JPWO2009145140A1 - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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Abstract

高い開放電圧を有し、且つ高温保存下での耐久性を有する色素増感型太陽電池は、導電性基材上に、色素が表面に吸着された多孔質n型半導体電極と電荷移動層と対向電極とを順次有する色素増感型太陽電池であって、該電荷移動層がN−オキシル誘導体からなるラジカル化合物を含有することを特徴とする。

Description

本発明は、電気化学的酸化反応または還元反応の少なくとも一方の過程で、ラジカル化合物を生成する有機化合物を含む電解質を電荷移動層に用いた色素増感型太陽電池に関する。
近年、化石燃料の燃焼や二酸化炭素発生量の増大により、地球温暖化をはじめとする環境・エネルギーの問題がますます深刻化してきている中、エネルギー源がクリーンで無尽蔵、発電時の大気汚染物質や騒音を発生せず、環境負荷の少ない発電システムとして、太陽エネルギーを効率よくエネルギー源として取り出す各種太陽電池の技術開発が盛んに行われている。
その中でも、色素増感型太陽電池は一般的な印刷プロセスを用いた大気圧下で簡易な製造プロセスで製造できる構成であることから、素材・プロセス両面で大幅なコスト低減が期待され、単結晶シリコン系、多結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、CIGS系等に続く次世代の太陽電池として注目を集めている。
色素増感型太陽電池は半導体表面に吸着させた色素分子が太陽光を吸収し、色素のLUMO(最低空軌道)から半導体のCB(伝導帯)へ電子注入が起こることで、所謂分光増感を行う。色素分子は半導体表面に吸着基を介して結合させるため、一般的には単分子層であるとされる。即ち、太陽電池セルに入射した光を高い効率で電子に変換させるためには、色素の光吸収能を向上させる技術が必要である。
それに対し大きなブレイクスルーを果たしたのが、M.Gratzelらによる酸化チタンの微粒子からなる多孔質膜とRuビピリジン錯体色素により形成された光電極を用いた、所謂Gratzelセルにある(例えば、非特許文献1参照)。
この多孔質膜からなる半導体表面に光増感剤となる色素分子を単分子吸着させることで、光吸収により電子を励起し、半導体へと電子注入する役割を有す色素の吸着サイトとなる半導体の比表面積を数千倍にまで高めることを可能にし、太陽電池セルに入射した太陽光を効率よく電子に変換することができる。
色素が光エネルギーを吸収して電子を放出し、半導体のチタニアがその電子を受けて導電性基板へと引き渡す。一方、色素に残ったホールは電解質中のヨウ素イオンを酸化し、IがI へと変わり、この酸化されたI が対極で再び電子を受けて還元され、電子が両極をサイクルすることによって発電するものである。
色素増感型太陽電池の開放電圧は、酸化物半導体のフェルミ準位と電解質中のレドックスの酸化還元電位の差によって規定される。発電原理上は、色素のHOMO/LUMO、酸化物半導体のVB/CB、電解質中のレドックス準位についての各エネルギー準位を適切に設計することにより、開放電圧を変化させることが可能となる。これまでの色素増感型太陽電池の電荷移動にはヨウ素レドックス(I/I )が代表的に用いられる。
しかしながら、ヨウ素は金属腐食性が高く、対極として一般的に用いられる白金も高温保存下では腐食してしまうことが知られている。また、ヨウ素自体の昇華性、着色による透過光低下に起因する変換効率ロスなどの観点から、非ヨウ素系のレドックスや電解質が研究されている。
上記の問題に対しては、ヨウ素レドックスと同様のハロゲン系レドックスとして臭素レドックスが検討されている(例えば、非特許文献2、3参照)。臭素レドックスの酸化還元電位は、ヨウ素レドックスよりもより貴(正)側にあるため、クマリン343やエオシンYといったHOMO/LUMOのエネルギー準位差が大きく、吸収領域がより短波な有機色素では開放電圧の向上が認められている。
しかしながら、Ru錯体N719などのHOMO/LUMOのエネルギー準位差が比較的小さく、吸収領域がより長波な色素を用いた場合には、色素のHOMOに比較して臭素レドックスの酸化還元電位が低すぎるために有効な電子注入が起こりにくく、変換効率が低下してしまう。
無機系レドックスとしてはSCN/(SCN)なども検討されているが、ヨウ素レドックスよりも性能が劣る(例えば、非特許文献4参照)。
また、電気化学的酸化反応または還元反応の少なくとも一方の過程でラジカル化合物を生成するテトラメチルピペリジニルオキシ(TEMPO)の誘導体と、スパッタ法で形成したインジウム/スズ酸化物の緻密層からなる半導体層と電解質層からなる光電気化学デバイスが提案されている(例えば、特許文献1参照)が、色素増感太陽電池に関わる発明ではなく、色素増感型太陽電池における性能向上や耐久性に関わる性能向上は示唆されていない。
一方、ホール輸送性を有する導電性高分子なども検討されているが、ヨウ素レドックスよりも変換効率が劣り、未だ十分なものではなかった(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−100360号公報 特開2003−264304号公報
Nature,353,24(1991),737 J.Phys.Chem.B,109,22449(2005) 2007年電気化学会秋季年会講演要旨集,236(1N11) J.Phys.Chem.B,105,6867(2001)
本発明は上述したような課題を解決するためのもので、その目的は、高い開放電圧を有し、且つ高温保存下での耐久性を有する色素増感型太陽電池を提供することである。
本発明の課題は、色素増感型太陽電池を作製するに当たり、特定のラジカル化合物を含有する電解質を使用することによって解決されるに至った。具体的には下記構成により達成された。
1.導電性基材上に、色素が表面に吸着された多孔質n型半導体電極と電荷移動層と対向電極とを順次有する色素増感型太陽電池であって、該電荷移動層がN−オキシル誘導体からなるラジカル化合物を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
2.前記N−オキシル誘導体がアザアダマンタンN−オキシル誘導体あるいはアザビシクロN−オキシル誘導体であることを特徴とする前記1に記載の色素増感型太陽電池。
3.前記アザビシクロN−オキシル誘導体が下記一般式(1)で表されることを特徴とする前記2に記載の色素増感型太陽電池。
(式中、R、R、R、Rは各々独立に水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、Xは環状構造を形成するのに必要な2個または3個の原子群を表す。)
4.前記電荷移動層が有機溶媒を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
