる補聴器の概略構成の一例を示すブロック図 本発明の第1の実施形態の補聴器における信号処理部の内部構成の一例を示すブロック図 本発明の第2の実施形態にかかる補聴器システムの概略構成の一例を示すブロック図 本発明の第2の実施形態の補聴器における設定変更用信号処理部の内部構成の一例を示すブロック図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として爪先で弾く音を耳掛型(実験機種A)の補聴器に適用した場合の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として爪先で弾く音を小型耳掛型(実験機種B)の補聴器に適用した場合の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として爪先で叩く音(タップ音)を耳掛型(実験機種A)の補聴器に適用した場合の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として爪先で叩く音(タップ音)を小型耳掛型(実験機種B)の補聴器に適用した場合の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として指腹で撫でる音を補聴器に適用した場合の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として咀嚼音を耳掛型の補聴器に適用した場合(測定場所が耳介上部)の時間応答の一例を示す図 本発明の第1の実施形態において、補聴器装用者の操作として咀嚼音を耳穴型の補聴器に適用した場合(測定場所が外耳道内)の時間応答の一例を示す図 従来の遠隔制御補聴器システムの構成例を示すブロック図 本発明の第3の実施形態にかかる補聴器の概略構成の一例を示すブロック図 (a)本発明の第3の実施形態において、補聴器装用者が爪先で前側音孔付近を叩いた場合の操作を示す図、(b)時間応答の一例を示す図 (a)本発明の第3の実施形態において、補聴器装用者が爪先で後側音孔付近を叩いた場合の操作を示す図、(b)時間応答の一例を示す図 (a)本発明の第3の実施形態において、補聴器装用者が爪先で後側音孔から前側音孔の方向に擦った場合の操作を示す図、(b)時間応答の一例を示す図 (a)本発明の第3の実施形態において、補聴器装用者が爪先で前側音孔から後側音孔の方向に擦った場合の操作を示す図、(b)時間応答の一例を示す図
本発明の実施形態における補聴器では、補聴器装用者が補聴器本体を触る音(接触音)を補聴器が検知して設定変更(音響パラメータの変更)を行う。例えば、入力信号の振幅変動が、第1の所定閾値以下の区間(例えば騒音のない状態)で、第2の所定閾値以上の信号を最低2回超過した場合に補聴器の設定変更を行う。つまり、所定時間区間において、補聴器への接触時に発生する接触音に基づく入力信号の時間応答を判定し、この時間応答に基づいて補聴器の設定を変更する。この場合、上記入力信号の周波数特性を限定してもよい。
上記音響パラメータとしては、補聴器の周囲の環境を示す環境パラメータ、補聴器の出力レベルを示す出力パラメータ、補聴器の周囲の雑音を抑圧する抑圧レベルを示す雑音抑圧パラメータ等がある。なお、本実施形態では、音響パラメータを設定、変更することを単に設定、変更と称することもある。
上記接触音には、補聴器装用者が補聴器本体を爪先で弾いた音、爪先のタップ音、マイクを撫でる音などが含まれる。また、補聴器装用者の体内発生音(歯の噛合せ音、歯ぎしり音、口笛、舌打音など)を利用してもよい。
また、本発明の実施形態における補聴器は、調整装置(例えば携帯電話)からの再生音をマスカ音(マスクする音)とし、補聴器調整音をマスキ音(マスクされる音)として、補聴器調整音を目立たなくする。また、補聴器調整音をマスカ音(再生音)のマスキングレベル以下とする。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる補聴器の概略構成の一例を示すブロック図である。図1に示す補聴器100は、入力音から入力信号を生成するマイク101と、入力信号をディジタル信号に変換するA/D変換部111と、入力信号を加工して出力信号を生成する信号処理部120と、入力信号としての音声信号の周波数特性等を調整する、つまり周波数特性等を制御する補聴器用信号処理部118と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換部119と、D/A変換されたアナログ信号である出力信号から出力音を再生するレシーバ103とを備える。
なお、補聴器用の信号処理としては、例えば、周波数毎に異なる増幅率で入力された音声信号を増幅等する非線形圧縮処理や、マイク101から入力された雑音成分を抑圧する雑音抑圧処理などがある。この補聴器用の信号処理は、補聴器設定としての音響パラメータに基づいて行うことができる。
信号処理部120は、入力信号の強度を算出する信号強度算出部121と、入力信号の信号強度との比較を行うための所定閾値を記憶する閾値記憶部123と、入力信号の信号強度と所定閾値を比較する信号強度比較部124と、所定閾値および比較結果に基づいて入力信号の時間応答を判定する信号判定部125と、時間応答の判定に基づいて補聴器の設定を変更する設定制御部126とを有する。
信号判定部125は、所定時間区間内における入力信号強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、所定時間区間内における入力信号強度が第2の所定閾値以上になる時点を少なくとも2回検知すると、設定制御部126に補聴器の設定を変更するための信号を出力する。
