JP2009059646A - 色素増感型太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】起電力を向上し、再結合を減少させ、さらに金属酸化物半導体電極内の電子の伝導性を向上させることによって、光電変換効率の優れた色素増感型太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】色素増感型太陽電池は、導電性基材1及び表面に色素3を吸着した金属酸化物2から構成される金属酸化物半導体電極、電荷移動層(「電解質層」と呼ぶこともある)4、さらに対向電極5を有する構成である。e-は電子を表し、矢印は当電子の流れを示す。金属酸化物は、コア微粒子とその表面の少なくとも一部を金属酸化物前駆体で被覆、焼結処理された第1シェル、及びその上層にドーパントを含有する金属酸化物が被覆された第2シェルを有し、かつ第2シェルの伝導帯準位はコア微粒子の伝導帯準位より高い。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池及びその製造方法に関する。特に、半導体電極としてコアシェル構造を有する金属酸化物から構成される色素増感型太陽電池及びその製造方法に関する。
近年、シリコン系太陽電池に代わる有機材料を用いた太陽電池として色素増感型太陽電池が着目されており、研究開発が盛んに行われている。一般的な色素増感型太陽電池の動作原理は下記の通りである。金属酸化物半導体電極に吸着している増感色素が太陽光を吸収することによって励起電子を発生し、その励起電子は金属酸化物半導体に移動し、さらに透明導電膜を経由して電極を接続する回路を通って対向電極へ移動する。対向電極へ移動した電子は電解液を還元し、電解液は電子を放出して酸化状態となった増感色素を還元する。
金属酸化物半導体として伝導帯準位の高い組成を用いることで起電力を向上させることができるが、金属酸化物半導体に移動した励起電子が回路へと移動する過程において、酸化状態にある増感色素と再結合したり、酸化状態にある電解液の酸化還元イオンと再結合することによって起電力が低下し、それに伴って開放電圧が低下し、結果として光電変換効率が低下するという課題を有していた。
従来から一般的に知られている色素増感型太陽電池は、半導体電極としてアナターゼ型の多孔質酸化チタン(TiO2)を用いており、アナターゼ型の酸化チタン微粒子を分散させたペーストを導電性基材上に塗布し、乾燥後に焼成して酸化チタン膜を得ている。上記のような光電変換効率が低下する課題を解決する目的で、酸化チタン微粒子をコアシェル構造とし、コアの伝導帯準位より高い伝導帯準位を有するシェルを被覆する技術が開示されている(例えば特許文献1、2参照)。これらは、シェルの伝導帯準位がコアの伝導帯準位より高いために、コアに注入された電子が酸化状態にある増感色素や酸化状態にある電解質内の酸化還元イオンと再結合する確率を低くすることが目的だが、金属酸化物粒子内部及び粒子間の電子伝導性、及び色素吸着性が必ずしも十分ではなく、満足できる光電変換効率は得られていない。
また、コアシェル構造を有する多重構造酸化チタン微粒子の少なくとも一方にドーパントを含有させ、光電変換効率を向上させる技術が開示されており、特にシェルにドーパントを含有することが好ましいとの提案がある(特許文献3参照)。しかしこれについても特許文献1、2と同様に、コアシェルの界面の電子伝導性、またはコアに注入された電子の粒子間の伝導性が必ずしも十分ではなく、満足できる光電変換効率は得られていない。
特開2000−113913号公報 特開2004−47264号公報 特開2004−10403号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、起電力を向上し、再結合を減少させ、さらに金属酸化物半導体電極内の電子の伝導性を向上させることによって、光電変換効率の優れた色素増感型太陽電池及びその製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.導電性基材上に、色素が表面に吸着された金属酸化物を有する金属酸化物半導体電極、電荷移動層及び対向電極を順次有する色素増感型太陽電池であって、該金属酸化物が、コア微粒子とその表面の少なくとも一部を金属酸化物前駆体で被覆、焼結処理された第1シェル、及びその上層にドーパントを含有する金属酸化物が被覆された第2シェルを有し、かつ該第2シェルの伝導帯準位は該コア微粒子の伝導帯準位より高いことを特徴とする色素増感型太陽電池。
2.前記ドーパントがZr、Mgから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1に記載の色素増感型太陽電池。
3.前記第2シェルの主成分となる金属酸化物が、前記コア微粒子を構成する金属酸化物と実質的に同組成であることを特徴とする前記1または2に記載の色素増感型太陽電池。
4.導電性基材上に、色素が表面に吸着された金属酸化物を有する金属酸化物半導体電極、電荷移動層及び対向電極を順次有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、該金属酸化物半導体電極の形成工程として、該導電性基材上にコア微粒子の層を形成し、金属酸化物前駆体で被覆、焼結して第1シェルを形成し、次いで金属酸化物前駆体及びドーパントを被覆、焼結して第2シェルを形成する工程を含むことを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
5.前記第2シェルの伝導帯準位は前記コア微粒子の伝導帯準位より高いことを特徴とする前記4に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
本発明により、起電力を向上し、再結合を減少させ、さらに金属酸化物半導体電極内の電子の伝導性を向上させることによって、光電変換効率の優れた色素増感型太陽電池及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の上記課題は、半導体電極を構成する金属酸化物について、特にその層構成や組成、さらに製造方法に着目し、半導体電極内の電子の伝導性を向上させることによって解決されるに至った。
より詳細には、半導体電極を構成する金属酸化物として高い伝導帯準位を有する金属酸化物を適用することで起電力の向上が期待されるが、本発明者らは、そこでさらに再結合を減少させ、励起電子が半導体電極内、すなわち金属酸化物粒子内または粒子間等を効率よく移動させ電子伝導性を向上することにより、光電変換効率の優れた色素増感型太陽電池及びその製造方法が得られることが分かった。
次に、本発明の色素増感型太陽電池について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の色素増感型太陽電池の基本構造を示す概略断面図である。本発明の色素増感型太陽電池は図1によって示される通り、導電性基材1及び表面に色素3を吸着した金属酸化物2から構成される金属酸化物半導体電極、電荷移動層(「電解質層」と呼ぶこともある)4、さらに対向電極5を有する構成である。なお、図1において、e-は電子を表し、矢印は当電子の流れを示す。
本発明の色素増感型太陽電池を構成する際には、前記半導体電極、電荷移動層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、金属酸化物2に吸着された色素3は、照射された太陽光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は金属酸化物2に移動し、次いで導電性基材1を経由して対向電極5に移動して、電荷移動層4のレドックス電解質を還元する。一方、金属酸化物2に電子を移動させた色素3は酸化体となっているが、対向電極5から電荷移動層4のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷移動層4のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極5から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の色素増感型太陽電池を構成することができる。
