JPWO2009131186A1 - 組み換え微生物を用いた共重合ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、3HBとLAとを含む共重合ポリエステルを、糖を原料とした微生物発酵によって効率よく生産する方法を提供することを目的とする。ヒドロキシ酪酸と乳酸とからなる共重合ポリエステルの製造方法であって、1)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質、2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質、アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質、及び下記のa)又はb)のアミノ酸配列からなるポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質を有する組み換え微生物を、炭素源を含む培地で培養する工程:a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸の少なくとも1以上が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列b)a)に規定されるタンパク質において、さらに130番目、325番目、477番目及び481番目以外の少なくとも1以上のアミノ酸が欠失若しくは置換され、又は1以上のアミノ酸残基が挿入されたアミノ酸配列、及び、2)工程1)の培養物から前記共重合ポリエステルを回収する工程を含む、前記共重合ポリエステルの製造方法。本発明の製造方法は、安価な炭素源を原料として、3HBとLAとからなる共重合ポリエステルを効率的に製造することができ、生分解性プラスチックの製造コストを低くすることができる。

Description

本発明は、組み換え微生物を用いた共重合ポリエステルの製造方法に関する。
糖を炭素源としてポリエステルを生産する能力を有する微生物は、これまでにも多数報告されている(非特許文献1)。微生物が生産するポリエステルは、自然界で容易に分解される生分解性プラスチックとして、また糖や植物油などの再生可能な炭素資源から合成することができる“グリーン”プラスチックとして、注目されている。
微生物が生産する生分解性プラスチックの代表例は、3−ヒドロキシ酪酸(3HB)をモノマーとするポリ−3−ヒドロキシ酪酸(polyhydoroxybutylate、PHB)である。PHBは、180℃程度に融解温度をもつ熱可塑性高分子であり、生分解性に加えて溶融加工性に優れるという利点を有する。その一方、PHBは、結晶性が高いために、硬くて脆い、すなわち耐衝撃性に劣るという物性上の問題を抱えている。
PHBの物性上の問題を解消する方法の一つとして、3HBとその他のヒドロキシアルカン酸とからなる共重合ポリエステルを、微生物を用いて製造する方法が開発されている。
例えば、特許文献1には3HBと3−ヒドロキシ吉草酸(3HV)とからなる共重合体の製造方法が開示されている。また特許文献2には、メチロバクテリウム属(Methylobacterium sp.)、パラコッカス属(Paracoccus sp.)、アルカリゲネス属(Alcaligenes sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)の微生物を、炭素数3から7の第一アルコールに接触させることにより、3HBと3HVとの共重合体を生産させる方法が開示されている。
この3HBと3HVとの共重合体はPHBに比べると柔軟性に富み、また共重合ポリエステル中の3HVの含有率が増加すると柔軟性が高まることが確認されている。上記の微生物を用いた3HBと3HVとの共重合体の製造法では、例えば前記特許文献1ではプロピオン酸を、また特許文献3ではプロパン−1−オールをそれぞれ培地に添加することで、共重合ポリエステル中の3HVの含有率を制御している。
3HBと3−ヒドロキシヘキサン酸(以下、3HHと略す)との2成分共重合ポリエステルであるP(3HB−co−3HH)およびその製造方法も、例えば、特許文献4及び特許文献5にそれぞれ記載されている。これらの公報のP(3HB−co−3HH)共重合体の製造方法は、土壌より単離されたアエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)を用い、オレイン酸等の脂肪酸やオリーブオイル等の油脂から発酵生産するものである。また、このA.caviaeのPHAシンターゼ遺伝子をクローニングし、この遺伝子をアルカリゲネス ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)に導入した組換え株を用いて、脂肪酸を炭素源としてP(3HB−co−3HH)を生産する報告もなされている(特許文献6)。
また、上記の共重合ポリエステルの微生物を用いた製造法では、何れの場合にも、直接ポリマーを合成する活性を有する酵素タンパク質であるポリヒドロキシアルカン酸合成酵素を使用することが必要であるが、この合成酵素を改変して、モノマー単位のモル分率を調節する試みも行われている。例えば特許文献7は、シュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.)61−3として同定されている微生物のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素のアミノ酸配列を変換して、3HBの含有率が高いPHBを生産する変異酵素を開示している。
以上は、3−ヒドロキシアルカン酸をモノマー単位とする共重合ポリエステルと、微生物を用いたその製造法である。一方、3−ヒドロキシアルカン酸以外の成分をモノマー単位とする共重合ポリエステルは、上記の共重合ポリエステルとは異なる物性を有することが期待される。特許文献8は、その様な3−ヒドロキシアルカン酸以外のモノマー単位を含む共重合ポリエステルの例として、クロストリジウム プロピオニウム(Clostridium propionicum)のプロピオニルCoAトランスフェラーゼをコードする核酸を組み込んだラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha、旧名アルカリゲネス ユートロファス(Alcaligenes eutrophus))を、培地に乳酸を添加しながら培養して、3HBと乳酸(LA)とからなる共重合ポリエステルを製造する方法を開示している。また、同文献は、C.propionium由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼをコードする核酸と、Pseudomonas sp.61−3由来のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素をコードする核酸とを組み込んだ大腸菌を、培地に乳酸とデセノイン酸を添加しながら培養して、3−ヒドロキシヘキサノエート、3−ヒドロキシオクタノエート、3−ヒドロキシデカノエート及び乳酸からなるコポリマーを製造する方法も開示している。
しかし、培地に乳酸やデセノイン酸などのモノマー成分を添加してポリヒドロキシアルカン酸を合成する方法は、原料コストの面で不利である。また一般に共重合ポリエステルの微生物による製造は、ポリマー生産性及び炭素源収率が低いため、安価な天然物等を炭素源として利用した場合においても、生産性乃至収率の向上は製造コストの削減にとって重要な課題である。
「生分解性プラスチックハンドブック」、生分解性プラスチック研究会編、1995年、第178−197頁、(株)エヌ・ティー・エス発行) 特開昭57−150393号公報 特開平5−74492号公報 特公平7−79705号公報 特開平5−93049号公報 特開平7−265065号公報 特開平10−108682号公報 国際公開公報WO2003/100055 国際公開公報WO2006/126796
本発明は、3HBと3ヒドロキシアルカン酸以外のモノマー単位であるLAとを含む共重合ポリエステルを、糖を原料とした微生物発酵によって効率よく生産する方法を提供することを目的とする。また、ポリエステル中の3HBのモル分率を、使用される酵素の特性によって制御し、又は特定の宿主を選択したり培養条件を調節したりすることで、LAを様々なモル分率で有する共重合ポリエステルの製造方法を提供することを目的とするものである。また本発明は、LAと3HB以外のモノマー単位をさらに含む共重合ポリエステルを、糖を原料とした微生物発酵によって効率よく生産する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記非特許文献7に記載のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素の変異体をコードする核酸を導入した組み換え微生物が、糖から直接的に3HBとLAとからなる共重合ポリエステルを効率的に製造することができることを見いだし、共重合中のLAのモル分率を調節できること、さらには培地中に3HBとLA以外のモノマー成分の前駆体を供給することでLAと3HB以外のモノマー単位をさらに含む共重合ポリエステルを効率的に製造することができることを見いだし、下記の各発明を完成した。
(1)3−ヒドロキシ酪酸と乳酸とからなる共重合ポリエステルの製造方法であって、1)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質、2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質、アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質、及び下記のa)又はb)のアミノ酸配列からなるポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質を有する組み換え微生物を、炭素源を含む培地で培養する工程:
a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸の少なくとも1以上が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列
b)a)に規定されるタンパク質において、さらに130番目、325番目、477番目及び481番目以外の少なくとも1以上のアミノ酸が欠失若しくは置換され、又は1以上のアミノ酸残基が挿入されたアミノ酸配列、
及び、2)工程1)の培養物から前記共重合ポリエステルを回収する工程を含む、前記共重合ポリエステルの製造方法。
(2)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号4に示されるアミノ酸配列、又は配列番号4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、(1)に記載の製造方法。
