JP2019113558A - 推定装置、蓄電装置、推定方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄電量−電位特性が充放電の繰り返しにより変化する単極を持つ蓄電素子の内部状態を推定できる推定装置、該推定装置を備える蓄電装置、内部状態の推定方法、及びコンピュータプログラムを提供する。【解決手段】推定装置6は、蓄電素子3の蓄電量−電圧充電特性である第3特性及び/又は蓄電量−電圧放電特性である第4特性の一部の情報を取得する取得部62と、充放電の繰り返しにより変化する特徴値の変化に対応して、第1特性、第2特性、蓄電量−電圧充電特性である第3特性、蓄電量−電圧放電特性である第4特性、及び、V−dQ/dVの少なくともいずれかである蓄電量特性を複数記憶し、又は前記特徴値の関数として記憶する記憶部63と、前記情報及び前記蓄電量特性に基づいて、蓄電素子3の内部状態を推定する第1推定部62とを備える。【選択図】図6
Description
本発明は、推定装置、該推定装置を含む蓄電装置、内部状態の推定方法、及びコンピュータプログラムに関する。
電気自動車、ハイブリッド車等に用いられる車両用の二次電池や、電力貯蔵装置、太陽光発電システム等に用いられる産業用の二次電池においては、高容量化が求められている。これまで様々な検討と改良が行われてきて、電極構造等の改良のみで更なる高容量化を実現することは困難な傾向にある。その為、現行の材料より高容量である正極材料の開発が進められている。
従来、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池用の正極活物質として、α−NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物が検討され、LiCoO2を用いた非水電解質二次電池が広く実用化されていた。LiCoO2の放電容量は120〜130mAh/g程度であった。
リチウム遷移金属複合酸化物をLiMeO2(Meは遷移金属)で表したとき、MeとしてMnを用いることが望まれてきた。MeとしてMnを含有させた場合、Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5を超える場合には、充電をするとスピネル型へと構造変化が起こり、結晶構造が維持できない為、充放電サイクル性能が著しく劣る。
Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5以下であり、Meに対するLiのモル比Li/Meが略1であるLiMeO2型活物質が種々提案され、実用化されている。リチウム遷移金属複合酸化物であるLiNi1/2Mn1/2O2及びLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等を含有する正極活物質は150〜180mAh/gの放電容量を有する。
リチウム遷移金属複合酸化物をLiMeO2(Meは遷移金属)で表したとき、MeとしてMnを用いることが望まれてきた。MeとしてMnを含有させた場合、Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5を超える場合には、充電をするとスピネル型へと構造変化が起こり、結晶構造が維持できない為、充放電サイクル性能が著しく劣る。
Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5以下であり、Meに対するLiのモル比Li/Meが略1であるLiMeO2型活物質が種々提案され、実用化されている。リチウム遷移金属複合酸化物であるLiNi1/2Mn1/2O2及びLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等を含有する正極活物質は150〜180mAh/gの放電容量を有する。
LiMeO2型活物質に対し、Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5を超え、遷移金属(Me)の比率に対するLiの組成比率Li/Meが1より大きいリチウム遷移金属複合酸化物を含む、いわゆるリチウム過剰型活物質も知られている。
上述の高容量の正極材料として、リチウム過剰型であるLi2 MnO3 系の活物質が検討されている。この材料は、同一のSOC(State Of Charge)に対して、充電時及び放電時の各SOC−OCV(Open Circuit Voltage)間に、電圧や電気化学的特性の差が生じる、ヒステリシスという性質を有する。
ヒステリシスを有する場合、SOCに対して電圧が一義的に決まらない為、SOC−OCVに基づいてSOCを推定するOCV法によるSOCの推定は困難である。SOC−OCV曲線が一義的に決まらない為、ある時点での放電可能エネルギーを予測することも困難である。
ヒステリシスを有する場合、SOCに対して電圧が一義的に決まらない為、SOC−OCVに基づいてSOCを推定するOCV法によるSOCの推定は困難である。SOC−OCV曲線が一義的に決まらない為、ある時点での放電可能エネルギーを予測することも困難である。
リチウム過剰型の材料は、充放電の繰り返しにより正極のSOC−OCP(Open Circuit Potential)曲線が略全域に亘って変化する、電位降下(Voltage Fade、以下VFという)という性質を有する。平均放電電位の値が減少するため、現時点のSOH(State of Health)として放電可能容量だけでなく、放電可能電力量を推定する必要がある。直近の充放電の履歴が同一であっても、劣化により単極のSOC−OCP曲線に基づく電池セル(以下、単に「セル」ともいう。)のSOC−OCV曲線形状が大幅に変わるため、OCV法は採用できない。直近の充放電履歴が同一の条件とは、例えば、完全放電状態を経由した後の充電が挙げられる。完全放電状態を経由した後の充電において、劣化に応じて単極のSOC−OCP曲線が変わる為、セルのSOC−OCV曲線形状が大幅に変わってしまう。
二次電池の充放電電流を積算して決定する電流積算法によりSOCを推定する場合、電流積算が長期継続されると、電流センサの計測誤差が蓄積する。また、電池容量は経時的に小さくなる。その為、電流積算法によって推定されるSOCは、その推定誤差が経時的に大きくなる。従来、電流積算を長期継続した場合にOCV法によりSOCを推定して、誤差の蓄積をリセットするOCVリセットが行われている。
VF及びヒステリシスを有する電極材料を用いた蓄電素子においても、電流積算を継続すると誤差が蓄積する。しかし、SOCに対して電圧が一義的に決まらない為、OCVリセットを行うことは困難である。
また、対極の状態によっても蓄電素子のSOC−OCVが変化するので、蓄電素子を制御するためには対極の状態も含めた蓄電素子の内部状態を推定する必要がある。
即ち、現在の満充電時及び完全放電時の正極のSOC−OCP特性、充電状態(正極のSOC−OCPの割合)、正極の収縮の度合、負極の収縮の度合、正極及び負極間の容量バランスのずれ量、及び分極等のパラメータを推定する必要がある。そして、正確にSOCを推定する必要がある。
現行の非水電解質二次電池のSOH及びSOCの推定技術では、VF及びヒステリシスの性質を有する活物質を使いこなすことは困難である。
即ち、現在の満充電時及び完全放電時の正極のSOC−OCP特性、充電状態(正極のSOC−OCPの割合)、正極の収縮の度合、負極の収縮の度合、正極及び負極間の容量バランスのずれ量、及び分極等のパラメータを推定する必要がある。そして、正確にSOCを推定する必要がある。
現行の非水電解質二次電池のSOH及びSOCの推定技術では、VF及びヒステリシスの性質を有する活物質を使いこなすことは困難である。
特許文献1に開示の劣化判定装置の測定部は、リチウムイオン二次電池の容量対開放電圧特性を測定する。判定部は、開放電圧特性を特定するためのパラメータを設定可能であり、測定部によって測定された開放電圧特性と略一致する開放電圧特性を特定するパラメータを用いて摩耗およびリチウム析出による劣化状態を判定する。
特許文献1の劣化判定装置は、摩耗およびリチウム析出による劣化状態を判定するものであり、VFを生じる活物質を含む蓄電素子の内部状態を推定することはできない。
本発明は、蓄電量−電位特性が充放電の繰り返しにより変化する単極を持つ蓄電素子の内部状態を推定できる推定装置、該推定装置を備える蓄電装置、内部状態の推定方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
ここで、蓄電量とは、SOC等の充電率、電力放出可能量等を意味する。
ここで、蓄電量とは、SOC等の充電率、電力放出可能量等を意味する。
本発明に係る推定装置は、蓄電量−電位充電特性である第1特性及び蓄電量−電位放電特性である第2特性が充放電の繰り返しにより変化し、遷移金属(Me)に対するLiの組成比率であるLi/Meが1より大きい、リチウム遷移金属複合酸化物を含む活物質を含む正極を有する蓄電素子の内部状態を推定する推定装置であって、前記蓄電素子の蓄電量−電圧充電特性である第3特性又は蓄電量−電圧放電特性である第4特性の一部の情報を取得する取得部と、充放電の繰り返しにより変化する特徴値の変化に対応して、第1特性、第2特性、第3特性、第4特性、及び、V−dQ/dVから選択される1種の蓄電量特性を複数記憶し、又は前記特徴値の関数として記憶する記憶部と、前記情報、及び、前記蓄電量特性又は前記関数に基づいて、前記蓄電素子の内部状態を推定する第1推定部とを備える。