以下、これらについて詳細に説明する。
《金属酸化物半導体電極》
本発明に係る金属酸化物半導体電極について説明する。
金属酸化物半導体電極を構成する金属酸化物は、コア微粒子とその表面の少なくとも一部を金属酸化物前駆体で被覆、焼結処理された第1シェル、及びその上層にドーパントを含有する金属酸化物が被覆された第2シェルを有し、かつ該第2シェルの伝導帯準位は該コア微粒子の伝導帯準位より高い金属酸化物からなる。
コア微粒子としては、酸化チタン、酸化ジルコニル、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化タングステン等の各種金属酸化物半導体、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等の各種複合金属酸化物半導体、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン等の遷移金属酸化物、酸化セリウム、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム等のランタノイドの酸化物等の金属酸化物、シリカに代表される天然または合成の珪酸化合物等の無機絶縁体等を挙げることができる。また、これらの材料を組み合わせて使用することもできる。
コア微粒子の粒子径は特に限定はないが、半導体層の光透過性及び電子伝導性の観点から、一次粒子径が1〜1000nmであることが好ましく、2〜100nmであることがより好ましく、2〜50nmであることがさらに好ましい。また、コア微粒子の形状も特に限定はなく、球状、針状、または不定形結晶であってもよい。
コア微粒子として用いられる金属酸化物粒子の形成方法としては特に限定はなく、水熱反応法、ゾルゲル法/ゲルゾル法、コロイド化学合成法、塗布熱分解法、噴霧熱分解法等の各種液相法、及び化学気相析出法等の各種気相法を用いて形成することができる。
第1シェルとしては、コア微粒子の表面の少なくとも一部を金属酸化物前駆体で被覆、焼結処理することにより形成された金属酸化物であり、組成としては上述したコア微粒子と同様の組成を適宜使用することができる。第1シェルの組成は、特に金属酸化物微粒子間の電子伝導性の観点から、コア微粒子と同種の組成を使用することが好ましい。
第2シェルとしては、ドーパントを含有する金属酸化物であり、その伝導帯準位がコア微粒子の伝導帯準位より高く制御されていれば特に限定はなく、公知の種々の金属酸化物に種々のドーパントを組み合わせることによって構成することができる。
第2シェルの主成分となる金属酸化物は、組成としては上述したコア微粒子と同様の組成を適宜使用することが可能で、具体的には、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化バナジウム等の各種酸化物半導体、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等の各種複合金属酸化物半導体、またはこれらの組み合わせ等を挙げることができる。これらの中で、第2シェルの主成分となる金属酸化物は、コア微粒子と実質的に同種であることが好ましい。
ドーパントとしては、マグネシウム、ニッケル、マンガン等の二価金属イオン、アルミニウム、ビスマス、ランタン等の三価金属イオン、ジルコニウム、ハフニウム等の四価金属イオン、バナジウム、ニオブ、タンタル、アンチモン等の五価金属イオンを挙げることが可能であるが、これらの中でも、電子伝達性やエネルギー準位、色素吸着特性等の観点から、周期表の第2族、第4族もしくは第5族の金属原子をドーパントとすることが好ましく、Zr、Mgをドーパントとすることがさらに好ましい。これらの元素をドーピングするには、それぞれの元素を含む化合物をドーパントソースとして用いる。ドーパントソースは水溶性でも水不溶性でもよい。好ましいドーパントソースの例を以下に挙げる。第5族元素の化合物としては、例えばバナジウム、ニオブ、もしくはタンタルのハロゲン化物(例えばフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等)、バナジウム、ニオブもしくはタンタルのアルコキシド(例えばメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等)等が挙げられる。ハロゲン化合物としては、ハロゲン化水素、ハロゲン化物塩(例えばハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化アルキルアンモニウム、ハロゲン化ピリジニウム、及びアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物等)の他、ハロゲン含有塩(例えばテトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩等)等が挙げられる。
ドーパントの含有量は特に制限はないが、主成分となる金属酸化物に対して1〜30mol%であることが好ましく、5〜20mol%であることがさらに好ましい。また、ドーパントの存在形態としては、第2シェルを構成する金属酸化物中に均一に分散されて存在していることが好ましい。
それぞれのシェルの厚みについては特に制限はないが、本発明の効果をより著しく発現させるためには、第1シェルの厚みは0.5〜10nmであることが好ましく、1.0〜6nmであることがさらに好ましい。また、第2シェルの厚みは0.5〜5nmであることが好ましく、0.5〜3nmであることがさらに好ましい。
金属酸化物半導体のシェルの厚さは、X線光電子分光法(XPS)や飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)等の分析機器を用いて測定することができる。また、簡易的に求める場合には、シェル部、コア部に用いる材料の比重とその使用量、及びコア微粒子の平均粒径から算出することもできる。シェルの厚さは、平均厚みとして表される。
本発明に係る金属酸化物半導体電極を構成する金属酸化物は、コア/シェル構造を有し、第2シェルの伝導帯準位はコア微粒子の伝導帯準位より高いことが特徴であり、コア微粒子と第2シェルの伝導帯準位の差が0.2eV以上であることが好ましく、0.3eV以上であることがさらに好ましい。コア微粒子が絶縁体の場合は、第2シェルの半導体よりも電気伝導度が低い材料が好ましい。
半導体微粒子の伝導帯準位については、拡散反射スペクトル法により求めたエネルギーバンドギャップと、光電子分光法により求めたイオン化ポテンシャル(価電子帯)の測定値から伝導帯準位CBを算出することができる。エネルギーバンドギャップは島津製作所製UV−VIS RECORDING SPECTROPHOTOMETER 「UV−2500PC」、イオン化ポテンシャルはアルバックファイ社製5600型電子分光装置及び紫外光源Model 04−180等を用いて測定することができる。
(金属酸化物半導体電極の作製方法)
次に、本発明の金属酸化物半導体電極の作製方法を説明する。
本発明の色素増感型太陽電池の金属酸化物半導体電極の作製方法としては、公知の方法を適用することが可能であり、(1)金属酸化物の微粒子またはその前駆体を含有する懸濁液を導電性基材上に塗布し、乾燥及び焼成を行って半導体層を形成する方法、(2)コロイド溶液中に導電性基材を浸漬して電気泳動により金属酸化物半導体微粒子を導電性基材上に付着させる泳動電着法、(3)コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、(4)ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法等を適用することができる。
上記の作製方法の中で、特に塗布方法としては公知の方法を適用することが可能で、スクリーン印刷法、インクジェット法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法等を挙げることができる。
