JPWO2010001605A1 - 鉛蓄電池の寿命推定方法および電源システム - Google Patents

鉛蓄電池の寿命推定方法および電源システム Download PDF

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Abstract

鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定部が、前記鉛蓄電池の寿命を判断する際に基準とされる積算放電閾値Aを記憶する記憶ステップと、前記鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における前記鉛蓄電池の放電電気量の積算値である積算放電電気量を表す積算放電電気量Bを算出する算出ステップと、前記積算放電閾値Aから前記積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る減算ステップと、前記差分電気量を用いて、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定ステップと、を含む。

Description

本発明は鉛蓄電池の寿命推定方法、および鉛蓄電池を用いた電源システムに関する。
二酸化炭素の排出や石油資源の枯渇を抑制する気運が高まる中、電力(例えば鉛蓄電池などの二次電池)のみを動力とする小型車両の開発が嘱望されている。
中でも鉛蓄電池は、タフユースに強く適度な重量を有しているため、例えば運搬車両における動力源として有用と考えられる。
この鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極めて合理的に交換するための方法が種々検討されている。例えば特許文献1には、トリクルまたはフロート使用の鉛蓄電池(トリクル充電またはフロート充電される鉛蓄電池)の表面温度を継続的に測定し、この表面温度を考慮して鉛蓄電池の容量劣化率を演算する方法が挙げられている。特許文献1には、常時微弱な充電電流を鉛蓄電池へ供給する無停電電源装置において、鉛蓄電池の温度依存性を考慮して精度良く容量劣化率を演算できると記されている。この方法を活用して、種々の用途で用いられる鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極められることができれば、その効果は大きいと考えられる。
特許文献1に示されている無停電電源装置は、不定期に起こる停電に備えるものであって、平時は放電を伴わない。一方、上述した運搬車両は平時から放電(走行)するものである。しかも、運搬車両において鉛蓄電池は、走行(放電)と充電の繰り返しにより比較的顕著なSOC(State of Charge/充電状態)の変化を伴うものである。このような用途において、単に鉛蓄電池の表面温度を測定するだけでは、この鉛蓄電池の寿命を精度良く推定できない。また運搬車両の走行距離(SOCの変化)は一定でなく、毎回の充電電気量もまちまちであることを考えると、単に充電回数(サイクル数)によって鉛蓄電池の寿命を推定することも困難だと考えられる。
特開平05−315015号公報
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、運搬車両の動力源等のサイクル使用で鉛蓄電池を用いる場合に、この鉛蓄電池の使用限界を精度良く推定し、鉛蓄電池の合理的な交換時期を精度良く見極めることができる方法及びこの方法を実現できる電源システムを提案することを目的とする。
本発明の一局面に従う鉛蓄電池の寿命推定方法は、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定部が、前記鉛蓄電池の寿命を判断する際に基準とされる積算放電閾値Aを記憶する記憶ステップと、前記鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における前記鉛蓄電池の放電電気量の積算値である積算放電電気量を表す積算放電電気量Bを算出する算出ステップと、前記積算放電閾値Aから前記積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る減算ステップと、前記差分電気量A−Bを用いて、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定ステップと、を含む。
この構成によれば、鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aから、鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における鉛蓄電池の放電電気量の積算値を表す積算放電電気量B(二酸化鉛の体積変化の蓄積値)を減じて、得られた値から鉛蓄電池の残余寿命を推定する。
そのため、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aと、二酸化鉛の体積変化の蓄積値を表す積算放電電気量Bと、の差分が判断されることによって、二酸化鉛の体積変化の蓄積値が、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aにどの程度近づいているかが判る。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上するので、精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようになる。そのため、例えば、運搬車両の動力源等のサイクル使用で鉛蓄電池を用いる場合に、この鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極め、鉛蓄電池の合理的な交換時期を精度良く推定できる。また、運搬車両の走行可能距離を推定することが容易となる。
電源システムによって行われる寿命推定処理の一例を示したフローチャートである。 積算放電電気量Bを算出する処理の一例を示したフローチャートである。 残余寿命推定精度表示処理の一例を示したフローチャートである。 鉛蓄電池のサイクル寿命特性の一例を示した図である。 鉛蓄電池の充電電流と係数との相関の一例を示した図である。 鉛蓄電池の充電電流と温度差との相関の一例を示した図である。 鉛蓄電池の充電電流と係数との相関の一例を示した図である。 第5及び第6の実施形態を、第3及び第4の実施形態に組み合わせた際の積算放電電気量Bの算出処理の一例を示したフローチャートである。 鉛蓄電池の放電電流と係数との相関の一例を示した図である。 過充電電気量と係数との相関の一例を示した図である。 鉛蓄電池の充電受け入れ性の一例を示した図である。 SOCと過充電係数との相関の一例を示した図である。 差分Cc−C80と係数との相関の一例を示した図である。 第3〜第12の実施形態を組み合わせた際の積算放電電気量Bの算出処理の一例を示したフローチャートである。 過充電電気量(差分Cc−C80)と鉛蓄電池の表面温度とに基づくトータル係数の一例を表す図である。 本発明の電源システムの一例を示したブロック図である。 本発明の電源システムの他の例を示したブロック図である。 推定部の機能モジュールの一例を示したブロック図である
以下に、本発明を実施するための形態について、図を用いて説明する。
第1の実施形態は、鉛蓄電池の寿命推定方法であって、鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aと、積算放電電気量Bとの差分(A−B)を用いて、鉛蓄電池の残余寿命を推定することを特徴とする。
ここに、積算放電電気量Bは、鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における鉛蓄電池の放電電気量の積算値を表す電気量である。ここに、厳密には、積算放電電気量は、鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返した結果、得られる放電電気量の積算値である。標準条件とは異なる実際条件において放電が行われた場合には、得られる放電電気量の積算値は、標準条件における放電電気量の積算値とは異なるものである。
しかしながら、本実施形態では、説明の容易のため、実際条件において鉛蓄電池が放電を繰り返して劣化するまでの放電電気量の積算値を、前記劣化と同じ程度に劣化すると考えられる、標準条件における放電電気量の積算値に置き換えて積算放電電気量Bとしている。
本実施形態で使用される鉛蓄電池は、充電及び放電を交互に繰り返して使用される。一般に、鉛蓄電池では正極の活物質として二酸化鉛(PbO2)が用いられる。本発明者らは、この二酸化鉛の利用率(実際に電池反応に使われる比率)の変化が、充放電回数よりもむしろ積算放電電気量に大きく相関することを知見した。二酸化鉛は収縮(充電)と膨張(放電)という体積変化を繰り返すことにより微細化されるので、二酸化鉛における電気化学的な反応性が変化する。そのため、本発明者らの知見によれば、二酸化鉛の微細化の進捗は、単純な充放電回数よりも、二酸化鉛の体積変化(二酸化鉛が膨張することによる体積変化)の蓄積値(すなわち積算放電電気量)に相関するものと推測される。従って、本発明では、鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aから、鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における鉛蓄電池の放電電気量の積算値を表す積算放電電気量B(二酸化鉛の体積変化の蓄積値)を減じることで、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定するようにしている。また、運搬車両の走行可能距離も推定できるようにしている。
以下に、先述された第1の実施形態に係る鉛蓄電池の寿命推定方法について図1を用いて説明する。第1の実施形態に係る鉛蓄電池の寿命推定方法は、図16及び図17に示される電源システムS1及びS2によって行われる寿命推定処理によって実現される。
図1に示される寿命推定処理は、鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルが終了する度に、電源システムS1及びS2の推定部(マイクロコンピュータ4;以下、推定部4という)(図16及び図17参照)によって行われる。推定部4は、予め、積算放電閾値Aを記憶しておき(ステップS1;記憶ステップ)、積算放電電気量Bを算出する(ステップS2;算出ステップ)。そして、推定部4は、積算放電閾値Aから積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る(ステップS3;減算ステップ)。
そして、推定部4は、ステップS3において得られた差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める(ステップS4;比率取得ステップ)。そして、推定部4は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する(ステップS5)。ここに、ステップS4及びS5からなる連続した処理が推定ステップを表す。
このような処理により求められた比率{(A−B)/A}は、積算放電電気量Bが0に近ければ1に近くなる。一方、積算放電電気量BがAに近ければ、比率{(A−B)/A}は0に近くなる。そのため、推定部4は、比率{(A−B)/A}が1に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいていないので、鉛蓄電池の推定残余寿命が長いことを推定できる。一方、推定部4は、比率{(A−B)/A}が0に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいているので、鉛蓄電池の推定残余寿命が短いことを推定できる。そして、推定部4は、次に鉛蓄電池が放電したときには(ステップS20のYES)、算出ステップS2のステップS21に示される処理を行い、同様に比率{(A−B)/A}を求め、その時点における残余寿命を推定する。
尚、推定部4が、比率{(A−B)/A}と、鉛蓄電池の寿命となる期間とが対応したテーブルを参照できるようにすると、推定部4が鉛蓄電池の寿命となる期間を推定することができる。例えば、推定部4は、比率{(A−B)/A}を求めた後、テーブルを参照して、当該比率に対応する期間を得るようにすると、推定部は残余寿命の具体的な期間を推定できる。
また、推定部4が比率{(A−B)/A}に、予め設定された所定の係数を乗じたり加えたりすることで、推定部4が鉛蓄電池の寿命となる期間を推定するようにしてもよい。
第2の実施形態は、第1の実施形態において、放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数を乗じ、この値を積算することで積算放電電気量Bを算出するようにしたことを特徴とする。つまり、第2の実施形態は、先述されたステップS2に示される算出ステップにおいて、鉛蓄電池が放電するサイクル毎に、放電された電気量を表す放電電気量に係数を乗じた値を求めておき、放電電気量に係数を乗じた値を順次積算することで積算放電電気量Bを算出することを特徴とする。
鉛蓄電池の寿命は、上述した二酸化鉛の体積変化の蓄積を主因としつつも、電気化学的な反応性に影響を及ぼす他の因子(詳細は後述)の影響も受ける。またそれら因子の影響は、放電サイクル毎にまちまちであり、一義的な数値として制御しがたい。そこで下記式(1)のように放電サイクル毎に得られる放電電気量に、実際の放電条件から設定された係数を乗じ、この値を積算することで、鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における鉛蓄電池の放電電気量の積算値である積算放電電気量を表す積算放電電気量Bを算出するようにしている。
これにより、二酸化鉛の電気的な反応性に影響を及ぼす因子の影響が考慮された積算放電電気量Bが得られ、二酸化鉛の電気的な反応性を影響を及ぼす因子が含まれる鉛蓄電池の実際条件における残余寿命が推定される。そのため、鉛蓄電池の実際の使用条件に即して、より精度良く鉛蓄電池の使用限界を見極めることができる。
尚、標準条件とは、鉛蓄電池の表面温度、充電電流、放電電流が予め定められた値である条件をいう。また、実際条件とは、鉛蓄電池の表面温度、充電電流、放電電流が実際に計測された値である条件をいう。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
なお上記式(1)は、以下の[数1]のように表すこともできる。
以下に、先述された第2の実施形態に係る鉛蓄電池の寿命推定方法について図2を用いて説明する。第2の実施形態に係る鉛蓄電池の寿命推定方法は、図16及び図17に示される電源システムS1及びS2によって行われる寿命推定処理によって実現される。
図2に示される算出ステップは、電源システムS1及びS2の推定部4(図16及び図17参照)によって行われる。推定部4は、ステップS20〜ステップS26に示される処理を行う。
推定部4は、鉛蓄電池が放電すると(ステップS20のYES)、該当する放電サイクルにおける放電電気量を、放電電流を放電時間で積分することで測定し、記憶する(ステップS21)。そして、推定部4は、後述される処理によって係数xが設定されていれば(ステップS22のYES)、測定された放電電気量に対して、該当する放電サイクルにおける係数xを乗じた値を求め(ステップS23)、求められた値を積算し、得られた値を積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。一方、もし、後述される処理によって係数xが設定されていないなら(ステップS22のNO)、所定のエラー処理を行う。エラー処理は、第1処理部471〜第5処理部475(図18参照)によって行われる。
エラー処理としては、設定されていない係数xを仮に1として、その係数「1」を、ステップS21において測定された放電電気量に乗じた値を求め、求められた値を記憶する(ステップS25及びS26)。そして、推定部4は、係数を「1」として当該係数を放電電気量に乗じて得た値を積算し、得られた値を積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。
このように、推定部4は、係数xが設定されていない場合でも、設定されていない係数xを仮に「1」として放電電気量に乗じて得た値を積算するので、係数が設定されていないときに計測された放電電気量の値を破棄する場合と比較すると、実際条件における鉛蓄電池の放電電気量の積算値の誤差が少なくなる。
その後、推定部4は、図3のステップS200〜S204に示される処理を行う。つまり、推定部4は、鉛蓄電池の残余寿命が推定される精度をユーザに知らせる残余寿命推定精度表示処理を行う。
この処理は、係数設定エラーが発生しているときに計測された放電電気量のみが順次積算された積算値(放電電気量Berror)と、係数設定エラーが発生しているか否かが区別されずに、計測された放電電気量が順次積算された積算値(積算放電電気量B)との比率の大きさによって、残余寿命の推定精度を知らせる処理である。
図3は、残余寿命推定精度表示処理の一例を示したフローチャートである。推定部4は、係数設定エラーが発生したとき(ステップS22において係数xが設定されていないとき)に測定された放電電気量Berrorを順次積算する(ステップS201)。推定部4は、得られた積算値を係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして記憶する(ステップS202)。
その後、推定部4は、係数設定エラー時積算放電電気量Berrorに対するこれまでの積算放電電気量Bの比率Berror/Bの値を求め、求められた値を、表示部7(図16及び図17参照)において表示させる(ステップS203及びS204)。推定部は、以上の残余寿命推定精度表示処理が終了すると、図3のステップS2の処理に戻る。
このように、推定部4は、係数xが設定されていない場合には、残余寿命推定精度表示処理を行うので、ユーザは、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が判り、残余寿命が推定される精度を認識できる。
例えば、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「1」に近いほど、鉛蓄電池の寿命に影響を与える因子によって定められる係数が残余寿命の推定に考慮されていないことが判る。そのため、残余寿命の推定精度が低いことが判る。一方、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「0」に近いほど、係数が残余寿命の推定に考慮されていることが判る。そのため、残余寿命の推定精度が高いことが判る。
以上に示される算出ステップで算出された積算放電電気量Bは、図1に示されるステップS3(減算ステップ)において使用される。
以上に示されるように、放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで積算放電電気量Bを算出している。そのため、鉛蓄電池から外部へ放出された電気量が積算された値を表す積算放電電気量Bが求められる。従って、第2の実施形態によれば、鉛蓄電池から累積的に外部に放出された電気量を精度良く判断することができるので、精度良く鉛蓄電池の使用限界を見極めることができるようになる。
以下に示される第3〜第12に係る実施形態は、第2の実施形態において用いられる係数xを設定する処理を行うことを特徴とする。以下に、第3〜第12に係る実施形態の各々が、係数xをいつ、どのように設定するかについて、図4〜図15の各々を用いて説明する。
第3の実施形態は、第2の実施形態において、推定部4の第1の係数設定部450(図18参照)が、該当する放電における鉛蓄電池の温度(例えば表面温度)に相応して係数xを設定することを特徴とする。第4の実施形態は、第3の実施形態において、第1の係数設定部450が、鉛蓄電池の温度が高いほど係数xを大きくすることを特徴とする。一般に、鉛蓄電池の温度が高い場合、鉛蓄電池が過充電されやすくなるので、鉛蓄電池の寿命が短くなることが知られている。すなわち、鉛蓄電池は高温下で充電を行った場合、鉛格子の腐食反応が促進して過充電されやすい傾向がある。そのため、該当する放電における鉛蓄電池の温度が高い場合、次の充電開始時点における鉛蓄電池の温度もまた高くなって過充電されやすくなるので、鉛蓄電池の残余寿命が短くなる。従って、この傾向を反映させ、該当する放電における鉛蓄電池の温度が高い場合に係数xを大きく設定することで、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようにしている。
図4は、3時間率定格容量(鉛蓄電池の表面温度が25度、放電電流が3時間率である条件下で鉛蓄電池が放電したときに、鉛蓄電池の電圧が予め定められた放電終止電圧に達するまでの間に生じる放電電気量;以下同じ)が60Ahのセルを6セル直列に接続した、公称電圧12Vの鉛蓄電池(パナソニック社製のEV用制御弁式鉛蓄電池)のサイクル寿命特性を示した図である。なおサイクル寿命は、鉛蓄電池の表面温度がそれぞれ異なる条件下で、以下に示される実験によって判断された。すなわち、6A(10時間率)で36Ahの充電と、20A(3時間率)で30Ahの放電とを繰返して行い、積算放電電気量Bが3000Ah時点の放電電気量56Ahを初期電気量として、放電電気量がこの初期電気量56Ahの80%(44.8Ah)まで低下した時点を寿命と判断した。
以下、本明細書において、3時間率定格容量60Ahとは、鉛蓄電池の表面温度が25度、放電電流が3時間率である条件下で鉛蓄電池が放電したときに、鉛蓄電池の電圧が予め定められた放電終止電圧に達するまでの間に生じる放電電気量が60Ahであることをいう。
図4からも明らかなように、25℃における寿命到達までの積算放電電気量Bをベースとして判断された場合、0℃における寿命到達までの積算放電電気量Bは、25℃における寿命到達までの積算放電電気量Bよりも大きい。一方、45℃における寿命到達までの積算放電電気量Bは、25℃における寿命到達までの積算放電電気量Bよりも小さい。
以上に示されるように、寿命到達までの積算放電電気量Bは、温度の変化によって25℃における積算放電電気量Bからずれる。図4から、積算放電電気量Bを以下に示されるように、実験的に表すことができる。25℃における寿命到達までの積算放電電気量Bを1とすると、0℃における寿命到達までの積算放電電気量Bは、1/0.914で表される。また、25℃における寿命到達までの積算放電電気量Bを1とすると、45℃における寿命到達までの積算放電電気量Bは、1/1.600で表される。
このように、温度が高いほど積算放電電気量Bが大きくなり、温度が低いほど積算放電電気量Bが小さくなることは、温度が高いほど鉛格子の腐食反応が促進され、温度が低いほど鉛格子の腐食反応が促進されないことに起因する。
本実施形態では、25度における寿命到達までの積算放電電気量Bを、実験的に1としたときに得られる各温度における寿命到達までの積算放電電気量Bの分母を係数xとしている。そのため、0℃における積算放電電気量Bの分母は0.914であるので、0℃における係数xは0.914とされる。また、45℃における積算放電電気量Bの分母は1.600であるので、45℃における係数xは1.600とされる。先述されたような実験を、鉛蓄電池の表面温度を逐次変更させて行い、25度における寿命到達までの積算放電電気量Bを、実験的に1としてときに得られる各温度における寿命到達までの積算放電電気量Bの分母を係数xとすることで、図5に示される温度−係数相関図が得られる。
