JPWO2009144899A1 - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、耐屈曲性及び耐衝撃性を向上させることができる光電変換素子を提供する。本発明は、構造体と、構造体を内蔵する筺体と、構造体と筺体との間に配される変形体とを備え、構造体は、増感色素が担持された多孔質酸化物半導体層を備え、導電性を有した第一電極と、第一電極と対向して配される第二電極と、第一電極と第二電極との間の少なくとも一部に配された電解質と、から少なくともなる光電変換素子である。

Description

本発明は光電変換素子に係り、より詳しくは、曲げ耐久性や耐衝撃性の向上を図った光電変換素子に関する。
近年の環境問題、資源問題等を背景に、クリーンエネルギーとしての太陽電池が期待されている。その中でも、スイスのグレッツェルらのグループなどから提案された色素増感型太陽電池(Dye−Sensitized Solar Cell。以下、DSCという場合がある)は、安価で高い変換効率を得られる光電変換素子として、注目を集めている。
この色素増感型太陽電池は、一般的には厚さ0.5mm以上のガラス基板を用いて作られるため、ほとんど可撓性を有していない。しかし、プラスチックフィルム(例えば、厚さ0.2mm以下のPET、PEN)や、薄いガラス(例えば厚さ0.5mm未満)、金属箔等を電極基板に用いると、フレキシブルタイプの色素増感型太陽電池を作ることができる。フレキシブルタイプの色素増感型太陽電池は、歪みに強いこと、及び薄くて軽いこと等のメリットから小電力向けの付加価値のあるDSCタイプとして以前からよく研究されており、近年は変換効率が非可撓性のものと比べ、遜色ないレベルまで追いついてきている(例えば特許文献1)。
特開平11−288745号公報
しかしながら、このようなフレキシブルタイプのDSCにおいては、打撃やユーザーの曲げすぎによってセルあるいはモジュールに破損が生じ、電解液等が飛散するおそれがある。また、セルあるいはモジュールの可撓性限界以下であってセルあるいはモジュールに破損が生じない場合であっても、屈曲によって、封止樹脂や酸化チタン多孔膜電極の剥離が生じたり、導電膜の抵抗が上昇し、電池としての機能が損なわれる虞があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、屈曲や衝撃に対する耐性を向上させることができる光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明の光電変換素子は、構造体と、前記構造体を内蔵する筺体と、前記構造体と前記筺体との間に配される変形体とを備え、前記構造体が、増感色素が担持された多孔質酸化物半導体層を備え、導電性を有した第一電極と、前記第一電極と対向して配される第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間の少なくとも一部に配された電解質とを有する。
上記光電変換素子によれば、外部から曲げ歪みが与えられた際に、該曲げ歪みが弱い場合には、変形体が変形するため、構造体には変形が起こりにくい。曲げ歪みが強い場合でも、変形体が変形することで、構造体に加わる曲げ歪みを、筺体に与えられる曲げ歪みに比べて十分に低減することができる。更に、打撃のような点ストレスも、変形体により緩和されるため、構造体に支障をきたす虞が減少する。ゆえに、本発明の光電変換素子によれば、曲げ歪みや衝撃に対して耐久力の向上が図れる。
上記光電変換素子においては、変形体が液体であることが好ましい。液体は、固体に比べて変形しやすい。このため、外部から光電変換素子に弱い曲げ歪みが与えられても、その曲げ歪みが変形体中で吸収されるため、構造体には変形がより起こりにくくなる。また強い曲げ歪みが光電変換素子に加えられても、筺体に加わる曲げ歪みを構造体に伝達しにくくすることができる。
上記光電変換素子においては、変形体がゲル状体であってもよい。この場合、仮に筺体に強い曲げ歪みが付与されて筺体が破損することがあっても、変形体がゲル状体であるため、変形体の漏洩の問題がなくなる。
上記光電変換素子においては、変形体がクレーであってもよい。
上記変形体が液体、ゲル状体又はクレーである場合、上記光電変換素子においては、構造体が、変形体中に、自由度を有した状態で配置されていることが好ましい。この場合、構造体は筺体内部の変形体が配された領域の中で移動することが可能となる。このため、強い曲げ歪みが光電変換素子に与えられた場合でも、構造体は筺体内で滑り、曲げ歪みを最小限にする位置に逃げ込むことができるため、構造体には最小限のモーメントと応力しか加わらない。
また上記光電変換素子は、前記筺体の内側に設けられ前記第一電極に対向する第一基板と、前記筺体の内側に設けられ前記第二電極に対向する第二基板とをさらに有し、前記第一電極が第一基材を有し、前記第二電極が第二基材を有し、前記一基板及び前記第二基板の少なくとも一方の曲げ強度が、前記構造体に含まれる前記第一基材及び前記第二基材の少なくとも一方の曲げ強度より小さいことが好ましい。
この場合、仮に光電変換素子に破損が生じる程の強い曲げ歪みが加えられた場合でも、筺体内部の構造体(発電機構)に不都合が生じる前に第一基板又は第二基板が破損又は損傷する。このため、構造体の破損を防止しやすくなるとともに、目視で簡便に該光電変換素子に過大な曲げ歪みが加えられたことを確認できる。また筺体に破損又は損傷が生じていないにもかかわらず、構造体に破損が生じているという事態を防止することもできる。
上記変形体が液体、ゲル状体又はクレーである場合、前記変形体の25℃における粘度は、0.02Pa・s以上200Pa・s以下であることが好ましい。
これにより、構造体が変形体中で、ある程度の自由度を有して動けるようになる。この場合、粘度が上記範囲を外れた場合に比べて、筺体内での構造体の自由度がより大きくなり、光電変換素子を屈曲した際に、筺体内で構造体がより自由に滑ることができるようになる。このため、応力の集中を抑制できる。また粘度が上記範囲内にあると、構造体と筐体との間に変形体を保持しやすくなる。即ち、構造体と筐体とを互いに離間した状態に保持することができる。言い換えると、構造体と筺体とが接することを十分に抑制できる。このため、筺体内における構造体の自由度が増加し、光電変換素子が屈曲した際に生じる応力が構造体に集中することをより十分に抑制することができる。その結果、構造体に損傷が生じる可能性をより十分に低減することができる。
上記光電変換素子においては、前記筺体と前記構造体との間全域に前記変形体が配していることが好ましい。
この場合、筺体のいかなる部分に加えられる曲げ歪みや衝撃に対しても耐久力の向上が図れる。
上記光電変換素子においては、前記構造体と外部とを電気的に接続する配線が、筺体内においてたわむように配されていることが好ましい。
この場合、筺体内で配線がたわむように配されているため、光電変換素子に屈曲や衝撃が生じた際に、構造体に応力が加わっても、その応力が、配線のたわみ部によって吸収される。このため、構造体に損傷が生じたり、あるいは配線の断線、または構造体に接続された配線が構造体から外れたりすることが十分に防止される。
上記光電変換素子においては、前記筐体の内壁と前記構造体との間に乾燥剤が配されていることが好ましい。
この場合、筺体内に水分が浸入したとしても、乾燥剤が該水分を吸収するので、構造体に水分が浸入することをより抑制することができる。
本発明の光電変換素子によれば、屈曲や衝撃に対する耐性を向上させることができる。