特に上記(1)の方法の場合、懸濁液中の金属酸化物微粒子の粒子径は微細であることが好ましく、一次粒子として存在していることが好ましい。金属酸化物微粒子を含有する懸濁液は、金属酸化物微粒子を溶媒中に分散させることによって調製され、溶媒としては、金属酸化物微粒子を分散し得るものであれば特に制限はなく、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。懸濁液中には、必要に応じて界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の金属酸化物微粒子の濃度の範囲は、0.1〜70質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましい。
上記のようにして得られた金属酸化物のコア微粒子を含有する懸濁液を導電性基材上に塗布し、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性基材上に金属酸化物半導体層が形成される。導電性基材上に懸濁液を塗布、乾燥して得られる半導体層は金属酸化物微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒子径は使用した金属酸化物微粒子の一次粒子径に対応するものである。導電性基材上に形成された金属酸化物半導体層は、導電性基材との結合力や、微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、この金属酸化物微粒子集合体膜を焼成処理して機械的強度を高め、基板に強く固着した焼成物膜とすることが好ましい。
本発明においては、この半導体層はどのような構造を有していてもよいが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。ここで、金属酸化物半導体層の空隙率は、0.1〜20体積%であることが好ましく、5〜20体積%であることがさらに好ましい。なお、金属酸化物半導体層の空隙率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することができる。金属酸化物半導体層の厚さは、少なくとも10nm以上であることが好ましく、100〜10000nmであることがより好ましい。
焼成処理時、半導体層の実表面積を適切に調整し、上記の空隙率を有する半導体層を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、200〜800℃の範囲であることがより好ましい。
次に、本発明に係る金属酸化物半導体電極の第1シェルの形成方法としては、導電性基材上にコア微粒子となる金属酸化物半導体層を形成した後、第1シェルとなる金属酸化物の前駆体を該半導体層に塗布すること、もしくは該半導体層を前駆体溶液に浸漬し、さらに必要に応じて焼成処理を施すことにより、金属酸化物からなる第1シェルを作製することができる。
具体的には、第1シェルの形成方法としては、酸化チタンの前駆体である四塩化チタン水溶液またはチタンアルコキシドを用いた電気化学的処理や、チタン酸アルカリ金属やチタン酸アルカリ土類金属の前駆体でコア微粒子からなる半導体層の表面処理や焼成処理等を行うことによって第1シェルを形成することができる。この際の焼成温度や焼成時間は特に制限はなく、任意に制御することができる。
次に、第2シェルの形成方法としては、金属酸化物前駆体とマグネシウムエトキシド等のドーパントソースの混合液を塗布、または浸漬し、さらに焼成処理等を行うことにより、金属酸化物層中に均一にドーパントが含有された第2シェルを形成することができる。金属酸化物前駆体としては、第2シェルの金属酸化物を構成する金属元素を含有する化合物であり、例えばチタンテトライソプロポキシド等を挙げることができる。この際の焼成温度や焼成時間は特に制限はなく、任意に制御することができる。
《導電性基材》
本発明で用いられる導電性基材としては、導電性基材側を受光面とする場合には、導電性基材は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは、光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
導電性基材としてはそれ自体が導電性を有する基材、またはその表面に導電層を有する基材を利用することができる。後者の場合、基材としてはガラス板や、酸化チタンやアルミナ等のセラミックの研磨板、さらに公知の種々のプラスチックシートを使用することが可能であるが、コスト面や可撓性を考慮するとプラスチックシートを使用することが好ましい。
プラスチックシートとしては、具体的にはトリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、シンジオタクチックポリステレン(SPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、環状ポリオレフィン、フェノキシ樹脂、ブロム化フェノキシ等を挙げることができる。
これらの基材上に設ける導電層に使用する導電性材料としては、公知の種々の金属や金属酸化物等からなる無機系導電性材料、ポリマー系導電性材料、無機有機複合型の導電性材料、またはこれらを任意に混合した導電性材料等、あらゆるものを使用することができる。
無機系導電性材料として具体的には、白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、導電性カーボン、さらにスズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO2)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛(ZnO2)等の金属酸化物を挙げることができる。
ポリマー系導電性材料として具体的には、各種置換されていてもされていなくてもよいチオフェン、ピロール、フラン、アニリン等を重合させてなる導電性ポリマーやポリアセチレン等を挙げることができるが、導電性が高い観点からポリチオフェンが好ましく、特にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が好ましい。
基材上に導電層を形成する方法としては、導電性材料に応じた公知の適切な方法を用いることが可能で、例えば、ITO等の金属酸化物からなる導電層を形成する場合、スパッタ法、CVD法、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法等の薄膜形成法が挙げられる。
また、ポリマー系導電性材料からなる導電層を形成する場合は、公知の様々な塗布法により形成することが好ましい。導電層の膜厚は0.01〜10μm程度が好ましく、0.05〜5μm程度がさらに好ましい。
導電性基材としては、表面抵抗が低いほどよく、具体的には50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることがさらに好ましい。
また、導電性基材の集電効率を向上しさらに導電性を上げるために、光透過率を著しく損なわない範囲の面積率で、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ニッケル、インジウム、チタン、タングステン等からなる金属配線層を前記導電層と併用してもよい。
金属配線層を用いる場合、格子状、縞状、櫛状等のパターンとして、光が導電性基材を均一に透過するように配設するとよい。金属配線層を併用する場合、基材に蒸着、スパッタリング等で設置し、その上に導電層を設けるのが好ましい。
《色素》
本発明に用いられる色素について説明する。
本発明において、前述した金属酸化物半導体電極の表面に吸着させる色素としては、種々の可視光領域または赤外光領域に吸収を有し、金属酸化物半導体の伝導帯より高い最低空準位を有する色素が好ましく、公知の様々な色素を使用することができる。
例えば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、シアニジン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ローダミン系色素、ローダニン系色素等が挙げられる。
