JPWO2009153848A1 - 消火用噴霧ノズルおよび消火設備 - Google Patents
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Abstract
低圧の消火液を霧状にする。消火用噴霧ノズル10は、本体30と、障害物36とを備える。本体30は、消火液の放射口40を有する。障害物36は、放射口40から放射される消火液の放射領域102内に配置される。障害物36の外周面は、錐体状の傾斜面62に形成されている。これにより、放射口40から放射されて障害物36の周囲を通過中の消火液70と放射口40から放射されて傾斜面62から反射してきた消火液72とが衝突して消火液の霧74が生成する。このような作用によって霧74を生成させる際、放射口40から放射される消火液の圧力は低圧でよい。その結果、低圧の消火液を霧状にする消火用噴霧ノズル10を提供できる。
Description
本発明は、消火用噴霧ノズルおよび消火設備に関し、特に、低圧の消火液を霧状にすることができる消火用噴霧ノズルおよび消火設備に関する。
特許文献1は、ノズルヘッドを開示する。このノズルヘッドは、2個以上のノズルチップをヘッダー本体に取り付けたノズルヘッドである。このノズルチップは、微細な水の霧を同一方向へ放射する。このノズルチップは、噴出口がヘッダー本体の表面から10mm以上突出するように取り付けられている。
特許文献1に開示されたノズルヘッドによると、霧の射程距離を伸ばすことができ、霧により包まれる範囲を拡大でき、かつ、ノズルヘッドの設置個数を減少させることができる。
特許文献2は、消火用ノズルを開示する。この消火用ノズルは、流体室を備えている。この流体室は、液体入口と、気体入口と、流体出口とを有する。この流体室は、複数の小室に分かれている。これらの小室は、液体入口と気体入口と流体出口とを個別に有する。これらの小室には、流体制御装置が備わっている。流体制御装置は、その小室に導入された液体を流体出口から拡散状態に噴出させる。
特許文献2に開示された消火用ノズルによると、初期消火を広い範囲で行うことができ、しかも、火災発生初期において、初期消火に有効な噴霧が開始されるまでの時間を大幅に短縮できる。
特許文献3は、液体噴霧ノズルを開示する。この液体噴霧ノズルは、ドーム状の窪みと、その窪みの先端部に交差する切込み溝とを有する。この切込み溝は、管軸より上側にずらして設けられている。
特許文献3に開示された液体噴霧ノズルによると、水平に取付けられたときも液体の飛距離を伸ばすことができる。
特許文献4は、スプリンクラー消火配管を開示する。このスプリンクラー消火配管において、給水用の主配管に接続される補助配管は、可撓性を有する合成樹脂管を用いてループ状に形成されている。そのループ状の補助配管に、合成樹脂製の分水用ヘッダが直列に介在されている。合成樹脂製の分水用ヘッダは、分岐接続部を複数箇所に有する。分岐接続部は、合成樹脂製の可撓管に連通される。
特許文献4に開示されたスプリンクラー消火配管は、施工現場に容易に搬送できる。
しかし、特許文献1〜3に開示された発明では、霧を放射するために供給する液体の圧力を比較的高くしなければならないという問題点がある。たとえば、特許文献1に開示された発明の場合、液体の圧力を8MPa程度にすることが想定されている。特許文献4に開示された発明に至っては、霧を放射することに関する開示も示唆もない。
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、低圧の消火液を霧状にする消火用噴霧ノズルおよび消火設備を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、消火用噴霧ノズル10は、本体30と、障害物36とを備える。本体30は、消火液の放射口40,41を有する。障害物36は、この放射口40,41から放射される消火液を衝突させるためのものである。障害物36は、放射口40,41から放射される消火液の放射領域102内に配置される。障害物36の外周面は、錐体状の傾斜面62に形成されている。これにより、放射口40,41から放射されて障害物36の周囲を通過中の消火液70と放射口40,41から放射されて傾斜面62から反射してきた消火液72とが衝突して消火液の霧74が生成する。このような作用によって霧74を生成させる際、放射口40,41から放射させる消火液の圧力は低圧でよい。その結果、低圧の消火液を霧状にする消火用噴霧ノズル10を提供できる。
また、上述の障害物36は、傾斜面62に加え、溝63を有することが望ましい。
また、上述の障害物36が、支持部32を介して本体30に固定されていることが望ましい。
もしくは、上述の支持部32には、少なくとも障害物36と対向する位置に支柱52を有し、この支柱52の障害物36と対向する対向部分56が先細り状に形成されていることが望ましい。