図5に示される温度−係数相関図は、係数xの温度依存性をプロットした図である。第3および第4の実施形態では、図5に示される温度―係数相関図から推定される係数の変化を反映して、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定するようにしている。つまり、第1の係数設定部450は、鉛蓄電池の表面温度が判れば、該表面温度に対応する係数xを図5に示される温度−係数相関図から取得し、取得した係数xを設定する。
尚、先述された第3の実施形態において、第1の係数設定部450は、鉛蓄電池の表面温度が低くなるほど、係数xを大きく設定することもできる。
一般に、鉛蓄電池の充電が不足しやすい条件では、鉛蓄電池において以下に示される傾向が現れることが知られている。つまり、放電サイクルにおける鉛蓄電池の表面温度が低い場合、その直後の充電サイクルが開始される時点では、鉛蓄電池の表面温度が低温のままである。その際、鉛蓄電池において充電不足が発生しやすいため、鉛蓄電池の残余寿命が短くなる。
一方、放電サイクルにおける鉛蓄電池の表面温度が高温のとき、その直後の充電サイクルが開始される時点では、鉛蓄電池の表面温度が高温のままである。その際、鉛蓄電池の充電効率が高いため、充電不足が解消される。これにより、鉛蓄電池の残余寿命が長くなる。
従って、鉛蓄電池の充電が不足しやすい条件では、このような傾向を反映させて、放電サイクルにおける鉛蓄電池の表面温度が低くなるほど係数xを大きくすれば、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。尚、鉛蓄電池の充電が不足しやすい条件として、例えば、3時間率定格容量60Ahの鉛蓄電池が、定電圧充電(14.7V制御、最大充電電流12A、充電時間6時間)されている条件が挙げられる。
第5の実施形態は、第2の実施形態において、推定部4の第2の係数設定部451(図18参照)が、該当する放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流に相応して係数を設定することを特徴とする。第6の実施形態は、第5の実施形態において、第2の係数設定部451が、充電電流が大きいほど係数を大きくすることを特徴とする。このように、第2の係数設定部451が、放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流が大きいほど大きな係数xを設定する理由は、以下に示される通りである。
つまり、鉛蓄電池自身が抵抗体であるため、充電電流が大きい場合、ジュール熱による鉛蓄電池の発熱もまた大きくなる。この現象を反映させ、該当する放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流が大きい場合に係数xを大きく設定することで、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようにしている。
図6は、25℃環境下で上述した鉛蓄電池を種々の充電電流で充電した場合の、鉛蓄電池の充電開始時の温度と、鉛蓄電池の充電終了時の温度との温度差を示したものである。つまり、図6には、充電電流値−温度差相関図が示されている。
図6から、時間率で表される充電電流の値が大きくなるほど、充電終了時の鉛蓄電池の温度と、充電開始時の鉛蓄電池の温度との温度差(充電終了時上昇温度)が大きくなることが判る。そのため、充電電流が大きい場合、鉛蓄電池において生じるジュール熱による発熱が大きくなっていることがわかる。そこで、推定部4は、第4の実施形態で示した係数xの温度依存性(図5参照)を把握している場合、以下の処理ができる。
つまり、推定部4は、図5に示される温度−係数相関図が、鉛蓄電池が10時間率の充電電流で充電されている条件下における係数xの温度依存性がプロットされた図であると仮定する。また、推定部4は、図5に示される温度(℃)が、10時間率の充電電流で充電されている条件下における、充電終了時の鉛蓄電池の温度と、充電開始時の鉛蓄電池の温度との温度差(充電終了時上昇温度)に相当すると仮定する。
このような条件下において、推定部4が、10時間率充電の場合における充電終了時上昇温度と、図6に示される各々の充電電流値に対応する充電終了時終了温度との差を求める。すると、図6の最も右列に示される「10時間率充電の場合における充電終了時上昇温度との差」が得られる。
そして、推定部4は、図6に示されるように、時間率が1の場合には「10時間率充電の場合における充電終了時上昇温度との差」として15℃の値が得られるので、鉛蓄電池が25℃ではなく、15℃加えられた40℃の条件下で充電が行われたと仮定する。すると、図5に示される温度−係数相関図から、40℃に対応する係数xとして、およそ1.43の値が得られる。
同様に、推定部4は、時間率が10の場合には「10時間率充電の場合における充電終了時上昇温度との差」として0℃の値が得られるので、鉛蓄電池が実際の温度である25℃の条件下で充電が行われたものと取り扱う。すると、図5に示される温度−係数相関図から、25℃に対応する係数xとして1が得られる。
同様に、推定部4は、図6に示されるように、時間率が40の場合には「10時間率充電の場合における充電終了時上昇温度との差」として−7℃の値が得られるので、鉛蓄電池が25℃ではなく、7℃引かれた18℃の条件下で充電が行われたと仮定する。すると、図5に示される温度−係数相関図から、18℃に対応する係数xとして、およそ0.92の値が得られる。
推定部4は、先述された処理を、時間率の各々に対応して行うことで得られる係数xの値を、仮定された温度に関連づけてプロットすると、図7に示される充電電流−係数相関図を得ることができる。そのため、推定部4は、図7に示される充電電流−係数相関図から、充電電流に応じた係数xを得ることによって、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようになる。
尚、第5及び第6の実施形態は、第3及び第4の実施形態における鉛蓄電池の表面温度の計測に代えて充電電流を計測し、充電電流より表面温度を推定し、推定された表面温度から係数xを求めるものである。このような第5及び第6の実施形態を、第3及び第4の実施形態に組み合わせれば、エラーで表面温度に応じた係数xを設定できなかった場合でも、充電電流に応じた係数xによって、精度の高い残余寿命の推定が実現される。
図8は、第5及び第6の実施形態を、第3及び第4の実施形態に組み合わせた際の積算放電電気量Bの算出処理の一例を示したフローチャートである。
推定部4は、鉛蓄電池が放電すると(ステップS20のYES)、該当する放電サイクルにおける放電電気量を放電電流を放電時間で積分することで測定し、記憶する(ステップS21)。そして、推定部4は、鉛蓄電池の表面温度を測定して記憶する(ステップS30)。一方、推定部4は、鉛蓄電池が放電せずに充電されているときには(ステップS20のNO、及び、ステップS33のYES)、充電電流を測定して記憶する(ステップS34)。
その後、推定部4は、先述された表面温度に基づく係数xの設定がなされている場合には(ステップS31のYES)、設定済みの係数xを、測定された放電電気量に乗じた値を求め(ステップS23)、求められた値を積算し、得られた値を積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。
また、推定部4は、先述された表面温度に基づく係数xの設定がなされていない場合には、先述された充電電流に基づく係数xの設定がなされているか否かを判定する(ステップS32)。この結果、充電電流に基づく係数xの設定がなされているときには(ステップS32のYES)、設定済みの係数xを、測定された放電電気量に乗じた値を求め(ステップS23)、求められた値を積算し、得られた値を積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。
一方、推定部4は、表面温度に基づく係数xの設定、及び、充電電流に基づく係数xの設定のいずれもなされていない場合には(ステップS31のNO、及び、ステップS32のNO)、先述されたエラー処理(ステップS24〜S26)、及び、残余寿命推定精度表示処理(ステップS200〜S204)を行う。
第7の実施形態は、第2の実施形態において、推定部4の第3の係数設定部452(図18参照)が、該当する放電における放電電流に相応して係数を設定することを特徴とする。第8の実施形態は、第7の実施形態において、第3の係数設定部452が、放電電流が大きいほど係数を大きくすることを特徴とする。第3の係数設定部452は、予め推定部4に記憶されている放電電流−係数相関図(図9参照)から、放電電流に相応する係数を設定する。このように、第3の係数設定部452が、放電電流が大きいほど大きな係数xを設定する理由は、以下に示される通りである。
すなわち、新品もしくは同じ劣化率の鉛蓄電池でも、放電電流により取り出される電気量が異なることが知られている。また、鉛蓄電池自身が抵抗体となるので、放電電流が大きい場合、ジュール熱による鉛蓄電池の発熱もまた大きくなる。そのため、放電ステップにおける放電が終わってから、次の充電までに十分に冷却されない場合、充電時における鉛蓄電池の表面温度が高いままである。もし、放電終了直後における鉛蓄電池の表面温度が高いままで充電されると、先述されたように、鉛蓄電池の残余寿命が短くなる。そのため、これらの現象を反映させ、該当する放電における放電電流が大きい場合に係数xを大きく設定することで、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようにしている。
第9の実施形態は、第2の実施形態において、推定部4の第4の係数設定部453(図18参照)が、該当する放電サイクルの直前の充電サイクルにおける、後述する過充電電気量に相応して係数を設定したことを特徴とする。第10の実施形態は、第9の実施形態において、第4の係数設定部453が、過充電電気量が大きいほど係数を大きくすることを特徴とする。第4の係数設定部453は、推定部4に予め記憶されている、過充電電気量−係数相関図(図10参照)から、後述する過充電電気量に相応する係数を設定する。以下、このように、第4の係数設定部453が、過充電電気量が大きいほど大きな係数xを設定する理由が、図11とともに説明される。
図11は、一般的な鉛蓄電池の充電受け入れ性を充電電気量の違いとともに示した図である。
図11において、横軸は理論的な満充電電気量に対する充電電気量(Charge Input)の比、縦軸は理論的な満充電電気量に対する放電電気量(Delivered Capacity)の比に相当する。図11に示されるように、充電電流が小さい場合でも充電電気量(Charge Input)が理論的な満充電電気量(公称容量;以下同じ)の80%を超えると、充電電気量(Charge Input)と放電電気量(Delivered Capacity)とで得られるラインが、充電電気量と放電電気量とが同じ値となる理想的なライン(ideal line)から外れ始め、充電に費やしたものの放電に寄与しない電気量の割合が増す。
すなわち、図11に示されるように、充電電流が0.05CA(但し、CAは時間率の逆数とする)のように小さな場合でも、充電電気量が理論的な満充電電気量の80%を超えると、得られる放電電気量が、理想的なラインから得られる放電電気量よりも小さくなる。また、図11に示されるように、充電電流が0.1CA及び0.15CAのときには、充電電気量が理論的な満充電電気量(公称容量)の80%未満であっても、理論的な充電電気量のおよそ65%の充電電気量を超えると、充電電気量と放電電気量とで得られるラインが、理想的なラインから外れ始める。その結果、充電電気量とその充電電気量で充電された直後の放電サイクルにおける放電電気量との間に差が生じる。
このような差は、過充電電気量と呼ばれる。このような差を、充電電流を0.05CAから0.15CAの範囲内で変化させながら求めて、求められた値をプロットした領域が、図11において斜線で表される領域Aで示されている。このような過充電電気量が多いほど、鉛格子(集電体)の腐食による劣化が起こりやすいので、鉛蓄電池の寿命が短くなる。そこで、推定部4は、鉛蓄電池の充放電がどのSOCの範囲で行われているかを把握し、該当する放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量を算出して過充電電気量が大きいほど係数xを大きく設定する。
以下、推定部4によるSOCの把握処理、及び、推定部4による過充電電気量の算出処理について説明する。
推定部4が、鉛蓄電池の充放電がどのSOCの範囲で行われているかを把握することは、例えば、推定部4が、鉛蓄電池の充放電サイクルが終了する毎に以下の処理を行うことによって実現できる。つまり、推定部4は、予め初期電気量(図4参照)を記憶しておき、放電サイクルにおける放電電気量を放電電流を放電時間で積分することで測定し、その直後の充電サイクルにおける充電電気量を充電電流を充電時間で積分することで測定する。そして、推定部4は、初期電気量から放電電気量を減算し、その後、充電電気量を加算する。この処理によって、推定部4が、鉛蓄電池の充放電がどのSOCの範囲で行われているかが把握される。
また、推定部4が過充電電気量を算出することは、例えば、以下の処理によって実現される。推定部4には、予め、SOCと過充電係数aとの相関を表すデータが記録されている。ここに、過充電係数aは、各SOCにおいて充電反応に使われなかった電気量で表される数値が、係数として扱われて定められた係数である。SOCと過充電係数aとの相関を表すデータは、例えば、図12に示されるSOC−過充電係数相関図として表される。
このSOC−過充電係数相関図は、鉛蓄電池の表面温度が一定の温度を保持している状態で一定値の充電電流を鉛蓄電池のSOCがそれぞれ異なる状態で流す実験によって得られる。つまり、SOC−過充電係数相関図は、表面温度及び充電電流が一定であるときに、鉛蓄電池のSOCを変化させながら、各SOCにおいて充電反応に使われなかった電気量を都度求める実験によって得られる。
例えば、図12に示される相関図は、3時間率定格容量60Ahの鉛蓄電池において、鉛蓄電池の表面温度が25度である条件において行われた、以下に示される実験によって得られている。つまり、図12に示される相関図は、当該条件において、鉛蓄電池に対して0.1CA(6A)の充電電流を流し続けて、SOCをおよそ75%の状態からおよそ120%の間で変化させながら、各々のSOCにおいて充電反応に使われなかった電気量を都度求める実験が行われて得られている。
図12において示されているように、充電電流を鉛蓄電池に流し続けた結果、SOCが100%を超えるような充電電気量が鉛蓄電池に入ったとする。その際、図12における点線で示されているように、充電反応に使われなかった電気量(つまり、過充電係数a)が急激に増加する。
推定部4は、このようなSOCと過充電係数aとの相関を表すデータを用いて、過充電電気量を求める。つまり、推定部4は、放電サイクルにおける放電電気量及びその放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電気量を用いて、先述されたSOCの把握処理を行う。すると、充放電がどのSOCの範囲で行われたかを推定部4が把握できる。
そして、推定部4は、把握された範囲のSOCに相応する過充電係数aを、図12に示されるSOC−過充電係数相関図より得る。その後、推定部4は、測定された充電電気量に、把握された範囲のSOCの各々に相応する過電流係数aの各々を乗じて得られた値を順次積算する。その結果得られる値が、該当する放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量である。
例えば、3時間率定格容量60Ahの鉛蓄電池において、鉛蓄電池の表面温度が25度にて、SOCが50%である状態から0.1CA、すなわち6Aにて、36Ah充電したとする。
その場合、SOCを50%から75%の状態にさせるために必要な充電電気量(この例では15Ah)は、図12のSOC−過充電係数相関図に示されるように、充電により、SOCを50%の状態から75%の状態にする間には、過充電係数aの値は0のままである。そのため、SOCを50%から75%の状態にする間には、過充電電気量は0Ahである。
ところが、SOCが75%の状態を超えると、図12に示されるように過充電領域が存在する。そのため、推定部4は、SOCが75%の状態を超えてから、先述されたような処理により過充電電気量を求める。
例えば、SOCが89%から90%の範囲内にある間、当該範囲内のSOCに対応する対応する過充電係数aは“0.1”である。そのため、SOCが89%の状態から90%の状態になるまでの間に測定された充電電気量の和(この例では0.6Ah)に、89%から90%の範囲内のSOCの各々に対応する過充電係数“0.1”を乗じた値が、SOCが89%から90%の範囲内にある場合の過充電電気量となる。
このような処理を、75%を超えるSOCの範囲内で行うことにより、全体の過充電電気量(2.7Ah)が求まる。
ここに、過充電電気量が大きくなるほど、鉛蓄電池の充電反応に使われる電気量よりも、鉛格子の腐食反応や、電解液中の水の電気分解に使われる電気量が大きくなるので、鉛蓄電池の劣化が進み、残余寿命が短くなる。そのため、過充電電気量の大きさに応じた係数xが設定されることによって、精度の良い鉛蓄電池の残余寿命の推定が実現される。
第11の実施形態は、第2の実施形態において、推定部4の第5の係数設定部454(図18参照)が、該当する放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電気量をCc、3時間率定格容量を表す理論電気量の80%値をC80としたときに、差分Cc−C80に相応して係数xを設定することを特徴とする。第12の実施形態は、第11の実施形態において、第5の係数設定部454が、差分Cc−C80が大きいほど係数xを大きくする機能を推定部4に持たせたことを特徴とする。
第5の係数設定部454は、推定部4に予め記憶されている「Cc−C80」−「係数」相関図(図13参照)から、差分「Cc−C80」の値に相応する係数xを設定する。このように、第5の係数設定部454が、差分Cc−C80の値が大きいほど大きな係数xを設定する理由は、以下に示される通りである。
つまり、仮に、推定部4が第9及び10の実施形態のように、図11の領域Aを求める演算機能を有していなくても、推定部4が鉛蓄電池の充放電がどのSOCの範囲で行われているかを把握できていれば、上述したCcおよびC80が求められる。
例えば、3時間率定格容量60Ahの鉛蓄電池において、鉛蓄電池の表面温度が25度にて、SOCが50%である状態から0.1CA、すなわち6Aにて、36Ahの充電電気量を充電するとする。その場合、前記充電において、SOC50%から充電することが明確であれば、3時間率定格容量である60Ahの50%(30Ah)に、実際の充電電気量(36Ah)を加えた電気量である62Ahを、Ccとすることができる。一方、3時間率定格容量60Ahの80%(48Ah)をC80とすることができる。
そして、Cc(62Ah)から、C80(48Ah)を引いた値から、差分Cc−C80(14Ah)が求められる。尚、推定部4は、充放電がどのSOCの範囲で行われているかについて、先述された処理によって把握することができる。
このような差分Cc−C80の値が大きいほど、実際の充電電気量が3時間率定格容量の80%を超えている大きさが大きいことが判る。一方、差分Cc−C80の値が小さいほど、実際の充電電気量が3時間率定格容量の80%を超えている大きさが小さいことが判る。また、Cc−C80の値が0もしくはマイナスの値であれば、実際の充電電気量が3時間率定格容量の80%を超えていないことが判る。そのため、差分Cc−C80の値を、先述された過充電電気量と扱うことができる。
従って、差分Cc−C80の値に相応してこの差分が大きいほど係数xを大きく設定することで、第9及び10の実施形態より精度はやや劣るものの、簡便に鉛蓄電池の残余寿命を推定できる。
なおここまでは第3〜4、5〜6、7〜8、9〜10および11〜12の実施形態を個々に用いた場合を示したが、これらの実施形態を組み合わせて用いることで、さらに鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上することは言うまでもない。
図14は、第3〜第12の実施形態を組み合わせた際の積算放電電気量Bの算出処理の一例を示したフローチャートである。
推定部4は、鉛蓄電池が放電したときに(ステップS20のYES)、該当する放電サイクルにおける放電電気量を放電電流を放電時間で積分することで測定し、記憶する(ステップS21)。そして、推定部4は、鉛蓄電池の表面温度を測定して記憶し(ステップS30)、その後、推定部4は、放電電流を測定して記憶する(ステップS37)。
また、推定部4は、鉛蓄電池が、ステップS20における放電の、直後の充電サイクルにおいて充電されているときに(ステップS20のNO、及び、ステップS33のYES)、充電電流を測定して記憶する(ステップS34)。その後、推定部4は、測定された充電電流を充電時間で積分することで、充電電気量Ccを測定して記憶する(ステップS45)。
その後、推定部4は、得られた放電電気量及び充電電気量Ccを用いて先述されたSOCの把握処理を行って、鉛蓄電池においてどのSOCの範囲で充放電が行われたかを把握する(ステップS38)。そして、推定部4は、把握された範囲のSOCの各々に相応する過充電係数aの各々を得る(ステップS39)。
そして、推定部4は、鉛蓄電池の表面温度に基づいて係数xが設定されているか否かを判断する(ステップS31)。推定部4は、表面温度に基づいて係数xが設定されているときには(ステップS31のYES)、以下に示される処理を行う。尚、推定部4は、充電電流に基づいて係数xが設定されているとき(ステップS32のYES)、及び、放電電流に基づいて係数xが設定されているとき(ステップS39のYES)も、同様の処理を行う。
つまり、推定部4は、先述された処理によって過充電電気量が算出されているか否かを判断する(ステップS40)。過充電電気量が算出されているときには(ステップS41のYES)、推定部4は、図15に示されるトータル係数図から、得られた表面温度及び過充電電気量に相応する係数であるトータル係数Xを得る(ステップS41)。そして、推定部4は、トータル係数Xに、測定された放電電気量を乗じた値を求め(ステップS42)、求められた値を積算して積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。
一方、過充電電気量が算出されていないときには(ステップS41のNO)、充電電気量Ccが測定されているか否かを判断する(ステップS43)。充電電気量Ccが測定されている際には(ステップS43のYES)、差分Cc−C80の値を算出し(ステップS44)、得られた差分Cc−C80及び表面温度に相応するトータル係数Xを得る(ステップS41)。そして、推定部4は、トータル係数Xに、測定された放電電気量を乗じた値を求め(ステップS42)、求められた値を積算して積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。
また、推定部4は、係数x、過充電電気量、充電電気量Ccのいずれも得ていないときには(ステップS31、ステップS32、ステップS39、ステップ40、及びステップS43のNO)には、先述されたエラー処理(ステップS24〜S26)、及び、残余寿命推定精度表示処理(ステップS200〜S204)を行う。
このように、推定部4は、過充電電気量(又は差分Cc−C80の値)に相応するトータル係数を用いて積算放電電気量Bを得ている。ここに、図15に示されるトータル係数図は、予め推定部4が記憶している。トータル係数図において、表面温度が低く過充電電気量(又は差分Cc−C80の値)が小さい領域では、充電不足による寿命の短縮が反映されている。また、表面温度が高く過充電電気量(又は差分Cc−C80の値)が大きな領域は、正極格子腐食による寿命の短縮が反映されている。
