JPWO2009119401A1 - マンドレルバーのCrメッキ処理方法、およびマンドレルバー、並びにこれらを用いる継目無管の製造方法 - Google Patents

マンドレルバーのCrメッキ処理方法、およびマンドレルバー、並びにこれらを用いる継目無管の製造方法 Download PDF

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Abstract

Cr酸:100〜250g/L(リットル)、硫酸根:3.0〜5.5g/L(リットル)、および触媒:100〜200%(Cr酸含有量に対する重量比)を含有するメッキ浴を用いて電気メッキを行うことにより、皮膜クラック密度を増加させたCrメッキ皮膜をマンドレルバー母材の表面に形成させ、これにより、マンドレルミル圧延の際にCrメッキ皮膜の剥離を抑制してマンドレルバーの長寿命化を実現できる。

Description

本発明は、マンネスマン製管法におけるマンドレルミル圧延に使用されるマンドレルバーのCrメッキ処理方法、およびマンドレルバー、並びにこれらを用いる継目無管の製造方法に関する。
熱間加工による継目無管の製造方法として、マンネスマン・マンドレルミル製管法が広く採用されている。この製管法では、加熱した丸鋼片(ビレット)を穿孔機で穿孔して厚肉の中空素管(ホローシェル)にした後、その中空素管に内面を拘束する圧延工具であるマンドレルバーを挿入した状態で、その中空素管を対向する孔型ロールで構成された複数のスタンドからなるマンドレルミルに通し、薄肉の素管に圧延する。マンドレルミル圧延で得られた素管は、必要に応じて再加熱された後、ストレッチレデューサまたはサイザーによって定径圧延され、その外径を最終製品径に仕上げられる。
一般に、マンドレルミル圧延に使用されるマンドレルバーは、JIS規格で規定するSKD6やSKD61などの熱間工具鋼からなる丸棒鋼を素材とし、これに適宜の機械加工、焼き入れ処理および焼き戻し処理を施して製作している。通常、マンドレルバーの表面には、圧延中に中空素管の内面との接触により発生する摩擦力を低減するため、予め、固体潤滑剤を主成分とする潤滑皮膜を形成している。
しかし、圧延中のマンドレルバーの表面は、多大な面圧と熱負荷に曝されることから、潤滑皮膜が形成されているとはいえ、安定した潤滑状態を確保するのは容易でない。このため、マンドレルバーは、繰り返し使用されるうちに、表面や母材に摩耗、焼き付き、肌荒れおよび亀裂が発生し易く、繰り返し使用に耐えられずに工具寿命が短くなる。
このような状況から、近年のマンドレルミル圧延においては、マンドレルバー母材にCrメッキ処理を施して、母材表面に硬質のCrメッキ皮膜を形成したマンドレルバー(以下、「Crメッキマンドレルバー」ともいう)が用いられる。Crメッキマンドレルバーは、耐摩耗性に優れたCrメッキ皮膜によって保護されているため、マンドレルミル圧延における繰り返し使用でも優れた耐久性を発揮し、損傷し難い。
しかし、Crメッキマンドレルバーは、使用条件によってはCrメッキ皮膜が剥離する場合があり、この場合には、剥離部分で母材が露出し損傷するため、繰り返し使用ができなくなる。このようなCrメッキ皮膜の剥離に伴うマンドレルバーの損傷を防止するため、マンドレルバー寿命の改善を図る種々の提案がされている。
例えば、特開平8−71618号公報には、母材表面に平均厚みが1〜100μmのCrメッキ皮膜を有するとともに、このCrメッキ皮膜の表面に厚みが0.1〜10μmのCrを主体とする酸化スケール層を有するマンドレルバーが提案されている。同文献では、Crメッキ皮膜の厚みを規定することにより、皮膜自身の内部残留応力に伴う皮膜の剥離を抑えつつ、マンドレルバーの焼き付きを防止し、これに加え、Crメッキ皮膜上に酸化スケールを形成してその厚みを規定することにより、潤滑性を向上させるとともに、スケール形成時の加熱に伴うCrの相互拡散の作用でCrメッキ皮膜の密着力を向上させ、マンドレルバーの寿命延長が図れるとしている。
特開2001−1016号公報には、母材表面に厚みが60〜200μmのCrメッキ皮膜を有するマンドレルバーが提案されている。同文献では、Crメッキ皮膜の厚みを規定することにより、皮膜内部の残留応力に伴う皮膜の剥離を抑制しつつ、皮膜の摩耗に起因したマンドレルバーの焼き付きを防止し、マンドレルバーの寿命延長が図れるとしている。