上記構成により、蓄電量−電位特性が充放電の繰り返しにより変化する正極を持つ蓄電素子の内部状態を良好に推定できる。
(実施形態の概要)
実施形態に係る推定装置は、蓄電量−電位充電特性である第1特性及び蓄電量−電位放電特性である第2特性が充放電の繰り返しにより変化し、遷移金属(Me)に対するLiの組成比率であるLi/Meが1より大きい、リチウム遷移金属複合酸化物を含む活物質を含む正極を有する蓄電素子の内部状態を推定する推定装置であって、前記蓄電素子の蓄電量−電圧充電特性である第3特性又は蓄電量−電圧放電特性である第4特性の一部の情報を取得する取得部と、充放電の繰り返しにより変化する特徴値の変化に対応して、第1特性、第2特性、第3特性、第4特性、及び、V−dQ/dVから選択される1種の蓄電量特性を複数記憶し、又は前記特徴値の関数として記憶する記憶部と、前記情報、及び、前記蓄電量特性又は前記関数に基づいて、前記蓄電素子の内部状態を推定する第1推定部とを備える。
ここで、V−dQ/dVは、前記単極の電位又は前記蓄電素子の電圧Vと、充電電気量若しくは放電容量Qを前記Vで微分した微分値dQ/dVとの関係である。
ここで、V−dQ/dVは、前記単極の電位又は前記蓄電素子の電圧Vと、充電電気量若しくは放電容量Qを前記Vで微分した微分値dQ/dVとの関係である。
上記構成によれば、複数記憶された蓄電量特性は、単極のVFに基づく劣化を特徴値に応じて反映する。前記情報は特徴値に対応する。前記情報と記憶された蓄電量特性とに基づいて、簡便な方法で、対極の状態も含め、蓄電素子の現在の内部状態が良好に推定できる。
上述の推定装置において、前記取得部は、前記蓄電素子の所定電圧範囲における、実測第3特性又は実測第4特性の情報を取得し、前記情報から特徴値を求め、該特徴値に基づいて、前記蓄電量特性又は前記関数を参照して、前記情報を取得した時点の推定第3特性又は推定第4特性を推定する第2推定部を備え、前記第1推定部は、前記情報と、前記推定第3特性又は前記推定第4特性とに基づき、前記時点の前記蓄電素子の内部状態を示すパラメータを推定してもよい。
上記構成によれば、特徴値及び記憶された蓄電量特性に基づいて算出した蓄電量特性、又は前記関数に基づいて算出した蓄電量特性、並びに所定電圧範囲で実測した前記情報に基づいて、例えば回帰計算によりパラメータが求められる。簡便な方法で、対極の状態も含め、蓄電素子の現在の内部状態が高精度に推定できる。
複雑な使用環境下においても、高精度に蓄電素子の内部状態を監視することができる。
複雑な使用環境下においても、高精度に蓄電素子の内部状態を監視することができる。
上述の推定装置において、前記特徴値は、前記所定電圧範囲の両端の電圧に対応する充電電気量の差分若しくは放電容量の差分、及び、平均放電電位の少なくともいずれかであってもよい。
充電電気量又は放電容量と平均放電電位との間に直線関係があり、劣化の前後で、対極との電位差(蓄電素子の電圧)が変わらない電位範囲に対応する蓄電素子の電圧範囲が、前記所定の電圧範囲とされる。所定の電圧範囲における充電電気量又は放電容量が特徴値として用いられる。劣化の程度に応じた該特徴値に対応付けて蓄電量特性が複数記憶され、又は特徴値の関数として記憶される。これを用いて精度良く、現在の蓄電量特性が推定できる。平均放電電位を用いた場合も、同様に蓄電量特性が精度良く推定できる。現在の蓄電量−電位特性、蓄電量−電圧特性、又はV−dQ/dVに基づき、精度良く現在の第3特性、第4特性を推定できる。
上述の推定装置において、前記パラメータは、第1特性、第2特性、第1特性の割合、前記正極の収縮の度合、負極の収縮の度合、前記正極及び前記負極間の容量バランスのずれ量、及び分極から選択される少なくとも1種である、請求項2又は3に記載の推定装置。
但し、前記第1特性の割合は下記式で表される。
(第1特性の割合)=(前記情報を取得したときに、前記記憶部に記憶されている前記蓄電素子の到達最大電圧に対応する前記正極の電位における、第1特性及び第2特性間の蓄電量の差)/(前記蓄電量の差の最大値)
但し、前記第1特性の割合は下記式で表される。
(第1特性の割合)=(前記情報を取得したときに、前記記憶部に記憶されている前記蓄電素子の到達最大電圧に対応する前記正極の電位における、第1特性及び第2特性間の蓄電量の差)/(前記蓄電量の差の最大値)
上述のパラメータにより、劣化によりVFが生じる単極の状態、及び対極の状態を検知することができ、蓄電素子の現在の内部状態が良好に検知できる。
上述の推定装置において、前記第2推定部は、前記V−dQ/dVを参照して、内挿計算によりV−dQ/dVを推定し、前記パラメータは、前記内挿計算に必要な処理係数を含んでもよい。
上記構成によれば、内挿計算により現在のV−dQ/dVを推定した後、第3特性又は第4特性を求めるので、算出精度及び算出速度が良好である。そして、内挿計算に必要な処理係数をパラメータとすることで、回帰計算により求められたパラメータにより、第3特性又は第4特性を精度良く補正することができる。
上述の推定装置において、前記第1推定部は、最適化計算により、前記情報と、前記第2推定部により推定した前記推定第3特性又は前記推定第4特性との差が最小になるように、前記パラメータを求めてもよい。
上記構成によれば、最適化計算により現在のパラメータを精度良く求めることができ、精度良く現在の蓄電素子の内部状態が検知できる。
上述の推定装置において、前記第1推定部により推定した前記パラメータを用いて、第3特性又は第4特性を推定する第3推定部を備えてもよい。
上記構成によれば、現在の蓄電素子の内部状態を精度良く表すパラメータを用い第3特性又は第4特性を補正して推定することができる。
上述の推定装置において、前記活物質は、第3特性及び第4特性間のヒステリシスを示し、前記第3推定部により推定した第3特性又は第4特性、及び前記蓄電素子の充放電の履歴に基づいて、取得した電圧により蓄電量を推定するときの参照のための第3特性又は第4特性を推定する第4推定部を備えてもよい。
上記構成によれば、現在の蓄電素子の内部状態に応じた第3特性又は第4特性、パラメータ、及び蓄電素子の充放電の履歴に基づき、劣化によるVFの影響に加え、ヒステリシスの影響を精度良く反映して、参照のための第3特性又は第4特性が推定できる。
上述の推定装置において、前記充放電の履歴、参照のための前記第3特性又は前記第4特性、並びに取得した電圧に基づいて、蓄電量を推定する第5推定部を備えてもよい。
上記構成によれば、VFの性質を有し、蓄電量−電圧特性がヒステリシスを示す活物質を有する蓄電素子の蓄電量が良好に容易に推定できる。
電圧を用いるので、蓄電量としてSOCに限定されず、電力量等、蓄電素子に蓄えられた現在のエネルギーの量が推定できる。充放電特性に基づいて、SOC0%までの放電可能なエネルギー、及びSOC100%までに必要な充電エネルギーを予測することができる。現在の残存電力量と貯蔵可能電力量とが推定できる。
従って、複数の蓄電素子を用いる場合のバランシング、回生受け入れの制御、蓄電素子を車載した場合の走行距離の推定等を精度良く行うことができる。
電圧を用いるので、蓄電量としてSOCに限定されず、電力量等、蓄電素子に蓄えられた現在のエネルギーの量が推定できる。充放電特性に基づいて、SOC0%までの放電可能なエネルギー、及びSOC100%までに必要な充電エネルギーを予測することができる。現在の残存電力量と貯蔵可能電力量とが推定できる。
従って、複数の蓄電素子を用いる場合のバランシング、回生受け入れの制御、蓄電素子を車載した場合の走行距離の推定等を精度良く行うことができる。
実施形態に係る蓄電装置は、蓄電素子と、上述のいずれかの推定装置とを備える。
上記構成においては、蓄電素子の蓄電量が、複雑な使用環境下においても、精度良く推定できる。
実施形態に係る推定方法は、蓄電量−電位充電特性である第1特性及び蓄電量−電位放電特性である第2特性が充放電の繰り返しにより変化し、遷移金属(Me)に対するLiの組成比率であるLi/Meが1より大きい、リチウム遷移金属複合酸化物を含む活物質を含む正極を有する蓄電素子の内部状態を推定する推定方法であって、充放電の繰り返しにより変化する特徴値の変化に対応して、第1特性、第2特性、前記蓄電素子の蓄電量−電圧充電特性である第3特性、蓄電量−電圧放電特性である第4特性、及び、V−dQ/dVから選択される1種の蓄電量特性を、記憶部に、複数記憶し、又は前記特徴値の関数として記憶してあり、前記蓄電素子の第3特性又は第4特性の一部の情報を取得し、前記情報、及び、前記蓄電量特性又は前記関数に基づいて、前記蓄電素子の内部状態を推定する。
上記構成によれば、簡便な方法で、複雑な使用環境下における場合でも、単極及び対極の状態を検知して、高精度に蓄電素子の現在の内部状態が推定できる。
実施形態に係るコンピュータプログラムは、蓄電量−電位充電特性である第1特性及び蓄電量−電位放電特性である第2特性が充放電の繰り返しにより変化し、遷移金属(Me)に対するLiの組成比率であるLi/Meが1より大きい、リチウム遷移金属複合酸化物を含む活物質を含む正極を有する蓄電素子の内部状態を推定するコンピュータに、前記蓄電素子の蓄電量−電圧充電特性である第3特性又は蓄電量−電圧放電特性である第4特性の一部の情報を取得し、第1特性、第2特性、第3特性、第4特性、及び、V−dQ/dVから選択される1種の蓄電量特性が、特徴値の変化に対応して、複数記憶されたテーブルを参照し、又は前記特徴値の関数を参照し、前記情報、及び、前記蓄電量特性又は前記関数に基づいて、前記蓄電素子の内部状態を推定する、処理を実行させる。