このとき、信号判定部125は、誤検出を低減するために、所定時間区間内における入力信号強度が第2の所定閾値以上になる時点を検知するための時間幅を設定することができる。補聴器装用者による補聴器本体への接触音として、爪先で補聴器本体を弾いたときに発生する音(これを、「爪先で弾く音」と表現)、もしくは爪先で補聴器本体を叩いた時に発生する音(これを、「爪先タップ音」と表現)を利用した場合を考える。この場合、1回の接触音として爪先で弾く音もしくは爪先タップ音の開始から終了までの、その時間幅を、例えば5msec以上、20msec以下とすることができる。なお、信号処理部120の処理量を考慮すると5msec以上が好ましいが、信号処理部120の周波数分析処理機能の発達により5msec未満でも可能である。なお、マイクを撫でる音、体内発生音は、上記時間幅が長くなる。また、爪先で弾く音もしくは爪先タップ音を検出する時間幅は可能な限り短くして、例えば1msecとしてもよい。接触音を検出するために時間幅を短くすることにより、接触音による振幅の時間的な立ち上がりを正確に検出できる。また、誤検出を防止するために、短い時間幅における入力信号の振幅値の平滑化処理を行う、もしくは所定時間区間内で平均化処理を行うことにより、接触音の検出精度を向上させる事が出来る。
また、信号判定部125により補聴器設定を行うための信号であると判定された場合に、この信号を設定信号として設定制御部126に入力し、設定制御部126による補聴器の設定変更を行う。
このとき、補聴器設定を行うために発生した接触音は補聴器装用者にとって不快なため、信号処理部120は、所定時間区間内に入力信号強度が第2の所定閾値以上になる時点を検出した時間幅に対して、信号強度を低減することができる。なお、信号強度を低減する方法の一例として、入力信号強度を第1の所定閾値未満に変換する方法や、入力信号強度を第2の所定閾値未満に変換する方法や、所定時間区間内において、接触音が発生していない時間区間と同等の音圧レベルに変換する方法などが考えられる。信号強度を抑圧する方法の具体例として、例えば特開平1−149508号公報に記載のある方法を適用したり、特開平6−276599号公報に記載のある衝撃音抑圧方法を適用したりすることが出来る。
次に、信号処理部120からの出力を、A/D変換部111の出力信号に対して、補聴器設定変更を行うために発生した接触音の信号強度を低減した信号とし、補聴器用信号処理部118の入力とする。ここで、補聴器用信号処理部118では、指向性合成処理、雑音抑圧処理、ハウリング抑圧処理、非線形圧縮処理などの補聴器として必要な信号処理を実施する。
補聴器用信号処理部118では、信号判定部125で補聴器設定を行うための信号であると判定され、設定制御部126で設定変更した場合、設定変更が完了した旨を補聴器装用者に報知するための信号を付加する。報知方法の一例として、例えば、通知音を発生したり、もしくは音声により通知したりすることが考えられる。
さらに、信号処理部120は、図1の代わりに図2のように構成することもできる。図2に示す信号処理部120は、図1に示した信号処理部120と比較して、入力信号を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)することにより周波数領域のデータに変換するFFT部201と、周波数領域のデータのスペクトルを比較するスペクトル比較部202とが追加されている。つまり、図1の信号処理部120では時間応答について判定を行ったが、図2の信号処理部120は、入力信号の周波数成分について判定を行うものである。
信号判定部125は、所定時間区間内における入力信号強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、入力信号を周波数領域の信号に変換し、周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下となる時点を少なくとも2回検知する場合に、補聴器の設定を変更する。つまり、周波数領域の信号の分析結果に応じて、補聴器の設定の変更を行う。なお、所定信号の波形は、閾値記憶部123に記憶されている。
また、信号判定部125は、誤検出を低減するために、上記周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下となる時点を検知するための時間幅を設定することができる。補聴器装用者による補聴器本体への接触音として、爪先で弾く音もしくは爪先タップ音を利用した場合を考える。この場合、1回の接触音として爪先で弾く音もしくは爪先タップ音の開始から終了までの、その時間幅を、例えば20msec以下とすることができる。なお、マイクを撫でる音、体内発生音は、上記時間幅が長くなる。
また、信号判定部125により補聴器設定を行うための信号であると判定された場合に、この信号を設定信号として設定制御部126に入力し、設定制御部126による補聴器の設定変更を行う。
このとき、補聴器設定を行うために発生した接触音は補聴器装用者にとって不快なため、信号処理部120は、所定時間区間内に周波数信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下となる時点を検出した時間幅に対して、信号強度を低減することができる。なお、信号強度を低減する方法の一例として、入力信号強度を第1の所定閾値未満に変換する方法や、所定時間区間内において、接触音が発生していない時間区間と同等の音圧レベルに変換する方法などが考えられる。
次に、信号処理部120からの出力を、A/D変換部111の出力信号に対して、補聴器設定変更を行うために発生した接触音の信号強度を低減した信号とし、補聴器用信号処理部118の入力とする。ここで、補聴器用信号処理部118では、指向性合成処理、雑音抑圧処理、ハウリング抑圧処理、非線形圧縮処理などの補聴器として必要な信号処理を実施する。