このように、鉛蓄電池の寿命となる要因が異なる場合でも、複数の要因を組み合わせて用いることで、残余寿命の推定精度を高めることができる。
また、表面温度及び過充電電気量(又は差分Cc−C80の値)に基づいたトータル係数Xの設定にエラーが生じた際でも、充電電流又は放電電流と、3時間率定格容量との差に基づいた別の係数を用いれば、推定精度を高めることができる。
第13の実施形態は、電源である鉛蓄電池と、この鉛蓄電池を充電するための充電器(充電装置)と、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aを記憶し、放電サイクル毎に得られる放電電気量を積算して積算放電電気量Bを算出し、積算放電閾値AとBとの差分を用いて残余寿命を推定する推定部と、からなることを特徴とする電源システムに関する。ここに、鉛蓄電池1として、充電及び放電を交互に繰り返して使用される。
また、第13の実施形態の具体的な構成は、図16及び図17において電源システムS1及びS2として示されている。なお第13の実施形態の効果は、第1の実施形態の効果と同様である。また、図16及び図17に示される電源システムS1及びS2の詳細な構成は後述される。
第14の実施形態は、第13の実施形態において、放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数を乗じ、この値を積算することで積算放電電気量Bを算出するようにしたことを特徴とする。第14の実施形態の具体的な構成も、図16及び図17において電源システムS1及びS2として示されている。なお第14の実施形態の効果は、第2の実施形態の効果と同様である。
第15の実施形態は、第14の実施形態において、鉛蓄電池の温度を測定する温度測定部を設け、この温度測定部の測定値に相応して係数を設定する機能を推定部に持たせたことを特徴とする。第16の実施形態は、第15の実施形態において、温度が高いほど係数を大きくする機能を推定部に持たせたことを特徴とする。
図16は第13〜第16の実施形態に係る電源システムの一例を示すブロック図である。電源システムS1において、鉛蓄電池1は、これを充電するための充電器(充電装置)2および電動機器からなる負荷3と電気的に接続されている。一方で鉛蓄電池1はマイクロコンピュータ4とも接続されている。このマイクロコンピュータ4は少なくとも推定部を構成しており、かつ鉛蓄電池1に近接した状態で鉛蓄電池1の表面温度を測定する温度測定部5と接続されている。推定部(マイクロコンピュータ4)は少なくとも以下に示す4つの機能を有する。第1に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aを記憶する。第2に、推定部(マイクロコンピュータ4)は温度測定部5の測定値に相応して、放電サイクル毎に得られる放電電気量に異なる係数xを設定する。ここで、推定部(マイクロコンピュータ4)は、鉛蓄電池の表面温度が高いほど係数xの値を大きくする機能を有する。第3に、推定部(マイクロコンピュータ4)は放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで下記式1のように積算放電電気量Bを算出する。第4に、推定部(マイクロコンピュータ4)は積算放電閾値AとBとの差分(差分電気量A−B)を求める。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
第5に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。第6に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する。
なお図16には第13〜第16の実施形態に係る基本的な構成のみを示したが、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を表示部(例えばディスプレイや、電灯の点滅など)に表示させるのも、好ましい態様の1つである。また、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を、無線データ、音声データ、電子データなどのデータの形で通知することも好ましい。ここで第15及び第16の実施形態の各々の効果は、第3及び第4の実施形態の各々の効果とそれぞれ同様である。
第17の実施形態は、第14の実施形態において、該当する放電サイクルの直前の充電サイクルにおける充電電流を測定する電流測定部を設け、この電流測定部の測定値に相応して係数を設定する機能を推定部に持たせたことを特徴とする。第18の実施形態は、第17の実施形態において、充電電流が大きいほど係数を大きくする機能を推定部に持たせたことを特徴とする。
図17は第17及び第18の実施形態に係る電源システムの一例を示すブロック図である。電源システムS2において、鉛蓄電池1は、これを充電するための充電器(充電装置)2および電動機器からなる負荷3と電気的に接続されている。一方で鉛蓄電池1はマイクロコンピュータ4とも接続されている。このマイクロコンピュータ4は少なくとも推定部を構成しており、かつ鉛蓄電池1の充電電流を測定する電流測定部6と接続されている。推定部(マイクロコンピュータ4)は少なくとも以下に示す4つの機能を果たす。第1に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1の使用停止を促すための積算放電閾値Aを記憶する。第2に、推定部(マイクロコンピュータ4)は電流測定部6の測定値に相応して、放電サイクル毎に得られる放電電気量に異なる係数xを設定する。ここで推定部(マイクロコンピュータ4)は、充電電流が大きいほど係数xの値を大きくする機能を有する。第3に、推定部(マイクロコンピュータ4)は放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで下記式(1)のように積算放電電気量Bを算出する。第4に、推定部(マイクロコンピュータ4)は積算放電閾値AとBとの差分(差分電気量A−B)を求める。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
第5に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。第6に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する。
なお図17には第17及び第18の実施形態に係る基本的な構成のみを示したが、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を表示部(例えばディスプレイや、電灯の点滅など)に表示させるのも、好ましい態様の1つである。また、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を、無線データ、音声データ、電子データなどのデータの形で通知することも好ましい。ここで第17及び第18の各々の実施形態の効果は、第5及び第6の実施形態の各々の効果とそれぞれ同様である。
第19の実施形態は、第14の実施形態において、該当する放電における放電電流を測定する電流測定部を設け、この電流測定部の測定値に相応して係数を設定する機能を推定部に持たせたことを特徴とする。第20の実施形態は、第19の実施形態において、充電電流が大きいほど係数を大きくする機能を推定部に持たせたことを特徴とする。
第19及び第20の実施形態は、図17を用いて説明できる。具体的には、電流測定部6に鉛蓄電池1の放電電流を測定させ、推定部(マイクロコンピュータ4)が以下の機能を果たすことで、第19及び第20の実施形態を達成できる。第1に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1の使用停止を促す積算放電閾値Aを記憶する。第2に、推定部(マイクロコンピュータ4)は電流測定部6の測定値に相応して、放電サイクル毎に得られる放電電気量に異なる係数xを設定する。ここで推定部(マイクロコンピュータ4)は、放電電流が大きいほど係数xの値を大きくする機能を有する。第3に、推定部(マイクロコンピュータ4)は放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで下記式(1)のように積算放電電気量Bを算出する。第4に、推定部(マイクロコンピュータ4)は積算放電閾値AとBとの差分(差分電気量A−B)を求める。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
第5に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。第6に、推定部(マイクロコンピュータ)4は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する。
なお図17には第19及び第20の実施形態に係る基本的な構成のみを示したが、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を表示部(例えばディスプレイや、電灯の点滅など)に表示させるのも、好ましい態様の1つである。また、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を、無線データ、音声データ、電子データなどのデータの形で通知することも好ましい。ここで第19及び第20の実施形態の各々の効果は、第7〜8の実施形態の各々の効果とそれぞれ同様である。
第21の実施形態は、第14の実施形態において、該当する放電サイクルの直前の充電サイクルにおける過充電電気量を算出し、この過充電電気量に相応して係数を設定する機能を推定部に持たせたことを特徴とする。第22の実施形態は、第21の実施形態において、過充電電気量が大きいほど係数を大きくする機能を推定部に持たせたことを特徴とする。ここに、過充電電気量は、先述されたように、充電電気量とその充電電気量で充電された直後の放電サイクルにおける放電電気量との差を意味する。
第21〜22の実施形態も、図17を用いて説明できる。一例として、図17に示されるように、マイクロコンピュータ4にさらにタイマー47を加え、推定部(マイクロコンピュータ4)が以下の機能を果たすことで、第21及び第22の実施形態を達成できる。第1に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1の使用停止を促す積算放電閾値Aを記憶する。第2に、推定部(マイクロコンピュータ4)は過充電領域(図11において斜線で表される領域A)を記憶する。第3に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1のSOCを把握した上で、電流測定部6の測定値とタイマー47が計測する充電時間との積として算出した充電電気量を加算することで、鉛蓄電池1の充電後のSOC値を算出する。第4に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、上述した鉛蓄電池1の充電後のSOC値を過充電領域(図11において斜線で表される領域A)と照合して、該当する放電ステップの直前の充電サイクルにおける過充電電気量を算出する。第5に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、上述した過充電電気量に相応して、放電サイクル毎に得られる放電電気量に異なる係数xを設定する。ここで推定部(マイクロコンピュータ4)は、充電電流が大きいほど係数xの値を大きくする機能を有する。第6に、推定部(マイクロコンピュータ4)は放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで下記式(1)のように積算放電電気量Bを算出する。第7に、推定部(マイクロコンピュータ4)は積算放電閾値AとBとの差分(差分電気量A−B)を求める。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
第8に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。第9に、推定部(マイクロコンピュータ)4は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する。
なお上述した構成に加え、推定部の推定結果を表示部(例えばディスプレイや、電灯の点滅など)に表示させるのも、好ましい態様の1つである。また、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を、無線データ、音声データ、電子データなどのデータの形で通知することも好ましい。ここで第21及び第22の実施形態の各々の効果は、第9及び第10の実施形態の各々の効果とそれぞれ同様である。
第23の実施形態は、第14の実施形態において、該当する放電サイクルの直前の充電サイクルにおける充電電気量をCc、3時間率定格容量の80%値をC80としたときに、差分Cc−C80を算出し、この差分に相応して係数を設定する機能を推定部に持たせたことを特徴とする。第24の実施形態は、第23の実施形態において、差分Cc−C80が大きいほど係数を大きくする機能を推定部に持たせたことを特徴とする。
第23及び第24の実施形態も、図17を用いて説明できる。より詳しくは、上述した第21及び第22の実施形態における過充電領域(図11において斜線で表される領域A)を記憶する機能を省いて構成される。以下にその具体的な一例を示す。
第1に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1の使用停止を促すための積算放電閾値Aを記憶する。第2に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1のSOCを把握した上で、電流測定部6の測定値とタイマー47が計測する充電時間との積として算出した充電電気量を加算することで、鉛蓄電池1の充電後のSOC値を算出する。第3に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、上述した充電後のSOC値から求められる充電電気量をCc、3時間率定格容量の80%値をC80としたときに、差分Cc−C80を算出する。第4に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分Cc−C80に相応して、放電サイクル毎に得られる放電電気量に異なる係数xを設定する。ここで推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分Cc−C80が大きいほど係数xの値を大きくする機能を有する。第5に、推定部(マイクロコンピュータ4)は放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで下記式(1)のように積算放電電気量Bを算出する。第6に、推定部(マイクロコンピュータ4)は積算放電閾値AとBとの差分(差分電気量A−B)を求める。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
第7に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。第8に、推定部(マイクロコンピュータ)4は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する。
なお上述した構成に加え、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を表示部(例えばディスプレイや、電灯の点滅など)に表示させるのも、好ましい態様の1つである。また、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を、無線データ、音声データ、電子データなどのデータの形で通知することも好ましい。ここで第23及び第24の実施形態の各々の効果は、第11及び第12の実施形態の各々の効果とそれぞれ同様である。
なおここまでは第15〜16、17〜18、19〜20、21〜22および23〜24の実施形態を個々に用いた場合を示したが、これらの実施形態を組み合わせて用いることで、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上することは言うまでもない。このように、第15〜第24の実施形態を組み合わせた際の積算放電電気量Bの算出処理は、図14のフローチャートに示される処理と同様の処理である。
以下、第1〜第24の各々の実施形態の中核をなす推定部4の機能モジュールについて説明する。推定部4は、図18に示されるように、制御部40、記憶部41、算出部42、減算部43、比率取得部44、係数設定部45、及び、過充電電気量算出部46、を備える。そして、推定部4には、先述されたように、温度測定部5及び電流測定部6のいずれかが接続されている。尚、図18において実線矢印はデータの流れを示している。また、点線矢印は信号の流れを示している。
図18に示される推定部4において、制御部40は、推定部4を統括的に制御する。記憶部41は、この推定部4が動作するための制御プログラムを記憶している。また、記憶部41は、鉛蓄電池1の残余寿命を推定するために必要なデータを記憶している。ここに、鉛蓄電池1の残余寿命を推定するために必要なデータとして、例えば、積算放電閾値A、積算放電電気量B、積算放電電気量Bを求めるための各種データ、係数x、放電電気量に係数xを乗じて得た値、及び、係数xを設定するための各種データが挙げられる。
減算部43は、積算放電閾値Aから積算放電電気量Bを減じた値(差分電気量A−B)を求める。比率取得部44は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。係数設定部45は係数xを設定する。
係数設定部45は、先述された第1〜第5の係数設定部450〜454を備える。第1〜第5の係数設定部450〜454は、係数xを設定するための各種データを用いて係数xを設定する。過充電電気量算出部46は、鉛蓄電池が放電した放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量を、先述された手法によって算出する。
また、推定部4は、第1処理部471〜第5処理部475を備える。第1処理部471は、算出ステップが行われている際に、係数が求められていないときには、係数xを1として放電電気量に乗じた値を求める。第2処理部472は、係数xを1として放電電気量に乗じて求められた値を順次積算して、得られた積算値を係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして記憶部41に記憶させる。
第3処理部473は、係数xを1として放電電気量に乗じて求められた値を積算して、得られた値を積算放電電気量Bとして記憶部41に記憶させる。第4処理部474は、係数設定エラー時積算放電電気量Berrorに対する積算放電電気量Bの比率を求める。第5処理部475は、求められた比率(Berror/B}を表示部7(図16及び図17参照)に表示させる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に従う鉛蓄電池の寿命推定方法は、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定部が、前記鉛蓄電池の表面温度、充電電流、及び放電電流が予め定められた値である標準条件である際に前記鉛蓄電池の寿命を判断する際に基準とされる積算放電閾値Aを記憶する記憶ステップと、前記鉛蓄電池の前記表面温度、前記充電電流、及び前記放電電流が実際に計測された値である実際条件であって、前記鉛蓄電池が前記標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における前記鉛蓄電池の放電電気量の積算値を表す積算放電電気量Bを算出する算出ステップと、前記積算放電閾値Aから前記積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る減算ステップと、前記差分電気量を用いて、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定ステップと、を含むことを特徴とする。
鉛蓄電池では正極の活物質として二酸化鉛(PbO2)が用いられる。本発明者らは、この二酸化鉛の利用率(実際に電池反応に使われる比率)の変化が、充放電回数よりもむしろ積算放電電気量に大きく相関することを知見した。鉛蓄電池が充電及び放電を繰り返す場合、二酸化鉛は収縮(充電)と膨張(放電)という体積変化を繰り返すことにより微細化されるので、二酸化鉛における電気化学的な反応性が変化する。そのため、本発明者らの知見によれば、二酸化鉛の微細化の進捗は、単純な充放電回数よりも、二酸化鉛の体積変化(二酸化鉛が膨張することによる体積変化)の蓄積値(すなわち積算放電電気量)に相関するものと推測される。従って、この構成によれば、鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aから、鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における鉛蓄電池の放電電気量の積算値を表す積算放電電気量B(二酸化鉛の体積変化の蓄積値)を減じて、得られた値から鉛蓄電池の残余寿命を推定する。
そのため、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aと、二酸化鉛の体積変化の蓄積値を表す積算放電電気量Bと、の差分が判断されることによって、二酸化鉛の体積変化の蓄積値が、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aにどの程度近づいているかが判る。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上するので、精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようになる。そのため、例えば、運搬車両の動力源等のサイクル使用で鉛蓄電池を用いる場合に、この鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極め、鉛蓄電池の合理的な交換時期を精度良く推定できる。また、運搬車両の走行可能距離を推定することが容易となる。
なお本発明では積算放電電気量が二酸化鉛の体積変化の蓄積値であるとしているが、代わりに積算充電電気量を用いても、積算充電電気量は二酸化鉛の体積変化(収縮)の蓄積値であるために積算放電電気量と同様の効果が得られる。但し充電電気量の一部が過充電に伴う副次反応に用いられる(すなわち二酸化鉛の体積変化の蓄積値とは見なされない)ことを考慮すると、積算放電電気量を用いる方が好ましい。
上記構成において、前記推定ステップは、前記差分電気量A−Bに対する前記積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める比率取得ステップを含んでおり、前記推定部が、前記比率取得ステップにおいて求められた前記比率{(A−B)/A}から、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定することが望ましい。