以下、本発明を、実施形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
上述したように、本実施形態に係る蓄電素子の電極体の単極は、VFの性質を有し、蓄電量−電位特性がヒステリシスを有する活物質を含む。
活物質がVFの性質を有する場合、充放電の繰り返しにより、単極のSOC−OCP曲線、及び、蓄電素子のSOC−OCV曲線の形状が変化する。この活物質を含む蓄電素子は、微小電流を流して、完全放電状態から満充電状態に充電したとき(フル充電)、及び満充電状態から完全放電状態に放電したとき(フル放電)のSOC−V曲線間の最大の電位差が100mV以上であるヒステリシスを有する。
上述したように、本実施形態に係る蓄電素子の電極体の単極は、VFの性質を有し、蓄電量−電位特性がヒステリシスを有する活物質を含む。
活物質がVFの性質を有する場合、充放電の繰り返しにより、単極のSOC−OCP曲線、及び、蓄電素子のSOC−OCV曲線の形状が変化する。この活物質を含む蓄電素子は、微小電流を流して、完全放電状態から満充電状態に充電したとき(フル充電)、及び満充電状態から完全放電状態に放電したとき(フル放電)のSOC−V曲線間の最大の電位差が100mV以上であるヒステリシスを有する。
図1は、正極のSOC−OCPの一例を示すグラフである。横軸はSOC(%)、縦軸はOCPとしての電位E(VvsLi/Li+ :Li/Li+)である。劣化前の充放電曲線を破線で、劣化後の充放電曲線を実線で示す。
図1に示すように、劣化によりVFが生じ、充放電曲線は下側にシフトする。
図1に示すように、劣化によりVFが生じ、充放電曲線は下側にシフトする。
VFの性質を有さない活物質の場合、前記ヒステリシスは有さず、単極のSOC−OCP曲線は充放電の繰り返しによっては変化しない。単極の劣化(曲線の縮小)又は両極間の容量バランスのずれ量の拡大によって、蓄電素子のSOC−OCV曲線の形状は充放電の繰り返しにより変化する。
本実施の形態においては、現在の蓄電素子、単極、及び対極の内部状態を推定する。内部状態を示すパラメータとしては、単極の蓄電量−電位充電特性(第1特性)又はそのV−dQ/dV、単極の蓄電量−電位放電特性(第2特性)又はそのV−dQ/dV(以上、kという)、単極の蓄電量−電位充電特性(第1特性)の割合(後述するRcha)、正極の収縮の度合(m)、負極の収縮の度合(n)、正極及び負極間の容量バランスのずれ量(ΔQim)、分極(ΔV)、及び後述する内挿計算の処理係数(q)から選択される少なくとも1種以上が挙げられる。前記kは劣化の程度k′(劣化がない状態を1.0とする)で表すこともできる。m及びnは夫々、正極の蓄電量−V曲線、負極の蓄電量−V曲線のx軸方向の収縮の度合を示す。ΔVは蓄電量−V曲線のy軸方向の収縮の度合を示す。
以下、蓄電量がSOCである場合につき説明する。
(1)まず、後述する情報処理部60は、劣化に応じて複数の蓄電量特性を記憶し、又は特徴値の関数として記憶する。
蓄電量特性としては、単極の充電SOC−V(第1特性)又は放電SOC−V(第2特性)、蓄電素子の充電SOC−V(第3特性)又は放電SOC−V(第4特性)、単極の充電V−dQ/dV又は放電V−dQ/dV、蓄電素子の充電V−dQ/dV又は放電V−dQ/dV、等が挙げられる。
充放電の繰り返しにより変化する特徴値と、上述の蓄電量特性との間に、相関関係がある。
特徴値としては、充電電気量、放電容量、平均放電電位、dQ/dV又はdV/dQピークの絶対値またはそのピーク強度比等が挙げられる。dQ/dVのピーク強度比の例としては、所定の電位範囲aにおけるdQ/dVのピーク積分強度と電位範囲bにおけるピーク積分強度との比が挙げられる。この比を取ることで、正極の収縮の度合mの減少に関わらず、現時点の蓄電量特性を推定することが可能である。
中でも、充電電気量、放電容量が好ましい。
(1)まず、後述する情報処理部60は、劣化に応じて複数の蓄電量特性を記憶し、又は特徴値の関数として記憶する。
蓄電量特性としては、単極の充電SOC−V(第1特性)又は放電SOC−V(第2特性)、蓄電素子の充電SOC−V(第3特性)又は放電SOC−V(第4特性)、単極の充電V−dQ/dV又は放電V−dQ/dV、蓄電素子の充電V−dQ/dV又は放電V−dQ/dV、等が挙げられる。
充放電の繰り返しにより変化する特徴値と、上述の蓄電量特性との間に、相関関係がある。
特徴値としては、充電電気量、放電容量、平均放電電位、dQ/dV又はdV/dQピークの絶対値またはそのピーク強度比等が挙げられる。dQ/dVのピーク強度比の例としては、所定の電位範囲aにおけるdQ/dVのピーク積分強度と電位範囲bにおけるピーク積分強度との比が挙げられる。この比を取ることで、正極の収縮の度合mの減少に関わらず、現時点の蓄電量特性を推定することが可能である。
中でも、充電電気量、放電容量が好ましい。
VFの性質を有する活物質の場合、特徴値の変化(劣化)に対応して、充放電曲線形状が連続的及び一義的に変化すると考えられる。LiMeO2-Li2MnO3系の活物質に関して、充放電の繰り返しに伴い、結晶構造が変化することが報告されている(Journal of Power Sources, vol.229(2013), pp239-248)。結晶構造の変化に伴い、充放電曲線の形状が変化すると考えられる。短期的で一つの温度水準の充放電サイクルにおいて、結晶構造の変化は連続的に生じることが論文の結果から示唆される。そして、結晶構造が層状からスピネル類縁結晶に変化したという報告から、変化の仕方は一通りであると推察される。即ち、短期的で一つの温度水準において、結晶構造が連続的かつ一義的に変化している。この報告から、長期的かつ、いかなる使用履歴においても、結晶構造の変化に従って充放電曲線形状が連続的かつ一義的に変化すると、本願発明者等は考えた。後述する実験結果から、長期的に、使用履歴が異なっても、充放電曲線形状が連続的かつ一義的に変化することが確認された。
VFの性質を有さない活物質の場合、単極の充放電曲線形状は充放電の繰り返しによっては変化しない。上述のように単極の劣化又は容量バランスのずれ量の拡大によって、個別に、即ち非一義的に、セルの充放電曲線形状は充放電の繰り返しにより変化する。
本実施の形態の場合、特徴値の変化に対して、単極の蓄電量特性が連続的かつ一義的に変化するので、特徴値の変化に対する蓄電量特性の変化の推移を一部記憶しておくことで、現在の第1SOC−V(第3特性又は第4特性)が精度良く推定でき、これに基づき、パラメータが精度良く推定できる。
即ち、まず、特徴値の劣化に従う変化に対応して、上述のいずれかの蓄電量特性が複数、テーブルに記憶される。単極のSOC−V又はV−dQ/dVが記憶される場合、対極のSOC−V又はV−dQ/dVも記憶される。SOC−Vは、微小電流により充電又は放電したときに得られる特性である。単極のSOC−VはSOC−OCPであってもよい。蓄電素子のSOC−VはSOC−OCVであってもよい。
対極が負極であり、例えばグラファイト、ハードカーボン、Ti等の材料からなり、経時的な電位降下が生じない場合、SOC−V又はV−dQ/dVは新品時のものが記憶される。経時的に電位降下が生じる場合、劣化に応じて複数記憶される。また、負極に係るパラメータも、前記ΔQim、前記n以外に設けるのが好ましい。
複数の蓄電量特性を記憶する代わりに、特徴値の関数が記憶されてもよい。
即ち、まず、特徴値の劣化に従う変化に対応して、上述のいずれかの蓄電量特性が複数、テーブルに記憶される。単極のSOC−V又はV−dQ/dVが記憶される場合、対極のSOC−V又はV−dQ/dVも記憶される。SOC−Vは、微小電流により充電又は放電したときに得られる特性である。単極のSOC−VはSOC−OCPであってもよい。蓄電素子のSOC−VはSOC−OCVであってもよい。
対極が負極であり、例えばグラファイト、ハードカーボン、Ti等の材料からなり、経時的な電位降下が生じない場合、SOC−V又はV−dQ/dVは新品時のものが記憶される。経時的に電位降下が生じる場合、劣化に応じて複数記憶される。また、負極に係るパラメータも、前記ΔQim、前記n以外に設けるのが好ましい。
複数の蓄電量特性を記憶する代わりに、特徴値の関数が記憶されてもよい。
(2)CPU62は、現在の所定電圧範囲の定電流による実測充電SOC−V又は実測放電SOC−V(第3特性又は第4特性の一部の情報)を取得する。電圧はOCVであってもよい。電圧範囲は、想定される対極の電位を考慮して単極の電位範囲を求め、該電位範囲から設定してもよい。
実測SOC−Vから特徴値が抽出される。特徴値が充電電気量又は放電容量である場合、前記所定電圧範囲における数値が抽出されることになる。特徴値が、平均放電電位である場合、放電時の積算電力(Wh)を放電容量(Ah)で除して求める。
前記所定電圧範囲に対応する単極の電位範囲として、充電電気量又は放電容量と単極の平均放電電位との間に直線関係があり、劣化の前後で、対極との電位差(蓄電素子電圧)が変わらない範囲を選択するのが好ましい。充放電履歴によって蓄電量特性が大きく変化しない、高電位側における広い電位範囲を選択するのが好ましい。現時点において推定される対極の電位を考慮して、電池電圧が単極の電位に変換される。