補聴器用信号処理部118では、信号判定部125で補聴器設定を行うための信号であると判定され、設定制御部126で設定変更した場合、設定変更が完了した旨を補聴器装用者に報知するための信号を付加する。報知方法の一例として、例えば、通知音を発生したり、もしくは音声により通知したりすることが考えられる。
なお、補聴器設定変更の一例として、音量設定における音量増の設定と音量減の設定など、複数の異なる補聴器100の設定を識別したい場合は、信号判定部125により判定基準を複数有してもよい。例えば、音量増の設定と音量減の設定とを識別する場合において、信号判定部125が、所定時間区間内における入力信号強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、所定時間区間内における入力信号強度が第2の所定閾値以上になる時点を、2回検出すれば音量増と判定し、3回以上検出すれば音量減と判定することが出来る。つまり、上記検出された回数に基づいて、補聴器100の複数の設定を識別して変更することが出来る。こうする事で、補聴器装用者の設定変更の意図を、補聴器の信号判定部125により識別することが可能となる。
また、補聴器装用者による補聴器100への異なる操作により発生する接触音、例えば爪先で弾く音、爪先タップ音、指腹で撫でる音、体内発生音などの接触音の種別を、信号の振幅や時間変動、周波数特性などから識別して、別の制御信号として用いることが考えられる。これにより、補聴器装用者の設定変更の意図を、補聴器100の信号判定部125が識別することが可能となる。これにより、複数の設定を識別して変更することができ、補聴器装用者の設定変更操作回数の低減や、意図しない設定変更の回避が可能となる効果がある。
このように本実施形態にかかる補聴器によれば、入力信号の時間応答を判定し、時間応答に基づいて補聴器の設定を変更するので、小型化された補聴器のボタン操作を行うことなく、また別の機器を用いることなく、補聴器だけで、簡単に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。特に、高齢者が補聴器装用者である場合には、小型化された補聴器の操作を行うことが困難であるため、大変有用である。
(実験結果)
次に、本実施形態の補聴器への様々な接触音を入力した場合の時間応答について説明する。ここでは、補聴器として、耳掛型補聴器、小型耳掛型補聴器を用いている。ここでは、耳掛型補聴器とは、補聴器本体の全長(本体とは、ハンガー部分、チュブ部分を除く本体部分を指す)が略3cm以上であるものを指し、小型耳掛型補聴器とは、補聴器本体の全長が略3cm未満であるものを指している。
図5は、補聴器装用者の操作として爪先で弾く音(接触音の一例)を耳掛型(実験機種A)の補聴器に適用した場合のグラフを示す。図5(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベル(ここでは最大入力音圧レベルを0dBと表記)を示し、図5(b)は時間応答であるインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図5(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
なお、図5(a)では、th1(−15dBの線)は第1の所定閾値の一例を示しており、th2(−9dBの線)は第2の所定閾値の一例を示している。また、tiは所定時間区間の一例を示しており、dは時間幅の一例を示している。図5を参照すると、所定時間区間tiにおいて時間応答が第2の所定閾値となる時点が2回以上であることが理解できる。この場合、信号処理部において入力信号は接触音であると判断され、補聴器の設定が変更される。
図6は、補聴器装用者の操作として爪先で弾く音(接触音の一例)を小型耳掛型(実験機種B)の補聴器に適用した場合のグラフを示す。図6(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図6(b)は時間応答であるインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図6(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
耳掛型補聴器、小型耳掛型補聴器のいずれについても、図6(a)の入力信号振幅の時間応答を他の接触音の例と比較すると、爪先で弾く音は音圧レベルが大きいことが理解できる。したがって、これらの補聴器を爪先で弾いた場合には音圧レベルが上記第2の所定閾値を確実に上回り、確実に補聴器の設定変更を行うことができる。
図7は、補聴器装用者の操作として爪先で叩く音であるタップ音(接触音の一例)を耳掛型(実験機種A)の補聴器に適用した場合のグラフを示す。図7(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図7(b)は時間応答であるインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図7(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
図8は、補聴器装用者の操作として爪先で叩く音であるタップ音(接触音の一例)を小型耳掛型(実験機種B)の補聴器に適用した場合のグラフを示す。図8(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図8(b)は時間応答であるインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図8(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