本発明の第一実施形態に係る光電変換素子を模式的に示す縦断面図である。 図1の二点鎖線で囲まれる領域Aを拡大した模式図である。 図1の第一電極とは異なる例を模式的に示す斜視図である。 図1の光電変換素子において、構造体に配線を設けた一例を模式的に示す断面図である。 図1の光電変換素子において、筺体に乾燥剤を設けた一例を模式的に示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る光電変換素子を模式的に示す断面図である。 本発明の光電変換素子をモジュールとした際の光電変換素子を、模式的に示した断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光電変換素子を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を、図面を参照して詳細に説明するが、本発明は図面に示されるものに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
<第一実施形態>
図1は、本発明の光電変換素子の第一実施形態を模式的に示す縦断面図である。図2は、図1において二点鎖線で囲む領域Aを拡大した模式図である。
本実施形態の光電変換素子1は、構造体50と、構造体50を内蔵する筺体60と、構造体50と筺体60との間に配される変形体70とを備えている。構造体50は、増感色素が担持された多孔質酸化物半導体層13を備え、導電性を有した第一電極10と、第一電極10と対向して配される第二電極20と、から少なくともなる。第一電極10及び第二電極20は、封止材40で接合され、封止材40により、第一電極10と第二電極20との間に電解質30が封止されている。なお、本実施形態においては、第一電極10側から入射する光を主に利用する場合に関して説明する。
以下、それぞれについて詳細に説明する。
第一電極10は、多孔質酸化物半導体層13を備えた導電性の基板であり、例えば第一基材11と、第一基材11の一面11aに配された透明導電膜12と、第一基材11の一面11a上に透明導電膜12を介して配された多孔質酸化物半導体層13とからなる透明な電極である。
第一基材11としては、可撓性な基板が用いられ、このような可撓性を有する基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等のプラスチックシートのほか、低アルカリガラス等が挙げられる。
第一基材11としてプラスチックシートを用いる場合は、その厚さは、例えば0.009mm以上3mm以下である。
第一基材11として低アルカリガラスを用いる場合は、LiO、NaO等のアルカリ酸化物含有量が5%以下であることが好ましい。また、その厚さは、例えば0.05mm以上0.3mm以下である。
第一基材11としては、できる限り光透過性に優れるものが好ましく、透過率が85%以上の基板がより好ましい。
さらに、この第一基材11は、例えば図3に示すように、透明導電膜12と多孔質酸化物半導体層13とからなる発電層を形成したセルユニットCを、その一面11aに複数(図示例では4つ)、二次元的に並べて配置したモジュールとしてもよい。これにより、任意の素子出力に設定される、大面積化と軽量化が両立された光電変換素子を得ることができる。
多孔質酸化物半導体層13としては、特に限定されず、通常、光電変換素子の多孔質酸化物半導体を形成するのに用いられるものであればどのようなものも用いることができる。このような酸化物半導体としては、例えば、TiO、SnO、WO、ZnO、Nb、In、ZrO、Y、Alなどを用いることができる。
多孔質酸化物半導体層13に担持される増感色素としては、例えば、ルテニウム錯体や鉄錯体、ポルフィリン系あるいはフタロシアニン系の金属錯体の他、エオシン、ローダミン、メロシアニン、クマリンなどの有機色素が挙げられる。これらを用途や多孔質酸化物半導体層13の材料に応じて適宜選択して用いる。
透明導電膜12は、第一電極10に導電性を付与するために、第一基材11の一面11aに配された薄膜である。第一電極10の透明性を著しく損なわない構造とするために、透明導電膜12は導電性金属酸化物からなる薄膜であることが好ましい。
透明導電膜12を形成する導電性金属酸化物としては、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などが用いられる。透明導電膜12は、上記導電性酸化物かならなる膜の単層であってもよいし、積層膜であってもよい。
ここで、透明導電膜12は、FTOのみからなる単層の膜、または、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜とすることが好ましい。この場合、耐薬品性や耐熱性に優れ、可視域における光の吸収量が少なく、導電性が高い第一電極10を構成することができる。
第二電極20は、第一電極10に対向して配置され、第二基材21と、第二基材21の一面に配された導電膜22と、導電膜22を介して配された触媒23とからなる電極である。
第二基材21としては可撓性な基板が用いられ、このような可撓性を有する基板としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等のプラスチックシートのほか、低アルカリガラス等の透明基板や、可撓性を有する合成樹脂板や金属箔等を用いることができる。
導電膜22としては、例えば金属膜や導電性金属酸化物膜などが用いられるが、これらに特に限定されず、通常、光電変換素子の導電膜を形成するのに用いられるものであればどのようなものも用いることができる。なお、第二基材21が導電性である場合は、この導電膜22を設けなくてもよい。
第二電極20の触媒層23は、第二電極20に電解質30との電荷のやりとりをする速度を向上させるための触媒活性を付与するために導電膜22を介して第二基材21上に配された薄膜である。触媒層23としては、例えば炭素や白金などの層が好適に用いられる。この層は、白金などを導電膜22の表面に蒸着法又はスパッタ法によって形成したり、塩化白金酸を導電膜22の表面に塗布した後に熱処理を行ったりすることによって得ることができる。但し、触媒層23は、第二電極20を電極として機能させることができるものであれば、上記の炭素や白金の層に特に限定されるものではない。
電解質30は、電解液を第一電極10と第二電極20との間、及び多孔質酸化物半導体層13内に電解液を含浸させたものである。また、この電解液を適当なゲル化剤を用いてゲル化(擬固体化)して、第一電極10と第二電極20とに一体形成されてなるもの、または、酸化物半導体粒子や導電性粒子を含むゲル状の電解質などを用いることができる。
このような電解液としては、酸化還元種を含む有機溶媒、イオン液体などを用いることができる。
有機溶媒は特に限定されるものでは無いが、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどの有機溶媒を用いることができる。イオン液体としては、例えばイミダゾリウム系カチオンやピロリジニウム系カチオン、ピリジニウム系カチオンなどといった四級化された窒素原子を有するカチオンなどとヨウ化物イオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン、ジシアノアミドアニオン、チオシアン酸アニオンなどからなるイオン液体などを選ぶことができる。
酸化還元種も特に限定されるものではなく、このような酸化還元種としては、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオンなどを選ぶことができる。たとえば前者の酸化還元種は、ヨウ化物塩(リチウム塩、四級化イミダゾリウム塩の誘導体、テトラアルキルアンモニウム塩などを単独で、あるいは、複合して用いることができる。)とヨウ素を単独で、あるいは、複合して添加することにより与えることができる。電解液には、さらに、必要に応じて、4−tert−ブチルピリジン、N−メチルベンズイミダゾール、グアニジニウム塩の誘導体などの種々の添加物を加えてもよい。