実測SOC−Vから特徴値が抽出される。特徴値が充電電気量又は放電容量である場合、前記所定電圧範囲における数値が抽出されることになる。特徴値が、平均放電電位である場合、放電時の積算電力(Wh)を放電容量(Ah)で除して求める。
前記所定電圧範囲に対応する単極の電位範囲として、充電電気量又は放電容量と単極の平均放電電位との間に直線関係があり、劣化の前後で、対極との電位差(蓄電素子電圧)が変わらない範囲を選択するのが好ましい。充放電履歴によって蓄電量特性が大きく変化しない、高電位側における広い電位範囲を選択するのが好ましい。現時点において推定される対極の電位を考慮して、電池電圧が単極の電位に変換される。
図2は、前記所定電圧範囲に対応する正極の電位範囲と、各電位範囲における、各劣化状態に対応する充電電気量の範囲との関係を示す概念図である。電位範囲はa、b、cの順に狭くなる。電位範囲が狭くなった場合、充電電気量の範囲が狭くなる。即ち、使用する電位範囲の縮小に伴い、誤差が増大する。一方、電位範囲が広い場合、充電電気量の取得に時間及び労力が要される。従って、推定精度及び測定の容易さのバランスを考慮して、適切な電位範囲を設定するのが好ましい。
(3)CPU62は、現在の特徴値に基づき、記憶された蓄電量特性又は関数を参照して、蓄電素子の第1充電SOC−V又は第1放電SOC−V(第3特性又は第4特性)を算出する。
まず、記憶された蓄電量特性又は関数に基づき前記k(単極のSOC−V又はV−dQ/dV)を求めた後、蓄電素子の第1SOC−Vを求めるのが好ましい。この場合、計算精度及び計算速度が良好である。特徴値が充電電気量又は放電容量である場合、精度良くkを求めることもできる。
(4)CPU62は、実測充電SOC−V(又は実測放電SOC−V)と、第1充電SOC−V(又は第1放電SOC−V)とに基づき、最適化計算を行ってパラメータを求める。パラメータにより内部状態が推定される。パラメータの初期値として、Rcha、q、k又はk′は必須ではないが、計算精度及び計算速度の観点から初期値として入力するのが好ましい。
(5)CPU62は、パラメータに基づいて第2充電SOC−V又は第2放電SOC−V(第3特性又は第4特性)を算出する。
まず、記憶された蓄電量特性又は関数に基づき前記k(単極のSOC−V又はV−dQ/dV)を求めた後、蓄電素子の第1SOC−Vを求めるのが好ましい。この場合、計算精度及び計算速度が良好である。特徴値が充電電気量又は放電容量である場合、精度良くkを求めることもできる。
(4)CPU62は、実測充電SOC−V(又は実測放電SOC−V)と、第1充電SOC−V(又は第1放電SOC−V)とに基づき、最適化計算を行ってパラメータを求める。パラメータにより内部状態が推定される。パラメータの初期値として、Rcha、q、k又はk′は必須ではないが、計算精度及び計算速度の観点から初期値として入力するのが好ましい。
(5)CPU62は、パラメータに基づいて第2充電SOC−V又は第2放電SOC−V(第3特性又は第4特性)を算出する。
(実施形態1)
以下、実施形態1として、車両に搭載される蓄電装置が例示される。
図3は、蓄電装置の一例を示す。蓄電装置50は、複数の蓄電素子200と、監視装置100と、それらを収容する収容ケース300とを備えている。蓄電装置50は、電気自動車(EV)や、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)の動力源として使用されてもよい。
蓄電素子200は、角形セルに限定されず、円筒形セルやパウチセルであってもよい。
監視装置100は、複数の蓄電素子200と対向して配置される回路基板であってもよい。監視装置100は、蓄電素子200の状態を監視する。監視装置100が、推定装置であってもよい。代替的に、監視装置100と有線接続または無線接続されるコンピュータやサーバが、監視装置100が出力する情報に基づいて内部状態を推定する方法を実行してもよい。
以下、実施形態1として、車両に搭載される蓄電装置が例示される。
図3は、蓄電装置の一例を示す。蓄電装置50は、複数の蓄電素子200と、監視装置100と、それらを収容する収容ケース300とを備えている。蓄電装置50は、電気自動車(EV)や、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)の動力源として使用されてもよい。
蓄電素子200は、角形セルに限定されず、円筒形セルやパウチセルであってもよい。
監視装置100は、複数の蓄電素子200と対向して配置される回路基板であってもよい。監視装置100は、蓄電素子200の状態を監視する。監視装置100が、推定装置であってもよい。代替的に、監視装置100と有線接続または無線接続されるコンピュータやサーバが、監視装置100が出力する情報に基づいて内部状態を推定する方法を実行してもよい。
図4は、蓄電装置の他の例を示す。蓄電装置(以下、電池モジュールという)1は、エンジン車両に好適に搭載される、12ボルト電源や、48ボルト電源であってもよい。図4は12V電源用の電池モジュール1の斜視図、図5は電池モジュール1の分解斜視図、図6は電池モジュール1のブロック図である。
電池モジュール1は直方体状のケース2を有する。ケース2に複数のリチウムイオン二次電池(以下、電池という)3、複数のバスバー4、BMU(Battery Management Unit)6、電流センサ7が収容される。
電池モジュール1は直方体状のケース2を有する。ケース2に複数のリチウムイオン二次電池(以下、電池という)3、複数のバスバー4、BMU(Battery Management Unit)6、電流センサ7が収容される。
電池3は、直方体状のケース31と、ケース31の一側面に設けられた、極性が異なる一対の端子32,32とを備える。ケース31には、正極板、セパレータ、及び負極板を積層した電極体33が収容されている。
電極体33の正極板が有する正極活物質及び負極板が有する負極活物質の少なくとも一方は、VF及びヒステリシスの性質を有する。
正極活物質としては、上述のLiMeO2-Li2MnO3固溶体、Li2O−LiMeO2固溶体、Li3NbO4 −LiMeO2固溶体、Li4 WO5 −LiMeO2固溶体、Li4 TeO5 −LiMeO2固溶体、Li3SbO4 −LiFeO2固溶体、Li2RuO3 −LiMeO2固溶体、Li2RuO3 −Li2 MeO3 固溶体等のLi過剰型活物質が挙げられる。負極活物質としては、ハードカーボン、Si、Sn、Cd、Zn、Al、Bi、Pb、Ge、Ag等の金属若しくは合金、又はこれらを含むカルコゲン化物等が挙げられる。カルコゲン化物の一例として、SiOが挙げられる。本発明の技術は、これらの正極活物質及び負極活物質の少なくとも一方が含まれていれば適用可能である。
正極活物質としては、上述のLiMeO2-Li2MnO3固溶体、Li2O−LiMeO2固溶体、Li3NbO4 −LiMeO2固溶体、Li4 WO5 −LiMeO2固溶体、Li4 TeO5 −LiMeO2固溶体、Li3SbO4 −LiFeO2固溶体、Li2RuO3 −LiMeO2固溶体、Li2RuO3 −Li2 MeO3 固溶体等のLi過剰型活物質が挙げられる。負極活物質としては、ハードカーボン、Si、Sn、Cd、Zn、Al、Bi、Pb、Ge、Ag等の金属若しくは合金、又はこれらを含むカルコゲン化物等が挙げられる。カルコゲン化物の一例として、SiOが挙げられる。本発明の技術は、これらの正極活物質及び負極活物質の少なくとも一方が含まれていれば適用可能である。
ケース2は合成樹脂製である。ケース2は、ケース本体21と、ケース本体21の開口部を閉塞する蓋部22と、蓋部22の外面に設けられたBMU収容部23と、BMU収容部23を覆うカバー24と、中蓋25と、仕切り板26とを備える。中蓋25や仕切り板26は、設けられなくてもよい。
ケース本体21の各仕切り板26の間に、電池3が挿入されている。
ケース本体21の各仕切り板26の間に、電池3が挿入されている。
中蓋25には、複数の金属製のバスバー4が載置されている。電池3の端子32が設けられている端子面に中蓋25が配置されて、隣り合う電池3の隣り合う端子32がバスバー4により接続され、電池3が直列に接続されている。
BMU収容部23は箱状をなし、一長側面の中央部に、外側に角型に突出した突出部23aを有する。蓋部22における突出部23aの両側には、鉛合金等の金属製で、極性が異なる一対の外部端子5,5が設けられている。BMU6は、基板に情報処理部60、電圧計測部8、及び電流計測部9を実装してなる。BMU収容部23にBMU6を収容し、カバー24によりBMU収容部23を覆うことにより、電池3とBMU6とが接続される。
図6に示すように、情報処理部60は、CPU62と、メモリ63とを備える。
メモリ63には、本実施形態に係る内部状態の推定プログラム(以下、プログラムという)63aと、テーブル63bとが記憶されている。プログラム63aは、例えば、CD−ROMやDVD−ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体70に格納された状態で提供され、BMU6にインストールすることによりメモリ63に格納される。代替的に、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラム63aを取得し、メモリ63に記憶させてもよい。
