JP5828034B2 - 色素増感太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、色素増感太陽電池に関する。
光電変換素子として、安価で、高い光電変換効率が得られることから色素増感太陽電池が注目されており、色素増感太陽電池に関して種々の開発が行われている。
色素増感太陽電池は一般に、光が入射される光入射面を有する透光性基板と、透光性基板の光入射面と反対側に設けられる色素増感太陽電池セルとを備えている。さらに、色素増感太陽電池は、外部からの色素増感太陽電池セルへの水分の浸入を抑制するために、色素増感太陽電池セルを覆うバックシートを有することがある。この場合、バックシートは接着剤層を介して色素増感太陽電池セルに接着される。
このような色素増感太陽電池として、例えば下記特許文献1に記載の光電変換装置が知られている。下記特許文献1には、透光性基板と、透光性基板の一面側に設けられる色素増感太陽電池セルと、色素増感太陽電池セルを覆うバックシートとを有する光電変換装置が開示されており、バックシートは接着剤層を介して色素増感太陽電池セルに接着されている。色素増感太陽電池セルは、透光性基板上に設けられる一方電極と、一主面上に他方電極を設けた基体と、透光性基板と基体との間に設けられる電解質層と、基体の側面から、電解質層の外周部を覆って、透光性基板の一主面にわたる領域に、透光性基板の一主面に垂直な方向の厚みが基体から離れるにしたがって小さくなるように塗布されているホットメルト樹脂とを備えている。ここで、接着剤層は色素増感太陽電池セルのホットメルト樹脂と接着されている。
特許第4651347号公報
ところで、色素増感太陽電池は、湿度によって大きく影響を受けるものである。このため、色素増感太陽電池においては、外部からの水分の浸入により光電変換特性が低下して耐久性が低下する。従って、色素増感太陽電池において、耐久性の低下を抑制するには、外部からの水分の浸入を抑制することが重要である。
しかし、上述した特許文献1に記載の太陽電池は、耐久性の点で不十分であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた耐久性を有する色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者は、特許文献1の光電変換装置が十分な耐久性を有しない原因について検討した。まず特許文献1に記載の光電変換装置において、当該光電変換装置が高温環境下に置かれると、接着剤層が膨張して変形ようとする。このとき、接着剤層と透光性基板との界面に過大な応力が加わることがある。そこで、本発明者は、バックシートに設けた接着剤層と透光性基板との界面に加わる応力を弱めることができれば、外部から電解質層への水分の浸入を十分に抑制でき、光電変換特性の低下が抑制されて優れた耐久性を有する色素増感太陽電池を実現できるのではないかと考えた。そこで、本発明者はさらに研究を重ねた結果、以下の発明により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、光が入射される光入射面を有する透光性基板と、前記透光性基板の前記光入射面と反対側に設けられる少なくとも1つの色素増感太陽電池セルと、前記色素増感太陽電池セルを覆うバックシートと、前記透光性基板及び前記色素増感太陽電池セルと前記バックシートとを接着し、樹脂を含む樹脂部と、前記樹脂部の内部に埋め込まれ、前記樹脂部よりも低い線膨張係数を有する材料からなる低線膨張係数体とを備え、前記色素増感太陽電池セルが、前記透光性基板に対向し、前記樹脂部と接着されている対向基板と、少なくとも前記透光性基板と前記対向基板との間に設けられる電解質と、前記透光性基板と前記対向基板とを連結する封止部とを有し、前記低線膨張係数体が、前記バックシートと前記少なくとも1つの色素増感太陽電池セルの前記対向基板との間で前記透光性基板の前記光入射面に沿うように配置されている、色素増感太陽電池である。
上記色素増感太陽電池によれば、当該色素増感太陽電池が高温環境下に置かれると、樹脂部中の樹脂が膨張して変形ようとする。特に樹脂部は、バックシートと色素増感太陽電池セル及び透光性基板とを接着している。すなわち、樹脂部は、バックシートと色素増感太陽電池セル及び透光性基板との間に配置されている。このため、樹脂部は透光性基板の光入射面に直交する方向には膨張しにくくなっており、樹脂部に対しては、透光性基板の光入射面に沿った方向の応力が加わりやすい。このとき、樹脂部は透光性基板と接着されているため、樹脂部と透光性基板との間の界面には過大な応力が加わることがある。しかし、本発明では、樹脂部中には、樹脂部よりも低い線膨張係数を有する材料からなる低線膨張係数体が透光性基板の光入射面に沿うように配置されている。このため、低線膨張係数体により樹脂部の変形が抑制され、樹脂部に対して透光性基板の光入射面に沿った方向に加わる応力が弱められる。このため、透光性基板と樹脂部との界面において、色素増感太陽電池セルの外側で且つ透光性基板に沿った方向に加わる応力が弱められる。従って、外部からの水分の浸入が十分に抑制され、光電変換特性の低下が抑制される。その結果、本発明の色素増感太陽電池は、優れた耐久性を有することが可能となる。
上記色素増感太陽電池では、前記封止部が前記樹脂部と接着されていてもよい。
この場合、色素増感太陽電池が高温環境下に置かれ、樹脂部中の樹脂が膨張して変形しようとすると、封止部に対して色素増感太陽電池セルの外側で且つ透光性基板の光入射面に沿った方向の応力が加わることがある。しかし、上記色素増感太陽電池では、樹脂部中に、樹脂部よりも低い線膨張係数を有する材料からなる低線膨張係数体が透光性基板の光入射面に沿うように配置されている。このため、低線膨張係数体により樹脂部の変形が抑制され、樹脂部に対して透光性基板の光入射面に沿った方向に加わる応力が弱められる。このため、封止部に対しても、色素増感太陽電池セルの外側で且つ透光性基板の光入射面に沿った方向に加わる応力が弱められる。このため、透光性基板又は対向基板と封止部との界面に加わる応力が弱められる。従って、外部からの水分の浸入が十分に抑制され、光電変換特性の低下が抑制される。その結果、色素増感太陽電池は、優れた耐久性を有することが可能となる。さらに、封止部が樹脂部と接着されていると、封止部と樹脂部との間の空間を小さくすることが可能となり、色素増感太陽電池が高温環境下に置かれても、その空間の膨張により封止部と透光性基板又は対向基板との間の界面、透光性基板と樹脂部との界面に加わる応力が増加することを抑制することもできる。さらに、封止部と樹脂部との間の空間を小さくすることで、水分がその空間に溜まりにくくなる。このため、水分が封止部と透光性基板又は対向基板との界面を通じて電解質中に入り込むことをより十分に抑制することができる。
上記色素増感太陽電池において、前記低線膨張係数体が、複数本の繊維を有する繊維状体で構成されていることが好ましい。
この場合、低線膨張係数体が、複数本の繊維を有する繊維状体で構成されるため、樹脂部に含まれる樹脂と低線膨張係数体との接着面積が増大する。このため、樹脂部の変形をより十分に抑制することができ、色素増感太陽電池はより優れた耐久性を有することが可能となる。
上記色素増感太陽電池において、前記低線膨張係数体の内部、及び、前記低線膨張係数体と前記樹脂部との間の少なくとも一方に、水分を拡散させるための流路が前記光入射面に沿って形成されていることが好ましい。
この場合、バックシートから樹脂部を通って浸入した水分が、低線膨張係数体の内部又は樹脂部と低線膨張係数体との間の流路に入ると、その流路に沿って拡散する。このとき、水分の拡散速度は、樹脂部を通る場合よりもより一層大きくなる。その結果、水分の局在がより十分に抑制され、その局在した水分の付近に存在する色素増感太陽電池セルの劣化がより十分に抑制される。その結果、色素増感太陽電池は、より優れた耐久性を有することが可能となる。
上記色素増感太陽電池において、前記流路の周囲に、乾燥剤が配置されていることが好ましい。
この場合、上記流路によって拡散された水分が乾燥剤によって捕捉されるため、色素増感太陽電池セルに浸入する水分の量をより十分に抑制できる。