5.前記有機溶媒が3−メトキシプロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートまたはγ−ブチロラクトンであることを特徴とする前記4に記載の色素増感型太陽電池。
本発明により、高い開放電圧を有し、且つ高温保存下での耐久性を有する色素増感型太陽電池を提供することができる。
本発明の色素増感型太陽電池の基本構造を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、複合体電極を有する色素増感型太陽電池において、開放電圧、短絡電流、形状因子フィルファクター、光電変換効率等の課題に関し検討を進めた結果、ヨウ素レドックスを用いた色素増感型太陽電池構成では、光電変換効率は未だ十分に満足できるレベルには到達していないことが認められた。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、導電性基材上に、色素が表面に吸着された多孔質n型半導体電極と電荷移動層と対向電極とを順次有する色素増感型太陽電池であって、該電荷移動層が本発明のラジカル化合物を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池により、高い開放電圧を実現できるばかりでなく、高温保存時にも優れた安定性を有すことを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明に係るN−オキシル誘導体、その製造方法及び色素増感型太陽電池の詳細について説明する。
《N−オキシル誘導体》
N−オキシル(ニトロキシドラジカルとも呼ばれる)とは、ヒドロキシルアミンの酸素−水素結合がラジカル的に開裂して生じた酸素中心ラジカルである。本発明においては、分子内に>N−O・構造を有する化合物を総称してN−オキシル誘導体と呼ぶ。
N−オキシル誘導体は他のラジカル化合物と比較して安定なものが多く、結晶として取り出すことが可能である。N−オキシル誘導体としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル)をはじめ、各種置換基の置換した誘導体が市販されている。
一般にN−オキシル基のα位炭素に水素が置換している場合、容易にヒドロキシアミンとニトロンへ不均化してしまう。このため、TEMPOのN−オキシル基α位に置換した4つのメチル基は、安定ラジカルとして存在する上での重要な構造化学的要素である。
N−オキシル誘導体を色素増感型太陽電池の酸化還元対として用いる場合、化合物自身の安定性は電池の耐久性を高める上で重要である。このため、N−オキシル基のα位炭素に水素の全く置換していない化合物が好ましい。
しかしながら、TEMPO誘導体では4つのメチル基の立体障害によって反応性が落ちる場合がある。このような活性低下を引き起こさない点で、アザアダマンタンN−オキシル誘導体、あるいはアザビシクロN−オキシル誘導体が更に好ましい。これらの化合物では、N−オキシル基のα位炭素に水素原子が置換していても、Bredt則によってニトロンへの異性化が阻まれ、安定ラジカルとして存在が保障される。これら多環式のN−オキシル誘導体を色素増感型太陽電池の酸化還元対として用いた場合、TEMPO誘導体よりも高い耐久性が得られ好ましい。
これらのアザアダマンタンN−オキシル誘導体、あるいはアザビシクロN−オキシル誘導体は、置換可能な位置で置換基を有していてもよく、これらの置換基を連結基として2量体、3量体等の多量体を形成してもよく、ポリマーであってもよい。
本発明において、最も好ましいN−オキシル誘導体は、アザアダマンタンN−オキシル誘導体、または前記一般式(1)で表されるアザビシクロN−オキシル誘導体である。
前記一般式(1)において、R、R、R、Rは各々独立に水素原子、または脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基を表し、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基は置換基を有してもよい。Xは環状構造を形成するのに必要な2個もしくは3個の原子群を表す。具体的には、CH、CO、置換基を有するCが挙げられる。
脂肪族炭化水素基には鎖状及び環状のものが包含され、鎖状のものには直鎖状のもの及び分岐状のものが包含される。このような脂肪族炭化水素基には、メチル、エチル、ビニル、プロピル、イソプロピル、プロペニル、ブチル、iso−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、オクチル、iso−オクチル、シクロオクチル、2,3−ジメチル−2−ブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等が挙げられる。
これら置換基は更に置換基を有していてもよい。それらの置換基には特に制限はなく、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基、モルフォリノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基、モルフォリノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基等)、アルカンスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、ブタンスルフィニル基、シクロヘキサンスルフィニル基、2−エチルヘキサンスルフィニル基、ドデカンスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルカンスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基、ドデカンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は、これら置換基で連結された2量体、3量体等の多量体であってもよく、また重合体であってもよい。
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
また、以下に本発明で用いられる、置換基を有してもよいアザアダマンタンN−オキシル誘導体の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
《電荷移動層》
本発明の色素増感型太陽電池を構成する電荷移動層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する層である。本発明で用いることのできる代表的な電荷輸送材料の例としては、酸化還元対イオンが溶解した溶媒や酸化還元対イオンを含有する常温溶融塩等の電解質、酸化還元対イオンの溶液をポリマーマトリクスや低分子ゲル化剤等に含浸したゲル状の擬固体化電解質、更には高分子固体電解質等が挙げられる。
