JP2008226470A - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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隆彦 野島
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Abstract

【課題】電子伝導性を向上させた半導体電極を有し、光電変換効率の優れた色素増感型太陽電池を提供し、特に短絡電流が改善された色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】導電性基材上に、色素が表面に吸着された金属酸化物からなる金属酸化物半導体電極と、電荷移動層と、対向電極とを順次有する色素増感型太陽電池において、該金属酸化物が、表面に白金族元素を有するチタン酸アルカリ金属の針状結晶と、チタン酸アルカリ土類金属とを含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
【選択図】図1

Description

本発明は色素増感型太陽電池に関する。
近年、シリコン系太陽電池に代わる有機材料を用いた太陽電池として色素増感型太陽電池が着目されており、研究開発が盛んに行われている。従来から一般的に知られている色素増感型太陽電池は、半導体電極としてアナターゼ型の多孔質酸化チタン(TiO2)を用いられている。
これは、アナターゼ型酸化チタン微粒子を分散させたペーストを透明導電膜付きの基材上に塗布し、乾燥後に高温焼結して得られた酸化チタン膜を用いており、透明電極と酸化チタン微粒子の界面や、酸化チタン微粒子間の界面において電子伝導が散乱される傾向があった。
このため、透明導電膜と酸化チタン膜との界面、及び酸化チタン微粒子同士の界面に生じる内部抵抗が大きくなり、その結果、光電変換効率が低下する原因となっていた。これは、酸化チタン以外の微粒子を用いた場合も同様であった。
これに対し、金属酸化物針状結晶は先端の先鋭性や単結晶性、大表面積を有することから種々の分野への適用が期待されており、色素増感型太陽電池の半導体電極を構成する金属酸化物として針状結晶を適用し、電子伝導性を改良させ光電変換効率を向上させた技術が多く開示されている。
更に針状結晶の他に金属酸化物微粒子も混合することによって電子の移動路を工夫し、光電変換効率を更に高くした技術も開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、これら開示されている技術は、電着法やCVD法等の方法により透明導電膜付きの基材上に直接的に針状結晶を成長させ形成するもので、そのような方法で針状結晶を形成するのに適した組成を特に限定することも無く、必ずしも電子伝導性を著しく向上させる微細な半導体針状結晶とはなってなく、光電変換効率は十分に満足できるものではなかった。
一方、光電変換効率の向上を目的として、種々の半導体微粒子膜の態様や作製方法が開示されており(例えば、特許文献2参照。)、そこで使用できる半導体微粒子の1つとしてチタン酸ナトリウムやチタン酸ストロンチウム及びこれらの併用も許容されることが記載されている。更に、助触媒として白金族元素を担持して良いことが記載されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、具体的にチタン酸塩微粒子の好ましい形状や混合比率等を言及することも無く、積極的に最適な電子移動路を制御して作製しているものではなく、光電変換効率は十分に満足できるものではない。
特開2002−141115号公報 特開2001−357896号公報 特開2005−298324号公報
本発明の目的は、電子伝導性を向上させた半導体電極を有し、光電変換効率の優れた色素増感型太陽電池を提供することであり、特に短絡電流が改善された色素増感型太陽電池を提供することである。
本発明の上記目的は下記の構成1〜11により達成された。
1.導電性基材上に、色素が表面に吸着された金属酸化物からなる金属酸化物半導体電極と、電荷移動層と、対向電極とを順次有する色素増感型太陽電池において、
該金属酸化物が、表面に白金族元素を有するチタン酸アルカリ金属の針状結晶と、チタン酸アルカリ土類金属とを含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
2.前記チタン酸アルカリ金属の針状結晶の平均アスペクト比が10〜20であることを特徴とする前記1に記載の色素増感型太陽電池。
3.前記チタン酸アルカリ金属を構成するアルカリ金属がナトリウムであることを特徴とする前記1または2に記載の色素増感型太陽電池。
4.前記チタン酸アルカリ土類金属を構成するアルカリ土類金属がストロンチウムであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
5.前記白金族元素がルテニウムであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
6.前記色素が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
Figure 2008226470
〔式中、R11は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。X11〜X14は、各々酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表し、R12、R13は、各々水素原子または置換基を表す。R14は、カルボキシ基またはホスホノ基を表し、L11は2価の連結基を表す。R15はアルキル基を表す。〕
7.前記一般式(1)のR11が電子吸引性基であり、nは1〜4の整数を表すことを特徴とする前記6に記載の色素増感型太陽電池。
8.前記色素が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
Figure 2008226470
〔式中、R21は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。X21〜X26は、各々酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表し、R22、R23は、各々水素原子または置換基を表す。R24、R26は、各々水素原子、カルボキシ基またはホスホノ基を表し、R24、R26の少なくとも1つはカルボキシ基またはホスホノ基を表す。L21、L22は、各々独立に2価の連結基を表す。R25はアルキル基を表す。〕
9.前記一般式(2)のR21が電子吸引性基であり、nは1〜4の整数を表すことを特徴とする前記8に記載の色素増感型太陽電池。
10.前記一般式(1)のX11、X12、X14が、各々硫黄原子を表し、X13が酸素原子を表すことを特徴とする前記6または7に記載の色素増感型太陽電池。
11.前記一般式(2)のX21、X22、X24及びX26が、各々硫黄原子を表し、X23、X25が、各々酸素原子を表すことを特徴とする前記8または9のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
本発明により、電子伝導性を向上させた半導体電極を有し、光電変換効率の優れた色素増感型太陽電池を提供することができ、特に、短絡電流が改善された色素増感型太陽電池を提供することができた。
本発明の色素増感型太陽電池においては、請求項1〜11のいずれか1項に規定される構成により、光電変換効率の高い色素増感型太陽電池を提供することができ、特に、短絡電流特性に優れた色素増感型太陽電池を提供することができた。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について説明する。
本発明者等は、上記の問題点を種々検討した結果、請求項1に記載のように、導電性基材上に、色素が表面に吸着された金属酸化物からなる金属酸化物半導体電極と、電荷移動層と、対向電極とを順次有する色素増感型太陽電池において、該金属酸化物が、表面に白金族元素を有するチタン酸アルカリ金属の針状結晶と、チタン酸アルカリ土類金属とを含有することにより、光電変換効率の高い色素増感型太陽電池を提供することに成功した。
まず、本発明の色素増感型太陽電池の一態様を図1を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の基本構造の一例を示す概略断面図である。本発明の色素増感型太陽電池は、図1によって示される通り、導電性基材1、及びチタン酸アルカリ金属2とチタン酸アルカリ土類金属3から構成される金属酸化物半導体の表面に色素4を吸着させた金属酸化物半導体電極、更に、電荷移動層5(電解質層5と呼ぶこともある)、対向電極6を有する構成である。
尚、図1において、e−は電子を表し、矢印は当該電子の流れを示す。
本発明の色素増感型太陽電池を構成する際には、金属酸化物半導体電極、電荷移動層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池に、太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、金属酸化物半導体に吸着された色素4は照射された太陽光もしくは電磁波を吸収して励起する。