再公表WO2004/108311号公報には、母材表面に形成されたCrメッキ皮膜について、軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaが1.0〜5.0μmであり、かつ、軸方向および円周方向の最大深さRvが10μm以上であるマンドレルバーが提案されている。同文献では、Crメッキ皮膜の表面状態を軸方向および円周方向の2方向で規定することにより、圧延中に皮膜表面に潤滑剤を十分に残存させて、マンドレルバーの焼き付き防止し、マンドレルバーの寿命延長が図れるとしている。
しかし、マンネスマン・マンドレルミル製管法における継目無管の製造コストのうちで、マンドレルバーに要する工具費用の占める割合は高く、近年、継目無管の製造コストの低減への要請から、マンドレルバーの工具費用の低減が強く求められる。特に、近年需要がますます高まっているCrを9重量%以上含有する高合金鋼(例えば、13Cr鋼など)の継目無管の製造では、変形抵抗の高い高合金鋼の中空素管を圧延することからマンドレルバーの寿命が短く、コスト低減の要請が著しい。このため、上記文献のいずれでもCrメッキマンドレルバーの寿命延長が図られているが、さらなる改善が要求されている。
本発明は、上述したコスト低減の要請に対応するためになされたものであり、Crメッキ処理の条件を適正化することにより、マンドレルミル圧延の際にCrメッキ皮膜の剥離を抑制して長寿命化を実現できるCrメッキマンドレルバーのCrメッキ処理方法、およびマンドレルバー、並びに継目無管の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成するため、Crメッキマンドレルバーの繰り返し使用に伴って母材の損傷を引き起こすCrメッキ皮膜の剥離に関し、Crメッキ皮膜を形成した段階でその皮膜に存在する多数の亀裂(以下、「皮膜クラック」という)に着目した。皮膜クラックは、マンドレルバーの繰り返し使用に伴い、マンドレルバーの母材表面に達する場合がある。この場合、マンドレルミル圧延時に皮膜クラックを通じてマンドレルバー母材に達した潤滑剤や水が母材を腐食させ、この腐食により、Crメッキ皮膜と母材との界面の密着力が低下し、Crメッキ皮膜が剥離すると考えた。これを裏付けるため、Crメッキ皮膜の剥離に及ぼす皮膜クラックの影響を調査する基礎試験を行った。
この基礎試験では、熱間工具鋼からなる板状の素材をマンドレルバー母材と想定し、これに、Cr酸、硫酸根(HSO)、および触媒の濃度を種々変更したメッキ浴を用いて電気メッキによるCrメッキ処理を施し、これによりCrメッキ皮膜を形成したものを試験片とした。まず、各試験片について、Crメッキ皮膜の表面をミクロ観察し、皮膜クラックの密度(本数/cm)を調査した。
図1は、皮膜クラック密度の算出方法を説明するための模式図である。同図に示すように、Crメッキ皮膜の表面ミクロ観察組織上で任意に直線を引き、この直線の長さXの範囲内で直線と皮膜クラックとの交差点の数をカウントする。同図では、長さXの範囲内で直線と皮膜クラックとがP1、P2、・・・P7の7点で交差する状況を例示している。そして、カウントした交差点の数を直線1cmあたりの数に換算し、これを皮膜クラック密度とする。すなわち、皮膜クラック密度とは、Crメッキ皮膜の表面ミクロ観察組織上に任意に直線を引いたとき、その直線1cmあたりに交差する皮膜クラックの本数を表すものである。
図2は、Crメッキ皮膜の表面ミクロ観察組織の一例を示す図である。同図に示すCrメッキ皮膜では、不規則な網目状の皮膜クラックが表われ、その皮膜クラック密度は、756(本数/cm)程度である。
次に、各試験片について、塩水噴霧試験を行い、Crメッキ皮膜の剥離度合いの指標として赤錆の発生面積率(%)を調査した。赤錆発生面積率とは、Crメッキ皮膜の全面積に対して赤錆が発生した面積の占める比率を表すものであり、これが大きいほど、母材の腐食範囲が広いことを示す。
図3は、塩水噴霧試験における皮膜クラック密度と赤錆発生面積率との相関を示す図である。同図に示すように、皮膜クラック密度の増加に伴って、赤錆発生面積率が減少すること明らかとなった。すなわち、皮膜クラック密度が増加するほど、皮膜クラックの数は増加するが、その深さは浅く、母材にまで達した皮膜クラックが少なくなると推察できる。また、Crメッキ皮膜の皮膜クラック密度の増加に伴って皮膜クラックの数が増加した場合、マンドレルミル圧延時の繰り返し使用に伴ってCrメッキ皮膜が受ける負荷は、多数の皮膜クラックに分散して軽減されることから、皮膜クラックの進展が抑制されると推察できる。