また、イオンが関わる電荷輸送材料の他に、固体中のキャリア移動が電気伝導に関わる材料として、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料を挙げることもでき、これらは併用することも可能である。
溶媒としては電気化学的に不活性で、粘度が低くイオン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く有効キャリア濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。
具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、更にテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等の非プロトン極性物質等を用いることができる。3−メトキシプロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及びγ−ブチロラクトンのいずれかがより好ましい。
溶媒としては、耐久性の観点から沸点が80℃以上のものが好ましく、100℃以上のものがより好ましく、120℃以上のものが更に好ましい。具体的には、3−メトキシプロピオニトリル(165℃)、エチレンカーボネート(243℃)、プロピレンカーボネート(240℃)、γ−ブチロラクトン(203℃)が挙げられる。
好ましい電解質濃度は0.1〜15モル/Lであり、更に好ましくは0.2〜10モル/Lである。
溶融塩電解質は光電変換効率と耐久性の両立という観点から好ましい。溶融塩電解質としては、例えば、国際公開第95/18456号パンフレット、特開平8−259543号、特開2001−357896号の各公報、電気化学、第65巻、11号、923頁(1997年)等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の電解質を挙げることができる。これらの溶融塩電解質は常温で溶融状態であるものが好ましく、溶媒を用いない方が好ましい。
オリゴマー及びポリマー等のマトリクスに電解質あるいは電解質溶液を含有させたものや、ポリマー添加、低分子ゲル化剤やオイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法によりゲル化(擬固体化)させて使用することもできる。
ポリマー添加によりゲル化させる場合は、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使用することができる。オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合は、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。
また、ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマー及び架橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい架橋可能な反応性基は含窒素複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等)であり、好ましい架橋剤は窒素原子に対して求電子反応可能な試薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネート等)である。電解質の濃度は通常0.01〜99質量%で、好ましくは0.1〜90質量%程度である。
また、ゲル状電解質としては、電解質と金属酸化物粒子及び/または導電性粒子とを含む電解質組成物を用いることもできる。金属酸化物粒子としては、TiO、SnO、WO、ZnO、ITO、BaTiO、Nb、In、ZrO、Ta、La、SrTiO、Y、Ho、Bi、CeO、Alからなる群から選択される1種または2種以上の混合物が挙げられる。これらは不純物がドープされたものや、複合酸化物等であってもよい。導電性粒子としては、カーボンを主体とする物質からなるものが挙げられる。
次に、高分子電解質としては、酸化還元種を溶解あるいは酸化還元種を構成する少なくとも1つの物質と結合することができる固体状の物質であり、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンサクシネート、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィド等の高分子化合物またはそれらの架橋体、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルキレンオキサイド等の高分子官能基にポリエーテルセグメントまたはオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として付加したもの、またはそれらの共重合体等が挙げられ、その中でも、特にオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として有するものや、ポリエーテルセグメントを側鎖として有するものが好ましい。
前記の固体中に酸化還元種を含有させるには、例えば、高分子化合物となるモノマーと酸化還元種との共存下で重合する方法、高分子化合物等の固体を必要に応じて溶媒に溶解し、次いで前記の酸化還元種を加える方法等を用いることができる。酸化還元種の含有量は、必要とするイオン伝導性能に応じて適宜選定することができる。
本発明では、溶融塩等のイオン伝導性電解質の代わりに、有機または無機あるいはこの両者を組み合わせた固体の正孔輸送材料を使用することができる。
有機正孔輸送材料としては、芳香族アミン類やトリフェニレン誘導体類、更にポリアセチレン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレン)及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリトルイジン及びその誘導体等の導電性高分子を好ましく用いることができる。
正孔(ホール)輸送材料には、ドーパントレベルをコントロールするために、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CFSON]のような塩を添加しても構わない。
無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用いることができる。この目的のp型無機化合物半導体はバンドギャップが2eV以上であることが好ましく、更に2.5eV以上であることが好ましい。
また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によって、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5〜5.5eVであることが好ましく、更に4.7〜5.3eVであることが好ましい。