(3)2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は配列番号6に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、(1)に記載の製造方法。
(4)アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は配列番号8に示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列である、(1)に記載の製造方法。
(5)ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目及び481番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列である、(1)に記載の製造方法。
(6)ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目と481番目のアミノ酸が同時に置換されたアミノ酸配列である、(5)に記載の製造方法。
(7)ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目のSerがThrに、481番目のGlnがLysにそれぞれ置換されたアミノ酸配列である、(6)に記載の製造方法。
(8)前記タンパク質のいずれもが、微生物に導入された組み換え発現ベクターにコードされているタンパク質である、(1)に記載の製造方法。
(9)組み換え微生物の培養が嫌気条件下に行われる、(1)〜(8)の何れかに記載の製造方法。
(10)微生物が乳酸蓄積能を有する微生物である、(1)〜(9)の何れかに記載の製造方法。
(11)高乳酸蓄積能を有する微生物が、大腸菌Jw2293株、Jw0885株又はJw0886株である、(10)に記載の製造方法。
(12)3−ヒドロキシ酪酸と乳酸を含む共重合ポリエステルの製造方法であって、1)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質、2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質、アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質、及び下記のa)又はb)のアミノ酸配列からなるポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質を有する組み換え微生物を、3−ヒドロキシ酪酸と乳酸以外のヒドロキシアルカン酸及び炭素源を含む培地で培養する工程:
a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸の少なくとも1以上が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列
b)a)に規定されるタンパク質において、さらに130番目、325番目、477番目及び481番目以外の少なくとも1以上のアミノ酸が欠失若しくは置換され、又は1以上のアミノ酸残基が挿入されたアミノ酸配列、
及び、2)工程1)の培養物から前記共重合ポリエステルを回収する工程を含む、前記共重合ポリエステルの製造方法。
(13)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号4に示されるアミノ酸配列、又は配列番号4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、(12)に記載の製造方法。
(14)2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は配列番号6に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、(12)に記載の製造方法。
(15)アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は配列番号8に示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列である、(12)に記載の製造方法。
(16)ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目及び481番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列である、(12)に記載の製造方法。
(17)ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目と481番目のアミノ酸が同時に置換されたアミノ酸配列である、(12)に記載の製造方法。
(18)ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目のSerがThrに、481番目のGlnがLysにそれぞれ置換されたアミノ酸配列である、(16)又は(17)に記載の製造方法。
(19)前記タンパク質のいずれもが、微生物に導入された組み換え発現ベクターにコードされているタンパク質である、(12)に記載の製造方法。
(20)3−ヒドロキシ酪酸と乳酸以外のヒドロキシアルカン酸の前駆体が、プロピオン酸、吉草酸、ドデカン酸、4−ヒドロキシブタン酸及び4−ヒドロキシ吉草酸よりなる群から選ばれる一種以上の前駆体である、(12)〜(19)のいずれかに記載の製造方法。
(21)組み換え微生物の培養が嫌気条件下に行われる、(12)〜(20)の何れかに記載の製造方法。
(22)微生物が乳酸蓄積能を有する微生物である、(12)〜(21)の何れかに記載の製造方法。
(23)高乳酸蓄積能を有する微生物が、大腸菌Jw2293株、Jw0885株又はJw0886株である、(22)に記載の製造方法。
(24)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質、2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質、アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質、及び下記のa)又はb)のアミノ酸配列からなるポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質を発現する組み換え微生物。
a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸の少なくとも1以上が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列
b)a)に規定されるタンパク質において、さらに130番目、325番目、477番目及び481番目以外の少なくとも1以上のアミノ酸が欠失若しくは置換され、又は1以上のアミノ酸残基が挿入されたアミノ酸配列
(25)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号4に示されるアミノ酸配列、又は配列番号4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、(24)に記載の組み換え微生物。
(26)2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は配列番号6に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、(24)に記載の組み換え微生物。
(27)アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は配列番号8に示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列である、(24)に記載の組み換え微生物。
(28)ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目及び481番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列である、(24)に記載の組み換え微生物。
(29)ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目と481番目のアミノ酸が同時に置換されたアミノ酸配列である、(24)に記載の組み換え微生物。
(30)ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目のSerがThrに、481番目のGlnがLysにそれぞれ置換されたアミノ酸配列である、(28)又は(29)に記載の組み換え微生物。
(31)前記タンパク質のいずれもが、微生物に導入された組み換え発現ベクターにコードされているタンパク質である、(24)に記載の組み換え微生物。
(32)微生物が乳酸蓄積能を有する微生物である、(24)〜(31)のいずれかに記載の組み換え微生物。
(33)高乳酸蓄積能を有する微生物が、大腸菌Jw2293株、Jw0885株又はJw0886株である、(32)に記載の組み換え微生物。
本発明の製造方法は、安価な炭素源を原料として、3HBとLAとからなる共重合ポリエステルを効率的に製造することができ、生分解性プラスチックの製造コストを低くすることができる。また、使用される酵素を選択したり、LAの高生産性微生物を宿主としたり、微生物の培養を嫌気条件下で行ったりすることで3HBとLAとからなる共重合ポリエステルにおけるモノマー単位の含有率を調節することができる。また、培地に3HBとLA以外のヒドロキシアルカン酸を培地に加えることにより、3HBとLA以外のモノマー単位をさらに含む共重合ポリエステル製造することができる。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2008-113127号、2008-298765号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