上記色素増感太陽電池において、前記低線膨張係数体の線膨張係数と前記樹脂部に含まれる樹脂の線膨張係数との差が85×10−6/K〜110×10−6/Kであることが好ましい。
この場合、上記差が上記範囲を外れる場合に比べて、樹脂部の変形をより効果的に抑制できる。詳しく述べると、上記差が上記範囲内にある場合、上記範囲の上限を超える場合に比べて、色素増感太陽電池全体の厚さをより小さくすることができるとともに、樹脂部の接着性などの特性が損なわれにくくなる。また上記差が上記範囲内にある場合、上記範囲の下限未満である場合に比べて、樹脂部の線膨張をより十分に抑制できる。
上記色素増感太陽電池においては、前記対向基板が第1電極で構成され、前記色素増感太陽電池セルが、前記透光性基板のうち前記光入射面と反対側に設けられる第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる多孔質酸化物半導体層とをさらに含んでもよい。
上記色素増感太陽電池は、前記色素増感太陽電池セルを複数有し、前記第1電極及び前記第2電極がそれぞれ導電性基板を有し、隣り合う2つの前記色素増感太陽電池セルが、前記第1電極又は前記第2電極に含まれる前記導電性基板の一部により接続されている場合に有用である。
この場合、低線膨張係数体が存在しない場合、色素増感太陽電池が高温環境下で使用されると、樹脂部の変形により隣り合う2つの色素増感太陽電池セル同士間の接続が解除されるおそれがある。その点、本発明のように低線膨張係数体が設けられていると、色素増感太陽電池が高温環境下で使用されても、樹脂部の変形が十分に抑制されるため、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル同士間の接続の解除が十分に抑制される。その結果、色素増感太陽電池の接続信頼性を向上させることが可能となる。
上記色素増感太陽電池において、前記樹脂部に含まれる前記樹脂がポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
この場合、樹脂部に含まれる樹脂がポリオレフィン樹脂以外の樹脂である場合に比べて、樹脂部に加えられる応力を緩和することでき、かつ、色素増感太陽電池セルの対向基板とバックシートとの接着力をより十分に確保することができる。
なお、本発明において、線膨張係数とは、熱機械分析装置(TMA)によって、30℃から昇温速度5度/分で100℃まで昇温させる過程で測定される線膨張係数を言うものとする。
本発明によれば、優れた耐久性を有する色素増感太陽電池が提供される。
本発明に係る色素増感太陽電池の第1実施形態を示す断面図である。 図1のバックシートを示す部分断面図である。 本発明に係る色素増感太陽電池の第2実施形態を示す断面図である。 本発明に係る色素増感太陽電池の第3実施形態を示す断面図である。 本発明に係る色素増感太陽電池の第4実施形態を示す断面図である。 本発明に係る色素増感太陽電池の第5実施形態を示す断面図である。 本発明に係る色素増感太陽電池の第6実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
まず本発明の色素増感太陽電池の第1実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に係る色素増感太陽電池の第1実施形態を示す断面図、図2は、図1のバックシートを示す部分断面図である。
図1に示すように、色素増感太陽電池100は、光入射面10aを有する透光性基板10と、透光性基板10のうち光入射面10aと反対側に設けられる色素増感太陽電池セル20と、透光性基板10のうち光入射面10aと反対側に設けられ、色素増感太陽電池セル20を覆うように設けられるバックシート30と、バックシート30と色素増感太陽電池セル20との間、及び、バックシート30と透光性基板10との間に設けられ、樹脂を含む樹脂部50とを備えている。
色素増感太陽電池セル20は、透光性基板10のうち光入射面10aと反対側の表面上に設けられる作用極27と、作用極27に対向配置され、樹脂部50と接着される対極24と、対極24と透光性基板10とを連結し、樹脂部50に接着される封止部25と、透光性基板10と対極24との間に設けられる電解質26とを有している。作用極27は、透光性基板10のうち光入射面10aと反対側の表面上に設けられる透明導電膜である透明導電層21と、透明導電層21上に設けられる多孔質酸化物半導体層22と、透明導電層21上で多孔質酸化物半導体層22の周囲に設けられる配線部23とを有しており、多孔質酸化物半導体層22には光増感色素が担持されている。電解質26は、透光性基板10と対極24と封止部25とによって包囲されるセル空間に充填されており、多孔質酸化物半導体層22の内部にまで含浸されている。電解質26は、透光性基板10と対極24との間で封止部25によって包囲されている。本実施形態では、透明導電層21によって第2電極が構成され、対極24によって対向基板又は第1電極が構成されている。
そして、樹脂部50の内部には、樹脂部50よりも低い線膨張係数を有する連続したシート状の低線膨張係数体60が埋め込まれて樹脂部50に含まれる樹脂と接着されている。本実施形態では、低線膨張係数体60は、バックシート30と色素増感太陽電池セル20の対極24との間に、透光性基板10の光入射面10aに沿うように、すなわち光入射面10aと略平行になるように配置されている。別言すると、低線膨張係数体60は、バックシート30と色素増感太陽電池セル20の対極24との間に、対極24のうち作用極27と反対側の面に沿うように、すなわちその面と略平行になるように配置されている。より具体的には、低線膨張係数体60は対極24の全体を覆うように配置されている。
上記色素増感太陽電池100によれば、当該色素増感太陽電池100が高温環境下に置かれると、樹脂部50中の樹脂が膨張して変形しようとする。特に樹脂部50は、バックシート30と色素増感太陽電池セル20及び透光性基板10とを接着している。すなわち、樹脂部50は、バックシート30と色素増感太陽電池セル20及び透光性基板10との間に配置されている。このため、樹脂部50は、透光性基板10の光入射面10aに直交する方向には膨張しにくくなっており、樹脂部50に対しては、透光性基板10の光入射面10aに沿った方向の応力が加わりやすい。このとき、樹脂部50は透光性基板10と接着されているため、樹脂部50と透光性基板10との間の界面には過大な応力が加わることがある。しかし、色素増感太陽電池100では、樹脂部50中に、樹脂部50よりも低い線膨張係数を有する材料からなる低線膨張係数体60が透光性基板10の光入射面10aに沿うように配置されている。このため、低線膨張係数体60により樹脂部50の変形が抑制され、樹脂部50に対して透光性基板10の光入射面10aに沿った方向に加わる応力が弱められる。このため、透光性基板10と樹脂部50との界面において、色素増感太陽電池セル20の外側で且つ透光性基板10の光入射面10aに沿った方向に加わる応力が弱められる。従って、外部からの水分の浸入が十分に抑制され、光電変換特性の低下が抑制される。その結果、色素増感太陽電池100は、優れた耐久性を有することが可能となる。
また、色素増感太陽電池100では、樹脂部50は色素増感太陽電池セル20の封止部25と接着されている。このため、色素増感太陽電池100が高温環境下に置かれ、樹脂部50中の樹脂が膨張して変形しようとすると、封止部25に対して色素増感太陽電池セル20の外側で且つ透光性基板10の光入射面10aに沿った方向の応力が加わることがある。しかし、色素増感太陽電池100では、樹脂部50中に、樹脂部50よりも低い線膨張係数を有する材料からなる低線膨張係数体60が透光性基板10の光入射面10aに沿うように配置されている。このため、低線膨張係数体60により樹脂部50の変形が抑制され、樹脂部50に対して透光性基板10の光入射面10aに沿った方向に加わる応力が弱められる。このため、封止部25に対しても、色素増感太陽電池セル20の外側で且つ透光性基板10の光入射面10aに沿った方向に加わる応力が弱められる。従って、対極24と封止部25との界面に加わる応力が弱められる。その結果、外部からの水分の浸入が十分に抑制され、光電変換特性の低下が抑制される。よって、色素増感太陽電池100は、優れた耐久性を有することが可能となる。