テーブル63bには、一例として、劣化に応じた複数の正極のSOC−V又はそのV−dQ/dV、負極のSOC−V又はそのV−dQ/dV、又は特徴値の関数が格納されている。メモリ63、及び推定部(特に第1推定部)として機能するCPU62は、BMU6に搭載されている場合に限定されない。これらを外部装置に搭載し、所定電圧範囲の実測充電SOC−V又は実測放電SOC−Vを取得したときに、内部状態を推定し、BMU6へ結果を渡すことにしてもよい。
テーブル63bには、電池3のSOC−V又はそのV−dQ/dVを格納することにしてもよい。
メモリ63には、本実施形態に係る内部状態の推定プログラム(以下、プログラムという)63aと、テーブル63bとが記憶されている。プログラム63aは、例えば、CD−ROMやDVD−ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体70に格納された状態で提供され、BMU6にインストールすることによりメモリ63に格納される。代替的に、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラム63aを取得し、メモリ63に記憶させてもよい。
テーブル63bには、一例として、劣化に応じた複数の正極のSOC−V又はそのV−dQ/dV、負極のSOC−V又はそのV−dQ/dV、又は特徴値の関数が格納されている。メモリ63、及び推定部(特に第1推定部)として機能するCPU62は、BMU6に搭載されている場合に限定されない。これらを外部装置に搭載し、所定電圧範囲の実測充電SOC−V又は実測放電SOC−Vを取得したときに、内部状態を推定し、BMU6へ結果を渡すことにしてもよい。
テーブル63bには、電池3のSOC−V又はそのV−dQ/dVを格納することにしてもよい。
テーブル63bに記憶する蓄電量特性について、具体例を挙げて説明する。
電池3につき、下記の表1に示す電圧範囲、サイクル数、及び試験温度の条件で各No.のサイクル試験を行った。
電池3につき、下記の表1に示す電圧範囲、サイクル数、及び試験温度の条件で各No.のサイクル試験を行った。
充放電の条件は、以下の通りである。
・負極:グラファイト
・試験レート:充電0.5CA、放電1.0CA
・負極:グラファイト
・試験レート:充電0.5CA、放電1.0CA
正極のSOC−Vを求めるための確認試験の条件は、以下の通りである。
・負極:Li金属
・試験レート:充電0.1CA、放電0.1CA
・試験温度:25℃
これにより、各No.の試験につき、蓄電量特性として、正極のSOC−V、又はV−dQ/dVが求められる。この蓄電量特性が所定電圧範囲の充電電気量若しくは放電容量、又は平均放電電位と対応付けて、テーブル63bに格納される。各試験により、劣化した状態の単極の蓄電量特性を取得し、これを特徴値の順に並べて、特徴値と蓄電量特性とが対応付けられる。長期的に、使用履歴が異なっても、蓄電量特性が連続的かつ一義的に変化することが確認される。
対極の活物質のSOC−Vがテーブル63bに格納される。
・負極:Li金属
・試験レート:充電0.1CA、放電0.1CA
・試験温度:25℃
これにより、各No.の試験につき、蓄電量特性として、正極のSOC−V、又はV−dQ/dVが求められる。この蓄電量特性が所定電圧範囲の充電電気量若しくは放電容量、又は平均放電電位と対応付けて、テーブル63bに格納される。各試験により、劣化した状態の単極の蓄電量特性を取得し、これを特徴値の順に並べて、特徴値と蓄電量特性とが対応付けられる。長期的に、使用履歴が異なっても、蓄電量特性が連続的かつ一義的に変化することが確認される。
対極の活物質のSOC−Vがテーブル63bに格納される。
CPU62はメモリ63から読み出したプログラムに従って、後述する内部状態推定処理を実行する。
電圧計測部8は、電圧検知線を介して電池3の両端に夫々接続されており、各電池3の電圧を所定時間間隔で測定する。
電流計測部9は、電流センサ7を介して電池3に流れる電流を所定時間間隔で計測する。
電池モジュール1の外部端子5,5は、エンジン始動用のスターターモータ及び電装品等の負荷11に接続されている。
ECU(Electronic Control Unit)10は、BMU6及び負荷11に接続されている。
電流計測部9は、電流センサ7を介して電池3に流れる電流を所定時間間隔で計測する。
電池モジュール1の外部端子5,5は、エンジン始動用のスターターモータ及び電装品等の負荷11に接続されている。
ECU(Electronic Control Unit)10は、BMU6及び負荷11に接続されている。
以下、本実施形態に係る内部状態推定方法について説明する。
図7は、CPU62によるパラメータ及び蓄電量特性の推定処理の手順を示すフローチャートである。
CPU62は、所定の間隔でS1からの処理を繰り返す。
CPU62は、前記所定電圧範囲の定電流による実測蓄電量特性を取得する(S1)。CPU62は、例えば充電又は放電のSOC−Vを取得する。
CPU62は、実測蓄電量特性から特徴値を抽出する(S2)。CPU62は、例えばSOC−Vから所定電圧範囲の充電電気量を抽出する。
CPU62は、取得した特徴値に基づき、電池3の第1蓄電量特性を算出する。(S3)。
CPU62は、実測蓄電量特性と第1蓄電量特性とに基づき、最適化計算を行ってパラメータを算出する(S4)。設計変数は上述のパラメータであり、目的関数は残差二乗和f(x)である。
CPU62は、パラメータに基づいて再度蓄電量特性を算出し、第2蓄電量特性を得る(S5)。
CPU62は、算出したパラメータ及び第2蓄電量特性をテーブル63bに記憶し(S6)、処理を終了する。
図7は、CPU62によるパラメータ及び蓄電量特性の推定処理の手順を示すフローチャートである。
CPU62は、所定の間隔でS1からの処理を繰り返す。
CPU62は、前記所定電圧範囲の定電流による実測蓄電量特性を取得する(S1)。CPU62は、例えば充電又は放電のSOC−Vを取得する。
CPU62は、実測蓄電量特性から特徴値を抽出する(S2)。CPU62は、例えばSOC−Vから所定電圧範囲の充電電気量を抽出する。
CPU62は、取得した特徴値に基づき、電池3の第1蓄電量特性を算出する。(S3)。
CPU62は、実測蓄電量特性と第1蓄電量特性とに基づき、最適化計算を行ってパラメータを算出する(S4)。設計変数は上述のパラメータであり、目的関数は残差二乗和f(x)である。
CPU62は、パラメータに基づいて再度蓄電量特性を算出し、第2蓄電量特性を得る(S5)。
CPU62は、算出したパラメータ及び第2蓄電量特性をテーブル63bに記憶し(S6)、処理を終了する。
以下、具体的に説明する。まず、上述のS1〜S3について説明する。
(1)CPU62は、電圧範囲C1V〜C2Vにおける電池3のSOC−Vを取得する(S1)。CPU62は、該SOC−Vから特徴値として、電圧範囲C1V〜C2V、即ち正極の電位の範囲がP1V〜P2Vであるときの充電電気量Q(x)を抽出する(S2)。この充電電気量がQinP1-P2Vと定義される。
(1)CPU62は、電圧範囲C1V〜C2Vにおける電池3のSOC−Vを取得する(S1)。CPU62は、該SOC−Vから特徴値として、電圧範囲C1V〜C2V、即ち正極の電位の範囲がP1V〜P2Vであるときの充電電気量Q(x)を抽出する(S2)。この充電電気量がQinP1-P2Vと定義される。
(2)テーブル63bには、表1のNo.1〜15に対し、Qin P1-P2Vと対応付けて、正極のV−dQ/dVが記憶されているとする。また、新品時の負極のV−dQ/dVも記憶されているとする。
例えば取得した特徴値Q(x)in P1-P2Vが、表1のNo.12及びNo.15夫々のQin P1-P2Vの間にある場合、CPU62は、No.12及びNo.15夫々のV−dQ/dVを取得する。CPU62は、この2つのV−dQ/dVを用い、内挿計算を行って、特徴値に対応するV−dQ/dVを算出する。内挿計算として天秤法が挙げられる。
例えば取得した特徴値Q(x)in P1-P2Vが、表1のNo.12及びNo.15夫々のQin P1-P2Vの間にある場合、CPU62は、No.12及びNo.15夫々のV−dQ/dVを取得する。CPU62は、この2つのV−dQ/dVを用い、内挿計算を行って、特徴値に対応するV−dQ/dVを算出する。内挿計算として天秤法が挙げられる。
求めるV−dQ/dVは下記の式により求められる。
dQ/dV=dQ/dV(i)×q+dQ/dV(i-1)×(1−q)
但し、dQ/dV(i):No.iのdQ/dV、ここではNo.15のdQ/dV
dQ/dV(i-1):No.i-1のdQ/dV、ここではNo.12のdQ/dV
q:内挿計算の処理係数、0≦q≦1
q=(Q(i-1)−Q(x))/(Q(i-1)−Q(i))
Q(i):No.iのQin P1-P2V、ここではNo.15のQin P1-P2V
Q(i-1) :No.i-1のQin P1-P2V、ここではNo.12のQin P1-P2V
dQ/dV=dQ/dV(i)×q+dQ/dV(i-1)×(1−q)
但し、dQ/dV(i):No.iのdQ/dV、ここではNo.15のdQ/dV
dQ/dV(i-1):No.i-1のdQ/dV、ここではNo.12のdQ/dV