本発明の他の局面に従うと、消火設備は、上述したノズルのいずれかが装備されている。
本発明にかかる消火用噴霧ノズルおよび消火設備は、低圧の消火液を霧状にすることができる。
10 消火用噴霧ノズル
15 主配管
16 補助配管
17 分水用ヘッダ
18 ストレート型継手
20 分水管
30 本体
32 支持部
36 障害物
40,41 放射口
50 梁
52 支柱
56 対向部分
60,61 対向面
62 傾斜面
63 溝
64 接合部分
65 丸み
70,72,76 消火液
74 霧
100 中心軸
102 放射領域
200 内径
202 直径
204,208 幅
206,210 長さ
15 主配管
16 補助配管
17 分水用ヘッダ
18 ストレート型継手
20 分水管
30 本体
32 支持部
36 障害物
40,41 放射口
50 梁
52 支柱
56 対向部分
60,61 対向面
62 傾斜面
63 溝
64 接合部分
65 丸み
70,72,76 消火液
74 霧
100 中心軸
102 放射領域
200 内径
202 直径
204,208 幅
206,210 長さ
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本実施形態にかかる消火設備のスプリンクラー消火配管を示す概略図である。図2は、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10の斜視図を示す。図3は、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10の正面図を示す。図4は、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10のA矢視図を示す。図5は、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10のB断面図を示す。図6は、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10において放射口40から放射された消火液が霧になる原理を示す概念図である。図7は、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10の散布角と消火用噴霧ノズル10の真下における散布量とを示す第1の図である。図8は、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10における散布角と消火用噴霧ノズル10の真下における散布量とを示す第2の図である。なお、以下の説明においては、消火用噴霧ノズル10の真下における散布量を「直下散布量」と称する。
図1に示すように、本実施形態にかかる消火設備のスプリンクラー消火配管は、分水用ヘッダ17を有している。分水用ヘッダ17は、合成樹脂の一体成形体である。分水用ヘッダ17は、ストレート型継手18から流入した水を複数の分水管20に分水したり、分水後の残水を補助配管16に流出させたりする機能を有している。
図1のように主配管15に接続されて水平に配置されている補助配管16はループ状に形成されている。補助配管16のループ状は、図示のような矩形であっても円環形であってもよい。この補助配管16にはポリエチレン管のような可撓性を有する合成樹脂管が用いられている。分水用ヘッダ17は、補助配管16にストレート型継手18を介して接続されることによって、ループ状の補助配管16に直列に介在している。ストレート型継手18は合成樹脂製である。
分水管20はポリエチレン樹脂などの合成樹脂で成形されている。また、すべての分水管20は分水用ヘッダ17を補助配管16に接続施工するのに先立って、その分岐接続部に予め工場で熱融着されていることが望ましい。また、分水管20として、その先端に図示しない密栓部が一体に成形されたものを用いることができる。このような分水管20を予め接続しておけば、分水用ヘッダ17に接続された分水管20の先端開口がその密栓部によって水密に塞がれた状態になっているので、図1に示した主配管15から分水用ヘッダ17に至る配管系の施工が終了した時点でその水圧試験を実施するときに、その施工の終了時点で余分な作業を行うことなく直ちに水圧試験を実施することができるという利点がある。そして、水圧試験を行った後、その分水管20の軸方向の所望箇所を切断してその密栓部を撤去すれば、その分水管20に消火用噴霧ノズル10を接続することができるようになる。さらに、分水用ヘッダ17に接続された複数の分水管20のうちの一部のものを密栓部を有したまま残し、他の分水管20についてだけ密栓部を撤去して可撓管を接続しておくようにすれば、密栓部の残っている分水管20を、事後的に消火用噴霧ノズル10の設置数を増加させるときに使うことができるようになる。
可撓管にはポリエチレン管のような可撓性を持った合成樹脂管が採用される。分水管20とその可撓管との接続は、たとえば合成樹脂製のストレート型継手を用いて行うことができる。