さらに、封止部25が樹脂部50と接着されていると、封止部25と樹脂部50との間の空間を小さくすることが可能となり、色素増感太陽電池100が高温環境下に置かれても、その空間の膨張により封止部25と透光性基板10又は対極24との間の界面、透光性基板10と樹脂部50との界面に加わる応力が増加することを抑制することもできる。さらに、封止部25と樹脂部50との間の空間を小さくすることで、水分がその空間に溜まりにくくなる。このため、水分が封止部25と透光性基板10又は対極24との界面を通じて電解質26中に入り込むことをより十分に抑制することができる。
次に、色素増感太陽電池100を構成する透光性基板10、色素増感太陽電池セル20を構成する作用極27、光増感色素、対極24、封止部25、バックシート30、樹脂部50、及び、低線膨張係数体60について詳細に説明する。
(透光性基板)
透光性基板10は、光透過性の材料からなる基板により構成される。このような材料としては、通常、光電変換素子の透明基材として用いられる材料であればいかなるものでも用いることができる。このような材料としては、具体的には、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリカーボネートなどが挙げられる。透光性基板10は、これらの中から電解質26への耐性などを考慮して適宜選択される。また、透光性基板10は、光透過性に優れる基材であることが好ましく、光透過率が90%以上の基材であることがより好ましい。
(作用極)
作用極27は、上述したように、透明導電層21と、多孔質酸化物半導体層22と、配線部23とを有する。
透明導電層21は、導電性金属酸化物からなる薄膜であることが好ましい。このような導電性金属酸化物としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO)などが挙げられる。また、透明導電層21は、単層でも、異なる導電性金属酸化物で構成される複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電層21が単層で構成される場合、透明導電層21としては、成膜が容易かつ製造コストが安価であるという観点から、ITO、FTOが好ましく、また、高い耐熱性及び耐薬品性を有する観点から、FTOがより好ましい。
また透明導電層21が複数の層で構成される積層体により構成されると、各層の特性を反映させることが可能となることから好ましい。中でも、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜が好ましい。この場合、高い導電性、耐熱性及び耐薬品性を持つ透明導電層21が実現でき、可視域における光の吸収量が少なく、導電率が高い透明導電性基板を構成することができる。また、透明導電層21の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
多孔質酸化物半導体層22を形成する酸化物半導体は、特に限定されず、通常、光電変換素子用の多孔質酸化物半導体層を形成するのに用いられるものであれば、いかなるものでも用いることができる。このような酸化物半導体としては、例えば、酸化チタン(TiO)、シリカ(SiO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)酸化インジウム(In)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タリウム(Ta)、酸化ランタン(La)、酸化イットリウム(Y)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO)及び酸化アルミニウム(Al)が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら酸化物半導体からなる粒子の平均粒径は1〜1000nmであることが好ましい。この場合、光増感色素で覆われた酸化物半導体の表面積が大きくなり、すなわち光電変換を行う場が広くなり、より多くの電子を生成することができる。また、多孔質酸化物半導体層22は、粒度分布の異なる酸化物半導体粒子を積層させて構成されることが好ましい。この場合、多孔質酸化物半導体層22内で繰り返し光の反射を起こさせることが可能となり、多孔質酸化物半導体層22の外部へ逃がす入射光を少なくして、効率よく光を電子に変換することができる。多孔質酸化物半導体層22の厚さは、例えば0.5〜50μmとすればよい。なお、多孔質酸化物半導体層22は、異なる材料からなる複数の酸化物半導体層の積層体で構成することもできる。
(配線部)
配線部23は、透明導電層21上に設けられ、透明導電層21と導通する集電配線23aと、集電配線23aを覆って電解質26から保護する配線保護層23bとを有している。
集電配線23aを構成する材料は、透明導電層21より低い抵抗を有する金属を含むものであればよい。このような金属としては、例えば銀が用いられる。
配線保護層23bは、集電配線23aを覆って電解質26から集電配線23aを保護するものであればよく、例えば無機物からなる無機層、樹脂を含む樹脂層、又はこれら無機層と樹脂層との積層体で構成される。
無機物としては、低融点ガラスフリットなどの無機絶縁材料が挙げられる。
樹脂としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの熱可塑性樹脂、及び、紫外線硬化樹脂が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(光増感色素)
光増感色素としては、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを配位子に含むルテニウム錯体、ポリフィリン、フタロシアニンなどの含金属錯体、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などが挙げられ、これらの中から、用途、使用する酸化物半導体に適した挙動を示すものを特に限定なく選ぶことができる。具体的には、N3、N719、N749などを光増感色素として使用することができる。
(対極)
対極24は、対極基板24aと、対極基板24a上に設けられる触媒層24bとを有する。
対極基板24aとしては、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステンステンレス、アルミニウム等の耐食性の金属材料、上述した透光性基板10にITO、FTO等の導電性酸化物からなる膜を形成したものや、炭素、導電性高分子を用いることができる。
触媒層24bは、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。
対極24の厚さは例えば0.005〜0.5mmの範囲内であればよい。
(封止部)
封止部25を構成する材料としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、酸変性ポリエチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、封止部25は樹脂のみで構成されてもよいし、樹脂と無機フィラーとで構成されていてもよい。
(電解質)
電解質26は通常、電解液で構成され、この電解液は例えばI/I などの酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、又はγ−ブチロラクトンなどを用いることができる。酸化還元対としては、例えばI/I のほか、臭素/臭化物イオンなどの対が挙げられる。また電解質26は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてよい。また電解質26は、有機溶媒に代えて、イオン液体と有機溶媒との混合物を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイドが好適に用いられる。上記電解質には添加剤を加えてもよい。添加剤としては、LiI、4−t−ブチルピリジン、N−メチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。さらに電解質26としては、上記電解質26にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