励起によって発生した電子はチタン酸アルカリ金属2とチタン酸アルカリ土類金属3から構成される金属酸化物半導体に移動し、次いで導電性基材1を経由して対向電極6に移動して、電荷移動層5のレドックス電解質を還元する。
一方、金属酸化物半導体に電子を移動させた色素4は酸化体となっているが、対向電極6から電荷移動層5のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷移動層5のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極6から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の色素増感型太陽電池を構成することができる。
《金属酸化物半導体電極》
本発明の色素増感型太陽電池では、金属酸化物半導体電極を構成する金属酸化物がチタン酸アルカリ金属の針状結晶とチタン酸アルカリ土類金属を含有する。金属酸化物半導体電極を構成する金属酸化物が、チタン酸アルカリ金属の針状結晶とチタン酸アルカリ土類金属の合計として50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することが更に好ましく、90質量%以上含有することが最も好ましい。
チタン酸アルカリ金属の針状結晶とチタン酸アルカリ土類金属以外の金属酸化物としては、酸化チタンや酸化亜鉛など公知の一般的な色素増感型太陽電池の半導体電極として使用されている金属酸化物を使用することが可能である。
チタン酸アルカリ金属の針状結晶とチタン酸アルカリ土類金属の混合比率としては、後述する色素や電解質層の物性等の設計により適宜調整することが可能であるが、チタン酸アルカリ金属:チタン酸アルカリ土類金属の体積比が90:10〜20:80であることが好ましく、80:20〜50:50であることが更に好ましい。
ここで、本発明に係る金属酸化物半導体中のチタン酸アルカリ金属及びチタン酸アルカリ土類金属の定性及び含有量の測定は、従来公知の蛍光X線分析により行うことができる。
(チタン酸アルカリ金属)
本発明の色素増感型太陽電池の金属酸化物半導体電極に含有されるチタン酸アルカリ金属は、チタンとアルカリ金属を含む酸化物を全て含み、例えば下記一般式(1)であらわされる化合物である。
一般式(1):Ma2O・nTiO2
一般式(1)において、Maはアルカリ金属元素であり、例えば、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等を用いることができるが、本発明の効果をより発現することからナトリウムがより好ましい。
一般式(1)において、nは2、4、6、8のいずれかの整数を表す。
本発明で用いられるチタン酸アルカリ金属は針状結晶であり、ここで、針状結晶としては、平均繊維径が0.5μm〜1μm、粒子の平均アスペクト比は10〜20であることが好ましい。
そして、六チタン酸ナトリウムの針状結晶については、下記製造工程に則り、更に細かな製造条件の調整によって平均繊維径や繊維長をある程度制御することが可能で、繊維径が0.02μm〜1.0μm、繊維長が0.5μm〜20μm、アスペクト比が3〜25の針状結晶を得ることができ、適宜使用することができる。
本発明に係るチタン酸アルカリ金属塩、また、好ましい一例である、六チタン酸ナトリウムの針状粒子の平均繊維径、平均繊維長、アスペクト比等の測定方法としては、例えば、SEM(走査型電子顕微鏡)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて得られた画像を、ルーゼックスII(東洋インキ株式会社製)により計測、算出することができる。
(チタン酸アルカリ金属の調製方法)
本発明に係るチタン酸アルカリ金属の形成方法としては、水熱法、固溶法、フラックス法等の各種の方法を用いて形成することができるが、単結晶性が極めて高く、電子伝達性が良好であること等の理由からフラックス法で形成した結晶が本発明の効果をより顕著に発現することができ好ましい。
フラックス法による製造工程についてはBull.Chem.Soc.Jpn.Vol.79,No.11,1725−1728(2006)記載の方法などにより製造することができるが、概略としては以下の通りである。
(a)フラックスであるNaCl、溶質であるNa2CO3、アナターゼ型TiO2をプラチナ製るつぼに秤量し、乾式混合した後、蓋をする、
(b)上記るつぼを電気炉に入れ、フラックス、及び溶質が溶解する温度まで加温し、該溶融温度で一定時間保持した後、一定の冷却速度で室温まで冷却させることで結晶を形成させる、
(c)温水で余剰のフラックスを溶解、除去し、形成された粒子を乾燥させてチタン酸アルカリ金属を得る。
尚、(b)における温度履歴は、例えば昇温速度を45℃/時間に設定してフラックス及び溶質の溶解温度となる1100℃まで昇温し、該溶解温度で10時間保持した後、5℃/時間の冷却速度で室温まで冷却することで結晶を得ることができる。
所望のサイズを得るために上記のフラックスや溶質の配合比、温度履歴は適宜変化させることができる。
一般式(1)において、例えば、Mがナトリウム、nが6の場合には、上記の結晶形成の反応式は下記反応式で表すことができる。
Na2CO3+6TiO2→Na2Ti613+CO2
(白金族元素(白金族金属ともいう)、及びその担持方法)
本発明の色素増感型太陽電池では、金属酸化物半導体電極を構成するチタン酸アルカリ金属の結晶の表面に白金族元素を有する。白金族元素6種類の元素の中でも、本発明の効果を顕著に発現することからルテニウム、ロジウム、パラジウムを有することが好ましく、ルテニウムを有することが特に好ましい。
ここで、金属酸化物の表面に白金族元素を有するとは、金属酸化物の表面に白金族元素が存在してさえいればどのような態様も含むが、主に、後述する方法によって、金属酸化物の表面に白金族元素の酸化物微粒子を析出させることを意味する。金属酸化物の表面に白金族元素を有する被覆率としては特に限定は無いが、金属酸化物の総表面積に対して10%以上50%以下であることが好ましい。
次に、白金族元素としてルテニウムを例にして、その微粒子をチタン酸ナトリウム針状結晶の表面に析出させる方法を説明する。ルテニウムの微粒子をチタン酸ナトリウム結晶の表面に析出させる方法は、上述した方法や公知の方法を用いて予めチタン酸ナトリウム結晶を作製し、次いで塩化ルテニウム水溶液と反応させ、固体成分をろ別、水洗後、大気中で仮焼することにより製造することができる。
ここで、塩化ルテニウムは析出させる酸化ルテニウムの原料であり、塩化ルテニウム水溶液にチタン酸ナトリウムを懸濁させると、ナトリウムイオンとのイオン交換によりルテニウムイオンがチタン酸ナトリウムに取り込まれ、ろ別後、大気中で仮焼することにより、ルテニウムイオンを酸化してチタン酸ナトリウム上に酸化ルテニウムの微粒子を析出させるものである。この反応は、チタン酸カリウム粉末が次第に灰色に変化することにより確認できる。
原料となるルテニウム含有溶液の濃度は、所望の析出量に応じて任意に調整できるが、チタン酸ナトリウムの質量に対し、0.1質量%〜1質量%、好ましくは0.1質量%〜0.5質量%の範囲に入るように調整する。
例えば、0.27質量%のルテニウムを析出すれば、析出物の厚さを考慮しない場合でその被覆率は概ね0.35程度の値となる。この溶液を室温に保持しチタン酸ナトリウムを加え、1〜24時間、好ましくは2〜16時間撹拌する。
反応後の生成物は、ろ別、水洗後、乾燥させる。乾燥には一般的な乾燥機や乾燥剤の入ったデシケータを用い、例えば室温ないし50℃で乾燥する。
また、スプレードライ方式あるいは凍結乾燥方式によっても乾燥できる。更に、これを電気炉などを用い、大気中、あるいは酸化雰囲気中で250℃〜650℃の所定温度で1〜10時間、好ましくは2〜5時間仮焼する。
このような方法により、チタン酸アルカリ金属の結晶表面に白金族元素の酸化物微粒子を析出させることが可能である。
(チタン酸アルカリ土類金属)
本発明の色素増感型太陽電池の金属酸化物半導体電極に含有されるチタン酸アルカリ土類金属は、チタンとアルカリ土類金属を含む酸化物を全て含み、例えば下記一般式(2)であらわされる化合物である。
一般式(2):MbTiO3
一般式(2)におけるMbはアルカリ土類金属元素であり、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどを用いることができるが、ストロンチウムが本発明の効果をより発現することからより好ましい。
本発明に係るチタン酸アルカリ土類金属の形状に特に制限は無く、様々な形状の粒子を使用することが可能であるが、前述したチタン酸アルカリ金属の針状結晶と混合されて電子伝達経路を有効に構築する観点から、球状またはこれに類似する形状であることが好ましい。
その場合の平均粒子径としては、0.001μm〜3.0μmであることが好ましく、0.001μm〜1.0μmであることが更に好ましい。
(チタン酸アルカリ土類金属の調製方法)