一方、皮膜クラック密度が少ない場合は、マンドレルバー母材にまで達する深い皮膜クラックが増加するとともに、皮膜クラックの数が減少することから、マンドレルミル圧延時に、皮膜クラックに負荷が集中して皮膜クラックが進展すると推察できる。
これらのことから、Crメッキ皮膜の皮膜クラック密度を増加させることにより、浅い皮膜クラックを形成するとともに、マンドレルバーの繰り返し使用に伴う皮膜クラックの進展を抑制することが可能になり、皮膜クラックを通じた潤滑剤や水によるマンドレルバー母材の腐食を抑制できることを見い出した。そして、マンドレルバーの繰り返し使用に伴う母材の腐食が抑制されることから、Crメッキ皮膜の密着力の低下を防止でき、Crメッキ皮膜の剥離の抑制が可能になり、マンドレルバーの長寿命化を実現できることを知見した。
次に、Crメッキ皮膜を十分に形成でき、しかもCrメッキ皮膜の皮膜クラック密度を増加させることができる条件を明らかにするため、各試験片を作製する際に用いたメッキ浴ごとに、皮膜クラック密度およびCrメッキ処理時の電流効率を評価した。その結果を下記の表1に示す。
Figure 2009119401
皮膜クラック密度の評価は、3レベルに区分して行い、同表中、従来よりも1.2倍以上高いものを優レベルとして「○」、従来と同程度かそれ以下のものを劣レベルとして「×」、および両者の間のものを良レベルとして「△」で示した。また、電流効率の評価は、同じく3レベルに区分して行い、同表中、通常採用されるものと同程度かそれ以上のものを優レベルとして「○」、Crメッキ皮膜の形成量(実際の析出量)が不十分となる低いものを劣レベルとして「×」、および両者の間のものを良レベルとして「△」で示した。
表1から、Cr酸の濃度が100〜250g/L(リットル)の範囲内であり、且つ硫酸根の濃度が3.0〜5.5g/L(リットル)の範囲内であり、さらに触媒の濃度が100〜200%(Cr酸含有量に対する重量比)の範囲内であるメッキ浴を用いた場合、皮膜クラック密度および電流効率がともに優れ、その上さらに、触媒濃度が120〜150%の範囲内であれば、皮膜クラック密度および電流効率が一層優れることが明らかになった。これにより、Crメッキ皮膜が十分に形成された状態で、Crメッキ皮膜の皮膜クラック密度を増加させるには、Crメッキ処理時に用いるメッキ浴の組成を適正に調整するのが有効であることを知見した。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)のマンドレルバーのCrメッキ処理方法、下記(2)のマンドレルバー、および下記(3)の継目無管の製造方法を要旨としている。
(1)マンネスマン製管法におけるマンドレルミル圧延に使用されるマンドレルバーのCrメッキ処理方法であって、Cr酸:100〜250g/L(リットル)、硫酸根:3.0〜5.5g/L(リットル)、および触媒:100〜200%(Cr酸含有量に対する重量比)を含有するメッキ浴を用いて電気メッキを行い、マンドレルバー母材の表面にCrメッキ皮膜を形成させることを特徴とするマンドレルバーのCrメッキ処理方法である。
(2)マンネスマン製管法におけるマンドレルミル圧延に使用されるマンドレルバーであって、Cr酸:100〜250g/L(リットル)、硫酸根:3.0〜5.5g/L(リットル)、および触媒:100〜200%(Cr酸含有量に対する重量比)を含有するメッキ浴を用いて電気メッキを行うことにより、母材の表面にCrメッキ皮膜が形成されていることを特徴とするマンドレルバーである。
(3)継目無管を製造する際に、穿孔圧延された中空素管を上記(2)のマンドレルバーを用いてマンドレルミル圧延することを特徴とする継目無管の製造方法である。この製造方法は、Crを9重量%以上含有する高合金鋼の継目無管の製造に特に有効である。
ここでいうCr酸は無水酸化クロム(CrO)を意味し、硫酸根は硫酸イオン(SO 2−)を意味する。触媒とは、触媒としての硫酸根とは異なる補助添加剤のことを意味し、この触媒には、従来からCrメッキ処理に慣用されるものでよく、例えば、酢酸や蟻酸やスルホン酸などの有機酸を採用することができる。