(バックシート)
図2に示すように、バックシート30は、耐候性層31と、金属層32と、これらを接着する接着層33とを含む。
耐候性層31は、例えばポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートで構成されていればよい。
耐候性層31の厚さは、例えば50〜300μmであればよい。
金属層32は、例えばアルミニウムを含む金属材料で構成されていればよい。金属材料は通常、アルミニウム単体で構成されるが、アルミニウムと他の金属との合金であってもよい。他の金属としては、例えば銅、マンガン、亜鉛、マグネシウム、鉛、及び、ビスマスが挙げられる。具体的には、98%以上の純アルミニウムにその他の金属が微量添加された1000系アルミニウムが望ましい。これは、この1000系アルミニウムが、他のアルミニウム合金と比較して、安価で、加工性に優れているためである。
金属層32の厚さは特に制限されるものではないが、例えば12〜30μmであればよい。
接着層33は、耐候性層31と金属層32とを接着できる材料で構成されればよい。このような材料としては、例えば酸変性ポリオレフィン等が挙げられる。接着層33の厚さは特に制限されるものではないが、例えば30〜500μmであればよい。
(樹脂部)
樹脂部50は、バックシート30と色素増感太陽電池セル20とを接着できるとともに、バックシート30と透光性基板10とを接着できる樹脂を含むものであればよい。このような樹脂としては、例えばポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、および、ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。この場合、樹脂部50に加わる応力をより十分に緩和することでき、かつ、色素増感太陽電池セル20の対極24とバックシート30との接着力をより十分に確保することができる。また、ポリオレフィン樹脂は、加熱溶融することで接着可能で、均一な材質からなるため、バックシート30、対極24又は透光性基板10との接着面内での接着ムラを起こしにくくすることができる。ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、及び、ポリブチレン等が挙げられる。中でも、ポリエチレンが好ましい。なお、ポリオレフィン樹脂を酸変性させてなる酸変性ポリオレフィン樹脂はさらに好ましい。この場合、樹脂部50と、基材となる透光性基板10との間で強固な接着を得ることが可能となる。酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン、及び、エチレンーアクリル酸共重合体が挙げられる。
樹脂部50の線膨張係数は、上記樹脂部50の物性として決定される。具体的には、樹脂部50の線膨張係数は、樹脂部50に用いる樹脂としてポリエチレンを選んだ場合には、通常50×10−6/K〜500×10−6/K、ポリウレタン樹脂を選んだ場合には、通常50×10−6/K〜1000×10−6/K、シリコーン樹脂を選んだ場合には、通常100×10−6/K〜500×10−6/Kである。樹脂部50の線膨張係数α2は、基材となる透光性基板10と同程度に低いことが好ましい。なお、透光性基板10がガラスである場合、透光性基板10の線膨張係数は5×10−6/K〜20×10−6/Kとなり、透光性基板10がPENの場合には、透光性基板10の線膨張係数は、50×10−6/K〜400×10−6/Kである。そのため、透光性基板10がガラスである場合には、樹脂部50の線膨張係数は透光性基板10よりもかなり大きくなる。
(低線膨張係数体)
低線膨張係数体60は、樹脂部50の線膨張係数よりも低い線膨張係数を有するものであればいかなるものでもよい。このような低線膨張係数体60を構成する材料としては、例えば無機ガラス、樹脂、布、紙、多孔質無機材料のゼオライト、シリカゲルなどが挙げられる。
低線膨張係数体60の線膨張係数α1は、樹脂部50の線膨張係数α2より小さい。そして、透光性基板10の線膨張係数α0と樹脂部50の線膨張係数α2との関係も考慮すると、低線膨張係数体60の線膨張係数α1は、下記式:
α0<α1<α2
を満たすことが好ましく、α0に近いほどよい。言い換えると、低線膨張係数体60の線膨張係数α1は、α0<α1を満たしα2−α1が大きいほどよい。
例えば、透光性基板10のとして無機ガラス(α0=5×10−6/K〜20×10−6/K)を選び、樹脂部50として、ポリエチレン(α2=50×10−6/K/K〜500×10−6/K)を選び、低線膨張係数体60として、紙(α1=10×10−6/K〜40×10−6/K)を使用した場合には、それぞれの厚みなどにもよるが、紙によってポリエチレンの線膨張が抑えられる。また、低線膨張係数体60として紙を選び、樹脂部50として、ポリウレタン樹脂(α2=50×10−6/K〜1000×10−6/K)を選んだ場合にも、それぞれの厚みなどにもよるが、紙によってポリウレタン樹脂の線膨張が抑制される。
(α2−α1)は、好ましくは85×10−6/K〜110×10−6/Kであり、より好ましくは85×10−6/K〜100×10−6/Kである。この場合、(α2−α1)が上記各範囲を外れる場合に比べて、樹脂部の変形をより効果的に抑制できる。(α2−α1)が上記各範囲内にある場合、上記各範囲の上限を超える場合に比べて、色素増感太陽電池100全体の厚さをより小さくすることができるとともに、樹脂部50の接着性などの特性が損なわれにくくなる。また(α2−α1)が上記各範囲内にある場合、上記各範囲の下限未満である場合に比べて、樹脂部50の線膨張をより十分に抑制できる。
低線膨張係数体60は、複数の繊維を有する繊維状体であることが好ましい。この場合、樹脂部50と低線膨張係数体60との接着面積がより増大する。従って、樹脂部50は低線膨張係数体60により、より拘束されやすくなり、樹脂部50の変形をより十分に抑制することができ、色素増感太陽電池100はより優れた耐久性を有することが可能となる。なお、樹脂部50は、繊維状体の内部にまで含浸される。本実施形態では、繊維状体の内部に流路が形成されない程度まで樹脂が含浸される。
上記繊維状体としては、上述した無機ガラス、樹脂などからなる繊維を有する繊維状体、布又は紙が用いられる。中でも、紙、無機ガラスからなる繊維を有する繊維状体(例えばガラスクロス)、又は布などを好ましく用いることができる。
なお、低線膨張係数体60は、繊維状体に限られず、中実状の板状体であってもよい。
次に、色素増感太陽電池100の製造方法の一例について説明する。
はじめに透光性基板10の上に透明導電層21を形成する。透明導電層21の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法(SPD:Spray Pyrolysis Deposition)及びCVD法などが用いられる。
次に、透明導電層21上に、多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを印刷する。多孔質酸化物半導体層形成用ペーストは、酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。多孔質酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又はバーコート法などを用いることができる。
次に、多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを焼成して透明導電層21上に多孔質酸化物半導体層22を形成する。焼成温度は酸化物半導体粒子により異なるが、通常は140〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子により異なるが、通常は1〜5時間である。
次に、透明導電層21上であって、多孔質酸化物半導体層22の周囲に配線部23を形成する。
そのためには、まず集電配線23aを形成する。集電配線23aは、例えば導電ペーストを、スクリーン印刷法などを用いて透明導電層21上に塗膜し、加熱して焼成することによって得ることができる。このとき、導電ペーストとしては、例えば、金属粒子とポリエチレングルコールなどの増粘剤とを配合したものを用いることができる。