本発明に係るチタン酸アルカリ土類金属の形成方法としては、固溶法、シュウ酸法、水熱法、ゾルゲル法、共沈法、逆ミセル法など、公知の各種の方法を用いて形成することができるが、粒子径分布が比較的狭く、更に粒子間で均一な粒子を形成できる観点から、ゾルゲル法等の液相法を適用することが好ましい。
一般式(2)において、例えばMbがストロンチウムの場合には、ゾルゲル法における反応式は下記反応式で表すことができる。
Sr(OR)2+Ti(OR)4+6H2O→SrTiO3+6ROH
(半導体電極の作製方法)
次に、本発明の色素増感型太陽電池の金属酸化物半導体電極の作製方法について説明する。金属酸化物半導体電極を作製する方法としては公知の方法を適用することが可能であり、
(1)金属酸化物の微粒子またはその前駆体を含有する懸濁液を導電性基材上に塗布し、乾燥及び焼成を行って半導体層を形成する方法、
(2)コロイド溶液中に導電性基材を浸漬して電気泳動により金属酸化物半導体微粒子を導電性基材上に付着させる泳動電着法、
(3)コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、
(4)ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法、
などを適用することができる。
上記の作成方法の中で、特に塗布方法としては公知の方法を適用することが可能で、スクリーン印刷法、インクジェット法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法などを挙げることができる。
特に上記(1)の方法の場合、懸濁液中の金属酸化物微粒子の粒子径は微細である方が好ましく、1次粒子として存在していることが好ましい。金属酸化物微粒子を含有する懸濁液は、金属酸化物微粒子を溶媒中に分散させることによって調製することができる。
溶媒としては、金属酸化物微粒子を分散し得るものであれば特に制限は無く、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。
懸濁液中には、必要に応じて界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の金属酸化物微粒子の濃度の範囲は、0.1質量%〜70質量%が好ましく、0.1質量%〜30質量%が更に好ましい。
上記のようにして得られた金属酸化物微粒子を含有する懸濁液を導電性基材上に塗布し、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性基材上に金属酸化物半導体層が形成される。
導電性基材上に懸濁液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、金属酸化物微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒子径は使用した金属酸化物微粒子の1次粒子径に対応するものである。導電性基材上に形成された金属酸化物微粒子集合体膜は、導電性基材との結合力や、微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、この金属酸化物微粒子集合体膜を焼成処理して機械的強度を高め、基板に強く固着した焼成物膜とすることが好ましい。
本発明においては、この焼成物膜はどのような構造を有していても良いが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
ここで、金属酸化物半導体薄膜の空隙率は、0.1体積%〜20体積%であることが好ましく、5体積%〜20体積%であることが更に好ましい。
尚、金属酸化物半導体薄膜の空隙率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することが出来る。多孔質構造を有する焼成物膜になった金属酸化物半導体層の膜厚は、少なくとも10nm以上が好ましく、更に好ましくは100nm〜10000nmである。
焼成処理時、焼成物膜の実表面積を適切に調整し、上記の空隙率を有する焼成物膜を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、200℃〜800℃の範囲であることが更に好ましい。
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、金属酸化物微粒子の粒子径及び比表面積や、焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、金属酸化物微粒子の表面積を増大させたり、金属酸化物微粒子近傍の純度を高め色素から金属酸化物微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えばチタン酸アルカリ金属やチタン酸アルカリ土類金属前駆体の表面処理で焼成処理などを行ってもよい。
《導電性基材》
本発明で用いられる導電性基材1としては、当該導電性基材側を受光面とする場合には、導電性基材は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
導電性基材としてはそれ自体が導電性を有する基材、またはその表面に導電層を有する基材を利用することができる。後者の場合、基材としてはガラス板や、酸化チタンやアルミナ等のセラミックの研磨板、更に公知の種々のプラスチックシートを使用することが可能であるが、コスト面や可撓性を考慮するとプラスチックシートを使用することが好ましい。
プラスチックシートとしては具体的にはトリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、シンジオタクチックポリステレン(SPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、環状ポリオレフィン、フェノキシ樹脂、ブロム化フェノキシ等を挙げることができる。
これらの基材上に設ける導電層に使用する導電性材料としては、公知の種々の金属や金属酸化物等からなる無機系導電性材料、ポリマー系導電性材料、無機有機複合型の導電性材料、またはこれらを任意に混合した導電性材料など、あらゆるものを使用することができる。
無機系導電性材料として具体的には、白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、導電性カーボン、更にスズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO2)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛(ZnO2)等の金属酸化物を挙げることができる。
ポリマー系導電性材料として具体的には、各種置換されていてもされていなくても良いチオフェン、ピロール、フラン、アニリンなどを重合させてなる導電性ポリマーやポリアセチレン等を挙げることができるが、導電性が高い観点からポリチオフェンが好ましく、特にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が好ましい。
基材上に導電層を形成する方法としては、導電性材料に応じた公知の適切な方法を用いることが可能で、例えば、ITO等の金属酸化物からなる導電層を形成する場合、スパッタ法、CVD法、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法等の薄膜形成法が挙げられる。
また、ポリマー系導電性材料からなる導電層を形成する場合は、公知の様々な塗布法により形成することが好ましい。導電層の膜厚は0.01μm〜10μm程度が好ましく、0.05μm〜5μm程度が更に好ましい。
導電性基材としては表面抵抗が低いほど良く、具体的には50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることが更に好ましい。
また、導電性基材の集電効率を向上し更に導電性を上げるために、光透過率を著しく損なわない範囲の面積率で、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ニッケル、インジウム、チタン、タングステンなどからなる金属配線層を前記導電層と併用してもよい。
金属配線層を用いる場合、格子状、縞状、櫛状等のパターンとして、光が導電性基材を均一に透過するように配設するとよい。金属配線層を併用する場合、基材に蒸着、スパッタリング等で設置し、その上に前記導電層を設けるのが好ましい。
《短絡防止層》
本発明の色素増感型太陽電池においては、前述した導電層と金属酸化物半導体電極との間に、短絡防止層を設けることができる。これにより、電解質と金属酸化物半導体の短絡電流を低減することができる。特に、電解質として固体のp型半導体を用いる場合は、この層を有することが好ましい。
短絡防止層としては、可視光を透過する絶縁性物質で、伝導帯のエネルギー準位が金属酸化物半導体のそれに近い値を有するn型半導体であれば特に制限はない。
例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどが挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられるものでもよく、例えば、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タングステンなどが挙げられる。