組換えプラスミドpTV118NPCTC1(ST/QK)ABの構成を示す概略図である。図中、phaAはR.ユートロファ(R.eutropha)由来のβKT遺伝子を、phaBはR.ユートロファ(R.eutropha)由来のAACoA−R遺伝子を、phaC1(ST/QK)はSTQK遺伝子を、PCTはM.エルスデニ(M.elsdenii)由来のPct遺伝子を、PReはR.ユートロファ(R.eutropha)由来プロモーターを、及びPlacは大腸菌ラクトースオペロンプロモーターを、それぞれ表す。 実施例1で調製したポリマーの分子量分布曲線である。 実施例1で調製したポリマーの熱分析の測定結果を表わすグラフである。 実施例1で調製したポリマーのGC/MS分析の結果を表わすチャートである。 実施例1で調製したポリマーのH−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 実施例1で調製したポリマーの13C−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 実施例1で調製したポリマーのH−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 実施例1で調製したポリマーの13H−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 組換えプラスミドpTV118NPCTC(Re)AB、pTV118NPCTC(Bc)AB、pTV118NPCTC1(WT)AB、pTV118NPCTC2ABの構成を示す概略図である。 比較例で調製されたpTV118NPCTC(Re)AB及びpTV118NPCTC(Bc)の各ポリマーのGC/MS分析の結果を表わすチャートである。パネルAがpTV118NPCTC(Re)ABのチャート、パネルBがpTV118NPCTC(Bc)のチャート、パネルCがpTV118NPCTC2ABのチャートである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw2293株由来のポリマーの分子量分布曲線である。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw0885株由来のポリマーの分子量分布曲線である。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw0886株由来のポリマーの分子量分布曲線である。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw2293株由来のポリマーの熱分析の測定結果を表わすグラフである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw0885株由来のポリマーの熱分析の測定結果を表わすグラフである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw0886株由来のポリマーの熱分析の測定結果を表わすグラフである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw2293株由来のポリマーのGC/MS分析の結果を表わすチャートである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw0885株由来のポリマーのGC/MS分析の結果を表わすチャートである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw0886株由来のポリマーのGC/MS分析の結果を表わすチャートである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw2293株由来のポリマーのH−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw0885株由来のポリマーのH−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw0886株由来のポリマーのH−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw2293株由来のポリマーの13C−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw0886株由来のポリマーの13C−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 実施例2で調製したLA高蓄積性大腸菌Jw0886株由来のポリマーの13C−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 組換えプラスミドpACYC117ABの構成を示す概略図である。 実施例3で調製したポリマーの分子量分布曲線である。 実施例3で調製したポリマーの熱分析の測定結果を表わすグラフである。 実施例3で調製したポリマーのGC/MS分析の結果を表わすチャートである。 実施例3で調製したポリマーのH−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 実施例3で調製したポリマーの13C−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 実施例3で調製したポリマーの13C−NMRスペクトル分析の結果を表わすチャートである。 標準物質であるポリ乳酸のHPLCチャートである。 標準物質であるポリ[ヒドロキシ酪酸(HB)−co−ヒドロキシ吉草酸(HV)−co−ヒドロキシヘキサン酸(HHx)](HB:70mol%、HV:23mol%、HHx:7mol%)のHPLCチャートである。 実施例4で得られたポリマーのHPLCチャートである。
phaA:R.ユートロファ由来βKT遺伝子
phaB:R.ユートロファ由来AACoA−R遺伝子
phaC(Re):R.ユートロファ由来ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子
phaC(Bc):B.セレウス由来ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子
phaC1(WT):シュードモナスsp.61−3由来ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子(野生型)
phaC2:シュードモナスsp.61−3由来ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素2遺伝子
PCT:M.エルスデニ由来Pct遺伝子
PRe:アルカリゲネス・ユウトロファス由来プロモーター
Plac:ラクトースオペロンプロモーター
本発明は、1)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質と、2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質、アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質と、下記のa)又はb)のアミノ酸配列からなるポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質を有する組み換え微生物を、炭素源を含む培地で培養する工程:
a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸の少なくとも1以上が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列
b)a)に規定されるタンパク質において、さらに130番目、325番目、477番目及び481番目以外の少なくとも1以上のアミノ酸が欠失若しくは置換され、又は1以上のアミノ酸残基が挿入されたアミノ酸配列、
及び2)前記工程1)の培養物から前記共重合ポリエステルを回収する工程を含む、3HBとLAとからなる共重合ポリエステルの製造方法である。以下、本発明で使用されるタンパク質、組み換え微生物、及び本発明の製造方法の諸条件について、説明する。
1)プロピオン酸及び/又は乳酸(LA)にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質
本発明で使用される「プロピオン酸及び/又はLAにCoAが転移される反応を触媒するタンパク質」は、適当なCoA基質からプロピオン酸及び/又はLAにCoAが転移される反応を触媒する活性を有するタンパク質である。かかる活性を有するタンパク質は、一般にプロピオニルCoAトランスフェラーゼ(PropionylCoA Transferase、Pct)と称されている。以下、本発明では、当該タンパク質をPctと表すこととする。
表1に、これまでに報告されたPctの由来(微生物名)の代表例と、それをコードする塩基配列情報を開示した文献情報を示す。
Figure 2009131186
本発明では、上記表1の他にも、これまでに報告されたPctのいずれも利用することができる。また、「プロピオン酸及び/又はLAにCoAが転移される反応を触媒するタンパク質」であるかぎり、既知のPctのアミノ酸配列において1個又は数個、例えば1〜数十個、好ましくは1〜十数個、より好ましくは10個以下のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であっても利用することができる。
プロピオン酸及び/又はLAにCoAが転移される反応の触媒活性は、例えばA.E.Hofmeisterら(Eur.J. Biochem.、第206巻、第547−552頁)に記載された方法に従って測定することができる。
本発明における好ましいPctは、メガスファエラ エルスデニ(Megasphaera elsdenii)由来のPctであり、そのアミノ酸配列を配列番号4に、当該アミノ酸配列をコードする核酸(DNA)の塩基配列の例を配列番号3に示す。
2)2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質
本発明で使用される「2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質」は、2分子のアセチルCoAが縮合してアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質であり、一般的には、βケトチオラーゼ又はアセチル−CoA−CoA−C−アセチルトランスフェラーゼと称されている。以下、本発明では、「2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質」を、βKTと表すこととする。
表2に、これまでに報告されたβKTの由来(微生物名)の代表例と、それをコードする塩基配列情報を開示した文献情報を示す。
Figure 2009131186
本発明では、上記表2の他にも、これまでに報告されたβKTのいずれも利用することができる。また、「2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質」であるかぎり、既知のβKTのアミノ酸配列において1個又は数個、例えば1〜数十個、好ましくは1〜十数個、より好ましくは10個以下のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であっても、使用することができる。