図9は、補聴器装用者の操作として指腹で撫でる音(接触音の一例)を補聴器に適用した場合のグラフを示す。図9(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図9(b)は時間応答のインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図9(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。なお、指腹で補聴器をなでる場合には、録音するマイク101と音源が非常に近接しているので、爪先で弾く音や爪先タップ音、および体内発生音と比して、補聴器形状(耳掛型、耳穴型)の違いによる影響は少ない。
図10は、補聴器装用者の操作として咀嚼音(接触音の一例)を耳掛型の補聴器に適用した場合(測定場所が耳介上部)のグラフを示す。図10(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図10(b)は時間応答のインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図10(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
図11は、補聴器装用者の操作として咀嚼音(接触音の一例)を耳穴型の補聴器に適用した場合(測定場所が外耳道内)のグラフを示す。図11(a)は入力信号振幅の時間応答であり、横軸は時間(単位は秒)、縦軸は音圧レベルを示し、図11(b)は時間応答のインパルス波形の時間方向の拡大図であり、横軸は時間(単位はミリ秒)、縦軸は音圧レベルである。また、図11(c)は、時間応答の周波数特性であり、横軸は周波数(単位はHz)、縦軸は音圧レベルである。
このように本実施形態にかかる補聴器によれば、例えば、補聴器装用者が補聴器を爪先で弾く音やタップ音を入力信号とすれば、入力信号の強度が所定閾値以上になる場合を確実に検知することができ、雑音のある通常環境においても確実に補聴器の設定(音量・動作モードなどの音響パラメータ)の変更を行うことができる。爪先で弾く音を最も検出しやすく、次にタップ音を検出しやすい。したがって、爪先で弾く音を接触音とすることが最も好ましく、次にタップ音が好ましい。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態にかかる補聴器システムの概略構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の補聴器システムは、補聴器設定装置400と補聴器100とからなる。補聴器設定装置400は、補聴器の所定の設定が入力される設定選択部401と、マスカ音(マスクする音)を記憶するマスカ音記憶部403と、マスキ音(マスクされる音)を記憶するマスキ音記憶部404と、補聴器設定に基づいてマスカ音およびマスキ音から設定音を合成する設定音合成部405と、設定音をアナログ信号に変換するD/A変換部407と、設定音を出力するスピーカ408とを備える。なお、第1の実施形態にかかる補聴器の構成と同一の部分に関しては、同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
なお、マスキング(masking)とは、例えば、雑音の激しいところで会話する場合のように、ある音が他の音の存在によって聞こえにくくなる現象をいう。この場合、マスクする音(マスカ音:masker)を一定の感覚レベルに保ち、マスクされる音(マスキ音:maskee)のレベルを、それが聞こえない状態からしだいに上げていき、聞こえ始めるレベル、すなわちマスカ音が存在するときのマスキ音の最小可聴値を求め、マスカ音がないときの最小可聴値からのずれをdBで表わし、これをマスキングレベルとする。
なお、マスカ音は、例えば設定装置が携帯電話である場合には、着信音としてもよい。また、マスキ音は、例えば補聴器の設定を変更する際に出力する調整音であり、例えば「ピピッ」のような従来の設定音である。ここで、マスキ音をマスカ音のマスキングレベル以下に設定することにより、補聴器設定時に補聴器装用者は不快感を感じることはない。また、補聴器装用者の好みに応じて、適宜マスカ音を設定できるように構成してもよい。
また、マスカ音からマスキ音を抽出するためには、マスキ音に含まれる周波数成分は、マスカ音に含まれない事が望ましい。この理由は、補聴器設定操作を補聴器装用者の指示により行うことを考えると、補聴器設定装置と補聴器との距離が一定とは限らないため、仮に補聴器設定装置の再生音が一定であっても、補聴器の入力音の音圧レベルが変動することが考えられる。この場合、同一周波数成分を含むと、マスカ音からマスキ音を抽出することが困難となるためである。
また、設定音の具体例は、例えば設定装置が携帯電話である場合に着信音と従来の設定音とを含む音である。なお、設定装置が携帯電話である場合、マスキ音とマスカ音を合成した設定音をサーバから携帯電話に事前にダウンロードしておき、その設定音を携帯電話で再生して、補聴器の設定変更をする形態も考えられる。
設定選択部401から補聴器設定が入力されると、設定音合成部405は、設定選択部401から供給される補聴器設定に応じて、マスキ音記憶部404に記憶されたマスキ音にマスカ音記憶部403に記憶されたマスカ音を合成し、設定音としてスピーカ408により出力される出力信号を生成する。
ここで、マスカ音およびマスキ音は、補聴器100の設定変更を行うために、周波数や音圧レベルを調整して出力することが出来る音源生成装置で事前に生成しておく。