封止材40は、第一電極10と第二電極20を対向させて接着し、第一電極10と第二電極20との間に電解質30を封止するものである。このような封止材40としては、第一基材11及び第二基材21に対する接着性に優れるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、分子鎖中にカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂からなる接着剤やUV硬化樹脂などが望ましく、具体的には、ハイミラン(三井デュポンポリケミカル社製)、バイネル(デュポン社製)、ニュクレル(三井デュポンポリケミカル社製)、31X101(スリーボンド社製)などが挙げられる。
構造体50は、第一電極10、第二電極20、第一電極10と第二電極20との間に配された電解質30、及び第一電極10及び第二電極20とを接合し、電解質30を封止する封止材40とからなる色素増感型太陽電池である。構造体50は、セルであっても、モジュールであってもよい。また、構造体50の一端を、筺体60と接合してもよい。なお、一端とは、辺であってもよいし、点であってもよい。ここで、上記接合により、構造体50は、筺体60に対して自由度を有した状態で配されていることが好ましい。この場合、構造体50は、筺体60に対して移動可能となる。上記接合は、例えばたわみ部を有する配線によって実現することができる。
筺体60は、変形体70を介して構造体50を包み込むものである。筺体60は、例えば第一電極10側に配される基板61と、第二電極20側に配される基板62と、基板61,62を接着する接着層63とからなる。第一電極10側に配される基板61は、第一電極10への光の入射を阻害しないため、十分な光透過性を有するものが良く、透過率が85%以上のものが好ましい。また、筺体60内に内包された構造体50を外部の衝撃から守るため、基板61は耐衝撃性樹脂であることが好ましい。このような耐衝撃性樹脂としては、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。第二電極20側に配される基板62は、光透過性を有する必要はない。従って、第一電極10側に配する基板61として例示した上記ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートに加え、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ABS樹脂などの他の合成樹脂等を用いることもできる。
第一電極10側に配される基板61の厚さは、2mm〜4mmであり、第二電極20側に配される基板62の厚さは1mm〜3mmであることが好ましい。光が入射する側の基板61は、設置した際に雹等から外力を受けやすいため、やや厚くすることでこれら外力に対して耐久性を得ることができる。
また、筺体60に含まれる基板61,62が変形体70と接する面には、バリア膜(図中非表示)を配することが好ましい。バリア膜を配することで、筺体60内に水分が浸入することをより防ぐことができる。バリア膜は例えばシリカ、ポリビニルアルコール等よりなり、ゾルゲル法等によって形成することができる。
変形体70は、構造体50と筺体60との間に配されたものであり、本実施形態では液体で構成されている。この液体としては、例えば水、アルコールなどの親水性液体、オイル、親油性有機溶媒などの親油性液体などが挙げられるが、この液体としては、筺体60内への水分の浸入を抑制でき、ひいては構造体50内への水分の浸入を抑制できることから、水との親和性が低い親油性液体が好ましい。このような親油性液体としては、適度な粘度を有し、変形体70中に構造体50を筺体60の内壁面から離間した状態で保持することが可能であることから、オイルが好ましい。このようなオイルとしては、例えばシリコンオイル、ミネラルオイル等が挙げられる。中でも、化学的安定性に優れ、広い温度範囲で粘度が安定であることから、シリコンオイルを用いることが好ましい。シリコンオイルを用いる際には、シリコンオイルは、グローブボックス等の中で十分に乾燥させて用いることが好ましい。変形体70に含有される水分量は、1wt%以下に保持されていることが好ましい。これにより、構造体50への水分の浸入を十分に防ぐことができる。
光電変換素子1では、構造体50が筺体60に包まれ、構造体50と筺体60との間には変形体70が配されている。従って、外部から光電変換素子1に曲げ歪みを与えた際に、変形体70が変形する。このため、該曲げ歪みが弱い場合には、その曲げ歪みが変形体70で吸収され、構造体50では変形が起こりにくくなる。曲げ歪みが強い場合でも、変形体70が変形することで、構造体50に加わる曲げ歪みを、筺体60に与えられる曲げ歪みに比べて十分に低減することができる。更に、打撃のような点ストレスも、筺体60及び変形体70により緩和されるため、構造体50に支障をきたす虞が減少する。ゆえに、光電変換素子1によれば、曲げ歪みや衝撃に対して耐久力の向上が図れる。
特に本実施形態では変形体70が液体で構成されている。液体は、固体に比べて変形しやすい。このため、外部から光電変換素子1に弱い曲げ歪みが与えられても、変形体70が固体である場合に比べて、その曲げ歪みが変形体70中で吸収されやすく、構造体50においてより変形が起こりにくくなる。また強い曲げ歪みが光電変換素子1に加えられても、変形体70が固体である場合に比べて、筺体60に加わる曲げ歪みを構造体50に、より伝達しにくくすることができる。
また構造体50が、筺体60に対して自由度を有した状態で配されている場合、光電変換素子1に屈曲が生じた際に、構造体50に曲げ歪みが加わろうとすると、構造体50は、筺体60に対して移動することが可能となる。このため、構造体50に加わる、屈曲や衝撃等によって生じた応力を十分に低減することができ、構造体50に破損又は損傷が生じることを十分に抑制できる。曲げ歪みが強い場合でも、構造体50は筺体60内で自由度を持って変形体70内に配しているため、該曲げ歪みによって筺体内60で滑り、最小限のモーメントと応力しか生じない。このため、構造体50に破損又は損傷が生じることを十分に抑制できる。
本実施形態において、筐体60の内面を透明なシート(不図示)で覆うこともできる。透明なシートを配することで、仮に構造体50と筐体60とに破断が生じた際には、該シートにより内容物の飛散を防ぐことができる。このような透明なシートとしては、例えば、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
変形体70は、用途上、できる限り光透過性に優れるものが好ましく、可視光領域における光透過率が70%以上95%以下であることが好ましく、より好ましくは80%以上95%以下である。
変形体70の25℃における粘度は0.02Pa・s以上200Pa・s以下であることが好ましい。これにより、構造体50が変形体70中である程度の自由度を有して動けるようになる。この場合、粘度が上記範囲を外れた場合に比べて、筺体60内での構造体50の自由度がより大きくなり、光電変換素子1を屈曲した際に、筺体60内で構造体50がより自由に滑ることができるようになる。このため、応力の集中を抑制できる。また粘度が上記範囲内にあると、構造体50と筐体60との間に変形体70を保持しやすくなる。即ち、構造体50と筐体60とを互いに離間した状態に保持することができる。言い換えると、構造体50と筺体60とが接することを十分に抑制できる。このため、筺体60内における構造体50の自由度が増加し、光電変換素子1が屈曲した際に生じる応力が構造体50に集中することをより十分に抑制することができる。その結果、構造体50に損傷が生じる可能性をより十分に低減することができる。