短絡防止層の形成方法としては、透明導電層の場合と同様に真空成膜プロセスや、液相コーティング法などにより作製することができる。真空成膜プロセスを用いる場合、透明導電層、短絡防止層、金属酸化物膜は大気開放することなく真空下でインライン成膜が可能である。
また、短絡防止層の膜厚は0.001μm〜0.02μmの範囲が好ましいが、適宜調整することができる。
《色素》
本発明に係る色素について説明する。
本発明において、前述した金属酸化物半導体電極の表面に吸着させる色素4としては、種々の可視光領域または赤外光領域に吸収を有し、金属酸化物半導体の伝導帯より高い最低空準位を有する色素が好ましく、公知の様々な色素を使用することができる。
例えば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、シアニジン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ローダミン系色素、ローダニン系色素などが挙げられる。
尚、金属錯体色素も好ましく使用され、その場合においては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rh等の種々の金属を用いることができる。
上記の中で、シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポリメチン色素は好ましい態様の1つであり、具体的には特開平11−35836号公報、特開平11−67285号公報、特開平11−86916号公報、特開平11−97725号公報、特開平11−158395号公報、特開平11−163378号公報、特開平11−214730号公報、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2004−207224号公報、特開2004−319202号公報、欧州特許第892411号明細書および同911841号明細書等の各明細書に記載の色素を挙げることができる。
更に金属錯体色素も好ましい態様の1つであり、金属フタロシアニン色素、金属ポルフィリン色素またはルテニウム錯体色素が好ましく、特に好ましいのはルテニウム錯体色素である。
ルテニウム錯体色素としては、例えば米国特許第4927721号明細書、同4684537号明細書、同5084365号明細書、同5350644号明細書、同5463057号明細書、同5525440号明細書、特開平7−249790号公報、特表平10−504512号公報、国際公開第98/50393号パンフレット、特開2000−26487号公報、特開2001−223037号公報、特開2001−226607号公報、特許第3430254号公報、等の各公報に記載の錯体色素を挙げることができる。
本発明では、金属酸化物の表面に吸着する色素として、ローダニン系色素を使用することが特に好ましい。ローダニン系色素であればどのような構造であっても好ましく用いることが可能であるが、中でも、上記一般式(1)で表される化合物または一般式(2)で表される化合物の少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
(一般式(1)で表される化合物)
本発明に係る一般式(1)で表される化合物(色素ともいう)について説明する。
一般式(1)において、X11〜X14は、各々酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表すが、好ましくはX11、X12、X14が、硫黄原子またはセレン原子であり、更に好ましくは硫黄原子である。X13は酸素原子であることが好ましい。
一般式(1)において、R11、R12、R13で各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2,2,1]ヘプチル基、アダマンチル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、ヘテロアリールチオ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
以下に、一般式(1)において、R11、R12、R13で各々表される置換基の更に好ましい態様について説明する。
上記の一般式(1)において、R12、R13で各々表される置換基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基等が好ましく、更に好ましく用いられるのはアルキル基である。
上記の一般式(1)において、R11で表される置換基が複数の場合、少なくとも1つは電子吸引性の置換基であることが好ましく、その場合、nは1〜4の整数を表す。R11が、電子吸引性の置換基である場合、ハメットの置換基定数σpの値が0.1〜0.8のものが好ましく、更に好ましくは、σp値の総和が0.2〜2.0の範囲であることが好ましく、特に好ましくは、0.25〜1.5である。
本発明において、ハメットの置換基定数σpの値としては、Hansch,C.Leoらの報告(例えば、J.Med.Chem.16、1207(1973);ibid.20、304(1977))に記載の値を用いるのが好ましい。
σpの値が0.10以上の置換基(原子の場合も含む)としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基(例えばトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチルチオメチル基、トリフルオロメタンスルホニルメチル基、パーフルオロブチル基等)、脂肪族・芳香族もしくは複素環アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等)、脂肪族・芳香族もしくは複素環スルホニル基(例えば、トリフルオロメタンスルホニル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロ−フェニルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ジフェニルメチルカルボニル基等)、置換芳香族基(例えば、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,4−ジメタンスルホニルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基等)、複素環残基(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンズチアゾリル基、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル基、1−テトラゾリル基等)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ基)、ジトリフルオロメチルアミノ基、トリフルオロメトキシ基、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基)、アシロキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アリールスルホニルオキシ基(例えば、ベンゼンスルホニルオキシ基)、ホスホリル基(例えば、ジメトキシホスホニル基、ジフェニルホスホリル基等)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基等)等が挙げられる。
σpの値が0.35以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、弗素置換アルキル基(例えばトリフルオロメチル基、パーフルオロブチル基等)、脂肪族・芳香族もしくは複素環アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基等)、脂肪族・芳香族もしくは複素環スルホニル基(例えば、トリフルオロメタンスルホニル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロ−フェニルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ジフェニルメチルカルボニル基等)、弗素またはスルホニル基置換芳香族基(例えばペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル)、複素環残基(例えば1−テトラゾリル)、アゾ基(例えばフェニルアゾ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えばジメトキシホスホリル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基などが挙げられる。
σpの値が0.60以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、脂肪族・芳香族もしくは複素環スルホニル基(例えばトリフルオロメタンスルホニル、ジフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)などが挙げられる。