この構成によれば、比率{(A−B)/A}が1に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいていないので、鉛蓄電池の推定残余寿命が長いと推定される。一方、比率{(A−B)/A}が0に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいているので、鉛蓄電池の推定残余寿命が短いと推定される。そのため、鉛蓄電池の残余寿命が簡易に判る。
上記構成において、前記算出ステップは、前記鉛蓄電池が放電するサイクル毎に、前記鉛蓄電池から放電された電気量を表す放電電気量に、前記実際条件を反映させて求められた係数を乗じた値を求めておき、前記サイクル毎に前記放電電気量に前記係数を乗じた値を、順次積算することで、下記式(1)のように前記積算放電電気量Bを算出するステップであることが望ましい。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
この構成によれば、電気化学的な反応性に影響を及ぼす他の因子(例えば、高温下での充電や、過充電量により、鉛格子(集電体)の腐食を触発すること)が積算放電電気量Bの算出に反映される。そのため、鉛蓄電池の実際の使用条件に即した残余寿命の推定が可能となるので、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
都度の放電に影響を及ぼす因子(例えば、放電電流の大きさの違いにより、劣化のない製造直後の鉛蓄電池であっても取り出せる放電電気量が異なること)を考慮するという観点では、係数を、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aに乗じても同様の効果が得られる。尚、係数は、鉛蓄電池の規格及び充放電条件が同じ場合に、積算放電閾値Aに乗じられることが好ましい。
しかしながら、鉛蓄電池自身が抵抗体であるため、放電電流が大きいほど、ジュール熱による鉛蓄電池の発熱が大きくなるので、次の充電までに十分に冷却されない場合、次の充電が開始される時点における鉛蓄電池の表面温度が高いままである。鉛蓄電池の表面温度が高いままで充電されると、先述されたように、鉛蓄電池の残余寿命が短くなる。そのため、放電電流から得られる放電電気量に係数を乗じた方が、鉛蓄電池の寿命に影響を与える放電電流値を、残余寿命の推定に反映させることができるので、より寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記算出ステップは、前記係数が求められていない際には、前記係数を1として前記放電電気量に乗じた値を求めるステップと、前記係数を1として前記放電電気量に乗じて求められた値を順次積算して、得られた積算値を係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして記憶するステップと、前記係数を1として前記放電電気量に乗じて求められた値を積算して、得られた値を前記積算放電電気量Bとして記憶するステップと、前記係数設定エラー時積算放電電気量Berrorに対する前記積算放電電気量Bの比率を求めるステップと、求められた前記比率(Berror/B)を表示するステップと、をさらに備えることが望ましい。
この構成によれば、係数が設定されていない場合には、係数を仮に1として放電電気量に乗じて求められた値が順次積算されて、得られた積算値が係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして記憶される。また、係数を1として放電電気量に乗じて求められた値が積算されて、得られた値が積算放電電気量Bとして記憶される。
そして、係数設定エラー時積算放電電気量Berrorに対する積算放電電気量Bの比率が求められて、求められた前記比率(Berror/B)が表示される。そのため、ユーザは、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が判り、残余寿命が推定される精度を認識できる。
例えば、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「1」に近いほど、鉛蓄電池の寿命に影響を与える因子によって定められる係数が残余寿命の推定に考慮されていないことが判る。そのため、残余寿命の推定精度が低いことが判る。一方、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「0」に近いほど、係数が残余寿命の推定に考慮されていることが判る。そのため、残余寿命の推定精度が高いことが判る。
上記構成において、前記係数は、前記鉛蓄電池が放電する際における前記鉛蓄電池の温度に相応して設定されていることが望ましい。
鉛蓄電池の温度は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、鉛蓄電池が放電する際における鉛蓄電池の温度に相応して係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記鉛蓄電池の温度が高いほど大きな係数に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、鉛蓄電池の劣化が進みやすい高温下では係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流に相応して設定されていることが望ましい。
鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記充電電流が大きいほど大きな係数に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、充電電流が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記鉛蓄電池が放電する際における放電電流に相応して設定されていることが望ましい。
鉛蓄電池が放電する際における放電電流は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、鉛蓄電池が放電する際における放電電流に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記放電電流が大きいほど大きな係数に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、放電電流が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量に相応して設定されており、前記過充電電気量は、充電電気量とその充電電気量で充電された充電サイクルの直後の放電サイクルにおける放電電気量との差であることが望ましい。
放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記過充電電気量が大きいほど大きな係数に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、過充電電気量が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電気量をCc、前記鉛蓄電池の表面温度が25度、前記放電電流が3時間率である条件下で前記鉛蓄電池が放電したときに、前記鉛蓄電池の電圧が予め定められた放電終止電圧に達するまでの間に生じる放電電気量の80%値をC80としたときに、前記係数が、前記充電電気量と前記理論電気量との差分Cc−C80に相応して設定されていることが望ましい。
差分Cc−C80は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、差分Cc−C80に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記差分Cc−C80の値が大きいほど大きな係数に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、差分Cc−C80の値が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
また、本発明の他の局面に従う電源システムは、電源である鉛蓄電池と、前記鉛蓄電池を充電するための充電装置と、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定部と、を備えており、前記推定部は、前記鉛蓄電池の表面温度、充電電流、及び放電電流が予め定められた値である標準条件である際に前記鉛蓄電池の寿命を判断する際に基準とされる積算放電閾値Aを記憶し、前記鉛蓄電池の前記表面温度、前記充電電流、及び前記放電電流が実際に計測された値である実際条件であって、前記鉛蓄電池が前記標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における前記鉛蓄電池の放電電気量の積算値を表す積算放電電気量Bを算出し、前記積算放電閾値Aと前記積算電気量Bとの差分を用いて、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定することを特徴とする。
この構成によれば、この構成によれば、鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aから、鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における鉛蓄電池の放電電気量の積算値を表す積算放電電気量B(二酸化鉛の体積変化の蓄積値)を減じて、得られた値から鉛蓄電池の残余寿命を推定する。
そのため、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aと、二酸化鉛の体積変化の蓄積値を表す積算放電電気量Bと、の差分が判断されることによって、二酸化鉛の体積変化の蓄積値が、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aにどの程度近づいているかが判る。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上するので、精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようになる。そのため、例えば、運搬車両の動力源等のサイクル使用で鉛蓄電池を用いる場合に、この鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極め、鉛蓄電池の合理的な交換時期を精度良く推定できる。また、運搬車両の走行可能距離を推定することが容易となる。
上記構成において、前記推定部は、前記積算放電閾値Aを記憶する記憶部と、前記積算放電電気量Bを算出する算出部と、前記記憶部に記憶されている前記積算放電閾値Aから、前記算出部によって算出された前記積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る減算部と、前記減算部によって得られた前記差分電気量A−Bに対する前記積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める比率取得部と、を備えており、前記比率{(A−B)/A}から、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定することが望ましい。
この構成によれば、比率{(A−B)/A}が1に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいていないので、鉛蓄電池の推定残余寿命が長いことを推定できる。一方、推定部4は、比率{(A−B)/A}が0に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいているので、鉛蓄電池の推定残余寿命が短いことを推定できる。そのため、鉛蓄電池の残余寿命が簡易に判る。
上記構成において、前記算出部は、前記鉛蓄電池が放電するサイクル毎に、前記鉛蓄電池から放電された電気量を表す放電電気量に、前記実際条件を反映させて求められた係数を乗じた値を求めておき、前記サイクル毎に前記放電電気量に前記係数を乗じた値を、順次積算することで、下記式(1)のように前記積算放電電気量Bを算出することが望ましい。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
この構成によれば、電気化学的な反応性に影響を及ぼす他の因子(例えば、高温下での充電や、過充電量により、鉛格子(集電体)の腐食を触発すること)が積算放電電気量Bの算出に反映される。そのため、鉛蓄電池の実際の使用条件に即した残余寿命の推定が可能となるので、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記推定部は、記憶部と、前記係数が求められていない際には、前記係数を1として前記放電電気量に乗じた値を求める第1処理部と、前記係数を1として前記放電電気量に乗じて求められた値を順次積算して、得られた積算値を係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして前記記憶部に記憶させる第2処理部と、前記係数を1として前記放電電気量に乗じて求められた値を積算して、得られた値を積前記積算放電電気量Bとして前記記憶部に記憶させる第3処理部と、前記係数設定エラー時積算放電電気量Berrorに対する前記積算放電電気量Bの比率を求める第4処理部と、求められた前記比率(Berror/B)を表示する第5処理部と、を備えることが望ましい。
この構成によれば、この構成によれば、係数xが設定されていない場合には、係数を仮に1として放電電気量に乗じて求められた値が順次積算されて、得られた積算値が係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして記憶される。また、係数を1として放電電気量に乗じて求められた値が積算されて、得られた値が積算放電電気量Bとして記憶される。
そして、係数設定エラー時積算放電電気量Berrorに対する積算放電電気量Bの比率が求められて、求められた前記比率(Berror/B)が表示される。そのため、ユーザは、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が判り、残余寿命が推定される精度を認識できる。
例えば、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「1」に近いほど、鉛蓄電池の寿命に影響を与える因子によって定められる係数が残余寿命の推定に考慮されていないことが判る。そのため、残余寿命の推定精度が低いことが判る。一方、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「0」に近いほど、係数が残余寿命の推定に考慮されていることが判る。そのため、残余寿命の推定精度が高いことが判る。
上記構成において、前記鉛蓄電池の温度の高さを測定する温度測定部をさらに備えており、前記推定部は、前記温度測定部の測定値に相応して前記係数を設定する第1の係数設定部をさらに備えることが望ましい。
鉛蓄電池が放電する際における鉛蓄電池の温度は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、鉛蓄電池が放電する際における鉛蓄電池の温度に相応して係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記第1の係数設定部は、前記温度測定部の測定値が大きいほど大きな前記係数を設定することが望ましい。
この構成によれば、鉛蓄電池の劣化が進みやすい高温下では係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流の大きさを測定する電流測定部をさらに備えており、前記推定部は、前記電流測定部の測定値に相応して前記係数を設定する第2の係数設定部をさらに備えることが望ましい。
放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記第2の係数設定部は、前記電流測定部の測定値が大きいほど大きな前記係数を設定することが望ましい。
この構成によれば、充電電流が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記鉛蓄電池が放電する際における放電電流の大きさを測定する電流測定部をさらに備えており、前記推定部は、前記電流測定部の測定値に相応して前記係数を設定する第3の係数設定部をさらに備えることが望ましい。
鉛蓄電池が放電する際における放電電流は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、鉛蓄電池が放電する際における放電電流に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記第3の係数設定部は、前記電流測定部の測定値が大きいほど大きな前記係数を設定することが望ましい。
この構成によれば、放電電流が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量を算出する過充電電気量算出部と、算出された前記過充電電気量に相応して前記係数を設定する第4の係数設定部をさらに備えており、前記過充電電気量は、充電電気量とその充電電気量で充電された直後の放電サイクルにおける放電電気量との差であることが望ましい。
放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記第4の係数設定部は、前記過充電電気量が大きいほど大きな前記係数を設定することが望ましい。
この構成によれば、過充電電気量が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記推定部は、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電気量をCc、前記鉛蓄電池の表面温度が25度、前記放電電流が3時間率である条件下で前記鉛蓄電池が放電したときに、前記鉛蓄電池の電圧が予め定められた放電終止電圧に達するまでの間に生じる放電電気量の80%値をC80としたときに、前記充電電気量と前記理論電気量との差分Cc−C80に相応して前記係数を設定する第5の係数設定部をさらに備えることが望ましい。
差分Cc−C80は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、差分Cc−C80に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記第5の係数設定部は、前記差分Cc−C80の値が大きいほど大きな前記係数を設定することが望ましい。
この構成によれば、差分Cc−C80の値が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
本発明の鉛蓄電池の寿命推定方法および電源システムは、タフユースが可能で安全性が高い鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極め、鉛蓄電池の合理的な交換時期の正確な推定を促進するものであり、産業の発展に与える影響は大きい。
本発明は鉛蓄電池の寿命推定方法、および鉛蓄電池を用いた電源システムに関する。
二酸化炭素の排出や石油資源の枯渇を抑制する気運が高まる中、電力(例えば鉛蓄電池などの二次電池)のみを動力とする小型車両の開発が嘱望されている。
中でも鉛蓄電池は、タフユースに強く適度な重量を有しているため、例えば運搬車両における動力源として有用と考えられる。
この鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極めて合理的に交換するための方法が種々検討されている。例えば特許文献1には、トリクルまたはフロート使用の鉛蓄電池(トリクル充電またはフロート充電される鉛蓄電池)の表面温度を継続的に測定し、この表面温度を考慮して鉛蓄電池の容量劣化率を演算する方法が挙げられている。特許文献1には、常時微弱な充電電流を鉛蓄電池へ供給する無停電電源装置において、鉛蓄電池の温度依存性を考慮して精度良く容量劣化率を演算できると記されている。この方法を活用して、種々の用途で用いられる鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極められることができれば、その効果は大きいと考えられる。
特開平05−315015号公報
特許文献1に示されている無停電電源装置は、不定期に起こる停電に備えるものであって、平時は放電を伴わない。一方、上述した運搬車両は平時から放電(走行)するものである。しかも、運搬車両において鉛蓄電池は、走行(放電)と充電の繰り返しにより比較的顕著なSOC(State of Charge/充電状態)の変化を伴うものである。このような用途において、単に鉛蓄電池の表面温度を測定するだけでは、この鉛蓄電池の寿命を精度良く推定できない。また運搬車両の走行距離(SOCの変化)は一定でなく、毎回の充電電気量もまちまちであることを考えると、単に充電回数(サイクル数)によって鉛蓄電池の寿命を推定することも困難だと考えられる。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、運搬車両の動力源等のサイクル使用で鉛蓄電池を用いる場合に、この鉛蓄電池の使用限界を精度良く推定し、鉛蓄電池の合理的な交換時期を精度良く見極めることができる方法及びこの方法を実現できる電源システムを提案することを目的とする。
本発明の一局面に従う鉛蓄電池の寿命推定方法は、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定部が、前記鉛蓄電池の表面温度、充電電流、及び放電電流が予め定められた値である標準条件である際に前記鉛蓄電池の寿命を判断する際に基準とされる積算放電閾値Aを、記憶する記憶ステップと、前記推定部が、前記鉛蓄電池の前記表面温度、前記充電電流、及び前記放電電流が実際に計測された値実際条件として前記実際条件において前記鉛蓄電池が放電して劣化するときの放電電気量の積算値を、当該劣化と同じ程度の劣化を前記標準条件において生じるであろう放電電気量の積算値に、置き換えることにより積算放電電気量Bを算出する算出ステップと、前記推定部が、前記積算放電閾値Aから前記積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る減算ステップと、前記差分電気量を用いて、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定ステップと、を含む。
この構成によれば、鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aから、前記実際条件において前記鉛蓄電池が放電して劣化するときの放電電気量の積算値を、当該劣化と同じ程度の劣化を生じるであろう標準条件における放電電気量の積算値に置き換えた積算放電電気量B(二酸化鉛の体積変化の蓄積値)を減じて、得られた値から鉛蓄電池の残余寿命を推定する。
そのため、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aと、二酸化鉛の体積変化の蓄積値を表す積算放電電気量Bと、の差分が判断されることによって、二酸化鉛の体積変化の蓄積値が、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aにどの程度近づいているかが判る。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上するので、精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようになる。そのため、例えば、運搬車両の動力源等のサイクル使用で鉛蓄電池を用いる場合に、この鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極め、鉛蓄電池の合理的な交換時期を精度良く推定できる。また、運搬車両の走行可能距離を推定することが容易となる。