構造体50と筺体60との間に配された変形体70は、構造体50の外面全面を覆っていることが好ましい。言い換えると、構造体50は、筺体60の内壁面から離間した状態で変形体70中に保持されていることが好ましい。これにより、筺体60内に水分等が浸入しても、その水分等の構造体50への浸入経路が変形体70によって遮断されるため、水分等の浸入をより効果的に抑制することができる。従って、色素や触媒等が水分により変質することを防ぐことができる。また構造体50の外面全体が変形体70によって覆われているため、光電変換素子1のガス遮蔽性が向上する。具体的には、構造体50内の電解液の気化によるガスの遮蔽性が向上する。このため、構造体50内の電解液の蒸発等を抑制することができ、構造体50における有効発電面積の低下を抑制することができる。ゆえに、長期にわたり光電変換効率が安定した信頼性の高い光電変換素子1を提供することが可能となる。
加えて構造体50の外面全体が変形体70によって覆われているため、外部からのいかなる方向からの衝撃をも緩和することが可能となり、衝撃に対する耐久力の方向依存性をなくすことができる。また、筺体60内における構造体50の自由度が増すため、光電変換素子1の屈曲や衝撃等に対してより効果的に構造体50の損傷を抑制することができる。
図4に示すように、構造体50と外部とを電気的に接続する配線αのうち、筺体60内に配された配線αの一部は撓んでいても撓んでいなくてもよいが、たわむように、たわみ部α1を設けて配されることが好ましい。この場合、配線αがたわむように筺体60内で配されているため、光電変換素子1に屈曲や衝撃が生じた際に、構造体50に応力が加わっても、構造体50は、筺体60内で自由に移動することができる。即ち、構造体50に加わる応力を低減することができる。このため、屈曲や衝撃によって生じた応力によって、構造体50に損傷が生じたり、配線αの断線が起こったり、あるいは構造体50に接続された配線αが構造体50の第一電極10または第二電極20から外れたりすることが十分に防止される。
配線αとしては、例えばフレキシブルプリント基板を用いることができる。配線αと第一電極10または第二電極20との接合は、導電性接着剤やはんだ等で電気的に接合することが好ましい。また図4では、第一電極10または第二電極20に接続された配線αは、筺体60の基板62に設けた貫通孔62cを通して筺体60外に引き出されているが、配線αは、基板62に設けた貫通孔62cを通して筺体60外に引き出される態様に特に限定されるわけではなく、筐体60の基板61に貫通孔を設け、この貫通孔を介して筺体外に引き出されていてもよい。本実施形態では、変形体70として液体が用いられているため、貫通孔62cは、配線αを通した後、樹脂β、例えばUV硬化樹脂等により塞ぐことが必要となる。
また、図5に示すように、筐体60内壁と構造体50との間に乾燥剤7を配することが好ましい。この際、乾燥剤7は、筺体60内に入射する光を遮らないように配置する。特に、乾燥剤7を筺体60が変形体70と接する面、あるいは、変形体70中に配することが好ましい。仮に筺体60内に水分が浸入したとしても、乾燥剤7が該水分を吸収するので、構造体50に水分が浸入することをより抑制することができる。このような乾燥剤7としては、ゼオライトが挙げられ、そのうちモレキュラーシーブスが好ましい。
乾燥剤7を筺体60に設ける場合、筺体60が変形体70と接する面62aに取り付けてもよいし、面62aに凹部62bを設け、凹部62bに乾燥剤7を配してもよい。
面62aに凹部62bを形成せずに乾燥剤7を設置する場合、乾燥剤7は面62aから突出した状態となる。このため、光電変換素子1に屈曲あるいは衝撃が加わった際に、乾燥剤7を介して構造体50に損傷を与えないよう筺体60の内部空間における隅に設けることが好ましい。
また、凹部62bを設けて乾燥剤7を設置する場合、図5に示すように、凹部62bは、その深さが基板62の厚さの半分程度、直径が1mm程度の円柱状の凹部62bが好ましい。凹部62bは、複数個設けることが好ましい。なお、凹部62bは、乾燥剤7を収容することのみならず、光電変換素子1に曲げが加わった際に、構造体50よりも先に筐体60を破断しやすくし、該光電変換素子1の損傷の有無を目視で確認しやすくできるという効果も奏する。
また、複数の乾燥剤7をバッグ等に包んで、変形体70中に配してもよい。この場合、乾燥剤7を包んだバッグが、第一電極10への光の入射、及び光電変換素子1に衝撃や屈曲が生じた際に構造体50に損傷を与えないように配することが好ましい。このバッグは具体的には、封止材40と接着層63との間、第二基板62と第二電極20との間に配置すればよい。
乾燥剤7を配することで、変形体70が含有する水分量を、長期にわたり1wt%以下に保持することが可能となる。これにより、構造体50への水分の浸入をより効果的に抑制することができる。
また、筺体60をなす基板61,62の少なくとも一方は、構造体50をなす第一基材11及び第二基材21の少なくとも一方よりも屈曲に対して耐久力が弱いことが好ましい。即ち、基板61、62の少なくとも一方は、構造体50の曲げ限界より小さい歪みで破断するものが好ましい。別言すると、筺体60の基板61及び基板62の少なくとも一方の曲げ強度が、第一電極10の第一基材11及び第二電極20の第二基材21の少なくとも一方の曲げ強度より小さいことが好ましい。
この場合、仮に光電変換素子1に破損または損傷が生じる程の強い曲げ歪みが加えられた場合でも、筺体60の内部の構造体50(発電機構)に不都合が生じる前に、即ち機能上の障害が現れるよりも先に、筐体60が破断又は損傷する。このため、構造体50の破損を防止しやすくなるとともに、目視で簡便に該光電変換素子1に過大な曲げ歪みが加えられたことを確認できる。また筺体60に破損が生じていないにもかかわらず、構造体50に破損が生じているという事態を防止することもできる。
具体的には、構造体50の第一基材11、第二基材21として、薄いガラスが用いられる場合、基板61,62として、厚みのあるスチロール樹脂などが用いられる。あるいは、基板61,62は、第一基材11、第二基材21と同一の樹脂で構成されてもよく、この場合、例えば基板61,62に凹部を形成することにより、基板61,62の曲げ強度を、第一基材11、第二基材21の曲げ強度より小さくすることができる。
<第二実施形態>
図6は、本発明の光電変換素子の第二実施形態を模式的に示す断面図である。
本実施形態の光電変換素子2は、構造体50と、構造体50を内蔵する筺体80と、構造体50と筺体80との間に配される変形体70とを備えている。構造体50は、増感色素が担持された多孔質酸化物半導体層13を備え、導電性を有した第一電極10と、第一電極10と対向して配される第二電極20と、から少なくともなる。また、第一電極10及び第二電極20は、封止材40で接合され、封止材40により、第一電極10と第二電極20との間に電解質30が封止されている。本実施形態が第一実施形態と異なる点は、筐体80の一部としてラミネートバッグ83を用いている点である。
構造体50、変形体70、乾燥剤7、配線αに関しては、第一実施形態の光電変換素子1と同様である。