好ましいp型無機化合物半導体は一価の銅を含む化合物半導体であり、CuI及びCuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。p型無機化合物半導体を含有する電荷移動層の好ましいホール移動度は1×10−4〜1×10/V・secであり、更に好ましくは1×10−3〜1×10cm/V・secである。また、電荷輸送層の好ましい導電率は1×10−8〜1×10S/cmであり、更に好ましくは1×10−6〜10S/cmである。
本発明において、電荷移動層を多孔質n型半導体電極と対向電極との間に形成する方法としては特に限定されるものではないが、例えば、多孔質n型半導体電極と対向電極とを対向配置してから両電極間に前述した電解質や各種電解質を充填して電荷移動層とする方法、多孔質n型半導体電極または対向電極の上に電解質や各種電解質を滴下あるいは塗布等することにより電荷移動層を形成した後、電荷移動層の上に他方の電極を重ね合わせる方法等を用いることができる。
また、多孔質n型半導体電極と対向電極との間から電解質が漏れ出さないようにするため、必要に応じて多孔質n型半導体電極と対向電極との隙間にフィルムや樹脂を用いて封止したり、多孔質n型半導体電極と電荷移動層と対向電極を適当なケースに収納したりすることも好ましい。
前者の形成方法の場合、電荷移動層の充填方法として、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセス、または常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換する真空プロセスを利用できる。
後者の形成方法の場合、塗布方法としてはマイクログラビアコーティング、ディップコーティング、スクリーンコーティング、スピンコーティング等を用いることができる。湿式の電荷移動層においては未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置を施すことになる。また、ゲル電解質の場合には湿式で塗布して重合等の方法により固体化する方法があり、その場合には、乾燥、固定化した後に対極を付与することもできる。
固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材料の場合には、真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対向電極を付与することもできる。具体的には、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法により電極内部に導入することができ、必要に応じて基材を任意の温度に加熱して溶媒を蒸発させる等により形成する。
電荷移動層の厚さは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に1μm以下であることが好ましい。また、電荷移動層の導電率は1×10−10S/cm以上であることが好ましく、1×10−5S/cm以上であることが更に好ましい。
《色素増感型太陽電池》
本発明の色素増感型太陽電池について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の基本構造を示す概略断面図である。本発明の色素増感型太陽電池は、図1によって示される通り、導電性基材1、及び半導体の表面に色素3を吸着させた多孔質n型半導体電極2、更に電荷移動層(「電解質層」と呼ぶこともある)4、及び対向電極5を有する構成である。なお、図1において、eは電子を表し、矢印は当該電子の流れを示す。
本発明の色素増感型太陽電池を構成する際には、前記多孔質n型半導体電極、電荷移動層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、半導体に吸着された色素3は、照射された太陽光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性基材1を経由して対向電極5に移動して、電荷移動層4のレドックス電解質を還元する。
一方、半導体に電子を移動させた色素3は酸化体となっているが、対向電極5から電荷移動層4のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷移動層4のヨウ素レドックス(本発明の場合は、本発明に係るラジカル化合物)は酸化されて、再び対向電極5から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の色素増感型太陽電池を構成することができる。
《金属酸化物半導体層》
本発明に係る金属酸化物半導体層について説明する。
本発明に係る金属酸化物半導体層を構成する金属酸化物としては、半導体に吸着した色素で光照射により発生した電子を受け取り、これを導電性基材へ伝達する半導体なら特に限定はなく、公知の色素増感型太陽電池に使用される種々の金属酸化物を使用することができる。
具体的には、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化タングステン等の各種金属酸化物半導体、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸ストロンチウム等の各種複合金属酸化物半導体、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン等の遷移金属酸化物、酸化セリウム、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム等のランタノイドの酸化物等の金属酸化物、シリカに代表される天然または合成の珪酸化合物等の無機絶縁体などを挙げることができる。
また、これらの材料を組み合わせて使用することもできる。更に金属酸化物粒子をコアシェル構造としたり、異なる金属元素をドーピングしたりしてもよく、任意の構造、組成の金属酸化物を適用することが可能である。
金属酸化物粒子の平均粒子径は10nm以上300nm以下であることが好ましく、10nm以上100nm以下であることが更に好ましい。また、金属酸化物の形状も特に限定はなく、球状、針状または不定形結晶であってもよい。
金属酸化物粒子の形成方法としては特に限定はなく、水熱反応法、ゾルゲル法/ゲルゾル法、コロイド化学合成法、塗布熱分解法、噴霧熱分解法等の各種液相法、及び化学気相析出法等の各種気相法を用いて形成することができる。
次に、本発明に係る金属酸化物半導体層の作製方法を説明する。
本発明の色素増感型太陽電池の金属酸化物半導体層の作製方法としては、公知の方法を適用することが可能であり、(1)金属酸化物の微粒子またはその前駆体を含有する懸濁液を導電性基材上に塗布し、乾燥及び焼成を行って半導体層を形成する方法、(2)コロイド溶液中に導電性基材を浸漬して、電気泳動により金属酸化物半導体微粒子を導電性基材上に付着させる泳動電着法、(3)コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、(4)ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して、空隙を形成させ多孔質化する方法等を適用することができる。