なお、金属錯体色素も好ましく使用され、その場合においては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rh等の種々の金属を用いることができる。
上記の中で、シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポリメチン色素は好ましい態様の1つであり、具体的には特開平11−35836号公報、特開平11−67285号公報、特開平11−86916号公報、特開平11−97725号公報、特開平11−158395号公報、特開平11−163378号公報、特開平11−214730号公報、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2004−207224号公報、特開2004−319202号公報、欧州特許第892411号明細書及び同911841号明細書等の各明細書に記載の色素を挙げることができる。
さらに金属錯体色素も好ましい態様の1つであり、金属フタロシアニン色素、金属ポルフィリン色素またはルテニウム錯体色素が好ましく、特に好ましいのはルテニウム錯体色素である。
ルテニウム錯体色素としては、例えば米国特許第4927721号明細書、同4684537号明細書、同5084365号明細書、同5350644号明細書、同5463057号明細書、同5525440号明細書、特開平7−249790号公報、特表平10−504512号公報、国際公開第98/50393号パンフレット、特開2000−26487号公報、特開2001−223037号公報、特開2001−226607号公報、特許第3430254号公報、等の各公報に記載の錯体色素を挙げることができる。
本発明では、金属酸化物の表面に吸着する色素として、ローダニン系色素を使用することが特に好ましい。ローダニン系色素であればどのような構造であっても好ましく用いることが可能であるが、中でも、下記一般式(1)で表される化合物または下記一般式(2)で表される化合物の少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
Figure 2009059646
式中、R11は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。X11〜X14は、各々酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表し、R12、R13は、各々水素原子または置換基を表す。R14は、カルボキシ基またはホスホノ基を表し、L11は2価の連結基を表す。R15はアルキル基を表す。
Figure 2009059646
式中、R21は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。X21〜X26は、各々酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表し、R22、R23は、各々水素原子または置換基を表す。R24、R26は、各々水素原子、カルボキシ基またはホスホノ基を表し、R24、R26の少なくとも1つはカルボキシ基またはホスホノ基を表す。L21、L22は、各々独立に2価の連結基を表す。R25はアルキル基を表す。
(一般式(1)で表される化合物)
一般式(1)で表される化合物(色素ともいう)について説明する。
一般式(1)において、X11〜X14は、各々酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表すが、好ましくはX11、X12、X14が、硫黄原子またはセレン原子であり、さらに好ましくは硫黄原子である。X13は酸素原子であることが好ましい。
一般式(1)において、R11、R12、R13で各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2,2,1]ヘプチル基、アダマンチル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、ヘテロアリールチオ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
以下に、一般式(1)において、R11、R12、R13で各々表される置換基のさらに好ましい態様について説明する。
上記の一般式(1)において、R12、R13で各々表される置換基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基等が好ましく、さらに好ましく用いられるのはアルキル基である。
上記の一般式(1)において、R11で表される置換基が複数の場合、少なくとも1つは電子吸引性の置換基であることが好ましく、その場合、nは1〜4の整数を表す。R11が、電子吸引性の置換基である場合、ハメットの置換基定数σpの値が0.1〜0.8のものが好ましく、さらに好ましくは、σp値の総和が0.2〜2.0の範囲であることが好ましく、特に好ましくは、0.25〜1.5である。
本発明において、ハメットの置換基定数σpの値としては、Hansch,C.Leoらの報告(例えば、J.Med.Chem.16、1207(1973);ibid.20、304(1977))に記載の値を用いるのが好ましい。
σpの値が0.10以上の置換基(原子の場合も含む)としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基(例えばトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチルチオメチル基、トリフルオロメタンスルホニルメチル基、パーフルオロブチル基等)、脂肪族・芳香族もしくは複素環アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等)、脂肪族・芳香族もしくは複素環スルホニル基(例えば、トリフルオロメタンスルホニル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロ−フェニルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ジフェニルメチルカルボニル基等)、置換芳香族基(例えば、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,4−ジメタンスルホニルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基等)、複素環残基(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンズチアゾリル基、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル基、1−テトラゾリル基等)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ基)、ジトリフルオロメチルアミノ基、トリフルオロメトキシ基、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基)、アシロキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アリールスルホニルオキシ基(例えば、ベンゼンスルホニルオキシ基)、ホスホリル基(例えば、ジメトキシホスホニル基、ジフェニルホスホリル基等)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基等)等が挙げられる。