2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応の触媒活性は、例えばSlaterら(J. Bacteriology、1998年、第180巻、第1979−1987頁)に記載された方法によって測定することができる。
本発明における好ましいβKTは、R.ユートロファ(R.eutropha)由来のβKTであり、そのアミノ酸配列を配列番号6に、当該アミノ酸配列をコードする核酸(DNA)の塩基配列の例を配列番号5に示す。
3)アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質
本発明で使用される「アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質」は、アセトアセチルCoAのNADP等の補酵素の存在下で生じる還元反応によって、D(−)−β−ヒドロキシブチリル−CoAが形成される反応を触媒するタンパク質であり、一般的にはアセトアセチルCoAリダクターゼと称されている。以下、本発明では、「アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質」を、AACoA−Rと表すこととする。
表3に、これまでに報告されたAACoA−Rの由来(微生物名)の例と、それをコードする塩基配列情報を開示した文献又はデータベース登録番号を示す。
Figure 2009131186
本発明では、上記表3の他にも、これまでに報告されたAACoA−Rのいずれも使用することができる。また、「アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質」であるかぎり、既知のAACoA−Rのアミノ酸配列において1個又は数個、例えば1〜数十個、好ましくは1〜十数個、より好ましくは10個以下のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であっても、使用することができる。
アセトアセチルCoAの還元反応の触媒活性は、例えばG.W.Haywoodら(FEMS Microbiology Letters,1988年、第52巻、第259−264頁)に記載された方法によって測定することができる。
本発明における好ましいAACoA−Rは、R.ユートロファ(R.eutropha)由来のAACoA−Rであり、そのアミノ酸配列を配列番号8に、当該アミノ酸配列をコードする核酸(DNA)の塩基配列の例を配列番号7に示す。
その他、これまでに知られているβKTとAACo−Rとそのアクセッション番号を表4に示す。
Figure 2009131186
4)ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質
本発明におけるポリヒドロキシアルカン酸の合成を触媒するタンパク質は、a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸の少なくとも1以上が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列、又はb)a)に規定されるタンパク質において、さらに130番目、325番目、477番目及び481番目以外の少なくとも1以上のアミノ酸が欠失若しくは置換され、又は1以上のアミノ酸残基が挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質である。このタンパク質は、前記特許文献7に記載されている、シュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.)61−3由来のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素のアミノ酸配列の一部を変異させたタンパク質である。以下、本発明におけるポリヒドロキシアルカン酸の合成を触媒するタンパク質をPhaCmと表し、また特許文献7の記載を全て本明細書に取り込むこととする。
PhaCmの好適な具体例は、特許文献7の表6及び表7に記載されている、配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸が、それぞれ単独で置換された単独変異、任意の2つのアミノ酸が置換された二重変異、任意の3つのアミノ酸が置換された三重変異、4つ全てのアミノ酸が置換された四重変異を挙げることができる。好ましいタンパク質は、任意の2つのアミノ酸が置換された二重変異であり、特に好ましくは325番目のSerがThrに、及び481番目のGlnがLysに置換された二重変異(以下、STQKと表す)である。
PhaCmをコードするDNAは、シュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.)61−3由来のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素のアミノ酸配列(配列番号2)及びそれをコードするDNAの塩基配列(配列番号1)を基に、当業者に知られた部位特異的変異導入法によって組み換え的に作製することができる。また、特許文献7に記載されている通り、PhaCmのポリヒドロキシアルカン酸の合成を触媒する活性は、前記PhaCmを発現可能な核酸で形質転換された宿主細胞を得、当該宿主細胞のポリヒドロキシアルカン酸の蓄積能によって確認することができる。
PhaCmを種々選択して使用することにより、製造される共重合ポリエステル中の3HBの含有率を調節することができる。例えば、前記STQKを使用した場合には、3HB:乳酸=94:6の、乳酸がランダムに取り込まれたランダムコポリマーが製造される。
また、PhaCmの選択以外に、例えば大腸菌株Jw2293、Jw0885、Jw0886などの乳酸高蓄積性微生物を宿主として使用することで、製造される共重合ポリエステル中のLAのモル分率を高めることができる。例えば、前記の乳酸高蓄積性大腸菌株を宿主として好気的に培養することで、共重合体ポリエステル中のLAのモル分率を30%程度に高めることができる。
さらに、微生物によるLAの産生量を高める工夫を施すことにより、共重合体ポリエステル中のLAのモル分率をさらに高めることができる。例えば、前記タンパク質をコードする遺伝子で形質転換された宿主微生物を嫌気条件下で培養することにより、宿主微生物自身のLA産生量を増加させることで、製造される共重合ポリエステル中のLAのモル分率を高めることができる。大腸菌を宿主として嫌気条件下に培養することで、共重合体ポリエステル中のLAのモル分率を50%程度に高めることができる。
5)タンパク質をコードする核酸
上記1)〜4)の各タンパク質は、それらをコードする核酸を微生物に導入して、当該微生物内でタンパク質に転写翻訳させて使用することが好ましい。微生物に導入される核酸は、ベクターに組み込まれた形態にあることが好ましい。
前記の核酸を微生物に導入するためのベクターは、宿主中で自立複製可能なものであればよく、プラスミドDNA、ファージDNAの形態にあることが好ましい。核酸を大腸菌に導入するためのベクターの例としては、pBR322、pUC18、pBLuescriptII等のプラスミドDNAを、EMBL3、M13、λgtII等のファージDNA等を、それぞれ挙げることができる。また酵母に導入するためのベクターの例としては、YEp13、YCp50等を挙げることができる。
また、核酸をラルストニア(Ralstonia)属細菌やシュードモナス(Pseudomonas)属細菌に導入するためのベクターの例としては、広範囲の宿主において複製・保持されるRK2複製起点を有するpLA2917(ATCC37355)やRSF1010複製起点を有するpJRD215(ATCC 37533)等を挙げることができる。
上記1)〜4)の各タンパク質をコードする核酸、好ましくはDNAのベクターへの挿入は、当業者に知られた遺伝子組み換え技術を用いて行うことができる。また組み換えに際して、ベクターに挿入されるDNAからの各タンパク質の転写翻訳を調節することのできるプロモーターの下流に、前記DNAを連結することが好ましい。プロモーターとしては、宿主中で遺伝子の転写を調節できるものであればいずれを用いてもよい。例えば、大腸菌を宿主として用いる場合には、trpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーターなどを、酵母を宿主として用いる場合には、gal1プロモーター、gal10プロモーターなどを用いることができる。また、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌を本発明の微生物として用いる場合には、プロモーターとして、phaC1Ps遺伝子上流やphbCABReオペロン上流のプロモーターを含むと考えられる領域などを用いることができる。
また、本発明のベクターには、必要に応じて、核酸を導入しようとする微生物において利用可能なターミネーター配列、エンハンサー配列、スプライシングシグナル配列、ポリA付加シグナル配列、リボゾーム結合配列(SD配列)、選択マーカー遺伝子などを連結することができる。選択マーカー遺伝子の例としては、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子の他、アミノ酸や核酸等の栄養素の細胞内生合成に関与する遺伝子、あるいはルシフェラーゼとうの蛍光タンパク質をコードする遺伝子などを挙げることができる。
上記の核酸、好ましくはベクターの形態にある核酸は、当業者に知られた方法によって、微生物に導入される。微生物へのベクターの組み換え方法としては、例えばリン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、接合伝達法、カルシウムイオンを用いる方法や等が挙げられる。
6)微生物
本発明における組み換え微生物としては、上記1)〜4)のタンパク質を発現している微生物、好ましくは上記1)〜4)のタンパク質を機能的に発現し得る核酸の導入によって形質転換された微生物である。好適な微生物としては、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)61−3株などのシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、R.ユートロファなどのラルストニア(Ralstonia)属細菌、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などのバチルス(Bacillus)属細菌、大腸菌(Escherichia coli)などのエシェリヒア(Escherichia)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、サッカロマイセス・セレビシー(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロマイセス(Saccharomyces)属酵母、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)などのカンジダ(Candida)属酵母などを挙げることができる。中でも大腸菌、コリネバクテリウム属細菌、及びR.ユートロファが好ましく、特に好ましくは大腸菌、コリネバクテリウム属細菌である。