なお、音源生成装置がマスカ音を生成する際に、マスカ音はマスキ音に含まれる周波数成分を含まない音源、つまり、マスキ音に含まれる周波数成分以外の周波数成分を含む音源を選択することが望ましい。また、音源生成装置が、マスカ音を生成する際、耳障りでない音、例えば音楽などを選択することにより、補聴器装用者の不快感を低減することができる。このように生成したマスカ音は、マスカ音記憶部403に記憶する。
なお、音源生成装置がマスキ音を生成する際、単一周波数成分を有する場合と複数の周波数成分を有する場合とが考えられる。まずマスキ音として単一周波数成分であれば、信号処理の演算量を軽減できる。一方、複数の周波数成分であれば、設定音を短く出来る可能性がある。このように生成されたマスキ音は、マスキ音記憶部404に記憶される。
一方、補聴器100は、設定音410を収音するマイク101と、設定音410をディジタル信号に変換するA/D変換部111と、設定音から補聴器設定を抽出する設定変更用信号処理部420と、音声信号の周波数特性等を調整する補聴器用信号処理部118と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換部119と、変換されたアナログ信号である出力信号から出力音を再生するレシーバ103とを備える。
マイク101は、スピーカ408から出力される設定音410を検出し、A/D変換部111は、設定音410をディジタル信号(設定信号)に変換する。設定変更用信号処理部420は、設定信号からマスキ音を抽出し、さらにマスキ音から補聴器設定を抽出して補聴器の設定を変更する。この場合、マスキ音はマスカ音のマスキングレベル以下とすることができる。つまり、マスカ音を示す信号の信号強度がマスカ音を示す信号の信号強度より小さい状態とすることができる。また、マスキ音を純音(単一周波数の音)とすることができる。マスキ音を純音とすることで、信号の情報量が小さくなり、処理負荷が軽減される。
図4は、設定変更用信号処理部420の内部構成の一例を示す概略図である。設定変更用信号処理部420は、入力信号を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)することにより周波数領域のデータに変換するFFT部201と、入力信号の信号強度と比較するための所定閾値を記憶する閾値記憶部501と、入力信号としての設定音からマスキ音を抽出するマスキ音抽出部502と、抽出したマスキ音および所定閾値から補聴器設定を抽出する信号判定部503と、抽出した補聴器設定に基づいて設定を変更する設定制御部126とを有する。
補聴器100は、設定装置400と同様、マスキ音自体、もしくはマスキ音の特徴(例えば、周波数成分および周波数信号レベルなど)を記憶しており、マスキ音抽出部502は、その記憶内容を元に設定音の中からマスキ音を抽出する。マスキ音抽出部502は、FFT部201の出力である周波数成分毎の信号から、マスキ音の特徴(例えば、周波数成分)に着目し、マスキ音が含まれるか否かの情報(例えば、マスキ音抽出フラグ)を生成する。ここで、マスカ音にはマスキ音に含まれる周波数成分を含まない制限を加えることにより、マスキ音の抽出を行うことができる。
信号判定部503は、抽出されたマスキ音を元に、補聴器に対する設定変更内容を算出する。ここでマスキ音が純音である場合には、周波数軸上でマスキ音に対応する周波数帯域に対して、所定の閾値を設定し、この所定の閾値を時間軸上で少なくとも2回以上超えた場合に、補聴器の設定変更と判断する。ここで、少なくとも2回以上とは、誤動作防止の目的で設定している。
なお、マスキ音が複数の純音の組合せである場合も考えられる。この場合、信号判定部503は、複数の純音に対して、所定の閾値を設定し、この所定の閾値を、複数の純音のうち、全てもしくはいずれかが超えた場合に、補聴器の設定変更と判断する。この様に、複数の純音を用いると、誤動作防止目的の、時間軸上で少なくとも2回以上検出という処理を省略する事ができる。
このように本実施形態の補聴器システムによれば、抽出したマスキ音から補聴器設定を抽出し、抽出した補聴器設定に基づいて設定を変更するので、設定時に耳障りな調整音が聞こえることがなく、補聴器装用者に不快感を与えることがない。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態にかかる補聴器の目的は、補聴器装用者の設定変更回数の低減と、補聴器装用者の意図しない設定変更の防止である。例えば補聴器の音量の増減を設定する際に、例えば増加方向と減少方向で別設定が出来ず、巡回して音量設定が切り替る場合を考える。一例として、補聴器装用者の意図として音量減をしたいにも関わらず、巡回設定として一旦音量増加してから上限に到達した後に、音量の下限に切り替る場合が考えられる。この場合、補聴器装用者にとって複数回の設定変更が必要で、かつ意図せずに一時的に音量増設定になってしまい、不便に感じることがある。これに対して、補聴器装用者の操作の違いを補聴器で識別することにより、音量増なのか音量減なのかを識別して、1回の操作で意図通りの設定を反映する方法を説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態にかかる補聴器の概略構成の一例を示すブロック図である。本発明の第3の実施形態と第1の実施形態の違いは、図1に示す補聴器100では、マイク101が一つであった事に対し、図13においては、前側マイク101Fと後側マイク101Rという2マイク構成であるという点である。補聴器にマイクを2つ搭載する構成は、後方の音を抑圧して前方の音を聞きやすくする指向性合成機能を実現するための構成として一般的に用いられる。図13の構成において、マイクが1つ搭載される構成であった図1と同じ部分の説明は割愛し、図1と異なる部分である信号処理部120について説明する。なお、前側マイク101Fは、補聴器100が補聴器装用者の耳に装着された場合に図14〜図17に図示された前方方向の前側に配置され、後ろ側マイク101Rは、補聴器100が補聴器装用者の耳に装着された場合に図14〜図17に図示された前方方向の後側に配置される。