上記の作製方法の中で特に塗布方法としては、公知の方法を適用することが可能で、スクリーン印刷法、インクジェット法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法等を挙げることができる。
特に上記(1)の方法の場合、懸濁液中の金属酸化物微粒子の粒子径は微細であることが好ましく、一次粒子として存在していることが好ましい。金属酸化物微粒子を含有する懸濁液は、金属酸化物微粒子を溶媒中に分散させることによって調製され、溶媒としては、金属酸化物微粒子を分散し得るものであれば特に制限はなく、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。懸濁液中には、必要に応じて界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の金属酸化物微粒子の濃度の範囲は0.1〜70質量%が好ましく、0.1〜30質量%が更に好ましい。
上記のようにして得られた金属酸化物のコア微粒子を含有する懸濁液を導電性基材上に塗布し、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性基材上に金属酸化物半導体層が形成される。導電性基材上に懸濁液を塗布、乾燥して得られる半導体層は金属酸化物微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒子径は使用した金属酸化物微粒子の一次粒子径に対応するものである。
導電性基材上に形成された金属酸化物半導体層は、導電性基材との結合力や微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、この金属酸化物微粒子集合体膜を焼成処理して機械的強度を高め、基板に強く固着した焼成物膜とすることが好ましい。
本発明においては、この金属酸化物半導体層はどのような構造を有していてもよいが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層とも言う)であることが好ましい。ここで、金属酸化物半導体層の空隙率は0.1〜20体積%であることが好ましく、5〜20体積%であることが更に好ましい。なお、金属酸化物半導体層の空隙率は誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することができる。金属酸化物半導体層の厚さは少なくとも10nm以上であることが好ましく、100〜10000nmであることが更に好ましい。
焼成処理時、半導体層の実表面積を適切に調整し、上記の空隙率を有する半導体層を得る観点から焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、200〜800℃の範囲であることが更に好ましい。
本発明に係る金属酸化物半導体層では、金属酸化物中間層上に上述の通り金属酸化物半導体層を形成した後、電子伝導性を向上させる目的で必要に応じて金属酸化物半導体膜上に金属酸化物による表面処理を施してもよい。この表面処理の組成は、特に金属酸化物微粒子間の電子伝導性の観点から、金属酸化物半導体層を形成する金属酸化物と同種の組成を使用することが好ましい。
この表面処理を施す方法としては、導電性基材上に金属酸化物半導体膜を形成した後、表面処理となる金属酸化物の前駆体を該半導体膜に塗布すること、もしくは該半導体膜を前駆体溶液に浸漬し、更に必要に応じて焼成処理を施すことにより、金属酸化物からなる表面処理を行うことができる。
具体的には、酸化チタンの前駆体である四塩化チタン水溶液またはチタンアルコキシドを用いた電気化学的処理や、チタン酸アルカリ金属やチタン酸アルカリ土類金属の前駆体を用いることによって表面処理を行うことができる。この際の焼成温度や焼成時間は特に制限はなく、任意に制御することができるが、200℃以下であることが好ましい。
《導電性基材》
本発明で用いられる導電性基材としては、色素増感型太陽電池の導電性基材側を受光面とする場合には、導電性基材は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
導電性基材としては、それ自体が導電性を有する基材、またはその表面に導電層を有する基材を利用することができる。後者の場合、基材としてはガラス板や、酸化チタンやアルミナ等のセラミックの研磨板、更に公知の種々のプラスチックシートを使用することが可能であるが、コスト面や可撓性を考慮するとプラスチックシートを使用することが好ましい。
プラスチックシートとしては、具体的には、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、シンジオタクチックポリステレン(SPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、環状ポリオレフィン、フェノキシ樹脂、ブロム化フェノキシ等を挙げることができる。
これらの基材上に設ける導電層に使用する導電性材料としては、公知の種々の金属や金属酸化物等からなる無機系導電性材料、ポリマー系導電性材料、無機有機複合型の導電性材料、またはこれらを任意に混合した導電性材料等、あらゆるものを使用することができる。
無機系導電性材料として具体的には、白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、導電性カーボン、更にスズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物を挙げることができる。
ポリマー系導電性材料として具体的には、各種置換されていてもされていなくてもよいチオフェン、ピロール、フラン、アニリン等を重合させてなる導電性ポリマーやポリアセチレン等を挙げることができるが、導電性が高い観点からポリチオフェンが好ましく、特にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が好ましい。
基材上に導電層を形成する方法としては、導電性材料に応じた公知の適切な方法を用いることが可能で、例えば、ITO等の金属酸化物からなる導電層を形成する場合、スパッタ法、CVD法、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法等の薄膜形成法が挙げられる。また、ポリマー系導電性材料からなる導電層を形成する場合は、公知の様々な塗布法により形成することが好ましい。
導電層の膜厚は0.01〜10μm程度が好ましく、0.05〜5μm程度が更に好ましい。導電性基材としては表面抵抗が低いほどよく、具体的には50Ω/cm以下であることが好ましく、10Ω/cm以下であることが更に好ましい。