筺体80は、第一電極10側に配された基板81と、第二電極20側に配された基板82と、両基板81,82を包み込むラミネートバッグ83とからなる。第一電極10に配された基板81、及び第二電極20側に配された基板82は、第一実施形態の筺体60を成す基板61,62とそれぞれ同様である。ここで、基板81,82はラミネートバッグ83の内側に固定されている。
ラミネートバッグ83は、第一電極10側に配された基板81、第二電極20側に配された基板82、構造体50及び変形体70を内包して密閉するものであって、ガスバリア性を有するものが好ましい。このようなラミネートバッグ83は、例えば2枚のフィルムの縁部同士をヒートシールすることによって得ることができる。このとき用いられるフィルムとしては、例えば耐湿エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールからなるフィルムが挙げられる。あるいは、これらのフィルムにアルミ又はシリカを蒸着してなるアルミ蒸着フィルム又はシリカ蒸着フィルム等を用いることもできる。但し、上記のうち、アルミ蒸着フィルムは、光の非入射側の基板、即ち、基板82にのみ用いることができる。
光電変換素子2では、構造体50が筺体80に包まれ、構造体50と筺体80との間には変形体70が配されている。従って、外部から光電変換素子2に曲げ歪みを与えた際に、変形体70が変形する。このため、該曲げ歪みが弱い場合には、その曲げ歪みが変形体70で吸収され、構造体50では変形が起こりにくくなる。曲げ歪みが強い場合でも、変形体70が変形することで、構造体50に加わる曲げ歪みを、筺体80に与えられる曲げ歪みに比べて十分に低減することができる。更に、打撃のような点ストレスも、筺体80及び変形体70により緩和されるため、構造体50に支障をきたす虞が減少する。ゆえに、光電変換素子2によれば、曲げ歪みや衝撃に対して耐久力の向上が図れる。
特に本実施形態でも変形体70が液体で構成されている。液体は、固体に比べて変形しやすい。このため、外部から光電変換素子2に弱い曲げ歪みが与えられても、変形体70が固体である場合に比べて、その曲げ歪みが変形体70中で吸収されやすく、構造体50においてより変形が起こりにくくなる。また強い曲げ歪みが光電変換素子2に加えられても、変形体70が固体である場合に比べて、筺体60に加わる曲げ歪みを構造体50に、より伝達しにくくすることができる。
また構造体50が、筺体80に対して自由度を有した状態で配されている場合、光電変換素子2に屈曲が生じた際に、構造体50に曲げ歪みが加わろうとすると、構造体50は、筺体80に対して移動する。このため、構造体50に加わる、屈曲や衝撃等によって生じた応力を十分に低減することができ、構造体50に破損又は損傷が生じることを十分に抑制できる。曲げ歪みが強い場合でも、構造体50は筺体80内で自由度を持って変形体70内に配しているため、該曲げ歪みによって筺体内80で滑り、最小限のモーメントと応力しか生じない。このため、構造体50に破損又は損傷が生じることを十分に抑制できる。
また、筺体80をなす基板81,82が、構造体50をなす基材11,21よりも屈曲に対して耐久力が弱いこと、即ち、筺体80の基板81,82の曲げ強度が、第一電極10の第一基材11及び第二電極20の第二基材21の曲げ強度より小さいことが好ましいのは第一実施形態と同様である。この場合、仮に光電変換素子2に破損または損傷が生じる程の強い曲げ歪みが加えられた場合でも、筺体80の内部の構造体50(発電機構)に不都合が生じる前に、即ち機能上の障害が現れるよりも先に、筐体80が破断又は損傷する。このため、構造体50の破損を防止しやすくなる。またラミネートフィルム83のうち少なくとも基板81側の部分は、構造体50の第一電極10に光を導くために光透過性を有する。このため、該光電変換素子2に過大な曲げ歪みが加えられて基板81が破損等した場合でも、その状態を、ラミネートフィルム83を通して目視で簡便に確認することができる。さらに筺体80に破損が生じていないにもかかわらず、構造体50に破損が生じているという事態を防止することもできる。
また本実施形態においては、ラミネートバッグ83により構造体50、及び基板81,82が内包されているため、仮に基板81又は基板82が破損等しても、内容物の飛散を防ぐこともできる。
また、変形体70が筺体80と構造体50との間で構造体50の外面全体を覆うように配されている場合、光電変換素子2のガス遮蔽性を向上させることができる。従って、電解液の蒸発等を抑制することができ、有効発電面積が低下することを防ぐことができる。また、変形体70を配したことで構造体50内へ水分が浸入することを抑制することもできる。従って、色素や触媒等が水分により変質することを防ぐことができる。ゆえに、長期にわたり光電変換効率が安定した信頼性の高い光電変換素子2を提供することが可能となる。
第二実施形態においても、第一実施形態の光電変換素子1と同様に、配線α、乾燥剤7を設けることができる。
なお、上述した第一実施形態及び第二実施形態の光電変換素子(図1〜図6に示す光電変換素子)においては、第一電極10側から入射した光が主に利用されるとして説明したが、第二電極20側から入射する光が主に利用されるようにすることもできる。
この際、第一基材11は光透過性を有する必要がないことから、上述したものに加え、例えば厚さが0.009〜0.2mmの金属箔等を利用することもできる。第一基材として金属箔を利用する際は透明導電膜12は不要である。なお、第一電極10として金属箔を用いる場合は、Ni、W、Nb、Ti、Al等の、電解液に耐久性のあるものが用いることが望ましい。特にレドックスI/I 系ではTiが良い。
また、第二基材20としては、光透過性を有する必要があり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等のプラスチックシートのほか、低アルカリガラス等の透明基板(透過率が85%以上の基板が好ましい)を用いる。
筐体60,80に関しては、第一電極10側の基板61,81は光透過性を有する必要はないため、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等に加え他の合成樹脂等を用いることができる。また、第一電極10側に配する基板61,81の厚さは1mm〜3mm、第二電極20側に配する基板62,82の厚さは2mm〜4mmであることが好ましい。光が入射する側は、設置した際に雹等から外力を受けやすいため、やや厚くすることでこれら外力に対して耐久性を得ることができる。
<作製方法:第一実施形態>
次に、本発明の第一実施形態に係る光電変換素子1の製造方法について説明する。
まず、構造体50を形成する。
(第一電極の作製)
第一基材11及びこの第一基材11の一面11aに配された透明導電膜12からなる第一電極用基板を用意する。構造体50がモジュールである場合には、例えば、第一基材11上に所望なサイズの導電膜12を複数形成する、あるいは第一基材11a上の全面に透明導電膜12を形成し、透明導電膜12にスリットを形成する方法が挙げられる。
第一基材11の上に透明導電膜12を形成する方法としては、透明導電膜12の材料に応じて適当な方法を選択できる。このような方法としては、例えば、スパッタ法やCVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法などが挙げられる。これらの方法により、ITO、FTO、SnOなどの酸化物半導体からなる薄膜を形成する。透明導電膜12は、厚過ぎると光透過性が劣り、一方、薄過ぎると導電性が劣ってしまうことになる。このため、光透過性と導電性の機能を両立させることを考慮すると、0.1〜1μm程度の膜厚範囲が好ましい。