σpの値が0.35以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、弗素置換アルキル基(例えばトリフルオロメチル基、パーフルオロブチル基等)、脂肪族・芳香族もしくは複素環アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基等)、脂肪族・芳香族もしくは複素環スルホニル基(例えば、トリフルオロメタンスルホニル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロ−フェニルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ジフェニルメチルカルボニル基等)、弗素またはスルホニル基置換芳香族基(例えばペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル)、複素環残基(例えば1−テトラゾリル)、アゾ基(例えばフェニルアゾ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えばジメトキシホスホリル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基等が挙げられる。
σpの値が0.60以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、脂肪族・芳香族もしくは複素環スルホニル基(例えばトリフルオロメタンスルホニル、ジフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)等が挙げられる。
上記の中でも、R11として好ましいのは、ハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル基(トリフルオロメチル基等)、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基等が挙げられる。
一般式(1)において、L11で表される2価の連結基としては、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、1−メチルビニレン基、1−メチルプロペニレン基、2−メチルプロペニレン基、1−メチルペンテニレン基、3−メチルペンテニレン基、1−エチルビニレン基、1−エチルプロペニレン基、1−エチルブテニレン基、3−エチルブテニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、1−プロピニレン基、1−ブチニレン基、1−ペンチニレン基、1−ヘキシニレン基、2−ブチニレン基、2−ペンチニレン基、1−メチルエチニレン基、3−メチル−1−プロピニレン基、3−メチル−1−ブチニレン基等)、アリーレン基(例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジイル基、3,3′−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等)、ヘテロアリーレン基(例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等)、酸素や硫黄等のカルコゲン原子であってもよい。
また、アルキルイミノ基、ジアルキルシランジイル基やジアリールゲルマンジイル基のような、ヘテロ原子を会して連結する基でもよい。
上記の中でも、特に好ましく用いられるのは、メチレン基、エチレン基である。
一般式(1)において、R15で表されるアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは、炭素数2〜4のアルキル基(例えば、エチル基、i−プロピル基、n−ブチル基等)が挙げられる。
(一般式(2)で表される化合物)
一般式(2)で表される化合物(色素ともいう)について説明する。
一般式(2)において、X21〜X26は、各々酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表すが、好ましくはX21、X22、X24、X26が、硫黄原子またはセレン原子であり、さらに好ましくは硫黄原子である。X23、X25は、各々酸素原子であることが好ましい。
一般式(2)において、R21、R22、R23で各々表される置換基は、一般式(1)において、R11、R12、R13で各々表される置換基と同義である。
また、一般式(2)において、R22、R23で各々表される置換基の好ましい態様は、一般式(1)において、R12、R13で各々表される置換基の好ましい態様と同義である。
一般式(2)において、R21で表される置換基は、一般式(1)において、R11で表される置換基と同義である。
一般式(2)において、L21、L22で各々表される2価の連結基は、一般式(1)において、L11で表される2価の連結基と同義である。
一般式(2)において、R25で表されるアルキル基は、一般式(1)において、R15で表されるアルキル基と同義である。
また、一般式(1)で表される化合物(色素)、一般式(2)で表される化合物(色素)には、該一般式で表される化合物そのものの他に、該化合物から誘導されるイオン及び塩が含まれる。
例えば、分子構造中にスルホン酸基(スルホ基)を有している場合には、該化合物の他にスルホン酸基が解離して生じる陰イオン、及び該陰イオンと対陽イオンとで形成される塩が含まれる。
このような塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の金属イオンと形成した塩であってもよいし、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、アニリン、ジアザビシクロウンデセン等のような有機塩基と形成した塩でもよい。
分子内に塩基性基を有する化合物の場合も同様に該化合物がプロトン化されて生成する陽イオン、及び塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、メチルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の、酸と形成した塩である場合も含まれる。
以下に、本発明に好ましく用いられる一般式(1)または一般式(2)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2009059646
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一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物は、例えばエフ・エム・ハーマ著「シアニン・ダイズ・アンド・リレーテッド・コンパウンズ」(1964,インター・サイエンス・パブリッシャーズ発刊)、米国特許第2,454,629号明細書、同2,493,748号明細書、特開平6−301136号公報、特開2003−203684号公報等に記載された従来公知の方法を参照して合成できる。
これらの化合物(色素)は、吸光係数が大きく、かつ、繰り返しの酸化還元反応に対して安定であることが好ましい。
また、上記化合物(色素)は金属酸化物半導体上に化学的に吸着することが好ましく、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミド基、アミノ基、カルボニル基、ホスフィン基等の官能基を有することが好ましい。
また、光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ、変換効率を上げるため、2種類以上の色素を併用または混合することもできる。この場合、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、併用または混合する色素とその割合を選ぶことができる。
また、上記一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物と併用できる色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2009059646
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《短絡防止層》
本発明の色素増感型太陽電池においては、前述した導電層と金属酸化物半導体電極との間に、短絡防止層を設けることができる。これにより、電解質と金属酸化物半導体の短絡電流を低減することができる。特に、電解質として固体のp型半導体を用いる場合は、この層を有することが好ましい。