上記の中でも、R11として好ましいのは、ハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル基(トリフルオロメチル基等)、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基等が挙げられる。
一般式(1)において、L11で表される2価の連結基としては、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、1−メチルビニレン基、1−メチルプロペニレン基、2−メチルプロペニレン基、1−メチルペンテニレン基、3−メチルペンテニレン基、1−エチルビニレン基、1−エチルプロペニレン基、1−エチルブテニレン基、3−エチルブテニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、1−プロピニレン基、1−ブチニレン基、1−ペンチニレン基、1−ヘキシニレン基、2−ブチニレン基、2−ペンチニレン基、1−メチルエチニレン基、3−メチル−1−プロピニレン基、3−メチル−1−ブチニレン基等)、アリーレン基(例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等)、ヘテロアリーレン基(例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等)、酸素や硫黄などのカルコゲン原子であってもよい。
また、アルキルイミノ基、ジアルキルシランジイル基やジアリールゲルマンジイル基のような、ヘテロ原子を会して連結する基でもよい。
上記の中でも、特に好ましく用いられるのは、メチレン基、エチレン基である。
一般式(1)において、R15で表されるアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、更に好ましくは、炭素数2〜4のアルキル基(例えば、エチル基、i−プロピル基、n−ブチル基等)が挙げられる。
(一般式(2)で表される化合物)
本発明に係る一般式(2)で表される化合物(色素ともいう)について説明する。
一般式(2)において、X21〜X26は、各々酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表すが、好ましくはX21、X22、X24、X26が、硫黄原子またはセレン原子であり、更に好ましくは硫黄原子である。X23、X25は、各々酸素原子であることが好ましい。
一般式(2)において、R21、R22、R23で各々表される置換基は、一般式(1)において、R11、R12、R13で各々表される置換基と同義である。
また、一般式(2)において、R22、R23で各々表される置換基の好ましい態様は、一般式(1)において、R12、R13で各々表される置換基の好ましい態様と同義である。
一般式(2)において、R21で表される置換基は、一般式(1)において、R11で表される置換基と同義である。
一般式(2)において、L21、L22で各々表される2価の連結基は、一般式(1)において、L11で表される2価の連結基と同義である。
一般式(2)において、R25で表されるアルキル基は、一般式(1)において、R15で表されるアルキル基と同義である。
また、一般式(1)で表される化合物(色素)、一般式(2)で表される化合物(色素)には、該一般式で表される化合物そのものの他に、該化合物から誘導されるイオン及び塩が含まれる。
例えば、分子構造中にスルホン酸基(スルホ基)を有している場合には、該化合物の他にスルホン酸基が解離して生じる陰イオン、及び該陰イオンと対陽イオンとで形成される塩が含まれる。
このような塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の金属イオンと形成した塩であっても良いし、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、アニリン、ジアザビシクロウンデセン等のような有機塩基と形成した塩でも良い。
分子内に塩基性基を有する化合物の場合も同様に該化合物がプロトン化されて生成する陽イオン、及び塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、メチルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の、酸と形成した塩である場合も含まれる。
以下に、本発明における一般式(1)または一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明の内容がこれら例示化合物に限定されない。
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本発明に係る一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物は、例えばエフ・エム・ハーマ著「シアニン・ダイズ・アンド・リレーテッド・コンパウンズ」(1964,インター・サイエンス・パブリッシャーズ発刊)、米国特許第2,454,629号明細書、同2,493,748号明細書、特開平6−301136号公報、同2003−203684号公報等に記載された従来公知の方法を参照して合成できる。
これらの化合物(色素)は、吸光係数が大きく、且つ、繰り返しの酸化還元反応に対して安定であることが好ましい。
また、上記化合物(色素)は金属酸化物半導体上に化学的に吸着することが好ましく、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミド基、アミノ基、カルボニル基、ホスフィン基等の官能基を有することが好ましい。
また、光電変換の波長域をできるだけ広くし、且つ、変換効率を上げるため、2種類以上の色素を併用または混合することもできる。
この場合、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、併用または混合する色素とその割合を選ぶことができる。
また、上記一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物と併用できる色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008226470
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(金属酸化物半導体層への化合物(色素)の吸着方法)
本発明において、金属酸化物半導体層に、本発明に係る一般式(1)で表される化合物(色素)または一般式(2)で表される化合物(色素)を吸着させる方法としては、特に限定されず、公知の方法が用いることができる。
例えば、化合物(色素)を有機溶剤に溶解して色素溶液を調製し、得られた色素溶液に透明導電膜上の半導体層を浸漬する方法、または得られた色素溶液を半導体層表面に塗布する方法などが挙げられる。
前者においてはデイプ法、ローラ法、エヤーナイフ法などが適用でき、後者においてはワイヤーバー法、アプリケーション法、スピン法、スプレー法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などが適用できる。
尚、化合物(色素)の吸着に先立って、半導体層の表面を予め減圧処理や加熱処理など処理を施し、表面を活性化し膜中の気泡を除去する工程を有しても良い。
半導体層への増感効果を好ましく得る観点から、半導体膜を色素の溶液に浸漬する時間は、3時間〜48時間が好ましく、更に好ましくは、4時間〜24時間である。
また、浸漬にあたり色素溶液は、色素が分解しないかぎりにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10℃〜50℃、とくに好ましくは15℃〜40℃であるが、前記の通り溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
また、半導体膜を浸漬した色素溶液に超音波照射を行うこともできる。超音波照射は市販の装置を用いることができ、また、照射時間としては、好ましくは30分〜4時間であり、更に好ましくは1時間〜3時間である。
色素溶液に用いる溶媒は、色素を溶解するものであればよく、従来公知の溶媒を用いることができる。
また、当該溶媒は、常法に従って精製された溶媒、また溶媒の使用に先立って、必要に応じて蒸留および/または乾燥を行ない、より純度の高い溶媒であることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、1種又はそれ以上の疎水性溶媒、非プロトン性溶媒、疎水性かつ非プロトン性の溶媒またはそれらの混合物が挙げられる。
ここで、疎水性溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル類等、並びにそれらの組合せた混合溶媒等が挙げられる。