透明導電膜12にスリットを形成する場合は、透明導電膜12の材料に応じて適当な方法を選択できる。具体例としては、エキシマレーザー、YAGレーザー、COレーザー、エアジェット、ウォータジェットによる加工、エッチング加工、機械的加工などが挙げられる。これにより、透明導電膜12は、図3に示すように、複数の領域(図3では4つの領域)に分離される。スリットのピッチは、光電変換素子1のセルのサイズに応じて、適宜設定することができる。
次に、透明導電膜12の上に、多孔質酸化物半導体層13を形成する。ここでは多孔質酸化物半導体層13は、まだ色素を担持していないものである。多孔質酸化物半導体層13は、例えば酸化チタンなどの酸化物半導体ペーストをスクリーン印刷等やインクジェットプリント法などの印刷方法を用いてパターニングしたのち、微粒子の焼結に必要な温度に加熱して多孔質膜とする方法などにより、形成することができる。光散乱粒子なしの多孔質酸化物半導体層と、光散乱粒子入りの多孔質酸化物半導体層とを積層する場合は、光散乱粒子なしペーストの印刷及び焼結を順次行って多孔質酸化物半導体層を形成した後、その上に光散乱粒子入りペーストの印刷及び焼結を順次行って多孔質半導体層を形成することができる。
次に、透明導電膜12と多孔質酸化物半導体層13が形成された第一基材11を、例えば色素が溶解した脱水エタノールに一昼夜浸漬させ、多孔質酸化物半導体層13に色素を担持させる。その後、余分な色素溶液を除去するために洗浄し、多孔質酸化物半導体層13の乾燥を行い、溶媒を除去する。こうして第一電極10を作製する。
(第二電極の作製)
第二基材21及びこの第二基材21の一面21aに配された導電膜22からなる第二電極用基板を用意する。なお、第二基材21が導電性である場合、導電膜22がなくてもよい。その後、導電膜22上に触媒23をスパッタ等で成膜する。構造体50がモジュールである場合には、例えば、第二基材21上に所望なサイズの導電膜22を複数形成する、あるいは第二基材21上の全面に導電膜22を形成し、導電膜22にスリットを形成する方法が挙げられる。もしくは、所望なサイズの第二基材21を複数枚用意する。導電膜22及びスリットの形成方法は、第一基材11に透明導電膜12を形成する際と同様である。こうして第二電極20を作製する。
その後、第二電極20の隅に電解液注入穴(図示せず)を形成する。
(構造体の組み立て)
上記で作製した第一電極10と、第二電極20とを電極取り出しのためにずらした状態で対向させ、周囲を封止材40で貼り合わせて袋状にする。
なお、第一電極10と第二電極20を対向させてずらす際、3mm〜5mm程度ずらせば十分である。また、封止材40は第一基材11aからの高さが多孔質酸化物半導体層13の厚さよりも大きいことが好ましい。具体的には封止材40の厚さは30μm〜150μm程度である。
図7は、構造体50がモジュールである場合の光電変換素子を模式的に示す断面図である。図7に示すように、封止材40は、隣のセル同士を繋ぐための第一封止材41、隣のセルと絶縁するための第二封止材42、電解液の揮発を防ぐための第三封止材43、及び、外部への電極を取り出すための第四封止材44を適切に組み合わせて作製する。
第一封止材41としては、例えば、導電性粒子と結着剤(樹脂やセラミックなど)等を配合した導電性接着剤や導電性ペースト等を用いることができる。第一電極10の一端と、隣接するセルの第二電極20の一端とが電気的に接続するように第一封止材41を配することで、隣接したセル同士を電気的に接続することができる。第一封止材41として導電性ペーストを用いた際には、第二電極20が第一封止材41に接触した状態で該導電性ペーストを焼成することで、第二電極20を第一封止材41の上面に固定することができる。第二導電極20と第一封止材41との接合強度を高めるため、導電性ペーストを焼成する際には、第二電極20と第一封止材41とを加圧することが望ましい。
第二封止材42としては、例えばアイオノマーなどのホットメルト樹脂(ホットメルト接着剤)や紫外線硬化樹脂、低融点ガラスなどの絶縁体が挙げられる。この第二封止材42を第一電極10と第二電極20とが接続された部分に形成することで、隣接するセル同士を絶縁することができる。第二封止材42は、ホットメルト接着剤などを、セル間の隙間に塗布する方法等で形成することができる。
第三封止材43としては、上述した第一実施形態の封止材40と同様で、例えば紫外線硬化樹脂を用いることができる。具体的には、ハイミラン(三井デュポンポリケミカル社製)、バイネル(デュポン社製)、ニュクレル(三井デュポンポリケミカル社製)、31X101(スリーボンド社製)などが挙げられる。紫外線硬化樹脂を用いると、熱を使用することがないので、色素へのダメージがなく望ましい。この第三封止材43は、第一電極10と第二電極20とを接合し、構造体から電解液の揮発を防ぐことができる。
第四封止材44としては、例えばカーボンペースト等の導電性ペーストを用いることができ、この場合、導電性ペーストとしては、カーボン粒子などの導電性粒子、バインダー、溶媒その他を混練してペースト状にしたものを用いることができる。カーボンペーストの具体例としては、無機結着剤、異性混合テルピネオール、グラファイト粉末、エチルセルロースを、0.02〜0.2:1:0.02〜0.2:0.02〜0.2の比で配合したペースト、あるいは、無機結着剤、エチルカルビトール、グラファイト粉末、エチルセルロース、トルエンを0.02〜0.2:1:0.02〜0.2:0.02〜0.2:0.01〜0.1の比で配合したペースト等が挙げられる。第四封止材44は、透明導電膜12上または導電膜22上からセル外へ取り出して形成する。
次に、多孔質酸化物半導体層13の内部に電解液を充填する。多孔質酸化物半導体層13への電解液の充填は、第二電極20に設けた電解液注入穴(不図示)から電解液を注入し、電解液を第一電極10と第二電極20の間、及び多孔質酸化物半導体層13に含浸させることで行うことができる。電解液の注入後、電解液注入穴を例えば紫外線硬化樹脂等で液密に塞ぎ、電解液が注入された空間を封止する。電解液注入穴を封止する樹脂が紫外線硬化樹脂であると、熱を使用することがないので、色素へのダメージがなく望ましい。
こうして構造体50が得られる。
次に、配線αを第一電極10及び第二電極20の電極取り出し部にそれぞれ電気的に接続する。配線αを電気的に接続するには、導電性接着剤あるいは半田等で接続することが好ましい。
以上の工程により、配線付き構造体50を作製することができる。
(筺体の作製)
次に、筺体60を作製する。
筺体の、第一電極10側の基板61と、第二電極20側の基板62とを用意し、第二電極20側の基板62に配線αを筺体60外へ取り出すための貫通孔62cを2つ、及び変形体70を筺体60内へ注入するための注入穴(図示せず)を形成する。
次に、必要に応じてバリア膜を、筐体60の両基板61,62が変形体70と接する面に成膜する。また、乾燥剤7を筺体60内に配する場合は、第二電極20側の基板62に乾燥剤7を挿入する凹部62bを、エンドミル等を用いて形成する。
その後、例えばグローブボックス内で十分に乾燥させた乾燥剤7を凹部62bにプレスして挿入し、変形体70で濡らして乾燥剤7から空気が変形体70に侵入しないようにしておく。
次に、上記で作製した構造体50を、第一電極10側の基板61と、第二電極20側の基板62とで軽く挟み、配線αが筺体60内部で余裕を持った状態となるように、筺体60内に配線αのたわみ部α1を形成し、貫通孔62cを通して筺体60外部に配線αの自由端を取り出す。その後、筺体60をなす基板61及び62の周囲を樹脂接着剤で接着層63を形成して固定する。また、配線αを取り出した貫通孔62cは、樹脂接着剤で樹脂βを形成して封止する。