信号処理部120は、前側マイク101Fと後側マイク101Rからの入力信号を入力とする。図13における信号処理部120において、信号強度算出部121、閾値記憶部123、信号強度比較部124、信号判定部125は、図1と同じ処理を行う構成部である。前後マイク信号比較部610は、前側マイク101Fでの入力信号に対する判定結果と、後側マイク101Rでの入力信号に対する判定結果とを比較する。前後マイク信号比較部610の処理は、図14、図15、図16、図17を用いて説明する。前後マイク信号比較部610により識別された設定は、設定制御部126に反映される。
すなわち、信号処理部120は、所定時間区間において、補聴器100への接触時に発生する接触音に基づく前側マイク101Fによる入力信号および後側マイク101Rによる入力信号の時間応答を判定する。そして、判定された時間応答に基づいて、補聴器100の複数の設定を識別して変更する。複数の設定とは、例えば音量の増加方向の変更設定及び音量の減少方向の変更設定が考えられる。
図14、図15、図16、図17は、本発明の第3の実施形態にかかる補聴器において、補聴器装用者による2マイクを搭載した耳掛型の補聴器100に対する操作を示す図14(a)、図15(a)、図16(a)、図17(a)と、補聴器100の前側マイク101Fおよび後側マイク101Rからの入力信号の時間応答の一例を示す図14(b)、図15(b)、図16(b)、図17(b)と、を各操作に分けて記載した図である。このうち図14、図15は、補聴器装用者が設定変更を行うための操作として、補聴器100のマイク101付近を指の爪先で叩く、もしくは弾く場合を表す。また図16,図17は、補聴器装用者が設定変更を行うための操作として、指の爪先もしくは指の腹で、補聴器のマイク101付近を擦るもしくは撫でる場合を表す。なお、図14〜17では耳掛型補聴器で説明するが、耳穴型補聴器であるカナル型、コンチャ型、CIC型等にも適用可能である。
図14では、補聴器装用者が設定変更を行うために、指の爪先911で補聴器100の前側マイク101F付近を叩く、もしくは弾く場合を想定している。図14(a)は、その操作を示す図であり、図14(b)は、その場合の時間応答を示す図である。
図14(a)は、補聴器装用者の耳介900に耳掛型の補聴器100が装着され、指910により設定変更の操作がされることを示している。補聴器100には2つのマイクが搭載されており、前側マイク101Fと後側マイク101Rが存在する。また、各々のマイクに音を取り入れる(入力する)ために、前側マイク101Fは前側音孔601Fを有し、後側マイク101Rは後側音孔601Rを有する。
図14(b)は、指の爪先911で補聴器100の前側マイク101F付近を叩いたとき、もしくは、弾いたときの、前側マイク101Fの入力信号の時間応答621Fと、後側マイク101Rの入力信号の時間応答621Rと、を示している。時間応答621Fは、時間応答621Rより振幅が大きくなる。これより、補聴器装用者が前側マイク101F付近に接触したことを、補聴器100で識別することが出来る。
図15では、補聴器装用者が設定変更を行うために、指の爪先911で補聴器100の後側マイク101R付近を叩く、もしくは弾く場合を想定している。図15(a)は、その操作を示す図であり、図15(b)は、その場合の時間応答を示す図である。
図15(a)について、図14(a)と同じ部分は説明を割愛するが、異なる部分は、補聴器装用者が補聴器100の設定変更を行うために、後側マイク101R付近を叩く、もしくは弾く点である。
図15(b)は、指の爪先911で補聴器100の後側マイク101R付近を叩いたとき、もしくは、弾いたときの、前側マイク101Fの入力信号の時間応答622Fと、後側マイク101Rの入力信号の時間応答622Rと、を示している。時間応答622Rは、時間応答622Fより振幅が大きくなる。これより、補聴器装用者が後側マイク101R付近に接触したことを、補聴器100で識別することが出来る。
すなわち、図14および図15についての上述の説明のように、補聴器装用者が爪先で補聴器100を叩く、もしくは弾く場所を変更することにより、補聴器100の前後マイク信号比較部610で補聴器装用者の操作を識別することが出来る。このとき、前後マイク信号比較部610は、時間応答621Fおよび時間応答621Rに示された各々の入力信号の振幅値を比較し、設定制御部126は、当該振幅に基づいて、補聴器100の複数の設定を識別して変更する。これにより、補聴器100で補聴器装用者の意図を識別する事が出来、補聴器装用者が不快に感じることなく、意図通りの設定変更することが可能となる。
図16では、補聴器装用者が設定変更を行うために、指の爪先911で補聴器100の後側マイク101Rから前側マイク101Fの方向へ擦る、もしくは撫でる場合を想定している。図16(a)は、その操作を示す図であり、図16(b)は、その場合の時間応答を示す図である。
図16(a)について、図14(a)と同じ部分は説明を割愛するが、異なる部分は、補聴器装用者が補聴器100の設定変更を行うために、例えば指の爪先911で後側マイク101Fから前側マイク101Fの方向に擦る、もしくは撫でる点である。すなわち、ここでの操作は、指の爪先911を補聴器100に接触させ、図16(a)に図示する矢印の方向へ指を移動させる操作である。