鉛蓄電池の使用限界を精度良く推定し、鉛蓄電池の合理的な交換時期を精度良く見極めることができる。
電源システムによって行われる寿命推定処理の一例を示したフローチャートである。 積算放電電気量Bを算出する処理の一例を示したフローチャートである。 残余寿命推定精度表示処理の一例を示したフローチャートである。 鉛蓄電池のサイクル寿命特性の一例を示した図である。 鉛蓄電池の充電電流と係数との相関の一例を示した図である。 鉛蓄電池の充電電流と温度差との相関の一例を示した図である。 鉛蓄電池の充電電流と係数との相関の一例を示した図である。 第5及び第6の実施形態を、第3及び第4の実施形態に組み合わせた際の積算放電電気量Bの算出処理の一例を示したフローチャートである。 鉛蓄電池の放電電流と係数との相関の一例を示した図である。 過充電電気量と係数との相関の一例を示した図である。 鉛蓄電池の充電受け入れ性の一例を示した図である。 SOCと過充電係数との相関の一例を示した図である。 差分Cc−C80と係数との相関の一例を示した図である。 第3〜第12の実施形態を組み合わせた際の積算放電電気量Bの算出処理の一例を示したフローチャートである。 過充電電気量(差分Cc−C80)と鉛蓄電池の表面温度とに基づくトータル係数の一例を表す図である。 本発明の電源システムの一例を示したブロック図である。 本発明の電源システムの他の例を示したブロック図である。 推定部の機能モジュールの一例を示したブロック図である。
以下に、本発明を実施するための形態について、図を用いて説明する。
第1の実施形態は、鉛蓄電池の寿命推定方法であって、鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aと、積算放電電気量Bとの差分(A−B)を用いて、鉛蓄電池の残余寿命を推定することを特徴とする。
ここに、厳密には、積算放電電気量は、鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返した結果、得られる放電電気量の積算値である。標準条件とは異なる実際条件において放電が行われた場合には、得られる放電電気量の積算値は、標準条件における放電電気量の積算値とは異なるものである。
しかしながら、本実施形態では、実際条件において鉛蓄電池が放電を繰り返して劣化するまでの放電電気量の積算値を、前記劣化と同じ程度に劣化すると考えられる、標準条件における放電電気量の積算値に置き換えて積算放電電気量Bとしている。
本実施形態で使用される鉛蓄電池は、充電及び放電を交互に繰り返して使用される。一般に、鉛蓄電池では正極の活物質として二酸化鉛(PbO2)が用いられる。本発明者らは、この二酸化鉛の利用率(実際に電池反応に使われる比率)の変化が、充放電回数よりもむしろ積算放電電気量に大きく相関することを知見した。二酸化鉛は収縮(充電)と膨張(放電)という体積変化を繰り返すことにより微細化されるので、二酸化鉛における電気化学的な反応性が変化する。そのため、本発明者らの知見によれば、二酸化鉛の微細化の進捗は、単純な充放電回数よりも、二酸化鉛の体積変化(二酸化鉛が膨張することによる体積変化)の蓄積値(すなわち積算放電電気量)に相関するものと推測される。従って、本発明では、実際条件において鉛蓄電池が放電を繰り返して劣化するまでの放電電気量の積算値を、前記劣化と同じ程度に劣化すると考えられる、標準条件における放電電気量の積算値に置き換えた積算放電電気量B(二酸化鉛の体積変化の蓄積値)を減じることで、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定するようにしている。また、運搬車両の走行可能距離も推定できるようにしている。
以下に、先述された第1の実施形態に係る鉛蓄電池の寿命推定方法について図1を用いて説明する。第1の実施形態に係る鉛蓄電池の寿命推定方法は、図16及び図17に示される電源システムS1及びS2によって行われる寿命推定処理によって実現される。
図1に示される寿命推定処理は、鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルが終了する度に、電源システムS1及びS2の推定部(マイクロコンピュータ4;以下、推定部4という)(図16及び図17参照)によって行われる。推定部4は、予め、積算放電閾値Aを記憶しておき(ステップS1;記憶ステップ)、積算放電電気量Bを算出する(ステップS2;算出ステップ)。そして、推定部4は、積算放電閾値Aから積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る(ステップS3;減算ステップ)。
そして、推定部4は、ステップS3において得られた差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める(ステップS4;比率取得ステップ)。そして、推定部4は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する(ステップS5)。ここに、ステップS4及びS5からなる連続した処理が推定ステップを表す。
このような処理により求められた比率{(A−B)/A}は、積算放電電気量Bが0に近ければ1に近くなる。一方、積算放電電気量BがAに近ければ、比率{(A−B)/A}は0に近くなる。そのため、推定部4は、比率{(A−B)/A}が1に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいていないので、鉛蓄電池の推定残余寿命が長いことを推定できる。一方、推定部4は、比率{(A−B)/A}が0に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいているので、鉛蓄電池の推定残余寿命が短いことを推定できる。そして、推定部4は、次に鉛蓄電池が放電したときには(ステップS20のYES)、算出ステップS2のステップS21に示される処理を行い、同様に比率{(A−B)/A}を求め、その時点における残余寿命を推定する。
尚、推定部4が、比率{(A−B)/A}と、鉛蓄電池の寿命となる期間とが対応したテーブルを参照できるようにすると、推定部4が鉛蓄電池の寿命となる期間を推定することができる。例えば、推定部4は、比率{(A−B)/A}を求めた後、テーブルを参照して、当該比率に対応する期間を得るようにすると、推定部は残余寿命の具体的な期間を推定できる。
また、推定部4が比率{(A−B)/A}に、予め設定された所定の係数を乗じたり加えたりすることで、推定部4が鉛蓄電池の寿命となる期間を推定するようにしてもよい。
第2の実施形態は、第1の実施形態において、放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数を乗じ、この値を積算することで積算放電電気量Bを算出するようにしたことを特徴とする。つまり、第2の実施形態は、先述されたステップS2に示される算出ステップにおいて、鉛蓄電池が放電するサイクル毎に、放電された電気量を表す放電電気量に係数を乗じた値を求めておき、放電電気量に係数を乗じた値を順次積算することで積算放電電気量Bを算出することを特徴とする。
鉛蓄電池の寿命は、上述した二酸化鉛の体積変化の蓄積を主因としつつも、電気化学的な反応性に影響を及ぼす他の因子(詳細は後述)の影響も受ける。またそれら因子の影響は、放電サイクル毎にまちまちであり、一義的な数値として制御しがたい。そこで下記式(1)のように放電サイクル毎に得られる放電電気量に、実際の放電条件から設定された係数を乗じ、この値を積算することで、鉛蓄電池が標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における鉛蓄電池の放電電気量の積算値である積算放電電気量を表す積算放電電気量Bを算出するようにしている。
これにより、二酸化鉛の電気的な反応性に影響を及ぼす因子の影響が考慮された積算放電電気量Bが得られ、二酸化鉛の電気的な反応性を影響を及ぼす因子が含まれる鉛蓄電池の実際条件における残余寿命が推定される。そのため、鉛蓄電池の実際の使用条件に即して、より精度良く鉛蓄電池の使用限界を見極めることができる。
尚、標準条件とは、鉛蓄電池の表面温度、充電電流、放電電流が予め定められた値である条件をいう。また、実際条件とは、鉛蓄電池の表面温度、充電電流、放電電流が実際に計測された値である条件をいう。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
なお上記式(1)は、以下の[数1]のように表すこともできる。
以下に、先述された第2の実施形態に係る鉛蓄電池の寿命推定方法について図2を用いて説明する。第2の実施形態に係る鉛蓄電池の寿命推定方法は、図16及び図17に示される電源システムS1及びS2によって行われる寿命推定処理によって実現される。
図2に示される算出ステップは、電源システムS1及びS2の推定部4(図16及び図17参照)によって行われる。推定部4は、ステップS20〜ステップS26に示される処理を行う。
推定部4は、鉛蓄電池が放電すると(ステップS20のYES)、該当する放電サイクルにおける放電電気量を、放電電流を放電時間で積分することで測定し、記憶する(ステップS21)。そして、推定部4は、後述される処理によって係数xが設定されていれば(ステップS22のYES)、測定された放電電気量に対して、該当する放電サイクルにおける係数xを乗じた値を求め(ステップS23)、求められた値を積算し、得られた値を積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。一方、もし、後述される処理によって係数xが設定されていないなら(ステップS22のNO)、所定のエラー処理を行う。エラー処理は、第1処理部471〜第5処理部475(図18参照)によって行われる。
エラー処理としては、設定されていない係数xを仮に1として、その係数「1」を、ステップS21において測定された放電電気量に乗じた値を求め、求められた値を記憶する(ステップS25及びS26)。そして、推定部4は、係数を「1」として当該係数を放電電気量に乗じて得た値を積算し、得られた値を積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。
このように、推定部4は、係数xが設定されていない場合でも、設定されていない係数xを仮に「1」として放電電気量に乗じて得た値を積算するので、係数が設定されていないときに計測された放電電気量の値を破棄する場合と比較すると、実際条件における鉛蓄電池の放電電気量の積算値の誤差が少なくなる。
その後、推定部4は、図3のステップS200〜S204に示される処理を行う。つまり、推定部4は、鉛蓄電池の残余寿命が推定される精度をユーザに知らせる残余寿命推定精度表示処理を行う。
この処理は、係数設定エラーが発生しているときに計測された放電電気量のみが順次積算された積算値(放電電気量Berror)と、係数設定エラーが発生しているか否かが区別されずに、計測された放電電気量が順次積算された積算値(積算放電電気量B)との比率の大きさによって、残余寿命の推定精度を知らせる処理である。
図3は、残余寿命推定精度表示処理の一例を示したフローチャートである。推定部4は、係数設定エラーが発生したとき(ステップS22において係数xが設定されていないとき)に測定された放電電気量を順次積算する(ステップS201)。推定部4は、得られた積算値を係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして記憶する(ステップS202)。
その後、推定部4は、係数設定エラー時積算放電電気量Berrorに対するこれまでの積算放電電気量Bの比率Berror/Bの値を求め、求められた値を、表示部7(図16及び図17参照)において表示させる(ステップS203及びS204)。推定部は、以上の残余寿命推定精度表示処理が終了すると、図3のステップS2の処理に戻る。
このように、推定部4は、係数xが設定されていない場合には、残余寿命推定精度表示処理を行うので、ユーザは、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が判り、残余寿命が推定される精度を認識できる。
例えば、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「1」に近いほど、鉛蓄電池の寿命に影響を与える因子によって定められる係数が残余寿命の推定に考慮されていないことが判る。そのため、残余寿命の推定精度が低いことが判る。一方、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「0」に近いほど、係数が残余寿命の推定に考慮されていることが判る。そのため、残余寿命の推定精度が高いことが判る。
以上に示される算出ステップで算出された積算放電電気量Bは、図1に示されるステップS3(減算ステップ)において使用される。
以上に示されるように、放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで積算放電電気量Bを算出している。そのため、鉛蓄電池から外部へ放出された電気量が積算された値を表す積算放電電気量Bが求められる。従って、第2の実施形態によれば、鉛蓄電池から累積的に外部に放出された電気量を精度良く判断することができるので、精度良く鉛蓄電池の使用限界を見極めることができるようになる。
以下に示される第3〜第12に係る実施形態は、第2の実施形態において用いられる係数xを設定する処理を行うことを特徴とする。以下に、第3〜第12に係る実施形態の各々が、係数xをいつ、どのように設定するかについて、図4〜図15の各々を用いて説明する。
第3の実施形態は、第2の実施形態において、推定部4の第1の係数設定部450(図18参照)が、該当する放電における鉛蓄電池の温度(例えば表面温度)に相応して係数xを設定することを特徴とする。第4の実施形態は、第3の実施形態において、第1の係数設定部450が、鉛蓄電池の温度が高いほど係数xを大きくすることを特徴とする。一般に、鉛蓄電池の温度が高い場合、鉛蓄電池が過充電されやすくなるので、鉛蓄電池の寿命が短くなることが知られている。すなわち、鉛蓄電池は高温下で充電を行った場合、鉛格子の腐食反応が促進して過充電されやすい傾向がある。そのため、該当する放電における鉛蓄電池の温度が高い場合、次の充電開始時点における鉛蓄電池の温度もまた高くなって過充電されやすくなるので、鉛蓄電池の残余寿命が短くなる。従って、この傾向を反映させ、該当する放電における鉛蓄電池の温度が高い場合に係数xを大きく設定することで、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようにしている。
図4は、3時間率定格容量(鉛蓄電池の表面温度が25度、放電電流が3時間率である条件下で鉛蓄電池が放電したときに、鉛蓄電池の電圧が予め定められた放電終止電圧に達するまでの間に生じる放電電気量;以下同じ)が60Ahのセルを6セル直列に接続した、公称電圧12Vの鉛蓄電池(パナソニック社製のEV用制御弁式鉛蓄電池)のサイクル寿命特性を示した図である。なおサイクル寿命は、鉛蓄電池の表面温度がそれぞれ異なる条件下で、以下に示される実験によって判断された。すなわち、6A(10時間率)で36Ahの充電と、20A(3時間率)で30Ahの放電とを繰返して行い、積算放電電気量Bが3000Ah時点の放電電気量56Ahを初期電気量として、放電電気量がこの初期電気量56Ahの80%(44.8Ah)まで低下した時点を寿命と判断した。
以下、本明細書において、3時間率定格容量60Ahとは、鉛蓄電池の表面温度が25度、放電電流が3時間率である条件下で鉛蓄電池が放電したときに、鉛蓄電池の電圧が予め定められた放電終止電圧に達するまでの間に生じる放電電気量が60Ahであることをいう。
図4からも明らかなように、25℃における寿命到達までの積算放電電気量Bをベースとして判断された場合、0℃における寿命到達までの積算放電電気量Bは、25℃における寿命到達までの積算放電電気量Bよりも大きい。一方、45℃における寿命到達までの積算放電電気量Bは、25℃における寿命到達までの積算放電電気量Bよりも小さい。
以上に示されるように、寿命到達までの積算放電電気量Bは、温度の変化によって25℃における積算放電電気量Bからずれる。図4から、積算放電電気量Bを以下に示されるように、実験的に表すことができる。25℃における寿命到達までの積算放電電気量Bを1とすると、0℃における寿命到達までの積算放電電気量Bは、1/0.914で表される。また、25℃における寿命到達までの積算放電電気量Bを1とすると、45℃における寿命到達までの積算放電電気量Bは、1/1.600で表される。
このように、温度が高いほど寿命到達までの積算放電電気量Bが小さくなり、温度が低いほど寿命到達までの積算放電電気量Bが大きくなることは、温度が高いほど鉛格子の腐食反応が促進され、温度が低いほど鉛格子の腐食反応が促進されないことに起因する。
本実施形態では、25度における寿命到達までの積算放電電気量Bを、実験的に1としたときに得られる各温度における寿命到達までの積算放電電気量Bの分母を係数xとしている。そのため、0℃における積算放電電気量Bの分母は0.914であるので、0℃における係数xは0.914とされる。また、45℃における積算放電電気量Bの分母は1.600であるので、45℃における係数xは1.600とされる。先述されたような実験を、鉛蓄電池の表面温度を逐次変更させて行い、25度における寿命到達までの積算放電電気量Bを、実験的に1としてときに得られる各温度における寿命到達までの積算放電電気量Bの分母を係数xとすることで、図5に示される温度−係数相関図が得られる。
図5に示される温度−係数相関図は、係数xの温度依存性をプロットした図である。第3および第4の実施形態では、図5に示される温度―係数相関図から推定される係数の変化を反映して、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定するようにしている。つまり、第1の係数設定部450は、鉛蓄電池の表面温度が判れば、該表面温度に対応する係数xを図5に示される温度−係数相関図から取得し、取得した係数xを設定する。
尚、先述された第3の実施形態において、第1の係数設定部450は、鉛蓄電池の表面温度が低くなるほど、係数xを大きく設定することもできる。
一般に、鉛蓄電池の充電が不足しやすい条件では、鉛蓄電池において以下に示される傾向が現れることが知られている。つまり、放電サイクルにおける鉛蓄電池の表面温度が低い場合、その直後の充電サイクルが開始される時点では、鉛蓄電池の表面温度が低温のままである。その際、鉛蓄電池において充電不足が発生しやすいため、鉛蓄電池の残余寿命が短くなる。
一方、放電サイクルにおける鉛蓄電池の表面温度が高温のとき、その直後の充電サイクルが開始される時点では、鉛蓄電池の表面温度が高温のままである。その際、鉛蓄電池の充電効率が高いため、充電不足が解消される。これにより、鉛蓄電池の残余寿命が長くなる。
従って、鉛蓄電池の充電が不足しやすい条件では、このような傾向を反映させて、放電サイクルにおける鉛蓄電池の表面温度が低くなるほど係数xを大きくすれば、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。尚、鉛蓄電池の充電が不足しやすい条件として、例えば、3時間率定格容量60Ahの鉛蓄電池が、定電圧充電(14.7V制御、最大充電電流12A、充電時間6時間)されている条件が挙げられる。
第5の実施形態は、第2の実施形態において、推定部4の第2の係数設定部451(図18参照)が、該当する放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流に相応して係数を設定することを特徴とする。第6の実施形態は、第5の実施形態において、第2の係数設定部451が、充電電流が大きいほど係数を大きくすることを特徴とする。このように、第2の係数設定部451が、放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流が大きいほど大きな係数xを設定する理由は、以下に示される通りである。
つまり、鉛蓄電池自身が抵抗体であるため、充電電流が大きい場合、ジュール熱による鉛蓄電池の発熱もまた大きくなる。この現象を反映させ、該当する放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流が大きい場合に係数xを大きく設定することで、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようにしている。
図6は、25℃環境下で上述した鉛蓄電池を種々の充電電流で充電した場合の、鉛蓄電池の充電開始時の温度と、鉛蓄電池の充電終了時の温度との温度差を示したものである。つまり、図6には、充電電流値−温度差相関図が示されている。
図6から、時間率で表される充電電流の値が大きくなるほど、充電終了時の鉛蓄電池の温度と、充電開始時の鉛蓄電池の温度との温度差(充電終了時上昇温度)が大きくなることが判る。そのため、充電電流が大きい場合、鉛蓄電池において生じるジュール熱による発熱が大きくなっていることがわかる。そこで、推定部4は、第4の実施形態で示した係数xの温度依存性(図5参照)を把握している場合、以下の処理ができる。
つまり、推定部4は、図5に示される温度−係数相関図が、鉛蓄電池が10時間率の充電電流で充電されている条件下における係数xの温度依存性がプロットされた図であると仮定する。また、推定部4は、図5に示される温度(℃)が、10時間率の充電電流で充電されている条件下における、充電終了時の鉛蓄電池の温度と、充電開始時の鉛蓄電池の温度との温度差(充電終了時上昇温度)に相当すると仮定する。
このような条件下において、推定部4が、10時間率充電の場合における充電終了時上昇温度と、図6に示される各々の充電電流値に対応する充電終了時上昇温度との差を求める。すると、図6の最も右列に示される「10時間率充電の場合における充電終了時上昇温度との差」が得られる。
そして、推定部4は、図6に示されるように、時間率が1の場合には「10時間率充電の場合における充電終了時上昇温度との差」として15℃の値が得られるので、鉛蓄電池が25℃ではなく、15℃加えられた40℃の条件下で充電が行われたと仮定する。すると、図5に示される温度−係数相関図から、40℃に対応する係数xとして、およそ1.43の値が得られる。
同様に、推定部4は、時間率が10の場合には「10時間率充電の場合における充電終了時上昇温度との差」として0℃の値が得られるので、鉛蓄電池が実際の温度である25℃の条件下で充電が行われたものと取り扱う。すると、図5に示される温度−係数相関図から、25℃に対応する係数xとして1が得られる。
同様に、推定部4は、図6に示されるように、時間率が40の場合には「10時間率充電の場合における充電終了時上昇温度との差」として−7℃の値が得られるので、鉛蓄電池が25℃ではなく、7℃引かれた18℃の条件下で充電が行われたと仮定する。すると、図5に示される温度−係数相関図から、18℃に対応する係数xとして、およそ0.92の値が得られる。
推定部4は、先述された処理を、時間率の各々に対応して行うことで得られる係数xの値を、仮定された温度に関連づけてプロットすると、図7に示される充電電流−係数相関図を得ることができる。そのため、推定部4は、図7に示される充電電流−係数相関図から、充電電流に応じた係数xを得ることによって、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようになる。