q:内挿計算の処理係数、0≦q≦1
q=(Q(i-1)−Q(x))/(Q(i-1)−Q(i))
Q(i):No.iのQin P1-P2V、ここではNo.15のQin P1-P2V
Q(i-1) :No.i-1のQin P1-P2V、ここではNo.12のQin P1-P2V
上述した通り、正極の活物質はヒステリシスの性質を有するので、Qin P1-P2Vは最大で数十%の変動がある。従って、Q(x)は下記のように補正するのが好ましい。
図8は、電位範囲P1−P2Vにおける前記劣化程度k′と充電電気量Qin P1-P2Vとの関係を示すグラフである。横軸は充電電気量(%)、縦軸は劣化程度k′である。図8中、実線のグラフは充電時、破線のグラフは放電時のグラフである。
図8に示すように、Qとk′との間には直線的な相関が見られる。一方、充電電気量はヒステリシスにより、充電状態によって変動する。図8の場合、最大で20%変動している。
Q(x)が充電電気量である場合、補正値Q(x),chaは以下の式により算出される。
Q(x),cha=n×(100+ΔQox,max×Rcha)/100×Q(Rcha=0)
但し、
n:正極有効度(正極の収縮の度合)、0≦n≦1
ΔQox,max:変動量、ΔQoxの最大値(%)
ΔQox=ΔSOCmax−ΔSOC
ΔSOC:Vup′におけるフル放電SOC−V及びフル充電SOC−V間のSOCの差
Vup′:電池3のSOC−Vを取得した時点でメモリ63に記憶されている、後述する電池3の到達最大電圧(上側基準電圧)Vupに対応する正極の電位
ΔSOCmax:ΔSOCの最大値
Rcha:正極の充電SOC−Vの割合、Rcha=(ΔQox,max−ΔQox)/ΔQox,max=ΔSOC/ΔSOCmax、0≦Rcha≦1
Q(Rcha=0):放電容量
図8は、電位範囲P1−P2Vにおける前記劣化程度k′と充電電気量Qin P1-P2Vとの関係を示すグラフである。横軸は充電電気量(%)、縦軸は劣化程度k′である。図8中、実線のグラフは充電時、破線のグラフは放電時のグラフである。
図8に示すように、Qとk′との間には直線的な相関が見られる。一方、充電電気量はヒステリシスにより、充電状態によって変動する。図8の場合、最大で20%変動している。
Q(x)が充電電気量である場合、補正値Q(x),chaは以下の式により算出される。
Q(x),cha=n×(100+ΔQox,max×Rcha)/100×Q(Rcha=0)
但し、
n:正極有効度(正極の収縮の度合)、0≦n≦1
ΔQox,max:変動量、ΔQoxの最大値(%)
ΔQox=ΔSOCmax−ΔSOC
ΔSOC:Vup′におけるフル放電SOC−V及びフル充電SOC−V間のSOCの差
Vup′:電池3のSOC−Vを取得した時点でメモリ63に記憶されている、後述する電池3の到達最大電圧(上側基準電圧)Vupに対応する正極の電位
ΔSOCmax:ΔSOCの最大値
Rcha:正極の充電SOC−Vの割合、Rcha=(ΔQox,max−ΔQox)/ΔQox,max=ΔSOC/ΔSOCmax、0≦Rcha≦1
Q(Rcha=0):放電容量
Q(x)が放電容量である場合、補正値Q(x),disは以下の式により算出される。
Q(x),dis=n×Q(x)
Q(x),dis=n×Q(x)
劣化程度k′の推定はRchaの精度に依存する。前記単極の電位範囲は、充電電気量又は放電容量と単極の平均放電電位との間に直線関係があり、劣化の前後で対極との電位差が変わらない範囲を選択するが、該範囲は対極の状態により変化する可能性がある。対極の状態により電池3のSOC−Vが変化するので、電池3の制御のためには対極の状態も含めた内部状態を推定する必要がある。
Q(x)及びRchaから正極のSOC−Vを求め、電池3の第1SOC−Vを求め、実測SOC−Vに基づき最適化計算を行うことで、良好に内部状態が推定できる。
Q(x)及びRchaから正極のSOC−Vを求め、電池3の第1SOC−Vを求め、実測SOC−Vに基づき最適化計算を行うことで、良好に内部状態が推定できる。
(3)CPU62は、Q(x)により求めた正極のV−dQ/dVを正極のSOC−Vに変換する。そして、CPU62は、正極のSOC−V及び負極のSOC−Vに基づいて電池3のSOC−V(第1蓄電量特性)を算出する(S3)。このときに、パラメータとして、内挿計算の処理係数q1 、正極のSOC−V(k1 )、充電SOC−Vの割合Rcha1 、劣化程度k′1 、正極の収縮の度合m1 、及び容量バランスのずれ量ΔQim1 が得られている。
(4)上述のS4で、CPU62は電池3の現在の内部状態を示すパラメータを算出する。
CPU62は、下記の式により、目的関数の残差二乗和f(x)を求める。
f(x)=ΣC1V C2V(V(算出値)−V(実測値))2
ここで、電圧範囲はC1V〜C2Vと異なる範囲に設定してもよい。第1蓄電量特性の推定、パラメータの推定夫々につき、最適な結果が得られる電圧範囲を選択するのが好ましい。S1で取得した実測SOC−Vと、S3で算出した第1SOC−Vとの誤差が最小になるときのパラメータk2 、Rcha2 、k′2 、m2 、及びΔQim2が求められる。
CPU62は、求められたパラメータを用いて、電池3の充電SOC−V又は放電SOC−V(第2蓄電量特性)を算出する(S5)。
CPU62は、下記の式により、目的関数の残差二乗和f(x)を求める。
f(x)=ΣC1V C2V(V(算出値)−V(実測値))2
ここで、電圧範囲はC1V〜C2Vと異なる範囲に設定してもよい。第1蓄電量特性の推定、パラメータの推定夫々につき、最適な結果が得られる電圧範囲を選択するのが好ましい。S1で取得した実測SOC−Vと、S3で算出した第1SOC−Vとの誤差が最小になるときのパラメータk2 、Rcha2 、k′2 、m2 、及びΔQim2が求められる。
CPU62は、求められたパラメータを用いて、電池3の充電SOC−V又は放電SOC−V(第2蓄電量特性)を算出する(S5)。
図9は、S4で求めたパラメータを用いて算出した正極の放電DOD−V、電池3の放電DOD−V、及び負極のDOD−Vを示すグラフである。横軸は容量(%)、縦軸は電位又は電圧(V)である。図中、eは正極のDOD−V、fは負極のDOD−V、gは電池3のDOD−Vである。
eとfとのグラフにより示される、正極と負極との容量差である容量バランスのずれ量ΔQimが、求めたΔQim2である。
eとfとのグラフにより示される、正極と負極との容量差である容量バランスのずれ量ΔQimが、求めたΔQim2である。
同様にして、他のパラメータである負極の収縮の度合(n)、及び分極(ΔV)、を設計変数として、現在の電池3の内部状態を示すパラメータが求められる。分極(ΔV)と実測蓄電量特性を取得した時点の電流とから内部抵抗(R)を算出することができる。
図10は、電池3につき2.0−4.6Vの充放電を50サイクル繰り返した場合に、実測したSOC−Vと、上述の方法によりパラメータを求めて算出した第2SOC−Vとの差異を求めた結果を示すグラフである。横軸は容量(%)、縦軸は差異(V)である。
差異は下記の式により求められる。
差異={電池3の電圧(算出値)}−{電池3の電圧(実測値)}
図10より、差異は小さいことが分かる。
差異は下記の式により求められる。
差異={電池3の電圧(算出値)}−{電池3の電圧(実測値)}
図10より、差異は小さいことが分かる。
図11は、電池3につき2.0−4.6Vの充放電を50サイクル繰り返した場合の、正極のV−dQ/dVの実測値と算出値との差異を求めた結果を示すグラフである。横軸は電位(VvsLi/Li+ :Li/Li+)、縦軸は差異(%)である。図中、hは充電V−dQ/dV、iは放電V−dQ/dVの差異を示す。
正極のV−dQ/dVの実測値は、充放電を50サイクル繰り返した電池3を解体し、正極のみのV−dQ/dVを求めたものである。
差異は下記の式により求められる。
差異={dQ/dV(算出値)−dQ/dV(実測値)}/(dQ/dVの絶対値の最大値(実測値))×100
図11より、差異は小さいことが分かる。
正極のV−dQ/dVの実測値は、充放電を50サイクル繰り返した電池3を解体し、正極のみのV−dQ/dVを求めたものである。
差異は下記の式により求められる。
差異={dQ/dV(算出値)−dQ/dV(実測値)}/(dQ/dVの絶対値の最大値(実測値))×100
図11より、差異は小さいことが分かる。
図12は、電池3につき2.0−4.6Vの充放電を500サイクル繰り返した場合に、実測したSOC−Vと、上述の方法によりパラメータを求めて算出した第2SOC−Vとの差異を求めた結果を示すグラフである。横軸は容量(%)、縦軸は差異(V)である。
差異は下記の式により求められる。
差異={電池3の電圧(算出値)}−{電池3の電圧(実測値)}
図12より、差異は小さいことが分かる。
差異は下記の式により求められる。
差異={電池3の電圧(算出値)}−{電池3の電圧(実測値)}
図12より、差異は小さいことが分かる。
図13は、電池3につき2.0−4.6Vの充放電を500サイクル繰り返した場合の、正極のV−dQ/dVの実測値と算出値との差異を求めた結果を示すグラフである。横軸は電位(VVvsLi/Li+ :Li/Li+)、縦軸は差異(%)である。図中、jは充電V−dQ/dV、kは放電V−dQ/dVの差異を示す。