短絡防止層としては、可視光を透過する絶縁性物質で、伝導帯のエネルギー準位が金属酸化物半導体のそれに近い値を有するn型半導体であれば特に制限はない。
例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられるものでもよく、例えば、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タングステン等が挙げられる。
短絡防止層の形成方法としては、透明導電層の場合と同様に真空成膜プロセスや、液相コーティング法等により作製することができる。真空成膜プロセスを用いる場合、透明導電層、短絡防止層、金属酸化物膜は大気開放することなく真空下でインライン成膜が可能である。
また、短絡防止層の膜厚は0.001〜0.02μmの範囲が好ましいが、適宜調整することができる。
《電荷移動層》
本発明に係る電荷移動層について説明する。
電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する層である。本発明で用いることのできる代表的な電荷輸送材料の例としては、酸化還元対イオンが溶解した溶剤や酸化還元対イオンを含有する常温溶融塩等の電解液、酸化還元対イオンの溶液をポリマーマトリクスや低分子ゲル化剤等に含浸したゲル状の擬固体化電解質、さらには高分子固体電解質等が挙げられる。
また、イオンが関わる電荷輸送材料の他に、固体中のキャリア移動が電気伝導に関わる材料として、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料を挙げることもでき、これらは併用してすることも可能である。
電荷移動層に電解液を使用する場合、含有する酸化還元対イオンとしては、一般に公知の太陽電池等において使用することができるものであれば特に限定されない。
具体的には、I-/I3-系、Br2-/Br3-系等の酸化還元対イオンを含有させたもの、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオン、コバルト錯体等の金属錯体等の金属酸化還元系、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ビオロゲン色素、ハイドロキノン/キノン等の有機酸化還元系、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィド等のイオウ化合物等を挙げることができる。
ヨウ素系としてさらに具体的には、ヨウ素とLiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物との組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物や4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩等との組み合わせ等が挙げられる。
臭素系としてさらに具体的には、臭素とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物との組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等4級アンモニウム化合物の臭素塩等との組み合わせ等が挙げられる。
溶剤としては電気化学的に不活性で、粘度が低くイオン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く有効キャリア濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。
具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、さらにテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、スルフォラン等非プロトン極性物質等を用いることができる。
好ましい電解質濃度は0.1〜15Mであり、さらに好ましくは0.2〜10Mである。また、ヨウ素系を使用する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01〜0.5Mである。
溶融塩電解質は、光電変換効率と耐久性の両立という観点から好ましい。溶融塩電解質としては、例えば、国際公開第95/18456号パンフレット、特開平8−259543号公報、特開2001−357896号公報、電気化学,第65巻,11号,923頁(1997年)等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩を含む電解質を挙げることができる。
これらの溶融塩電解質は常温で溶融状態であるものが好ましく、溶媒を用いない方が好ましい。
オリゴマー及びポリマ等のマトリックスに電解質あるいは電解質溶液を含有させたものや、ポリマ添加、低分子ゲル化剤やオイルゲル化剤添加、多官能モノマ類を含む重合、ポリマの架橋反応等の手法によりゲル化(擬固体化)させて使用することもできる。ポリマ添加によりゲル化させる場合は、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使用することができる。
オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合は、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。また、ポリマの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマ及び架橋剤を併用することが望ましい。
この場合、好ましい架橋可能な反応性基は、含窒素複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等)等から導出される基であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネート等)である。
電解質の濃度は通常0.01〜99質量%で好ましくは0.1〜90質量%程度である。
また、ゲル状電解質としては、電解質と、金属酸化物粒子及び/または導電性粒子とを含む電解質組成物を用いることもできる。金属酸化物粒子としては、TiO2、SnO2、WO3、ZnO、ITO、BaTiO3、Nb25、In23、ZrO2、Ta25、La23、SrTiO3、Y23、Ho23、Bi23、CeO2、Al23からなる群から選択される1種または2種以上の混合物が挙げられる。
これらは不純物がドープされたものや複合酸化物等であってもよい。導電性粒子としては、カーボンを主体とする物質からなるものが挙げられる。
次に、高分子電解質としては、酸化還元種を溶解あるいは酸化還元種を構成する少なくとも1つの物質と結合することができる固体状の物質であり、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンサクシネート、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィド等の高分子化合物またはそれらの架橋体、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルキレンオキサイド等の高分子官能基に、ポリエーテルセグメントまたはオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として付加したものまたはそれらの共重合体等が挙げられる。
その中でも特にオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として有するものやポリエーテルセグメントを側鎖として有するものが好ましい。
前記の固体中に酸化還元種を含有させるには、例えば、高分子化合物となるモノマーと酸化還元種との共存下で重合する方法、高分子化合物等の固体を必要に応じて溶媒に溶解し、次いで、前記の酸化還元種を加える方法等を用いることができる。酸化還元種の含有量は、必要とするイオン伝導性能に応じて、適宜選定することができる。