尚、第5及び第6の実施形態は、第3及び第4の実施形態における鉛蓄電池の表面温度の計測に代えて充電電流を計測し、充電電流より表面温度を推定し、推定された表面温度から係数xを求めるものである。このような第5及び第6の実施形態を、第3及び第4の実施形態に組み合わせれば、エラーで表面温度に応じた係数xを設定できなかった場合でも、充電電流に応じた係数xによって、精度の高い残余寿命の推定が実現される。
図8は、第5及び第6の実施形態を、第3及び第4の実施形態に組み合わせた際の積算放電電気量Bの算出処理の一例を示したフローチャートである。
推定部4は、鉛蓄電池が放電すると(ステップS20のYES)、該当する放電サイクルにおける放電電気量を放電電流を放電時間で積分することで測定し、記憶する(ステップS21)。そして、推定部4は、鉛蓄電池の表面温度を測定して記憶する(ステップS30)。一方、推定部4は、鉛蓄電池が放電せずに充電されているときには(ステップS20のNO、及び、ステップS33のYES)、充電電流を測定して記憶する(ステップS34)。
その後、推定部4は、先述された表面温度に基づく係数xの設定がなされている場合には(ステップS31のYES)、設定済みの係数xを、測定された放電電気量に乗じた値を求め(ステップS23)、求められた値を積算し、得られた値を積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。
また、推定部4は、先述された表面温度に基づく係数xの設定がなされていない場合には、先述された充電電流に基づく係数xの設定がなされているか否かを判定する(ステップS32)。この結果、充電電流に基づく係数xの設定がなされているときには(ステップS32のYES)、設定済みの係数xを、測定された放電電気量に乗じた値を求め(ステップS23)、求められた値を積算し、得られた値を積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。
一方、推定部4は、表面温度に基づく係数xの設定、及び、充電電流に基づく係数xの設定のいずれもなされていない場合には(ステップS31のNO、及び、ステップS32のNO)、先述されたエラー処理(ステップS24〜S26)、及び、残余寿命推定精度表示処理(ステップS200〜S204)を行う。
第7の実施形態は、第2の実施形態において、推定部4の第3の係数設定部452(図18参照)が、該当する放電における放電電流に相応して係数を設定することを特徴とする。第8の実施形態は、第7の実施形態において、第3の係数設定部452が、放電電流が大きいほど係数を大きくすることを特徴とする。第3の係数設定部452は、予め推定部4に記憶されている放電電流−係数相関図(図9参照)から、放電電流に相応する係数を設定する。このように、第3の係数設定部452が、放電電流が大きいほど大きな係数xを設定する理由は、以下に示される通りである。
すなわち、新品もしくは同じ劣化率の鉛蓄電池でも、放電電流により取り出される電気量が異なることが知られている。また、鉛蓄電池自身が抵抗体となるので、放電電流が大きい場合、ジュール熱による鉛蓄電池の発熱もまた大きくなる。そのため、放電ステップにおける放電が終わってから、次の充電までに十分に冷却されない場合、充電時における鉛蓄電池の表面温度が高いままである。もし、放電終了直後における鉛蓄電池の表面温度が高いままで充電されると、先述されたように、鉛蓄電池の残余寿命が短くなる。そのため、これらの現象を反映させ、該当する放電における放電電流が大きい場合に係数xを大きく設定することで、より精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようにしている。
第9の実施形態は、第2の実施形態において、推定部4の第4の係数設定部453(図18参照)が、該当する放電サイクルの直前の充電サイクルにおける、後述する過充電電気量に相応して係数を設定したことを特徴とする。第10の実施形態は、第9の実施形態において、第4の係数設定部453が、過充電電気量が大きいほど係数を大きくすることを特徴とする。第4の係数設定部453は、推定部4に予め記憶されている、過充電電気量−係数相関図(図10参照)から、後述する過充電電気量に相応する係数を設定する。以下、このように、第4の係数設定部453が、過充電電気量が大きいほど大きな係数xを設定する理由が、図11とともに説明される。
図11は、一般的な鉛蓄電池の充電受け入れ性を充電電気量の違いとともに示した図である。
図11において、横軸は理論的な満充電電気量に対する充電電気量(Charge Input)の比、縦軸は理論的な満充電電気量に対する放電電気量(Delivered Capacity)の比に相当する。図11に示されるように、充電電流が小さい場合でも充電電気量(Charge Input)が理論的な満充電電気量(公称容量;以下同じ)の80%を超えると、充電電気量(Charge Input)と放電電気量(Delivered Capacity)とで得られるラインが、充電電気量と放電電気量とが同じ値となる理想的なライン(ideal line)から外れ始め、充電に費やしたものの放電に寄与しない電気量の割合が増す。
すなわち、図11に示されるように、充電電流が0.05CA(但し、CAは時間率の逆数とする)のように小さな場合でも、充電電気量が理論的な満充電電気量の80%を超えると、得られる放電電気量が、理想的なラインから得られる放電電気量よりも小さくなる。また、図11に示されるように、充電電流が0.1CA及び0.15CAのときには、充電電気量が理論的な満充電電気量(公称容量)の80%未満であっても、理論的な充電電気量のおよそ65%の充電電気量を超えると、充電電気量と放電電気量とで得られるラインが、理想的なラインから外れ始める。その結果、充電電気量とその充電電気量で充電された直後の放電サイクルにおける放電電気量との間に差が生じる。
このような差は、過充電電気量と呼ばれる。このような差を、充電電流を0.05CAから0.15CAの範囲内で変化させながら求めて、求められた値をプロットした領域が、図11において斜線で表される領域Aで示されている。このような過充電電気量が多いほど、鉛格子(集電体)の腐食による劣化が起こりやすいので、鉛蓄電池の寿命が短くなる。そこで、推定部4は、鉛蓄電池の充放電がどのSOCの範囲で行われているかを把握し、該当する放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量を算出して過充電電気量が大きいほど係数xを大きく設定する。
以下、推定部4によるSOCの把握処理、及び、推定部4による過充電電気量の算出処理について説明する。
推定部4が、鉛蓄電池の充放電がどのSOCの範囲で行われているかを把握することは、例えば、推定部4が、鉛蓄電池の充放電サイクルが終了する毎に以下の処理を行うことによって実現できる。つまり、推定部4は、予め初期電気量(図4参照)を記憶しておき、放電サイクルにおける放電電気量を放電電流を放電時間で積分することで測定し、その直後の充電サイクルにおける充電電気量を充電電流を充電時間で積分することで測定する。そして、推定部4は、初期電気量から放電電気量を減算し、その後、充電電気量を加算する。この処理によって、推定部4が、鉛蓄電池の充放電がどのSOCの範囲で行われているかが把握される。
また、推定部4が過充電電気量を算出することは、例えば、以下の処理によって実現される。推定部4には、予め、SOCと過充電係数aとの相関を表すデータが記録されている。ここに、過充電係数aは、各SOCにおいて充電反応に使われなかった電気量で表される数値が、係数として扱われて定められた係数である。SOCと過充電係数aとの相関を表すデータは、例えば、図12に示されるSOC−過充電係数相関図として表される。
このSOC−過充電係数相関図は、鉛蓄電池の表面温度が一定の温度を保持している状態で一定値の充電電流を鉛蓄電池のSOCがそれぞれ異なる状態で流す実験によって得られる。つまり、SOC−過充電係数相関図は、表面温度及び充電電流が一定であるときに、鉛蓄電池のSOCを変化させながら、各SOCにおいて充電反応に使われなかった電気量を都度求める実験によって得られる。
例えば、図12に示される相関図は、3時間率定格容量60Ahの鉛蓄電池において、鉛蓄電池の表面温度が25度である条件において行われた、以下に示される実験によって得られている。つまり、図12に示される相関図は、当該条件において、鉛蓄電池に対して0.1CA(6A)の充電電流を流し続けて、SOCをおよそ75%の状態からおよそ120%の間で変化させながら、各々のSOCにおいて充電反応に使われなかった電気量を都度求める実験が行われて得られている。
図12において示されているように、充電電流を鉛蓄電池に流し続けた結果、SOCが100%を超えるような充電電気量が鉛蓄電池に入ったとする。その際、図12における点線で示されているように、充電反応に使われなかった電気量(つまり、過充電係数a)が急激に増加する。
推定部4は、このようなSOCと過充電係数aとの相関を表すデータを用いて、過充電電気量を求める。つまり、推定部4は、放電サイクルにおける放電電気量及びその放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電気量を用いて、先述されたSOCの把握処理を行う。すると、充放電がどのSOCの範囲で行われたかを推定部4が把握できる。
そして、推定部4は、把握された範囲のSOCに相応する過充電係数aを、図12に示されるSOC−過充電係数相関図より得る。その後、推定部4は、測定された充電電気量に、把握された範囲のSOCの各々に相応する過電流係数aの各々を乗じて得られた値を順次積算する。その結果得られる値が、該当する放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量である。
例えば、3時間率定格容量60Ahの鉛蓄電池において、鉛蓄電池の表面温度が25度にて、SOCが50%である状態から0.1CA、すなわち6Aにて、36Ah充電したとする。
その場合、SOCを50%から75%の状態にさせるために必要な充電電気量(この例では15Ah)は、図12のSOC−過充電係数相関図に示されるように、充電により、SOCを50%の状態から75%の状態にする間には、過充電係数aの値は0のままである。そのため、SOCを50%から75%の状態にする間には、過充電電気量は0Ahである。
ところが、SOCが75%の状態を超えると、図12に示されるように過充電領域が存在する。そのため、推定部4は、SOCが75%の状態を超えてから、先述されたような処理により過充電電気量を求める。
例えば、SOCが89%から90%の範囲内にある間、当該範囲内のSOCに対応する対応する過充電係数aは“0.1”である。そのため、SOCが89%の状態から90%の状態になるまでの間に測定された充電電気量の和(この例では0.6Ah)に、89%から90%の範囲内のSOCの各々に対応する過充電係数“0.1”を乗じた値が、SOCが89%から90%の範囲内にある場合の過充電電気量となる。
このような処理を、75%を超えるSOCの範囲内で行うことにより、全体の過充電電気量(2.7Ah)が求まる。
ここに、過充電電気量が大きくなるほど、鉛蓄電池の充電反応に使われる電気量よりも、鉛格子の腐食反応や、電解液中の水の電気分解に使われる電気量が大きくなるので、鉛蓄電池の劣化が進み、残余寿命が短くなる。そのため、過充電電気量の大きさに応じた係数xが設定されることによって、精度の良い鉛蓄電池の残余寿命の推定が実現される。
第11の実施形態は、第2の実施形態において、推定部4の第5の係数設定部454(図18参照)が、該当する放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電気量をCc、3時間率定格容量を表す理論電気量の80%値をC80としたときに、差分Cc−C80に相応して係数xを設定することを特徴とする。第12の実施形態は、第11の実施形態において、第5の係数設定部454が、差分Cc−C80が大きいほど係数xを大きくする機能を推定部4に持たせたことを特徴とする。
第5の係数設定部454は、推定部4に予め記憶されている「Cc−C80」−「係数」相関図(図13参照)から、差分「Cc−C80」の値に相応する係数xを設定する。このように、第5の係数設定部454が、差分Cc−C80の値が大きいほど大きな係数xを設定する理由は、以下に示される通りである。
つまり、仮に、推定部4が第9及び10の実施形態のように、図11の領域Aを求める演算機能を有していなくても、推定部4が鉛蓄電池の充放電がどのSOCの範囲で行われているかを把握できていれば、上述したCcおよびC80が求められる。
例えば、3時間率定格容量60Ahの鉛蓄電池において、鉛蓄電池の表面温度が25度にて、SOCが50%である状態から0.1CA、すなわち6Aにて、36Ahの充電電気量を充電するとする。その場合、前記充電において、SOC50%から充電することが明確であれば、3時間率定格容量である60Ahの50%(30Ah)に、実際の充電電気量(36Ah)を加えた電気量である62Ahを、Ccとすることができる。一方、3時間率定格容量60Ahの80%(48Ah)をC80とすることができる。
そして、Cc(62Ah)から、C80(48Ah)を引いた値から、差分Cc−C80(14Ah)が求められる。尚、推定部4は、充放電がどのSOCの範囲で行われているかについて、先述された処理によって把握することができる。
このような差分Cc−C80の値が大きいほど、実際の充電電気量が3時間率定格容量の80%を超えている大きさが大きいことが判る。一方、差分Cc−C80の値が小さいほど、実際の充電電気量が3時間率定格容量の80%を超えている大きさが小さいことが判る。また、Cc−C80の値が0もしくはマイナスの値であれば、実際の充電電気量が3時間率定格容量の80%を超えていないことが判る。そのため、差分Cc−C80の値を、先述された過充電電気量と扱うことができる。
従って、差分Cc−C80の値に相応してこの差分が大きいほど係数xを大きく設定することで、第9及び10の実施形態より精度はやや劣るものの、簡便に鉛蓄電池の残余寿命を推定できる。
なおここまでは第3〜4、5〜6、7〜8、9〜10および11〜12の実施形態を個々に用いた場合を示したが、これらの実施形態を組み合わせて用いることで、さらに鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上することは言うまでもない。
図14は、第3〜第12の実施形態を組み合わせた際の積算放電電気量Bの算出処理の一例を示したフローチャートである。
推定部4は、鉛蓄電池が放電したときに(ステップS20のYES)、該当する放電サイクルにおける放電電気量を放電電流を放電時間で積分することで測定し、記憶する(ステップS21)。そして、推定部4は、鉛蓄電池の表面温度を測定して記憶し(ステップS30)、その後、推定部4は、放電電流を測定して記憶する(ステップS37)。
また、推定部4は、鉛蓄電池が、ステップS20における放電の、直後の充電サイクルにおいて充電されているときに(ステップS20のNO、及び、ステップS33のYES)、充電電流を測定して記憶する(ステップS34)。その後、推定部4は、測定された充電電流を充電時間で積分することで、充電電気量Ccを測定して記憶する(ステップS45)。
その後、推定部4は、得られた放電電気量及び充電電気量Ccを用いて先述されたSOCの把握処理を行って、鉛蓄電池においてどのSOCの範囲で充放電が行われたかを把握する(ステップS38)。そして、推定部4は、把握された範囲のSOCの各々に相応する過充電係数aの各々を得る(ステップS39)。
そして、推定部4は、鉛蓄電池の表面温度に基づいて係数xが設定されているか否かを判断する(ステップS31)。推定部4は、表面温度に基づいて係数xが設定されているときには(ステップS31のYES)、以下に示される処理を行う。尚、推定部4は、充電電流に基づいて係数xが設定されているとき(ステップS32のYES)、及び、放電電流に基づいて係数xが設定されているとき(ステップS39のYES)も、同様の処理を行う。
つまり、推定部4は、先述された処理によって過充電電気量が算出されているか否かを判断する(ステップS40)。過充電電気量が算出されているときには(ステップS40のYES)、推定部4は、図15に示されるトータル係数図から、得られた表面温度及び過充電電気量に相応する係数であるトータル係数Xを得る(ステップS41)。そして、推定部4は、トータル係数Xに、測定された放電電気量を乗じた値を求め(ステップS42)、求められた値を積算して積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。
一方、過充電電気量が算出されていないときには(ステップS40のNO)、充電電気量Ccが測定されているか否かを判断する(ステップS43)。充電電気量Ccが測定されている際には(ステップS43のYES)、差分Cc−C80の値を算出し(ステップS44)、得られた差分Cc−C80及び表面温度に相応するトータル係数Xを得る(ステップS41)。そして、推定部4は、トータル係数Xに、測定された放電電気量を乗じた値を求め(ステップS42)、求められた値を積算して積算放電電気量Bとして記憶する(ステップS24)。
また、推定部4は、係数x、過充電電気量、充電電気量Ccのいずれも得ていないときには(ステップS31、ステップS32、ステップS39、ステップ40、及びステップS43のNO)には、先述されたエラー処理(ステップS24〜S26)、及び、残余寿命推定精度表示処理(ステップS200〜S204)を行う。
このように、推定部4は、過充電電気量(又は差分Cc−C80の値)に相応するトータル係数を用いて積算放電電気量Bを得ている。ここに、図15に示されるトータル係数図は、予め推定部4が記憶している。トータル係数図において、表面温度が低く過充電電気量(又は差分Cc−C80の値)が小さい領域では、充電不足による寿命の短縮が反映されている。また、表面温度が高く過充電電気量(又は差分Cc−C80の値)が大きな領域は、正極格子腐食による寿命の短縮が反映されている。
このように、鉛蓄電池の寿命となる要因が異なる場合でも、複数の要因を組み合わせて用いることで、残余寿命の推定精度を高めることができる。
また、表面温度及び過充電電気量(又は差分Cc−C80の値)に基づいたトータル係数Xの設定にエラーが生じた際でも、充電電流又は放電電流と、3時間率定格容量との差に基づいた別の係数を用いれば、推定精度を高めることができる。
第13の実施形態は、電源である鉛蓄電池と、この鉛蓄電池を充電するための充電器(充電装置)と、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aを記憶し、放電サイクル毎に得られる放電電気量を積算して積算放電電気量Bを算出し、積算放電閾値AとBとの差分を用いて残余寿命を推定する推定部と、からなることを特徴とする電源システムに関する。ここに、鉛蓄電池1として、充電及び放電を交互に繰り返して使用される。
また、第13の実施形態の具体的な構成は、図16及び図17において電源システムS1及びS2として示されている。なお第13の実施形態の効果は、第1の実施形態の効果と同様である。また、図16及び図17に示される電源システムS1及びS2の詳細な構成は後述される。
第14の実施形態は、第13の実施形態において、放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数を乗じ、この値を積算することで積算放電電気量Bを算出するようにしたことを特徴とする。第14の実施形態の具体的な構成も、図16及び図17において電源システムS1及びS2として示されている。なお第14の実施形態の効果は、第2の実施形態の効果と同様である。
第15の実施形態は、第14の実施形態において、鉛蓄電池の温度を測定する温度測定部を設け、この温度測定部の測定値に相応して係数を設定する機能を推定部に持たせたことを特徴とする。第16の実施形態は、第15の実施形態において、温度が高いほど係数を大きくする機能を推定部に持たせたことを特徴とする。
図16は第13〜第16の実施形態に係る電源システムの一例を示すブロック図である。電源システムS1において、鉛蓄電池1は、これを充電するための充電器(充電装置)2および電動機器からなる負荷3と電気的に接続されている。一方で鉛蓄電池1はマイクロコンピュータ4とも接続されている。このマイクロコンピュータ4は少なくとも推定部を構成しており、かつ鉛蓄電池1に近接した状態で鉛蓄電池1の表面温度を測定する温度測定部5と接続されている。推定部(マイクロコンピュータ4)は少なくとも以下に示す4つの機能を有する。第1に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aを記憶する。第2に、推定部(マイクロコンピュータ4)は温度測定部5の測定値に相応して、放電サイクル毎に得られる放電電気量に異なる係数xを設定する。ここで、推定部(マイクロコンピュータ4)は、鉛蓄電池の表面温度が高いほど係数xの値を大きくする機能を有する。第3に、推定部(マイクロコンピュータ4)は放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで下記式1のように積算放電電気量Bを算出する。第4に、推定部(マイクロコンピュータ4)は積算放電閾値AとBとの差分(差分電気量A−B)を求める。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
第5に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。第6に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する。
なお図16には第13〜第16の実施形態に係る基本的な構成のみを示したが、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を表示部(例えばディスプレイや、電灯の点滅など)に表示させるのも、好ましい態様の1つである。また、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を、無線データ、音声データ、電子データなどのデータの形で通知することも好ましい。ここで第15及び第16の実施形態の各々の効果は、第3及び第4の実施形態の各々の効果とそれぞれ同様である。
第17の実施形態は、第14の実施形態において、該当する放電サイクルの直前の充電サイクルにおける充電電流を測定する電流測定部を設け、この電流測定部の測定値に相応して係数を設定する機能を推定部に持たせたことを特徴とする。第18の実施形態は、第17の実施形態において、充電電流が大きいほど係数を大きくする機能を推定部に持たせたことを特徴とする。
図17は第17及び第18の実施形態に係る電源システムの一例を示すブロック図である。電源システムS2において、鉛蓄電池1は、これを充電するための充電器(充電装置)2および電動機器からなる負荷3と電気的に接続されている。一方で鉛蓄電池1はマイクロコンピュータ4とも接続されている。このマイクロコンピュータ4は少なくとも推定部を構成しており、かつ鉛蓄電池1の充電電流を測定する電流測定部6と接続されている。推定部(マイクロコンピュータ4)は少なくとも以下に示す4つの機能を果たす。第1に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1の使用停止を促すための積算放電閾値Aを記憶する。第2に、推定部(マイクロコンピュータ4)は電流測定部6の測定値に相応して、放電サイクル毎に得られる放電電気量に異なる係数xを設定する。ここで推定部(マイクロコンピュータ4)は、充電電流が大きいほど係数xの値を大きくする機能を有する。第3に、推定部(マイクロコンピュータ4)は放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで下記式(1)のように積算放電電気量Bを算出する。第4に、推定部(マイクロコンピュータ4)は積算放電閾値AとBとの差分(差分電気量A−B)を求める。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