正極のV−dQ/dVの実測値は、充放電を50サイクル繰り返した電池3を解体し、正極のみのV−dQ/dVを求めたものである。
差異は下記の式により求められる。
差異={dQ/dV(算出値)−dQ/dV(実測値)}/(dQ/dVの絶対値の最大値(実測値))×100
図13より、差異は小さいことが分かる。
正極のV−dQ/dVの実測値は、充放電を50サイクル繰り返した電池3を解体し、正極のみのV−dQ/dVを求めたものである。
差異は下記の式により求められる。
差異={dQ/dV(算出値)−dQ/dV(実測値)}/(dQ/dVの絶対値の最大値(実測値))×100
図13より、差異は小さいことが分かる。
以下、直近に記憶した第2SOC−Vを用いてSOCを推定する場合について説明する。
図14及び図15は、CPU62によるSOC推定処理の手順を示すフローチャートである。CPU62は、所定の間隔でS11からの処理を繰り返す。以下、第2蓄電量特性がSOC−OCVである場合につき説明する。
予め実験により、ヒステリシスを生じる反応の酸化量及び還元量が小さい電圧が求められ、閾値V1とされる。電圧がV1よりも貴になった後に取得した電圧が上側基準電圧(Vup)に設定される。Vupは、取得した電圧が前回取得した電圧より大きい場合に更新される。電圧がV1よりも卑になった後に取得した電圧が下側基準電圧(Vlow)に設定される。Vlowは、取得した電圧が前回取得した電圧より小さい場合に更新される。
図14及び図15は、CPU62によるSOC推定処理の手順を示すフローチャートである。CPU62は、所定の間隔でS11からの処理を繰り返す。以下、第2蓄電量特性がSOC−OCVである場合につき説明する。
予め実験により、ヒステリシスを生じる反応の酸化量及び還元量が小さい電圧が求められ、閾値V1とされる。電圧がV1よりも貴になった後に取得した電圧が上側基準電圧(Vup)に設定される。Vupは、取得した電圧が前回取得した電圧より大きい場合に更新される。電圧がV1よりも卑になった後に取得した電圧が下側基準電圧(Vlow)に設定される。Vlowは、取得した電圧が前回取得した電圧より小さい場合に更新される。
CPU62は、電池3の端子間の電圧及び電流を取得する(S11)。閾値V1及び上側基準電圧VupをOCVで示している場合、電池3の電流量が大きいとき、取得した電圧をOCVに補正する必要がある。OCVへの補正値は、複数の電圧及び電流のデータから回帰直線を用いて、電流がゼロである場合の電圧を推定すること等により得られる。電池3を流れる電流量が暗電流程度に小さい(微小電流である)場合、取得した電圧がOCVとみなされる。
CPU62は、電流の絶対値が休止閾値以上であるか否かを判定する(S12)。休止閾値は、電池3の状態が充電状態又は放電状態と、休止状態とのいずれであるかを判定する為に設定される。CPU62は電流の絶対値が休止閾値以上でないと判定した場合(S12:NO)、処理をS22へ進める。
CPU62は、電流の絶対値が休止閾値以上であると判定した場合(S12:YES)、電流が0より大きいか否かを判定する(S13)。電流が0より大きい場合、電池3の状態は充電状態であると判定できる。CPU62は電流が0より大きくないと判定した場合(S13:NO)、処理をS18へ進める。
CPU62は電流が0より大きいと判定した場合(S13:YES)、電圧がV1以上であるか否かを判定する(S14)。CPU62は電圧がV1以上でないと判定した場合(S14:NO)、処理をS17へ進める。
CPU62は電圧がV1以上であると判定した場合(S14:YES)、取得した電圧が前回メモリ63に記憶されたVupより大きいか否かを判定する(S15)。CPU62は電圧が前回のVupより大きくないと判定した場合(S15:NO)、処理をS17へ進める。
CPU62は電圧が前回のVupより大きいと判定した場合(S16:YES)、メモリ63において、電圧をVupに更新する(S16)。
CPU62は、電流積算によりSOを推定し(S17)、処理を終了する。
CPU62は、電流積算によりSOを推定し(S17)、処理を終了する。
CPU62は電流が0より小さく、電池3の状態が放電状態であると判定した場合(S13:NO)、電圧がV1未満であるか否かを判定する(S18)。CPU62は電圧がV1未満でないと判定した場合(S18:NO)、処理をS21へ進める。
CPU62は電圧がV1未満であると判定した場合(S18:YES)、取得した電圧が前回メモリ63に記憶された下側基準電圧Vlowより小さいか否かを判定する(S19)。
CPU62は電圧が前回のVlowより小さくないと判定した場合(S19:NO)、処理をS21へ進める。
CPU62は電圧が前回のVupより小さいと判定した場合(S19:YES)、メモリ63において、電圧をVlowに更新する(S20)
CPU62は、電流積算によりSOCを推定し(S21)、処理を終了する。
CPU62は電圧がV1未満であると判定した場合(S18:YES)、取得した電圧が前回メモリ63に記憶された下側基準電圧Vlowより小さいか否かを判定する(S19)。
CPU62は電圧が前回のVlowより小さくないと判定した場合(S19:NO)、処理をS21へ進める。
CPU62は電圧が前回のVupより小さいと判定した場合(S19:YES)、メモリ63において、電圧をVlowに更新する(S20)
CPU62は、電流積算によりSOCを推定し(S21)、処理を終了する。
CPU62は電流の絶対値が休止閾値未満であり、電池3の状態が休止状態であると判定した場合(S12:NO)、設定時間が経過したか否かを判定する(S22)。設定時間は、取得した電圧をOCVとみなす為に十分な、実験により求めた時間である。CPU62は、休止状態であると判定してからの電流の取得回数及び取得間隔に基づき、前記時間を超えたか否かを判定する。これにより、休止状態において、より高精度にSOCを推定することができる。
CPU62は設定時間が経過していないと判定した場合(S22:NO)、電流積算によりSOCを推定し(S23)、処理を終了する。
CPU62は設定時間が経過していないと判定した場合(S22:NO)、電流積算によりSOCを推定し(S23)、処理を終了する。
CPU62は設定時間が経過したと判定した場合(S22:YES)、取得した電圧はOCVとみなすことができる。
CPU62は、直近の第2蓄電量特性をテーブル63bから取得する(S24)。ここで、第2蓄電量特性は電池3の充電SOC−OCV及び放電SOC−OCVである。なお、最後に実測蓄電量特性を取得した日から期間が空いた場合、取得後から現時点までの履歴を考慮して、推定した第2蓄電量特性を補正するのが好ましい。
CPU62は、取得した第2蓄電量特性に基づいて電圧参照用蓄電量特性を算出する(S25)。CPU62は、充電SOC−OCV、放電SOC−OCV、及びVupに基づいて電圧参照用充電SOC−OCV又は電圧参照用放電SOC−OCVを算出する。CPU62は、例えば、ヒステリシスを生じる反応の酸化量,還元量を考慮して、充電SOC−OCV、放電SOC−OCV、及びVupを用いて、電圧参照用充電SOC−OCV又は電圧参照用放電SOC−OCVを算出する。Vupは現在のRchaに基づいて補正することができる。
CPU62は、取得した第2蓄電量特性に基づいて電圧参照用蓄電量特性を算出する(S25)。CPU62は、充電SOC−OCV、放電SOC−OCV、及びVupに基づいて電圧参照用充電SOC−OCV又は電圧参照用放電SOC−OCVを算出する。CPU62は、例えば、ヒステリシスを生じる反応の酸化量,還元量を考慮して、充電SOC−OCV、放電SOC−OCV、及びVupを用いて、電圧参照用充電SOC−OCV又は電圧参照用放電SOC−OCVを算出する。Vupは現在のRchaに基づいて補正することができる。
CPU62は、電圧参照用充電SOC−OCV又は電圧参照用SOC−OCVにおいて、S1で取得した電圧に対応するSOCを読み取ってSOCを推定し(S26)、処理を終了する。
なお、CPU62が電圧計測部8から取得する電圧は、電流により多少変動するので、実験により補正係数を求めて電圧を補正することもできる。
以上のように、本実施形態においては、単極の劣化によるVFを反映する複数の蓄電量−電位特性、蓄電量−電圧特性、又はV−dQ/dVが記憶され、この蓄電量特性及び特徴値に基づいて第1蓄電量−電圧特性が算出される。第1蓄電量−電圧特性、及び所定電圧範囲で取得した実測蓄電量−電圧特性に基づき、最適化計算により、パラメータが求められる。簡便な方法で、パラメータにより、VFに対応する単極の状態、及び対極の状態が検知できる。従って、電池3の現在の内部状態が高精度に推定できる。
テーブル63bに記憶する蓄電量特性のデータ数は少なくて済む。
テーブル63bに記憶する蓄電量特性のデータ数は少なくて済む。
複雑な使用環境下においても、高精度に内部状態を監視することができる。
活物質がヒステリシスを有する場合に、現在の単極の劣化状態に応じた第2蓄電量−電位特性、及び蓄電素子の充放電の履歴に基づいて、精度良く電圧参照用蓄電量−電圧特性が推定できる。高容量であり、VFの性質を有する活物質を含む蓄電素子につき、ヒステリシスの挙動の知見を併用することで、蓄電量が比較的容易に推定できる。
電圧を用いるので、蓄電量としてSOCに限定されず、電力量等、蓄電素子に蓄えられた現在のエネルギーの量が推定できる。充放電特性に基づいて、SOC0%までの放電可能なエネルギー、及びSOC100%までに必要な充電エネルギーを予測することができる。現時点での残存電力量と貯蔵可能電力量とが推定できる。