R.ユートロファなどの、それ自体が固有のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素を持つ微生物の場合には、当該固有のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素の発現能を失った微生物を使用することが好ましい。かかる発現能を失った微生物は、ニトロソグアニジンなどの化学変異源やUV等の物理的変異源によって微生物を処理したり、ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素をコードする核酸を改変して当該酵素の機能的な発現を不能とした変異核酸を微生物に導入し、「相同的組み換え」(homologous recombination)を行わせたりして、作製することができる。ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子が破壊されていることの確認は、該遺伝子の一部をプローブとして用いるサザンハイブリダイゼーションによって、ハイブリダイズするバンドが、野性株由来のバンドに比べて予想される位置にシフトしていることを調べることによって行うことができる。
6)ヒドロキシ酪酸と乳酸とからなる共重合ポリエステルの製造
ヒドロキシ酪酸と乳酸とからなる共重合ポリエステルの製造は、前記の核酸が導入された組み換え微生物を、炭素源を含む培地で培養し、培養菌体又は培養物中に共重合ポリエステルを生成蓄積させ、該培養菌体又は培養物から該共重合ポリエステルを回収することにより行われる。
本発明の組み換え微生物の培養は、培地組成を除き、組み換え微生物の種類に応じて、それぞれの微生物についての一般的な培養条件で行うことが好ましい。特に、組み換え微生物を嫌気条件下に培養することで、共重合体ポリエステル中のLAのモル分率を高めることができる点で有利である。
特殊な組成を有する培地は特に必要とされないが、炭素源以外の窒素源、無機塩類その他の有機栄養源のいずれかを制限した培地を利用することが好ましい。例えば、ラルストニア(Ralstonia)属細菌やシュードモナス(Pseudomonas)属細菌等に核酸を組み込んだ組み換え微生物を培養する培地としては、例えば窒素源を0.01〜0.1%に制限した培地が挙げられる。
炭素源としては、例えばグルコース、フラクトース、スクロース、マルトース等の炭水化物が挙げられる。また、炭素数4以上の油脂関連物質を炭素源とすることもできる。炭素数4以上の油脂関連物質としては、コーン油、大豆油、サフラワー油、サンフラワー油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、ナタネ油、魚油、鯨油、豚油又は牛油などの天然油脂、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノレン酸、リノール酸若しくはミリスチン酸等の脂肪酸又はこれらの脂肪酸のエステル、オクタノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール若しくはパルミチルアルコール等又はこれらアルコールのエステル等が挙げられる。
窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー等が挙げられる。無機物としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。
培養は、通常振盪培養などの好気的条件下、25〜37℃の範囲で、前記1)〜4)のタンパク質が転写発現されてから24時間以上行うことが好ましい。嫌気条件下に培養を行うときは、前記時間は48時間以上であることが好ましい。培養中は、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。前記1)〜4)のタンパク質をコードするDNAのいずれか或いは全てを誘導性プロモーターの制御下に連結した場合には、当該プロモーターの転写に誘導する因子を培地に添加すればよい。
本発明の好ましい態様は、M.エルスデニ(M.elsdenii)由来のPctをコードする核酸(配列番号3)、R.ユートロファ(R.eutropha)のβKTをコードする核酸(配列番号5)、R.ユートロファ(R.eutropha)のAACoA−Rをコードする核酸(配列番号7)及びSTQKをコードする核酸を有する発現ベクターを導入した組み換え大腸菌を培養し、3HBとLAとからなる共重合ポリエステルを製造する方法である。特に大腸菌株Jw2293、Jw0885、Jw0886などの乳酸高蓄積性微生物を宿主として使用することで、共重合体ポリエステル中のLAのモル分率をより高めることができる。また、大腸菌を宿主として嫌気条件下で培養することで、共重合体ポリエステル中のLAのモル分率をさらに高めることができる。
本発明の方法は、培地にLA、3HBなどの、目的とするポリマーを構成するモノマー成分を培地に添加しなくても、安価な廃糖蜜から、3HBとLAとからなる共重合ポリエステルを製造することができ、製造コストの点で有利である。
本発明において、ポリエステルの回収は、微生物から共重合ポリエステルあるいはPHAを回収するための、当業者に公知の方法によって行えばよい。例えば、培養液から遠心分離によって集菌、洗浄した後、乾燥させ、クロロホルムに乾燥菌体を懸濁し、加熱することによって、目的とする共重合ポリエステルをクロロホルム画分に抽出し、さらにこのクロロホルム溶液にメタノールを加えてポリエステルを沈殿させ、濾過や遠心分離によって上澄み液を除去した後、乾燥することで、精製された共重合ポリエステルを得ることができる。
回収されたポリエステルが3HBとLAとからなる共重合ポリエステルであることの確認は、通常の方法、例えばガスクロマトグラフ法や核磁気共鳴法等により行えばよい。
本発明はさらに、3HBとLAを含む共重合ポリエステルの製造方法であって、1)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質、2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質、アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質、及び下記のa)又はb)のアミノ酸配列からなるポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質を有する組み換え微生物を、3HBとLA以外のヒドロキシアルカン酸及び炭素源を含む培地で培養する工程:
a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸の少なくとも1以上が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列
b)a)に規定されるタンパク質において、さらに130番目、325番目、477番目及び481番目以外の少なくとも1以上のアミノ酸が欠失若しくは置換され、又は1以上のアミノ酸残基が挿入されたアミノ酸配列、
及び、2)工程1)の培養物から前記共重合ポリエステルを回収する工程を含む、前記共重合ポリエステルの製造方法を提供する。
かかる方法において、プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質、2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質、アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質、及び上記a)又はb)のアミノ酸配列からなるポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質と、これらを発現する組み換え微生物については、いずれも先に説明したとおりである。
本発明の3HBとLAを含む共重合ポリエステルの製造方法は、このようなタンパク質を有する組み換え微生物を、3HBとLA以外のヒドロキシアルカン酸及び炭素源を含む培地で培養することを特徴とする。組み換え微生物は自身が3HBとLAを生産するが、3HBとLA以外の共重合ポリエステルのモノマー単位に変換され得る前駆体を培地に加えることで、3HBとLAとこれら以外のモノマー単位を含む共重合ポリエステルが製造される。
前記前駆体とそこから変換されるモノマー単位の例としては、プロピオン酸(3−ヒドロキシプロピオン酸)、吉草酸(3−ヒドロキシ吉草酸)、ドデカン酸(3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、3−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシドデカン酸)、4−ヒドロキシ酪酸(4−ヒドロキシ酪酸)、4−ヒドロキシ吉草酸(4−ヒドロキシ吉草酸)などを挙げることができる。本発明ではこれらのいずれも利用することができ、培地に予め加えておいてもよく、また経時的に培地に添加してもよい。また、3HBとLAとこれら以外のモノマー単位を含む共重合ポリエステルを製造する培養を嫌気条件下に行うことにより、LAのモル分率を調節することができる。
以下、非限定的な実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例における各実験操作は、Sambrookら(Molecular cloning: a laboratory manual, 2nd ed. 1989年、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)を初めとする各種の実験操作を紹介したマニュアル、又は各種試薬及びキットに添付された指示書の各記載に従い、行った。
<実施例1> LA高蓄積性大腸菌を用いた共重合ポリエステルの製造
1)組み換え微生物の作製