本実施形態にかかる可撓管には内面平滑な合成樹脂管(たとえばポリエチレン管)を用いることができる。そのようにすると、1つの分水用ヘッダ17に多数の可撓管を接続しても、消火用噴霧ノズル10に十分な圧力で十分な排出水量を供給することが可能になり、しかも、可撓管が軽量になるために可撓管を接続することによる重量負荷をそれほど意識する必要がなくなるという利点がある。
図2に示すように、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10は、本体30と、支持部32と、障害物36と備える。本体30は、放射口40を有している。図示しないポンプから供給された消火液(本実施形態においては水)は、この放射口40から放射される。放射された消火液は、障害物36に衝突し、霧74になる。消火液が霧74になる原理に関しては後述する。
図3および図4を参照しつつ、支持部32の構成について説明する。支持部32は、梁50と、支柱52とを有する。梁50は、障害物36が固定される部材である。支柱52は、本体30に固定され、障害物36を挟んで相対するように梁50を支える部材である。支柱52によって支えられることにより、梁50は両端支持梁となっている。支柱52の障害物36と対向する対向部分56は、障害物36に向かって尖った先細り状に形成されている。
図2および図5を参照しつつ、障害物36の構成について説明する。障害物36は、対向面60と、傾斜面62とを有する。
本実施形態における対向面60は、放射口40の中心軸100の延長線に直交し、放射口40に対向する平面である。本実施形態において、対向面60は、放射口40の形状と相似する。図2および図4から明らかなように、放射口40の形状と対向面60の形状とは、円形である。また、対向面60の中心軸は、放射口40の中心軸100に一致する。本実施形態においては、対向面60の直径202は放射口40の内径200の90%である。また、梁50と傾斜面62との接合部分64の外径は放射口40の内径に等しい。このため、障害物36は、放射領域102の中に配置されることとなる。放射領域102とは、放射口40から放射された消火液が通過するであろう領域を意味する。図5においては、本実施形態における放射領域102が二点鎖線で示されている。放射口40の中心軸100の延長線を回転軸とし、放射口40の縁を通る直線を母線とする錐体により区切られる空間は、放射領域102に含まれると考えてよい。
一方、図2〜図5において示されている通り、本実施形態において、傾斜面62は、形状が錐体状である障害物36の、外周面である。より詳しく言えば、障害物36の形状は錐台状である。つまり、錐体の頂の部分を底面に平行な面で切り取った後に残る部分の形状である。もちろん、障害物36の形状は、本当の意味での錐体状であってもよい。
図6を参照しつつ、放射口40から放射された消火液が霧74になる原理について説明する。
放射口40から放射された消火液の一部が、対向面60に衝突して反射する。これが、図6において対向面60から反射した消火液72である。消火液の他の一部は、障害物36の周囲を通過する。これが、図6において障害物36の周囲を通過する消火液70である。対向面60から反射した消火液72は障害物36の周囲を通過する消火液70に衝突する。衝突によって、障害物36の周囲を通過する消火液70は霧74となって周囲に飛散する。対向面60に衝突した消火液72も霧74となって周囲に飛散する。
放射口40から放射された消火液の一部は、障害物36の傾斜面62にも衝突し、反射する。この傾斜面62から反射した消火液76も、障害物36の周囲を通過する消火液70に衝突する。衝突によって、障害物36の周囲を通過する消火液70は霧74となって周囲に飛散する。傾斜面62から反射した消火液76も霧74となって周囲に飛散する。
なお、図4に示したように、支柱52の障害物36と対向する対向部分56が、障害物36に向かって尖った先細り状に形成されているので、生成した霧74は、支柱52の側面に沿って流れることになる。
また、このような原理によって霧74を生成させることから、中心軸100の延長線に対する対向面60の角度は必ずしも直交していなくともよい。直交していなくとも、この角度は、次に述べる要件を満たせばよい。その要件とは、霧74の生成に必要な圧力の消火液が放射口40から放射され、対向面60に衝突し、障害物36の周囲へ反射するという現象が、対向面60上の次に述べる複数の点において生じるという要件である。そしてその複数の点は、中心軸100の延長線に対して互いに対称な点である。