非プロトン性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類;アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の窒素化合物類;二硫化炭素、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類;ヘキサメチルホスホルアミド等のリン化合物類、並びにそれらの組み合せが挙げられる。
好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
色素溶液中の色素の濃度は、増感効果、光電変換効率向上の観点から、使用する色素、溶媒の種類、色素吸着工程により適宜調整することができ、例えば、1×10-5モル/リットル以上、好ましくは、5×10-5モル/リットル〜1×10-2モル/リットル程度が挙げられる。
上記のことから、未吸着の色素を洗浄により速やかに除去するのが好ましい。洗浄溶剤としては、色素の溶解性が比較的低く、かつ比較的乾燥しやすい、アセトン等の溶剤が好ましい。また、洗浄は加熱状態で行うのが好ましい。
また、洗浄により余分な色素を除去した後、色素の吸着状態をより安定にするために、酸化物半導体微粒子の表面を有機塩基性化合物で処理して、未反応色素の除去を促進させてもよい。
有機塩基性化合物としては、ピリジン、キノリン等の誘導体が挙げられる。これら化合物が液体の場合にはそのまま用いてもよいが、固体の場合には溶剤、好ましくは色素溶液と同一の溶剤に溶解して用いてもよい。
色素を2種以上用いる場合は、混合する色素の比率は特に限定は無く、それぞれの色素より最適化し選択されるが、一般的に等モルずつの混合から、1つの色素につき10%モル程度以上使用するのが好ましい。
色素を2種以上併用する場合の具体的方法としては、混合溶解して吸着させても、色素を半導体層に順次吸着させても良い。併用する色素を混合し溶解した溶液を用いて酸化物半導体層に色素を吸着する場合、溶液中の色素合計の濃度は1種類のみ担持する場合と同様でよい。色素を混合して使用する場合の溶媒としては前記したような溶媒が使用可能である。
併用する色素それぞれについて溶液を調製し半導体層に吸着させる場合も、溶媒としては前記したような溶媒が使用可能であり、使用する各色素用の溶媒は同一でも異なっていてもよい。
各色素について別々の溶液を調製し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体層に色素を吸着させる順序がどのようであっても本発明の効果を得ることができる。また、各色素を単独で吸着させた半導体微粒子を混合することで作製してもよい。
酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を担持する際、色素同士の会合を防ぐために包摂化合物の共存下、色素を担持することが効果的である。ここで包摂化合物としてはコール酸等のステロイド系化合物、クラウンエーテル、シクロデキストリン、カリックスアレン、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられるが、好ましいものとしてはデオキシコール酸、デヒドロデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム等のコール酸類、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
また、色素を担持させた後、4−t−ブチルピリジン等のアミン化合物で半導体層表面を処理しても良い。処理の方法は例えばアミンのエタノール溶液に色素を担持した半導体微粒子薄膜の設けられた基板を浸す方法等が採られる。
《電荷移動層》
本発明に係る電荷移動層について説明する。
電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する層である。本発明で用いることのできる代表的な電荷輸送材料の例としては、酸化還元対イオンが溶解した溶剤や酸化還元対イオンを含有する常温溶融塩等の電解液、酸化還元対イオンの溶液をポリマーマトリクスや低分子ゲル化剤等に含浸したゲル状の擬固体化電解質、更には高分子固体電解質等が挙げられる。
また、イオンが関わる電荷輸送材料の他に、固体中のキャリア移動が電気伝導に関わる材料として、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料を挙げることもでき、これらは併用してすることも可能である。
電荷移動層に電解液を使用する場合、含有する酸化還元対イオンとしては、一般に公知の太陽電池などにおいて使用することができるものであれば特に限定されない。
具体的には、I-/I3-系、Br2-/Br3-系等の酸化還元対イオンを含有させたもの、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオン、コバルト錯体等の金属錯体等の金属酸化還元系、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ビオロゲン色素、ハイドロキノン/キノン等の有機酸化還元系、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィド等のイオウ化合物などを挙げることができる。
ヨウ素系として更に具体的には、ヨウ素とLiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物との組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物や4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩などとの組み合わせなどが挙げられる。
臭素系として更に具体的には、臭素とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物との組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩等との組み合わせ等が挙げられる。
溶剤としては電気化学的に不活性で、粘度が低くイオン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く有効キャリア濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。
具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、更にテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物質などを用いることができる。
好ましい電解質濃度は0.1M〜15Mであり、更に好ましくは0.2M〜10Mである。また、ヨウ素系を使用する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01M〜0.5Mである。
溶融塩電解質は、光電変換効率と耐久性の両立という観点から好ましい。溶融塩電解質としては、例えば、国際公開第95/18456号パンフレット、特開平8−259543号公報、特開2001−357896号公報、電気化学,第65巻,11号,923頁(1997年)等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩を含む電解質を挙げることができる。
これらの溶融塩電解質は常温で溶融状態であるものが好ましく、溶媒を用いない方が好ましい。
オリゴマ−及びポリマ等のマトリックスに電解質あるいは電解質溶液を含有させたものや、ポリマ添加、低分子ゲル化剤やオイルゲル化剤添加、多官能モノマ類を含む重合、ポリマの架橋反応等の手法によりゲル化(擬固体化)させて使用することもできる。
ポリマ添加によりゲル化させる場合は、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使用することができる。
オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合は、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。また、ポリマの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマおよび架橋剤を併用することが望ましい。
この場合、好ましい架橋可能な反応性基は、含窒素複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等)等から導出される基であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネート等)である。
電解質の濃度は通常0.01質量%〜99質量%で好ましくは0.1質量%〜90質量%程度である。
また、ゲル状電解質としては、電解質と、金属酸化物粒子および/または導電性粒子とを含む電解質組成物を用いることもできる。金属酸化物粒子としては、TiO2、SnO2、WO3、ZnO、ITO、BaTiO3、Nb25、In23、ZrO2、Ta25、La23、SrTiO3、Y23、Ho23、Bi23、CeO2、Al23からなる群から選択される1種または2種以上の混合物が挙げられる。