従って、複数の蓄電素子を用いる場合のバランシング、回生受け入れの制御、蓄電素子を車載した場合の走行距離の推定等を精度良く行うことができる。
電圧を用いるので、蓄電量としてSOCに限定されず、電力量等、蓄電素子に蓄えられた現在のエネルギーの量が推定できる。充放電特性に基づいて、SOC0%までの放電可能なエネルギー、及びSOC100%までに必要な充電エネルギーを予測することができる。現時点での残存電力量と貯蔵可能電力量とが推定できる。
従って、複数の蓄電素子を用いる場合のバランシング、回生受け入れの制御、蓄電素子を車載した場合の走行距離の推定等を精度良く行うことができる。
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
実施形態1においては、正極がVF及びヒステリシスを有する活物質を含む場合につき説明したが、負極がVF及びヒステリシスを有する活物質を含む場合も、同様にして蓄電量−電位特性又はV−dQ/dVを推定することができる。
本発明に係る電圧参照による蓄電量の推定は休止時に行う場合に限定されず、充電時又は放電時にリアルタイムに行ってもよい。この場合、取得した電圧及び電流から現在のOCVが算出される。OCVの算出は、複数の電圧及び電流のデータから回帰直線を用いて、電流がゼロである場合の電圧を推定すること等により得られる。また、電流が暗電流の電流のように小さい場合は、取得した電圧VをOCVに読み替えることもできる。
本発明に係る推定装置及び蓄電量推定装置は、車載用のリチウムイオン二次電池に適用される場合に限定されず、鉄道用回生電力貯蔵装置、太陽光発電システム等の他の蓄電装置にも適用できる。微小電流が流れる蓄電装置においては、蓄電素子の正極端子・負極端子間の電圧をOCVとみなすことができる。
蓄電素子は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、VF及びヒステリシス特性を有する他の二次電池や電気化学セルであってもよい。
蓄電素子は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、VF及びヒステリシス特性を有する他の二次電池や電気化学セルであってもよい。
監視装置100又はBMU6が蓄電量推定装置である場合を例示した。代替的に、CMU(Cell Monitoring Unit)が蓄電量推定装置でよい。蓄電量推定装置は、監視装置100等が組み込まれた蓄電モジュールの一部であってもよい。蓄電量推定装置は、蓄電素子や蓄電モジュールとは別個に構成されて、蓄熱量推定対象の蓄電素子を含む蓄電モジュールに、蓄熱量の推定時に接続されてもよい。蓄熱量推定装置は、蓄電素子や蓄電モジュールを遠隔監視してもよい。
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子の内部状態の推定に適用できる。
1、50 電池モジュール(蓄電装置)
2 ケース
21 ケース本体
22 蓋部
23 BMU収容部
24 カバー
25 中蓋
26 仕切り板
3、200 電池(蓄電素子)
31 ケース
32 端子
33 電極体
4 バスバー
5 外部端子
6 BMU(推定装置)
60 情報処理部
62 CPU(取得部、第1推定部、第2推定部、第3推定部、第4推定部、第5推定部)
63 メモリ(記憶部)
63a プログラム
63b テーブル
7 電流センサ
8 電圧計測部
9 電流計測部
10 ECU
100 監視装置(推定装置)
300 収容ケース
2 ケース
21 ケース本体
22 蓋部
23 BMU収容部
24 カバー
25 中蓋
26 仕切り板
3、200 電池(蓄電素子)
31 ケース
32 端子
33 電極体
4 バスバー
5 外部端子
6 BMU(推定装置)
60 情報処理部
62 CPU(取得部、第1推定部、第2推定部、第3推定部、第4推定部、第5推定部)
63 メモリ(記憶部)
63a プログラム
63b テーブル
7 電流センサ
8 電圧計測部
9 電流計測部
10 ECU
100 監視装置(推定装置)
300 収容ケース
Claims (12)
- 蓄電量−電位充電特性である第1特性及び蓄電量−電位放電特性である第2特性が充放電の繰り返しにより変化し、遷移金属(Me)に対するLiの組成比率であるLi/Meが1より大きい、リチウム遷移金属複合酸化物を含む活物質を含む正極を有する蓄電素子の内部状態を推定する推定装置であって、
前記蓄電素子の蓄電量−電圧充電特性である第3特性又は蓄電量−電圧放電特性である第4特性の一部の情報を取得する取得部と、
充放電の繰り返しにより変化する特徴値の変化に対応して、第1特性、第2特性、第3特性、第4特性、及び、V−dQ/dVから選択される1種の蓄電量特性を複数記憶し、又は前記特徴値の関数として記憶する記憶部と、
前記情報、及び、前記蓄電量特性又は前記関数に基づいて、前記蓄電素子の内部状態を推定する第1推定部と
を備える、推定装置。 - 前記取得部は、前記蓄電素子の所定電圧範囲における、実測第3特性又は実測第4特性の情報を取得し、
前記情報から特徴値を求め、該特徴値に基づいて、前記蓄電量特性又は前記関数を参照して、前記情報を取得した時点の推定第3特性又は推定第4特性を推定する第2推定部を備え、
前記第1推定部は、
前記情報と、前記推定第3特性又は前記推定第4特性とに基づき、前記時点の蓄電素子の内部状態を示すパラメータを推定する、請求項1に記載の推定装置。 - 前記特徴値は、前記所定電圧範囲の両端の電圧に対応する充電電気量の差分若しくは放電容量の差分、及び、平均放電電位の少なくともいずれかである、請求項2に記載の推定装置。
- 前記パラメータは、第1特性、第2特性、第1特性の割合、前記正極の収縮の度合、負極の収縮の度合、前記正極及び前記負極間の容量バランスのずれ量、及び分極から選択される少なくとも1種である、請求項2又は3に記載の推定装置。
但し、前記第1特性の割合は下記式で表される。
(第1特性の割合)=(前記情報を取得したときに、前記記憶部に記憶されている前記蓄電素子の到達最大電圧に対応する前記正極の電位における、第1特性及び第2特性間の蓄電量の差)/(前記蓄電量の差の最大値) - 前記第2推定部は、前記V−dQ/dVを参照して、内挿計算によりV−dQ/dVを推定し、
前記パラメータは、前記内挿計算に必要な処理係数を含む、請求項2から4までのいずれか1項に記載の推定装置。 - 前記第1推定部は、最適化計算により、前記情報と、前記第2推定部により推定した前記推定第3特性又は前記推定第4特性との差が最小になるように、前記パラメータを求める、請求項2から5までのいずれか1項に記載の推定装置。
- 前記第1推定部により推定した前記パラメータを用いて、第3特性又は第4特性を推定する第3推定部を備える、請求項2から6までのいずれか1項に記載の推定装置。
- 前記活物質は、第3特性及び第4特性間のヒステリシスを示し、
前記第3推定部により推定した第3特性又は第4特性、及び前記蓄電素子の充放電の履歴に基づいて、取得した電圧により蓄電量を推定するときの参照のための第3特性又は第4特性を推定する第4推定部と
を備える、請求項7に記載の推定装置。 - 前記充放電の履歴、参照のための前記第3特性又は前記第4特性、並びに取得した電圧に基づいて、蓄電量を推定する第5推定部と
を備える、請求項8に記載の推定装置。 - 蓄電素子と、
請求項1から9までのいずれか1項に記載の推定装置と
を備える、蓄電装置。 - 蓄電量−電位充電特性である第1特性及び蓄電量−電位放電特性である第2特性が充放電の繰り返しにより変化し、遷移金属(Me)に対するLiの組成比率であるLi/Meが1より大きい、リチウム遷移金属複合酸化物を含む活物質を含む正極を有する蓄電素子の内部状態を推定する推定方法であって、
充放電の繰り返しにより変化する特徴値の変化に対応して、第1特性、第2特性、前記蓄電素子の蓄電量−電圧充電特性である第3特性、蓄電量−電圧放電特性である第4特性、及び、V−dQ/dVから選択される1種の蓄電量特性を、記憶部に、複数記憶し、又は前記特徴値の関数として記憶してあり、
前記蓄電素子の第3特性又は第4特性の一部の情報を取得し、
前記情報、及び、前記蓄電量特性又は前記関数に基づいて、前記蓄電素子の内部状態を推定する、推定方法。 - 蓄電量−電位充電特性である第1特性及び蓄電量−電位放電特性である第2特性が充放電の繰り返しにより変化し、遷移金属(Me)に対するLiの組成比率であるLi/Meが1より大きい、リチウム遷移金属複合酸化物を含む活物質を含む正極を有する蓄電素子の内部状態を推定するコンピュータに、
前記蓄電素子の蓄電量−電圧充電特性である第3特性又は蓄電量−電圧放電特性である第4特性の一部の情報を取得し、
第1特性、第2特性、第3特性、第4特性、及び、V−dQ/dVから選択される1種の蓄電量特性が、特徴値の変化に対応して、複数記憶されたテーブルを参照し、又は前記特徴値の関数を参照し、
前記情報、及び、前記蓄電量特性又は前記関数に基づいて、前記蓄電素子の内部状態を推定する、
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
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