次に、集電配線23aを配線保護層23bで被覆する。こうして透明導電層21上に配線部23が形成され、透光性基板10上に作用極27が得られる。
そして、透光性基板10上に、例えば環状のホットメルト接着剤を、多孔質酸化物半導体層22を包囲するように配置する。すなわち、接着剤の内側に多孔質酸化物半導体層22が配置されるようにする。そして、接着剤を透光性基板10に溶融圧着させて固定する。
次に、対極24を準備する。対極24は、以下のようにして得ることができる。
すなわちまず対極基板24aを準備する。そして、対極基板24aの上に触媒層24bを形成する。触媒層24bの形成方法としては、スパッタ法、又は蒸着法などが用いられる。これらのうちスパッタ法が膜の均一性の点から好ましい。
そして、対極24上に、例えば環状のホットメルト接着剤を配置し、対極40に溶融圧着させて固定する。
次に、例えば透光性基板10上に固定した接着剤の内側に電解質26を配置する。電解質26は、透光性基板10上であって環状の接着剤の内側に注入したり、印刷したりすることによって配置することができる。
次に、接着剤が固定された透光性基板10と、接着剤が固定された対極24とを、接着剤同士が重なり合うように対向させ、接着剤を加熱溶融させながら加圧する。すると、透光性基板10と対極40との間に、これらを連結する封止部25が得られる。
こうして透光性基板10上に色素増感太陽電池セル20が得られる。
続いて、色素増感太陽電池セル20を、樹脂部50を形成するための樹脂部前駆体で覆う。ここで、樹脂部前駆体とは、樹脂部50を形成する前段階のものを意味し、例えば、樹脂部50がポリエチレンなどの熱可塑性樹脂であれば、シート状に成型したポリエチレンシートを意味し、樹脂部50が、2液硬化型のポリウレタン樹脂であれば、2液を混ぜたばかりで流動性を有する状態のものを意味する。次に、樹脂部前駆体上に低線膨張係数体60を配置する。低線膨張係数体60を構成する材料としては、樹脂部前駆体から形成される樹脂部50よりも低い線膨張係数を有するものを用いる。
一方、バックシート30を用意し、バックシート30の表面に、上記樹脂部前駆体と同一の材料を配置させる。
そして、バックシート30に配置した樹脂部前駆体と、色素増感太陽電池セル20を覆う樹脂部前駆体とで低線膨張係数体60を挟む。
続いて、色素増感太陽電池セル20、樹脂部前駆体、低線膨張係数体60、樹脂部前駆体、およびバックシート30を積層した状態で、これらを例えば減圧環境下にて熱圧着する。こうしてバックシート30と対極24及び透光性基板10との間に樹脂部50が形成される。
このとき、樹脂部前駆体としてポリオレフィン樹脂を用いると、ポリオレフィン樹脂は、低温環境下で容易に溶融するため、色素増感太陽電池セル20を高温にすることなく低線膨張係数体60と接着できる。
なお、低線膨張係数体60が繊維状体である場合、真空度や樹脂部前駆体から樹脂部50を形成する際の時間、温度、圧力などを適宜調整することによって、低線膨張係数体60の内部に流路が形成されない程度まで、樹脂部前駆体を含浸させればよい。
ここで、繊維状体の内部に流路が形成されない程度まで樹脂部樹脂前駆体を含浸させる方法について具体的に説明する。
樹脂部50を構成する樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、繊維状体をその樹脂部前駆体である樹脂シートで挟み、約0.01MPaの減圧下で樹脂シートを加熱溶融させる。そして、直ちに減圧環境を破る。すなわち、減圧環境を大気圧環境に変化させる。このようにすることで、樹脂シートを構成する樹脂を、加熱されて高い流動性を維持したまま繊維状体の内部へ含浸させることができる。この時の加熱温度は、樹脂の融点よりも少なくとも20℃程度は高い方が、樹脂シートの流動性が上がるため望ましい。また樹脂部50を構成する樹脂として、粘度の高い樹脂を用いる場合、その樹脂を繊維状体に含浸させるには、より高温にして樹脂の流動性を上げればよい。このようにすることで、繊維状体への樹脂の含浸率を増加させることができる。あるいは、減圧時に残存空隙を形成する空気の逃げ道を、例えば細長いフィルムの先端を繊維状体中に差し込むことによってあらかじめ用意し、(1)減圧環境での加熱、(2)高温環境下での減圧破壊及びその後の冷却、を複数回繰り返すことによっても、繊維状体への樹脂の含浸率を上げることができる。ここで、細長いフィルムを構成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂などを用いることができる。このとき、細長いフィルムに代えて、筒状の物体を用いることも可能である。筒状の物体としては、例えばガラスなどを用いることができる。さらに、樹脂部50を構成する樹脂が2液硬化型のポリウレタン樹脂である場合には、樹脂部前駆体である2液を攪拌及び混合し、樹脂部前駆体が流動性を有しているうちに、樹脂部前駆体を低線膨張係数体60に含浸させ、樹脂部前駆体全体を減圧環境下で脱泡させることで、繊維状体への樹脂の含浸率を上げることができる。
こうして、色素増感太陽電池100が得られる。
<第2実施形態>
次に、本発明の色素増感太陽電池の第2実施形態について図3を用いて詳細に説明する。図3は、本発明の色素増感太陽電池の第2実施形態を示す断面図である。なお、図3において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態の色素増感太陽電池200は、低線膨張係数体60中に、水分を拡散させるための流路210が光入射面10aに沿って形成されている点で、第1実施形態の色素増感太陽電池100と相違する。ここで、流路210は、樹脂部50によって囲まれた空間である。
この場合、バックシート30から樹脂部50を通って浸入した水分が、低線膨張係数体60に形成された流路210に入ると、その流路210に沿って拡散する。この場合、水分が樹脂部50に含まれる樹脂中を拡散する場合に比べて、水分の拡散速度は大きくなる。その結果、水分の局在がより十分に抑制され、その局在した水分の付近に存在する色素増感太陽電池セル20の劣化がより十分に抑制される。その結果、色素増感太陽電池200は、色素増感太陽電池100よりも優れた耐久性を有することが可能となる。
本実施形態では、低線膨張係数体60が、複数の繊維を有する繊維状体である場合には、繊維状体の内部に流路210が形成される程度に樹脂を含浸させる。この場合、繊維状体の内部に流路210を形成するには、例えば第1実施形態で樹脂部前駆体から樹脂部50を形成する際に、真空度を第1実施形態の場合よりも低くしたり、温度や圧力を第1実施形態の場合よりも低くしたりすればよい。
流路210は、連続した1つの流路で構成されてもよいし、不連続に形成された複数の流路で形成されてもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明の色素増感太陽電池の第3実施形態について図4を用いて詳細に説明する。図4は、本発明の色素増感太陽電池の第3実施形態を示す断面図である。なお、図4において、第1又は第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態の色素増感太陽電池300は、低線膨張係数体60中に、光入射面10aに沿った流路210が形成され、低線膨張係数体60とバックシート30との間でその流路210に沿って且つ流路210の周囲に乾燥剤310が配置されている点で、第1実施形態の色素増感太陽電池100と相違する。
本実施形態の色素増感太陽電池300によれば、上記流路210によって拡散された水分が乾燥剤310によって捕捉されるため、色素増感太陽電池200に比べて、色素増感太陽電池セル20に浸入する水分の量をより十分に抑制できる。
色素増感太陽電池300は、バックシート30に配置した樹脂部前駆体中、又は、バックシート30に配置した樹脂部前駆体と、低線膨張係数体60と色素増感太陽電池セル20との間に配置した樹脂部前駆体との間に乾燥剤310を予め混入させておくこと以外は第1実施形態の色素増感太陽電池100の製造方法と同様にして製造することができる。このとき、流路210を繊維状体の内部に形成するために、樹脂部前駆体を形成する際に真空度や温度を第1実施形態の場合よりも低くしたり、加圧圧力を第1実施形態の場合よりも低くしたりする点は第2実施形態と同様である。