これらは不純物がドープされたものや複合酸化物などであってもよい。導電性粒子としては、カーボンを主体とする物質からなるものが挙げられる。
次に、高分子電解質としては、酸化還元種を溶解あるいは酸化還元種を構成する少なくとも1つの物質と結合することができる固体状の物質であり、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンサクシネート、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィド等の高分子化合物またはそれらの架橋体、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルキレンオキサイド等の高分子官能基に、ポリエーテルセグメントまたはオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として付加したものまたはそれらの共重合体等が挙げられる。
その中でも特にオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として有するものやポリエーテルセグメントを側鎖として有するものが好ましい。
前記の固体中に酸化還元種を含有させるには、例えば、高分子化合物となるモノマーと酸化還元種との共存下で重合する方法、高分子化合物等の固体を必要に応じて溶媒に溶解し、次いで、前記の酸化還元種を加える方法等を用いることができる。酸化還元種の含有量は、必要とするイオン伝導性能に応じて、適宜選定することができる。
本発明では、溶融塩等のイオン伝導性電解質の代わりに、有機または無機あるいはこの両者を組み合わせた固体の正孔輸送材料を使用することができる。有機正孔輸送材料としては、芳香族アミン類やトリフェニレン誘導体類、更にポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレン) およびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンおよびその誘導体等の導電性高分子を好ましく用いることができる。正孔(ホール)輸送材料にはドーパントレベルをコントロールするためにトリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO22N]のような塩を添加しても構わない。
無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用いることができる。この目的のp型無機化合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好ましい。
また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが好ましい。
使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下であることが好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下であることが好ましい。
好ましいp型無機化合物半導体は一価の銅を含む化合物半導体であり、CuI及びCuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。
p型無機化合物半導体を含有する電荷移動層の好ましいホール移動度は10-4cm2/V・秒以上104cm2/V・秒以下であり、更に好ましくは10-3cm2/V・秒以上103cm2/V・秒以下である。また、電荷輸送層の好ましい導電率は、10-8S/cm以上102S/cm以下であり、更に好ましくは10-6S/cm以上10S/cm以下である。
例えば、図1に示す本発明の色素増感型太陽電池において、電荷移動層5を金属酸化物半導体電極(単に、半導体電極ともいう)と対向電極6との間に形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、半導体電極と対向電極6とを対向配置してから両電極間に前述した電解液や各種電解質を充填して電荷移動層5とする方法、半導体電極または対向電極6の上に電解質や各種電解質を滴下あるいは塗布等することにより電荷移動層5を形成したのち電荷移動層5の上に他方の電極を重ね合わせる方法等を用いることができる。
また、半導体電極と対向電極6との間から電解質が漏れ出さないようにするため、必要に応じて半導体電極と対向電極6との隙間にフィルムや樹脂を用いて封止したり、半導体電極と電荷移動層5と対向電極6を適当なケースに収納したりすることも好ましい。
前者の形成方法の場合、電荷移動層5の充填方法として、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセス、または常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換する真空プロセスを利用できる。
後者の形成方法の場合、塗布方法としてはマイクログラビアコーティング、ディップコーティング、スクリーンコーティング、スピンコーティング等を用いることができる。
湿式の電荷移動層においては未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置を施すことになる。またゲル電解質の場合には湿式で塗布して重合等の方法により固体化する方法があり、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもできる。
固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材料の場合には真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対向電極を付与することもできる。
具体的には、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法により電極内部に導入することができ、必要に応じて基材を任意の温度に加熱して溶媒を蒸発させるなどにより形成する。
電荷移動層5の厚さは10μm以下であることが好ましく、更に好ましくは5μm以下であり、特に好ましくは1μm以下である。
また、電荷移動層5の導電率は1×10-10S/cm以上が好ましく、1×10-5S/cm以上であることが更に好ましい。
《対向電極》
本発明に係る対向電極は、上記の導電性基材と同様に、それ自体が導電性を有する基材の単層構造、またはその表面に対極導電層を有する基材を利用することができる。後者の場合、対極導電層に用いる導電性材料、基材、更にその製造方法としては、前述した導電性基材1の場合と同様で、公知の種々の材料及び方法を適用することができる。
その中でも、I3-イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものを使用することが好ましく、具体的には白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
また、前述と同様にコスト面や可撓性を考慮すると、プラスチックシートを基材として使用し、導電性材料としてポリマー系材料を塗布して使用することも好ましい態様の1つである。
対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層が金属である場合は、その厚さは好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは10nm〜3μmの範囲である。
対向電極の表面抵抗は低い程よく、具体的には表面抵抗の範囲としては50Ω/□以下であることが好ましく、20Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが更に好ましい。
前述した図1に示す色素増感型太陽電池においては、導電性基材1と対向電極6のいずれか一方または両方から光を受光してよいので、導電性基材1と対向電極6の少なくとも一方が実質的に透明であれば良い。
発電効率の向上の観点からは、導電性基材を透明にして、光を導電性基材側から入射させるのが好ましい。この場合対向電極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対向電極としては、金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチックまたは金属薄膜を使用できる。
対向電極は、前述した電荷移動層上に直接導電性材料を塗布、メッキまたは蒸着(PVD、CVD)するか、対極導電層を有する基材の導電層側または導電性基材単層を貼り付ければよい。
また、導電性基材1の場合と同様に、特に対向電極6が透明の場合には、金属配線層を併用することも好ましい態様の1つである。
対極としては導電性を持っており、レドックス電解質の還元反応を触媒的に作用するものが好ましい。例えばガラス、もしくは高分子フィルムに白金、カーボン、ロジウム、ルテニウム等を蒸着したり、導電性微粒子を塗り付けたものが用いうる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《チタン酸ナトリウム針状結晶Na1の調製》