本発明によれば、Cr酸、硫酸根、および触媒の濃度を規定したメッキ浴を用いて、マンドレルバー母材にCrメッキ処理を施すことにより、皮膜クラック密度を増加させたCrメッキ皮膜を形成することができる。このCrメッキマンドレルバーは、Crメッキ皮膜の皮膜クラック密度が増加しているため、浅い皮膜クラックを形成できるとともに、マンドレルミル圧延での繰り返し使用に伴う皮膜クラックの進展を抑制でき、皮膜クラックを通じた潤滑剤や水による母材の腐食およびCrメッキ皮膜の剥離を抑制することが可能になり、マンドレルバーの長寿命化を実現することができる。
図1は、皮膜クラック密度の算出方法を説明するための模式図である。
図2は、Crメッキ皮膜の表面ミクロ観察組織の一例を示す図である。
図3は、塩水噴霧試験における皮膜クラック密度と赤錆発生面積率との相関を示す図である。
図4は、実施例1の本発明例と比較例のマンドレルバーにおけるマンドレルミル圧延での寿命、および皮膜クラック密度の関係を示す図である。
図5は、実施例2の本発明例と比較例のマンドレルバーにおけるマンドレルミル圧延での寿命、および皮膜クラック密度の関係を示す図である。
上述の通り、本発明では、マンドレルバーのCrメッキ処理の際、Cr酸:100〜250g/L、硫酸根:3.0〜5.5g/L、および触媒:100〜200%(Cr酸含有量に対する重量比)を含有するメッキ浴を用いて電気メッキを行うこととしている。
このように、マンドレルバー母材の表面にCrメッキ皮膜を形成させる際に用いるメッキ浴において、Cr酸、硫酸根、および触媒の濃度を規定する理由を以下に説明する。
前記表1に示すように、Cr酸濃度が250g/Lを超える場合、硫酸根濃度が3.0g/L未満である場合、および触媒濃度が100%未満である場合は、皮膜クラック密度が従来と同程度かそれ以下に低下する。この場合、皮膜クラック密度の低下に伴って、マンドレルバー母材にまで達する皮膜クラックが増加するとともに、皮膜クラックの数が減少することから、マンドレルミル圧延時には、皮膜クラックに負荷が集中して皮膜クラックが進展する。このため、潤滑剤や水による母材の腐食を抑制することができず、Crメッキ皮膜の剥離が生じてマンドレルバーの寿命を延長できない。
一方、Cr酸濃度が100g/L未満である場合、硫酸根濃度が5.5g/Lを超える場合、および触媒濃度が200%を超える場合は、Crメッキ処理時の電流効率が低下し、Crメッキ皮膜の形成量が不十分となる。
したがって、本発明では、メッキ浴中のCr酸濃度を100〜250g/Lの範囲内と規定し、且つ硫酸根濃度を3.0〜5.5g/Lの範囲内と規定し、さらに触媒濃度を100〜200%の範囲内と規定する。より好ましくは、メッキ浴中の触媒濃度を120〜150%の範囲内とする。
本発明では、Cr酸、硫酸根、および触媒の濃度を規定したメッキ浴を用いて、マンドレルバー母材に電気メッキによるCrメッキ処理を施すことにより、母材表面にCrメッキ皮膜を十分に形成させることができ、皮膜クラック密度を増加させたCrメッキ皮膜を有するマンドレルバーとなる。このCrメッキマンドレルバーは、Crメッキ皮膜の皮膜クラック密度が増加していることから、浅い皮膜クラックを形成できるとともに、マンドレルミル圧延での繰り返し使用に伴う皮膜クラックの進展を抑制でき、皮膜クラックを通じた潤滑剤や水による母材の腐食を抑制することが可能になる。その結果、Crメッキ皮膜の剥離を抑制することが可能になり、マンドレルバーの長寿命化を実現することができる。
このとき、Crメッキ皮膜の皮膜クラック密度は、同じ組成のメッキ浴を用いたCrメッキ処理であっても、マンドレルバーのサイズ径により変動するが、上述した通り、Cr酸、硫酸根、および触媒の濃度を規定したメッキ浴を用いることによって増加させることができる。したがって、本発明は、あらゆるサイズ径のマンドレルバーに適用することができる。
また、上記本発明のマンドレルバーは、13Cr鋼など、Crを9重量%以上含有する高合金鋼の継目無管を製造する際のマンドレルミル圧延に使用した場合にも長寿命を達成することができ、製品管の内面性状が向上するほか、製造コストの低減が図れる。このような本発明のマンドレルバーの効果は、普通鋼の継目無管の製造で発揮されることは言うまでもない。