また、導電性基材の集電効率を向上し更に導電性を上げるために、光透過率を著しく損なわない範囲の面積率で、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ニッケル、インジウム、チタン、タングステン等からなる金属配線層を前記導電層と併用してもよい。金属配線層を用いる場合、格子状、縞状、櫛状等のパターンとして、光が導電性基材を均一に透過するように配設するとよい。金属配線層を併用する場合、基材に蒸着、スパッタリング等で設置し、その上に前記導電層を設けるのが好ましい。
《短絡防止層》
本発明の色素増感太陽電池においては、前述した導電層と金属酸化物半導体電極との間に短絡防止層を設けることができる。これにより、電解質と金属酸化物半導体の短絡電流を低減することができる。特に電解質として固体のp型半導体を用いる場合は、この層を有することが好ましい。
短絡防止層としては、可視光を透過する絶縁性物質で、伝導帯のエネルギー準位が金属酸化物半導体のそれに近い値を有するn型半導体であれば特に制限はない。例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられるものでもよく、例えば、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タングステン等が挙げられる。
短絡防止層の形成方法としては、透明導電層の場合と同様に真空成膜プロセスや、液相コーティング法等により作製することができる。真空成膜プロセスを用いる場合、透明導電層、短絡防止層、金属酸化物膜は、大気開放することなく真空下でインライン成膜が可能である。
短絡防止層の膜厚は0.001〜0.02μmが好ましいが、適宜調整することができる。
《色素》
本発明において、前述の図1に示した多孔質n型半導体電極2の表面に吸着させる色素としては、種々の可視光領域及び/または赤外光領域に吸収を有し、金属酸化物半導体の伝導帯より高い最低空準位を有する色素が好ましく、公知の様々な色素を使用することができる。
例えば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、シアニジン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ローダミン系色素等が挙げられる。
なお、金属錯体色素も好ましく使用され、その場合においては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rh等の種々の金属を用いることができる。
上記の中で、シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポリメチン色素は好ましい態様の1つであり、具体的には、特開平11−35836号、同11−67285号、同11−86916号、同11−97725号、同11−158395号、同11−163378号、同11−214730号、同11−214731号、同11−238905号、特開2004−207224号、同2004−319202号の各公報、欧州特許第892,411号及び同911,841号等の各明細書に記載の色素を挙げることができる。
更に金属錯体色素も好ましい態様の1つであり、金属フタロシアニン色素、金属ポルフィリン色素またはルテニウム錯体色素が好ましく、ルテニウム錯体色素がより好ましい。ルテニウム錯体色素としては、例えば、米国特許第4,927,721号、同4,684,537号、同5,084,365号、同5,350,644号、同5,463,057号、同5,525,440号の各明細書、特開平7−249790号、特表平10−504512号の各公報、国際公開第98/50393号パンフレット、特開2000−26487号、同2001−223037号、同2001−226607号、特許第3430254号の各公報に記載の錯体色素を挙げることができる。
本発明に係る上記化合物は、例えば、エフ・エム・ハーマ著「シアニン・ダイズ・アンド・リレーテッド・コンパウンズ」(1964,インター・サイエンス・パブリッシャーズ発刊)、米国特許第2,454,629号、同2,493,748号の各明細書、特開平6−301136号、同2003−203684号の各公報等に記載された方法を参考にして合成することができる。
これらの色素は吸光係数が大きく、且つ繰り返しの酸化還元に対して安定であることが好ましい。また、上記色素は金属酸化物半導体上に化学的に吸着することが好ましく、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミド基、アミノ基、カルボニル基、ホスフィン基等の官能基を有することが好ましい。
また、光電変換の波長域をできるだけ広くし、且つ変換効率を上げるため、2種類以上の色素を併用または混合することもできる。この場合、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように併用または混合する色素とその割合を選ぶことができる。
本発明において、金属酸化物半導体層に色素を吸着させる方法としては特に限定されず、公知の方法が用いることができる。例えば、色素を有機溶媒に溶解して色素溶液を調製し、得られた色素溶液に透明導電膜上の半導体層を浸漬する方法、または得られた色素溶液を半導体層表面に塗布する方法等が挙げられる。
前者においては、ディップ法、ローラ法、エヤーナイフ法等が適用でき、後者においては、ワイヤーバー法、アプリケーション法、スピン法、スプレー法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等が適用できる。なお、色素の吸着に先立って半導体層の表面を予め減圧処理や加熱処理等処理を施し、表面を活性化し膜中の気泡を除去する工程を有してもよい。
半導体層への増感効果を好ましく得る観点から、半導体膜を色素の溶液に浸漬する時間は3〜48時間が好ましく、更に好ましくは4〜24時間である。
また、浸漬にあたり色素溶液は色素が分解しない限りにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10〜50℃、特に好ましくは15〜35℃であるが、前記の通り溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
また、半導体膜を浸漬した色素溶液に超音波照射を行うこともできる。超音波照射は市販の装置を用いることができ、また照射時間としては好ましくは30分〜4時間であり、更に好ましくは1〜3時間である。
色素溶液に用いる溶媒は色素を溶解するものであればよく、従来公知の溶媒を用いることができる。また、当該溶媒は常法に従って精製された溶媒、また溶媒の使用に先立って、必要に応じて蒸留及び/または乾燥を行い、より純度の高い溶媒であることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、1種またはそれ以上の疎水性溶媒、非プロトン性溶媒、疎水性、且つ非プロトン性の溶媒またはそれらの混合物が挙げられる。