図16(b)は、指の爪先911で補聴器100の後側マイク101Rから前側マイク101Fの方向へ擦ったとき、もしくは撫でたときの、前側マイク101Fの入力信号の時間応答631Fと、後側マイク101Rの入力信号の時間応答631Rと、を示している。時間応答631Rは、時間応答631Fより、振幅のピーク部分が時間軸上で早く現れることが理解できる。これより、補聴器装用者が補聴器100を後側から前側に擦る、もしくは撫でる操作であることを、補聴器100が識別することが出来る。
図17では、補聴器装用者が設定変更を行うために、指の爪先911で補聴器100の前側マイク101Fから後側マイク101Rの方向に擦る、もしくは撫でる場合を想定している。図17(a)は、その操作を示す図であり、図17(b)は、その場合の時間応答を示す図である。
図17(a)について、図16(a)と同じ部分は説明を割愛するが、異なる部分は、補聴器装用者が補聴器100の設定変更を行うために、例えば指の爪先911で前側マイク101Fから後側マイク101Rの方向に擦る、もしくは撫でる点である。すなわち、ここでの操作は、指の爪先911を補聴器100に接触させ、図17(a)に図示する矢印の方向へ指を移動させる操作である。
図17(b)は、指の爪先911で補聴器100の前側マイク101Fから後側マイク101Rの方向に擦ったとき、もしくは撫でたときの、前側マイク101Fの入力信号の時間応答632Fと、後側マイク101Rの入力信号の時間応答632Rと、を示している。時間応答632Fは、時間応答632Rより、振幅のピーク部分が時間軸上で早く現れることが理解できる。これより、補聴器装用者が補聴器100を前側から後側に擦る、もしくは撫でる操作であることを、補聴器100が識別することが出来る。
すなわち、図16および図17の説明のように、補聴器装用者が爪先で後側マイク101Rから前側マイク101Fの方向に、又はその逆で、前側マイク101Fから後側マイク101Rの方向に、擦るもしくは撫でる操作を、補聴器100の前後マイク信号比較部610が識別することが出来る。このとき、前後マイク信号比較部610は、時間応答621Fおよび時間応答621Rに示された各々の入力信号の振幅ピーク時点の時間差を判定し、設定制御部126は、当該振幅ピーク時点の時間差に基づいて、補聴器100の複数の設定を識別して変更する。これにより、補聴器100で補聴器装用者の意図を識別する事が出来、補聴器装用者が不快に感じることなく、意図通りの設定変更することが可能となる。
さらに、補聴器単体で音量設定可能な機械的なスイッチを有する補聴器では、音量設定の手段として、円盤状の可変音量変更スイッチを用いる場合があり、この操作と、本実施形態の補聴器を擦る、もしくは撫でるという操作が似ている。このことから、音量増減に対する操作として、擦る、もしくは撫でるという操作により、簡単に補聴器装用者の音量設定に対する誤操作を低減することできるという効果がある。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2008年8月20日出願の日本特許出願No.2008-212050に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、補聴器の設定の変更による不快感を感じることがなく、さらに設定の変更を簡単化することができる補聴器および補聴器システム等として有用である。
4 電気音響変換部
5 制御信号発生部
6 通話検出部
10 電話機
40,100 補聴器
41 音波受信部
43 受信切換部
44 電力増幅部
46 分析制御部
101 マイク
101F 前側マイク
101R 後側マイク
103 レシーバ
111 A/D変換部
118 補聴器用信号処理部
119 D/A変換部
120 信号処理部
121 信号強度算出部
123 閾値記憶部
124 信号強度比較部
125 信号判定部
126 設定制御部
201 FFT部
202 スペクトル比較部
400 補聴器設定装置
401 設定選択部
403 マスカ音記憶部
404 マスキ音記憶部
405 設定音合成部
407 D/A変換部
408 スピーカ
410 設定音
420 設定変更用信号処理部
501 閾値記憶部
502 マスキ音抽出部
503 信号判定部
601F 前側音孔
601R 後側音孔
610 前後マイク信号比較部
621F 爪先で前側音孔付近を叩いた場合の前側マイクからの入力信号
621R 爪先で前側音孔付近を叩いた場合の後側マイクからの入力信号
622F 爪先で後側音孔付近を叩いた場合の前側マイクからの入力信号
622R 爪先で後側音孔付近を叩いた場合の後側マイクからの入力信号
631F 爪先で後側音孔から前側音孔の方向に擦った場合の前側マイクからの入力信号
631R 爪先で後側音孔から前側音孔の方向に擦った場合の後側マイクからの入力信号
632F 爪先で前側音孔から後側音孔の方向に擦った場合の前側マイクからの入力信号
632R 爪先で前側音孔から後側音孔の方向に擦った場合の後側マイクからの入力信号
900 耳介
910 指
911 指の爪先

Claims (19)

  1. 入力音から入力信号を生成するマイクと、
    前記入力信号から出力信号を生成する信号処理部と、
    前記出力信号から出力音を再生するレシーバと
    を備え、
    前記信号処理部は、所定時間区間において、当該補聴器への接触時に発生する接触音に基づく前記入力信号の時間応答を判定し、前記時間応答に基づいて当該補聴器の設定を変更する
    補聴器。
  2. 請求項1に記載の補聴器であって、
    前記信号処理部は、前記入力信号の強度を算出し、所定時間区間における前記入力信号の強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、前記所定時間区間における前記入力信号の強度が第2の所定閾値以上になる時点を少なくとも2回検知することにより、当該補聴器の設定を変更する