本発明による効果を確認するため、下記の実機試験を行った。
(実施例1)
JISに規定されるSKD61からなるマンドレルバー母材を準備し、電気メッキ設備を用いて母材にCrメッキ処理を施し、母材表面にCrメッキ皮膜を形成した。その際、本発明例として、5本のマンドレルバーに本発明で規定する濃度範囲内のメッキ浴を用いてCrメッキ処理を行い、比較例として、5本のマンドレルバーに本発明で規定する濃度範囲を外れるメッキ浴を用いてCrメッキ処理を行った。その際の電流密度は、40A/dmとした。
これらの本発明例および比較例のCrメッキマンドレルバーを使用し、実施例1の被圧延材として13Cr鋼の中空素管をマンドレルミル圧延した。そして、各マンドレルバーについて、寿命に達するまでのパス数(圧延本数)を調査した。その寿命の判断は、Crメッキ皮膜の剥離に伴って焼き付きが発生したか否かに基づいて行った。また、マンドレルミル圧延に先立って、各マンドレルバーについて、Crメッキ皮膜の皮膜クラック密度を調査した。
図4は、実施例1の本発明例と比較例のマンドレルバーにおけるマンドレルミル圧延での寿命、および皮膜クラック密度の関係を示す図である。同図中、マンドレルバーの寿命(パス数)は、本発明例および比較例ともに、得られた結果の平均値を示している。また、皮膜クラック密度は、本発明例および比較例ともに、得られた結果の平均値を示し、比較例を基準(1.0)とした比率で示している。
同図に示すように、実施例1の試験においては、本発明例のマンドレルバーは、比較例のマンドレルバーと比べて、皮膜クラック密度が1.3倍以上となり、寿命を2倍以上延長することができた。
(実施例2)
上記実施例1と同様の条件で本発明例および比較例のCrメッキマンドレルバーを5ずつ作製し、これらのマンドレルバーを使用し、実施例2の被圧延材として炭素鋼(0.18%C)の中空素管をマンドレルミル圧延した。そして、実施例1と同様に、各マンドレルバーの寿命および皮膜クラック密度を調査した。
図5は、実施例2の本発明例と比較例のマンドレルバーにおけるマンドレルミル圧延での寿命、および皮膜クラック密度の関係を示す図である。同図に示すように、実施例2の試験においては、本発明例のマンドレルバーは、比較例のマンドレルバーと比べて、皮膜クラック密度が1.3倍以上となり、寿命を2倍以上延長することができた。
本発明によれば、Cr酸、硫酸根、および触媒の濃度を規定したメッキ浴を用いて、マンドレルバー母材に電気メッキによるCrメッキ処理を施すことにより、皮膜クラック密度を増加させたCrメッキ皮膜を形成させることができる。このCrメッキマンドレルバーは、Crメッキ皮膜の皮膜クラック密度が増加しているため、マンドレルミル圧延で繰り返し使用されても、潤滑剤や水による母材の腐食を抑制でき、Crメッキ皮膜の剥離を抑制することが可能になることから、マンドレルバーの長寿命化を実現することができる。

Claims (3)

  1. マンネスマン製管法におけるマンドレルミル圧延に使用されるマンドレルバーのCrメッキ処理方法であって、
    Cr酸:100〜250g/L(リットル)、硫酸根:3.0〜5.5g/L(リットル)、および触媒:100〜200%(Cr酸含有量に対する重量比)を含有するメッキ浴を用いて電気メッキを行い、マンドレルバー母材の表面にCrメッキ皮膜を形成させることを特徴とするマンドレルバーのCrメッキ処理方法。
  2. マンネスマン製管法におけるマンドレルミル圧延に使用されるマンドレルバーであって、
    Cr酸:100〜250g/L(リットル)、硫酸根:3.0〜5.5g/L(リットル)、および触媒:100〜200%(Cr酸含有量に対する重量比)を含有するメッキ浴を用いて電気メッキを行うことにより、母材の表面にCrメッキ皮膜が形成されていることを特徴とするマンドレルバー。
  3. 継目無管を製造する際に、穿孔圧延された中空素管を請求項2に記載のマンドレルバーを用いてマンドレルミル圧延することを特徴とする継目無管の製造方法。
JP2009512762A 2008-03-28 2009-03-18 マンドレルバーのCrメッキ処理方法、およびマンドレルバー、並びにこれらを用いる継目無管の製造方法 Active JP4337956B1 (ja)

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