ここで、疎水性溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル類等、並びにそれらの組み合わせた混合溶媒等が挙げられる。
非プロトン性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類;アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の窒素化合物類;二硫化炭素、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類;ヘキサメチルホスホルアミド等のリン化合物類、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
色素溶液中の色素の濃度は、使用する色素、溶媒の種類、色素吸着工程により適宜調整することができ、例えば、1×10−5モル/L以上、好ましくは5×10−5〜1×10−2モル/L程度が挙げられる。
なお、色素の吸着量が少ないと増感効果が不十分になり、逆に吸着量が多いと酸化物半導体に吸着していない色素が浮遊して、これが増感効果を減じ、光電変換効率の低下をもたらす原因となるので好ましくない。上記のことから、未吸着の色素を洗浄により速やかに除去するのが好ましい。
洗浄溶媒としては、色素の溶解性が比較的低く、且つ比較的乾燥しやすいアセトン等の溶媒が好ましい。また、洗浄は加熱状態で行うのが好ましい。また、洗浄により余分な色素を除去した後、色素の吸着状態をより安定にするために酸化物半導体微粒子の表面を有機塩基性化合物で処理して、未反応色素の除去を促進させてもよい。有機塩基性化合物としては、ピリジン、キノリン等の誘導体が挙げられる。これら化合物が液体の場合にはそのまま用いてもよいが、固体の場合には溶媒、好ましくは色素溶液と同一の溶媒に溶解して用いてもよい。
色素を2種以上用いる場合は、混合する色素の比率は特に限定はなく、それぞれの色素より最適化し選択されるが、一般的に等モルずつの混合から1つの色素につき10%モル程度以上使用するのが好ましい。
色素を2種以上併用する場合の具体的方法としては、混合溶解して吸着させても、色素を半導体層に順次吸着させてもよい。併用する色素を混合し溶解した溶液を用いて酸化物半導体層に色素を吸着する場合、溶液中の色素合計の濃度は1種類のみ担持する場合と同様でよい。色素を混合して使用する場合の溶媒としては、前記したような溶媒が使用可能である。併用する色素それぞれについて溶液を調製し半導体層に吸着させる場合も、溶媒としては前記したような溶媒が使用可能であり、使用する各色素用の溶媒は同一でも異なっていてもよい。
各色素について別々の溶液を調製し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体層に色素を吸着させる順序がどのようであっても本発明の効果を得ることができる。また、各色素を単独で吸着させた半導体微粒子を混合することで作製してもよい。
酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を担持する際、色素同士の会合を防ぐために包摂化合物の共存下、色素を担持することが効果的である。ここで包摂化合物としては、コール酸等のステロイド系化合物、クラウンエーテル、シクロデキストリン、カリックスアレン、ポリエチレンオキサイド等が挙げられるが、好ましいものとしてはデオキシコール酸、デヒドロデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム等のコール酸類、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
また、色素を担持させた後、4−t−ブチルピリジン等のアミン化合物で半導体層表面を処理してもよい。処理の方法は、例えば、アミンのエタノール溶液に色素を担持した半導体微粒子薄膜の設けられた基板を浸す方法等が採られる。
《対向電極》
本発明の色素増感型太陽電池を構成する対向電極は、前述した導電性基材と同様にそれ自体が導電性を有する基材の単層構造、またはその表面に対極導電層を有する基材を利用することができる。後者の場合、対極導電層に用いる導電性材料、基材、更にその製造方法としては、前述した導電性基材1の場合と同様で、公知の種々の材料及び方法を適用することができる。
その中でも、I イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を十分な速さで行わせる触媒能を持ったものを使用することが好ましく、具体的には白金電極、導電材料表面に白金メッキや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
また、前述と同様にコスト面や可撓性を考慮するとプラスチックシートを基材として使用し、導電性材料としてポリマー系材料を塗布して使用することも好ましい態様の1つである。
対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層が金属である場合は、その厚さは好ましくは5μm以下であり、更に好ましくは10nm〜3μmの範囲である。対向電極の表面抵抗は低い程よく、具体的には表面抵抗の範囲としては50Ω/□以下であることが好ましく、20Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが更に好ましい。
前述した導電性基材と対向電極のいずれか一方、または両方から光を受光してよいので、導電性基材と対向電極の少なくとも一方が実質的に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは、導電性基材を透明にして光を導電性基材側から入射させるのが好ましい。この場合、対向電極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対向電極としては、金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。
対向電極は、前述した電荷移動層上に直接導電性材料を塗布、メッキまたは蒸着(例えば、PVD、CVD)するか、対極導電層を有する基材の導電層側または導電性基材単層を貼り付ければよい。また、導電性基材の場合と同様に特に対向電極が透明の場合には、金属配線層を併用することも好ましい態様の1つである。
対極としては導電性を持っており、レドックス電解質の還元反応を触媒的に作用するものが好ましい。例えば、ガラス、もしくは高分子フィルムに白金、カーボン、ロジウム、ルテニウム等を蒸着する方法、導電性微粒子を塗り付ける方法等を適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《電解質L−01の調製》