M.エルスデニ(M.elsdenii、ATCC17753)からDNeasy Tissue Kit(Qiagen社)を用いてゲノムDNAを抽出後、プロピオニルCoAトランスフェラーゼ(アクセッションNo.J04987)をコードする核酸をPCRで増幅するために、EcoRI認識配列を含むフォワードプライマーと、PstI認識配列を含むリバースプライマーのプライマーDNAを合成した。前記ゲノムDNAを鋳型として、iCycler(BioRad)を用い、KOD−Plus−DNAポリメラーゼ(1U)、PCRバッファー、1mM MgSO、各プライマー15pmol、0.2mM dNTPs(全て東洋紡株式会社製)を含む反応液中、94℃2分を1サイクル、94℃で15秒、55℃で30秒、68℃で2分を1サイクルとするPCR反応を30サイクル行った後、約1,500bpの増幅断片を回収し、EcoRI及びPstIで消化して、DNAフラグメントを得た。
プラスミドpTV118N(宝酒造)をEcoRI及びPstIを用いて消化し、アルカリホスファターゼを用いて脱リン酸化した後、前記DNAフラグメントを加えてライゲーションし、プロピオニルCoAトランスフェラーゼをコードするDNAを含む、約4.7kbpの組み換えプラスミドPTV118N M.E.−PCTを調製した。
Takaseら(J. Biochem.、2003年、第133巻、第139−145頁)に記載されている方法に従い、R.ユートロファ(R.eutropha)由来のβ−ケトチオラーゼをコードするDNA(配列番号5)、R.ユートロファ(R.eutropha)由来のアセトアセチルCoAレダクターゼをコードするDNA(配列番号7)、及びSTQKをコードするDNAを全て含むプラスミドpGEMC1(ST/QK)ABを調製した。
pGEMC1(ST/QK)ABをBamHIで消化して、約6kbpのDNA断片を回収し、66mM酢酸カリウム、10mM酢酸マグネシウム、0.5mM DTT,0.1mg/mL BSA、0.1mM dNTPを含む3mM トリス酢酸緩衝液(pH7.9)中、200ユニットのT4ポリメラーゼを37℃で5分間作用させて、STQKをコードするDNA断片を得た。
pTV118N M.E.−PCTをPstIで消化し、上記と同条件でT4ポリメラーゼを作用させた後、アルカリホスファターゼを用いて脱リン酸化し、前記phaCmをコードするDNA断片をライゲーションして、pTV118N M.E.−PCTのSalIサイトにSTQKをコードするDNAを導入した、約9.6kbpのプラスミドpTV118NPCTC1(ST/QK)AB(図1)を得た。大腸菌種JM109のコンピテントセルをpTV118NPCTC1(ST/QK)ABを用いて形質転換した。
2)ポリマーの生産
得られた形質転換体を、アンピシリン100μg/mL、2%グルコース、10mMパントテン酸を含むLB培地100mLに植菌し、37℃にて72時間培養を行った。培養後4℃、3,100rpm、15分間の条件で遠心して菌体を回収し、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁させてから再度同条件で遠心分離した後、2日間、凍結乾燥した。
ガラス製耐圧反応管に乾燥菌体を移し、クロロホルム3mLを加えて懸濁液としてから、100℃のヒートブロック中で3時間保った後、室温まで冷却後、0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過して、クロロホルム溶液と菌体を分離した。濾液を遠心用ガラス試験管に移し、60℃でドライアップしてクロロホルムを留去した。試験管内に残った膜状のポリマーを、ヘキサンを用いて洗浄、乾燥し、再びクロロホルム3mLを加え、ポリマーを含むクロロホルム溶液を得た。0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過し、分取用GPC(LC−9201)を用いてポリマー画分を分取した後、クロロホルムを留去して、ポリマー48.62mgを回収した。ポリマーの菌体内含有率(培養後の乾燥菌体総重量に対して回収されたポリマー重量割合)は16.65%であった。
3)ポリマーの分析
i)GPC
2)で回収されたポリマー約1mgにクロロホルムを1mL加え、これを0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過した溶液をサンプルとして、下記の条件でGPC測定を行った。
Figure 2009131186
測定された分子量分布曲線を図2に示す。分子量較正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成し、標準ポリスチレン分子量の換算値で分子量を表した。その結果、ポリマーの分子量(mW)は32万、平均分子量(Mn)は23万、Mw/Mnは1.3であった。
ii)熱分析(DSC)
2)で回収されたポリマー約1mgを、示差走査熱量計(DSC3100、マックサイエンス)を用い、−50℃〜210℃:20℃/分上昇、210℃〜−90℃:40℃/分下降、−90℃:5分保持、−90℃〜210℃:20℃/分上昇の条件で分析した(図3)。
その結果、ガラス転移温度が0℃付近、結晶化度が86.8℃、ポリマーのTmは157.3〜157.5 ℃であった。
iii)GC/MS
2)で回収されたポリマー約50μgを1mLのクロロホルムに溶解した溶液250μL、エタノール850μL、塩酸100μLをガラス製耐圧反応管で混合し、100℃のヒートブロック中で3時間、エタノリシス処理を行った。室温まで冷却後、0.65Mリン酸および0.9MNaClを含む溶液1mlと250mMリン酸溶液500μLを加えて混合し、pHを中性に調整した後、室温、1,200rpmで5分間の条件で遠心し、水層とクロロホルム層を分離した。クロロホルム層を採取し、モレキュラーシーブスにより脱水を行って、GC分析用サンプルとした。
GC/MS分析は、下記の条件で行った。
Figure 2009131186
上記条件での分析結果及び乳酸エチルのMSスペクトルを図4に示す。GC/MSの結果より、(2)で回収されたポリマーは3HBとLAをモノマー単位として含むことが確認された。
iv)NMR分析
(2)で回収されたポリマーを重水素化クロロホルムに溶解してサンプルとし、300MHzでH−NMR(図5)、13C−NMR(図6)、H−NMR(図7)及び13H−NMR(図8)を測定した。その結果、(2)で回収されたポリマーは3HBとLAをモノマー単位として含むこと、3HBとLAの比が約94:6であることが判明した。
<比較例>
実施例1で作製したプラスミドpTV118NPCTC1(ST/QK)ABに含まれるSTQKをコードする塩基配列を、下記のタンパク質をコードする塩基配列に置き換えた発現ベクターを、それぞれ作製した。当該発現ベクターの構成を纏めて図9に示す。
pTV118NPCTC(Re)AB:R.ユートロファのポリヒドロキシアルカン酸合成酵素(アクセッション番号J05003)
pTV118NPCTC(Bc)AB:B.セレウスのポリヒドロキシアルカン酸合成酵素(アクセッション番号DQ486135)
pTV118NPCTC1(WT)AB:シュードモナスsp.61−3のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素(野性型、配列番号1)
pTV118NPCTC2AB:シュードモナスsp.61−3のポリヒドロキシアルカン酸合成酵素2(アクセッション番号AB014758)
上記各発現ベクターを用いて形質転換した大腸菌JM109を、アンピシリン100μg/ml、2%グルコース、10mMパントテン酸を含むLB培地100mlに植菌し、37℃にて72時間培養を行った。菌体を集菌し、10mM Tris−HCl(pH7.5)に懸濁させ、再度集菌してから2日間、凍結乾燥した。耐圧反応管(ガラス製)に乾燥菌体を移し、クロロホルム3mlを加えて懸濁液とし、100℃のヒートブロック中で3時間保ったのち、室温まで冷却後、0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過して、クロロホルム溶液と菌体とを分離した。濾液を遠心用ガラス試験管に移し、60℃でドライアップしてクロロホルムを留去した。試験管内に残った膜状のポリマーを、ヘキサンを用いて洗浄した後に乾燥し、再びクロロホルム3mlに溶解して、ポリマーのクロロホルム溶液を得た。
0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC社)で濾過し、分取用GPC(Preparative chromatography:LC−9201)によってポリマー画分を分取し、クロロホルムを留去して、ポリマーを得た。各ポリマーの量は、pTV118NPCTC(Re)AB:131.41mg、pTV118NPCTC(Bc)AB:160.61mg、pTV118NPCTC1(WT)AB:検出されず、pTV118NPCTC2AB:極微量のため定量不能であった。
また、pTV118NPCTC(Re)AB及びpTV118NPCTC(Bc)のポリマー50μgを、またpTV118NPCTC2ABについてはポリマー全量を、実施例1の3)のiii)と同様にしてGC/MS分析を行ったところ、得られたポリマーはいずれも3HBのみを構成モノマー単位とするホモポリマーPHBであることが確認された(図10)。
<実施例2> 高LA蓄積性微生物を用いた製造
1)ポリマーの生産
乳酸高蓄積大腸菌Jw2293株、Jw0885株、Jw0886株を、実施例1の1)で作製したpTV118NPCTC1(ST/QK)AB1を用いて形質転換した。
得られた形質転換体をアンピシリン100μg/ml、2%グルコース、10mMパントテン酸を含むLB培地1000mlに植菌し、37℃にて72時間培養を行った。培養後4℃、3,100rpm、15分間の条件で遠心して菌体を回収し、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁させてから再度同条件で遠心分離した後、2日間、凍結乾燥した。
ガラス製耐圧反応管に乾燥菌体を移し、クロロホルム40mlを加えて懸濁液としてから、100℃のヒートブロック中で3時間保ったのち、室温まで冷却後、0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過して、クロロホルム溶液と菌体を分離した。濾液を遠心用ガラス試験管ヘ移し、60℃でドライアップしてクロロホルムを留去した。試験管内に残った膜状のポリマーをヘキサンを用いて洗浄、乾燥し、再びクロロホルム40mlに溶解してクロロホルム溶液をえた。0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過し、分取用GPC(LC−9201)によってポリマー画分を分取した。クロロホルムを留去してポリマーを得た。
回収されたポリマーの量は、802mg(Jw2293)、804mg(Jw0885)、806mg(Jw0886)であった。また、ポリマーの菌体内含有率(培養後の乾燥菌体重量に対して回収されたポリマー重量割合)は41%(Jw2293)、50%(Jw0885)、54%(Jw0886)であった。