本発明では、溶融塩等のイオン伝導性電解質の代わりに、有機または無機あるいはこの両者を組み合わせた固体の正孔輸送材料を使用することができる。有機正孔輸送材料としては、芳香族アミン類やトリフェニレン誘導体類、さらにポリアセチレン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレン) 及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリトルイジン及びその誘導体等の導電性高分子を好ましく用いることができる。正孔(ホール)輸送材料にはドーパントレベルをコントロールするためにトリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO22N]のような塩を添加しても構わない。
無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用いることができる。この目的のp型無機化合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好ましい。
また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが好ましい。
使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5〜5.5eVであることが好ましく、さらに4.7〜5.3eVであることが好ましい。
好ましいp型無機化合物半導体は一価の銅を含む化合物半導体であり、CuI及びCuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。
p型無機化合物半導体を含有する電荷移動層の好ましいホール移動度は10-4〜104cm2/V・秒であり、さらに好ましくは10-3〜103cm2/V・秒である。また、電荷輸送層の好ましい導電率は、10-8〜102S/cmであり、さらに好ましくは10-6〜10S/cmである。
例えば、図1に示す本発明の色素増感型太陽電池において、電荷移動層4を金属酸化物半導体電極(単に、半導体電極ともいう)と対向電極5との間に形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、半導体電極と対向電極5とを対向配置してから両電極間に前述した電解液や各種電解質を充填して電荷移動層4とする方法、半導体電極または対向電極5の上に電解質や各種電解質を滴下あるいは塗布等することにより電荷移動層4を形成した後、電荷移動層4の上に他方の電極を重ね合わせる方法等を用いることができる。
また、半導体電極と対向電極5との間から電解質が漏れ出さないようにするため、必要に応じて半導体電極と対向電極5との隙間にフィルムや樹脂を用いて封止したり、半導体電極と電荷移動層4と対向電極5を適当なケースに収納したりすることも好ましい。
前者の形成方法の場合、電荷移動層4の充填方法として、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセス、または常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換する真空プロセスを利用できる。
後者の形成方法の場合、塗布方法としてはマイクログラビアコーティング、ディップコーティング、スクリーンコーティング、スピンコーティング等を用いることができる。
湿式の電荷移動層においては未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置を施すことになる。またゲル電解質の場合には湿式で塗布して重合等の方法により固体化する方法があり、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもできる。
固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材料の場合には真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対向電極を付与することもできる。
具体的には、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法により電極内部に導入することができ、必要に応じて基材を任意の温度に加熱して溶媒を蒸発させる等により形成する。
電荷移動層5の厚さは10μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは5μm以下であり、特に好ましくは1μm以下である。
また、電荷移動層5の導電率は1×10-10S/cm以上が好ましく、1×10-5S/cm以上であることがさらに好ましい。
《対向電極》
本発明に係る対向電極は、上記の導電性基材と同様に、それ自体が導電性を有する基材の単層構造、またはその表面に対極導電層を有する基材を利用することができる。後者の場合、対極導電層に用いる導電性材料、基材、さらにその製造方法としては、前述した導電性基材の場合と同様で、公知の種々の材料及び方法を適用することができる。
その中でも、I3-イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものを使用することが好ましく、具体的には白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
また、前述と同様にコスト面や可撓性を考慮すると、プラスチックシートを基材として使用し、導電性材料としてポリマー系材料を塗布して使用することも好ましい態様の1つである。
対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層が金属である場合は、その厚さは好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは10nm〜3μmの範囲である。
対向電極の表面抵抗は低い程よく、具体的には表面抵抗の範囲としては50Ω/□以下であることが好ましく、20Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることがさらに好ましい。
前述した図1に示す色素増感型太陽電池においては、導電性基材1と対向電極5のいずれか一方または両方から光を受光してよいので、導電性基材1と対向電極5の少なくとも一方が実質的に透明であればよい。
発電効率の向上の観点からは、導電性基材を透明にして、光を導電性基材側から入射させるのが好ましい。この場合対向電極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対向電極としては、金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチックまたは金属薄膜を使用できる。
対向電極は、前述した電荷移動層上に直接導電性材料を塗布、メッキまたは蒸着(PVD、CVD)するか、対極導電層を有する基材の導電層側または導電性基材単層を貼り付ければよい。
また、導電性基材の場合と同様に、特に対向電極5が透明の場合には、金属配線層を併用することも好ましい態様の1つである。
対極としては導電性を持っており、レドックス電解質の還元反応を触媒的に作用するものが好ましい。例えばガラス、もしくは高分子フィルムに白金、カーボン、ロジウム、ルテニウム等を蒸着したり、導電性微粒子を塗り付けたものが用いうる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例
《太陽電池SC−1の作製》
下記に記載のようにして、図1に示すような色素増感型太陽電池を作製した。
結晶性酸化チタン粉末(日本アエロジル製P25)60gを水1200g中に攪拌しながら添加した後、硝酸14.9gを加えた反応系を80℃に加熱した後、8時間攪拌を続けた。放冷した後、エバポレータにより水分を留去して、粉末状にしてから乳鉢でよく粉砕した。得られた酸化チタン微粒子の平均粒径は15nmであった。