以上のようにして、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10は、放射口40から放射された消火液同士が衝突することにより、霧74を発生させる。このようにして発生した霧74は、炎によって加熱され、水蒸気になる。その水蒸気の体積は、元の霧74の体積に比べ大幅に大きなものとなる。その水蒸気が空中を漂うことにより、空気中の酸素濃度は相対的に低下することとなる。酸素濃度が低下する結果、酸欠状態が発生するので、そのなかで可燃物が燃えることは困難になる。とりわけ、油は燃えにくくなる。
消火のためには、消火用噴霧ノズル10から散布された霧74は、なるべく広範囲、かつ、均一に広がることが望ましい。ところが、消火用噴霧ノズル10の真下に霧を十分に散布することはこれまであまり容易ではなかった。本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10は、その真下にも霧74を十分散布できる。図7および図8に基づいて、この点につき説明する。
図7および図8は、放射口40の内径に対する対向面60の直径の割合が散布角と消火用噴霧ノズル10の真下における散布量とに与える影響を示す図である。図7に示すのは、消火用噴霧ノズル10に供給する消火液の圧力が0.4MPaの場合を示す。図8は、その圧力が1.0MPaの場合を示す。これらの図は、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10と同様の構造であって放射口40の内径と対向面60の直径とが互いに異なる様々な消火用噴霧ノズル10につき散布角と消火用噴霧ノズル10の真下における散布量とを測定して得た図である。
図7および図8に示した結果によれば、放射口40の内径に対する対向面60の直径の割合が「0.9」以下の場合、消火用噴霧ノズル10に供給する消火液の圧力を上げることで消火用噴霧ノズル10の真下に散布される消火液の量は増加すると考えられる。一方、その割合が「1」を超える場合、消火用噴霧ノズル10に供給する消火液の圧力を上げても消火用噴霧ノズル10の真下に散布される消火液の量はあまり増加しない。したがって、その割合を「0.9」以下とすることで、消火用噴霧ノズル10の真下に消火液を十分散布することが可能になると考えられる。
また、図7および図8は、消火用噴霧ノズル10に供給する消火液の圧力が散布角にあまり影響を与えないことを示すと考えられる。図7および図8において、その圧力が異なっていても散布角に相違は見られないためである。一方、放射口40の内径に対する対向面60の直径の割合が「0.9」から「1.0」までの範囲にある閾値を超えるか否かは、散布角に影響を与えると考えられる。図7および図8によれば、放射口40の内径に対する対向面60の直径の割合が「0.9」以下の場合、散布角はπ/3ラジアン〜π/2ラジアンであり、この割合が「1.0」を超える場合、散布角は2π/3ラジアン〜5π/6ラジアンとなるためである。
したがって、上述したように、本実施形態にかかる消火用噴霧ノズル10において、対向面60の直径は放射口40の内径の90%なので、1.0MPaの消火液を供給すれば真下にも消火液を十分供給することが可能になる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
例えば、傾斜面62に溝63を設けてもよい。図9は、傾斜面62に溝63を設けたときの消火用噴霧ノズルの正面図である。対向面60と傾斜面62との境界に丸み65を設けてもよい。図10は、そのような丸みを設けたときの消火用噴霧ノズルの正面図である。
また、放射口40の内径に対する対向面60の直径の割合は「0.9」に限られない。
また、本体30は、円形の放射口40に代え、円形とは異なる形の放射口を有しても良い。この場合、障害物36は、円形の対向面60に代え、その他の形の対向面を有しても良い。図11は、本体30が三角形の放射口41を有し、障害物36が三角形の対向面61を有する場合の消火用噴霧ノズルの形態を示す斜視図である。この場合、対向面61の中心軸と放射口41の中心軸とは必ずしも一致していなくとも良い。もちろん、それらが一致していてもよい。
また、対向面の形状と放射口の形状とは相似していなくともよい。
Claims (5)
- 消火液の放射口を有する本体と、この放射口から放射される消火液を衝突させる障害物とを備える消火用噴霧ノズルであって、
前記障害物は、前記放射口から放射される消火液の放射領域内に配置され、
前記障害物の外周面は、錐体状の傾斜面に形成されている、消火用噴霧ノズル。 - 前記障害物は、前記傾斜面に加え、溝を有する、請求項1に記載の消火用噴霧ノズル。
- 前記障害物が、支持部を介して前記本体に固定されている、請求項1に記載の消火用噴霧ノズル。
- 前記支持部には、少なくとも前記障害物と対向する位置に支柱を有し、この支柱の前記障害物と対向する対向部分が先細り状に形成されている、請求項3に記載の消火用噴霧ノズル。
- 請求項1〜4のいずれかに記載された消火用噴霧ノズルを装備させた消火設備。
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