第5に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。第6に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する。
なお図17には第17及び第18の実施形態に係る基本的な構成のみを示したが、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を表示部(例えばディスプレイや、電灯の点滅など)に表示させるのも、好ましい態様の1つである。また、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を、無線データ、音声データ、電子データなどのデータの形で通知することも好ましい。ここで第17及び第18の各々の実施形態の効果は、第5及び第6の実施形態の各々の効果とそれぞれ同様である。
第19の実施形態は、第14の実施形態において、該当する放電における放電電流を測定する電流測定部を設け、この電流測定部の測定値に相応して係数を設定する機能を推定部に持たせたことを特徴とする。第20の実施形態は、第19の実施形態において、放電電流が大きいほど係数を大きくする機能を推定部に持たせたことを特徴とする。
第19及び第20の実施形態は、図17を用いて説明できる。具体的には、電流測定部6に鉛蓄電池1の放電電流を測定させ、推定部(マイクロコンピュータ4)が以下の機能を果たすことで、第19及び第20の実施形態を達成できる。第1に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1の使用停止を促す積算放電閾値Aを記憶する。第2に、推定部(マイクロコンピュータ4)は電流測定部6の測定値に相応して、放電サイクル毎に得られる放電電気量に異なる係数xを設定する。ここで推定部(マイクロコンピュータ4)は、放電電流が大きいほど係数xの値を大きくする機能を有する。第3に、推定部(マイクロコンピュータ4)は放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで下記式(1)のように積算放電電気量Bを算出する。第4に、推定部(マイクロコンピュータ4)は積算放電閾値AとBとの差分(差分電気量A−B)を求める。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
第5に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。第6に、推定部(マイクロコンピュータ)4は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する。
なお図17には第19及び第20の実施形態に係る基本的な構成のみを示したが、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を表示部(例えばディスプレイや、電灯の点滅など)に表示させるのも、好ましい態様の1つである。また、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を、無線データ、音声データ、電子データなどのデータの形で通知することも好ましい。ここで第19及び第20の実施形態の各々の効果は、第7〜8の実施形態の各々の効果とそれぞれ同様である。
第21の実施形態は、第14の実施形態において、該当する放電サイクルの直前の充電サイクルにおける過充電電気量を算出し、この過充電電気量に相応して係数を設定する機能を推定部に持たせたことを特徴とする。第22の実施形態は、第21の実施形態において、過充電電気量が大きいほど係数を大きくする機能を推定部に持たせたことを特徴とする。ここに、過充電電気量は、先述されたように、充電電気量とその充電電気量で充電された直後の放電サイクルにおける放電電気量との差を意味する。
第21〜22の実施形態も、図17を用いて説明できる。一例として、図17に示されるように、マイクロコンピュータ4にさらにタイマー47を加え、推定部(マイクロコンピュータ4)が以下の機能を果たすことで、第21及び第22の実施形態を達成できる。第1に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1の使用停止を促す積算放電閾値Aを記憶する。第2に、推定部(マイクロコンピュータ4)は過充電領域(図11において斜線で表される領域A)を記憶する。第3に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1のSOCを把握した上で、電流測定部6の測定値とタイマー47が計測する充電時間との積として算出した充電電気量を加算することで、鉛蓄電池1の充電後のSOC値を算出する。第4に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、上述した鉛蓄電池1の充電後のSOC値を過充電領域(図11において斜線で表される領域A)と照合して、該当する放電ステップの直前の充電サイクルにおける過充電電気量を算出する。第5に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、上述した過充電電気量に相応して、放電サイクル毎に得られる放電電気量に異なる係数xを設定する。ここで推定部(マイクロコンピュータ4)は、過充電電気量が大きいほど係数xの値を大きくする機能を有する。第6に、推定部(マイクロコンピュータ4)は放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで下記式(1)のように積算放電電気量Bを算出する。第7に、推定部(マイクロコンピュータ4)は積算放電閾値AとBとの差分(差分電気量A−B)を求める。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
第8に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。第9に、推定部(マイクロコンピュータ)4は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する。
なお上述した構成に加え、推定部の推定結果を表示部(例えばディスプレイや、電灯の点滅など)に表示させるのも、好ましい態様の1つである。また、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を、無線データ、音声データ、電子データなどのデータの形で通知することも好ましい。ここで第21及び第22の実施形態の各々の効果は、第9及び第10の実施形態の各々の効果とそれぞれ同様である。
第23の実施形態は、第14の実施形態において、該当する放電サイクルの直前の充電サイクルにおける充電電気量をCc、3時間率定格容量の80%値をC80としたときに、差分Cc−C80を算出し、この差分に相応して係数を設定する機能を推定部に持たせたことを特徴とする。第24の実施形態は、第23の実施形態において、差分Cc−C80が大きいほど係数を大きくする機能を推定部に持たせたことを特徴とする。
第23及び第24の実施形態も、図17を用いて説明できる。より詳しくは、上述した第21及び第22の実施形態における過充電領域(図11において斜線で表される領域A)を記憶する機能を省いて構成される。以下にその具体的な一例を示す。
第1に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1の使用停止を促すための積算放電閾値Aを記憶する。第2に、推定部(マイクロコンピュータ4)は鉛蓄電池1のSOCを把握した上で、電流測定部6の測定値とタイマー47が計測する充電時間との積として算出した充電電気量を加算することで、鉛蓄電池1の充電後のSOC値を算出する。第3に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、上述した充電後のSOC値から求められる充電電気量をCc、3時間率定格容量の80%値をC80としたときに、差分Cc−C80を算出する。第4に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分Cc−C80に相応して、放電サイクル毎に得られる放電電気量に異なる係数xを設定する。ここで推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分Cc−C80が大きいほど係数xの値を大きくする機能を有する。第5に、推定部(マイクロコンピュータ4)は放電サイクル毎に得られる放電電気量に係数xを乗じ、この値を積算することで下記式(1)のように積算放電電気量Bを算出する。第6に、推定部(マイクロコンピュータ4)は積算放電閾値AとBとの差分(差分電気量A−B)を求める。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
第7に、推定部(マイクロコンピュータ4)は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。第8に、推定部(マイクロコンピュータ)4は、求められた比率{(A−B)/A}から、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する。
なお上述した構成に加え、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を表示部(例えばディスプレイや、電灯の点滅など)に表示させるのも、好ましい態様の1つである。また、推定部(マイクロコンピュータ4)の推定結果を、無線データ、音声データ、電子データなどのデータの形で通知することも好ましい。ここで第23及び第24の実施形態の各々の効果は、第11及び第12の実施形態の各々の効果とそれぞれ同様である。
なおここまでは第15〜16、17〜18、19〜20、21〜22および23〜24の実施形態を個々に用いた場合を示したが、これらの実施形態を組み合わせて用いることで、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上することは言うまでもない。このように、第15〜第24の実施形態を組み合わせた際の積算放電電気量Bの算出処理は、図14のフローチャートに示される処理と同様の処理である。
以下、第1〜第24の各々の実施形態の中核をなす推定部4の機能モジュールについて説明する。推定部4は、図18に示されるように、制御部40、記憶部41、算出部42、減算部43、比率取得部44、係数設定部45、及び、過充電電気量算出部46、を備える。そして、推定部4には、先述されたように、温度測定部5及び電流測定部6のいずれかが接続されている。尚、図18において実線矢印はデータの流れを示している。また、点線矢印は信号の流れを示している。
図18に示される推定部4において、制御部40は、推定部4を統括的に制御する。記憶部41は、この推定部4が動作するための制御プログラムを記憶している。また、記憶部41は、鉛蓄電池1の残余寿命を推定するために必要なデータを記憶している。ここに、鉛蓄電池1の残余寿命を推定するために必要なデータとして、例えば、積算放電閾値A、積算放電電気量B、積算放電電気量Bを求めるための各種データ、係数x、放電電気量に係数xを乗じて得た値、及び、係数xを設定するための各種データが挙げられる。
減算部43は、積算放電閾値Aから積算放電電気量Bを減じた値(差分電気量A−B)を求める。比率取得部44は、差分電気量A−Bに対する積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める。係数設定部45は係数xを設定する。
係数設定部45は、先述された第1〜第5の係数設定部450〜454を備える。第1〜第5の係数設定部450〜454は、係数xを設定するための各種データを用いて係数xを設定する。過充電電気量算出部46は、鉛蓄電池が放電した放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量を、先述された手法によって算出する。
また、推定部4は、第1処理部471〜第5処理部475を備える。第1処理部471は、算出ステップが行われている際に、係数が求められていないときには、係数xを1として放電電気量に乗じた値を求める。第2処理部472は、係数xを1として放電電気量に乗じて求められた値を順次積算して、得られた積算値を係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして記憶部41に記憶させる。
第3処理部473は、係数xを1として放電電気量に乗じて求められた値を積算して、得られた値を積算放電電気量Bとして記憶部41に記憶させる。第4処理部474は、係数設定エラー時積算放電電気量Berrorに対する積算放電電気量Bの比率を求める。第5処理部475は、求められた比率(Berror/B}を表示部7(図16及び図17参照)に表示させる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に従う鉛蓄電池の寿命推定方法は、鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定部が、前記鉛蓄電池の表面温度、充電電流、及び放電電流が予め定められた値である標準条件である際に前記鉛蓄電池の寿命を判断する際に基準とされる積算放電閾値Aを、記憶する記憶ステップと、前記推定部が、前記鉛蓄電池の前記表面温度、前記充電電流、及び前記放電電流が実際に計測された値実際条件として前記実際条件において前記鉛蓄電池が放電して劣化するときの放電電気量の積算値を、当該劣化と同じ程度の劣化を前記標準条件において生じるであろう放電電気量の積算値に、置き換えることにより積算放電電気量Bを算出する算出ステップと、前記推定部が、前記積算放電閾値Aから前記積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る減算ステップと、前記差分電気量を用いて、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定ステップと、を含む。
鉛蓄電池では正極の活物質として二酸化鉛(PbO2)が用いられる。本発明者らは、この二酸化鉛の利用率(実際に電池反応に使われる比率)の変化が、充放電回数よりもむしろ積算放電電気量に大きく相関することを知見した。鉛蓄電池が充電及び放電を繰り返す場合、二酸化鉛は収縮(充電)と膨張(放電)という体積変化を繰り返すことにより微細化されるので、二酸化鉛における電気化学的な反応性が変化する。そのため、本発明者らの知見によれば、二酸化鉛の微細化の進捗は、単純な充放電回数よりも、二酸化鉛の体積変化(二酸化鉛が膨張することによる体積変化)の蓄積値(すなわち積算放電電気量)に相関するものと推測される。従って、この構成によれば、鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aから、前記実際条件において前記鉛蓄電池が放電して劣化するときの放電電気量の積算値を、当該劣化と同じ程度の劣化を生じるであろう標準条件における放電電気量の積算値に置き換えた積算放電電気量B(二酸化鉛の体積変化の蓄積値)を減じて、得られた値から鉛蓄電池の残余寿命を推定する。
そのため、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aと、二酸化鉛の体積変化の蓄積値を表す積算放電電気量Bと、の差分が判断されることによって、二酸化鉛の体積変化の蓄積値が、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aにどの程度近づいているかが判る。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上するので、精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようになる。そのため、例えば、運搬車両の動力源等のサイクル使用で鉛蓄電池を用いる場合に、この鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極め、鉛蓄電池の合理的な交換時期を精度良く推定できる。また、運搬車両の走行可能距離を推定することが容易となる。
なお本発明では積算放電電気量が二酸化鉛の体積変化の蓄積値であるとしているが、代わりに積算充電電気量を用いても、積算充電電気量は二酸化鉛の体積変化(収縮)の蓄積値であるために積算放電電気量と同様の効果が得られる。但し充電電気量の一部が過充電に伴う副次反応に用いられる(すなわち二酸化鉛の体積変化の蓄積値とは見なされない)ことを考慮すると、積算放電電気量を用いる方が好ましい。
上記構成において、前記推定ステップは、前記積算放電閾値Aに対する前記差分電気量A−Bの比率{(A−B)/A}を求める比率取得ステップを含んでおり、前記推定部が、前記比率取得ステップにおいて求められた前記比率{(A−B)/A}から、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定することが望ましい。
この構成によれば、比率{(A−B)/A}が1に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいていないので、鉛蓄電池の推定残余寿命が長いと推定される。一方、比率{(A−B)/A}が0に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいているので、鉛蓄電池の推定残余寿命が短いと推定される。そのため、鉛蓄電池の残余寿命が簡易に判る。
上記構成において、前記算出ステップは、前記鉛蓄電池が放電するサイクル毎に、前記鉛蓄電池から放電された電気量を表す放電電気量に、前記実際条件を反映させて求められた係数を乗じた乗算値を求めておき、前記サイクル毎に前記乗算値を、順次積算することで、下記式(1)のように前記積算放電電気量Bを算出するステップであることが望ましい。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
この構成によれば、電気化学的な反応性に影響を及ぼす他の因子(例えば、高温下での充電や、過充電量により、鉛格子(集電体)の腐食を触発すること)が積算放電電気量Bの算出に反映される。そのため、鉛蓄電池の実際の使用条件に即した残余寿命の推定が可能となるので、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
都度の放電に影響を及ぼす因子(例えば、放電電流の大きさの違いにより、劣化のない製造直後の鉛蓄電池であっても取り出せる放電電気量が異なること)を考慮するという観点では、係数を、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aに乗じても同様の効果が得られる。尚、係数は、鉛蓄電池の規格及び充放電条件が同じ場合に、積算放電閾値Aに乗じられることが好ましい。
しかしながら、鉛蓄電池自身が抵抗体であるため、放電電流が大きいほど、ジュール熱による鉛蓄電池の発熱が大きくなるので、次の充電までに十分に冷却されない場合、次の充電が開始される時点における鉛蓄電池の表面温度が高いままである。鉛蓄電池の表面温度が高いままで充電されると、先述されたように、鉛蓄電池の残余寿命が短くなる。そのため、放電電流から得られる放電電気量に係数を乗じた方が、鉛蓄電池の寿命に影響を与える放電電流値を、残余寿命の推定に反映させることができるので、より寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記算出ステップは、前記係数が設定されているときは、前記放電電気量に前記係数を乗じて前記乗算値を求め、前記係数が求められていない際には、前記係数を1として前記乗算値を求めるステップと、前記係数が求められていないときの放電電気量のみを順次積算して係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして算出するステップと前記積算放電電気量Bに対する前記係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの比率を求めるステップと、をさらに備えることが望ましい。
のため、ユーザは、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が判り、残余寿命が推定される精度を認識できる。
例えば、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「1」に近いほど、鉛蓄電池の寿命に影響を与える因子によって定められる係数が残余寿命の推定に考慮されていないことが判る。そのため、残余寿命の推定精度が低いことが判る。一方、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「0」に近いほど、係数が残余寿命の推定に考慮されていることが判る。そのため、残余寿命の推定精度が高いことが判る。
上記構成において、前記係数は、前記鉛蓄電池が放電する際における前記鉛蓄電池の温度に相応して設定されていることが望ましい。
鉛蓄電池の温度は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、鉛蓄電池が放電する際における鉛蓄電池の温度に相応して係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記鉛蓄電池の温度が高いほど大きな係数に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、鉛蓄電池の劣化が進みやすい高温下では係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流に相応して設定されていることが望ましい。
鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記充電電流が大きいほど大きな係数に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、充電電流が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記鉛蓄電池が放電する際における放電電流に相応して設定されていることが望ましい。
鉛蓄電池が放電する際における放電電流は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、鉛蓄電池が放電する際における放電電流に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記放電電流が大きいほど大きな係数に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、放電電流が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量に相応して設定されており、前記過充電電気量は、充電電気量とその充電電気量で充電された充電サイクルの直後の放電サイクルにおける放電電気量との差であることが望ましい。