乾燥剤310は、水分を吸収する機能を有するものであればよい。乾燥剤310としては、物理的に水分を吸着する物理的乾燥剤、化学的に水分と反応する化学的乾燥剤があるが、いずれを用いることも可能である。物理的乾燥剤は通常、多孔質であり、このような多孔質の物理的乾燥剤としては、例えば無機系酸化物を含有する乾燥剤、活性炭が挙げられる。無機系酸化物を含有する乾燥剤は、2種以上の無機系酸化物を含む複合酸化物を含有していてもよい。無機系酸化物を含有する乾燥剤としては、例えば合成シリカ、アルミナ、珪酸カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、合成ゼオライト、セリサイト、カオリン及びタルクなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
乾燥剤310は、流路210に沿って複数配置されていることが好ましい。この場合、乾燥剤210が流路210に沿って複数配置されているため、水分が、流路210に入って流路210を通過しても直ちに乾燥剤310で吸収される。
樹脂部50中の乾燥剤の含有率は、2〜60体積%であることが好ましく、5〜50体積%であることがより好ましい。この場合、より優れた耐久性を有する色素増感太陽電池300を実現することが可能となる。
<第4実施形態>
次に、本発明の色素増感太陽電池の第4実施形態について図5を用いて詳細に説明する。図5は、本発明の色素増感太陽電池の第4実施形態を示す断面図である。なお、図5において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態の色素増感太陽電池400は、複数の色素増感太陽電池セル20A〜20Cを有し、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル20が、リード線401により接続されている点で第1実施形態の色素増感太陽電池100と相違する。具体的には、リード線401の一端が、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル20の一方の色素増感太陽電池セル20の対極24と接続され、リード線401の他端が、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル20の他方の色素増感太陽電池セル20の作用極27に接続されている。なお、リード線401と対極24若しくは作用極27との接続は、例えば抵抗溶接により行うことができる。
この場合、低線膨張係数体60が存在しない場合、色素増感太陽電池400が高温環境下で使用されると、樹脂部50の変形によりリード線401を通じて接続箇所に過大な応力がかかり、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル20同士間の接続が解除されるおそれがある。その点、本実施形態のように低線膨張係数体60が設けられていると、色素増感太陽電池400が高温環境下で使用されても、樹脂部50の変形が十分に抑制されるため、リード線401を通じて接続箇所にかかる応力が低減され、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル20同士間の接続の解除が十分に抑制される。その結果、色素増感太陽電池400の接続信頼性を向上させることが可能となる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記第4実施形態においては、3つの色素増感太陽電池セル20A〜20Cを有する色素増感太陽電池400が示されているが、色素増感太陽電池セル20の数は、3つに限られず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
また上記第4実施形態においては、1つの連続した低線膨張係数体60が、複数の色素増感太陽電池セル20に対向するように配置されているが、各色素増感太陽電池セル20ごとに1つの連続した低線膨張係数体60が対向配置されてもよい。また、1つの色素増感太陽電池セル20に対し、複数の低線膨張係数体60を不連続に対向配置させてもよい。
また上記第3実施形態では、乾燥剤310が、低線膨張係数体60とバックシート30との間に配置され、低線膨張係数体60と色素増感太陽電池セル20の対極24との間に配置されていないが、乾燥剤310は、低線膨張係数体60と色素増感太陽電池セル20の対極24との間にさらに配置されていてもよい。あるいは、乾燥剤310は、低線膨張係数体60とバックシート30との間に配置されず、低線膨張係数体60と色素増感太陽電池セル20の対極24との間にのみ配置されてもよい。
さらに上記第2および第3実施形態では、低線膨張係数体60の内部に流路210が形成されているが、流路210は、低線膨張係数体60と樹脂部50との間にさらに形成されていてもよい。あるいは、低線膨張係数体60の内部には流路210が形成されず、低線膨張係数体60と樹脂部50との間にのみ流路が形成されてもよい。
さらに上記第4実施形態では、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル20が、リード線401により接続されているが、リード線401は、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル20のうちの一方の色素増感太陽電池セル20の対極24の対極基板24aと同一材料で構成されてもよい。すなわち、リード線401は、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル20のうちの一方の色素増感太陽電池セル20の対極24の対極基板24aの一部で構成されてもよい。ここで、導電性基板としての対極基板24aの一部と隣りの色素増感太陽電池セル20の透明導電層21との接続は、例えば抵抗溶接により行うことができる。あるいは、リード線401は、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル20のうちの一方の色素増感太陽電池セル20の透明導電層21と同一材料で構成されてもよい。すなわち、リード線401は、隣り合う2つの色素増感太陽電池セル20のうちの一方の色素増感太陽電池セル20の透明導電層21の一部で構成されてもよい。ここで、導電性基板としての透明導電層21の一部と隣りの色素増感太陽電池セル20の対極基板24aとの接続も、例えば抵抗溶接により行うことができる。
さらに上記第1〜第4実施形態では、作用極10が配線部23を有しているが、配線部23は必ずしも必要なものではなく、省略が可能である。
さらに上記第1〜第4実施形態では、低線膨張係数体60は、シート状となっているが、低線膨張係数体60は、光入射面10aに沿うように配置されていればよく、シート状に限られるものではない。低線膨張係数体60の形状は、例えばガラス繊維やカーボン繊維のような線状などであってもよい。この場合、低線膨張係数体及び樹脂部全体の線膨張係数に異方性を持たせることが可能である。またこの線状の低線膨張係数体を交差させて積層することで、シート状の低線膨張係数体と同じ効果が得られる。
さらに上記第1〜第4実施形態では、樹脂部50が封止部25と接着されているが、樹脂部50は封止部25と接着されていなくてもよい。すなわち、図6に示す色素増感太陽電池500のように、樹脂部50は封止部25と離間していてもよい。
さらにまた上記第1〜第4実施形態では、多孔質酸化物半導体層22が第2電極としての透明導電層21上に設けられているが、多孔質酸化物半導体層22は、第2電極に対向する第1電極上に設けられてもよい。この場合、多孔質酸化物半導体層22と第1電極とによって作用極が構成され、第2電極によって対極が構成される。ここで、多孔質酸化物半導体層22とともに作用極を構成する第1電極は、対極24に代えて、例えば上記第1実施形態における透明導電層21が形成された絶縁性基板又は金属基板で構成すればよい。また、対極を構成する第2電極は、透明導電層21に代えて、例えば上記第1実施形態における触媒層24bで構成される。