フラックスとなる塩化ナトリウム3.8g、溶質となる炭酸ナトリウム15.75g、アナターゼ型酸化チタン10.45gを30ml容量のプラチナ製るつぼに秤量し、乾式混合して蓋をする。
このるつぼを電気炉に入れ、昇温速度45℃/時間で1100℃になるまで加温した後、1100℃で10時間保持した。次いで、冷却速度5℃/時間で室温になるまで冷却した。室温まで冷却させた後、温水で余剰のフラックスを溶解し、除去し、得られた粒子を 乾燥させてチタン酸ナトリウムであるNa2Ti613を得た。
得られたチタン酸ナトリウム結晶のX線回折結果では、Na2Ti613の(010)、(100)、(001)、(201)に相当すると考えられるピークが認められた。
また、得られたチタン酸ナトリウム結晶は平均繊維径が0.5μm、平均繊維長が7μm、平均アスペクト比が14の針状結晶であった。これをチタン酸ナトリウム針状結晶Na1とした。
《チタン酸ナトリウム針状結晶Na2の形成》
上記のチタン酸ナトリウム針状結晶Na1の粉末1gを8.0×10-4M塩化ロジウム水溶液30mlに添加し、室温で16時間、撹拌機を用い撹拌させた。塩化ロジウムはロジウム担持量として約0.27質量%に想定して反応させたものである。
反応生成物は、ろ別、水洗、デシケータを用い室温で乾燥させた後、電気炉を用い大気中で500℃、2時間加熱処理を行った。これをチタン酸ナトリウム針状結晶Na2とした。
《チタン酸ナトリウム針状結晶Na3の形成》
上記のチタン酸ナトリウム針状結晶Na2の形成方法において、塩化ロジウムを塩化ルテニウムに変更した以外はチタン酸ナトリウム針状結晶Na2の形成方法と同様にして、チタン酸ナトリウム針状結晶Na3を形成した。
《チタン酸ストロンチウム結晶Sr1の形成》
窒素雰囲気下、716gの無水エタノール及び284g(1モル)のチタンテトライソプロポキシドを還流下で加熱し、76.0g(5/8モル)の水酸化ストロンチウムの無水物と99.6g(3/8モル)の水酸化ストロンチウム・8水和物との混合物を添加した。
10時間還流後、流動性懸濁液を冷却した。電子顕微鏡を用いてサンプルを試験・検査すると、一次粒径約3nmの極めて粒径分布が狭いチタン酸ストロンチウム粒子の存在を示していた。
この懸濁液の一部を約180℃で噴霧乾燥し、粒径約5nm〜10nmの極めて微細なチタン酸ストロンチウム粉末が得られた。
《太陽電池SC−1の作製》
下記のようにして、図1に示すような色素増感型太陽電池を作製した。
純水125ml、メノウ乳鉢でよく磨り潰したチタン酸ナトリウム針状結晶Na1粉末98g及びチタン酸ストロンチウム結晶Sr1粉末42g、20質量%PEG水溶液435mlを混合後、ミル分散機で分散し、金属酸化物のペーストを調製した。
フッ素をドープした酸化スズをコートした透明導電性ガラス基板上に上記金属酸化物のペーストを塗布し、自然乾燥の後、500℃で60分間焼成して、基板上にチタン酸ナトリウムとチタン酸ストロンチウムの混合金属酸化物半導体層を形成した。半導体層の膜厚は10μmであった。
次いで、メタノール溶液200ml中に、上記の例示化合物1−17を5g溶解した溶液を調製し、上記混合金属酸化物半導体層を基板ごと浸漬し、更にトリフルオロ酢酸1gを加えて2時間超音波照射した。
反応後、混合金属酸化物半導体層をクロロホルムで洗浄し真空乾燥して、混合金属酸化物半導体電極を作製した。
対向電極として、フッ素をドープした酸化スズをコートし、更にその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用い、前記金属酸化物半導体電極と前記対向電極との間に、体積比が1:4であるアセトニトリル/炭酸エチレンの混合溶媒にテトラプロピルアンモニウムアイオダイドと沃素とを、それぞれの濃度が0.46モル/リットル、0.06モル/リットルとなるように溶解したレドックス電解質を入れた電荷移動層を作製して、太陽電池を作製した。
太陽電池の側面をそれぞれ樹脂で封入した後、リード線を取り付けて、色素増感型太陽電池SC−1を作製した。
《太陽電池SC−2〜SC−4の作製》
太陽電池SC−1の作製方法において、金属酸化物半導体層の構成をチタン酸ナトリウム針状結晶Na1及びチタン酸ストロンチウム結晶Sr1の組み合わせから表1に記載の組み合わせに変更した以外は同様にして、太陽電池SC−2〜SC−4を作製した。
ただし、金属酸化物の総付き量は一定とし、チタン酸ナトリウム針状結晶及びチタン酸ストロンチウム結晶を混合する場合はその比率も一定として金属半導体層を形成した。
《太陽電池の光電変換特性評価》
得られた太陽電池SC−1〜SC−4の各々にソーラーシミュレーター(JASCO(日本分光)製、低エネルギー分光感度測定装置CEP−25)により100mW/m2の強度の光を照射した時の短絡電流Jsc(mA)および開放電圧値Voc(V)を測定し、更に、得られた形状因子、変換効率を表1に示した。
表1に記載の数値は、同じ構成および作製方法の太陽電池を3つずつ作製して評価し、平均値を示したものである。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2008226470
表1から、本発明の白金族元素を表面に有するチタン酸アルカリ金属、及びチタン酸アルカリ土類金属を含有する半導体電極を用いた場合、光電変換効率が向上することがわかった。また、特に、優れた短絡電流が得られることが分かった。
本発明の色素増感型太陽電池の基本構造を示す概略断面図である。
符号の説明
1 導電性基材
2 チタン酸アルカリ金属
3 チタン酸アルカリ土類金属
4 色素
5 電荷移動層
6 対向電極

Claims (11)

  1. 導電性基材上に、色素が表面に吸着された金属酸化物からなる金属酸化物半導体電極と、電荷移動層と、対向電極とを順次有する色素増感型太陽電池において、
    該金属酸化物が、表面に白金族元素を有するチタン酸アルカリ金属の針状結晶と、チタン酸アルカリ土類金属とを含有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 前記チタン酸アルカリ金属の針状結晶の平均アスペクト比が10〜20であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記チタン酸アルカリ金属を構成するアルカリ金属がナトリウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. 前記チタン酸アルカリ土類金属を構成するアルカリ土類金属がストロンチウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
  5. 前記白金族元素がルテニウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
  6. 前記色素が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
    Figure 2008226470
    〔式中、R11は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。X11〜X14は、各々酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表し、R12、R13は、各々水素原子または置換基を表す。R14は、カルボキシ基またはホスホノ基を表し、L11は2価の連結基を表す。R15はアルキル基を表す。〕
  7. 前記一般式(1)のR11が電子吸引性基であり、nは1〜4の整数を表すことを特徴とする請求項6に記載の色素増感型太陽電池。
  8. 前記色素が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
    Figure 2008226470
    〔式中、R21は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。X21〜X26は、各々酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表し、R22、R23は、各々水素原子または置換基を表す。R24、R26は、各々水素原子、カルボキシ基またはホスホノ基を表し、R24、R26の少なくとも1つはカルボキシ基またはホスホノ基を表す。L21、L22は、各々独立に2価の連結基を表す。R25はアルキル基を表す。〕
  9. 前記一般式(2)のR21が電子吸引性基であり、nは1〜4の整数を表すことを特徴とする請求項8に記載の色素増感型太陽電池。
  10. 前記一般式(1)のX11、X12、X14が、各々硫黄原子を表し、X13が酸素原子を表すことを特徴とする請求項6または7に記載の色素増感型太陽電池。
  11. 前記一般式(2)のX21、X22、X24及びX26が、各々硫黄原子を表し、X23、X25が、各々酸素原子を表すことを特徴とする請求項8または9のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
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