    補聴器。
  3. 請求項2に記載の補聴器であって、
    前記信号処理部は、前記入力信号の強度が前記第2の所定閾値以上になる時点を検知するための時間幅を設定する
    補聴器。
  4. 請求項3に記載の補聴器であって、
    前記接触音は、爪先で弾く音または爪先のタップ音であり、
    前記信号処理部は、前記時間幅を20msec以下に設定する
    補聴器。
  5. 請求項3に記載の補聴器であって、
    前記信号処理部は、前記入力信号の強度が前記第2の所定閾値以上になる時点を検知した時間幅に対して、前記信号強度を低減する
    補聴器。
  6. 請求項1に記載の補聴器であって、
    前記信号処理部は、前記入力信号の強度を算出し、所定時間区間における前記入力信号の強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、前記入力信号を周波数領域の信号に変換し、前記周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が第3の所定閾値以下になる時点を少なくとも2回検知することにより、当該補聴器の設定を変更する
    補聴器。
  7. 請求項6に記載の補聴器であって、
    前記信号処理部は、前記周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が前記第3の所定閾値以下である時点を検知するための時間幅を設定する
    補聴器。
  8. 請求項7に記載の補聴器であって、
    前記接触音は、爪先で弾く音または爪先のタップ音であり、
    前記信号処理部は、前記時間幅を20msec以下に設定する
    補聴器。
  9. 請求項7に記載の補聴器であって、
    前記信号処理部は、前記周波数領域の信号の波形と所定信号の波形との差分が前記第3の所定閾値以下である時点を検知した時間幅に対して、前記信号強度を低減する
    補聴器。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の補聴器であって、
    前記信号処理部は、当該補聴器の設定を変更した旨を報知する
    補聴器。
  11. 補聴器と前記補聴器の設定を変更する補聴器設定装置とを有する補聴器システムであって、
    前記補聴器設定装置は、
    前記補聴器の設定を入力する入力部と、
    前記補聴器の設定を変更する際に出力する調整音を示すマスキ音および前記マスキ音をマスクするためのマスカ音の情報を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された前記マスカ音および前記マスキ音と前記入力部により入力された前記補聴器の設定に基づいて、出力信号を生成する信号合成部と、
    前記出力信号から設定音を再生するスピーカと、
    を備え、
    前記補聴器は、
    前記補聴器設定装置により再生された設定音から設定信号を生成するマイクと、
    前記設定信号から前記マスキ音を抽出し、抽出したマスキ音から前記補聴器の設定を抽出し、抽出した補聴器の設定に基づいて当該補聴器の設定を変更する信号処理部と、
    を備える補聴器システム。
  12. 請求項11に記載の補聴器システムであって、
    前記マスキ音を示す信号の信号強度は、前記マスカ音を示す信号の信号強度以下である
    補聴器システム。
  13. 請求項11に記載の補聴器システムであって、
    前記マスキ音は、純音である
    補聴器システム。
  14. 請求項11ないし13のいずれか1項に記載の補聴器システムであって、
    前記補聴器の前記信号処理部は、当該補聴器の設定を変更した旨を報知する
    補聴器システム。
  15. 請求項11に記載の補聴器システムであって、
    前記マスカ音は、前記マスキ音に含まれる周波数成分以外の周波数成分を含む
    補聴器システム。
  16. 請求項1に記載の補聴器であって、
    前記信号処理部は、前記入力信号の強度を算出し、所定時間区間における前記入力信号の強度の平均値が第1の所定閾値以下であり、かつ、前記所定時間区間における前記入力信号の強度が第2の所定閾値以上になる回数を検知し、前記回数に基づいて当該補聴器の複数の設定を識別して変更する
    補聴器。
  17. 入力音から第1入力信号を生成する第1マイクと
    入力音から第2入力信号を生成する第2マイクと、
    前記第1入力信号と前記第2入力信号から出力信号を生成する信号処理部と、
    前記出力信号から出力音を再生するレシーバと
    を備え、
    前記信号処理部は、所定時間区間において、当該補聴器への接触時に発生する接触音に基づく前記第1入力信号および前記第2入力信号の時間応答を判定し、前記時間応答に基づいて当該補聴器の複数の設定を識別して変更する
    補聴器。
  18. 請求項17に記載の補聴器であって、
    前記信号処理部は、前記第1入力信号と前記第2入力信号の振幅値を比較し、前記振幅値に基づいて、当該補聴器の複数の設定を識別して変更する
    補聴器。
  19. 請求項17に記載の補聴器であって、
    前記信号処理部は、前記第1入力信号と前記第2入力信号の振幅ピーク時点の時間差を判定し、前記振幅ピーク時点の時間差に基づいて、当該補聴器の複数の設定を識別して変更する
    補聴器。
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