さらに上記第1実施形態では、対極24が対向基板を構成しているが、図7に示す色素増感太陽電池600のように、色素増感太陽電池セル620における対向基板として、対極24に代えて、絶縁性基板624を用いてもよい。この場合、絶縁性基板624と封止部25と透光性基板10との間の空間には構造体601が配置される。構造体601は、透光性基板10のうち光入射面10aとは反対側の面上に設けられている。構造体601は、透光性基板10側から順に、透明導電膜21、多孔質酸化物半導体層22、多孔質絶縁層602及び対極603で構成される。また上記空間には電解質26が配置されている。電解質26は、多孔質酸化物半導体層22及び多孔質絶縁層602の内部にまで含浸されている。ここで、絶縁性基板624としては、例えばガラス基板又は樹脂フィルムなどを用いることができる。また対極603としては、対極24と同様のものを用いることができる。あるいは、対極603は、例えばカーボン等を含む多孔質の単一の層で構成されてもよい。多孔質絶縁層602は、主として、多孔質酸化物半導体層22と対極603との物理的接触を防ぎ、電解質26を内部に含浸させるためのものである。このような多孔質絶縁層602としては、例えば酸化物の焼成体を用いることができる。なお、図7に示す色素増感太陽電池600においては、封止部25と透光性基板10と対向基板624との間の空間に構造体601が1つのみ設けられているが、構造体601は複数設けられていてもよい。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
はじめに、10cm×10cm×4mmのFTO基板を準備した。FTO基板としては、ガラス基板上にFTO膜を形成してなるものを用いた。ガラス基板の線膨張係数α0は8×10−6/Kであった。続いて、FTO基板の上に、ドクターブレード法によって酸化チタンペースト(Solaronix社製、Ti nanoixide T/sp)を、その厚さが10μmとなるように5cm×5cmの範囲に塗布して被焼成体を得た。その後、被焼成体を、熱風循環タイプのオーブンに入れて150℃で3時間焼成した。こうして、FTO基板上に多孔質酸化物半導体層を形成して作用極を得た。
一方、作用極の形成に用いたFTO基板と同様のFTO基板を対極基板として準備した。そして、この対極基板上に、スパッタリング法により、厚さ10nmの白金触媒膜を形成し、対極を得た。
こうして作用極及び対極を準備した。
次に、アイオノマーであるハイミランからなる6cm×6cm×30μmのシートの中央に、5cm×5cm×30μmの開口を形成した四角環状の樹脂シートを準備した。そして、この樹脂シートを、作用極の多孔質酸化物半導体層を包囲する環状の部位に配置した。この樹脂シートを120℃の溶融温度で5分間加熱し溶融させることによって環状部位に接着した。
続いて、エチレン−メタクリル酸共重合体であるニュクレルからなる6cm×6cm×30μmのシートの中央に、5cm×5cm×30μmの開口を形成した四角環状の樹脂シートを準備した。
そして、このニュクレルからなる四角環状の樹脂シートを、ハイミランからなる四角環状の樹脂シートの直上に、110℃の溶融温度で貼り付けた。こうして第1封止部を形成した。
次に、この作用極を、光増感色素であるN719色素を0.2mM溶かした脱水エタノール液中に一昼夜浸漬して作用極に光増感色素を担持させた。
一方、アイオノマーであるハイミランからなる6cm×6cm×30μmのシートの中央に、5cm×5cm×30μmの開口を形成した四角環状の樹脂シートを準備した。そして、この樹脂シートを対極の白金触媒膜上における環状の部位に配置した。そして、この樹脂シートを110℃の溶融温度で5分間加熱し溶融させることによって環状部位に接着した。
続いて、エチレン−メタクリル酸共重合体であるニュクレルからなる6cm×6cm×30μmのシートの中央に、5cm×5cm×30μmの開口を形成した四角環状の樹脂シートを準備した。
そして、このニュクレルからなる四角環状の樹脂シートを、ハイミランからなる四角環状の樹脂シートの直上に、110℃の溶融温度で貼り付けた。こうして第2封止部を形成した。
次いで、第1封止部を設けた作用極を、FTO基板の多孔質酸化物半導体層側の表面が水平になるように配置し、第1封止部の内側に、アセトニトリルからなる揮発性溶媒を主溶媒とし、ヨウ化リチウムを0.05M、ヨウ化リチウムを0.1M、1,2−ジメチルー3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド(DMPII)を0.6M、4−tert−ブチルピリジンを0.5M含む電解質を注入し、電解質層を形成した。
次に、第2封止部を設けた対極を、作用極に対向させ、500hPa程度の減圧環境下で、第1封止部と第2封止部とを重ね合わせた。そして、減圧環境下で、封止部と同じ大きさの真鍮製の枠を加熱し、前記真鍮製の枠を対極の第2封止部とは反対側に配置した。そして、プレス機を用いて、5MPaで第1封止部及び第2封止部を、上記枠を介して加圧しながら160℃の温度で局所加熱して溶融させて封止部を形成し、積層体を得た。その後、この積層体を大気圧下に取り出した。こうして色素増感太陽電池セルを得た。
次に、10cm×10cm×30μmの無水マレイン酸変性ポリエチレンであるバイネル(商品名、デュポン社製、線膨張係数α2:110×10−6/K)からなる樹脂シートを用意し、この樹脂シートを、色素増感太陽電池セルの対極及び露出したFTO基板に、0.2MPaで加圧しながら150℃の温度で5分間加熱して熱圧着させた。このとき、樹脂シートは、封止部の外周面も覆うようにした。
次に、6cm×6cm×50μmのシート状のガラスクロス(線膨張係数α1:10×10−6/K、フェザーフィールド社製)からなる連続した低線膨張係数体を用意し、この低膨張係数体を、対極に融着させた樹脂シートの上に、FTO基板のうちFTOが形成されていない側の表面(光入射面)に沿うように配置した。
一方、以下のようにしてバックシートを準備した。
酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(酸変性LLDPE)からなるペレット(商品名:バイネル、デュポン社製)を押出機に投入して溶融させる一方、ポリブチレンテレフタレート(PBT)からなるペレットを押出機に投入して溶融させ、これらをTダイの隙間から共押出しすることにより厚さ150μmの複層フィルムを得た。このとき、PBTで構成される耐候性層の厚さは100μmであった。
次に、金属層として、厚さ20μmの圧延アルミニウム箔を用意した。そして、この圧延アルミニウム箔と上記複層フィルムとを熱ラミネートすることで、積層フィルムを得た。こうしてバックシートを得た。このとき、圧延アルミニウム箔は、複層フィルムのうちポリエチレンからなる層に接着した。続いて、バックシートに、無水マレイン酸変性ポリエチレンであるバイネル(デュポン社製)からなる樹脂シートを0.2MPaで加圧しながら150℃の温度で5分間加熱して熱圧着させた。こうして樹脂シート付きバックシートを得た。
次に、樹脂シート付きバックシートを、樹脂シートと低膨張係数体とが重なるように配置させた。
続いて、バックシートを介して樹脂シートを0.01MPaの真空環境下で0.2MPaの圧力で加圧しながら150℃の温度で5分間加熱して樹脂シートを溶融させた。その後、真空を保持しているバルブを開放して真空環境を破った。周囲の圧力が常圧になったのを確認した後、樹脂シートを自然冷却させた。こうしてバックシートを色素増感太陽電池セル上に取り付けた。以上のようにして色素増感太陽電池を得た。
(実施例2〜4)
低線膨張係数体の構成材料、形態、線膨張係数α1、および、α2−α1を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(実施例5)
バックシートを介して樹脂シートを加圧しながら加熱してバックシートを色素増感太陽電池セルへ取り付けるときの真空環境を0.08MPaとすることにより低線膨張係数体中に、透光性基板の光入射面に沿った流路を形成したこと以外は実施例2と同様にして色素増感太陽電池を作製した。なお、このときに得た低線膨張係数体の断面5箇所において、未充填部分の面積の、充填部分と未充填部分との合計の面積に占める割合を求めたところ、その割合は60%であった。