次に、例えばグローブボックス内で十分に乾燥させた変形体70を用意する。変形体70としては、液体を用いる。そして、筺体60の第二電極20側の基板62に設けられた貫通孔から変形体70を気泡が入らないように適宜真空引きしながら挿入する。その後、UV硬化樹脂等で注入穴を封止する。
以上のようにして光電変換素子1が得られる。
<作製方法:第二実施形態>
第二実施形態に係る光電変換素子2の作製方法について説明する。
構造体50、筺体80の第一電極10側の基板81、及び筺体80の第二電極20側の基板82については、第一実施形態の構造体50、基板61,62と同様に作製することができる。
構造体50、筺体80の両基板81,82を用意した後、構造体50の第一電極10の一面及び第二電極20の一面に変形体70を配する。
一方、2枚の四角形状のフィルムを用意し、そのフィルムのそれぞれに、基板81,82を固定して2つの積層体を形成する。そして、これら2つの積層体の間に、基板81,82によって軽く挟むように構造体50を配置する。このとき、2本の配線αのうち1本の配線αを、互いに対向するフィルムの一辺の縁部同士で挟む。そして、フィルムの3辺の縁部同士をヒートシールして1つの開口を有する袋状体を得る。次に、袋状体の開口から変形体70を注入する。このとき、変形体70は、構造体50と基板81,82のそれぞれとの間に入り込むように注入する。こうして変形体70が袋状体中に満たされたら、残りの配線αを、開口を形成するフィルムの残りの縁部同士間に挟み、この縁部同士をバキュームシーラーでシールする。こうしてラミネートバッグ83が得られる。
以上のようにして第二実施形態に係る光電変換素子2が得られる。
第二実施形態においては、構造体50を筐体80に内包させる際、バキュームシーラーで封入できるため、第一実施形態の光電変換素子1の製造方法と比較し、より簡便に光電変換素子2を作製することが可能である。
本発明は、上記第一及び第二実施形態に限定されるものではない。例えば上記第一及び第二実施形態では変形体が液体で構成されている場合について説明したが、変形体はそれ自体変形するものであればよく、液体に限定されるものではない。液体以外の変形体としては、例えばゲル状体や、クレー、弾性体などが挙げられる。但し、これらはいずれも筺体に入射した光を構造体に導くために光透過性を有することが必要である。変形体がゲル状体であると、仮に筺体に強い曲げ歪みが付与されて筺体が破損することがあっても、変形体の漏洩の問題がなくなる。従って、第一実施形態で述べたような筺体の内壁面を透明なシートで覆う必要がなくなる。
透明なゲル状体としては、例えばシリコンゲル、イオン液体をゲル化したものなどが挙げられ、中でも、非水性であることから、シリコンゲルが好ましく用いられる。
透明なクレーとしては、例えばスメクタイト類、ポリマークレーなどが挙げられ、中でも、低コストであることから、スメクタイト類が好ましく用いられる。
また上記第二実施形態では、図6に示すように、基板81,82がラミネートフィルム83の内側に固定されているが、基板81,82は図8に示すようにラミネートフィルム83の内側に固定されていなくてもよい。即ち基板81,82は、ラミネートフィルム83から離間していてもよい。この場合、ラミネートフィルム83のみが筺体80を構成する。また基板81、82は、変形体70中に配置されることになる。ここで、基板81,82の曲げ強度が、第一電極10の第一基材11及び第二電極20の第二基材21の曲げ強度より小さいことが好ましいのは第二実施形態と同様である。
この光電変換素子3では、構造体50がラミネートバッグ83に包まれ、構造体50とラミネートバッグ83との間には変形体70が配されている。従って、外部から光電変換素子3に曲げ歪みを与えた際に、変形体70が変形する。このため、該曲げ歪みが弱い場合には、その曲げ歪みが変形体70で吸収され、構造体50では変形が起こりにくくなる。曲げ歪みが強い場合でも、変形体70が変形することで、構造体50に加わる曲げ歪みを、ラミネートバッグ83に与えられる曲げ歪みに比べて十分に低減することができる。更に、打撃のような点ストレスも、ラミネートバッグ83及び変形体70により緩和されるため、構造体50に支障をきたす虞が減少する。ゆえに、光電変換素子3によっても、第二実施形態の光電変換素子2と同様、曲げ歪みや衝撃に対して耐久力の向上が図れる。
また仮に光電変換素子3に破損または損傷が生じる程の強い曲げ歪みが加えられた場合でも、構造体50に不都合が生じる前に、即ち機能上の障害が現れるよりも先に、基板81,82が破断又は損傷する。このため、構造体50の破損を防止しやすくなる。
<実施例1>
(第一電極及び第二電極の作製)
10cm角、厚さ0.1mmのITO透明導電PENフィルム(王子トービ社製、商品名:OTEC)2枚を洗浄し、一方の透明導電PENフィルムには触媒としてPtをスパッタで数十nm成膜し、隅に小さい電解液注入穴を設けて第二電極を作製した。
他方のITO透明導電PENフィルム上にメンディングテープで約8cm角のサイズ(中央より10mmシフトした位置)を囲むようにマスキングし、プラスチックフィルム用酸化チタンペースト(PECCEL社製、商品名:PECC-01)を手塗り塗布した。その後、マスキングを剥がして150℃で乾燥させ、約5μm厚の多孔質酸化チタン膜を作製した。その後、色素(Solaronix社製、商品名:Ruthenium535)を0.3mMに溶かした脱水エタノールに、多孔質酸化チタン膜を形成したITO透明導電PENフィルムを一昼夜浸漬して色素を担持させ、第一電極を作製した。
(構造体の組み立て)
上記のようにして得た第一電極及び第二電極を、電極取り出しのために3mmずらした状態で、周囲5mm程度をホットメルト樹脂(三井デュポン社製、商品名:ハイミラン)で貼り合わせて袋状にした。その後、第二電極の第二基材に設けられた電解液注入穴から電解液を注入した後、UV硬化樹脂(スリーボンド社製)で封止した。次に、両電極にフレキシブルプリント基板を導電性接着剤で貼り合わせて、構造体を作製した。
(構造体の筺体への封止)
筺体の第一電極側基板として、12cm角、厚さ3mmの硬質ポリカーボネート基板(以後、PCと呼ぶ)を1枚、筺体の第二電極側基板として、12cm角、厚さ2mmの非結晶性PET(以後、a−PETと呼ぶ)基板を1枚用意した。そのうち筺体のa−PET基板には、エンドミルを用いて板厚の半分程度まで、Φ1mm程度の円柱状の凹部を1cm間隔で基板の内側全面に100個設けた。その後、両基板にはガスバリア層としてシリカを成膜した。また、a−PET基板には、フレキシブルプリント基板を取り出す貫通孔と、変形体の注入穴を設けた。
なお、a−PET基板に関しては、曲率半径150mm以下に曲げると、エンドミルで作製した凹部を起点に破断することを確認した。
次に、上記で作製した構造体を、PC基板とa−PET基板で軽く挟み、フレキシブルプリント基板を貫通孔から取り出した後、周囲5mm程度を2液式エポキシ接着剤で固めた。フレキシブルプリント基板を取り出す貫通孔も、ややフレキシブルプリント基板に余裕、即ち撓みを持たせた状態で同様に封止した。
次に、変形体としてグローブボックス中で十分に乾燥させたシリコンオイルを用意し、a−PET基板に設けられた変形体の注入穴から、気泡が入らないように適宜真空引きしながら注入し、UV硬化樹脂(スリーボンド)で該注入穴を封止した。こうして光電変換素子を得た。
<実施例2>
筺体のa−PET基板には、エンドミルで作製した凹部に、グローブボックス中で乾燥させたモレキュラーシーブスを乾燥剤としてプレスして詰めた後、シリコンオイルで濡らしておいたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を得た。