アセトニトリルを溶媒として、ヨウ化リチウム、ヨウ素、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、t−ブチルピリジンとを、それぞれの濃度が0.1モル/L、0.05モル/L、0.6モル/L、0.5モル/Lとなるように溶解したヨウ素レドックスの電解質L−01を調製した。
《色素増感型太陽電池SC−101の作製》
透明導電性基材となる表面抵抗10Ω/□のFTOガラス基板のFTO面に、TiOペースト(Solaronix製Ti−NanoxideT)をドライ膜厚10μmとなるように室温で乾燥後、更に450℃で30分間の焼結処理を行って、多孔性の金属酸化物半導体層を形成した。
次いで、アセトニトリル:t−ブタノール=1:1溶液200質量部中に、Ru錯体色素N719を0.1質量部溶解した色素溶液を調製し、上記金属酸化物半導体層を基板ごと24時間浸漬した後、アセトニトリル:t−ブタノール=1:1溶液で洗浄、乾燥して、金属酸化物半導体層に色素を吸着させた多孔質n型半導体電極を作製した。
カソード電極としてITOガラス基材上に白金を真空蒸着し、電解質を注入するための穴を設けた。前記ガラス基板と前記カソード電極とを6.5mm角の穴を開けた25μm厚のシート状スペーサー兼封止材(Solaronix製、SX−1170−25)を用いて向き合うように張り合わせ、カソード電極に設けた電解質注入穴から、電解質L−01を電荷移動層として注入し、ホットボンドで穴を塞ぎ、上から前記封止材を用いてカバーガラスを貼り付け封止した。
前記ガラス基板の受光面側に反射防止フィルム(コニカミノルタオプト製ハードコート/反射防止タイプセルロース系フィルム)を張り合わせ、色素増感型太陽電池SC−101を作製した。
《電解質L−02の調製》
アセトニトリルを溶媒として、臭化リチウム、臭素、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムブロマイド、t−ブチルピリジンとを、それぞれの濃度が0.1モル/L、0.05モル/L、0.6モル/L、0.5モル/Lとなるように溶解したヨウ素レドックスの電解質L−02を調製した。
《電解質L−03の調製》
アセトニトリル:t−ブタノール=1:1溶液中にTEMPOを20質量%になるように溶解し、電解質L−03を得た。
《電解質L−04の調製》
アセトニトリル:t−ブタノール=1:1溶液中に例示化合物(RA−1)を20質量%になるように溶解し、電解質L−04を得た。
《電解質L−05の調製》
3−メトキシプロピオニトリル中に例示化合物(RA−1)を20質量%になるように溶解し、電解質L−05を得た。
《電解質L−06の調製》
3−メトキシプロピオニトリル中に例示化合物(RB−1)を20質量%になるように溶解し、電解質L−06を得た。
《電解質L−07の調製》
3−メトキシプロピオニトリル中に例示化合物(RE−2)を20質量%になるように溶解し、電解質L−07を得た。
《電解質L−08の調製》
3−メトキシプロピオニトリル中に例示化合物(RE−3)を20質量%になるように溶解し、電解質L−08を得た。
《電解質L−09の調製》
プロピレンカーボネート中に例示化合物(RA−1)を20質量%になるように溶解し、電解質L−09を得た。
《電解質L−10の調製》
γ−ブチロラクトン中に例示化合物(RA−1)を20質量%になるように溶解し、電解質L−10を得た。
《色素増感型太陽電池SC−102〜110の作製》
色素増感型太陽電池SC−101の作製において、表1に記載のように電解質と色素を変更した以外は色素増感型太陽電池SC−101の作製と同様に行い、色素増感型太陽電池SC−102〜110を作製した。
《色素増感型太陽電池SC−111の作製》
色素増感型太陽電池SC−101の作製において、アセトニトリル:t−ブタノール=1:1溶液200質量部中に、Ru錯体色素N719を0.1質量部溶解した色素溶液を用いる代わりに、アセトニトリル:t−ブタノール=1:1溶液200質量部中に、有機色素D149を0.1質量部溶解した色素溶液を用いた以外は、同様にして色素増感型太陽電池SC−111を作製した。
《色素増感型太陽電池の光電変換特性評価》
上記で得られた色素増感型太陽電池SC−101〜111の各々に、ソーラーシミュレーター(JASCO(日本分光)製、低エネルギー分光感度測定装置CEP−25)により100mW/mの強度の光を照射した時の開放電圧Voc(V)を求めて、表1に示した。値は、同じ構成及び作製方法の太陽電池3つずつ作製して評価した値の平均値とした。
《色素増感型太陽電池の耐久性評価》
上記で得られた色素増感型太陽電池SC−101〜111の各々を85℃、300時間保存して、開放電圧低下率(%)の耐久性評価を行った。
表1から分かるように、本発明の電解質を用いて作製した色素増感太陽電池SC−103〜111では、比較の色素増感型太陽電池SC−101、102に比べ、開放電圧が改善され、更に耐久性評価における安定性が向上していることが分かる。特に、本発明のアザアダマンタンN−オキシル誘導体、あるいはアザビシクロN−オキシル誘導体を用いた色素増感太陽電池SC−104〜111が良好であることが分かる。
1 導電性基材
11 基板
12 導電層
2 多孔質n型半導体電極
3 色素
4 電荷移動層
5 対向電極
51 基板
52 対極導電層

Claims (5)

  1. 導電性基材上に、色素が表面に吸着された多孔質n型半導体電極と電荷移動層と対向電極とを順次有する色素増感型太陽電池であって、該電荷移動層がN−オキシル誘導体からなるラジカル化合物を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 前記N−オキシル誘導体がアザアダマンタンN−オキシル誘導体あるいはアザビシクロN−オキシル誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記アザビシクロN−オキシル誘導体が下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項2に記載の色素増感型太陽電池。

    (式中、R、R、R、Rは各々独立に水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、Xは環状構造を形成するのに必要な2個または3個の原子群を表す。)
  4. 前記電荷移動層が有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
  5. 前記有機溶媒が3−メトキシプロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートまたはγ−ブチロラクトンであることを特徴とする請求項4に記載の色素増感型太陽電池。
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