2)ポリマーの分析
i)GPC
1)で回収されたポリマー約1mgにクロロホルムを1mL加え、これを0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過した溶液をサンプルとして、下記の条件でGPC測定を行った。
Figure 2009131186
測定された分子量分布曲線を図11a〜cに示す。分子量較正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成し、標準ポリスチレン分子量の換算値で分子量を表した。その結果、ポリマーの分子量(mW)は、Jw2293株由来のポリマーの分子量(Mw)=28万、Mn=58,000、Jw0885株由来のポリマーのMw=28万、Mn=66,000、Jw0886株由来のポリマーのMw=28万、Mn=64,000であった。また、Mw/Mnは全て4であった。
ii)熱分析(DSC)
2)で回収されたポリマー約1mgを、示差走査熱量計(DSC3100、マックサイエンス)を用い、−50℃〜210℃:20℃/分上昇、210℃〜−90℃:40℃/分下降、−90℃:5分保持、−90℃〜210℃:20℃/分上昇の条件で分析した(図12a〜c)。
その結果、ポリマーのTmは111〜163℃であった。
iii)GC/MS
2)で回収されたポリマー約50μgを1mLのクロロホルムに溶解した溶液250μL、エタノール850μL、塩酸100μLをガラス製耐圧反応管で混合し、100℃のヒートブロック中で3時間、エタノリシス処理を行った。室温まで冷却後、0.65Mリン酸および0.9MNaClを含む溶液1mlと250mMリン酸溶液500μLを加えて混合し、pHを中性に調整した後、室温、1,200rpmで5分間の条件で遠心し、水層とクロロホルム層を分離した。クロロホルム層を採取し、モレキュラーシーブスにより脱水を行って、GC分析用サンプルとした。
GC/MS分析は、下記の条件で行った。
Figure 2009131186
上記条件での分析結果及び乳酸エチルのMSスペクトルを図13a〜cに示す。GC/MSの結果より、(2)で回収されたポリマーは3HBとLAをモノマー単位として含むことが確認された。
iv)NMR分析
(2)で回収されたポリマーを重水素化クロロホルムに溶解してサンプルとし、300MHzでH−NMR(図14a〜c)及び13C−NMR(図15a〜c)を測定した。その結果、(2)で回収されたポリマーは3HBとLAをモノマー単位として含むこと、3HBとLAの比が約32:68(Jw2293)、 約30:70(Jw0885)、 約32:68(Jw0886)であることが判明した。
<実施例3> 嫌気条件下での培養による共重合ポリエステルの製造
1)ベクターの構築
実施例1の1)で作製したpTV118NPCTC1(ST/QK)ABを鋳型にして、βKTをコードする遺伝子及びAACoA−Rをコードする遺伝子が取り除かれた直鎖状プラスミドが得られる様にPCRを行い、得られた増幅断片を閉環させて、pTV118NにPctをコードする遺伝子とPhaCmをコードする遺伝子を有するプラスミドpTV118NpctC1(ST/QK)(図16左)を作製した。
実施例1の1)で作製したpGEMC1ABを制限酵素BamHIで消化して得られる約3,200塩基対のDNA断片と、低コピープラスミドであるpACYC177DNAを制限酵素BamHIで消化した直鎖状ベクタープラスミドとを連結して、pACYC177DNAのBamHIサイトにβKTをコードする遺伝子及びAACoA−Rをコードする遺伝子を導入したプラスミドpACYC177ABを得た(図16右)に示す。
2)ポリマーの製造
pTV118NPCTC1(ST/QK)とpACYC177ABを用いて大腸菌W3110株を形質転換した。
得られた形質転換体をアンピシリン100μg/ml、2%グルコース、10mMパントテン酸を含むLB培地100mlに植菌し、37℃にて72時間培養を行った。培養後4℃、3,100rpm、15分間の条件で遠心して菌体を回収し、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁させてから再度同条件で遠心分離した後、2日間、凍結乾燥した。
ガラス製耐圧反応管に乾燥菌体を移し、クロロホルム60mlを加えて懸濁液としてから、100℃のヒートブロック中で3時間保ったのち、室温まで冷却後、0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過して、クロロホルム溶液と菌体を分離した。濾液を遠心用ガラス試験管ヘ移し、60℃でドライアップしてクロロホルムを留去した。試験管内に残った膜状のポリマーを、ヘキサンを用いて洗浄、乾燥し、再びクロロホルム60mlに溶解してクロロホルム溶液をえた。0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過し、分取用GPC(LC−9201)によってポリマー画分を分取した。クロロホルムを留去してポリマーを得た。
回収されたポリマーの量は、1228mgであった。また、ポリマーの菌体内含有率(培養後の乾燥菌体重量に対して回収されたポリマー重量割合)は2.3%であった。
3)ポリマーの分析
i)GPC
2)で回収されたポリマー約1mgにクロロホルムを1mL加え、これを0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過した溶液をサンプルとして、下記の条件でGPC測定を行った。
Figure 2009131186
測定された分子量分布曲線を図17に示す。分子量較正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成し、標準ポリスチレン分子量の換算値で分子量を表した。その結果、ポリマーの分子量(mW)は28,000、Mnは22,000、Mw/Mnは1.5であった。
ii)熱分析(DSC)
2)で回収されたポリマー約1mgを、示差走査熱量計(DSC3100、マックサイエンス)を用い、−50℃〜210℃:20℃/分上昇、210℃〜−90℃:40℃/分下降、−90℃:5分保持、−90℃〜210℃:20℃/分上昇の条件で分析した(図18)。
その結果、ポリマーの融点(Tm)は157.0〜161.4 ℃であった。
iii)GC/MS
2)で回収されたポリマー約50μgを1mLのクロロホルムに溶解した溶液250μL、エタノール850μL、塩酸100μLをガラス製耐圧反応管で混合し、100℃のヒートブロック中で3時間、エタノリシス処理を行った。室温まで冷却後、0.65Mリン酸および0.9MNaClを含む溶液1mlと250mMリン酸溶液500μLを加えて混合し、pHを中性に調整した後、室温、1,200rpmで5分間の条件で遠心し、水層とクロロホルム層を分離した。クロロホルム層を採取し、モレキュラーシーブスにより脱水を行って、GC分析用サンプルとした。
GC/MS分析は、下記の条件で行った。
Figure 2009131186
上記条件での分析結果及び乳酸エチルのMSスペクトルを図19に示す。GC/MSの結果より、(2)で回収されたポリマーは3HBとLAをモノマー単位として含むことが確認された。
iv)NMR分析
(2)で回収されたポリマーを重水素化クロロホルムに溶解してサンプルとし、300MHzでH−NMR(図20)、13C−NMR(図21)及び13C−NMR(図22)を測定した。その結果、(2)で回収されたポリマーは3HBとLAをモノマー単位として含むこと、3HBとLAの比が約53:47であることが判明した。
<実施例4> 3HB、LA及び3HVをモノマー単位とする共重合ポリエステルの製造
1)ポリマーの生産
実施例1で作製したpTV118NPCTC1(ST/QK)ABを用いて乳酸高蓄積大腸菌株Jw0885を形質転換した。得られた形質転換体をアンピシリン100μg/ml、2%グルコース、10mMパントテン酸、0.5%プロピオン酸ナトリウムを含むLB培地(表1に示す)100mlに植菌し、30℃にて72時間培養を行った。この培養物を4℃、3,100rpm、15分間の条件で遠心して菌体を回収し、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁させてから再度同条件で遠心分離した後、2日間、凍結乾燥した。
ガラス製耐圧反応管に乾燥菌体を移し、クロロホルム5mlを加えて懸濁液としてから、60℃のヒートブロック中で48時間保ったのち、室温まで冷却後、0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過して、クロロホルム溶液と菌体を分離した。次に濾液に100mlのメタノールを加え、ポリマーを析出させた。析出したポリマーを0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過してポリマーを得た。
回収されたポリマーの量は、12mgであった。また、ポリマーの菌体内含有率(培養後の乾燥菌体重量に対して回収されたポリマー重量割合)は8.5%であった。
2)ポリマーの分析
i)HPLC分析
回収されたポリマー約10mgに1N水酸化ナトリウムを500μl加え、100℃で3時間加熱し水和分解した。反応後1N塩酸を500μl加えて中和し、0.2μmPTFEフィルター(ADVANTEC)で濾過したものを検液と、下記の条件下でHPLC分析を行った。
Figure 2009131186
検量線はモノマー組成既知のポリ乳酸(LA100mol%)およびポリ[ヒドロキシ酪酸(HB)−co−ヒドロキシ吉草酸(HV)−co−ヒドロキシヘキサン酸(HHx)](HB:70mol%、HV:23mol%、HHx:7mol%)を用いて作成した。
その結果(図23〜25)、得られたポリマーは40mol%程度の乳酸、48mol%程度の3−ヒドロキシ酪酸、11mol%程度の3−ヒドロキシ吉草酸からなることが確認された。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (33)

  1. 3−ヒドロキシ酪酸と乳酸とからなる共重合ポリエステルの製造方法であって、1)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質、2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質、アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質、及び下記のa)又はb)のアミノ酸配列からなるポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質を有する組み換え微生物を、炭素源を含む培地で培養する工程:
    a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸の少なくとも1以上が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列
    b)a)に規定されるタンパク質において、さらに130番目、325番目、477番目及び481番目以外の少なくとも1以上のアミノ酸が欠失若しくは置換され、又は1以上のアミノ酸残基が挿入されたアミノ酸配列、
    及び、2)工程1)の培養物から前記共重合ポリエステルを回収する工程を含む、前記共重合ポリエステルの製造方法。
  2. プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号4に示されるアミノ酸配列、又は配列番号4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は配列番号6に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、請求項1に記載の製造方法。
  4. アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は配列番号8に示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列である、請求項1に記載の製造方法。
  5. ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目及び481番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列である、請求項1に記載の製造方法。
  6. ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目と481番目のアミノ酸が同時に置換されたアミノ酸配列である、請求項5に記載の製造方法。
  7. ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目のSerがThrに、481番目のGlnがLysにそれぞれ置換されたアミノ酸配列である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記タンパク質のいずれもが、微生物に導入された組み換え発現ベクターにコードされているタンパク質である、請求項1に記載の製造方法。
  9. 組み換え微生物の培養が嫌気条件下に行われる、請求項1〜8の何れかに記載の製造方法。
  10. 微生物が乳酸蓄積能を有する微生物である、請求項1〜9の何れかに記載の製造方法。
  11. 高乳酸蓄積能を有する微生物が、大腸菌Jw2293株、Jw0885株又はJw0886株である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 3−ヒドロキシ酪酸と乳酸を含む共重合ポリエステルの製造方法であって、1)プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質、2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質、アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質、及び下記のa)又はb)のアミノ酸配列からなるポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質を有する組み換え微生物を、3−ヒドロキシ酪酸と乳酸以外のヒドロキシアルカン酸及び炭素源を含む培地で培養する工程:
    a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸の少なくとも1以上が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列
    b)a)に規定されるタンパク質において、さらに130番目、325番目、477番目及び481番目以外の少なくとも1以上のアミノ酸が欠失若しくは置換され、又は1以上のアミノ酸残基が挿入されたアミノ酸配列、
    及び、2)工程1)の培養物から前記共重合ポリエステルを回収する工程を含む、前記共重合ポリエステルの製造方法。
  13. プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号4に示されるアミノ酸配列、又は配列番号4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、請求項12に記載の製造方法。
  14. 2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は配列番号6に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、請求項12に記載の製造方法。
  15. アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は配列番号8に示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列である、請求項12に記載の製造方法。
  16. ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目及び481番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列である、請求項12に記載の製造方法。
  17. ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目と481番目のアミノ酸が同時に置換されたアミノ酸配列である、請求項12に記載の製造方法。
  18. ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目のSerがThrに、481番目のGlnがLysにそれぞれ置換されたアミノ酸配列である、請求項16又は17に記載の製造方法。
  19. 前記タンパク質のいずれもが、微生物に導入された組み換え発現ベクターにコードされているタンパク質である、請求項12に記載の製造方法。
  20. 3−ヒドロキシ酪酸と乳酸以外のヒドロキシアルカン酸の前駆体が、プロピオン酸、吉草酸、ドデカン酸、4−ヒドロキシ酪酸及び4−ヒドロキシ吉草酸よりなる群から選ばれる一種以上の前駆体である、請求項12〜19のいずれかに記載の製造方法。
  21. 組み換え微生物の培養が嫌気条件下に行われる、請求項12〜20の何れかに記載の製造方法。
  22. 微生物が乳酸蓄積能を有する微生物である、請求項12〜21の何れかに記載の製造方法。
  23. 高乳酸蓄積能を有する微生物が、大腸菌Jw2293株、Jw0885株又はJw0886株である、請求項22に記載の製造方法。
  24. プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質、2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質、アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質、及び下記のa)又はb)のアミノ酸配列からなるポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質を発現する組み換え微生物。
    a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の130番目、325番目、477番目及び481番目のアミノ酸の少なくとも1以上が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列
    b)a)に規定されるタンパク質において、さらに130番目、325番目、477番目及び481番目以外の少なくとも1以上のアミノ酸が欠失若しくは置換され、又は1以上のアミノ酸残基が挿入されたアミノ酸配列
  25. プロピオン酸及び/又は乳酸にCoAが転移される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号4に示されるアミノ酸配列、又は配列番号4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、請求項24に記載の組み換え微生物。
  26. 2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAが形成される反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は配列番号6に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列である、請求項24に記載の組み換え微生物。
  27. アセトアセチルCoAの還元反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は配列番号8に示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列である、請求項24に記載の組み換え微生物。
  28. ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目及び481番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列である、請求項24に記載の組み換え微生物。
  29. ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目と481番目のアミノ酸が同時に置換されたアミノ酸配列である、請求項24に記載の組み換え微生物。
  30. ポリヒドロキシアルカン酸の合成反応を触媒するタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸配列の325番目のSerがThrに、481番目のGlnがLysにそれぞれ置換されたアミノ酸配列である、請求項28又は29に記載の組み換え微生物。
  31. 前記タンパク質のいずれもが、微生物に導入された組み換え発現ベクターにコードされているタンパク質である、請求項24に記載の組み換え微生物。
  32. 微生物が乳酸蓄積能を有する微生物である、請求項24〜31のいずれかに記載の組み換え微生物。
  33. 高乳酸蓄積能を有する微生物が、大腸菌Jw2293株、Jw0885株又はJw0886株である、請求項32に記載の組み換え微生物。
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