<実施例3>
第一電極及び第二電極を製造するために、厚さ0.02mmの薄い低アルカリガラス上に、SPD法にてFTO透明導電膜を成膜した導電性基板を用い、一方の導電性基板の上にガラス用高温焼結型ペースト(Solaronix社製、Ti-nanoxide T)を印刷したのち、450℃で焼成し、多孔質酸化チタン層を形成したこと以外は実施例2と同様にして光電変換素子を得た。
<実施例4>
第二基板として厚さ0.04mmのチタン箔を用いたこと以外は、実施例3と同様にして構造体を作製した。また、筐体の第二電極側の基板としてアルミ蒸着タイプのガスバリアシートを使用したこと以外は、実施例1と同様にして筺体を作製した。その後、これらの構造体と筺体とを用いて、実施例1と同様にして構造体を筺体内に封止し、光電変換素子を得た。
<実施例5>
乾燥剤としてモレキュラーシーブスを実施例2と同様にして筐体の凹部に配したこと以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作製した。
実施例1〜5において、第一電極及び第二電極の製造に用いた基板の種類、多孔質酸化物半導体層の製造に用いたペーストの種類、筺体の製造に用いた基板の種類、及び乾燥剤の有無を表1に示す。
Figure 2009144899
<比較例1>
実施例1で作製した構造体のみのものを、比較例1の光電変換素子として作製した。
<比較例2>
実施例4で作製した構造体のみのものを、比較例2の光電変換素子として作製した。
比較例1〜2において、第一電極及び第二電極の製造に用いた基板の種類、多孔質半導体層の製造に用いたペーストの種類、筺体の製造に用いた基板の種類、及び乾燥剤の有無を表2に示す。
Figure 2009144899
上記で得られた実施例1〜5及び比較例1〜2の光電変換素子において、耐降雹試験及び耐風圧試験により、その特性を評価した。その結果を表3に示す。
耐降雹試験及び耐風圧試験はJIS−C8938試験に準拠して行った。降雹試験は、耐衝撃性を調べるためのものであり、降雹試験では、227gの鉄球を1mの高さから光電変換素子の中心に落下させ、このときの破断等の損傷の有無を評価した(簡易試験)。表3においては、損傷が生じなかった場合をA、損傷が生じた場合をBとした。また、耐風圧試験は、耐屈曲性を調べるためのものであり、耐風圧試験では、1422N/mの静加重を光電変換素子の全面に加え、破断等の損傷の有無を評価した(簡易試験)。表3においては、損傷が生じなかった場合をA、損傷が生じた場合をBとした。
Figure 2009144899
表3に示す耐降雹試験及び耐風圧試験の結果より、実施例1〜5の光電変換素子ではどちらの試験においても破断等の損傷は観察されなかった。比較例1の光電変換素子では耐降雹試験で損傷が観察され、比較例2の光電変換素子においては、どちらの試験でも損傷が生じていた。このことから、実施例1〜5の光電変換素子は、比較例1及び2の光電変換素子に比べて、降雹及び風圧に対して優れた耐久性が得られることが分かった。よって、本発明の光電変換素子は、耐屈曲性、および耐衝撃性に優れていることが確認された。
なお、実施例1〜5及び比較例1,2の光電変換素子についてはさらに屈曲試験も行った。結果を表4に示す。屈曲試験は、光電変換素子を屈曲させ、ユーザーが破断したと感じた際の基板の破断状態や、電解液の漏れ等を調べるものである。
Figure 2009144899
表4に示す結果より、屈曲試験において、実施例1〜5の光電変換素子では筐体よりも先に構造体が破断することはなかった。
このように実施例1〜5によれば、第二電極側筐体基板の曲げ強度を第二電極側基材よりも小さくしたことで、筐体よりも先に構造体が破断することがなくなることが分かった。このことから、実施例1〜5の光電変換素子によれば、ユーザーに曲げすぎによる故障が起こることを明瞭に知らせることができ、光電変換素子の無理な取り扱いを抑制できるものと考えられる。
次に、高湿度下に500時間保管した際の光電変換効率の低下率を検討した。このとき、保管は、50℃、85%RH下に500時間の条件下で行った。光電変換素子の初期の光電変換効率をη、500時間保管した後の光電変換効率をηとし、その低下率を下記式:
光電変換効率の低下率(%)=100×(η−η)/η
により算出した。その結果を表5に示す。
Figure 2009144899
高湿度下で500時間保管した際の光電変換効率の低下率に関しては、乾燥剤を配することで、高湿度に対してより長期間の耐久性を示し、信頼性の高い光電変換素子が実現されることが確認された。
本発明は、色素増感型太陽電池を代表とする湿式太陽電池(電解液を使用するタイプの太陽電池)に適用することができる。
1,2…光電変換素子、7…乾燥剤、10…第一電極、11…第一基材、12…透明導電膜、13…多孔質酸化物半導体層、20…第二電極、21…第二基材、22…導電膜、23…触媒、30…電解質、40…封止材、41…第一封止材、42…第二封止材、43…第三封止材、44…第四封止材、50…構造体、60,80…筺体、61,62,81,82…筐体をなす基板、62a…変形体と接する面、62b…凹部、62c…貫通孔、63…接着層、70…変形体、83…ラミネートバッグ、α…配線。

Claims (10)

  1. 構造体と、
    前記構造体を内蔵する筺体と、
    前記構造体と前記筺体との間に配される変形体と、
    を備え、
    前記構造体が、
    増感色素が担持された多孔質酸化物半導体層を備え、導電性を有した第一電極と、
    前記第一電極と対向して配される第二電極と、
    前記第一電極と前記第二電極との間の少なくとも一部に配された電解質とを有する、光電変換素子。
  2. 前記変形体が液体である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記変形体がゲル状体である、請求項1に記載の光電変換素子。
  4. 前記変形体がクレーである、請求項1に記載の光電変換素子。
  5. 前記構造体が、前記変形体中に自由度を有した状態で配置されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  6. 前記筺体の内側に設けられ前記第一電極に対向する第一基板と、
    前記筺体の内側に設けられ前記第二電極に対向する第二基板とをさらに有し、
    前記第一電極が第一基材を有し、
    前記第二電極が第二基材を有し、
    前記一基板及び前記第二基板の少なくとも一方の曲げ強度が、前記構造体に含まれる前記第一基材及び前記第二基材の少なくとも一方の曲げ強度より小さい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  7. 前記変形体の25℃における粘度が、0.02Pa・s以上200Pa・s以下である請求項2〜4のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  8. 前記筺体と前記構造体との間全域に前記変形体が配されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  9. 前記構造体と外部とを電気的に接続する配線が、前記筺体内においてたわむように配されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  10. 前記筐体の内壁と前記構造体との間に乾燥剤が配されている請求項1〜9のいずれか一項に記載の光電変換素子。
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