放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記過充電電気量が大きいほど大きな係数に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、過充電電気量が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電気量をCc、前記鉛蓄電池の表面温度が25度、前記放電電流が3時間率である条件下で前記鉛蓄電池が放電したときに前記鉛蓄電池の電圧が予め定められた放電終止電圧に達するまでの間に生じる放電電気量の80%値をC80としたときに、前記係数が、差分Cc−C80に相応して設定されていることが望ましい。
差分Cc−C80は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、差分Cc−C80に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記係数は、前記差分Cc−C80の値が大きいほど大きな係数に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、差分Cc−C80の値が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
また、本発明の他の局面に従う電源システムは、電源である鉛蓄電池と、前記鉛蓄電池を充電するための充電装置と、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定部と、を備えており、前記推定部は、前記鉛蓄電池の表面温度、充電電流、及び放電電流が予め定められた値である標準条件である際に前記鉛蓄電池の寿命を判断する際に基準とされる積算放電閾値Aを記憶し、前記鉛蓄電池の前記表面温度、前記充電電流、及び前記放電電流が実際に計測された値を実際条件として、前記実際条件において前記鉛蓄電池が放電して劣化するときの放電電気量の積算値を、当該劣化と同じ程度の劣化を前記標準条件において生じるであろう放電電気量の積算値に、置き換えることにより積算放電電気量Bを算出し、前記積算放電閾値Aと前記積算電気量Bとの差分を用いて、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定することを特徴とする。
この構成によれば鉛蓄電池の使用停止を促すための積算放電閾値Aから、前記実際条件において前記鉛蓄電池が放電して劣化するときの放電電気量の積算値を、当該劣化と同じ程度の劣化を生じるであろう標準条件における放電電気量の積算値に置き換えた積算放電電気量B(二酸化鉛の体積変化の蓄積値)を減じて、得られた値から鉛蓄電池の残余寿命を推定する。
そのため、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aと、二酸化鉛の体積変化の蓄積値を表す積算放電電気量Bと、の差分が判断されることによって、二酸化鉛の体積変化の蓄積値が、鉛蓄電池の使用停止を促す積算放電閾値Aにどの程度近づいているかが判る。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上するので、精度良く鉛蓄電池の残余寿命を推定できるようになる。そのため、例えば、運搬車両の動力源等のサイクル使用で鉛蓄電池を用いる場合に、この鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極め、鉛蓄電池の合理的な交換時期を精度良く推定できる。また、運搬車両の走行可能距離を推定することが容易となる。
上記構成において、前記推定部は、前記積算放電閾値Aを記憶する記憶部と、前記積算放電電気量Bを算出する算出部と、前記記憶部に記憶されている前記積算放電閾値Aから、前記算出部によって算出された前記積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る減算部と、前記減算部によって得られた前記積算放電閾値Aに対する前記差分電気量A−Bの比率{(A−B)/A}を求める比率取得部と、を備えており、前記比率{(A−B)/A}から、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定することが望ましい。
この構成によれば、比率{(A−B)/A}が1に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいていないので、鉛蓄電池の推定残余寿命が長いことを推定できる。一方、推定部4は、比率{(A−B)/A}が0に近いほど、積算放電電気量Bが積算放電閾値Aに近づいているので、鉛蓄電池の推定残余寿命が短いことを推定できる。そのため、鉛蓄電池の残余寿命が簡易に判る。
上記構成において、前記算出部は、前記鉛蓄電池が放電するサイクル毎に、前記鉛蓄電池から放電された電気量を表す放電電気量に、前記実際条件を反映させて求められた係数を乗じた乗算値を求めておき、前記サイクル毎に前記乗算値を、順次積算することで、下記式(1)のように前記積算放電電気量Bを算出することが望ましい。
B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数。
この構成によれば、電気化学的な反応性に影響を及ぼす他の因子(例えば、高温下での充電や、過充電量により、鉛格子(集電体)の腐食を触発すること)が積算放電電気量Bの算出に反映される。そのため、鉛蓄電池の実際の使用条件に即した残余寿命の推定が可能となるので、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記推定部は、前記係数が設定されているときは、前記放電電気量に前記係数を乗じて前記乗算値を求め、前記係数が求められていない際には、前記係数を1として前記乗算値を求め、前記係数が求められていないときの放電電気量のみを順次積算して係数設定エラー時積算放電電気量Berrorを算出し、前記積算放電電気量Bに対する前記係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの比率を求めることが望ましい。
のため、ユーザは、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が判り、残余寿命が推定される精度を認識できる。
例えば、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「1」に近いほど、鉛蓄電池の寿命に影響を与える因子によって定められる係数が残余寿命の推定に考慮されていないことが判る。そのため、残余寿命の推定精度が低いことが判る。一方、積算放電電気量Bに占める係数設定エラー時積算放電電気量Berrorの割合が「0」に近いほど、係数が残余寿命の推定に考慮されていることが判る。そのため、残余寿命の推定精度が高いことが判る。
上記構成において、前記鉛蓄電池の温度の高さを測定する温度測定部をさらに備えており、前記推定部は、前記温度測定部の測定値に相応して前記係数を設定する第1の係数設定部をさらに備えることが望ましい。
鉛蓄電池が放電する際における鉛蓄電池の温度は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、鉛蓄電池が放電する際における鉛蓄電池の温度に相応して係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記第1の係数設定部は、前記温度測定部の測定値が大きいほど大きな前記係数を設定することが望ましい。
この構成によれば、鉛蓄電池の劣化が進みやすい高温下では係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流の大きさを測定する電流測定部をさらに備えており、前記推定部は、前記電流測定部の測定値に相応して前記係数を設定する第2の係数設定部をさらに備えることが望ましい。
放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記第2の係数設定部は、前記電流測定部の測定値が大きいほど大きな前記係数を設定することが望ましい。
この構成によれば、充電電流が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記鉛蓄電池が放電する際における放電電流の大きさを測定する電流測定部をさらに備えており、前記推定部は、前記電流測定部の測定値に相応して前記係数を設定する第3の係数設定部をさらに備えることが望ましい。
鉛蓄電池が放電する際における放電電流は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、鉛蓄電池が放電する際における放電電流に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記第3の係数設定部は、前記電流測定部の測定値が大きいほど大きな前記係数を設定することが望ましい。
この構成によれば、放電電流が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量を算出する過充電電気量算出部と、算出された前記過充電電気量に相応して前記係数を設定する第4の係数設定部をさらに備えており、前記過充電電気量は、充電電気量とその充電電気量で充電された直後の放電サイクルにおける放電電気量との差であることが望ましい。
放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記第4の係数設定部は、前記過充電電気量が大きいほど大きな前記係数を設定することが望ましい。
この構成によれば、過充電電気量が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記推定部は、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電気量をCc、前記鉛蓄電池の表面温度が25度、前記放電電流が3時間率である条件下で前記鉛蓄電池が放電したときに前記鉛蓄電池の電圧が予め定められた放電終止電圧に達するまでの間に生じる放電電気量の80%値をC80としたときに、差分Cc−C80に相応して前記係数を設定する第5の係数設定部をさらに備えることが望ましい。
差分Cc−C80は、鉛蓄電池が早く劣化するか遅く劣化するかに影響する。そのため、この構成によれば、差分Cc−C80に応じて係数を設定している。従って、鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
上記構成において、前記第5の係数設定部は、前記差分Cc−C80の値が大きいほど大きな前記係数を設定することが望ましい。
この構成によれば、差分Cc−C80の値が大きな場合のように、鉛蓄電池の劣化が進みやすい状況下では、係数を大きく設定しているので、より鉛蓄電池の残余寿命の推定精度が向上する。
本発明の鉛蓄電池の寿命推定方法および電源システムは、タフユースが可能で安全性が高い鉛蓄電池の使用限界を精度良く見極め、鉛蓄電池の合理的な交換時期の正確な推定を促進するものであり、産業の発展に与える影響は大きい。

Claims (28)

  1. 鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定部が、
    前記鉛蓄電池の表面温度、充電電流、及び放電電流が予め定められた値である標準条件である際に前記鉛蓄電池の寿命を判断する際に基準とされる積算放電閾値Aを記憶する記憶ステップと、
    前記鉛蓄電池の前記表面温度、前記充電電流、及び前記放電電流が実際に計測された値である実際条件であって、前記鉛蓄電池が前記標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における前記鉛蓄電池の放電電気量の積算値を表す積算放電電気量Bを算出する算出ステップと、
    前記積算放電閾値Aから前記積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る減算ステップと、
    前記差分電気量を用いて、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定ステップと、
    を含むことを特徴とする鉛蓄電池の寿命推定方法。
  2. 前記推定ステップは、
    前記差分電気量A−Bに対する前記積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める比率取得ステップを含んでおり、
    前記推定部が、前記比率取得ステップにおいて求められた前記比率{(A−B)/A}から、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定することを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  3. 前記算出ステップは、
    前記鉛蓄電池が放電するサイクル毎に、前記鉛蓄電池から放電された電気量を表す放電電気量に、前記実際条件を反映させて求められた係数を乗じた値を求めておき、前記サイクル毎に前記放電電気量に前記係数を乗じた値を、順次積算することで、下記式(1)のように前記積算放電電気量Bを算出するステップであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
    B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
    但し、1,2,・・・nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数
  4. 前記算出ステップは、
    前記係数が求められていない際には、前記係数を1として前記放電電気量に乗じた値を求めるステップと、
    前記係数を1として前記放電電気量に乗じて求められた値を順次積算して、得られた積算値を係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして記憶するステップと、
    前記係数を1として前記放電電気量に乗じて求められた値を順次積算して、得られた値を積算して前記積算放電電気量Bとして記憶するステップと、
    前記係数設定エラー時積算放電電気量Berrorに対する前記積算放電電気量Bの比率を求めるステップと、
    求められた前記比率(Berror/B)を表示するステップと、をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  5. 前記係数は、前記鉛蓄電池が放電する際における前記鉛蓄電池の温度に相応して設定されていることを特徴とする請求項3に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  6. 前記係数は、前記鉛蓄電池の温度が高いほど大きな係数に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  7. 前記係数は、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流に相応して設定されていることを特徴とする請求項3に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  8. 前記係数は、前記充電電流が大きいほど大きな係数に設定されていることを特徴とする請求項7に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  9. 前記係数は、前記鉛蓄電池が放電する際における放電電流に相応して設定されていることを特徴とする請求項3に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  10. 前記係数は、前記放電電流が大きいほど大きな係数に設定されていることを特徴とする請求項9に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  11. 前記係数は、前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量に相応して設定されており、
    前記過充電電気量は、充電電気量とその充電電気量で充電された直後の放電サイクルにおける放電電気量との差であることを特徴とする請求項3に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  12. 前記係数は、前記過充電電気量が大きいほど大きな係数に設定されていることを特徴とする請求項11に記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  13. 前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電気量をCc、前記鉛蓄電池の表面温度が25度、前記放電電流が3時間率である条件下で前記鉛蓄電池が放電したときに、前記鉛蓄電池の電圧が予め定められた放電終止電圧に達するまでの間に生じる放電電気量の80%値をC80としたときに、前記係数が、前記充電電気量と前記理論電気量との差分Cc−C80に相応して設定されていることを特徴とする請求項3記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  14. 前記係数は、前記差分Cc−C80の値が大きいほど大きな係数に設定されていることを特徴とする、請求項13記載の鉛蓄電池の寿命推定方法。
  15. 電源である鉛蓄電池と、
    前記鉛蓄電池を充電するための充電装置と、
    前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定する推定部と、
    を備えており、
    前記推定部は、
    前記鉛蓄電池の表面温度、充電電流、及び放電電流が予め定められた値である標準条件である際に前記鉛蓄電池の寿命を判断する際に基準とされる積算放電閾値Aを記憶し、前記鉛蓄電池の前記表面温度、前記充電電流、及び前記放電電流が実際に計測された値である実際条件であって、前記鉛蓄電池が前記標準条件において放電を繰り返したときに生じる劣化と同じ程度に劣化するであろう実際条件における前記鉛蓄電池の放電電気量の積算値を表す積算放電電気量Bを算出し、前記積算放電閾値Aと前記積算電気量Bとの差分を用いて、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定することを特徴とする電源システム。
  16. 前記推定部は、
    前記積算放電閾値Aを記憶する記憶部と、
    前記積算放電電気量Bを算出する算出部と、
    前記記憶部に記憶されている前記積算放電閾値Aから、前記算出部によって算出された前記積算放電電気量Bを減じて差分電気量A−Bを得る減算部と、
    前記減算部によって得られた前記差分電気量A−Bに対する前記積算放電閾値Aの比率{(A−B)/A}を求める比率取得部と、
    を備えており、
    前記比率{(A−B)/A}から、前記鉛蓄電池の推定残余寿命を推定することを特徴とする請求項15に記載の電源システム。
  17. 前記算出部は、
    前記鉛蓄電池が放電するサイクル毎に、前記鉛蓄電池から放電された電気量を表す放電電気量に、前記実際条件を反映させて求められた係数を乗じた値を求めておき、前記サイクル毎に前記放電電気量に前記係数を乗じた値を、順次積算することで、下記式(1)のように前記積算放電電気量Bを算出することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の電源システム。
    B=x11+x22+・・・+xnn・・・(1)
    但し、1,2,・・・,nは、前記鉛蓄電池の放電サイクル毎に付与された番号、B1〜Bnは各放電サイクル中の放電電気量、x1〜xnは各放電サイクル中の放電電気量に乗じる係数
  18. 前記推定部は、
    記憶部と、
    前記係数が求められていない際には、前記係数を1として前記放電電気量に乗じた値を求める第1処理部と、
    前記係数を1として前記放電電気量に乗じて求められた値を順次積算して、得られた積算値を係数設定エラー時積算放電電気量Berrorとして前記記憶部に記憶させる第2処理部と、
    前記係数を1として前記放電電気量に乗じて求められた値を積算して、得られた値を積前記積算放電電気量Bとして前記記憶部に記憶させる第3処理部と、
    前記係数設定エラー時積算放電電気量Berrorに対する前記積算放電電気量Bの比率を求める第4処理部と、
    求められた前記比率(Berror/B)を表示する第5処理部と、を備えることを特徴とする請求項17に記載の電源システム。
  19. 前記鉛蓄電池の温度の高さを測定する温度測定部をさらに備えており、
    前記推定部は、
    前記温度測定部の測定値に相応して前記係数を設定する第1の係数設定部をさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の電源システム。
  20. 前記第1の係数設定部は、
    前記温度測定部の測定値が大きいほど大きな前記係数を設定することを特徴とする請求項19に記載の電源システム。
  21. 前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電流の大きさを測定する電流測定部をさらに備えており、
    前記推定部は、
    前記電流測定部の測定値に相応して前記係数を設定する第2の係数設定部をさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の電源システム。
  22. 前記第2の係数設定部は、
    前記電流測定部の測定値が大きいほど大きな前記係数を設定することを特徴とする請求項21に記載の電源システム。
  23. 前記鉛蓄電池が放電する際における放電電流の大きさを測定する電流測定部をさらに備えており、
    前記推定部は、
    前記電流測定部の測定値に相応して前記係数を設定する第3の係数設定部をさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の電源システム。
  24. 前記第3の係数設定部は、
    前記電流測定部の測定値が大きいほど大きな前記係数を設定することを特徴とする請求項23に記載の電源システム。
  25. 前記推定部は、
    前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける過充電電気量を算出する過充電電気量算出部と、
    算出された前記過充電電気量に相応して前記係数を設定する第4の係数設定部をさらに備えており、
    前記過充電電気量は、充電電気量とその充電電気量で充電された直後の放電サイクルにおける放電電気量との差であることを特徴とする請求項17に記載の電源システム。
  26. 前記第4の係数設定部は、
    前記過充電電気量が大きいほど大きな前記係数を設定することを特徴とする請求項25に記載の電源システム。
  27. 前記推定部は、
    前記鉛蓄電池の放電サイクルの直後の充電サイクルにおける充電電気量をCc、前記鉛蓄電池の表面温度が25度、前記放電電流が3時間率である条件下で前記鉛蓄電池が放電したときに、前記鉛蓄電池の電圧が予め定められた放電終止電圧に達するまでの間に生じる放電電気量の80%値をC80としたときに、前記充電電気量と前記理論電気量との差分Cc−C80に相応して前記係数を設定する第5の係数設定部をさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の電源システム。
  28. 前記第5の係数設定部は、
    前記差分Cc−C80の値が大きいほど大きな前記係数を設定することを特徴とする請求項27に記載の電源システム。
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