純水125ml、酸化チタン粒子140g、20質量%PEG水溶液435mlを混合後、ミル分散機で分散し、微粒子ペーストAを作製した。
導電性基材としてフッ素をドープした酸化スズをコートした透明導電性ガラス板を使用し、これに該微粒子ペーストAを塗布し、自然乾燥の後、500℃で60分間焼成して、基板上に酸化チタン微粒子からなる多孔質半導体層Aを形成した。
次いで、アセトニトリル:t−ブタノール=1:1溶液200ml中に、色素Iを5g溶解した色素溶液を調製し、上記半導体膜(光電変換材料用半導体層)を基板ごと24時間浸漬した後、アセトニトリル:t−ブタノール=1:1溶液で洗浄、乾燥して、感光層101(金属酸化物半導体電極)を作製した。
Figure 2009059646
対向電極として、ガラス基材上に白金を真空蒸着し電解質を注入するための穴を設けた。前記感光層101を有すガラス基板と前記対向電極とを、6.5mm角の穴を開けた25μm厚のシート状スペーサー兼封止材(SOLARONIX社製SX−1170−25)を用いて向き合うように張り合わせ、カソード電極に設けた電解質注入穴から、体積比が1:4であるアセトニトリル:炭酸エチレンの混合溶媒にテトラプロピルアンモニウムアイオダイド、沃素、t−ブチルピリジンを、それぞれの濃度が0.46モル/リットル、0.06モル/リットル、0.50モル/リットルとなるように溶解したレドックス電解質を入れた電荷移動層を注入し、ホットボンドで穴を塞ぎ、上から前記封止剤を用いてカバーガラスを貼り付け封止した。前記感光性層を有すガラス基板の受光面側に反射防止フィルム(コニカミノルタオプト社製ハードコート/反射防止タイプセルロース系フィルム)を張り合わせ、色素増感型太陽電池封止セルとなる太陽電池SC−1を作製した。
《太陽電池SC−2の作製》
多孔質半導体層Aを40mM TiCl4水溶液に浸漬し、70℃30分間保った後、500℃で30分間焼成して、多孔質半導体層Bを作製した。焼結後の酸化チタンからなるシェル部分の膜厚は2.5nmであった。
次いで、色素溶液に浸漬する工程以降は、太陽電池SC−1の作製において多孔質半導体層Aを多孔質半導体層Bに変更する以外は太陽電池SC−1の作製と同様にして、太陽電池SC−2を作製した。
《太陽電池SC−3の作製》
多孔質半導体層Aをチタンテトライソプロポキシド(和光純薬社製一級)116.520g、テトライソプロポキシジルコニウム(高純度化学製、Zr(OC374)7.832gを混合したエタノール溶液に浸漬した後、500℃で30分間焼成して、多孔質半導体層Cを作製した。焼結後のジルコニウムがドープされた酸化チタンからなるシェル部分の膜厚は2.5nmであった。
次いで、色素溶液に浸漬する工程以降は、太陽電池SC−1の作製において多孔質半導体層Aを多孔質半導体層Cに変更する以外は太陽電池SC−1の作製と同様にして、太陽電池SC−3を作製した。
《太陽電池SC−4の作製》
多孔質半導体層Bをテトライソプロポキシジルコニウム(高純度化学製、Zr(OC374)7.832gのエタノール溶液に浸漬した後、500℃で30分間焼成して、多孔質半導体層Dを作製した。焼結後の酸化ジルコニウムのみからなる第2シェル部分の膜厚は2.5nmであった。
次いで、色素溶液に浸漬する工程以降は、太陽電池SC−1の作製において多孔質半導体層Aを多孔質半導体層Dに変更する以外は太陽電池SC−1の作製と同様にして、太陽電池SC−4を作製した。
《太陽電池SC−5の作製》
太陽電池SC−3の作製において、多孔質半導体層Aを多孔質半導体層Bに変更する以外は太陽電池SC−3の作製と同様にして、太陽電池SC−5を作製した。
《太陽電池SC−6の作製》
太陽電池SC−5の作製において、第2シェルのドーパントをジルコニウムからマグネシウムに変更する以外は太陽電池SC−5の作製と同様にして、太陽電池SC−6を作製した。
《太陽電池SC−7の作製》
太陽電池SC−5の作製において、第2シェルのドーパントをジルコニウムからタンタルに変更する以外は太陽電池SC−5の作製と同様にして、太陽電池SC−7を作製した。
《太陽電池の光電変換特性評価》
上記で得られた太陽電池SC−1〜SC−6の各々にソーラーシミュレーター(JASCO(日本分光)製、低エネルギー分光感度測定装置CEP−25)により100mW/m2の強度の光を照射した時の短絡電流密度Jsc(mA/cm2)、開放電圧値Voc(V)、形状因子ffを求め、これらから下記式により変換効率η(%)を求めて、表1に示した。示した値は、同じ構成及び作製方法の太陽電池3つずつ作製して評価した測定結果の平均値とした。
η=100×(Voc×Jsc×ff)/P
ここで、Pは入射光強度[mW/cm-2]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA・cm-2]、ffは形状因子を示す。
Figure 2009059646
表1から分かるように、本発明の金属酸化物半導体電極を用いたSC−5〜SC−7では高い開放電圧が得られるばかりでなく、高い短絡電流、変換効率が得られ、色素増感型太陽電池としての性能が向上することが明らかである。
本発明の色素増感型太陽電池の基本構造を示す概略断面図である。
符号の説明
1 導電性基材
2 金属酸化物
3 色素
4 電荷移動層
5 対向電極

Claims (5)

  1. 導電性基材上に、色素が表面に吸着された金属酸化物を有する金属酸化物半導体電極、電荷移動層及び対向電極を順次有する色素増感型太陽電池であって、該金属酸化物が、コア微粒子とその表面の少なくとも一部を金属酸化物前駆体で被覆、焼結処理された第1シェル、及びその上層にドーパントを含有する金属酸化物が被覆された第2シェルを有し、かつ該第2シェルの伝導帯準位は該コア微粒子の伝導帯準位より高いことを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 前記ドーパントがZr、Mgから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記第2シェルの主成分となる金属酸化物が、前記コア微粒子を構成する金属酸化物と実質的に同組成であることを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. 導電性基材上に、色素が表面に吸着された金属酸化物を有する金属酸化物半導体電極、電荷移動層及び対向電極を順次有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、該金属酸化物半導体電極の形成工程として、該導電性基材上にコア微粒子の層を形成し、金属酸化物前駆体で被覆、焼結して第1シェルを形成し、次いで金属酸化物前駆体及びドーパントを被覆、焼結して第2シェルを形成する工程を含むことを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
  5. 前記第2シェルの伝導帯準位は前記コア微粒子の伝導帯準位より高いことを特徴とする請求項4に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102005301A (zh) * 2010-11-29 2011-04-06 华东师范大学 一种染料敏化太阳能电池及其制备方法
DE112010001144T5 (de) 2009-03-12 2012-05-16 Asahi Kasei Chemicals Corporation Harzzusammensetzung auf Polypropylenbasis, Formgegenstand daraus undAutomobilinnen- oder Automobilaußenmaterial unter Verwendung desselben
US9029845B2 (en) 2011-12-28 2015-05-12 Panasonic Corporation Electrode composite and photoelectric element equipped therewith

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