(実施例6)
低線膨張係数体とバックシートとの間で流路に沿って合成ゼオライト(商品名:MS−セラムーW、東海化学工業所社製)からなる乾燥剤を配置したこと以外は実施例5と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(実施例7)
樹脂シートをバイネルからハイミラン(三井・デュポンポリケミカル製)に変更することにより、低線膨張係数体の線膨張係数と樹脂部の線膨張係数との差であるα2−α1を表1に示す通りに変更したこと以外は実施例2と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(実施例8)
樹脂シートをバイネルからポリウレタン(商品名:ポリウレタン接着剤・シーラント剤540、住友3M社製)に変更することにより、低線膨張係数体の線膨張係数と樹脂部の線膨張係数との差であるα2−α1を表1に示す通りに変更したこと以外は実施例2と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(実施例9)
FTO基板のFTO膜に銀からなる端子を4個形成し、透光性基板上に色素増感太陽電池セルを4個形成した後、各色素増感太陽電池セルの対極のうち透光性基板と反対側の表面に銀からなる端子を形成し、銅からなるリード線の一端を、対極に形成した端子にはんだによって接合し、リード線の他端をFTO基板のFTO膜に形成した端子にはんだによって接合したこと以外は実施例2と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(実施例10)
低線膨張係数体を、1枚から8枚に変更し、各低線膨張係数体の寸法を1cm×1cm×0.2mmに変更し、隣り合う低線膨張係数体同士間の間隔を2mmとすることにより、8枚の低線膨張係数体を不連続に配置したこと以外は実施例2と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(実施例11)
FTO基板の代わりに、PEN基板(線膨張係数α0:21×10−6/K)の上にスパッタ法にてITO膜を形成した基板を用い、α2−α1を表1に示す通りとしたこと以外は実施例3と同様にして、色素増感太陽電池を作製した。
(実施例12)
低線膨張係数体を構成する材料を、表1に示す通り、線膨張係数α1が10×10−6/Kであるガラスクロスから、線膨張係数α1が15×10−6/Kであるガラスクロスに変更し、樹脂部を構成する材料を、表1に示す通り、線膨張係数α2が110×10−6/Kであるバイネルから、線膨張係数α2が135×10−6/Kであるポリウレタン樹脂に変更することにより、α2−α1を表1に示す通り120×10−6/Kとしたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(実施例13)
封止部と樹脂部とを離間させたこと以外は実施例2と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(比較例1)
低線膨張係数体を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(比較例2)
低線膨張係数体を用いなかったこと以外は実施例11と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
[特性評価]
上記のようにして得られた実施例1〜13及び比較例1〜2の色素増感太陽電池について、以下のようにして耐久性を評価した。
すなわち、まず実施例1〜10、12、13及び比較例1の色素増感太陽電池について、光電変換効率(η)を測定した。続いて、色素増感太陽電池を85℃85%RHの環境下に2000時間静置した後、上記と同様にして、光電変換効率(η)を測定した。そして、下記式:
光電変換効率の保持率(%)=η/η×100
に基づき、光電変換効率の保持率(光電変換保持率)を算出した。結果を表1に示す。
また実施例11及び比較例2の色素増感太陽電池については、60℃90%RHの環境下に1000時間静置したこと以外は上記と同様にして光電変換効率(η)を測定し、光電変換効率の保持率(%)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0005828034
表1に示す結果より、実施例1〜13の色素増感太陽電池は、比較例1〜2の色素増感太陽電池に比べて、光電変換効率の保持率が高く、優れた耐久性を有していることが分かった。
以上のことから、本発明の色素増感太陽電池によれば、優れた耐久性を有することが確認された。
10…透光性基板
10a…光入射面
20、20A〜20C…色素増感太陽電池セル
21…透明導電層(第2電極)
22…多孔質酸化物半導体層
24…対極(第1電極、対向基板)
24a…対極基板(導電性基板)
25…封止部
26…電解質
27…作用極
30…バックシート
50…樹脂部
60…低線膨張係数体
100,200,300,400,500,600…色素増感太陽電池
210…流路
310…乾燥剤
620…色素増感太陽電池セル
624…絶縁性基板(対向基板)

Claims (9)

  1. 光が入射される光入射面を有する透光性基板と、
    前記透光性基板の前記光入射面と反対側に設けられる少なくとも1つの色素増感太陽電池セルと、
    前記色素増感太陽電池セルを覆うバックシートと、
    前記透光性基板及び前記色素増感太陽電池セルと前記バックシートとを接着し、樹脂を含む樹脂部と、
    前記樹脂部の内部に埋め込まれ、前記樹脂部よりも低い線膨張係数を有する材料からなる低線膨張係数体とを備え、
    前記色素増感太陽電池セルが、
    前記透光性基板に対向し、前記樹脂部と接着されている対向基板と、
    少なくとも前記透光性基板と前記対向基板との間に設けられる電解質と、
    前記透光性基板と前記対向基板とを連結する封止部とを有し、
    前記低線膨張係数体が、前記バックシートと前記少なくとも1つの色素増感太陽電池セルの前記対向基板との間で前記透光性基板の前記光入射面に沿うように配置されている、色素増感太陽電池。
  2. 前記封止部が前記樹脂部と接着されている、請求項1に記載の色素増感太陽電池。
  3. 前記低線膨張係数体が、複数本の繊維を有する繊維状体で構成されている、請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池。
  4. 前記低線膨張係数体の内部、及び、前記低線膨張係数体と前記樹脂部との間の少なくとも一方に、水分を拡散させるための流路が前記光入射面に沿って形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
  5. 前記流路の周囲に乾燥剤が配置されている、請求項4に記載の色素増感太陽電池。
  6. 前記低線膨張係数体の線膨張係数と前記樹脂部に含まれる樹脂の線膨張係数との差が85×10−6/K〜110×10−6/Kである請求項1〜5のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
  7. 前記対向基板が第1電極で構成され、
    前記色素増感太陽電池セルが、
    前記透光性基板のうち前記光入射面と反対側に設けられる第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる多孔質酸化物半導体層とをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
  8. 前記色素増感太陽電池セルを複数有し、
    前記第1電極及び前記第2電極がそれぞれ導電性基板を有し、
    隣り合う2つの前記色素増感太陽電池セルが前記第1電極又は前記第2電極に含まれる前記導電性基板の一部により接続されている、請求項7に記載の色素増感太陽電池。
  9. 前記樹脂部に含まれる前記樹脂がポリオレフィン樹脂である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
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